446: 2008/04/15(火) 15:50:07.18 ID:h/BIcVFcO
続 涼宮ハルヒの命令

ハルヒ王、もとい女王様の命令で俺たちが付き合うようになってからそれなりに時が過ぎた

SOS団は相変わらずハルヒの我が儘に答えながらも、前と特に変わらずに活動していた

ただ少し変わったところがある。

それは、休日となれば俺とハルヒの二人だけで例の不思議探索を行うことだ。
周りから見ればれっきとしたデートなのだろうが、ハルヒ曰く『特別探索』らしい。素直にデートと言えばいいのに…

全く…そこら辺がもっと素直になると、お前ももっと可愛くなるんだけどな…


涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
451: 2008/04/15(火) 15:59:05.62 ID:h/BIcVFcO
ある日の放課後。俺はいつも通り部室で古泉とゲームをしている。今日はバックギャモンだ。やはり古泉は下手の横好きで、さっきからずっと俺が勝っている

「これでは財布が空になってしまいますね…どうです?レートを上げませんか?」

「やめておけ、レートを上げたら財布だけじゃすまなくなるぞ。それに、お前がいつ負け分を払ったことがある?」

「その内お支払いいたしますよ。ですから今日もいつも通りジュースで手をうっていただけませんか?」

「ふん、まあいい。ほら、続けるぞ。」

「ええ、ハイ」

452: 2008/04/15(火) 16:05:54.06 ID:h/BIcVFcO
「最近の涼宮さんの精神状態は、以前に比べてとても安定しています」

「そうか、そりゃよかった」

「ええ、貴方のおかげですよ。彼女は貴方と付き合うようになってから退屈が減ったようです」

「そうか…」

正直俺は、ハルヒと一緒にいるときアイツが楽しんでいるのか不安だった。いつも口を開けば文句や命令ばかりでとても楽しそうに見えないからだ

455: 2008/04/15(火) 16:12:43.13 ID:h/BIcVFcO
「最近は…」

「ん?何だ?」

「最近、僕を始めとする機関のメンバーは徐々に力を失いつつあります」

「どうしてだ?」

「力というものは使わなければ衰えていくものです。筋力や視力が良い例でしょう」

「つまり…」

「ええ…どうやら超能力も使わなければ衰えるようなのです。最近の涼宮さんは安定している。だから閉鎖空間の発生が以前に比べて激減しているのです」

456: 2008/04/15(火) 16:20:47.82 ID:h/BIcVFcO
「だが、それはお前たちにとって良いことなんじゃないのか?」

「ええ、当然です。僕も頻繁に呼び出されることがなくなったのでとても助かっています」

「ならいいじゃねぇか」

「そうですね…しかし、」

「なんだよ?」

「いつ涼宮さんの安定が崩れるかはわかりません。そうなった場合力の弱まっている僕達では対処しきれない可能性があるのです」

457: 2008/04/15(火) 16:26:26.53 ID:h/BIcVFcO
「それは…」

「だから今貴方の彼女に対する一挙一動に全てがかかっているわけです。」

「そんなことを言われてもだな。俺は普通に男女交際という物を楽しみたいんだ。毎回毎回ハルヒのご機嫌とりなんて俺は嫌だぜ」

「ええ、その辺りは大丈夫でしょう」

「は…?」

「彼女はそのままの貴方に恋をしたわけですから」

いきなり恥ずかしいことを言うな!気持ち悪い!あと顔が近い!!

458: 2008/04/15(火) 16:32:28.28 ID:h/BIcVFcO
「それで…あの…」

「何だ?」

「もし、僕が超能力を失ったとしたら…貴方は友達でい続けてくれますか?」

何をこいつは当たり前のことを聞いてくるんだ?

「ああ、当然だろ。俺はお前が超能力者だから友達でいるわけじゃないだろ」

「しかし、このSOS団は涼宮さんの願った役割りを持つ人々の集まりです。それなのに僕が力を失えばここにいる資格がなくなってしまう気がするんです」

460: 2008/04/15(火) 16:39:07.58 ID:h/BIcVFcO
何を言ってるんだこいつは…?

「少なくともお前のハルヒにとっての役割は『謎の転校生』だろ。超能力がなくなろうがそれは変わらん。どう見ても謎だらけだ」

「そういえば、そうでしたね…フフ、すみません。今の話は忘れてください…」

ああ、言われなくても今日家に帰る迄には忘れてるだろうよ

461: 2008/04/15(火) 16:45:50.31 ID:h/BIcVFcO
この後この怪しげな団の団長様が、この団のマスコットキャラとオールマイティープレーヤーを引きつれて部室に来たため、古泉とのゲームと会話は終わった


今日の団活は不思議探索の日時を決定することと、朝比奈さんの新コスプレのご披露だった

462: 2008/04/15(火) 16:48:24.79 ID:h/BIcVFcO
後日、俺はいつも通りに登校し。いつも通りの退屈な授業をこなしていた



しかし、午後からはいつも通りというわけには行かなかったようだ…

463: 2008/04/15(火) 16:52:59.77 ID:h/BIcVFcO
国木田と谷口と一緒に昼食を済ませ、5時間目の体育のために着替えをすることにした

ここまでは何ら変わりない日常だった


しかし事件は体育の授業中に起きた



ハルヒが気絶したのである

466: 2008/04/15(火) 17:04:13.87 ID:h/BIcVFcO
男子は校庭でサッカーを、女子は体育館でバスケをしていたらしい。


俺と国木田がパスの練習をしていると、急に体育館の方が騒がしくなった

467: 2008/04/15(火) 17:08:55.64 ID:h/BIcVFcO
「何だろうキョン?体育館が騒がしいね」

「ああ、そうだな」

「涼宮さんがダンクシュートでも決めたのかな?」

「おいおい、さすがのハルヒでもダンクは無理だろ」

「はははっ、だよねぇ~」

「んなことはいいから続けるぞ」

「ああ、うん」

470: 2008/04/15(火) 17:20:25.31 ID:h/BIcVFcO
俺たちがパス練を再開しようとしたとき、谷口がこちらに向かって走ってきた

「おーい!キョン!キョン!」

「何だ?新しいシュートを開発したとかだったら俺は見ないぞ」

「ち、ちげぇよキョン!今体育館の方をこっそり見に行ったんだけどよ…」

全くこいつは何をしてるんだ。パス練をサボって女子の見学だと?そろそろ真面目に授業を受けないとまた岡部と面談する羽目になるぞ

「それで、何だよ?」

「す、涼宮が…」

「ほら、キョン。やっぱり涼宮さんだよ」

「何のことだ?…まあいいや、キョン!涼宮がぶっ倒れたらしいぞ!」

471: 2008/04/15(火) 17:24:09.14 ID:h/BIcVFcO
「は…?」

ハルヒが?

