ちひろ「あー！　そうですよねー！　心さんはゴールデンウィークもお仕事でしたもんねぇ！」

心「うわ、やっべ。うっざ」

ちひろ「普段の心さんこんなテンションですよ」

心「マジ？」

ちひろ「マジもマジ」

心「……そっかぁ」

ちひろ「少しは悔い改めてください」

心「断る☆」

ちひろ「チッ！」

心「おい☆　舌打ちでかいぞ☆」

ちひろ「んで？　どうして働きたくないんですか？」

心「さすがに少し疲れたんだよ……」

ちひろ「ゴールデンウィークは全部お仕事入ってましたからね」

心「そゆこと☆」

心「いつもなら帰省するけどさー、今回は帰れなかったし」

ちひろ「まぁいいんじゃないですか？」

心「どして？」

ちひろ「帰るとまた結婚結婚言われますよ」

心「うぐっ……それもそうか……」

ちひろ「そうですよ。ご予定もないわけですし？」

心「うぅー……」

ちひろ「それに良いじゃないですか。プロデューサーさんとずっと一緒だったんですし。デートみたいなものですよ、デート」

心「それは……、えへへ♪　そうだけどぉ☆」

ちひろ「あー、はいはい。うざいうざい」

心「てめぇ☆」

ちひろ「心さんのお休みって来週でしたっけ」

心「うん☆　ちょっと遅いゴールデンウィーク的な感じで二日お休みもらってる♪」

ちひろ「ご実家に？」

心「どうしよっかなって考えてるとこ☆」

心「さすがにはぁとも疲れてるから家で寝て過ごそうかなって」

ちひろ「色気の欠片もありませんね」

心「プロデューサーは仕事だしね」

ちひろ「……プロデューサーさんってお休みいつですか？」

心「え？　えーっと……。ん？　んー……？」

ちひろ「あ、なんか色々まずい気がしてきた」

心「奇遇だね。はぁとも」

ちひろ「……」

心「……」

ちひろ、心「「とりあえず見なかったことに」」

ちひろ「ちょっとプロデューサーさんにはお話しておきます」

心「うん☆　よろしく☆　はぁとも話はしてみる」

ちひろ「あの人ってワーカーホリックですからねぇ……」

心「はぁとから見たらちひろちゃんもワーカーホリックだけど」

ちひろ「私はプロデューサーさんほどじゃないですよ。お休み取れる時はちゃんと取りますし」

心「それでもあんまり休んでないでしょ？」

ちひろ「んー。まぁ、たぶん」

心「あ、じゃあさ！」

ちひろ「やだ」

心「まだ何にも言ってないんですけど！？」

ちひろ「心さんの思い付きはロクな事になりません」

心「なんだと☆」

ちひろ「今までの経験からの判断です」

心「ぐぬぬ……！」

心「でも！　今回は名案だから！」

ちひろ「えぇ……？」

心「そんな露骨に嫌そうな顔すんな☆」

ちひろ「まぁいいでしょう。聞くだけ聞いてあげます」

心「そのうち休み合わせて温泉いこ☆」

ちひろ「乗った！」

心「でっしょー！？　はぁとにしては名案じゃね！？」

ちひろ「素晴らしい案です！　さすが心さん！」

心「そんな褒めんな褒めんな～☆　照・れ・ちゃ・う・ゾ♪」

ちひろ「うわぁ、殴りてぇ」

心「おい、今何て言ったコラ☆」

ちひろ「今日もお綺麗ですねって」

心「え、そう？」

ちひろ「あれ、こいつ完全に頭おかしくなったな？」

心「おい☆」

ちひろ「ま、そういうのは置いといて」

ちひろ「どこにします？　いつにします？」

心「わお、めっちゃ目が輝いてる☆」

ちひろ「だって温泉ですよ！　溜まりに溜まった疲れを抜く良い機会ですよ！」

心「あれ？　ちひろちゃん、ゴールデンウィークはしっかり休んでたはずなのにおかしいな？」

ちひろ「日ごろ、めんどくさい人の相手してるんですよ？　三日程度休んだくらいで抜ける訳ないじゃないですか」

心「そのめんどくさい人ってはぁとの事か？　ん？　正直に言ってみ？」

ちひろ「心さんだけではないです」

心「やっぱはぁと入ってんじゃねぇか☆　せめて違うって言って☆　言えよ☆」

ちひろ「私は自分に嘘はつきたくないんです」

心「ははっ……」

ちひろ「なんですか。その渇いた笑いは」

心「いえ、なんでもないです」

ちひろ「敬語やめて」

心「ちひろちゃんも結構嘘つきなのにね」

ちひろ「なんの事やら」

心「んも～☆　この、う・そ・つ・き♪」

ちひろ「わぁ～、とってもうざい～☆」

心「んだとコラ☆」

心「でもさ」

ちひろ「はい？」

心「『嘘つき』って響き、結構良くない？」

ちひろ「帰りますね。お疲れ様でした」

心「ちょいちょいちょーい！」

ちひろ「はーなーしーてーぇー！」

心「聞いて！　誤解だから聞いて！」

