1: 2014/12/16(火) 18:56:14.39 ID:rNgGLOYW0

繰繰れ!コックリさんのSSです。

原作と違う点があるかもしれませんが、ご了承下さいませ。


2: 2014/12/16(火) 18:57:21.41 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「・・・あれ」

狗神「・・・我が君?」

信楽「・・・嬢ちゃんが・・・」


「「「消えた・・・・・・」」」

3: 2014/12/16(火) 18:58:46.12 ID:rNgGLOYW0


狗神「貴様ーーッ!!我が君を一体どこにやったーーーーーッ!!」ガシィッ!!

コックリさん「やややややめろ落ち着け狗神!!揺するな!!首がおかしくなる痛い痛い痛い!!」ガクガクガク

狗神「落ち付いてなどいられますか!!この!!この状況がぁッ!!」ボワァン

コックリさん「お前女になってるぞ!!」

信楽「お前ーーッ!!美人がいるならいるとおじさんに最初から言わんかーーーッ!!」ガシィッ!!

コックリさん「やめろやめろ落ち着け狸親父!!こいつは男だぞ!!っていうか今はそんなこと関係ないだろうがこのスケコマシが!!」


狗神「我が君いぃいーーーーーーーーーーーッ!!」

信楽「美人ンンンンゥゥゥーーーーーーーーッ!!」

コックリさん「やかましいわーーーーーーーーーーッ!!」ゴォン!!


狗神「ギャイン!!」

信楽「あ゛いだっ」


ドサッ


4: 2014/12/16(火) 18:59:17.85 ID:rNgGLOYW0

狗神「わ、我が君・・・」ガクッ

信楽「び、美人・・・」ガクッ


コックリさん「・・・ったく、せっかくフライパンを新しくしたのに、こいつらの頭を叩いたらがへこんじゃったじゃないか・・・」

コックリさん「・・・しかし・・・」

コックリさん(・・・こひなは一体どこへ・・・?)

5: 2014/12/16(火) 19:00:01.80 ID:rNgGLOYW0

そう、それは数分前の出来事だった。

いつものような日常。


狗神がこひなに媚を売り、

狸がいけしゃあしゃあと金をせびり、

俺はカップ麺を食べることを叱り、


そして、こひなも。


こひなも、いつもと全く同じ様子だった。


6: 2014/12/16(火) 19:05:34.65 ID:rNgGLOYW0



・・・


コックリさん「・・・だーかーらー!!一番最初にこの家にとり憑いたのは俺なの!!俺が一番最初にこひなに呼ばれたの!!」


狗神「いいえ違います。あなたは「家」に憑いただけです。家の主に憑かねば、「憑いた」とは言えません。 
   それはすなわち、こひな様を一番愛しているこの私めが、この家に憑いているということになるのです」


信楽「憑いたとか憑かねえとか、そんなのは重要じゃねえんだよ。
   女の子の心をときめかせる。つまりそれは、取り憑いた、ってことになるんだぜ。
   嬢ちゃんだって、俺から見りゃぁ女なんだぜ。ま、半分冗談だがな。」


コックリさん「つまり」

狗神「私めが」

信楽「一番」



「こひなの事を「こひな様の事を「嬢ちゃんの事を「「「一番分かっている」」」んだよ!」のです!」んだ!」


こひな「・・・・・・」


こひな「・・・市松に父親は3人もいないのです。いらないのです」



8: 2014/12/16(火) 20:31:51.49 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「何言ってるんだこひな、そんな淋しいこと言っちゃダメだ!!
       1人で食べるご飯より、誰かと食べるご飯の方がおいしいんだぞ!?
       俺はこひなを、父親のようにモフモフと守ってやる!!」

こひな「・・・思春期の女子にとって、父親の存在は、鬱陶しい存在でしかありません」

こひな「 ウ ザ イ のです」

コックリさん「 は う あ !! 」 ガビーン

狗神「それでは我が君、私めが貴女様をお守りいたします。時には父のように力強く。そしてある時は」


ボワン


狗神「・・・母として暖かく、包み込むようにお守りいたします。
   いえ、それどころか、それ以上の関係でも、私は・・・グフ、グフフフフグヘヘヘ」

こひな「・・・子離れできない母親は、子の成長にとって、ただの邪魔者なのです」


こひな「 キ モ イ のです」


狗神「 き ゃ い ん !! 」ズガーン


信楽「ま、所詮親も他人ってことだな。
   そんでもって案外、時々会う親戚のおじさんなんかが、一番気持ちを分かってあげてたりするもんなんだよ。
   親にも言えない本音を言えたり、たまーに、お小遣いあげたりなんかしてな。
   嬢ちゃん、他人同士、おじさんと本音で語り合おうや、な?」

