1: 2022/07/01(金) 21:02:26.65 ID:b6m3AQHX.net
かのん「れ、恋ちゃん?」

恋「誰が不良債権ですかー!」ズコー

恋「誰がキャストにも呆れられるクソムーブですかー!」ズコー

可可「レンレンが壊れマシタ……」

恋「誰が一人だけもちどる福袋送りですかー!」ズコー

千砂都「恋ちゃん……」

すみれ「やめなさい恋。笑えない自虐は見ていてつらいわ……」

恋「誰が真ん中の埋まらないビンゴですかー!」ズコー

恋「誰が二期生に追いつかれ追い越されですかー!」ズコー

かのん「うう……こんな恋ちゃん見たくないよ……」

4: 2022/07/01(金) 21:09:14.23 ID:b6m3AQHX.net
数日後

可可「大変デスー!」

すみれ「どうしたのよ騒々しいわね」

可可「見てクダサイ! Liella!へのファンレターがたくさん届きマシタヨー!」

かのん「ほんとに!?」

千砂都「わぁすごい量だね。これ全部私たち宛てなんだ……!」

すみれ「ギャラ……ま、これぐらい当然よね。ようやく世間様も私たちのことを認知し始めたみたい」

可可「全体だけでなく、推しメンへのファンレターもいっぱいデス!」

恋「ありがたい話です。Liella!のことを応援してくださる方がこんなにもいらっしゃるだなんて」

恋「かのんさんにクゥクゥさん、千砂都さんにすみれさんと、メンバー宛てのお手紙もたくさん……」

恋「……って誰がファンレター0通ですかー!」ズコー

5: 2022/07/01(金) 21:13:54.57 ID:b6m3AQHX.net
かのん「そんなことないよ! 恋ちゃん宛てのファンレターもちゃんと4つはあるから!」

可可「そうデスヨ! レンレンを応援している人はたくさんいマス!」

恋「果たしてそうでしょうか……?」

恋「わたくしのために文をしたためてくださる方など、いるはずが……」

千砂都「ほら、これ見て! 恋ちゃんへのファンレターだよ!」

恋「えっ……」

7: 2022/07/01(金) 21:24:36.59 ID:b6m3AQHX.net
『恋ちゃんへ♡』
『葉月恋へ』
『Dear恋ちゃん』


恋「~~~っ!!」パァァァ

可可「レンレンが言葉にならない喜びを噛み締めていマス……!」

恋「し、信じられません……。いまだに自分の目を疑っています」

恋「まさか、わたくし宛てに9通もファンレターが届くとは夢にも思いませんでした……!」

千砂都「よかったね、恋ちゃん♪」

恋「はい!」

9: 2022/07/01(金) 21:36:14.05 ID:b6m3AQHX.net
かのん「わあ、クゥクゥちゃんにはファンレター50通ぐらい来て……」

すみれ「ギャラクシーパンチ!」

かのん「い゛だい゛ッ゛!」ドガシャーン

すみれ「かのん! 恋が幸せに浸ってる最中なんだから、水を差すようなこと言わないの」

かのん「ごめんなさい……」

恋「いえ、どうか気になさらないでください」

恋「メンバーの中ではファンレターの数は一番少ないですが……」

恋「わたくしは、わたくしを応援してくださる方がいるのだと知れて、とても嬉しいです♪」

恋「嗚呼、早く家に帰ってこのお手紙達をじっくりと拝読したいものです……!」

可可「レンレン最高の表情デス。ぜひカメラにおさめておきまショー!」

千砂都「こんな恋ちゃんなかなかお目にかかれないもんね。SSRのURだよ!」

かのん「あーでもよかったー。やっぱり恋ちゃん喜んでくれたね」

すみれ「そうね……」

11: 2022/07/01(金) 21:43:44.46 ID:b6m3AQHX.net
葉月邸

恋「はぁ~……」

恋「ふふ。まだお手紙を開けてすらいないのに、嬉しさのあまりくたばってしまいそうです……!」

恋「るんるんるん~♪」

恋「葉月がとるん~♪」

サヤ「おや、今日はやけにゴキゲンですね。お嬢様」

恋「えへ、そうでしょうか~?」

恋「……」ソワソワ

恋「……」チラ

サヤ(あ、訳をたずねて欲しそうな顔をしていますね)

12: 2022/07/01(金) 21:52:01.72 ID:b6m3AQHX.net
サヤ「……お嬢様、何かいいことでもありましたか?」

恋「っ! はい!!」

恋「実はですね、今日Liella!を応援してくださっている方々からのファンレターをいただきまして!」

サヤ「おー」パチパチ

恋「それでですね! なんと! その中に私個人へのファンレターが!」

恋「……なんとなんと、9通もあったんですよ~!」

サヤ「9通も……! たくさん貰えましたね。さすがは恋様です」

恋「それでこれから自室に篭り、そのお手紙を順番に拝読していきたいと思っています」

恋「サヤさん、絶対にわたくしの部屋を覗かないでくださいね? 絶対ですよ!?」

サヤ「はい、承知しました」

サヤ(鶴……?)

13: 2022/07/01(金) 22:02:34.30 ID:b6m3AQHX.net
恋ちゃん部屋

恋(正装に着替え、正座の姿勢で……)

恋「さあ、準備完了です!」

恋「いよいよお手紙のほう、読ませていただきます……」

恋「うう、いざ読むとなると緊張しますね……。一体どんな内容が書き連ねられているのでしょうか?」

恋「まずは……この『パッヘルベル』さんのお手紙から拝読いたします!」


──Ah..I love 恋ちゃん!
ちょっとぬけてて愛らしい
大好きだぜベイベー
ダンスはキレキレ美しい
透きとおる声もいいよね
──All you need is 恋ちゃん!
イチゴみたいなかわいさ
私のハートはイチコロさ
一期一会なんていやだ
ずっと一緒にいようね


恋「……おお、すごいです! 字面から筆者の熱い想いが伝わってきました!」

恋「所々韻を踏んでいて、何かの歌詞のようで面白い文章ですね」

恋「この方もいちごが好きなのでしょうか……? もしお会いする機会があれば、ぜひ語り合いたいですね!」

恋「パッヘルベルさん、ありがとうございます!」

16: 2022/07/01(金) 22:20:17 ID:b6m3AQHX.net
恋「続いては……『Lizun』さんからのファンレターです!」

恋「名前はリーズンと読むんですね、なるほど」

恋「こちらは海外からの留学生の方でしたか。なんだか親近感が湧きますね!」

恋「早速読んでいきます!」


こんにちは!
レンさんだいすきでファンレター書きます
(日本語ちょと変だけどバンガッテ書いてるの許してね)
中国いたころSunny Passionにあこがれスクールアイドル目指しました
今はLiella!だいすきです!レンさんだいすきです!
レンさんはとてもすばらしいの才能です!スクールアイドルにぴたしです!
私はレンさんのイッショケンメーなところもバンガリヤなところもだいすきです
はずかしがりやさんなところはとてもかわいいです
たくさんかわいいのレンさん見たいです!オーエンしてなす!
レンさんはいつも笑顔でいてくださいね


恋「この方は、わたくしのために頑張って日本語で書いてくださったのですね……!」

恋「文字からたくさんの大好きが溢れて……まさに感無量です!」

恋「この方の期待に応えられるよう、わたくしもさらに精進しなけれはなりませんね」ゾイ

19: 2022/07/01(金) 22:33:10 ID:b6m3AQHX.net
恋「続きまして……『ごろーまる』さんからのお便りです」


恋ちゃんすっごくかわいいYO!!!
普段はキリッとしてるのに、たまに見せるゆるんだ表情がもうたまらない!!!
Liella!で一番ダンスが上手で、いつもまじリスペクトしてる!!!
これからも応援してるYO!!!!!


恋「一番上手だなんて、そんなことは……でもありがとうございます」

恋「自身が頑張っていることを褒めていただけるのは嬉しいものですね!」

恋「……おや?」

恋「『つぶらや』さんに『たまき』さん、それに『わっかない』さんからも似たような文面のファンレターがきていますね」

恋「筆跡もどことなく似通っています」

恋「……この4人は兄弟なのでしょうか?」

20: 2022/07/01(金) 22:47:33.23 ID:b6m3AQHX.net
恋「次は……『紫外線』さんからです」


 初めまして。私は紫外線と申します。先日のラブライブ東京予選を拝見し、Liella!の葉月恋さんのパフォーマンスに心奪われてしまいました。それからというもののずっと気持ちがふわふわと浮き足立ち、居ても立っても居られず、気付いたらペンを手に取って机に向かい、こうしてファンレターを書いている次第です。
 まず、私が惹かれたのは、なんといっても葉月恋さんのダンスです。四肢や指の先まで美しく躍動し、5人の中でも一際異彩を放っておりました。恐らく葉月さんが幼少期から培ってきたバレエやフィギュアスケートのスキルがここに活きているのだと、勝手ながら推察しています。私もスクールアイドルをしているので、葉月さんのようなダンスパフォーマンスができるよう日々練習を積み重ねていきたいと思います。
 次に、私が心奪われたのは、その愛くるしいキャラクター性です。ギャップを利用して観衆を魅了するのは、過去数多のスクールアイドルもといショウビズ界隈で行われてきた戦略ですが、葉月恋さんはそのギャップ戦術を無自覚にやってみせたのです。ポテンシャルの高さは底を知らぬ青天井、私は思わず驚嘆していました。
 それから、…………


恋「す、すごいですね……」

恋「この文量で便せん10枚分もつづるとは、とてつもない熱意です……!」

恋「それだけわたくしのことを応援してくださっているということなのですね。嬉しいものです……!」

恋「わたくしの経歴や趣味、日常のささいな癖などもよく調べていらっしゃるようですし……」

恋「少し詳しすぎるような感もありますが……きっとわたくしの思い過ごしですよね?」

22: 2022/07/01(金) 23:06:13.06 ID:b6m3AQHX.net
恋「……ふぅ」

恋「ファンレター9通、すべて読み終えました……!」ノビー

恋「『遠藤』さんや『尾田』さんからのお手紙も、愛が感じられる内容でとても素晴らしかったですね」

恋「こうしてファンの方々の想いを直球でぶつけられると、こんなにも気持ちが昂まるのですね……!」

恋「今までスクールアイドルを頑張ってきてよかったです! Liella!さいこー!」

恋「嗚呼、まだ心がふわふわとしています……」

恋「誰かと今この気持ちを共有したい……」

恋「こんな時は、サヤさんに……」


ガチャ

恋「さ、サヤさん! 何故わたくしの部屋の前に……?」

サヤ「恐らくここに居たほうがよいだろうと思いまして、ずっと待機しておりました」

恋「そ、そうでしたか……」

サヤ「……ファンレターを読んで、いかがでしたか?」

恋「!」

恋「すごかったです! やばかったです! あのですね……」ペラペラ

サヤ(ふふ、これは長くなりそうですね)

サヤ(その分、恋様の喜びに満ちあふれたお顔を堪能できるので申し分ありませんが)

23: 2022/07/01(金) 23:23:47.23 ID:b6m3AQHX.net
翌日

恋「むふふふふ」

かのん「恋ちゃん、なんだか楽しそうだね」

恋「あ、すみません。気を抜くとつい口元がほころんでしまうのです」

千砂都「ねえねえ恋ちゃん。昨日のファンレター、どんなことが書いてあったの?」

恋「え! そ、それは……言えませんっ!」

恋「送ってくださったファンの方とわたくしだけの……秘密ですから」

千砂都「へ、へえ……ソーナンダ?」

すみれ「ギャラ……」


可可「こちらは準備バッチシデス! 配信、いつでも始められマスヨー」

恋「クゥクゥさんありがとうございます。さ、皆さん並びましょう」

24: 2022/07/01(金) 23:39:35.41 ID:b6m3AQHX.net
〈BGM〉

かのん「……あれ、もしかしてもう始まってんの!?」

すみれ「さっきこの子がボタン押してたでしょ!」

可可「このやりとり何回目デスカ……」

千砂都「あはは、何回やっても慣れないねぇ」

恋「大丈夫ですよかのんさん。気を持ち直してください」

かのん「う、うん。えー、改めまして……」

かのん「みなさん、こんにちは~! 私たち、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル」

5人「Liella!です!」


『みんなかわいー!』
『かのおおおおおおおおおん!!!』
『ちぃちゃんかゎぃぃょ♡ぺろぺろしちゃぅょ♡』
『くくちゃんだいちゅき!』
『我性交希望!』
『食べちゃいたいわね♡』
『すみれ一発ギャグやってよw』

25: 2022/07/01(金) 23:51:58.60 ID:b6m3AQHX.net
恋「あ、早速コメントのほうもたくさん来ていますよ」

千砂都「ほんとだ! 今日はいつもよりも流れるスピード速いね~」

かのん「ラブライブ予選でLiella!を知りましたって人も多かったしね」

すみれ「もしかして私たち、バズってるったらバズってるんじゃないの!?」

可可「あひゃ~。コメントがいっぱいで、どんどん加速していマス……!」

恋「速すぎてコメントを読むのが大変ですが、頑張って読んでみますね」

恋「えー、どれどれ……」ノゾキコミ


『は?カメラ近づくな見えねえだろうが』
『しゃべんなクソポニテ』
『生徒会長はタヒね』
『存在が不快、消えろカス』
『f×××!』

26: 2022/07/01(金) 23:58:45.97 ID:b6m3AQHX.net
すみれ「!!」シュババ

恋「えー……なになに」


『このコメントは削除されました』
『このコメントは削除されました』 
『このコメントは削除されました』  
『このコメントは削除されました』 
『このコメントは削除されました』


恋「削除されました……って、なんですかこれは?」

かのん「あー! それはたぶん間違ってコメントしちゃってすぐに消しちゃったのかなー!」

すみれ「そ、そうね! まあこんなの、配信ならよくあることだわ、たぶん」

恋「そうなんですね。勉強になります」

27: 2022/07/02(土) 00:08:20 ID:Ctceeymf.net
千砂都「」クルッ シュババ

恋「?」

恋(千砂都さん、何故カメラに背中を向けているのでしょうか?)

