1: 2014/12/16(火) 18:56:14.39 ID:rNgGLOYW0
2: 2014/12/16(火) 18:57:21.41 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「・・・あれ」
狗神「・・・我が君?」
信楽「・・・嬢ちゃんが・・・」
「「「消えた・・・・・・」」」
3: 2014/12/16(火) 18:58:46.12 ID:rNgGLOYW0
狗神「貴様ーーッ!!我が君を一体どこにやったーーーーーッ!!」ガシィッ!!
コックリさん「やややややめろ落ち着け狗神!!揺するな!!首がおかしくなる痛い痛い痛い!!」ガクガクガク
狗神「落ち付いてなどいられますか!!この!!この状況がぁッ!!」ボワァン
コックリさん「お前女になってるぞ!!」
信楽「お前ーーッ!!美人がいるならいるとおじさんに最初から言わんかーーーッ!!」ガシィッ!!
コックリさん「やめろやめろ落ち着け狸親父!!こいつは男だぞ!!っていうか今はそんなこと関係ないだろうがこのスケコマシが!!」
狗神「我が君いぃいーーーーーーーーーーーッ!!」
信楽「美人ンンンンゥゥゥーーーーーーーーッ!!」
コックリさん「やかましいわーーーーーーーーーーッ!!」ゴォン!!
狗神「ギャイン!!」
信楽「あ゛いだっ」
ドサッ
4: 2014/12/16(火) 18:59:17.85 ID:rNgGLOYW0
狗神「わ、我が君・・・」ガクッ
信楽「び、美人・・・」ガクッ
コックリさん「・・・ったく、せっかくフライパンを新しくしたのに、こいつらの頭を叩いたらがへこんじゃったじゃないか・・・」
コックリさん「・・・しかし・・・」
コックリさん(・・・こひなは一体どこへ・・・?)
5: 2014/12/16(火) 19:00:01.80 ID:rNgGLOYW0
そう、それは数分前の出来事だった。
いつものような日常。
狗神がこひなに媚を売り、
狸がいけしゃあしゃあと金をせびり、
俺はカップ麺を食べることを叱り、
そして、こひなも。
こひなも、いつもと全く同じ様子だった。
6: 2014/12/16(火) 19:05:34.65 ID:rNgGLOYW0
・・・
コックリさん「・・・だーかーらー!!一番最初にこの家にとり憑いたのは俺なの!!俺が一番最初にこひなに呼ばれたの!!」
狗神「いいえ違います。あなたは「家」に憑いただけです。家の主に憑かねば、「憑いた」とは言えません。
それはすなわち、こひな様を一番愛しているこの私めが、この家に憑いているということになるのです」
信楽「憑いたとか憑かねえとか、そんなのは重要じゃねえんだよ。
女の子の心をときめかせる。つまりそれは、取り憑いた、ってことになるんだぜ。
嬢ちゃんだって、俺から見りゃぁ女なんだぜ。ま、半分冗談だがな。」
コックリさん「つまり」
狗神「私めが」
信楽「一番」
「こひなの事を「こひな様の事を「嬢ちゃんの事を「「「一番分かっている」」」んだよ!」のです!」んだ!」
こひな「・・・・・・」
こひな「・・・市松に父親は3人もいないのです。いらないのです」
8: 2014/12/16(火) 20:31:51.49 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「何言ってるんだこひな、そんな淋しいこと言っちゃダメだ!!
1人で食べるご飯より、誰かと食べるご飯の方がおいしいんだぞ!?
俺はこひなを、父親のようにモフモフと守ってやる!!」
こひな「・・・思春期の女子にとって、父親の存在は、鬱陶しい存在でしかありません」
こひな「 ウ ザ イ のです」
コックリさん「 は う あ !! 」 ガビーン
狗神「それでは我が君、私めが貴女様をお守りいたします。時には父のように力強く。そしてある時は」
ボワン
狗神「・・・母として暖かく、包み込むようにお守りいたします。
いえ、それどころか、それ以上の関係でも、私は・・・グフ、グフフフフグヘヘヘ」
こひな「・・・子離れできない母親は、子の成長にとって、ただの邪魔者なのです」
こひな「 キ モ イ のです」
狗神「 き ゃ い ん !! 」ズガーン
信楽「ま、所詮親も他人ってことだな。
そんでもって案外、時々会う親戚のおじさんなんかが、一番気持ちを分かってあげてたりするもんなんだよ。
親にも言えない本音を言えたり、たまーに、お小遣いあげたりなんかしてな。
嬢ちゃん、他人同士、おじさんと本音で語り合おうや、な?」
こひな「・・・たまに現れ、幼女に賄賂を渡す変質者、通報なのです」
こひな「 ア ウ ト なのです」
信楽「 あ ふ ん !」ショボーン
9: 2014/12/16(火) 20:47:24.68 ID:rNgGLOYW0
こひな「市松は人形なのです。人形は、淋しさなど感じないのです」
コックリさん「・・・」
狗神「・・・」
信楽「・・・」
こひな「父親も母親も、親戚も友達も、人形には必要ないのです」
狗神「・・・で、こひな様のことを一番お分かりになると、最初に啖呵を切ったのは、どなたでしたか?狐殿」
コックリさん「・・・お前こそ常に我が君、我が君って言ってるくせに、全然こひなの心中を分かってなかったじゃないか」
信楽「所詮女心と秋の空。女には、俺達にゃ理解できねえこともあるってこった」
コックリさん「っていうかお前!!お前が一番この話題に関係ねーだろが!!なんでお前まで話にのってきたんだ!?あ!?」
狗神「そうでございます!!先ほどからの発言を振り返れば、まるでこひな様に気のあるようなものばかり!!ついに口リコンに目覚めたのですかこの変態狸!!」
信楽「ち、ちがうよぉ~・・・おじさんも嬢ちゃんのお守をしようと思っただけなんだよぉ~」
コックリさん「ほぉ珍しい、俺の変わりに料理をしてくれるって言うのか?」
狗神「貴様如きに我が君が守れるとでも?」
信楽「いやぁ、家事手伝ったら、ちょっとだけお小遣いくれないかなぁ~・・・って思ってサ」
コックリさん「やはり金目当てか!!」ゴワン
狗神「このタカリ屋め!!」ズキューンズキューン
10: 2014/12/16(火) 21:17:08.46 ID:rNgGLOYW0
信楽「イテテ・・・ったくさっきから黙ってりゃ、好き放題言いやがって。おじさんだって無職のプロ目指してるなりに、気使ってるんだからな」
コックリさん「へえ」
狗神「ほう」
信楽「嬢ちゃんが学校行ってる間に近所をうろうろすると、『アラ、市松さん宅の人、今日もパチンコしてるわ』
なんて言われちゃ、嬢ちゃんも形見が狭いだろうから、迷惑かからないように、ちゃーんと隣町のパチンコ屋に行ったりとかな・・・
おじさん、嬢ちゃんのこと分かってあげてるつもりだぜ?」
コックリさん「それは気を使ってるとは言わないだろーが!!」
狗神「同意」
コックリさん「気を使うってのはなぁ!!こひなのことを考えてあげるっていうのはなぁ!!