こひな「・・・たまに現れ、幼女に賄賂を渡す変質者、通報なのです」

こひな「 ア ウ ト なのです」


信楽「 あ ふ ん !」ショボーン


9: 2014/12/16(火) 20:47:24.68 ID:rNgGLOYW0

こひな「市松は人形なのです。人形は、淋しさなど感じないのです」

コックリさん「・・・」

狗神「・・・」

信楽「・・・」


こひな「父親も母親も、親戚も友達も、人形には必要ないのです」


狗神「・・・で、こひな様のことを一番お分かりになると、最初に啖呵を切ったのは、どなたでしたか?狐殿」

コックリさん「・・・お前こそ常に我が君、我が君って言ってるくせに、全然こひなの心中を分かってなかったじゃないか」

信楽「所詮女心と秋の空。女には、俺達にゃ理解できねえこともあるってこった」

コックリさん「っていうかお前!!お前が一番この話題に関係ねーだろが!!なんでお前まで話にのってきたんだ!?あ!?」

狗神「そうでございます!!先ほどからの発言を振り返れば、まるでこひな様に気のあるようなものばかり!!ついに口リコンに目覚めたのですかこの変態狸!!」

信楽「ち、ちがうよぉ~・・・おじさんも嬢ちゃんのお守をしようと思っただけなんだよぉ~」

コックリさん「ほぉ珍しい、俺の変わりに料理をしてくれるって言うのか?」

狗神「貴様如きに我が君が守れるとでも?」

信楽「いやぁ、家事手伝ったら、ちょっとだけお小遣いくれないかなぁ~・・・って思ってサ」

コックリさん「やはり金目当てか!!」ゴワン

狗神「このタカリ屋め!!」ズキューンズキューン


10: 2014/12/16(火) 21:17:08.46 ID:rNgGLOYW0

信楽「イテテ・・・ったくさっきから黙ってりゃ、好き放題言いやがって。おじさんだって無職のプロ目指してるなりに、気使ってるんだからな」

コックリさん「へえ」

狗神「ほう」

信楽「嬢ちゃんが学校行ってる間に近所をうろうろすると、『アラ、市松さん宅の人、今日もパチンコしてるわ』
   なんて言われちゃ、嬢ちゃんも形見が狭いだろうから、迷惑かからないように、ちゃーんと隣町のパチンコ屋に行ったりとかな・・・
   おじさん、嬢ちゃんのこと分かってあげてるつもりだぜ?」

コックリさん「それは気を使ってるとは言わないだろーが!!」

狗神「同意」

コックリさん「気を使うってのはなぁ!!こひなのことを考えてあげるっていうのはなぁ!!
       栄養のある食事、偏りのない食事、おいしい食事を一日3食50品目用意してあげることを言うんだ!!
       こひなの体の事を考えている俺が一番、こひなのことを分かってるんだ!!」

狗神「フッ、そんなことで我が君の事をお分かりになったおつもりですか?何も分かっておられないようですね」

コックリさん「なんだとォ?」

狗神「我が君の事ならなんでもなーーーんでも知っている私が、一番こひな様のことを理解している!!
   そう、食べ物の好き嫌い、身長体重、スリーサイズBMI値骨密度ほくろの位置寝相体毛の

コックリさん「おまえちょっと大概にしろよ!?!?!?!!!!?」

信楽「おじさんもちょっと引いたわー」


11: 2014/12/16(火) 21:26:48.31 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「・・・ともかく」

狗神「・・・それよりも」

信楽「・・・さておき」

コックリさん「こひなの生活の事をちゃんと考えている」

狗神「こひな様のすべてを把握している」

信楽「嬢ちゃんのストレスがないようにしてあげてる」


「俺が「私めが「おじさんが「一番」こひなの事を」我が君の事を」嬢ちゃんの事を」


「「「分かってるんだよ!!!!!!」」」


コックリさん「・・・」イラ

狗神「・・・」ムカ

信楽「・・・」チッ


おまえいいかげんにしろよ!!なにがすべてを把握してるだ!!ストレスがないようにだ!!
何を!!狐殿こそいつもこひなさまの好物を隠したり、狸殿はこひな様に金銭をたかったり!!
おじさんも言われ放題だと黙っちゃいられねえなぁ!子供は自由に育てるモンだぜ?

ギャーギャー ワーワー ギャー


こひな「・・・」

12: 2014/12/16(火) 21:34:03.46 ID:rNgGLOYW0

こひな(不毛な争いが始まってしまったのです)

こひな(でも、市松には関係ないのです)

こひな(市松は、自身の心配をされようが、関係ないのです)

こひな(市松は、全てを把握されていようが、誰の物でもないのです)

こひな(市松は、他人と関わらないので、ストレスなどたまらないのです)

こひな(そう、市松こひなは人形なのです)

こひな(人形には、中身がないのです。からっぽなのです)

こひな(人形の心の中は、からっぽなのです)

こひな(そうなのです)

こひな(だから)

こひな(だから・・・)





 カ ッ ! ! 




コックリさん「ッ!?なんだこの光!?」

狗神「我が君が光に包まれております!」

信楽「お、おい!?嬢ちゃんの姿が・・・!!」



13: 2014/12/16(火) 21:39:49.72 ID:rNgGLOYW0





シュウウウウ・・・





コックリさん「・・・あれ」

狗神「・・・我が君?」

信楽「・・・嬢ちゃんが・・・」


「「「消えた・・・・・・」」」





・・・これが、たった数分前に起きた出来事。

突然まばゆい光に包まれ、こひなは・・・

姿を消した・・・。









14: 2014/12/16(火) 21:56:46.27 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「一体どういうことなんだ?」

狗神「もしや、我々の妖力に影響されて、よからぬ物の怪に連れ去られたのでしょうか?」

信楽「いや、それはないな。もしそうなら、ここにその物の怪の気配が残っているハズだ」

コックリさん「・・・こひながふざけているのか?いやしかし、いくらこひなでも、瞬時に姿を消すことなんて・・・それも気配まで・・・」

狗神「私はやはり、連れ去られたと考えるべきだと思います。物の怪以外に連れ去られた、という可能性も考えるべきでございます」

信楽「・・・とにかくどういう理由であれ、こりゃあ嬢ちゃんを探さないといかんなぁ・・・」

コックリさん「一応警察に電話した方がいいだろうか?」

狗神「そうですね。・・・どんな手段を使ってでも見つけ出さなければ・・・我が君!」

信楽「しかし、警察に嬢ちゃんの人相、どうやって伝えるんだ?写真でもあるのか?」

コックリさん「ああそうだ、狗神。お前どうせこひなの隠し撮りの写真沢山持ってるだろ。一枚かしてくれよ」

狗神「嫌でございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

コックリさん「ヒッ」ビクッ

狗神「私の聖なるコレクションを、汚らわしい手で触らせるなど、断じて許しません!!!!!!!!!」

信楽「・・・んじゃ、人相書きでもするか?」

コックリさん「おお!その手があったか!!」


15: 2014/12/16(火) 22:06:56.02 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「すぐ本人だって分かるように描かないとダメだぞ!!」

狗神「お任せ下さい。我が君への愛をこの紙に描きます」

信楽「昔人間の真似をして絵を描いたことがあるんだよ。おじさんにまかせなさい」



数分後・・・


コックリさん「できた!!まずは俺からだ!!」


ジャーーーン!!


