1: 2022/08/14(日) 20:50:42.52 ID:9xoWkzux.net
注意事項
・ニジガク、アニメ時空です
・謎解きにあたって、ラブライブ!関連の周辺知識は不要です。ニジガクキャラの顔と名前が一致する程度であればお楽しみいただけます
・仕様上、画像をアップすることがあります。画像の名称は謎解きに関係しません。また、環境上アップロード順が前後する可能性がありますが、同レス内の画像は基本的に順不同と思っていただいて構いません
※見てほしい順番がある場合は画像内に明記していますが、それによって謎解きの答えが変わってしまったり不利になったりすることはありません
・画像が粗いなど、謎解きしづらい場合には声をかけてください。またヒントが欲しい場合にも声をかけていただいて構いませんが、用意していなかった部分のヒントは>>1の言葉で提供することがあるのでご容赦ください

2: 2022/08/14(日) 20:51:50.90 ID:9xoWkzux.net
【プロローグ】

虹ヶ咲、スクールアイドル同好会部室…


ガラッ


かすみ「こんにちは~☆皆さんお待ちかね、プリティスクールアイドルのかすみんがやっと来ましたよぉ!さー、今日も張り切って………ん?」

ランジュ「嗨!みんな、待たせたわね。ランジュが来たわよ!………是的?」


栞子「う~ん……」ムムム

せつ菜「う~ん……」ムムム


しずく「すみません、少し遅くなってしまいました。もう皆さん揃って………おや?」

璃奈「………なんだか、部室の空気が明るくない」


歩夢「んー……」ゴソゴソ

愛「んー……」ゴソゴソ

3: 2022/08/14(日) 20:52:28.07 ID:9xoWkzux.net
かすみ「ねーねー、どうかしたの?みんなしてうんうん言っちゃって」ヒョコ

栞子「かすみさん、それに皆さん。今、せつ菜さんと部室のことについてお話ししていたところなんです」

かすみ「部室のこと?」

せつ菜「はい。はじめは五人で活動していた同好会も、今や十三人の大所帯になりましたからね。これまで通りの使い方だと部室が手狭になってくると見込んで、模様替えでもしようかと」

しずく「そう言われてみると、そうですね。すっかり馴染んでしまっていましたけど」

かすみ「模様替えですか?おもしろそう!」パアッ

せつ菜「それにあたって部室の見取り図を描いてみたのですが、ここからどうしたものかと悩んでいまして」

かすみ「部室の見取り図かぁ。かすみんも見たいです!」

せつ菜「もちろんです。ぜひ皆さんの知恵もお貸しください」っ紙 スッ…

5: 2022/08/14(日) 20:53:17.15 ID:9xoWkzux.net
かすみ「どれどれ~…」

ランジュ「………ふうん、こうして見るとこの部室って随分横に長いのね」

かすみ「…いや、これはせつ菜せんぱいの画力に問題がある気がします。こんなに細長くないと思うんですけど」

せつ菜「あはは…ちょっとデフォルメし過ぎたかもしれません。そこはあくまでも簡略図ということで、見逃してください」

しずく「これが真ん中のテーブル、椅子、ソファ…… この辺にバッテンが書いてあるのはなんですか?」

せつ菜「はい、その辺りはいくらか物が積まれていて使用できないスペースですね。あと、これとこれと…こっちの椅子も少し汚れが目立ったので印をつけておきました」

no title


ランジュ「……わかったわ!いいことを思いついたの!」ピーン

栞子「なんですか?」

6: 2022/08/14(日) 20:54:00.53 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「部室棟の階を増やせばいいのよ。そしたら増えた階を丸々同好会の部室にしちゃえば、もっと広く使えるわ。トレーニングルームとプールも備え付けて、同好会専用の食堂もつけましょうか。さっそく手配するわね」スマホ スッ…

せつ菜「わああっ、だめですよ!学校の設備を勝手に増築するなんて!」

ランジュ「え、そうなの?」

栞子「ランジュ、ここは中国ではないんです。学園はみんなのものですから、ランジュや同好会の都合で勝手に増築してはいけません」メッ

ランジュ「ラぁ…」シュン

かすみ「中国でもだめじゃない?」

愛「話し合い中にごめんよっと。ランジュ、見てみ!」

ランジュ「あら、なにそれ。クラリネット?にしては随分と小さいみたいだけど」

愛「あはは、やっぱ知らない?これリコーダーっていうんだよ。さっき部室片付けてたら隅で見つけたんだ~」

7: 2022/08/14(日) 20:55:07.47 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「リコーダー?」

かすみ「えっ、ランジュせんぱいリコーダー知らないんですか?」

栞子「確か、初等教育でリコーダーを用いるのは日本独自の文化だと聞いたことがあります。中国の学校では馴染みがないのかもしれませんね」

しずく「へえ、そうなんですね」

せつ菜「私、リコーダーって苦手でした。細かい運指がどうしてもできないのと、甲高く鳴ってしまって思い通りの音が出ないので…」

かすみ「何一つできてないじゃないですか…」

栞子「中学校ではアルトリコーダーも使うようになって、ソプラノリコーダーとの運指の違いに戸惑いましたよね」

ランジュ「これも楽器なのね。愛たち、みんな吹けるの?」

愛「吹けるよ。日本の学生はみんな吹けるんじゃないかな」

ランジュ「へえ~、すごいのね。それなら今度のライブはリコーダーを使いましょうよ!」

璃奈「学芸会みたいになりそう」

愛 (りなりーのリコーダー姿…) ゴク…

8: 2022/08/14(日) 20:55:57.57 ID:9xoWkzux.net
せつ菜「愛さん、片付けお疲れ様です。進捗はどうですか?」

愛「!」ビクッ

愛「う…うーん、大きな荷物もそうだけど、細々したものも多くてさ。そっち仕分けするのにまだ時間かかりそうかも」

愛 (後でりなりーに吹かせてみよう) スッ…

せつ菜「そうですか。大きな荷物は全員揃ってから一斉にやる方が効率的でしょうから、今はみんなで細々した片付けをする方がいいかもしれませんね」

愛「だねー」

栞子「歩夢さんは、お片付けの進捗はいかがですか?」

歩夢「あ、うん。こっちもなかなか進んでないかな…」

ランジュ「歩夢も片付けしてたのね」

栞子「歩夢さんには、個々人の持ち物を片付けてもらっているんです。皆さん、私物を色々なところに置いてしまっているので、いったん整理しようかと」

かすみ「えっ、捨てちゃうの!?」

歩夢「ううん、まさか。捨てるんじゃなくて、持ち主ごとに整理するだけだよ。それこそ誰のものかわからなかったら間違って捨てちゃうかもしれないでしょ?」

かすみ「そういうことですかぁ…」ホッ

10: 2022/08/14(日) 20:56:28.96 ID:9xoWkzux.net
せつ菜「皆さんのボックスもいっぱいになってきましたし、持ち主を整理したらそれぞれの私物は各個人で少し減らしていただいた方がよさそうですね」

しずく「かすみさんボックス、大活躍だね。みんなで真似してそれぞれのボックスを作ってよかったね」

かすみ「かすみんボックスは元々私物入れとして用意したんじゃないんだけど!」

せつ菜「他の人のボックスは普通触りませんからね。こういう機会でもなければ、人によってはボックスが私物で溢れ返ってしまいます」

栞子「ランジュとかですね」

ランジュ「ランジュボックスの中には捨てられるものなんか一つもないのよ。どうしようかしら…」

かすみ「ランジュせんぱいはみんなのアクキーとかしか入ってないじゃないですか。お家に持って帰ればいいだけですよ」

ランジュ「いやよ!同好会のみんなとはいつだって一緒にいたいもの!もちろん家にも同じのを買って飾ってあるわよ」

かすみ「本物のかすみんたちがいるんだから、部室にはなくてもよくないですか!?」

歩夢「あー、侑ちゃんってば。またこんなにいらないもの詰め込んで… うふふ。すぐ侑ちゃんボックスがいっぱいになっちゃうんだから、昔から変わらないなあ。きっと覚えてるよね、幼稚園の頃もロッカーに泥だんごとか牛乳パックのめんことか詰め込んでて、先生に片付けなさいって怒られたっけ…」

璃奈「歩夢さんに私物の片付け任せたの、間違いなんじゃないかと思う」ジーッ

12: 2022/08/14(日) 20:57:27.42 ID:9xoWkzux.net
しずく「そういえば侑先輩はまだなんですね」キョロ

せつ菜「はい。音楽科で実習があるそうで、今日は遅くなるか、帰り際にしか顔を出せないかもしれないとのことでしたよ」

ランジュ「ってことはミアも同じかしらね」

せつ菜「ですかね」

愛「カリン達三年生もそんな感じだってさ」

せつ菜「ふむ… それでは愛さんと歩夢さんにはそれぞれ片付けを続けていただくとして、かすみさん達も手伝っていただけますか?」

かすみ「お片付けかぁ~」

ランジュ「当然よ!みんなで一緒にお部屋の片付けなんて、すっごく素敵だわ!お友達みたいね!」

かすみ「そうですか…?」

ランジュ「よーし、やるわよかすみ。さあ、ランジュはなにをすればいいの!?なんでも言ってちょうだい、栞子!せつ菜!」

かすみ「すっごくやる気… まあ、しょうがないですね。部室を気持ちよく使うためには必要だし、ここでかすみんのお片付けスキルを見せつけたら『きゃあすごーい!やっぱりかすみさんが部長ですゥー!』ってなりますよねぇ」ニシシ

13: 2022/08/14(日) 20:58:15.46 ID:9xoWkzux.net
【出題パート】

しずく「それで、なにをすればいいでしょうか?」

栞子「そうですね。片付けとはいっても大掛かりなことはまた日を改めてしようと思うので、今日やるのは部室の中に散らかっているものを正しい場所に戻したり、各個人の持ち物を持ち主の元に返したりするくらいですね」

ランジュ「なーんだ、そんなことでいいの?それなら楽勝よ」

栞子「ただ、これはスクールアイドル同好会の問題なので、全て部室の中で解決してください。部室の外に物を持ち出したり、外の人に連絡したりしてはだめですよ」

かすみ「はーい」

せつ菜「あと、念のため目安も決めておきましょうか。侑さんをはじめ他の方々は来るのが遅くなるとのことでしたから、これ以上部の誰かが来たら今日の片付けは終わりにして練習に移るとしましょう。全ての片付けが終わってその旨を然るべき相手に報告すること、ここまでが今日の目的です」

ランジュ「無問題ラ!ランジュにかかれば片付けなんてすぐよ!」

栞子「それは頼もしい限りです」

かすみ「じゃー、かすみんはソファらへんから始めますね」トコ…

栞子「あ、待ってください、かすみさん」

14: 2022/08/14(日) 20:59:11.25 ID:9xoWkzux.net
かすみ「なに?」

栞子「まずは部室の中に散らばっている十三枚の紙を見つけてください」

かすみ「え?」

栞子「片付けはそれからです」

かすみ「どういうこと?」

栞子「………」

かすみ「………」

栞子「まずは部室の中に散らばっている十三枚の紙を」

かすみ「いや、うん。それはわかったってば」

栞子「かすみさん、しずくさん、璃奈さん、ランジュで協力して、十三枚の紙を見つけてください。そしたら次にやることが見えるはずです」

ランジュ「ランジュも?紙を探すの?」キョトン

栞子「は、はい」

15: 2022/08/14(日) 21:00:02.00 ID:9xoWkzux.net
かすみ「…え、なにそれ?どういうこと?」

しずく「…?」

璃奈「…?」璃奈ちゃんボード『不可思議』

かすみ「せつ菜せんぱい、しお子がなんか変なんですけど──」

せつ菜「そ、『それぞれの紙はそれなりに大きいので、見ればすぐにわかるはずです。見つけた紙は一箇所に集めておくといいかもしれません』」

かすみ「せつ菜せんぱい、今なんか読んでます?」

せつ菜「よ、読んでいませんよ!!?」ギクッッッ

ランジュ「…?」

かすみ「歩夢せんぱい──」

歩夢「あ、あー、こんなところにも侑ちゃんってば置きっぱなしにしてー」

かすみ「…愛せんぱい──」

愛「ほら、かすかすー。りなりー達も、ちゃっちゃと始めないとエマっちあたりが来ちゃってタイムオーバーになるよ~」

せつ菜「ちょっ… 愛さん!」

かすみ「んなっ… なんですかタイムオーバーって!さては愛せんぱい、なにか知ってますね!?」

愛「知らん知らん。さー、愛さんはこの辺を片付けるので忙しいな~っと」

16: 2022/08/14(日) 21:00:52.39 ID:9xoWkzux.net
かすみ「な… なんなんですか、みんなして!ランジュせんぱいもなんとか言ってあげてくださいよ──」

ランジュ「これも怪しいわね。かすみ、ランジュはもう二枚も見つけたわよ!そっちはどう?」っ紙 ヒラヒラ

しずく「これもそれっぽいよね」っ紙 ヒョイ

璃奈「こんなところにもあった」っ紙 ヒョイ

かすみ「んなーーーっ!!」

かすみ「か… かすみんだって紙くらいすぐ見つけられますけど!ランジュせんぱいにばっかりいいカッコさせませんから!」フンスッ

歩夢 (紙を見つけるの、かすみちゃんの中で「いいカッコ」になったんだ…)

愛 (まあやる気になってくれたんならいーんじゃん?)

せつ菜 (噛まずにセリフを言えました…!)

