希「い、いや！こ、答え合わせに必要なんよ！」ｱｾｱｾ

にこ「そっそうよ！間違ったまま覚えていたら大変じゃない」ｱｾｱｾ

絵里「それならちゃんと、私の話を聞いて」

「はい」

絵里「デートも次で３回目だし、そろそろいいわよね？ね？」ﾜｸﾜｸ

希「そろそろというか、少し遅いぐらいなんと違うかな」

絵里「えっ、本当に？」ﾁﾗｯ

にこ「人それぞれ、マイペースでいいのよ」

絵里「そう、よね」ﾎｯ

にこ「でも絵里だけだと５年経っても、自然にキスは出来なさそう。そこでにこ達は考えたわ」

希「いつも宿題見せてもらってるから、そろそろ役に立たんとね」ﾆｺﾆｺ

絵里「希、にこ･･････」ｳﾙｳﾙ

にこ「題して、絵里と穂乃果のチュッチュッ大作戦！よ」ﾃﾚﾃﾚ

絵里「ハラショー！」ｷﾗｷﾗ

希「うっ」（適当に考えたのに、期待の眼差しが）ｱｾｱｾ

にこ「ぐっ」（３０分で考えたなんて言えないわね）ｱｾｱｾ

　
希「ウチらが話し合った結果、えりちか穂乃果ちゃんのデートプランに問題があるんじゃないかという結論に至ったのだ」

絵里「･･････本当に？」

希「本当に」

にこ「友達から恋人になったカップルの内、デートと遊びの違いを感じてる子はすごく少ないの！」

絵里「だいたい何パーセントぐらいなの？」

にこ「す、すっごく少ないの！」ｱｾｱｾ

希「えりちのデートプランって、遊園地だけ行ったりショッピングだけ行ったりやと思うんよ」

絵里「ど、どうしてそれを」

にこ「はぁ･･････にこが勧めた雑誌、覚えてるわよね？」

絵里「ここにあるわ」ｺﾞｿｺﾞｿ

希（メッチャ付箋貼ってある）ｼﾞｰ

にこ「気持ちは分かるけど、この通りにするだけじゃダメよ？」

絵里「えっ」ﾋﾞｸｯ

希「それはあくまで参考書やから」

絵里「で、でも、これはベタだって！万人受けするってにこが」ｱｾｱｾ

　
にこ「お互い初めてのデートには、ね」
にこ「これからもデートは何回もするんだから、そろそろ自分で考えないとマズイわよ」

絵里「ま、マズイって･･････」

希「穂乃果ちゃんがデートをつまらないと思い始めると、恋も冷めてしまうかも」ﾆﾔﾆﾔ

絵里「･･････」ｶﾞｸｶﾞｸ
絵里「か、考える！今すぐに考えるわ！えーと、えーっと」ｱｾｱｾ

にこ「まあまあ、落ちつきなさい」ﾆｺﾆｺ

絵里「で、でも穂乃果が」ｳﾙｳﾙ

希「そんなえりちの為に、ちゃんと（３０分で）考えてきたんよ」

絵里「え？」

にこ「にこと希が（３０分で）作ったデートプランよ」ﾊﾟｻｯ

絵里「あ、ありがとう･･････本当にありがとう」ｳﾙｳﾙ

にこ「ちょ、ちょっと！泣くことないでしょ」ｱｾｱｾ

希「でもなぁ、１つだけ問題があるんよ」

絵里「もん、だい？」ﾌｷﾌｷ

にこ「絵里自身が考えたワケではないから、どこかでボロが出るかもしれない」

希「えりちは基本的には完璧やけど、たまにポンコツになるから」ﾆｺﾆｺ

絵里「そ、そんなこと！」ｶﾞﾀｯ

　
にこ「ポンコツかどうかは置いておいて、不安要素は１つでも消しておくべきよ」

絵里「これを全部覚えれば良いって事よね？」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

希「それでもいいんやけど、大変やと思うよ」

絵里「結構細かく書いてあるのね」ｱｾｱｾ

にこ「だから予行練習をするわ」

絵里「えっ」

希「百聞は一見にしかず、やよ」ﾆｺﾆｺ

絵里「ほ、穂乃果と？」

にこ「練習だって言ってるでしょ」

絵里「誰と？」

「･･････」

　