千砂都「あ、あー! 見て見て、恋ちゃん!」

可可「レンレンへのコメントも来てますよー!」

恋「!!」


『れんちゃん!』
『このコメントは削除されました』
『れんちゃんかわいい』
『このコメントは削除されました』 
『れんちやまんすき』


恋「わわわ、こんなにたくさん……!」

恋「か、かわいい……!? うう、恥ずかしいです……」モジモジ

すみれ「!!」シュババ

千砂都「」シュババ


『このコメントは削除されました』  
『れんちゃんかわいいよれんちゃん』
『このコメントは削除されました』

28: 2022/07/02(土) 00:18:51.95 ID:Ctceeymf.net
可可「……配信終了! おつかれさまデス!」

かのん「みんなおつかれー! ふぅ、今回も無事に終わったー」

可可「かのんはいつも放送事故から始まるのをどうにかして欲しいデス」

かのん「あはは、善処します……」

千砂都「いい速度だったよ、すみれちゃん」

すみれ「千砂都こそ、やるじゃないの」


恋「嗚呼、配信が終わってしまいました……」シュン

かのん「恋ちゃんへのコメント量すごかったねー!」

恋「そ、そうだったでしょうか……?」

可可「はい! レンレンはレンレンが思っているよりもっともっとすごいのデスヨ!」

恋「えへへ、そうでしょうか……!」

29: 2022/07/02(土) 00:28:11.54 ID:Ctceeymf.net
恋「今日の配信、パッヘルベルさんやLizunさん、紫外線さんやごろーまるさん達も観にきてくださっていたのでしょうか……?」

千砂都「き、きっと観てたに違いないよ!」

恋「ええ。そうだと嬉しいです……♪」

恋「わたくしはファンの期待に応えられるように頑張ろうと決めましたから」

恋「それを応援してくださる皆さんに、いつも側で見ていて欲しいのです」

恋「そして、頑張るわたくしの姿を見て『自分も頑張ってみよう!』と思っていただけたならこの上ないのですが……」

かのん「う、うん……」

千砂都「ソダネ……」

すみれ「あ、やばい吐きそう……血を」

可可「血を!?」

恋「すみれさん!? す、すぐに救急車を!」

すみれ「大丈夫よ……。これは精神的なものだから……」

可可「ことさら大丈夫じゃないやつデス!」

31: 2022/07/02(土) 00:37:30.00 ID:Ctceeymf.net
翌日

恋「ルッタラララ~♪」

恋(嗚呼、まさに今がわたくしの春です!)

恋(不人気常連だったはずが、まさか突然人気が爆発するなんて……!)

恋(人気や順位がすべてではありませんし、わたくしの目的はLiella!と結ヶ丘の発展なので、別段こだわる必要性だってありません)

恋(ただ……)

恋(やはり、人気があると嬉しいのです……!)

恋「ララララーララ~♪」


理事長「葉月さん」

恋「り、理事長!?」

恋(浮かれ調子でスキップしているところを見られてしまいました……!)

恋(穴があったら入りたい……)

恋「すみません……。生徒の模範となるべき生徒会長が、廊下を飛び跳ねるなど言語道断……」

理事長「別にいいじゃないの、それくらい。何かいいことでもあったんでしょ?」

恋「は、はい……」

理事長「……それより、ちょっと大事な話があるの」

恋「ちょっと大事……?」

32: 2022/07/02(土) 00:50:07.09 ID:Ctceeymf.net
部室

恋「た、大変デスー!」

すみれ「どうしたのよ恋。クゥクゥみたいな話し方になってるわよ」

可可「もしやいま流行りの可可ごっこデスカ!?」

恋「そうではなくて! 聞いてください!」

33: 2022/07/02(土) 01:01:15.82 ID:Ctceeymf.net
4人「Liella!の握手会~!?」

恋「はい! 先程、理事長から話をいただきまして」

恋「なんでも、握手券が封入されたCDの即売会を開き、券1枚につき10秒間、好きなメンバーと握手できる……というものらしいです」

すみれ「ちょっと! それ完全に地下アイドルとかがやってるやつじゃない!」

可可「しかし、スクールアイドルの商業利用の話はよく聞きますし、可可はそこまで違和感もないデスネ」

かのん「いやぁ、でもさ……ええ!?」

千砂都「それって学外のファンの人たちも来れるんだよね?」

恋「はい。というよりも、むしろ学外をメインターゲットにしたイベントだそうです」

かのん「ん、んー……それってどうなんだろう」

すみれ「新しいお客……じゃなくてファンの人たちも増えたことだし、ここらで交流する機会をもうけるのはありったらありね」

かのん「えっ! みんな賛成の流れ!?」

可可「グループのことを考えると、やってみるべきだと思いマス」

千砂都「私も賛成寄りかな」

35: 2022/07/02(土) 01:13:37.84 ID:Ctceeymf.net
可可「……アリェ?」

可可「レンレン。その握手券は、1枚につき1人しか握手できないのデスカ?」

恋「ええ、その通りです」

可可「つまり、ファンの方は自分の推しメンの列に並んでいくわけで……」

すみれ「ちょっと、それって……」

千砂都「あっ……」


可可「やはり握手会は断固反対デス!」

かのん「えっ! なんで突然……」

すみれ「よくよく考えなくても公序良俗に反しそうじゃない! 握手会、反対ったら反対よ!」

千砂都「そうだよ! 不健全だもん! 女子高生にはよろしくないよ!」

恋「あ、あの……」

かのん「どうしたの恋ちゃん?」

恋「この握手会の開催は、すでに学校側の決定事項だそうです」

恋「日時や開催場所、CDの発注など、知らぬ間に大人達の間でとんとん拍子に話が進んでいたみたいでして……」

すみれ「ギャラクシー……。この学校のモラルはどうなってるのよ!」

36: 2022/07/02(土) 01:23:37.92 ID:Ctceeymf.net
恋「……生徒会長として異議を申せば、今からでも握手会は中止にできると思います」

恋「ただ……」

かのん「ただ?」

恋「……Liella!は今まさに、ノリに乗ってる状態です。さらなる躍進のため、活動の幅を増やすことも悪くないのでは?」

千砂都「で、でも……」

恋「このイベントは我々にとって意義あるものだと思います。わたくしはこの握手会、やるべきだと考えています」

可可「グループのことを思えば、可可もやるべきだと思いマス……。ですが……」

恋「何か他に問題が?」

可可「ムムム……。なんでもありマセン……」

恋「……わたくしは個人的に、ファンレターを送ってくださった方に直接お会いして感謝を述べたいのです」

恋「ファンに優劣を付けるのはよくないですが……できれば紫外線さんにお会いしてみたいです」

すみれ「ギャラ!?」

恋「あれだけの文を書かれたのですから、きっととてもスクールアイドル愛にあふれた素敵な方なのでしょうね……!」

すみれ「ごふっ」

かのん「すみれちゃんが血を吐いたー!?」

37: 2022/07/02(土) 01:34:50.08 ID:Ctceeymf.net
帰路

恋「それでは皆さん、また学校で」

恋「あ、それともうすぐ雨が降りだすとサヤさんから連絡がありましたので、皆さんもどうかお気をつけてくださいね」

かのん「う、うん……。またね~……」


恋「握手会~♪」

恋「嗚呼、あの素敵なお手紙を送ってくださった方たちは、どんな人なのでしょう……!」

恋「……い、いえ。必ずしも握手会に来るとは限りませんよね」

恋「気軽に東京まで足を運べない方もいらっしゃるかもしれませんし……」

恋「……そういえばですが、尾田さん以外の方は皆、消印を押された郵便局が同じでしたね」

恋「意外と住んでいる場所は皆さん近いのかもしれませんね……。ふふっ♪」

38: 2022/07/02(土) 01:40:33.80 ID:Ctceeymf.net
恋「……」

恋「わたくしとしたことが、学校に忘れ物をしてきてしまいました……」

恋「まだそう離れてはいません、取りに戻りますか」テテテ



「……だから言ったじゃない!」

恋「!」

恋(かのんさん達です)

恋(道端で話し合っているみたいですね)

恋(何を話しているのでしょう?)

41: 2022/07/02(土) 01:53:44.51 ID:Ctceeymf.net
かのん「握手会をやったら、恋ちゃんがっかりしちゃうかも……」

可可「まさかこんなことになるなんて思いませんデシタ……」

千砂都「どうしよう……。恋ちゃん自身は中止にするつもりはないみたいだし……」

すみれ「……こうなったら、架空のファンを創り上げるしかないわね」

かのん「架空のファン?」

すみれ「ええ。作戦はこうよ!」

すみれ「握手会参加のサクラを募集して、その人たちに恋のファンになりすましてもらうのよ!」

すみれ「そうすれば恋の握手待ちの列もできて、とても不人気には見えない……」

可可(す、すみれぇ!)

すみれ「ん、何よ? そんなに必氏になって」

千砂都(う、後ろ……!)

すみれ「後ろぉ?」クル


恋「…………」

すみれ「ギャ」

43: 2022/07/02(土) 02:05:58.60 ID:Ctceeymf.net
かのん「あー!! れ、恋ちゃんこんなところで会うなんて奇遇だね!! すごいよこの奇跡のような出会いに感謝しなくちゃ!! ほら、空もこんなに晴れて私たちを祝福してる……」

ポツポツ

ザーーーーー

かのん「」


すみれ「れ、恋……」

可可「ち、違うのデス! これは、その……」

千砂都「恋ちゃん……?」

恋「……」

恋「雨、降ってきましたね」

恋「ふふ、サヤさんの言った通りです」

かのん「恋……ちゃん」

恋「風邪をひいてはいけません。さ、皆さんも早くお家に帰りましょう」

恋「……さようなら」

可可「レンレン!」

45: 2022/07/02(土) 02:14:28.36 ID:Ctceeymf.net
ザーーーーー

恋「…………」

恋(訳もわからず、道の続く限り走ってきてしまいました)

ザーーーーー

恋(体、びしょびしょですね)

恋(服が肌にへばりついて不快です)

ザーーーーー

恋「……」

恋(顔もぬれますが、今だけはこのままでいいと思えます)



サヤ「お体に障りますよ」

恋「……サヤさん」

48: 2022/07/02(土) 02:22:33.26 ID:Ctceeymf.net
恋「……ふふっ」

恋「どうやらわたくしは道化だったようです」

恋「何も知らず、滑稽に踊っていただけなのですね……」

サヤ「お嬢様……」

恋「……あるいは、もしかしたらずっと気づいていたのかもしれません」

恋「わざと気づかないふりをして、見て見ぬふりを続けていただけだったのかも……」


恋「部室で一緒に勉強をする際に見た、文字の癖はよく覚えています」

恋「すみれさんは意識してに筆跡を変えて書いたようですが、やはりあれだけの量を書けばどこかでボロが出ますから」

恋「郵便トリックで外部からのファンレターだと錯覚させる狙いだったようですが、詰めが甘かったですね」

恋「……」

恋「ええ、わかっていました……。それでも、信じたかったんです」

恋「わたくしは……あの4人に迷惑をかけてなどいないのだと」

恋「わたくしのために気遣いをかけ、気を揉ませたりしていないと思いたかったのです……」

49: 2022/07/02(土) 02:24:54.99 ID:Ctceeymf.net
恋「人気がない上に、仲間には迷惑をかける……」

恋「……一体わたくしは、なんのためにいるのでしょう」

サヤ「……」

サヤ(こんな時、恋様になんとお声がけすればよいのか皆目見当もつきません)

サヤ(……言葉が見つからないのであれば、思うがままに動いてみましょう)

サヤ「……お嬢様」ギュ

恋「……」

サヤ「どうか……自分を大事にしてください」

サヤ「あなたのことを大切に思う人が、確かにここにいるんですよ」

恋「……サヤ、さん」クラッ

サヤ「!」

サヤ「お、お嬢様……!? お嬢様ー!!」



恋(雨はいつしか雪へと変わり)

恋(私の意識とともに、夜の底を白く染めていきました)

77: 2022/07/03(日) 22:31:26.51 ID:JPr9XvmH.net
翌日 葉月邸

チクタク チクタク

恋「……」ボケー

恋(生まれて初めて学校を休んでしまいました)

恋(皆勤にこだわるつもりはありませんが、いざこうして休んでみると、自分の中にある何かが欠けてしまったように感じます)


コンコンコン

サヤ「お嬢様」

恋「どうぞお入りください」

サヤ「……失礼いたします」

ガチャ

79: 2022/07/03(日) 22:45:41.76 ID:JPr9XvmH.net
サヤ「お嬢様。体調のほうはいかがですか」

恋「おかげさまで快調です。サヤさんが献身的に看病してくださいましたから」

サヤ「左様ですか。無事に回復されてなによりです」

サヤ「ところで、先程から応接間のほうに澁谷様達がお見えになっております」

恋「!」

サヤ「……いかがなされますか? 理由をつけてお帰りいただくことは可能ですが」

恋「……いえ、迷惑でなければどうか会ってお話したいです」

サヤ「承知しました。ではお呼びいたしますね」

恋「はい……」

恋(ファンレター偽装の件やサクラのことはすでにLINEで謝罪を受けましたが……)

恋(かのんさん達はわたくしのことを……どう思っているのでしょうか?)

