ちひろ「でも……結構お仕事溜まってますし……」

Ｐ「大丈夫ですよ。休憩したくらいで終わらない量じゃないんで！」

ちひろ「……すみません。じゃあお言葉に甘えて」

Ｐ「はい、行ってらっしゃい」

ちひろ「すみません」

心「おっつかれさまー☆」

Ｐ「お疲れ様です」

ちひろ「お疲れ様です、心さん。じゃあ、プロデューサーさん、少しの間お願いしますね」

Ｐ「了解です」

心「ん？　ちひろちゃんどっか行くの？」

ちひろ「ちょっと休憩に」

心「そかそか。って、なんか顔色悪いけど……あっ」

ちひろ「……どうかしました？」

心「ううん！　なんでもない！　ゆっくり休んできてね」

ちひろ「はい」

Ｐ「さて……頑張るかな」

心「ねぇねぇ、プロデューサー」

Ｐ「はい？」

心「ちひろちゃんって朝から調子悪そうだった？」

Ｐ「んー。朝はそうでもなかったような気がしますけど。俺が気付いた時には調子悪そうでした」

心「ふむ……。となると持ってないかもかな」

Ｐ「持ってない？」

心「こっちの話だから気にすんな☆」

心「打ち合わせだけどさ、後でもいい？」

Ｐ「構いませんよ。どこか行くんですか？」

心「乙女のヒ・ミ・ツ☆」

Ｐ「あはは。じゃあ俺が口出しは出来ませんね」

Ｐ「俺はいつでも良いんで、心さんの用事が終わったらまた来てください」

心「ありがとね♪」

心「んじゃちょっと行ってくるわ☆」

◆

休憩室

ちひろ「……」

心「あ、居た。トイレかと思ったけどこっちだったか」

ちひろ「……今、心さんのお相手する元気ないですよ」

心「薬は？」

ちひろ「急に来ちゃって……。持ってきてないです」

心「常備しとけっての☆」

ちひろ「ここ最近ちょっと不順気味だったので……」

心「だから基礎体温つけたりとか体調管理しとけって言ったのに☆」

ちひろ「アシスタントも結構ハードなんで……」

心「ロキ○ニンとバファ○ンあるけどどっち飲む？」

ちひろ「バファ○ンください」

心「はぁとの優しさが半分込められたバファ○ンです。どうぞ」

ちひろ「やっぱロキ○ニンください」

心「てめぇ☆」

心「とまぁ、冗談は置いといて。水ははぁとの飲みかけだけど良い？」

ちひろ「大丈夫です。気にしませんので」

心「ほい☆」

ちひろ「ありがとうございます」

心「少し横になったら？　はぁとが膝枕したげるぞ☆」

ちひろ「えぇ……なんで……」

心「人肌に触れてた方が安心しない？」

ちひろ「まぁ……はい」

心「なんなら生足になりますが」

ちひろ「そのままでいいです」

心「素直じゃないなぁ～☆」

ちひろ「お腹痛いんで静かにしててください」

心「はいはい☆　んじゃ、どうぞ♪」

ちひろ「お邪魔します」

心「うむうむ☆」

ちひろ「なんでお腹撫でるんですか」

心「温めると楽になるでしょ？」

ちひろ「心さんに撫でられるとなんか屈辱感が……」

心「おいこら☆」

ちひろ「冗談です。でも、こそばいんでやめてください」

心「仕方ないなぁ……。じゃあこれ貸したげる☆」

ちひろ「……どっから取り出したんですか。そのブランケット。心さんのバッグは四次元ポケットかなんかですか」

心「知ってる？　スタジオって結構冷えるんだよ」

ちひろ「あぁ、だから持ち歩いてるんですね」

ちひろ「というかこれ手編みですか？」

心「お、さっすがちひろちゃん！　よくわかったね☆」

ちひろ「そりゃこんなハートマークが散りばめられた趣味の悪い毛糸のブランケットなんて、売れませんよ」

心「おい、趣味が悪いとはなんだ。趣味が悪いとは」

ちひろ「事実です」

心「スウィーティー☆　の間違いだろ☆　訂正して☆　しろよ☆」

ちひろ「ふんっ」

心「あ、こいつ生意気だな☆」

ちひろ「今の私は弱っているので。優しくしてください」

心「だいぶ優しかったと思うけど、まだ足りないか」

心「となると……」

ちひろ「？」

心「おー、よちよち☆　ちひろちゃんは良い子でちゅね～☆　痛いの痛いの飛んでいけー……って痛い！」

ちひろ「気持ち悪いです。即刻止めてください」