ー次の日曜日ー
　

にこ「ごっめ～んっ、ま～った～？」ﾃｸﾃｸ

絵里「１０分も遅刻してるわよ」ﾑｽｯ

希「はい、減点やね」ｶｷｶｷ

にこ「穂乃果にも同じこと言ってるんじゃないでしょうね？」ｷﾞﾛｯ

絵里「いいえ、穂乃果とは待ち合わせないもの」

「えっ」

絵里「え？」ｷｮﾄﾝ

希「待ち合わせしないってどういう事？」

絵里「家までお迎えに行ってる」ｷﾘｯ

希「なんか違うことない？」

絵里「そうかしら？」

にこ「幼稚園児じゃないんだから、待ち合わせぐらいしなさいよ」ﾊｧ

　
絵里「最初は待ち合わせを提案したんだけど、穂乃果が起きられる自信がないからって」

にこ「穂乃果･･････」

絵里「デートが楽しみで眠れないんだって、可愛いわよねー」ｳｯﾄﾘ

希「穂乃果ちゃんらしいね」

にこ「遅刻してもいいから待ち合わせをする！いーい？」

絵里「はい」

にこ「そして相手の服装を褒める！」

絵里「はい」ﾒﾓﾒﾓ

にこ「練習として、にこの服装を褒めてみなさい」

絵里「･･････か、可愛いわね。うん」ﾃﾚﾃﾚ
絵里「その、ヒラヒラのスカートとか、ピンクの髪留めが、なんというか、とっても」ｱｾｱｾ

にこ「下手ッ！下手すぎるわよ！」ﾀﾞﾝﾀﾞﾝｯ

絵里「あっ！もしかして髪切った？」ﾆｺﾆｺ

にこ「切ってない！」ﾀﾞﾝｯ

希「変に褒めようとするからおかしくなるんよ。えりちが思った事を言うのがいいんと違う？」

絵里「思ったこと･･････」ｼﾞｰ

にこ「･･････」

　
絵里「にこらしくて、とても可愛いわ」ﾆｯｺﾘ

にこ「ど、どのあたりが？」ﾃﾚﾃﾚ

絵里「黒のニーハイソックスと淡いピンクのミニスカートとのコントラストがハラショーね」
絵里「そしてその間にある白い太ももが本当に･･････」ｼﾞｰ

希「ちょっと変態っぽいけど、そんな感じでいいんやない？」

にこ「ま、まあまあね」///

希「穂乃果ちゃんも単純やから、喜んでくれると思うよ」ﾆｺﾆｺ

絵里「なかなか難しいわね･･････あれ？」

にこ「どうしたの？」

絵里「片方、結び忘れてるわよ？」ﾁｮﾝﾁｮﾝ

にこ「サイドテール！にこがそんなマヌケな事するワケないでしょ」ﾌﾝｯ

希「あはは･･････穂乃果ちゃんに近づけるためにやね」

絵里「私の為に？」

にこ「･･････そうよ」ﾌﾟｲｯ

絵里「ふふっ」

希「そろそろ行こっか」

絵里「そうね」ﾃｸﾃｸ

　
にこ「ストップ！ストーップ」

希「はい、減点」ｶｷｶｷ

絵里「どうして？！」ﾋﾞｸｯ

にこ「デートなのよ？どうして１人で歩いて行っちゃうのよ」

希「穂乃果ちゃんと手は繋がんの？」

絵里「繋ぐわよ。でも最初はこう、テンションがまだ低いじゃない？」ｱｾｱｾ
絵里「テンションが上がってきたら、パシッとさりげなく」ｷﾞｭｯ

「･･････」

絵里「カッコイイでしょ？」ｷﾘｯ

にこ「ダサい」

絵里「･･････」ｼｭﾝ

希「こういうのは、直接言ってもいいんよ？」

絵里「雑誌には、さりげない気遣いに女の子はキュンってくるって」

にこ「ケースバイケースよ」
にこ「希、見本を見せてあげなさい」

希「はーい」
希「えりち、手ぇつなご？」ﾆｺﾆｺ

絵里「は、はい」ﾃﾚﾃﾚ

ｷﾞｭｯ

にこ「嬉しいでしょ？」

絵里「･･････ええ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

　
希「じゃあ、２人とも手ぇつないで行こっか」

にこ「え？」

希「どうしたん？」

にこ「いや、練習なんだからそこまでする必要は」ｱｾｱｾ

絵里「にこ、手を出して」

にこ「なんであんたもやる気だしてんのよ」ｼﾞﾄｰ

絵里「早く行くわよ」ｷﾞｭｯ

にこ「あっ」ﾃﾚﾃﾚ

希「･･････」ﾆﾔﾆﾔ

　

ー道中ー
　

ﾃｸﾃｸ

希「減点やね」ｶｷｶｷ

絵里「は？」

にこ「え？」

希「え？」

絵里「なにがダメだったの？」ﾁﾗｯ

にこ「なにかしら？」ﾁﾗｯ

希「えっ！だ、だって！えりちがエスコートするんやんな？」

にこ「そうね」

希「それなら車道側を歩いてあげんと」

にこ「あー」

絵里「どういうこと？」

にこ「走ってる車の近くは危ないでしょ？だから車道側を歩いてあげると、守られてるって感じがするのよ」

絵里「･･････そういうものかしら」ｳｰﾝ

　
にこ「でも、そんなの今時の女子高生は知らないわよ？」

希「えー」ｼｭﾝ

にこ「それに相手は穂乃果よ？絶対に気付かないから」

絵里「希も意外と乙女なのね」ﾌﾌｯ

希「意外ってなに？！ウチかって女の子やよっ」ﾑｽｯ

にこ「余裕があればって事でいいんじゃない」
にこ「それよりも大事なのは歩行速度よ」

にこ「緊張して知らない間に早足になる人はたくさんいるから、気を付けなさい」

絵里「早足に注意っと」ﾒﾓﾒﾓ

希「ほら、早く次いこ！」ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ
　

にこ「ああいう風にならないようにね」

絵里「参考になるわ」

　

ー水族館ー
　

希「わぁ～っ」ｷｮﾛｷｮﾛ

にこ「遊園地、動物園、水族館は定番よね」

絵里「イベントとかもあって、何度来ても楽しいわ」

にこ「今日も何かやってるんじゃない？」

絵里「何かパンフに書いてあったような」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

にこ「演出もロマンチックよねぇ」ｳｯﾄﾘ

希「クラゲさんのライトアップとか綺麗やもんね」

絵里「ここで注意することは、なにかしら？」

にこ「マナーは守りなさい。たまに水槽を叩いたり、雰囲気を壊す人がいるわ」ﾁﾗｯ

希「わぁ～、このカニさんは身が詰まってそうやね」
希「ちょっとだけ動いてくれんかなー」ﾄﾝﾄﾝ

ｽﾊﾟｰﾝ

希「いたっ？！」ﾋﾞｸｯ

にこ「穂乃果がそういう事を言ったら、そっと注意してあげなさい」

絵里「分かった」

希「ウチにも優しくして！」

　

ーレストランー
　

絵里「水族館に併設されているなんて、珍しいレストランね」

にこ「たまにはね」

希「でも穂乃果ちゃんやと、こういう雰囲気は少し窮屈かもしれへんよ？」

絵里「そうね･･････ならどうしてココを選んだの？」

希「･･････」ﾁﾗｯ

にこ「にこが来たかったから」ﾎﾞｿｯ

絵里「･･････」ｼﾞﾄｰ

にこ「穂乃果が大人になってから来るのもいいんじゃない？」ｱｾｱｾ

絵里「･･････そうね」

希「お肉と野菜ばっかりやね」

にこ「うどんならあるわよ」

　

ーショッピングー
　

にこ「まずはこのお店よ」

絵里「雑貨屋さん？」

にこ「穂乃果って洋服選びとか、アクセサリーショップって柄じゃないでしょ？」
にこ「ここは輸入雑貨も置いてるし、見てるだけでも楽しめるハズよ」

絵里「本当にいろいろあるのね」ｷｮﾛｷｮﾛ

にこ「通路が狭いから、ぶつけないように気を付けるのよ」

絵里「ところで希は？」

にこ「なんか魚が食べたくなったからって帰った」

絵里「･･････相変わらずマイペースというか、スピリチュアルな子ね」

にこ「友達に遠慮しないっていうのは、心許してるって事でしょ？」

絵里「そうだと嬉しいけれど」ﾆｺﾆｺ

にこ「さっ、見て周りましょ」ﾃｸﾃｸ

絵里「ええ」ﾃｸﾃｸ

　

ー夕方・道中ー
　

にこ「思ってたよりいいんじゃない？」

絵里「にこに褒められると自信になるわ」ﾌﾌｯ

にこ「えーっと、次はどこに行くんだったっけ？」

絵里「この近くにある公園ね」

にこ「分かってるじゃない」

絵里「行きましょうか」ｷﾞｭｯ

にこ「･･････ええ」ｷﾞｭｯ
　

「･･････」

　

