審判「これより越後リューマと田中太郎の試合を始めます」


田中「下痢高校の田中だ。君の噂は聞いてるよ。楽しい試合にしよう」


越後「SS高校の越後だ。よろしく」




田中「じゃあ早速トスを始めようか」




田中「ウイッチ？」




クルクル






越後「ダゥップ」




田中「！？」

越後「ダゥップ」




田中「え…？？なに？ダンプ？？？」




ピタッ






越後「ダウンと言ったはずだが。俺がサーブだ」




田中「あ、あぁ……そうなのか…….わかった……」






越後(馬鹿め…)


越後(今のは『アップ』と『ダウン』を合わせた紛らわしい発音で相手を惑わせる幻聴勝法)


越後(こんなもので騙されるようじゃ全国大会も舐められたもんだな)

ﾜﾝｾｯﾄﾏｯﾁエチゴｻｰﾌﾞﾌﾟﾚｲ




田中「…………」




越後(……田中ァ、なんだその氏んだナメクジみたいな構えは)


越後(いいだろう、お前に本当のテニスってもんを見せてやるよ…！)





田中「…………」






スッ…






審判(……！？)


田中(……なんだあの奇妙なトスは！？)

越後(と、トスに目を惹かせておいてからの…)





越後(必殺！)






パンッ






田中(サーブは普通か……？)











越後「……ロッククライム」








ズゴォン














田中「ギャァァァァァァァ！！！！」

越後(馬鹿が…)


越後(今のはフィールド下の地盤をコントロールする超魔怪地滅法典)


越後(地盤を変化させフィールド上に地中の岩を突き出す)


越後(突き出した岩は相手の性器をスクランブルにし、戦闘不能状態に陥らせるという黒戦法だ)




審判「……田中さん？」




田中「……ぁ……あぁ……」


田中(あれ…こんな所に川なんて流れてたっけ……)




越後「審判、今のサーブ入ってたよな」



審判(ヤバイ……トスに気を取られて何が起こったのか見ていなかった…)

審判(でもこの越後ってヤツ全体的に危なそうだからインって事にしておくか…)



審判「インです」



越後「そうか」



越後「田中、お前試合出来るか？」



田中「……ぁぁ……ぅ……」



田中「………ぅ………無……り……」



審判「えっと…じゃあ…下痢高校の田中君は試合続行不可という事で、」







審判「勝者、SS高校越後」










???「待て！」

越後「貴方は？」



???「下痢高校の顧問の吉田だ」



吉田「今、君は自分が何をしたのかわかっているのかね？」



越後「…？さぁなんでしょうね…」







吉田「とぼけるなァ！！」







越後「……」




吉田「私はしっかり見ていたよ、君のインチキをな」




越後「俺インチキなんてしました？審判」




審判「……………」




吉田「まぁいいだろう……」




吉田「誰が見ていなくてもなぁ、このカメラにきちんと証拠が残っているのだよ！！」




越後(流石は全国常連校の顧問とだけはあるか)



越後「そうですか。じゃあ見せてください」

吉田「あれ……確かに撮影していたはずなんだが……」ポチポチ


越後「何をとぼけた事を言っているんですか」


越後「貴方、テニスのし過ぎで馬鹿になったんではありませんか」


吉田「私の気のせいという事なのか…」







越後(バーカ)


越後(きちんと証拠隠滅の作戦は練ってあるに決まってるだろ)


越後(周囲の精密機器の周波数を狂わせるダークオーラを出していたのさ)









越後(しかしテニスばかりのテニス馬鹿は本当にアホだな…)



越後(テニスと並行して超能力を身につけた俺に勝つなんて不可能に決まっているのに)



越後(まぁ、本当は田中も吉田も悪くないのだがな…哀れだ)

越後「次の試合まであまり時間が無いな…」


越後「次の相手はどんなヤツだろうか…」







田中「…………ぇ……越…後……！！」




越後「田中……！」




田中「………お前の………次の………相手は…………………強いぞ」




田中「…………勝て………よ………！」




越後「任せろ」




越後「相手が誰であろうとこの俺様がぶっ潰す」

審判「これよりSS高校越後と天神高校竜崎による試合を始めます」


竜崎「君があの田中君を病院送りにした……？」


越後「越後だ。よろしく」


竜崎「そうか……楽しみにしているよ」







竜崎「…………………面白くなりそうだ」ボソッ





越後(天神高校の竜崎か……名前だけで一試合目とは大分貫禄が違うな…)