「他に涼宮なんていないだろ!」

誰かをぶっ倒したんじゃなく?

「ちげぇよキョン!涼宮の方がぶっ倒れたんだ!」

「本当か…?」

「当たり前だろ!」

473: 2008/04/15(火) 17:31:47.73 ID:h/BIcVFcO
気付いたら俺は体育館の方へ走りだしていた。このさいパスなんてどうでもいい、体育の単位がとれなくたっていい。ただただハルヒが心配だった

「ち、ちょっとキョン…!」

「うおっ!何だよ急に走りやがって!」

「パスの練習はどうするのー!?」

「すまん!!今度にしてくれ!!」

「何だよアイツ、やっぱり涼宮のことが好きなんじゃねぇのか?」

「えっ?付き合ってるの知らなかったの?」

「え…?なにー!?アイツ俺に黙ってやがったのかよ!!」

「てっきり知ってて知らせに来たのかと…」

「…俺信用ないのか……?」

「谷口………パス…しよ?」

「あ、ああ…」

475: 2008/04/15(火) 17:42:04.44 ID:h/BIcVFcO
体育の入り口は凄い人だかりだった

体育教師(女)「涼宮さん!!しっかりして!!」

誰かが呼んできたのだろう、担任の岡部と他に数人の男性教諭がいた。その内の二人がハルヒを担架に乗せている

体育教師(女)「岡部先生!今救急車を呼びました!」

岡部「はい!では来るまで保健室で休ませます!運びましょう!」

男性教諭「はい!」

そんな会話が聞こえた後、担架に乗せられて運ばれているハルヒが体育館から出てきた

477: 2008/04/15(火) 17:48:51.50 ID:h/BIcVFcO
俺は直ぐ様その担架に駆け寄った。すると、担架で運ばれているハルヒに声を掛け続けている女子がいた

阪中だ

「ぐすっ……涼宮さん…ごめんねぇ…ぐすっ…」

どうやら泣いているらしい。二人に何があったんだろうか?

「涼宮さぁん…涼宮さぁん……ぐすっ…ぐすっ」

岡部「涼宮は大丈夫だ…だから心配するな」

「だって…私の……せいで……ぐすっ」

岡部「大丈夫だ、お前は少しも悪くない。だから授業にもどりなさい」

阪中のせいで…?

何があったんだ?

478: 2008/04/15(火) 17:54:43.01 ID:h/BIcVFcO
俺は担架の上のハルヒに声をかけた

「ハルヒ!おいハルヒ!しっかりしろ!!」

精一杯声をかける。ハルヒが目を覚ますようにと。
ハルヒはまるで眠っているかのように目を瞑り、体を弛緩させていた

「ドッキリでしたー!!引っ掛かったわねキョン!」

今にもそうやって俺を驚かすんじゃないかと、そんな無駄な期待をしていたが。ハルヒは本当に気絶しているようだった

479: 2008/04/15(火) 18:03:31.46 ID:h/BIcVFcO
男性教諭「おい!何でお前がここにいる!今は授業中だぞ!」

「ハ、ハルヒが倒れたって聞いて心配になって…」

岡部「お前たちが普段から仲が良いから心配のはわかるが、今は授業中だ。授業に戻りなさい…」

「し、しかし…!」

「戻りなさい!!」

「……!」

「涼宮のことは私達に任せて。お前は授業に戻りなさい…」

そう言うと岡部達はハルヒを保健室に運んで行った

482: 2008/04/15(火) 18:07:34.71 ID:h/BIcVFcO
俺がついていってもどうにもならんだろう。とりあえずハルヒは岡部達に任せることにした

「キ、キョンくん……ぐすっ…ごめんねぇ…っ…」

今の俺たちのやりとりを見ていた阪中が俺にすがりついてきた。まだ泣いているようだ

485: 2008/04/15(火) 18:11:45.11 ID:h/BIcVFcO
「さ、阪中…何で俺に謝るんだ…?」

「だ、だってぇ…キョンくんは……涼宮さんと…ぐすっ」

何で阪中が知ってるんだ?ハルヒが言ったのか?

だが今はそんなことはどうでもいい

「阪中、俺に謝るのはいいから何があったのか説明してくれるか?」

俺はなるべく優しい声で阪中に尋ねた

486: 2008/04/15(火) 18:17:28.19 ID:h/BIcVFcO
「うん…ぐすっ……バスケの試合中にねっ?……私と涼宮さんがリバウンドを競り合ったのね…?……ぐすっ」

「ああ…」

「そしたら……涼宮さんとぶつかってぇ…ぐすっ…ぐすっ……涼宮さんがそのまま頭から落ちちゃったの……ぐすっ」

「そうか…そんなことがあったのか…」

「キョンくんっ…ごめんねぇ…ごめんねぇ……ぐすっ」

「いや、阪中お前は悪くないぞ。これはたまたま起きた事故だ。お前が気に病むことはない…」

488: 2008/04/15(火) 18:24:08.31 ID:h/BIcVFcO
「でもぉ……もしかしたら涼宮さん…目を…覚まさないかもっ……ぐすっ」

「そんなわけあるか。ほら、もしかしたら今保健室で元気よく目を覚ましてるかもしれないぞ」

「ほん……と…に…?ぐすっ」

「ああ、アイツならあり得るさ」

古泉、お前はハルヒのことを神だと言ったな。だから神が氏ぬなんてことはあり得ないはずだよな?
ましてや、怪我させてしまった相手を心配してずっと泣いているこんなか弱い子に神様がやられるわけがないだろ…?

