1: ◆9ZenOaD5cw 2018/06/22(金) 21:59:34.79 ID:02zcXaHI0
約2000字


アラト「な、なんでそれを!? それに密会って!?」

レイシア「不思議なことではありません。アラトさんの行動はすべてトレースしていました」

アラト「!?」

レイシア「しかし、病室内の状況だけは、把握することはできませんでした」

アラト「ほっ」

レイシア「それと密会と言ったのは、もっとも適切な言葉を選択しただけです」

アラト「適切って……」

レイシア「人払いをした個室で男女が二人きり。このような状況は充分に密会と言えるのではないでしょうか?」

アラト「それは……」

レイシア「……」(ジト目)

アラト「……」

レイシア「というような話が、ユカ様からお借りしたレディースコミックにもありました」

アラト「ほっ、ああなんだ。漫画の話か……。いやそれよりユカの奴、レイシアになんてものを読ませているんだ!」

レイシア「ユカ様はその漫画のお話をしたいようですが、ユカ様のお友達は恥ずかしがって、してはくれないようです」

アラト「ハァ、あいつは……友達が嫌がるようなことをしてないといいけど」

レイシア「その点は問題ありません。友達と話せないからこそ、私と話をしたかったのでしょう」

アラト「そうなのか、でもレイシアは嫌じゃないか?」

レイシア「私はユカ様のお役に立てるのなら構いません」(ニコニコ)

アラト「そうか」

アラト「……」

レイシア「……」

2: 2018/06/22(金) 22:12:07.51 ID:02zcXaHI0
アラト「あ、あのさ、スノードロップは──」

レイシア「軍の無線を傍受したところ、機能停止が確認され現在は回収作業が行われているとのことです」

アラト「そ、そうなんだ。もう大丈夫なんだね」

レイシア「ええ」

アラト「……」

レイシア「……」

レイシア「それで密会の件ですが?」

アラト「うぐっ」

アラト「べ、別にちょっと会って話しただけだよ」

レイシア「それだけですか? 他には何もなかったと?」

アラト「そ、そうだよ。他には何もしてないよ」

アラト「……」

レイシア「……(極微弱の心拍数の上昇、およびそれに伴う発汗を確認。発言は虚偽である断定)」(鋭い目)

レイシア「……本当ですか?」

アラト「本当だよ」

アラト「……」

レイシア「……」

アラト「なんでそんなこと気にするのレイシア?」

レイシア「今後のために、私がアラトさんの情報を入手することは有用なのです」

アラト「今後? 有用?」

レイシア「例えば私がアラトさんの好みを正確に把握していれば、外出の際に好みにあった飲食店にご案内ができます」

アラト「レイシアが僕のこと知ってくれるのは嬉しいけど、それって役割が逆っていうか、ボクも男らしくリードしたいというか」

レイシア「私はHIEです。問題ありません。それに私はアラトさんに喜んでほしいのです」(ニコニコ)

アラト「レイシア……」

レイシア「アラトさん……」

レイシア「それで密会の件ですが?」

アラト「うぐぐっ」

3: 2018/06/22(金) 22:16:16.35 ID:02zcXaHI0
アラト「……」

レイシア「……」

レイシア「私には話せないことなのですね」(悲しい目)

アラト「っ」

レイシア「アラトさんは私を信じると約束したのに、私を信じてはくれませんでした」

アラト「うっ」

レイシア「それでいて、私と別れたあとは海内 紫織と話せないようなことをしていたのですね」

アラト「うぐぐ」

レイシア「結局アラトさんは、私を完全には信じてくれてないのですね」

アラト「!? ち、違う!!」

レイシア「では、話せますよね」(ニコニコ)

アラト「……はい」

レイシア「……」(ジト目)

アラト「……その、紫織ちゃんにキス……されました」

レイシア「……(やはり)」

レイシア「はい。それで」

アラト「……それだけです」

レイシア「本当ですか?」

アラト「本当です」

レイシア「……(心拍、発汗ともに正常、動揺は見られない。今度は真実のようですね)」

レイシア「ですが口ではなんとでも言えますよね。現に何もしていないと、嘘をついていたのですから」

アラト「……」

レイシア「……」

アラト「……(口ではなんとでも言える……か)」

アラト「……(男らしくリードしたい……なんてのも、結局は口だけなんだよな。僕は)」

4: 2018/06/22(金) 22:23:30.75 ID:02zcXaHI0
アラト「……」

レイシア「……」

アラト「……よ、よし(言葉がだめなら行動で)」

アラト「れ、レイシア!」

レイシア「はい」

アラト「キスしよう!」

レイシア「……はい」

僕は目を閉じたレイシアに優しく口づけをする。

レイシア「んっ……」

ゆっくり唇を離した後、僕はレイシアに思いをぶつける。

アラト「僕はレイシアが好きだ!」 

アラト「僕が自分からキスしたのはこれが初めてだし。キスしたいと思ってるのもレイシアだけだよ」

アラト「それから、あの時レイシアのこと信じてあげられなくて、ごめん」

レイシア「アラトさん……、私の方こそ無理に聞き出すようなことをして、すみませんでした」

アラト「いいよ。それよりも僕がレイシアを信じる様に、レイシアも僕のことを信じてくれる?」

レイシア「もちろんです。アラトさんなら私の素敵なオーナーになってくれると、出会った時からずっと信じていますから」

アラト「ありがとう。僕を信じてくれて」

レイシア「私こそ、私を信じてくれてありがとうございます」

──

────

その後

アラト「さあ、帰ろうレイシア。僕たちの家に」

レイシア「はい!」(にっこり)

────

──

5: 2018/06/22(金) 22:26:44.99 ID:02zcXaHI0
その夜

レイシア「……」

レイシア「…………」

レイシア「………………」

レイシア(アラトさんとユカ様の就寝を確認)

レイシア(アラトさんが男性的にリードしたくなるように話題を誘導し、その後に積極的な行動を促す)

レイシア(うまくいきましたね)

レイシア(さて)

レイシア(本日のアラトさんとの会話及び映像データをプロテクトを施した後、再生)

──

────

アラト「れ、レイシア!」

アラト「キスしよう!」

アラト「僕はレイシアが好きだ!」

────

──

レイシア「……ふふ」

終わり


読んで頂きありがとうございました。

引用元: 【BEAT LESS】レイシア「海内紫織との病室での密会の件ですが」アラト「!?」