1: 2015/08/08(土) 21:38:03.58 ID:sT7Rt8Lm0
オツカレッシター
オツカーレ!
オツカレサマナノー
美希「あふぅ……今日も疲れたの……頑張ってお仕事したから、眠くって……」
美希「ふぁ~……あふぅ」
美希「……ハニーが迎えに来るまで、まだ時間あるし……ちょっと寝ちゃっても、いいよね?」
美希「答えは聞いてないの! ソファーで仮眠とるの!」ピョーン
ドサッ
「ぐえっ」
美希「ぅ~ん……抱き枕まで置いてあって、ちょうどぃ……むにゃむにゃ……」
美希「……zzZ」
2: 2015/08/08(土) 21:39:15.17 ID:sT7Rt8Lm0
杏「……ぅ、うぐっ苦し……なんだ? またきらり? ねぇちょっときらり」グイッ
美希「……zzZ」
杏「……」
美希「ぉにぎぃ……むにゃ」モグモグ
杏「…………」
杏「……誰!?」
3: 2015/08/08(土) 21:40:04.19 ID:sT7Rt8Lm0
杏「いや……見覚えがあるぞ……確かこの子、765プロの」
美希「むにゃむにゃ」モグモグ
杏「ちょっ、食べるな……! 杏のほっぺはおにぎりじゃなーい!」
美希「んにゃ……ましゅまろ……?」
杏「マシュマロでもないよ!」
「ほ?」
杏「誰だ今の」
4: 2015/08/08(土) 21:40:43.67 ID:sT7Rt8Lm0
フワフワノマシュマロ……トロトロノミルククリーム……
杏「とにかく……離れっ……って、この子意外と、力強いっ」ジタバタ
美希「ぅー……ヤ! なの!」ギュー
杏「それはこっちのセリフだよ! この暑いのに……」
杏「はぁ……無駄に抵抗したら疲れた……もうこの子が起きるまで待つしかないか……」
杏「それまで杏も、もっかい寝てよ……おやすみー……」
美希「ぉや……すみぃ…………zzZ」
……
5: 2015/08/08(土) 21:41:26.70 ID:sT7Rt8Lm0
……
杏「ん……ここは……」ムクリ
貴音「また拾ってきたのですか! もうこれ以上は飼えないと!」
美希「むー! ちゃんとお世話するもん!」
響「気持ちは分かるけどな……元いた場所に返してきた方が」
美希「ヤ! なのー!」ギュー
杏「どこだここ」ギュー
6: 2015/08/08(土) 21:42:31.54 ID:sT7Rt8Lm0
響「ねぇ美希、生き物を飼うっていうのは、とーっても大変なことなんだぞ」
貴音「そうですね……ものぐさな美希に、きちんと管理できるとはとても」
美希「二人共ひどい! ミキはちゃんとやるよ! お仕事だって、今は頑張ってるでしょ?」
貴音「ですが……」
杏「あのさ、揉めてるとこ悪いけど。ね。杏、人間」
美希「エサもあげるしトイレもしつける! イタズラとかしないように育てるからー!」
杏「よく見てほらヒトだから。人類だから。ぷちどるじゃないよ?」
7: 2015/08/08(土) 21:43:16.65 ID:sT7Rt8Lm0
響「うーんでも……これ以上増えると、社長もさすがに困ると思うぞ……自分の家族だけでも、けっこうなエサ代がかかってるだろうし」
貴音「美希自身のお給料で飼育できるのですか?」
美希「ぅ……それは…………」
杏「なにこの事務所。人間飼うのが普通なの?」
美希「きっと社長も納得してくれるの! この子とっても頭いいんだよ?」
響「じゃあ何か芸を見せてよ」
美希「いいよ。……はい! お手!!」スッ
杏「えー……」
美希「お手!」
杏「……」ポスッ
美希「よくできました! はいアメ!」
杏「わーいアメだぁ!」パクッ
杏「はっ……!」
8: 2015/08/08(土) 21:44:00.42 ID:sT7Rt8Lm0
響「そのぐらいイヌ美だってできるぞ!」
美希「じゃあね…………おかわり!」
杏「アメのおかわりが先だよ」
美希「むー……なら、ちん〇ん!」
響「伏せ字にしないでよ!! 変な感じになっちゃうでしょ!」
