梨子「……ダメだよ、テスト勉強怠けちゃ……」

曜「こりゃ、補習待った無しですな」

千歌「……曜ちゃんなら……曜ちゃんなら一緒に補習、付き合ってくれると信じてる……」

曜「なんでなの！ 嫌だよ、私だって！」

千歌「あーん、曜ちゃんの人でなし！」

曜「千歌ちゃんはろくでなしだよ！」

ｷﾝｺｰﾝ ｶﾝｺｰﾝ

梨子「ほら、チャイムが鳴ったから、座りましょ……」

千歌「はぁ……なんでテストなんてするんだろう……」

曜「まっ、もしかしたらノー勉の千歌ちゃんでもわかる問題が出るかもしれないんだから、望みを捨てちゃいけないよ？」

千歌「うん、そうだよね……諦めちゃいけないよね！」


ーーーそして、テストが始まりました


千歌(なにこれ全然わかんないー！)ｶﾞﾋﾞｰﾝ

千歌(問題文を読めば読むほど、意味わかんない……頭がこんがらがっちゃうのだ……)ｳｩﾑ

千歌(なんでこういうときに限って、選択肢を選ぶ問題が無いのぉ……)

ｶｷｶｷ ｶｷｶｷ

千歌(みんなのペンを走らせる音が憎い……憎いのだ……)

梨子「……｣ｶｷｶｷ

千歌(梨子ちゃん、スラスラ解いてるなぁ……流石だなぁ……)

千歌(……ハッ)ﾋﾗﾒｷｯ

千歌(……梨子ちゃんの解答用紙、カンニングすればいいじゃん……)

千歌(そうすれば、私補習を免れるし、ダイヤさんにも怒られない！ むしろ褒められる！)

千歌(これは一石二鳥……一挙両得……二兎を追う者は一兎をも得ず、なのだ……)ﾆｼｼ

千歌(……それでは、早速拝見させてもらいまーす……)ｺｿｺｿ

ﾁﾗｯ ﾁﾗｯ

梨子「……｣ｶｷｶｷ

千歌(うー、全然答えが見えない……)

千歌(……少し立ち上がったら、見えるかな……)

ｶﾞﾀｯ

先生「……高海さん、何してるんですか？｣ｼﾞﾛｯ

千歌「えっと……消しゴム落としちゃいまして……｣ｱｾｱｾ

千歌(ううっ、先生に目をつけられた……これじゃ、カンニングできないのだ……)ｼｭﾝ

ｶｷｶｷ ｶｷｶｷ

千歌(あーん、時間だけが虚しく過ぎていくぅ……)

曜「……｣ﾁﾗｯ

千歌(……曜ちゃん？)

ﾋﾟﾗｯ

千歌(もしかして……答え、見せてくれるの？)

曜(全く、挙動不審なんだから……見てられませんなぁ……)ﾔﾚﾔﾚ

千歌(曜ちゃーん……！)ｼﾞﾛｰｯ

ｶｷｶｷ ｶｷｶｷ

ーーーそして

ｷﾝｺｰﾝ ｶﾝｺｰﾝ

千歌「曜ちゃん、さっきはありがとー！｣ﾀﾞｷｯ

曜「はっはっ、後でいちごオレだよ、千歌ちゃん」

千歌「え゛っ、見返り求めるの！？」

曜「そりゃそうだよ。何かを得るには、何かを犠牲にしないと｣ﾆﾔﾆﾔ

千歌「うぅ……買ってきます……」

梨子「曜ちゃん、もしかしてさっきのテスト……千歌ちゃんに答え教えたの？」

曜「だって、すっごい挙動不審だったんだよ？ 見てられなくてさ」

梨子「ダメだよ……カンニングのお手伝いしちゃ……」

曜「梨子ちゃんは真面目ですなあ。人生ちょいワルくらいがちょうどいいんだよ」

梨子「……う、うん……」

ーーー翌日、テストが返ってきました


梨子「……ほっ、赤点じゃなくて良かった……」

ようちか｢｣ﾁｰﾝ

梨子「２人とも、赤点なの！？」

曜「うーん、まさかの轟沈とは……｣ｱﾊﾊ

千歌「……曜ちゃんを信じた私が馬鹿だったよ……｣ﾄﾎﾎ

梨子「やっぱり、カンニングはよくないね……。今度はちゃんと、お勉強しましょ？」

千歌「はーい……｣ｼｭﾝ


終わり