ちひろ「嫌ですよ！　なんで私が心さんの○○に付き合わなきゃいけないんですか！　プロデューサーさん付き合わせてくださいよ！」

心「こんな話、プロデューサーと出来るか！」

ちひろ「いずれ結婚するんですから今の内に心さんの○○に慣れてもらってください！」

心「そ、そんな結婚なんて……♪」

ちひろ「ふんっ！」

心「痛ったぁー！？　なんで！？　なんで叩かれたの！？」

ちひろ「にやけ面が気に食わなかったんです。反省はしていない」

心「てめぇ☆」

ちひろ「はぁ……。で？　嘘つきがなんですって？」

心「なんだかんだ話に付き合ってくれるちひろちゃんが好き」

ちひろ「帰りますよ」

心「あー！　待った待った！」

ちひろ「はぁ……」

心「いや、あのね？　ゴールデンウィーク中のお仕事が765プロの娘達と一緒だったの」

ちひろ「あぁ、歌番組一緒でしたね」

心「そそ☆」

心「んで、765プロに『待ち受けプリンス』って曲あるの知ってる？」

ちひろ「当然じゃないですか」

ちひろ「あぁ、なるほど。だから『嘘つき』ですか」

心「そういう事☆」

心「リハと本番で二度聴かせてもらったけど、はぁと気に入っちゃってさ☆」

ちひろ「確かに私も好きですからね。765プロさんの曲も結構聴いてますし」

心「この裏切者っ！」

ちひろ「はぁ？」

心「はぁと達よりも765プロの娘の方が良いのね！？」

ちひろ「せめて顔作ってからそういう台詞言ってください。にやけ面じゃまったく効果ありませんよ」

ちひろ「あ、そっかー！　心さんじゃ演技なんて無理ですもんねぇー！」

心「あぁん！？」

ちひろ「おや。どうしましたか」

心「そんなに言うならはぁとの全力の演技ってのを見せてやろうじゃないか☆」

ちひろ「うわ、藪蛇だった」

心「と言うわけで、ちひろちゃん！　何かお題を！」

ちひろ「えぇ……。んー……。あ、じゃあ『嘘つき』って言ってみてくださいよ」

心「よしきた！」

心「うそつき☆」

ちひろ「はい、心に響きません。不合格です。お引き取りください」

心「待って待って！　もう一度！　もう一度チャンスを！　今度は真剣にやりますから！」

ちひろ「貴様のお遊びに付き合っている暇などないわ！」

心「え～。またまた～。ちひろちゃんも楽しいクセに」

ちひろ「……」

心「と言うわけで真剣に行きます」

ちひろ「はいはい……どーぞぉー……」

心「ん☆　ヘアゴム持ってて」

ちひろ「髪降ろしてまでやる事ですか？」

心「嘘つきっ……！」

ちひろ「っ！？」

ちひろ（ゆ、油断した……！　まさか心さんにここまでの演技力があるとは……）

ちひろ（涙目上目遣いなんて一体どこで覚えて来たんですか！）

心「ふふん！　どーよ☆　言葉も出ないってか？　んー？」

ちひろ「ま、まぁなかなかでした、と」

心「素直じゃないなー☆」

ちひろ「いや、でもこういう演技は美優さんがやった方がですね」

心「あー、確かに。はぁとも美優ちゃん意識してやったし」

ちひろ「なるほど、通りで……」

心「ねぇねぇ」

ちひろ「はい？」

心「ドキッとした？　したでしょ？　しちゃったでしょ☆　しちゃったかぁー☆」

ちひろ「今なら顔面をグーで殴っても許される気がする」

心「許されるわけないだろ☆」

ちひろ「くそぅ……。言い返せないのが腹立つぅ……」

心「ふふん☆　はぁとも日々進化しているのだよ！」

ちひろ「エキストラでつまみ出されてた人とは大違いですね」

心「あ、あの頃は別の意味でも必死だったから……」

ちひろ「……ま、これならドラマとか映画のお仕事来ても大丈夫そうですね」

心「お、ちひろちゃんのお墨付きもらっちゃったぜ☆」

ちひろ「贔屓目差し引いても心さんの演技力はなかなかだと思いましたので」

心「だろうだろう☆」

心「んふふ☆」

ちひろ「なんですか、気持ち悪い」

心「おい☆」

心「ま、いいや☆　もうそろそろ終わるでしょ？」

ちひろ「え？　はい。そうですね」

心「じゃあご飯行こうぜ☆　今日のはぁとはご機嫌だから奢ってあげる☆」

ちひろ「40秒で支度します！」

心「そ、そんな慌てなくていいからね？」

ちひろ「何を言ってるんですか！　タイムイズマネーですよ！」

心「わぁ、ちひろちゃんが言うと説得力あるなー……」

ちひろ「まぁ……私も心さんと遊んでると楽しいですから……」

心「ん？　なんだって？」

ちひろ「なんでもないです」

心「そう？」

ちひろ「そうです」

心「そっか。あ、でもね？」

ちひろ「はい？」

心「はぁともちひろちゃんと遊んでると楽しいぞ☆」

ちひろ「聞こえてるじゃねぇか！」

End