ー公園ー
　

にこ「緑も多いし、ベンチもあるし、人もまばら」

絵里「カップルもちらほら」ﾁﾗｯﾁﾗｯ

にこ「そういうスポットだと思えば、キスもしやすいでしょ？」

絵里「ええ、そう･･････え？」

にこ「どうしたの？」ｷｮﾄﾝ

絵里「き、きききキスッ？！」ﾋﾞｸｯ

にこ「そうよ」
にこ「というか、その為のデートプランでしょ。忘れてたの？」

絵里「ダメ出しばかりされてたから、ただのデート指南だとばかり」ｱｾｱｾ

にこ「あんたが最初に、キスするにはどうすればいいのかって訊いてきたんでしょ」ﾊｧ

絵里「そ、そうだったわね」ﾃﾚﾃﾚ

にこ「なに照れてんのよ」ｼﾞﾄｰ

絵里「えっ、だ、だってその」///

にこ「ほら、そこのベンチに座りましょ」ﾃｸﾃｸ

絵里「は、はい！」ﾋﾞｸｯ

　
絵里「･･････」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「･･････」

絵里（どどど、どうしたら）ｱｾｱｾ
絵里（あっ！私が困ってたらにこがアドバイスしてくれるわよね）ﾎｯ

にこ「ここからにこは何も言わない。自分で考えて行動しなさい」

絵里「えっ」

にこ「最後にどこがダメだったか、どうすれば良かったのかだけ伝えるわ」

絵里（ヤバイ、どうしよう）ｸﾞﾙｸﾞﾙ

にこ「･･････」

絵里「きき、きょ今日は楽しかった、かしら？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「うん！とっても楽しかったにこぉ♡」ﾆｺﾆｺ

絵里「そそ、それは良かったわ」ｱｾｱｾ

にこ「･･････」（なにをそんなに焦ってるのよ）ﾁﾗｯ

絵里「どどこが１番楽しかった？」

にこ「えーっとぉ、イルカさんが可愛かったからぁ、水族館かなぁ？また連れて行ってねっ♡」

絵里「え、ええ！任せて！」ﾆｺﾆｺ

にこ「･･････」（私も楽しかったとか、次は別の水族館に行こうとか話を広げなさいよ）

　
絵里「わ、私たちが付き合い始めて、もうすぐ２ヶ月ね」///

にこ「そうね」（そうなんだ）

絵里「ね？だからそろそろ」ｶﾞｼｯ

にこ「えっ」（ご、強引過ぎよ、減点ね）ﾋﾞｸｯ

絵里「いい、のよね？穂乃果」ｳｯﾄﾘ

にこ「！？」
にこ「ちょちょっと！絵里ッ！ストップストップ！」ｶﾞｼｯ

絵里「そんなに恥ずかしがらないで。私も初めてだから、一緒に経験していきましょ？」ﾝｰ

にこ「私は穂乃果じゃない！目を覚ましなさい」ﾋﾞｼｯ

絵里「･･････あっ」

にこ「正気に戻った？」

絵里「え、ええ。ごめんなさい」ﾍﾟｺﾘ

にこ「言いたい事はいろいろあるけれど、歩きながら話すわ」ﾃｸﾃｸ

絵里「はい」ｼｭﾝ

　

ーーー
　

ﾃｸﾃｸ

にこ「ちゃんと分かった？」

絵里「はい、参考になります」ﾒﾓﾒﾓ

にこ「前にも言ったと思うけど、雰囲気が良ければ自然とキスする流れになるの」
にこ「ああいう強引な持っていき方は、好かれない可能性が大よ」

絵里「そうは言うけど、実際どうすればいいのか」ｼｭﾝ

にこ「部室でキスしようとしてた時があったでしょ？」

絵里「念願のファーストキスをにこに邪魔された時ね」ﾁﾗｯ

にこ「･･････あの時は、ちゃんと雰囲気ができてたんじゃない？」

絵里「言われてみれば」ｳｰﾝ

にこ「でしょ？あの時の感じを思い出しなさい」

絵里「ありがとう、にこ」ﾆｺﾆｺ

にこ「べ、別に！いつもノート見せてもらってるから、これでチャラよ」ﾌﾟｲｯ

絵里「あっ、こっちの方が近道よ」ｸﾞｲｯ

ｷﾞｭｯ

にこ「家まで送ってくれるの？」

絵里「当たり前でしょ」ｷﾘｯ

にこ「よ、よく分かってるじゃない」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

絵里「ふふっ」ﾃｸﾃｸ

　
にこ「あ、あの、絵里？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

絵里「どうしたの？」ﾆｺﾆｺ

にこ「こ、このへんって」

絵里「近道よ」

にこ「いや、近道だったとしても･･････ホテル街はダメでしょ！」

絵里「もう暗くなってきてたから、早く家に着いた方がいいかと思って」

にこ「本当にぃ～？」ｼﾞﾄｰ

絵里「な、なによ」ｱｾｱｾ

にこ「なにか下心があって、ここを通ったんじゃないでしょうね？」

絵里「まさか」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「はぁ･･････とりあえず早く通り抜けちゃいましょ」ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ

絵里「あっ、ちょ、にこ！まっ」

ｽﾃｰﾝ

絵里「いったぁ」

にこ「もう、なにしてるのよ」ｽｯ

絵里「ありがとう」ｷﾞｭｯ

　
にこ「どうしたの？早く立ち上がりなさい」ｷｮﾄﾝ

絵里「ごめんなさい、足を挫いてしまったみたい」

にこ「･･････」ｼﾞﾄｰ

絵里「あっ、ちょうど良い所に休憩所が」ﾁﾗｯ

ﾀﾞｯ

絵里「にこ、どこに行くの？」ｷﾞｭｯ

にこ「離して！離しなさいよ！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

絵里「歩けない健気でか弱い女の子を置いて行く気？」ｼﾞﾄｰ

にこ「こんな三文芝居までして、にこをホテルに連れ込もうとする奴はか弱くないわよ！」

絵里「ねっ、ちょっとだけだから！少しだけ！」

にこ「ダメに決まってるでしょ！？なに考えてるの！」

絵里「そう！練習よ、練習だから！」

にこ「練習だろうと訓練だろうと、中に入っちゃアウトなのよっ！」

絵里「なにもしないって約束するわ！うん、なにもしない」

にこ「･･････」

絵里「ちょっと下着見せてもらうだけ、ホントそれだけだから」ﾆｺﾆｺ

にこ「･･････」ｳﾙｳﾙ

絵里「ね？」

にこ「おまわりさあああんっ！」

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

　