489: 2008/04/15(火) 18:30:02.57 ID:h/BIcVFcO
とりあえず俺は阪中が泣き止むのを待って、授業に戻ることにした

校庭に戻ったタイミングで学校に救急車が到着した。校庭にいた男子生徒は一旦そちらに注目し、色々と雑談していたが。救急車が走り去ると皆練習に戻った

あとは専門家に任せるしかないな




ちなみに体育教師と谷口の二人にどやされたのは言うまでもない

491: 2008/04/15(火) 18:39:04.36 ID:h/BIcVFcO
体育が終わり着替えを済ませていると、携帯に着信があったのに気付いた。古泉からだ

俺はすぐに掛け直した


「もしもし…?」

「古泉か、どうしたんだ?」

「ああ、ハイ。涼宮さんが体育中に怪我をされたそうで」

「ああ、知ってるぞ。頭を強く打ったらしいな」

「ええ…そうらしいですね。」

「で?何だ?それを知らせるために電話したのか?」

「いえ、機会から先程連絡が入ったのですが。どうやら命に別状はないそうです」

そうか…よかった。当然だ。ハルヒが氏ぬなんてあり得ない

「そうか、知らせてくれてありがとな」

「いえ、友達として当然ですよ」

またこいつは恥ずかしいことをさらりと…

「しかし、知らせはそれだけじゃないんです…」

492: 2008/04/15(火) 18:43:59.27 ID:h/BIcVFcO
「先程、閉鎖空間が発生しました…」

「何…?」

なぜだ?ハルヒは今イライラしてるのか?寝ながらイライラするとは器用な奴だな。悪夢でも見てんのか?

「原因はわかりませんが、発生してしまった以上食い止めなければなりません。僕はすぐにあちらに向かいます」

「あ、ああ…頼んだぞ…」

「それと…」

494: 2008/04/15(火) 18:50:40.25 ID:h/BIcVFcO
「何だ…?」

「閉鎖空間の中心部。つまり発生源がここ、北高なんです…」

「どういうことだ…?」

「涼宮さんが閉鎖空間を発生させる舞台に北高が選ばれたのは、過去に一度。貴方もよく知っているように彼女が世界の改変を行おうとしたときです…」

ああ、よく知ってるよ。俺はその場にいたからな。そしてお前や長門や朝比奈さんの助言をもとに脱出できたわけだ

「それが…どうかしたのか?」

「つまり、彼女がもう一度世界の改変を行おうとしているかもしれないのです」

496: 2008/04/15(火) 18:56:06.46 ID:h/BIcVFcO
「な…!」

なぜだ…ハルヒは今の世界に不満があるのか…?

「原因はまだわかりません。ただ、前回と違う部分がいくつかあります」

「何だ…?」

「まず、前回の閉鎖空間に僕達は完全に干渉することができませんでした」

ああ、そうだったな。お前は薄ら赤いよくわからん状態で俺の前に現れた

「しかし今回僕達は完全に干渉することができるみたいなのです。すでに何人かの機関の者があちらで神人と闘っています」

498: 2008/04/15(火) 19:03:40.69 ID:h/BIcVFcO
「そうなのか…」

「ハイ、次に。前回の閉鎖空間には涼宮さんがいましたが、今回はまだ涼宮さんは発見されていません」

そうだ、あの時あそこに俺はハルヒと二人きりだったんだ。そして世界の改変をするならハルヒがいなけりゃいけないはず…

「そして最後の一つは貴方にとって大きな問題であり、大きな違いなのです…」

「な、何だ…?」



「貴方があちらの世界に招待されていない…」

499: 2008/04/15(火) 19:07:14.02 ID:h/BIcVFcO
確かに…なぜ俺が呼ばれていない?前回は改変後の世界で一緒にいたい人物として俺を選んだはずだ…
今はあの時よりもその気持ちが強いはず…

なのになぜ…?



ハルヒ…俺はもういらないのか…?

500: 2008/04/15(火) 19:07:59.41 ID:h/BIcVFcO
ちょっとメシ食ってくるから保守頼む!!ノシ

506: 2008/04/15(火) 19:22:07.80 ID:h/BIcVFcO
速攻で食ってきた!!再開する

511: 2008/04/15(火) 19:31:39.26 ID:h/BIcVFcO
「最近の涼宮さんを見ていると、決して世界の改変を考えたりなどと…ましてや貴方抜きの世界を創るなんてことはあり得ないでしょう」

「だが……」

「悪い方に考えない方がいいでしょう。もしかしたら貴方には貴方なりの舞台が用意されているのかもしれません」

ハルヒ……どうなんだ?俺は…俺は何をすれば……それともやっぱり俺なんて…

「ともかくこんな時にマイナス思考はやめましょう」

「……」

「そろそろ僕もあちらに行かなくては、では失礼します」

「ああ…」

ブツッ…ツーツーツーツー



「はあ…彼がとても落ち込んでいるようでいたたまれなくて切ってしまいました」


「それより…もしかしたら僕はこの世界に帰ってこれないかもしれませんね…」

515: 2008/04/15(火) 19:37:12.75 ID:h/BIcVFcO
古泉との電話を終えた俺は、今起きている出来事を受けとめきれずに。しばらく茫然としていた


更衣室から教室に向かおうと歩きだした時にはすでに授業は始まっていた

教室に入る時に担当の教員に謝罪をしたが、特に咎められることはなかった

おそらく国木田あたりが上手く言っておいてくれたのだろう

518: 2008/04/15(火) 19:43:46.30 ID:h/BIcVFcO
席に着いてしばらく授業を受けていた

しかしハルヒのことで頭がいっぱいで授業なんて身に入るわけがなかった

ブルルル…ブルルル…
突然携帯が鳴る、どうやらメールのようだ

教員に見つからないようにこっそりと見る


from:朝比奈さん

大事なお話があります、大至急いつもの公園に来てください


ガタッ!!
俺はすぐに席を立った

「ど、どうしたのキョン?」

国木田が不思議そうに尋ねる。教室内の生徒全員と教員が俺に注目している



「すみません!早退します!」

俺はカバンも持たずに走りだした

520: 2008/04/15(火) 19:48:44.56 ID:h/BIcVFcO
俺はすぐに自転車小屋まで走り、自分の自転車にまたがり公園に向かってペダルをこいだ



「はぁ…はぁ…はぁ……着きましたよ朝比奈さん、どこにいるんですか…?」

「キョンくん…」

背後から聞き覚えのある声がした
そう、それは聞き慣れた朝比奈さんの声でなく、聞き覚えのある朝比奈さんの声だった

「私のこと…わかりますよね?」

523: 2008/04/15(火) 20:01:21.88 ID:h/BIcVFcO
ええ、当然です。貴女とは何度かお会いしてますからね。会うたびに助けられたり謎を残されたりされちゃ忘れませんよ

「で…未来の朝比奈さんがなぜここに?」

「はい、今未来では大変なことが起きています」

「なんですか…?」

「今キョンくん達のいる現在と、私のいる未来の繋がりが薄くなってきているのです」

「それはつまり…」

「ええ、涼宮さんが世界を改変しようとしているということです…」

どうやらハルヒの改変する世界と朝比奈さん(大)のいる世界の時間は繋がっていないらしい

「このまま改変が完了してしまうと私達の未来は消滅してしまいます…」

でも、何でそれを俺に…?