81: 2022/07/03(日) 22:54:27.94 ID:JPr9XvmH.net
コンコン

恋「……はい、どうぞ」

かのん「失礼しまーす……」

すみれ「寝てたのね。どう、体調は?」

恋「もうなんともありません。明日からは普段通り登校できますよ」

かのん「そっか、よかった~。恋ちゃんが倒れたって聞いたから心配してたんだ」

恋「その節はご心配をおかけしました……。練習にも穴を開けてしまいましたね」

千砂都「大丈夫だよ。今日のメニューは基礎と筋トレだけに絞ったから」

可可「そのおかげでいまだにひざがふるえていマス……!」プルプル

かのん「あはは、私もだよ……」

すみれ「ほんとは代表1人でお見舞いに来るつもりだったんだけど、結局決まらなくて4人で押しかけちゃったわ。迷惑だったかしら?」

恋「いえ、そんなはずありません。こうして皆さんのお顔が見られて嬉しいですよ」

すみれ「そう、それならいいんだけど」

82: 2022/07/03(日) 23:04:31.00 ID:JPr9XvmH.net
恋「……あの、皆さ」

かのん「あー! そうだ、お見舞いの品とか持ってきたんだったー!」

千砂都「そ、そうだね。みんなでいちごとかフルーツ選んで持ってきたの。サヤさんに渡したから後でゆっくり食べてね」

恋「いちご……! わざわざありがとうございます」

かのん「それと、恋ちゃんが早く治りますようにって千羽鶴も作ってきたんだ!」

かのん「……ただ、千羽鶴はかさばって邪魔みたいな話を聞いたから40羽だけ折ったの」

千砂都「折り鶴1羽につき、25羽分の願いを込めたから実質1000羽だよ!」

すみれ「千手観音の手の数みたいな水増し法ね……」

恋「わたくしのためにそこまで……。ありがとうございます」

すみれ「あとは……はい、これ」

すみれ「汗かいて塩分水分不足してそうだからスポドリ、軽く食べられるゼリー、早く元気になれるように栄養ドリンク」

すみれ「それと、小豆の暖かいやつと冷却シートも入ってるわ。よかったら使いなさい」

恋「本当に、重ね重ねお礼申し上げます……!」

83: 2022/07/03(日) 23:13:41.11 ID:JPr9XvmH.net
可可「レンレン、これをどうぞ」

恋「これは……」

可可「愉快動物餅デス」

千砂都「あ、たべっ子どうぶつだー!」

恋「たべっ子どうぶつ……?」

かのん「小さいころはよく食べてたなぁ。懐かしいね」

千砂都「クッキーが動物の形になっててかわいいんだよね」

恋「ほう、そのようなお菓子があるのですね」

すみれ「でもどうしてたべっ子どうぶつなのよ?」

可可「あ、いえ……理由という理由はないのデスガ……」

可可「ただ可可が個人的にレンレンにあげたかっただけなのデス」

恋「わぁ、動物さんがたくさん……かわいい」

可可「できればレンレンにはパンダを見つけてほしいデス」

恋「パンダですか」

可可「はい! パンダを見つければ、きっとレンレンも元気になりマス!」

恋「そうでしたか。クゥクゥさん、ありがとうございます」

可可「どーいたまして!」

84: 2022/07/03(日) 23:26:27.91 ID:JPr9XvmH.net
恋(一日学校をお休みしただけでここまでしていただけるとは……)

恋(わたくしは友達に恵まれていますね)

恋(今日だけは休んでよかったかも……なんて思うのは不良娘でしょうか?)


かのん「あ、忘れてた。これもあったんだ」

かのん「はい、いちご大福!」

恋「!!」

かのん「……なんだけど」

かのん「実はこの大福、5個あるうちの1つしかいちごが入ってないんだよね」

すみれ「え」

恋「え……」シュン

かのん「さあ、恋ちゃん! 運試しだと思って1つ選んでみて!」

かのん「恋ちゃんが選んだあとに私たちも取るから」

可可「ナルホド。当たりを食べられるのは1人だけということデスネ!」

85: 2022/07/03(日) 23:32:57.88 ID:JPr9XvmH.net
恋「いちごは1つのみ……」

恋「ど、どれにすればよいのでしょう……」

恋(プラスチックの容器の上に、まんまるな大福が5つ横並びになっています)

恋(……ここは)

恋「右端をください」

かのん「はい、どうぞ」

恋「……」ドキドキ

恋(いちご、いちご、いちご──)

パクッ

86: 2022/07/03(日) 23:39:37.55 ID:JPr9XvmH.net
恋「!」

恋「い、いちごです! 当たりです!」

千砂都「すごーい! 5分の1を当てるなんて!」

恋「ん~♪ 甘酸っぱくておいしいです」モグモグ

かのん「そうだね~♪ いちごの甘さがすっごく絶妙でおいし……」モグモグ

恋「……何故かのんさんもいちご入りを当てているのですか?」

かのん「え? ……あっ!」

すみれ「あほー!」ベシッ

かのん「ごめ゛ん゛な゛ざい゛ッ゛!!」

可可「5個すべてにいちご入っていマスネ」モグモグ

千砂都「うん。いちご美味しいね~」

恋「……」


恋「……そうですか」

恋「……また、わたくしに嘘をついていたのですか」

4人「!!」

87: 2022/07/03(日) 23:46:23.89 ID:JPr9XvmH.net
かのん「え、あ、いや、ちちち違うの!」

かのん「たまたま選んだ1個がいちご入りだったら、恋ちゃんが喜んでくれるかなぁ~と思って……」

すみれ「……言い訳はやめましょ。どんなに取り繕っても、私たち全員で恋をだましてた事実は変わらないんだから」

恋「……」

千砂都「あの、恋ちゃん……」

恋「……皆さんに悪気がないのはわかっています」

恋「あれもこれも、すべてわたくしのためなのでしょう?」

かのん「そのつもり、だけど……」

千砂都「ファンレターを偽装した件も……恋ちゃんの喜んでる顔が見たかっただけなの」

千砂都「自虐しながらズコーってしてる恋ちゃんは、もう見たくなかったから……」

可可「浮かレンレンが見られてうれしかったですが、可可達はレンレンの気持ちをもてあそびマシタ……」

すみれ「私たちがしたことは到底許されるようなことじゃないけど……」

すみれ「一言だけでも、恋に謝らせてほしい……」

4人「ごめんなさい!」

恋「……」

88: 2022/07/03(日) 23:52:17.65 ID:JPr9XvmH.net
恋「……皆さん、どうか頭を上げてください。別にわたくしは怒ってなどいませんよ?」

恋「ただ、メンバーに気を遣わせなければならない自分が……情けないだけなんです」

かのん「恋ちゃん……」

可可「レンレン……」

恋「わたくしは……こうやって皆さんと一緒に、このいちご大福の美味しさを共有できて楽しいですし」

恋「それに、皆さんからのお手紙も、送り主がわかった上でなお嬉しかったのですよ」

恋「皆さんはわたくしのことをこんな風に想っているのだと、知ることができましたから!」

すみれ「ちょ!? あの偽ファンレターは今すぐ捨てなさいよ!」

かのん「わ、私も……。思い返すとかなり恥ずかしいこと書いてた気がする……!」

恋「ふふっ、ダメです♪」

恋「大切な大切なお手紙ですから、ちゃんと宝物入れにとっておきますよ」

すみれ「ああ、また一つ黒歴史が生まれちゃうわ……」

可可「すみれは一体何を書いたのデスカ」

千砂都「私はシンプルに書いたから、そんなに恥ずかしくはないはず……」

恋「千砂都さんのお手紙も、とっても素敵な内容でしたよ」

千砂都「えっ!? あーやっぱりダメ! 私のも見ないでぇ~!!」

89: 2022/07/03(日) 23:55:59.99 ID:JPr9XvmH.net
ゴーンゴーン

かのん「……あ、長居しちゃったかな。私たちはそろそろおいとましよっか」

千砂都「そうだね。それじゃあ恋ちゃん、また学校でね」

恋「……あの」

恋「握手会の件についてですが……」

4人「……」

恋(なんとなく触れづらくなっていたこの話題)

恋(皆さん、静かに口を結び、わたくしの言葉を待っています……)

恋「……わたくしは依然、やりたいという気持ちに変わりありません」

かのん「……」

恋「Liella!のために……」

すみれ「……つらい結果になるかもしれないわよ」

恋「それでも、です」

恋「たとえわたくしの列だけ待ち時間0分になっても構いません!」

恋「わたくしのせいで、皆さんの足を引っ張るようなマネはしたくありませんから」

90: 2022/07/03(日) 23:58:41.67 ID:JPr9XvmH.net
かのん「……わかった、やろう!」

恋「かのんさん……。ありがとうございます」

かのん「それとこの機会に、恋ちゃんファンをいっぱい増やしちゃおうよ!」

恋「わたくしの、ファンを……?」

すみれ「そうね! 直接交流できるイベントったらイベントなんだから、恋も自分から積極的にアピールしていけばいいのよ!」

可可「可可もレンレンの力になりマス! ファンをマシマシにしまショウ!」

千砂都「恋ちゃん、一緒に頑張ろうね♪」

恋「……はいっ!」



恋(そして準備は着々と進み──)

恋(いよいよ、握手会当日を迎えました)

100: 2022/07/05(火) 23:14:31.77 ID:yG45nwx4.net
デデッデッデ デーンデンッ

「Foooooooo!!」


かのん「はあ、はあ……みんなありがとー!」

かのん「ミニライブはこれにて終了……ですが! ここでなんと素敵なお知らせがありまぁす!(台本)」

かのん「えーっと、この後すぐに会場横特設エリアでCD即売会と握手会が行われまぁす。(台本)」

かのん「CDに付いている握手券1枚ごとに10秒間、好きなメンバーと握手できるんダッテー!(台本)」

千砂都「Liella!を応援してくれてるファンの皆さんと触れ合えるなんて私たちもドキドキシチャウネー。(台本)」

可可「くうくうもたのしみですぅ。あくしゅするですぅ。(台本)」

すみれ「こうやってファンの方と直接交流できる機会なんて珍しいし、私たちも楽しみにしてるんだから……(台本)」

すみれ「みんな! CD買いなさいったら買いなさいよ!(台本)」

恋「し、CDは1枚1000円ですっ! な、なんと、税込みですっ! すごいですっ!(台本)」

恋「売り切れ次第っ! 終了っです! お早めにっ!!(台本)」

恋「……あ、混み合う可能性がありますので、スタッフさんの誘導に従って列に並んでくださいね。Liella!からのおねがいです」

かのん「それじゃあみんな、また握手会でお会いしようね~!(台本)」

101: 2022/07/05(火) 23:18:51.86 ID:yG45nwx4.net
ステージ裏

すみれ「ちょっと! ライブやるなんて聞いてなかったんだけど!?」

恋「すみません……。わたくしも皆さんと同じタイミングで知らされたもので」

かのん「ま、まあまあ。1曲だけだったし、衣装とかも用意してくれてたし、ファンのみんなも喜んでくれたし……ね?」

可可「スクールアイドルというよりは普通のアイドルみたいデシタが、新鮮で楽しかったデス!」

恋「しかし、この後すぐに握手会なんですよね……」

恋「シャワーを浴びたり服を着替える時間すらないなんて」

千砂都「……むしろそれが狙いだったりして?」

千砂都「私たちが1曲踊ってほどよくかいた汗のにおいを、握手会に来た人たちが満喫できるよう……」

かのん「な、何言ってるのちぃちゃん~? そ、そんなわけないじゃん~」

恋「そうですよ。汗のにおいがするより、清潔感あるほうが好ましいはずです」

すみれ「それはどうかしらね……」

可可「価値観は人それぞれデスカラ~」


スタッフ「Liella!さん! 握手会始まりますので移動お願いします!」

かのん「は、はい! 今行きます!」

102: 2022/07/05(火) 23:22:07.20 ID:yG45nwx4.net
かのん「あー、緊張する……。ファンの人と1対1って、何話せばいいんだろ……」

恋「わたくしもです。誰も並んでいないのでエア握手するしか……」

恋「……って誰が無人待機列ですかー!」ズコー

かのん「れ、恋ちゃん……?」

恋「どうですか、かのんさん。緊張はほぐれましたか?」

かのん「え……」

千砂都「まさか、かのんちゃんの緊張を解くためにズコーを……!?」

すみれ「いや身体張りすぎでしょ……」

可可「れ、レンレンもバンガッテクダサイ!」

恋「……はい。ありがとうございます」

すみれ「いい? とにかく笑顔よ! どんなやばいやつが来ようと笑顔を忘れないこと!」

すみれ「ただ笑えないレベルの人が来るかもしれないから、その時はすぐに剥がしのスタッフさんに助けを求めなさい」

かのん「珍しく頼りになるすみれちゃんだ……」

すみれ「いつも頼りになるでしょ!」

恋「肩に力を入れず、いつものLiella!で臨みましょう」

千砂都「いつも通り、だね」

かのん「うん。やるっきゃないよね」

可可「さあ握手会、出発デスー!」

103: 2022/07/05(火) 23:26:41.31 ID:yG45nwx4.net
握手会会場

「あのね、かのんちゃんのために円盤10枚積んだんだよ」

かのん「えーほんとに! 10枚ってことは……えっ、1万円!?」

かのん「私のお小遣いよりも多い……! あ、ありがとうございます? なんかすみません!」ペコッ

「うふふ。いいんだよ、これぐらい」

「かのんちゃんがお義母さんの胎内で受精卵となってからおよそ5億2300万秒……」

かのん「え゛っ゛」

「そのうちのたった100秒だけでも、きみと二人きりになれるんだからね……!」ギュウウウウ

かのん(ぎゃあ痛い痛い痛い!? 手がくだける……!)