栞子 (いい感じでしたよ、せつ菜さん)

18: 2022/08/14(日) 21:05:15.64 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「この紙の倍くらいっていうと、ちょうど『あれ』くらいよね。他にそんな大きさの紙なんてランジュは見かけてないわよ」ウーン

かすみ「『あれ』?」チラッ

かすみ スタスタスタ…

かすみ「──もしかして、『これ』!?」

no title


栞子「よく見つけましたね。それです」パチパチ

せつ菜「あっ…」

かすみ「ちょっとせつ菜せんぱい!これかすみん達が使う紙だったみたいですよ!落書きしちゃってー!」

せつ菜「ら、落書きではありませんよ!部室の見取り図です!」アセ

かすみ「おんなじですよ!もー、しお子!使うやつならちゃんと隠しとかないとだめじゃん!」

栞子「すみません。部室の見取り図を描きたくなって、傍に手頃な紙があったもので」シレッ

ランジュ「まあまあ、いいじゃないの、かすみ。これで十三枚揃ったんでしょう?栞子は、これで次にやることがわかるって言っていたけど」

19: 2022/08/14(日) 21:05:47.68 ID:9xoWkzux.net
かすみ「考えるまでもなく丸わかりですよ!」

かすみ「全部の紙になぞなぞ書いてあるんですもん!なぞなぞ解くんでしょ!?」

栞子「さすがです、かすみさん」

ランジュ「すごいわ、かすみってば!天才ね!」

かすみ「だってこれでなぞなぞ解く以外にやることないじゃん!なんなの!?どういうことなの!?部室の片付けは!?」

ランジュ「あ!ランジュ、これはわかりそうよ。かすみはどう?」

かすみ「ちょっ、かすみんだってなぞなぞくらい解けますけど!」

しずく (……よくわからないけど、せつ菜先輩達が用意してくださったレクリエーションかなにかなのかな?)

璃奈 (かもしれない。かすみちゃんとランジュさんも楽しそうだし、私もなぞなぞは好き。頑張る) 璃奈ちゃんボード『メラメラ』


まずは「問 い」~「問 る」の小問を解いてください

解答の方法:
1行目に「解答 問 い」などどの問に対するレスであるかわかるように付記したうえで、続けて答えを書いてください
※答えが合っていればストーリーが進みます
※特に制限時間はありません。次に進んでほしいという声がいくつかあがったら、答えが出ていなくてもストーリーを進めます

20: 2022/08/14(日) 21:07:30.00 ID:kpq46a2D.net
俺は分からん誰か任せた

21: 2022/08/14(日) 21:09:49.18 ID:2qZYAsNB.net
結構むずいなパッと見だと1つも解らん

24: 2022/08/14(日) 21:16:03.89 ID:9xoWkzux.net
【問 り】


璃奈 (問題の形としては割と単純)

璃奈 (なんらかの法則によってそれぞれのひらがなが別のものに読み替えられて、右の言葉になる)

璃奈 (注目するべきポイントは『子供』を表す言葉)

璃奈 (『子供』を表す『のら しら もら』、ぱっと見て気が付くのは全て『ら』で終わっていること)

璃奈 (ひらがなのひとブロックがそれぞれ固まりごとに一文字を表すのだとすれば、つまり、『ら』は母音としての『お』を表す可能性。そうなると、それぞれのひらがなは子音と母音の組合せという推測ができる)

璃奈 (『のら しら もら』が『KO DO MO』になると仮定すれば、『の』が『K』、『も』が『M』になる)

璃奈 (これを一つ目に当てはめると『*O K* *』で『TO KA I』、これも併せて三つ目に当てはめると『*I MI ***』で『HI MI TSU』──辻褄は合う)

璃奈 (ここまで仮定した対応を四つ目に当てはめると、『SA KU SHI』……問 りの答えは『作詞』)

26: 2022/08/14(日) 21:16:22.79 ID:9xoWkzux.net
璃奈「………」

璃奈 (…なんだけど、これでいいのかな)

璃奈 (数列然り、凡例がここまで少ないと、作問者が想定した以外の答えが偶然導けてしまう可能性を否定できない)

璃奈 (作問者がせつ菜さんもしくは栞子ちゃんだとしたら、答えが『作詞』になることに違和感はない。きっと正しい)

璃奈 (だけど確信が欲しい。裏付けが欲しい)

璃奈 (あの二人がでたらめにアルファベットとひらがなを対応させるとは考えづらい。他の解が導かれてしまう懸念をしなかったとは思えない)

璃奈 (きっとなにかある。『ら』が『O』に、『の』が『K』に、そして『も』が『M』になる根拠が──)

璃奈「──────………………!!」ピーンッ…


璃奈「解けた。問 りの答えは『作詞』」

せつ菜「はい、正解です!この問題を解くとしたらやはり璃奈さんだろうと思っていました」

璃奈「任せて。パソコン操作はお手の物だから」璃奈ちゃんボード『ブイッ』


問 りの答え:作詞

27: 2022/08/14(日) 21:16:54.89 ID:9xoWkzux.net
かすみ ウーン ウーン…… ムムム…

ランジュ ??? ラァ……

栞子「………」

栞子「…ちなみに、『答え:』の横に記載しているクエスチョンマークは、答えをひらがなもしくはカタカナで書き起こしたときの文字数です。参考にしてください」

しずく「答えが『桜坂(おうさか)』になる問題なら、クエスチョンマークは四つ書いてあるってことだよね」

栞子「はい」コク

栞子「それと、答えが漢字一字になった場合は『訓読み』をすると思ってください」

璃奈「なぞなぞの答えが『寺』だったら、問題の答えは『じ』じゃなくて『てら』になるってこと」

栞子「ご理解の通りです」コク

しずく「かすみさん達はもうそれぞれ問題に取りかかってるみたいだし、私達も取りかかろうか」

璃奈「うん。私が一番多く解く」

せつ菜 (しずくさんと璃奈さんは、メタ的に状況を理解したうえで付き合ってくださっていそうですね…)

愛 (ま、楽しんでくれてそうだしいーんじゃん?)

歩夢 (かすみちゃんとランジュちゃん、今の注意事項聞いてたかなあ)

28: 2022/08/14(日) 21:17:21.30 ID:9xoWkzux.net
【問 る】


かすみ「『蓑』ってなに?」

栞子「………」

かすみ「この漢字、そもそもなんて読むんですか?」

せつ菜「………」

かすみ「ねー聞こえてるんでしょ、しお子ってば!」トントン

栞子「………っ」プイッ

かすみ「せつ菜せんぱいも、どうして無視するんですか~」ユサユサ

せつ菜「………~~っ…」ググ…

かすみ「『果て』はわかるよ、端っこでしょ?でもこっちの漢字が読めないんだからなぞなぞ解けっこないよ」

かすみ「上でって言ってるから、……『ゆか』?」

かすみ「かすみん達が練習するのは屋上だから、『がっこう』の上かも?」

かすみ「………『ヨガマット』?」

せつ菜「……………!!!」ガタ…

栞子 (耐えて!耐えてください せつ菜さん!私達がアシストするわけにはいきません!) ガシッ

29: 2022/08/14(日) 21:17:36.39 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「これは『みの』よ、かすみ」

かすみ「『みの』ぉ~!?なんですかそれ」

ランジュ「さあ。本物は見たことないけれど、藁みたいなやつだって聞いたわ」

かすみ「ええ、なんですかそれ… なんにもイメージ湧かないんですけど」

かすみ「『果て』の隣で行われて、『蓑』の上で行われる…??」

ランジュ「変ね。果てには隣なんてないはずだわ、だって果てなんだもの」

かすみ「え、どういうことです?」

ランジュ「果てっていうのは領域の最端とか終わりを指す言葉でしょう。そこに隣なんて考えはないのよ」

かすみ「???」

ランジュ「???」

栞子「……………!!!」ガタ…

せつ菜 (抑えてください栞子さん!!もどかしい気持ちはわかりますが、抑えて!) ガシッ

30: 2022/08/14(日) 21:17:55.01 ID:9xoWkzux.net
璃奈「答えは『真似』」

璃奈「ランジュさんの言う通り『果て』に隣って概念は普通ないし、『蓑』は衣類であって敷物とかじゃないから上でなにかするってことは通常ない」

璃奈「つまり、この問題でいう『果て』とか『蓑』は概念や物体のことじゃなくて、ただの言葉」

璃奈「じゃあただの言葉として考えたときに『隣』とか『上』っていう考え方ができるものはなにがあるかっていうと、五十音表が思い浮かぶ」

璃奈「五十音表に当てはめて考えると、『はて』の隣は一意に定まらない一方で、『みの』の上にはそれぞれ『ま』と『ね』がある」

璃奈「『ま』は『は』の隣で、『ね』は『て』の隣だから、『果て』の隣っていう条件にも合致する」

璃奈「つまり、答えは『真似』」

かすみ「???」

ランジュ「???」

璃奈「………」

しずく「大丈夫、璃奈さん。璃奈さんの説明はわかりやすかったよ。私にはそれではっきり伝わったから、璃奈さんは悪くないよ」ドウドウ


問 るの答え:真似

31: 2022/08/14(日) 21:18:29.25 ID:9xoWkzux.net
かすみ「ところで、この紙もなにか使うのかな?」

ランジュ「『ぶしつのなかで みつかったもの』と『空っぽのボックス』ねえ。クイズは書いてないから使わないんじゃないの?」

かすみ「え~、せっかく探させておいて使わないことなんてあります?」

しずく「さすがに使わないなんてことはないんじゃないでしょうか。これ、解答用紙なんじゃないですか?」

璃奈「見つかった問題はそれぞれ『いろは』が振ってある。それに『ぶしつのなかで みつかったもの』にも同じく『いろは』の記載がある。だからしずくちゃんの言う通り、それぞれの問題の答えをここに書き込むんだと思う」

かすみ「そっかあ!このなぞなぞ達って部室の中に散らばっててかすみん達が見つけたんだもんね」

ランジュ「ふうん。じゃあとりあえずクイズを解いて答えをここに書いていけばいいのね。任せてちょうだい!」

璃奈「………?」ム…
っ『を 空っぽのボックス』

かすみ「まー、そういうことですね。りな子、どうかしたの?」

璃奈 (なにに使うかよくわからないけど、ひとまず置いておこう。普通に考えれば、解き進めていくうちに使うタイミングが来るはず)

璃奈「ううん、なんでもない。ひとまず、引き続きみんなで手分けして問題を解こう」

三人「「「おーーっ!!」」」

32: 2022/08/14(日) 21:19:02.08 ID:9xoWkzux.net
【問 ぬ】


ランジュ「………」

栞子 (まずい)

栞子 (またランジュが日本語の問題を引いてしまいました)

栞子 (いくらか一般的でない熟語も採用していますし、ランジュには荷が重い可能性があります) アセアセ

ランジュ「左は、『人』…じゃなさそうね。三つは成立するけれど『人短』なんて言葉知らないもの」

栞子 (私も作問後に見直していて、当初の問題だと『人』でも全て成立してしまうことに気付き、慌てて右を『短』に変更したんですよ。さすがです、ランジュ) ハラハラ

ランジュ「先に右を考えてみるのもアリかしら」フム…

栞子 (ああっすみません!すみませんランジュ!右は特に日常で滅多に使用する機会のない熟語を採用してしまいました)

栞子 (概念としては知っていても、日本語として知らない可能性が大いに有り得る… もしランジュがこの言葉を知らなかったとしたらどうしよう。ランジュの日本語力を考慮していなかった私のミスです…!) ドキドキ

せつ菜 (栞子さんはずっとランジュさんの様子を見ていますね…)

せつ菜 (幼なじみが仲良しなのは最高です!) ペカー

33: 2022/08/14(日) 21:19:18.11 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「ああ、上は『ニンソウ』ね。これで右は解けたわ」

ランジュ「さて左だけれど…」スッ

栞子 ホッ…

栞子 (よかった、日本語としての難易度は右の方が高いはずなので、右が解けたのなら左も解けるでしょう)

栞子 (左も上の熟語があまり一般的ではありませんが、むしろ外国から日本を見たことがあるランジュならば日本人よりも先に思いつきそうなものです) フフ…

栞子「………」

栞子 (ランジュが思いつくのに時間かかったのって『人相』ですか!?『相似』じゃなくて!!??) アレッ⁉

ランジュ「なるほど、『人』じゃなくて『手』ね!」パン

ランジュ「ということは、左が『手』で右が『相』だから、答えは『手相』になるわ!」キャッ

栞子 (私は… ランジュという人のことを未だに見誤っているようです……)

せつ菜 (放心している… よほど自信がある問題だったのでしょうか…)

せつ菜 (しかし、かつて知った幼なじみが自分の想像を超えて成長している展開!くうっ、アツいです!) ウオオオッ


問 ぬの答え:手相

38: 2022/08/14(日) 21:21:25.99 ID:9xoWkzux.net
【問 は】

ランジュ「これって暗号みたいね。さすがに暗号解析はやったことないから、ちょっと苦戦しそうだわ」

ランジュ「栞子!この紙には書き込んでもいいの?」

栞子「はい、構いませんよ。ペンをどうぞ」っペン

ランジュ「谢谢!」

栞子 (あれはそんなに複雑なメモが必要とは思いませんが… いくら日本語が流暢とはいっても、難易度が高かったでしょうか。ランジュはパズルっぽい問題を引いてくれればよかったのですが、こればかりは仕方ありませんね…)

ランジュ カキカキ…… カキカキカキ………

ランジュ カキカキカキカキ………… カキカキカキカキカキ……………

栞子 (…………そんなに書き込むほどの問題では…ないはず……)

栞子 オソルオソル チラッ…

栞子「!?」ギョッ

栞子「ら、ランジュ一体なにを!?他国語への翻訳などしなくても解ける問題ですよ!中国語、英語、フランス語…?と、それは何語ですか!?」

ランジュ「あら、栞子ってば知らないの?これは Lowland Scots、いわゆるスコットランド低地語よ」

栞子「知りませんし、いりませんっ!日本語のままで解く問題ですから!」

ランジュ「そうなの!?」

39: 2022/08/14(日) 21:21:40.96 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「わかったわ!」

──ランジュ「周りに描いてあるイラストがヒントなのね。スリッパと、キュウリと、ゴリラと、クエスチョンマークだから… ………ええと…」

──栞子「スリッパではなくてサンダルですっ」

──せつ菜「栞子さん!?さすがにそこまで言ってはいけないのでは!?」

──栞子「し、しまった… つい…!」

ランジュ「サンダルは『3ダル』、キュウリは『9リ』、そしてゴリラは『5リラ』ってことだから、他には…『ム』があるのね」

ランジュ「『ム』は全部で五つだから、『5ム』。つまり答えは『ゴム』ね!」

ランジュ「きゃあっ、解けたわ!完璧よ、さすがランジュね!」

栞子「こんなつもりでは……」シュン

せつ菜「ま、まあまあ。あのヒントも含めてちょうどいい難易度だったのではないでしょうか」


問 はの答え:ゴム

40: 2022/08/14(日) 21:22:03.82 ID:9xoWkzux.net
【問 と】


しずく (これは… 『??』には共通する言葉が入るんだよね。つまり二文字の果物の名前がそのまま答えになるってことでいいのかな)

しずく (二文字の果物。桃…… 梨…… 柿…… あと栗とか!)

