1: 2011/04/11(月) 01:38:56.45 ID:MdcUz1Kf0
にちようび!

唯「やっほー、おまたせあずにゃん!」

梓「もう、おそいですよっ」

唯「ごめんごめん、出かけるの久しぶりだったんだもん」

梓「・・・・」


唯「・・・・あずにゃん?」

梓「は、はい!」

唯「もしかして私にみとれちゃってたぁ? やだなあもうあずにゃんったら!」

梓「そんなことないですから早く行きましょう!」

唯「どこに?」

梓「そ、それは…えっと……」

唯「じゃあアイスでも食べに行こっか」

梓「・・・そうですね。はい!」

けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

3: 2011/04/11(月) 01:44:56.20 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふっでぺーんふっふー♪」

梓「道でうたわないでください・・・まったく、小学生ですかっ」

唯「だってあずにゃんと一緒にでかけるの久しぶりなんだもーん」

梓「そういえば・・・そうですねー」

唯「ちょっと前まではよくデートしてたのにぃ」

梓「デートじゃないですよっ」


唯「……ぎゅ」

梓「ひゃっ」

唯「あずにゃんの手、あったかいね」

梓「な、なんでいきなり・・・」

唯「だって手をつないだら、デートみたいなんだもん」

梓「……変なこと、言わないでくださいよぉ・・・」


唯「あ、ついたよ!」たったっ

梓「きゃっ?! 突然走らないでください!」

6: 2011/04/11(月) 01:53:11.44 ID:MdcUz1Kf0

唯「あずにゃんみてみてー! 三段重ねだよっ」

梓「こぼしますよ、そんなことやってると。ていうかはやく食べちゃいましょうよ」

唯「あ、あずにゃんチョコチップだね! ひとくちー」

梓「ひゃっ」

唯「ふむぅ・・・やぁらはい、あいふのなかにほりほりとかはいひょこひっぷが・・・・」もぐもぐ

梓「もう、溶けちゃいますよ?」

唯「んーじゃああずにゃん私のも食べてよぉ」

梓「え・・・いいんですか?」

唯「はやくー、溶けちゃうってば!」

梓「あ、それじゃあしつれいします・・・はむっ」

唯「どう、どう? お味の方はっ」

梓「……甘くて、なんかほっこりしますね」くすっ

唯「でしょでしょー! このお店のストロベリーミックスは絶品だよ!一年分たべちゃいたいぐらい!」

梓「ふふ、おなかこわしちゃいますよ?」

7: 2011/04/11(月) 02:05:27.32 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふぅ・・・食べたねー」

梓「なんか唯先輩とデートするといつもアイス屋さんに行ってる気がする…」

唯「え、デート?」きらきらっ

梓「こっことばのアヤです!」あたふた

唯「なぁんだー、やっぱりあずにゃんもデートだとおもってたんだー」だきっ

梓「ま、まちなかで抱きつかないでください!」

唯「あずにゃんかわいいー!」ぎゅう

梓「もう・・・クラスの子に見られたら、はずかしくてしんじゃいますよ」

唯「みつけたら紹介してよねっ。桜高軽音部の天才ギターボーカル、平沢唯先輩ですって!」

梓「調子のりすぎですっ」がばっ

唯「あうっ……あずにゃんしどい・・・・」

梓「だいたいAmもおぼえてないのになにが天才ですか。もっと練習してくださいっ」

唯「あうー・・・あずにゃぁん・・・・」

梓「じゃあ、次は楽器屋さん行ってみましょうよ」

唯「そうだね!」

10: 2011/04/11(月) 02:17:40.59 ID:MdcUz1Kf0

がっきてん!

唯「みてみてこのギター、さわちゃんのとおんなじ!」

梓「わ、フライングVがこの値段かー…中古かな」

唯「ぎゅいーん! おぉまえらかぐごじろぉ゙ぉ゙おおおっ」

梓「店内で騒がないでください!」

唯「だってー、ギター持ったらやりたくなっちゃうじゃん、鏡の前とかでさー」

梓「そ、それは……」

唯「あずにゃんはないの? 小さいころ、ギターはじめてもった時に」

梓「う・・・・」

唯「小4のあずにゃんが、鏡のまえで・・・・ぎゅいーん!」

梓「ぎゅいーんはしてません!」

唯「他はやったんだねー」にやにや

梓「うぅ・・・!」

11: 2011/04/11(月) 02:23:18.68 ID:MdcUz1Kf0

梓「あ、これ欲しかったんだ」

唯「なあに、それ」

梓「これ、自分が弾いた音をその場で録音できるんですよ」

唯「ほぇー・・・」

梓「えっと……ちょっと試しにやってみますね」

じゃーん♪

梓「こうすると」

じゃーん♪ じゃーん♪ じゃーん♪

唯「わ、一人で合わせられるんだね! 私もやってみる!」

12: 2011/04/11(月) 02:24:01.20 ID:MdcUz1Kf0

梓「はい、ここをこうですよ」

唯「こ、こうかな?」

じゃきみょーん

唯「あ、まちがえちゃった」

じゃきみょーん じゃきみょーん じゃきみょーん じゃきみょーん

唯「あずにゃーん、これどうやってとめるのー?!」うるっ

梓(お客さんの視線がいたい・・・!)

14: 2011/04/11(月) 02:29:10.43 ID:MdcUz1Kf0

唯「はぁっ・・・はあっ……」

梓「ふぅ…」

唯「あずにゃあん・・・急に走り出さないでよぉ……」

梓「視線がいたたまれなかったんです! もう、みてらんないですよっ」

唯「ごめんなしゃい・・・」

梓「これにこりたらちゃんと練習するんですからねっ」

唯「うん・・・あれ?」

梓「?」

唯「雨、降ってきたかも…」

梓「あ・・・傘、もってますか?」

唯「……ない」

梓「……すいません、私もです」


唯「――はしれえっ!」

梓「ひゃっ、はい!」

16: 2011/04/11(月) 02:39:26.29 ID:MdcUz1Kf0

唯「……ふぅっ、ここなら雨宿りできるね」

梓「でもここって立ってたら邪魔になりますよ」

唯「んー、じゃあもう電車乗ってどっか行っちゃおっか?」

梓「あ、それもいいかも・・・・」

唯「私ね、あずにゃんと行ってみたかったところあるんだあ」

梓「え……あ、はい。どこですか?」

唯「?」

梓「いえ、なんでもないです。それより唯先輩の行ってみたかったとこって――」

唯「それは着くまでのないしょ! さ、あずにゃん切符買って」

梓「あ、私パスモなんで大丈夫です」

唯「あー、いいなあ! なんか都会人みたい!」

梓(私と、って……どういう意味なんだろ……?)