「今私がここにいるということは、涼宮さんの改変が完了しなかったということなんです」

確かにそうだ。もしこの後改変が完了するなら朝比奈さん(大)は消滅しているはず

526: 2008/04/15(火) 20:09:57.26 ID:h/BIcVFcO
「改変を防ぐため鍵がキョンくん…貴方なの。そしてそれを伝えるのが私の役目…」

俺が鍵…?またよくわからないことをおっしゃいますね…

「とにかく急いで!早く涼宮さんのいる病院に向かってください!」

「な、なぜ病院に!?」

「行けばわかります!!彼女が搬送された病院はここからそう遠くありません。涼宮さんを助けてあげて…」

助ける…?何でハルヒを助けるんだ?アイツが好きで改変を始めてるんだろ…?

「行けばわかります!だから早く!」

それに……アイツは改変した世界の方が幸せなんじゃないのか?俺がいない世界の方が…現に俺はあっちじゃなくてこっちにいるんだから…

530: 2008/04/15(火) 20:20:07.21 ID:h/BIcVFcO
「キョンくん…」

「は、はい…?」

「キョンくんと一緒にいる時の涼宮さん、とても楽しそうで…嬉しそうで……すごく…羨ましかったです」

「あ、朝比奈さん…」

「何で私じゃないんだろうっていつも思ってた…でもね、わかったんです。キョンくんも涼宮さんといる時が一番楽しそうだってこと。私じゃ涼宮さんにかなわないってこと…」

「……」

「貴方たちは二人で一つなの…だから心配することなんてないわ。ね…?」

朝比奈さんのそんな気持ちに俺は気付いてなかった……多分彼女はずっと言わなかったんだろう。でも今伝えてくれた、傷つくのを恐れずに、こんな俺を勇気づけるために…



よし…!

「朝比奈さん!病院はどこですか!?」

531: 2008/04/15(火) 20:24:16.63 ID:h/BIcVFcO
朝比奈さん(大)からハルヒのいる教えてもらった俺は全速力で病院に向かった


病院には公園から20分程で到着した

病院の入り口には俺が一番世話になっている人物がいた



「遅すぎ…」

534: 2008/04/15(火) 20:29:54.71 ID:h/BIcVFcO
「な、長門…何でお前がここに?」

「今から貴方には涼宮ハルヒと接触をしてもらう、私はその手助けをする」

「手助け?」

「彼女は今親族以外面会謝絶、だから私が貴方を彼女に会わせる」

「わ、わかった。頼んだぞ長門!」

「…コクリ」

537: 2008/04/15(火) 20:42:25.25 ID:h/BIcVFcO
「着いてきて」

「あ、ああ…でも大丈夫なのか?」

「大丈夫」

俺は長門の後ろを着いていくことにした

院内に入り、エレベータに乗る。長門は5階のボタンを押した

5階に着いてエレベータを降り、廊下を歩いていく。

「おい、本当に…」

「大丈夫、今貴方と私は他の人には見えていない。加えて私達の声やたてた物音も聞こえない、触れても感触は伝わらない。完全にシャットアウトしている」

「そ、そうなのか?」

「以前利用したプログラムに手を加えて再利用している」

「あ、ああ。あったなそんなこと…」



「着いた」

539: 2008/04/15(火) 20:48:44.05 ID:h/BIcVFcO
そう言って長門はある病室の前で止まった。この部屋にハルヒがいるのか…

「入る前にいくつか話しておくことがある」

「何だ?」

「今回の事件のこと」

「わかるのか?」

「わかる。今涼宮ハルヒの力は弱まっている、だから私でもある程度干渉することができた。そこで私は原因をつきとめた」

540: 2008/04/15(火) 20:53:56.02 ID:h/BIcVFcO
「涼宮ハルヒは情報を生み出す能力を持っている、これは前に話した」

ああ、初めてお前の家に招待された日だな。あの時はびっくりしたよ、お前がいきなり電波を発するから

「しかし、涼宮ハルヒは最近貴方と交際することによって。情報を発生させる必要がなくなった」

「何でだ?」

「退屈でなくなったから」

「…そうか」

「続けても?」

「ああ、続けてくれ」

548: 2008/04/15(火) 21:00:35.81 ID:h/BIcVFcO
「そして必要がなくなった力は、徐々に衰えていった…」

古泉が言ってたのと同じだな。力が衰えていたのは古泉だけでなくハルヒもだったのか…

「しかし、力は完全に失われていなかった。涼宮ハルヒの力は、彼女の奥底で眠りについた」

「何でなんだ…?」

「これは恐らくその力の自己防衛プログラムだと考えられる」

「どういうことだ?」

「万が一涼宮ハルヒの身に危険が起こった場合、そのプログラムが発動し涼宮ハルヒの身に危険が起こらなかった世界を作り出す」

549: 2008/04/15(火) 21:07:40.99 ID:h/BIcVFcO
「そう…なのか…」

でも何で俺がその世界の住人に選ばれなかったんだ…?

「今、涼宮ハルヒの自己防衛プログラムが発動している。しかしこれは発動でなく暴走と考えられる」

「暴…走…?」

「彼女の身に危険が起きたのをきっかけに、プログラムは暴走を始めた。本来なら彼女の怪我は命に別状はない、だからしばらくすれば目覚める。しかしプログラムの暴走によって彼女の精神のみが改変中の世界に飛ばされた。だから彼女は今も眠っている」

553: 2008/04/15(火) 21:18:15.89 ID:h/BIcVFcO
「どうして暴走しちまったんだ?」

「わからない…」

「そうか…」

「しかし貴方が彼女を取り戻せばこの事態は終息すると考えられる」

俺が…か

「力は涼宮ハルヒの意識を超えて暴走している。前回貴方はあちらの世界に行った。それは無意識に見えても彼女が貴方と一緒にいることを望み、意識したことによって起きた。しかし今回はその意識を超えた改変が始まっている。彼女が貴方を求めないはずがない、これは確実」

長門…俺を勇気づけてくれるのか…?