しずく (あれ、栗って果物だったっけ?)

しずく (待って。習ったはず、果物と野菜の分類)

しずく (確か裁判にもなってて、判断軸は主に二つ。木に生るのが果物で地面に生えるのが野菜っていうのが一つ、もう一つは… そう、そのままデザートとして食べるかどうかだったはず)

しずく (栗は木に生るからその観点では果物だよね)

しずく (デザートに食べるかどうか…は、私の家では食べたことないかも…… モンブランだったらデザートに食べるけど、加工してるからそのままじゃない)

しずく (どうしよう、もし栗はデザートで食べないものなんだとしたら果物とは言い切れなくなる。かといって…) チラッ

せつ菜「?」

しずく (だめっ!栗が果物かどうか聞くのはルール違反だと思う。その判断も含めてクイズだよね、自分で考えなくちゃ…!) ブンブンッ

41: 2022/08/14(日) 21:22:20.19 ID:9xoWkzux.net
しずく ハー……

しずく (今の絶対必要ない時間だった。栗が果物かどうかなんて関係ないもの。だって『ゆくり』なんてアイテムはないし、『くりあ』も言葉にはなるけど海産物ではないから)

しずく (いらない時間を使ってしまった…) ハァァ

しずく (…アイテムってなんだろう、他のくくりで表現しづらいなんらかの物体ってことかな)

しずく (それに、どうして『海産物』だけ右側に書いてあるんだろう。しかも字を書く向きすら反対になってる)

しずく (せつ菜さん達に限って書き間違いなんてことないと思うし… なにか意味があるってことだよね)

しずく (『海産物』だけ右側に、しかも反対向きに書いてあるってことは… 『??あ』も左からじゃなくて右から読むってことかも)

しずく (だから、三つ目は『あ』で終わるんじゃなくて『あ』で始まる三文字の海産物ってことじゃないかな。あ、あ…… アナゴ… アジ… あ、あ、あ……アオサ… アワビ…)

しずく (……アワビ…)

しずく「………アワビじゃない!?」

璃奈「!?」ビクッ

しずく「わかった!わかったわかったっ!」


問 との答え:びわ

43: 2022/08/14(日) 21:23:53.04 ID:9xoWkzux.net
【問 へ】


しずく「だるま落としかぁ。こっちのだるまを打って、こっちの青いだるまが弾かれるってことだよね」

しずく「それでだるまは色ごとに弾ける数が違う… あ、左に描いてある2, 1, 4がそうかな」

しずく「えっと、頭の中でやると混乱しちゃいそうかも…」

しずく「栞子さん、これって紙に描きながら解いてもいいんだよね?」

栞子「もちろん構いませんよ。紙がいりますか?」

しずく「ううん、空いたスペースに描いちゃうから平気。ありがとう」

しずく「まず黒の『え』を打つと、青いのが四つ落ちて、『え』が一番右の列の『こ』の位置に代わるでしょ。それで左三列は一段ずつ下がるから、こうなって…」カキカキ…

しずく「次に緑の『げ』は1だから、打ったら黒の『え』だけ落ちて、左の三列が一列ずつ右にずれて…」カキカキ…

しずく「…………最後に緑の『か』を打ったら、えっと…」カキカキ…

https://i.imgur.com/Dl6lXPD.png
https://i.imgur.com/Qa6e0hp.png
https://i.imgur.com/BxklepI.png

44: 2022/08/14(日) 21:24:32.08 ID:9xoWkzux.net
しずく「…これでよし!」フー

しずく「あとは残っただるまの文字を読むだけだね」

no title


しずく「お、ちただ、るました、からよめ…」

しずく「……落ちただるま下から読め?」

しずく「………」ポクポク…

しずく「……!!??」ハッッ

しずく「どんな順番で落ちたかなんて描いてないよ!だって残っただるましか気にしなくていいと思うじゃない、こんなのっ…!」

しずく「そんなのずるいよぉ… まずこうなってたから、落ちただるまを下から読むとすると、『こ』『た』『え』『は』になって、次が…」ウゥ……


しずく「……解けたよ、栞子さぁん…」ヘナ

栞子「お疲れ様でした。とてもいい反応で、作問者冥利に尽きるというものでしたよ」

しずく「嬉しくないもんっ!」


問 への答え:演劇

46: 2022/08/14(日) 21:32:29.22 ID:9xoWkzux.net
【問 ち】


かすみ「うーん…… むむむ…」

しずく「かすみさん、解けそう?どっちが右でどっちが左かわかる?」

かすみ「それくらいわかるよ!ばかにしすぎ!」

ランジュ「親指と人差し指で『L』が作れる方がLeft-hand、つまり左手よ、かすみ」

かすみ「な、なんですか?エル?レフトハンド?」

しずく「東を向いたとき南にあたる方向が右だよ、かすみさん」

かすみ「だからわかんないってば!なんで国語辞書風に教えるの!?お箸とかペン持つ方が右でいいじゃん!」

しずく「左利きの人に配慮がないからその覚え方はあんまりよくないと思うよ」

かすみ「知らないよ!かすみん右利きだもん!」

ランジュ「ランジュは左右どっちでもお箸を使えるわよ。小さな頃に練習したの!」

かすみ「いや知りませんけど!っていうか迷路解いてるから、二人とも話しかけないでってば!」

47: 2022/08/14(日) 21:32:43.63 ID:9xoWkzux.net
かすみ「『一番距離が短いのは何から何の間?』だって」

しずく「距離が短いってなんだろう」

ランジュ「あたし知ってるわよ、こういうときは迷路をスタートからゴールまでまっすぐ向かうの。最短距離で迷路をクリアしろってことね」

しずく「なるほど…!スタートからゴールまでまっすぐ向かうと、『手際短ので?』になりました」

ランジュ「どういう意味?」ハァ?

かすみ「二人とも問題文読んだ?マス無視しちゃったらだめだよ絶対。せっかく迷路解いたら文章になったんだから、違う解き方したら意味ないじゃん」

しずく「む。そんなこと言ったって、じゃあ一番距離が短いのって何?何から何の間なの?かすみさんわかるの?」

かすみ「だからそれを今から考えるんじゃん!」

ランジュ「迷路の外側を通ってスタートからゴールに向かうっていうのもあるのよ」スイー

49: 2022/08/14(日) 21:33:29.70 ID:9xoWkzux.net
かすみ「一番近いのはここの『た』と『物』だよね」

しずく「そうですね… でも迷路を解いて出てきた文章で訊かれていることに対して、そもそもどんな風に答えるのが正しいのかよくわからないんだよね」

ランジュ「『何から何の間?』っていう質問文だから、『これからこれの間』って回答になるはずなのよね」

しずく「でも答えの文字数は五文字ですから、全然収まらないし… クイズの答えとしてあんまりしっくり来る感じでもないというか…」

かすみ「………」ジーッ

かすみ「何から何の間…… で、一番近いのが…」

かすみ「…『た』から『物』」ボソ

ランジュ「え、なあに?かすみ」

かすみ「一番距離が近いのが『た』と『物』なわけじゃん。ってことは、『た』から『物』の間ってことでしょ」

かすみ「答えって『たからもの』でいいんじゃない?」

しずく「えっ?ううん、だから質問文は『何から何の間?』だから、答えるべきなのは……… …あ……」

ランジュ「それよ、それだわかすみ!きゃあっ、さすがね!『たからもの』、うん!文法としてもバッチリじゃない!」

かすみ「えへへ~そうですかぁ?もっと褒めてください~♡」


問 ちの答え:宝物

no title

50: 2022/08/14(日) 21:34:17.84 ID:9xoWkzux.net
【問 い】

璃奈 (これは… あるなしクイズの亜種と見た) ピーン

璃奈 (普通のあるなしクイズは「ある」の共通点だけを探せばいいから、基本的に「なし」は一切見なくていいんだけど)

璃奈 (この小問では両方とも見て、それぞれの共通点を探さなくちゃいけない)

璃奈 (一見、各グループの構成要素にはそれぞれなんの共通点も見当たらない──それぞれの要素を物体として考えるなら)

璃奈 (注目したいのは「群」)

璃奈 (他のものに比べて、これは指すものが不明瞭)

璃奈 (それに栞子ちゃんがくれた注意事項も加味して考えたら、この小問は物体としてよ共通点を探すものじゃなくて……… 漢字クイズ!)

璃奈 (加えて栞子ちゃんとせつ菜さんが作問してるのだとすれば、問題に使用する言葉には注意を払ってるはず。つまり、造語や標準使用されない言葉は採用しない可能性が高い)

璃奈 (そこにさえ気づいてしまえば簡単。私は実在する全ての日本語を網羅してる──) カチッ

51: 2022/08/14(日) 21:34:45.00 ID:9xoWkzux.net
璃奈ちゃんボード ウィィィン…

璃奈ちゃんボード『漢字辞典』 ウィンッ

璃奈 フム……

璃奈「…わかった」

栞子「!」

璃奈「グループAの三文字にそれぞれ共通する字を付けて作れる熟語は、青森・群青・青汁。グループBでは、黒潮・黒煙・黒子」

璃奈「つまり、グループAの共通点は『青』、グループBの共通点は『黒』。そしてこのうち『天井』でも同じことができるのは『青』だけ、だから属するグループはA」

璃奈「答えが漢字一字になった場合は訓読みする──問 いの答えは、『あお』」

せつ菜「おおおっ、さすがです璃奈さん!大正解です!」

璃奈「私の頭脳にかかれば、これくらいお手の物」璃奈ちゃんボード『ヴィクトリー』

愛「よくやったぞ、りなりー。璃奈ちゃんボードに搭載しといた漢字辞典が活きたね!」ヨシヨシッ

璃奈「余計なこと言わないで、愛さん」


問 いの答え:青

55: [ここ壊れてます] .net
【問 に】

しずく (これは割と単純な問題みたい。この漢字の中から作れる物を作っていって、学校になさそうなものが答えってことだよね。うん、簡単簡単♪)

しずく「……」ジーッ

しずく「…………」ジ…

しずく「………………?」

しずく (どうしよう、全然わからない…!) ガーン…

しずく (学校にあるかどうか以前に、そもそもこの漢字を組み合わせてできる熟語が『本日』と『月夜』と『寺本』しか思い浮かばないよ!)

しずく (『本日』って学級会とかではかしこまった言葉を使うから『学校にある』もの!?『月夜』は学校にも等しく訪れるけど、どっちかというと学校の外側にあると思うんだけど…!『寺本』って人名だよね、クラスにいないこともあると思うけど学校単位で考えたら一人くらいはいるはずってこと!?)

しずく (っていうか、まず漢字が八つより多いんだけど!これじゃ漢字が余るけど、余ったものは考えなくていいってことなのかな!?)

しずく (えーんっわかんないよぉ……!!!)