信楽「ほお、これは」

狗神「・・・なんですか、これは?」

コックリさん「なんだって、こひなだろ?」

信楽「・・・というよりも、これは・・・」

狗神「麗子像・・・でございますね」


参考画像:岸田劉生『麗子像』
no title

16: 2014/12/16(火) 22:17:43.98 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「なんだよ!!こひなの特徴のおかっぱがちゃんと描かれてるだろ!!」

信楽「まあ、似顔絵は本人の一番の特徴を描くと分かりやすいもんだが・・・」

狗神「しかしそんなものでは、こひな様の美しさは描ききれておりません!!」

コックリさん「な、何ィッ!?」

狗神「私めの描いたこひな様をとくとご覧あれッ!!」


ドーーーン!!


コックリさん「こ、これは!?」

信楽「随分とまた・・・」

狗神「お美しいでしょう!?そうです、私の目に映る我が君!!この絵のように光り輝き、眼はうるみ、微笑んでいるのでございます!!」

コックリさん「というかこれ、お前ビジョンのこひなで、本物には全然似てない」

信楽「だな」


18: 2014/12/16(火) 22:22:19.65 ID:rNgGLOYW0
狗神「な、なんですと!!??この絵が狐にも劣ると!!??」ガビーン

コックリさん「バカは置いておいて、お前の絵を見せてみろよ」

信楽「おおそうだな。おじさん、絵描くのは久々だから、頑張っちゃったよ。ちょっとタッチは古いけど、そっくりだ」

コックリさん「おおそうか、どれどれ・・・」


デーーーン!!


狗神「・・・・・・」

コックリさん「・・・・・・」

信楽「ど~だ!?おじさんの自信作だぞ!?」

狗神(浮世絵だ・・・)

コックリさん(ちょっと古いタッチって、ちょっとどころじゃねえぞ・・・コレ・・・)


19: 2014/12/16(火) 22:27:37.53 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「ええーーい!!リベンジだ!!もう一度描いて、お前らをギャフンと言わせてやる!」

狗神「私もでございます。・・・我が君、私めの手が、我が君への愛を描ききれなかったことを、どうぞお許し下さい」

信楽「ん~おじさんも久々にお絵かきしたら、なんだか楽しくなっちゃったな~。よ~し、もう一枚!!」



アハハハ アハハハ キャッキャ キャッキャ






コックリさん「・・・って楽しくお絵かきしてる場合じゃないでしょぉーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!??」

狗神「ハァッ!!そうでございました!!つい我が君を描く楽しさに没頭しておりました!!」

信楽「ンガァアアアアンゴオオオオオオオ」ZZZZZZZZ

コックリさん「こんな時に酒飲んで寝てるんじゃねーよ!!」ポカン!!


20: 2014/12/16(火) 22:42:47.33 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「ああもう午後か・・・もうこうなったら、人相どうこうよりも、特徴を口頭で伝えた方が早いだろう」

狗神「私めが警察に電話いたします。狸殿、失礼ですが携帯電話を貸していただけますか?」

信楽「あいよ。頼んだぜ」



プルルルルル プルルルル


あ、もしもし警察ですか・・・?はい・・・そうです、突然姿を消してしまって・・・
ええ、特徴は、おかっぱで・・・烏羽玉(ぬばたま)のように美しい黒髪でして・・・

それから、つぶらな瞳・・・あの美しいびいどろのような、私めの心を射抜く、美しい瞳・・・

華奢な手足、抜けるような白い肌、ああ・・・我が君、我が君よ!!

私めは、あなた様が、あなた様が愛おし


ブツッ


プーッ プーッ プーッ


狗神「・・・電話が切れてしまいました」

コックリさん「当たり前だろ!!!!!!!!」


21: 2014/12/16(火) 22:50:27.06 ID:rNgGLOYW0

信楽「しょうがねえなあ、こういう時は、年長者に任せな。俺が電話してやるよ」

コックリさん「頼んだぞ!」


プルルルルル プルルルル


あ~~もしもし、警察ですか?そうそう、消えたんだよ~ピカーッと光って。
え?特徴?あ~~ん、目が取れて、カップ麺で動く、人形みたいなモンかな。

え?間柄?
いや、親、っていうわけじゃあないんだけど・・・ははは、兄弟、でもないかな。親戚?いやいや違う。

あ~そうだ!