唯「あずにゃん?」

梓「ひゃ、はい!」あせっ

17: 2011/04/11(月) 02:48:26.93 ID:MdcUz1Kf0

唯「なんか暗くなってきたねー」

梓「はい……まだ5時なのに」

唯「陽が沈むの、早くなったよねえ」

梓「もう12月ですもんね…」

唯「・・・・来年は、大学生かあ…」

梓「・・・・」

唯「……想像つかないなあ」

梓「・・・・」


ぎゅ

唯「……あず、にゃん?」

梓「なんでもないです」

唯「手、あったかいな」

梓「・・・・唯先輩だって」

18: 2011/04/11(月) 02:52:27.32 ID:MdcUz1Kf0

唯「あ、着いたよ!」

梓「……はい」

唯「……いこ! ドア閉まっちゃうよっ」ぐいっ

梓「あっはい!」


唯「……えーっと」

梓「どうしたんですか?」

唯「……こっから、どっちだったかなあ」

梓「はぁ・・・大丈夫かなあ・・・」

唯「心配しないであずにゃん! ちゃんと連れてってあげるからねっ」

梓「はぁ・・・」


梓「・・・・ふふっ」

唯「?」

梓「ほら唯先輩、いきましょう!」

唯「うん!」

21: 2011/04/11(月) 03:00:24.51 ID:MdcUz1Kf0

唯「あれ、こっちだっけ? いやでもこっちだったような……」

梓「……」

唯「うーん…たしかあの看板が見えたとこだから・・・・」きょろきょろ

梓「……」にこにこ

唯「……あずにゃん? えへ、どしたの?」

梓「えっと………」


梓「……なんでもないです」くすっ

唯「……そっか」にこっ


唯「あ、あった!」

25: 2011/04/11(月) 03:05:56.93 ID:MdcUz1Kf0

梓「ここは…?」

唯「プラネタリウム。むかし、今のうちに越してくるずっと前に来たんだよ」

梓「そうなんですか・・・・」

唯「結構混んでるなー……あ、よかった。きょうやってるって!」

梓「そんなあせらないでください、子どもみたいですよ」

唯「あずにゃんの方が子どもだもん」

梓「唯先輩の方が子どもですー」

唯「むぅ……あ、そろそろ次の上映はじまっちゃうって!」

梓「あ、待ってください。チケット買わなきゃ」

唯「あはは……そうだったね」

唯「あずにゃんがいなきゃ忘れちゃうところだったよ」

梓「・・・えへへ」

26: 2011/04/11(月) 03:14:15.86 ID:MdcUz1Kf0

梓「わあ……思ったより広いんですね」

唯「でしょ? この天井いっぱいに星空が広がるんだよ!」

梓「なんだか楽しみですね」

唯「Cの12と13だから・・・・あずにゃん、こっちだよ」

梓「あ、はい……きゃっ」

ぎゅっ


唯「あ、あずにゃん大丈夫?」

梓「はい……ちょっと、つんのめちゃって。すいません」

唯「ここ段差あるから気をつけてね?」

梓「・・・・はい」

唯「あずにゃん?」

梓「・・・・あ、はい!」

唯「ほんとにだいじょうぶ?」

梓「……だ、だいじょうぶです!」

27: 2011/04/11(月) 03:19:14.95 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふう! 着いたねっ」

