1: ◆H5wAVi2uhY 2016/08/11(木) 16:11:08.98 ID:XpoinKK50
東方ProjectとアクトレイザーのクロスSSです
若干、独自の解釈や設定も入れます

少しキャラ崩壊あり

※アクトレイザーとは1990年に発売されたスーファミの神ゲーです



7: 2016/08/11(木) 16:53:31.95 ID:XpoinKK50
魔理沙「最近、ヒマだな」

霊夢「アンタ、ウチに来るたび同じ事言ってない?」

魔理沙「だってさー!全然異変がおきねーじゃねぇか!」

霊夢「だったらアンタが起こせば?」

魔理沙「その手があったか!」

霊夢「その代わり今ココでぶっ潰すけどね」

魔理沙「なんだよそれ!それじゃ意味ないぜ!」

霊夢「悪い芽は早い内に摘んでおくってね」

魔理沙「つまんねー…ん?」

霊夢「どうしたの?」

魔理沙「おい…何だアレ」

魔理沙の指をさす方向へ目を向ける

霊夢「空飛ぶお城?」

魔理沙「おいおい、空飛ぶ船の次は城ときたか!」

魔理沙「方角的に見て妖怪の山からだな」

霊夢「……さてはまた守矢ね?本当、懲りない奴ら」

魔理沙「とにかく行ってみようぜ!」

霊夢「やれやれ…んじゃ、ぶっ潰しにいきますか」

3: 2016/08/11(木) 16:17:44.33 ID:Nb3dpBoC0
名作ですね、わかります

8: 2016/08/11(木) 16:55:56.20 ID:XpoinKK50
~守矢神社~

諏訪子「ねぇ早苗。アンタさ彼氏とか作らないの?」

早苗「ブッ!いきなり何ですか!」

諏訪子「いや~アンタも本来なら女子高生な訳だしさ。恋愛とかに興味出てくる年頃なハズだし」

神奈子「跡取りの事を考えるなら結婚の事とかも真剣に考えても良いかもな」

諏訪子「あんたモテそうだし、人里に行って良いの見つけてきなよ」

早苗「もう二人とも!からかわないで下さい!」

神奈子「んじゃどういうのが好みなのさ」

早苗「え…?んーと…」

早苗「真面目で誠実で、知的で優しくて…あと意志が強く、カリスマのあるような人ですかね」

神奈子「むむ、なかなか理想が高いな」

諏訪子「しょうがないな。あとでそれっぽいの人里に行ってあたしが探してくるよ」

早苗「探さなくて良いです!将来の事は…私が決めますから」

神奈子「おや、暗くなってきたね」

早苗「雨でも降られたら困りますから、洗濯物を社の中に入れてきます」

諏訪子「ん?これは雲じゃない…」

早苗「え」

神奈子「なんだあの神々しい建物」

9: 2016/08/11(木) 16:57:47.46 ID:XpoinKK50
諏訪子「天空のお城?」

早苗「え、まさかラピュタですか!?」

早苗「ちょっと面白そうなので行ってきます!」

諏訪子&神奈子「……」

諏訪子「全く、普段はお堅いのに異変とかになるとまるで子供の様にはしゃぐんだから」

神奈子「とりあえず私達もあとで向かうか…これはただ事ではない」

~~~~~

突如、守矢神社の丁度真上に現れた謎の城
この事態には幻想郷中がパニックなった

が、しかしこの異変事体はあっさりと解決される事になる
その後、宙に浮く城は守矢神社の隣に安置される

そしてこの出来事から一年が経過する

10: 2016/08/11(木) 16:59:21.12 ID:XpoinKK50
~1年後~

エンジェル「お目覚めですかカミさま」

「……」

エンジェル「魔王サタンとの闘いから数千年以上の時が経ちました」

「数千年…以上…」

エンジェル「文明は滅び、人類は滅亡しました…いまや魔物しかいません」

「……」

エンジェル「遥か大昔、カミ様は魔物たちとの闘いにより傷つき、魔王サタンに力を封じ込まれてしまいました」

「……思い出してきた。そうだ、私は魔王に敗北を喫したのだ」

エンジェル「カミさまが元の力を取り戻すには人々の信仰心が必要なのです」

エンジェル「まずは人間達を住まわせる土地を作るために、魔物との闘いに赴きましょう!」

「わかった。ではさっそく…」

「……」

「エンジェルよ」

エンジェル「はい」

「ここは本当に、私が知っているあの土地、あの世界なのか?」

エンジェル「さすがはカミ様。もう分かってしまいましたか」

エンジェル「ここは私たちの知っている世界ではありません」

エンジェル「ここは…幻想郷です」

11: 2016/08/11(木) 17:00:43.91 ID:XpoinKK50
「幻想郷?」

エンジェル「はい」

「なぜこんな所に流れ着いてしまったのだ」

エンジェル「カミさまの目覚めをひたすら待っていたら…いつの間に天空城ごとここに、移転されていて」

「つまり理由は分からないと?」

エンジェル「まあ…理屈を述べるなら、我々は人々から忘れ去られた存在だという事です」

「忘れ去られた存在…それが一体この状況と何の関係が」

紫「それは私が説明するわ」ヒョコッ

「っ!何者だ。どこからともなく」

紫「私、八雲紫と申します。この幻想郷の創造に関わり管理している物です」

「……」

紫「この世界に来る方法は二つ。私の能力で境界のスキマを作りこの世界にワープする」

紫「そしてもう1つ、それは忘れ去られる事です」

「忘れ去られる…つまり我々は後者という事か」

紫「はい。人々から忘れられると自然とここへ到達します」

「……」

紫「この天空城を発見したのはかれこれ一年前」

紫「当時、幻想郷中がパニックになっていました」

「なんと…」

紫「そうそう、もう1つある事実を」

「?」

紫「アナタの永い眠りは本来、あと数万年ほど掛かるはずだったの」

13: 2016/08/11(木) 17:03:54.37 ID:XpoinKK50
「なんだと」

紫「そこで私の境界を操る力を尽くして、アナタの復活の儀式を行いました」

「そうだったのか…なんと礼を言ったらいいのか」

エンジェル「あ、あの」

「どうした?」

エンジェル「大変申し上げにくいのですが。復活の儀式を行ったのは紫様で無く、その、違う方々なのですが…」

「…………」

紫「フフフ、まあまあ。ちょっとしたジョークよジョーク。まあ私ならその気でやれば一瞬でアナタを復活へ導く事も可能なのですが」

「…………」

紫「そんな怪訝な顔をしないで…ね?」ニッコリ

「まあいい。幻想郷というのはつまり、忘れ去られた者たちが集まる終着点みたいな場所なのか?」

紫「いいえ。ここは楽園。神も妖怪も人間もいる、理想郷です」

「……妖怪?」

紫「ああ。そういえばアナタの居た世界では妖怪という概念が存在しないわね」

紫「まあ簡単に言うと、アナタの居た世界でいう魔物といった所かしら」

「なに?人間と魔物が…一緒に…??」

紫「そして私も妖怪です」

「っ!?」ガタッ

紫「まあまあ、そんな怖い顔しないで。妖怪でも色々居るのよ。少なくとも私は無害」

「イマイチ信用し切れん」

紫「それにそんな大きな剣を振るったところで、今のアナタじゃ私には勝てませんわ」

エンジェル「紫様の仰るとおりで、今のカミ様は本来の力を取り戻してはいません」

「……」

14: 2016/08/11(木) 17:05:52.37 ID:XpoinKK50
紫「アナタが復活する頃だろうと思って見にきたら、どうやらタイミングが良かったようで」

「とりあえずこの世界の説明をしてくれたのは感謝する」

「それで、この私の復活を早めたという人物は一体どこに」

紫「それもいまご紹介しましょう」

紫「コチラへ」

~守矢神社~

「まさか天空城のすぐ隣にこんな立派な建物があるとは」

「八雲紫よ、キミは妖怪でありながらこの社の主と仲がいいのか…んん?八雲紫はがいない」

エンジェル「どうやら何処かに消えてしまったようです」

「………」

エンジェル「あのお方はイマイチ何を考えてるか私にも理解できない所があります。どうかお気になさらず」

「困った物だ」

神奈子「おおついに目が覚めたようだな」

神奈子「私は八坂神奈子。元は風の神だったが、色々あって今は山の神として祀られている」

「そなたがこの社の主か」

諏訪子「私も忘れちゃイヤだよ!」ヒョコッ

「……子供?」

諏訪子「子供じゃない!洩矢諏訪子!こうみえて私もこの守矢神社の裏の神様なんだよ!」

「…………」

諏訪子「あー全然信用してないでしょ?」

神奈子「人を見た目で判断してはならない。私たちは神だ」

「……それもそうだな。この私を復活させてくれた大恩ある方々とは君達でいいんだな?」

15: 2016/08/11(木) 17:06:36.28 ID:XpoinKK50
神奈子「ああそうだ」

「本来はあと数万年も封印されなければならない所を、救っていただき心から感謝している」

「私は間も無く元の世界に戻り、魔物を駆逐し文明を築き上げねばならない」

「だが必ず恩を返そうと思う」

「もし困った事があるなら何でも言ってくれ」

神奈子「ん?」

諏訪子「今何でもって」

諏訪子&神奈子「……」ニヤァ

「?」

神奈子「計画通り」ボソッ

諏訪子「それじゃさっそく恩を返してもらおうかなっ!」

「え」

神奈子「とりあえずウチにあがってお茶でも飲もうか」

「うむ」

エンジェル(なんだろう。いつにもまして強引な)

17: 2016/08/11(木) 17:07:52.75 ID:XpoinKK50
「ふむ、変わった内装だ」

神奈子「和の文化になれてないねアンタ」

諏訪子「それじゃさっそく、ウチの可愛い娘を紹介しようか」

早苗「は、初めまして。東風谷早苗です」ペコッ

「うむ。私は…ある世界のカミだ」

早苗「そうですか。私もまだ十代ですが一応、風祝であり現人神でもございます」

「ほう、まだ若いというのに」

早苗「えと…たしかエンジェルさんから聞いたのですが、遥か大昔に魔王サタンと闘ったというのは本当なのですか?」

「ああ。あの時は不覚にも敗北してしまった。その結果、多くの人々を氏に追いやる結果を招いてしまった」

「……情けない」グスッ

エンジェル「カミ様…」グスッ

早苗「エンジェルさんの言うとおり真面目なお方なのですね」

諏訪子&神奈子「……」

神奈子「時にカミよ、ソナタから見て早苗はどう思う」チラチラ

「どうって?」

諏訪子「ほらほら!こう…神としてだけでなく、見た目とか中身とか!」チラチラ

「ふむ、今日会ったばかりでの印象ではあるが」

「清楚で生真面目…それと美しい、と言った印象だ」

早苗「///」

諏訪子&神奈子「……」ニヤァ

「神の名に恥じぬ者だとおもう」

エンジェル「うんうん」

18: 2016/08/11(木) 17:09:15.25 ID:XpoinKK50
神奈子「そうかそうか!早苗の事を気に入ってもらえて良かった!」

諏訪子「それじゃもう決まりだよね!」

「?」

諏訪子「はいホラ貝」

神奈子「はいよ。スーッ…」パシッ

ブオォォォォォ~~…

「??」

バサバサバサッ

文「はいは~い!清く正しい射命丸文でーす!」


文「ってあややや!?もう例のカミ様が復活なされたんですか!」

神奈子「ああ。ついでに婚約もたったいま確定した」

「っ!!?」

エンジェル「」

文「なるほどなるほど…」ニヤリ

諏訪子「明日は婚約記念の宴会をココで開くから、文文。新聞ヨロシクね!」

文「了解でーーす!」ヒュンッ

「」

エンジェル「」

早苗「不束者ですがヨロシクお願いします///」

19: 2016/08/11(木) 17:10:06.63 ID:XpoinKK50
「ちょ、チョット待ってくれ」

諏訪子&神奈子「ん?」

「私とエンジェルはこれからもとの世界へ戻り、魔物退治に行かなければならないのだ」

「呑気に宴会などしてる暇など無いのだ。大体、結婚を了承した覚えは…」

神奈子「だが早苗の事はさっき散々と褒め称えてたじゃないか」

「いやしかし、あまりに強引で身勝手じゃ…」

諏訪子「ん?でもさっき何でもするって言ったよね?恩を返すためなら何でもするって」

「……」

神奈子「まあいいじゃないか!いますぐ結婚する訳じゃないんだし」

神奈子「あくまでも婚約だよ婚約」

諏訪子「これでこれからの守矢神社は2柱から3柱になる」

「アナタ達の目的はそれか」

神奈子「ああ、この守矢神社を博麗神社に負けないくらい貴重な存在にするためにな」

諏訪子「まあ純粋に早苗の幸せを願っての事もあるけどね」

早苗「///」

20: 2016/08/11(木) 17:10:54.52 ID:XpoinKK50
神奈子「そういえばそなたには明確な名前とかはあるのか?」

「私は昔からとカミ言われている」

神奈子「そうか。だが幻想郷にも神が大勢いる。婚約を機に新しく名前をつけたらどうだ」

「いやだから婚約は」

諏訪子「私と神奈子、早苗で考えたんだけどさ。アクトレイザーなんてどうかな」

「アクトレイザー…」

神奈子「英語に詳しくは無いが…まあ大体の意味合いでは『創造する者』だな」

早苗「そうです!そして私の苗字も取り付けて東風谷アクトレイザーです!」

「……」

エンジェル「あの、カミ様はこれから魔物の退治をしなければなりません」

エンジェル「婚約の話はまた後で…」

神奈子「ん?あれれ?本当はあと数万年も眠ってなきゃいけない身だったんだよね~?」チラチラッ

諏訪子「せっかく復活を早めてあげたのにな~…しかもさっき何でもするって言ったのに~」チラチラッ

エンジェル「」

「……わかった。恩人のいう通りにしよう」

21: 2016/08/11(木) 17:12:25.35 ID:XpoinKK50
~次の日の夜・守矢神社~

ワイワイ、ガヤガヤ

神奈子「諸君、今日はよく集まってくれた」

諏訪子「紹介しよう!彼こそが異世界の救世主であり、我ら守矢の新しい神であり、そして早苗の婚約者…東風谷アクトレイザーだ!」

パチパチパチ
ヒュー!ヒュー!

アクトレイザー「……」

早苗「///」

~~~~

アクトレイザー「……」

アクトレイザー(本当に何でもいるな)

萃香「ほらほら吸血鬼のお嬢さん。酒だよ~飲め飲め」

レミリア「あら小鬼の分際で気が利くわね」

小悪魔「あれが守矢の新しい神ですか、カッコいいですね!」

小町「たしかに。羨ましい限りだね早苗も」

アクトレイザー(悪魔や鬼が神と普通に接している)

映姫「カミよ、初めまして。閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥです」

アクトレイザー「……」ペコッ

映姫「今回の一件、恩があるとは言え非常に強引と思える。同情しましょう」

映姫「しかし一度結ばれた関係、易々と裏切ってはいけませんよ」

アクトレイザー「肝に銘じておこう」

22: 2016/08/11(木) 17:13:31.91 ID:XpoinKK50
霊夢「アナタが例のカミね」

アクトレイザー「ああ。キミは…巫女?」

霊夢「博麗霊夢よ。この博麗神社の巫女をやってて、時々この世界に起こる異変を解決しているわ」

アクトレイザー「異変?」

霊夢「異変の意味はあまり深く考えなくていいわ。そのウチわかると思うし」

エンジェル「ひっ…!!霊夢様…」ガクガク

アクトレイザー「何を怯えている」

霊夢「あー…ごめんね。ちょうど去年に、天空城がこの幻想郷に現れて当時パニックになってたのは聞いてるわよね?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「それでね、あの時…」

23: 2016/08/11(木) 17:15:15.27 ID:XpoinKK50
~回想・天空城にて~

エンジェル「ココは一体…私の知っている世界と違う」

ワイワイ、ガヤガヤ

エンジェル「見物人までぞくぞくと訪問にきている…」

早苗「わぁぁ…なんて荘厳で美しい銅像。それに可愛い天使さんまで」

エンジェル「この銅像は御神体です。私はこの方の復活の時を待っているのです」

早苗「復活の時?封印をされているのですね」

エンジェル「ええ、遥か大昔、サタンによって力を封じ込まれてしまって…」

レミリア「いい場所じゃないココ。別荘にしようかしら」

咲夜「では、ココを占拠するのですね?」

レミリア「ええ。まずはそこの天使に洗礼を浴びせないと」

エンジェル「…!!いけません、ここはカミ様が眠られている場所です!」

レミリア「へえ、じゃあスペルカードのルールを教えてあげるから勝負をしましょう」

ボゴォォォン!!

全員「!!?」

レミリア「ふんぎゃ!」

咲夜「お嬢様!?」

霊夢「こんにちはレミリア。ルールならアンタじゃなくてこの私が教えるから。あんたはそこで寝てなさい」

エンジェル「巫女さん…?」

霊夢「アナタが異変の首謀者ね」

霊夢「とりあえずルールは戦いながら教えるから」

霊夢「覚悟しなさい」

エンジェル「え」

早苗「あの銅像には指一本触れさせません!」

咲夜「ここはお嬢様の別荘にするところよ。退きなさい」

霊夢「……うるさいハエ共ね。覚悟しなさい」

ズドォォン…

~数分後~

霊夢「口ほどにも無いわね」

咲夜「」ドサッ

早苗「」ガクッ

エンジェル「!?」

霊夢「さあ行くわよ、首謀者」

エンジェル「ちょ、待って…」

~回想終わり~

霊夢「っという訳で、あなたが眠っている間に少し暴れさせてもらったわ」

霊夢「それ以来ずっとビビッてるのよ」

エンジェル「」ガクガク

アクトレイザー「……キミは本当に神に仕える巫女なのか?」

24: 2016/08/11(木) 17:16:46.03 ID:XpoinKK50
神奈子「おう来たな霊夢」

霊夢「神奈子、なんでいきなり早苗に婚約なんてさせたの。気が早すぎるんじゃないの?」

諏訪子「幻想郷は常識に囚われてはならないと連呼する早苗も、恋愛面ではお堅い上に男の理想が高いものでな」

神奈子「だがその早苗が、あの天空城に居た御神体を見てからと言うものの、その銅像に惚れ惚れとしてしまって…」

早苗「エンジェルさんから聞かされた、あの方の武勇伝も私の中で来るものがありました!」

霊夢「うわっ!噂をすれば…」

早苗「あの方こそ私の運命の方なんだと確信しました」

霊夢「それで強引に婚約をむすんだと言うのね」

早苗「ええ、まさに私とあの方は文字通り神夫婦となるのです!」ドヤッ

霊夢「うざ」

25: 2016/08/11(木) 17:18:33.31 ID:XpoinKK50
チルノ「お前が新参者だな!」

アクトレイザー「む?」

チルノ「あたいと勝負しろ!格の違いをみせつけてやる!」

早苗「こらこら妖精さん。私の夫に手を出してはなりません」

チルノ「こんのー!惚気るな!」

紫「あらいいんじゃない?リハビリに持って来いだと思うけど」

アクトレイザー「しかし、こんな小さな子供に攻撃など私は」

エンジェル「カミさま、彼女を甘く見ないほうが良いですよ」

アクトレイザー「なに?」

霊夢「まあ私にとってはザコだけど。今のアナタにとってはどうなのかは分からないわね」

霊夢「てか弾幕撃てるの?」

アクトレイザー「いや…いまはまだ。そこまで力を取り戻していない」

霊夢「それじゃただの肉弾戦の喧嘩になるわね。この勝負はおススメできないわ」

紫「あら、でも向こうはもうやる気満々よ」

チルノ「凍符・パーフェクトフリーズ!!」

パキィィン…

アクトレイザー「うっ!」

アクトレイザー「なんだこれは…氷魔法!?」

アクトレイザー「うっ…不本意だが、攻撃を…」ブンッ

チルノ「バーカバーカ!当たらないよー」フワッ

アクトレイザー「ぐっ、空を飛べる分、回避が上手い」

早苗「私の夫に何をしてるんですか!秘術・一子相伝の弾幕!」

アクトレイザー「おお…美しい。花火のようだ」

星のように形成した弾幕が、規則正しく動き、美しく空中に散らばっていく

ズドォォン

チルノ「むねん…」ドサッ

早苗「大丈夫ですかアナタ!」ギュゥゥ

アクトレイザー「す、すまぬ」

26: 2016/08/11(木) 17:20:32.40 ID:XpoinKK50
妖夢「初めましてカミよ。空中移動無しでなら、私と剣術の勝負をしてもらえますか?」

早苗「頃しますよ妖夢さん?」

妖夢「ヒッ!?」

アクトレイザー「剣術勝負か。私としてはありがたいが」

アクトレイザー「キミのような可憐な少女を攻撃する気にはなれない」

霊夢「そいつはそこそこ強いから、寧ろ自分の心配をしたほうが良いわよ」

アクトレイザー「ふむ…そうか。では怪我をさせない程度に」

早苗「アナタ…」

アクトレイザー「心配するな早苗。私とてかつては命がけの闘いをしてきたのだ」

妖夢「では……いざ尋常に」

アクトレイザー「うむ、来い!」

妖夢「勝負」

決闘の合図を口にすると同時に妖夢は疾風と共に姿を消す

アクトレイザー「なっ…消えた…」

ガキィィン!

アクトレイザー「うっ!」

手に持たれていた剣は弾かれ、宙に舞っている
そして魂魄妖夢の刀がカミの喉に剣先を向ける

妖夢「勝負アリですね」

アクトレイザー(やはり衰えが酷い。今のままではサタンどころじゃない。上級の魔物すら倒せるかどうか…)

早苗「妖夢さん。台所から包丁持ってきたので、私と勝負しませんか?」ニッコリ

妖夢「遠慮します。あとごめんなさい」

27: 2016/08/11(木) 17:23:20.02 ID:XpoinKK50
~宴会終了後~

エンジェル「カミさま、これからどうしましょうか」

アクトレイザー「うむ。あの三人には悪いがしばらく留守をするしかあるまい」

アクトレイザー「あの世界の救済をせねば」

霊夢「あら、もう幻想郷から去るの?」

アクトレイザー「いや。私はすでに守矢神社の御神体のひとつになってしまった」

アクトレイザー「また幻想郷には帰ってくる。だが問題はその移動手段だ」

霊夢「まあそれなら紫に頼めばどうにかなると思うけど…」

霊夢「アナタ、ほんとに行くの?」

アクトレイザー「何か問題でも?」

霊夢「いやだってチルノ如きに負けてるようじゃ…」

霊夢「全盛期のアナタがどれほど強かったのか知らないけど、力を持ったあなたを長年に渡って封印していたサタン?だっけ。そいつを討伐できるの?」

アクトレイザー「力は少しづつ取り戻していくつもりだ」

アクトレイザー「それに苦労するのは覚悟の上」

霊夢「ふーん」

早苗「心配はいりませんよアナタ」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「私が助太刀いたします!」

アクトレイザー「なんだと!?」

28: 2016/08/11(木) 17:24:25.34 ID:XpoinKK50
早苗「夫を救うのは妻の役目として当然です!」

アクトレイザー「いやしかし」

早苗「あと援軍も呼んでいますから」

アクトレイザー「援軍?」

魔理沙「異世界旅行が面白そうだから行く事にしたぜ」

咲夜「魔王サタンの住居を自分の物にしたいと、お嬢様から命令があったので協力します」

霊夢「なるほどね。早苗に加えてその二人が居れば充分な戦力ね」

チルノ「あたいもいるよ!」

霊夢「え、アンタ大丈夫なの?」

チルノ「あたし自身が神だという事を人間どもに教えるのだ!」

早苗「以上が援軍です!」

魔理沙「霊夢も旅行に来るか?」

霊夢「行く訳無いでしょ。めんどくさい」

29: 2016/08/11(木) 17:25:30.90 ID:XpoinKK50
エンジェル「まさかこんなに援軍がいるとは…ありがたいです早苗様」

アクトレイザー「早苗よ、すまぬな」

早苗「妻の役目を果たしたまでです!」

早苗「だから安心して留守番しててください」

アクトレイザー「え」

エンジェル「どういう意味ですか!?」

早苗「その、悔しい事にアナタはまだ力を取り戻していない」

早苗「今のまま行けばきっと傷だらけになるのは目に見えています」

アクトレイザー「それは覚悟の上だが」

早苗「生傷を増やされては妻の私は心が痛みます!」

早苗「かわりにアナタには幻想郷で修行をしてもらう事にしました」

アクトレイザー「修行?」

妖夢「はい。私が指南役です」

アクトレイザー「キミはさっきの…」

妖夢「カミよ。対サタンに備え、本当の力を取り戻すべく私が力になりましょう」

アクトレイザー「……気持ちはありがたい。だが私だけ幻想郷でのうのうと修行などしていいのだろうか」

霊夢「良いんじゃない?生傷増やしながら闘うよりも、見方が多い方が楽に魔物退治も出来るんだし」

30: 2016/08/11(木) 17:27:30.64 ID:XpoinKK50
~翌日・天空城にて~

紫「スキマはいつでも開けておくから」

早苗「これでいつでも幻想郷に帰ってこれますね」

咲夜「準備は良いかしら?」

魔理沙「バッチリだぜ」

チルノ「同じくばっちりだぜ!」

早苗「では妖夢さん。私の夫をお願いします」

妖夢「はい」

アクトレイザー「早苗、私は必ず元の力を取り戻してみせる。そっちは頼む」

早苗「はい///」ギュッ

早苗は頬を赤くしながらカミを抱きしめる

アクトレイザー「……っ、人前では止しなさい」ドキッ

霊夢「早く逝きなさいよ」イラッ

魔理沙「漢字が違うぜ霊夢。気持ちは分かるが」

早苗「では行って参ります!」

31: 2016/08/11(木) 17:29:59.63 ID:XpoinKK50
~異世界にて~

早苗「結構広いんですね!」

エンジェル「はい。この広大な世界の魔物全てを排除します」

エンジェル「魔物を退治したら、その土地に自然と選ばれし人間達が降臨します」

魔理沙「選ばれし人間達って…どういう理屈で人間が生まれるんだよ」

エンジェル「選ばれし者たちなので、お腹の中から生まれた赤ん坊とは違います」

エンジェル「そして長い年月をかけて文明を発展させていきます」

魔理沙「長い年月をかけて文明発展ね…まあそこら辺は早苗の夫の役目なんだろ?」

エンジェル「基本的には人間達に任せますが、どうしようも困った時、我々が救いを起こします」

咲夜「それじゃ手分けして、それぞれの地域の魔物を退治しましょう。そのほうが効率が良いわ」

魔理沙「チルノは迷子になるかも知れんから…エンジェル、お前がちゃんと導いてやれよ」

エンジェル「はい!」

チルノ「むー!そうやって馬鹿にしてー!」

44: 2016/08/17(水) 03:07:17.18 ID:TP0M3RAh0
一方、カミと妖夢は

~白玉楼にて~

石像を背負う妖夢と、光り輝くカミの霊魂が宙に浮きながら、ゆっくりと白玉楼に到着する

アクトレイザー「すまんな。私の御神体をこんな遠くまで運んで頂いて」

アクトレイザー「今のように幽体離脱すれば空を飛べるんだが、体がある時だと飛べないのだ」

妖夢「これ位たいしたこと無いです」ゴトッ

そういって妖夢はカミの御神体を置く
そして幽体離脱し宙に漂っていたカミは、御神体の元へと戻っていく

妖夢「さあカミよ、修行を開始しましょう」

アクトレイザー「うむ。よろしく頼む師匠妖夢」

妖夢「スペルカードのルールは聞いてますね?」

アクトレイザー「聞いているが、その時々で微妙に仕様が変わるようだな」

妖夢「そうですね。1つのスペカに厳密な時間が決まってたり決まってなかったり、肉弾中心の闘いになってたり…」

妖夢「ウォーミングアップとしてカミには、私のスペカを幾つか乗り越えてもらいましょう」

アクトレイザー「では頼む」

妖夢「まずは…」

妖夢は静かに眼を瞑ると、妖夢を中心に光を纏った魔方陣のような物が浮かぶ

妖夢「餓王剣・餓鬼十王の報い」

右に左にと素早く往復しつつ、剣先から弾幕を放つ
さらに周囲には花びらの幻影も浮かんでいた

アクトレイザー「うっ!しまった…早速被弾した」

アクトレイザー(凄い量の弾幕だ。上手く避けねばならぬ)

