1: 2012/09/20(木) 19:52:07.79 ID:jAq6SyXM0
橘「やぁ絢辻」

絢辻「はっ?」

橘「今日も委員会か。詞は大変だね」

絢辻「……」ブンッ

ドガッ

橘「痛ッッ!な、なんで!?」

絢辻「なんで?イラッとしたからよ」

5: 2012/09/20(木) 20:02:10.51 ID:jAq6SyXM0
橘「ぼ、僕は呼び捨てにしただけじゃないか!」

絢辻「そうね」

橘「昨日今日出会った訳でもないのに酷すぎるよ!」

絢辻「確かに少し感情的になりすぎたわね。ごめんなさい」

橘「わかればいいんだよ絢辻」

絢辻「……」ブンッ

ドゴッ!

橘「うわぁぁぁ…今度は蹴りが…!」

10: 2012/09/20(木) 20:10:59.16 ID:jAq6SyXM0
絢辻「あっ。ごめんなさい」

橘「あ、絢辻さんって暴力的だよね…」

絢辻「今頃気づいたの?」

橘「なんで呼び捨てにしちゃいけないの?」

絢辻「私が橘『くん』って呼んでるんだから同じ様に返すのが礼儀だと思うけど?」

15: 2012/09/20(木) 20:16:57.39 ID:jAq6SyXM0
橘「じゃあ絢辻さんが僕を呼び捨てにしてくれたら僕も同じ様にしていいって事だよね?」

絢辻「理屈としては間違ってないわね」

橘「じゃあ今日から僕の事呼び捨てにしていいよ
  橘でも純一でもどっちでもいいからさ」

絢辻「嫌よ。そんなの」

橘「な、なんで?!」

絢辻「嫌なものは嫌。執拗な詮索は嫌われるわよ」

18: 2012/09/20(木) 20:26:48.54 ID:jAq6SyXM0
橘「そ、そんな!」

絢辻「とにかく。何を企んでるのか知らないけど、もう二度と私を呼び捨てにしようなんて考えないことね」

橘「ぼ、僕はただ絢辻さんともっと仲良くなりたいだけで…」

絢辻「わかったわね?」

橘「なんだか切ないよそんなの」

絢辻「お返事」

橘「……」

橘「はい…」

25: 2012/09/20(木) 20:35:54.55 ID:jAq6SyXM0
……

梅原「よう大将。元気ないな」

橘「梅原か。ちょっと色々あってね」

梅原「大丈夫か?俺で良ければ相談に乗るが…」

橘「いや、いいんだ梅原。ありがとう(絢辻さんの事は相談できないよな…)」

梅原「そうか。あまり思い悩むんじゃないぞ」

橘「あぁ」

29: 2012/09/20(木) 20:45:03.18 ID:jAq6SyXM0
「絢辻さーん。ここのとこ教えて欲しいんだけど」

絢辻「えぇ。私で良ければ」

「絢辻さん。進路希望アンケート出すの忘れちゃったんだけど…」

絢辻「まだ間に合うから私が提出しておくね」

アリガトー サスガアヤツジサン!

梅原「絢辻さんは朝から大人気だな」

橘「あぁ」

橘「……」

橘「!」

橘「(待てよ…猫かぶってる絢辻さんを呼び捨てにしたらどうなるんだ…?)」

34: 2012/09/20(木) 20:50:47.06 ID:jAq6SyXM0
橘「(とりあえず蹴りが飛んでくる事はないよな。周りの目があるわけだし)」

橘「(やってみる価値はあるな…よし)」

梅原「ん?大将も絢辻さんに用事か?」

橘「あぁちょっとね」

橘「……」ドキドキ

橘「ねぇ詞」

絢辻「…!」

橘「今日の委員会の事なんだけど…」

絢辻「……」

41: 2012/09/20(木) 21:01:19.40 ID:jAq6SyXM0
梅原「(お、俺の耳はどうかしちまったのか…?
   今、大将が絢辻さんを下の名前で…!)」

