215: 2008/05/19(月) 02:26:34.72 ID:MI/5D2vt0
~前日、長門宅マンション~

ハルヒ「だから!なんで最後シンジはアスカの首を絞めてんの!?わかりやすく説明して!」

長門「まずあなたが私の首を絞めるのをやめるべき」

ハルヒ「ああ、ごめんごめん」

長門「けほ」

長門「では、説明する」
涼宮ハルヒの直観 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
219: 2008/05/19(月) 02:33:09.41 ID:MI/5D2vt0
長門「シンジは幼少期、父ゲンドウに捨てられた体験が影響して、
    『他人からの拒絶』に強い恐怖心を抱いている」

ハルヒ「そうそう、だから、劇場版でゲンドウが
     『自分が傍にいるとシンジを傷つけるだけだ』って言ってたのは、
     すごく寂しいことだと思ったわ」

221: 2008/05/19(月) 02:36:46.06 ID:MI/5D2vt0
長門「だから他人に肯定されたいと願っているが、
    自分自身を肯定できていない。
    強烈なコンプレックスを持っている」

ハルヒ「他人のことが怖いのよね」

長門「劇場版でアスカを頼っているシーンも、
    一方的な要求を繰り返しているだけ。
    全て自分のため。他の人では怖いから。安心したいから」

223: 2008/05/19(月) 02:40:02.63 ID:MI/5D2vt0
長門「最終的にシンジは他人という恐怖しかない世界を、終わらようとする。
    全ての人はLCLとなり溶け合い、他者との境界が消滅する」

ハルヒ「ATフィールドって他人と自分を分ける境界だったって話よね」

長門「そう。アンチATフィールドによって人々はひとつになろうとした」

225: 2008/05/19(月) 02:42:22.37 ID:MI/5D2vt0
長門「しかし、アスカだけが、それを拒否した」

ハルヒ「『あなたとだけは、氏んでもイヤ』って強烈よね」

長門「シンジにはこれが完全な拒絶に思われた。
    しかし、実際には、『あんたが全部私のものにならないなら私何もいらない』
    という、独占的でもある愛情の裏返し」

227: 2008/05/19(月) 02:46:37.14 ID:MI/5D2vt0
ハルヒ「ユイさんが
     『自らの力で自分自身をイメージできれば、誰もがヒトの形に戻れるわ』
     って言ってたけど、アスカだけがLCLにならなかったのは、他者との融合を拒否して、
     自分自身というものを持っていたからね!」

長門「おそらくそういうこと」

長門「最終的にシンジは、他者によって自分という存在が区別されていた、元の世界への回帰を
    望んだが、この時点では、おそらくその強い動機は『自分の安心』というポイントから動いていない」

229: 2008/05/19(月) 02:50:45.40 ID:MI/5D2vt0
長門「それで、シンジは自分自身のかたちを取り戻した」

ハルヒ「隣には、アスカがいて」

長門「周りにはLCLの海。世界に、アスカとたった二人」

ハルヒ「でもシンジはアスカに完璧拒絶されてると思ってるんでしょ?」

長門「一方的に助けを求めてきただけで、量産型エヴァンゲリオンに襲われているときも助けようとはしなかった」

長門「アスカが自分を許す可能性は無いと思われる」

228: 2008/05/19(月) 02:47:20.86 ID:Fu2zrO5Q0
アンチATフィールドは人類補完計画の目的で
シンジはそれを拒否したんじゃなかったっけ?

232: 2008/05/19(月) 02:53:50.49 ID:MI/5D2vt0
>>228
長門「最終的には」

長門「シンジの最も恐れていることが現実になってしまう」

ハルヒ「アスカにも拒絶されて、世界でたった一人」

長門「だから、殺そうとする」

長門「渚カヲルを頃したように」

長門「捨てられるくらいならと」

234: 2008/05/19(月) 02:56:05.36 ID:MI/5D2vt0
ハルヒ「でも本気で絞めれてないわよね、あれ」

長門「アスカが目覚めれば、拒絶される」

長門「でも、頃してしまえば、やはり、世界に一人きり」

ハルヒ「すっごい悩むわ」

長門「そのうち、アスカは気がついた」

235: 2008/05/19(月) 02:58:57.60 ID:MI/5D2vt0
ハルヒ「自分を殺そうとしてるシンジの顔、撫でたわよね」

長門「アスカは、おそらく、現状のシンジを肯定するまでには至らなかったものの、
    シンジを安心させるためにそうしたと思われる。
    あのような接触は相手への肯定的なアプローチ」

236: 2008/05/19(月) 03:04:02.26 ID:MI/5D2vt0
ハルヒ「シンジ、泣いてたわ」

長門「接触によって、アスカの意図を理解したものと思われる」

ハルヒ「いっちばん気になるのは、やっぱ最後の『気持ち悪い』よね」

長門「声優の発案であるなど、諸説目にしたが、物語上の文脈にあてはめるなら、
    シンジに対して好意は持ちながら、現状の、自分のためだけに他人を必要とする
    シンジの全ては受け入れられない、という心理状態によるもの、という解釈もできる」

ハルヒ「相手に伝えるってことは、伝える意味があると思うからよね」

長門「そう考えることもできる」

ハルヒ「ふーん、けっこう色々考えようがありそうね!」


246: 2008/05/19(月) 03:18:43.29 ID:MI/5D2vt0
~同、SOS団部室~

キョン「おっす」

ハルヒ「キョン!ちょっと」

キョン「なんだ人がシメに入ったというのに」












ハルヒ「私の首を絞めなさい!」


『劇終』

引用元: 古泉「おや、あなたはまさか……鶴屋さん?」