56: 2022/08/14(日) 21:41:54.95 ID:9xoWkzux.net
しずく (『二字の物を作り』って、そういうことだったんだね… 恥ずかしい…) ズーン

しずく (『日・寺、計』で『時計』、『木・奇、子』で『椅子』、そして『本、木・月・月』で『本棚』………)

しずく (こんなのちょっと考えれば当たり前なのに、どうしてすぐに思いつかなかったんだろう)

しずく (この三つを作ったら、残る漢字は『門、音、夜』で、この漢字を組み合わせてできるのは『闇夜』)

しずく (『月夜』と同じで、ものすごく拡大的に解釈すれば夜の学校とかに『闇夜』は存在するって主張することもできるけど、わざわざ問題文に『二字の[物]を作り』って書いてある。『闇夜』と他の三つなら[物]じゃないのは絶対に『闇夜』だもんね)

しずく (答えの文字数も合ってる。さすがに間違いないかな)

しずく「時間かかっちゃったけど解けたよ。答えは『やみよ』だよね」

栞子「はい。正解です」

しずく「よかった。…はぁ…」ニコ…

せつ菜 (なぜあんなに憔悴しているのでしょうか…)


問 にの答え:闇夜

57: 2022/08/14(日) 21:42:47.32 ID:9xoWkzux.net
【問 ろ】

かすみ「さ、め?わ、た…?」

かすみ「なんで『め』だけ英語で、しかも横向きなの?」

かすみ「ねーしお子、これ書き間違いじゃない?『め』だけ変なんだけど」っ紙

栞子「どれですか? ……いえ、書き間違いはなさそうです。この表記で合っていますよ」

かすみ「えー!だってこんなの意味わかんないよ!」

栞子「とは言われても、そういう問題ですから…」

栞子「なぜ『め』だけがローマ字表記なのか、そして向きが異なるのか。それも含めて問題ということです」

栞子「…おっと、少し喋りすぎたでしょうか…」

かすみ「んんんん…… どういうことぉ……??」

栞子 ソワソワ…💦

愛「だいじょーぶ、だいじょーぶ。かすみん一人じゃ難しいかも…ってか今のままじゃ解けないけど、他のが解き終わったらみんな加勢に入るはずだから」

栞子「は、はい」

59: 2022/08/14(日) 21:43:08.33 ID:9xoWkzux.net
かすみ「………??」

栞子 ソワソワ…

愛「んー、ちょい時間かかってるね。しゃーないからちょっとだけサポートしよっか、しおってぃー」ポン

栞子「!」パァ

栞子「かすみさん、お一人で解けないときには視点を変えてみるのも手ですよ。他の問題を見てみるというのはどうでしょうか」コホン…

かすみ「だめ!他のなぞなぞ見てる間にランジュせんぱいが解いちゃうかもしれないもん!」グヌヌッ

栞子「!?」ガーンッ…

栞子「せ… せっかくサポート…した、のに……」グスン

愛「あーあー、よしよし。かすみんの意地っ張りが強かったね。んじゃ…」

愛「りなりー、そっちどう?ちょいかすかすの問題一緒に見てあげてよ」

かすみ「んなあっ!?ちょっと愛せんぱい!」

璃奈「うん、わかった」トテテ

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんですから!」ムキー

栞子「そっちですか!?」

璃奈 (かすみちゃんに聞こえそうなときだけ呼び方変えて。いじわるだなあ)

60: 2022/08/14(日) 21:43:34.47 ID:9xoWkzux.net
かすみ「こんななぞなぞなんだけど、りな子わかる?」

璃奈「見せて」

璃奈 ジ…

璃奈 (『さ、ME、わ、た』。問題文もなくて、これだけじゃ問題として情報が足りないけど…) チラッ

愛 ニカッ

璃奈 (やっぱりそう。愛さんは私のサポートがあればこの小問を解けると見越して声をかけてくれたんだ。ってことは、日常的に私が馴染んでるものがヒントになる、もしくはかすみちゃんにはなくて私だけが持ってる情報がヒントになる──あっ) ピーンッ

璃奈「かすみちゃん、ここ見て」トン

かすみ「『問 ろ』って書いてあるだけだけど、これがなに?」

璃奈「他の問題用紙と見比べたらわかるけど、この『問 ろ』だけフォントが違う」

かすみ「フォント?って明朝体とかそういうやつだっけ」

璃奈「そう。他の問題用紙は游ゴシック体なのに対して、この『問 ろ』の文字だけHGP明朝体Eで書かれてる」

かすみ「いやフォントの名前はわかんないけど… ほんとだ、他のと違うみたい」

61: 2022/08/14(日) 21:43:56.34 ID:9xoWkzux.net
璃奈「一見問題文もなくて解くための取っかかりがないように見えるけど、『問 ろ』に限ってはこの文字自体が問題文になってる」

璃奈「私が取ったこっちの小問を見て」っ紙 スッ

かすみ「問 ほ?うわ、字がいっぱい書いてある…」

璃奈「見てほしいのはここ。『ひらがな→カタカナ→ローマ字→漢字』、ここのフォントが『問 ろ』の文字と同じHGP明朝体Eになってる」

かすみ「ほんとだ、なんかしゅるっとしてて似てるかも」

璃奈「つまり、問 ろには隠された問題文『ひらがな→カタカナ→ローマ字→漢字』が書かれてるってこと」キリッ

かすみ「おーっ、りな子すごい!探偵みたい!」キラキラ

璃奈「そんなに褒めたら照れる。ここまで情報が出揃ったんだから解こう」璃奈ちゃんボード『よせやい』

かすみ「うんっ!」

62: 2022/08/14(日) 21:44:20.32 ID:9xoWkzux.net
かすみ「『さ、わ、た』はひらがなをカタカナにすればいいんだよね」カキカキ

かすみ「『ME』は?『目』でいいの?」カキ…

璃奈「………うん、いい」

璃奈「『め』って読む漢字は複数あるけど、これも問 ほの中で明示されてる。『ME』は『目』に変換するので間違いない」

かすみ「ってことはこれで…… …これで?」

璃奈「待って、かすみちゃん。『ME』は横向きに書かれてるから、『目』も横向きに書くのが道理。だから全て変換したらこうなる」カキ…






かすみ「んー…りな子ってこんなに字ヘタだっけ」

璃奈「わかりやすいようにわざと崩して書いたの」イラッ

かすみ「わかりやすいように…… あっ!わかった!漢字の『夢』になるんだ!」

璃奈「そう。答えは『夢』──」キリッ…

かすみ「うわ~っ解けたーー!かすみんってばすごーーーい!!」

璃奈「………」

愛「お疲れさん、りなりー。ナイスな issueだったね」b グッ

璃奈「…ありがとう」

栞子 (それでは作問側を褒めるのに近いのでは?)

せつ菜 (この場合は、issueはあまり適しない単語のチョイスですね…) モヤモヤ


問 ろの答え:夢

64: 2022/08/14(日) 21:47:48.74 ID:9xoWkzux.net
【問 ほ】


璃奈 (この小問は他に輪をかけて単純みたい)

璃奈 (あくまでも線を引くのはここに書かれたルールの通り。それさえ気を付ければ特に難しいこともない…)

璃奈「………?」

璃奈 (…たいしたことじゃない、かな)

璃奈 (『ベ』から線を引けるのはない、『ツ』は…『津』があるけどカタカナと漢字だから線は引かない。『戸』は『と』って読むけど、これも漢字とひらがなだから線は引かない…)

璃奈「………」キュ… キュ……

璃奈「…できた。結局線が引けたのはほんの数本」

璃奈「浮かび上がった文字は『ス』『フ』『レ』、問 ほの答えは『スフレ』」

栞子「正解です。璃奈さんには少々簡単だったでしょうか」

璃奈「難しくはなかったけど、慎重になる必要があった。いい問題」

栞子「それはなによりです」ニコ


問 ほの答え:スフレ

no title



※「問 ほ」より先に「問 ろ」が解かれることを想定していませんでした。そのせいで会話や思考が少々流れと噛み合わなくなっていますが、ご容赦ください

65: 2022/08/14(日) 21:48:27.75 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「さあ、他には!?解けないクイズがあるならランジュがズバッと解いてあげるわ!見せなさい!」

かすみ「こっちはもう残ってないですよ。しず子は?」

しずく「私もみんな解き終えちゃった。璃奈さんは?」

璃奈「私も全部解いた」

かすみ「ってことは、なぞなぞ解き終わったんだ!」

ランジュ「なによぅ、もう終わっちゃったの?もっとやりたかったのに」

かすみ「ふふん♪かすみん達にかかればこれくらいなんてことありませんでしたね」

栞子「盛り上がっているところに悪いのですが、まだ終わりではありませんよ」

ランジュ・かすみ「「へ?」」

栞子「今日の目的をもう忘れてしまいましたか?クイズを解いただけで部室を片付けたつもりになってもらっては困りますよ」

ランジュ「ああ、片付けね。そんな話もあったわねえ」

せつ菜「そんな話というか、当初から目的は一貫しているのですが…」

66: 2022/08/14(日) 21:49:05.35 ID:9xoWkzux.net
かすみ「いや!そもそも部室を片付けるっていうのにクイズ解いてるのがおかしいんじゃないですか!?」

栞子・せつ菜 ギクッッ

せつ菜「さ、さあ。ちゃきちゃき進めなければ誰かが来てタイムオーバーになってしまいますよ!」

かすみ「あーっ!せつ菜せんぱいがまたごまかした!」

せつ菜「ご… ごまかしてなどいませんっ!」アセアセ

しずく (そっか、今日の目的──このゲームの目的…)

璃奈 (ってことは、つまり…)


【二番目の謎】
次にやるべきことを明らかにして、指示をしてください

行動指示の方法:
1行目に「行動指示」と付記したうえで、可能な限り具体的に取りたい行動を指示してください。指示が曖昧な場合、不正解と見なします
※指示が正しければストーリーを進めます
※指示のしかたについてヒントが欲しいという声があがったら、ヒントを提供します(求める厳密性が高いので、遠慮なくレスしてください)
※次に進んでほしいという声がいくつかあがったら、答えが出ていなくてもストーリーを進めます

68: 2022/08/14(日) 21:51:09.42 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「って言っても、もうクイズは解き終わったんだからやること残ってないわよね?」

かすみ「そうですね。片付けしろって言うけど、そもそもなぞなぞ解くように言ってきたのもしお子達ですし」

ランジュ「これ以上なにをしろっていうのかしら…」

璃奈「みんな、いい?」ノ スッ

璃奈「小問はみんな解いたけど、まだ使ってない紙がある」
っ『を 空っぽのボックス』

かすみ「あ、そういえば…『空っぽのボックス』かぁ、なんだっけ?これ」

ランジュ「でもこれはクイズじゃないんでしょう?だったら関係ないわよ」

しずく「栞子さん達がクイズと一緒に用意した以上、そんなことはないと思いますけど…」

ランジュ「そんなこと言ったって、これをどう使うっていうの?」

しずく「それは、ううん…」

璃奈 ムム…

かすみ「ねーりな子、なにか考えてることあるでしょ?」

璃奈「えっ」

ランジュ「そうなの?だったら言いなさい。ランジュが聞いてあげるから」

しずく「璃奈さんが考えてることをみんなで考えたら、答えが出るかもしれないよ」

璃奈「…うん」コク

69: 2022/08/14(日) 21:51:41.22 ID:9xoWkzux.net
璃奈「普通に考えれば、これは解答用紙だと思う」

かすみ「解答用紙?」

璃奈「そう。小問の答えをここに書き込んでいくことで、色のついた部分になんらかの文章ができあがる──って考えるのが自然」

璃奈「今回の目的は部室の片付け。部室の中で見つかったものを空っぽのボックスにしまうっていうのは、目的から考えても合致してる、と思う、けど」

かすみ「え、部室の中で見つかったものってボックスにしまうのでいいんだっけー……?」ン…

かすみ (部室の中で見つかったもの…… 部室の中に散らかってたもの……)

かすみ「っていうか解答用紙ってこれだよね!?」
っ『ぶしつのなかで みつかったもの』 ピラ

璃奈「そう、それがわからない。『ぶしつのなかで みつかったもの』が解答用紙なのは間違いないと思うけど、そしたら解答用紙が二枚あることになる」

しずく「わざわざ二枚に同じことを書かせる理由がわからない、ってことだね」

璃奈 コクン…

ランジュ「理由がわからなくても、とりあえず書き込んだらいいんじゃないの?書き込んで璃奈の想像通りになったらそれでいいじゃない」

しずく「そんな、理由もわからず書き込むなんて… でも、この状況ならそれもアリなんでしょうか…」

かすみ「りな子、書き込んじゃだめ?」

璃奈「書き込むのは別にいい。鉛筆で書けば間違ってても消せるから。ただ、」

かすみ「じゃあさっそく書き込んでみましょうよ!違ったらまた考えればいいんですから!」

70: 2022/08/14(日) 21:52:05.72 ID:9xoWkzux.net
しずく「そ、そうだね。そうだよね」

かすみ「じゃー、いざっ!えっとー、まずは『青』でぇ」ンー

かすみ「……ん?」

ランジュ「どうしたの?」

かすみ「『青』ってどこに書き込めばいいんですかね…」

ランジュ「好きなところに書き込んだらいいわよ。ああっでも待ってちょうだい、『ゴム』と『手相』はランジュが書き込むわ!」

しずく「好きなところに書き込んでいいわけではないと思います。こういうのは上から順に書き込むんじゃ… あれ?」

かすみ「…りな子」

璃奈「そうなの」

璃奈「私達が解いた小問の答えは、二文字が五つ、三文字が四つ、四文字と五文字が一つずつ」

しずく「欄が全然合わない…」

かすみ「そもそも二文字を書き込むところなんてないんだけど」

ランジュ「ええ、そうなの?見せて」ズイ

71: 2022/08/14(日) 21:52:58.23 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「…ホントだわ。璃奈が言った数と全然違うわね。三文字の欄が五つと、四文字の欄が四つ、それに五文字と… 六文字の答えなんてなかったはずだものね」

しずく「……ん?」

璃奈「あ」

しずく「璃奈さん!」

璃奈「う、うん」

かすみ「へ、なに?どうしたの?」

璃奈「わかった、かも」カキカキ…

ランジュ「あら璃奈ってば、結局書き込んじゃうの?ランジュの『ゴム』と『手相』も忘れずに書いてね」

璃奈「…できた。こう」

かすみ「んー…?『いあお』、『ろゆめ』、ってこれなに?なぞなぞの答えとちがくない?」

璃奈「各小問の答えとは違う」

璃奈「でも、これは『空っぽのボックス』だから、入れるべきは小問の答えじゃなくてあくまでも部室の中で見つかったもの」

璃奈「部室の中で見つかったものをもう一度よく見て」

72: 2022/08/14(日) 21:53:47.79 ID:9xoWkzux.net
かすみ「『い 青』、『ろ 夢』、『は ゴム』………って、もしかして…」

璃奈「そう。『ぶしつのなかで みつかったもの』に小問の答えを書き込むことで、それぞれ『青』は『い 青』に、『夢』は『ろ 夢』に変わった」

璃奈「ただ解答用紙が二枚あったわけじゃなくて、『ぶしつのなかで みつかったもの』が一枚目の解答用紙で、それを埋めることで二枚目の解答用紙『空っぽのボックス』に書き込むべきものが明らかになる仕組みだった」