かのん「あはは……。あ、ありがとうございます……」ニコッ


「ねえちぃちゃん。愛してるゲームって知ってるかな?」

「お互いに愛してるって言い合って、先に照れちゃったほうが負けってゲームなんだけど」

千砂都「わあ、楽しそう~」ニコッ

「じゃあボクからいくね? ……ちぃちゃん、愛してる」

千砂都「……アイシテル」

「ち、ちぃちゃん? 表情どこいったの……?」

千砂都「あ! ご、ごめんね? 今ちょっと丸のことを考えちゃってた!」ニコッ

「そっか~。じゃあ続けるね?」

106: 2022/07/05(火) 23:31:22.45 ID:yG45nwx4.net
「うぉ、ウォーアイニー……!」

可可「『愛してる』と言っていマスネ? 謝謝♪」ニコッ

「あ、えっと、ジアゲ……ウォー……」

可可「……無理に中国語は話さなくていいデス」

可可「あなたの言葉で思いを伝えてクダサイ!」ニコッ

「え……そ、それじゃあ……」

「く、クークー! 工口いの人ぉぉぉ!! ヤラせ」

可可「スタッフさん」

スタッフ「はい離れようね~」ガシッ

「ああああクークーちゃんー!」ズルズル


「あー名前なんだっけ? 確か、変なくびれ……」

すみれ「いや平安名すみれよー!」ズコー

「あーそうだった! 変なすみれねw」

すみれ「平安名よ、へ・あ・ん・な! もー意地悪しないでくださいよ~」ニコッ

「やっぱおもしろwww」

すみれ「次からはちゃんと名前で呼んでくださいね?」ニコッ

すみれ(24……25……)

「なあなあ、すみれの3サイズ教えてよw」

すみれ「あはは。放送局的に教えられないんです~。ごめんなさいね~?」ニコッ

すみれ(28……29……)

「えーいいじゃん! 俺にだけ教えてよ、誰にも言わないから……」

すみれ「はい時間です。ありがとね~」

スタッフ「はい離れましょうね~」ガシッ

「まだ話してる途中でしょうが! すみれぇ!!」ズルズル

109: 2022/07/05(火) 23:39:05.94 ID:yG45nwx4.net
恋「……」

恋「……」

スタッフ「あの、寒さとか大丈夫ですか? 向こうのテントにカイロいっぱいあったのでよければ取ってきますよ」

恋「いえ、お気遣いありがとうございます」

恋(……わかってはいましたが)

恋(人気って、ここまでわかりやすく差が出るものなのですね……)

恋(この会場を空から俯瞰した時、待機列がそのまま棒グラフとなりそうですね……)

恋(……ってわたくしだけ0じゃないですかー! ズコー)

恋(……ズコーすると、心の安寧を保てます)

恋(あと何回心のズコーをすることになるでしょうか……)

113: 2022/07/05(火) 23:44:17.14 ID:yG45nwx4.net
スタッフ「葉月恋列こちらでーす」

恋「え……」

恋(なんということでしょうか! わたくしのほうへと向かって進んでくる方がいらっしゃいます!)

恋(お母様、見ていますか……?)

恋(葉月恋ファンが、いましたよ……!)


「いやぁ他のとこは列長くて待ってらんなくてさぁ」

「ここだけ列? というか人いないから来てみたんだけど……」

恋「……そ、そうでしたか。確かにわたくし以外のメンバーは列も長くて盛況ですもんね」ニコッ

「そうそう。……えっと、きみもリエラの子なの?」

恋「…………」

恋「……そ、そうですよ~」ニコッ

恋(落ち着きなさい葉月恋。まだズコーする時ではありません)

恋(ここでズコーすれば、せっかく来てくださったこの方にドン引きされてしまいます……!)

恋(やっと舞い降りたファン獲得へのこのチャンス! 絶対に逃すわけにはいきま──)


「手ぇ冷た!? 末端冷え性かよ……」

恋「ガーン」ガーン

114: 2022/07/05(火) 23:48:18.00 ID:yG45nwx4.net
恋(嗚呼、10秒のなんと早いこと……)

「……じゃあね、"コイ"ちゃん」

恋「!」

恋(来ました、ズコーの好機──!)

恋「いやわたくしはレンですよー!」ズコー

「え……?」

恋「え?」

「……ああ、ごめん。この名前レンって読むんだ。女の子の名前間違えてごめんね」スタスタ

恋「……」


恋(剥がしが入る前に帰ってしまいました……)

恋(名前も間違われました……)

恋(すみれさんとファンの方がやっているような名前いじりではなく、本当の間違いでした……)

恋(あとわたくしの手が冷たかったようです……。カイロもらえばよかったです……)

115: 2022/07/05(火) 23:51:09.09 ID:yG45nwx4.net
恋「……あの。今からでもカイロをもらえないでしょうか?」

スタッフ「あ、いいですよ。(どうせ誰も来なさそうなので)取ってきますよ」

恋「……お願いします」


恋(わぁ、すごい……。すみれさん達は一人当たりの時間も長くて盛り上がっていますね)

恋(それに比べてわたくしは、一人来ていただけただけで大喜び……)

恋(いえ、比較するべきではありませんが……)

恋(もっとわたくしに人気があれば)

恋(もっと手も温かくいられたのでしょうか?)

118: 2022/07/05(火) 23:55:36.11 ID:yG45nwx4.net
「……」サササッ

恋「!」

恋(二人目の方が来てくださいました……!)

恋(ああ、でもまだ手が冷たいままです……)

??「恋様……じゃなかった、恋ちゃん」

??「いつも応援しています! ファンレター読んでくれました?」

恋「ありがとうございます。ファンレター……あ、もしかしてあなた、遠藤さんですか!?」

??「はい! 恋ちゃんのことを日々思い焦がれるのが日課となっています!」

恋「そうでしたか。ありがとうござい……あ、握手は待ってください!」

??「え……? わ、わたくしとは握手したくない……ということですか?」ガーン

恋「い、いえ! 違います!」

恋「今は手が冷たいので、少しでも温めてから……」


ギュッ

恋「え……!」

恋(無理矢理手を握られました……)

??「……恋ちゃんのお手が冷たいのなら、わたくしが温めてさしあげます」

??「この温もりを感じてください」

恋「…………」

恋(温かい……)

120: 2022/07/05(火) 23:58:41.25 ID:yG45nwx4.net
恋「……」ブワッ

??「!? お、お嬢様! 何故泣いていらっしゃるのですか……?」

恋「ううう……温かいんです……」

恋「ぬくぬくが懐かしい……」

恋「あなたの手が、わたくしを優しく包み込んでくださって……」

恋(……ん? お嬢様?)


スタッフ「葉月さん、カイロもらってきまし……あ! 人来てる!?」

スタッフ「握手券は3枚……30秒ですね。今何秒経ちましたか?」

恋「え、えっと……1分18秒ほどでしょうか」

??「お嬢様! そこは少なめに申告して時間を増やすべきでは……」

恋「はっ。そ、そうだったのですか……!」

スタッフ「いやダメですよ。はい離れましょうね~」グイッ

恋「あなた、サヤさんだったのですか……!?」

恋「ということは……遠藤さんもサヤさんだったのですか……!」

サヤ「お嬢様ぁ~……!」ズルズル

恋「待ってください、サヤさん~……!!」

142: 2022/07/08(金) 23:38:20.80 ID:ZnsZaAd+.net
恋「……」

恋(そういえば、わたくし宛てに来ていたファンレター計9通)

恋(そのうち7通はメンバーからのもので、残り2通の片方はサヤさんから送られたもの。ということは……)

恋(わたくしのファンは『尾田』さん一人だけ……ですか)

恋(い、いえ。一人でも応援してくださる方がいるのですから、これは喜ばしいことですよ!)

恋(親しい人以外で唯一のファン……! 大切にしなければなりませんね)


スタッフ「握手券6枚、1分ですねー」

??「え、あ……はい」

恋「!」

恋(三人目の方です……!)

143: 2022/07/08(金) 23:40:50.80 ID:ZnsZaAd+.net
恋「こ、こんにちはっ!」ニコッ

??「あ、え……」

恋「握手……しましょうか」ニコッ

??「えっ! い、いや、畏れ多い……」

恋(畏れ多い!?)

??「あ、あああ……あの」

??「……私なんかが葉月恋に触れるなんておこがましい」

??「だから、代わりに……エア握手を」

恋(エア握手!?)


すみれ「……何してんのよ」

恋「わかりません……」

恋(面と向かって互いの右手が空中をさまよっています)

恋(とてもシュールな光景です)

144: 2022/07/08(金) 23:45:19.80 ID:ZnsZaAd+.net
??「……」

恋「……」

恋(か、会話が生まれません!)

恋(こういった場合には、わたくしから話しかけなければ……)

恋「……あ、あの」

??「葉月恋は私の救世主〈メシア〉……」

恋「へ?」

恋(めしあ……?)

??「神の左手から産み堕とされ暗澹とした世界で生き存えていた私はある日、葉月恋に救われた……」

??「今日のライブ……葉月恋だけ観ていた。あ、大会は……残念だった。また、が、がんばって……」

恋「は、はい! ありがとうございます」

恋(この方、もしや……)

恋「あのー。あなたは……ファンレターを送ってくださいました尾田さんでしょうか?」

尾田「っ!?」

尾田「あ、え、いや、えっと……」

恋「お手紙いただけて、とても嬉しかったですよ」ニコッ

尾田「~~~っ!!」カァァァァァ

尾田「……尊っ!」ダダダ

恋「え、どこへ行くのですか!? 尾田さーん!!」

恋(全力疾走で消えてしまいました……)

145: 2022/07/08(金) 23:50:18.33 ID:ZnsZaAd+.net
恋(今のところ、わたくしのもとへ来てくださった方といいお別れができていません……)

恋(他の皆さんは、スタッフさんに剥がされながらもいい感じにお別れされているのに……)


「ねえねえ~かのんちゃあん。かのちぃ見せてよ~」

かのん「へ? かのちぃって……」

千砂都「かのんちゃん、こういうことだよ。ほら、ういっす~」

かのん「あーなるほど! こういうことね、ういっすー!」

「はい指キスいただきましたー! ごちそうさまです!」

恋(わあ、すごい盛り上がりです)


「く、ククちゃんもクゥすみやってくれちゃったりしませんかね……?」

可可「クゥすみ……エエッ、すみれとデスカ~?」

すみれ「何嫌がってるのよ! 塩対応じゃファンの方に逃げられちゃうわよ? ほらやりましょ♡」

可可「致し方ありマセン。やってやりマスカー」

すみれ「クゥすみといえばこれよね。チョークスリーパー」

可可「絶対に違いマス!?」

「クゥすみいちゃいちゃ助かる……!」

恋(わあ、ファンの方もご満悦のようですね)

147: 2022/07/08(金) 23:53:40.18 ID:ZnsZaAd+.net
恋(ファンの方達が喜ばれること……)

恋(それがファンサービス……)

恋(……わたくしはこれまで一度でも、ファンの方へと何か還元することができていたでしょうか?)

恋(恐らくかのんさん達はそれができていて、だからこそあれだけ長蛇の列を成しているのでしょう)

恋(なるほど……。わたくしには、奉仕の精神が欠けていました……)

恋(もしまだチャンスがあるのなら、次の人には目一杯サービスを提供してみせます……!)

恋(お願いです……! あと一人だけでもよろしいので、どうかわたくしのもとへ……)


スタッフ「葉月恋列こちらでーす」

恋「!」

恋(なんという僥倖! まだ来てくださる方がいました……!)

恋(まずは相手より先にあいさつと自己紹介をせねば!)

恋「こんにちはっ! 葉月恋ですっ!」ニコッ

??「ふふ、お名前は存じておりますの~」

148: 2022/07/08(金) 23:56:53.85 ID:ZnsZaAd+.net
ギュ

恋(嗚呼! やっとまともに握手ができました!)

??「恋さんのことはいつも応援してますの(嘘)」

??「今日はこうして直接お話しができてとても光栄ですの!(嘘)」

恋「ほ、ほんとですか!? 嬉しいです……」

恋(はっ! 受動的になってはいけません葉月恋……! もっと積極的に話しかけねば!)

恋「あ、あの! わたくしに質問などございませんか!? なんでもお答えいたします!」ニコッ

??「ほう、NGなし質問コーナーですの!?」

??「では早速質問! スクールアイドルって……ぶっちゃけどれぐらい稼げますの?」

恋「稼ぎ、ですか……」

恋「あくまでも部活動ですので、たとえ収益が発生したとしてもすべて学校の取り分となります」

恋「ですから、わたくし達の稼ぎは0円です」

??「……はぁ、そうですのー」

恋(露骨にテンションが下がったように見えます……)


??「……今日、初めてスクールアイドルというものが見られて面白かったですの」

??「ではまたですの、先輩♪」

恋「は、はいっ! ありがとうございました!」

149: 2022/07/08(金) 23:58:57.95 ID:ZnsZaAd+.net
恋「ふぅ……」

恋(できるだけ積極的に話しかけようと努めましたが、うまくいったのかどうか……)

恋(果たして喜んでくれたでしょうか……?)

恋(……ん?)

恋(今の方……)

恋(ずっとわたくしを応援していたのに、スクールアイドルを見たのは今日が初……?)

恋(変ですね、発言が前後で矛盾しているような……)

恋(……)


恋「……ってだまされてるじゃないですかー!」ズコー

スタッフ「!?」ビクッ

150: 2022/07/09(土) 00:03:54.57 ID:PmH+FnsD.net
舞台裏

スタッフ「おつかれさまでーす」

5人「お疲れ様です!」


かのん「ふぁー終わったー……」

可可「今までにない疲労感デスぅ……」

すみれ「みんなお疲れ様。ま、初めてにしてはよかったんじゃない?」

千砂都「今回ばかりはすみれちゃんが頼もしかったね」

すみれ「いつも頼もしい存在でしょ!」

恋「皆さん大盛況でしたね。疲れていると思いますので、帰ったらゆっくり休んでください」

可可「うう、スミマセン。レンレンのところへ駆けつけたかったのデスガ、次から次へと手が伸びてきて……」

かのん「あはは……。3日くらい夢に出てきそうだね」

千砂都「でも恋ちゃんのとこにもファンの人来てたよね」

恋「はい。……ファンかどうか怪しい人もいますが」

すみれ「それでもよかったじゃない!」

すみれ「今日が4人なら、次は10人、その次は100人ってどんどんファンを増やしていけばいいのよ!」

すみれ「突然バズることなんてマレなんだから、こういった積み重ねを大事にしていきなさいよ」

恋「……そうですね、ありがとうございます♪」

151: 2022/07/09(土) 00:10:54.78 ID:PmH+FnsD.net
可可「……ンー?」

恋「クゥクゥさん? わたくしの顔に何か付いていますか?」

可可「いえ、レンレンが希望にアフレミチタ表情だったので少し気になりマシタ」

かのん「あ、言われてみれば。恋ちゃんだけなんかウキウキした感じだよね」

恋「ええ。今回の握手会で、わたくしは大切な学びを得ることができました。それで少しばかり浮かれていたのかもしれません」

可可「浮かレンレンデスネ!」

千砂都「レア恋ちゃんだ!」

恋「おかげさまで、これからわたくしはスクールアイドルとして成長を遂げることができそうです」

かのん「おー!」

恋「かのんさん千砂都さん、可可さんすみれさん……皆さんのおかげです! ありがとうございます」

可可「よくわかりませんが照れマスネ~」

すみれ「何はともあれ、恋がステップアップできそうならいいことだわ」

恋「はい♪」

152: 2022/07/09(土) 00:15:32.80 ID:PmH+FnsD.net
恋「……わたくしにこれまで足りなかったもの」

恋「それはずばり、ファンサービスでした!」


恋「これまではずっと、ライブを成功させることしか頭にありませんでした」

恋「歌や踊りの練習を頑張っていれば、いつか皆さんから認めてもらえると……そう信じていました」

恋「しかし結果はご覧の有り様。誰もわたくしになど見向きもしません」

かのん「そ、そんなことは……」

恋「どれだけ練習に時間を費やそうと、裏の努力は誰も知るよしがありません」

恋「目に見えるところで頑張らなければファンは獲得できないのだと、今回の握手会で気付かされました」

千砂都「練習も大事だよ……?」

恋「ファンサービスなくして人気スクールアイドルとはなりえません!」

恋「ですから、今後は"可視化された努力"を全身全霊で頑張ろうと思います!」

153: 2022/07/09(土) 00:21:27.31 ID:PmH+FnsD.net
かのん「う、うーん……? 何かズレてるような……」

可可「スクールアイドルの形はそれぞれですので、あえて否定はしまセンガ……」

すみれ「……」

千砂都「恋ちゃん……」


恋(さあ、ここが始まりの初日です!)

