1: 2014/08/07(木) 20:12:53.65 ID:lodWpRG30
P「うん? どうした、急に」

昴「ほら、そろそろ甲子園の季節だろ?」

P「そうだな」

昴「テレビで予選とか見てたら……こう、体がうずいて」ブンブン

P「出たくなった、と」

昴「ああ!」

P「……」


P「……まぁ、アイドルのオーディションも予選みたいなもんだろ」

昴「何だよその逸らし方!?」


アイドルマスターミリオンライブ! トラベルステッカー (24)永吉昴

2: 2014/08/07(木) 20:13:38.77 ID:lodWpRG30
P「今年はどこの優勝だろうな。 そろそろ東北勢、盛○大付あたりに」

昴「話聞いてるのか!?」

P「昴はどう思う?」

昴「え、うーん……東○大相模で」

P「無難だな」

昴「今年は東○大系列が熱いしな!」

P「菅○も惜しかったもんな」

昴「○大三からあんなに打ってたし……」


昴「……って違ーう!」バン

3: 2014/08/07(木) 20:14:34.56 ID:lodWpRG30
昴「オレが甲子園に出たいって話だよ! オレが!」バンバン

P「昴がねぇ……無理だと思うぞ?」

昴「最初から決めつけてどうするんだよ!」

P「いや、決めつけるも何も」

昴「諦めたらそこで試合終了なんだぞ!」

P「それはバスケだ」

昴「もう決めた、出る、絶対出る!」

P「絶対というかだな……」


昴「……実はさ」

P「ん?」

昴「そのためのプランも練ってきたんだ」スッ

P「おぉ…………一応、聞くだけ聞いておこう」

4: 2014/08/07(木) 20:15:36.86 ID:lodWpRG30
――――

――


昴「と~れないボ~ルがあ~るものか~♪」ガラガラ


P(なんでドカベン?)