かすみ「ほえー!りな子ってばすご~い!」

しずく「これに気づいたのはランジュさんのおかげだよね」

ランジュ「え、ランジュ?」

璃奈「うん。ランジュさんが『空っぽのボックス』の解答欄の数を整理してくれたから、ちょうど小問の答えと一つずつずれてることに気づけた」

ランジュ「あらっそうなの!ふふん、やっぱりランジュがいないとだめなんだから!」ニコニコ

ランジュ「それで、解答用紙が埋まったってことは璃奈の想像通りってことよね。次はなにをすればいいの?」

しずく「璃奈さんの考えが正しかったことは、他でもない空っぽのボックス──ううん、空っぽだったボックスが証明してくるてる。色のついた部分に、ちゃんとした文章が出てきてるよね」


『あゆむにふえわたしてね』


璃奈「次の指示は、これ」

https://i.imgur.com/kPxAe3k.png

73: 2022/08/14(日) 21:54:49.06 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「あゆむに… 『歩夢に笛渡してね』、かしら?」

璃奈「そう読める」

しずく「………」チラッ

歩夢 ニコニコ

かすみ「歩夢せんぱーい、なにか欲しいものありますか?」

しずく「ちょっとかすみさん!?」

歩夢「え、欲しいもの?そうだなぁ、別にないよ。ありがとう、かすみちゃん」ニコッ

かすみ「…あれー?」

ランジュ「………」

しずく「もうっかすみさん!これは謎解きなんだから、そういうことじゃないんだよ!」

かすみ「謎解きってなに!?部室の片付けじゃないの!?」

璃奈「そろそろ察してもいいと思う」

かすみ「りな子までぇ!?」

74: 2022/08/14(日) 21:55:13.34 ID:9xoWkzux.net
しずく「でも笛ってなんだろう、体育で使うホイッスルとかかな」

かすみ「えー、先生に借りてくればいい?」

璃奈「だめ。片付けは部室の中で解決する必要があって、外に出ちゃいけない」

かすみ「そんな堅いこと言わなくていーじゃーん!」ブゥ

璃奈「堅いことじゃなくてそういうルール」

かすみ「ほぇ、そうなの?」

しずく「でもスクールアイドル同好会ではホイッスルなんか使わないし、他に笛なんて部室にないよね…」

ランジュ「ねえ歩夢、笛が欲しいの?」

歩夢「え?う、うーん… どうかな。欲しいわけじゃないけど、そうだね…」

かすみ「ランジュせんぱい、さっきのやり取り聞いてなかったんですか?」ジト…

しずく「ランジュさん、これは謎解きなので…」

ランジュ「よくわからないけど、歩夢に笛を渡せばいいんでしょう。笛ならなんでもいいのよね?」

かすみ「へ」

ランジュ「愛」クルッ

せつ菜「!」

栞子「…!」

愛「ん、どしたん?ランジュ」

ランジュ「あなたさっき小さなクラリネットを見せてくれたわよね。あれ、借りてもいいかしら」

璃奈「!」

75: 2022/08/14(日) 21:55:44.61 ID:9xoWkzux.net
愛「あはは、小さなクラリネットって。リコーダーね。はい、どうぞ」っリコーダー

しずく「あっ…!」

ランジュ「そうそう、リコーダーって言ったわね。谢谢」

ランジュ スタスタ…

ランジュ「はい、歩夢。笛よ」スッ

しずく ドキドキ…

歩夢「わぁ…!ありがとう、ランジュちゃん!」パァ

歩夢「これ、侑ちゃんから借りてたけど見当たらなくなってたの。よかった、探してたんだぁ」

ランジュ「そうだったの?もう、歩夢ってば。大事なものなら手放さないようにしなさい」

歩夢「うん、気をつけるね」ギュッ

かすみ ポカン…

しずく「なるほど、笛というのは愛さんが始めに見せてくださったリコーダーのことだったんですね…」

かすみ「…リコーダーって…… 人の借りることあるの…?だって、吹くとき口つけるんだよ…?」

璃奈「歩夢さんに私物の片付け任せたの……」

しずく「二人とも。もういいよそれは、考えないようにしよう」ポン

76: 2022/08/14(日) 21:56:45.26 ID:9xoWkzux.net
歩夢「ランジュちゃん達、お片付け順調みたいだね」

ランジュ「当然よ!ランジュが手伝ってるんだもの」

歩夢「うふふ、頼もしいね」

歩夢「今日やるべきお片付けが全部済んだら、然るべき人に報告してね。それで今日のお片付けは完了になるよ」

しずく「っと、そうでしたね。まだこの謎解きは終わりじゃないんでした」

かすみ「片付けが終わったら報告しなくちゃいけないんだ。えっと、…誰に?」

ランジュ「ランジュ?」

かすみ「なんでですか」

歩夢「リコーダーを見つけてくれたお礼に、私の知ってることを教えるね。お片付けが終わったことを報告するべき人は、部室の中に隠れてるみたい。それが誰なのか突き止めて、お片付けが全部済んだらその人に報告してね」

歩夢「頑張ってね、みんな」

77: 2022/08/14(日) 21:57:45.92 ID:9xoWkzux.net
歩夢「侑ちゃんのリコーダー……うふふ… 覚えてる?リコーダーの内部には吐息が結露して湿気が溜まりやすいから、カビやすいんだよ。定期的に分解して洗浄してあげないと、侑ちゃんが口をつけるものなんだから常に清潔に保っておかないとね」ウフフ…

しずく「──と、アドバイスを下さったきり歩夢さんは向こうの世界に旅立たれてしまいました」

かすみ「あれ、ほっといていいの…?」

ランジュ「歩夢は本当に侑のことが好きなのね。羨ましいわ」

璃奈「歩夢さんのおかげでやるべきことが見えてきた」

璃奈「次にやるべきことは、部室の中に隠れてる人が誰なのか突き止めること」

ランジュ「きゃっ、かくれんぼね!?いいわよ、ランジュが隅から隅まで見て回るわ!」ガタ

かすみ「待ってくださいランジュせんぱいぃっ!さすがに私もわかってきました、そういうことじゃないと思いますぅ!」ガシッ

しずく「部室の中に隠れてる人を突き止めて、片付けが終わったことを報告する… これが最後にやることだね」

璃奈「みんな、もう一息。頑張ろう」

「「「おーーっ!!」」」


【最後の謎】
「然るべき人」を突き止めて、片付けが終わったらその人に報告してください

報告の方法:
1行目に「報告」と付記したうえで、続けて報告する相手を書いてください
※極論、人物名を五月雨式に書き続ければ答えに辿り着きます。皆さんの中で謎解きが充分にできたかどうかを判断するため、報告相手に同意したい場合にはそのレスに安価をつけてください。正しい報告相手に数名の同意が集まったら、ストーリーを進めます
※ヒントが欲しいという声があがったら、メンバーが答えに辿り着く少し前までストーリーを進めます
※次に進んでほしいという声がいくつかあがったら、答えが出ていなくてもストーリーを進めます

78: 2022/08/14(日) 22:00:01.86 ID:9xoWkzux.net
>>32
すみません、
直前で問題の一部を変更したのですが、その内容を本文に反映させ損ねていました
些事ですが訂正しておきます
※「短」ではなく「札」が正しい内容です



【問 ぬ】


ランジュ「………」

栞子 (まずい)

栞子 (またランジュが日本語の問題を引いてしまいました)

栞子 (いくらか一般的でない熟語も採用していますし、ランジュには荷が重い可能性があります) アセアセ

ランジュ「左は、『人』…じゃなさそうね。三つは成立するけれど『人札』なんて言葉知らないもの」

栞子 (私も作問後に見直していて、当初の問題だと『人』でも全て成立してしまうことに気付き、慌てて右を『札』に変更したんですよ。さすがです、ランジュ) ハラハラ

ランジュ「先に右を考えてみるのもアリかしら」フム…

栞子 (ああっすみません!すみませんランジュ!右は特に日常で滅多に使用する機会のない熟語を採用してしまいました)

栞子 (概念としては知っていても、日本語として知らない可能性が大いに有り得る… もしランジュがこの言葉を知らなかったとしたらどうしよう。ランジュの日本語力を考慮していなかった私のミスです…!) ドキドキ

せつ菜 (栞子さんはずっとランジュさんの様子を見ていますね…)

せつ菜 (幼なじみが仲良しなのは最高です!) ペカー

80: 2022/08/14(日) 22:14:43.86 ID:9xoWkzux.net
かすみ「それで、部室に隠れてる人って誰だろう。どうやって探せばいいかわかる?」

璃奈「謎解きのルールに則るなら、ここまでに出てきた情報を使うことになると思う」

しずく「ここまでに出てきた情報… でも、私達がやったことって問題を解くくらいだよね。もう使ってない紙も残ってないし、新しい情報なんて…」

ランジュ「やっぱり部室のどこかに誰かが隠れているのよ!彼方じゃないかしら?」ガタ…

かすみ「だーかーら~……」ハァ

璃奈「…ううん、いいかもしれない」

璃奈「実際こうして手元にあるものだけ眺めてても考えが進まないんだから、違う動きをしてみよう」ガタ

しずく「それもそうだね。愛さんのリコーダーみたいに、なにか見落としてるものがあるかもしれないし」ガタ

かすみ「…まあ、二人がそう言うなら」ガタ…

栞子 (かすみさんもすっかり謎解きに馴染んでくださいましたね。ランジュだけは、まだあまり理解していなさそうですが…)

せつ菜 (純粋な方ですからね。片付けをと言われれば片付けとしか思わないのでしょう)

栞子 (やれやれ…)

84: 2022/08/14(日) 22:25:34.21 ID:9xoWkzux.net
しずく「うーん…」ゴソゴソ…

璃奈 ゴソゴソ…

ランジュ「彼方?いるんでしょう?……あら、いないわね」シュン


ウーン…… ウーン……


かすみ「ったはぁ~、全っ然なんにも新しいもの見つからないじゃん」

かすみ「最初に紙を探したとき部室の中はみんな見たもん、不自然なものがあったらそのとき気づいてるって」

しずく「かすみさん、そんなこと言ったってしょうがないでしょ。探すのに飽きちゃったんだったら問題を振り返ってヒントがないか探してくださーい」ゴソゴソ…

かすみ「むー。わかったよぉ…」

かすみ (って言っても、かすみんが解いたなぞなぞには変なとこなかったしなぁ) ピラ…

かすみ (だいたい部室の片付けーとか言ってたのにいつの間にかなぞなぞ?謎解き?やってるし、どういうことなの)

かすみ (部室に散らかってたもの片付けるとか言って、そもそもこの紙を部室に隠したのしお子ってことだよね。自分で散らかして自分で片付けるって、あれだよ。あの、えっと… ヒッチハイク…みたいな……)

かすみ カサカサ…

かすみ「………ん…」

85: 2022/08/14(日) 22:27:50.29 ID:9xoWkzux.net
『ぶしつのなかで みつかったもの』

かすみ ジッ…

『を 空っぽのボックス』

かすみ ジーッ…

かすみ (なんだっけ、なんかさっき…ちょっと変な感じしたんだよね…)

かすみ (なんのときだっけ。確かりな子がなにか言ってて…)


──璃奈「今回の目的は部室の片付け。部室の中で見つかったものを空っぽのボックスにしまうっていうのは、目的から考えても合致してる、と思う、けど」


かすみ (あ、そうだ。部室の中で見つかったものをボックスにしまうっていうのがなんとなくピンと来なかったんだ)

かすみ (みんなのボックスって自分達の持ち物を入れるために用意したんだから、誰のかわかんないものを入れるのがあんまりしっくり来なくて… って!だからかすみんボックスは私物入れとして用意したものじゃないんだけど!?)

かすみ (…っ、いけないいけない。今はそうじゃなくて) ブンブンッ

かすみ (部室の中で見つかったものは… つまり、部室の中に散らかってたもの……)


──栞子「そうですね。片付けとはいっても大掛かりなことはまた日を改めてしようと思うので、今日やるのは──」


かすみ「!!」ハッ…

86: 2022/08/14(日) 22:29:50.99 ID:9xoWkzux.net
かすみ「そうだよ、それじゃない!?」

しずく「えっなに!?」ビクッ

ランジュ「なになに、かすみなにかわかったの?」

かすみ「うんったぶん!でもだからなんなのかわかんない!みんなこっち来て!」

璃奈 トトト…

かすみ「しお子、いい?」

栞子「はい。なんでしょうか」

かすみ「部室の片付けをするのが目的って言ったよね?」

栞子「そうですね。部室の片付けを済ませ、然るべき人に報告することが今日の目的です」

かすみ「具体的に『部室の片付け』ってなんなのか、もう一回教えて」

栞子 (ほう…) ニヤッ

88: 2022/08/14(日) 22:30:53.13 ID:9xoWkzux.net
栞子「それでは改めてお伝えしますが、今日皆さんにしてほしい片付けとは、部室の中に散らかっているものを正しい場所に戻したり、各個人の持ち物を持ち主の元に返したりすることです」

かすみ「このなぞなぞの紙って、『部室の中に散らかってたもの』だよね!?」っ紙 バッ

栞子「そうですね。そう解釈していただいていいと思います」

璃奈「……!」

かすみ「わかった!?」

璃奈「わかった」コク

かすみ「わかったって、ありがと しお子!」

栞子「いえ。お役に立てたのならなによりです」

89: 2022/08/14(日) 22:31:54.24 ID:9xoWkzux.net
かすみ「さっき『ぶしつのなかで みつかったもの』を『空っぽのボックス』に埋めたとき、なんか変だなーって思ったんだ。ボックスって私物入れだから、そういうんじゃないと思って」