梓「はい・・・・って、席けっこう近いですね」

唯「そうなんだよぉ、だからこうやって、ぎゅーって!」だきっ

梓「もっもうはしゃがないでくださいよぉ・・・・」

唯「あずにゃんあったかーい…」

梓「そんな、・・・・はずかしいですからっ」

唯「えー。ぎゅってするのだめー?」

梓「だーめです。ていうか変だと思われちゃいますよ」

唯「むー・・・・じゃあ、なにならいいの?」

梓「へ?!」

28: 2011/04/11(月) 03:21:36.04 ID:MdcUz1Kf0

唯「あずにゃんはなにならしていいの?」

梓「へ、えっ、えっと……そのっ」

唯「ちゅー?」

梓「だっだめです! それは絶対にだめ!」ぶんぶんっ


唯「そっか…」しゅん

梓「あ……」


唯「……むぅ」

梓「……その、えっと」

唯「?」


梓「……手なら、つないでても、…いいですよ」

29: 2011/04/11(月) 03:25:31.28 ID:MdcUz1Kf0

唯「……はい」にこっ

梓「・・・・」かあっ

唯「あずにゃん、顔まっかだよ」

梓「唯先輩は……ずるいです。ずるいですよっ」

唯「……あずにゃんだって、手をはなさないくせに」

梓「……しりませんっ」ぷいっ


唯「……」

梓「……」


唯「…ぷふっ・・・ふふふっ……」

梓「くふふっ・・・・なにが、おかしいんですか……ふふっ」

唯「あずにゃんだって……くふふっ」

30: 2011/04/11(月) 03:29:53.86 ID:MdcUz1Kf0

唯「あ。はじまったね」


梓「……わあ…!」

唯「ね。……すごいよね」

梓「はい…!」


唯「私ね、おぼえてるんだ。あっちがオリオン座でね、あれがペテロ……なんだっけ?」

梓「ペテルギウス、ですか?」

唯「そうそれ!」

梓「ぜんぜん覚えてないじゃないですか」くすくす

唯「そんなことないもん……あ、あそこがおうし座かな」

梓「……」

唯「……」

31: 2011/04/11(月) 03:34:14.72 ID:MdcUz1Kf0

唯「……」

梓「……」


梓「……唯先輩」

唯「なぁに、あずにゃん」

梓「……いえ、やっぱなんでもないです」

唯「そっか…」


梓「唯先輩も、東京いくんですか?」

唯「・・・・そう、かな」


梓「……」

唯「……」

ぎゅ


梓「…その、受験。がんばってくださいね」

唯「うん……ありがと、あずにゃん」

32: 2011/04/11(月) 03:36:46.80 ID:MdcUz1Kf0

唯「きれいだねえ」

梓「そうですね……」


唯「あっちがおうし座で」

梓「はい」

唯「おおいぬ座と、こいぬ座」

梓「……あは」

唯「?」

梓「私たちみたいだなって」

唯「……えへへ」

唯「こねこ座って、ないかなあ」

梓「あるかもしれませんね」

唯「こんど、見つけとくね」

梓「……はい」

36: 2011/04/11(月) 03:42:21.22 ID:MdcUz1Kf0

唯「なんだか、ねむくなってきちゃうね……」

梓「……はい」

唯「あれは……冬の第三角形の上のほうだから、ふたご座かな」

梓「はい」

唯「あれは……なんだろう、四つの星が、こうつながってるやつ」

梓「あ、それはたぶんトラック座ですよ」

唯「へえ……あずにゃんもの知りだねえ」

梓「えへへ・・・・わっ」

唯「へ?!」

梓「トラック座がこっちに近づいてきます! 唯先輩避けて!!」

唯「なっ……きゃあっ!!」

44: 2011/04/11(月) 03:53:10.76 ID:MdcUz1Kf0

――――――
――――
――

梓「……ぃせんぱい、唯先輩っ!」

唯「ほぇ…あずにゃん?」

梓「起きてください、唯先輩!」

唯「あれ……いつの間に」

梓「はぁ・・・もうプラネタリウムおわっちゃいましたよ」

唯「あはは……一瞬ねちゃってたよ」

梓「まったく、自分から連れてきておいてなんですかっ」

唯「ごめんってぇ…あ、じゃあせっかくだからどっか食べにいこっか?」

梓「もう……そんなので忘れませんからね?」

唯「ええー、なんでぇ…!」

梓「……唯先輩、無防備すぎますよっ」

唯「ほえ?」

46: 2011/04/11(月) 04:00:43.39 ID:MdcUz1Kf0

梓「とにかく行きましょうよ、もうみんな出ちゃいましたよ」

唯「あ、うん・・・・」

梓「・・・・」

唯「あずにゃん、おこってる?」

梓「・・・そりゃあ怒りますよ、自分から言い出したのに途中で寝ちゃうとかありえないじゃないですか」

唯「……えへへ」にやにや

梓「なっなんですか」

唯「…あずにゃんってさ、本当に怒ってる時って『怒ってない』って言うもんねぇ」

梓「……!」

唯「よかったよかった。さ、あずにゃんいこ?」

梓「もう唯先輩なんてしらない・・・・」


唯「でも。ごめんね、あずにゃん」

梓「・・・・気にしてないですよ」にこっ

47: 2011/04/11(月) 04:06:06.47 ID:MdcUz1Kf0

梓「それに、唯先輩は明け方までずっと勉強してるんですもん。私のほうこそ気を使えなくてすいません」

唯「あ、……う、うん! いっやーもう大変なんだよ、ずっと英単語をたっくさん・・・・あははっ」

梓「・・・・してるんですかー?」じとっ

唯「き、昨日はちょっと夜更かししちゃったかな・・・・あははっ」

梓「正直にいってください。寝たの何時ですか」

唯「ええーっと・・・・四時過ぎかな、いや五時かな?」

梓「はぁ・・・・まったくもう、無駄に起きててどうするんですか」

唯「だってギー太がぁ・・・・ひっく、えぐっ」

梓「・・・・まあ、息抜きも大事ですけどね。きょうみたいな日だって、うん」

唯「ところであずにゃん、いいことあったの?」

梓「え、なんでですか」

唯「だってなんか、うれしそうだし」

梓「しりませんっ」

48: 2011/04/11(月) 04:15:27.98 ID:MdcUz1Kf0

唯「じゃあ晩ごはんどうしよっか?」

梓「唯先輩はなにか食べたいものとかあります?」

唯「えーっと……じゃあ、駅前のサティ行こっか! 屋上レストラン行こうよ!」

梓「いいですね! ……でもお金、大丈夫ですか?」

唯「だーいじょうぶ! きょうのためにたーくさん貯めといたんだよっ」

梓「きょうのために、ですか?」

唯「それにお母さんがね、偏差値あげたらボーナスくれるって言ってたからがんばっちゃったよ。えへへっ」

梓「あ、それでこないだの模試で…」

唯「えっへん!」

梓「・・・・調子にのって遊んでばっかだと、また下がりますよ」くすっ

唯「あずにゃん、てきびしい・・・うぅ・・・・」

梓「でも、……ありがとうございます」

唯「……えへ」

53: 2011/04/11(月) 04:20:56.76 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふわぁ……」

梓「……って、言ってるそばからあくびしてるじゃないですか」

唯「らって、昨日ねむれなくってぇ…」

梓「もう、勉強もいいですけど夜更かししすぎは身体によくないですからね」

唯「そうだねぇ……ふぁあ」ふらふら

梓「ちゃんと前みて歩いてください。あぶないですよっ」

唯「ごめんってぇ……あ、じゃああの劇団トラック座の看板のとこを右だよ」

梓「はい。……でも結構遠いんですねえ」

唯「プラネタリウムへの行き道はあんなにすぐだったのにねー…」

梓「きっと行く道は楽しみだから早いんですよ」

唯「そうだね……いき~はよいよい、かえりは♪」

梓「きゃ?! 唯先輩あぶないっ! 看板が落ちてくる!」

ドンッ

57: 2011/04/11(月) 04:33:18.08 ID:MdcUz1Kf0

唯「あ、あぶなかったぁ・・・・」がくがく

梓「そ、そうですね・・・・」ぶるぶる


唯「ちょっと今ので目が覚めたよ…」

梓「唯先輩はあぶなかっかしいんです、気をつけてください」ぐいっ

唯「あ、あずにゃん待ってよぉ!」


唯「あれ? サティ、この辺のはずなのに……」

梓「道間違えちゃったんでしょうか・・・・?」

唯「うーん、じゃあたしか駅の反対側にそごうがあったはずだからそっち行ってみようよ」

梓「はい!」

59: 2011/04/11(月) 04:44:55.47 ID:MdcUz1Kf0

唯「・・・・あれー? おっかしいなあ…」

梓「ほんとにそごう、このビルなんですか?」

唯「うん……たぶんこの、ヤマダ電機だと思う・・・・・」

梓「そうだったんですか・・・」

唯「ヤマダ電機じゃ、ごはん食べられないよねえ・・・」


梓「・・・あ、じゃあいっそ東京の方いってみませんか?」

唯「おお、それはいいかも!」

梓「じゃあ駅に急ぎましょう! 遅くなっちゃいますよっ」

唯「うん!」

60: 2011/04/11(月) 04:51:24.71 ID:MdcUz1Kf0

がたんごとん

唯「そういえば、雨あがってたね」

梓「あ、そうですね。気づきませんでした」

唯「えー、もう8時かあ・・・あ、そろそろ着くね」

梓「どこ行きましょうか?」

唯「ふふん、いいとこ知ってるんだぁ」

梓「それは楽しみですね」くすっ


ぷしゅー

梓「着きましたね」

唯「こっちだよ、あずにゃん!」

61: 2011/04/11(月) 04:57:01.17 ID:MdcUz1Kf0

てんぼうれすとらん!