小鳥「あの、プロデューサーさん」

P「はい」

小鳥「私も参加するんですか? このプレゼン」

P「すいません、1人で捌くのは大変なので」

小鳥「はあ……」

P「30分! 30分だけでも!」

小鳥「…………まぁ、いいですけど?」●REC

P「結構ノリノリですね」

5: 2014/08/07(木) 20:16:39.10 ID:lodWpRG30
昴「2人とも!」バン

P「おっ、準備出来たか」

昴「まず、『甲子園に出る』ための条件はなんだと思う?」

P「えー……まずは素振りから、とか」

昴「ブッブー!」

P「うわぁい、すごいドヤ顔」

昴「正解は……っ!」キュポン


『甲子園に出る高校にいること!!』


昴「これしか無いだろ!」バン

P「……なんか、哲学的だな」

小鳥「昴ちゃん、変な予備校講師みたいですね」

6: 2014/08/07(木) 20:17:38.51 ID:lodWpRG30
昴「オレは、いわゆる強豪校への進学を目指そうと思う」

P「甲子園に出れそうな高校を目指す……となると、○弁和歌山とかか?」

小鳥「最近なら聖○学院も手堅いですね」

昴「……いや、県外には行かない」

P「ほう?」

小鳥「野球留学には賛否ありますからね……」

昴「なぜならっ!」キュポン


『トップアイドル!!』


昴「アイドル活動との両立が必要だからだ!!」バン

P「アイドルも続けるのか……」

小鳥「二刀流ですね」

7: 2014/08/07(木) 20:18:50.81 ID:lodWpRG30
P「なら東京か……激戦区だなぁ」

小鳥「○大三とかが安定してるんですかね?」

P「うーん……でも、昴が入れるかというと……」

昴「そう、最大の問題はそこなんだ」キュポン


『スポーツ推薦を勝ち抜く!』


昴「甲子園常連レベルになると、相当すごいやつらが集まってくるからな……」

P「いや、そもそも」

昴「集まってくるからな!」

小鳥「一般入部じゃだめなの?」

昴「アイドルとの両立を考えると、推薦での特別待遇が欲しいんだよ」

P「……それで、か」

昴「その中をオレが勝ち抜くためには……何か『一芸』が必要だと思う」

8: 2014/08/07(木) 20:19:41.60 ID:lodWpRG30
小鳥「一芸……足が速い、とかですか?」

P「それも1つですね」

昴「ああ。 体格で劣っても、何か光るモノがあればチャンスはあるはずだ!」キュポン

P「昴の持ち味って言うと……変化球?」

小鳥「七色のムービング、とかですか?」

P「それは別の漫画です」


『スライダー』


昴「スライダー……これが、オレの武器だっ!!」バン

小鳥「……なんか地味ですね」

P「小鳥さん、全国のスライダーPを敵に回しますよ」

9: 2014/08/07(木) 20:20:34.66 ID:lodWpRG30
昴「そのスライダーが評価されて、オーディションを無事通過できたとする」

小鳥「急に飛びましたね」

P「オーディション言っちゃってるしな」

昴「1年目、オレがするべきことは何だ?」

小鳥「帽子を右目のところだけ割る、とか」

昴「それは不知火だ!」

P「ドカベンはもういいだろ!」

昴「……とにかくっ!」キュポン


『身体作り!!』


昴「まだ試合じゃ投げれないだろうから、しっかりとした身体を作る!」バン

10: 2014/08/07(木) 20:21:41.04 ID:lodWpRG30
小鳥「まず、大量にご飯を食べるのが大変らしいですよね」

P「……なぁ、嫌な予感がするんだが」

昴「これは美奈子に協力してもらう!」

P「やっぱり!」

小鳥「栄養が偏りそうですね……」

昴「それは気を付けてもらう!」

P「でも、あんまり太られるとアイドル業にも影響するぞ」

昴「大丈夫だって、体重は増やすけど筋肉だし」

小鳥「ガチムチ系アイドル……逆にアリですね」

P「完全に売り出す方針変えることになりますけどね」

11: 2014/08/07(木) 20:22:31.77 ID:lodWpRG30
昴「それで、いよいよエースを目指すんだけど――」ペラペラ



ガチャッ

七尾百合子「ただいま戻りましたー」


P「お疲れ……って、アレ? 百合子?」

小鳥「百合子ちゃん、もしかして今レッスン終わり?」

百合子「そうですけど……」

P「いつの間にかそんな時間に……恐るべし、昴」

百合子「昴さん?」



昴「空振りがとれる、三振がとれる左投手っていうのは――」ペラペラ


百合子「…………えっと、昴さん?」

P「まぁ、混乱してもしょうがないか」

12: 2014/08/07(木) 20:23:40.89 ID:lodWpRG30
――――

――


百合子「なるほど、甲子園に」

P「この手の妄想は百合子の得意分野じゃないのか?」

百合子「そうですね……この間、カンパネルラカバディでプレデターと戦っ」

P「そうか、路線が違うのか」

百合子「野球は……夜光虫なら読んだことありますけど、あまり詳しくなくて」

小鳥「それはダメよ百合子ちゃん、今度私の岩鬼×山田本を」

P「やめて下さい」


昴「それで一軍に入るために…………おっ、百合子!」

P「今気付いたのか……」

昴「ちょうどよかった、ちょっと手伝ってくれよ!」ポン

百合子「へっ?」

13: 2014/08/07(木) 20:24:45.78 ID:lodWpRG30
――1時間後――


百合子「ちょっと、昴!」タッタッ

昴「何だよ」

百合子「なんでサインに従わないのよ! 山田は敬遠、そう確認したでしょう!?」

昴「気が変わった。 やっぱり勝負だ」

百合子「リスクが大きすぎるわ!」

昴「……分かってるよ」

百合子「だったら!」

昴「それでも!!」グイッ

百合子「……~~っ///」


昴「オレはエースだ。 ここで逃げる訳には……いかないんだよ」


百合子「昴……」



P(なんだこれ……)●REC

小鳥「」

14: 2014/08/07(木) 20:25:37.05 ID:lodWpRG30
昴「――と、こうして、無事に甲子園出場を決めるってわけだ。 サンキュー百合子!」

百合子「ぁ、え、ハイ、喜んでっ!」

昴「なんだそりゃ、変なの」



P(まさか、1時間もあんなの見せつけられ続けるとは思わなかった……)