恋(Popularity Getting Project……)

恋(PGP〈人気獲得計画〉──始動します!)

154: 2022/07/09(土) 00:26:39.21 ID:PmH+FnsD.net
握手会翌日 葉月邸

恋(サヤさんからパーソナルコンピューター取り扱いの指南を受け、簡単な調べ物であれば一人でもできるようになりました)

恋「文明の進歩はすさまじいですね……」

恋「この知恵袋さんというサイトは、知りたかった情報が森羅万象なんでも知ることができます」

恋「早速調べてみましょうか」

恋「えー、スクールアイドル……人気…………」ヒトサシユビポチポチ

恋「あ、出ました! 流石はアカシックレコード……!」


〈質問〉
念願だったスクールアイドルになったもののいまいち人気が出ません。楽に人気を集める方法ってありますか?

〈ベストアンサー〉
質問者さんがグループで活動してるなら、積極的に百合営業していきましょう。個が弱くてもカプ需要を満たせばおのずと人気は出ます。
ソロで活動してるならとりあえず脱げ。話はそれからだ。

〈質問者からのコメント〉
はい脱ぎます…

155: 2022/07/09(土) 00:33:26.83 ID:PmH+FnsD.net
恋「百合営業……」フムフム

恋「なるほど。どうやら女性同士で仲睦まじくすることを百合営業と呼ぶようですね」

恋「そういえば、握手会の際に『かのちぃ』や『クゥすみ』といった単語を耳にしました」

恋「あれは百合営業を指していたのですね。実際にとても盛り上がっていたので、ファンサービスとしては効果てき面なようです」

恋「ふむふむ。確かに、自分の好きな方々が仲良くしているのを見るとこちらも嬉しくなります」

恋「わたくしもかのんさん達の仲の良さが垣間見えると微笑ましい気持ちになりますからね」

恋「さて、ファン獲得のため、これからはこの百合営業というものを頑張ってみましょう!」

恋「かのれん、ちされん、すみれん、クゥれん……」

恋「うーん、甲乙付け難いです……」


コンコンコン

サヤ「お嬢様。準備ができましたよ」

恋「あ、はい。いま行きます」

156: 2022/07/09(土) 00:38:22.23 ID:PmH+FnsD.net
チョキチョキ

サヤ「……お嬢様は、また一段とお美しくなられましたね」

恋「そ、そんなことありません」

サヤ「またまたご謙遜を。このサヤが申すのですから間違いありません」

恋「うう、このような至近距離で言わないでください……。恥ずかしいです」

サヤ「ふふ。照れたお顔もかわいいですよ」


恋「……あの、サヤさん」

サヤ「はい」

恋「わたくしにファンレターを送ってくださった遠藤さんは……サヤさんだったのですね」

サヤ「……はい。メイドの身でありながら、差し出がましいことをしてしまいました」

サヤ「ご迷惑だったでしょうか……?」

恋「ふふふ。そんなことありませんよ」

恋「サヤさんの思いにわたくし、胸を打たれました。本当にありがとうございます」

サヤ「……そう言っていただけるとは、感謝の極みです」

157: 2022/07/09(土) 00:44:46.10 ID:PmH+FnsD.net
恋「そんなサヤさんに一つお訊きしたいのですが」

サヤ「はい。なんでしょう?」

恋「……わたくしはスクールアイドルとして、改善すべき点などありますでしょうか?」

サヤ「ございません。お嬢様はいつも完璧です」

恋「そ、そうですか……。何か言っていただけるとありがたかったのですが」

サヤ「それは難しい……。ああ、強いて言うならば一つだけ要望があります」

サヤ「5人で並んだ際に、恋様が端っこにいらっしゃることが多いので、できれば常にセンターで輝いていてもらえないでしょうか?」

サヤ「い、いえ、しかし……恋様は謙虚でおしとやかなお方です。あえて端にいるというのは解釈一致でもあり……」

恋「サヤさん……?」

サヤ「あ、すみません。お嬢様は今のままが一番素敵だと思いますよ」

サヤ「……いち葉月恋ファンからの意見です」

恋「そうですね……ありがとうございます。参考にさせてもらいますね」

158: 2022/07/09(土) 00:51:14.04 ID:PmH+FnsD.net
サヤ「さて、前髪はいい感じに整いました。いかがですか?」

恋「……ふふっ」

恋(サヤさんに手鏡を渡され覗き込むと、そこにはゆるんだ表情の自分が映っており、思わず笑ってしまいました)

サヤ「お嬢様……?」

恋「いつもの長さにいつもの角度。完璧な仕事です」

サヤ「光栄です」

恋「サヤさん、いつもわたくしのお世話をしていただきありがとうございます」

サヤ「いえ、礼には及びません」

サヤ「お嬢様のために尽くすことができる……それが何よりの喜びですので」

恋「……」チョンチョン

恋(前髪に触れるとまた思わずにやけてしまい、それを隠すために立ち上がりました)


恋(待っていてくださいね、サヤさん)

恋(いつかきっと、わたくしを応援してくださる皆様が誇れるような、立派なスクールアイドルになってみせますから……!)

159: 2022/07/09(土) 01:08:42.14 ID:PmH+FnsD.net
恋の部屋

恋「はづき……こい……れん…………」ヒトサシユビポチポチ

恋(エゴサーチ……)

恋(以前すみれさんが話していたのを思い出し、興味があったのでわたくしもやってみました)

恋「エゴサーチをすると、自分が世間一般からどのように思われているのかが一目でわかるそうです」

恋「果たして、わたくしはどう評価されているのでしょうか……?」


『葉月恋』

葉月恋 誰
葉月恋 不人気
葉月恋 いらない
葉月恋 ポニテ 癇に触る
葉月恋 3サイズ
葉月恋 結女 なんか増えてた
葉月恋 図書カード 偽善者
葉月恋 シビルドン
葉月恋 うるさい
葉月恋 スクールアイドル


恋「……」

恋「ど、どうやら……わたくしは世間からすると、あまりよい印象を持たれていないようですね……」

恋「前途多難です……。これからファンを増やしていきたいところなのに……」

160: 2022/07/09(土) 01:19:42.85 ID:PmH+FnsD.net
恋(……そうです!)

恋(幼少の頃より世間から衆目を集めてきた、あの方なら……)

恋(今のわたくしに適切なアドバイスを与えてくださるかもしれません……!)


prrrrr

恋「っ……」ドキドキ

恋「!」

恋「あ、わたくし、葉月恋と申します! すみれさんはご在宅でしょうか?」

恋「え……? あ、すみません!」

恋「携帯にかけたのですから、すみれさん以外が出るわけありませんよね……」カァァァァァ

恋「も、もう! 笑わないでください……!」

恋「むー……」

恋「……ええ。実は、その…………」

恋「……あ、あの、すみれさん」

恋「もしよろしければ……今度の休日、一緒にお出かけしませんか?」

176: 2022/07/09(土) 23:40:52.58 ID:PmH+FnsD.net
数日後 某喫茶店

恋(えー……お席は……)キョロキョロ

恋「……あ、すみれさん」

すみれ「ようやく来たわね。遅かったじゃない」

恋「す、すみません! かなり早めに家を出たのですが……」

すみれ「いや冗談よ? 私が早く来すぎちゃっただけ」

恋「そうでしたか……。どの道、すみれさんを長くお待たせしてしまい……」

すみれ「あーもうそういうのいいから! 早く座りなさいったら座りなさいよ」

恋「……はい、失礼します」ヨイショ

すみれ「えっ」

恋「? すみれさん、どうかされましたか?」

すみれ「い、いや……なんでもないわ……」

すみれ(なんで向かいの席が空いてるのに私の隣に来たの!?)

すみれ(これじゃ私たち、カップルみたいじゃない……!?)

すみれ「末恐ろしいわね、この子……」

恋「?」キョトン

177: 2022/07/09(土) 23:50:29.48 ID:PmH+FnsD.net
「オマタセシマシター」

すみれ「ありがと」ニコッ

恋「ありがとうございます。わざわざすみません……」


すみれ「ふっ、やっぱりいちごなのね?」

恋「いちごであればなんでもいいわけではないのですよ? ……まあ特にこだわりはありませんが」

すみれ「急に早口になったわね」

恋「そ、それより、すみれさんは何を頼まれたのですか?」

すみれ「ふふんっ♪ この平安名すみれにふさわしいギャラクシーミックスティーよ!」

すみれ「あ、ちょっと待ってね。SNS用に写真撮りたいから……」

すみれ「ほら、何してるのよ? もっと近付きなさいったら」

恋「わ、わたくしも被写体となるのですか!?」

すみれ「当然でしょ♪」

パシャパシャ

すみれ「……恋が対面に座ってたら匂わせみたいになるところだったわね。隣にいてくれてよかったわ」ボソッ

恋「何かおっしゃいましたか?」

すみれ「いえ、こっちの話よ」

178: 2022/07/09(土) 23:59:58.56 ID:PmH+FnsD.net
すみれ「……それにしても、恋からお誘いの電話がくるなんて……珍しいこともあるものね」

恋「すみません、せっかくの休日に呼び出してしまい。ご迷惑だったでしょうか……?」

すみれ「平気の平安名よ。私にしては珍しく予定のない日だったから、誘ってもらえてよかったわ」

恋「そう言っていただけると幸いです」

すみれ「で、なんの用件だったかしら?」

恋「実は……」

恋(すみれさんに『葉月恋』のエゴサーチ結果をお見せしました)

すみれ「あー……やっぱり世間様の目は厳しいわね」

すみれ「……って、シビルドン?」

恋「わたくしの現段階での評価はあまり芳しいものではありません」

恋「これから人気を集めるためには、まずはわたくしの好感度を高める必要があります」

恋「すみれさん! わたくしが好感度を得るにはどうすればよいと思いますか……!?」

すみれ「……そう、なるほどね」

すみれ「だから私か……」

179: 2022/07/10(日) 00:10:48.68 ID:iwkBr1jM.net
すみれ「……前の握手会の時に、恋が言ってたこと」

すみれ「可視化された努力……だったかしら」

すみれ「正直、私としてもあれには思うところはあったわ。でも──」

すみれ「現状を打破していい方向に進みたいっていうのなら……この平安名すみれ、喜んで協力するわ!」

恋「すみれさん……!」

すみれ「ショウビジネスの世界で生きてきた経験を活かした、私にできる最大限のアドバイスをしてあげるんだから!」

恋「はい、お願いします!」

180: 2022/07/10(日) 00:20:20.03 ID:iwkBr1jM.net
すみれ「まずは、そうね……」

すみれ「恋は……アレよ。普段からギンギンすぎるのよ」

恋「……もしかして、慇懃」

すみれ「そう、それよ。インギン」

すみれ「どうにも堅苦しい感じがして、見てる人からすれば近寄りがたいのかもしれないわ」

恋「そ、そんな……! わたくしのアイデンティティが否定されようとしています……」

すみれ「ほら、一回試しにその敬語キャラやめてみれば?」

恋「えっ!?」

恋「ですが……やめると言っても、そう簡単には……」


すみれ「あ、注文いいですかぁ?」ニコッ

「ハイーヨロコンデー」

すみれ「……さ、タメ口で注文してみなさいよ♪」

恋「!?」

181: 2022/07/10(日) 00:32:38.45 ID:iwkBr1jM.net
「ゴチュウモンオウカガイシマスー」

恋「え、えっと……」

恋(急にタメ口で話せと言われましても、どうすればよいのですか!?)

恋(そもそも、注文するメニューすら決めていませんし……)

恋「あ、あの。少しお待ちいただいても──」

すみれ「」グイッ

恋「ひゃっ!?」

恋(わたくしが敬語を使うと、わき腹をツンツンされてしまいます……!)