心「痛い！　痛いから！　太ももつねらないで！」

ちひろ「噛まなかっただけ良いと思ってください」

心「てめぇ☆　はぁとがいつまでも優しいと思ったら大間違いだぞ☆」

ちひろ「そんな事言っても心さんは優しくて素敵な人って知ってるんで無駄ですよ」

心「え？　んふふ。まぁね☆」

ちひろ「ちょろい」

心「おい、今なんて言った☆」

ちひろ「心さん大好きって言いました」

心「嘘つくな☆」

ちひろ「ホントですよ。半分の妄想と半分の虚言の純度100パーセントの事実です」

心「どこにも事実の要素がないんだけど」

ちひろ「え？　そうですか？　すみません。今、体調悪くて計算出来ないんですよ」

心「計算の問題じゃない☆」

ちひろ「となると私にはもうなすすべありません。諦めてください」

心「おいこら☆」

ちひろ「ふわぁ……」

心「寝れそう？」

ちひろ「はい……。痛みもちょっと和らいできましたし」

ちひろ「でも、休憩中なので寝るわけには……」

心「あー、良いって良いって。寝てなよ」

ちひろ「でも仕事が……」

心「？　さっきはぁとがプロデューサーに聞いたら『もうすぐ終わる』って言ってたよ？」

ちひろ「……本当に？」

心「ホントホント☆」

ちひろ「……じゃあ、少しだけ寝ますね。15分経ったら起こしてください」

心「ん☆　任せとけ☆」

ちひろ「心さんの嘘つき」

心「優しい嘘はセーフだろ☆」

ちひろ「はいはい……」

心（やっぱちひろちゃんに嘘は通じないかー）

心（とりあえずプロデューサーにちひろちゃんがダウンしたって連絡だけ入れて……）

心「はぁとは編み物でもしてよっかな☆」

◆

2時間後

ちひろ（なんか騒がしいような……）

千佳「はぁとちゃん～……難しいよぉ……」

心「あー、ここはこうやって、こうして、こうだぞ☆」

千佳「えっと……こうやって……。こう？」

心「そうそう、上手上手☆」

心「千枝ちゃんは大丈夫？」

千枝「はいっ。　あ、でも、この編み方はこれで良いんですか？」

心「完璧☆　さっすが千枝ちゃん☆」

千佳「千枝ちゃんやっぱり上手だね！」

千枝「千佳ちゃん……！　静かにしないとちひろさんが起きちゃうよ」

千佳「あっ……ごめんなさい……」

心「ぐっすり寝てるから大丈夫大丈夫♪　でももうちょっと静かにはぁとと編み物してようね☆」

千佳「はーい」

ちひろ「……」

千佳「あ」

千枝「あっ」

心「あ、おはよ☆　良く寝れた？」

ちひろ「おはようございます。良く寝れました」

千佳、千枝「「おはようございます！」」

心「体調はどう？」

ちひろ「心さんの頬っぺたをこうしてつねれるくらいには元気になりました」

心「いふぁい！　やめへっ！」

ちひろ「15分で起こしてって言いましたよね？　千佳ちゃんと千枝ちゃんが居るって事は1時間以上経ってますよね？」

心「てへっ☆」

ちひろ「もう一度つねっていいですか」

千佳「やめて、ちひろさんっ！　はぁとちゃんをいじめないで！」

ちひろ「千佳ちゃん……」

千枝「し、心さんはちひろさんの事、すっごく心配してたんです」

ちひろ「千枝ちゃん……」

ちひろ「二人ともなにで買収されたんですか？」

心「おい☆」

千佳「ばいしゅう……？」

千枝「ばいしゅう……？」

ちひろ（何故だろう。何故か同じ反応なのに千佳ちゃんと千枝ちゃんで受ける印象が違う気がする。やっぱり疲れてるのかな）

千佳「なんかよくわかんないけど、はぁとちゃんずっとちひろさんが心配って言ってたよ！」

千枝「私達が休憩室に来たときも、すっごく優しそうな顔でした！」

心「ふふん！」

ちひろ「この顔がですか……？」

心「優しいのは事実だろ☆」

ちひろ「まぁ、そうですが……」

ちひろ「ところでみんなで編み物ですか？」

千佳「うん！　はぁとちゃんに習ってるの！」

千枝「千枝もです！　心さん、千枝が難しくて出来ない事も教えてくれるので……」

心「二人とも飲み込みが良いから教え甲斐がある☆」

ちひろ「穂乃香ちゃん達も編み物してましたけど、流行ってるんですか？」

心「冬の一大イベントと言えば？」

