恋「かのんさん、何事も経験ですよ」ﾜｸﾜｸ

かのん「恋ちゃんも行く気満々だし」

千砂都「楽しそうだし行ってみようよ、かのんちゃん」

かのん「苦しかったらすぐ出るからね！」

メイ「サウナで蒸されるLiella!……」ｼﾞｭﾙﾘ

きな子「メイちゃんってほんとにLiella!が好きなんすね」ﾆｺﾆｺ

メイ「そ、そそ、それほど好きってわけじゃないからな、勘違いすんなよ！？」

──

かのん「あ゛づい゛ぃ゛……」

夏美「これよりサウナ室でアウフグース行いますの」

夏美「参加希望の方はサウナ室にお集まりくださいですのー」

きな子「し、CEO！？」

夏美「げっ」

すみれ「知り合い？」

きな子「クラスメイトっす」

メイ「なにやってんだあいつ」

四季「アルバイト？」

夏美「マニーのためですの」

夏美「それでは、アウフグースを始めさせていただきますの」

夏美「この時間を担当させていただくオニナッツですの」

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

かのん「えっ、拍手するの？」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

千砂都「なんか不思議な空気だね」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

夏美「本日のアロマはラベンダーですの」

夏美「リラックス効果が強く、精神的な疲労や不眠に効果があると言われてますの」

可可「アロマ水をかけるんデスね」

恋「いちごの香りなんかもあるんでしょうか……」

夏美「それではかけますの」ｼﾞｭﾜｧ

すみれ「いい音ったら、いい音ね」

きな子「ラベンダーのいい香りっす……。富良野を思い出すっす」

夏美「まずは空気を攪拌させますの」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

かのん「え、なんか熱く感じるんだけど」

すみれ「湿度が上がってるから体感温度があがってるのよ」

四季「空気より水分の方が熱伝導率が高いから湿度が高い方が熱が伝わりやすい」

きな子「湿度が高いと蒸し暑いのはそのせいなんすね」

夏美「それでは1人1人風を送りますの」ｼﾞｭﾜｧ

夏美「失礼しますの」ﾊﾞｻｯﾊﾞｻｯ

千砂都「っ！」

千砂都「かのんちゃん！」

かのん「あ゛づい゛ぃ……」

千砂都「そうじゃなくて……！」

恋「あの力強くかつ繊細な風……」

千砂都「この環境の中であのパフォーマンス……ただものじゃないよ」

すみれ「普段から身体を鍛えてるのかしら……」

可可「逸材デス！ 勧誘しましょう！」

かのん「熱いから出るね……」

千砂都「かのんちゃん！ あの子勧誘しなきゃ！」

かのん「あづいぃ……」

すみれ「勧誘はあなたの役目でしょ！」

かのん「今ここでしなくてもいいじゃん……」

千砂都「早くしないと先に誰かにスカウトされちゃうかも！」

恋「それは大変です！ かのんさん、早く！」

かのん「えぇ……？」

可可「かのん！」

かのん「わかったよ……」

かのん「あの」

夏美「おかわりですの？ 少々お待ちを」

かのん「私たちと一緒にスクールアイドルやらない？」ﾌﾗﾌﾗ

夏美「……ふらふらしてるけど大丈夫ですの？」

かのん「正直ダメ」

夏美「サウナは我慢するところじゃありませんの」

かのん「私は早く出たいんだけどみんながあなたを勧誘しろってうるさくて」

夏美「事情はわかりましたの、今は仕事中なので30分後に館内のレストランでお話を聞きますの」

千砂都「よし、とりあえずアポは取れたね！」

恋「やりましたね！」

かのん「熱いから出ていい！？」

すみれ「もう1年生と可可は水風呂入ってるわよ」

かのん「ずるい！」

──

夏美「おまたせしましたの」

かのん「お仕事お疲れ様」

夏美「まさかサウナの中でスカウトされるとは思いませんでしたの」

かのん「ごめんね、仕事中に」

かのん「私たちは結ヶ丘でスクールアイドルをやってるLiella!です」

夏美「噂は聞いておりますの」

夏美「私、こういうものですの」

千砂都「株式会社オニナッツ？」

かのん「CEO？」

きな子「CEOも一緒にスクールアイドルやるっす！」

夏美「あー、あなたもやってますのね」

きな子「CEOがいれば百人力っす！」

夏美「というか、どうして私なんですの？」

千砂都「っ！」ﾊﾞｯ

千砂都「さっきのアウフグースの動き、ダイナミックかつ繊細で、一朝一夕で身につくようなものじゃない！」

千砂都「もしかしてダンスとかやってた？」

夏美「踊ってみたならやったことありますの」

恋「踊ってみた……？」

夏美「マニーのためにエルチューブの一環でやってましたの」

千砂都「踊ってみたでやってただけであの身のこなし……かのんちゃん、この子逸材だよ！」

かのん「う、うん」

夏美「折角のお誘いですが、私はマニーを稼がなきゃなりませんの」

夏美「部活なんてやっている暇は──」

夏美「あなたたちアイドルですの？」

可可「スクールアイドルデス！」

メイ「何を隠そうこの方たちは優勝候補だからな」

きな子「メイちゃんもそのLiella!の一員っすけどね」

かのん「優勝候補って言われてるけど優勝候補なんかじゃないよ、そう言われてるだけ」

夏美「アイドル……優勝候補……」

夏美「マニーの匂いがいたしますのー！」

かのん「無理にとは言わないけど、少しでもやりたいって気持ちがあるなら一緒にスクールアイドルやってほしい」

夏美「やりますの！」

かのん「すぐに答えを出してとは──えっ」

夏美「オニナッツ、スクールアイドルデビューをガチ決めましたの！」

夏美「向いているかどうかなんてやってみなきゃわかりませんの！」

夏美「とりあえずオニナッツデビュー動画を出しますの！ 優勝候補と注目されているのであれば再生数ウハウハで収入ガッポガッポですの！」

かのん「え、入ってくれるの？」

夏美「そう言ってますの」

千砂都「さすがかのんちゃんの勧誘だね」

かのん「えぇ……？」

おわり

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