栄養のある食事、偏りのない食事、おいしい食事を一日3食50品目用意してあげることを言うんだ!!
こひなの体の事を考えている俺が一番、こひなのことを分かってるんだ!!」
狗神「フッ、そんなことで我が君の事をお分かりになったおつもりですか?何も分かっておられないようですね」
コックリさん「なんだとォ?」
狗神「我が君の事ならなんでもなーーーんでも知っている私が、一番こひな様のことを理解している!!
そう、食べ物の好き嫌い、身長体重、スリーサイズBMI値骨密度ほくろの位置寝相体毛の
コックリさん「おまえちょっと大概にしろよ!?!?!?!!!!?」
信楽「おじさんもちょっと引いたわー」
11: 2014/12/16(火) 21:26:48.31 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「・・・ともかく」
狗神「・・・それよりも」
信楽「・・・さておき」
コックリさん「こひなの生活の事をちゃんと考えている」
狗神「こひな様のすべてを把握している」
信楽「嬢ちゃんのストレスがないようにしてあげてる」
「俺が「私めが「おじさんが「一番」こひなの事を」我が君の事を」嬢ちゃんの事を」
「「「分かってるんだよ!!!!!!」」」
コックリさん「・・・」イラ
狗神「・・・」ムカ
信楽「・・・」チッ
おまえいいかげんにしろよ!!なにがすべてを把握してるだ!!ストレスがないようにだ!!
何を!!狐殿こそいつもこひなさまの好物を隠したり、狸殿はこひな様に金銭をたかったり!!
おじさんも言われ放題だと黙っちゃいられねえなぁ!子供は自由に育てるモンだぜ?
ギャーギャー ワーワー ギャー
こひな「・・・」
12: 2014/12/16(火) 21:34:03.46 ID:rNgGLOYW0
こひな(不毛な争いが始まってしまったのです)
こひな(でも、市松には関係ないのです)
こひな(市松は、自身の心配をされようが、関係ないのです)
こひな(市松は、全てを把握されていようが、誰の物でもないのです)
こひな(市松は、他人と関わらないので、ストレスなどたまらないのです)
こひな(そう、市松こひなは人形なのです)
こひな(人形には、中身がないのです。からっぽなのです)
こひな(人形の心の中は、からっぽなのです)
こひな(そうなのです)
こひな(だから)
こひな(だから・・・)
カ ッ ! !
コックリさん「ッ!?なんだこの光!?」
狗神「我が君が光に包まれております!」
信楽「お、おい!?嬢ちゃんの姿が・・・!!」
13: 2014/12/16(火) 21:39:49.72 ID:rNgGLOYW0
シュウウウウ・・・
コックリさん「・・・あれ」
狗神「・・・我が君?」
信楽「・・・嬢ちゃんが・・・」
「「「消えた・・・・・・」」」
・・・これが、たった数分前に起きた出来事。
突然まばゆい光に包まれ、こひなは・・・
姿を消した・・・。
14: 2014/12/16(火) 21:56:46.27 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「一体どういうことなんだ?」
狗神「もしや、我々の妖力に影響されて、よからぬ物の怪に連れ去られたのでしょうか?」
信楽「いや、それはないな。もしそうなら、ここにその物の怪の気配が残っているハズだ」
コックリさん「・・・こひながふざけているのか?いやしかし、いくらこひなでも、瞬時に姿を消すことなんて・・・それも気配まで・・・」
狗神「私はやはり、連れ去られたと考えるべきだと思います。物の怪以外に連れ去られた、という可能性も考えるべきでございます」
信楽「・・・とにかくどういう理由であれ、こりゃあ嬢ちゃんを探さないといかんなぁ・・・」
コックリさん「一応警察に電話した方がいいだろうか?」
狗神「そうですね。・・・どんな手段を使ってでも見つけ出さなければ・・・我が君!」
信楽「しかし、警察に嬢ちゃんの人相、どうやって伝えるんだ?写真でもあるのか?」
コックリさん「ああそうだ、狗神。お前どうせこひなの隠し撮りの写真沢山持ってるだろ。一枚かしてくれよ」
狗神「嫌でございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
コックリさん「ヒッ」ビクッ
狗神「私の聖なるコレクションを、汚らわしい手で触らせるなど、断じて許しません!!!!!!!!!」
信楽「・・・んじゃ、人相書きでもするか?」
コックリさん「おお!その手があったか!!」
15: 2014/12/16(火) 22:06:56.02 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「すぐ本人だって分かるように描かないとダメだぞ!!」
狗神「お任せ下さい。我が君への愛をこの紙に描きます」
信楽「昔人間の真似をして絵を描いたことがあるんだよ。おじさんにまかせなさい」
数分後・・・
コックリさん「できた!!まずは俺からだ!!」
ジャーーーン!!