突然呼び出されて、住んでるから、おじさん誘拐されたみたいなもんかなぁ~アッハッハッハh



ブツッ


プーッ プーッ プーッ


信楽「ありゃ、切れちゃったよ」

コックリさん「当ッたり前だろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


22: 2014/12/16(火) 22:54:58.23 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「もういい!俺に貸せ!!俺が電話する!!」

信楽「あ、その電話だけど・・・」

コックリさん「うるさい余計な事言うな!」


プルルルルル プルルルル


あ、もしもし?私、人探しをしておりまして・・・ええ、ええ。
あ、はい。それは名前から申し上げます。
名前は、市松こひな。
外形の特徴は・・・・・

ブツッ


プーッ プーッ プーッ


コックリさん「おい電話切れたぞ!!!?!?」

狗神「ですから、狸殿が、プリペイドがなくなる寸前だと、申し上げようとしておりましたのに」

コックリさん「あああああああーーーーーーー!!どうすんだよコレ!!家の電話からかけても、もうイタズラだと思われて相手にされないぞ!?」

信楽「ちょっとは人の話聞かなきゃダメだよ~」

23: 2014/12/16(火) 22:59:48.54 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「ハァ・・・天下の警察も頼れなくなったか・・・」

狗神「それでは、我々あやかしの力を使って探すと言うのはいかがでしょうか?」

信楽「おおいいね~。他の人に任せておけば、おじさん安心だぁ」

コックリさん「この狸おやじ!!お前のせいで警察頼れなくなったようなモンなんだからな!!」

狗神「あやかしの身でありながら、まず人間を頼ろうとした狐殿にも問題があると、私めは思いますが・・・」プッ

コックリさん「じゃーーーかしーわ!!・・・で、誰に頼るんだ?」

信楽「・・・天狗だな」

狗神「・・・天狗殿でございますね」

コックリさん「・・・え?」

24: 2014/12/16(火) 23:08:49.69 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「お前達正気か?あの天狗に頼むのか?」

信楽「なんで?あの辺の山の事ならなんでも知ってるんだよ」

狗神「攫われて山へ連れて行かれたか。こひな様自身で山へ行かれたか。
   いずれにしても、あの広範囲の山のことをご存知の天狗殿のご意見をお伺いすれば、少しは探索が楽になるとは思うのですが」

コックリさん「いやだってあいつショタだよ?写真撮られるよ?お前達、いいの?」

信楽「いや、おじさんは、おじさんだから。無理だから。ハハッ」

狗神「私も、只今から女性の身体に変化します故、少年の姿になるのは、少し難しいかと・・・」ボワン

コックリさん「え?何?お前達、どういうこと?」

信楽「さあ、そうと決まれば」ガシッ

狗神「参りますよ。天狗殿の所へ」ムンズ

コックリさん「え!?え!?ちょっとなんで簀巻きにしてかつぐの俺を!?ねえなんで!?ちょっと俺前も写真取られたんだけどぉーーーー!?ちょっとぉーーーー!!!ちょっとーーーーー!!」

25: 2014/12/16(火) 23:17:59.34 ID:rNgGLOYW0

天狗の家


天狗「・・・ほぉ、そうかそうか・・・そういう理由で、やって来たと・・・」

信楽「ま、どうか一つ頼むぜ。そいつは好きに写真撮ってかまわねえからよ」

狗神「私共では満足頂ける被写体になれませんので・・・どうか、このショタ狐と引き換えに、我が君、こひな様の安否をお教え下さいませ!」

コックリさん「ンモガーーーーーーーー!!ウーーーーーーーー!!」(やめろーーー!俺は同意したわけじゃねえーーー!!)

天狗「ふむ・・・まあ、天然ショタではないというのには目を瞑ってやろう・・・あの娘に免じてな・・・」

コックリさん「グムムーーーーー!!モウーーーーー!!」(この変態ショタコン野郎ーー!!離せーーーー!!)

天狗「さ、それでは・・・」

コックリさん「モフ!!?!?」ビクッ

天狗「一 肌 脱 ぎ ま し ょ う か な ・・・」

コックリさん「モフッーーーーーーーー!!!!!!!!」(アッーーーーーーーーーーーーーーーー!!)


26: 2014/12/16(火) 23:22:30.31 ID:rNgGLOYW0

天狗「ホッホッホ、眼福眼福。新しく短パンタンクトップ衣装を着せたかいがあったわい」

コックリさん「うっ・・・・・・うううっ・・・・・・」

信楽「お疲れさん。ボクがんばったね!おじさん、えらいと思うよ!!」

コックリさん「ガキみたいに扱うんじゃねえ!!」

狗神「何をすすり泣くのですか狐殿。ただ写真を撮られただけではありませんか」

コックリさん「お前にはわからないッ!!あのレンズの奥から除く視線が!!視線が絡み憑いてあがじゃdkふぁhkdj

天狗「・・・そんなに文句ばかり言うて、あの娘のことを知りたいのではないのか?」

コックリさん「ッ!!そ、そうだった!!どうなんだ?こひなは、この山に今いるのか!?」

天狗「・・・ふむ、それなのだが・・・」


27: 2014/12/16(火) 23:33:24.81 ID:rNgGLOYW0
天狗「ハッキリ言うと、「居る」ようじゃ」

コックリさん「!?な、なら今、この家の近くに!?」

天狗「・・・しかし、「居る」のじゃが、何処に居るのかがつかめない。そして、姿形があるものとして居るわけではない」

狗神「一体それは、どういうことでございますか?」

天狗「あの娘の「存在」は感じる・・・それも、ものすごく近くに。じゃが、この山に居るというわけではない。
   遠くて近い、実態のないような存在として「居る」ようじゃ・・・」