45: 2016/08/17(水) 03:10:13.44 ID:TP0M3RAh0
~2時間後~

妖夢「カミよ、私の弾幕は如何でしたか?」

アクトレイザー「なかなか強力だった。それと…美しかった」

妖夢「もったいないお言葉を」

アクトレイザー「さて、では次はどのような修行を」

妖夢「す、少し休憩しましょう…ずっと弾幕を撃ち続けて体力が…」

アクトレイザー「む?そうか」

妖夢(2時間も私のスペカを避け続け、キズだらけになっても、なお鍛錬を止めない不屈の闘志…さすがカミと言うべきか)

アクトレイザー「師匠妖夢よ、そなたから見て私の動きに何か問題はあっただろうか」

妖夢「初めは脆く危なっかしい場面も見られましたが、動きは段々良くなって来ています」

妖夢「上達は早いと言えるでしょう」

妖夢(自力の修行だけでこれだけの上達ぶり。人々の信仰心で力を手にしたら一体どうなる事やら)

幽々子「あら、楽しそうな事やってるわね」

妖夢「幽々子様…」

幽々子「妖夢の手料理を頂く前に、私も少し運動しようかしら」

幽々子「どうカミ様、私と一緒に危険なお遊びしない?」

アクトレイザー「修行に付き合ってくれるのなら、お願いしよう」

幽々子「あら?よく見たら体がキズだらけじゃない」

アクトレイザー「気にするな」

幽々子「その体で長期戦に持ち込むのは不憫ね。その代わり、初めから全力でいくわ」

幽々子「桜符・完全なる墨染の桜 ―開花―」

アクトレイザー「!?」

幽々子の後ろに煌びやかな扇子が浮かび、大きな弾幕と蝶の形をした弾幕が降り注ぐ

アクトレイザー「な、なんだ。あれは…」

アクトレイザー「美しい…」

呆気に取られたカミは棒立ちのまま、光に包まれていく

幽々子「弾幕勝負はただ闇雲に戦えば良い物ではないの。美しい方が勝ちよ」

アクトレイザー「うっ…!」

46: 2016/08/17(水) 03:12:02.87 ID:TP0M3RAh0
アクトレイザー「……」

幽々子「あら、ゴメンなさ~い。またキズが増えちゃったわね」

大の字で倒れるカミを、微笑みながら見つめる幽々子と、心配そうに様子をうかがう妖夢

妖夢「今日の修行はココまでにしましょう」

アクトレイザー「いやまだだ…うっ!」ズキッ

幽々子「無理は良く無いわよ?少しずつ前に進みなさい」

幽々子「妖夢の作るゴハンは美味しいのよ?休んでいきなさい」

アクトレイザー「……」

妖夢「では私は厨房へ……あ」

幽々子「どうしたの?」

妖夢「迂闊でした…早苗さんから、夫を傷付けないようにってキツく注意をされてました」

幽々子「生傷が増えない修行なんてあるの?私、修行した事ないからわからないけど」

妖夢「早くキズを癒さないと早苗さんに怒られてしまいます!」

幽々子「大丈夫よ。もし殺されても私と一緒になるだけだから。そろそろ半霊卒業しても良いんじゃない?」

妖夢「まだ半分生きていたいです!」

アクトレイザー「早苗には私が言っておくから心配するな」

47: 2016/08/17(水) 03:13:44.72 ID:TP0M3RAh0
~少女&カミ食事中~

幽々子「アナタは確か年月をかけて、封印されていたのよね?」

アクトレイザー「ああ」

幽々子「フフフ、幻想郷ってこの類の話が多いわね」

妖夢「そうですね」

アクトレイザー「ほう」

幽々子「私も以前、ある異変を起こしてね…ある人の復活を願ったんだけど失敗しちゃったの」

アクトレイザー「異変を起こさなければ復活できない物なのか」

幽々子「うん、でも諦めちゃったわ。紫からも二度とするなって言われてるし」

アクトレイザー(異変を心から待ち望んでそうなあの紫が、そこまで…)

幽々子「アナタはこれからも修行に励むのよね?」

アクトレイザー「ああそうだ。私は力を取り戻せねばならぬ」

幽々子「そう。ある程度の力が戻ってきたら、人里の近くにある命蓮寺…それと仙界に行くと良いわ」

アクトレイザー「命蓮寺に仙界…」

幽々子「アナタと似て数奇の運命をたどった、強力な力を持った主がいるわ」

妖夢「聖さんと神子さんが相手なら良い修行になりそうです」

アクトレイザー「たしか聖白蓮に豊聡耳神子という者達だな?宴会の時に軽く挨拶はしたが」

幽々子「相手は立場上、商売敵だから気をつけてね?特に部下は血の気が濃いのが多いって聞くし」

妖夢「変なのもいますしね」

アクトレイザー「なかなか濃い面子が揃っているようだな」

アクトレイザー「……」ギュッ

カミは何かを確かめるように、グッと拳に力を入れる

アクトレイザー(まだ力が戻っていない…という事は信仰心が足りてないという事だな)

アクトレイザー(早苗達は今頃どうしてるだろうか)

72: 2016/08/26(金) 07:16:46.09 ID:TAdMCGBx0

~異世界にて・森のエリア・フィルモア~

早苗「えい!」ブンッ

木の化け物「っ!!」

早苗のお祓い棒が刃物のような切れ味で、人の顔をした木の魔物を倒していく

敵を倒し宙に浮くと早苗を待ち構えてたように、鳥やら虫、角の生えた怪物、サルの形をした魔物が、一斉に襲い掛かる

早苗「秘術・グレイソーマタージ(ノーマル)」

お祓い棒で星を描くように振ると、星型に形成した弾幕は鮮やかに散らばっていく

早苗「観念なさい!」

ボォォォン

早苗「アナタ達のような雑魚にボムを使うのは、少々もったい無い気がしてきました」

魔物達「」

早苗「さてそろそろココの主に会えると思うのですが…」

早苗「あ、いたいた!」

セントール「……」

早苗「槍を持った人馬の騎士…かの有名なケンタウロスですか」

セントール「……っ!!」ダダッ

早苗「おっと私を槍で貫こうなど100年早いですよ!」サッ

早苗は宙に浮きながら、槍の攻撃を回避する

セントール「……!」

ボォォン!ボォォン!

早苗「雷の弾幕ですか。ですが飛距離が足りませんよ」

セントールの周りをグルグルと飛んで回避する

早苗(さて、あまり強い魔物ではないようですが…どう始末しようかしら)

49: 2016/08/17(水) 03:17:14.77 ID:TP0M3RAh0
早苗「ん?」

ゴゴゴゴゴ…!!

ふと横を向くと遠くからぶ厚い光がコチラに向かって飛んでくる

早苗「まさか」

ボォォォォン!!!

セントール「」ドサッ

黒こげになったセントールは力無く倒れ、風に吹かれた砂の様に消えていく

魔理沙「いっちょあがりぃ!」

早苗「ちょっと魔理沙さん!私に目がけてマスパは止めてください!」

魔理沙「お前なら避けられると思ったんでな」

早苗「まったく…しかも良く見ると、あちこちの木々が粉々になってるじゃないですか」

魔理沙「弾幕を乱発してたら森林伐採しちまってたようだ」

~その頃、ブラッドプール~

咲夜「赤い湖…その近くにはお城…」

咲夜「まさにこの土地こそお嬢様の別荘地に相応しいわ」

咲夜「……この世界にはスペルカードルールの概念が存在しない」

咲夜「つまり手加減も必要ないし、弾幕も能力も使い放題ね」

石投げ老婆「キヒヒヒ」

剣を扱う魔物「グフフフ」

マンティコア(ライオン似の魔物)「ゴォォォォ!!」

咲夜「さて、とっとと終わらせましょう」

咲夜「幻世『ザ・ワールド』」

50: 2016/08/17(水) 03:18:34.70 ID:TP0M3RAh0
~天空城にて~

エンジェル「二人ともお疲れ様です。見事な活躍でした」

早苗「これで人々が住めるようになるんですよね?」

エンジェル「はい。つい先ほど選ばれし人間達が降臨しました」

早苗「そうですか」

エンジェル「それで人間達が要件があるらしく…」

早苗「そうですか!ならば話を聞きに向かいましょう」

エンジェル「え?チョット待って下さい!いま内容を教えるから!」

早苗「いってきまーす!」

エンジェル「いっちゃった…」

魔理沙「早とちりな奴だぜ」

~神殿前にて~

早苗「迷える人々よ、何かお悩みですか?」

男代表「うわぁ!空から少女が舞い降りた!?」

女代表「アナタは一体…?」

早苗「私は東風谷早苗。現人神であり…この御神体の妻です!」

男女代表「」

男代表「それはつまり…カミの奥さんという事になるのですか?」

早苗「いかにも!私はあの方の代行としてこの土地に降臨しました」

女代表「おお!なんと凄いお方が降臨なされたのでしょう…」

男代表「まさかカミに妻が居たとは…」

~~~

エンジェル「良かった…物分りの良い民で」

魔理沙「この世界の民チョロすぎだろ」

51: 2016/08/17(水) 03:19:55.25 ID:TP0M3RAh0
早苗「それでどのようなご用件で?」

女代表「実はここフィルモアは樹木が多くて、家が建て辛いのです。雷などで焼き払い道を示して欲しいのですが…」

早苗「良いでしょう。このカミの妻たる東風谷早苗!奇跡の力をお見せいたします!」

そういって両手を挙げて詠唱を始める

早苗(神奈子さまや諏訪子さまから教わった秘術。その成果をいま見せる時です)

早苗「大自然あふれるフィルモアに迷える人間あり。彼らの生活の為、文明発展の為に道を切り開くべく、雷を降らしたまえ!」

男代表「おお…空が曇っていく…」

ポツポツ…ポツポツ…

パラパラと雨が降ると、黒い雲からゴゴゴッと音が響き光を放つ

ボォォン!!ボォォォン!!

女代表「雷が木々を燃やしていく…」

男代表「おおカミの妻サナエよ!ありがたやありがたや…」

早苗「ふっふっふっ!これこそが神の力です!」

~~~~

エンジェル「おお!さすが早苗さま!」

魔理沙「面とむかってあのドヤ顔されたらイラッと来るけどな」

エンジェル「さて、私も仕事に向かいましょう」

魔理沙「え、やることあんのか?」

エンジェル「まだこの地上には魔物の住処が残ってます。私はそこにいる魔物を退治します」

チルノ「あたいも手伝う!」

魔理沙「お前いつの間にいたのか。よし、じゃあアタシも手伝うか」

52: 2016/08/17(水) 03:20:55.83 ID:TP0M3RAh0
エンジェル「覚悟しろ!」ピュンッ

ナッパーバッド「グッ!!」

チルノ「青いのはあたい一人で十分だ!」パキィィン

ブルードラゴン「ゴォ!!」

エンジェルの放つ矢と、チルノの氷結魔法が魔物たちを一掃していく

魔理沙「確か木々を燃やしてくれって言ってたよな…」

魔理沙「適当にマスパ打ちまくってれば木も倒せるし、魔物も倒せるな」

八卦炉を取り出してマスタースパークを出し始める

魔理沙「おらおらぁ!!」

ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!

魔理沙「ん?何だこりゃ」

大きな岩を破壊すると、そこから炎の形をした物を発見する

魔理沙「これは…魔法関連のものか?」

53: 2016/08/17(水) 03:21:51.92 ID:TP0M3RAh0
早苗「道が出来て、田畑も家も増えてきましたね!」

早苗「でもいつの間にかあんなに人口が…?まだ数日しか経ってないのに」

エンジェル「それは魔物を倒したからですよ。魔物たちも元は人間だったんです」

早苗「魔物から再び人間に転生し直した訳ですね」

魔理沙「順調に町の開発も進んでるし、魔物の巣の封印も始まったな」

チルノ「あたい、そろそろ違う場所に行って魔物退治したい!」

エンジェル「まあまあチルノちゃん。少し待って下さい」

エンジェル「とりあえず一旦、幻想郷に戻りましょう」

魔理沙「幻想郷に戻ってカミに状況報告するのか?」

エンジェル「ええ。それが終わったら私とチルノちゃんは他地域の魔物退治に出かけます」

魔理沙「んじゃ私も報告終わったらどっかの地域へ行こうかな

早苗「ではフィルモアは引き続き、私が担当でよろしいですか?」

エンジェル「はい、お願いします!」

早苗「あ」

魔理沙「どうした?」

早苗「咲夜さんは?」

魔理沙「あ、忘れてた…たしか隣の地域に行くって言ってたから様子見てくるわ」

54: 2016/08/17(水) 03:24:05.60 ID:TP0M3RAh0
~沼のエリア・ブラッドプール~

魔理沙「お、いたいた」

咲夜「あらどうしたの?」

魔理沙「状況報告のために一旦、幻想郷に帰るってさ」

咲夜「そう」

魔理沙「一応、魔物は退治したっぽいな」

咲夜「ええ、そしたらいきなり神殿や人間が湧いて出てきて…」

魔理沙「でも町開発はあまり進んでないな」

咲夜「残念ながら私には沼地を干上がらせる能力は無いから」

男代表「あ、咲夜さん。このお方は?」

咲夜「魔女よ」

男代表「!?」

魔理沙「違う。ただの魔法使いだ」

男代表「ビックリさせないで下さいよ…」

咲夜「ふふふ、ごめんなさい」

咲夜「私はちょっと故郷に帰るわ」

女代表「そうですか…私達はどうすればよろしいでしょうか」

咲夜「引き続き祈り続けなさい。そうすればカミより救いの手を差し伸べられるわ」

男女代表「はい」

魔理沙「お前、この土地ではどういう立ち位置なんだ?」

咲夜「ただの魔物ハンターという事にしてるわ」

魔理沙「悪魔の従者がよく言うぜ」

咲夜「私はカミと同盟を組んでるだけ。信者では無いわ」

55: 2016/08/17(水) 03:25:34.72 ID:TP0M3RAh0
~幻想郷・白玉楼にて~

妖夢「人符・現世斬!」ダッ

猛スピードで突進し、弾幕を纏った刀を振り下ろす
カミはそれを大剣で受け止める

アクトレイザー「っ!」ガキィィン

アクトレイザー「ふん!!」

妖夢「なっ…!!押し返された!?」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー(体中から力が湧き上がって来る…これは…)

早苗「あなたー!」

アクトレイザー「早苗…!それに同士たちまで」

エンジェル「報告に参りました」

エンジェル「森林の土地フィルモアは、魔理沙さんと早苗さまのご活躍により、魔物を退治。人口も順調に増えています」

アクトレイザー「おお…!道理で体中から力がみなぎって来る訳だ」

エンジェル「人々の信仰心も、早苗様の奇跡の力により安定してます」

魔理沙「隣の土地、ブラッドプールはまだ発展途上だけどな」

アクトレイザー「私もいずれ、力を取り戻したらそちらへ行く」

アクトレイザー「引き続きあの世界を頼む。何かあったらまた連絡に来てくれ」

早苗&エンジェル「はい!」

早苗「ええ」

チルノ「あいよ!」

魔理沙「あ、そうだ。こんな物を見つけたんだが。お前にやるよ」

アクトレイザー「おお…!これは私がかつて所有していた炎の魔法。恩に着る」

炎の形をした品物をもらうと、カミの手の中で光り輝き消えていく

アクトレイザー「これで炎の魔法が扱える」

56: 2016/08/17(水) 03:27:06.24 ID:TP0M3RAh0
神奈子「そなたの修行も、早苗たちのカミ代行も順調のようだな」

アクトレイザー「神奈子に諏訪子じゃないか」

諏訪子「今日はアンタが更なる飛躍を遂げる為の、アドバイスをしにきたよ」

アクトレイザー「ほう」

諏訪子「アンタはいま、異世界からの信仰も高まって、徐々に力を取り戻しているようだね」

諏訪子「なら答えは簡単。幻想郷からの信仰を集めるのも1つの手」

アクトレイザー「幻想郷の民からの信仰心か。しかしこの世界には神が大勢いる。新参者の私を果たして受け入れてくれるか…」

諏訪子「私と神奈子で、近いうちにアンタが民達に気に入られる策を考えて置くよ」

アクトレイザー「ふむ、何か良い案があるのか?」

諏訪子「まだ何にも決まってない。これから考えるところ」

諏訪子「ただ、もしかしたら紫あたりがもう手を打ってるかも知れないけど」

アクトレイザー「あの女はいまいち思考が読めんからな…」

諏訪子「最終的に幻想郷の為になる事しかやらないし、心配いらないと思うよ」

神奈子「引き続き妖夢と修行に励んでると良い」

アクトレイザー「うむ」

妖夢「カミよ、これで魔法が使えるようになりましたね」

アクトレイザー「ああ。これを気に私もスペルカードの名前を考えようと思う」

57: 2016/08/17(水) 03:29:52.31 ID:TP0M3RAh0
~異世界・天空城にて~

エンジェル「今後の予定について話し合います」

エンジェル「私とチルノちゃんはこれから砂漠の土地、カサンドラへ向かいます」

チルノ「気合入れてくよエンジェル!」

エンジェル「早苗様は引き続き、フィルモアの様子を見守ってもらえますか」

早苗「はい」

魔理沙「ブラッドプールはどうするんだ?」

エンジェル「そうですね…早苗様、少々負担が増えますが掛け持ちしてもらえますか?」

早苗「構いません。現人神としてブラッドプールの方も様子を見させてもらいます!」

咲夜「私もブラッドプールでやり残した事があるわ。もうしばらくあの土地で魔物退治を続けようと思うのだけれど」

エンジェル「もしかしてあの古城ですか?」

咲夜「ええ、あの城を攻略しようと思うわ」

エンジェル「畏まりました。ではブラッドプールは咲夜さんと早苗様が担当で」

魔理沙「私は…適当にあちこちで暴れてるけど良いよな?」

エンジェル「はい。いざとなった時は助けに来てくれるとありがたいです」

魔理沙「運良く私が通りかかったらな」

74: 2016/08/26(金) 07:20:45.33 ID:TAdMCGBx0
~フィルモア~

女神官「おおサナエよ!実は大規模な火事が発生しました」

男神官「どうか雨を降らせたまえ…!」

早苗「畏まりました!では奇跡のお力をお見せします!」

ポツ…ポツポツ…ザーーッ

早苗は詠唱をし始めると、雲が出てきて雨を降らす

男神官「おお…さすがカミの妻!!」

女神官「ありがとうございます!!」

早苗「ふっふっふっ!何のこれしき!」ドヤッ

ナッパーバッド「ガオッ!」

ブルードラゴン「ゴォ!」

早苗「むむ、今度は魔物ですね」

早苗「人々の文明を守るのは神の勤め。アナタ達も早く人間に転生し直しなさい!」

魔方陣の様なものを周りに展開すると、早苗のお払い棒やら陣から青白い弾幕が放たれる

ボォォン

ナッパーバッド&ブルードラゴン「」

男女神官「おお!!」

フィルモア民達「さすがサナエ様!」

早苗「では皆様。私は隣の土地を見てきますので、次の魔物の巣の封印をよろしくお願いします!」

フィルモア民達(サナエ様忙しそうだな)

男神官「あの…神の妻サナエよ」

早苗「はい?」

男神官「アナタの夫・カミは今、どうなされてるのでしょうか」

女神官「確かに、あなた1人が全てを背負っているようにも見えますが…」

早苗「……」

早苗(正直に言っておいたほうが良いわよね)

75: 2016/08/26(金) 07:22:00.27 ID:TAdMCGBx0
早苗「実は…夫は以前、魔王サタンとの闘いで大きな被害をうけました」

早苗「正直今のままでは、またサタンと闘っても二の舞」

早苗「長い長い療養を終え、今はある場所でリハビリをしているのです」

早苗「私はそんな夫を支える為に代行で、人類救済の手伝いをしてます」

男神官「なんと…そうだったのですか」

早苗「私の他にも強力な力を持った友人達がいます。彼女達に協力をもらい、人類救済を行なっています」

女神官「無粋なことをお聞きして申し訳ございません」

早苗「いえいえ。気になるもの無理はありません」

早苗「いつか必ずわが夫は地上に降臨されます」

早苗「どうかお待ちください」

男女神官「はい!」

早苗「では私はブラッドプールへ行ってきます!」

76: 2016/08/26(金) 07:23:56.98 ID:TAdMCGBx0
~ブラッドプール~

男女神官「おお…貴方様が神の妻サナエですね!」

早苗「あれ、私をご存知で?」

男神官「救世主サクヤから先ほど聞きました。間も無くカミの代行人、妻サナエが降臨されると」

早苗「プッ」

男女神官「?」

早苗(悪魔の従者が救世主って…笑っちゃいけないのですが…ぷぷっ)

男神官「あの、なにか変な事を?」

早苗「あ、いえいえ。すいません何でもないです」

早苗「では早速、この土地を住みやすく致しましょう…ここは沼地が多いですし、干上がらせの奇跡をお見せします」

男女神官「おおお、なんと頼もしい!」

早苗「それで詠唱する前にお聞きしたいのですが、咲夜さんは今どこへ?」

男神官「救世主サクヤは先ほど、古城へ向かいました」

早苗「古城…ああそうでしたね。あそこは魔物がいると噂されてる場所でしたね」

女神官「うっ」クラッ

早苗「どうしました?」

女神官「すみません。最近、私とこの人の間に子供を授かりまして」

早苗「まあ!おめでとうございます!!」

男神官「はは、まだまだ自分達の生活で精一杯なのですがね…」

女神官「実は名前も決めていて…テディーというのですが」

早苗「テディーちゃんですか…どうか、お二人の子供が賢く器の大きい人に育つ事をお祈りします!」

77: 2016/08/26(金) 07:25:09.60 ID:TAdMCGBx0
~古城~

ウルフ・ツェッペリン「こ、これはどういう事なのだ…!?」

魔王軍の幹部にして、城主のウルフ・ツェッペリンは驚愕していた

やけに静まり返った城内が気になり、城の周りを見渡すと魔物たちが1匹残らず殲滅されていたのだ

ウルフ「カミは遥か大昔に我々の手で重症を負わせた。ならば、だれがこんな…」

咲夜「人間の仕業よ」

ウルフ「っ!!何者だ!!」

咲夜「私は十六夜咲夜。この世界では魔物ハンターとして通っているけど」

咲夜「本当はある吸血鬼の従者。訳合ってこの城を乗っ取りに来たわ」サッ

言葉を言い切ると咲夜はナイフをウルフに目がけて投げる

ウルフ「……」スッ

咲夜「消えた!?」

ウルフ「吸血鬼の従者だと?聞き捨てならぬな」

咲夜「なっ…いつの間にうしろに」

ウルフ「貴様が吸血鬼…もとい悪魔の従者ならば、それは魔王サタン様の部下をも意味するのだが」

咲夜「私の上司にサタンなんて者はいないわ」

ウルフ「ならば貴様の上司とやらは、エセ悪魔という事になるな」

咲夜「この世で本物の悪魔が私の上司である事を、思い知らせてあげるわ。偽悪魔さん」

ウルフ「たわけが!」

ブンッ

ウルフは手から紫色の弾幕を放つと同時に姿を消す
咲夜は驚きながら弾幕を避けていく

咲夜「瞬間移動…霊夢みたいな事を」サッ

78: 2016/08/26(金) 07:27:01.70 ID:TAdMCGBx0
ウルフ「ふん!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

消えては弾幕を放ち、雷を落としてはまた消えるという攻防を繰り返す

咲夜「この世界の魔物は大した事ないと思っていたけれど、なかなかやるわね。血の湖で出会ったライオンとは大違いね」

ウルフ「あれは血ではない。毒で出来ているのだ」

ボォォン!

咲夜「くっ…」パキィィン

咲夜は結界を展開し、ウルフの弾幕から辛うじて被弾せずにすむ

ウルフ「ほう、バリアか」

ウルフ「だがずっと維持出来るわけではあるまい!」

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

強烈な雷が咲夜の結界にひび割れを起こす

咲夜(いつまでも守りの体勢ではダメね)

ウルフ「フハハハ!」

嘲笑いながら姿を消すウルフ、そのタイミングに合わせる様に咲夜は結界を解除する
クルッと後ろを振り向くと、そこにはウルフがいた

咲夜「幻象・ルナクロック」

相手のの動きがとまり、同時に魔方陣を展開させる
ウルフの周りに、ナイフや光を帯びた弾幕をばら撒き、退路を完全に塞ぐ

咲夜「解除」

時が動かしたその刹那、血が飛び散り叫び声が城内に響く

79: 2016/08/26(金) 07:29:14.52 ID:TAdMCGBx0
大量のナイフに埋もれながらウルフは倒れていた
ふと城内から外を眺めると蒼く透き通った湖が見える

咲夜「あれ?真っ赤な湖だったのに…いつの間にかただの湖に」

咲夜「これじゃお嬢様に喜んでもらえないじゃない。残念だわ」

ウルフ「う、う…ぅぅ…」

咲夜「あら、まだ生きてたの?」

ウルフ「ぅぅ…うお…」

バキ…ミシ…ゴゴゴゴ…!!

咲夜「っ!!?」

血塗れになったその男はゆっくりと立ち上がる
そして呻き声をあげながら、歪な音と共に筋肉を膨張させていく

そして本物の怪物へと変身を遂げる

ウルフ「ゴォォォ!!!」

咲夜「お、狼男…」

ウルフ「ウォォ!!」

狼男が叫ぶとドコからともなく弾幕が飛んでくる

咲夜「あんな姿になっても弾幕を扱うのね…ま、幻想郷にもアナタと似たようなのいっぱい居るけど」サッ

ウルフ「ゴゴォォ!!!」ダッ

ドゴォッ

咲夜「痛っ…」

冷静に弾幕を避けていると、狼男は猛スピードで一気に突進し、咲夜をタックルする
咲夜はそのまま壁に激突する

ウルフ「ゴォォ!!!」

闇雲に突進してくる怪物
咲夜はとっさに立ち上がる

咲夜「もはや知性の欠けらもなくなったバケモノのアナタに、時止め能力を使うまでもないわ」

咲夜「ゴリ押しで勝負よ…奇術・エターナルミーク」

大量の弾幕とナイフを、一直線に敵に目掛けて放つ

80: 2016/08/26(金) 07:31:17.64 ID:TAdMCGBx0
~夜が明けて・ブラッドプール~

咲夜「ただいま…」フラッ

早苗「っ!?どうしたんですか、ボロボロじゃないですか!」

咲夜「ちょっと油断してね…でもちゃんと討伐してきたわ」

咲夜「所で湖が青くなってたけど何かしたの?」

早苗「そういえば昨日、私と神官さんたちで、湖の目の前の魔物の巣を封印しましたら、急に湖が青くなったんですよ!」

早苗「これでこの土地に禍々しいが無くなりましたね!」

咲夜「…………はぁぁ」ガクッ

早苗「?」

咲夜「まあいいわ。あの城はお嬢様に献上したいんだけど良いわよね?」

早苗「本当は住民の皆さんに使ってもらいたいけど、昨日まで魔物が住んでいた所を住居にしようなんて物好きもそうそう出てこないし…」

早苗「構いませんが、レミリアさんをこの世界に呼ぶんですか?」

咲夜「いえ、八雲紫に頼んで城ごと幻想郷に持って来るよう頼むわ」

早苗「また随分と大掛かりな転移を」

咲夜「アナタに言われたくないわよ」

男神官「おお!救世主サクヤよ…我々のために、そんなボロボロになってまで」

女神官「本当に感謝しています!!もし良ければこのブラッドプールの女王になって頂きませんか?」

咲夜「お生憎様、私はある館のメイドをやっているの。ハンターとしての活動はもう終わりにするわ」

咲夜「それに私は女王になるほどの器は無いわ。この街の長は別に探しなさい」

女神官「そうですか…残念です」

男神官「アナタ様の功績、ブラッドプールに語り伝えさせて頂きます!」

咲夜は二人の神官の話を聞き、黙ってうなづくとそのまま後ろを振り向いて立ち去る

81: 2016/08/26(金) 07:32:02.32 ID:TAdMCGBx0
早苗「おーい咲夜さーん」

咲夜「あら、どうしたの?」

早苗「幻想郷に帰るんですか?」

咲夜「ええ。天空上付近にスキマがあるでしょ?だから帰宅させてもらうわ」

早苗「……やはりここでリタイアするのですか?」

咲夜「元々、私の目的はサタンの住居を奪う事」

咲夜「サタン本人の住居ではないけれど充分な物件だし。ここで手を引かせてもらうわ」

早苗「ふむ…分かりました。ここまで協力してくださった事は感謝します」

咲夜「アナタの夫もそろそろレベルが上がってる頃なんじゃないの?」

早苗「ええ。人口も順調に増え、信仰心を増してますからね」

咲夜「私はリタイアするけど、アナタの夫が力を取り戻しこの世界に降臨するのにそんなに時間は掛からないと思うわ」

咲夜「さて開拓の方だけど…」チラッ

咲夜が目を辺りを見渡すと、沼地だった土地は程よい具合に乾燥し、美しい草原が広がっていた

咲夜「日干しの奇跡は上手くいったみたいね」

早苗「ええ、これからどんどん道を切り開いてお隣のフィルモアに繋げて行く予定です!」

82: 2016/08/26(金) 07:33:36.81 ID:TAdMCGBx0
ギャーギャー!ワーワー!