信楽「ほお、これは」
狗神「・・・なんですか、これは?」
コックリさん「なんだって、こひなだろ?」
信楽「・・・というよりも、これは・・・」
狗神「麗子像・・・でございますね」
参考画像:岸田劉生『麗子像』
狗神「お任せ下さい。我が君への愛をこの紙に描きます」
信楽「昔人間の真似をして絵を描いたことがあるんだよ。おじさんにまかせなさい」
数分後・・・
コックリさん「できた!!まずは俺からだ!!」
ジャーーーン!!
信楽「ほお、これは」
狗神「・・・なんですか、これは?」
コックリさん「なんだって、こひなだろ?」
信楽「・・・というよりも、これは・・・」
狗神「麗子像・・・でございますね」
参考画像:岸田劉生『麗子像』
16: 2014/12/16(火) 22:17:43.98 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「なんだよ!!こひなの特徴のおかっぱがちゃんと描かれてるだろ!!」
信楽「まあ、似顔絵は本人の一番の特徴を描くと分かりやすいもんだが・・・」
狗神「しかしそんなものでは、こひな様の美しさは描ききれておりません!!」
コックリさん「な、何ィッ!?」
狗神「私めの描いたこひな様をとくとご覧あれッ!!」
ドーーーン!!
コックリさん「こ、これは!?」
信楽「随分とまた・・・」
狗神「お美しいでしょう!?そうです、私の目に映る我が君!!この絵のように光り輝き、眼はうるみ、微笑んでいるのでございます!!」
コックリさん「というかこれ、お前ビジョンのこひなで、本物には全然似てない」
信楽「だな」
18: 2014/12/16(火) 22:22:19.65 ID:rNgGLOYW0
狗神「な、なんですと!!??この絵が狐にも劣ると!!??」ガビーン
コックリさん「バカは置いておいて、お前の絵を見せてみろよ」
信楽「おおそうだな。おじさん、絵描くのは久々だから、頑張っちゃったよ。ちょっとタッチは古いけど、そっくりだ」
コックリさん「おおそうか、どれどれ・・・」
デーーーン!!
狗神「・・・・・・」
コックリさん「・・・・・・」
信楽「ど~だ!?おじさんの自信作だぞ!?」
狗神(浮世絵だ・・・)
コックリさん(ちょっと古いタッチって、ちょっとどころじゃねえぞ・・・コレ・・・)
コックリさん「バカは置いておいて、お前の絵を見せてみろよ」
信楽「おおそうだな。おじさん、絵描くのは久々だから、頑張っちゃったよ。ちょっとタッチは古いけど、そっくりだ」
コックリさん「おおそうか、どれどれ・・・」
デーーーン!!
狗神「・・・・・・」
コックリさん「・・・・・・」
信楽「ど~だ!?おじさんの自信作だぞ!?」
狗神(浮世絵だ・・・)
コックリさん(ちょっと古いタッチって、ちょっとどころじゃねえぞ・・・コレ・・・)
19: 2014/12/16(火) 22:27:37.53 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「ええーーい!!リベンジだ!!もう一度描いて、お前らをギャフンと言わせてやる!」
狗神「私もでございます。・・・我が君、私めの手が、我が君への愛を描ききれなかったことを、どうぞお許し下さい」
信楽「ん~おじさんも久々にお絵かきしたら、なんだか楽しくなっちゃったな~。よ~し、もう一枚!!」
アハハハ アハハハ キャッキャ キャッキャ
コックリさん「・・・って楽しくお絵かきしてる場合じゃないでしょぉーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!??」
狗神「ハァッ!!そうでございました!!つい我が君を描く楽しさに没頭しておりました!!」
信楽「ンガァアアアアンゴオオオオオオオ」ZZZZZZZZ
コックリさん「こんな時に酒飲んで寝てるんじゃねーよ!!」ポカン!!
20: 2014/12/16(火) 22:42:47.33 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「ああもう午後か・・・もうこうなったら、人相どうこうよりも、特徴を口頭で伝えた方が早いだろう」
狗神「私めが警察に電話いたします。狸殿、失礼ですが携帯電話を貸していただけますか?」
信楽「あいよ。頼んだぜ」
プルルルルル プルルルル
あ、もしもし警察ですか・・・?はい・・・そうです、突然姿を消してしまって・・・
ええ、特徴は、おかっぱで・・・烏羽玉(ぬばたま)のように美しい黒髪でして・・・
それから、つぶらな瞳・・・あの美しいびいどろのような、私めの心を射抜く、美しい瞳・・・
華奢な手足、抜けるような白い肌、ああ・・・我が君、我が君よ!!
私めは、あなた様が、あなた様が愛おし
ブツッ
プーッ プーッ プーッ
狗神「・・・電話が切れてしまいました」
コックリさん「当たり前だろ!!!!!!!!」
21: 2014/12/16(火) 22:50:27.06 ID:rNgGLOYW0
信楽「しょうがねえなあ、こういう時は、年長者に任せな。俺が電話してやるよ」
コックリさん「頼んだぞ!」
プルルルルル プルルルル
あ~~もしもし、警察ですか?そうそう、消えたんだよ~ピカーッと光って。
え?特徴?あ~~ん、目が取れて、カップ麺で動く、人形みたいなモンかな。
え?間柄?
いや、親、っていうわけじゃあないんだけど・・・ははは、兄弟、でもないかな。親戚?いやいや違う。
あ~そうだ!