恋(うう、何故このようなことに……)

182: 2022/07/10(日) 00:49:01.73 ID:iwkBr1jM.net
「……アノー、ゴチュウモンハ?」

恋「……あの」

恋「こ、この、いちごのショートケーキを……」

恋「…………」

恋「くれ……です」

すみれ「ぶふっ」

「カシコマリマシター」スタスタ


恋「忸怩たる思い……」カァァァァァ

すみれ「ふふ、ふふふ……あ、やばい。ツボに入ったかも……」ピィーーーーーーー

183: 2022/07/10(日) 01:11:47 ID:iwkBr1jM.net
恋「すみれさん……」

恋「わたくしがタメ口になったことで、果たして何か変化したで……したのかですか?」

すみれ「んーそうね。一つわかったのは……」

すみれ「恋にタメ口は向いてないわ」

恋「……って何故やらせたのですかー!」ズコー

すみれ「ごめんなさい、ちょっと揶揄ってみたくなったのよ」

恋「ううう……。すみれさんがひどいです……」

すみれ「でも今やってみたおかげでわかったでしょ?」

すみれ「恋は、そのままの姿が一番なのよ」

恋「……」

恋「同じようなことをサヤさんにも言われました」

すみれ「そう、よくわかってるじゃない! 流石はメイドさんといったところかしら」

恋「ですが……」

恋「今までのわたくしではダメなんです……」

恋「わたくしは、変わらなければ……」

すみれ「……」

184: 2022/07/10(日) 01:33:48.46 ID:iwkBr1jM.net
すみれ「……きっと、そうね」

すみれ「恋には露出が足りてないのよ」

恋「ろ、露出!?」

恋「布面積が少ない衣装もあるのに、これ以上肌を見せろというのですか……!? 破廉恥です!」

すみれ「なんでそっちに思考が飛ぶのよ!」

すみれ「いい? スクールアイドル歴で見れば、恋は私たちよりも活動期間が短いの」

恋「……確かに、5人の中ではわたくしが最後に加入しています」

すみれ「だからその分、ファンの方にアピールする機会も私たちより少ないし、認知度にも差があるはずだわ」

すみれ「あー、つまりね、何が言いたいかというと……」

すみれ「恋には素敵なところがたくさんあるのに、ファンの人達にまるで知られてないのよ」

すみれ「だからもっと恋のことを知ってもらえるように露出を増やすべきだと私は思うわ」

恋「それは普段の動画配信では足りませんか……?」

すみれ「配信だといつも緊張で変な感じになってるじゃない」

恋「……返す言葉もありません」

185: 2022/07/10(日) 01:43:03.19 ID:iwkBr1jM.net
すみれ「……投稿っと♪」ポチィ

恋「すみれさん。いま何をされたんですか?」

すみれ「さっき撮った恋とのツーショットをSNSにあげたの」

恋「えすえぬえす……」

すみれ「知らない? インターネット上でいろんな情報を……」

恋「それくらい知っています! ただ、やったことがなくて……」

すみれ「一応グループとしての垢で活動してるし、LINEもSNSに入るんだけど……まあいいわ」

すみれ「私が思うに、恋は個人垢でSNSをやるべきだわ」

恋「わたくしが……ですか」

すみれ「露出の機会が少ないなら、自分で増やす!」

すみれ「本気でスクールアイドルとして人気取りたいなら、これぐらいやってのけるのが当然でしょ?!」

恋「!!」

186: 2022/07/10(日) 01:52:18.97 ID:iwkBr1jM.net
恋(わたくしに足りなかったもの……それは)

恋(えすえぬえす……!)

恋「ありがとうございます、すみれさん」

恋「わたくしの進むべき道がはっきりと見えた気がします……!」

すみれ「え、そう……?」

恋「ん~♪」

恋「このいちごケーキ、美味しいです!」

すみれ「……」

すみれ「ま、恋がいいならそれでいいんだけど……」

すみれ(正直、恋の相談に乗れるか不安だったけど……)

すみれ(満足してるみたいだし、これで万事解決……よね?)

187: 2022/07/10(日) 02:00:07.82 ID:iwkBr1jM.net
恋「ごちそうさまでした」ナムナム

すみれ「ん、じゃあ次どこ行く?」

恋「ツギドコイク……?」

すみれ「……ちょっと、まさか」

すみれ「この平安名すみれを誘っておきながら、お茶飲んで終わりなわけ!?」

恋「えっと……」

恋「……すみれさんの家までお送りしましょうか?」

すみれ「ちーがーうーでーしょー!」

恋「!?」

すみれ「……ったく、恋もまだまだみたいね」

すみれ「ほら、行くわよ」

恋「行くって、どこへですか?」

すみれ「ウィンドーショッピングよ。欲しいアイテムがあるか見に行きたいの」

すみれ「今日は恋のために貴重な休日を使って来てあげたんだから」

すみれ「私の用事にもとことん、付き合いなさいったら付き合いなさいよ♪」


恋(その後、すみれさんに連れ回され、いろいろなお店を巡り……)

恋(とても有意義で、楽しい休日を過ごすことができました)

188: 2022/07/10(日) 02:09:02.06 ID:iwkBr1jM.net
公園

恋(今日はぐっすりと眠れそうです~)

恋「ふんふふんふふーん♪」

恋「ふんふふんふ……」

???「ふんふふんふふーん♪」

恋「……」

恋(公園のブランコの所に、ダンボールに入った女性がいます……)

恋(何やら楽しげに歌っていますね……)


???「ふんふふんふ……」

???「……ん?」

恋「!」

恋(目が合ってしまいました……!)

恋(お母様から教わった通り、不審者を見たらすぐに逃げなければ……!)タタタ

???「あ、ちょっと──」

???「……あー、行っちゃったかー」

189: 2022/07/10(日) 02:15:25.92 ID:iwkBr1jM.net
恋の部屋

恋(早速SNSアプリをサヤさんにインストールしてもらいました!)

恋(これからわたくしの近況などを逐一報告していきましょう)

恋(PGP──人気獲得作戦は、着々と進行中です!)

恋「……」

恋(そういえば、すみれさんから上手にエゴサする方法を教わりました)

恋(なんでも、名前の後にポジティブな単語を入れて検索することにより)

恋(自分にとって都合のいい結果のみが抽出されて得られるようです)

恋(試しにやってみましょう!)

恋「葉月恋……」カタカタ

恋「そうですね……。恥ずかしいですが、『かわいい』を付けてみますか」カタカタ

恋「……検索!」ッターン


『葉月恋 かわいい』

葉月恋をかわいいと思ったことがない
【画像】葉月恋ってかわいいか?


恋「……ってダメじゃないですかー!」ズコー

199: 2022/07/11(月) 23:45:01.98 ID:4dtzR6fM.net
2月某日

恋「朝から冷えますねぇ」ハァー

恋(吐く息白し、すぐに地面と同化してしまいました)

恋(皚々としたこの景色は、いっそう神秘的でもあります)

恋「しかし、よりにもよってこの日に雪が積もるとは……」

恋(今日は私立結ヶ丘女子高等学校の一般入試当日)

恋(わたくしたち在学生はお休みですが、受験生にとってはここが一つの分水嶺となります)

恋(全国津々浦々から、ここ結ヶ丘への入学を希望する生徒達が集まるわけですが……)

恋「雪の影響で交通機関は止まっているところが多いようですね」

恋「受験生の皆さんは無事辿り着いてくれればよいのですが……」

恋「……ん?」


???「うう、吐きそうっす……」

恋「……」

恋(白銀の世界に犬が埋まっていると思ったら、人でした)

200: 2022/07/11(月) 23:48:07.88 ID:4dtzR6fM.net
恋「……あのぉ」

???「は、はいっ! 何っすか……?」

恋「先程からそこでうずくまっていらっしゃいますが、大丈夫ですか?」

???「……!」

???「初めて血の通った人間が……話しかけてくれたっす……!」

恋「えっ、血……?」

恋(彼女はゾンビがはびこる世界から来たのでしょうか?)

???「あ、あの! ちょっとお伺いしてもよろしいっすか?」

恋「はい、なんでしょうか?」

???「きな子……じゃなくて私、結ヶ丘高校に行きたいんすけど、道に迷ってしまったっす……」

???「今日は大事な受験の日なのに……」

恋「!」

201: 2022/07/11(月) 23:52:35.84 ID:4dtzR6fM.net
???「ちゃ、ちゃんとホテルからの道順は確認してたんす……。けど……」

恋「けど?」

???「……来る途中にすれ違い続ける人の群れに酔ってしまい、小道に入ったが最後」

???「完全に行き先を見失ってしまったっす……」

恋「そうでしたか……。それは災難でしたね」

???「それと、受験のプレッシャーとか諸々含めて吐きそうだったんすけど……」

???「……今、お姉さんに話しかけてもらえて、気持ちが少し楽になったっす」

???「嗚呼! あなた様はまさに、雪原に舞い降りた天使っす!」

恋「天使!? い、いえ、わたくしは普通の人間ですよ」

恋「それより、時間は大丈夫ですか? あまり話している余裕はないのでは」

???「あー! そうっす、時間内に席についてないとテスト受けられないって言われたっす!」

???「……あ、あの」

恋「ふふん、道案内ですね。それならば、この"お姉さん"にお任せください!」ドヤ

???「おー! 頼もしいっす!」

202: 2022/07/11(月) 23:55:13.05 ID:4dtzR6fM.net
数分後

???「……ここ、さっきも通らなかったっすか?」

恋「……どうやらそのようですね。数分前の我々の足跡がそこにありますので」

???「うう、完全にホワイトアウトっす……!」

恋「いえ、大丈夫です。そこまで大げさなものではありません。ただの迷子です!」

???「迷子は大丈夫のカテゴリーに入るんすか!?」

恋「うっ……」

恋(頼ってもらえたことが嬉しくて道案内を試みたものの、時間を無駄にしただけでした……)

恋(もしもわたくしのせいで、この子が受験に間に合わなかったら……)

203: 2022/07/11(月) 23:58:33.42 ID:4dtzR6fM.net
サヤ「お嬢様。いかがなされましたか?」スタッ

恋「サヤさん……! 何故ここに?」

サヤ「お嬢様のGPS信号がずっと同じ辺りをうろうろしているので、何事かと思い駆けつけた次第です」

恋(じいぴいえす……)

恋「サヤさん。わたくしのことはいいので、今すぐこの方を結ヶ丘まで案内していただけないでしょうか?」

サヤ「……承知しました。最短ルートでお送りさせていただきます」

???「え、えぇっと……?」

恋「大丈夫ですよ。サヤさんはわたくしが信頼する方なので、これでもう安心です」

恋「受験は緊張するかもしれませんが……積み重ねてきた努力は嘘ではありません。必ずあなたの力になってくれます!」

恋「わたくしはあなたのことを応援していますので、全力で頑張ってきてください!」

???「……はい!」

???「きな子……じゃなくて私、頑張るっす! ありがとうございますっす、お姉さん!」

サヤ「では行きましょうか」

???「は、はいっす!」


恋(──頑張れ、うら若き乙女達よ)

204: 2022/07/12(火) 00:10:33.62 ID:iyx633bO.net
駅前広場

可可「あ、レンレン~」

恋「すみません……。クゥクゥさんからせっかくお誘いいただいたのに、待ち合わせに遅れてしまい……」

可可「その程度なら無問題デス」

可可「いつもは絶対に遅刻しないレンレンのことですから、今日は何か事情があったに違いありマセン」

可可「それより……」ジーッ

恋「? な、なんでしょう……」

恋(クゥクゥさんがわたくしを矯めつ眇めつ、ジーッとねめつけてきます……)

可可「……今日のレンレンは一段とオシャレさんデスネ。とってもお似合いデス!」

恋「そ、そうでしょうか……? 服装はいつもサヤさんに繕ってもらっていますが」

可可「ハイ! とってもかわいいデス~♪」

恋「く、クゥクゥさんの格好もいいですね! 黒の外套が雪に映えてオシャレです」

恋「2月は衣更着(きさらぎ)とも言いますからね。防寒にオシャレを組み合わせていてとても素敵ですよ」

可可「そ、そうデスカ……? えへへ~レンレンにほめられマシタ♪」

205: 2022/07/12(火) 00:14:32.22 ID:iyx633bO.net
可可「……そういえばレンレン」

可可「つい最近、すみれと仲良くデートしていたそうデスネ」

恋「デート……? 少し相談に乗っていただいただけですが」

可可「そうデスカ、あーそうデスカ。しらばっくれるつもりデスカ」

可可「……しかし、ここにばっちりとネタはあがっているのデスヨ!」ババーン

恋「これは……」

恋(SNS……すみれさんの投稿です!)

恋(すみれさんとわたくしのツーショット写真に、いいねがたくさんついています!)

恋「こ、これが百合営業効果……!」

可可「んー? 何を言っているのデスカ」

恋「あ、いえ。気にしないでください」

可可「……とにかく、可可はこれに怒っていマス!」

可可「二人きりでこっそり会うとは卑怯千万! レンレンには可可とのデートも楽しんでもらいマス♪」

恋「は、はい……?」

恋(クゥクゥさんは怒っている……のでしょうか?)

恋(わたくしの目からは楽しそうに見えますが……)

206: 2022/07/12(火) 00:18:08.89 ID:iyx633bO.net
可可「では出発デスー!」

可可「……ふぎゃっ!」ツルッ

恋「おっと。お怪我はありませんか?」ダキッ

可可「……大丈夫デス。ありがとございマス」

恋「足元には気をつけてくださいね」

可可「……何故レンレンはこの雪道をナニクワヌ顔で歩けるのデスカ?」

恋「そうですね。バレエやフィギュアで体幹を鍛えてますので、そのおかげだと思います」

恋「さ、クゥクゥさん。滑らないように、わたくしのお手に捕まって歩きましょう」

可可「!?」

可可「……だ、大丈夫デス! 可可は一人でも……もぎゅっ!」ツルッ

恋「ああ、やはり危ないので手を持ってください」

可可「~~~っ!!」

可可「……クツジョク的な気分デス」

恋「えっ!?」

恋(わ、わたくしの手に触れるのがそんなに嫌なのですか……!?)ガーン

207: 2022/07/12(火) 00:24:28.30 ID:iyx633bO.net
恋(やはり……わたくしの手は末端冷え性で、雪女のように冷たいのでしょうか……)オロオロ

可可「……」

ギュッ

恋「!」

可可「……可可が危ないので、手をつなぎマシタ」

恋「クゥクゥさん……」

恋(つないだ手と手に、確かな温もりを感じました)

可可「……何しているのデスカ?」

可可「デート、行きマスヨ!」

212: 2022/07/12(火) 23:18:36.52 ID:iyx633bO.net
恋(「食べ物デート」と銘打っていただけあって、クゥクゥさんと多種多様な飲食店──主に甘味処──を巡りました)

恋「……あ、きな粉もちです」

可可「レンレンはきな粉好きデスカ?」

恋「ええ、好きですが……そうではなくて」

恋「今年結ヶ丘を受験される中学生の子で、きな粉がお好きな方がいまして」

恋「ふふっ、その方はとてもかわいらしいのですよ?」

恋「好きが高じてか、自分の一人称を『きな粉』と間違えていたんです」

可可「か、かわいい……!」

可可「もう少しすればその子も後輩デスネ! 今から楽しみデス~♪」

恋「今日が受験当日ですので、まだ合格が決まったわけではありませんが……」

恋(結ヶ丘の先輩として、また会える日を心待ちにしております)

213: 2022/07/12(火) 23:26:07.79 ID:iyx633bO.net
可可「あ、レンレン! 見てクダサイ!」

恋「わぁ、動物さんのお菓子がたくさん並んでいます。かわいい……」

可可「あ、パンダのクレープデス! これはレンレンにぴったりデスネ」

恋「わたくしに……ですか?」

可可「ハイ。レンレンはパンダデス」

恋「レンレンはパンダ」

恋(……レンレンはパンダ?)

