1: 2013/09/07(土) 20:53:04.90 ID:oEqZMQGv0
今日の仕事も終了
明日は休みときたもんだ
休日の前夜が、一番楽しみと言っても過言ではない
こんな時は酒を飲もう
そう、誰にも邪魔されずに一人でゆっくりと……
仕事終わりの一杯。良い響きだな
さてさて、それではみなさんお疲れ様でしたっと
帰り支度をして、行き着けの居酒屋へ向かうとしよう
明日は休みときたもんだ
休日の前夜が、一番楽しみと言っても過言ではない
こんな時は酒を飲もう
そう、誰にも邪魔されずに一人でゆっくりと……
仕事終わりの一杯。良い響きだな
さてさて、それではみなさんお疲れ様でしたっと
帰り支度をして、行き着けの居酒屋へ向かうとしよう
2: 2013/09/07(土) 21:00:25.55 ID:oEqZMQGv0
「……良い飲みっぷりですね。もう一献どうですか?」
しばらく飲んでいた時に不意にそんな声をかけられた
初めての経験にとまどっていたが
「やや、これはどうも」
素直に応じることにする
白くて綺麗な手がお酌をしてくれた
手がこんなに綺麗なら、相当な美人に違いない
「ありがとうございま……え?」
しばらく飲んでいた時に不意にそんな声をかけられた
初めての経験にとまどっていたが
「やや、これはどうも」
素直に応じることにする
白くて綺麗な手がお酌をしてくれた
手がこんなに綺麗なら、相当な美人に違いない
「ありがとうございま……え?」
4: 2013/09/07(土) 21:08:10.98 ID:oEqZMQGv0
顔を上げてお礼を言おうと思ったが、最後まで言えなかった
「高垣さん?」
「はい、高垣楓ですよ。プロデューサー」
俺の担当のアイドル、高垣楓がそこにいた
「なんでここに?」
「プロデューサーを偶然見つけて、どこに行くのかなーと」
「はぁ……そうですか」
高垣さんはにこにことしている
比べて、俺は微妙な顔をしているのだろう
「高垣さん?」
「はい、高垣楓ですよ。プロデューサー」
俺の担当のアイドル、高垣楓がそこにいた
「なんでここに?」
「プロデューサーを偶然見つけて、どこに行くのかなーと」
「はぁ……そうですか」
高垣さんはにこにことしている
比べて、俺は微妙な顔をしているのだろう
6: 2013/09/07(土) 21:16:39.60 ID:oEqZMQGv0
「あ、不満そうな顔をしてますね……私のお酌はお気に召しませんか?」
「え? いや、そういう訳では……」
別に不満というわけではない
色々と聞きたいことが顔に出てしまったようだ
「すみませんでした」
高垣さんの悲しそうな、そして申し訳なさそうな声
にこにことした表情から一転、泣きそうな顔になって
「……そうですよね、年上のアイドルのお酌なんて嫌ですよね」
「そんなことないですよ、って高垣さん?」
「え? いや、そういう訳では……」
別に不満というわけではない
色々と聞きたいことが顔に出てしまったようだ
「すみませんでした」
高垣さんの悲しそうな、そして申し訳なさそうな声
にこにことした表情から一転、泣きそうな顔になって
「……そうですよね、年上のアイドルのお酌なんて嫌ですよね」
「そんなことないですよ、って高垣さん?」
11: 2013/09/07(土) 21:23:10.87 ID:oEqZMQGv0
顔を隠すようにして俯いてしまった
「う……うぅ……」
困ったな
こんな居酒屋で泣かれたら、目立ってしまうじゃないか
知名度は高いとは言えないけれど、片やアイドル、片やプロデューサー
人前で変に目立つのはよろしくない
変に期待してた自分にも非はあるだろうし
「高垣さん、泣かないでください。俺は高垣さんにお酌してもらって嬉しかったですよ」
「……」
「う……うぅ……」
困ったな
こんな居酒屋で泣かれたら、目立ってしまうじゃないか
知名度は高いとは言えないけれど、片やアイドル、片やプロデューサー
人前で変に目立つのはよろしくない
変に期待してた自分にも非はあるだろうし
「高垣さん、泣かないでください。俺は高垣さんにお酌してもらって嬉しかったですよ」
「……」
12: 2013/09/07(土) 21:31:40.55 ID:oEqZMQGv0
沈黙
何か喋ってくれないだろうか、とても気まずい
「楓、です……」
「はい?」
「名前で呼んでください。いつも他人行儀すぎます」
「はぁ……」