早苗「っ!?なんの騒ぎですか!」

住民1「フィルモアとの交流を優先すべきだ!」

住民2「なにを言っている!まだ我々は文明を築き上げたばかりだぞ!?もしフィルモアに我らの土地を奪われたりしたらどうする!」

住民1「フィルモアから文明の知恵を教わるのがそんなにいけない事か!!」

住民2「町作りに行き詰まったらカミに祈ればいいだろう!何のための信仰だ!この馬鹿者め!!」

住民1「なにぃぃ!!?」ガシッ

住民2「なんだ貴様!!やるのか!?」ググッ

早苗「ちょ、何やってるんですか!!喧嘩しないで落ち着いて!!」

住民1「…チッ」ギロッ

住民2「フン」ギロッ

男神官「すみませんサナエ様…民も日々の開拓のストレスで、心が荒んでしまっているのです」

女神官「みんな町を良くしようと必氏なのですが、どうも心に余裕がない様で」

女神官「日々、争いが耐えません」

男神官「サナエ様がいるから辛うじて内戦には発展しませんが、このままこの状況が続けば、どうなる事やら…」

早苗(困った物わね…)

早苗「わかりました。何か策は考えておきます」

男女神官「申し訳ございません…」

ワーワー!ギャーギャー!

男神官「くっ…また別なところで喧嘩が!」

女神官「お腹の子にこんな怒声を聞かせたく無いわ」サスッ

早苗(この土地の問題は早急に解決しないと大変な事になりそうですね…)

83: 2016/08/26(金) 07:35:47.82 ID:TAdMCGBx0
~その頃・火山の地アイトス~

魔理沙「おうおう、色んな魔物がいるな」

天狗「……」

石投げ老婆「ギヒヒヒ」

カラス「ガァァ」

魔理沙「文みたいなのもいるな。とりあえずここは…」

魔理沙「魔符・ミルキーウェイ」

ボォォン…!

魔理沙「よっしゃ、一掃完了。悪天候の中に光り輝く弾幕は、美しさを強調させるぜ」

魔理沙「さっきのは劣化版天狗と言った所か。幻想郷じゃ天狗はかなり強い部類なのにな」

ガイコツ「……」

魔理沙「あの骨はなぜかダメージ通らないな。その代わりに何もしないが目障りだ」

魔理沙「お…あれは!?」

蒼龍「………」ウネウネ

魔理沙「すっげぇぇ…龍だ。美鈴とか華扇にも見せてやりたかったな」

魔理沙「だがお前さんがサタンの部下なら、今ココで始末しないとな」

魔理沙「恋符・ノンディレクショナルレーザー」

蒼龍「……ッ!?」

84: 2016/08/26(金) 07:37:47.23 ID:TAdMCGBx0
~フィルモアにて~

早苗「むむむ」

男神官「サナエ様、気難しい表情をなされてますが…何かありましたか?」

早苗「あ、いえ…大丈夫です」

女神官「サナエ様。住民達よりお隣の国の、ブラッドプールとの交流を築こうとの提案があるのですが…」

早苗「……いまはまだダメです。あちらの国はまだ情勢が不安定ですので。もうすこし時期を見計らいましょう」

女神官「そうなのですか…わかりました」

男神官「うっ…!!」ズキッ

早苗「どうしました。頭痛ですか?」

男神官「も、申し訳ございません…昨晩、悪夢を見てしまった為に」

早苗「……悪夢?」

男神官「はい。私にはちょっとした予知能力がありまして…それと関係してるのかも知れませんが」

男神官「昨晩、魔王の部下・ミノタウロスが人々を呪い頃すという…恐ろしい夢を見てしまって」

早苗「なんですって…では、その魔物を狩らねばなりませんね!場所は?」

男神官「南東の大穴から溢れ出てくるのを夢で見ました」

早苗「南東の大穴ですね。わかりました!」

魔理沙「おおーい早苗」

早苗「あ、魔理沙さん」

女神官「おお、たしかアナタは援軍の1人、魔法使いマリサ!」

魔理沙「火山地帯のアイトスの魔物、一掃してきたぜ」

早苗「え、もう!?」

85: 2016/08/26(金) 07:42:09.05 ID:TAdMCGBx0
魔理沙「もう人間が住み始めてるし、さっそくカミに救いを求めてるぜ」

早苗「え、え」

エンジェル「早苗様!大変です!」

エンジェル「チルノちゃんが溶けてしまいました!」

チルノだった物「」

魔理沙「ビシャビシャになった青い衣服だけが、原型を留めているな」

早苗「あ…え?ええ?なんで?どうして??」

エンジェル「彼女も途中までは頑張ったのですが道中にて、炎に包まれた魔物の餌食に…」

エンジェル「どうかチルノちゃんを救っていただきませんか!?」

魔理沙「そいつは妖精だから放っておけば、勝手に沸いてくるから心配すんな」

エンジェル「え?」

早苗「」

早苗(えーと…ブラッドプールの民の心を癒す為には…その前にミノタウロスを滅ぼさないと…)

早苗(でも先に未開拓のアイトスへ出張しないと…ああでもそれよりも先に、ミノタウロスを倒さないと神官さんが過労で氏んでしまう…)

早苗(あ、チルノさんが溶けちゃったどうにかしないと、あれ、妖精ってどうやって復活させればいいんだっけ…)グルグルグル

魔理沙「おい早苗。お前大丈夫か?顔色悪いぞ」

ドサッ

全員「っ!!?」

早苗「」

魔理沙「おい!しっかりしろ早苗!!」

エンジェル「早苗様!!」

男女神官「あわわ、大変だ!早く医務室へ!!」

早苗「た、助けてアナタ…」グッタリ

早苗「」

86: 2016/08/26(金) 07:43:47.42 ID:TAdMCGBx0
~幻想郷にて・守矢神社の境内~

アクトレイザー「スペルカードはとりあえず一枚だけ完成したぞ」

妖夢「ええっと…なになに。『火符・ファイヤーマジック』?」

神奈子「うーん…なーんかセンスがね~」

諏訪子「安直過ぎるっていうか」

アクトレイザー「なにか問題でも?」

妖夢「いえ、これでも決闘は出来ますが…」

神奈子「スペルカードにはその人の、生き様とか思い出、誇示したい力…とにかく表現したい事をしっかり命名するのが大事なんだ」

アクトレイザー「ふむ…表現をより具体的に」

――たすけて、アナタ

アクトレイザー「……っ!?」ビクッ

神奈子・諏訪子「……!」

三人の神の脳内に声が響く

妖夢「どうしました?」

アクトレイザー「いますぐあっちの世界へ行くぞ」

神奈子・諏訪子「ああ。わかってるよ」ガタッ

妖夢「え、えぇぇ!?」

アクトレイザー「声が聞こえた…早苗が追い詰められている…!」

妖夢「こ、声!?」

87: 2016/08/26(金) 07:44:50.75 ID:TAdMCGBx0
~フィルモアの神殿・医務室にて~

早苗「」

魔理沙「うーん。やっぱり熱あるな」

エンジェル「早苗様…」

男女神官「あの…サナエ様はどうなってしまうのですか」

魔理沙「寝てれば治るよ。まあ知恵熱って奴だ」

ガチャッ

神奈子・諏訪子「早苗!!」

魔理沙「お、なんだ来たのかお前ら」

男神官「お知り合いで?」

魔理沙「カミの親戚みたいなもんだ」

男女神官「親戚!?」

妖夢「早苗さんは大丈夫ですか?」

エンジェル「知恵熱だそうです」

女神官「彼女は?」

魔理沙「神の師匠」

男女神官「し、師匠!?」

妖夢「あ、いや。そんな偉い立場ではないのでお気になさらず」

アクトレイザー「早苗!!!」ダダッ

魔理沙「んで、コイツに関しては言うまでもないよな?」

男女神官「」

88: 2016/08/26(金) 07:45:57.63 ID:TAdMCGBx0
男女神官「あ、あ、あわわわわわわわわわわ」

二人の神官はあまりの事に膝を崩し、体を震わせながら頭を下げる

アクトレイザー「早苗!!」ダキッ

早苗「あ、あなた…」ギュゥゥ

アクトレイザー「すまぬ…こんな苦労を…」

早苗「えへへ///こんな風に抱きしめられると苦労した甲斐が合ったと思えてきます///」

アクトレイザー「……」グスッ

慈愛の涙を静かに流し、その涙は早苗の頬に落ちる

男神官「おお…何たる慈悲深さ…」

女神官「間違いない…本物のカミだわ…」

アクトレイザー「早苗…」

早苗「アナタ…」

魔理沙「あーもう元気になったみたいだし、そろそろ話し合わないか?」イライラ

89: 2016/08/26(金) 07:47:04.17 ID:TAdMCGBx0
神奈子「早苗、アンタはちょっと無茶しすぎたんだ。休みな」

早苗「すいません…」

アクトレイザー「南東の大きな穴場にミノタウロスがいるんだな?今回は私が行こう」

早苗「しかしアナタはまだ…」

アクトレイザー「ミノタウロス1匹倒すだけの力は取り戻したハズだ。心配しらん」

早苗「……」

妖夢「早苗さん。師匠として私も行きましょう」

早苗「……それなら心配はありませんね。どうか頼みます」

魔理沙「んじゃアタシとエンジェルは、チルノがどうしたら砂漠のエリアをクリアできるか作戦会議しようか」

エンジェル「え、チルノちゃんにカサンドラを任せても良いんですか?」

魔理沙「アイツがどこまで成り上がれるか興味深いしな」

90: 2016/08/26(金) 07:50:28.36 ID:TAdMCGBx0
~フィルモア・ステージ2~

妖夢「気味の悪い魔物がいますね」

芋虫モンスター「……」ウネウネ

針投げゴブリン「……」シュッ

アクトレイザー「フッ!」サッ

ザシュッ!ザシュッ!

魔物が投げてきた針を冷静に避け、的確に剣でなぎ倒していく

アクトレイザー「師匠妖夢よ。どうだ?」

妖夢「無駄な動きも無く、なかなか良い調子だと思います」

アクトレイザー「それはよかった」

妖夢は道中を宙に浮きながら進み、一方でカミは走って進んでいく

アクトレイザー「おっと、ここはジャンプしないと針地獄の餌食に」

妖夢「……」スイーッ

アクトレイザー(私も飛行術があればな…)

妖夢「あ、危ないです!」

アクトレイザー「なっ…!」

骨の魔物「……」ピュンッ

カミがジャンプして針の先にある足場へと移動しようとした時だった
小さな魔物が吐き出した弾幕に被弾し、その衝撃で針地獄の穴へと落ちてしまう

ザシュッ!!

アクトレイザー「うっ!!」

妖夢「っ!?今助けに行きます!!」

~~~~

妖夢「ふう、どうやらこの先にミノタウロスがいるようですね」

アクトレイザー「あ、ああ…」フラフラ

妖夢「……」

妖夢(さっきの針地獄が、体に深刻なダメージを与えたようだ…)

妖夢(むしろこのキズでよくここまで辿り着けた物だ。血だらけじゃないか)

アクトレイザー「さあ行こう、ミノタウロスの討伐へ」フラフラ

91: 2016/08/26(金) 07:56:52.94 ID:TAdMCGBx0
ミノタウロス「ふん!!」

ドゴォォン!!

アクトレイザー「ウッ!!」

部屋に到着すると同時に、カミの頭上からミノタウロスが、カミの背中を踏みつけてくる

ミノタウロス「っ!?貴様よくみればカミではないか…なぜここに」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ」

ミノタウロス「まあ良い、既に虫の息のようだ」ザッ

ミノタウロスは大きくジャンプして一旦距離を置く
そして斧を投げる構えを取る

ミノタウロス「今度こそ、亡き者にしてくれる…!!」

アクトレイザー(いかん…視界がぼやけて…)クラッ

ズバッ

妖夢「カミを踏み潰すとは不届きですね」

ミノタウロス「なっ…!」

ミノタウロスが後ろを振り向くと、妖夢が立っていた
その華奢なビジュアルに似合わず、血が滴る大刀を手にして

ゴトッ

切断したミノタウロスの片腕が落ちてくる。その腕には斧が握られている

妖夢「私は半人半霊にして、カミの指南役を務めている魂魄妖夢だ」

妖夢「カミが真の力を取り戻すその日まで、カミを導き守る者だ」

そう言い切ると疾風の如く動きで姿を消す
呆気に取られているミノタウロスの、もう片方の腕を切断していく

ミノタウロス「バカな…たかが人間如きが!」

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!

閃光に動く妖夢は、ミノタウロスをバラバラに切り裂いていく

妖夢「この私に斬れぬものなど、あんまり無い!」

ミノタウロス「」ドサッ

アクトレイザー「おお…なんと頼もしい…」フラフラ

妖夢「カミよ、しっかりして下さい。肩を貸しましょう」

92: 2016/08/26(金) 08:00:11.19 ID:TAdMCGBx0
男神官「皆の者よ、カミと師匠ヨームが帰られたぞ!」

民衆「おおおお!!」パチパチパチ

民1「あ、あれが…カミ…」

民2「そして隣に居るのが師匠ヨームか、まだ若い少女じゃないか」

その場の全員が大地に平伏した

妖夢「あ、あわわわ!?」ビクッ

男神官「神よ…なんと礼を言ったらよいのか。もう少しあの悪夢を見続けていたら、私はきっと帰らぬ人となっていただろう」グスッ

女神官「カミよ。私達はこれからどうにかやって行けそうです。どうか、他の地域の人々もこのフィルモアのように平和で豊かな国にしてもらえますか」

アクトレイザー「勿論だ。そしてかならず諸悪の根源サタンを葬るつもりだ」

~~~~

アクトレイザー「早苗よ、体調はどうだ?」

早苗「はい、もうすっかり良く成りました!」

アクトレイザー「ああ…本当に良かった」ダキッ

早苗「///」ギュゥゥ

魔理沙「あーはいはい。それで?お前さんはどうするのさ」イラッ

アクトレイザー「ふむ、やはり私もこのまま修行を辞めて、闘いにおもむいたほうが良いかと思うが」

魔理沙「だってさ、どうよ。妖夢」

妖夢「……たしかに、闘う事はできるでしょう」

妖夢「ただ今のままだと、本当に生傷耐えない日々になると思います」

アクトレイザー「それは覚悟している」

妖夢「でしょうね。あの巨大な針に串刺しにされても尚、闘う事を辞めなかったんですからね」

早苗「巨大な針!?」

早苗が驚きながらカミの体をジロッと見直すと、体中に拳ほどの大きさの穴が数ヶ所あった

早苗「……」ワナワナ

早苗「アナタ!もっともっと強くなるまで、絶対に闘いに赴いては成りません!」

妖夢「また修行し直しですね」

アクトレイザー「……うむ」

93: 2016/08/26(金) 08:02:59.63 ID:TAdMCGBx0
アクトレイザー「では修行に戻る」

早苗「妖夢さん、お願いしますね」

妖夢「はい」

魔理沙「で、神奈子と諏訪子は?」

諏訪子「本当は早苗のサポートしたいの山々なんだけどね~」

神奈子「ここで手を出しちゃ早苗の成長に繋がらない」

魔理沙「そっか」

魔理沙「で、チルノに背負わせたひょうたんは何なんだ?酒でも飲ます気か?」

神奈子「いや酒は入ってない、。カサンドラという地域は乾燥してるみたいだからな」

神奈子「たっぷり水の入った大きめの水筒だ。それで暑さを乗り越えろ」

チルノ「ありがとーー!」

エンジェル「さあチルノちゃん。今度こそカサンドラを攻略しましょう!」

チルノ「おう!今度こそカサンドラをあたいが征服してやる!!」

早苗「あ…そうだアナタ、これを」

アクトレイザー「おお!これは『星屑の魔法』じゃないか」

早苗「やはりアナタの魔法だったのですね!ブラッドプールで拾いました!」

星型の品物を手にすると、光り輝きカミの手の中で消えていく

早苗「流星の魔法ですか、ならばいつか私のスペカもお教えしましょう」

魔理沙「星系の弾幕なら私の得意分野だぜ。私からも教えてやるよ」

アクトレイザー「ありがとう。幻想郷にいる間に、予習として弾幕の張り方を勉強してくる」

94: 2016/08/26(金) 08:07:49.56 ID:TAdMCGBx0
~幻想郷・守矢神社にて~

アクトレイザー「星型の弾幕は早苗と魔理沙が得意としてる。特に心配することはないんだが」

アクトレイザー「炎系の弾幕のスペシャリストはいないか?弾幕の張り方を学びたいんだが」

妖夢「だとしたら、竹林に行けば炎系の弾幕が得意の人がいます」

アクトレイザー「ほう、ではそこへ行こうか」

妖夢「ええ…所でカミよ。キズが塞がってますね」

アクトレイザー「あんなキズなど時間が立てば勝手に塞がる物だ」

妖夢「野球ボールくらい大きな穴が幾つもあったのに…」

妖夢「永遠亭にもよろうか考えてましたが、その必要な無くなったようですね」

アクトレイザー「永遠亭?」

妖夢「迷いの竹林の中に、そういう名前の屋敷あるのです。そこには名医がいて、キズを癒してくれると思ったのですが…どうやら杞憂でしたね」

~迷いの竹林にて~

アクトレイザー「キミが炎系の弾幕の達人。藤原妹紅か」

妹紅「達人かどうかはアナタの目で判断して頂戴」

妖夢「どうかカミに、アドバイスをして頂けないでしょうか」

妹紅「まあ私で良ければ教えるけど」

妹紅「その前に永遠亭に来てもらえる?」

妖夢「また姫様と決闘するんですか?」

妹紅「それも良いけど…それよりもカミ様。アナタに協力した人間が入院してるから」

アクトレイザー「なんだと…!?」

妖夢「まさか紅魔館のメイド長の…!?」

妹紅「協力者の見舞いに行くのが筋ってもんでしょう?」

102: 2016/08/29(月) 09:49:15.37 ID:HC9f+iLO0
~永遠亭~

永琳「こんにちは。新参の神・東風谷アクトレイザーね?」

アクトレイザー「その呼び名は未だに慣れぬな」

アクトレイザー「女医八意よ、わが友が入院してると聞いたが」

永琳「ええ。こちらへ」

咲夜「あ」

アクトレイザー「咲夜…いったいどうしたのだ」

咲夜「肋骨を折られてね」

アクトレイザー「誰にやられた」

咲夜「ブラッドプールの古城の主」

アクトレイザー「魔王軍幹部のウルフ・ツェッペリンか…よく奴を倒したな」

咲夜「油断さえしてなければ、こんな怪我せずに済んだのにね」

アクトレイザー「すまぬ…こんな痛い想いをしてまで」グスッ

咲夜「悪魔の従者たるこの私にまで、慈悲の涙を流すとは…さすが神の器は違うわね」

咲夜「だけど残念ながら私はリタイアさせてもらうわ。私の目的は達成したし、これ以上アナタに付き合うメリットは無い」

アクトレイザー「そうか。ご苦労だった。本当に感謝している」

永琳「今晩は泊まっていくと良いわ」

アクトレイザー「む?そうか済まぬ」

妖夢「そうですか。でも私は幽々子様の食事を作らねば成りませんのでここで」

幽々子「その必要は無いわ」

妖夢「」

幽々子「妖夢ったらあのカミに付きっ切りで私、寂しかったのよ?」

幽々子「だから永遠亭に遊びに来てたの。1人で」

アクトレイザー「よく迷わなかったな」

優曇華院「食事作るの手伝って」

妖夢「え?あ、はい」

妹紅「んじゃ、私たちは行こうかカミ様」

アクトレイザー「どこへ」

妹紅「弾幕の張り方のコツ、教えて欲しいんでしょ?」

アクトレイザー「……ああ、そうだった。ヨロシク頼む」

103: 2016/08/29(月) 09:51:27.85 ID:HC9f+iLO0
~竹林~

妹紅「まず試しに何か撃ってみて」

アクトレイザー「ああ」

アクトレイザー「火符・ファイヤーマジック」

ボォォォ

妹紅「……何ていうか、ただ火をとばして終わってるね」

妹紅「ばら撒く弾幕の量が少ないし」

アクトレイザー「まだ魔力の量が本来の力を取り戻しきれてないようだ」

妹紅「そうか、なら限られた容量の中で弾幕術を発展させていくしかない」

アクトレイザー「うむ」

妹紅「カミは弾幕を張るときどんなイメージをしてる?」

アクトレイザー「上手く説明するのが難しいが…神経を集中し、火が出るように念じている」

妹紅「それだけじゃダメだね。もっとこう…絵を描くようなイメージで」

アクトレイザー「絵を描くようなイメージ…」

妹紅「スペルカードの名前には意味がある。表現した事を名前に記す」

妹紅「手本を見せるからみてて…」

妹紅「不氏・火の鳥-鳳翼天翔-」

スペルカードを宣言すると妹紅の背中に炎の翼が現れ、そのまま宙に浮き始める
そして炎の翼から、炎が降り注がれる

アクトレイザー「おお…」

妹紅「ただ火を落とすだけじゃないよ…それ」シュボッ

アクトレイザー「っ!?火の鳥が…」

妹紅「これがこのスペルカードで一番表現したかった事」

アクトレイザー「なるほど。美しさを求められる理由が分かってきたぞ」

妹紅「持てる魔力も限られてる訳だし、いま出来る事から始めたら?」

妹紅「例えば…私のマネをして、火の鳥を撃ってみるとか」

アクトレイザー「火の鳥の練成か…よしやってみよう」シュボッ

カミは剣を天に振り上げて、意識を集中し始める

アクトレイザー「妹紅直伝・火の鳥-鳳翼天翔-……」シュボッ

詠唱すると、2メートル位の大きさの火の鳥が現れる

妹紅「ほう、初めてにしてはなかなか」

妹紅「でももっと大きく力強い物を撃てなきゃダメね」

アクトレイザー(今の私は魔力の容量が少ない。一発一発に全てを賭けねば)

アクトレイザー「よし。次はもっと…」

104: 2016/08/29(月) 09:53:04.79 ID:HC9f+iLO0
~次の日・昼~

ボォォン!ドゴォォン!

妹紅「どうした。もうおわりかい?」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…まだまだ」

妹紅「そうこなくっちゃ」

妖夢「あれ?弾幕の貼り方を学んでたんじゃ」

妹紅「おはよう。ちゃんと教えたよ」

妹紅「もう基礎段階は出来上がってる。あとはもう少し魔力を上げれば、もっと良い弾幕が撃てるようになる」

妖夢「さすがカミよ、飲み込みが早い」

妖夢「で、なんで弾幕勝負が始まってるんですか?」

妹紅「カミの魔力が底を尽きたようだから、いまは弾幕避けの練習」

妖夢「休ませて上げれば良いじゃないですか…魔力の回復が遅くなるような」

アクトレイザー「良いのだ妖夢。私は休んでいられんのだ」

アクトレイザー「妻が過労で倒れているのに、私が怠けてどうする」

妹紅「本当、見上げた根性だよね。おかげで私とカミは一睡もしてないけど」

妖夢「だ、大丈夫なんですか?」

妹紅「私は…案内やってる時以外は暇してる事多いし。カミにおいては言うまでもないし」

咲夜「修行に精が出るわね」

アクトレイザー「おお咲夜よ。大丈夫なのか?」

咲夜「もう完治したみたいだし。紅魔館に帰るわ」

妹紅「早。不氏身でもないのに」

105: 2016/08/29(月) 09:55:42.22 ID:HC9f+iLO0
アクトレイザー「そうか、館に帰ってゆっくり休むといい」

咲夜「もう充分休んだわ。それに館に帰ったらやる事いっぱいあるし」

咲夜「あなたも給仕に来て」

妖夢「えー…なんで私が。それに私は白玉楼にいったん帰らないと」

幽々子「あ、今日は紫と会う約束してるから良いわよ」

妖夢「」

咲夜「空気読むのが上手いわね」

幽々子「フフフ、何の事かしら?」

フゥゥゥゥゥ…

全員「……?」

突如、竹林に霧が発生し始める。それも辺り一帯の色は白ではなく

アクトレイザー「紅色の霧…」

咲夜「これはお嬢様が作った紅い霧ね」

妹紅「え、何?アイツまた同じ異変を起こしてるの」

咲夜「そうみたいね」

妖夢「でもなぜ今更」

咲夜「さあ?いずれにせよ私は帰るわ。この様子じゃ霊夢が来るのも時間の問題だし」

アクトレイザー「……私も行っても良いか?」

咲夜「まさか異変を解決する気?」

アクトレイザー「ああ」

咲夜「………そう。ならついて来ると良いわ」

アクトレイザー「止めないのか?」

咲夜「どうせ止めても付いてくるんでしょ?あなた、諦めるという言葉を知らなそうだし」

アクトレイザー「良く分かってるではないか」

106: 2016/08/29(月) 09:57:11.43 ID:HC9f+iLO0
~紅魔館前~

アクトレイザー「ここが紅魔館…本当に文字通り紅いな」

美鈴「zzz…」

咲夜「まったくこの子は…こんな時まで寝てて」

霊夢「霊符・夢想封印」

ボォォン!