璃奈「なるほど。そうやって誘導された節があったから気づけなかったけど、言われてみたらその通り」

しずく「実際に歩夢さんへの指示は出たから間違った行動ではなかったんだと思うけど、それで終わりじゃなかったってことだね」

璃奈「たぶん、なにかある。『空っぽのボックス』よりももっと部室の中で見つかったものをしまうのに適したなにかが」

璃奈「それを探して」

かすみ「わ、わかった!」

ランジュ「…?」

しずく「ランジュさん、さっきみんなで解いた問題の答えをこっちの紙に書きましたよね。それで、頭文字をつけたうえで『空っぽのボックス』に書き込んで歩夢さんへの指示が出たんですけど──」

ランジュ フンフン…

かすみ「部室に散らかってたものは、部室の正しい場所に戻す……」

璃奈 (正しい場所… とは言ってもこれらの小問は元々部室にあったものじゃない… 栞子ちゃん達が用意したもの…)

しずく「──なので、改めてこれらを収めるべき『正しい場所』を探したいというところなんです」

ランジュ「我懂了!完璧に理解したわ、ありがとうしずく」

90: 2022/08/14(日) 22:32:55.42 ID:9xoWkzux.net
かすみ「もー、ランジュせんぱいってな~んかのんびり屋さんなんですから。やっと理解したんですかぁ」

璃奈「かすみちゃんだってちゃんと理解したのはついさっき」

かすみ「う、うるさいっ!そんなことないもん!」

ランジュ「確かに、『空っぽのボックス』は入れ物としてかなりお粗末だものね」トン

しずく「お粗末、ですか?」

ランジュ「ええ。かろうじて重心は保たれそうな形だけど、少し触れたら倒れちゃいそうだし」

かすみ「…まあ、ほんとにこんな形で立ってたら、そうですね」

璃奈「………」

ランジュ「平面に置いたってそうよ。こんなに凹凸があるんじゃ、この入れ物自体を置く場所に苦慮するじゃない」

しずく「そう、ですね。かすみさんボックスは変な形ですけど、模して作った私達のボックスは箱なのでどこにでも置きやすいですし」

かすみ「変な形ってなに!?かわいいかわいいかすみんモデルだから!」

ランジュ「ランジュの栞子がこんなに欠陥だらけの入れ物を用意して満足するはずがないわ。そうでしょう?栞子」

栞子「買ってくれるのは嬉しいですが、ふふ… どうでしょうね」

91: 2022/08/14(日) 22:33:57.64 ID:9xoWkzux.net
璃奈「つまりかすみちゃんの意見とランジュさんの意見をまとめると、本来用意されているのは、部室の中に散らかっていたものを戻すべき『正しい場所』を示していて、かつ収納に適した形であるはず──」

しずく「収納に適した形っていうと、箱…かな」

璃奈「立体か平面かわからないけど、箱に近い形だと思う」

しずく「うーん、それはわかったしイメージしやすいけど… 『正しい場所』を示したものって一体なんだろう…」

璃奈「…部室の中に散らかっていたものを戻すべき場所だから、素直に考えれば… 部室内の棚とか箱、もしくは部室全体を示すなにかだと思う」

かすみ「…………あ」

ランジュ「それだったらあるじゃない」

璃奈「え?」

かすみ「待ってください、今かすみんもわかりました!」

ランジュ「きゃあっ、ランジュと同じタイミングで同じものを思い浮かべるなんて、さすがかすみね!」

ランジュ「だったらこれはかすみのお手柄よ」っ紙 スッ

かすみ「そうやって渡されちゃったらお膳立てされたみたいじゃないですかー!」

しずく「それは、『ぶしつのなかで みつかったもの』…?それがなに?」

かすみ「チッチッチ~、見るのはそっちじゃないよ しず子。あるでしょ、部室の形をした四角いもの!」

しずく「……あっ!」

璃奈「部室の見取り図…!」

92: 2022/08/14(日) 22:35:39.10 ID:9xoWkzux.net
しずく「せつ菜さんの落書き…」

璃奈「ただの落書きだと思ってたから、気にしてなかった」

せつ菜「あ、あの… あまり落書き落書きと繰り返すのはやめていただいても…」

ランジュ「ランジュは好きよ、この落書き。まじめなせつ菜らしくていい味が出ているわ」

せつ菜「落書き……」

しずく「すごい、かすみさん!ランジュさん!それで、この見取り図をどうやって使うの?」

ランジュ「え?」

かすみ「え?」

しずく「え?」

しずく「だから、この見取り図を使うところまではわかったけど、実際に謎解きの答えとしてどうやって使うの?」

かすみ「……それはぁ…」

しずく「…かすみさん……」ジト

かすみ「ぅ… だってしょーがないじゃん、わかんないものはわかんないよ!これ見つけただけでも褒めてよねっ!」

ランジュ「よしよし、偉いわ かすみ。ランジュと同じくらい聡明よ」ナデナデ

しずく「むぅ… 私が気づけなかったことに気づいてくれたんだもんね、責めちゃだめだよね… ありがとう。それじゃこれをどうやって使うのか考えよう──」

璃奈「その必要はない」

璃奈「謎は全て解けた」

しずく「り──璃奈さぁんっ…!!」パァァ

93: 2022/08/14(日) 22:37:39.84 ID:9xoWkzux.net
璃奈「せつ菜さんは明らかにこの謎解き作りに関わってるのに、それに使用する紙に落書きなんてするはずがない。栞子ちゃんが軽率にメモ用紙として渡すはずもない。少し考えればわかることだった」

璃奈「部室の見取り図がこの紙に描いてある。それこそが最大のヒント」

璃奈「そして、もう一つのヒントはこの紙の名前」

かすみ「『ぶしつのなかで みつかったもの』?」

璃奈「そう。たいして難しい言葉でもないのに全部ひらがなで書かれてることに、最初から違和感はあった」

しずく「それは、確かに…」

ランジュ「栞子なりのランジュへの配慮でしょう?ありがたいけれど、これくらいなら普通に漢字で書いてくれてもわかるのに」

璃奈「…ランジュさんへの配慮もあったかもしれないけど」

栞子 (お気遣いありがとうございます、璃奈さん。なかったです)

璃奈「改めて見返すとこの紙には違和感しかない」

璃奈「名前がひらがなで書かれてることもそうだし、小問の答えを埋めるはずの欄に関係のない『を』が書かれてることもそう」

璃奈「そして見取り図の『形』まで含めて考えると、浮かび上がる答えは一つ」

璃奈「これは、部室の見取り図に見せかけた五十音表」

94: 2022/08/14(日) 22:39:40.65 ID:9xoWkzux.net
しずく「ご、五十音表…?」

ランジュ「んー……」ジッ

ランジュ「言われてみれば、そうねぇ。日本語の五十音表と同じ形をしてるわ」

かすみ「五十音表って、『あ』から『ん』まで書いてあるあれのこと?えぇ~?」ジッ

璃奈「左に一つ飛び出してるここが『ん』。そして、現代の仮名遣いでは使用しない『や』行の二段目と四段目、『わ』行の二段目から四段目はそれぞれバツが書かれてる」

かすみ「……ほんとだー!?」ガーンッ

しずく「机に椅子にソファが丁寧に描かれてるだけだと思ってたけど、これも行と列の数に誤解がないように描かれてるんだ…」

ランジュ「これが五十音表なのはわかったわ、璃奈」

ランジュ「でも、それがなんなの?ランジュ達がやるべきなのは部室の中で見つかったものの片付けなんでしょう。五十音表がなにかの役に立つの?」

璃奈「立つ。この五十音表こそ、部室の中で見つかったものを収めるべき本来の入れ物だから」

璃奈「部室の中で見つかったものを、部室の正しい場所に戻す。部室… すなわち入れ物が五十音表なら、正しい場所は当然それぞれのひらがなに位置する場所のこと」

璃奈「つまり、部室の中で見つかったものを『ひらがな』にして、五十音表に当てはめる。それこそが、今回の片付けのやり方ってこと──!」

95: 2022/08/14(日) 22:41:40.90 ID:9xoWkzux.net
かすみ「『ぶしつのなかで みつかったもの』ってひらがなで書いてあるのがヒントってこと!?」

璃奈「そう。小問を解いて出た答えをひらがなで書くように、暗に指示されてた」

しずく「不自然に『を』が書かれてるのも、五十音表に埋める必要がある文字の一つだからってことだね」

璃奈「副詞や熟語ならともかく、『を』を含む名詞は現代の日本には基本的に存在しない。だから少し不自然な形で書いておくしかなかったんだと思う」

ランジュ「璃奈がひらがなに直してくれた言葉を、順番に五十音表に埋めていけばいいの?でもそれって単純に五十音表が完成するだけじゃない。なにか意味があるの?」

璃奈「ううん。私の推測が正しければ、いくつか使われてないひらがながあるんだと思う。全部埋めて、埋まらなかった部分がなんらかのメッセージになるはず」

ランジュ「へぇ。色んなことを考えるのね」カキカキ…

しずく「『ごむ』とか『えんげき』みたいに濁点がついてる言葉もあるけど、これは普通に『こ』とか『け』だと思って埋めていいのかな?」

96: 2022/08/14(日) 22:43:59.91 ID:9xoWkzux.net
璃奈「そこにもちゃんと配慮されてる。通常、五十音表には濁りのないひらがなだけが書かれるけど、部室の見取り図と見せかけたことでうまく濁点が紛れ込まされてる」トン

しずく「あれ、ほんとだ。ここは『け』で、ここは『こ』。これは…『ひ』、あっ『びわ』だ… 確かこれって、」


──せつ菜「はい、その辺りはいくらか物が積まれていて使用できないスペースですね。あと、これとこれと…こっちの椅子も少し汚れが目立ったので印をつけておきました」


かすみ「せつ菜せんぱいが椅子の汚れとか言ってたやつだ!」

しずく「うぅ… うまく紛れ込ませてきましたね…」

せつ菜「いつも皆さんで入念に掃除をしているので、目立った汚れなどありません!!」ペカー

璃奈「いい笑顔」

かすみ「むきーっ!」

ランジュ「埋めたわよ、璃奈!」

かすみ「あっいつの間にぃ!?」

璃奈「ありがとう、ランジュさん」

ランジュ「璃奈の言った通り、使われていない文字があったみたい。こことここ、それにここが埋まらなかったわ」

しずく「どれですか?………ああっ、わかりました!」

no title


璃奈「これではっきりした。部室の中に隠れてるのは──せつ菜さん」

せつ菜「はいっ、私です!」

97: 2022/08/14(日) 22:47:01.72 ID:9xoWkzux.net
かすみ「じゃーみんな、いい?」

しずく・璃奈 コクン…

ランジュ「ええ、お願いね かすみ!」

せつ菜 ニコニコ…

かすみ「せつ菜せんぱい、部室の片付け終わりましたよ!」

せつ菜「おおっ、そうですか。ありがとうございます!いやぁ、さすがかすみさん達ですね。他の方が来る前に終わってなによりです」

せつ菜「これで今日やりたかった片付けは──」キョロ…

せつ菜「…おや?」

せつ菜「どうやら、まだ片付けは終わっていないようですね」

璃奈「…………え…?」

せつ菜「ご協力いただいているところに注文をつけて申し訳ありませんが、まだ片付けが終わっていないようなので、全て終わってから改めてご報告いただいてもよいでしょうか」

しずく「え?え??」

せつ菜「お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いします!」ゞ ビシッ


シン……


かすみ「…えっ、どういうこと…?」

98: 2022/08/14(日) 22:47:44.29 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「なにを言ってるのよ、せつ菜。片付けは終わったわ。璃奈達がこんなに頑張ってくれたんだもの」

せつ菜「ははは… はい、皆さんが頑張ってくださったのは私もよくわかっています。ですが、お願いしたことが終わっていないのでは完了報告を受諾するわけにはいきませんから」

せつ菜「もう少しだけ、ご協力をお願いします」ニコッ

ランジュ「………」

ランジュ「ですって。璃奈」

かすみ「ですって、じゃないですよ!なんで納得しちゃったんですか!」

しずく「璃奈さん、これって…」

璃奈「…うん。ちょっと見当がついてないけど、用意されたゲームとしてのタスクが完全に完了してないってことだと思う…」

かすみ「ええ~!?もう充分頑張ったのにぃ!まだなにかしなきゃいけないってこと!?」

ランジュ「いいわよ。なにをすればいいの?」

かすみ「だからそれがわかんないんですってばぁ!」

璃奈「………???」


【本当に最後の謎】
やるべきことを明らかにして、その内容を指示してください
片付けが全て終わったら、改めてせつ菜に報告してください

行動指示の方法:
1行目に「行動指示」と付記したうえで、可能な限り具体的に取りたい行動を指示してください。指示が曖昧な場合、不正解と見なします
※指示のしかたについてヒントが欲しいという声があがったら、ヒントを提供します(求める厳密性が高いので、遠慮なくレスしてください)
※より具体的にヒントが欲しいという声があがったら、メンバーが答えに辿り着く少し前までストーリーを進めます

103: 2022/08/14(日) 23:02:34.33 ID:9xoWkzux.net
かすみ「も~っ、どういうこと!?片付け終わったんじゃないの!?」

ランジュ「部室の中に散らかっていたクイズを解いて、それを部室の正しい場所に戻したのよね。五十音表が間違ってたってことかしら」

しずく「いえ、それで報告するべきせつ菜さんが導き出されたわけですし、さすがに間違っていたとは…」

璃奈「……片付けは、間違ってない。でも、終わってない」

璃奈「ってことは、まだ『他にやるべきこと』がある、んじゃ、ないかな」

かすみ「他ぁ~!?」

しずく「他に、やるべきこと…」

ランジュ「また部室の中を捜索して、クイズを見つけるってこと?」

璃奈「もう二回もやったから、それは… たぶんない……」

かすみ「だってしお子が言ったことに従ったのに、他にやることがあるなんてズルじゃない!?」

しずく「そうだよね。部室の中に散らかってるものを正しい場所に戻してって言われて、それを済ませたのに…」

ランジュ「わからないわ… 他にやることなんて、みんなの持ち物はみんなの手元にあるし……」ウーン…

104: 2022/08/14(日) 23:03:25.68 ID:9xoWkzux.net
璃奈「………………ランジュさん、今、なにを言ったの…?」

ランジュ「へ?」

璃奈「みんなの持ち物が…って、どういう意味?」

ランジュ「な、なによぅ。そんなに怖い言い方しないでちょうだい、ランジュだって一生懸命考えてるんだから…」

璃奈「そうじゃない。責めてない。今、ランジュさんがすごく大事なことを言ったと思う」

璃奈「みんなの持ち物って、どこから出てきた考えか教えてほしい」

ランジュ「へ… へぇ?だって、栞子が言ったじゃない。今日の目的は散らかってたものを正しい場所に戻すのと、みんなの持ち物を持ち主の手元に返すことだって…」

しずく「そっ……… それですよ!!」

ランジュ「ラぁっ!?」ビクッ

105: 2022/08/14(日) 23:04:34.29 ID:9xoWkzux.net
しずく「栞子さんが確かに言っていました、今日の目的!」

璃奈「そっか。今日の片付けの目的は、一つじゃなかった」

かすみ「うあーっ!さっきしお子に目的聞き直したのに!なんで気づかなかったんだろ!?」

ランジュ「な… なに?なんなの?ランジュにもわかるように言ってよ」

かすみ「いやっランジュせんぱいが自分で言ったまんまですよ!まだ片付けは終わってなくて、他にやらなくちゃいけないのは誰かの持ち物をその人に返すことなんです!」

ランジュ「是这样啊!」アイヤー!