「何なら、あだ名でも良いですよ」
何を言い出すんだろう
と言うか、この人泣いてないだろ
何か喋ってくれないだろうか、とても気まずい
「楓、です……」
「はい?」
「名前で呼んでください。いつも他人行儀すぎます」
「はぁ……」
「何なら、あだ名でも良いですよ」
何を言い出すんだろう
と言うか、この人泣いてないだろ
15: 2013/09/07(土) 21:39:26.14 ID:oEqZMQGv0
「やっぱり私のことなんて……ぐすっ……」
女の嘘泣きは怖いと聞くけれど
それに騙されるのも、男の甲斐性ってやつなのかね
「はぁ……楓、さん」
「……」
ちらりとこちらを窺っている
もうひと押しか
「楓さんにお酌してほしいなー、なんて思うのですが」
にこりと、営業スマイルをやってみる
女の嘘泣きは怖いと聞くけれど
それに騙されるのも、男の甲斐性ってやつなのかね
「はぁ……楓、さん」
「……」
ちらりとこちらを窺っている
もうひと押しか
「楓さんにお酌してほしいなー、なんて思うのですが」
にこりと、営業スマイルをやってみる
16: 2013/09/07(土) 21:47:48.09 ID:oEqZMQGv0
「……もう、最初からそう言ってくれれば良いのに」
一呼吸おいて、やっと返事が返ってきた
とびっきりの笑顔とともに
「では、早速どうぞ」
ささっとお銚子を持つと
「ありがとうございます」
「いえいえ」
薄く微笑んでお酌をしてくれた
一呼吸おいて、やっと返事が返ってきた
とびっきりの笑顔とともに
「では、早速どうぞ」
ささっとお銚子を持つと
「ありがとうございます」
「いえいえ」
薄く微笑んでお酌をしてくれた
17: 2013/09/07(土) 21:56:11.06 ID:oEqZMQGv0
「頂きます」
「はい」
ぐいっと飲み干す
「おー、やっぱりいい飲みっぷりですね」
ぱちぱちと、小さく拍手をする楓さん
「美人さんがお酌をしてくれたからですよ」
うん、これは本音だ
俺が自信を持ってプロデュースできる女性だからな
……言いすぎか?
「はい」
ぐいっと飲み干す
「おー、やっぱりいい飲みっぷりですね」
ぱちぱちと、小さく拍手をする楓さん
「美人さんがお酌をしてくれたからですよ」
うん、これは本音だ
俺が自信を持ってプロデュースできる女性だからな
……言いすぎか?
19: 2013/09/07(土) 22:11:43.09 ID:oEqZMQGv0
「プロデューサー、お上手ですね」
ふふふっと笑いながら、照れたような仕草をしている
「せっかくの酒の席ですから」
当初の予定と違ってしまったけれど
気持ちを切り替えて、楽しむとしようじゃないか
「さぁさぁ、楓さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
お猪口を両手で持ち、くいっと傾けた
「ふぅ……美味しい」
美味そうに飲んでもらえると、こちらとしてもありがたい
ふふふっと笑いながら、照れたような仕草をしている
「せっかくの酒の席ですから」
当初の予定と違ってしまったけれど
気持ちを切り替えて、楽しむとしようじゃないか
「さぁさぁ、楓さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
お猪口を両手で持ち、くいっと傾けた
「ふぅ……美味しい」
美味そうに飲んでもらえると、こちらとしてもありがたい
21: 2013/09/07(土) 22:29:16.82 ID:oEqZMQGv0
「楓さんも良い飲みっぷりですね」
「プロデューサーにお酌してもらったお酒ですから」
「それはどうも」
随分とまぁ上機嫌だなこの人は
「プロデューサー、どうぞ」
とくとくと注がれる酒
「お酒が注がれる音って何か良いと思いませんか?」
ああ、わかる気がする
「わかります。いかにも酒を注いでるって感じですよね」
「プロデューサーにお酌してもらったお酒ですから」
「それはどうも」
随分とまぁ上機嫌だなこの人は
「プロデューサー、どうぞ」
とくとくと注がれる酒
「お酒が注がれる音って何か良いと思いませんか?」
ああ、わかる気がする
「わかります。いかにも酒を注いでるって感じですよね」
22: 2013/09/07(土) 23:04:43.72 ID:oEqZMQGv0
うんうんと頷く楓さん
「プロデューサー。今日はとことん飲みましょう」
これは宣戦布告かな?