杏「ていうか杏、元々立ってるし。にんげんだもの。あんず」
美希「……おちん〇ん!」
響「『お』をつけないで!!」
美希「おちん〇んって言われたらエOチなポーズでユウワクするの! さんはい! おちん」
響「やめろぉ!」バン
杏「やめろぉーっ!」バンバン
9: 2015/08/08(土) 21:45:15.90 ID:sT7Rt8Lm0
貴音「美希……仮にもわたくし達はあいどるなのですから」
杏「仮にもとか言っちゃったよ」
貴音「ここはやはり、もっとあいどるらしい芸を…………例えば」
貴音「あなをほる」
杏「えっ」
10: 2015/08/08(土) 21:45:52.42 ID:sT7Rt8Lm0
響「そうじゃないさー。まったく貴音は」
貴音「なんと。では手本を」
響「ふふん。完璧な自分を見てろよ~」
響「あんたろう! そらをとぶ!!」
杏「……それは幸子に、ね?」
11: 2015/08/08(土) 21:46:26.96 ID:sT7Rt8Lm0
美希「違うの! 二人ともダメダメなの!」
杏「っていうかあんたろうって何さ……」
美希「いくよ! はい! ……てれぽーと!!」
杏「アイドルってなんだろう」
12: 2015/08/08(土) 21:47:10.21 ID:sT7Rt8Lm0
響「なんにもできないね」
貴音「まだれべるが足りないのでは?」
美希「きっとまだ『はねる』と『たいあたり』しか覚えてないの」
杏「杏は人間だ!!」
美希「はい。ふしぎなアメ」
杏「んまー」パクッ
13: 2015/08/08(土) 21:47:42.99 ID:sT7Rt8Lm0
美希「早く進化しないかなー」
響「楽しみだぞ!」
貴音「大きくなると良いですね」
杏「悪いけど、杏もう育たないよ」
美希「通信進化かな?」
響「逆さにするのかも」
貴音「石を。月の石を」ズシッ
杏「ぐえっ……やめろぉーっ!!」ブオン
貴音「なんと」
14: 2015/08/08(土) 21:48:26.30 ID:sT7Rt8Lm0
杏「そもそもね、杏、犬でも猫でもポケ〇ンでもないから。人間。ヒト。ヒューマン。アンダスタン?」
美希「はいアメ」
杏「杏がそれで黙ると……おいひー」パクッ
美希「飼われるのはヤなの?」
杏「そりゃあ……いや、でも待てよ」
杏「…………飼ってもらえれば、年中お休みで、アメがもらえる……? うーんでも自由がなくなるのは……」
響「……本当に考え始めたぞ……飼われることを」ヒソヒソ
貴音「面妖ですね……」ヒソヒソ
美希「首輪。首輪をつけるの」ガサゴソ
杏「えっ」
15: 2015/08/08(土) 21:49:09.97 ID:sT7Rt8Lm0
杏「まっ、ちょっちょっと待って」
美希「はい首輪」パチン
杏「ぐえっ、いやなにすんのさ。っていうか聞こえたからね!? 杏をからかってるでしょ!」
響「バレちゃったかー。いやさ、実は」
貴音「申し訳ありません。しかしこれは全て響が企んだこと……」
響「ちょ、ちょっと貴音ぇ!」
16: 2015/08/08(土) 21:50:03.47 ID:sT7Rt8Lm0
杏「なるほど……うっかり杏を抱いたまま持って帰ってきちゃって、こっちの事務所に電話したら、飴で餌付けしたら飼えると言われた……と」
貴音「はい」
響「さい」
美希「なの」
杏「くそぅ、いったい誰が……」
響「『持って帰っちゃったのぉ? じゃーぁー杏ちゃんの飼い方、教えてあげるにぃ』って」
杏「……きらり」
響「『みんなも杏ちゃんでぇ、はっぴはっぴ☆するにぃ』って」
貴音「するにぃ♪」
美希「とゆーわけで、ミキはムジツなの。なーんにも悪くないよ?」
杏「いや持って帰った時点で誘拐だからね!?」
17: 2015/08/08(土) 21:51:01.27 ID:sT7Rt8Lm0
響「というわけで、迎えが来るまで、ちょっとふざけただけなんだ。ごめんね?」