突然呼び出されて、住んでるから、おじさん誘拐されたみたいなもんかなぁ~アッハッハッハh
ブツッ
プーッ プーッ プーッ
信楽「ありゃ、切れちゃったよ」
コックリさん「当ッたり前だろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
22: 2014/12/16(火) 22:54:58.23 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「もういい!俺に貸せ!!俺が電話する!!」
信楽「あ、その電話だけど・・・」
コックリさん「うるさい余計な事言うな!」
プルルルルル プルルルル
あ、もしもし?私、人探しをしておりまして・・・ええ、ええ。
あ、はい。それは名前から申し上げます。
名前は、市松こひな。
外形の特徴は・・・・・
ブツッ
プーッ プーッ プーッ
コックリさん「おい電話切れたぞ!!!?!?」
狗神「ですから、狸殿が、プリペイドがなくなる寸前だと、申し上げようとしておりましたのに」
コックリさん「あああああああーーーーーーー!!どうすんだよコレ!!家の電話からかけても、もうイタズラだと思われて相手にされないぞ!?」
信楽「ちょっとは人の話聞かなきゃダメだよ~」
23: 2014/12/16(火) 22:59:48.54 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「ハァ・・・天下の警察も頼れなくなったか・・・」
狗神「それでは、我々あやかしの力を使って探すと言うのはいかがでしょうか?」
信楽「おおいいね~。他の人に任せておけば、おじさん安心だぁ」
コックリさん「この狸おやじ!!お前のせいで警察頼れなくなったようなモンなんだからな!!」
狗神「あやかしの身でありながら、まず人間を頼ろうとした狐殿にも問題があると、私めは思いますが・・・」プッ
コックリさん「じゃーーーかしーわ!!・・・で、誰に頼るんだ?」
信楽「・・・天狗だな」
狗神「・・・天狗殿でございますね」
コックリさん「・・・え?」
24: 2014/12/16(火) 23:08:49.69 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「お前達正気か?あの天狗に頼むのか?」
信楽「なんで?あの辺の山の事ならなんでも知ってるんだよ」
狗神「攫われて山へ連れて行かれたか。こひな様自身で山へ行かれたか。
いずれにしても、あの広範囲の山のことをご存知の天狗殿のご意見をお伺いすれば、少しは探索が楽になるとは思うのですが」
コックリさん「いやだってあいつショタだよ?写真撮られるよ?お前達、いいの?」
信楽「いや、おじさんは、おじさんだから。無理だから。ハハッ」
狗神「私も、只今から女性の身体に変化します故、少年の姿になるのは、少し難しいかと・・・」ボワン
コックリさん「え?何?お前達、どういうこと?」
信楽「さあ、そうと決まれば」ガシッ
狗神「参りますよ。天狗殿の所へ」ムンズ
コックリさん「え!?え!?ちょっとなんで簀巻きにしてかつぐの俺を!?ねえなんで!?ちょっと俺前も写真取られたんだけどぉーーーー!?ちょっとぉーーーー!!!ちょっとーーーーー!!」
25: 2014/12/16(火) 23:17:59.34 ID:rNgGLOYW0
天狗の家
天狗「・・・ほぉ、そうかそうか・・・そういう理由で、やって来たと・・・」
信楽「ま、どうか一つ頼むぜ。そいつは好きに写真撮ってかまわねえからよ」
狗神「私共では満足頂ける被写体になれませんので・・・どうか、このショタ狐と引き換えに、我が君、こひな様の安否をお教え下さいませ!」
コックリさん「ンモガーーーーーーーー!!ウーーーーーーーー!!」(やめろーーー!俺は同意したわけじゃねえーーー!!)
天狗「ふむ・・・まあ、天然ショタではないというのには目を瞑ってやろう・・・あの娘に免じてな・・・」
コックリさん「グムムーーーーー!!モウーーーーー!!」(この変態ショタコン野郎ーー!!離せーーーー!!)
天狗「さ、それでは・・・」
コックリさん「モフ!!?!?」ビクッ
天狗「一 肌 脱 ぎ ま し ょ う か な ・・・」
コックリさん「モフッーーーーーーーー!!!!!!!!」(アッーーーーーーーーーーーーーーーー!!)
26: 2014/12/16(火) 23:22:30.31 ID:rNgGLOYW0
天狗「ホッホッホ、眼福眼福。新しく短パンタンクトップ衣装を着せたかいがあったわい」
コックリさん「うっ・・・・・・うううっ・・・・・・」
信楽「お疲れさん。ボクがんばったね!おじさん、えらいと思うよ!!」
コックリさん「ガキみたいに扱うんじゃねえ!!」
狗神「何をすすり泣くのですか狐殿。ただ写真を撮られただけではありませんか」
コックリさん「お前にはわからないッ!!あのレンズの奥から除く視線が!!視線が絡み憑いてあがじゃdkふぁhkdj
天狗「・・・そんなに文句ばかり言うて、あの娘のことを知りたいのではないのか?」
コックリさん「ッ!!そ、そうだった!!どうなんだ?こひなは、この山に今いるのか!?」
天狗「・・・ふむ、それなのだが・・・」
27: 2014/12/16(火) 23:33:24.81 ID:rNgGLOYW0
天狗「ハッキリ言うと、「居る」ようじゃ」
コックリさん「!?な、なら今、この家の近くに!?」
天狗「・・・しかし、「居る」のじゃが、何処に居るのかがつかめない。そして、姿形があるものとして居るわけではない」
狗神「一体それは、どういうことでございますか?」
天狗「あの娘の「存在」は感じる・・・それも、ものすごく近くに。じゃが、この山に居るというわけではない。
遠くて近い、実態のないような存在として「居る」ようじゃ・・・」
信楽「それじゃまるで嬢ちゃんが・・・」
天狗「うむ・・・魂だけの存在になった・・・というのが、一番近いかもしれん。しかし、氏んでいる、というわけでもない」
コックリさん「何なんだよそれ・・・結局、こひなの居場所は分からないってことか!?」
天狗「・・・すまんが、そう言う事になるな・・・」
狗神「・・・手がかりなし、でございますか・・・」
天狗「・・・じゃが一つハッキリ言えることがある。
それは、あの娘の魂は、3つに別れて、どこかに封印されているようじゃ」
信楽「封印だと?なんだぁ、随分大げさな話になってきたじゃねえか」
天狗「・・・対価が足りんから答えられないというわけではない。わしにも、分かるのはこれだけじゃ・・・」
コックリさん「!?な、なら今、この家の近くに!?」
天狗「・・・しかし、「居る」のじゃが、何処に居るのかがつかめない。そして、姿形があるものとして居るわけではない」
狗神「一体それは、どういうことでございますか?」