ー翌日・理事長室ー
　

絵里「失礼します」ﾍﾟｺﾘ

ﾊﾞﾀﾝ

絵里「はぁ」

にこ「溜息つきたいのはにこの方だから」

希「あまり大事にならんくて良かったやん」ﾆｺﾆｺ

にこ「理事長室に呼び出しなんて、十分大事じゃない」ﾊｧ

絵里「反省分だけで済んだのは幸いよね」

にこ「なんでにこまで」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

　

ー土曜日・絵里の部屋ー
　

絵里「明日、ついに本番を迎えるワケだけど」

希「このお菓子おいしいね」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

にこ「にこの分も置いときなさいよ」ｶｷｶｷ

絵里「聞いて」

にこ「忙しいから無理。誰かさんのせいでね」ﾁﾗｯ

絵里「･･････」ﾄﾞｷｯ

希「珍しく宿題出んかったのに、不運やなー」ﾆﾔﾆﾔ

にこ「ニヤついてないで手伝いなさいよ」

希「なにをすればいいん？」ｷｮﾄﾝ

にこ「漢字間違えてないとか、文法がおかしくないとか」ｶｷｶｷ

希「ウチに頼っても間違いが増えるだけやと思うけど」

にこ「･･････」ﾁﾗｯ

絵里「･･････」ﾆｺﾆｺ

にこ「ふ、ふん！」ﾌﾟｲｯ

絵里「･･････」ｼｭﾝ

　
希「えりちはもう書いたん？」

絵里「すでに提出済みよ」ｷﾘｯ

にこ「なんでこんな奴の頭が良いのよ･･････」ﾑｽｯ

絵里「明日の話は後にして、とりあえずにこの反省分を終わらせましょうか」ﾆｺﾆｺ

希「いいん？」

絵里「私にも責任があるし、放っておけないわ」

にこ「･･････いらない」

希「もぉ、素直やないんやから」

絵里「提出期限は月曜日でしょ？」

にこ「･･････」

希「手伝ってもらえばいいのに」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

にこ「･･････しょうがないわね」ﾎﾞｿｯ

絵里「ふふっ。お菓子でも食べながら、ゆっくりやっていきましょ」ﾆｺﾆｺ

にこ「･･････」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

　
希「終わったー」ｺﾞﾛﾝ

にこ「あんたは何もしてないでしょ」ｼﾞﾄｯ

絵里「もう相談している時間はなさそうね」ﾁﾗｯ

希「よかったん？」

絵里「先週、２人に教えてもらったことをフル活用すればなんとかなるわよ」ﾆｺﾆｺ

にこ「そっ。それなら私たちは帰るわね」ｺﾞｿｺﾞｿ

希「あっ、ちょっと待って」ｺﾞｿｺﾞｿ

にこ「お菓子おいしかったわ。ありがと」ﾎﾞｿｯ

絵里「どういたしまして」ﾆｺﾆｺ

希「次は紅茶も用意しといてなー」

絵里「ロシアンティーで良ければ」

　

ー帰り道ー
　

にこ「･･････」ﾃｸﾃｸ

希「･･････まだ怒ってるん？」ﾃｸﾃｸ

にこ「怒ってない」

希「それなら、ちょっとぐらい相談に乗ってあげても」

にこ「絵里がいいって言ってるんだから、無理に聞く事もないでしょ」

希「それはそうかもしれんけど」

にこ「希は明日ヒマよね？」ﾁﾗｯ

希「ううん、忙しい」

にこ「なにか用事？」ｷｮﾄﾝ

希「テレビ観たり、ゴロゴロしたり、お菓子食べたり、おうどんさん食べたり」

にこ「１０時に家に行くから」ﾎﾞｿｯ

希「いや、あの、ウチ忙しい」ｱｾｱｾ

にこ「絵里のデート、気になるでしょ？」

　

ー翌日・駅前ー
　

絵里（穂乃果の服装を褒める、穂乃果の服装を褒める）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
絵里（もうすぐ約束の時間ね）

ﾋﾟﾋﾟｯﾋﾟﾋﾟｯ

絵里（ん？）ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

にこ：まずは焦らないこと、落ち着きなさい。

絵里「ありがとう、にこ」ﾌﾌｯ
　

ー１０分後ー
　

絵里（でもそんなこと言われても）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「はぁはぁ、お待たせ！」ﾆｯｺﾘ

絵里「ぜ、全然待ってないわ」///

穂乃果「えへへ、ありがと♪」

絵里（可愛すぎる）ﾃﾞﾚﾃﾞﾚ

穂乃果「絵里ちゃん？」ｷｮﾄﾝ

　
絵里「あ、あっ、えっと」ｼﾞｰ

穂乃果「ん？」

絵里（可愛すぎて直視できない）ﾄﾞｸﾄﾞｸ
絵里（お、落ち着くのよエリーチカ！にこも落ち着けば出来るって応援してくれてるじゃない）

絵里「そっその、今日はすごく可愛いわね」///
絵里（なにやってるの！これじゃあ普段が可愛くないみたいに聞こえるわよ）ｱｾｱｾ

穂乃果「ホント？！似合ってる？」ｸﾙﾘ

ﾌﾜｯ

絵里（あっ、ほのかに良い香りが）ｽﾝｽﾝ
絵里「とってもハラショーよ！いつもよりも大人っぽく見えるわ」ｷﾘｯ

穂乃果「良かったよー」ﾎｯ
穂乃果「こと･･････お、お友達に選ぶのを手伝ってもらったんだけど、こういうシックな服って着た事ないから似合ってるか不安で」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

絵里「ええ、本当に」ｼﾞｰ

穂乃果「今日は水族館に行くんだよね！早く行こ！」ﾃｸﾃｸ

絵里「あっ、待って！」（手を繋がないと）ｱｾｱｾ

穂乃果「ほらほら、置いて行っちゃうよー」ﾃｸﾃｸ

　