梓「ちょ・・・こんな高いとこ、大丈夫なんですか?!」

唯「そりゃ11階だもん! あ、あずにゃん高所恐怖症?」

梓「そっちじゃないです! お金の話ですよっ」

唯「ここね。今日はれでぃーすでーなんだよっ」

梓「へぇ・・・すごいですね」

唯「むかしはおばあちゃんや憂と三人でよく来たんだよねぇ♪」

ウエイター「お席は喫煙と禁煙どちらにいたしましょうか」

唯「あ、禁煙でおねがいします!」

ウエイター「それではこちらにどうぞ」


梓「わあ・・・・・!」

64: 2011/04/11(月) 05:17:07.44 ID:MdcUz1Kf0

梓「すごい・・・」

唯「なんだか・・・空を飛んでるみたいだよね」

梓「はい・・・街の灯って、こんなにきれいだったんですね・・・」

唯「ささ、ごはんたべようよ!」

梓「・・・あ、はい!」

唯「みとれちゃった?」にこっ

梓「・・・はい、ちょっとだけ」くすっ

65: 2011/04/11(月) 05:20:39.88 ID:MdcUz1Kf0

唯「ほら、あずにゃんの来たよ」

梓「はい・・・おいしそうですね」

唯「ピラフ、すきなの?」

梓「えっと・・・好きっていうか、小さい頃よく食べてたんで」

唯「ほえー……」

梓「たまにこういうレストランとか連れてってもらった時、いつも同じもの食べてたんですよね」

唯「へえー・・・じゃあわたしと一緒だね!」

梓「ハンバーグ、ですか?」

唯「思い出の味だよ!」

梓「ふふ、いっしょなんですね」

唯「えへへ」

66: 2011/04/11(月) 05:22:58.28 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふぅ! おいしかったなっと」

梓「まだデザートが残ってますよ」くすっ

唯「あ、そうだったね・・・ふぁ」

梓「もう、またあくびなんかしちゃって。ていうか口よごれてますよ」

唯「あずにゃんふいてー」

梓「はいはい。……あの」

唯「んー?」

梓「きょうは、誘ってくれてありがとうございました」

唯「んーん! あずにゃんと会いたかったんだもん!」

梓「・・・えへへ」

67: 2011/04/11(月) 05:27:25.54 ID:MdcUz1Kf0




  キキーッ



     ドンッ

74: 2011/04/11(月) 05:39:04.80 ID:MdcUz1Kf0

唯「――はっ」

梓「大丈夫、ですか・・・?」

唯「ごめんごめん、一瞬寝ちゃってたかも・・・」

梓「あの、無理しないでくださいね? 身体の方が大事ですから」

唯「あずにゃんごめんね、心配かけちゃって」

梓「・・・それはいいんです。気にしないでください」

唯「そんなことないよぉ」

梓「だって、心配できるのも・・・一緒にいるうちだけですし」

唯「あずにゃん・・・!」

梓「ほら、アイスとけちゃいますよ。ていうかまたアイスですか」くすっ

唯「だって好きなんだもん・・・えへ」

76: 2011/04/11(月) 05:41:43.77 ID:MdcUz1Kf0

唯「じゃあ・・・帰ろっか」

梓「はい・・・」

唯「あずにゃん、どしたの?」

梓「いえ、・・・でもなんか、一日が終わっちゃうなあって」

唯「家に帰るまでがデートだよ、あずにゃんっ」

梓「またそんな遠足みたいな」くすっ


ぴろりーん♪

梓「あれ・・・ええっ?!」

唯「どうしたの?」

梓「いや、純からメール来たんですけど……」

唯「なになに……ええっ、電車で人身事故?!」

78: 2011/04/11(月) 05:44:25.74 ID:MdcUz1Kf0

梓「うわー…踏み切りでトラックが……」

唯「うーん、当分帰れないね・・・どうしよっか?」

梓「とりあえず、マックで時間でもつぶします?」

唯「そうしよっかあ」

梓「はい!」


唯「・・・あずにゃん、なんだか楽しそうだねっ」

梓「そっそんなことないですよっ」ぎゅー

唯「いたた、手にぎるのつよすぎだよぉ」

梓「あ……ごめんなさい」

唯「んーん、わたしもあずにゃんと一緒にいれてうれしいもん!」

梓「……そんなこと、言わないでくださいよぉ」

唯「・・・?」

梓「離れられなく、なっちゃうじゃないですか・・・」

80: 2011/04/11(月) 05:50:13.60 ID:MdcUz1Kf0

唯「・・・・あずにゃん」

梓「?」

唯「行こっか」

梓「・・・はい」


唯「ねえ、帰りはこっちのエレベーターのろ?」

梓「あ、はい」

唯「ここね、壁がガラスになっててすーごいきれいなんだよ!」

ぴんぽーん♪

唯「さ、のってのって」

梓「はい・・・わ、すごいですね!」

唯「……ぎゅー」

梓「ひゃっ」

83: 2011/04/11(月) 05:52:49.07 ID:MdcUz1Kf0

梓「……」

唯「……あずにゃん」

梓「……」

唯「……また、行こうね」

梓「……」ぎゅっ

唯「また、遊びにいけるよ。きっと」

梓「……はい」



ぴんぽーん♪

唯「えっと・・・駅ってどっちだったっけ」

梓「こっちですよ。もう、しっかりしてください」くすっ

85: 2011/04/11(月) 05:54:49.91 ID:MdcUz1Kf0

梓「・・・あ、そうだ」

唯「ほえ?」

梓「せっかくですし、TSUTAYA寄ってきませんか? たぶんまだ時間かかりますし」

唯「いいねえ!」

梓「たしかこの辺にあるって……あ、あれだ」

87: 2011/04/11(月) 06:00:56.83 ID:MdcUz1Kf0

つたやさん!