恋(反芻してみましたがよくわかりません)

恋「もしかして、客寄せパンダのような意味合いでおっしゃっているのですか?」

恋「……って誰が客寄せないパンダですかー!」ズコー


可可「……何を一人で盛り上がっているのデスカ」

恋「す、すみません……。癖になっているようで……」

可可「意味も何も、言葉そのままデス」

可可「レンレンはパンダみたいデス! 愛くるしくてとってもかわいいデス♡」

恋「えっ……! そ、そんなことありません。指は7本もありませんし……」

可可「指……?」

214: 2022/07/12(火) 23:29:16.42 ID:iyx633bO.net
可可「あ、パンダで思い出したことがありマス」

可可「前にレンレンが学校お休みした日、可可達でレンレンのお家にお見舞いに行きマシタ」

恋「ええ、あの時は皆さんに来てもらえてすごく嬉しかったです」

可可「その時、可可が渡した……たべっ子どうぶつ?」

可可「あれのパンダは出マシタカ?」

恋「あ、いえ……。いろいろな動物さんがいましたが、パンダだけ見つかりませんでした」

可可「そうデスカ……」

恋「ですが、他の動物さん達をつぎはぎして作りましたよ。
『P・A・N・D・A』を!」

恋「写真もありますよ。ほら」

可可「ヒィエ!? キメラパンダ……!」

恋「いつ見てもかわいいですよね~♪」

恋「……ん? クゥクゥさん、どうかされましたか?」

可可「レンレンこわい……オソロシイコノヒト……」ガタガタ

215: 2022/07/12(火) 23:33:05.32 ID:iyx633bO.net
可可「……んー?」

可可「レンレン。"おてあらい"団子は何デスカ? おトイレデスカ?」

恋「いえ……それは御手洗(みたらし)と読むのですよ」

可可「オーみたらし! アニメで観たことがありマス!」

恋「ちなみに、京都の神社にある池の名前が由来なのですが……」

可可「ワァーオイシソウデスー」キラキラ

恋「……一緒に食べましょうか」

可可「!! ……ハイッ!」

「マイドアリー」

可可「ん~♪ ほっぺた落ちマス~」

恋「美味しいですねぇ~」

可可「みたらしさん漢字読めなくてスミマセン。次からはちゃんと読みマス!」

恋「クゥクゥさんは勉強熱心なのですね」

可可「可可はぜんぜん日本語へたくそデスカラ。もっと勉強しなくちゃいけマセン」

恋「いい心がけです」

可可「えへえへ」

217: 2022/07/12(火) 23:37:37.95 ID:iyx633bO.net
可可「あ、レンレンの葉月は知ってマス!」

可可「葉月は8月の意味デス」

恋「はい。正解です♪」

可可「やたー!」バンザーイ

恋「旧暦の和風月名と呼ばれるもので、1月から12月まであるのですよ」

可可「へー、レンレンはなんでも知っていマスネ。博士デス」

恋「そ、そのようなことは……。わたくしにも知らないことはたくさんあります」

恋「たとえば、人気が出る方法……ですとか」

可可「んー人気デスカー。可可はその辺あまり気にしたことがありマセン」

恋「そうですか……。わたくしは嫌でも目について、気になってしまいますが」

可可「気にしすぎはよくないデス。人気にシューチャクしすぎて破滅したスクールアイドルも少なくありマセン」

恋「……」

恋(そう言われて割り切れるほど、わたくしには心の余裕がありませんでした)

恋(やはり、人気こそ正義なのです)

218: 2022/07/12(火) 23:43:05.25 ID:iyx633bO.net
恋「日が暮れるのが早いですね。もう帰らなくては」

可可「今日はとても楽しい一日デシタ! いっぱい美味しいものが食べられて満足デス~」

恋「ふふっ、これだけ食べたらしばらくダイエット生活が続きそうですね」

可可「エー! なわとびダイエットはもう嫌デス……」

可可「……レンレンも一緒に付き合ってクダサイ~。イタレンチクショーデス」

恋「一蓮托生ですね。はいはい、わかりましたよ。わたくしもお付き合いします」

可可「レンレン~♡」

219: 2022/07/12(火) 23:47:24.12 ID:iyx633bO.net
可可「あ、そうデス」

可可「レンレン。今日の写真はSNSにアップしてもいいデスカ?」

恋「写真?」

可可「これデス」

恋(わたくしがいちごバーガーを食べているところです……)

可可「このレンレンは特にかわいいデス♪ かのん達にも見せてあげたいデス♪」

恋「別に構いませんが……クゥクゥさん! わたくしも……」

恋「クゥクゥさんとのツーショット写真のほう、掲載してもよろしいでしょうか……?」

可可「もちろんデス!」

恋「嗚呼、ありがとうございます……!」

恋「クゥクゥさんとの抱き合わせ百合営業であれば、いいねもたくさんもらえそうです……」

恋「……って誰が不人気商品ですかー!」ズコー


可可「……レンレン」

可可「レンレンは、自分に自信がないデスカ?」

恋「……!」

220: 2022/07/12(火) 23:51:54.48 ID:iyx633bO.net
可可「握手会以来、レンレンは人気のためにいろいろと頑張っていマス」

可可「目標に向けて努力することは悪ではありマセン。デスガ……」

可可「……今のレンレンでは、ダメなのデスカ?」

恋「……今のわたくしは、世間から受け入れられていないのです。現状を変えるためにできることがあるなら、それをやるまでです」

可可「それはファンの目がフシアナなのデス! レンレンのよさを何も知らないだけデス!」

可可「レンレンはかわいいデス。それから歌もダンスもすごいデス。天然なところも美味しそうに食べてるところも工口サイト観ているところも、すべてがレンレンのよさデス!」

恋「さ、最後のは要りませんが……」

可可「可可には先見の明がありマス。先見の明でかのんをスクールアイドルに誘いマシタ! レンレンも同じデス」

可可「レンレンはいずれジンコーにカイシャしたスバラシイスクールアイドルになりマス! 可可が断言しマス!」

可可「可可は……今のレンレンが好きデス!」

恋「クゥクゥさん……」

221: 2022/07/12(火) 23:58:20.03 ID:iyx633bO.net
恋「……もうこんな時間ですね。早く帰らないとサヤさんが心配します」

可可「レンレン……」

恋「……クゥクゥさん、ありがとうございます」

恋「クゥクゥさんに誉めていただけて、とても嬉しかったです」

可可「……それならばよかったデス」

恋「どうか安心してください」

恋「わたくしはこれからも、"Liella!のため"に頑張るだけですから」


恋「わたくしもクゥクゥさんと過ごせて、とても価値ある一日でした」

恋「よければまたお誘いください。あ、でもその前にダイエットしなくては……ですね」

可可「……ハイ」

恋「それではまた学校でお会いしましょう」

可可「……拜拜」

ザクッ ザクッ

恋(雪を踏む音はひとつしか聞こえませんでした)

恋(恐らく、クゥクゥさんはその場に留まり、ずっとわたくしの背中を眺めていたのでしょう)

恋(……わたくしはもう、歩みを止めませんよ)

222: 2022/07/12(火) 23:59:53.29 ID:iyx633bO.net
公園

???「むつききさらぎーやーよーいー」

???「うづき、さつき、みなーづーきー」

???「ふみづきはづきーながーつーきー」

???「かーんなづきしもつきーシワス」

???「……あ」

恋「……」

恋(またブランコのところでダンボールに入りながら歌っています……)

恋(あの方はこの公園の妖精さんなのでしょうか?)

223: 2022/07/13(水) 00:05:40.62 ID:oZRs3Nt9.net
妖精「あーお腹すいたなぁ……」グオオオ

恋「!」

恋(お持ち帰り用のいちごあめを持っていますが……)

恋「んー……」

恋「うぐぐ……」

恋「…………」


恋「……あげます」

妖精「え、全部もらっちゃっていいの!?」

恋「なっ……ダメに決まっています! 一つだけです!」

妖精「あはは。冗談だよ♪」

妖精「ありがとう。恋ちゃんは優しいね」

恋(何故わたくしの名前を……)

恋(そこまで知名度はないはずなのに……)

224: 2022/07/13(水) 00:09:07.04 ID:oZRs3Nt9.net
恋の部屋

恋(家に帰ってから、今日撮った写真や諸々をSNSに載せました)

恋「以前に比べれば、いいねやコメントをもらえることが多くなりましたが……」

チビ「ヘッヘッヘッ」トテトテ

恋「チビ!? み、見てはいけません!」

チビ「?」


葉月恋です。 30分前
我が家の愛犬チビと記念撮影しました。もふもふでとてもかわいらしいのですよ。

――――――――――――――――――

しいたけ 30分前
ぶっさw駄犬乙www

アルパカ 18分前
デカいのに名前チビとかスベってるぞ

はんぺん 13分前
これがマスコット犬の姿か…?

マンマル大好きクラブ 2分前
恋ちゃんかわE!

焼きりんごミディアム 1分前
@マンマル大好きクラブ わかる。ママって呼んでほしい。


恋「チビ……。おまえは何も悪くありません、すべてわたくしの責任なのです……」

チビ「Bow?」

226: 2022/07/13(水) 00:14:08.33 ID:oZRs3Nt9.net
恋「百合営業が功を奏したのか、ゆるやかにフォロワーも増えているようですが」

恋(かのんさん達は、わたくしよりもはるか先にいます……)

恋「……もっと」

恋「もっと……もっとです……」

恋「もっと人気を得るために、必要なことは……」

恋「もっと注目を集めるには、どうすれば……」

239: 2022/07/14(木) 23:21:21 ID:/IFvzuFp.net
2月13日 澁谷家

千砂都「ういっす〜」

恋「おじゃまします」

ありあ「千砂都さんと恋さん。いらっしゃい〜」

千砂都「マンマルも〜ういっすー!」

マンマル「hoo?」


ありあ「」コクッ

恋「……」コクッ



今から2時間ほど前

恋『千砂都さんから、いま欲しい物がないかを聞き出す……ですか』

すみれ『ええ』

240: 2022/07/14(木) 23:25:46 ID:/IFvzuFp.net
可可『もうすぐ千砂都の誕生日デス。なのでサプライズ作戦決行デス!』

恋『内密に千砂都さんへの誕生日プレゼントを用意するわけですね。わかりました』

恋『しかし何故わたくしに頼むのですか……?』

かのん『ほんとは私がする予定だったけど……』

すみれ『ほら、かのんの口ほど信用に足らないものはないでしょ?』

かのん『うっ、ひどい言われよう……』

すみれ『あんたは前科しかないでしょ!』

かのん『返す言葉もない!』

可可『可可も隠し事は得意ではありマセン。すみれは肝心な時に限ってやらかすので論外デス』

すみれ『……まあそんな感じの消去法で、恋にしか頼めないって結論になったの』

恋『わ、わたくしにそのような大事な使命、務まるでしょうか?』

かのん『きっと大丈夫じゃないかな?』

かのん『だって、恋ちゃんだもん』

恋『はぁ……』

241: 2022/07/14(木) 23:28:38 ID:/IFvzuFp.net
そして現在

恋(ありあさんも協力してくださるそうですが、果たしてわたくしは無事に聞き出すことができるのかどうか……)

千砂都「まーんまる〜」

マンマル「……」

千砂都「ホー、ホー」

マンマル「……」メソラシ

千砂都「んーツレないなぁ」

恋「千砂都さんは本当に丸に目がないのですね」

千砂都「えへへ。だって丸は自然界でもっとも優れた形だからね」

恋「ほー、なるほど。千砂都さんの言にも一理あるかもしれません」

恋「マンホールが丸なのも、誤って落下したりしない形だからと聞いたことがあります」

千砂都「そうなの! 丸こそ進化の極地なの。回転こそが真理なの」

恋「そ、そうでしたか……」

恋(なんとかして、千砂都さんが欲しいものを探らなければ……!)

242: 2022/07/14(木) 23:31:27 ID:/IFvzuFp.net
恋「千砂都さん。お伺いしたいことがあるのですが」

千砂都「うん」

恋「千砂都さんは、何が一番好きですか?」

千砂都「まる」

恋「……そうですか」

千砂都「うん。丸しか勝たん」

恋(つまり丸をプレゼントすればよいのでしょうか……?)

恋(んんん……ざっくりとしていて難しいです……)

ありあ「に、二番目に好きなものはなんですか!?」

恋「!」

恋(ナイス質問です、ありあさん!)

千砂都「二番目はかのんちゃん」

恋「……了解しました」

ありあ「了解しちゃダメですよ!?」

千砂都「?」

243: 2022/07/14(木) 23:35:50 ID:/IFvzuFp.net
恋(……これ以上踏み込んだ質問をすれば、計画が筒抜けとなってしまう恐れがあります)

恋(ここは、自然な会話の流れで探りを入れていくほかありませんね)

恋「千砂都さん。最近ダンスのほうはどうですか?」

千砂都「ダンスはますます好調だよ」

千砂都「振り付けもいくつか考えててね……あ!」

恋「!?」

恋(まさか、バレてしまったのでは……)

千砂都「ねえねえ恋ちゃん! 観てもらいたいものがあるんだけど、いい?」

恋「へ……? あ、はい。観ます」

千砂都「これなんだけどね」

恋「……ダンスの動画ですか」

千砂都「うん♪ この手のジャンルにはまだ挑戦したことないからさ、新しく振り付けに取り入れようか考えてるとこなの」

千砂都「ここは是非ともLiella!のエースである恋ちゃんに、ご意見をちょうだいしたくて」

恋「エースというのは僭称ですが……そうですね。試みとしては面白いと思います」

千砂都「やっぱり!? ここの全身で美しさという概念を表現してるとことか決めポーズとして輸入できそうだなーって思ってたんだ〜」

恋「いいですね。では、これに合わせた曲作りを……」

ありあ(恋さん、作戦のこと忘れてない……?)