天狗「あの娘の「存在」は感じる・・・それも、ものすごく近くに。じゃが、この山に居るというわけではない。
遠くて近い、実態のないような存在として「居る」ようじゃ・・・」
信楽「それじゃまるで嬢ちゃんが・・・」
天狗「うむ・・・魂だけの存在になった・・・というのが、一番近いかもしれん。しかし、氏んでいる、というわけでもない」
コックリさん「何なんだよそれ・・・結局、こひなの居場所は分からないってことか!?」
天狗「・・・すまんが、そう言う事になるな・・・」
狗神「・・・手がかりなし、でございますか・・・」
天狗「・・・じゃが一つハッキリ言えることがある。
それは、あの娘の魂は、3つに別れて、どこかに封印されているようじゃ」
信楽「封印だと?なんだぁ、随分大げさな話になってきたじゃねえか」
天狗「・・・対価が足りんから答えられないというわけではない。わしにも、分かるのはこれだけじゃ・・・」
28: 2014/12/16(火) 23:44:30.32 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「・・・」
狗神「・・・」
信楽「・・・」
狗神「・・・狐殿」
コックリさん「・・・なんだ」
狗神「その・・・・・・先ほどは・・・・・・・・・」
コックリさん「? 何だ?」
狗神「そ、その・・・・・・も、も、申し、わけ・・・・・・」
信楽「スマンかったな、恥ずかしい格好させたのに、結局手がかりなしになっちまって、って言いたいんだろ?犬の嬢ちゃん」
狗神「なっ!?」
コックリさん「!? な、なんだお前いきなり謝るだなんて!?どうかしたのか!?」
狗神「クッ、フ、フン!少しは労おうと思って言っただけでございます」
信楽「犬の嬢ちゃんも素直じゃないねえ。普通に、『ごめんなさぁ~い、狐殿ぉ~』って謝ればいいだけのことよ」
狗神「なっ!?」
信楽「そしてその次は、『私、私のせいでこんなことに・・・ごめんなさいぃ~』って、おじさんの胸に抱きついて甘えてごらん。泣いたって、いいんだぜ」
狗神「貴様・・・!やはり殺されたいようだな・・・!!」
コックリさん「・・・俺の事なら気にするなよ狗神」
狗神「!?」
29: 2014/12/17(水) 00:00:06.84 ID:rNgGLOYW0
コックリさん「お前がこひなのことを大切に思っているのは知っている。信楽も手がかりを得る手段を考えてくれた。
俺はそれに協力したまでだ」
狗神「狐殿・・・」
コックリさん「それに、何も手がかりがなかったわけじゃない」
信楽「・・・そうだな」
コックリさん「3つに分けられて封印された魂。この場所を探せばいいだけだ」
狗神「・・・そうでございますね。諦めずに、その場所を探しましょう」
コックリさん「さあ、もう夕方だ。日が沈む前に、今度は町で聞きこみしよう」
信楽「・・・おじさんも珍しく本気出すとしようかな」
狗神「私めはこひな様の匂いを探ってみます」
コックリさん「よし、じゃあそれぞれ探してみることにしよう!」
信楽「よ~しおじさんがんばっちゃうぞ~」
狗神「こひな様・・・我が君・・・クンカクンカスーハー」
コックリさん「あ、あとお前ら。さっき無理やり俺を被写体にさせたから、狗神は夕食抜き、信楽は明日小遣いなしな」
狗神「この狐が!!やはり根に持って恨んでいたのですね!!」
信楽「そりゃないよ~。おじさん、やる気なくした・・・ハァ・・・」
コックリさん「やかましいわ!!少しは俺の受けた辱めの辛さを思い知れ!!」
30: 2014/12/17(水) 00:01:58.96 ID:1RV+rrJt0
・・・
・・・
ここは・・・
ここはどこでせうか。
真っ暗で何も見えません。
真っ暗なのです。
でも、市松は平気です。
市松は人形です。
暗闇などには怯えません。
闇の中でひとりぼっちでも、平気なのです。
31: 2014/12/17(水) 00:04:01.55 ID:1RV+rrJt0
・・・起き上がって歩いてみましたが、どこまで行っても闇なのです
・・・果てしない果てしない闇なのです
・・・市松は、この闇を知っている気がするのです
それは
・・・それは・・・
32: 2014/12/17(水) 00:19:49.32 ID:1RV+rrJt0
信楽「おお~~い、嬢ちゃ~~~ん」
信楽「嬢ちゃ~~~ん、おじさんだよ~~~」
信楽「おじさんだよ~~~カプ麺あるよ~~~」
信楽「タバコもあるよ~~酒もうまいよ~~~」
信楽「・・・ってやれやれ、タバコと酒じゃ出てくるわけねーわな・・・」
信楽「・・・」
信楽(・・・っと・・・いつの間にか孤児院の方に向かっちまってたか・・・)
信楽(お、まだ外で遊んでる子がいるのか・・・声が聞こえるな)
子供1「・・・あ~あ、早くあのおじさんに会いたいなぁ~」
子供2「え?あのいつも来る、お坊さんの格好したおじさん?」
子供1「そう!わたし、あのおじさんに、早くあいたいの!」
子供2「あのおじさんに!?あたま半分まっ白でへんだよあのおじさん~!」
子供1「あたまはまっ白だけど、でもあのおじさん、とってもやさしいんだよ!いっつもわたしの頭、いっぱいなでてくれるの!」
子供2「えーっ!!そうなの!?ずるーい!!わたしもなでてもらうー!!」
キャハハハハ 早く会いたいね~ アハハハ・・・
信楽「・・・・・・」
33: 2014/12/17(水) 00:35:39.53 ID:1RV+rrJt0
信楽(・・・俺に会いたい、か・・・)
この孤児院の子供達は、俺が破滅させた家の子供達だ。
こいつらが天涯孤独になったのは、俺のせいだっていうのによ。
そんな俺に早く会いたいとは・・・。
俺ぁ化け狸だ。
化かして、騙して、奪うやり方しか知らねえ。
だから疎まれるのには慣れているはずだった。
それなのに―――
信楽「・・・そうだ、あの時・・・・・・」
34: 2014/12/17(水) 00:44:09.43 ID:1RV+rrJt0
(・・・さん、・・・ックリさん・・・・・・)
あの時、呼ぶ声が聞こえたんだ。
いや、正確には、俺を呼んでいたんじゃあない。
けれど・・・
(コックリさん・・・コックリさん・・・おいでください・・・)
俺は、俺を必要としてくれる誰かを、求めていたんだ。
誰でもいい。
俺を受け入れてくれる場所を。
この孤独を埋められる人を―――
信楽「・・・そうか、嬢ちゃん・・・アンタも・・・」
35: 2014/12/17(水) 02:16:08.27 ID:1RV+rrJt0
狗神「我が君ーー!!我が君ーーーー!!」
狗神「愛しの我が君ーーー!!あなた様を求めてさまよう私ーーーーー!!」
狗神「どうかこの胸にいらしてくださいーーー!!どうか早くーーーー!!」
狗神「我が君ーーーー!!我が君・・・・・・っってこひな様の匂いがするーーーーーーーーーーーーーッ!!」
ドビュン!!