梓「あ、このCD」

唯「どれどれ?」

梓「この緑のやつです。アイスランドのバンドなんですけど、すっごいきれいなんですよ」

唯「へえ・・・」

梓「ここ試聴できるみたいですよ。よかったら聴いてみましょうよ!」

唯「うん!」

88: 2011/04/11(月) 06:01:37.65 ID:MdcUz1Kf0

 ~♪

唯「なんだかゆったりして・・・この女の人、かわいい歌声だねぇ」

梓「唯先輩の声とちょっと似てませんか?」

唯「え? そうかなあ。てへへ」

梓「……なんだか聴いてると、ちょっと眠たくなっちゃいますね」くすっ

唯「ふふ、そうだね。」

梓「……あ、このアルバムの4トラック目が――」

89: 2011/04/11(月) 06:03:52.03 ID:MdcUz1Kf0



   ガッ  シ   ャ ー   ン



94: 2011/04/11(月) 06:09:06.36 ID:MdcUz1Kf0

梓「うわあ……」

唯「あの人、買ったばっかりだったのに・・・」

梓「ま、まあ落としちゃったのは仕方ないですよね」

唯「あ、うん。私もベッドから起きた時にCD踏んじゃったことがあって」

梓「それはちゃんと片付けてないからでしょっ」

唯「ごめんごめん」

梓「もう・・・憂にばっかりまかせっきりだからそうなるんですよ。上京したらどうするんですかっ」

唯「は、はんせいします・・・・」

96: 2011/04/11(月) 06:12:18.64 ID:MdcUz1Kf0

梓「そろそろマックにでも行きます?」

唯「あ、うんそうだね」



てくてく

唯「って、」

ぽつぽつ

梓「また、」


唯梓「「雨、降ってきちゃった……」」

唯「ぬれないように急がなきゃ!」


たっ たっ たっ

唯「あ、たしかこっちだから!」ぐいっ

梓「ちょ・・・ほんとに道あってるんですかー?!」

97: 2011/04/11(月) 06:15:13.78 ID:MdcUz1Kf0

唯「はぁっ…はあ……」

梓「ふぅっ………って、いきおいで入っちゃいましたけど・・・ここってその、えOちな、」

唯「ほえ?」

 ぴっ

梓「あっ!」

唯「ボタン、おしちゃった・・・」

梓「しゅ、宿泊のボタン・・・」

唯「ど、どうしよう・・・」

梓「……ここは、あの、カウンターで間違えましたって、」


唯「あずにゃん」にやにや

梓「へ?」

唯「……泊まってみない?」

梓「ええっ」

98: 2011/04/11(月) 06:18:26.46 ID:MdcUz1Kf0

梓「でっでもお金とかっ」

唯「そこは大丈夫! 唯先輩にまかせんしゃーい」

梓「はぁ・・・」

唯「あ・・・あずにゃん、おうち大丈夫?」

梓「それは、今日もうちの両親いないですから大丈夫といえば大丈夫ですけど……」

唯「じゃあ行ってみようよ! なんかお風呂とかきらきらしてて面白いとこなんだって!」

梓「あっ・・・ちょっ――」


梓「・・・もう」

100: 2011/04/11(月) 06:24:06.02 ID:MdcUz1Kf0

へや!

梓「私きょう、なんかすっごい流されてる感じがする・・・」

唯「どしたのあずにゃん?」

梓「いえ、なんでもないです・・・」

唯「ふうん・・・それにしても広いねえっ、ダブルベッドだよ」

梓「そりゃダブルベッドに決まってるでしょ」

唯「なんでー?」

梓「いや、その・・・えーっと」

唯「なんでダブルベッドなの?」

梓「・・・しっしらないですっ」

唯「ふふ、あずにゃん赤くなってるよ」

梓「・・・わざとですかっ」

唯「んー、お風呂みてくるねっ」

 たっ たっ たっ

梓「・・・まったく、もう」

101: 2011/04/11(月) 06:31:51.21 ID:MdcUz1Kf0

唯『わあっ、ねえきてきて! すっごいよ!』

梓「なんですかー?」

唯『こっちこっちー! はやくぅ!』

梓「はいはい・・・」


唯「みて! ここ、お風呂の色がかわるの!」

 ぱっ

梓「わあ・・・」

唯「……あずにゃんこういうとこ初めて?」

梓「なっなに聞いてるんですかっ、初めてに決まってるでしょ!」

唯「わたしはねー、」

梓「え・・・・?」


唯「……うちのクラスの子がね、面白いとこだよって言ってたから気になってたんだぁ」

梓「そ、それだけ?」

唯「うん。……あずにゃん、どうしたの?」

103: 2011/04/11(月) 06:39:44.56 ID:MdcUz1Kf0

梓「なんでもないです。心配して損しましたよ」

唯「……あずにゃん、もしかしてやきもち?」

梓「ちーがーいーまーすーっ!」

唯「あーずにゃんっ♪」だきっ

梓「ひゃっ…!」

104: 2011/04/11(月) 06:40:36.68 ID:MdcUz1Kf0

梓「……」

唯「……」ぎゅー

梓「……」

唯「……おふろ、はいろっか?」

梓「あ、・・・・・はい」

110: 2011/04/11(月) 06:49:53.67 ID:MdcUz1Kf0

梓「あの・・・えっと、とりあえずお風呂にお湯ためましょうよ!」

唯「うん・・・そうだねっ」


きゅっきゅっ
じゃー



唯「そのあいだ、あっちでのんびりしようよ」

梓「・・・はい」


唯「……」

梓「……」

唯「・・・ねむくなってきちゃうよ」

梓「ねたらだめです、しにますよ」

唯「……なんで?」

梓「・・・言ってみた、だけです」

唯「へんなあずにゃん」くすっ

111: 2011/04/11(月) 06:51:36.86 ID:MdcUz1Kf0

唯「じゃあ、寝ないようにテレビでもつけよっか」

梓「そうですね。映画でもみてみましょうよ」

ぴっ

112: 2011/04/11(月) 06:55:59.19 ID:MdcUz1Kf0
no title

115: 2011/04/11(月) 07:00:34.09 ID:MdcUz1Kf0


唯「きゃああああっ?!」


梓「いやあああああっ!!」




梓「ゆっゆいせんぱい、音が!!」

唯「こっ、これかな・・・!!」

ぴっ


しーん


唯「・・・ふぅ」

梓「氏ぬかとおもいましたよぉ・・・」ぎゅっ

唯「よしよし」なでなで

梓「でも、まさか音量が最大になってたなんて・・・」

唯「ひどいいたずらだよ。ぶーぶー」

117: 2011/04/11(月) 07:03:10.77 ID:MdcUz1Kf0

唯「あ、あずにゃん・・・・いまの映画、なんだったの……?」

梓「はい、えーっと番組表番組表……」


梓「――スティーヴン・スピルバーグ監督の『激突』、みたいです」

唯「そ、そうなんだ・・・」

梓「出世作ですよ、たしか」

唯「へぇ……こわかったねぇ」

梓「ほんとですね・・・ジョーズかと思った・・・・」


唯「あ、そろそろわいたんじゃないかな?」

梓「そうですね。もう、水に流しましょう!」

唯「さんせーっ!」

123: 2011/04/11(月) 07:16:20.89 ID:MdcUz1Kf0

唯『あずにゃーん、まだあ?』

梓「待ってください・・・」ぬぎぬぎ

がらっ

唯「まあまあ、そんな恥ずかしがらないで」

梓「きゃっ?! いっいきなりあけないでください!」

唯「……もう、はやくぬいじゃいなよぉ」

梓「いつも思うんですけど、唯先輩にははじらいっていうのがないんですか?!」

唯「はじらい?」ぽかーん

梓「もういいです。なんかふっきれました」ぬぎぬぎ

唯「ささっ、あずにゃんおじょうさまこちらへ」

梓「はいはい」

唯「・・・えいっ!」ばさっ

梓「あっ、バスタオルかえして!」

126: 2011/04/11(月) 07:23:34.22 ID:MdcUz1Kf0

梓「うぅ……!」もじもじ

唯「あずにゃん、かわいいねぇ」

梓「唯先輩のばか・・・・うぅ・・・・!」

唯「ぎゅー」ぴとっ

梓「ひゃっ・・・」

唯「からだ、ひえちゃうよ?」

梓「・・・・・ゆいせんぱいが、わるいんだもん・・・」

唯「ごめんね。……じゃあ、からだあらってあげるね」

梓「えっ・・・・・・は、はい」

127: 2011/04/11(月) 07:26:49.48 ID:MdcUz1Kf0

唯「あずにゃんはいつもどこからあらうのー?」

梓「えっと・・・肩、とか」

唯「この辺かなー」

梓「やっ・・・」

唯「んー?」

梓「……あの、耳元に息かかると、その・・・・」

唯「ふー」

梓「ひゃあっ」

唯「あずにゃんってほんとかわいいよねえ」

梓「・・・・さいっていです…」

唯「ごめんごめん、ちゃんと洗うからあ!」

130: 2011/04/11(月) 07:35:49.30 ID:MdcUz1Kf0

唯「~♪」ごしごし

梓「……」

唯「いいなああずにゃん、足がしゅってしてて」ごしごし

梓「そんなこと・・・・ないですよ」

唯「肌がね、つるつるのすべすべなんだよ」つるっ

梓「やっ・・・くすぐったいですって」

唯「……足のゆびもちょこんてしてて、あずにゃんみたい」

梓「あんまりみないでください……ていうか、あずにゃんみたいってなんですか」

唯「……」ごしごし

梓「・・・んっ・・・」

唯「きもちいい?」

梓「……はい・・・」

唯「ちゃーんと洗ってあげるからねっ」

梓「……はい」かあっ

132: 2011/04/11(月) 07:44:44.93 ID:MdcUz1Kf0

唯「あいをーこめてーすらっすーらとねっ♪」ごしごし

梓「……ゆいせんぱい」

唯「なあにー?」ごしごし

梓「どうして……どうして、私なんかのために、ここまでしてくれるんですか?」

唯「あずにゃん・・・?」

梓「……わたし、唯先輩に迷惑かけてばっかりなのに・・・」

唯「……あずにゃん」

ぎゅっ

梓「……ううっ・・・ひっく・・・」うるっ

唯「……私、あずにゃんが入ってくれてよかった」

唯「あずにゃんのこと、ほんとに大好きなんだよ」

梓「・・・ぐすっ……くふっ……ひっ・・・」

唯「だから……そんなこと、言わないで」

梓「……はい・・・」ぎゅっ

133: 2011/04/11(月) 07:47:05.91 ID:MdcUz1Kf0

唯「さ、あわ流しちゃお!」

ぱしゃーっ

梓「ひゃっ・・・」

唯「うりゃ! シャワーこうげきだぞっ」きゃっきゃ

梓「きゃっ、目にはいっちゃいますってえ!」きゃっきゃ

唯「あははっ」

梓「もう・・・ほんとうに子供みたいな人ですね」くすっ


唯「あずにゃん、全部ながせた?」

梓「……はい!」にこっ

唯「じゃあ、一緒にお風呂はいろうよっ」

梓「・・・そうですね」

139: 2011/04/11(月) 08:26:26.18 ID:MdcUz1Kf0

かぽーん

唯「ふぅ・・・あったかあったか」

梓「……ひろいですねえ」

唯「あずにゃんこっちきなよぉ」

梓「・・・は、はい……」

唯「えいっ」だきっ

梓「……えへ」

唯「あったかくて気持ちいいねえ」

梓「……なんだか、とけちゃいそうですね」

唯「・・・そうだねっ」

140: 2011/04/11(月) 08:29:14.70 ID:MdcUz1Kf0

梓「……」

唯「……はじめて、だね」

梓「なにがですかー・・・・?」

唯「こうやって……ちょくせつ、抱きしめるの」

梓「……あったかいです」

唯「そう、だね……」


梓「……」

唯「あずにゃん、どしたの」

梓「なにがですか?」

唯「……今のあずにゃん、すごくさみしそうな目してた」