小鳥「」

昴「プロデューサー、どうだった?」

P「ああ、よかったよ。 特に後半は永久保存版だ」

百合子「と、撮ってたんですか!?」

昴「そうじゃなくて、オレの計画だよ! 行けると思う? 甲子園」

P「……」

15: 2014/08/07(木) 20:26:32.92 ID:lodWpRG30
P「そうだなぁ……思ったより、しっかり考えられてたな」

昴「へへっ、そうだろ?」

P「なぜか決勝の相手が明訓だったりとか、ツッコミどころはあったけど」

小鳥「それは私のアイディアです!」ガバッ

百合子「小鳥さん、まだ安静にしてて下さい!」


P「……でもな、昴」

昴「うん」

P「お前のプロデューサーとしては、その計画は認められない」

昴「うん…………え?」

16: 2014/08/07(木) 20:27:42.68 ID:lodWpRG30
昴「なんでだよ! 今、しっかり考えられてたって」

P「ああ。 ……非現実的な妄想としては、な」

昴「っ……」

P「具体的な目標を立てるのはいいが、ちょっと現実味に欠けてるよ」

昴「……理由は」

P「まず、高野連の規定で女子は公式戦に出れない」

P「アイドルとの両立だって厳しいだろう。 結局、どっちつかずになるのがオチだ」

百合子「ちょっと、そんな言い方って……!」

P「……」

昴「……」

17: 2014/08/07(木) 20:28:40.54 ID:lodWpRG30
昴「…………いいだろ、夢見たって」

P「……」

昴「知ってたよ、女子が試合に出れないことなんてさ。 両立の難しさだって分かってる」

P「……そうか」

昴「それならオレが変えてやる! 甲子園出て、トップアイドルにだってなってやる!!」バン


昴「そう……思ったって、いいだろ…………!」


百合子「昴さん……」

P「……」

18: 2014/08/07(木) 20:29:30.39 ID:lodWpRG30
P「……そうか。 そこまで決意が固いなら、俺から言えることは無い」

昴「じゃあ……!」

P「昴、今度のオフは金曜だったよな?」

昴「え?」



P「それなら、『現実』ってものを――――教えてやろう」



――

――――

19: 2014/08/07(木) 20:30:43.13 ID:lodWpRG30
ブロロロロロ


P「おーい、着いたぞー」

昴「うーっす」

百合子「……」

P「どうした百合子、酔ったか?」

百合子「……あの、どうして私も呼ばれてるんですか?」

P「百合子も今日オフだし、ちょっと手伝ってもらいたくてな」

百合子「私、スポーツは苦手なんですけど……」

昴「そう言うなって! 昨日みたいに頼むぜ、百合子」ポンポン

百合子「ひゃっ……う、うん」

昴「?」



百合子(この2人の野球対決……なんて、私が手伝えることあるのかな……?)