ザワ…ザワ…

梅原「(一瞬にして教室が凍りついたぞ大将…)」

橘「どうしたの詞?」

絢辻「……」

橘「詞?」

絢辻「も、もう橘くん!いきなり呼び捨てにするからびっくりしちゃったじゃない」

橘「いきなり…?昨日も呼び捨てにしt……ウッ?!」

絢辻「も~からかうのはやめて欲しいな~」ニコニコ

ギュゥゥゥ

橘「(踏んでる…!絢辻さんが僕の足を…!つま先が破壊される!!)」

絢辻「ふふっ。それで?橘『クン』は委員会の話をしにきたのよね?」

橘「(絢辻さんが『クン』のアクセントを異様に強調しているぞ!)」

48: 2012/09/20(木) 21:12:57.82 ID:jAq6SyXM0
橘「(いてて…酷いめにあった…)」

梅原「……」

橘「ん?どうしたんだ梅原。そんな涙目で」

薫「ねぇアンタ」

橘「薫か。なんだ?」

薫「いつからそんなに絢辻さんと仲良くなったのよ」

橘「そんなに仲良く見えるのか?」

薫「当たり前じゃない。女子の中でも絢辻さんを下の名前で
  しかも呼び捨てにしてる人なんていないよ?」

橘「そうなのか。じゃあ僕はそうとうレアなんだな」

薫「なにニヤニヤしてんのよ」

54: 2012/09/20(木) 21:18:59.67 ID:jAq6SyXM0
放課後

橘「(絢辻さんもうきてるかな)」

ガララ

橘「あっ、絢辻さん」

絢辻「……」ツカツカ

橘「ちょ、ちょっと絢辻さん?!」

絢辻「…どういうつもり?」

橘「(顔が…顔が近すぎる…!)」

77: 2012/09/20(木) 22:01:41.35 ID:jAq6SyXM0
絢辻「そんなに私に嫌がらせするのが楽しいの?」

橘「い、嫌がらせなんてそんなつもりは…!」

絢辻「あなたにその気がなくても結果としてそうなってるじゃない」

橘「そうなってるって…?」

絢辻「気がつかなかった?教室の中はあなたと私の噂でもちきりじゃない」

橘「そ、そんな事になってるんだ…でも僕は…」

絢辻「……」

橘「本当に絢辻さんと今より親しい関係になりたいだけで…」

絢辻「それが迷惑だって言ってるの」

橘「!!!」

85: 2012/09/20(木) 22:10:27.38 ID:jAq6SyXM0
絢辻「……」

橘「そん…な…」

絢辻「ごめんなさい…すこし言いすぎたわ
   あなたも変な噂を立てられたら学校で過ごしにくいでしょ?」

絢辻「私が言いたいのは誤解を生む様な言動は控えて欲しいって事。わかるわよね?」

橘「わかったよ絢辻さん…僕のせいでこんな事になって…ごめん」

橘「もう絢辻さんには関わらないようにするよ…委員会も悪いけど他の人を探してほしい…」

絢辻「橘くん?違うの。きっと何か勘違いしてるわ。戻ってきなさい」

橘「さよなら…絢辻さん…」

絢辻「橘くん!待ちなさい!」


BADEND

223: 2012/09/21(金) 09:30:55.96 ID:giBA2fKgO

純一「絢辻さんを呼び捨てにしてみようと思うんだけどどうかな?」

絢辻「は?何言ってるの?頭大丈夫?」

純一「そ、そこまで言わなくても」

絢辻「バカな事を考えてる暇があったら宿題でもやりなさい」

純一「うう…」

224: 2012/09/21(金) 09:36:10.99 ID:giBA2fKgO
純一「なあ美也」

美也「んー?」

純一「女子って男子から呼び捨てにされたくないものなのか?」

美也「そりゃそうだよ。よっぽど仲が良くなきゃ」

純一「そ、そうか」

純一(つまり僕と絢辻さんはまだそこまで仲が良くない…って事なのかな)