ー水族館ー
　

穂乃果「わぁ～っ、綺麗だねー」ｷｮﾛｷｮﾛ

絵里「･･････」（どうしよう、繋ぎ損ねてしまったわ）ｼｭﾝ

穂乃果「･･････」ﾁﾗｯ

絵里（前の方法はダサいって言われたし、どのタイミングで繋げば）ｱｾｱｾ

穂乃果「ごめんね、穂乃果ばっかりはしゃいじゃって」ｱｾｱｾ

絵里「えっ、あっ、そそんなことないわ！私も楽しいわよ」ｱｾｱｾ

穂乃果「あっ、あっちの方も見てみようよ」ﾃｸﾃｸ

絵里「はぁ･･････！」（にこにメールで訊けばいいじゃない！）

ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ
　

穂乃果「あれ、絵里ちゃん？」ｷｮﾛｷｮﾛ
穂乃果（スマホいじってる･･････）ｼｭﾝ
　

絵里：穂乃果と手を繋げていないまま水族館に来てしまったわ。どうやって手を繋げばいいのよ！

絵里「よし」ﾎﾟﾁｯ
　

穂乃果「お、おーい、絵里ちゃーん」ﾌﾘﾌﾘ

絵里「ごめんなさい、いま行くわ」ﾃｸﾃｸ

　
穂乃果「見て見て！伊勢海老だよ！」ﾆｺﾆｺ

絵里「エビの王様の風貌ね」

穂乃果「私、生きてる伊勢海老って初めて見たかも」ｼﾞｰ

絵里「だいたいが調理されてしまっているものね」

穂乃果「この子も食べられちゃうのかなー」ｼｭﾝ

絵里「さすがに飼育されてる生き物は、食べないと思うけど」ｱｾｱｾ

穂乃果「そっか！君は幸運だねー」

絵里「そうかしら？」

穂乃果「え？」ｷｮﾄﾝ

絵里「敵がいない水槽は楽かもしれないけど、一生をこの中で過ごすのかと思うと可哀想よ」

穂乃果「うーん、たしかに」

絵里「たくさんの敵がいても、大きな海の方が幸せなんじゃないかって」

穂乃果「･･････そうかも、しれないね」ｼﾝﾐﾘ

絵里「･･････」（カッコイイこと言おうと思ったら、すごい変な空気になってしまった）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

「こちらふれあいコーナーになっておりまーす！」

絵里「！！」（あ、あれは･･････）ﾋﾞｸｯ

　
穂乃果「ふれあいコーナー？」ｷｮﾄﾝ

絵里「ほ、穂乃果？あっちにも楽しそうな生き物が」ｱｾｱｾ

「ナマコを触ってみたい方、いらっしゃいませんかー？」

穂乃果「ねえねえ！行ってみようよ！」

絵里「えっでも」

穂乃果「えー、ダメなのー？」ｼｭﾝ

絵里「･･････い、行きましょう」

穂乃果「わーい！」ﾃｸﾃｸ

　
ｶﾞﾔｶﾞﾔ

穂乃果「おぉー！」

”水槽いっぱいのナマコ”

絵里「うっ」ﾋﾞｸｯ

穂乃果「コレ、触ってもいいんですか？！」

「はい、どうぞ」ﾆｺﾆｺ

穂乃果「うーん、どうやって持てば」

「水に手を入れて、下の方からゆっくりと持ち上げてくださいね」ﾆｺﾆｺ

穂乃果「ゆっくりと、下の方から」ｵｿﾙｵｿﾙ

絵里「き、気を付けて」ｱｾｱｾ

「動きの速い生き物じゃないですから、大丈夫ですよ」

穂乃果「お、おー」ｿﾞﾜｿﾞﾜ

絵里「大丈夫？毒とか出してない？」ｱｾｱｾ

穂乃果「なんかね、ブニブニしてる」
穂乃果「絵里ちゃんも触ってみる？」

絵里「えっ！？」ﾋﾞｸｯ

　
「あっ、手渡しはダメです」

穂乃果「ご、ごめんなさい」ｱｾｱｾ

「ナマコに限らず、お魚とかは人肌でもすっごく熱いので、そのままだとヤケドする事もあるんです」

穂乃果「ほぇー、知らなかった」

「だから必ず、水の中に手を入れてから触ってあげてくださいね」ﾆｺﾆｺ
「落としちゃうと、この子もビックリしちゃいますから」

穂乃果「はーい。ナマコちゃん、ありがとねー」ﾁｬﾎﾟﾝ

「そこのお姉さんもどうで･･････あれ？」

絵里「い、いえ！私はその」ｱｾｱｾ

「金髪のお姉さん、先週も来てくれてました？」

絵里「えっ」

穂乃果「そうなの？」ｷｮﾄﾝ

絵里「いやその、それは･･････」ｱｾｱｾ

「あっ」ﾁﾗｯ

穂乃果「ん？」

「あっ、あー、すみません。私の勘違いでした」ﾍﾟｺﾘ

絵里「そ、そうですよね！さっ、次はあっちを見に行きましょ」ﾃｸﾃｸ

穂乃果「あ、う、うん」ﾃｸﾃｸ

　

ーレストランー
　

穂乃果「おー！なんかすごいオシャレ！」

絵里「ふふっ、私のオススメのレストランよ」（にこに教えてもらった所だけど）

穂乃果「なんか大人になった気分♪」ﾙﾝﾙﾝ

絵里「好きな物を頼んでね」ｷﾘｯ

穂乃果「えっ、絵里ちゃんのご馳走？」ｷｮﾄﾝ

絵里「もちろん」ｷﾘｯ

穂乃果「そんな！わ、悪いよ、私も半分出すから」ｱｾｱｾ

絵里「今日はデートなんだからいいのよ。素直に甘えておきなさい」

穂乃果「でもでも、前のデートの時もほとんど絵里ちゃんに出してもらっちゃってたし」ｿﾜｿﾜ

絵里「穂乃果の好きなイチゴパフェもあるわよ」ﾆｺﾆｺ

穂乃果「ホントだ！」ｼﾞｭﾙﾘ
穂乃果（ってダメダメ！絵里ちゃんも高校生なんだから、そんなに余裕ないよね）ｱｾｱｾ

穂乃果「私はミートソースパスタにする！」

絵里「デザートは？」

穂乃果「うーん、お腹いっぱいになっちゃうかもしれないから、あとで頼もっかな」ﾆｺﾆｺ

絵里「そ、そう」

ﾋﾟﾋﾟｯﾋﾟﾋﾟｯ

絵里「！！」
絵里「あっ、ちょちょっとお手洗いに」ｶﾞﾀｯ

穂乃果「いってらっしゃーい」ﾌﾘﾌﾘ

ﾃｸﾃｸ

穂乃果「･･････」ｼﾞｰ

　
絵里（にこからだわ。良かった、これで）ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

にこ：練習でやったようにパシッと繋ぐのよ！少し強引でもいいから

絵里（強引ね･･････ホテル街を歩いた時の感じでいいのかしら）ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