20: 2014/08/07(木) 20:31:44.17 ID:lodWpRG30
昴「ここは許可取ってんの?」

P「あぁ、市に予約を取ってある。 あんまり良いグラウンドじゃないけどな」

昴「ちょっと狭いけど……まぁ、土は悪くないな。 マウンドもあるし」

百合子「私たちで貸し切ってるんですか?」

P「そうだな……もう1人呼んでるけど」

百合子「えっ?」



高槻やよい「おはようございますーっ!」タッタッ

P「おはよう、悪いなオフなのに」

やよい「気にしないで下さいっ! 一度、昴さんの球を受けてみたかったので!」

昴「やよい……そういえば、野球好きなんだったな」

21: 2014/08/07(木) 20:32:38.15 ID:lodWpRG30
P「それじゃ、全員揃ったところでルールを説明しよう」

やよい「うっうー! お願いしますー!」


P「ルールって言っても簡単で、昴が投げて俺が打つ。 1打席対決だ」

百合子「確か、野球って9人でやるんじゃ?」

P「正式にはそうなんだけど、さすがにそこまでの人数は集められなかった」

昴「やよいがキャッチャーやるのか?」

P「ああ。 ついでにストライクの判定もやよいに任せる」

やよい「わかりましたーっ!」


百合子「……あの、私は」

P「百合子は、ネット裏で撮影とスピードガンを頼む」

昴「スタンドでなんか祈ってる女子高生役も」

P「それ要るか?」

22: 2014/08/07(木) 20:33:35.48 ID:lodWpRG30
パシッ  パシッ


昴「やよいは野球やってたのか?」

やよい「いえ、たまに弟とキャッチボールするくらいですー」

昴「ほほー」

やよい「昴さんはどれくらいやってるんですか?」

昴「うーん……分かんないな。 気付いたら、ボール投げてたよ」

やよい「はえー、すごいです!」

昴「そ、そうかな……」

やよい「そうですよ! 球も速いですし!」

昴「そうかぁ……なんか照れるな。 よし、サイン確認しようぜ、サイン!」

やよい「はいーっ!」

23: 2014/08/07(木) 20:34:46.45 ID:lodWpRG30
ポスッ  ポスッ


百合子「プロデューサーさんは野球やってたんですか?」

P「ああ、実はな」

百合子「甲子園とか出たんですか?」

P「うーん、惜しかったんだけどな。 四回戦で負けたよ」

百合子「それってそんなに惜しくないんじゃ……あっ」ポロッ

P「百合子は、普段キャッチボールとかしないのか?」

百合子「いえ、まったく……」

P「昴なら、頼めばやってくれると思うぞ」

百合子「え、な、なんで昴さんが出てくるんですか!」ポロッ

P(かわいい)

24: 2014/08/07(木) 20:35:46.20 ID:lodWpRG30
P「――さて、始めるか」

昴「なぁ、ビヨンドは卑怯じゃねぇか?」

P「筋力が衰えてるんだ、許してくれ」

百合子「ビヨンド?」

昴「ボコーンって感じのバットだよ」

百合子「ボコーン……??」


P「やよい、防具のサイズは大丈夫か?」

やよい「はいーっ! ピッタリです!」

P「そうか、よかった」

昴「どこから借りたんだ? 私物か?」

P「マイ防具なんて買えるか……知り合いのチームからだよ」

25: 2014/08/07(木) 20:36:45.88 ID:lodWpRG30
やよい「プレイボール!」


昴「……」ザッ

昴(絶対に、勝つ)

昴(そして認めさせてやる……オレの夢を)


P「……」ザッ

P(感覚は、徐々にだが戻ってきている)

P(フフ……大人気なくいくぜ、昴よ)


百合子「……」●REC

百合子(……もしかして)

百合子(これが、スポーツ漫画特有の長考なのかな……)

26: 2014/08/07(木) 20:37:21.28 ID:lodWpRG30
やよい「……」スッ

昴「……」

P「……」


昴「…………っらぁ!」ビシュ

P「……!」


ググッ

P(来た……予想通り、スライダー!)

P(まだ初球だが、貰っ――)

グググッ

P「!?」


バコーン

27: 2014/08/07(木) 20:38:36.19 ID:lodWpRG30
P「な…………っ」

P(消えた……!? いや、それほど変化が大きかったのか!)


やよい「ごめんなさい、弾いちゃいましたーっ」

昴「大丈夫大丈夫、いきなり捕れっていうのが難しいし」

やよい「振り逃げってあるんですか?」

昴「まぁ、さすがに振り逃げで勝ちにされることは無いだろ」


P(……なるほど)

P(どうやら、俺は昴を甘く見過ぎていたようだ)

P「……」ザッザッ

昴「……へっ、良い眼つきしやがって」

28: 2014/08/07(木) 20:39:26.38 ID:lodWpRG30
やよい「……」スッ

P(今のスライダーは、俺に強烈なイメージを残した)

昴「……」

P(それを生かしてくるなら――)


昴「…………っらぁ!」ビシュ

P「……」


P(――ストレートッ!)


ボコッ

29: 2014/08/07(木) 20:40:26.69 ID:lodWpRG30
やよい「ファール! ファールですーっ!」


P「……」

P(読みは合っていた。 差し込まれたか……いや)

P(まさか……カットボールか?)


昴(オレの持ち球がスライダーだけ、だなんて言った覚えはないぜ)

P(次の球が読めない……まずいな、初球から狙い過ぎたか)

昴(初見でほとんど情報がない以上……読まれにくいオレが有利!)