杏「あーいいよいいよ。杏もなんだかんだ楽しかったし。アメもらえたし」
貴音「えぇ、もうすぐ迎えが来るはずですので、それまで……」
美希「……」
18: 2015/08/08(土) 21:51:34.39 ID:sT7Rt8Lm0
美希「待つの。響、貴音」
貴音「……美希?」
響「どうしたんだ?」
杏「?」
美希「杏をこのまま返すの……惜しいと思わない?」
響「? ……ま、まさか本当に飼うつもりか……? ぅ、うぎゃぁあー!! それはマズいぞ美希ぃ!」
貴音「その通りです。飼う側のみでなく、飼われる側も大変苦労するのですよ。首輪をつながれ、四つん這いになり夜の公園へ……そして電柱へと片足をあげて」
響「わーわー!!! と、とにかくそんなのダメぇ!!」
美希「二人とも何言ってるの? そーじゃなくって」
美希「杏を、ミキたちのユニットに入れない?」
響「なっ……!」ガタッ
杏「なんだってぇー!!」ガタガタッ
19: 2015/08/08(土) 21:52:14.24 ID:sT7Rt8Lm0
美希「思えばミキたちには、足りないものがあったの……それは」
響「そ、それは……」ゴクリ
美希「マスコットキャラ……!! なの!」
貴音「なんと……!」
響「なん……だと……!」
美希「今って、完璧の響。天才のミキ。面妖の貴音。でしょ? でもこれだと」
貴音「可愛い系の……愛されきゃらが不足している……と」
美希「その通りなの!! そこに妖精の杏も加えてー」
響「……ハム蔵じゃダメか?」
美希「ハム蔵は男の子でしょ? ミキたちは女の子のアイドルグループなんだよ?」
杏「その前にさ、やっぱり杏はペットと同列なの?」
20: 2015/08/08(土) 21:53:17.17 ID:sT7Rt8Lm0
響「でも、そうなるとキャラ被りが心配だぞ」
美希「どこか、誰か被る?」
貴音「……美希、ですね」
美希「えっ……ミキが?」
貴音「……普段のものぐさ加減と、ステージ上に立った時の卓越した技量、才能」
美希「そ、そんな……まさかなの……! ミキと杏が!?」
響「うん。世間では双葉杏は『頭がいい方の眠り姫』って呼ばれてるって」
美希「」
21: 2015/08/08(土) 21:54:12.77 ID:sT7Rt8Lm0
美希「はっ! ミキ、ひらめいちゃったの!!」
響「お、おー……なに?」
美希「この杏を! ミキのプルーンにするの!!」
貴音「……??」
杏「……ブレーンでしょ」
美希「それなの!」
22: 2015/08/08(土) 21:54:57.97 ID:sT7Rt8Lm0
美希「天才がタッグを組んで、アイドルパワーは2倍! そこに響がいつもの2倍のジャンプ! そして貴音がいつもの3倍回転を加えれば……!!」
杏「きらりぃー! お前を上回る1200万パワーだぁーっ!! ……ってなるかい!!」
響「す、すごいぞ! 息はぴったりだ! 理論は全く分からないけど」
貴音「なぜわたくしが回転するとあいどるぱわぁが増えるのですか? 美希、なにゆえ。美希」
美希「これは早速社長に提案するしかないの!」
響「プロジェクト・フェアリーがもっと完璧になるぞ!」
杏「……ん? プロジェクト・フェアリー……?」
貴音「どうでしょう? あいどるぱわぁ、増えていますか? 響? 美希?」クルクルクル
23: 2015/08/08(土) 21:55:53.88 ID:sT7Rt8Lm0
ガチャッ
「ん、なんだ。まだ迎えは来ていなかったのか?」
美希「あっ! 社長!! 提案があるの!」
「なんだい? 美希ちゃん」
美希「杏を、ミキたちのユニットに加えたいの!」
響「そうすれば! 1200万パワーなんだ!」
貴音「目が……まわり、ま、した……ひび、き」フラフラ
「ふぅむ……」
美希「ね? いいでしょ!?」
美希「黒井社長!!」
黒井「ウィ」
杏「えっ」
24: 2015/08/08(土) 21:56:45.79 ID:sT7Rt8Lm0