「望むところです楓さん」
男として負けるわけにはいかない
「ふふふっ」
かくしてプロデューサーとアイドルの二人だけの飲みが始まった
まぁ、特に変わったことはないのだが
「プロデューサー。今日はとことん飲みましょう」
これは宣戦布告かな?
「望むところです楓さん」
男として負けるわけにはいかない
「ふふふっ」
かくしてプロデューサーとアイドルの二人だけの飲みが始まった
まぁ、特に変わったことはないのだが
23: 2013/09/07(土) 23:16:24.98 ID:oEqZMQGv0
「あ、お酒なくなっちゃいましたね」
なかなかペースが速いな
「楓さんはどうします?」
「このお酒美味しかったので、もう一本つけてもらえますか?」
ついでに肴も何品か頼んでおくとしよう
「わかりました。楓さん、何か食べたいものありますか?」
「焼きイカなんていかがですか、ふふっ」
「あとは冷ややっこと塩辛でいいですね」
親父的なギャグはあえてスルーした
なかなかペースが速いな
「楓さんはどうします?」
「このお酒美味しかったので、もう一本つけてもらえますか?」
ついでに肴も何品か頼んでおくとしよう
「わかりました。楓さん、何か食べたいものありますか?」
「焼きイカなんていかがですか、ふふっ」
「あとは冷ややっこと塩辛でいいですね」
親父的なギャグはあえてスルーした
24: 2013/09/07(土) 23:27:46.86 ID:oEqZMQGv0
お銚子を何本空けたのだろう
十本以降は数えるをやめた
髄分と良い気分になってき……
「ぷろでゅうさぁ?」
青と緑の瞳にじっと見つめられる
「はい、ここにいます」
目が潤んで、頬がほんのり赤くなって……
一言でいうと、凄く色っぽい
十本以降は数えるをやめた
髄分と良い気分になってき……
「ぷろでゅうさぁ?」
青と緑の瞳にじっと見つめられる
「はい、ここにいます」
目が潤んで、頬がほんのり赤くなって……
一言でいうと、凄く色っぽい
25: 2013/09/07(土) 23:34:43.39 ID:oEqZMQGv0
「ふふふっ。目が逢いましたね」
さっきの雰囲気とは違う
大人の楓さん
「どうしたんです、ぷろでゅうさぁ? そんな表情をして」
どこか期待をしているような
そんな視線
「なんでもないですよ、なんでも」
思わず視線をそらせてしまった
26: 2013/09/07(土) 23:35:30.29 ID:oEqZMQGv0
「ふふふっ。目が逢いましたね」
さっきの雰囲気とは違う
大人の楓さん
「どうしたんです、ぷろでゅうさぁ? そんな表情をして」
どこか期待をしているような
そんな視線
「なんでもないですよ、なんでも」
思わず視線をそらせてしまった
27: 2013/09/07(土) 23:43:15.21 ID:oEqZMQGv0
「会計を済ましてきますから、待っててくださいね」
逃げるように席を立つ
「あっ……」
背中から聞こえたかぼそい声は、聞こえないふりをした
しっかりしろ俺
担当アイドルにどぎまぎしてどうするんだ
ぴしゃりと頬を叩く
「よし! 後は楓さんを送って行くだけだな」
逃げるように席を立つ
「あっ……」
背中から聞こえたかぼそい声は、聞こえないふりをした
しっかりしろ俺
担当アイドルにどぎまぎしてどうするんだ
ぴしゃりと頬を叩く
「よし! 後は楓さんを送って行くだけだな」
28: 2013/09/07(土) 23:48:46.29 ID:oEqZMQGv0
「むぅ……」
席に戻ってみれば、不機嫌な楓さんが待っていた
「さて楓さん、そろそろ行きましょうか」
「おいくらですか?」
「今日は俺の奢りで良いです」
ぱぱっと帰り仕度をする
何かを言われる前に行動してしまえば良い
「……でも」
「いいですって」
31: 2013/09/08(日) 00:04:21.05 ID:irDsQ+fB0
会話の流れを絶つようにして外に出た
「お?」
「良い風……」
夏の風とは違う、秋の風が頬を撫でていく
「涼しくて良いですね」
「ええ、酔いさましにはちょうど良いです」
頭も、体も、冷静になっていく
本当に心地良い
「お?」
「良い風……」
夏の風とは違う、秋の風が頬を撫でていく
「涼しくて良いですね」
「ええ、酔いさましにはちょうど良いです」
頭も、体も、冷静になっていく
本当に心地良い
32: 2013/09/08(日) 00:12:40.17 ID:irDsQ+fB0
「少し歩きませんか、プロデューサー?」
いつもの声だ
「ええ、俺も歩きたいと思っていたところです」
「ふふっ、じゃあ行きましょう」
くるりと背を向けて歩きだす楓さん
遅れないようにして、俺も歩きだす
「……」
「……」
いつもの声だ
「ええ、俺も歩きたいと思っていたところです」
「ふふっ、じゃあ行きましょう」
くるりと背を向けて歩きだす楓さん
遅れないようにして、俺も歩きだす
「……」
「……」
33: 2013/09/08(日) 00:18:48.12 ID:irDsQ+fB0
さて、どう話をふればいいものか
「プロデューサー、聞こえますか?」
聞こえる?