ちひろ「あぁ、なるほど。プロデューサーさんへのプレゼントなんですね」

千佳「うん！　みんなで作ろうって決めたの！」

千枝「みんなで作ればプロデューサーさんも喜んでくれるかなって」

ちひろ「プロデューサーさんも罪な人ですね」

心「まぁね☆　みんなで作るのは子供組だけみたいだから、穂乃香ちゃん達はまた別かも☆」

ちひろ「ふふっ。それはプロデューサーさんはますますクリスマスが楽しみですね♪」

心「だね☆」

ちひろ「ところで、もうすぐ日も暮れますし、千佳ちゃんと千枝ちゃんはそろそろ帰りましょうね」

千佳「はーい」

千枝「じゃあ、一緒に帰ろうね、千佳ちゃん」

千佳「うん！」

千佳「ちひろさん、はぁとちゃん！　お疲れ様でした！」

ちひろ「はい、お疲れ様です」

心「おつかれー☆　またわかんないとこあったら持ってきてね☆」

千佳「うん！　はぁとちゃん、ありがとう！」

千佳「ばいばーい！」

千枝「じゃあ、お疲れ様でした」

心「また明日ね☆」

ちひろ「お疲れ様です」

ちひろ「子供は無邪気ですねぇ」

心「だねぇ」

心「とこで体調はどう？」

ちひろ「心さんのおかげでしっかり休めたのでもう大丈夫ですよ」

心「そか☆　それは良かった☆」

ちひろ「さて……じゃあ、戻ってお仕事頑張りますかね……」

心「あ、はぁとも行く☆」

ちひろ「？　プロデューサーさんに用事ですか？」

心「うん☆」

◆

Ｐ「あ、お帰りなさい。体調はどうですか？」

ちひろ「もう大丈夫ですよ。ご迷惑おかけしました」

Ｐ「迷惑だなんてそんな。全然大丈夫ですよ」

ちひろ「本当にありがとうございます」

Ｐ「気にしないでください」

ちひろ「じゃあ私も遅れた分を取り返しますね」

心「あー！」

ちひろ「……なんですか。急に大きな声出して」

心「さっすが、プロデューサー♪　もうお仕事終わってるでしょ☆」

Ｐ「え？　……あ、はい！　終わってます！　大丈夫です！」

ちひろ「……」

心「んもぉ～☆　プロデューサーってば、ゆ・う・しゅ・う☆」

Ｐ「いやぁ、それほどでも」

ちひろ「……じゃあこれからご飯でもどうですか？　終わってるんですよね？」

Ｐ「えっ！？　いや、それはその……」

心「ぷ、プロデューサーはこれからはぁととデートだから！」

ちひろ「ほう」

心「ね！？」

Ｐ「そ、そうなんですよー！　いやぁ、ちひろさんとご飯行きたかったんですが、心さんと約束があって！」

ちひろ「……」

心「ちひろちゃんには悪いけど、プロデューサーははぁとが独り占めだから！」

ちひろ「顔赤いですよ。風邪ですか？」

心「ち、ちがわい！」

ちひろ「はぁ……。わかりました。じゃあお二人はデートを楽しんできてください」

ちひろ「私は帰って良いって事なんですよね？」

心「そうそう！　お邪魔虫だから帰って☆」

ちひろ「じゃあ、お言葉に甘えてお先に失礼します」

ちひろ「プロデューサーさん」

Ｐ「はい！　なんでしょうか！」

ちひろ「いつか埋め合わせはしますね」

Ｐ「はい……」

ちひろ「では、お疲れ様でした。お先に失礼します」

心「……」

Ｐ「……」

心「行った？」

Ｐ「行きましたね」

心「バレてたよね？」

Ｐ「たぶん……」

心「ごめんね。はぁとも手伝うから」

Ｐ「あはは、気にしないでください」

心「うん、でもはぁとのせいだから手伝わせて☆　そうすれば少しくらい早く終われるでしょ？」

Ｐ「じゃあ……お願いします」

心「任せて☆」

◆

廊下

ちひろ「はぁ……。今日はたまたまダウンしちゃっただけなのに」

ちひろ「相変わらず二人とも優しいなぁ……」

ちひろ「……お礼も兼ねて明日は何かお菓子でも買って行こうかな」

ちひろ「……ありがとうございます。心さん、プロデューサーさん」

End

以上です。

体調を崩した時って何気ない優しさが嬉しいですよね。

今回のGrooveは金トロ圏内から蹴落とされました。心さんが9秒だからフェス限未央が入れられないのが辛い。
他の娘もポテンシャル解放しないとなぁ……。ティアラ不足……。

では、お読み頂ければ幸いです。