杏「えっこれ、えっ……どういう世界線? なに? 杏、世界移動しちゃった??」
黒井「双葉杏か……確かに、面白い人材ではある」
杏「ここ961プロだったの……どうりで何もかも豪華なハズだよ……ソファーの高級感あふれるフッカフカ加減とか」フッカフカー
黒井「しかし、果たしてプロジェクト・フェアリー。そして961のブランドイメージに合うかどうか……」
杏「ん……? なんかデジャブ……」
美希「えー、せっかくいいアイデアだと思ったのにー」
黒井「いや、発想は悪くないのだよ。……そうだ! 私にいい考えがある!」
響「おぉ! さすが社長!」
杏「嫌な予感が……。あ、あのさ。杏、なるべく働きたくないんだよねー……楽して過ごすために、印税生活がしたくてアイドルになったしさ……」
黒井「うむ」
杏「それに……はっきり言って、961ってブラックだって言われてるじゃん? バリバリ働かされるのはごめんかなーって」
響「大丈夫だぞ! ぶっちゃけ765より福利厚生しっかりしてるから!」
美希「ハニーも、765にいた時よりお休みもらえるし、サービス残業もなくて楽だーって言ってたよ?」
貴音「ぉぇー……ぅぅ……」
黒井「貴音ちゃん大丈夫かい」サスサス
杏「えー……」
25: 2015/08/08(土) 21:57:24.06 ID:sT7Rt8Lm0
黒井「私の案は…………双葉杏……いや、杏ちゃんを、美希ちゃんたちと一緒に移籍してきた…………雪歩ちゃんと組ませる。というものだ」
貴音「なんと……萩原雪歩と……!」
黒井「うむ。プロジェクト・フェアリーの、もう一つのユニットとして売り出すのだ。……差し当たっては、もう一人欲しいところだが……それはこちらで見繕っておこう」
美希「もしかして、ミキたちのライバルユニット誕生?」
黒井「ふん、怖いかね?」
美希「ううん! ミキ、むしろわくわくしてるの! もっと競いあって、いーっぱいキラキラしたいって感じ!」
響「自分もだからね!」
貴音「わたくしも、雪歩の新ゆにっと、楽しみです」
黒井「ウィ、王者に相応しい、いい闘争心だ。その調子でトップアイドルの座を掴み取り、真の王者、真のアイドルとは何か。世間に知らしめてやろうではないか!」
ハーッハッハッハッハッハッハ!
なのー!
だぞー!
はやー!
杏「…………杏の意志は……?」
26: 2015/08/08(土) 21:58:30.25 ID:sT7Rt8Lm0
……そして
杏「われわれの正義のためにー!」
雪歩「ためにー!」
可奈「ためにー!」
メーデーメーデーメーデー! メメメメメーデー!
杏「われわれは絶対に働かないぞー!」
雪歩・可奈「「ぞー!」」
美希「メーデーメーデーメーデー!」
響「メーデーメーデーメーデー!」
貴音「めぇでめぇでめぇでー」
冬馬「メーデーメーデーメーデー!」
北斗「メーデーメーデーチャオ!」
翔太「メーデーメーデーメーデー!」
黒井「…………どうしてこうなった」
ポン
高木「……」
黒井「……」
高木「久々に、飲むか」
黒井「…………ウィ」
メーデーメーデーメーデー メメメメメーデー
スイミンヲー
……
27: 2015/08/08(土) 21:59:06.65 ID:sT7Rt8Lm0
……
杏「とゆう夢を見たんだ」
美希「えー……」
END
28: 2015/08/08(土) 22:03:48.01 ID:sT7Rt8Lm0
ここまで読んで下さった方は、本当に有難うございました。
前作
輿水幸子「カワイイボクから相談されるなんて、響さんはカンペキですね!」
美希「は、ハニーと社長がホ〇してるの……!」
では、また。
29: 2015/08/08(土) 22:05:59.91 ID:8dUh2NwqO
おお、幸子と響の人だったのか
納得の面白さ、乙!
納得の面白さ、乙!
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