百合子(モノローグ長話……)

30: 2014/08/07(木) 20:41:33.34 ID:lodWpRG30
P(0-2……昴も、焦って決めには来ないはずだ)

やよい「……」スッ

昴「……」

P(ボールになるスライダーか、高めの釣り球か)

P(ここは思い切って――捨てる!)


昴「…………っらぁ!」ビシュ

P「!」

P(速……いッ)

ズバーン



やよい「……ボール!」

31: 2014/08/07(木) 20:42:35.35 ID:lodWpRG30
昴「……ちぇっ、惜しいな」

P(アウトローの、ストレート……だと)

P(なんつー球を……しかも、フォームに変化が無かったぞ)


昴(やっぱり、ストレートのコントロールはいまいちだな)

昴(うまいこと振ってくれるかと思ったけど、そう甘くはいかねーか)


P(……いや、打てない球速じゃなかった)

昴(決めるなら――)

P(警戒すべきは――)



P・昴(――――スライダー!)



百合子(116km/h……相場が分からない)

32: 2014/08/07(木) 20:43:39.36 ID:lodWpRG30
P「……」ザッ

昴「……」

昴(前に立った……スライダーの曲がりばなを叩こうってか?)

P(恐らく、さっきのが昴の最高球速……ここでも、振り遅れることは無い)


やよい「……」スッ

昴(……でも無駄だぜ、プロデューサー)

昴(分かってたって打てない……決め球ってのは、そういうもんだろ!)


P「……」

P(分かってるさ……昴のスライダーは化物だ)

P(だけど……だからこそ……)

33: 2014/08/07(木) 20:44:28.63 ID:lodWpRG30
昴「……」


P(俺はお前を…………信じる)




昴「…………っらぁあ!」ビシュッ




パコーン

34: 2014/08/07(木) 20:45:26.79 ID:lodWpRG30
百合子「……!」ガタッ


P「……」

昴「っ……!」





やよい「あっ……」

やよい(レフト線……打球が切れて……)



ガシャーン パリーン



百合子(そのままフェンスを越えて……民家に…………)

P「…………やべ」

35: 2014/08/07(木) 20:46:49.35 ID:lodWpRG30
P「すいませんでしたぁあーっ!!」ゲザー

老婆「あらあらいいのよ、気にしなくて」

P「申し訳ありません! 765プロで窓は弁償致しますので!」

老婆「あら~」



やよい「これって、スキャンダルになっちゃうんでしょうか……?」

昴「ったく、だからビヨンドは止めとけって言ったんだ」

百合子「……」

昴「……なんだよ、百合子?」

百合子「…………あ、いやっ、なんでも」

昴「? 変なの」

36: 2014/08/07(木) 20:47:27.79 ID:lodWpRG30
P「いやー、すまんすまん、無駄に飛ばしすぎた」

やよい「大丈夫でしたか?」

P「ああ、お婆さんが優しい人で助かったよ。 保険に入ってるから弁償はしなくていいって」

百合子「まぁ、グラウンドの隣ですし……」



P「それじゃ、再開するか! 昴、肩冷えてないか?」

昴「……いや、もういいよ」

P「え?」

昴「この勝負…………オレの負けだ」

37: 2014/08/07(木) 20:48:25.21 ID:lodWpRG30
やよい「でも、まだ勝負は……」

昴「プロデューサー。 最後のスライダー、どうやって打ったんだ?」

P「そうだな……俺、初球がひどい空振りだったろ?」

百合子「確かに……」

P「だから、また同じコースで攻めてくるんじゃないかと思ってさ」

昴「ヤマを張ってた?」

P「そんな感じかな」

昴「……そうか」


やよい「でも、同じコースに投げられる昴さんもすごいですーっ!」

P「そうだな。 打てたのはたまたまだ」

昴「……」

39: 2014/08/07(木) 20:49:34.64 ID:lodWpRG30
昴「オレ、最後に投げたときに思ったんだ。 これ以上ないところに決まった、って」