梓「……ふふ、超能力者みたいですね」

141: 2011/04/11(月) 08:35:52.62 ID:MdcUz1Kf0

梓「なんだか……明日が来るのが、怖くなっちゃいました」

唯「……うん」

梓「わがままとかも、思っちゃいますよ」

唯「どんな? ・・・・・きくよ?」

梓「いいです」

唯「言って」

梓「………」

梓「たとえば、もし……」

唯「……」

梓「……このまま、離れたくない・・・なんて言ったら、おこりますか?」

唯「………」

梓「……すいません、やっぱりなんでもない――」

ちゅ

142: 2011/04/11(月) 08:42:10.39 ID:MdcUz1Kf0

梓「……!」

唯「……」



梓「……」

唯「……ごめんね」

梓「……勝手、ですよ」

唯「……ごめん」

143: 2011/04/11(月) 08:42:40.00 ID:MdcUz1Kf0

梓「わたしの気持ちなんて知らないで、どんどん振り回して」

唯「……」

梓「いっつも一歩前で、わたしの知らないとこを引きずりこんでいって」

唯「……」

梓「……わすれられなく、なっちゃいますよ」

唯「……ごめん」

梓「……はなれられなく……ぐすっ・・・なっちゃい、ます……」

唯「……じゃあ、離さないもん」

ぎゅっ

145: 2011/04/11(月) 08:47:12.91 ID:MdcUz1Kf0

梓「……どういう、いみ、ですかっ……」


ちゅ

唯「……こういう意味じゃ、だめ、かな」

梓「……意味、わかんないです。ちゃんといってください」

唯「うん……じゃあ、あずにゃんだけに、言うね」





梓「……あ…」

唯「……聴こえた?」

梓「・・・はい。……聴こえました」にこっ

梓「唯先輩、私も・・・おねがいします」

唯「……ありがと。だいすき!」ぎゅっ

梓「……わたしもです」ぎゅー

146: 2011/04/11(月) 08:48:45.74 ID:MdcUz1Kf0

唯「……のぼせちゃいそう。あがろっか」

梓「あ・・・はい」

唯「……ねむくなってきちゃったもんね」

梓「……はい」

唯「えっと・・・一緒に、ねよ?」

梓「・・・はい」

147: 2011/04/11(月) 08:51:06.25 ID:MdcUz1Kf0

唯「……なんか、あっついね・・・」

梓「そう、ですね……もう冬なのに、のぼせちゃいましたよ」

唯「うん、私も」

梓「唯先輩の、せいですからねっ」

唯「あはは。じゃあクーラーとかつけちゃおっか」

梓「クーラーにがてなのに?」

唯「なにごとも挑戦なのです! ふんすっ」

梓「もう・・・」くすくす


ぴっ

148: 2011/04/11(月) 08:52:29.42 ID:MdcUz1Kf0
no title

唯「わああああっ!!!」

梓「はっはやくとめてください!!!?」

ぴっ

149: 2011/04/11(月) 08:55:32.86 ID:PLEKov+G0
唐突過ぎて吹くわw

150: 2011/04/11(月) 08:55:48.94 ID:hcfZEiN1O
学習しろよwwww

152: 2011/04/11(月) 09:03:19.17 ID:MdcUz1Kf0

唯「ふぃー・・・なんかもう眠気がふっとんじゃったよ・・・」

梓「もう……同じ失敗くりかえさないでください!」

唯「だって、いいところにリモコンがあったからクーラーかなって・・・」

梓「そのリモコン置いたの唯先輩でしょうがっ」

唯「ごべんなさぁい・・・ぐすっ」

梓「まったくもう……」


梓「……しょうがない人ですね、ほんと」くすっ

唯「……えへへっ」

153: 2011/04/11(月) 09:06:54.03 ID:MdcUz1Kf0

唯「……でも、おふとんも冷たくて気持ちいいね」

梓「そうですね・・・」

唯「……あずにゃん」

梓「……はい」

唯「……手、つなご」

梓「・・・はい」

唯「……こっち、きて」

梓「……」

159: 2011/04/11(月) 09:39:16.54 ID:MdcUz1Kf0

梓「……ゆい、せんぱい」

 私が呼ぶと、あずにゃんはこわごわと近づいてきた。
 ろうそくのようにおぼろげな灯りの下では、身体を包む白いタオルがひどく目立ってみえる。
 手を伸ばせば届くほどの、片腕分の距離を、オレンジ色の熱が満たしている。

 片腕の向こう岸で、息づかいがひどく高鳴って聴こえた。
 この熱はたぶん、二人の発したもの。私とあずにゃんの熱に、自分で溶けそうになってしまう。
 いま吐いた息も燃え上がるようで、火に吸い寄せられる虫みたいに私は手を伸ばす。
 お風呂の熱っぽい蒸気を吸って少ししなびた白いタオルに手をかける。
 あと数センチ。
 薄膜のような、コンドームみたいな私と彼女の距離を……この手で突き破る。
 触れた。

 ――ゆいせんぱい。

 まどろみそうな意識に飴のような声が響く。
 私はあずにゃんの細い身体の上に身を寄せ、橙色の熱に照らされる彼女を見下ろした。

161: 2011/04/11(月) 09:58:25.61 ID:MdcUz1Kf0

 一瞬――何年も経ってしまった気さえした一瞬、意識をうばわれてしまった。
 濡れた髪をほどいた姿は黒く広げた花びらのように見えた。
 手を伸ばすと夜露のような水滴が私の指先を冷ます。でも、熱は消えない。
 それどころが余計に燃え上がるようだった。

 なぜなら……私はあずにゃんの目に、射止められてしまったから。
 
「あずにゃん」

 名前を呼んだ。
 熱に溶けた瞳はまるで別人みたいで、少し嫌だとも思ってしまう。
 あずにゃん、こんな顔もするんだ。
 
 当てつけのように唇をあてた。
 湿った唇同士の感触で、頭の奥がしびれそうになる。
 少し開いたあずにゃんの口から、熱っぽい息が私に流れ込む。
 その熱の元に向けて舌を押し込。
 抵抗。けれどいつしか彼女の小さな舌が重なった。

 舌の触れ合う感触を求めるのに精一杯で、思わず目を閉じてしまう。
 そしたら右手に小さな指が繋がれた。すぐに私たちの指は絡まりあう。
 目を閉じた分、余計に唾液のからまる音が強く響いた。

 身体の奥から、熱が流れ出すような気がする。
 私たちを隔てる白いバスタオルも熱にやられて、不快感しか与えない。
 
 唇をそっとはがす。唾液の糸があずにゃんの舌につつっと伸びる。
 私はあずにゃんのタオルを左手で引き剥がした。

166: 2011/04/11(月) 10:20:26.77 ID:MdcUz1Kf0

 ゆいせんぱい。
 
 私を呼ぶ声が遠く聴こえた。
 それどころじゃなかった。
 息をのんだ。薄明かりに照らされた、熱の色に染められたあずにゃんの肌に。
 そこにはいつもの薄く透き通った身体はなかった。
 この部屋の色に染められて、息の仕方も忘れてしまった女の子がそこにいた。

 電影に浮き上がった鎖骨の影が、細く乱れた息と共にゆらめく。
 その下で白くふくらんだ胸も呼吸に合わせて静かに上下する。
 つるんとした胸のふもとで、一粒の水滴が滑り落ちた。
 思わずその一滴に唇を寄せる。遠く、うめくような声が聴こえた。
 
 汗に少し湿った肌に舌をなぞらせる。
 私の熱っぽい唾液がべっとりとあずにゃんの胸を濡らしていく。
 頭の方で、こもったような息づかいを感じた。
 その息づかいを求めるように首を上げ、鎖骨のくぼみに舌をねじこんだ。
 あずにゃんの声が、いっそう強く響いた。

 壊したい。
 いじめてみたい。こわれるぐらい抱きしめて、本当に溶かしてしまいたい。
 ふと垣間見たあずにゃんのすがるような求めるような瞳に乱されて、そんなことを思ってしまう。
 だめにしてしまいたい。私のものにしちゃいたい。
 
 私は鎖骨をなぞった唇をはがし、もう一度ふたりの舌を絡め合わせた。

169: 2011/04/11(月) 10:37:01.37 ID:MdcUz1Kf0

 ふたたび重ねたあずにゃんの味はほんの少し苦く感じる。
 うれしかった。なぜか、もっとほしくなった。
 鼻のあたまが当たりそうなぐらい、歯がじゃまになるぐらい強引に口づけを交わす。
 それは小さい頃に聞いた「愛しあう二人」の健全な像とはまるで違った。
 ただ、生き物がするようにむさぼってしまう。
 唇の隙間から聴いたことのなかった声がもれて、その音を強めようともっと舌を重ねる。