ガ ッ シ ャ ア ア ア ア ア ア ー ン!!
タマ「に゛ゃあああああああああーーーーっ!?突然うちの店の入り口を壊して入ってきたのは誰にゃーーーーっ!?」
狗神「なんだ貴様か」
タマ「にゃにゃっ!!お犬様ではないですか!!」
狗神「そうか、我が君は一度ここに拉致されたのでしたね・・・ってまさか貴様!!またもこひな様を!?犯人はお前か!!??」
タマ「なんのことにゃ!?あの子のことなら、もう諦めてるにゃ!全然お人形さんらしくならないから、もう手に負えないにゃ~」
狗神「そ、そうですか・・・それではこの匂いはその時の残り香ということですね・・・大変お騒がせ致しました、失礼致します・・・」
タマ「ちょ、ちょっと待つにゃ!!このドアどう弁償してくれるにゃ~!!ドアが壊れてたら営業できないにゃ~!!」
狗神「そんな事を仰られても、貴女のお店は年中開店休業状態でしょう?何かお困りでも?」
タマ「にゃ、にゃにを~~!!ってそれだけじゃないにゃ!!お犬様がこんなことで引き下がるなんておかしいにゃ。何かあったのにゃ?」
狗神「・・・・・・実は・・・」
36: 2014/12/17(水) 02:27:32.27 ID:1RV+rrJt0
タマ「ふ~ん、そうだったのにゃ~。不思議なこともあるものにゃ!」
狗神「全くでございます。私めは、こひな様を一刻も早く取り戻さねばなりません」
タマ「しかし、1人の人間にここまで執着するとは、驚きだにゃ!」
狗神「・・・それが何か?私めのこひな様への愛は、本物でございますよ?」
タマ「うにゃ!嫌味じゃないのにゃ~。そうじゃにゃくて・・・う~ん、あ、そうにゃ!タマがお人形さんを好きなのと同じなのにゃ!」
狗神「?」
タマ「お人形さんは何も言わないけれど、タマが沢山愛情を注いであげたら、その分どんどんかわいくなるにゃ。
それは、お人形さんもタマのことが好きだからなのにゃ。
お互いに想いが通じ合ってないと、そう感じられないのにゃ。
お犬様があの子のことを、可愛くて愛おしくて仕方がないのは、あの子もどこかでお犬様のことを好いているからだと思うのにゃ」
狗神「・・・・・・」
タマ「そんなに愛されて、あの子は幸せだにゃ!あ~、お人形さんだったら、もっとよかったのににゃ~~!!」
狗神「・・・・・・」
狗神(我が君が、私の事を、そんなにも・・・?)
37: 2014/12/17(水) 02:45:37.20 ID:1RV+rrJt0
狗神(我が君への愛は本物だ。でも・・・)
狗神(我が君は、私めをどう思っているのか、と・・・どこかで思っていた・・・)
狗神(そう思ってはいけない、何度もそう思っていた)
狗神(でも、そう思ってしまうのは・・・)
私は、ただの捨て犬だった
お前は、狗神になるために拾われてきたのだ
お前は、ただ氏ぬだけの運命なのだ
私は、ただの1匹の犬だった
飢える寸前の首を切り落として[ピーーー]。
お前は、願いを成就させるための生贄なのだ
お前は狗神になるのだ。
誰にも見向きもされなかった
なんだこの狗神は、できそこないじゃないか
やはりただの駄犬だったか。 できそこない
誰にも必要とされなかった
この骨は砕いて捨てておけ 取っておく必要もない
全く無駄なことをしてしまった 必要ないことをしてしまった
誰かに必要としてほいかった
いらない犬
いらない犬 いらない霊 いらない いらない
誰にも・・・・・・
狗神(誰にも、愛されなかったから・・・・・・)
私は、私を必要としてくれる誰かを、求めていたのです。
そう、あの日、あの時。
捨てられていた私めに唯一差し伸べられた、あの暖かい手のような―――
この孤独を暖めてくれる、あの方の―――
狗神「!! そうか・・・我が君、我が君も・・・」
38: 2014/12/17(水) 02:51:50.51 ID:1RV+rrJt0
コックリさん「こひなーーーー!!どこだーーーーー!!」
コックリさん「こひなーーーー!!居たら返事してくれーー!!」
コックリさん「こひなぁーーー!こーーーひーーーなーーーー!!!」
コックリさん「こひなーーーーーーーーーーーー!!!」
コックリさん「・・・ハァ、魂に声で呼びかけたって意味ないか・・・」
コックリさん「・・・いや、諦めないぞ!!・・・おーーーーい!!こひなぁーーーーー!!」
コックリさん(皮肉だな、俺は人に呼ばれる側の立場のもののけなのに)
コックリさん(俺が声を張り上げて、こひなを探している)
コックリさん(もう、俺を呼ぶ者なんて、誰もいないのに)
コックリさん(そう、誰も・・・)
39: 2014/12/17(水) 02:57:36.34 ID:1RV+rrJt0
人が神を信じなくなったのは何時の頃からだろう。
そして神もまた人を信じなくなったのは何時の頃からだろう。
人は神を信じなければ生きられない。
しかし次第に人は、神を頼らずとも生きられるようになっていった。
人は知恵をつけ、神に近い存在へと近づいてきている。
だが神は違う。
神は、人の信じる力でしか生きられない。
だが、天の動きも、地殻のうねりも察知できるようになった今、
神にすがる理由がどこにある?