絵里：分かったわ。とりあえずやってみる

絵里（そろそろ穂乃果のところに戻らないと）ｱｾｱｾ

ｶﾞﾁｬ
　

ーーー
　

「ごちそうさまでした」ﾊﾟﾁｯ

穂乃果「おいしかったねー」ﾆｺﾆｺ

絵里「ええ、やっぱりここのクリームパスタは最高ね」ﾆｺﾆｺ

穂乃果「ここにはよく来るの？」

絵里「いえ、先週に･･････」

穂乃果「先週？」

絵里「そ、そう！先週に亜里沙と来たのよ」ｱｾｱｾ

穂乃果「･･････そうなんだ」

絵里（思わず、にことって言いそうに。あぶないあぶない）

絵里「お待ちかねのデザートだけど」

穂乃果「絵里ちゃんも食べる？」

絵里「わ、私はお腹いっぱいだから」ｱｾｱｾ

穂乃果「そっかー。うん、穂乃果もお腹いっぱいだからいいや」ｶﾞﾀｯ

　

ー道中ー
　

絵里「少し暗くなってきたから、て、手を繋いで行きましょ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「あ、う、うん」ｷﾞｭｯ

絵里「ふふっ」（早く行かないと暗くなっちゃう）ﾃｸﾃｸ

穂乃果「あっ！ちょっ、えりちゃ！」

ｽﾞﾃﾞﾝｯ

絵里「ああっ！ご、ごめんなさい！」

穂乃果「いたた」

絵里「だっ大丈夫？どこも怪我とかしてない？」ｱｾｱｾ

穂乃果「うん！大丈夫そう」ﾊﾟｯﾊﾟｯ

絵里「本当にごめんなさい！」ﾍﾟｺﾍﾟｺ

穂乃果「もう大丈夫だから、デートの続きしよ？」ﾆｺﾆｺ

　

ー公園ー
　

穂乃果「公園？」ｷｮﾄﾝ

絵里「今日はたくさん歩いたから、少し休憩していきましょ？」ﾃｸﾃｸ

穂乃果「綺麗な所だねー」ﾃｸﾃｸ

絵里「鳥のさえずりが聞こえてきそうでしょ」ﾆｺﾆｺ

ｶｰｯｶｰｯ

絵里「ひ、昼間だったらきっと可愛い小鳥が」ｱｾｱｾ

穂乃果「もう夕方だもんね。カラスもお家に帰るのかなー」

絵里「家族団欒の時間かしら」ｷｮﾛｷｮﾛ
絵里（どうしよう、どこのベンチもカップルでいっぱいで）

穂乃果「仲良く暮らしてるといいなー」

絵里「そうね･･････」ｷｮﾛｷｮﾛ

穂乃果「･･････カップル、いっぱいだね」ﾁﾗｯ

絵里（このままだと公園を抜けてしまうわ）ｱｾｱｾ

ｽﾀｯ

絵里「穂乃果？」ｷｮﾄﾝ

　
穂乃果「絵里ちゃん･･････ちょっと訊きたい事があるんだけど」ｳﾂﾑｷ

絵里「なに？」（急にどうしたのかしら）

穂乃果「今日連れて行ってもらった所、水族館とかレストランとか雑貨屋さんとか」

絵里「あ、あんまり楽しくなかった？」ｱｾｱｾ

穂乃果「ううん、どこもすごい楽しかったよ！」ﾆｯｺﾘ
穂乃果「でも･･････」ｼｭﾝ

絵里（でも？）

穂乃果「今日行った場所って、もしかして先に誰かと行ってたりしたのかなって」ｳﾂﾑｷ

絵里「えっ」ﾋﾞｸｯ

穂乃果「レストランは亜里沙ちゃんと行ってたんだよね？」ﾁﾗｯ

絵里「え、ええ！」ｱｾｱｾ

穂乃果「水族館も？」

絵里「ああ亜里沙がどうしても行きたいって言うから」ｱｾｱｾ
絵里「急にどうしたの？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「今日の絵里ちゃんは、なんかいつもと違ってて」

絵里（練習の成果が出てるのかしら）ﾎｯ

　
穂乃果「全然寄り道もしなくて、道に迷ったりもしなかったし」
穂乃果「だから、前に誰かと来た事あるコースなのかなーって思って」

絵里「そその少し前に亜里沙と来て、良かったと思ったから」ｱｾｱｾ

穂乃果「雑貨屋さんも？」

絵里「ええ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「この公園も？」

絵里「え、ええ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「ここって、カップルの人気スポットになってるよね？」

絵里「こ、この時間になるとカップルばかりだけど、亜里沙と来た時は、その、昼間だったから家族連れも多くて」ｱｾｱｾ

穂乃果「･･････本当、なんだよ、ね？」

絵里「･･････そうよ」ｽﾞｷｽﾞｷ

穂乃果「分かった」ｺﾞｿｺﾞｿ
穂乃果「渡したい物があるから、少しだけ目を閉じててくれる？」

　
絵里「これでいい？」（ぷ、プレゼント？さっきのお店で買ってたのって）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「･･････」ｶﾞｼｯ

目を瞑っている絵里の真正面に立つと、両肩に手を置いて少しだけかかとを持ち上げる。

絵里「ん？」ｷｮﾄﾝ
　

ﾁｭｯ
　

絵里「･･････えっ」ﾋﾞｸｯ

穂乃果「えへへ！しっかりエスコートしてくれた絵里ちゃんへ、穂乃果からのプレゼントだよ！」ﾃﾚﾃﾚ

絵里「えっ･･････え？」（き、す、した･･････の？）ﾎﾞｰｯ

穂乃果「ほらほら！そろそろ帰らないと真っ暗になっちゃうよー！急げー！」ﾀｯﾀｯﾀｯ

絵里「あっ！ま、待って」ﾀｯﾀｯﾀｯ

　