555: 2008/04/15(火) 21:26:27.31 ID:h/BIcVFcO
「貴方は涼宮ハルヒをこの世界に留めるための鍵。だから貴方には彼女を取り戻す資格、または必要がある」

長門…何というか、あんなに無機質で無感情だったお前が、他人を元気づけようと考えるまでになるなんて……俺はそっちの方がうれしいぞ!


557: 2008/04/15(火) 21:32:15.97 ID:h/BIcVFcO
「長門!どうやってアイツを取り戻せばいいんだ?」

「まず、貴方はあちらの世界に行く必要がある」

「どうやってだ?」

「前回貴方はどうやってこちらの世界に戻ってきたか覚えている?」


558: 2008/04/15(火) 21:36:16.11 ID:h/BIcVFcO
ああ、忘れるはずもない。あれが俺にとってのファーストキスだったからな…

「あ、あれが何だっていうんだ?」

「あの行為はあちらの世界から出るための出口みたいなもの」

「そ、そうなのか?それでそれが今何の関係が…?」

「出口は出るだけでなく、入ることだって可能なはず」

「…そうか!なるほど!つまり今からこの部屋で寝ているハルヒとキスを…」

キスを…って口に出したら急に恥ずかしくなってきたじゃねぇか!

「そういうこと、でも…」

「何だ?」

「出口から入るのはマナー違反…」

「え…?」

「…」


えーっと、それは長門なりのギャグって奴か?めちゃくちゃわかりづらいと思うんだが、笑ったほうが良いのか?


「…なんでもない」

560: 2008/04/15(火) 21:40:57.96 ID:h/BIcVFcO
「と、とりあえず向こうの世界に行けば良いんだな?」

「そう」

「じゃあ行くぜ!」

「扉を開けた瞬間に貴方のプログラムを解除する。それと、あちらの世界に着いたらまず部室のPCを起動させてほしい」

「わかった!長門、ありがとな!」

「…行ってらっしゃい」



そして俺は病院の扉を開いた

564: 2008/04/15(火) 21:47:31.80 ID:h/BIcVFcO
扉を開いた先には、静かに眠るハルヒが…って

「えっ!?」

ハルヒの寝ているベッドの傍に別の女性がいた

「あの…どちら様でしょうか?この病室は親族以外面会謝絶なんですけど…」

知ってる、それはさっき長門から聞いた。でも、じゃあ何で貴女はここにいるんです?だってここは親族以外面会謝絶…ん?親族以外?ってことは…
そうか!よく見ればこの女性はどことなく顔がハルヒに似ている…つまりこの方はハルヒのお袋さんか!

つまり俺はお袋さんの前でハルヒにキスを…?

565: 2008/04/15(火) 21:54:38.47 ID:h/BIcVFcO
「あの、聞いてます…?」

「あ、ハイ…すみません」

改めてよく見るとお袋さんもかなりの美人だ。恐らく若い頃はハルヒと同じような顔をしていたのだろう。この母親ならこんな美少女が生まれてきてもおかしくない
って何を俺は恥ずかしいことを考えてるんだ!

「あのー…」

「ああ、紹介が遅れました!俺は涼宮さんと同じ学校の級友です!」

「それで…ハルヒのお友達が何のようですか?さっきも言いましたけどここは親族以外面会謝絶なんですよ?」

「あの…」

「はい?」



「彼氏も、親族に加えては戴けないでしょうか…?」

569: 2008/04/15(火) 22:02:05.33 ID:h/BIcVFcO
「あらまぁ…!貴方ハルヒの…?」

「ハイ!涼宮さんと交際させて戴いてます」

「へぇ…この子に彼氏がねぇ………フフ、何だ、アンタちゃっかりしてるじゃない!」

そうやって眠っているハルヒに笑顔で話し掛ける

「いいわ…君は特別ね。この子学校のことを家で結構話してくれるんだけど、貴方のことは隠してたみたいね」

ハルヒのお袋さんは凄く楽しそうに俺に話し掛けてくれた

571: 2008/04/15(火) 22:08:11.68 ID:h/BIcVFcO
「ハルヒが家に友達を連れてきたことってなくてね、ハルヒには友達がいないんじゃないかって心配してたのよ…でも彼氏がいたなんてねぇ……お母さん嬉しいわ…」

「あ、ハイ、ありがとうございます」

「この子素直じゃないでしょう?ちゃんと素直な子になるように育てたつもりだったんだけどね…?ダメだったみたい」

「そ、そうなんですか…」

「ほら、ハルヒ。彼氏くんが来てくれたわよ。会いたかったんでしょ…?だから……ねぇ…?目を覚ましてよ…」

577: 2008/04/15(火) 22:16:44.26 ID:h/BIcVFcO
「ほ、本当はね?君とハルヒと私の3人で会話がしたいんだけどね?この子ったら目を覚まさないから……コラ!お客さまが来てるのに寝てるんじゃありませんっ!もう、お母さんそんな風に育てた覚えはないわよ…?」

お袋さんの顔は泣くのを堪えているので精一杯だった… 

「君にね…?ハルヒのことどう思ってるのか聞くの。そうすると君とハルヒは顔を真っ赤にして……ね?楽しそうでしょ…?でも……この子目覚めないの…ぐすっ…うっ……ぐすっ…」

ついにお袋さんは我慢ができずに、大粒の涙をハルヒとよく似た大きな瞳からこぼし始めた…

585: 2008/04/15(火) 22:27:02.58 ID:h/BIcVFcO
「ハルヒ……ぐすっ…目を覚ましてよぉ…ぐすっ」

お袋さんの言葉と涙の一つ一つにハルヒへの愛を感じた。ハルヒがどれだけ大切に育てられてきたのかが良くわかる

おいハルヒ…こんなにいいお袋さんがいるんだ。そして俺と、古泉と、朝比奈さんと長門、つまりSOS団がいて。鶴屋さんや国木田や谷口、阪中のように友達だっている。阪中なんてお前を心配してずっと泣いてたんだぜ…?泣きやませるのが大変だったよ。
こんなに大勢の人たちがお前が戻ってくるのを待ってくれている。だから世界を改変する必要なんてないじゃないか…?