「何がですか?」
「ふふふっ、耳を澄ましてください」
りぃんりぃん
りぃんりぃん
「鈴虫……ですか」
「正解です」
34: 2013/09/08(日) 00:25:02.81 ID:irDsQ+fB0
綺麗な音色です」
「そうですね」
名前通り、鈴を鳴らしているかのような音色
「りーんりん、りーんりん」
りぃんりぃん
りぃんりぃん
「わぁ、プロデューサー聞きました?」
「ええ、ちゃんと聞こえましたよ」
楓さんの歌声に、鈴虫のコーラスといったところか
「そうですね」
名前通り、鈴を鳴らしているかのような音色
「りーんりん、りーんりん」
りぃんりぃん
りぃんりぃん
「わぁ、プロデューサー聞きました?」
「ええ、ちゃんと聞こえましたよ」
楓さんの歌声に、鈴虫のコーラスといったところか
35: 2013/09/08(日) 00:34:18.04 ID:irDsQ+fB0
「ふふふっ。ステキです」
嬉しそうな声
少しは機嫌が良くなったのだろうか
「楓さんの歌声も、鈴虫に負けないくらいステキです」
「えっ……」
あ、しまった
「そういうのズルイと思います」
「すいません……」
そっぽを向かれてしまった
嬉しそうな声
少しは機嫌が良くなったのだろうか
「楓さんの歌声も、鈴虫に負けないくらいステキです」
「えっ……」
あ、しまった
「そういうのズルイと思います」
「すいません……」
そっぽを向かれてしまった
37: 2013/09/08(日) 20:47:33.43 ID:irDsQ+fB0
りぃんりん
りぃんりん
鈴虫の音色が響く
「プロデューサーは意地悪です」
そう、自分は意地悪なのだ
「プロデューサーは意気地なしです」
そう、自分は意気地なしなのだ
何も言い返さないで次の言葉を待つ
自分に言い返す権利はない
りぃんりん
鈴虫の音色が響く
「プロデューサーは意地悪です」
そう、自分は意地悪なのだ
「プロデューサーは意気地なしです」
そう、自分は意気地なしなのだ
何も言い返さないで次の言葉を待つ
自分に言い返す権利はない
38: 2013/09/08(日) 20:58:09.34 ID:irDsQ+fB0
「相手からのアプローチはかわす癖に、自分からそういうセリフを言うなんて」
まったくだ
正論すぎてぐうの音も出ない
「知っていますか? 中途半端な優しさは罪なんですよ」
どっちつかず
優柔不断
今までの関係が壊れるのが怖い
どれも当てはまる
まったくだ
正論すぎてぐうの音も出ない
「知っていますか? 中途半端な優しさは罪なんですよ」
どっちつかず
優柔不断
今までの関係が壊れるのが怖い
どれも当てはまる
39: 2013/09/08(日) 21:07:39.90 ID:irDsQ+fB0
「プロデューサーを偶然見かけてというのは嘘です」
知っている
「貴方がきちんと返事をしてくれないから……」
俺は何も言えない
いや、何も言わない
楓さんの気持ちを受け取ることもできる
逆にばっさりと絶ち切ることもできる
突き詰めれば、はいかいいえ、このどちらかなのに
知っている
「貴方がきちんと返事をしてくれないから……」
俺は何も言えない
いや、何も言わない
楓さんの気持ちを受け取ることもできる
逆にばっさりと絶ち切ることもできる
突き詰めれば、はいかいいえ、このどちらかなのに
40: 2013/09/08(日) 21:24:09.88 ID:irDsQ+fB0
「私、子供じゃないんですよ?」
十分に大人の女性だと思っています
「恋に恋する歳じゃないんです、それなりに恋愛経験だってあります」
これだけ魅力的なら納得できますよ
「アイドルとプロデューサー。この関係だからいけないんですか?」
「こんな思いをするなら……アイドルになんてならなければ良かった」
駄目だ楓さん、それ以上は言ってはいけない
「私、アイドル……やめます」
十分に大人の女性だと思っています
「恋に恋する歳じゃないんです、それなりに恋愛経験だってあります」
これだけ魅力的なら納得できますよ
「アイドルとプロデューサー。この関係だからいけないんですか?」
「こんな思いをするなら……アイドルになんてならなければ良かった」