ー翌日・希の家ー
　

にこ「まったく。体調管理もアイ活の内なのよ？」

希「だからごめんって、昨日から謝ってるやん」

絵里「もう起きて平気？」

希「うん！にこっちがしっかりと看病してくれたから、明日には学校行けると思う」ﾆｺﾆｺ

絵里「風邪だと聞いた時は驚いたわ」

にこ「おバカは風邪引かないって言うしね」ﾆﾔﾆﾔ

希「バカって言わんといて！言うならアホにして」ﾑｽｯ

「･･････」

にこ「せっかく、絵里のデートを尾行する予定だったのに」

希「えりちなら大丈夫やよ！予行練習までしたんやもん」ﾆｺﾆｺ

絵里「そう、ね」

にこ「その様子だと、また･･････」

希「つ、次があるやん」ｱｾｱｾ

絵里「キスは･･････できた」ﾓﾔﾓﾔ

「！！」

　
希「おぉー！ウチは信じとったよ」

にこ「絵里らしくないわね。いつもなら真っ先に報告してきそうなもんだけど」

絵里「そうするつもりだったんだけどね･･････」ｳﾂﾑｷ

希「それでどうどう？どうやったん？」

絵里「どうって？」ｷｮﾄﾝ

希「そんなん決まってるやん！気持ち良かったとか、甘酸っぱいレモン味だったとかイチゴ味だったとか」

にこ「あんたは病人なんだから、少し落ち着きなさい」

希「だってだって！気になるやん」ﾆｺﾆｺ

にこ「そ、それで、どうだったのよ？」ﾁﾗｯ

絵里「んー･･････よく分からなかったわ」ﾓﾔﾓﾔ

「ん？」

希「ファーストキスってそういうもんなん？」

にこ「こればっかりは人それぞれだから、なんとも言えないけど･･････」

絵里「キスってもっとこう、体が電流を駆け巡るほどの衝撃があったり、脳が蕩けるほど気持ち良かったりするんだと思ってたんだけど」

希「そういう表現ってよく聞くけど、実際は違ったん？」

絵里「だから、よく分からないのよ」ﾓﾔﾓﾔ
絵里「一瞬だったからかしら」ﾊｧ

　
にこ「どういう状況だったのよ」

希「あっ、それはウチも気になる」

絵里「えーっと、プレゼントを渡したいからって目を瞑らされて」

「うんうん」

絵里「それで待ってたら、急に肩を掴まれてチュッて」

希「お、おぉー」///

にこ「急だったから、感じる暇もなかったんじゃない？」

絵里「そんな気もするし、そうじゃない気も」ﾓﾔﾓﾔ

にこ「なにか引っ掛かってる事でもあるの？」

絵里「･･････穂乃果に、今日のデートコースは誰かと来たことあるのかって訊かれて」

「えっ」

絵里「亜里沙と来たことあるのよって言っちゃって、引っ込みがつかなくなってしまって」ﾓﾔﾓﾔ

にこ「なんで嘘ついたのよ･･････って言えるハズないわよね」ｳﾂﾑｷ
にこ「もしかして、にこと２人で居ると所を見られたのかも」ｱｾｱｾ

絵里「えっ」ﾋﾞｸｯ

希「あっ！ウチが途中で帰って２人っきりになったから･･････」

　
絵里「で、でも！キスされる直前に訊かれたのよ？疑ってるなら、どうしてキスなんて」

にこ「絵里が嘘をついてないって思ったからじゃない？」
　

穂乃果『･･････本当、なんだよ、ね？』
　

絵里「穂乃果は、信じてくれたのに･･････私は･･････」ｳﾙｳﾙ

にこ「ってマズイじゃない！」ｶﾞﾀｯ
にこ「こんな所で呑気に話してる場合じゃないわ！早く行くわよ！」

絵里「えっ、どこに？」

にこ「穂乃果の家に決まってるでしょ！」ｸﾞｲｯ

絵里「ちょっと！引っ張らないで」ｱｾｱｾ

ｼｰﾝ

希「･･････」（ウチは悪くないやんな？うん･･････たぶん･･････）ｱｾｱｾ
希「寝よ」ｺﾞﾛﾝ

　

ー穂乃果の家ー
　

ｶﾞﾗｯ

にこ「穂乃果ッ！？」

雪穂「にこさん？いらっしゃい」ﾆｺﾆｺ

絵里「はぁはぁ」ﾃｸﾃｸ

雪穂「絵里さんまで･･････買い出しですか？」

にこ「穂乃果は？」ｷｮﾛｷｮﾛ

雪穂「部屋に居ますけど」

にこ「あがらせてもらうわよ」ﾃｸﾃｸ

雪穂「ど、どうぞ」ｱｾｱｾ

絵里「お、お邪魔します」ｱｾｱｾ

　
ｺﾝｺﾝ

穂乃果「ゆきほー？」ﾁﾗｯ

ｶﾞﾗｯ

絵里「こ、こんばんわ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「えっ、ぅ絵里ちゃん？！」ﾋﾞｸｯ

にこ「お邪魔するわよ」

穂乃果「にこちゃんも･･････どうしたの？」

にこ「ごめんなさい！」ﾍﾟｺﾘ

絵里「！！」（あのにこが深々と頭を下げるなんて）
絵里「わ、私も、ごめんなさい」ﾍﾟｺﾘ

穂乃果「どうして謝ってるの？」ｼﾞｰ

にこ「それは、その･･････」ﾁﾗｯ

絵里「･･････私から説明するわ」

穂乃果「･･････」

絵里「き、昨日のデートコース、実は亜里沙とじゃなくてにこと行ってたの」

穂乃果「やっぱり」ﾎﾞｿｯ

絵里「で、でも聞いて！浮気とかにこの事が好きとか、そんなんじゃないの！にこの事なんてこれっぽっちもまったく好きじゃないわ！」

にこ「そこまで言われると傷つくんですけど」ｼｭﾝ

　
絵里「あの時に嘘をついたのは、穂乃果を傷つけたくなくて･･････」
絵里「でも結局、こんな事になってしまって･･････本当にごめんなさい」ﾍﾟｺﾘ

穂乃果「にこちゃんも絵里ちゃんの事は」

にこ「恋愛感情はまったくないし、にこだって恋人がいるもの」

穂乃果「･･････そうなんだ」ﾎﾞｿｯ

にこ「絵里から相談を受けて、デートコースの下見をしてただけ」

穂乃果「本当に下見？しっかりと指絡めて、恋人繋ぎしてたのに？」ｳﾙｳﾙ

にこ「･･････」（やっぱり見ていたのね）ｳﾂﾑｷ

絵里「あっあれは！その、練習で雰囲気を出すために仕方なく」ｱｾｱｾ

穂乃果「絵里ちゃんはズルイよ･･････」ｳﾙｳﾙ
穂乃果「クールで、澄まし顔で穂乃果に嘘つくんだもん！」

穂乃果「絵里ちゃんなら嘘つかないって信じてた･･････にこちゃんと一緒に手を繋いでても、何か理由があるんじゃないかって思ってた」
穂乃果「訊いたらちゃんと答えてくれるって、理由を話してくれるって思ってた。なのに･･････」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