信楽「それじゃまるで嬢ちゃんが・・・」

天狗「うむ・・・魂だけの存在になった・・・というのが、一番近いかもしれん。しかし、氏んでいる、というわけでもない」

コックリさん「何なんだよそれ・・・結局、こひなの居場所は分からないってことか!?」

天狗「・・・すまんが、そう言う事になるな・・・」

狗神「・・・手がかりなし、でございますか・・・」

天狗「・・・じゃが一つハッキリ言えることがある。
   それは、あの娘の魂は、3つに別れて、どこかに封印されているようじゃ」

信楽「封印だと?なんだぁ、随分大げさな話になってきたじゃねえか」

天狗「・・・対価が足りんから答えられないというわけではない。わしにも、分かるのはこれだけじゃ・・・」


28: 2014/12/16(火) 23:44:30.32 ID:rNgGLOYW0

コックリさん「・・・」

狗神「・・・」

信楽「・・・」

狗神「・・・狐殿」

コックリさん「・・・なんだ」

狗神「その・・・・・・先ほどは・・・・・・・・・」

コックリさん「? 何だ?」

狗神「そ、その・・・・・・も、も、申し、わけ・・・・・・」

信楽「スマンかったな、恥ずかしい格好させたのに、結局手がかりなしになっちまって、って言いたいんだろ?犬の嬢ちゃん」

狗神「なっ!?」

コックリさん「!? な、なんだお前いきなり謝るだなんて!?どうかしたのか!?」

狗神「クッ、フ、フン!少しは労おうと思って言っただけでございます」

信楽「犬の嬢ちゃんも素直じゃないねえ。普通に、『ごめんなさぁ~い、狐殿ぉ~』って謝ればいいだけのことよ」

狗神「なっ!?」

信楽「そしてその次は、『私、私のせいでこんなことに・・・ごめんなさいぃ~』って、おじさんの胸に抱きついて甘えてごらん。泣いたって、いいんだぜ」

狗神「貴様・・・!やはり殺されたいようだな・・・!!」

コックリさん「・・・俺の事なら気にするなよ狗神」

狗神「!?」

29: 2014/12/17(水) 00:00:06.84 ID:rNgGLOYW0
 
コックリさん「お前がこひなのことを大切に思っているのは知っている。信楽も手がかりを得る手段を考えてくれた。
       俺はそれに協力したまでだ」

狗神「狐殿・・・」

コックリさん「それに、何も手がかりがなかったわけじゃない」

信楽「・・・そうだな」

コックリさん「3つに分けられて封印された魂。この場所を探せばいいだけだ」

狗神「・・・そうでございますね。諦めずに、その場所を探しましょう」

コックリさん「さあ、もう夕方だ。日が沈む前に、今度は町で聞きこみしよう」

信楽「・・・おじさんも珍しく本気出すとしようかな」

狗神「私めはこひな様の匂いを探ってみます」

コックリさん「よし、じゃあそれぞれ探してみることにしよう!」

信楽「よ~しおじさんがんばっちゃうぞ~」

狗神「こひな様・・・我が君・・・クンカクンカスーハー」

コックリさん「あ、あとお前ら。さっき無理やり俺を被写体にさせたから、狗神は夕食抜き、信楽は明日小遣いなしな」

狗神「この狐が!!やはり根に持って恨んでいたのですね!!」

信楽「そりゃないよ~。おじさん、やる気なくした・・・ハァ・・・」

コックリさん「やかましいわ!!少しは俺の受けた辱めの辛さを思い知れ!!」

30: 2014/12/17(水) 00:01:58.96 ID:1RV+rrJt0




・・・




・・・




ここは・・・



ここはどこでせうか。



真っ暗で何も見えません。


真っ暗なのです。


でも、市松は平気です。


市松は人形です。


暗闇などには怯えません。


闇の中でひとりぼっちでも、平気なのです。




31: 2014/12/17(水) 00:04:01.55 ID:1RV+rrJt0



・・・起き上がって歩いてみましたが、どこまで行っても闇なのです


・・・果てしない果てしない闇なのです


・・・市松は、この闇を知っている気がするのです


それは




・・・それは・・・




32: 2014/12/17(水) 00:19:49.32 ID:1RV+rrJt0

信楽「おお~~い、嬢ちゃ~~~ん」

信楽「嬢ちゃ~~~ん、おじさんだよ~~~」

信楽「おじさんだよ~~~カプ麺あるよ~~~」

信楽「タバコもあるよ~~酒もうまいよ~~~」

信楽「・・・ってやれやれ、タバコと酒じゃ出てくるわけねーわな・・・」

信楽「・・・」

信楽(・・・っと・・・いつの間にか孤児院の方に向かっちまってたか・・・)

信楽(お、まだ外で遊んでる子がいるのか・・・声が聞こえるな)



子供1「・・・あ~あ、早くあのおじさんに会いたいなぁ~」

子供2「え?あのいつも来る、お坊さんの格好したおじさん?」

子供1「そう!わたし、あのおじさんに、早くあいたいの!」

子供2「あのおじさんに!?あたま半分まっ白でへんだよあのおじさん~!」

子供1「あたまはまっ白だけど、でもあのおじさん、とってもやさしいんだよ!いっつもわたしの頭、いっぱいなでてくれるの!」

子供2「えーっ!!そうなの!?ずるーい!!わたしもなでてもらうー!!」


キャハハハハ 早く会いたいね~ アハハハ・・・


信楽「・・・・・・」


33: 2014/12/17(水) 00:35:39.53 ID:1RV+rrJt0

信楽(・・・俺に会いたい、か・・・)




この孤児院の子供達は、俺が破滅させた家の子供達だ。

こいつらが天涯孤独になったのは、俺のせいだっていうのによ。

そんな俺に早く会いたいとは・・・。



俺ぁ化け狸だ。

化かして、騙して、奪うやり方しか知らねえ。

だから疎まれるのには慣れているはずだった。

それなのに―――


信楽「・・・そうだ、あの時・・・・・・」



34: 2014/12/17(水) 00:44:09.43 ID:1RV+rrJt0


(・・・さん、・・・ックリさん・・・・・・)



あの時、呼ぶ声が聞こえたんだ。

いや、正確には、俺を呼んでいたんじゃあない。

けれど・・・



(コックリさん・・・コックリさん・・・おいでください・・・)



俺は、俺を必要としてくれる誰かを、求めていたんだ。

誰でもいい。


俺を受け入れてくれる場所を。


この孤独を埋められる人を―――






信楽「・・・そうか、嬢ちゃん・・・アンタも・・・」

35: 2014/12/17(水) 02:16:08.27 ID:1RV+rrJt0

狗神「我が君ーー!!我が君ーーーー!!」

狗神「愛しの我が君ーーー!!あなた様を求めてさまよう私ーーーーー!!」

狗神「どうかこの胸にいらしてくださいーーー!!どうか早くーーーー!!」

狗神「我が君ーーーー!!我が君・・・・・・っってこひな様の匂いがするーーーーーーーーーーーーーッ!!」


ドビュン!!