しずく「ってことは、皆さんの手元に本人以外の持ち物があるってことだよね。それを元の持ち主に返せばいい!」

かすみ「よ、よーし…!皆さん、手荷物検査をしますよ!お手元の荷物を全部出してください!」


シン…


ランジュ「いいわよ、見なさい!ランジュのカバンにはね、今日は彼方のキーホルダーと果林のネームタグをつけてきたの。それとスマホカバーはエマのシールでデコレーションしたのよ」ゴソゴソ

かすみ「…あ、あれ。ちょっとせつ菜せんぱい、しお子。愛せんぱいも歩夢せんぱいも!手荷物検査を──」

璃奈「かすみちゃん、これはあくまでも謎解きゲームだから。ゲームが始まってから起こったことの中に答えがあるはず」

かすみ「あり、そうなの?」

107: 2022/08/14(日) 23:05:36.16 ID:9xoWkzux.net
璃奈「みんな、今日部室に来てから起こったことを思い出してみてほしい。今ここにいる誰かの手元に、自分以外の他人のものを持ってる人がいるはず」

しずく「今日部室に来てから起こったこと…」

かすみ「最初にせつ菜せんぱいとしお子が部室の見取り図を描いて遊んでたよね」

しずく (遊んでたっけ?)

かすみ「それで部室が狭くなってきたから片付けようって話になって、」

ランジュ「愛がランジュにリコーダーを見せてくれたのよ!」

しずく「そうですね。それもゲームの一環だったってことですよね」

璃奈「その後は栞子ちゃんの指示に従って部室の中から十三枚の紙を探した」

かすみ「うち一枚は『これ』だったんですよね」ジトー
っ『ぶしつのなかで みつかったもの』

せつ菜「あ、あはは…」

108: 2022/08/14(日) 23:06:41.33 ID:9xoWkzux.net
しずく「それからみんなで見つかった問題を解いたんだよね」

璃奈「続いて『空っぽのボックス』が解答用紙であることを突き止めて、部室の中で見つかったものをしまうことで歩夢さんの指示が出てきた」

しずく「出てきたのは『歩夢に笛渡してね』というメッセージで、ランジュさんが愛さんからリコーダーを預かって歩夢さんに渡すというファインプレーがありました」

ランジュ「きゃ、しずくってば。もっと褒めていいのよ」

かすみ「それで歩夢せんぱいからヒントを貰ったんだよね。最後に片付けが終わったって報告する相手が部室の中に隠れてるって」

しずく「うん。そして本来部室の中で見つかったものをしまうべきなのが『空っぽのボックス』じゃなくて『部室の見取り図』だったことに璃奈さんが気づいてくれて、それぞれひらがなを埋めたら部室の中に隠れていたせつ菜さんが見つかった」

ランジュ「だからかすみがせつ菜に片付けが終わったことの報告をしてくれたんだけど、まだやるべきことが残ってるって言われちゃったのよね…」

璃奈「そして今に至る──」

109: 2022/08/14(日) 23:07:42.14 ID:9xoWkzux.net
璃奈「どう?みんな。なにか気づいたことはある?」

かすみ「うーん… やっぱりかすみん達がやったのってなぞなぞとか解いてばっかりだったじゃん。持ち物がどうこうってなんかあったぁ?」

しずく「うん… ほとんど机の上で謎解きしてるばっかりだったから、そもそも道具なんてリコーダー以外は──……」

しずく「…歩夢さんに渡したリコーダーって、愛さんのものなんじゃない?」ハタ…

璃奈「…!」

ランジュ「あっそうよ!ランジュが愛から借りたんだもの!」

かすみ「あーっそうじゃん!ってことは歩夢せんぱいからリコーダー預かって愛せんぱいに返せばいいんだ!」

しずく「そっか!そうだよ!それじゃ歩夢さん──」

璃奈「待って。違う」

110: 2022/08/14(日) 23:08:41.89 ID:9xoWkzux.net
璃奈「そうじゃない。そのリコーダーは愛さんのじゃない」

しずく「えっ、だって… ランジュさんが愛さんから借りて歩夢さんに渡したんだよ?」

ランジュ「そうよ、璃奈。あのリコーダーは元々愛のものなの」

璃奈「違う」


──愛「話し合い中にごめんよっと。ランジュ、見てみ!」

──愛「あはは、やっぱ知らない?これリコーダーっていうんだよ。さっき部室片付けてたら隅で見つけたんだ~」


璃奈「愛さんはリコーダーを部室の隅で見つけたって言ってた」

しずく「あ、あれ… そうだったっけ。それじゃやっぱりリコーダーは歩夢さんのもの…?」

かすみ「あーっ!違う!違うよしず子!」

かすみ「あのリコーダーは愛せんぱいのでもないし歩夢せんぱいのでもない!」


──歩夢「わぁ…!ありがとう、ランジュちゃん!」パァ

──歩夢「これ、侑ちゃんから借りてたけど見当たらなくなってたの。よかった、探してたんだぁ」


かすみ「侑せんぱいのじゃん!!」

111: 2022/08/14(日) 23:09:41.57 ID:9xoWkzux.net
しずく「あっ…!」

ランジュ「そういえばそんなことを言ってたわね。侑から借りたものなんだから大事にしなくちゃって」

璃奈「そう。だからこの部室でまだ片付けが終わってないっていうのは、侑さんのリコーダーが歩夢さんの手元に残ってるってこと──!」

かすみ「あっぶな~、また間違っちゃうとこだった」

しずく「かすみさん、璃奈さん、さすがだね。それじゃリコーダーを侑さんに返せば、今度こそ本当にお片付けは終わりなんだね」

璃奈「そのはず」コク

ランジュ「一度歩夢に渡したものをまた預かるなんて申し訳ないけれど、これはランジュが蒔いた種よね。責任を持って歩夢に謝るわ…!」

かすみ「え。いや、そんな深刻にならなくていいと思いますけど」

ランジュ「いいえ、止めないでかすみ。これはランジュが為すべき義務だから」キッ…

かすみ「あ、はい。お願いします」

ランジュ「…歩夢」ザッ

歩夢「どうしたの?ランジュちゃん」

112: 2022/08/14(日) 23:10:42.23 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「………对不起」ガクッ

ランジュ「さっき歩夢に渡したリコーダーなんだけれど」

ランジュ「あれね、本当は侑のものなのよ。歩夢の喜ぶ顔が見たくてあなたに渡したのだけど、侑に返さなくちゃならないものなの」

ランジュ「一度渡しておきながら恥知らずだと言ってくれてもいいわ。お願い、歩夢。リコーダーをランジュに預からせてもらえないかしら」

ランジュ「この償いは、必ず果たしてみせるから──」

しずく「お、重い…」

璃奈「…『对不起』って確か、よっぽど自分に非があるって感じたときに使うフレーズだったと思う」

かすみ「ええ…」

歩夢「そっか… ちょっともったいないけど、いいよ。ランジュちゃんから侑ちゃんに返してくれるってことだよね?それじゃあ、はい。これ」っリコーダー

ランジュ「歩夢……!!」

ランジュ「…真不知怎么感谢才好……っ」

かすみ チラッ

璃奈「…『私にはどうやって感謝すればいいのかわかりません』」

かすみ「ええ……」

113: 2022/08/14(日) 23:11:43.42 ID:9xoWkzux.net
璃奈「なにはともあれ、これで侑さんのリコーダーが手に入った」

かすみ「あとはこれを侑せんぱいに返すだけ!」

璃奈 コクン


ランジュ「………」ヒュウウウ…

しずく「ら、ランジュさん。そんなところで黄昏れていないで、もう間もなくゲームをクリアできますよ」


璃奈「これが最後の謎。もう一回、ここまでに出てきた全ての情報を全員で振り返ろう」

かすみ「え?今からなにか考えなきゃいけないの?」

璃奈「…かすみちゃん、やっぱり気づいてないんだ」

かすみ「な、なに?」

璃奈「今、この部室に侑さんはいない。すなわち、このリコーダーをいない侑さんにどうやって返すのか、それが私達が最後に考えなきゃいけないこと」

かすみ「いない侑せんぱいにって、あれ… えっと…」

114: 2022/08/14(日) 23:12:59.81 ID:9xoWkzux.net
しずく「かすみさん。栞子さんが言ったこと、覚えてない?」

かすみ「なにか言ってたっけ…?」

しずく「もう。一回しか演らないから、ちゃんと聞いててね」

しずく スゥ──

しずく『片付けとはいっても大掛かりなことはまた日を改めてしようと思うので、今日やるのは部室の中に散らかっているものを正しい場所に戻したり、各個人の持ち物を持ち主の元に返したりするくらいですね』

かすみ「えっしお子…!?いやっ違う しず子だ!」

しずく『ただ、これはスクールアイドル同好会の問題なので、全て部室の中で解決してください。部室の外に物を持ち出したり、外の人に連絡したりしてはだめですよ』

ランジュ「すごい、栞子かと思ったわ…」

しずく『あと、念のため目安も決めておきましょうか。侑さんをはじめ他の方々は来るのが遅くなるとのことでしたから、これ以上部の誰かが来たら今日の片付けは終わりにして練習に移るとしましょう。全ての片付けが終わってその旨を然るべき相手に報告すること、ここまでが今日の目的です』

かすみ「かと思ったらせつ菜せんぱい!?…違うっこれもしず子だ…!!」

しずく「…ふうっ」

かすみ・ランジュ「「おおおーーーっ!!」」パチパチパチ

璃奈 (それができるならさっき栞子ちゃんにもう一回説明してもらう必要なかったのにな)

115: 2022/08/14(日) 23:14:00.85 ID:9xoWkzux.net
しずく「わかった?」

しずく「私達は全てのお片付けを、侑先輩が部室に来る前に、部室から出ることなく、終わらせなくちゃいけないんだよ」

かすみ「それってできるの?」

しずく「できるのか…」

璃奈「たぶん、できるんだと思う」

璃奈「メタ読みするようで悪いけど、栞子ちゃん達がなにも口を出してこないのがその証と考えていいはず」

璃奈「今が状況的に詰んでるんだとしたら、さすがになにかヘルプが入ると思う」

かすみ「ほぇぇ…」

ランジュ「いない侑にリコーダーを返す方法ねぇ」

かすみ「侑せんぱいのとこに持っていくのは」

璃奈「禁止」

かすみ「侑せんぱいに電話するのは」

璃奈「禁止」

かすみ「侑せんぱいが来るまで待ってたら」

璃奈「侑さんが来た時点でゲームオーバー」

かすみ「ぐぬぬぬ……」

116: 2022/08/14(日) 23:14:44.43 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「ゲームが始まってからって、要はランジュ達が部室に来てからってことよね?今日は侑と話していないし、なにをどうしろっていうのかしら」ムム

しずく「やっぱり歩夢さんに預かっておいてもらって、侑先輩に返してもらうようにお願いするとか…」

かすみ「それって元の持ち主に返したってことになるのかなぁ」

しずく「ぅ… ならないよねやっぱり…」

璃奈「それでいいんだとしたら、さっき完了の報告をした時点でその状況だったからクリアになってたはず」

璃奈「歩夢さんがリコーダーをこっちに渡してくれたことからも、なにかしらのアクションが必要な状態だと思う」

ランジュ「どうすればリコーダーを侑に返せるのか…」

117: 2022/08/14(日) 23:15:42.49 ID:9xoWkzux.net
しずく ウーン… ウーーン……

しずく シュルッ

しずく「はいっかすみさん!」っリボン バッ

かすみ「えっなに!?あ、ありがとう!?」

しずく「返して」

かすみ「はあ!?」

しずく「返して!私のリボン!!」

かすみ「しず子が渡してきたんじゃん!かすみん欲しいなんて一言も言ってないでしょ!」っリボン ズイ

しずく「ありがとう」

しずく「……これは、侑先輩がいないとできませんよね…」

かすみ「なに!?なんなの!?」

璃奈「『持ち主に返す』って行為を実際にやってみたんじゃないかな」

しずく「そうだよ。今みんなでなにを考えてると思ってるの?かすみさん」

かすみ「絶対かすみんが悪いんじゃないもんー!」ンキーッ

120: 2022/08/14(日) 23:16:42.76 ID:9xoWkzux.net
かすみ「だいたい、普通自分のものって自分で持ってるじゃん。本人がいないのに返すなんてできないって」