 ゼリーを口の中でもてあそぶように舌を絡めながら、左手を彼女の太ももに沿わした。
 ふるえが起こる。お風呂で洗ったばかりなのに、どろどろした汗が肌に浮いているのを感じた。
 身体の芯へ押し込むように指を強く這わせる。

 シャンプーの香りに混じって、あずにゃんの匂いがつんと鼻につきだした。
 それは生々しくて、たぶん汚くて、だからこそおいしそうな匂い。
 壊しちゃいたいのに、いとおしくてたまらなくなった。

 唇を離すとその匂いを求めてうなじに吸い付いた。
 抑えそびれた声が海鳴りのように響きわたった。
 もっと聴きたい。私の指で、唇で、もっとあずにゃんを唄わせてみたい。

 ――あずにゃん。愛してる。

 本心だった。なのに自分の声がグロテスクな熱に歪んで、ちょっと気持ち悪かった。
 あずにゃんは聴こえたのか分からないような顔で、ほんの少し唇を歪ませた。

 あはは。私たち、だめになりそう。
 食べるようにキスを重ねる私の裏側で、変に他人事のように感じるもう一人の私の気配も感じていた。

173: 2011/04/11(月) 11:03:44.83 ID:MdcUz1Kf0

 少しざらついたうなじに噛み跡を残す。
 あずにゃんは面白いように声をあげた。
 初めて聞くあずにゃんのそんな声を、私は取りつかれたようにむさぼってしまう。
 
 太腿から腰の骨へと手を伸ばしながら、唇を長い髪に隠された耳に唇を寄せた。
 耳たぶを唇の肉で挟んでみる。吐息に鼻にかかったようなうめきが混じる。
 私はあずにゃんの耳にわざとあつい息を吹きかけた。
 すると跳ね上がるように腰が少し浮き、あずにゃんは繋いだ右手をはずしてこらえようとする。
 まるで赤ちゃんみたいにいやいやと身体をそらす。
 でも逃がさない。離すものか。
 唾液をべたべたと、音を立てて耳の方へすりこんでいく。
 あずにゃんの声は吹き上がっては消えるしぶきのように強く弱く響いた。
 広くはない部屋に反響して、より強く聴こえて、ますます身体を縮こまらせようとする。

 目が合った。
 助けを求めるように潤んだ瞳。
 だけど、求めてるのは助けだけじゃないのも分かってた。

 左手を上のほうに這わせて、柔らかい胸を掌で包む。
 中指の腹が先っぽに当たって、一弦を爪弾いたような甲高い声が漏れる。
 こんな声、あずにゃん本人だって知らなかっただろう。
 だから怯えてるんだ。聞いたこともなかった、自分の声に。
 味わったことのなかった、こんな熱に。

 待っててあずにゃん。
 今、教えてあげるから。

 私は左手をそっとのけて、あずにゃんの胸の先端に唇を寄せた。
 ひときわ甲高い声が部屋中に響いた。

195: 2011/04/11(月) 12:37:53.65 ID:MdcUz1Kf0
no title

199: 2011/04/11(月) 12:41:42.04 ID:MdcUz1Kf0

唯「うっひゃあ・・・・昨日の人身事故、ほんとにすごかったんだねえ」

梓「ほら、テレビばっか見てないで早く支度してください。チェックアウトの時間近いんですよ?」

唯「・・・・えへへー」

梓「なんですか、その顔は」

唯「いやあ、昨日のあずにゃんかわいかったなあって・・・・ほむっ?!」

梓「もうしらない!!」

バタン

唯「あずにゃん…いきなり顔面にバスタオルはひどいよ……うぅ」

200: 2011/04/11(月) 12:44:33.18 ID:MdcUz1Kf0

えきまえ!

唯「でも、楽しかったねえ・・・・!」

梓「・・・・はい」にこっ

唯「それに、」

ぎゅ

唯「……これからは、恋人つなぎしなきゃね」

梓「・・・・は、はい」かあっ

唯「あー、あずにゃんてれてるぅ」ぷにっ

梓「からかわないでください! ……もうっ」


唯「あ。ねえねえ」

梓「なんですか?」

唯「せっかくだから、こっちのゲーセンよってこうよ!」

梓「はぁ……帰ったらちゃんと受験勉強再開してくださいよ?」

唯「わっわかってるよお!」

202: 2011/04/11(月) 12:47:09.44 ID:MdcUz1Kf0

唯「じゃあ私、こっちのシミュレーションゲームやってみる!」

梓「はぁ……遊ぶのもほどほどにしましょうね?」

唯「わかってるよぉ……よし、すたーと!」

ぽちっ

唯「おっ、おおー……こ、こうかな?」

梓「あ、うまいですうまいです。そこをこっちで」

唯「やったあ! これなららくしょーじゃん……ふぁ」

梓「ほら、あくびしてるとミスりますよ」

唯「だって昨日あずにゃんのせいでよふかし――」


梓「あっ、唯先輩あぶない?!」

204: 2011/04/11(月) 12:48:46.45 ID:MdcUz1Kf0

no title

205: 2011/04/11(月) 12:54:24.91 ID:MdcUz1Kf0

唯「……あっちゃー、私氏んじゃったー」


梓「もう、油断してるからですよっ」

唯「公園のゾンビを倒したと思ったら、トラックが突っ込んでくるなんて……」

梓「さっ帰りましょう! 唯先輩には受験勉強が待ってます!」

唯「ええっ、このまま休まず勉強なんてしたら、本当に氏んじゃうよぉ・・・・!」

梓「もう憂にはメールしましたからね。みっちり勉強してもらいますからねっ」

唯「うぅ…あずにゃんのきちくー・・・・!」


梓「それに……だいじょうぶですよ」

唯「?」

梓「人間、そんな簡単にしんじゃったりはしませんから」にこっ

唯「そんなぁ・・・!」



おわり。

206: 2011/04/11(月) 12:55:21.76 ID:MdcUz1Kf0
読んでくれた人ありがとう
寝るまでの暇つぶしだったのになんでこんなことに
次こそもう少しまともな唯梓にする とりあえず超寝る

215: 2011/04/11(月) 13:41:26.99 ID:BCbRgFUZ0
乙!

引用元: 唯「唯梓だけど眠くなってきたら私がトラックに轢かれて死ぬ話」