ガ ッ シ ャ ア ア ア ア ア ア ー ン!!


タマ「に゛ゃあああああああああーーーーっ!?突然うちの店の入り口を壊して入ってきたのは誰にゃーーーーっ!?」

狗神「なんだ貴様か」

タマ「にゃにゃっ!!お犬様ではないですか!!」

狗神「そうか、我が君は一度ここに拉致されたのでしたね・・・ってまさか貴様!!またもこひな様を!?犯人はお前か!!??」

タマ「なんのことにゃ!?あの子のことなら、もう諦めてるにゃ!全然お人形さんらしくならないから、もう手に負えないにゃ~」

狗神「そ、そうですか・・・それではこの匂いはその時の残り香ということですね・・・大変お騒がせ致しました、失礼致します・・・」

タマ「ちょ、ちょっと待つにゃ!!このドアどう弁償してくれるにゃ~!!ドアが壊れてたら営業できないにゃ~!!」

狗神「そんな事を仰られても、貴女のお店は年中開店休業状態でしょう?何かお困りでも?」

タマ「にゃ、にゃにを~~!!ってそれだけじゃないにゃ!!お犬様がこんなことで引き下がるなんておかしいにゃ。何かあったのにゃ?」

狗神「・・・・・・実は・・・」


36: 2014/12/17(水) 02:27:32.27 ID:1RV+rrJt0

タマ「ふ~ん、そうだったのにゃ~。不思議なこともあるものにゃ!」

狗神「全くでございます。私めは、こひな様を一刻も早く取り戻さねばなりません」

タマ「しかし、1人の人間にここまで執着するとは、驚きだにゃ!」

狗神「・・・それが何か?私めのこひな様への愛は、本物でございますよ?」

タマ「うにゃ!嫌味じゃないのにゃ~。そうじゃにゃくて・・・う~ん、あ、そうにゃ!タマがお人形さんを好きなのと同じなのにゃ!」

狗神「?」

タマ「お人形さんは何も言わないけれど、タマが沢山愛情を注いであげたら、その分どんどんかわいくなるにゃ。
   それは、お人形さんもタマのことが好きだからなのにゃ。
   お互いに想いが通じ合ってないと、そう感じられないのにゃ。
   お犬様があの子のことを、可愛くて愛おしくて仕方がないのは、あの子もどこかでお犬様のことを好いているからだと思うのにゃ」

狗神「・・・・・・」

タマ「そんなに愛されて、あの子は幸せだにゃ!あ~、お人形さんだったら、もっとよかったのににゃ~~!!」

狗神「・・・・・・」


狗神(我が君が、私の事を、そんなにも・・・?)

37: 2014/12/17(水) 02:45:37.20 ID:1RV+rrJt0

狗神(我が君への愛は本物だ。でも・・・)

狗神(我が君は、私めをどう思っているのか、と・・・どこかで思っていた・・・)

狗神(そう思ってはいけない、何度もそう思っていた)

狗神(でも、そう思ってしまうのは・・・)




私は、ただの捨て犬だった

    お前は、狗神になるために拾われてきたのだ
            お前は、ただ氏ぬだけの運命なのだ
私は、ただの1匹の犬だった

   飢える寸前の首を切り落として[ピーーー]。
        お前は、願いを成就させるための生贄なのだ
 お前は狗神になるのだ。

誰にも見向きもされなかった

    なんだこの狗神は、できそこないじゃないか
 やはりただの駄犬だったか。 できそこない

誰にも必要とされなかった

 この骨は砕いて捨てておけ 取っておく必要もない
   全く無駄なことをしてしまった 必要ないことをしてしまった

誰かに必要としてほいかった
       いらない犬
 いらない犬   いらない霊 いらない いらない

誰にも・・・・・・



 


狗神(誰にも、愛されなかったから・・・・・・) 





私は、私を必要としてくれる誰かを、求めていたのです。

そう、あの日、あの時。

捨てられていた私めに唯一差し伸べられた、あの暖かい手のような―――


この孤独を暖めてくれる、あの方の―――






狗神「!! そうか・・・我が君、我が君も・・・」

38: 2014/12/17(水) 02:51:50.51 ID:1RV+rrJt0


コックリさん「こひなーーーー!!どこだーーーーー!!」

コックリさん「こひなーーーー!!居たら返事してくれーー!!」

コックリさん「こひなぁーーー!こーーーひーーーなーーーー!!!」

コックリさん「こひなーーーーーーーーーーーー!!!」

コックリさん「・・・ハァ、魂に声で呼びかけたって意味ないか・・・」

コックリさん「・・・いや、諦めないぞ!!・・・おーーーーい!!こひなぁーーーーー!!」


コックリさん(皮肉だな、俺は人に呼ばれる側の立場のもののけなのに)

コックリさん(俺が声を張り上げて、こひなを探している)

コックリさん(もう、俺を呼ぶ者なんて、誰もいないのに)

コックリさん(そう、誰も・・・)

39: 2014/12/17(水) 02:57:36.34 ID:1RV+rrJt0



人が神を信じなくなったのは何時の頃からだろう。

そして神もまた人を信じなくなったのは何時の頃からだろう。


人は神を信じなければ生きられない。

しかし次第に人は、神を頼らずとも生きられるようになっていった。

人は知恵をつけ、神に近い存在へと近づいてきている。

だが神は違う。

神は、人の信じる力でしか生きられない。

だが、天の動きも、地殻のうねりも察知できるようになった今、

神にすがる理由がどこにある?