越後「ウイッチ」


クルクル


竜崎「ダウン」


越後(………念力！！)


ピタッ


越後「アップだ、俺サーブで」


越後(超能力舐めんじゃねえぞ……)

ﾜﾝｾｯﾄﾏｯﾁエチゴｻｰﾌﾞﾌﾟﾚｲ


竜崎「…………っしゃ来い！」





越後(竜崎………コイツが田中も恐れる程の実力者か)


越後(だがそんなに強そうには見えないな)


越後(特別ガタイがイイ訳でも背が高い訳でもない……)


越後(俺の超能力にかかれば余裕で勝てそうだ)


越後(しかしなんだか不気味な雰囲気の男だな……取り敢えず様子見といこう)

越後(今度は試しに超能力無しでサーブ打ってみるか…)


越後(一点くらい大丈夫だよな)


シュッ


越後「ォラァァ！！」パンッ


竜崎「ブッ……！」


竜崎(何あのフォームだっせェェェ)


竜崎「ほらよっ！」パンッ


越後(クッソ……超能力が無いとてんで弱いな……)

越後(ならば……)


越後(必殺！スーパートルネードショット！！)



パンッ



竜崎「！？」





越後(……決まった！)

越後(最高時速200キロにも及ぶ究極打法…)

越後(このショットが取れる者は相当な実力者と言っていいだろう…)



越後「ふぅ…取り敢えずウォーミングアップといったところか…)














パンッ













越後(……………何！？)

越後(あの超高速ショットを返しただと！？)

越後(コイツ……………とんでもねぇヤツだな…)

越後(しかし次の技はそう上手くはいかないだろう……)

越後(今に見てろ…俺様に抗った事を後悔させてやる……！！)

越後(ネットを一瞬だけテレポーションさせて…)


越後(喰らえ！ノーネットドライブライジング！！)



パンッ



越後(………我ながら完璧だ)


越後(普通ならネットにかかる超低空球…)


越後(かつ強力なドライブも加わり殆どバウンド不可能な球を打つ操球魔術…)


越後(さらに脱力的な体制からの不意打ちライジングはまさに相手の意表を突いているだろう…)




越後「素人にいきなりこれは早過ぎたか」














パンッ













越後「………何ィィィ！？」

越後「俺の必殺ライジングをォォ！？」


越後「やるじゃねぇか竜崎ィ……やっぱテニスはこうじゃないとな」


越後(しかしだな……お前はとうとう俺を怒らせた……)


越後(こんなに俺を本気にさせたのは竜崎、お前が初めてだ)


越後(氏んで詫びるまで帰さねぇ……)


越後(そう…俺はこの日の為に何年も超能力を鍛えてきた…)


越後(今からお前に打つ球は長年の苦行を積み重ね技を極めし者だけが放てる)


越後(最強にして最恐の奥義……！！)


越後(喰らえ…俺の魂のスマッシュ……！)

越後「ブラストハリケーンスマッシュ……！！」


越後(一瞬の隙に爆風を誘発させ物凄い速さの球を打球する天災球刃術…)


越後(球が速いだけでなく猛烈に強い突風に腰を抜かす事間違いなしだ)


越後(さらに強靭な威力を持つ打球と的確なコントロールで相手の体ごとエグり取る……！)


越後(この際相手の命なんぞ惜しくもない……！！)


越後(恐らく俺の必殺技中最も威力の高いスマッシュだろう……)

越後「氏にやがれェ！！！」




パシュゥゥン



















パンッ















越後「何だとぉぉぉ！？！？」

越後(何故だ！？超能力最強にして最恐の究極スマッシュを何故！？)


越後(普通なら相手の腹ごとエグって最悪氏に至らせる伝説の技法が！？)


越後(しかもあんなに軽々しく！？)






越後(マトモな人間なら絶対ありえん……ならばアイツは一体何者……)






越後(しかも何だ……ワザとセンターにロブを上げてきてるだと……！？)















越後「まさか……俺を試しているのか…………………！！」

越後(ならばもう一度！！)


越後「これでトドメだ！！」






越後「必殺！……………………………………え……………？」

















越後(何だ！？足の震えが止まらない……！？)

越後「ハリケェ………………ン………………ス………………スマ………………」






越後(マズイ……手にも力が入らない……)



越後(ダメだ…………意識が…………ヤベ………)



越後(これは……………………………何だ)



越後(あれ俺今何してるの…………)



越後(んー……………)



越後(……………)



越後(……………)



越後(……………)














バタン
























竜崎「超能力？そんなもの時代遅れだね」

～完～