絵里「あ、あの、これ」ｽｯ

穂乃果「･･････ありがと」ﾌｷﾌｷ

にこ「絵里の言葉が信じられないのね」

穂乃果「信じたいけど、嘘かもしれないってどこかで思っちゃう」ｳﾙｳﾙ

絵里「･･････」ｼｭﾝ

　
にこ「絵里は生徒会長だったから、そういう咄嗟の機転というか口先が得意なのよ」
にこ「こうすれば相手を尊重できる、こう言えば角が立たないとかね」

穂乃果「･･････」

にこ「でも、穂乃果を前にすると全然ダメね」ﾊｧ
にこ「すぐに焦るし、デリカシーもないし。嘘ついちゃったのは、焦って訳分からなくなっちゃったのよ、たぶん」

にこ「冷静な絵里なら、常に穂乃果を傷つけない選択ができるもの」
にこ「さっきみたいに、すぐにハンカチを出してあげたりね」

穂乃果「･･････」ﾁﾗｯ

絵里「！！」ﾋﾞｸｯ

にこ「絵里の言葉を信じられないってのは分からなくないけど、穂乃果に対する行動くらいは信じてあげてもいいんじゃない？」
にこ「それだけ。にこは帰るわね」ｽｸｯ

絵里「えっ」ﾋﾞｸｯ

にこ「今回は疑われるような事をして悪かったわ。次からは絶対にしない、それじゃ」ｶﾞﾗｯ

絵里「あっ、じゃじゃあ私も」ｱｾｱｾ

にこ「バカッ。なんであんたまで帰ろうとしてんのよ」ﾋｿﾋｿ

絵里「えっ、だ、だって」ﾋｿﾋｿ

にこ「せっかくにこがフォローしたんだから、穂乃果に行動で示しなさいよ？行動でね」ｳｨﾝｸ

絵里「え、ええ？」ﾎﾟｶﾝ

　
にこ「明日は練習に参加しなさいよ」

ﾊﾞﾀﾝ

にこ「雪穂ちゃん、おまんじゅう欲しいからお店に来てくれる？」

雪穂「あ、あはは･･････お店なら今はお母さんが」ｱｾｱｾ

にこ「や～ん、にこは雪穂ちゃんに包んでもらいたいなぁ～♡」

雪穂「いや、でも」ﾁﾗｯﾁﾗｯ

にこ「いい？３０分ぐらいは穂乃果の部屋に近づいちゃダメよ？」

雪穂「うぅー、分かりました」ﾃｸﾃｸ

にこ「そんなに盗み聞きしたい？」ﾃｸﾃｸ

雪穂「ち、違いますよ！」ｱｾｱｾ
雪穂「昨日帰って来てからずっと部屋に閉じこもってて、朝ご飯も食べてなかったから心配で」ｼｭﾝ

にこ「･･････今日は食べるハズだから、たくさんご飯を用意してあげなさい」

雪穂「絵里さんの分ですか？」

にこ「･･････絵里にそこまでの甲斐性はなさそうね」ﾊｧ

雪穂「？？」ｷｮﾄﾝ

　
希「なに作ってるん？」

にこ「栄養がつくもの。あとお饅頭」ｶﾞｻｯ

希「･･････ありがとうな」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

にこ「別に。日課だから、料理してないと落ち着かないだけよ」

希「にこっちが風邪引いたら、ウチが看病しに行ってあげるね！」

にこ「いらない。あんた何も出来なさそうだし」ﾌﾟｲｯ

希「失礼な！冷却シート貼り替えたり、氷枕の交換ぐらい出来るよ」ﾑｽｯ

にこ「料理は？」ﾁﾗｯ

希「･･････最近は、チンしたら美味しい料理が出来上がるのだ！」ｱｾｱｾ

にこ「そんなんだから風邪引くのよ」ﾊｧ

　

ー翌日・３年教室ー
　

絵里「おはよう」ｶﾞﾀｯ

にこ「おはよう」ﾆﾔﾆﾔ

希「おはよ」ﾆﾔﾆﾔ

絵里「２人ともどうしたの？気持ち悪いニヤケ顔して」

希「だってなー」ﾁﾗｯ

にこ「ねー？」ﾁﾗｯ

絵里「な、なによ」ﾋﾞｸｯ

希「にこっちから聞いたで？あのあと穂乃果ちゃんの家で･･････いやーん」///

にこ「にこの完璧なフォローがあったんだから当然、ね？」

絵里「それはとても感謝してるわ、ありがとう」ﾆｺﾆｺ
絵里「しっかり穂乃果と仲直りできたわ」

希「うんうん！それでそれで？」ﾆｺﾆｺ

にこ「･･････」

　
絵里「だから、ありがとうって」

にこ「待って待って待って、ちょっとこっち来て」ｸﾞｲｯ

希「ウチも行く！」ﾄｺﾄｺ
　

にこ「にこが穂乃果の部屋から出て行くときに言ったわよね？」ﾋｿﾋｿ

絵里「ちゃんと行動で示したわ」ｷﾘｯ

希「ど、どうやって？」ﾋｿﾋｿ
　

絵里「抱きしめた」
　

「･･････」
　

絵里「頭も撫でながら！」
　

「･･････」
　

絵里「穂乃果も抱き返してくれた」ﾆｺﾆｺ
　

にこ「そ、その後は？」
　

絵里「もう遅いからって、家に泊めてもらっただけよ」

「！！」

　
にこ「な、なーんだ、にこの思い過ごしだったのね」ﾎｯ

絵里「なにが？」ｷｮﾄﾝ

希「いや、安心するのはまだ早いよ」
希「一緒にお風呂入ったり、一緒のベットで寝たりは？」

絵里「一緒にお風呂は入らなかったけど、同じベットで寝て」

「･･････」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

絵里「一緒に登校してきたわ」ﾆｺﾆｺ

希「こ、こう、恋人の営み的なモノは？」ｱｾｱｾ

絵里「営み？お店の手伝いはしてないけど」

にこ「キスよ！キスをしたのかって訊いてるのよ！」ﾊﾞﾝｯ

絵里「に、にこ？！」ﾋﾞｸｯ

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

希「に、にこっち！落ち着いて！ここ教室やから」ｱｾｱｾ

にこ「えっ、なに？本当に抱き合っただけなの？！行動で示せって言ったでしょ！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝｯ

絵里「だ、だから抱きしめて」ｱｾｱｾ

にこ「キスしろって言ったのよ！”これで信じられるわよね？”とか”これが私の本当の気持ちよ”とか言って、キスしなさいよ！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝｯ

絵里「それならそう言ってよ！全然分からなかったわよ」ﾑｽｯ

にこ「雰囲気が大事だって何度も言ったでしょっ！」ﾊﾞﾝｯ
にこ「恋人の部屋に２人っきりで！抱きしめ合って！家に泊まって！･･････どうしてそこで終わるのよ！小学生でもキスするシチュエーション！」

絵里「な、泣いてる恋人を前にそんな事できるハズないじゃない！」

にこ「寝込みを襲おうとしたあんたが言うな！」ｽﾊﾟｰﾝ

希「ゴールはまだまだ遠いなー」ﾊｧ
　

おわり

最後までありがとうございました。