祈りなど、ただの戯れでしかないのだ。



だから―――


コックリさん(だから、お前が俺を呼んでくれた時)

コックリさん(お前が俺を信じて呼んでくれた時)

コックリさん(俺は、1人じゃないって、そう思えたんだ・・・)

40: 2014/12/17(水) 03:05:58.68 ID:1RV+rrJt0


あの日、寂れて朽ちた神社の中で、

俺はもう、この世から消える事を受け入れていた。

しかし、微かに聞こえた、俺を呼ぶ声。

その先には、こひな。

お前がいたんだ―――。

こっくりさんを1人でやるお前の冷たい目を、俺は何処かで見た記憶があった。

でも、今分かったよ。その目は・・・・・・




コックリさん「俺と、同じ目をしていたんだ・・・・・・」

コックリさん(消え逝く運命を受け入れた、孤独に耐える目・・・

コックリさん(こひな、分かったよ。お前も・・・)


コックリさん「お前も、俺と同じ、だったんだな・・・)

41: 2014/12/17(水) 03:09:45.65 ID:1RV+rrJt0








・・・





・・・





どこまで歩いたのでせうか


どこまで歩けばよいのでせうか


この闇は いつまでも終わらないのです


そう 市松が感じていた


あの感情のように







42: 2014/12/17(水) 03:12:42.77 ID:1RV+rrJt0

感じないはずでした


忘れていたはずでした


気づかないふりをしていました


この気持ちに。



なのに

どうして

今更


今更









こひな「今更、涙があふれて、止まらないのでしょう・・・・・・!」








43: 2014/12/17(水) 03:18:05.85 ID:1RV+rrJt0


今日も家に1人 明日も1人



こひな「・・・1人はつらいのです・・・」



今日も1人で食事 明日も1人



こひな「・・・1人は悲しいのです・・・」



会いに行く人などいない 会いに来る人などいない



こひな「・・・1人は、1人ぼっちは・・・・・・」



ずっと1人 このまま1人 永遠に1人



こひな「淋しいのです・・・・・・!」








ポウ・・・




こひな「この光は・・・?人魂でせうか?」


こひな「光の中に何か見えるのです」


こひな「信楽おじさん・・・?」

44: 2014/12/17(水) 03:24:24.27 ID:1RV+rrJt0


・・・


こひな『やはり、一つ目の姿も見えなくなってしまったのです。一つ目に会えなくなってしまったのです』


信楽『嬢ちゃん、友達が見えなくなって悲しいのは分かるが、所詮あれは、人と相容れない存在だったんだ。ま、そう気を落とすな』



・・・


こひな(そうでした、信楽おじさんは)


こひな(市松が悲しいとき、余計な言葉を捨てて、市松をなぐさめてくれたのです)


45: 2014/12/17(水) 03:42:31.45 ID:1RV+rrJt0

ポウ・・・


こひな「また人魂なのです」

こひな「・・・今度は狗神さんの姿が見えるのです」



狗神『我が君~!!』

狗神『我が君、愛しております!!』

狗神『この命、我が君と共に・・・!!』



こひな(そうでした、狗神さんは)

こひな(いつも、市松の冷めた心を、温めようとしてくれていたのです)


46: 2014/12/17(水) 04:04:15.77 ID:1RV+rrJt0


ポウ・・・


こひな「そしてこの人魂はきっと・・・」

こひな「・・・やはりそうなのです。コックリさんの姿が、見えるのです」


コックリさん『育ち盛りがこんな食事じゃダメだ!!』

コックリさん『・・・1人で寂しくないのか?』

こひな『アムアム、アム』オニギリムグムグ

コックリさん『アッハッハッハッハ・・・』


コックリさん『・・・ただいま』


こひな(そうでした、コックリさんは)

こひな(ありふれた日々を、市松と繰り返し過ごしてきてくれたのです)


47: 2014/12/17(水) 04:08:56.66 ID:1RV+rrJt0

こひな(市松は忘れていたのです)

こひな(いつも、市松のそばにあった、ありふれた日々のことを)

こひな(そして、それは、静かに流れているということを)

こひな(市松は)


こひな「市松は、もうひとりぼっちではないのです」





キイイイイイン・・・・・・!!



こひな「!?」

こひな「なんでせう、光が・・・」



 バ ァ ン ! !  


48: 2014/12/17(水) 04:18:25.38 ID:1RV+rrJt0

狗神「!?」

信楽「うをぉっ!?」

コックリさん「こ!!」


「我が君!」「嬢ちゃん!」「こひな!!」



こひな「・・・あれ・・・?」

こひな「ここは、市松の家なのです?」

こひな「確か、市松は、真っ暗な闇の中を歩いて・・・」

こひな(そうです、孤独のような真っ暗な闇の中を・・・)



ギュッ!!