璃奈「それを諦めちゃったらゲーム終了だよ」

ランジュ「そうとも限らないわよ」

かすみ「へ?」

ランジュ「たとえばかすみ、あそこにあなたのカバンが置いてあるでしょう。あれは今あなたの手元にないわけだけど、だからといってかすみのカバンじゃないことにはならないわよね」

かすみ「そ、そんなの当たり前じゃないですか」

璃奈「………」

ランジュ「それじゃかすみ、ランジュになにか貸してちょうだい」

かすみ「なにかって、なんですか?」

ランジュ「なんでもいいわよ。かすみがランジュに貸したいものなら!」

かすみ「貸したいものなんかありませんけど…」ゴソ

かすみ「かすみんのお気に入りのペンです」っペン スッ

ランジュ「谢谢」

しずく「………」

121: 2022/08/14(日) 23:17:48.63 ID:9xoWkzux.net
ランジュ「このペンを使い終えたらかすみに返すのだけど」スクッ

かすみ「はぁ」

ランジュ スタスタ…

ランジュ「かすみから借りたペン、返しておくわね」っペン トン…

かすみ「んっ…… んんん??」

しずく「ああ…確かに!」

璃奈「かすみちゃんのカバンの上に置いておく。これも確かに『かすみちゃんに返した』って言える」

ランジュ「ホラ!これならもしかすみが部室にいなくても返すことができるでしょう」ニコッ

かすみ「んー?んーー??」

かすみ「だってそれは私のカバンですし、私のカバンなんだから私の持ち物なのは間違いなくて……」

かすみ「???」

璃奈「ランジュさん、さすが。本人がいなくても、本人のカバンがあるならその傍に置いておけばいい。これは盲点」

しずく「で、でも待って璃奈さん。仮に侑先輩のカバンが部室の中にあったとしても、結局それが侑先輩の手元にないんだったら、リコーダーを傍に置いても意味がないってことにならない?」

ランジュ「そもそも侑は部室に来ていないんでしょう。だったらカバンがあるとも思えないけれど。教室にでも置いているんじゃないかしら」

しずく「部室の中はみんなで探しましたけど、侑さんのカバンなんて見かけませんでしたもんね…」

122: 2022/08/14(日) 23:18:35.26 ID:9xoWkzux.net
璃奈 (考えが間違ってる──?)

璃奈 (片付けとして他にやるべきこと、これは『侑さんのリコーダーを侑さん本人に返すこと』)

璃奈 (ただし、リコーダーを部室から持ち出しちゃいけないし、侑さんに連絡は取れない。肝心の侑さんは部室にいなくて来るまで待ったらゲームオーバー)

璃奈 (ランジュさんが示してくれた『本人がいなくても本人に持ち物を返した』といえる可能性)

璃奈 (侑さんのカバンがあるならそれが答えだったはずだけど、ない。さすがに見落としてない)

璃奈 (だったら、他に──侑さんが部室にいないこの現状で、確実に『侑さんに返した』といえる方法は──)


かすみ「…………あっ…」

123: 2022/08/14(日) 23:19:36.15 ID:9xoWkzux.net
かすみ「りな子。リコーダー、借りてもいい?」

しずく「えっ!?」

ランジュ「かすみ、なにか思いついたの?」

かすみ「わかりませんけど、たぶん…」

璃奈「……お願い」っリコーダー

かすみ「うん…」

しずく ドキドキ…

ランジュ ワクワク…

璃奈「………」

かすみ スタスタ…

かすみ「…これって、侑せんぱいに返したっていえないかな…?」スッ…


っリコーダー
[侑ちゃんボックス] スコン…


しずく「!!」

ランジュ「!!」

璃奈「………!!!」

124: 2022/08/14(日) 23:20:36.63 ID:9xoWkzux.net
かすみ「侑せんぱいのボックスって侑せんぱいの持ち物を入れる場所でしょ。ボックスは普通持ち歩かないんだから、この状態でもちゃんと『侑せんぱいに返した』だっていえるんじゃないかと思うんだけど…」

かすみ「…どう、かな」

しずく「それだよ かすみさーーーんっ!!」ハグッ

かすみ「ふぎゃあっ!?」

ランジュ「かすみぃっ!あなた天才だわ!」ナデナデナデナデ

かすみ「ぎゃーーーっ髪ぼさぼさになっちゃいますぅ!!」

璃奈「間違いない。かすみちゃん、それが答え」

璃奈「各個人のボックスはそれぞれの持ち物を入れる場所。そして部室に置いてあるのが基本の状態だから、そこに入れてあれば誰の目にも明らかに、侑さんの手元にあるっていえる」

かすみ「よ、よかった……」ボロッ

ランジュ「かすみの髪ってふわふわでワンコみたいだったわ」

しずく「むっ。撫で心地ならオフィーリアの方がいいに決まってますもん!」

璃奈「かすみちゃん。改めて、せつ菜さんに報告しよう。任せてもいい?」

かすみ「うん…!」

126: 2022/08/14(日) 23:21:37.47 ID:9xoWkzux.net
かすみ「じゃーみんな、いい?」ゴクッ…

しずく・璃奈 コクン…

ランジュ「ええ、お願いね かすみ!」

せつ菜 ニコニコ…

かすみ「せつ菜せんぱい、部室の片付け み~んな終わりましたよ!!」

せつ菜「おおっ、そうですか。ありがとうございます!いやぁ、さすがかすみさん達ですね。他の方が来る前に終わってなによりです」

せつ菜「これで今日やりたかった片付けは──」キョロ…

せつ菜「──はいっ!素晴らしいですね、全て終わったようです!」

「「「!!!」」」

かすみ「ってことは、これで…」

せつ菜「部室の片付けは全て終わり、その報告も完了したということです。すなわち──」

栞子「謎解きゲーム、クリアです。おめでとうございます、皆さん!」パチパチパチ

127: 2022/08/14(日) 23:22:39.50 ID:9xoWkzux.net
かすみ パァァァ…ッ

かすみ「やったーーーーーっ!!!」

しずく「全部クリアできました…!」

ランジュ「ふふん。ランジュとかすみ達の手にかかれば楽勝だったわね」

璃奈「全員で掴んだ勝利は心地いい」璃奈ちゃんボード『友情・努力・勝利』

愛「おつかれーいっ!!」ハグッ

かすみ「ふぎゃあっ!?」

愛「よーしよしよし、よく頑張ったね~かすかす!」ナデナデナデナデ

かすみ「うわーっまたーーー!!やめてくださいよ愛せんぱいっ、髪が… かすみんの可愛い髪がぁ!!」

歩夢「みんな、お疲れ様。全員が協力できてて、いいチームワークだったね」

しずく「はい。みんなそれぞれ頑張って活躍できたのでよかったです」

ランジュ「ねえ歩夢、ランジュも頑張ったわよ。小さなクイズをたくさん解いたんだから」

歩夢「うふふ。うん、ランジュさんもいっぱい頑張ったよね。ちゃんと見てたよ」

ランジュ「ラぁ…!!」パァ

128: 2022/08/14(日) 23:23:40.41 ID:9xoWkzux.net
栞子「璃奈さん、お疲れ様でした。とても素晴らしいリーダーシップと観察眼でしたよ」

璃奈「栞子ちゃん」

せつ菜「そうですね。全員頑張りましたが、今日のMVPは璃奈さんだったと思います」

璃奈「せつ菜さんまで。…そんなに褒められたら照れる」璃奈ちゃんボード『てれてれ』

璃奈「…突然レクリエーションが始まって驚いたけど、楽しかった」

せつ菜「楽しんでいただけたのならなによりです。たくさん準備をした甲斐がありましたね、栞子さん!」

栞子「はい。せつ菜さんと、なにか普段と異なることをしてみようという話になって、一年生の皆さんに謎解きゲームを仕掛けてみようということになったんです」

せつ菜「ランジュさんは二年生ですけどね」

栞子「一年生みたいなものですよ」フフ

栞子「それでは待ちかねている皆さんにも連絡しましょうか」スマホ スッ

129: 2022/08/14(日) 23:24:42.28 ID:9xoWkzux.net
彼方「やっほ~~~おつかれさまぁ、かすみちゃーん。よく頑張ったねぇ」ハグッナデナデナデナデ

かすみ「ほぎゃーーーっ!?なんなんですかぁ、なんでみんなかすみんの髪をぼさぼさにするんですか!!」

エマ「みんなたくさん頑張ってたね。配信で応援してたんだよ~」っスマホ フリフリ

しずく「み、観られていたんですか…」

璃奈「正直、そうじゃないかと思った。仕込み側のメンバー以外誰も来ないなんて少し変だと思ってた」

果林「あら、璃奈ちゃんは聡いわね。私達が部室に行ったらゲームが終わりになっちゃうからね」

しずく「そうでしたね…」

ランジュ「ミア、聞いてちょうだい!栞子がクイズを用意してくれてね、ランジュもたくさん解いたのよ!」

ミア「うるさいなぁ。観てたって言ってるだろ、知ってるよ全部」

ランジュ「褒めてもいいのよ!」

ミア「なんで僕がランジュを褒めるのさ… I knew you could make it.」

ランジュ「きゃあっ、ミアってば!」

130: 2022/08/14(日) 23:25:43.03 ID:9xoWkzux.net
侑「みんな、お疲れ様!観てたよ~!」

かすみ「侑せんぱいっ!見ててくれたんですかぁ?かすみんと~~っても頑張りましたよ!えへへ、たくさん褒めてくださぁい♪」

侑「うんっ、頑張ってたね。みんなよく思いつくなあって感心しちゃったよ~」

しずく「侑先輩が最初から部室にいてくださったらもっと話は早かったのに」ムゥ

侑「えっ… ええ?そういうことになるの?」

璃奈「なる。そしたらリコーダーを渡して終わってた」

侑「あはは… それじゃつまらなかったでしょ。まさか私も自分のリコーダーが使われるなんて思ってなかったしなぁ」

かすみ「普通リコーダーの貸し借りなんてしませんもんね」

侑「だねー。歩夢以外にはさすがに貸さないよ」アハハ

歩夢「うふふ。侑ちゃんってば~」

かすみ「え……?」

131: 2022/08/14(日) 23:26:47.57 ID:9xoWkzux.net
せつ菜「一時間と少し… ふむ、思ったよりも早かったですね。こちらが考えていた以上に皆さん頭の回転が速くてひらめきが優れていましたね」

栞子「おかげさまで部室の片付けは終わりましたが、どうしましょうか」

かすみ「待って。今の時間で片付けって進んだんだっけ」

せつ菜「そうですねぇ。予定より時間が取れたので普段通りの練習に移ることもできそうですが…」

せつ菜「皆さん頑張ってくださったことですし、今日の練習はナシにして打ち上げでもするとしましょう!」

かすみ「わーいっ、賛成ですー!」

彼方「そうなると思って彼方ちゃんクッキー焼いておいたんだ~」ゴソ

ランジュ「太好了!彼方の焼いたお菓子、大好きよ!」

しずく「用意がよすぎますね」

璃奈 サクサクサク…

しずく「手を着けるのが早すぎるよ、璃奈さん」

132: 2022/08/14(日) 23:27:52.23 ID:9xoWkzux.net
エマ「私もケーキ焼いておいたんだ。みんな思ったよりクリアが早かったけど、間に合ってよかったよ~」

愛「お~っ、エマっちのケーキかぁ!これはスイスイ食べられちゃいそうだね!」

侑「歩夢歩夢、私達はジュースの買い出しにいってきたんだよ」ガサ

歩夢「ふふっ、ありがとう侑ちゃん。お菓子作りはお手伝いしなかったの?」

侑「だ、だってぇ…」

果林「ミアってばコーラばかり買いすぎよ」

ミア「なに言ってるんだよカリン。ステイツじゃ一人でこれを飲むんだよ」っ1.5 ドンッ

ミア「飲み切れなかったコーラはどうするのかって?愚問だね、飲み切れないなんてことはないさ。でも万が一飲み切れなかったら──」

ミア「フライドポテトをディップするんだよ」キリッ

せつ菜「あれ、買ってきてくださった飲み物、全部コーラなんですね… いえ文句を言うわけではないのですが…」

栞子「それでは、改めて。皆さんの健闘を讃えて、乾杯するとしましょう──」


「「「クリアおめでとう!かんぱ~い!!」」」


栞子「これにて、謎解きSS『片付かない同好会部室からの脱出』は終了です。お付き合いいただきありがとうございました」

栞子「打ち上げが終わった後、再び部室は散らかっていそうですが… 今度は十三人ですから。きっとすぐに片付きます、よね?」


おしまい

133: 2022/08/14(日) 23:28:53.64 ID:9xoWkzux.net
ということで、ゲームクリアです
長時間にわたってお付き合いいただきありがとうございました
拙い部分も多かったかと思いますが、お楽しみいただけていたらなによりです
また機会があればお付き合いください。それでは!

134: 2022/08/14(日) 23:29:09.06 ID:uWx5Hx0w.net
乙、序盤しか参加できなかったけど楽しかった

135: 2022/08/14(日) 23:29:39.44 ID:17U+a/Xl.net
ちょうと100レス
すげー力作で楽しめた
乙!

137: 2022/08/14(日) 23:33:12.07 ID:Mqzu2i8x.net

これだけの力作だからちゃんと解けてよかった

引用元: 【謎解きSS】片付かない同好会部室からの脱出