祈りなど、ただの戯れでしかないのだ。
だから―――
コックリさん(だから、お前が俺を呼んでくれた時)
コックリさん(お前が俺を信じて呼んでくれた時)
コックリさん(俺は、1人じゃないって、そう思えたんだ・・・)
40: 2014/12/17(水) 03:05:58.68 ID:1RV+rrJt0
あの日、寂れて朽ちた神社の中で、
俺はもう、この世から消える事を受け入れていた。
しかし、微かに聞こえた、俺を呼ぶ声。
その先には、こひな。
お前がいたんだ―――。
こっくりさんを1人でやるお前の冷たい目を、俺は何処かで見た記憶があった。
でも、今分かったよ。その目は・・・・・・
コックリさん「俺と、同じ目をしていたんだ・・・・・・」
コックリさん(消え逝く運命を受け入れた、孤独に耐える目・・・
コックリさん(こひな、分かったよ。お前も・・・)
コックリさん「お前も、俺と同じ、だったんだな・・・)
41: 2014/12/17(水) 03:09:45.65 ID:1RV+rrJt0
・・・
・・・
どこまで歩いたのでせうか
どこまで歩けばよいのでせうか
この闇は いつまでも終わらないのです
そう 市松が感じていた
あの感情のように
42: 2014/12/17(水) 03:12:42.77 ID:1RV+rrJt0
感じないはずでした
忘れていたはずでした
気づかないふりをしていました
この気持ちに。
なのに
どうして
今更
今更
こひな「今更、涙があふれて、止まらないのでしょう・・・・・・!」
43: 2014/12/17(水) 03:18:05.85 ID:1RV+rrJt0
今日も家に1人 明日も1人
こひな「・・・1人はつらいのです・・・」
今日も1人で食事 明日も1人
こひな「・・・1人は悲しいのです・・・」
会いに行く人などいない 会いに来る人などいない
こひな「・・・1人は、1人ぼっちは・・・・・・」
ずっと1人 このまま1人 永遠に1人
こひな「淋しいのです・・・・・・!」
ポウ・・・
こひな「この光は・・・?人魂でせうか?」
こひな「光の中に何か見えるのです」
こひな「信楽おじさん・・・?」
44: 2014/12/17(水) 03:24:24.27 ID:1RV+rrJt0
・・・
こひな『やはり、一つ目の姿も見えなくなってしまったのです。一つ目に会えなくなってしまったのです』
信楽『嬢ちゃん、友達が見えなくなって悲しいのは分かるが、所詮あれは、人と相容れない存在だったんだ。ま、そう気を落とすな』
・・・
こひな(そうでした、信楽おじさんは)
こひな(市松が悲しいとき、余計な言葉を捨てて、市松をなぐさめてくれたのです)
45: 2014/12/17(水) 03:42:31.45 ID:1RV+rrJt0
ポウ・・・
こひな「また人魂なのです」
こひな「・・・今度は狗神さんの姿が見えるのです」
狗神『我が君~!!』
狗神『我が君、愛しております!!』
狗神『この命、我が君と共に・・・!!』
こひな(そうでした、狗神さんは)
こひな(いつも、市松の冷めた心を、温めようとしてくれていたのです)
46: 2014/12/17(水) 04:04:15.77 ID:1RV+rrJt0
ポウ・・・
こひな「そしてこの人魂はきっと・・・」
こひな「・・・やはりそうなのです。コックリさんの姿が、見えるのです」
コックリさん『育ち盛りがこんな食事じゃダメだ!!』
コックリさん『・・・1人で寂しくないのか?』
こひな『アムアム、アム』オニギリムグムグ
コックリさん『アッハッハッハッハ・・・』
コックリさん『・・・ただいま』
こひな(そうでした、コックリさんは)
こひな(ありふれた日々を、市松と繰り返し過ごしてきてくれたのです)
47: 2014/12/17(水) 04:08:56.66 ID:1RV+rrJt0
こひな(市松は忘れていたのです)
こひな(いつも、市松のそばにあった、ありふれた日々のことを)
こひな(そして、それは、静かに流れているということを)
こひな(市松は)
こひな「市松は、もうひとりぼっちではないのです」
キイイイイイン・・・・・・!!
こひな「!?」
こひな「なんでせう、光が・・・」
バ ァ ン ! !
48: 2014/12/17(水) 04:18:25.38 ID:1RV+rrJt0
狗神「!?」
信楽「うをぉっ!?」
コックリさん「こ!!」
「我が君!」「嬢ちゃん!」「こひな!!」
こひな「・・・あれ・・・?」
こひな「ここは、市松の家なのです?」
こひな「確か、市松は、真っ暗な闇の中を歩いて・・・」
こひな(そうです、孤独のような真っ暗な闇の中を・・・)
ギュッ!!