こひな「!!(狗神さんが、いつもよりやさしく抱きしめてきたのです)」

狗神「我が君、もういいのですよ。もう、怯えることはないのですよ」



ポンポン


こひな「!!(信楽おじさんが、頭をやさしく撫でてくれたのです)」

信楽「嬢ちゃん、おじさん達、嬢ちゃんの気持ちを全然分かってなかったんだな」



ニギッ


こひな「!!(コックリさん、やさしく手をにぎってきたのです。みんなどうしたのでせうか)」

コックリさん「そうだ、俺達、こひなの本当の気持ちに気づいたんだ。こひな、お前はずっと・・・」






ずっと、淋しかったんだな―――




こひな「・・・!!」



こひな「う、う・・・・・・・・・」


こひな「うわあああああああああああああん」

こひな「あああああああああああああああん、うわああああああああああん」

コックリさん「!?ちょ、ちょっとどうしたんだこひな!!」

狗神「ああ我が君、泣き顔も麗しい・・・!」ポッ

信楽「いろいろ押さえ込んでたもんが出てきたんだろ。今はこのまま泣かせてやりな」


こひな「あああああああああん、うわああああああーーーーーん」




49: 2014/12/17(水) 04:24:50.77 ID:1RV+rrJt0

そうです。市松は、ずっとずっと淋しかったのです。

その淋しさを認めたくないから、人形のふりをしていたのです。

そして、この気持ちを、誰も分かってくれるわけがないと思っていたのです。


けれど、それは、市松の勘違いだったのです。

コックリさん、狗神さん、信楽おじさん。

みんな、市松の傍によりそってくれていたのです。


市松は、もう淋しくありません。

市松はもう人形ではありません。

生きた心を持つ人間です。

この胸に抱えていた淋しさと向き合って、

みんなが与えてくれるやさしさと共に、生きていこうと思います。



50: 2014/12/17(水) 04:33:35.06 ID:1RV+rrJt0



・・・・・・



こひな「一通り泣いたらすっきりしたのです」

コックリさん「でも、その喋り方は直らないんだな」

こひな「いきなり口調が変わると、キャラ変更勝手にすんなボケと言われてしまうのです」

狗神「私めは、このままの口調の方が、かわいらしくてこひな様にぴったりだと思います」

信楽「ま、取りあえず、嬢ちゃんが戻ってきてよかったよかった。ハッハッハ」

こひな「それはともかく、みなさん、なぜそのような破廉恥な格好をしてらっしゃるのでせうか?」


「「「え?」」」


こひな「信楽おじさんはフンドシ一丁に全身に経文をお書きになって」

信楽「ああ、これは、嬢ちゃんを念力で探すのにこういう格好になったんだよ」

こひな「狗神さんはパンツ一丁で全身を荒縄で縛っておられますし」

狗神「こっ!これは、全身に念を送り、こひな様の場所を探るために必要な格好でして・・・!」

こひな「そしてコックリさん、あなたが一番アウトです」

コックリさん「ええっ!?なんでぇっ!?他の2人もヤバいだろ!!」

こひな「いいえコックリさん。コックリさんの格好は・・・・・・だめです、とても口にすることができません。ああ、なんて破廉恥な」

コックリさん「仕方ないだろ!!少ない念を集めるためにこの格好をするしかなかったんだよ!!」


51: 2014/12/17(水) 04:46:31.96 ID:1RV+rrJt0

狗神「フン、狐殿の搾りかすのようなレベルの念力では、超超破廉恥な格好をせざるを得なかったようですね。
   やはり私めが一番こひな様を思っている!!
   そう、たとえこんな荒縄で全身を縛られたとしても気にしない!そう、我が君のためなら、ムチだろうが蝋燭だろうが   耐えてみせる!!」

信楽「いやいや、おじさんも、けっこう頑張ったんだよ。嬢ちゃんのためにね。
   この経文を書いた墨、特製でね~。書いたらなかなか消えないんだよ。体はってるんだよ~」

コックリさん「黙れお前ら!!狗神はただ単に変態プレイがしたいだけだろ!!この口リコンが!!
       信楽!お前も経文とか言ってるけど、途中からただのぐにゃぐにゃした線を描いてるだけじゃねーか!!
       ったく!!一番こひなのことを思って体はったのは、俺じゃねーか!!」

こひな「みなさん、どうか墜ちついて下さい。特にこっくりさん、あまり動かれると、あ、ああ。
    コックリさん、コックリさん、どうかおやめください」

コックリさん「ホラ見ろ!こひながすっかり怯えてるじゃねーか!お前達早く服着て消えろ!」

狗神「何をおっしゃるのですか!!退散するのは狐殿、そして狸殿、あなたたちお2人でございます!こひな様と今共に過ごすべきは、私にございます!!」

信楽「おいおいこういう時こそ、大人の余裕を見せてやらんと。さ、ガキ2人はあっち行って、あとの子守はおじさんにまかせなさい」

何をー!!貴様こそ立ち去れー!!いやおじさんに任せなさい!!
ギャー ワー ギャー ワー



コックリさん「つまり」

狗神「私めが」

信楽「一番」






52: 2014/12/17(水) 05:00:45.10 ID:1RV+rrJt0


「こひなの事を」「我が君の事を」「嬢ちゃんのことを」


「「「一番思って祈祷していたん」だ!」のです!」んだ!」


こひな「・・・・・・」




 カ ッ ! ! 



コックリさん「うっ!?この光は!?」

狗神「ま、まさかまたもや!?」

信楽「おい見ろ、嬢ちゃんの姿が・・・!!」



「「「また消えちまったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」













こひな「いくら淋しくないからと言っても、変態なのは困ります」

こひな「少し反省してもらうのです」

こひな「それに・・・」



こひな(それにここだと、面と向かって言えないことが言えるのです)


こひな「コックリさん、狗神さん、信楽おじさん」




こひな(ありがとうなのです)


こひな(3人とも)


こひな(大好きなのです)






おわり

54: 2014/12/18(木) 18:46:13.71 ID:VIQszTtaO

引用元: 【繰繰れ!コックリさん】コックリさん「こひなが居なくなった」