美鈴「ぎゃっ!?」

霊夢「目覚ましよ。感謝しなさい」

美鈴「ゲホゲホ…そんな過激な目覚ましはいりません!」

アクトレイザー「博麗の巫女」

霊夢「あら早苗の夫じゃない。どうしたの?」

アクトレイザー「修行を兼ねた異変解決と言った所だ」

霊夢「ふーん。あ、そう」

霊夢「じゃあ今回は、貴方に任せようかしら」

妖夢「珍しいですね。いつもなら問答無用で喧嘩なのに」

霊夢「アンタに言われたくないわ」

霊夢「まあ今回の紅い霧だけど、前回とは違う理由で異変を起こしてる気がしてるし」

妖夢「え?」

霊夢「どうせ大した理由も無さそうだし。今回は早苗の夫に任せましょう」

霊夢「大丈夫。異変解決失敗したら、あとの始末は私がやるから」

アクトレイザー「失敗しない事を祈っていてくれ。巫女らしくな」

霊夢「ええ、そうするわ」

107: 2016/08/29(月) 09:59:32.49 ID:HC9f+iLO0
霊夢「で、どうするの美鈴。まだ続きやるなら、今度はカミが相手になるらしいわよ」

美鈴「え、アナタ様はもしかして…東風谷アクトレイザー様ですか?」

アクトレイザー「やはりその呼び名は違和感を覚えるが…そうだ。異変を解決に参上した」

美鈴「なんとなんと!どうぞどうぞ!ご案内いたします!」

霊夢「」

妖夢「」

咲夜「ねえ、あなた本気で言ってるの?悪魔の従者らしく止めたりしないの?」

美鈴「だって相手はカミですよ!そんな恐れ多い事…」

美鈴「それに咲夜さんだって止めずにここまで案内してきたんですよね?服に傷跡もないし、素直にここまで連れて来たんですよね?」

咲夜「まあ…それを言われたら何も言い返せないわ」

~紅魔館内部~

妖精メイド全員「ようこそカミよ!!」ザッ

妖精メイド全員が道を開ける様にして膝を地に付け、頭を下げる

アクトレイザー「……う、うむ」

妖夢「」

霊夢「」

咲夜「」

小悪魔「おおカミよ!今日はよくぞ、おいでになりました!」

アクトレイザー「」

アクトレイザー「ゴ、ゴホン。キミは見た限り悪魔のようだが」

小悪魔「はい悪魔です!」

アクトレイザー「…………」

美鈴「ではカミよ!お嬢様の所まで案内します…って、こういう役目は咲夜さんの方が良いのかな?」

咲夜「……はいはい。いま案内するわよ」

霊夢「私が異変解決に来た時と対応が全然違うんだけど。何なのこの差」

108: 2016/08/29(月) 10:01:14.24 ID:HC9f+iLO0
~居間~

レミリア「ようこそアクトレイザー」

アクトレイザー「レミリア・スカーレット、宴会の時以来だな」

アクトレイザー「それで?なぜ昔起こした異変をまた再現するのだ」

レミリア「異変を解決しにきたのね。分かったわ」

レミリア「」バタッ

全員「!?」

アクトレイザー「な、なにを…どうしたのだ一体」

文「良い倒れっぷりですね~」パシャッ

レミリア「じゃ、あとはお願い」

文「はいはーい!では皆様さらば!」

霊夢「」

アクトレイザー「まるで意味が分からんぞ」

レミリア「そう?なら外を見れば分かるんじゃない」

アクトレイザー「外…?」チラッ

霊夢「ちょっ…紅い霧が消えてる」

レミリア「この異変の解決条件…それは私の館に遊びに来る事」

アクトレイザー「……??」

霊夢「ああ…何となく分かってきたかも」

妖夢「どういう事ですか?」

霊夢「大方、紫に頼まれたんでしょ?この異変を起こすように」

妖夢「は?」

霊夢「そして…アンタが神・アクトレイザーに退治された事を文文。新聞を通して、世間に公表」

霊夢「そうすればカミの信仰心は上がる」

レミリア「ええそうよ。ご名答。さすが霊夢」

109: 2016/08/29(月) 10:02:35.52 ID:HC9f+iLO0
アクトレイザー「……なぜそのような回りくどい事を。それに悪魔のキミがその事に協力して何のメリットが」

レミリア「フッフッフッ…もう一度、外をよーく御覧なさい」

アクトレイザー「…?」チラッ

霊夢「……ちょっ、なにあのお城」

レミリア「良くぞ聞いてくれたわ!あの古城こそ咲夜が異世界から奪い取ったお城!」

レミリア「別荘にピッタリだわ」

霊夢「随分と近所に別荘があるのね」

アクトレイザー「つまりあの城は、紫からの交換条件と言う訳か」

レミリア「ええ。私が紫に交渉をした際、異変を起こしてくれとの条件を貰ったの」

レミリア「アナタが民衆からの信仰心を高める為の」

アクトレイザー「……何か釈然としない」

レミリア「よくやったわ咲夜」

咲夜「ありがとうございます」

レミリア「じゃあ、さっそくパーティーを始めましょう。咲夜、そこの半霊も使って準備を」

咲夜「はい」

妖夢「なんで私まで…」

アクトレイザー「気持ちはありがたいが、私はのんびりパーティーに参加してる暇など」

レミリア「フフフ、何を言ってるの?これから貴方はパーティーの余興をやってもらうわ」

110: 2016/08/29(月) 10:03:14.72 ID:HC9f+iLO0
アクトレイザー「余興だと?」

レミリア「貴方、元の力を取り戻す為に修行をしてるんですって?」

アクトレイザー「ああ」

レミリア「パチェにフラン。コチラに来なさい」

フラン「こんにちはカミさま」

パチュリー「いらっしゃい」

レミリア「いまから私を含めた三人の相手にしてもらうわ」

アクトレイザー「ほう」

レミリア「霊夢も含めてね」

霊夢「じゃあ2対3?不利だから妖夢もいれなさいよ」

レミリア「彼女は給仕に行ってるわ」

霊夢「全く、強引ね」

111: 2016/08/29(月) 10:05:39.82 ID:HC9f+iLO0
レミリア「スペルカードは1人に付き宣言できる枚数は3枚でどう?」

アクトレイザー「3枚か…」

アクトレイザー(まだ魔力が回復し切れてない。ここは避ける事に集中して…)

アクトレイザー「……ん?なんだ」ググッ

霊夢「どうしたの?」

アクトレイザー「急に力がみなぎって来た」ググッ

アクトレイザー(まだ新聞は出来上がってないし、人里に配ってもいない。ならばこれは…)

霊夢「あっちの世界での信仰心が高まったんじゃない?それと…」

レミリア「……どういう訳だか、ウチの部下は貴方のファンが多いのよね」

妖精メイド1「カミさま頑張って!」

妖精メイド2「カミさま応援してるよ!」

小悪魔「ああ、やっぱりカッコイイな…」

アクトレイザー「……」

霊夢「妖精と悪魔からも信仰されてるわね」

アクトレイザー「なにか妙な気分だ」

112: 2016/08/29(月) 10:07:12.24 ID:HC9f+iLO0
霊夢「じゃあついでだし、私は巫女らしく祈祷しようかしら」

そういって霊夢はその場で正座し、お払い棒を掲げる

レミリア「あら、これじゃ1対3じゃない」

霊夢「パワーを送ってるから実質、2対3よ」

アクトレイザー「」ビクッ

アクトレイザー(何だこれは…物凄く力が沸いてくる)グググッ

霊夢「一時的なドーピングの様なものよ。これでアイツらと対等」

アクトレイザー「だが祈祷によるドーピングで仮に勝ってもだな」

霊夢「正直言うけど、素の状態なら貴方、ボコボコにされるわよ?」

霊夢「レベルで言うならやっと秋姉妹に勝てるレベルになった段階なんだし」

アクトレイザー「秋姉妹の実力がよく分からないが…まあ実質2対3だと思って闘うとしよう」

レミリア「準備は良い?行くわよ」

レミリア「神槍『スピア・ザ・グングニル』」

フラン「禁忌『フォーオブアカインド』」

パチュリー「月符『サイレントセレナ』」

アクトレイザー「」ゴクリッ

圧倒的な弾幕の数に、おもわず息を呑む

アクトレイザー「なるほど…これは良い修行になりそうだ」ダッ

アクトレイザー「うおおおお!!」

剣を振り上げ大きくジャンプし、三人に果敢に立ち向かう

113: 2016/08/29(月) 10:08:44.42 ID:HC9f+iLO0
~その頃、異世界・ブラッドプールにて~

ワーワーギャーギャー!

早苗「いい加減にしなさい!!」

民1「ちっ…今日の所はここまでだ」

民2「うるせえ、そっちこそ覚えてろ」

早苗「……はぁぁ」

男神官「申し訳ございませんサナエ様」

早苗「いえ、私がもっとしっかりしてれば」

女神官「サナエ様がいなければとっくに内戦状態でした。感謝してます」

早苗(気持ちはありがたいけど、早いところ問題解決しないと、信仰にも影響を及ぼすわ)

早苗(……それにココばかり見ていられない)

早苗「私はこれからアイトスに出張してきます」

早苗「お二人には負担をかけてしまいますが、よろしいでしょうか」

男女神官「はい!情勢は不安定ですがお任せを!」

~火山の地・アイトス~

魔理沙「お、やっと来たか」

早苗「すいません遅れて」

魔理沙「民にはお前が来る事は話してある」

魔理沙「私は上空にいる魔物を退治してくるぜ」

早苗「お願いします」

早苗「さて、この土地の開拓を進めつつ、ブラッドプールの問題解決を考えないと」

114: 2016/08/29(月) 10:09:57.37 ID:HC9f+iLO0
~砂漠の土地・カサンドラ~

チルノ「あ、あづい…」ダラダラ

全身から滝の様に汗をかくチルノと、エンジェルは砂漠の地にて魔物退治を行なっていた

槍投げモンスター「ゴォォ!」ブンッ

エンジェル「おっと危ない」サッ

エンジェル「私だって幻想郷で一年間過ごしたんです!弾幕ごっこで鍛えた成果を見せます!」

エンジェル「矢符・エンジェルアロー」

天に向かって光の矢を放つ
天まで飛ばした一本の光の矢は、空中で分散し、地上へと降り注がれる

魔物達「グオオオ!?」

エンジェル「よしっ!」

チルノ「あれ~?なんかエンジェル強くなってる?」

エンジェル「信仰心が高まったからですよ」

エンジェル「カミへの信仰心が高まると、カミ様だけでなく、私も強化されていくのです」

チルノ「ふぇ~前まであたいに弾幕ごっこで負けてたクセに」

チルノ「あ、あたいだって負けないもん」

チルノ「あ、暑い…ごくごく」

チルノは背中に背負った水筒を口に付け、水分を補給していく

115: 2016/08/29(月) 10:11:23.02 ID:HC9f+iLO0
エンジェル「チルノちゃん、例のアイツが来ましたよ!」

チルノ「うげ」

燃える魔物「……」ゴゴゴ

宙に浮かぶ炎に包まれた魔物が、チルノに近づいてくる

チルノ「あたい、アイツ嫌い!」

燃える魔物2「……」ゴゴゴ

エンジェル「もう一体、現れました!」

チルノ「~~~!!もう、いい加減にしろコイツら!」

チルノ「氷符・アイシクルフォール!」

パキィィン!

魔物だった物「」

チルノ「よーし!リベンジ完了!」

エンジェル「今度は弾幕が上手く貼れましたね!」

チルノ「まったく、この暑さどうにかならないのかな」

蜂の魔物「……」

エンジェル「む、出たな!駆逐してやる!」ピュンッ

蜂の魔物「ッ!!」

緑の触手「……」ウネウネ

チルノ「は、離せー!!」ガシッ

チルノは植物の触手にグルグル巻きにされ捕まる
とっさに手で掴み、触手を冷やしていく

パキィィン

緑の触手「」

チルノ「ざまーみろ!」

燃える魔物3「……」ゴゴゴ

チルノ「お前しつこい!」

116: 2016/08/29(月) 10:13:49.86 ID:HC9f+iLO0
ダゴバ「ゴォォ!!」

エンジェル「この砂漠の主…巨大なアリジゴクですか」

チルノ「あ、暑い…もう水が無いよ…」

チルノ「と、溶ける…」ジュワァァ

エンジェル「チルノちゃんもう少しです!」

ダゴバ「グオッ」

エンジェル「しまった…!」

ダゴバの足に絡まり、穴へと落されてしまうエンジェル

チルノ「え、えんじぇるぅぅ!ち、ちぐじょー」

チルノ「おいアリジゴク!いい加減にしろ!お前がこんな所で主をやってるから、ここら一帯暑くてしょうがないんだよ!」

エンジェル「ぐっ…何とか脱出しないと…」

チルノ「待っててエンジェル!いまあたいが勇者の如き振る舞いをみせてやる!」

チルノ「アイシクルソード!」

氷の剣を練成し、石の弾幕を投げつけてくるダゴバへと突進する

チルノ「うおおおお!!」

ズバッズバッ!

ダゴバ「ゴォォ!」

氷の剣で切り刻んでいく

チルノ「トドメだ!氷塊・グレートクラッシャー!!」

巨大な氷塊をダゴバへと、何個も放り投げていく

117: 2016/08/29(月) 10:15:35.08 ID:HC9f+iLO0
エンジェル(チルノちゃんの活躍により、どうにかこの土地も攻略完了できました)

男女神官「おお…天使様。どうか我らを導いてください」

エンジェル「わかりました」

エンジェル(とりあえず、早苗様に報告しないと…)

チルノ「……」ジュワァァ

男神官「天使様。この女の子は一体?」

女神官「背中に冷たい羽がありますが」

エンジェル「え?ああ…その子の事は後で教えますので、一先ず日陰に移動させてあげて下さい」

男神官「は、はい…ですが、既に溶けかけていますが」

女神官「彼女は人間では無いですよね?まさか魔物の生き残りなのでは…」

チルノ「ち、ちが…う…」ジュワァァ

男神官「わっ!まだ意識が…」

チルノ「あたいは…チルノ。氷の妖精…じゃなかった」

チルノ「あたいは神だ」

男女神官「え」

チルノ「」ジュワァァ

自らが神だと言い切ると同時に、チルノは完全に蒸発してしまう

エンジェル「」

男女神官「」

118: 2016/08/29(月) 10:17:44.79 ID:HC9f+iLO0
男神官「ど、どういう事でしょうか!?」

女神官「たしかカミのお姿は…あの社にある、剣士の石像では!?」

エンジェル(チルノちゃん…なんて事を…どう説明すれば良いんだ)

エンジェル「……………」

エンジェル「その、彼女は…あの石像のカミのご友人。いえ、ご友神です」

男女神官「友神(ゆうじん)?」

エンジェル「ええ、彼女は氷の神チルノ」

エンジェル「カミは多忙によりカサンドラに行けず、変わりに友神たる彼女を派遣したのです」

男女神官「氷の神を派遣…」

エンジェル「彼女はきっと、この灼熱の大地を変えてくれるでしょう」

男女神官「おおお!氷の神チルノ!」

男神官「ですが溶けてしまいましたが…大丈夫なのですか?」

エンジェル「あ、えーと…か、彼女は氷の神と同時に、妖精の神でもあるので、その、あ、後で生き返ります」

女神官「なんと、妖精の神でもあったのですか」

エンジェル「……」

エンジェル(ついとっさの判断で、変な説明をしてしまった…どうしよ…)ガクッ

男神官「よし、さっそく氷の神チルノの石像を彫ってくる!」

女神官「私は捧げものに水を!」

133: 2016/09/07(水) 04:26:02.74 ID:hEPOVd/C0
~その頃・アイトス~

早苗「雷を降らしたまえ!」

ドォォン!!ドォォン!!

民1「おおぉぉ…!これがカミの妻の力…!」

民2「ありがとうございます!!」

早苗「ふぅ…だいぶ、スッキリしてきましたね」

早苗「どうかくれぐれも魔物に気をつけて、開拓を進めてください」

民一同「はい!」

早苗「そろそろ、カサンドラの攻略は終わったかな…」

魔理沙「心配か?もう障害物はだいぶ破壊したんだし、見に行ったらどうだ」

早苗「そうですね。私、ちょっとカサンドラに行って来ます!」

魔理沙「あいよー」

女神官「あの…サナエ様は?」

魔理沙「あー…タイミング悪いな。ついさっき違う地域へ出張に行ったぜ」

女神官「そうですか…じつは」

女神官「夫が魔物の巣を封印中に、大怪我をしてしまって…」

魔理沙「な…マジかよ」

女神官「しばらくは私1人で、街開発の指揮をしていこうと思います」

魔理沙「そ、そうか…これからは魔物の巣を封印する時は私も呼べよ」

女神官「はい」

~~~

魔理沙「おう、大丈夫か」

男神官「ぐっ!ぅぅ…」ズキッ

魔理沙「結構、酷い怪我だな…」

男神官「怠けておられぬ…まだこの地域には魔物が大勢いるというのに」ムクッ

魔理沙「何をバカな事言ってんだ。寝てろ!そんな体で行ったら致命傷を負うぜ!」

男神官「……」

134: 2016/09/07(水) 04:27:07.17 ID:hEPOVd/C0
~カサンドラ神殿~

チルノ「……」

チルノ「んあ…ふぁ~あ。よく寝た」

チルノ「あれ?」バサッ

チルノは起き上がると同時に何か違和感を覚える
ふと後ろの方を見ると、いつもの青い服の上に白いマントが羽織られていた

チルノ「な、なんじゃこりゃ!?」

男神官「おお!神チルノが目覚められた!」

民全員「氷の神・チルノ万歳!!」

チルノ「うわぁ!なんだお前ら!?」

女神官「その白いマントは私達からの献上品です」

チルノ「ふぁ?献上品?」

女神官「はい。神に相応しい服をご用意いたしました」

チルノ「神…あたいは神…」

チルノ「……………………」

チルノ「そうだ!あたいは神なのだ!!」

民全員「チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!」

チルノ「わーっははははは!いいぞいいぞ!もっとあたいを称えろ!」

135: 2016/09/07(水) 04:29:23.23 ID:hEPOVd/C0
チルノ「それにしてもキレイな布だ。つるっつる」サスッ

チルノ「お空が羽織ってるマントに似てるな」

女神官「気に入ってもらえて光栄です」

チルノ「うん、ありがとう!」

チルノ「……」

チルノ「しっかし、ここは蒸し暑いな~」

男神官「神チルノよ、ここカサンドラは非常に気温が高く、乾燥している地域なのです」

チルノ「む、そういえばあたいはこの暑さに溶かされてたんだ」

チルノ「よっしゃ!ならあたいが涼しくさせてやる!」

民全員「おおお!!」

~上空~

エンジェル「チルノちゃんって雨を降らせることも出来ましたっけ?」

チルノ「そんな器用なことは天才のあたいでも、ちと厳しいかな」

チルノ「でもこの暑さなら…」ススッ

チルノ「いっけー!パーフェクトフリーズ・ルナティック!」

パァァァァァァ…

チルノは天に向かって両手を掲げ、その手のひらから大量の氷の弾幕をばら撒く

エンジェル「おお、その手がありましたか!」

136: 2016/09/07(水) 04:30:10.53 ID:hEPOVd/C0
エンジェル「……それにして。前よりも弾幕の密度が濃くなってませんか?」

チルノ「あ、確かに。なんかあたい今日、目が覚めてから異様に力がわいて来るんだよね」

チルノ「もしかしたら今のあたいなら、霊夢も簡単に倒せるかも!」

エンジェル「いや、それは流石に無理でしょう」

チルノ「な、なにおー!」

エンジェル(それにしてもこの成長振りを見ると…やっぱりチルノちゃん。本当の神になってしまったのですね…)

ヒュゥゥゥ…ボトボト

~地上~

民1「ん?なんだこれは」

民2「冷たくて硬い何かが…」

ジュワァァ…

民3「水分に変わった!?」

男神官「それはきっと氷の一種。雹(ひょう)だ」

民全員「氷の一種!?」

民1「こ、これが…氷…」

女神官「この土地じゃ絶対に見られない物を…ああチルノよ!なんと凄いのか!」

137: 2016/09/07(水) 04:31:24.41 ID:hEPOVd/C0
早苗「あ、あれ?なんで砂漠の土地に雹が??」

男神官「む、キミは見かけない子だが…」

早苗「あ、私は東風谷早苗です。カミの妻です」

男神官「っ!?!?」

女神官「え、でも神は女の子…ああそうか、もしかしたアナタ様は勇者像の方の…」

早苗「っ??なんの話でしょうか」

女神官「こちらへどうぞ」

~~~~

チルノ銅像「」ババーン

早苗「」

女神官「いま、この天からの恵は紛れもなく神チルノからの贈り物です!」

早苗「え、ええ…確かにチルノさんなら可能ですね」

男神官「おお…あなた様はやはり、神チルノのお知り合いなのですね?」

早苗「え?ええ、まあ…」

男神官「所で勇者像の方の神はいま、多忙とお聞きになりましたが」

早苗「ええ、実は…」

~少女説明中~

早苗「……っと言う訳で」

男神官「そうですか…ではまだリハビリが終わってないのですね」

早苗「はい。私は彼の代行。奇跡の力で雨を降らす事が出来ますが」

女神官「おお!ならばどうか、広範囲に渡って雨を降らせて頂けますか」

早苗「畏まりました!現人神・東風谷早苗が奇跡の力で、カサンドラに雨を降らせましょう!」

138: 2016/09/07(水) 04:32:37.02 ID:hEPOVd/C0
~上空~

早苗「お疲れ様です」

エンジェル「早苗様!」

チルノ「おお早苗。やっほー」

早苗「……」ジーッ

チルノ「ん、どうした?」

早苗「白いマントまで羽織って…本当に神にジョブチェンジしたんですね」

チルノ「えへへへ!まあね!あたいったら最強だから!」

早苗「……まあ戦力的な意味合いでは、大きな力にはなりますが」

早苗「あまり私の夫への信仰を奪わないで下さいよ?」

チルノ「えっへへへ。あたいはアイツに負けないもんねー」

早苗「……」ムスッ

エンジェル「まあまあ」

早苗「はぁぁ…とりあえず、私は他の砂漠地帯に雨を降らせてきます」

エンジェル「お願いします!」

チルノ「あいよー」

139: 2016/09/07(水) 04:34:38.61 ID:hEPOVd/C0
~その頃・幻想郷の紅魔館にて~

アクトレイザー「……」

カミは、レミリアとフラン、パチュリーとの闘いで満身創痍になり倒れていた

霊夢「うーん…祈祷してあげたけど、所詮はドーピング。いきなり力を与えすぎて上手くパワーのコントロールが出来なかったわね」

アクトレイザー「あ、ああ…やはり私の場合、地道に力を取り戻すしかないようだ」ムクッ

レミリア「フフフ…でもまあ、私たち三人相手によく頑張ったわ」スッ

レミリアがカミに手を差し伸べ、ギュッと手を掴み引く

レミリア「さあ余興は終わり。食事も出来たしパーティー開始よ」

アクトレイザー「フフフ、まさか悪魔に持て成されるとは」

~パーティー終了後~

レミリア「あら、帰っちゃうの?泊まっていけば良いのに」

アクトレイザー「あっちの世界が気になる。状況を確認しに行きたくてな」

レミリア「せっかちねぇ……咲夜」

咲夜「はい。送って参ります」

~紅魔館門前~

咲夜「ではカミよ、お気をつけて」

アクトレイザー「うむ。今日はすまないな」

妖夢「はぁ…なんか疲れた」

霊夢「アナタ達はどうするの?」

妖夢「幽々子様は留守で居ないけど…一応帰ります。カミも白玉楼に泊まりますか?」

アクトレイザー「いや、私はあっちの世界で状況を確認しにいく」

妖夢「そうですか…なら私も、付いていきます」

霊夢「二人とも頑張ってね~私は眠いから帰るわ」フワッ

アクトレイザー「さて、師匠妖夢よ。妖怪の山に向かう前に、一戦交えないか」

妖夢「え、今からですか!?」

アクトレイザー「今日はまだそなたと剣術修行をしていない」

妖夢「熱心ですね。私は一向に構いませんが」

チャキッと音を立てて、二人は剣を構える

アクトレイザー「……」

妖夢「……」

鈴仙「あれ、二人ともこんな所で修行ですか?」

140: 2016/09/07(水) 04:36:08.85 ID:hEPOVd/C0
アクトレイザー「キミはたしか永遠亭の」

妖夢「優曇華さんもこんな夜に何を?」

鈴仙「実は二人にお願いが」

鈴仙「私もカミのいた世界の、救済の手伝いをして良いでしょうか?」

アクトレイザー「なんだと」

妖夢「どうしたんですか急に」

鈴仙「実は…」ゴソゴソ

鈴仙・優曇華院・イナバはポケットから、奇妙な道具を取り出す

鈴仙「この武器を使いこなす為の修行をしようと思ってまして」

妖夢「……銃?ラッパ?メガホン?変わった形をした武器ですね」

鈴仙「実戦でどれだけ通用するか…試したいという気持ちもあって」

鈴仙「それに私もカミの様に勇ましくなりたいって思って…」

アクトレイザー「……気持ちはありがたい。だが私は全然ダメで情けない男だ」

アクトレイザー「悪魔軍に力及ばず…私は力を封じ込まれ、天空城に逃げ込む結果になり…」

アクトレイザー「結果、人類を滅亡させて氏まった」

鈴仙「でも最後まで闘われたんですよね?力がある限り最後まで」

鈴仙「私は違う。敵前逃亡で…この幻想郷までやってきました」

そういうと鈴仙は夜空に浮かぶ故郷の月を眺める

鈴仙「……私は臆病者です。そのことは以前、閻魔の映姫様にも指摘を受けました」

鈴仙「だから…私もカミの如く、勇者になる為の修行を」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「師匠妖夢よ、彼女の実力は?」

妖夢「かなり強いです。それこそなぜ臆病なのか疑問に思うくらい」

アクトレイザー「そうか」

アクトレイザー「では付いてくるがいい。永遠亭の勇者よ」

141: 2016/09/07(水) 04:40:27.11 ID:hEPOVd/C0
~異世界・天空上にて~

チルノ「あー疲れたー!」

早苗「今日はもう遅いから、ここで休みましょう」

チルノ「うん!カキ氷食べる?」

早苗「ええ、せっかくだからいただきます!」

エンジェル「チルノちゃん私のも!」

アクトレイザー「エンジェル、そして早苗よ」

早苗「っ!!あなた…」ギュゥゥ

アクトレイザー「状況を聞きにきた」ナデナデ

エンジェル「はい!では報告を…チルノちゃんが神にジョブチェンジしました」

鈴仙「っ!!!?」

アクトレイザー「な、なんだと!?」

チルノ「えっへん」ドヤ

アクトレイザー「ま、まあ戦力的に考えるならそれも良いかもな」

アクトレイザー「私からも…あたらしい仲間を紹介する」チラッ

早苗&エンジェル「え?」

鈴仙「…」ペコッ

チルノ「うどんげだ!」

早苗「アナタは永遠亭の…これは咲夜さんが抜けた穴を埋める貴重な戦力が」

鈴仙「私も手伝いに来ました。何かやれる事はありますか?」

早苗「そうですね…」

早苗「最近、魔物退治ばかりに力を注ぎ込みすぎて、なかなか街の開拓や問題解決にじっくりと時間をかけるヒマが無かったんで…」

早苗「一先ず、街開発の手伝いをしてもらいますか?」

鈴仙「え?ええ…」スッ

鈴仙は手に持っている新兵器を眺めながら頷く

鈴仙(一先ず、これの実戦はお預けかな)

142: 2016/09/07(水) 04:43:20.60 ID:hEPOVd/C0
~次の日・カサンドラ~

早苗「さあ、今日も雨を沢山降らせましょう!」

チルノ「おう!」

男女神官「よろしくお願いします!」

青年「ね、ねえキミ。ドコからきたの?すっげぇ可愛いね」ドキドキ

鈴仙「は、はあ…??」

臆病者「お、おい…なんか変な耳ついてるぞ。魔物なんじゃないのか?」

鈴仙「はぁぁ!!?」

青年「おいおい!こんな可愛い魔物が居てたまるか!」

臆病者「サ、サキュバスかもしれないだろ!」

鈴仙「」

早苗「こらこら、二人共よしなさい!」

男神官「所でコチラの方は…?」

早苗「鈴仙・優曇華院・イナバさんです。彼女もまたカミの使いの1人です」

青年「!?」

臆病者「!?」

男女神官「おおぉぉ!!」

臆病者&青年「申し訳ございませんでした!!!」

鈴仙「あ、いや…別に気にしてないし…そんなに頭を下げないで」

早苗「では私とチルノさんは雨を降らせてきます。ついでに魔物の駆除もしてきます」

鈴仙「いってらしゃーい」ペコッ

鈴仙「……」

鈴仙(あれ、私は何をすれば良いんだろう)

143: 2016/09/07(水) 04:43:52.87 ID:hEPOVd/C0
ポツポツ…ザーザー

民全員「おおお!神の恵み!雨と雹!」

鈴仙(本当だ。雨と雹が混じって降ってきてる)

鈴仙「……」

鈴仙「とりあえず、田植えの手伝いでもしますかね」

~~~~

鈴仙「そういえばこの土地は木々が全く無いですね」

男神官「ええ、何てたってここは砂漠の土地ですから」

鈴仙「砂漠…オアシス位あってもいい気がするわね…よし」

鈴仙「皆さん、雨を降らして植物の成長を待つのも大事ですが」

鈴仙「せっかくなので、植林をしましょう」

民一同「植林??」

鈴仙「私の故郷には美しい竹が生えています」

鈴仙「明日に竹の根を持って来るので、その植林方法を教えます」

144: 2016/09/07(水) 04:45:08.05 ID:hEPOVd/C0
~その日の晩~

エンジェル「流石に2日間も雨を降らし続けたから、あちこちに大きな水溜りが出来てますね」

早苗「はい。しばらくは雨を降らさなくても大丈夫でしょう。これ以上は洪水になってしまいますし」

チルノ「明日はカキ氷でも配布してやるかな。何味が良いかな~」

早苗「あ、そういえば鈴仙さんに指示を出してませんでした!すいません!」

鈴仙「これからは気をつけてね?まあそれなりに活動はしたけど」

早苗「どんな事を」

鈴仙「田植えとか畑作業とか」

鈴仙「ああそうそう。明日は植林作業をしようと思います」

早苗「植林ですか…熱き大地にそびえたつ竹林っていうのも良いですね!」

鈴仙「ええ。竹の根を大量に持ち込もうと思うので、一旦、幻想郷に帰ります」

鈴仙「明日の朝までには戻るので」

早苗「分かりました」

145: 2016/09/07(水) 04:46:20.11 ID:hEPOVd/C0
~次の日~

チルノ「どうだ!これがカキ氷だ!」

民1「うまい…うますぎる!なんだこれは!?」

民2「神チルノよ、このシロップとはどうやって作るのですか!?」

チルノ「知らない!でも早苗なら知ってるかも」

民2「ならば早速サナエ様に聞かなければ」

民1「だがサナエ様は今朝、隣の国へ出かけて行ったらしいぞ」

鈴仙「おはようございます」

民1「あ、ウドンゲさん」

鈴仙「竹の根を持ってきたわ。さあ、沢山植えましょう」

民一同「はい!」

~一同、植林中…~

鈴仙「ふぅぅ、だいぶ植えましたね」

早苗「あ、鈴仙さん!」

鈴仙「早苗…いままでドコへ?」

早苗「隣の国のアイトスです。様子を見てきたのですが、少し困った事になって」

早苗「神父さんが怪我をして寝込んでしまってて…」

鈴仙「怪我…それなら、私が行きましょう」

鈴仙「師匠ほどじゃないけど、私にだって医療の心得はあります」

早苗「それは助かります!ではエンジェルさんに案内してもらうのでお願いします!」

鈴仙「はい。えーと皆さん、教えた手順通りに引き続き植林作業をお願いします!」

146: 2016/09/07(水) 04:47:10.28 ID:hEPOVd/C0
~火山の土地・アイトス~

エンジェル「ここがアイトスです」

鈴仙「へー…竹林が結構生えてるわね。ココから竹の根を他所へ持って行っても良いわね」

魔理沙「おう優曇華。とうとうお前も来たか」

鈴仙「おはよう魔理沙。怪我した神父さんは?」

魔理沙「こっちだ」