こひな「!!(狗神さんが、いつもよりやさしく抱きしめてきたのです)」
狗神「我が君、もういいのですよ。もう、怯えることはないのですよ」
ポンポン
こひな「!!(信楽おじさんが、頭をやさしく撫でてくれたのです)」
信楽「嬢ちゃん、おじさん達、嬢ちゃんの気持ちを全然分かってなかったんだな」
ニギッ
こひな「!!(コックリさん、やさしく手をにぎってきたのです。みんなどうしたのでせうか)」
コックリさん「そうだ、俺達、こひなの本当の気持ちに気づいたんだ。こひな、お前はずっと・・・」
ずっと、淋しかったんだな―――
こひな「・・・!!」
こひな「う、う・・・・・・・・・」
こひな「うわあああああああああああああん」
こひな「あああああああああああああああん、うわああああああああああん」
コックリさん「!?ちょ、ちょっとどうしたんだこひな!!」
狗神「ああ我が君、泣き顔も麗しい・・・!」ポッ
信楽「いろいろ押さえ込んでたもんが出てきたんだろ。今はこのまま泣かせてやりな」
こひな「あああああああああん、うわああああああーーーーーん」
49: 2014/12/17(水) 04:24:50.77 ID:1RV+rrJt0
そうです。市松は、ずっとずっと淋しかったのです。
その淋しさを認めたくないから、人形のふりをしていたのです。
そして、この気持ちを、誰も分かってくれるわけがないと思っていたのです。
けれど、それは、市松の勘違いだったのです。
コックリさん、狗神さん、信楽おじさん。
みんな、市松の傍によりそってくれていたのです。
市松は、もう淋しくありません。
市松はもう人形ではありません。
生きた心を持つ人間です。
この胸に抱えていた淋しさと向き合って、
みんなが与えてくれるやさしさと共に、生きていこうと思います。
50: 2014/12/17(水) 04:33:35.06 ID:1RV+rrJt0
・・・・・・
こひな「一通り泣いたらすっきりしたのです」
コックリさん「でも、その喋り方は直らないんだな」
こひな「いきなり口調が変わると、キャラ変更勝手にすんなボケと言われてしまうのです」
狗神「私めは、このままの口調の方が、かわいらしくてこひな様にぴったりだと思います」
信楽「ま、取りあえず、嬢ちゃんが戻ってきてよかったよかった。ハッハッハ」
こひな「それはともかく、みなさん、なぜそのような破廉恥な格好をしてらっしゃるのでせうか?」
「「「え?」」」
こひな「信楽おじさんはフンドシ一丁に全身に経文をお書きになって」
信楽「ああ、これは、嬢ちゃんを念力で探すのにこういう格好になったんだよ」
こひな「狗神さんはパンツ一丁で全身を荒縄で縛っておられますし」
狗神「こっ!これは、全身に念を送り、こひな様の場所を探るために必要な格好でして・・・!」
こひな「そしてコックリさん、あなたが一番アウトです」
コックリさん「ええっ!?なんでぇっ!?他の2人もヤバいだろ!!」
こひな「いいえコックリさん。コックリさんの格好は・・・・・・だめです、とても口にすることができません。ああ、なんて破廉恥な」
コックリさん「仕方ないだろ!!少ない念を集めるためにこの格好をするしかなかったんだよ!!」
51: 2014/12/17(水) 04:46:31.96 ID:1RV+rrJt0
狗神「フン、狐殿の搾りかすのようなレベルの念力では、超超破廉恥な格好をせざるを得なかったようですね。
やはり私めが一番こひな様を思っている!!
そう、たとえこんな荒縄で全身を縛られたとしても気にしない!そう、我が君のためなら、ムチだろうが蝋燭だろうが 耐えてみせる!!」
信楽「いやいや、おじさんも、けっこう頑張ったんだよ。嬢ちゃんのためにね。
この経文を書いた墨、特製でね~。書いたらなかなか消えないんだよ。体はってるんだよ~」
コックリさん「黙れお前ら!!狗神はただ単に変態プレイがしたいだけだろ!!この口リコンが!!
信楽!お前も経文とか言ってるけど、途中からただのぐにゃぐにゃした線を描いてるだけじゃねーか!!
ったく!!一番こひなのことを思って体はったのは、俺じゃねーか!!」
こひな「みなさん、どうか墜ちついて下さい。特にこっくりさん、あまり動かれると、あ、ああ。
コックリさん、コックリさん、どうかおやめください」
コックリさん「ホラ見ろ!こひながすっかり怯えてるじゃねーか!お前達早く服着て消えろ!」
狗神「何をおっしゃるのですか!!退散するのは狐殿、そして狸殿、あなたたちお2人でございます!こひな様と今共に過ごすべきは、私にございます!!」
信楽「おいおいこういう時こそ、大人の余裕を見せてやらんと。さ、ガキ2人はあっち行って、あとの子守はおじさんにまかせなさい」
何をー!!貴様こそ立ち去れー!!いやおじさんに任せなさい!!
ギャー ワー ギャー ワー
コックリさん「つまり」
狗神「私めが」
信楽「一番」
52: 2014/12/17(水) 05:00:45.10 ID:1RV+rrJt0
「こひなの事を」「我が君の事を」「嬢ちゃんのことを」
「「「一番思って祈祷していたん」だ!」のです!」んだ!」
こひな「・・・・・・」
カ ッ ! !
コックリさん「うっ!?この光は!?」
狗神「ま、まさかまたもや!?」
信楽「おい見ろ、嬢ちゃんの姿が・・・!!」
「「「また消えちまったーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」
こひな「いくら淋しくないからと言っても、変態なのは困ります」
こひな「少し反省してもらうのです」
こひな「それに・・・」
こひな(それにここだと、面と向かって言えないことが言えるのです)
こひな「コックリさん、狗神さん、信楽おじさん」
こひな(ありがとうなのです)
こひな(3人とも)
こひな(大好きなのです)
おわり
54: 2014/12/18(木) 18:46:13.71 ID:VIQszTtaO
乙
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