美也「じゃあ、まんま肉まん3つね」

純一「え?」

美也「みゃーが相談に乗ったんだから当然だよ」

純一「一言で終わる相談に、まんま肉まん3つは法外すぎるぞ」

美也「じゃあ2つで許してあげる!」

225: 2012/09/21(金) 09:40:15.89 ID:giBA2fKgO
純一「くっ、予定外の出費だよ…」

純一(それにしても仲、仲か……)

森島「あら、キミも今からお昼?」

純一「あ、はい」

森島「じゃあご一緒しちゃおうかしら!」

純一(そういえば、森島先輩とは結構仲が良いような気がするなぁ)

純一「あ、あの」

森島「ん?なぁに?」

純一「先輩のこと、呼び捨てにしてみても良いですか?」

226: 2012/09/21(金) 09:44:13.49 ID:giBA2fKgO
森島「え?ん~……どうしよっかなぁ」

純一「た、試しにで良いので!」

森島「その目には弱いのよね……良いわよ、試しに呼び捨てにしてみて」

純一「は、はい……じゃあ……」

森島「わくわく」

純一「今日も綺麗だね、はるか」

森島「っ!?」ボッ

227: 2012/09/21(金) 09:49:01.41 ID:giBA2fKgO
森島「は、はぃ……」

純一「あ、あの、森島先輩?」

森島「あ、え、えーと~……や、やだなー、名前を呼ぶだけかと思ったのに」

純一「あ、すみません……それだけってのも不自然かと思いまして……」

森島「そ、そんな事ないと思うけど……」

純一「そ、それで、どうでした?僕に呼び捨てにされてみて」

森島「そ、そうね……た、たまには呼び捨てにされても良いかなぁ……って思っちゃった」

裡沙「なん……だと……」ギリッ

229: 2012/09/21(金) 09:58:07.20 ID:giBA2fKgO
純一「紗江」

中多「はうっ!」ドキーン

純一「逢」

七咲「……っ!な、なんですか先輩、まるで恋人みたいな…こ、こい、こいびと……」ブツブツ

純一(普段呼び捨てにしてないけど仲の良い女の子たちを呼び捨てにしてみたけど)

純一(反応は悪くなかったから、やっぱり絢辻さんは、あんまり仲が良くないと思われているのかもなぁ)

純一(はは……なんか寂しいなあ)

塚原「あら橘くん、こんなところで偶然ね」

純一「あぁ、響」

塚原「!?」ボフッ

純一「わあぁぁっ!すみません、間違えました、塚原先輩!」

塚原「きゅ、急に、ど、どうしちゃったのかと思ったわよ……」ドキドキ

純一「いやぁ……ちょっと考えごとをしてまして……」

塚原「そ、そう?」

塚原(この子ったら、本当に……もう……)

231: 2012/09/21(金) 10:02:21.95 ID:giBA2fKgO
純一「梨穂子」

桜井「なぁに~?」

純一「薫」

棚町「ん?どうかした?」

純一「絢辻さん」

絢辻「……」

純一「紗江」

中多「は、はぃっ」カァァ

純一「逢」

七咲「なんですか、先輩?」ポッ

純一「絢辻さん」

絢辻「…………」

235: 2012/09/21(金) 10:05:14.12 ID:giBA2fKgO
純一「はるか」

森島「な、なぁに?」ドキーン

純一「響」

塚原「ば、ばかね……」ドキドキ

純一「絢辻さん」

絢辻「…………」

裡沙「…………」

梅原「最近クラスの雰囲気がやけに重いぜ……」

239: 2012/09/21(金) 10:12:13.21 ID:giBA2fKgO
絢辻「ちょっと橘くん」

純一「は、はい、なんでしょう」

絢辻「ねえ、あなた。最近先輩後輩に関わらず、女子を呼び捨てにして回ってるそうじゃない」

純一「な、なんでそれを!」

絢辻「すごい噂になってるわよ」

純一「そうなの!?……あまり人気のないところを選んでたのに」

絢辻(まぁ、噂なんて嘘だしね)