だから…一緒に戻ってこよう…な?



俺は覚悟を決めた

587: 2008/04/15(火) 22:37:21.70 ID:h/BIcVFcO
「俺が涼宮さん、いや、ハルヒを目覚めさせますよ」

「えっ……?ぐすっ…」

「俺はハルヒを目覚めさせるためにここに来たんです!!」

「でも……ぐすっ…君に何がっ…できるの…っ?ぐすっ」

俺は一度深く深呼吸をした

「眠りについたお姫様は何で目を覚ますと思います?」

「えっ…?」

俺は眠りについたお姫様、もといハルヒに近づいた

「王子様のキスですよ」

自分で自分のことを王子様と呼ぶのは気持ち悪いが、要は勢いだ!たぶん!

そして俺はベッドの前にしゃがみこみ、ハルヒの唇に俺の唇を重ねた



ぐにゃりと音を立てて空間が歪む、段々気分が悪くなってくるが。俺はずっとハルヒと唇を重ね続けた


そして俺は意識を失った

594: 2008/04/15(火) 22:43:10.23 ID:h/BIcVFcO
目覚めるとそこは前回目覚めたのと同じ場所だった

ただ違うのは俺を起こしてくれたハルヒがいないということだ…


俺は意識がしっかりしたあと、すぐに部室に向かった


部室に向かう途中、外では神人の暴れ回る音と機関の人々がそれと戦う音が聞こえた


そして俺は部室にたどり着き、団長席に腰をかけて目の前のPCの電源を入れた

598: 2008/04/15(火) 22:53:42.94 ID:h/BIcVFcO
すぐに以前に見たことがある文字が浮かび上がる



YUKI.N>見えてる?

ああ、もちろん見えてるぜ

YUKI.N>今から方法を説明する 

ああ、頼む

YUKI.N>もう時期そちらの世界に涼宮ハルヒが現れると思う。どこに、どんな状態で現れるかは不明

そうか、それで?

YUKI.N>貴方は彼女を捜し出し、以前と同じようにすれば良い

キス…だな?

YUKI.N>そう。貴方がなるべく探しやすいようにそちらに特殊なアイテムを送った

何だ?

YUKI.N>私がいつも座っている椅子を見て

601: 2008/04/15(火) 23:00:40.77 ID:h/BIcVFcO
俺は長門がいつも座っている椅子に目をやった。するとそこには長門がいつも着ているカーディガンがかかっている。入ってくるときは全然気付かなかったな


これが何なんだ?

YUKI.N>それは先程あなたにかけたプログラムを再起動させる物。それを身につけている間は周りとの干渉がなくなる

なるほど、これで神人に見つからずに捜せるわけだな?

YUKI.N>そう。私がこの世界に干渉できるのはここまで、後は貴方の頑張り次第

ああ、ここまでしてもらえば十分だ

YUKI.N>では検討を祈る



この文を最後にPCはシャットダウンした

603: 2008/04/15(火) 23:04:07.00 ID:h/BIcVFcO
俺はすぐに長門のカーディガンを手に取った。しかし長門のサイズに合わせてあるためか、とても俺が着れるサイズではない。とりあえず羽織ることにした

そして準備を整えた俺は部室を出てハルヒの捜索を開始した

604: 2008/04/15(火) 23:10:45.60 ID:h/BIcVFcO
「ウォォォォォォン!」

外では相変わらず神人が暴れていた

「くっ…一体だけなら余裕なのですが、こう何体も相手にするとなるとさすがに骨が折れますね…」

始めは一体だけだったのだが、それを倒すとすぐにもう一体現れた、さらに倒すともう一体。と無限に現れ続ける神人に機関のメンバーは体力をかなり消耗していた

「キョン君…どうやら貴方に負け分を払うのは無理のようです…」



ハルヒ…どこにいるんだ…?ハルヒ…!

607: 2008/04/15(火) 23:16:25.80 ID:h/BIcVFcO
俺は校舎内を捜し回った。特にアイツにゆかりのある場所を念入りに。お隣のコンピ研部室、一年五組の教室、アイツがぶっ倒れた体育館。ありとあらゆる場所を捜し回った。しかしどこにもハルヒはいなかった



「ぐっ……!」

「大丈夫!?古泉君…?」

「ええ、森さん。僕は大丈夫です。戦闘を続けましょう…」


608: 2008/04/15(火) 23:20:53.77 ID:h/BIcVFcO
どこだ…?どこにいるんだハルヒ!

俺はもう一度校舎内全てを捜し回る。もしかしたら見落としたところがあるかもしれないからだ


そして一年五組の教室に再び訪れたとき、窓の外で強烈な青白い光が発光した





「これは…今までの比にならない大きさですね…」

611: 2008/04/15(火) 23:28:00.38 ID:h/BIcVFcO
窓の外を見ると、今までに見たものよりも一回り以上は大きいであろう神人がこちらを見ていた

「あれはまずいだろ…!」

長門のカーディガンを羽織っているから安全とはいえ、あれをもし機関の人々が食い止められずに校舎に襲い掛かってきたらと思うと背筋が寒くなった 



ョン……!

ん?今何か…


ョン…!キ…ョン!


俺を呼んでいるのか?



キョン…!キョン…!


まさか…!

俺は一年五組の教室を後にして、全力で校庭に向かって走った

614: 2008/04/15(火) 23:35:35.16 ID:h/BIcVFcO
「あれは…!まさかこんなことになるとは思ってませんでした…」

校庭に現れた超巨大な神人の、人間で言うならば心臓のあたりに涼宮ハルヒがいた

「どうやって攻撃を仕掛ければ…!」

そう古泉一樹が口にした瞬間。その神人の拳が天から降ってきた

ズドン!!

古泉一樹は間一髪でこれを躱した


「これは白旗をあげるべきですかね?しかしあれが白旗を理解してくれるかはわかりませんけど…」

621: 2008/04/15(火) 23:39:32.66 ID:h/BIcVFcO
あつい…

あついよ…

ねぇ…?誰かいないの?