P「……」

昴「でも打たれた。 ほとんどホームランだ」


昴「……プロデューサーの言ってた『現実』ってのが、なんとなく分かったよ」

百合子「……」

昴「甲子園だーっとか騒いでたけど……結局、無理なんだ。 オレに、それだけの力は無い」

やよい「昴さん……」


P「……」

40: 2014/08/07(木) 20:50:37.02 ID:lodWpRG30
P「…………なぁ、昴」

昴「え?」

P「今日、俺が百合子に撮影とかを頼んだのは何でだと思う?」

昴「……分かんね」

P「今日の映像と、それからスピード。 知り合いに見せようかと思ってるんだ」

やよい「私の防具を借りたチームの人ですか?」

P「ああ。 ……女子野球のプロ球団だ」

昴「!」

百合子「プ、プロ!?」



P「昴。 女子野球、やってみないか?」

41: 2014/08/07(木) 20:51:42.23 ID:lodWpRG30
昴「じょ、女子野球……って」

P「百合子。 今日の昴の最高球速は?」

百合子「えっと、116km/hです」


P「今の女子プロ野球の平均球速は、大体110km/h前後らしい」

百合子「……!」

P「平均球速と比べてもしょうがないが、少なくとも現時点でプロレベルの球速があるってことだ」

やよい「おおー……!」

P「それに、あのスライダーもある。 将来はエースになれる素材だと俺は思う」

42: 2014/08/07(木) 20:52:30.21 ID:lodWpRG30
昴「……なぁ」

P「ん?」

昴「その場合、アイドルはどうなるんだ?」

P「…………正直なところ、難しいな」

昴「……そうか」

P「ただ、それは歌って踊るアイドルとして売り出す場合だ」

昴「えっ?」

P「昴が真剣に野球を続けるなら、タレントの活動が主になる」

百合子「スポーツ選手としてバラエティに出る、ってことですか?」

P「ああ。 ……これも、色々と調整が難しいけどな」

43: 2014/08/07(木) 20:53:25.18 ID:lodWpRG30
P「昴は可愛いからな。 きっと人気が出るだろう」

昴「か、かわっ……!?」

百合子「ふふっ、そうですね」

昴「百合子まで!?」


P「……ただ、これも1つの案に過ぎない」

昴「……」

P「野球とアイドル。 どちらかを諦めろっていうのは、酷な話だ」

P「この先、どうしていくか……その判断は昴、お前に任せるよ」

昴「……分かった」



P「さっ、帰るぞ! ジャグ持ってきたから水分摂れよ!」ポンポン

昴「部活か!」



――

――――

44: 2014/08/07(木) 20:54:35.33 ID:lodWpRG30
テレビ『開幕戦は龍○大平安と春○部共栄の――』



P「ついに開幕か……やよい、どこが優勝すると思う?」

やよい「そうですねー、日大○ヶ丘を応援します!」

P「へー、どうして?」

やよい「あそこは、キャプテンの名前が浩太朗なんです! うっうー!」

P「そうか……そういうのもあるんだな」


百合子「海○と武○館がイイですね!」

P「字面の格好良さだろそれ! ……小鳥さんはどう思います?」

小鳥「そうですね……帝○・前田監督×日大○・小倉監とk」

P「怒られますよ! っていうかどっちも甲子園出てないし!」

45: 2014/08/07(木) 20:55:35.78 ID:lodWpRG30
P「東○大相模と盛○大付……見たいな、録画しようかな……」ブツブツ


百合子「プロデューサーさん、なんかソワソワしてません?」

小鳥「昴ちゃんを待ってるんじゃない?」

P「してませんよ! ソワソワなんて!」

小鳥「してるじゃないですか……」

P「確かに、昴がどういう道を選ぶのかは気になりますけど……何にせよ、俺はその選択を全力でサポートするだけですから」

百合子「いつもより饒舌ですね」

やよい「ぜっこーちょー! いぇい!」パァン

P「なんだそれ!」



ガチャッ

昴「……」

46: 2014/08/07(木) 20:56:51.85 ID:lodWpRG30
P「おっ、昴!」

昴「……」ザッザッ

P「……決めたか?」

昴「…………ああ」







昴「オレ…………メジャーに行きたい!!」

P「無理」


おわり

47: 2014/08/07(木) 20:58:17.00 ID:lodWpRG30
以上です。読んで下さって、ありがとうございました。


昴と百合子と甲子園観に行きたい

48: 2014/08/07(木) 21:00:21.34 ID:l3KNVuIAO

引用元: 【ミリマスSS】永吉昴「オレも甲子園に出たい!」