駄目だ楓さん、それ以上は言ってはいけない
「私、アイドル……やめます」
41: 2013/09/08(日) 21:40:17.30 ID:irDsQ+fB0
楓さんが落ち着くまで黙っていようと思った
俺だけに文句を言って落ち着いてくれれば、と
でも、もう無理だ
「貴女の気持ちはそれっぽちのものだったのですか? 楓さん」
そんなに簡単に言葉にしてしまうんですか?
「じゃあ答えをください……」
俺と高垣楓の答え
一致するのか不一致なのか
貴女からの想いと俺からへの想い
俺だけに文句を言って落ち着いてくれれば、と
でも、もう無理だ
「貴女の気持ちはそれっぽちのものだったのですか? 楓さん」
そんなに簡単に言葉にしてしまうんですか?
「じゃあ答えをください……」
俺と高垣楓の答え
一致するのか不一致なのか
貴女からの想いと俺からへの想い
42: 2013/09/08(日) 21:56:03.82 ID:irDsQ+fB0
「俺の答え……」
「はい。貴方の答えを」
どうすればいいんだ
プロデューサーだから無理に決まってる
楓さんの魅力を独り占めしたい
何か良い言葉はないのか
「プロデューサー……私の名前を呼んでください」
微笑む楓さん
その綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうになる
「はい。貴方の答えを」
どうすればいいんだ
プロデューサーだから無理に決まってる
楓さんの魅力を独り占めしたい
何か良い言葉はないのか
「プロデューサー……私の名前を呼んでください」
微笑む楓さん
その綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうになる
43: 2013/09/08(日) 22:13:28.73 ID:irDsQ+fB0
「楓……さん?」
あれ? この感じ、さっきの飲み屋で……
「ふふふっ」
さっき感じた、大人の楓さん
「プロデューサー」
とさり、と体に少しの重みを感じる
「離れてください楓さん!」
「い、や、です。さぁ教えてください」
こんな密着した状態で、教えるも何もないだろう
あれ? この感じ、さっきの飲み屋で……
「ふふふっ」
さっき感じた、大人の楓さん
「プロデューサー」
とさり、と体に少しの重みを感じる
「離れてください楓さん!」
「い、や、です。さぁ教えてください」
こんな密着した状態で、教えるも何もないだろう
44: 2013/09/08(日) 22:25:55.31 ID:irDsQ+fB0
ふりほどこうと少し力を込める
「やん、乱暴にしないでください」
俺の腕の中で身をよじる
「楓さんが離れてくれればこんなことしませんって」
平静を装ってはみるが、心臓の鼓動が速い
こういう業界にいれば何人も美人、綺麗な人を見ている
しかし、この人はそんな俺の目にも更に美しく見えるんだ
それに、こんな状況を他の人に見られるのは非常にまずい
「あら? ……ふふふっ」
「やん、乱暴にしないでください」
俺の腕の中で身をよじる
「楓さんが離れてくれればこんなことしませんって」
平静を装ってはみるが、心臓の鼓動が速い
こういう業界にいれば何人も美人、綺麗な人を見ている
しかし、この人はそんな俺の目にも更に美しく見えるんだ
それに、こんな状況を他の人に見られるのは非常にまずい
「あら? ……ふふふっ」
45: 2013/09/08(日) 22:40:55.57 ID:irDsQ+fB0
「プロデューサー?」
新しいおもちゃを見つけたような視線
「プロデューサー、どきどきしてます……ね?」
二重の意味でどきどきしていますよ
「ふふっ、私と一緒です」
そう言って、少し強めに抱きついてくる
「嬉しい……私にどきどきしてくれてるんですね」
「そうですね……そろそろ離れてくれませんか?」
新しいおもちゃを見つけたような視線
「プロデューサー、どきどきしてます……ね?」
二重の意味でどきどきしていますよ
「ふふっ、私と一緒です」
そう言って、少し強めに抱きついてくる
「嬉しい……私にどきどきしてくれてるんですね」