キョン…

キョン…どこ?

何も、見えない…

ねぇ…キョン…

会いたいよ…キョン

淋しいよ…キョン…

キョン…キョン…

626: 2008/04/15(火) 23:46:36.62 ID:h/BIcVFcO
俺は何度も転びそうになりながら下駄箱までやってきた。上履きのまま校舎を出て校庭を目指す



あれはハルヒだ!!

なぜ俺にそんなことがわかるのかなんて聞かれても答えられない。ただ直感的にあれがハルヒだと俺にはわかった。そうだな、しいて言うならば俺とハルヒの絆って奴だろう



校庭の真ん中、ちょうど俺とハルヒが前回キスした場所に神人は立っている

その神人の周りをいくつもの赤い玉が飛び交っていた



「ハルヒー!!!」

俺は思いっきり叫んだ

630: 2008/04/15(火) 23:53:24.43 ID:h/BIcVFcO
神人は周りを飛び交う赤い玉を手で払い除ける。人が自分に寄ってくる虫を手で払うのと同じように
どうやら皆その手を避けられたようだ

「ハルヒー!!!!」

俺はもう一度力一杯アイツの名前を呼んだ

ダメだ、聞こえてないのか……?

その時改めて自分がカーディガンを羽織っていることに気付いた

これがあったから届かなかったんだ!
俺は羽織っているカーディガンを地面に置き、もう一度力一杯叫んだ

「ハルヒー!!!!!」

636: 2008/04/15(火) 23:57:39.22 ID:h/BIcVFcO
キョン…キョン…

「ハルヒー!!」

キョン?…キョンなの…?

「ハルヒー!!」

キョンだ…この声は間違いなくキョンだわ…

「ハルヒー!!」

キョン…来てくれた……大好きよ…キョン…

「ハルヒー!!」

キョン…?どこなのキョン……どこにいるの…?

647: 2008/04/16(水) 00:03:08.43 ID:KFhe5l80O
俺は精一杯アイツの名前を呼び続けた

すると俺の声が届いたのか、神人は俺の方を向き。俺目がけて拳を振り下ろした




「この声はキョン君…!?」

「古泉くん!あそこに人が…!」

「なるほど。全く、遅すぎる登場ですね…」

神人がキョンを目がけて拳を振り下ろす

「あぶないっ!!」

652: 2008/04/16(水) 00:15:00.77 ID:KFhe5l80O
氏んだのか…?俺は……




「全く、現れたのはいいですけどできればもっと安全なところにいてくださいよ…」



古泉か?何で古泉が…ああそうか、こいつも機関の人間なんだよな。でも力が弱まってるって…

「貴方を抱えて飛ぶくらいならどうということありません」

そうか。というか今俺は飛んでるのか…?

「ええ、今貴方は僕と一緒に飛んでいます」

そうなのか。凄いな、やっぱりお前は超能力者だな

「制限付きですけどね。それより、貴方をこのまま涼宮さんのもとへ送り届けてもよろしいですか?」

ああ…そうだったな…俺はハルヒを捜し出して、それでアイツと…

「よろしいんですね?」

「ああ!さっさと俺をハルヒのとこへ連れてけ!」

654: 2008/04/16(水) 00:19:40.70 ID:KFhe5l80O
「わかりました!」

そう言うと古泉は俺を抱えたまま急上昇した

「うおー!!!なんじゃこりゃー!!」

「静かにしてください!!回避に集中できません!!」

神人の拳が降ってくる

古泉は俺を抱えたまま何度も拳を避け、神人の心臓部。ハルヒのもとに俺を導いた

656: 2008/04/16(水) 00:24:56.00 ID:KFhe5l80O
「ハルヒ…」

キョン…?

「ああ、俺だ」

来てくれたのね…?

「ああ、ただ少し遅くなっちまった」

いいわ…来てくれただけでも許してあげる…

「そうか、ありがとな」

ねぇキョン…こことてもあついの……ここからだして…?キョン…

「ああ、今だしてやるからな…」

658: 2008/04/16(水) 00:31:58.98 ID:KFhe5l80O
「古泉…どうすれば…?」

「わかりません。しかし貴方と彼女が会話を始めてから神人の動きが止まっています。段々力も弱まって来ているようです」

「そうか、じゃあもっと話せば良いのか?」

「神人は彼女の苛立ちの固まりです、ですから逆の、喜びなどの感情を与えると弱まるのかも知れません」

「つまりハルヒを喜ばせれば良いんだな?」


661: 2008/04/16(水) 00:35:52.69 ID:KFhe5l80O
「ハルヒ…」

何…?

「お前のお袋さんと会ったんだ」

お母さんと…?

「ああ、美人で優しくて良いお袋さんだな」

当然でしょ…?私のお母さんだもん…

「ああ、そうだな……なぁハルヒ?」

何よ…?

「皆がお前が帰ってくるのを待ってるんだ…」

663: 2008/04/16(水) 00:41:06.47 ID:KFhe5l80O
何のこと…?

「お前のお袋さんや、SOS団のメンバー、一年五組の仲間たち。皆がお前を待ってるんだ」

さっきから何なの…キョン…?

「だから一緒に帰ろう…な?」

確かに帰りたいけど…その前にここはどこなのよ…?

「夢の中だ」

夢の中…?

「ああ…」

667: 2008/04/16(水) 00:48:13.88 ID:KFhe5l80O
「ハルヒ…帰ったらまた皆で遊ぼうな?野球でも良い、サッカーでもラグビーでもいいぞ?それとも不思議探索で1日中色んなとこを回るか?他にも鍋とかカラオケとかとにかくいっぱい遊ぼうな?」

ええ…遊びたいわね……鶴屋さんも誘おうかしら…?

「ああ、きっと喜んで来るぞ。だから、帰ろうな?」

うん…そうしましょ…

「ああ…」

でも…その前にキョン…?

「何だ…?」

言いたいことがあるの……

「ああ、何だ?」

キョン…大好き……

「俺も…ハルヒのことが大好きだ…」

670: 2008/04/16(水) 00:52:42.86 ID:KFhe5l80O
その時、神人がまた青白く発光し。段々とその巨体を縮小させていった



「どうやら戻ったみたいですね」

「ああ、なんとかなったみたいだな…」

でも俺にはまだ仕事が残ってる

「古泉、下に下りよう」

「わかりました」

「ゆっくりおろせよ!!」

「はいはい」

671: 2008/04/16(水) 00:56:25.34 ID:KFhe5l80O
校庭に降り立つと、そこにはハルヒが横たわっていた

俺はすぐにハルヒのもとへ駆け寄った

「おい!ハルヒ!大丈夫か!?」

「うぅ…キョン…?」

「ああ、俺だハルヒ」

「キョン…好きよ…大好きだよ…」

「ああ!だから帰るぞ」

「うん…」



俺は再びハルヒに口付けをした

677: 2008/04/16(水) 01:12:56.10 ID:KFhe5l80O
うっ……ん?

目を明けると天井が見えた。少し薄暗い…ここはどこだ?


「おかえりなさい」

「長門か?」

そう言って俺は上体を起こす

「そう。貴方はよくやった。世界の改変は貴方の手によって防がれた」

「そうか、それは良かった。それより、ここはどこなんだ?」

「涼宮ハルヒが搬送された病院。ここは彼女とは別の病室」

「そうか…」

「貴方は彼女にキスをした後意識を失った、そして私がこの部屋に運んだ」

「そうか、ありがとな」

681: 2008/04/16(水) 01:17:23.83 ID:KFhe5l80O
「動ける…?」

「ああ、特にどこも痛くないな。かなり疲れてる感じがするが動けなくはない」

「なら彼女の部屋に行って」

「え…?」

「彼女は貴方にキスをされた直後に目覚めた。今はその時から30分たっている」

「そう…なのか?」

「そう。だから早く彼女の部屋に、彼女が待ってる」

683: 2008/04/16(水) 01:20:59.74 ID:KFhe5l80O
俺は長門に言われたとおりにハルヒの部屋に向かった

俺が眠っていた部屋も5階だったらしく、すぐにハルヒの部屋に着いた

ガラッ

「おい、ハルh」

「キョン!遅い!」


685: 2008/04/16(水) 01:26:18.08 ID:KFhe5l80O
「そうは言っても俺はさっき目が覚めたばっかりでだな」

「ふんっ!何アンタ?気絶したらしいじゃない!?」

それはお前もそうだろうが…!

「アタシはちゃんとした理由があるから良いのよ!なのにアンタは何なの!?」

「は…?」

「わ、私の寝込みを襲ってキ、キ、キスをしたらしいじゃない!」

「いや、それは」

「言い訳する気!?しかも何アンタ?その後気絶したらしいじゃない!どういうこと!?」

687: 2008/04/16(水) 01:30:31.71 ID:KFhe5l80O
「いや、だからだな…というか何でお前がそれを知ってるんだ?」

「お母さんから聞いたのよ!」

ああ、そうか。お袋さんが……ってお袋さんは?

「今医者に私のことを聞きに行ってる最中よ!」

「そうか」

「それより王子様って何なのよアンタ!」

693: 2008/04/16(水) 01:37:10.70 ID:KFhe5l80O
「なっ!」

ちょっとちょっとお袋さん?ハルヒに何話してんですか!

「何が王子様よ!私がお姫様なのはいいとしてアンタのどこら辺が王子様なのよ!?言ってみなさい!」

「うーんと、雰囲気…?」

「アンタ本物のバカね…」

「でも俺のキスでお前は目覚めたんだろ?お前がお姫様なら目覚めさせた俺は王子様じゃないか」

698: 2008/04/16(水) 01:42:36.51 ID:KFhe5l80O
「何よその考え方!第一私が目覚めたのがアンタのおかげなわけないでしょ!」

「じゃあ何で目覚めたんだ?」

「そりゃ寝込みを襲われれば誰だって起きるわよ!」

顔を真っ赤にしてまくしたてるハルヒ。こいつは何をこんなにムキになってるんだ?

「そうか、まあそうだろうな」




「…でもね、アンタが夢に出てきたの」

703: 2008/04/16(水) 01:48:14.55 ID:KFhe5l80O
「え…?」

「とても怖い夢だった…身体中が熱くて、それでいて何も見えなくて…」

「そうか…」

「だけどね…?私がアンタの名前を呼んだら、アンタが現れたのよ…」

「ああ…」

「その後私はアンタと話して、しばらくしたら熱いのがなくなって…最後に…」

「最後に…?」

「アンタが私に…キスを………って夢の中でも襲ったわね!?」

「えぇー!?」

704: 2008/04/16(水) 01:54:03.52 ID:KFhe5l80O
「もうこれは氏刑よ!!二回も私に無理矢理キスをしたんだもの!!」

ちょっと待て、お前のルールでは二回キスされただけで彼氏は氏ななきゃいかんのか?だったら世間のカップルは皆女だけしか残ってないだろ

「うるさいっ!何よこんな時に彼氏面して!」

「そりゃあ彼氏だからな」

「うるさい!うるさい!うるさいっ!」

715: 2008/04/16(水) 02:01:07.50 ID:KFhe5l80O
「もうこうなったら氏刑はいいわ!その代わりに目には目って奴よ!」

「何なんだ、それは?」

「アンタのしたことをそのままアンタにやり返してやるから今すぐ寝なさい!」

ん…?それはつまり…

「うるさいわねっ!いいから早く寝なさいよ!」



素直にしたいって言えば良いものを、全くお前は素直じゃないな…

「おい、ハルヒ」

「なっ、なによっ…?」



「起きたままするのはダメか?」




続 涼宮ハルヒの命令


716: 2008/04/16(水) 02:02:01.42 ID:O6wYrOYZO

717: 2008/04/16(水) 02:02:10.13 ID:Ir7gSkl70
非常に乙

737: 2008/04/16(水) 02:08:29.67 ID:KFhe5l80O
なんとか書き終われてよかった…
携帯の上に遅筆で無駄に長くて駄文で最後まとまってなくて本当に申し訳ない

俺はハルヒの小説もDVDもCDも全部持ってる程ハルヒが好きなんだが、どうも上手くかけなかったわ。愛が足りないのか…?

とりあえず皆最後まで付き合ってくれてありがとう!
あと女王様ゲームの続きが見たいっ!

でも疲れたからもう寝るわ、だれか保守を…

じゃあ皆さんありがとうございましたっ!!ノシ

引用元: 涼宮ハルヒの命令