~~~~

男神官「うぅぅ…ぐぅ…」

鈴仙「酷い怪我ね。でも骨は折れてないし、今ならまだ間に合う」

鈴仙(カバンの中に…師匠が作った錠剤と塗り薬が)ゴソゴソ

鈴仙「薬を塗るわ。塗り終わった後に、今から私が渡す錠剤を毎日決められた用量で、中身がなくなるまで飲んで」

男神官「あ…ぁぁ…」コクッ

鈴仙「それと絶対安静!守るように!」

男神官「い、いや!しかし!」

鈴仙「ダメ!出て行かないように見張ってますから」

147: 2016/09/07(水) 04:49:47.70 ID:hEPOVd/C0
~次の日の早朝・カサンドラ神殿にて~

鈴仙「ふぅ…何とかアイトスの神父さんを説得してきた」

鈴仙「体調も少しよくなってたし、このまま薬飲んで休んでれば問題ないわね」

鈴仙「ん?石像の前に誰か立ってる」

青年「……」

鈴仙(げっ、あの人は一昨日、私の事ナンパしてきた人じゃ…)

青年「おお…神よ…どうかカサンドラを立派な街に」ギュッ

鈴仙「ん??」

軽薄そうな印象が強かったその青年は、ひざまずきながら瞳を閉じ真剣に祈りを捧げていた

鈴仙(へぇ…意外ね)

青年「ん?」

鈴仙(あ、気付かれた)

青年「わぁぁ!うどんちゃんだ!」パァァ

鈴仙「あ、ど、どうも」ガクッ

青年「えへへ、今日も可愛いね~」

鈴仙「は、はあ…」

鈴仙(一昨日、私に頭下げたのに結局態度が変わってないわね…)

青年「今日はどこの班に行くの?」

鈴仙「私はアイトスとカサンドラを行き来すると思うので、特に決まった係りはないと思うわ」

青年「そうか、残念だな」

鈴仙「貴方は?」

青年「俺は開拓班兼任で、魔物の巣の封印も手伝ってるから」

青年「これから神官さんたちと、巣に向かうんだ」

鈴仙「魔物の巣ですか…危ないでしょうし、私も同行しましょう」

青年「え、本当!?やったーー!!うどんちゃんと一緒にお出掛けだ!!」

鈴仙「はあぁ…危ない場所に行くんだから、はしゃいでる場合じゃないわよ」

鈴仙(あ…武器、アイトスに置いてきちゃった。まあ無くても闘えるけど)

148: 2016/09/07(水) 04:52:26.80 ID:hEPOVd/C0
~6日後・カサンドラ~

―あれから6日が経った
早苗と鈴仙は互いに、アイトスとカサンドラを交代で行き来した

その間さらに早苗は、他の地域の様子も見ていた
フィルモアは安定しているが、ブラッドプールは相変わらず人々の心が荒れていた

早苗(ブラッドプールの問題…どうやって解決しよう。このままだと本当に内戦がおきてしまうわ)

早苗「…………」

早苗(とにかくいまは、カサンドラの開発に尽力を注ぎましょう)

早苗「さあ皆さん!今から鈴仙さんより教わった植林作業を始めましょう!」

植林班「はい!」

チルノ「よーし!開拓班ども、道をつくるぞー!家も作るぞー!」

開拓班「はい!」

~数時間後~

チルノ「あ、あじゅい…じ、じぬぅぅ…」

開拓班員1「よし、今日はこの辺にしようか」

開拓班員2「神チルノが苦しんでおられる!一刻も早く神殿へ向かうぞ!」

青年「……」

開拓班員1「ん、どうした」

青年「先に帰っててくれ」

青年「少し寄り道がしたい」

開拓班員2「おいおい、この砂漠の大地に寄り道は危ないぞ」

青年「大丈夫だ、そんなに遠くにはいかない」

開拓班員2「……気をつけろよ」

チルノ「すぐかえってこいよ~」

青年「……はい」

~~~~~

1人の青年は長い道のりを長い時間をかけて歩き続けた
遠くに薄っすらと見えた奇妙な建物を、間近で見たいが為に、何かにとり憑かれる様に歩き続けた

青年「な、なんだ…この巨大な三角の建物は」

青年「……ココにずっと居ると頭がおかしくなりそうだ」グッ

青年「この建物は多分、邪悪な物なのだろう…早く皆に知らせないと」

青年「……」

青年「あれ、どうやって帰れば良いんだ…」

青年「のど…渇いた…」

149: 2016/09/07(水) 04:54:57.08 ID:hEPOVd/C0
~その頃・幻想郷・白玉楼にて~

ガキィィン!キィィン!

妖夢「ぐっ…!!」

アクトレイザー「…っ!!」

妖夢とカミの剣は互いにぶつかり合い、ギリリッと音を立てながら、押し合っている

アクトレイザー「フン!!」グンッ

妖夢が両手首と足腰にグッと力を入れるが、カミは棒立ちの片手のみで妖夢を後ろへと押し退ける

妖夢「…!!」

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…」

妖夢「どうやらパワーは、とうとう私を超えたようですね」

アクトレイザー「ああ…だがしかし、私は師匠妖夢の様な瞬発力は無い」

アクトレイザー「全盛期込みで見ても、スピード面ではそなたには敵わないだろう」

妖夢「スピードは私の得意分野ですが…それを言ったら文さんなんかは幻想郷最速だし…霊夢さんに置いては普段は遅いけど、たまに瞬間移動するし」

妖夢「ま、上を見たらキリがないです」

アクトレイザー「ふむ…どうも私は幻想郷の中でも機動力が遅い方な気がしてな」

妖夢「短所ばかり見ても仕方ありません。長所を伸ばすのも手です」

妖夢「カミは防御とスタミナ、パワーを底上げすれば良いと思いますが」

アクトレイザー「防御、スタミナ、パワーか…」

アクトレイザー「確かに長所伸ばしも手だが…やはりスピードは上げたい。それとそなたのように、自由に空も飛んでみたい物だ」

妖夢「空の飛び方は…うーん、理屈で教えるのが難しいです」

神奈子「もっと手っ取り早いパワーアップの仕方を、そなたは知ってるはずだ」

妖夢「アナタ達は守谷の…」

アクトレイザー「神奈子に諏訪子…」

諏訪子「随分と強くなったじゃないか。これも人々の信仰心が高まったお陰だね」

アクトレイザー「信仰心…」

神奈子「前に言ったような?信仰心を上げる為の策を考えておくと」

神奈子「良い策が思いついたんでな、教えに来た」

150: 2016/09/07(水) 04:56:57.17 ID:hEPOVd/C0
アクトレイザー「それは本当か!助かる」

妖夢「いったいどの様な策を」

神奈子「実は人里の拡大計画が始まっててな」

アクトレイザー「人里拡大計画?」

諏訪子「八雲紫がさ、訳ありの外来の人間やら、異界の人間をドンドン幻想郷に送ってくるもんだからさ、人口が増えちゃったんだよ」

アクトレイザー「なるほど、それで拡大をする為の開拓業を手伝って欲しいと」

神奈子「ああ。やたら成長の早い竹林とか、大きな岩、沼地とかをどうにかして、人の住める場所に変えようって話だ」

諏訪子「これで信仰心も上がるってもんだね!」

神奈子「だが気をつけろよ?スキマ経緯か、たまたま流れ着いたにせよ…」

神奈子「幻想郷に来る連中ってのはやたらとクセ者が多い。変わり者から信仰心を得るのは大変だぞ」

アクトレイザー「神奈子よ、我々は信仰心を得るために民を救うのではない。神は民を救い導くのは当たり前なのだ。結果は後からついてくる」

神奈子「真面目だねアンタは…まあいい、ついて来な」

151: 2016/09/07(水) 04:59:15.90 ID:hEPOVd/C0
~?????~

魔物「た、大変です…サタン様」

サタン「……?」

魔物「この世界から再び人間が生まれ、魔物が減ってしまってます」

サタン「なんだと…しかしカミは我々の手によって封印したのでは」

魔物「なんでも異様な力を持った人間達がいて…次々に文明を築き始めています」

サタン「まるで理解できん」

サタン「……」

サタン(強力な力をもった人間…か)

サタン「まあいい。しばらく泳がせておけ」

魔物「良いのでしょうか?」

サタン「所詮、人間ごときが我々に敵うハズがあるまい」

サタン「希望を与えるだけ与えて…一気に叩きのめすのも、また一興よ」

サタン「カミですら敵わないこの私が、人間ごときに負けるハズが無い」

サタン「そしてそのカミもまた今は封印中。勝敗の行方は言うまでもあるまい」

サタン「せいぜい滅びの時が来るまで、平和と言う甘い幻想を抱いているといい」


サタン「この世に私に勝てる者など、誰一人としていないのだ…!!」

169: 2016/09/17(土) 14:17:40.85 ID:tn/jwJ5m0
~幻想郷・荒地にて~

ガヤガヤ、ワイワイ

神奈子「ついたよ。ここだ」

アクトレイザー「うむ。多くの人間がいるな」

慧音「む、来ましたね。守矢の三柱」

神奈子「ああ。今日から彼が町作りを手伝ってくれる」

慧音「上白沢慧音だ。普段は人里の寺子屋で教師をやっている」

アクトレイザー「東風谷アクトレイザーだ。よろしく。早速作業に取り掛かりたいのだが」

慧音「ああ、見てのとおり岩も竹も樹木もある」

慧音「私も弾幕で破壊していくつもりだ。どうか手伝って欲しい」ペコッ

アクトレイザー「いいだろう」

神奈子「さて、私達も手伝うか」

諏訪子「うーし、破壊と想像を始めますかー!」

アクトレイザー「さて…雷を落とすには一旦、魂の離脱をしないとな」

カミは魂を離脱させ、体は石像に戻る
光り輝く霊魂は詠唱を始める

アクトレイザー「雷符・神なりの道しるべ」

ズドォォォン!!ボゴボゴボゴ!

開拓者達「おおお!!」

神奈子「へぇ、やるじゃないか」

諏訪子「雷弾幕は見事だけど、ネーミングセンスがアンタらしくもないね」

アクトレイザー「……私なりに真剣に考えたつもり何だが」

170: 2016/09/17(土) 14:18:40.71 ID:tn/jwJ5m0
――それから、弾幕を出せる者はひたすら障害物を破壊していった
破壊した残骸は開拓者が拾い、道を切り開いていく

開拓者1「なんか凄いスピードで開拓が進んでるな」

開拓者2「さすが神だ」

ワイワイ、ガヤガヤ

神奈子「ふふふ。どうやら人間達も感心しているみたいだな」

アクトレイザー「ああ。さっきからすごい勢いでパワーがみなぎって来る」ググッ

諏訪子「効果抜群だね」

アクトレイザー「うむ、ありがたい」


開拓者3「つ、疲れた~」

アクトレイザー「開拓者諸君。無理はよく無い、休憩をしよう」

開拓者達「はい!」

カミは休憩の宣言をすると、再び魂をご神体へと還る

諏訪子「あんたさ、いちいち魂を離脱しないと雷とか雨と降らす事できないの?」

アクトレイザー「ああ。うまく言葉じゃ説明できないが、離脱してる時と石像に入っている時だと、魔法を使う感覚が異なるのだ」

アクトレイザー「私のレベルを全盛期以上までに高めれば、いつでも雷を落とせたり、雨を降らすことも出来るようになるかもしれんが」

諏訪子「ふーん。アタシと神奈子の能力を足した様な力だけど、コントロールが難しいんだね」

アクトレイザー「情けない事に不器用な物でな」

171: 2016/09/17(土) 14:19:51.68 ID:tn/jwJ5m0
にとり「おっと新参のカミ様じゃないか」

アクトレイザー「キミは…宴会の時にいた河童?という種族でいいのか」

にとり「うん。私は河城にとり。今日は私の自慢のメカを披露しに来たよ」

アクトレイザー「メ、メカ?」

神奈子「あーそうか。そなたはまだ機械とかには詳しくないね」

アクトレイザー「機械?」

諏訪子「早苗とかはそういうの詳しいから後でいっぱい聞くと良いよ」

アクトレイザー「う、うむ」


にとり「さあ神様方…そして開拓者諸君!休憩中にこの私が作ったロボの性能をとくとご覧あれ!」

にとり「まずはバルカン君!樹木や竹林を切り刻んでいけ!!」

コントローラーを持ち操作を始める

バルカン君「了解シマシタ」

ザシュザシュッ!

にとりの作ったロボ、その見た目はカブト被り、鎧をまとった騎士だった
大きな剣を持ち、素早い動きで木々を切り刻んでいく

開拓者達「おお!」

アクトレイザー「あれがメカ…魂の気配を感じられないのに、まるで人間の様に動く」

にとり「ふっふっふ。驚いたかな?」

アクトレイザー「ああ。キミはふしぎな物を作れるのだな」

にとり「外の世界にいったらもっと凄い物があるよ」

アクトレイザー「外の世界…たしか『日本』」だったか?凄い国なのだな」

にとり「うん。まあ私は日本の技術者に負けない位の、技術力を持っている自信があるけどね!」

にとり「それに今、私の工場ではアレよりもっと凄いロボットを開発中だし」

172: 2016/09/17(土) 14:20:54.23 ID:tn/jwJ5m0
アクトレイザー「あれよりも凄い物が?」

にとり「うん。名前は『ゴッド・デストラクター君』って言うんだけどね」

にとり「なかなかコントロールが難しくて…まだ未完成なんだよね」

にとり「でも規模のデカさはバルカン君の比じゃない。制御さえ出来れば何でもできる万能ロボになる」

アクトレイザー「是非、見てみたい物だ」

にとり「それなら今日の開拓作業を終えたら、ウチを案内するよ」

アクトレイザー「む、そうか。それなら是非行って見たい」

~休憩終了後~

アクトレイザー「さて、そろそろ再開しようか」

開拓者達「はい!」

妖夢「あ」

アクトレイザー「どうしたのだ師匠」

妖夢「霊夢さんがいます」

霊夢「……」

アクトレイザー「博麗の巫女」

霊夢「どうも」

アクトレイザー「一体どうしたの」

霊夢「今日からこの荒地を開拓するみたいじゃない」

霊夢「それでここだけの話なんだけどね…ちょっと紫から頼まれ事が」

173: 2016/09/17(土) 14:22:16.53 ID:tn/jwJ5m0
アクトレイザー「八雲紫から?」

霊夢「ええ…ここにいる開拓者達は全員、元は異世界や外界にいた人達だってのは知っている?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「クセ者ばかりが揃ってるのも聞いた?」

アクトレイザー「ああ」

霊夢「なら話が早いわ。実はそのクセ者だらけの連中の中でも、よりクセの強い奴がいるらしくて」

霊夢「近い将来、妖怪になり兼ねないブラックリスト集を渡されてね」

霊夢はそういって、メモをカミに見せる

アクトレイザー「……」

妖夢「近い将来…妖怪になりそうな人が…」

霊夢「人数は二人。名前は両者不明。男女1人づつ」

霊夢「んで、恐らく私の勘だけど。あの二人が例の奴なのかなって」

謎の巫女「……」ゴゴゴ

中年男「……」ギラギラ

妖夢「あの二人が?まあ確かに異様なオーラを放ってますが」

慧音「ああ、あの二人か」

霊夢「慧音、あの二人について何か知ってる?」

慧音「どうしたんだ突然」

霊夢「監視よ。まあそうは言ってもあんなのにいつも時間を裂く訳じゃないけど」

霊夢「一先ず、調査と言った所かしら。あの二人が誤った道に進まないように」

慧音「珍しく仕事熱心な」

霊夢「一言余計よ」

174: 2016/09/17(土) 14:23:59.15 ID:tn/jwJ5m0
霊夢「あの二人、ちゃんと開拓はしてた?」

アクトレイザー「ああ、一応な」

霊夢「カミ様から見て、あの二人はどう?」

アクトレイザー「……こんな事を言いたくはないが、最初見た時から何故か悪寒がした」

アクトレイザー「この世界には、人間のような心を持った悪魔や妖怪がいるが…彼と彼女の場合、逆の物を感じた」

霊夢「悪魔染みた人間…まさにサイコパスね」

アクトレイザー「もっとも、私はそのまま見捨てるつもりなどないが」テクテク

霊夢「え、ちょ…」

アクトレイザー「まずは何事も交流からだ。交流なくして改心などあり得ん」

霊夢「はぁ…」

アクトレイザー「中年の男よ」

中年男「…?」

アクトレイザー「年齢も結構きているというのに、よく参加してくれた。ありがたい」

中年男「……」

アクトレイザー「今日の作業でも終わったら一杯どうだ?」

中年男「場所は?」

アクトレイザー「人里の居酒屋…もしくは妖怪が経営していると言う屋台で」

中年男「ハッ!笑わせるな!」

アクトレイザー「え?」

中年男「前によった事があるがな…あんな安酒飲めるか!!」

中年男「この私を誰だと思っている…元一国の王だぞ…!馬鹿にしおって!」

中年男「私と一杯交わしたければ最高級のワインを用意しろ!それと特上の肉をな!!ウナギなんぞ食えるか!!」

中年男「それと私と交友関係を築きたくば金を貢げ!!私は元王だぞ!!」

アクトレイザー「……」

慧音「こら!カミにむかって何て事を!」ズツキ

ゴンッ

中年男「ぐあ!」

慧音「いつまでも過去の栄光にすがり付くな…全く」

中年男「くっ…」

ブツブツと独り言を言いながら中年の男は立ち去って行った

175: 2016/09/17(土) 14:25:32.10 ID:tn/jwJ5m0
アクトレイザー「情けない…1人の人間を導く事も出来ないとは」

霊夢「いやアレはしょうがないわよ」

妖夢「どうやら前の世界では一国の王だったみたいですね。なぜ幻想卿に流れ着いたのか…」

慧音「大方、革命にでもあったのだろう。自害寸前にスキマ妖怪に拾ってもらったとか」

霊夢「アイツも変なの拾ってきたわね…」

アクトレイザー「さて、次はあの巫女に」

霊夢「……待って、私がいくわ」

アクトレイザー「そうか。同じ巫女同士の方が気が合うだろうしな」

霊夢「ねえアナタ」

謎の巫女「?」

霊夢「新参者みたいだけど…どっかに社とか構えてるの?」

謎の巫女「これから立てて貰う」

霊夢「どこに?」

謎の巫女「地底の入り口付近にある温泉のあたり。今日ここにいるのは、新しい社を建ててもらう代わりに、人里開拓を手伝ってやってる」

霊夢「げげ、わりと近場じゃない…」

謎の巫女「……」ゴゴゴ

霊夢「ねぇ、神社なんか立てないでさ、ウチで働かない?」

謎の巫女「あぁ?」

霊夢「1日3食昼寝つき。まあ経済事情は良く無いけど…悪くない待遇だと思わない?」

霊夢(これ以上ライバルが増えたらたまったもんじゃないわ)

謎の巫女「……」ゴゴゴ

謎の巫女「ふん!!」ガシッ

霊夢「うっ!?」

全員「!!?」

異様なオーラを放った巫女は、いきなり霊夢の首を掴みかかる
そして胸元から短刀を取り出す

謎の巫女「博麗霊夢…人妖問わず人気あると聞く…異変解決もやっていて名声もある…」

謎の巫女「妬ましい…その人気者ぶりが妬ましい!!」

176: 2016/09/17(土) 14:27:11.19 ID:tn/jwJ5m0
アクトレイザー「やめろ!!」バッ

霊夢「……」スッ

カミが抑えようとした時だった、霊夢は『大丈夫』と言わんばかりに手を前に出す
そして霊夢は全身に霊力を込めて、謎の巫女が突き出した短刀を迎え撃つ

ガキィィン!!

謎の巫女「なっ…!!刀が弾かれた…」

霊夢「その程度の攻撃で私を倒せるとでも?」

謎の巫女「くっ…」

慧音「何をやっている!!!」

謎の巫女「は、放せ!!!」

慧音「あんな物を見せられて放す訳ないだろ!!」

謎の巫女「妬ましい…お前のその人格者振りが…」

謎の巫女「妬ましい…!開拓者達の前向きな心が…!」

謎の巫女「妬ましい!この美しき幻想郷のすべてが!!あああああああぁぁ!!!!」

霊夢「……っ」ビクッ

慧音「わ、分かった。今日はもう帰りなさい」

謎の巫女「…………」ゴゴゴ

気が狂ったように叫び、帰るように促がされると、巫女は何も言わずに、妙なオーラを放ちながら無表情で帰って行く

アクトレイザー「大丈夫か?」

霊夢「ええ」

アクトレイザー「あれは色々と重症だな…不憫だ」

霊夢「何よアイツ。パルスィみたいに」

パルスィ「アイツと一緒にしないで」

霊夢「わぁ!?いつの間に」

パルスィ「開拓地がどんな所か見に来ただけよ」

霊夢「アイツとはやっぱ知り合いなの?」

パルスィ「前に一度だけ喋った事がある」

パルスィ「正直、アレは私でも引くわ」

霊夢「アンタが引くってよほどすごい嫉妬心を抱えてるのね」

パルスィ「ただ、人間にしてあの気狂いレベルの嫉妬心。実に妬ましいわ」

霊夢「引いてるのか関心してるのか、どっちなのよ」

177: 2016/09/17(土) 14:28:30.89 ID:tn/jwJ5m0
~開拓1日目終了~

アクトレイザー「では今日の所はこの辺にしようか」

開拓者達「はい!」

妖夢「カミよ、このあとはどうしましょうか」

アクトレイザー「もう今日は遅い。明日は早朝に稽古を付き合ってもらえないか?」

妖夢「わかりました。では今日は帰ります」

神奈子「私達も帰ろうか」

アクトレイザー「あ、その前に寄りたい所が」

神奈子「ん、どこだ」

アクトレイザー「河童が言っていた例の工場とやらにだ。どんな物か見てみたくてな」

神奈子「ああ…なるほど。いいだろう」

~妖怪の山・河童達の工場前~

守矢の三柱は、にとりの案内で妖怪の山にある工場へと連れて行かれる

にとり「見よ!これこそが私たちの工場だ!!」

アクトレイザー「で、でかい…」

諏訪子「あれ?何かしばらく見ない内に随分と増設したね。主に上向きに」

神奈子「まるで高層ビルだな。工場には見えん」

にとり「これこそ!河童の技術力の結晶!」

アクトレイザー「この建物の名前は?」

にとり「えーっと…仮名で『にとりファクトリー』と名づけてるんだけど不評でね」

にとり「なにかいい名前がないか、考え中なんだよ」

河童「にとりさん!これこれ」

にとり「ん?どうしたのその本」

河童「人里の鈴奈庵にいって、借りてきたんですが…この本に書かれてる、ある単語が気になって」

にとり「なになに…バベルの塔?」

河童「はい。これをこの工場に名づけるのは如何でしょうか?」

にとり「バベルの塔……うん!何かよくわからんけど、ネーミングは悪くない!」

にとり「……っと言う訳で神様方!今日からこの工場名は『バベルの塔』だ!!」

アクトレイザー「」ビクッ

にとり「どうしたの?」

アクトレイザー「あ、いや。何でもない」

アクトレイザー(何だ…いま一瞬、物凄い悪寒がしたが気のせいか?)

178: 2016/09/17(土) 14:29:35.77 ID:tn/jwJ5m0
~数日後・灼熱の大地カサンドラにて~

男神官「サナエ様、氷の神チルノよ…大変な事が」

早苗「どうしました?」

男神官「我々の仲間、ある青年が広大な砂漠に迷い込み、行方不明の状態に…」

チルノ「そういえばアイツ、寄り道するとか言ったきり、見かけていないな」

鈴仙「え…あの彼が!?」

鈴仙(そういえば最近、やけに静かだと思ってたら…)

早苗「それマズイです!早急に探しにいかないと」

女神官「どうかお願いします我々も。手伝いますので」

早苗「アナタ達は可能な範囲で良いです。緑化していない地域まで無理に足を運ぶと、余計に迷ってしまう人が増えてしまいます」

女神官「わかりました…どうか我々を彼の元までお導きください」

181: 2016/09/19(月) 09:33:18.59 ID:/TKXIUnu0
~ある砂漠のど真ん中~

青年「し、氏ぬ…」フラフラ

青年「いつになったら…家に帰れるんだ…」

ブルードラゴン「ガオッ!」ボォォン

青年「うおっ…!」サッ

魔物が瀕氏の青年に雷を落とす
フラフラにも関らず、魔物からの攻撃をかわす

青年「馬鹿にするなよ…俺だって魔物の巣を封印出来る位に、魔力だってあるんだ…」

青年「ザコ1匹倒すくらい…ワケないんだよ…!」

青年の両手から光弾が放たれる

ブルードラゴン「ゴォォ!」

退治された魔物は力なく倒れ、霊魂は遠い神殿の方へと飛んでいく

青年「霊魂は…あっちの方角へ向かっていった…」

青年「なら、同じ方角あるって行けば…」フラフラ

青年「」バタッ

青年「……」

青年(ダメだ…もう力が…)

182: 2016/09/19(月) 09:35:01.30 ID:/TKXIUnu0
~幻想郷・開拓地にて~

ワイワイ、ガヤガヤ

妖夢「障害物は処理しつくしましたね」

アクトレイザー「うむ。あとは道を作り、建物を建てて行くだけだ」

アクトレイザー(開拓者たちからの信仰心のおかげか、体中に力がみなぎる)

アクトレイザー(まだ全盛期には到達してないが、これだけの力を貰えればもう充分な気もするが)

アクトレイザー(そういえばあっちの世界はどうなっているだろうか…)

アクトレイザー「師匠、いったんあっちの世界の様子を見に行こうと思う」

妖夢「そうですか。では私も」

~天空城にて~

アクトレイザー「久しぶりだな」

エンジェル「カミ様!しばらく会わない内に随分とお力を取り戻されたみたいですね。私からの全身からも力が湧き上がるのを感じます」

アクトレイザー「うむ、幻想郷でも色々な行いをしてきたからな」

エンジェル「それはそうとカミ様、大変な事になりました…」

アクトレイザー「どうした?」

エンジェル「実はカサンドラの若き青年が、砂漠の地にて迷ってしまい、もう何日も帰ってこないようです」

アクトレイザー「なんだと!?この灼熱の大地で…」

エンジェル「いま、皆で探し回っています」

183: 2016/09/19(月) 09:36:39.18 ID:/TKXIUnu0
アクトレイザー「……そうか。なら私も行こう」

妖夢「探すという事は、まだ石像から離脱するのですか?」

アクトレイザー「いや。魔力もだいぶ戻ってきている事もあって、ちょっとした物を召喚出来る様になった」

妖夢「?」

アクトレイザー「……」パンッ

カミは両手をパンッと叩くと、足場を担ぐ2匹の白鳥が召喚される
その足場へと乗りかかる

妖夢「おお…!」

アクトレイザー「いくぞ!」

エンジェル「はい!」

~~~

早苗「あ、熱い…一体ドコに…」キョロキョロ

アクトレイザー「早苗!」

早苗「あ、あれ?なんで夫がここに居るのかしら…私、暑さで幻覚でも見えてきたのかな…」

アクトレイザー「幻覚ではない」ポンッ

早苗「え、ええ!?本物!?」

妖夢「早苗さん。今日は熱い抱擁は無しですよ」

早苗「ほえ?あ、はい。わかってます!」

アクトレイザー「一刻も早く、青年を見つけるのだ!」

――それから、懸命の探索がはじまった
太陽はあっと言う間に傾き、夕暮れへと変わっていた

散らばった一同だったが探し回っているうちに、上空にて再び終結した

アクトレイザー「なかなか見付からん」

早苗「そ、そうですね…」

エンジェル「今日はもう諦めましょうか…」

妖夢「これ以上は体に響きますね…」

アクトレイザー「3人は帰ってなさい。私は引き続き探す」

早苗「いえ…もう少し私も頑張ります!」

チルノ「おぉ~い!いたぞー!!」

アクトレイザー「本当か!?」

早苗「てかチルノさんまだ探してたんですか!?よく無事でしたね!」

チルノ「もう何回も溶けたってば!!それよりもこっちこっち!」

184: 2016/09/19(月) 09:37:53.73 ID:/TKXIUnu0
~ある砂漠のど真ん中~

青年「」

眼に光を失い、やせ細った1人の青年はぼんやりと、夕焼けに染まった上空を眺める

青年「ぁ…かぁ…ぁぁ…」

青年(声が上手く出ない…のど渇いた…)

青年(もう何日も水…飲んでない…)

青年(最後にうどんちゃんの顔見たかったなぁ…)

青年(カサンドラの発展もまだ途中なのに…情けない…)

ポツ…ポツポツ…

青年「?」

ポツポツ…ポツポツ…サーーー

青年「ぁ…ぁぁ…」

青年(雨だ)

コツン

青年「うっ」

ボトボト…ボトボトボト…

青年(この塊は…雹(ひょう)。雨に混じって雹まで…)

青年(ああ…そうか。サナエ様と氷の神チルノが私を救ってくれたのだ)

青年「おお…これぞ天の恵み…」

天に向かって両手を伸ばし、感謝を込め心から祈りを捧げる青年

青年「は…はは…みふ…みふら…」

青年は口を大きく開け、水分を補給していく
だが体は動く事が出来ずにいた

そんな青年を照らすように、曇り空より僅かな陽の光が差し込む

青年(天気雨…?神秘的だ…まるで何かが舞い降りて来そうだ)

青年(ん?2匹の白鳥に…あの姿、まさか…)

アクトレイザー「青年よ、大変だったな」

カミはジャンプして地に降り、青年の前に立つ

185: 2016/09/19(月) 09:39:17.05 ID:/TKXIUnu0
青年「ぉ…ぉぉ…」ボロボロ

青年は感極まって涙を流す
頬に伝う涙は、雨と交じり合いながら流れ落ちていく

青年(まさか…氏の寸前で、あの戦士像のカミに会えるとは…だがしかし、あのカミ様は確か…)

からからの咽で、必氏に搾り出す様に声をだす

青年「あ、あなた様は…なぜここに…まだリハビリ中だとお聞きしましたが…」

アクトレイザー「そなたがこの広大な砂漠にて迷ったと聞いてな、居ても立ってもいられなかった」

青年「ぉぉ…なんと…」ボロボロ

アクトレイザー「さあ、いま抱えてやろう」

カミは両手で、青年の膝裏と首を持ち、再び足場へと乗る
白鳥達は天へと羽ばたいていく

青年「お…ぉぉ…カミよ。私の様な…いつも女の子ばかり見て、鼻の下伸ばしてる様な煩悩まみれな私を…」

アクトレイザー「そなたはとても信心深く真面目だと聞いている。街の開拓や魔物退治も積極的だったらしいじゃないか」

青年「勿体無いお言葉…」

青年「……」

青年「カ、カミよ…これを…」

青年はポケットからメモを渡す

アクトレイザー「これは…ピラミッド?」

青年「それは…私が…見たもの…ゲホゲホ!」

アクトレイザー「大丈夫か!無理に声を出さなくていい」

青年「お聞きください。三角の建物…邪悪…ゲホゲホ…」

青年「私は…人一倍魔力に敏感で…つい心を奪われてしまって…ですが、ギリギリの所で、内部には潜入せず逃げてきました…」

アクトレイザー「よく誘惑に打ち勝ったな」

186: 2016/09/19(月) 09:40:44.93 ID:/TKXIUnu0
カミに抱えられる青年は、上空へ到達する

早苗「大丈夫ですか青年さん!」

チルノ「しっかりしろ!まだ氏ぬのは早いぞ!」

妖夢(痩せきってる…)

エンジェル「青年!」

アクトレイザー「青年よ、皆が呼んでいる」

青年「………」コクコク

衰弱しきっている青年は、声が出なくなっていた

鈴仙「青年さん!」

青年「っ」ビクッ

鈴仙が声をかけると、青年は驚いたのか眼を大きく見開く
しかしやはり声は出ない

鈴仙はカミの乗る足場に乗ると、ペタペタと青年の皮膚に触れる

鈴仙(これはマズイ…完全に衰弱しきってる…)

鈴仙(何かカバンの中にないかしら)ゴソゴソ

鈴仙(ダメだ…適切な処置が見付からない)

鈴仙「青年さん…」

青年「……」ボソボソ

アクトレイザー「どうした」

青年「皆に…伝えて…くだ…s…」

青年「か、カサンドラ…の…未来に栄光あれ…」

まるで最後の力を振り絞るように、伝言をその口から伝える

アクトレイザー「青年…」

青年「…………」

青年「……」

青年「…」

青年「」

ふと手首に触れ、脈の確認をとる鈴仙
しかしその脈はもう動いていない

鈴仙「……っ」ツーッ

鈴仙の落ちる涙が、青年の頬に伝う

――その晩、カサンドラの人々は全員、彼の氏に涙した

187: 2016/09/19(月) 09:41:43.55 ID:/TKXIUnu0
――数日後・ブラッドプールにて
二つの勢力は睨み合い、一触即発の状態にあった

「ここ数日、サナエ様が降臨なされていない」

「我々にもう愛想が尽きたのだ」

「なれば我々の秩序は我々自身で、築いていくべきだ!」

エイエイオー!!

男神官「お前たち何をやっている!!」

女神官「やめなさい!!カミが悲しまれるわ!!」

「我々はもう我慢の限界だ!!」

「話し合っても一向に方針が定まらん!!ならば武力で解決するしかあるまい!!」

「お前ら、覚悟しろ!!!」

「そっちこそ…覚悟出来てるんだろうな!!」

男たちは武器を構え、今まさに内戦が起きようとしていた
その時だった

♪~~♪~~♪~~

全員「!?」

民1「な、なんだ…」

民2「天空から…音楽が…」

プリズムリバー三姉妹「~~♪」

男神官「上空で演奏をしている彼女達は一体…」

早苗「みなさん。戦争なんてやめるのです!!」

全員「さ、サナエ様…!!」

早苗「いま流れている曲…これは隣国、カサンドラにて出来た曲です」

早苗「音楽とは素晴らしい物です。このブラッドプールにも音楽の文化を与えましょう」

全員「…………」

しばらく上空にて演奏する三人の少女の演奏を聞きいる国民たち
やがて人々は手にした武器を落し始め、懺悔と言わんばかりに大地に平伏す

188: 2016/09/19(月) 09:42:37.33 ID:/TKXIUnu0
民1「サナエ様…申し訳ございませんでした」

民2「おかげで我々は頭を冷やす事ができました」

民3「街は引き続き、我々の手で地道に発展させていきます…しかし、もし今後機会があるならば、他国の文化も積極的に取り入れていこうと思います」

早苗「そうですね。まずは焦らずじっくりと自国の基盤を作り、その過程で他の地域との交流があるならば、その国との交流を図るのが一番だと思います」

男神官「サナエ様…本当にありがとうございます…」

早苗「いえいえ、コチラこそなかなか問題解決が出来なくて申し訳ない限りです」

女神官「しばらくの間、ブラッドプールは内戦寸前の状態が続いていたせいで、開拓が遅れていましたが、これからまた町作りが進んでいくと思います」

女神官「所で…彼女達は?」

プリズムリバー三姉妹「~~♪」

早苗「ああ、彼女達はプリズムリバー楽団と言って、私の知り合いです」

早苗「ですが曲自体は隣の国、カサンドラからの物です」

189: 2016/09/19(月) 09:43:43.93 ID:/TKXIUnu0
~カサンドラ~

チルノ「……」

チルノは腕を組みながら、墓の前に立っていた
墓前には大盛のカキ氷が供えられている

そしてその墓石には今は亡き青年の名が刻まれていた

エンジェル「悲劇の氏ではありましたが、彼の氏は音楽を生み、隣国の内戦を止めるのに大きく役にたったそうです」

チルノ「……」クルッ

チルノはマントをなびかせながら、墓石から立ち去る

エンジェル「これからどうするんですかチルノちゃん?」

チルノ「あたいがあのピラミッドを潰してくる」

エンジェル「そうですか…では私も」

チルノ「ううん。大丈夫、あたいだってもう神なんだから!」

エンジェル「チルノちゃん…」

チルノ「そういえばカサンドラの住人は、ピラミッドの誘惑に負けてない?」

エンジェル「サナエ様が、いつも周囲に結界を張っていてくれたおかげで、1人もピラミッドに向かっていません」

チルノ「おっし!」フワッ

チルノはガッツポーズをすると同時に、フワッと宙に浮く

チルノ「あたい、行ってくるね!」

190: 2016/09/19(月) 09:45:17.69 ID:/TKXIUnu0
~ピラミッド内部~

チルノ「おい!!お前らよく聞け!!氷の神・チルノがお通りだ!!」

魔蛇「シャァァ」ウネウネ

ミイラ「ォォォ…」

チルノ「よくも青年を誘惑したな!!覚悟しろ!!」

そういってチルノは以前よりも強力になった氷の弾幕をばら撒く

パキィィン!

魔物だった物「」

チルノ「ふぅぅ、ここは外と違って涼しいな。闘いやすいし」

青い鳥人「…」ダダッ

チルノ「む、顔が鳥の奴がでてきた」

青い鳥人「…」サッ

チルノ「痛っ!」

青い鳥人はチルノに向かって剣を突き刺す

チルノ「いたたた…何すんだお前!」ガシッ

青い鳥人「…!!」

パキィィン

青い鳥人が持つ剣を掴んで、一瞬にして全身を凍らせていく

チルノ「全く…トリッキーな動きしやがって!」

赤い鳥人「…」シュバッ

チルノ「いっ!?今度は色違いが飛んできた!?」

赤い鳥人は大きくジャンプして、チルノの方へと剣を振りかざす

チルノ「ひっ!」ガシッ

パキィィン

襲い掛かる剣を、白刃取りで受け止める
そのまま先ほど同様に、相手を刀ごと体を凍らせていく

チルノ「変な動き方する奴らばかりだな!」

191: 2016/09/19(月) 09:47:12.28 ID:/TKXIUnu0
――しばらく内部を探索していくと、大広間に到達する

チルノ「なんだここ…だだっ広いな」

ゴゴゴ…

チルノ「ん?上から何か来るぞ」

ファラオ「……」ゴゴゴ

チルノ「っ!?な、なんじゃこりゃ!!?」

ファラオ「……」ギロッ

チルノ「ふぁ?」

ズゥゥン

チルノ「ふんぎゃ!!」

呆けているチルノを睨むと、その巨体で容赦なく叩き潰しに掛かる

ファラオ「……」グリグリ

チルノ「なにすんだー!!」グワッ

ファラオ「っ!!」

チルノは信仰による影響でパワーが上がった事もあり、ファラオの巨体を持ち上げ投げ飛ばす

ファラオ「ペッ」ブゥゥン

チルノ「なんだそのヘナチョコ弾幕!」ササッ

ファラオの口から放たれた光弾をサッと避ける
しかしその光弾が壁に当ると、壁は破壊される事もなく、変わりに黄金マスクが練成される

黄金マスク「……」

チルノ「げげげ!このマスク、さっき道中でも見かけたような」

黄金マスク「ペッ」ビュンッ

チルノ「うわぁぁ!」サッ

黄金マスクの口から矢が飛ばされる

チルノ「こいつ道中でも結構厄介な奴だったけ。気をつけないと」

ファラオ「……」ゴゴゴ

チルノ「げっ!?いつの間に真上に!」

ズゥゥン

チルノ「ふんぎゃ!!」

ファラオ「ペッペッ」ブゥゥン

チルノを踏み潰しつつ、口からさらに手下を召喚し続ける

チルノ「いい加減にしろ!!」グワッ

もう一度持ち上げ投げ飛ばす
そして、手から氷の剣を練成する

チルノ「アイシクルソード!」

192: 2016/09/19(月) 09:50:04.59 ID:/TKXIUnu0
黄金マスク1「…」ピュンッ

チルノ「当たらないよう~だ!」サッ

黄金マスク2「…」ピュンッ

チルノ「うお!?危ない危ない…」ピュンッ

黄金マスク3「…」ピュンッ

チルノ「痛っ!ちょっ…数多すぎ!」ザシュッ

黄金マスク4「…」ピュンッ

チルノ「だから痛いって!何体手下を召喚してんだお前!!このびびりファラオ!」

チルノ「いや、びびりバカオ!!」

ファラオ「…」イラッ

ファラオ「…」ブンッ

渾身の力を込めて、その巨体を振り下ろすファラオ

ズドォォン!

チルノ「おっと!そう何回もつぶされてたまるか!」サッ

チルノ「オラオラオラ!」ズバッ

ファラオ「っ!!」

ファラオの攻撃をさけると同時に、氷の剣で斬りかかる

チルノ「来いよバカオ!手下なんか召喚しないで掛かって来い!」

フォラオ「……」

チルノは宙に浮き、黄金マスクからの矢の攻撃を回避する
そして煽ってくるチルノを追いかける為、宙に浮き追撃する怒りのファラオ

チルノ「オラオラオラ!!」

ズバッ、ザシュッ!

追撃するファラオから、後退しながら氷の剣で攻撃するチルノ

チルノ「どーした!さっきの勢いがなくなってきているぞバカオ!」

ファラオ「……」イライラ

地道な攻撃は徐々にファラオの体力を削っていく

チルノ「これでトドメだ!」

チルノ「雪符・ダイアモンドブリザード!」

その大広間中に冷気を漂わせ、氷の弾幕をあちこちにばら撒いていく

チルノ「全部凍り付けにしてやる!!」

パキパキパキ…

ファラオ「……っ!?」

193: 2016/09/19(月) 09:52:59.08 ID:/TKXIUnu0
~ピラミッド前~

チルノがピラミッド攻略に向かった事を聞いた、カサンドラの人々はピラミッドの前に集う
魔の誘惑に負けないように、鈴仙や早苗、エンジェルが周囲に強力な結界を張って、見守っていた

鈴仙「チルノ大丈夫かしら、私もいくべきだったかな」

早苗「チルノさんはパワーアップしてるし、きっと無事に帰ってきます!」

エンジェル「チルノちゃん…」

ゴゴゴゴゴ…!!!

全員「!!?」

突如、ピラミッドが崩れ始める

民1「な、何だ!?」

民2「ピラミッドが崩れ始めている…!!」

男神官「神チルノ…!」

女神官「どうかご無事で…」

ガラガラガラ…

原型を留める事無く一気に崩れ落ちる
息を呑む住人たちが目に入ったのは、瓦礫とかしたピラミッドの上に、氷の剣を天に掲げる少女の姿がいた

チルノ「あ、あたいの…しょ、勝利だぁ…」

全員「うおおおぉぉ!!」

チルノ「」ドサッ

エンジェル「チルノちゃん!!」

鈴仙と早苗、エンジェルが倒れたチルノの元まで駆け寄る
ファラオとの闘いで体はボロボロだった

そのボロボロの状態で、いきなり暑い日差しを浴びた影響もあって、体が既に溶け始めていた

チルノ「き、聞いてくれ。せーねんの仇はあたいがとったぞー…!」

早苗「ええ、立派ですよチルノさん」

鈴仙「ええっと…彼女の場合、水分補給よね…」

チルノ「み、みなの者、よく聞け!」

チルノ「カサンドラのみらいにえーこうあれ…!!」

ジュワアァァァ…

エンジェル「あ、溶けきっちゃった…」

カサンドラ民全員「うおぉぉぉぉ!!!」

カサンドラの住人が涙を流し、両手を天へ掲げる

鈴仙(……ま、妖精にして一応神だし。後で復活するし、そこまで心配する必要もないか)

カサンドラ民全員「チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!チルノ!」

194: 2016/09/19(月) 09:54:18.46 ID:/TKXIUnu0
男神官「本当にありがとうございます」ペコッ

早苗「いえいえ、この地域で一番の活躍をしたのは間違いなくチルノさんですから。私は大した事は…」

女神官「感謝の印として、神々にコレを献上いたします」

そういって神官は、巻物を渡す

早苗「これは…巻物」

女神官「きっと魔力を上げる為の物でしょう。今はリハビリをされてると言う戦士像のカミに渡してあげて下さい」

女神官「それと…この石版を」

早苗「古い感じの石版ですね…」

女神官「これが何を意味するのか我々には分かりませんが…恐らく、他地域にて役に立つのではないかと思うので、献上致します」

早苗「ありがとうございます!」

男神官「コチラこそ本当に世話になりっ放しで…どうか、他の地域も、カサンドラの様に住みやすい地域にしてあげて下さい」

早苗「はい!」

男女神官「ではサナエ様!レーセンさん!天使様!これからも頑張ってください!神チルノと戦士像のカミにもヨロシクお願いします!」

~~~

カサンドラ民1「さあ!今日も開拓を始めよう!」

カサンドラ民2「俺は今日は畑仕事だ。頑張るぞ!」

カサンドラ民1「うっ…ゲホゲホ!」

カサンドラ民2「おいおい仕事前になんだ…うっ!!ゴホゴホ!!」

カサンドラ民1「お前こそ大丈夫か…ゲホゲホ!」

カサンドラ民2「せっかくこのカサンドラから魔物が消え去ったんだ…頑張らないと、ゲホゲホ!ゴホゴホ!」

完全平和を手にしたカサンドラは、その平和と引き換えるようにして、体調不良を起こす者が徐々に増え始めていた

195: 2016/09/19(月) 09:55:25.57 ID:/TKXIUnu0
~火山の土地・アイトス~

魔理沙「お、なんか久々に勢ぞろいしたって感じだな」

早苗「この地域はほとんど、魔理沙さんと鈴仙さんに任せっぱなしでしたが…見事に街の開発が進んでますね!」

男神官「レーセンさんのおかげで、私の壊れかけてた体がすっかりよくなりました」

女神官「マリサさんも日々、魔物の巣から現れる悪魔たちを圧倒的な力で追い払ってくれてます」

魔理沙「正直、弱くて話にならん奴らばっかだけどな。一部のぞいて」

早苗「一部?」

魔理沙「ああ…でっかいガイコツがいてな。あれだけは簡単に倒せなくてさ」

魔理沙「アイツを倒しそこねると大変な事になるんだ」

早苗「大変な事?」

魔理沙「前に苦戦した時があって…そん時、地震を起こしやがった」

鈴仙「ああ、そんな事もあったわね。ここの住人の努力もあって早く復興したけど」

早苗「そうですか。神官さん、ちょっと内々に会議をしたいんで、席を外してもらっても良いですか?」

男女神官「畏まりました!」

196: 2016/09/19(月) 09:57:51.61 ID:/TKXIUnu0
~神殿のある一室~

早苗「では会議を始めます」

魔理沙「なんだよ改まって」

早苗「まずはチルノさん、カサンドラでは大活躍でしたね」

チルノ「えへへへ、あたいってば最強だからね!」

魔理沙「へー。やっぱ神格化してからパワーアップしたんだな!」

早苗「私たちはこの世界の半分を、何とか攻略してきました」

早苗「しかし、敵が徐々に強くなって来ている感じがします」

魔理沙「あーそれはあるかもな。弾幕一発じゃ始末できなくなった魔物も増えてきた」

チルノ「変な動きする奴とかも増えてきた!」

早苗「私も正直、はじめは幻想郷の妖怪たちと比べて、なんて力のない連中なのだと、舐めていました」

早苗「ですが徐々に、敵の脅威を感じつつあります。その土地にいるボスクラスの魔物も厄介なのが増えてきました」

チルノ「あのピラミッドのバカオも、イヤらしい攻撃ばかりしてきた!」

鈴仙「私は途中からの参戦だから、実感持てないけど…悪魔たちも私たちを警戒してきてる証拠なのかしら?」

早苗「きっとそうですね」

魔理沙「警戒してるのは下っ端だけで、肝心の親玉サタンは案外、吞気に構えてそうだけどな」

魔理沙「てっとり早くサタンと闘ってみたい物だぜ!あー早く出てこないかな」

チルノ「あたいもサタンをぶっ飛ばしたい!」

鈴仙「そういえば魔王サタンはいったいドコにいるのかしら?」

早苗「う、言われてみれば…この世界には確実にいるはず何だけど…」

早苗「……まあ今はとにかく、目の前の事だけを考えておきましょう」

早苗「今後、魔物退治に出向かう時は、二人以上で行こうと思います」

魔理沙「あーそうか。今までは大体ソロが多かったもんな」

鈴仙「敵が強くなって来てるなら、見方が1人でも多く居た方が良いわね」

197: 2016/09/19(月) 10:00:07.57 ID:/TKXIUnu0
~その頃、幻想郷・白玉楼にて~

妖夢「幻想郷での修行を始めてかなり経ちましたが、力の具合はどうでしょうか」

アクトレイザー「まだ全盛期には達してないが、もうあと少しだ」

アクトレイザー「正直、そろそろ私も本格的に参戦してもいい頃だと思うんだが」

妖夢「そうですね…では、そろそろ修行の総仕上げと行きましょうか」

アクトレイザー「総仕上げ…」

妖夢「これから私がカミに幻想郷の強者達を紹介します。その彼女達と戦ってもらいます」

アクトレイザー「ふむ。だが強者といえば守矢神社に戻れば、神奈子や諏訪子もいるしな」

アクトレイザー「二人の真の力は見たことないが…恐らく、私の想像を遥かに上回る物があると思うのだが」

妖夢「カミのいう事も最もですが、ここは手順を踏んで色んな方々と戦うのが良いと思います」

妖夢「一応、最終的には仮想サタンも私の中で考えてますし」

アクトレイザー「仮想サタン…サタンと同等と思える者と決闘するという事か」

妖夢「そうです。ほら…守矢の二柱は神な訳で、あまり悪役に相応しくないと言うか…」

アクトレイザー「力だけでなく、立場も悪役に相応しい相手を呼ぶという事だな」

アクトレイザー「では修行の総仕上げのプラン、師匠にお任せしようか」

妖夢「はい!ではまず…」

妖夢「命蓮寺へいきましょう」

209: 2016/10/03(月) 14:02:44.96 ID:Q09PHW7U0
【命蓮寺正門】

妖夢「こんにちは」

響子「こんにちは。あなたはいつぞやの半霊さんね。今日はどうしたの?」

妖夢「実は聖さんに用がありまして」

響子「聖に?」

妖夢「はい、隣に居るこの方の修行に付き合ってもらいたくて」

アクトレイザー「初めまして。東風谷アクトレイザーだ」

響子「……」ギロッ

妖夢には爽やかな挨拶を交わすのと対照的に、カミに対しては厳しい眼差しで視線を送る響子


響子「貴方はたしか新参者の、あの守矢神社と手を組んでるというカミか」

アクトレイザー「手を組むも何も、今はもう家族同然の仲だが」

響子「スゥーッ……」

響子「ぎゃーーーーーーーてぇぇぇーーーーー!!!!!!」

アクトレイザー「!?」

妖夢「きゃ!?何ですかいきなり大声をだして…」

ドドドドドドド…!!

響子が雄叫びをあげると同時に、地響きが成り始める
その音は物凄い早さで近づいてくる

妖怪1「響子さん!今の叫び声は緊急事態の号令ですね!?」

妖怪2「む、あれはいつぞやの半霊…それと…新参のカミ!?」

妖怪3「異教徒だ!!」

妖怪4「おのれ新参の分際で!ウチを襲撃にきたのか!寺を破壊してまで信仰が欲しいか!!」

アクトレイザー「いや待て。話を聞いてくれ」

響子「さあ皆さん、やっちゃいますよ!!」

妖怪たち「オオオ!!」

妖夢「まったく、紅魔館じゃ歓迎されてたのに…」

アクトレイザー「……」

妖夢とカミは剣を構え、目の前の敵の群集へと飛び出していく

210: 2016/10/03(月) 14:04:08.21 ID:Q09PHW7U0
ドォォン!ボゴォォン!!

星「待ちなさい!なんの騒ぎですか!!」

飛び交う弾幕の爆発する音の中から、女性の声が境内に響く

響子「あ、大変です!異教徒が襲撃に参りました!!」

星「なんですって?」

妖夢「あ、いや…これは…」

アクトレイザー「……」

星「半霊さんに…新参のカミですか。一体これはどういう事ですか」

アクトレイザー「ああ、なにやら誤解されているみたいでな」

アクトレイザー「私はただ、修行をしにここへ挨拶に来ただけだ」

星「修行?貴方は守矢神社のご神体だったのでは」

アクトレイザー「寺に帰依するのではない。力をつける為に武者修行にきただけだ」

ぬえ「もう何だって良いじゃない。この惨状が誤解だろうと何だろうと」

ぬえは手に持っている三叉槍で、カミの後ろから刃を向ける

ぬえ「修行したいって事は暴れたい…そうだろ!?カミ様とやら!!」ブンッ

ガキィィン!!

辛うじてぬえの攻撃を剣で防ぐ

アクトレイザー「うっ…!」

ぬえ「ほらほらほら!!どうしたの!?その程度かしら!」

アクトレイザー(動き早い上に、力強い…!)ググッ

聖「やめなさい!!」

全員「っ!!」ビクッ

星「聖…」

聖「状況は大体把握しました。いますぐ攻撃をやめなさい」

ぬえ「ちぇっ…」

聖「白玉楼の半霊さんに、新参の神・アクトレイザーさんね?」

アクトレイザー「ああ」

聖「こちらへどうぞ」

211: 2016/10/03(月) 14:05:11.02 ID:Q09PHW7U0
【居間】

聖「……」

星「……」

アクトレイザー「……」

妖夢「あ、えっと…」キョド

妖夢とカミは、正面の正座をしている女性二人と向かい合う

星「初めまして。妖怪にして本尊代理を勤め、聖の信仰を一身に受けていた寅丸星です」ペコッ

聖「初めまして。この命蓮寺の住職を勤めている聖白蓮です」ペコッ

妖夢(よかった…この二人は温厚そうで…)

村紗「……」ジッ

一輪「……」ジッ

妖夢(うっ…あの幽霊と妖怪僧侶は変な目でこっちをみてくる…)

村紗「別に貴方は怯える必要ないわ。半霊さん」チラッ

一輪「ええ、少なくとも貴方はね」チラッ

アクトレイザー「……」

二人は怪しむ視線をカミへ送るが、カミは特に気にせず聖と星へと視線を交わす

星「はぁぁ…全く」ムクッ

ガララッ

星は立ち上がり後ろのふすまを開けると、大勢の妖怪たちが腕を組んで睨みをきかせていた

星「アナタ達、こっちはいいから自分の修行に励みなさい」

妖怪たち「……」ゾロゾロ

妖怪たちは渋々、退散していく
しかし聖と星以外は相変わらず、カミへ厳しい視線を送る

村紗「……」ジッ

一輪「……」ジッ

212: 2016/10/03(月) 14:05:49.05 ID:Q09PHW7U0
聖「先ほどは失礼しました」

アクトレイザー「気にしなくいい」

聖「それで…武者修行にきたと仰いましたが」

アクトレイザー「ああ。妖夢師匠から直々に強い力をもった方を紹介すると言われてな」

聖「まあ、照れるわ」

村紗「そうですね。聖は身も心も強いお方です。あなたと違って」ウンウン

一輪「姐さんは偉大なるお方です。あなたと違ってね」ウンウン

アクトレイザー「……」

星「一輪、村紗!いい加減にしなさい!」

村紗・一輪「……」

聖「すみません…先ほどの騒動のせいでかなり警戒しているようで…」

アクトレイザー「いや、いいんだ」

213: 2016/10/03(月) 14:07:15.56 ID:Q09PHW7U0
聖「そういえば貴方は、守矢神社の早苗さんとご結婚なされたんですよね?」

アクトレイザー「いや。まだ婚約だ」

聖「そうですか…フフフ、あの血気盛んな子が婚約ね…」

アクトレイザー「血気盛ん?早苗が?」

聖「ちょっと昔を思い出しまして。私が法界からの封印を解いてくれた時のことを」

アクトレイザー「そういえばそなたも少し前まで封印されていたらしいじゃないか」

聖「ええ…私を解放するのに協力してくれたのは、星、村紗・一輪、ナズ…そしてあの3人」

アクトレイザー「あの3人?」

聖「霊夢に魔理沙…そして早苗さんです」

アクトレイザー「ほう…」

―回想・法界にて―

霊夢「私は妖怪に味方する奴は全員倒すつもりよ!場合によっては神様も退治するけど」

魔理沙「妖怪と人間は平等じゃない。人間の方が弱いんだから優遇されるべきだ!」

早苗「神様と妖怪が同じですって?そんな訳有るもんですか!退治させて頂きます!」

―――――

聖「……という事がありまして」

アクトレイザー「異変だと思って動いていたら、偶然そなたを解放してしまったと言う訳か」

聖「ええ。手荒い歓迎を受けましたが感謝はしてます」

ナズーリン「キミの嫁は清楚な面してるけど割と好戦的なんだよ。殺る気満々だったし」

アクトレイザー「それは意外な一面を知ったな」

ナズーリン「大体、守谷の連中は昔から事を強引に進めようとする事で有名だからね…キミもある意味被害者だろ?大変だね~」

アクトレイザー「ナズと言ったな?あの3人の悪口は言わないでくれるか。私はあの3人には心底感謝しているんだ」

ナズーリン「え?あ、そ、そうですか…」ビクッ

星「ナズ!!あなたまで変な事を言わないの!!」

ナズーリン「はいはい」

アクトレイザー「……」

214: 2016/10/03(月) 14:08:08.98 ID:Q09PHW7U0
アクトレイザー「早苗たちは妖怪退治に躍起になっていたのはわかった。だがその程度で早苗を幻滅することはない」

アクトレイザー「退治と言っても…彼女達の言う退治の意味は、懲らしめる程度という意味だろ?」

聖「……何が言いたいのですか?」

星「……」

先ほどまで柔和に接していた聖の声が少し重くなる
星もやや怪訝な表情でカミを見つめ始める

アクトレイザー「私はそんなレベルじゃない。悪と見なした者は文字通り永久に亡き者にするつもりだ」

村紗「とうとう本性を現しましたね」ガタッ

一輪「……っ!」ガタッ

星「待ちなさい二人とも。まだ話は終わってない」

村紗・一輪「……」

聖「貴方は力をつけて、何がしたいのですか?」

アクトレイザー「人々を悪しき存在から守りたい。それだけだ」

聖「……貴方の過去に何があったのか、詳しく聞かせてくれますか?」

アクトレイザー「私は遥か大昔…」

215: 2016/10/03(月) 14:09:52.35 ID:Q09PHW7U0
―回想・大昔―

悪魔「ギャオォォ!!」

住民たち「うわあぁぁ!!」

「フン!!」ザシュッ

悪魔「グオォォ…」シュゥゥ

住民たち「おお…カミよ!」

~~~~

サタン「何度も何度も私の邪魔をするな」

ズドォォン!ボォォン!!

「貴様が人々を襲う限り…私は何度でも立ち向かうつもりだ!!」

~~~~

サタン「どうだ。私の優秀な部下たちは」

「ぜぇぜぇ…」

サタン「カミよ、私とお前の長い闘いもこれで終わりだ」

ボォォン!!

「うっ…!」ガクッ

エンジェル「あ…ぁぁ…カミ様!!」

~~~~

サタン「さあ…邪魔なカミもいなくなった」

サタン「我が忠実なるしもべ達よ」

サタン「この世界の住人全員。1人残らず皆頃しにしろ」

魔物たち「ギャオォォ!!」

住人たち「う、うわぁぁ…」ガクガク

サタン「ク…クク…フフフ…」

サタン「ハハハハハハハハハ!!!」

ギャアアアアアア!!ウワァァァ!!!

サタン「いいぞ!もっと苦しめ…もっと泣き叫べ!!ハハハハハハハハハ!!!」

サタン「カミはもういない!!これからは…悪魔の時代だ!!!!」

―――――

216: 2016/10/03(月) 14:11:03.26 ID:Q09PHW7U0
アクトレイザー「……それから私は長きに渡り、封印を余儀なくされた」

聖「……」

星「……」

村紗「……」

一輪「……」

アクトレイザー「いまあの世界にいる悪魔の大半が、氏んでいった人間達」

アクトレイザー「元の人間の姿に戻させ、私はもう一度あの世界を復興させたい」

アクトレイザー「そのためには力が必要だ。故に修行をしにきた」

聖「そうですか…とても人事には聞こえませんね」

アクトレイザー「そなたはなぜ封印をされてしまったのだ」

聖「私の場合は…」

―僧侶説明中―

アクトレイザー「……そうか。そなたはか弱き妖怪たちを守る為に」

聖「ええ。元は氏ぬのが怖かっただけの自分が…魔力を手に入れて…」

聖「ふと気がついたら妖怪の立場にも同情するようにもなり…」

村紗・一輪「……」

聖「妖怪だって全員が悪とは限りません」

聖「それにもし悪い道を歩んでいる者がいるなら…教えを説き、正すまでです」

アクトレイザー「……」

聖「アクトさん、ついて来てください」

アクトレイザー「修行に付き合ってくれるのか」

聖「ええ。人間の手によって封印された、悪魔の手によって封印を余儀なくされた違いはありますが」

聖「同じ封印されていた者同士のよしみです」

アクトレイザー「心から感謝する」

217: 2016/10/03(月) 14:11:58.41 ID:Q09PHW7U0
【縁側にて】

聖「魔王サタン…そういえば法界にいた頃にその名前を聞いた事があります」

アクトレイザー「なんだと!?」

聖「私も詳しくはしりませんが…法界の住人いわく」

聖「『生きとし生ける全ての存在の中で、もっとも邪悪な存在』と聞きました」

アクトレイザー「……」

聖「ただ法界の住人の間でも、魔王サタンは架空上の存在として認知されていたので、信憑性も薄かったのですが」

聖「本当に実在していたとは…」

アクトレイザー「なぜ法界の住人が、サタンを知っていたのだ?」

聖「古い文献が残っているらしくて…その文献も一体どういう経緯で流れ着いたのか謎のままです」

アクトレイザー「……」

聖「ただ法界の住人達の間では、万が一サタンが存在し、何かの手違いで魔界に来るようなことがあるなら」

聖「魔界も法界も全員が総力を挙げて叩きのめすという、という結論には至ってます」

アクトレイザー「封印先の名所たる魔界ですら、サタンの居場所は無しか…心配はいらない。サタンは必ず私が滅ぼす」

聖「そうですか」

218: 2016/10/03(月) 14:13:03.61 ID:Q09PHW7U0
アクトレイザー「……」

アクトレイザー「変な事を聞くようだが」

聖「はい?」

アクトレイザー「そなたがもしも、私の立場ならどうする?」

聖「……そうですね。当事者になってみないと分かりませんが」

聖「今の私の考えで言うなら、退治はするでしょう」

聖「しかし頃しはしません。懲らしめるだけです」

聖「そして教えを説き、説得し続けます」

アクトレイザー「……」

聖「でもこれは現段階で言える私の結論。本当の意味で貴方の立場にならないと分からない事もあるでしょう」

聖「どうかお気になさらず」

アクトレイザー「ああ」

219: 2016/10/03(月) 14:14:56.33 ID:Q09PHW7U0
聖「さあ付きました」

アクトレイザー「……大きな境内だ」

妖夢「カミよ。修行の成果をしかと目に焼きつけさせて頂きます」

アクトレイザー「うむ」

星「ではまず、私が参りましょう」

アクトレイザー「奉られる者同士の対決か」

星「深い意味はありませんが、聖と闘う前にまずは私と手を合わせるのが筋かと思います」

アクトレイザー「そうか」

カミが剣を構えと同時に、星もまた槍を構える

一輪「ちょっと待って」

アクトレイザー「?」

村紗「星と聖を相手にする前に…私達の相手をしてもらいましょうか」

アクトレイザー「……」

一輪「先ほどは大変無礼な事を言って申し訳ない。貴方を誤解していた」

村紗「貴方が誠実な方だという事は分かりました。しかし聖と星と闘うという事は、少なくとも彼女達の身に被害が及ぶ」

ナズーリン「私の事もわすれないで欲しいな」

星「ナズ…」

ナズーリン「私はそこの一輪や村紗と違い、キミの境遇とか聞いても別に涙も出ないし興味もない。所詮は他所の世界の話しだ」

ナズーリン「でもね、聖とご主人は私の上司なんだ。私をすっ飛ばして手合わせするなんて生意気だね。新参の癖に」

ぬえ「私もいるからね」ヒョコッ

アクトレイザー「……」

星「こらこらお前達…」

アクトレイザー「そうか、ならば全員倒していこう」

ぬえ「へえ…なかなか言うじゃない」

聖「アクトさん、すいません…」

アクトレイザー「良いんだ。むしろ私としては嬉しい限りだ」

一輪「ではまずは私から…神拳・雲上地獄突き!」

アクトレイザー「ではこちらも…流星・対魔の星くず」

巨大な雲のげん骨と、光輝く流星魔法がぶつかり合う

220: 2016/10/03(月) 14:16:25.65 ID:Q09PHW7U0
~その頃・アイトス~

早苗「風が止まってますね…ここは私の得意技で!」ブンッ

早苗が御祓い棒を横に振ると、ほどよい風が起こる

男神官「おお!さすがカミの妻だ!」

女神官「ありがとうございます!」

女神官「お礼と言っては何ですが、丁度さきほど『羊の毛皮』が出来上がりました。お受け取りください」

早苗「わぁぁ…とても暖かそうです!」

女神官「どうか寒い地域の方々に分けてあげて下さい」

魔理沙「早苗!ついさっき最後の魔物の巣を封印したぞ!」

早苗「そうですか。ここの開拓も順調だし、そろそろ違う地域に行きましょうか」

ズドォォォン!!!!

全員「!!?」

突如、大きな轟音が村中に響く

魔理沙「な、なんだ!?」

ドォォン!ドォォン!

チルノ「うわぁ!?火山が噴火してる!!」

鈴仙「まだこの土地に魔物が残っていたのね…」

早苗「危ない!!」スッ

早苗は天井に目がけて、巨大な結界を張る

住民全員「おおお!!」

魔理沙「すげぇぇな。こんな事もできるのか」

早苗「正直、長くは保ってられません…どなたか、闘いに赴いてくれませんか」

魔理沙「んじゃ私がいく。チルノも来るか?」

チルノ「うん行く!」

魔理沙「熱さにやられるなよ」

225: 2016/10/07(金) 11:40:57.05 ID:4bCiidls0
~アイトス・火山内部~

チルノ「」ダラダラ

魔理沙「おうおう、火山内部にも魔物が沢山いるな」

雲の魔物「……」

槍投げの魔物「ゴォォ!」シュッ

魔理沙「ま、ルールに縛れる必要も無いし弾幕打ち放題だから良いけど。魔符・スターダストレヴァリエ!」

色彩鮮やかな星型の弾幕がばら撒かれ、一気に撃退していく

魔理沙「うし、先へ進むぜ」

チルノ「」ダラダラ

魔理沙「どうした。さっそくへばってるじゃないか」

チルノ「ここ…カサンドラより暑い…」

魔理沙「ああそうだな。よく体を保ってるな」

チルノ「神になる前のあたいなら、とっくに溶けてたよ…」

魔理沙「んじゃ、神になったんだからその力をもっと見せてくれよ」

チルノ「~~~!!全部氷漬けにしてやる!!」

半ばヤケクソ気味に、全身から冷気を放出する

魔理沙「寒いんだが熱いんだがよくわからん事になってんな」

鎧の魔物「……」ピュンッ

鎧の魔物2「……」ピュンッ

鎧の魔物3「……」ピュンッ

チルノ「お前らも邪魔!!」

パキィィン!

トリッキーな動きで矢を放つ鎧の魔物を一瞬で氷漬けにしていく

魔理沙「へぇ、やるじゃねぇか」

チルノ「ぜぇぜぇ…もうギブ…」

魔理沙「まだ先は長いんだぜ。根性だせ」

チルノ「もう帰りたい…」

226: 2016/10/07(金) 11:42:43.25 ID:4bCiidls0
~最深部~

魔理沙「お、なんか大広間に到着したぞ」

チルノ「へんな銅像とかも置いてある…そろそろここの主が出てくるのかな」

ヒュンッ!

魔理沙「うお!?熱っ!」

チルノ「わわわ!!あちち!」

燃える何かが接近
魔理沙とチルノは攻撃が掠るも、辛うじて避ける

火炎車「……」ゴゴゴ

チルノ「なんだあの燃える1つ目妖怪!?」

魔理沙「くるぞ!」

火炎車「……!」ゴゴゴ

燃え上がる車輪は、猛スピードで二人に突進を仕掛ける

チルノ「こいつ、素早い上に何処までも追尾してきやがる!」

魔理沙「でもこっちも二人いるから、あっちも闘い辛いだろうよ」

火炎車は二人を闇雲に追いかけるも、魔理沙とチルノが二手に分かれて動き回る為、なかなか攻撃が当たらずにいた

火炎車「……」イライラ

ボォン!ボォン!ボォン!

攻撃が当たらない事に業を煮やしたのか追尾をやめる
そして四方八方に弾幕を仕掛ける

魔理沙「そういうのはお得意分野なんだよ!」サッ

チルノ「同じくお得意だ!」サッ

難なく弾幕を避け切る二人
だがその時、魔理沙の横から何かが接近する

魔理沙「げ、やべ」

ドゴォォ!

魔理沙「痛っ…!」

227: 2016/10/07(金) 11:44:07.23 ID:4bCiidls0
チルノ「魔理沙!」

火炎車「……」ゴゴゴ

チルノ「あんにゃろー!」

魔理沙「いてて…油断してたぜ。弾幕撃って速攻体当たりかよ…」

魔理沙「チルノ!しばらく様子よけることに集中するぜ!」

チルノ「え!?うんわかった」

火炎車「……」ゴゴコ

~10分後~

魔理沙「……なるほど、大体わかったぜ」


チルノ「え?」

魔理沙「チルノ。私たちはアイツに勝てる」

魔理沙「あいつ、一見どこまでも追尾してくるようで、意外とパターン化した動きが多い」

魔理沙「そのパターンも大体読めた。多分、楽に勝てるぜ」

チルノ「本当!?でも…あたいもう…そろそろタイムリミットかも…」ダラダラ

魔理沙「もうちっとガンバレ」

チルノ「あうぅぅ」

火炎車「~~~~ッ!!」イライラ

チルノ「な、なんかアイツ怒ってる?」

魔理沙「楽に勝てるって言ったからな。プライドが傷ついたんだろ」

魔理沙「だが私にもプライドがある。ちまちまとした戦闘は好きじゃない」

チルノ「あたいも同じく!どうせ闘うなら派手にやりたい!」

魔理沙「よっしゃ!んじゃチルノ、アイツの動きを止めてくれ」

チルノ「あいよ!」

228: 2016/10/07(金) 11:45:52.64 ID:4bCiidls0
チルノ「熱…あちちち!!!」ガシッ

火炎車「っ!?」

チルノは火炎車を掴む。燃える熱の影響でチルノの全身から凄い蒸気が発生する

チルノ「ま、負けるか!お前も氷着けにしてやる!!」

パキィィン

火炎車「」

チルノ「どうだ!!ってあたいが倒しちゃった」

魔理沙「いや、まだだ」

パリィィン

火炎車「ッ!!!」

チルノ「わわ!?復活が早いって!!」ガシッ

氷結状態を早々に脱する火炎車
接近させまいとチルノは再び火炎車の体を掴む

ガリガリガリガリ!!

チルノ「わわ!!足が摩擦して痛い!!」

チルノ「こんにゃろ止まれ!!」

パキィィン!

火炎車「」

魔理沙「よし!私の背後へ避難しろチルノ!」

チルノ「うん!魔理沙も早くやっちゃえ!」

チルノが即行に魔理沙の背後へ回ると、魔理沙はミニ八卦炉を前に突き出す

魔理沙「よく見てろ。魔力フルパワーで射出するぜ…いままで生きてきた中で一番の弾幕を」ゴゴゴ

火炎車「」ミシミシ

パリィィン!

火炎車「……」ゴゴゴ

氷結を脱した火炎車は、猛スピードで魔理沙の方へと飛んでいく

魔理沙「粉々にしてやるぜ。魔砲・ファイナルマスタースパーク…!!」

229: 2016/10/07(金) 12:23:59.86 ID:4bCiidls0
~アイトスの街にて~

早苗「ぜぇぜぇ…!」

女神官「サナエ様!どうか最後まで…」

エンジェル「ぜぇぜぇ…私もそろそろ限界です…」

早苗は空から降り注がれ噴火する溶岩を、巨大な結界を張ることで街を守ってきた
しかし巨大すぎる結界を維持するのは簡単なことではなかった

結界維持に協力してきたエンジェルも既に限界達していた

早苗(め、目まいが)フラフラ

鈴仙(マズイ…もう意識がとびかけてるわ…)

鈴仙(私のじゃあんな巨大な物は貼れないし…)

男神官「頼む…間に合ってくれ…」

ドゴォォォォン!!!

全員「!!?」

噴火する火山の方から、極太のレーザーが飛び出してくる

鈴仙「あんな太いレーザーはじめて見たわ…でも恐らく、あの技を使ったのは」

エンジェル「もしかして魔理沙さんですか!?」

大きなレーザーの出現と同時に、黒雲が晴れ噴火が止む

~~~~

早苗「ぜぇぜぇ…どうやら…異変は解決したようですね…」ドサッ

エンジェル「早苗様!」ガシッ

エンジェルは小さな体で、気を失い倒れる早苗を支える

男女神官「サナエ様!」

鈴仙「はぁぁ…異変は解決したけど、まだまだ仕事が山積みになりそうね」

鈴仙「天使さん。いますぐ早苗を医務室まで…」

住民1「ん?なにか落ちてくるぞ」

全員「!?」

エンジェル「あれは…チルノちゃんと魔理沙さん!?」

チルノ「魔理沙…お、重い…もう限界…」

チルノ「」シュゥゥ

魔理沙「」

魔理沙を抱えていたチルノは上空で落ちながら溶け、魔理沙そのまま地へと落ちていく

鈴仙「わわわ!?」ガシッ

エンジェル「ナイスキャッチです!」

鈴仙「魔力を完全に消費し切ってるわね…全くどれだけフルパワーで闘ったのよ。効率を考えなさい」

魔理沙「」グッタリ


230: 2016/10/07(金) 12:26:07.68 ID:4bCiidls0
~その頃、命蓮寺境内にて~

アクトレイザー「ぜぇぜぇ…」

ぬえ「よく頑張ったよ。ウチの連中3人も倒して。この私をも相手にして」

一輪「頑張ってぬえ!!」

村紗「私たちの仇をうって下さい!」

ナズーリン「ま、カミのスペカは残り僅かっぽいし。勝てるんじゃないかな?」

アクトレイザー「……ッ」

ぬえ「残された体力もスペカもあと僅かみたいね」

ぬえ「ラストスペルを出し渋っているの分かってるよ?表情が焦ってるもん」

アクトレイザー「……」ググッ

ぬえ「む?」

カミは持っている剣を高々と振り上げる
そしてそのままの姿勢を保つ

ぬえ「ついにラスペを使うのかな?私はあと3枚残ってる」

ぬえ(まあ私もだいぶ疲れてきてるんだけどね…神力が込もった攻撃は、妖怪の体に悪いわね…)

アクトレイザー「……」

眼を瞑り、何かを念じるように意識を集中させる

アクトレイザー「……」

ぬえ「…?何もしないならこっちからいくよ!」

ねえ「鵺符・鵺的スネークショー!」

ウネウネした動きをした弾幕がばら撒かれ、地上へと降り注がれる
カミは剣を振り上げたまま、横や後ろにジャンプして避けていく

231: 2016/10/07(金) 12:28:25.50 ID:4bCiidls0
アクトレイザー「……」

ぬえ「ほらほらどうしたの?攻撃しないの?」

星「疲弊してるから、避ける事でぬえのスペカをクリアしようとしているのでしょうか」

星「今回の勝負には審判もいますしね」

聖「たしかにタイムオーバーの狙いも考えられますけど、何か違う策を考えているようにも見えます」

星「え…」

響子「……」チラッ

審判役を務めていた響子は、時計を見て時間を確認する

響子「ぬえ!のこり10秒ですよ!」

ぬえ「む!いけない…本当に攻略されてしまう。そうなると私のスペルも残り2つ」

ぬえ「避けるだけなんて味っけない。ほら!貴方も攻撃してきなよ!」

アクトレイザー(まだ全盛期には到達してないが、だいぶ力は戻ってきている)

アクトレイザー(数発くらいならだせる)

ブゥゥン

ぬえ「ん?」

妖夢「剣が青白く光った…」

星「剣に弾幕を纏っている…」

アクトレイザー「いくぞ…ふん!」シュッ

ぬえ「なっ…」

カミが剣を振り下ろすと、青白いの刀気が、物凄い速さでぬえまで飛んでいく

ズバッ

ぬえ「ぐえ!」

アクトレイザー「ふっ…!」

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

一瞬の怯みを逃さない
何度も剣を上下に振り、刀気をとばしていく

ぬえ「ぐええ!」ドサッ

アクトレイザー「……くっ。いまの私にはコレが限界か」

数発ほど刀気を放ったが、完全に力をコントロールできず、剣から光が消える
同時に、ぬえも地に下りて膝をつく

232: 2016/10/07(金) 12:29:41.06 ID:4bCiidls0
ぬえ「あーもう疲れた!私の負けで良いわ!」

アクトレイザー「まだ余力があるように見えるが?」

ぬえ「疲れたの!あと神力が込もった攻撃は妖怪にはキツイわ!」

アクトレイザー「そうか」

星「では次は私か」

アクトレイザー「うむ、よろしく頼む」

聖「お待ちなさい。今日はもうこの辺にして置いた方が良いわ」

アクトレイザー「いや、まだ私は…」

聖「気力はあっても、魔力が底を尽きかけてるわ。避けるだけの闘いをしてもあまり良い修行とは言えないわ」

アクトレイザー「……」

聖「今日の所は帰りなさい」

アクトレイザー「うむ。続きはまた明日としよう」

~~~~

妖夢「今日の刀気弾幕は、私の攻撃スタイルを模範した物ですか?」

アクトレイザー「いや。元は使えたのだ」

妖夢「え、そうだったんですか!?」

アクトレイザー「もうあと一歩だ。あの攻撃が持続できるようになれば…」

妖夢「そうですか…」

妖夢(そろそろ追い抜かれちゃうのかな?神様だから仕方ないけど)

妖夢(実際、信仰の影響があったとは言え短期間でよくここまで成長を…)

アクトレイザー「だが刀気の応用技は師匠の方が多い。見習うべき点も沢山ある」

アクトレイザー「私がそなたを越える事はない。そなたは私の師匠だからな」

妖夢「っ!」ギクッ

複雑な表情が顔に出ていた妖夢に、さり気無くフォローを入れるカミ
すると慌てた表情で妖夢はうろたえる

妖夢「あ、いや!べ、べつにそんな…そのようなお世辞は…」

アクトレイザー「お世辞などではない。そなたほど可憐で強き剣士は見たことが無いからな」

妖夢「」ドキッ

その優しくも勇ましい眼差しに、今度は違う意味で心臓が飛び跳ねる

妖夢「もう、からかわないで下さい!」

233: 2016/10/07(金) 12:30:56.10 ID:4bCiidls0
~次の日・アイトス~

男神官「サナエ様、レーセンさん、神チルノ、天使様…そしてマリサさん。本当にありがとうございます」

女神官「どうか他の地域も、アイトスの様に心休まる土地にしてあげてください」

早苗「はい!お二人もこのアイトスの文明発展を頑張ってください!」

男女神官「はい!」

早苗「さて残るは…ノースウォールと、マラーナですか」

チルノ「今度こそ寒い土地で活動したい!もう熱いのはこりごり!」

鈴仙「では予定通り、二手に分かれますか」

早苗「そうですね。私と鈴仙さん、エンジェルさんはマラーナへ」

チルノ「じゃあ、あたいと魔理沙はノースウォールにだね!」

魔理沙「ま、待ってくれ」

チルノ「ん?」

魔理沙「まだ体が上手く動けないんだよ。少し休んでから行こうぜ」フラフラ

魔理沙は安定しない足取りで歩き、少し歩いただけでヘナヘナと床に両膝をつく

鈴仙「……この疲労振りを見るに、2日や3日じゃ回復しそうに無いわね」

早苗「もう、闘うパターンが分かったなら何でもっと効率よく闘わないのですか」

魔理沙「弾幕はパワーだ。それにボスを目の前に、ちまちました攻撃なんてできるか!」

チルノ「そーだそーだ!」

鈴仙「……はぁぁ。とにかく、ノースウォールに行くのはじっくり休んでからにしてね」

魔理沙「あいよ。そっちも気をつけてな」

女神官「お二人とも。給仕係がシチューを作ったのでどうぞお召し上がりください」

魔理沙・チルノ「いただきまーす!」

234: 2016/10/07(金) 12:33:48.49 ID:4bCiidls0
~カサンドラ~

男神官「こ、これは一体…」

住民1「」

住民2「ぐあ…ぁあ…」

住民3「ゲホゲホ!く、くるしい…ゴホ!ゴホ!」

住民4「こひゅー…こひゅー…」ガクガク

謎の疫病が流行り始め、人々は次々と倒れていく

男神官「ああ…一体どうすれば良いんだ…」

女神官「……神殿へ行きましょう。今の我々に出来ることはそれしかありません」

~~~~

とある住民(ダメだ…もう体が動かない…)

とある住民(ん?)

霊魂「……」

とある住民「ま、まさか…」

氏にかけ住民は、驚いた拍子に一瞬立ち上がるも、すぐに地に倒れ付す

とある住民「」ドサッ

霊魂「……」

とある住民「い、行ってしまった」

とある住民(まさか最後の最後に…)

とある住民「……」

とある住民「」ガクッ

霊魂「……」

その霊魂は住人の氏を見届けると、隣の国に向かって飛んでいく

244: 2016/10/17(月) 06:36:37.49 ID:qnP2WbAG0
~熱帯の孤島・マラーナ~

早苗「ここがマラーナ。思いっきりジャングルですね。もっと動きやすい格好で来れば良かったかしら」

エンジェル「幻想郷出身のお二人にはキツイ環境かもしれませんが、頑張りましょう」

鈴仙「うわぁぁ…なにここ。湿気が凄いし、熱いし」

鈴仙「こんな時に、チルノがいれば涼しかったのに…連れて来れば良かったかしら」

早苗「いまさら文句言っても仕方ありません。なるべく沼には落ちないように、飛翔して進みましょう」

前向きに気持ちを切り替え、二人はジャングルを飛行しながら進んでいく

ボトボト

鈴仙「ん?いま私の首に何かが落ちてきた様な…」

毒蛇「シャー」

鈴仙「」

鈴仙「いやああああぁぁぁ!!!!」

気味の悪い赤い蛇は、鈴仙の首に絡みつく

早苗「大げさですね。ほら」ヒョイッ

鈴仙「!?」

早苗「可愛いじゃないですか。よしよし」ナデナデ

毒蛇「シャ~」

鈴仙「よく触れるわね…そんな気味悪いの…」

早苗を気に入ったのか、その蛇もまた早苗の首に絡みつく

鈴仙「うわわ!?ちょ、危ないわよそれ!」

早苗「大丈夫ですって。大げさな」

毒蛇「シャー」

鈴仙「ひぃぃ!貴方の髪にも纏わりついてるわよ!?」

早苗「これは髪飾りです!」

245: 2016/10/17(月) 06:38:57.94 ID:qnP2WbAG0
早苗「しかしここは、他のエリアに比べて敵の数が多いですね」

コウモリ「キーキー!」

吹き矢の男「……」ピュンッ

爆弾魔「……」ポイッ

トーテムポール「……」クルクル

鈴仙「いよいよこれを使うときがきたわね」スチャッ

鈴仙の周りに赤い目の様なエフェクトが浮かぶ
そしてウサ耳のついた銃を構え、狙いを定める

早苗「それってメガホンなんですか?それとも銃?」

鈴仙「どっちだっていいじゃない」カチッ

ボォォン!ボォォン!ボォォン!

銃口から放たれたは弾幕は遠くにいる相手を確実にし止めていく

早苗「なんかスナイパーライフルみたいな使い方をしてますね」

鈴仙「だ、だってここ魔物以外にも変な生物いっぱいいるし…前方の邪魔者を排除してからいっき進みましょう…」ビクビク

トーテムポール「……」ピョンピョン

鈴仙「くっ…なにあれ!?硬いわ!」

銅像はクルクルと回転しながら、鈴仙たちに向かってくる

鈴仙「ちょっ…いい加減に…」

早苗「せい!」ビュゥゥ

早苗がお払い棒を横に薙ぎ払うと、大きな風が起こる
衝撃波のような威力はトーテムにダメージを与えつつ吹き飛ばしていく

飛ばされたトーテムは、吹き矢や爆弾で攻撃してくる者たちに激突する

吹き矢の男・爆弾魔「ッ!?」ドゴォォ

早苗「大体一掃できたはずです。いきましょう」

鈴仙「ええ」

吹き矢の男「くっ……」ムクッ

爆弾魔「ォォ……」ムクッ

トーテムポール「……」クルクル

早苗「は!?」

鈴仙「起き上がった…タフな連中ね」

246: 2016/10/17(月) 06:40:42.55 ID:qnP2WbAG0
鈴仙「こうなったら…」カッ

鈴仙の紅い瞳がより一層濃くなり光る

吹き矢の男「……?」ピュンッ

爆弾魔「……??」ポイッ

トーテムポール「……!?」スカッ

魔物たちの攻撃が急に当たらなくなる

早苗「なるほど、能力を使ったんですね。便利な能力ですね」

鈴仙「よかった、悪魔相手にも私の能力がきいて」ホッ

鈴仙(……もっとも、これから先の相手にも効き目があるかわからないけど)

~~~~~

その後、鈴仙と早苗はタフな魔物達を一掃すべく、弾幕を乱射し続け前に進んでいった

早苗「ぜぇぜぇ…思えば私、この世界にきてからは町作りをメインに手伝ってたわね…」

早苗「弾幕ごっこも全然やってなかったから体力落ちたわ…」

鈴仙「でも実際、このエリアの敵は相当硬いの多いわ」

デュラハン「……」ダダッ

早苗「ん?」

疲弊しきった二人の前に、赤い体をした顔の無い槍を持った魔物が突進してくる

早苗「また変な動きをした魔物が」

247: 2016/10/17(月) 06:41:13.79 ID:qnP2WbAG0
鈴仙「この世界の魔物はいちいち、生理的に嫌悪したくなる動きをする奴らばかりね」

デュラハン「…」ピタッ

早苗(止まった?何もしてこないのかしら)

デュラハン「……」ジーッ

鈴仙「ん??」

ビュンッ!

早苗「きゃ!?」サッ

鈴仙「うっ!?」サッ

デュラハン「……」サッ

槍を持った魔物はヒット&アウェイの動きで、攻撃をしたあとすかさずバックして距離を取る

早苗「もー!いちいちイライラする動きを!」

デュラハン「……」ダダッ

再び接近する魔物。同時に槍を延ばして攻撃仕掛けるが、早苗はジャンプしてよける
宙に浮きながら早苗はお払い棒を振りかざす

早苗「貴方にかまっている暇などありません!」ザシュッ

デュラハン「ッ!!」

地に着地するとそのまま振りかざしていたお払い棒を振り下ろし、攻撃していく

鈴仙「とっとと倒しましょう」カチッ

ボォォン!

早苗「せい!やあ!」

ザシュッ!ザシュッ!

デュラハン「」ドサッ

鈴仙と早苗の挟み撃ちでどうにか槍を持つ魔物を倒す

早苗「だいぶしつこい相手でしたね…」

248: 2016/10/17(月) 06:43:00.41 ID:qnP2WbAG0
早苗「……で、あれがこのエリアの主ですか」

ラフレシア「……」

鈴仙「でかい植物ね…」

早苗「とりあえず、お払い棒で薙ぎ払ってみますか」

早苗「えい!やあ!」ザシュッ

鈴仙「じゃあ私も」パァン

ラフレシア「……」

早苗「ダメだ…全然きいてない…」

鈴仙「キャッ!!?」

早苗「どうしました!?」

早苗が後ろを振り向くと、触手に絡まれた鈴仙の姿が目に映った

鈴仙「いやっ…離して!キャッ…!」

触手「」ウネウネ

鈴仙「ちょ…ドコに突っ込んでるの!?イヤ、やめて!!」ジタバタ

早苗「えい!」ブンッ

早苗がお払い棒を横に薙ぎ払うと、そこから青白い弾幕が飛び出る
その弾幕は触手へと向かい攻撃する

ボォォン!ボォォン!

鈴仙「ぜぇぜぇ…あ、ありがとう…」

早苗「もう、見てるこっちが恥ずかしくなる様な格好しない下さい。はしたないですよ」

鈴仙「別に好きでああなった訳じゃないわよ!それよりもアレ、どうする?」

ラフレシア「……」

早苗「全然攻撃がきかないし…なにか効率的な方法はあるのかしら」

249: 2016/10/17(月) 06:44:28.19 ID:qnP2WbAG0
ラフレシア「……」ペッ

早苗「ん?何か吐き出しましたね」

ラフレシアが吐いた宙に浮く小さな丸い触手は、早苗の頭上で止まる

丸い触手「」ウネウネ

早苗「キャッ!?」ブンッ

お払い棒で薙ぎ払うと、いとも簡単に破壊する事ができた

早苗「何なんですかアレは…気持ち悪い…」

ラフレシア「……」ペッペッ

再び丸い触手を吐き出すラフレシア

鈴仙(相手は植物で目が無い。おそらく気配で私たちを攻撃している)

鈴仙(気配をどこまで乱せるか…)

鈴仙「……」ギロッ

鈴仙は能力を発動し波長をいじる

早苗「キャッ!」

吐き出された触手は、早苗の頭上で止まる
それをお払い棒で薙ぎ払う

鈴仙「やっぱりダメか…」カチッ

諦めた鈴仙は武器から射出する弾幕で、もう1つ飛んできた小さな触手を破壊する

触手「」ウネウネ

鈴仙「おっと…もうセクハラはごめんよ!」

飛行術で触手からの攻撃を回避する

250: 2016/10/17(月) 06:46:39.62 ID:qnP2WbAG0
戦闘開始から数十分が経過したが、いまだに対処法が見付からずにいた

早苗「もう!どうすれば良いんですか!」

早苗(こうなったら幻想郷にもどって、神奈子様や諏訪子様を呼んでこようかしら)

早苗「いやだめだめ!そんな事じゃ私はカミの嫁を名乗る資格が無いわ!」ブンブン

ラフレシア「……」ペッ

早苗「何か…何か弱点は…」

鈴仙「もう!いい加減にセクハラやめてよ!」

触手「」ウネウネ

早苗「何を遊んでるんですか!」

鈴仙「逃げてるのよ!こいつがドコまでも触手を伸ばして追いかけてくるから!」

毒蛇「シャーッ!」ピョンッ

ガブッ

ラフレシア「!?」ビクッ

早苗の首に絡まっていた毒蛇が突然ジャンプして、ラフレシアの青い口元を攻撃し始める

早苗「え…もしかして、それが弱点なんですか」

触手「」ガシッ

毒蛇「ギャッ!!」グシャッ

毒蛇「」

触手に捕らえられた毒蛇は、いとも容易く握りつぶされる

早苗「蛇さん…」

ラフレシア「……」ペッ

早苗「でや!!」ザシュッ

お払い棒でその青い口元を攻撃する
一瞬、その巨体がビクッと体を震わす

早苗「やはりこれが弱点のようです!」

鈴仙「まったく厄介な相手ね…タイミングに合わせて、弾幕を集中砲火させるわよ」

早苗「はい」

ラフレシア「……」ペッ

引っ込んでいた青い口元が再び露出し、丸い触手を吐き出す
それと同時に、鈴仙の赤いレーザーと、早苗は星の形をした弾幕が飛び交う

ボォォン!!ボォォン!

ラフレシア「ッ!!!」ビクビク

早苗「かなりきいてます!」

鈴仙「もう少しよ!」

251: 2016/10/17(月) 06:49:28.12 ID:qnP2WbAG0
~マラーナ・神殿前にて~

早苗「ど、どうにか倒しましたね…」

鈴仙「もうやだこのエリア…」

女神官「お二人とも、お着替えをお持ちしました。二人の服はいま洗濯をするので、お風呂に入ってください」

早苗「ありがとうございます!」

鈴仙「うぅ…早くサッパリしたいわ…」

~入浴後~

女神官「それで…この島の問題なのですが」

男神官「マラーナは島自体がせまく、樹木が密集しています。また沼なども多いです」

早苗「ふむ、では樹木を切り倒し、沼を干上がらせれば良いのですね?」

男女神官「はい。どうかこの島を人の住める場所へと導いて下さいませ!」

早苗「はい!この私にお任せください!」

早苗「あ、そういえばこの石版…鳥の形をした絵が書かれているのですが」

鈴仙「たしか移動中にも、似た形をした島を見つけたわね」

男神官「なるほど…マラーナのすぐ隣に鳥の形をした島があり、そこに何かがあると書かれてますね」

男神官「人口が増え次第、調査に赴こうとおもいます」

252: 2016/10/17(月) 06:50:21.22 ID:qnP2WbAG0
~その頃・命蓮寺境内~

アクトレイザー「フンッ!」

星「せい!!」

ガキィィン!!!

槍と剣が激しくぶつかり合い、その音が境内中に響き渡る

昨日、殆んどの弟子たちを倒し、とうとう奉られる者同士の対決が始まった
が、しかし寅丸星とカミの闘いは一向に決着がつかない

アクトレイザー(もう少し…もう少しで…あの時の力を…)ググッ

星(何なんだ…闘えば闘うほど、どんどん力が強くなっていくぞ…)

星(一瞬も油断ができない…!!)

アクトレイザー「……」ググッ

再戦を繰り返すこと数十回
結局、この日は勝負が付かずに終わった

253: 2016/10/17(月) 06:51:30.25 ID:qnP2WbAG0
~次の日・マラーナにて~

早苗「ふむ…」

鈴仙「何を考え込んでるの?」

早苗「いつも通り、雷を降らせて樹木を燃やすのも良いんですが」

早苗「ちょっと実験がしたくなりまして」

鈴仙「実験?」

早苗「その実験は…まだ人や建物も無い今こそが絶好のチャンスだと思うのです」

早苗はそういうとお払い棒を左右に振って、祈祷を始める

早苗「神官さんたちに、絶対に神殿から出ないように伝えてください。あそこなら倒壊の恐れも無いでしょうし」

鈴仙「え?うん…」

~~~

諏訪子「呼んだかい早苗」

早苗の目の前に、半透明化した諏訪子が出現する

早苗「諏訪子さま。まだ私の力じゃ地震を起こせません」

早苗「どうかお願いします」

諏訪子「それは構わないけど…なんでまた地震なんか?」

早苗「えっと、まだ人もいない内に、手っ取り早く樹木をなぎ倒すには地震が良いかなって」

諏訪子「ははは、なるほど」

諏訪子「よーし。んじゃ思いっきりいこうか」

諏訪子「私の起こす地震はあの天人とは比べ物にならないからね」

諏訪子「そい!」

ドゴォォォン!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴ…

254: 2016/10/17(月) 06:52:35.39 ID:qnP2WbAG0
男神官「あぁ、ビックリした…」

女神官「樹木が一瞬にして倒れましたね…」

鈴仙「でもそのかわり、海水が大地に入り込んできて、沼地が増えたわ」

早苗「むむむ…盲点でした。樹木は倒せても沼地が…」

早苗「ではこれから、干上がりの奇跡を起こしますので少々お待ちを」

エンジェル「早苗様!隣にあるもう1つの孤島が、マラーナと直結しました!」

早苗「え?本当ですか!」

エンジェル「はい。これで開拓地が増えましたね!しかもあそこには魔物の巣もありました!」

鈴仙「まあ…結果オーライなのかしら?」

エンジェル「では私は、魔物の討伐に向かいます!」

鈴仙「なら私も行くわ」

エンジェル「助かります!」

早苗「では、私は沼地を干上がらせますか…」

鈴仙「あ、おふた方には…神殿近辺に生えてる、この草を採取してもらえますか」

男女神官「この草は一体…?」

鈴仙「これは薬草です。こういう熱帯の地には病とかが流行りやすいんで、採っておくと良いでしょう」

男神官「おお…医療にも長けてるのですね!」

女神官「分かりました。では私たちは神殿付近で取れる薬草を採取いたしましょう」

鈴仙「お願いします」

鈴仙「……」

鈴仙(自分で言っておいてアレだけど…熱帯…熱帯地帯と言えば…)

鈴仙(……まさか、ね。そんな事はそうそう無いわよね)

255: 2016/10/17(月) 06:54:23.65 ID:qnP2WbAG0
~その頃・アイトスの神殿・休憩室にて~

チルノ「はい上がり!」

魔理沙「げっ…まさかババ抜きでチルノに負けるとは…」

魔理沙(まあどうせババ抜きなんて運勝負みたいなもんだしな)

チルノ「ねー魔理沙。体の方はどう?」

魔理沙「もう魔力も戻ってるし、問題ないぜ」

魔理沙「ただここの神官が作るご飯が美味すぎてな…」

チルノ「わかる!なんかずっとここに居たくなる」

魔理沙「和食派の私が、洋食系の料理に惚れ込むとは…」

チルノ「もう一晩くらいゆっくりしてく?」

魔理沙「ゆっくりしていくか」

チルノ「なんかここ最近、ずっと闘いばっかりで疲れてたし」

魔理沙「たまにはのんびりしたいよな~」

チルノ「でも引きこもってトランプばっかりてのも…」

魔理沙「んじゃ、山に行って土手すべりでもして来るか」

チルノ「いいね!で、何で滑るの?」

魔理沙「板でいいじゃねぇか。貰ってこようぜ」

チルノ「おっしゃ!いこう!」

256: 2016/10/17(月) 06:55:09.47 ID:qnP2WbAG0
魔理沙「んじゃ、この辺でいいか」

チルノ「うん!」

霊魂「……」フワァァ

チルノ「ん?」

魔理沙「お、珍しい。ハッキリと肉眼で見える霊魂だ」

魔理沙「幻想郷ではよく見かけたけど…この世界じゃ見かけたこと無いな」

魔理沙「この感じ…生前はさぞ多くの魔力を保有してたな。肉眼で分かりやすく見える訳だ」

霊魂「……」

チルノ「……」

チルノ「なんか、コイツ見てると懐かしい気持ちになる」

魔理沙「え、懐かしい?」

霊魂「……」

チルノ「え?ついてこい?」

霊魂「……」コクコク

魔理沙「言ってるのことが分かるのか?」

チルノ「うん。なんか…頭の中に意志が届く…」

霊魂「……」スーッ

チルノ「行ってみる?暇だし」

魔理沙「ああそうだな」

257: 2016/10/17(月) 06:57:12.26 ID:qnP2WbAG0
~カサンドラ~

魔理沙「暑い…ここはカサンドラじゃねぇか」

チルノ「……」

魔理沙「こ、これは…」

ぐあ…ぁあ…

ゲホゲホ!ゴホ!ゴホ!

こひゅー…こひゅー…

チルノ「おい!大丈夫かお前ら!」

住民1「ああ…神チルノ…」

住民1「最後にあなたに会えてよかった…」ガクッ

チルノ「」

チルノ「な、なんだよこれ…」ガクガク

男神官「おお神チルノよ!大変です!」

チルノ「何があった!」

男神官「実は国中で謎の病が発生して…」

チルノ「病だと!?」

男神官「みんな、バタバタと命を落としていってます…」

チルノ「……」グスッ

チルノ「あたい…何やってんだ…のん気に遊んでて…これじゃ神失格だ…」ボロボロ

魔理沙「……泣いてる場合じゃないぜ。何か手を打てないと」

チルノ「ぅぅ…ううぁぁ…」ボロボロ

住民2「おお…神チルノにマリサさん…」ドサッ

チルノ「ごめんな…もっと早く気付いてやれれば…えーりんをここに呼んだのに…」ボロボロ

住民2「えーりんとは?」

チルノ「凄いやつなんだ!なんでも病気も怪我もなお…なおし…ぅえ…」ボロボロ

チルノは嗚咽で上手く言葉が出てこない

住民2「そうですか…ごほごほ!残念ながら私はここまでのようです」

258: 2016/10/17(月) 06:58:31.08 ID:qnP2WbAG0
住民2「ん?その隣の宙に浮いてるのは…」

魔理沙「ああ、こいつが私たちを導いてくれた」

住民2「は、はあ…」

霊魂「……」

薄れゆく視界の中、今にも息絶えそうな住民の目に、ある者が目に映る

住民2「ん!?お前…まさか…」ムクッ

倒れていた住民は驚いて立ち上がる

魔理沙・チルノ「??」

霊魂「……」

住民2「そうか…お前が彼女達を…」

住民2「」ドサッ

霊魂「……」

魔理沙「なんて言ってるんだ?」

チルノ「この霊魂も泣いてて、何言ってるのか上手く分かんない…」

霊魂「……」

チルノ「と、とにかく!病を直すのはあたいの専門外!えーりん呼んでこよう!」ボロボロ

魔理沙「待て、よく見るんだ」

魔理沙「さっきから道端に次々と人間が倒れていくだろ?幻想郷に戻っていくのにも時間がかかる」

魔理沙「時間短縮するには、その弟子を呼んだほうが効率的に良い」

チルノ「うどんげに会いにいくの?」

魔理沙「ああ。アイツなら何か治療法をしってるだろ」

魔理沙「ここからマラーナ…時間は相当かかるだろうな。だが幻想郷に戻って永遠亭にいくよりはマシだ」

259: 2016/10/17(月) 06:59:57.45 ID:qnP2WbAG0
~夜が明けて・マラーナ神殿にて~

魔理沙「おい!起きろ!」

チルノ「助けてうどんげ!」ボロボロ

鈴仙「わわ!?こんな朝早くから何よ!」

早苗「あれ…?お二人はノースウォールに行ったんじゃ…」

魔理沙「良いから早く来てくれ!」

チルノ「カ、カサンドラが…みんな病気にかかって大変なんだよ!」ボロボロ

早苗「え…分かりました。すぐにいきましょう」

早苗「エンジェルさん。留守番頼みます」

エンジェル「はい。こっちは任せてください!」

~カサンドラ~

鈴仙「これは…ふむふむ」

鈴仙「カバンの中に薬草を持ってきておいて正解だったわね」

チルノ「そ、それで…治せそう?」

鈴仙「ええ、なんとかね」

チルノ「や…やったー!」

鈴仙「ただ予防接種も含めて、国民全員に治療しなきゃいけないから」

鈴仙「大変だけど…マラーナから薬草を取ってきてくれる?今のままじゃ足りないから」

魔理沙「任せとけ。いくぞチルノ」

チルノ「うん!」

涙で濡れた瞳をグシグシと拭き、鼻水をズルズルと音を立てながらチルノは、魔理沙と共にマラーナへ向かう

早苗「私も何かできないでしょうか」

鈴仙「国民を全員、神殿前に集めて」

鈴仙「それと…薬草の栽培を始めるわ」

260: 2016/10/17(月) 07:01:17.49 ID:qnP2WbAG0
~夜・カサンドラにて~

魔理沙「持ってきたぜ!」

チルノ「遅れてごめん!!」

鈴仙「大丈夫よ。丁度さっき薬草のストックが切れたばかりだし」

早苗「これは夜通しで治療が続きそうですね…」

鈴仙「所で…さっきから気になったんだけど…」

鈴仙「この霊魂は何?」

霊魂「……」

チルノ「そいつがあたい達を導いてくれたんだ!」

鈴仙「そ、そう…なんかやけに、私と距離が近いから気になって…」

霊魂「……」

チルノ「えーと…何かね、うどんげの事気に入ってるみたいだよ」

鈴仙「は??」

早苗「……」

魔理沙「おい早苗。あの霊魂について何か知ってんじゃねぇのか」

早苗「……」

早苗「フフフ、さあ?知りませんね~」

魔理沙「それは何かを知ってるって顔だぜ…」

261: 2016/10/17(月) 07:02:33.72 ID:qnP2WbAG0
~その頃、命蓮寺にて~

星「法力・至宝の独鈷杵(どっこしょ)」

アクトレイザー「この回る二つのレーザービームは、いつも厄介だ…」

星「さあ、今日も決着付かずに終わるのですか?」

アクトレイザー(今日はせめて寅丸だけには勝たなければ…)

アクトレイザー「うっ!」

二つの回るレーザーがカミを襲う

星「今日はこの辺にしておきましょうか?」

アクトレイザー「……いや。まだだ」ググッ

カミの全身から青白い光が発現する

星「!?」

聖「これは…」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「ふん!」ブンッ

剣から青白い刀気が放たれる

ズバッ!

星「ぐっ…」

星(バカな…一日中闘っていたのに…まだ魔力が残って…)

星(……いや、魔力が尽きている所か、今朝会った時よりも強まっている)

星(刀気のパワーも速度も跳ね上がっている…こんなの避け切れない…!)

ズバッ!ズバッ!ズバッ!

アクトレイザー「これで終わりだ…せい!」

巨大な刀気を星に目がけて飛ばす
それを槍に魔力を込め、ガードする星

バキィィン!!

星「なっ…ぐぅぅ!」

魔力を纏った槍は、いとも簡単に真っ二つに折れ、そのまま星に被弾する

262: 2016/10/17(月) 07:04:49.69 ID:qnP2WbAG0
星「……負けだ。降参しましょう」

アクトレイザー「まだ余力があるようだが?」

星「結果の見える闘いを続けても仕方ありません」

アクトレイザー「……」

星「今日はもう遅いです。聖との闘いは明日にしましょう」

アクトレイザー「ああ、そうさせてもらう」

聖「……」

聖(たった今日一日で、圧倒的な力を手にした風に見えますね)

聖「……これなら、手加減する必要もないですね。全力で戦える」

~帰り道~

アクトレイザー「師匠、どうやら私は全盛期の力を取り戻したようだ」

妖夢「え、本当ですか!?」

アクトレイザー「……これ以上、修行する必要も無い」

妖夢「こ、困ったな…」

アクトレイザー「どうした?」

妖夢「じつは前に言っていた、修行の総仕上げとして最後の相手と交渉してきたんですよ」

アクトレイザー「ああ…『仮想サタン』となる相手か」

妖夢「はい。その方はもうやる気まんまんで…今すぐにでも戦わせて欲しいって言っている程で…」

アクトレイザー「そうか。ならば残念だが断るしかない」

アクトレイザー「明日、私が命蓮寺で修行を終えたことを説明し…さらに『仮想サタン』の相手にも謝罪しておくとしよう」

妖夢「……」

妖夢(果たしてそう上手くいくかな…聖さんはともかく、『彼女』はもうやる気まんまんだったし…)

263: 2016/10/17(月) 07:06:03.15 ID:qnP2WbAG0
~翌日・命蓮寺~

アクトレイザー「……という訳だ」

星「そうですか。事情があるなら仕方ありません」

アクトレイザー「大変世話になった」

聖「……」

アクトレイザー「では。私は本来の使命を全うしようと思う」

聖「お待ちなさい」

アクトレイザー「ん?」

聖「全盛期の力を取り戻したと言いましたね?」

アクトレイザー「ああ」

聖「でも、貴方はそれでも大昔。魔王サタンに負けた」

アクトレイザー「何が言いたい?」

聖「全盛期の力を取り戻した程度で、修行を終えたなんて中途半端だと思いませんか?」

聖「それに…私自身、もう闘いたくてウズウズしていた所です」

一輪「おお…あの温厚な姐さんが珍しく好戦的になってる…」

村紗「連日、闘いをお預けにされてきたから、うっぷんが溜まってたんですね」

アクトレイザー「……なら仕方が無い」

アクトレイザー「相手をさせてもらおう」スッ

「ちょっと待ちなよ」

妖夢「あぁぁ…来ちゃった…」

妖夢はまぶたに手を当てる

アクトレイザー「キミは宴会で見たな」

「ああ、そうさ。改めて自己紹介しておこうか」

萃香「鬼の四天王、伊吹萃香。よろしくね」

264: 2016/10/17(月) 07:07:49.41 ID:qnP2WbAG0
アクトレイザー「そうか…彼女が『仮想サタン』か」

アクトレイザー(見てくれは幼いが、確かに強者の気配がする)

萃香「悪いけど尼さん。私はもう暴れたくてウズウズしてるんだ」

萃香「今回は諦めてよ」

聖「フフフ、それは私も一緒。闘う事をお預けされて何日もたちます」

聖「それに…彼はこの数日間で圧倒的な力を身に付けました。我慢なんかできません」

萃香「んじゃさ手っ取り早く、勝った方がカミ様と闘えるってことで良くない?」

聖「そうですね。その方がアドレナリンも治まるでしょうし」

アクトレイザー「……」

アクトレイザー「その、出来れば早めに事を済ませて欲しいのだが…私には使命が」

聖「ええ、分かってます」

萃香「所であんた、本気でくるの?それともお遊び感覚?」

聖「全力です。弾幕ごっこではありますが」

萃香「そうかい。んじゃ私もほ~んの少しだけ、本気だしてやる。弾幕ごっこだけど」

聖「それは本気とは言わないのでは…」

萃香「ここじゃ被害が甚大になる。山の麓にでも移動しようか」

聖「分かりました」

聖「みなさん。私、しばらく留守をするので頼みますよ」

一輪・村紗「!?」

星「聖…ほ、ほどほどに…」

聖「ええ、分かっているわ」ニコッ

アクトレイザー「師匠よ」

妖夢「はい」

アクトレイザー「あの二人の闘い、すぐに終わると思うか?」

妖夢「すぐに終わらない気がします」

アクトレイザー「……」

――それから、聖白蓮と伊吹萃香の決闘は10日以上に続いた

265: 2016/10/17(月) 07:08:47.06 ID:qnP2WbAG0
~1週間後・マラーナにて~

早苗「だいぶ、開拓も進んできましたね」

住民1「神チルノ、カキ氷食べたいのですが」

チルノ「はいよ!」

住民1「う~ん、美味い!」

住民2「神チルノはひんやりしてて、一緒にいると助かります!」

チルノ「わっははは!凄いだろ!」

魔理沙「所でカサンドラの流行病の問題は解決したのか?」

チルノ「んとね、うどんげが言うにはもう大詰めだって」

チルノ「あと少しで全員の治療が終わる。氏にかけの人間も全員、息を吹き返したって」

魔理沙「そっか。そりゃ良かった」

早苗「薬草の栽培も始まったようですし、ほぼ問題は解決しましたね」

魔理沙「……で、あの謎の霊魂は?」

早苗「同じくカサンドラにいます。鈴仙さんにベッタリで離れようとしませんね」

魔理沙「……」

チルノ「なんでアイツ、あんなにうどんげの事、気に入ってんだろ」

魔理沙(まさか…やっぱりそうなのかな?)

266: 2016/10/17(月) 07:09:39.81 ID:qnP2WbAG0
男神官「サナエ様、実はいま開拓と同時進行で寺院を建造しています」

早苗「はあ…寺院ですか。ですがこの狭いマラーナには二つも寺院は必要ないと思いますが」

魔理沙「確かにな、そんな事してる暇があるなら開拓を進めたほうが良いだろ」

女神官「それがどうしても建てたいと言うもので…」

男神官「しかもどういう訳か、既に完成真近で」

魔理沙「は!?」

早苗「ずいぶんと急ピッチですね!?」

魔理沙「まあ開拓も順調だし、問題はないが…早い所、そいつら呼び戻して開拓を進めようぜ」

チルノ「よっしゃ!寺院はあたいの別荘にするぞ!」

267: 2016/10/17(月) 07:10:06.49 ID:qnP2WbAG0
今日はここまで

本当は聖に神子、天子も決闘させる予定だったけど、テンポ的に考えてカットしまくる事にしました…
物語も終盤なのでサクサクやっていこうと思います

268: 2016/10/17(月) 07:11:37.52 ID:qnP2WbAG0
『状況まとめ』

(アクト世界)
・治療開始から一週間経過。カサンドラの問題ほぼ解決。鈴仙は治療と薬草栽培の指導。
 謎の霊魂はすぐ側にいる

・マラーナの開拓は順調。地震により隣の島と直結する。鳥の島はこれから調査に向かう。
 魔理沙とチルノ、エンジェルは魔物退治。早苗は開拓指導と魔物の巣の封印の手伝い

・ 怪しげな寺院が建造された

(幻想郷)
・カミ、ついに完全に力を取り戻す。しかし強引に決闘の約束をされてしまい、いまだアクト世界に行けずにいる。
 暇なので妖夢と剣術修行してたり、人里で困ってる人を助けたりしている

・山の麓で、聖白蓮と伊吹萃香の決闘は10日以上。まだ終わっていない

東風谷早苗「アクトレイザー」【後編】


270: 2016/10/17(月) 11:36:17.66 ID:B+8rzzsf0
乙です。
せ……霊魂いい仕事するな、そして10日間て……もうカミもいれて三つ巴すりゃよかったんじゃ?

271: 2016/10/17(月) 12:20:33.17 ID:kvkLbqxz0
乙!
チルノ……カサンドラの民が早々に見限ったりしない思いやりのある人達で良かったな

んで、近すぎ霊魂とか10日オーバー決闘とかそっち勢は色々と自重しろw

引用元: 東風谷早苗「アクトレイザー」