244: 2022/07/14(木) 23:40:07 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「……ここの振り付けは恋ちゃんとかすみれちゃんが合いそうだね」

恋「そうでしょうか? 千砂都さんであれば、このような大胆な動きも映えるのでは……」

千砂都「いやいや、そうじゃなくて」

恋「……ち、千砂都さん?」

恋(千砂都さんは、マンマルもびっくりの鋭い目付きでわたくしを見ています)

恋(いえ、視線は少し下に向いていますね)

恋(ちょうど、わたくしの胸あたりに……)

恋「ってどこ見てるんですか!」

千砂都「世界はゼロサムで成り立ってるんだろうけど、こればっかりは理不尽で不平等だよ」

千砂都「恋ちゃんのプロポーションなら……ここの強調した動きも様になるんだろうね。ははははははは」

恋(乾いた笑い声が木霊しています……)

245: 2022/07/14(木) 23:45:58.41 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「……大丈夫だよ恋ちゃん。私は自分の身体にコンプレックスなんて感じてないから!」

恋「そうですか。ならよいのですが……」

千砂都「あ、でも一応ね? 参考までに聞かせてほしいんだけど」

千砂都「……恋ちゃんはどうやってそこまでおっOいを育てたの?」

恋「!?」

恋「そ、そう言われましても……。別にわたくしは何も……」

千砂都「ほんとかなぁ〜? たとえば葉月家の地下施設では成長薬の研究が行われてるとか……」

恋「わたくしの父が経営しているのはルーペの会社です! そのような怪しい薬には一切関与していませんー!」

千砂都「じゃあアレかな? 毎日わしわしすることで大きくしてるのかなぁ?」

恋「ち、千砂都さん!? 何故近づいてくるのですか……きゃあ!!」

ホレホレココガイインジャロ? オヤメクダサイー!

ありあ(ダメだ。完全に忘れてる……!)

ありあ(こうなったら、私が……)


ポロッ

246: 2022/07/14(木) 23:48:54.03 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「ん? 恋ちゃん、何か落ちたよ」

恋「え……?」

恋(はっ! あのメモを見られてはなりません……!)

ありあ(何やってるの恋さん!?)

千砂都「」ヨイショ

恋(ああ! 千砂都さんが今、床に落ちたメモに手を伸ばして……)

ありあ(やばいやばいやばい!)

恋(万事休す──)


シュバッ!!

恋「!」

ありあ「!」

マンマル「hoo!」ピュー

恋「マンマル……!」

恋(マンマルが恐ろしく速い飛行でメモを拾ってくれました!)

ありあ(ナイス過ぎるよマンマルぅ!)

247: 2022/07/14(木) 23:53:32.63 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「わあ、びっくりした! マンマルって飛ぶんだ……」

マンマル「hoohoo♪」

恋(さあ、マンマル! そのメモをわたくしのもとへ……)

マンマル「」コクッ


ポロッ

恋「!」

ありあ「!」

マンマル「!」

恋(メモが! マンマルの脚から落ちてしまいました……!)

恋(し、しかし! まだ諦めません!)

恋(このまままっすぐ落下してくれれば、自ずとわたくしの手元に収まるという算段です!)

恋(さあ、こちらへ……こちらへ……)


メモ「」フワフワ

恋「!?」

ありあ「!?」

マンマル「!?」

恋「軌道が、変わった……!?」

ありあ「空調だ……。店内の空調が、恋さんの計算を狂わせたんだ……!」

マンマル「hoo……」

千砂都(みんな何やってるんだろう……?)

248: 2022/07/14(木) 23:55:59.58 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「……よっと!」パシッ

千砂都「はい、恋ちゃ……」


千砂都さんサプライズパーティ用To Doリスト
1.千砂都さんが今ほしいものを調べる(葉月恋担当)
→なければもらって喜びそうなものを考える
2.プレゼントを用意する(4人で)
3.クラッカーを買いに行く(4人で)
→2,3は千砂都さんに勘付かれないよう注意!
4.当日、千砂都さんが来る前に部室を装飾する
→誰か一人が千砂都さん足止め必要?

2月25日は嵐千砂都さんのお誕生日です!いぇい!
当日はクラッカーを鳴らしてサプライズ!千砂都さんの驚く顔が楽しみです!
その後プレゼントとケーキを出し、皆さんで千砂都さんを盛大にお祝いしましょう!

249: 2022/07/14(木) 23:58:25.82 ID:/IFvzuFp.net
千砂都「……」

恋「ああ!」

千砂都「……あー、今なんか視力0だなぁ。何も見えないや」

恋「……流石に無理がありますよ」

千砂都「……だよね」

ありあ「終わった……」

マンマル「hoo……」


千砂都「……まあ、サプライズではなくなっちゃったけど、誕生日パーティ自体はできるんだし」

千砂都「それに、みんながこうやって私のためにいろいろしてくれてるって知れて嬉しいよ! ありがとう!」

恋「千砂都さん……」

恋(その優しさが身に沁みます……)

250: 2022/07/14(木) 23:59:51.37 ID:/IFvzuFp.net
ちぃちゃんバースデーサプライズパ…(4)


クク
〈がんばレンレン!〉17:21

へあんな
〈頼んだわよ〉17:21

Kanon
〈ちぃちゃん鋭いから〉17:22

Kanon
〈バレないように!〉17:23

Kanon
〈きをつけて!〉17:23

     17:29〈任せてください!〉

        17:42〈バレました〉

へあんな
〈バレるんかーいズコー〉17:42

251: 2022/07/15(金) 00:08:14.04 ID:LL7UZHXM.net
公園

恋「はぁ……。やってしまいました……」

妖精「恋ちゃん〜。やっちまったなぁ」

恋「はい……」

恋「どのみち、千砂都さんなら遅かれ早かれ気付いていただろうとは思いますが……」

恋「わたくしのせいでバレてしまったことには変わりありません……」

妖精「まあまあ。失敗の一つや二つ誰にだってあるんだからさ? そんなに落ち込まなくても大丈夫でやんす」

恋「ですが……」

妖精「それより、ほら! 今の恋ちゃんと私の服、見てみて!」

恋「服……?」

恋(おそろいの普通科の制服ですが……)

恋(……ん? おそろい……?)

252: 2022/07/15(金) 00:15:01.77 ID:LL7UZHXM.net
妖精「おそろっち♪ おそろっち♪」ズンドコズンドコ

恋「やめてください」

恋「大体、成人女性が高校生の制服をコスプレしてはしゃいでるだなんて……あなたには恥じらいというものがないのですか?」

妖精「ちょ、やめてよガチなやつ……。今だけは高校生に戻ってるんだから……」

恋「す、すみません。ついあなたに当たってしまいました……」

妖精「いいよいいよ! むしろどんどん当たってほしいし、どんどん内側をさらけ出してほしいもん」

恋「……?」


妖精「こうやってさ、私の知らない恋ちゃんがいっぱい見られて嬉しいよ」

恋「はぁ……? それは、どういう意味で……」

妖精「あ。もう暗くなりそうだし、恋ちゃんはそろそろ帰らなきゃね」

恋「……」

恋「そうですね。では、また」

妖精「ばいば〜い」

恋(ダンボールに入った妖精さんは、胸元で小さく手を振っています)

恋(……かわいい)

253: 2022/07/15(金) 00:20:09.34 ID:LL7UZHXM.net
恋の部屋

恋「うーん……」

恋(やはり、他のメンバーと写っている画像に比べ、わたくし単体での画像は閲覧数が少ないです……)

恋(百合営業をしたとしても、一過性の伸びしか期待できませんし……)

恋(百合営業以外の需要もかなり減っているのかもしれませんね)

恋(そもそも、わたくし自身に需要があるかという問題に帰着しそうですけど……)

スクロール スクロール

恋「……」

恋「……ん?」

恋(み、見間違い……でしょうか?)

恋(この投稿……)

恋(わたくし一人しか写っていないのに、他の投稿……百合営業よりも桁違いに伸びています!)

恋(幽霊やオカルトの類でも写っていたのでしょうか……?)

恋(何故これほどまでに閲覧されているのか……コメントのほうを確認してみましょう!)

254: 2022/07/15(金) 00:24:04.66 ID:LL7UZHXM.net
『美しい谷間。飛び込みたいな。』
『エッッッッッッッ!』
『高1でこんなものぶら下げて…けしからんですな!』
『これで一週間は足りるよ。ありがとう…それしか言葉が見つからないよ』
『此方も抜かねば無作法というもの…』
『関係ないけど景色きれいですね』
『説明不要!!』


恋「なっ……!!」カァァァァァ

恋(この画像、わたくしの胸の谷間がはっきり写ってしまっています……!)

恋(入念に確認したつもりが、まさかチェック漏れがあったとは)

恋(すぐに削除しなければ……)

恋「……」

恋(いえ、待ってください)

恋(わたくしがこれまでに投稿してきた画像の中でも、これが一番閲覧されている……ということは)

恋(……わたくしの需要は、ここにある……のでしょうか?)

恋(わたくしが、工口サイトに惹かれたように……)

恋(このフォロワーの方達も……)

恋「…………」

255: 2022/07/15(金) 00:28:58.02 ID:LL7UZHXM.net
2月14日

すみれ「サプライズ作戦、全部無駄になったわね……」

恋「すみません。わたくしのせいで……」

かのん「仕方ないよ。ちぃちゃんの誕生日は普通にお祝いしよ!」

千砂都「うん。私もパーティの準備手伝うね♪」

すみれ「本人が手伝うってどうなのよ……。いや、普通なのかしら?」


可可「配信の準備、できマシタ〜」

恋「では皆さん。所定の位置へ並びましょう」プチッ

かのん「はーい……」

かのん「って、ええ!?」

256: 2022/07/15(金) 00:33:54.04 ID:LL7UZHXM.net
〈BGM〉

かのん「……もう始まってるんだよね」

かのん「うん、オッケー……深呼吸……」スゥーハァー

すみれ「なんで始まってから気持ち整えてるのよ!」

可可「このグダグダ何回やるのデスカ〜」

かのん「いや、だって……」チラッ

千砂都「かのんちゃん! あいさつ!」

かのん「……う、うん」

かのん「……み、みなさん、こんにちは〜! 私たち、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル」

5人「Liella!です!」


『だてええええええええ!!!』
『はじまた!』
『エッッッッッッッッッッ』
『くくかわいいよー!』
『見えてない?』
『ちぃちゃんいつもより丸いね!』
『しこっ!?』
『やっばw』
『お、へあんなじゃん』
『ちょっとトイレ行ってくる!』

257: 2022/07/15(金) 00:40:44.81 ID:LL7UZHXM.net
かのん「きょ、今日はバレンタインデー……じゃなかった! えーっと、今日は何の日か知ってるー……?」

可可「かのんが言いマシタ」

すみれ「ちょっと大丈夫? オープニングからずっとグダグダよ」

千砂都「……かのんちゃん?」

恋「……ああ。コメントもたくさん来ていますね。ありがとうございます」

ちぃすみ「!」


恋「『かのん胸見すぎワロタ』……ですって。かのんさん、配信に集中してくださいね?」

かのん「え……」

千砂都「れ、恋ちゃん……」

可可「今日はかなりコメントのスピード速いデス……。可可でも読めマセン……」

すみれ「それなのに、なんで恋は普通に読めてるのよ……!?」

恋「配信のコメントがどれだけ速くても読めるように、日頃から動体視力を鍛えてるんです」

可可「タユマヌ努力……」

258: 2022/07/15(金) 00:44:18.52 ID:LL7UZHXM.net
千砂都「……それより、胸ってなんのことかな? かのんちゃん」

かのん「いや、その……」

かのん「れ、恋ちゃん……胸が……!」

すみれ「胸がどうしたの……ってギャラクシー!?」

可可「服がはだけていマス……!!」

千砂都「いつの間に……!? れ、恋ちゃん。とにかくボタンを……!」

かのん「わ、私たちが肉壁となって恋ちゃんを隠すよ!」

可可「すみれモザイクデス!」

すみれ「はーい! 1番、平安名すみれ。いっきまーす!」

すみれ「グッソクムシィ〜グッソクムシィ〜」


『ハプニングかぁ〜?ニヤニヤ』
『あの子めたくそ工口くね?』
『グソクムシじゃまするな』
『真面目清楚系がど淫乱か…そそるぜ』
『平安名out葉月in』
『今日の配信神回決定www』
『やばい興奮が治らないんだが』
『f×××! f×××!』
『葉月恋ちゃんね、覚えたわ』
『アーカイブ消えそうだし録画残しとくか』

259: 2022/07/15(金) 00:48:31.11 ID:LL7UZHXM.net
かのん「り、Liella!から、ファンのみんなへ……」

5人「ハッピーバレンタイン〜!!」

『もう一回脱げ』
『ありがとう。お返しにぼくのチョコバナナあげるねボロン』
『チョコよりいいもの見ましたw眼福です…w』
『そのポッキーしまえ』
『今度JKっていいなって曲出すわ』

かのん「うっ……」

千砂都「わ、わぁ〜! 美味しそうなチョコレートだね!」

可可「ちょっと味見を……」

すみれ「こらっ! 食べるなら終わってからにしなさい」

かのん「あはは、あはははは……」

恋(誰もコメントに触れることはないまま、何事もなかったかのように、配信は進みました)



260: 2022/07/15(金) 00:51:19.88 ID:LL7UZHXM.net
がんば恋ちゃん
ギルティ

261: 2022/07/15(金) 01:39:04.93 ID:6ZF2keq+.net
今日もおつ
サプライズバレを輸入からのオマージュ良かった
生放送とかのコメントも面白い 続きも期待してる

引用元: 恋「……って誰が不人気ですかー!」ズコー