絢辻「あんまり誤解させるのも良くないし、止めた方が良いんじゃないかしら」

純一「うーん……でも最初は僕から試しにって話しを持ちかけたけど、今では向こうから……」

絢辻「は?」ギロッ

純一「な、なんでもないです」

絢辻「だ、だから、これからは私一人を呼び捨てにしなさいよ」

純一「えっ」

241: 2012/09/21(金) 10:15:53.26 ID:giBA2fKgO
絢辻「か、勘違いしないでよ。これは……これは、そう、校内の風紀のためだし」

絢辻「あんまり変な人がクラスにいたらクラス委員の私の問題にもなるし?」

絢辻「これで泣く子が出たら後味悪いじゃない?」

絢辻「分かるわよね?優しい優しい橘くんならそう思うわよね?」

純一「え、い、いや」

絢辻「思うって言いなさい」

純一「はい、思います」

絢辻「よろしい」ニッコリ

244: 2012/09/21(金) 10:24:12.70 ID:giBA2fKgO
絢辻「じゃあ従順な橘くんにはご褒美をあげます」

純一「」ガタッ

絢辻「私のこと、今、一度だけ呼び捨てで呼ばせてあげる」

純一「え、あぁ、いや、それは別に……」

絢辻「」ズコー

絢辻「な、なんでそこで遠慮するのよ!?」

純一「いやぁ、やっぱり、仲良くならないと、だめかなって」

絢辻(変なところでモラルを発揮するわね、橘くん)

絢辻「あぁ、もう。分かったわよ、分かりました。単刀直入に言ってあげる」

245: 2012/09/21(金) 10:25:30.69 ID:giBA2fKgO
純一「?」

絢辻「……私のことだけ、呼び捨てにしないよ……」

純一「絢辻、さん」

絢辻「もう、かっこつかないわね、橘くん。そこは、詞、でしょ」

純一「……うん、ありがとう、詞」

絢辻「……!……はい、どういたしまして」

純一「あはは……なんだか照れくさいね」

絢辻「ふ、ふん……ばか……///」

裡沙「………………」

246: 2012/09/21(金) 10:35:28.55 ID:giBA2fKgO
ざわ…ざわ…

純一「おはよう、梅原。なんだか騒がしいけどなんかあった?」

梅原「お、おお、大将、待ってたぜ」

純一「待ってた……って僕を?」

梅原「ああ、実はよ、昨日大将と絢辻さんが仲睦まじく名前を呼び捨てにしてたって噂でもちきりなんだ」

純一「!?」

梅原「どうなんだ?どうなんだよそこんとこ!大将まさか……あの絢辻さんと……」

マサ「事と次第によっちゃぁ……」

ケン「あぁ……ちょいとばかし……な……」

247: 2012/09/21(金) 10:37:08.50 ID:giBA2fKgO
純一「ひ、1人に決めたのに結局噂になっちゃうなんてこんなのおかしいよ!」

梅原「そ、それはまさか……た、大将~!?」

ケン「追えーっ」

マサ「逃がすか!」

絢辻「……ばーか」

梅原「待て、大将~~!」

裡沙(ふふ……これで絢辻さんとの仲もダメになるよね!ミッションコンプリートだよ!)

絢辻「さて、こっちは女同士でお話ししましょうか」

絢辻「……2年C組、上崎裡沙さん……?」ニヤァ

裡沙「」


248: 2012/09/21(金) 10:39:54.74 ID:HginTTmp0

引用元: 橘「絢辻さんを呼び捨てにしてみよう」