「そうですね……そろそろ離れてくれませんか?」
46: 2013/09/08(日) 22:49:52.38 ID:irDsQ+fB0
「もう……いぢわる」
意地悪で結構ですから
「わかりましたよ、だからあと少しだけ」
ぎゅう
ぎゅうううう
「楓さん、痛いですよ」
冗談じゃなくて結構痛い
「私も意地悪なこと聞きませんから」
意地悪で結構ですから
「わかりましたよ、だからあと少しだけ」
ぎゅう
ぎゅうううう
「楓さん、痛いですよ」
冗談じゃなくて結構痛い
「私も意地悪なこと聞きませんから」
47: 2013/09/08(日) 23:01:37.19 ID:irDsQ+fB0
「だから……ね? あともう少し」
これで落ち着いてくれるのなら良しとするか
「わかりました、あと少しだけですよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
やっぱりこの人は子供か大人なのかわからないな
「~♪」
鼻歌なんて呑気だな、まったく……
人の気持ちも知らないで
これで落ち着いてくれるのなら良しとするか
「わかりました、あと少しだけですよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
やっぱりこの人は子供か大人なのかわからないな
「~♪」
鼻歌なんて呑気だな、まったく……
人の気持ちも知らないで
48: 2013/09/08(日) 23:06:25.12 ID:irDsQ+fB0
りぃんりぃん
りぃんりぃん
周りでは鈴虫のコンサート真っ盛りだ
「楓さん、そろそろ良いですか?」
「……」
おかしいな
「楓さーん?」
腕の中の楓さんは目をつぶっている
りぃんりぃん
周りでは鈴虫のコンサート真っ盛りだ
「楓さん、そろそろ良いですか?」
「……」
おかしいな
「楓さーん?」
腕の中の楓さんは目をつぶっている
49: 2013/09/08(日) 23:10:59.48 ID:irDsQ+fB0
りぃんりぃん
りぃんりぃん
周りでは鈴虫のコンサート真っ盛りだ
「楓さん、そろそろ良いですか?」
「……」
おかしいな
「楓さーん?」
腕の中の楓さんは目をつぶっている
りぃんりぃん
周りでは鈴虫のコンサート真っ盛りだ
「楓さん、そろそろ良いですか?」
「……」
おかしいな
「楓さーん?」
腕の中の楓さんは目をつぶっている
50: 2013/09/08(日) 23:17:31.67 ID:irDsQ+fB0
おいおい、まさかこの人
「……くぅ」
俺に寄りかかっていたとはいえ
「すぅ……」
立ったまま寝ていた
「おいおい、マジかよ」
やっぱりこの人は子供だ
うん、間違いないな
はぁ……とため息をひとつ
「……くぅ」
俺に寄りかかっていたとはいえ
「すぅ……」
立ったまま寝ていた
「おいおい、マジかよ」
やっぱりこの人は子供だ
うん、間違いないな
はぁ……とため息をひとつ
51: 2013/09/08(日) 23:25:05.74 ID:irDsQ+fB0
なんだか今日は疲れたな
この人に振りまわされっぱなしだった
「ったく、この25歳児が」
ぐにっと頬を引っ張る
「ふぁ……」
まずはタクシーか? それとも起こすのが先か?
まぁ……どっちでもいいか
「たまにはこんな酒もありかな」
そう呟きながら、スラックスからスマホを取り出した
おしまい
この人に振りまわされっぱなしだった
「ったく、この25歳児が」
ぐにっと頬を引っ張る
「ふぁ……」
まずはタクシーか? それとも起こすのが先か?
まぁ……どっちでもいいか
「たまにはこんな酒もありかな」
そう呟きながら、スラックスからスマホを取り出した
おしまい
52: 2013/09/08(日) 23:47:18.83 ID:x6V13PUI0
乙です、良いふいんきだった
53: 2013/09/08(日) 23:48:31.35 ID:A6zLQnm/o
おつおつ
引用元: モバP「一人酒でもするか」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります