1: 2013/11/23(土) 11:19:59.97 ID:7D/bswTAO
私の名前は鶴見留美。
スターライト学園に通う3年生だ。

小学6年生の頃、ぼっちだった私は、目の腐った高校生と彼の同級生たちによって救われ、自ら変わることを決意した。

そして、新しくできた親友のあおいに誘われ、私はアイドルの道へ足を踏み入れる。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-(20) (ビッグガンガンコミックス)

2: 2013/11/23(土) 11:21:25.41 ID:7D/bswTAO
アイドルたちが通うアイドル専門学校・スターライト学園の門を叩いた私たちは、その日からアイドルとして様々なカツドウに励むことに。

スターライト学園に隠された不思議な最新技術・人生カード化改変マシーンによって、新しい人生、新しい未来を僅か3ヶ月で経験した私たちは、不思議世界でたくさんの仲間を作り、現実世界に帰ってきた。

生まれ変わった私、星宮いちごとして。

4: 2013/11/23(土) 11:22:05.25 ID:7D/bswTAO
千葉村のキャンプから数ヶ月。
私を変えてくれた八幡への恩返しのため。

過去を改変し、この時代でトップアイドルとなった私は、八幡へ会うために総武高校へとやってきた。

いちご「待っててね、八幡」

芸能人はカードが命

私の熱いアイドルカツドウ、アイカツ
始まるよ!うふふ

5: 2013/11/23(土) 11:24:10.76 ID:7D/bswTAO
蘭「これが総武高校か。まあ普通だな」

いちご「スターライト学園と比べたらねぇ~」

あおい「穏やかじゃないわね。ここにいちごの想い人がいるなんて」

蘭「想い人て……」

いちご「違うってばぁ~あおいー!そんなんじゃないよぉ~」

あおい「はいはい」

蘭「別にいんじゃん?好きな人くらいいたって」

あおい「アイドルに恋人は御法度ですぞぉ~?うりうり」

いちご「やめてよぉっ、八幡は恩人なんだから」

蘭「恩人か……。いいよね、そういうの」

あおい「ちょっと嫉妬しちゃうけどね」

6: 2013/11/23(土) 11:24:54.65 ID:7D/bswTAO
いちご「あおい、蘭、今日は付き合ってくれてありがとね」

あおい「いいっていいって。いちごの頼みなら私は何でも聞いちゃうぞっ」

蘭「私は頼まれなくてもついてくけどな。いちごひとりじゃ不安だ」

いちご「も~っ、それどーゆー意味~?」

あおい「保護者としてほっとけないのよ、蘭は」

蘭「そうだな。なんかもうそれでいいわ」

いちご「保護者なんていらないもん」

蘭「だな」クスクス


7: 2013/11/23(土) 11:27:52.06 ID:7D/bswTAO
戸部「あれ~?あれあれ~?隼人くん隼人く~んあれ見てよ~。あれ今をときめくアイドルの星宮いちごちゃんじゃね?あおいちゃんに蘭ちゃんもいるわぁ。いや絶対そうだからぁっ!」

葉山「アイドル?すまない、俺はあまり詳しくないんだが」

戸部「隼人くんノーチェック系?」

葉山「てかお前詳しいな」

戸部「いやいや常識っしょ」

三浦「戸部~、あんたマジキモいんだけど。てかさ、アイドルって何よアイドルって」

戸部「えっ?アイドルも知らない系?」

三浦「違うわよ。戸部、あんたバカじゃないの?アイドルがこんなつまんない進学校来るかってーの」

葉山「それはまあ……言えてるな」

8: 2013/11/23(土) 11:28:40.31 ID:7D/bswTAO
姫菜「学内に入っていくね」

戸部「やっぱさ、ここは追いかけちゃう系?」

三浦「あーし興味ないからパス」

葉山「俺は部活」

姫菜「百合は守備範囲外かな」

戸部「うーわ、これ行ける雰囲気じゃないわー。……部活行こ……」

葉山「テンション低いなおい」

9: 2013/11/23(土) 11:30:05.75 ID:7D/bswTAO
奉仕部

いちご「聞いてた話だとここに八幡が」

あおい「感動の再会ね」

いちご「緊張するよー」

コンコン

雪乃「どうぞ」

蘭「失礼します」ガラガラ

いちご「あっ!勝手に」アセアセ

雪乃「あら、見かけない顔にどうやら私服のようね。うちの生徒かしら?」

蘭「いえ、違います」

雪乃「来客の方ね。それで?ここを訪ねたということは奉仕部への依頼かしら?」

10: 2013/11/23(土) 11:31:21.88 ID:7D/bswTAO
蘭「私の名前は紫吹蘭。一応アイドルをやってる」

結衣「ふぇ!?紫吹蘭!?」

蘭「私を知っているのか?」

結衣「知ってます知ってます!超有名人じゃないですか!」

八幡「紫吹蘭……だと……」ガタッ

雪乃「由比ヶ浜さんは知っているの?」

結衣「ゆきのん!知ってるもなにもアイドルだよアイドル!トップアイドル!」

蘭「はは、なんか恥ずかしいな」

11: 2013/11/23(土) 11:32:58.70 ID:7D/bswTAO
雪乃「アイドル……そう。それで、紫吹さんはどういった用件で奉仕部に?」

蘭「ここに比企谷八幡って男子がいるって聞いてな」

結衣「うぇ?ヒッキー!?」

雪乃「……比企谷くん、早めの自首を推奨するわ。訴えられてからでは遅いのよ?」

八幡「なんでだよ!何もしてないよ!してないよね?え?」

蘭「え?ちょっと待ってくれ!一体何の話だ」

雪乃「この男が紫吹さんにセクハラを行ったので、貴女自ら断罪をしに来たのではなくて?」

八幡「そんな歪んだ憶測は折り畳んで捨てちまえ」

雪乃「あら、今日の比企谷くんは威勢がいいのね。それとも本当にセクハラに至ったのかしら?セクハラ谷くんは」

結衣「ヒッキー最低……」

12: 2013/11/23(土) 11:35:20.46 ID:7D/bswTAO
八幡「俺は無実だ。断固抗議する!あ、紫吹蘭さん、サイン貰えます?妹が大ファンでして」

蘭「あ、はい……」

結衣「小町ちゃんがダシに使われてる!?」

雪乃「由比ヶ浜さん、貴女が言うと字面的にお味噌汁のようね」

結衣「何気に酷いし!」

雪乃「ごめんなさい、由比ヶ浜さん。失言だったわ」

八幡「ここに『小町ちゃんへ』って。はい、そうです。ついでに『八幡愛してる』って書いて貰えます?あ、他意はありませんので」デレデレ

結衣「ヒッキー普通にキモいし!」

13: 2013/11/23(土) 11:35:57.00 ID:7D/bswTAO
蘭「『八幡愛してる』っと。恥ずかしいなこれは……」

八幡「ありがとうございます!家宝にします我が家の」

蘭「い……妹さんによろしく……」

結衣「次、あたしもサインお願いできます?『結衣へ』って書いて欲しいです」

蘭「あー、もうわかった!わかったから!」サラサラ

蘭「ほら」

結衣「ありがとうございます!」

14: 2013/11/23(土) 11:37:38.57 ID:7D/bswTAO
あおい「あの美しき刃と呼ばれた蘭が一方的に戸惑ってるなんて……」 乱入

雪乃「貴女は?見たところ紫吹さんの関係者のようだけれど」

あおい「あ、私は…」
結衣「霧矢あおいちゃんだぁ!」ダキッ

あおい「うぇぇぇ!?なになに!?なんなの!?」

15: 2013/11/23(土) 11:40:03.32 ID:7D/bswTAO
結衣「あたし、大ファンなんです!」

あおい「あ、あ、あ……ありがと」

結衣「本物のあおいちゃんも可愛いー」

あおい「はーなーしーてー」

結衣「サインお願いします!『結衣へ』って!」

あおい「穏やかじゃなーい!」


いちご「……八幡」

八幡「ん?」

いちご「久しぶり」

25: 2013/11/23(土) 19:26:26.91 ID:7D/bswTAO
問題。
明らかに初対面の女子から、しかも今をときめくトップアイドルから、「久しぶり」なんて言われた男子は一体どんな反応をするでしょう。

八幡「お……おう。久しぶりだな」

正解。
動揺してとりあえず話を合わせる。

それは俺だけか。テヘペロ

ドッキリですか?ドッキリですよね?カメラはどこにあるんです?

肖像権の侵害だ。実にけしからん

いちご「会いたかった」ダキッ

八幡「」

なになになんなのこれ?ちょっと待って欲しい、いや待ってください。おかしいでしょこの状況!なんで抱きつかれてんの俺?セクハラ谷くんなの?

普段の俺帰ってきてー!

26: 2013/11/23(土) 19:28:05.19 ID:7D/bswTAO
そうだ素数を数えよう。ぼっちが一人ぼっちが二人……二人いたらぼっちじゃねーよ!
冷静さ仕事しろ!

八幡「……星宮いちご?」

いちご「久しぶりだね、八幡」ニコッ

結衣「あーっ!ヒッキーが星宮いちごちゃんに抱きついてる!」

雪乃「ええと……警察は何十番だったかしら……」

あおい「奉仕部……穏やかじゃないわね」

蘭「……頭が痛くなってきた。なあ、もう帰っていいか?」

27: 2013/11/23(土) 19:29:40.35 ID:7D/bswTAO
30分後

雪乃「……みっともないところを見せてしまったようね。騒がせてしまったことを謝罪します」

いちご「この紅茶美味し~」

あおい「ほんとだ美味しい」

蘭「ああ、美味いな」

雪乃「あなたたちの分、紙コップで大変申し訳ないのだけれど」

あおい「あ、気にしないでください」

蘭「突然押し掛けた私たちの方がもっと失礼だしな」

結衣「それで?いちごちゃんが実はキャンプの時に知り合った鶴見留美ちゃんで、八幡に恩返しをするためにアイドルになってやってきたと」

八幡「あのぼっちのガキが星宮いちごちゃんだと……。ありえん、別人すぎる……人格まで整形してんじゃねーか……プリキュアなの?変身しちゃうの?」

いちご「八幡うるさい」

結衣「ヒッキーだってぼっちじゃん」ボソッ

28: 2013/11/23(土) 19:31:39.68 ID:7D/bswTAO
雪乃「荒唐無稽すぎるわね……。その話を信じるのは到底不可能なのだけれど、それが真実であるという証拠、例えば鶴見さんが星宮さんであるという証明は可能なのかしら?」

いちご「スタライに入学すれば理解できると思います」

雪乃「スタライ?……ああ、スターライト学園のことね?度々耳にする、衣服をカード化するというSF紛いの余多話は、果たして真実なのかしら」

結衣「あれ凄いよねー」

八幡「アイカツカードは偉大な発明だからな」

雪乃「……なぜあなたが誇らしげなのか理解できないのだけれど、比企谷くん」

八幡「ほっとけ」

いちご「八幡はキラキラッターやってる?」

八幡「やってるぞ」

八幡「紫吹蘭の情報収集はライフワークのひとつだからな。霧矢あおいのフォローも日常茶飯事だ」

蘭「は?私?」

結衣「うわぁ……」ドンビキ


29: 2013/11/23(土) 19:33:35.84 ID:7D/bswTAO
雪乃「由比ヶ浜さん、キラキラッターとは何かしら」

結衣「あ、ゆきのんアイカツフォン持ってないもんね。キラキラッターってのはねー、アイカツフォン版Twitterみたいなものだよ」

雪乃「Twitterは触れたことがないので実感はないのだけれど。人様の目に触れる場所で好き勝手に心情を吐露して、それの一体何処が楽しいのかしら。理解に苦しむわね」

八幡「『蘭ちゃん可愛いなう』とか」

結衣「やめてヒッキー!今日のヒッキーほんとキモいし……」

あおい「あはは……」

30: 2013/11/23(土) 19:39:01.62 ID:7D/bswTAO
いちご「はい、八幡へのサイン」

八幡「おっ、サンキュー……」

これがあのルミルミだと……バカな……

八幡「ひとつ言っておくぞ?俺は恩を返されるようなことはしていない。何もしていない。結果的にお前たちに怖い思いをさせただけだ」

いちご「あれは最悪だった。氏んじゃえって思ったもん」

いちご「でも私が変わろうと思えたのは八幡のお陰だから。八幡がいなかったら、私はきっと暗い女の子のままだったと思う」

どうやら事の顛末、俺たちの真意を見抜いていたようだ。

疑って疑って疑って疑って本質を見抜く。

俺との会話を思い出し、そして推理したのだろう。

ぼっちには時間がある。

生き方としては賢いが、他人からは嫌われる。
空気が読めない。
そんな“賢くない生き方”

31: 2013/11/23(土) 19:40:06.80 ID:7D/bswTAO
八幡「人はそうそう変わらないからな」

いちご「だから、八幡にその気はなくても、私は八幡に救われたんだよ」ニコッ

雪乃『報われないわね』

報われたさ。

世界は変わらない
今でもそう思う。

それでも、『もしかしたら』という幻想は、立ち向かおうとする意志は、きっと世界を変えうるのだろう。

この少女が勝手に救われたように。

あの日、背中を押したことは間違いではないと。

彼女の瞳が強く語りかけてくるようで。

八幡「そうか」

俺は珍しく、捻くれるのをやめた。

雪乃「…………」

32: 2013/11/23(土) 19:41:19.11 ID:7D/bswTAO
八幡「また会えてよかった。もうぼっちは卒業したんだ。元気でやれよ」

いちご「まだあるの……最後に一つやり残したこと…………」


薄々気づいていたのかもしれない。

会話を打ち切ろうとしたのは失敗だった。

これが騒動の始まりだと。


いちご「八幡、大好きだよ」


その日、少女は奉仕部に爆弾を落とした。


今回は結論を言う気分ではない。

第一話:きっと彼女の選択はまちがっている
了?

34: 2013/11/23(土) 19:43:55.68 ID:7D/bswTAO
いちご「私と付き合って下さい」

電光石火の先制攻撃。
いやポケモンは関係ないけどな。

告白されて冷静さを取り戻すなんて、つくづく自分が嫌になる。

あおい「いちご……」

でも俺は自分が大好きだ。

蘭「…………」

そうでなければ俺は……

35: 2013/11/23(土) 19:45:15.54 ID:7D/bswTAO
八幡「……悪いな星宮。……いや鶴見か」

アイドルに告白されるという一生に一度あるかないか、いや普通ないだろうそんな機会を

八幡「お前のそれは幻想だ。鶴見、お前の恋愛の対象は俺じゃない。……背伸び、いや……恋愛へのただの憧れだ」

あっさり手放すなんてバカだ。そう思うだろう?俺もそう思う。

いちご「八幡……?」

36: 2013/11/23(土) 19:47:01.86 ID:7D/bswTAO
受け入れるのは容易だ。
だが、きっといつか自覚する。

これからもトップアイドルとして経験を積んでいく鶴見留美。

冷静さ、落ち着きを得ていくであろう少女。

その瞬間、彼女は目覚めるのだ。

なんでこの人を好きになったのだろう、と。

それは互いの不幸でしかない。

そんなの俺が耐えられない。
愛した結果傷つくのなら、愛する前に終わらせるべきなのだ。

それが一番ダメージを減らせる堅実な手段。

八幡「……悪いな。俺はお前の気持ちに応えるつもりは……ない」

37: 2013/11/23(土) 19:48:53.94 ID:7D/bswTAO
これはあれですかね?アイドル振るとか何様だよお前!的な空気

いちご「……そう」

悪いな、俺は保身に生きる人間なんだ。

あおい「っ……!」

蘭「……よかったじゃん、いちご」

あおい「え……?」

蘭「あんた、比企谷八幡だっけ?」

八幡「ああ」

蘭「いちご、あんた愛されてんだよ。ひき……八幡にさ」

38: 2013/11/23(土) 19:51:22.03 ID:7D/bswTAO
いちご「どういう……?」

蘭「なあ、あんた彼女っているか?」

八幡「いるように見えるか?」

蘭「あはは……」

あおい「蘭、どういうこと?」

蘭「彼女もいない餓えた男子高校生がさ、自分で言うのもなんだけど……私達トップアイドルから告白されて、それを即答で振るなんて、そんなん考えられないじゃん」

蘭「この人はね、いちご。自分の幸せより、あんたの幸せを取ったんだよ……たぶん」

あおい「あ……」


蘭「いちごのことを想ってないなら、告白した瞬間すぐに食いついていただろうさ、逆にね。私はこの男は信頼できると思った。ちょっと歪んでるみたいだけど」

八幡「…………」

蘭「あんたの考えなんてお見通しだよ?芸能人舐めんな」

八幡「あ、はい」

39: 2013/11/23(土) 19:52:21.15 ID:7D/bswTAO
蘭「あんた、酷い奴だけどいい奴だね」ニコッ

言葉を一瞬失ったのは、紫吹蘭カッコイイなーとか思っていたからなんて言えるはずもなく

あおい「諦めたらそこで試合終了だよ、いちご!」

いちご「うん!」

雪乃「なんだか意識を失っていたような気分ね」

結衣「(なんか何も言えなかったけどまたライバルが増えたし……)」

いちご「八幡、私諦めないから」

蘭「いちごがダメなら私でもいいぞ」ニコッ

八幡「……勝手にしろ」

40: 2013/11/23(土) 19:54:56.26 ID:7D/bswTAO
なぜか雪ノ下の氷点下のような不機嫌さをひしひしと感じる。

紫吹蘭可愛いなーおい!!というテンションは、急激に醒めていった。

今度こそ今回の結論。

女は勝手に会話を始め、勝手にまくし立て、勝手に納得し、勝手に結論付ける生き物だ。

だから、面倒事を避けたいのなら、男は黙って話を聞けばいい。

それで事態が悪化しても、きっとそれ以外に選択肢はないのだろう。

1話:やはり俺の青春ラブコメは間違い続けていく。


57: 2013/11/24(日) 17:42:15.08 ID:7M3m1rHAO
俺は紫吹蘭が好きだ。
当然アイドルとしてだが。

これはあれだ。
小町へ向ける愛情や、戸塚への愛情に近い。

あ、最後のはヤバいか……

LIKEじゃないよLOVEだよみたいな
LOVEなのかよ……

星宮ことルミルミの告白から二日。

未だに雪ノ下と由比ヶ浜の視線が冷たい。

なんなの?断ったからおこなの?

雪乃「中三ということになっている小学生に好かれて、あなたは今どんな気分かしら、口リガヤくん」

酷い言い掛かりである。
全国の比企谷さんに謝れ。

58: 2013/11/24(日) 17:44:06.91 ID:7M3m1rHAO
八幡「どうもしねえよ。あれはもう断っただろ」

雪乃「私たちの目があったから仕方なく体裁を保った、そうも考えられるのだけれど」

八幡「雪ノ下、お前何が言いたいんだよ?」

結衣「ゆきのんは嫉妬してるんだよ。蘭ちゃんにデレデレしちゃってヒッキーほんとキモかったし」

雪乃「由比ヶ浜さん、それは誤解よ。そもそもこの男に私が嫉妬する理由などないのだから」

結衣「えー、そうかなぁ……」

雪乃「……それはあれね。百歩譲って私の言動に嫉妬という醜い感情を由比ヶ浜さんが感じてしまったというなら、一応のところ奉仕部の一員である比企谷くんが、その気持ちの悪いにやけ面でいたいけな少女を蹂躙していた。その事に対する恐怖が知らず知らずの間に顔に出てしまっていたのね。怖いわ」

八幡「帰っていいですか?」

雪乃「駄目よ」

結衣「ダメに決まってるし!」

いじめはありません

奉仕部は今日も平和です。

59: 2013/11/24(日) 17:45:27.44 ID:7M3m1rHAO
八幡「あれから毎日メールが来るんだけど」

結衣「よかったじゃん」

雪乃「比企谷くんにもついに友達と呼べる存在ができたようね。感慨深いわ。比企谷くんはそれが仮初めの友情(仮)ではないことを祈りなさい」

前より雪ノ下が冷たい気がするんですけど。

異論反論持論を唱える気力すら削いでいく氷の魔王ですよ。勝手に魔王にランクアップ。

バレたら朝陽は拝めないぞっと。

雪ノ下雪乃と書いて辛辣と読む。

また一つキラキラネームが誕生してしまった。

雪乃(しんらつ)

60: 2013/11/24(日) 17:46:48.53 ID:7M3m1rHAO
結衣「ねぇヒッキー、今週の日曜暇?」

八幡「暇じゃない」

結衣「じゃあ用事って?」

八幡「部屋で優雅に読書……と言いたいところだが、遊びに誘われてな。わかれ。まああれは強制だけどさ」

雪乃「あなたのお友達のざい……中2さんだったかしら?」

八幡「材木座は関係ねえよ。てか名前くらい覚えてやれよ」

雪乃「痴呆症扱いするのはやめなさい。覚えられないのではなくて覚える気がないのよ」

結衣「ネタ振りってやつだね!」ニコッ

雪乃「……その何かを達成したかのような清々しい笑顔はやめて貰えるかしら、由比ヶ浜さん」

結衣「ごめんねゆきのん♪」

雪乃「まったく、由比ヶ浜さんときたら……」

61: 2013/11/24(日) 17:50:23.24 ID:7M3m1rHAO
結衣「それで、ヒッキーは留美ちゃんに誘われてるってことでいいのかな?」

八幡「霧矢と蘭ちゃんもいるらしい。むしろルミルミだけなら俺は行かん」

雪乃「ヘタレだものね」

八幡「ばっか、ちげーし!蘭ちゃん派なだけですー」

結衣「ねぇ?あたしも行っていい?日曜」

八幡「あん?俺は知らん。あいつらに訊け」

結衣「あ、返信きた。おっけ~だって、ゆきのん」

八幡「早ぇよ」

雪乃「なぜ私まで……まあ由比ヶ浜さんたちだけじゃ不安よね。日曜は偶然にも予定は入っていないようだから、私もご一緒させて頂こうかしら」

八幡「女子5人の中に男一人混ざるとかどんな拷問ですか」

結衣「さいちゃん呼ぼっか?」

八幡「よし行こう!すぐ行こう!日曜楽しみだな!」

雪乃「この変わり身の早さ、異常ね……。比企谷くん、彼と間違いだけは起こさないようにね」肩ポンポン

八幡「大丈夫だ、問題ない」キリッ

結衣「なーんか嫌な感じ……」

62: 2013/11/24(日) 17:51:35.33 ID:7M3m1rHAO
そして日曜の朝がやってきた。

夢(とつか)をのせて

結衣「あ、やっはろーヒッキー!さいちゃん部活で来れないってさ」

八幡「さーて帰るか」

結衣「早いし!なに自然に帰ろうとしてんの信じらんない!」

雪乃「おはよう、比企谷くん」

天使かと思ったら雪ノ下でした。

純白のワンピースだと……。
狙いはなんだ!

八幡「雪ノ下、その……似合ってるぞ……白」

雪乃「あ……ありがとう……///」

無意識にリア充のようなやり取りをしてしまった。恐るべし策士、雪ノ下雪乃。

63: 2013/11/24(日) 17:53:14.80 ID:7M3m1rHAO
結衣「ヒッキー!あたしは?あたしは!?」

八幡「あーはいはい可愛いよ」

結衣「投げやりだ!?」

小町「お・に・い・ちゃーーん!」ダキッ

八幡「うおぉ!びっくりしたぁ!」

小町「成功です!雪乃さん!」

八幡「なんで小町がここにいんだよ」

雪乃「私が小町さんを誘ったからよ。受験の息抜きになるかと思って」

小町「嬉しいです!お兄ちゃんが新しい女を囲ってるって結衣さんから聞いて、小町心配だなーってずっと思ってたんですよ。あ、今の小町的にポイント高い」

八幡「新しい女て……」

64: 2013/11/24(日) 17:54:44.44 ID:7M3m1rHAO
結衣「事実じゃん。告白されてデレデレしてさぁ。ほんと信じらんない!ヒッキーのバカ」

八幡「いや新しい女ってなんだよ。昔の女どこだよ、戸塚か?戸塚なのか?」

結衣「へ?いや、あたしとかゆきのんとか……///……ってヒッキーの変態!ありえないし!」

意味わかんねー

雪乃「…………」

なぜそこで黙る雪ノ下。
ここは饒舌に反論するとこだぞ。

鶴見留美と再会してから何かがおかしい。

俺を取り巻く環境も微妙に変わってきている気がする。

奉仕部内での自爆テロのような告白から、由比ヶ浜と雪ノ下の態度が少し変だ。

敏感な俺は何となく察するものの、自意識過剰乙と笑われるのがオチなので黙っていた。

65: 2013/11/24(日) 17:57:30.74 ID:7M3m1rHAO
こいつら俺のこと好きなんじゃね?なんて思ってなんかやらないぞっ。

ああっ、考えないようにしてたのに!

いちご「八幡!」

あおい「結衣ちゃん!」

蘭「よっ」

今日の主役である3人が現れた。
ただ今の時刻午前9時。


こんな早くにどこ行くのディスティニーなの?

66: 2013/11/24(日) 17:58:36.64 ID:7M3m1rHAO
別府「グゥゥンモーニン!ハニーたち!イェアァァ!」

なにこれ……
ジョニー別府先生と名乗る不審者がクネクネとリズムを取る。

テンション高えよ。
デップ様に訴えられても知らんぞ。

別府「ショータイムだハニーたち!今日はスター宮たちが連れてきたゲストが臨時ラン[ピザ]ーするぞ!Yeah!!!」

そう、なぜか休日なのにスターライト学園に体験入学させられた俺たち。

突然予定ねじ込むとかトップアイドルの力すげぇ。

目の前には数人の生徒。


めっちゃガン見されてますよ俺たち。

67: 2013/11/24(日) 17:59:33.61 ID:7M3m1rHAO
雪乃「ゆ、雪ノ下雪乃です。皆さんよろしく」

状況そのものに戸惑い気味の雪ノ下。

結衣「由比ヶ浜結衣です」

一応カースト上位なだけあっていつも通りの由比ヶ浜。

小町「比企谷小町です!よろしくお願いしまーす」

これまた普段通りの小町。

そして俺は


八幡「比企谷八幡です」


ざわ……ざわ……

いや言わなくてもわかってるよ。

だって男子俺だけだもんね。これあかんでしょ。通報しないで!

68: 2013/11/24(日) 18:03:28.67 ID:7M3m1rHAO
別府「緊張しなくていいハニー&ボーイ。ここにいるのはスター宮の仲間でありフレンドたちだ」

ユリカ「よろしく。藤堂ユリカよ。やる気のない子は血を吸うわよ!覚悟なさい」

なにこの子
かんぺーかよ

血吸うたろかー

かえで「ハロー!一ノ瀬かえでだよ。YES!かえで寿司!」

またか
いきなりなんだこの女。ステマか?ステマって奴なのか?
寿司食いねぇ~

いちご「かえでちゃんは帰国子女でかえで寿司の娘さんなんだよ」

普通に宣伝だった!

かえで「ワオ!小町ちゃんベリーキュート!」

小町「あ……ありがとうございます」

小町ちょっと引いてんじゃねーか

69: 2013/11/24(日) 18:05:07.60 ID:7M3m1rHAO
さくら「北大路さくらと申します。皆様御見知り置きを」

あおい「さくらちゃんは歌舞伎役者の家系でね、興奮すると北大路劇場という一人舞台が始まるから気をつけて」

なにそれ怖い

おとめ「おとめはおとめなのです!らぶゆ~なのですよ」

蘭「彼女は有栖川おとめ。さくらや今ここにはいないが神谷しおんって子と3人で、ぽわぽわプリリンというユニットを組んでいる」

本物きたー。小町!お兄ちゃんぽわプリに会ったぞ!

セイラ「音城セイラ、ここの生徒じゃないがよろしく」

小町「マジカルタイム聴きました!よかったですよー」

セイラ「おっ、ありがとな」

結衣「本物の音城セイラちゃんだー」

セイラ「よろしくな!……残念だ。きいも来ればよかったのに」

70: 2013/11/24(日) 18:06:23.34 ID:7M3m1rHAO
別府「一通り紹介が済んだところでハニーたち、セイラハニーも、一日限定とはいえニューハニーたちの指導を頼むぞ。これは自分たちのレッスンにも繋がるからな」

「「はい」」

別府「今日はダンスレッスンとボイスレッスンの基礎をやってもらう」


それから地獄のような時間は過ぎ、アイドルを目指したわけでもない俺たちは

あおい「雪ノ下さん歌上手い!アイドル目指しちゃおうよ!」

蘭「結衣も小町も上手いな」

なぜかアイドル学園に勧誘されていた。

さくら「比企谷様もお上手でした」

さくらちゃんマジ天使。

71: 2013/11/24(日) 18:07:31.24 ID:7M3m1rHAO
成り行きで山中を遭難したり、富士山を登ったり、船が沈没したり、ヘリから降下したり、ワイヤーアクションを経験することになったわけだが、詳細を語る気力は尽きてしまった。

ハーレムタイム終了

どういった訳か休日にハードな時間を過ごしてしまった俺たちは、帰宅時にはすっかり疲れきっていた。


72: 2013/11/24(日) 18:08:23.66 ID:7M3m1rHAO
結衣「ねぇ……ヒッキー……。ヒッキーはさあ、遊びに誘われたわけだよね?」

八幡「ああ」

結衣「ありえなくない?超疲れたんですけど……」

雪乃「一仕事したような気分ね。実際一仕事したわけなのだけれど……はぁ……」

小町「小町もうヘトヘトだよ……。いちごさんや蘭さんたちとも全然話せなかったよ……」

八幡「こりゃ明日は筋肉痛だな……」

ヘロヘロの4人。

結局、仲間アイドルを紹介され、満身創痍にされただけで休日は終わりを迎えた。

73: 2013/11/24(日) 18:11:23.79 ID:7M3m1rHAO
本日の収穫はアドレス帳が増えたこと。

満面の笑みで「また来週」と告げた星宮……鶴見留美の顔がフラッシュバックする。

もう休んでもいいよね……?

パトラッシュ(カマクラ)

スターライト学園には二度と行かないと誓う俺。

アイドルカツドウなんてこりごりだよ。


第2話:やはり俺たちの楽しい休日は全てがまちがっている


とはいかなかった……

74: 2013/11/24(日) 18:12:26.14 ID:7M3m1rHAO
そして次の日曜日。

頑張ってね~と投げやりな返事で送り出す由比ヶ浜と、「あなたも物好きね……」と憐れみの視線を金曜に雪ノ下から頂戴して待ち合わせ場所にやってきた。

いちご「八幡!」

蘭「よっす」

あおい「今日は一人みたいね」

時間通り悪魔たちがやってきた。

八幡「よう」

いちご「じゃあ喫茶店でも行こっか」

蘭「変装もしてることだし普通にサイゼでよくないか?」

あおい「おっ、いいね~」

は?

75: 2013/11/24(日) 18:14:04.26 ID:7M3m1rHAO
いちご「ほら行くよ、八幡」右腕ダキッ

蘭「なーにしてんだ。置いていくぞ?」左腕ダキッ

八幡「……体験入学は?」

いちご「なにそれ?変な八幡」

なに言ってんのこいつ?みたいな表情をされたんですが……

謀ったな!とか言えばいいのか?

76: 2013/11/24(日) 18:17:00.20 ID:7M3m1rHAO
確信はないが、ルミルミにとって雪ノ下たちは邪魔な存在だったのだろう。

先週のはただの布石。

そう考えれば辻褄が合ってしまう。
いや、彼女たちにそんな思惑などないのだろう。
しかし、なんでも最初に疑うのが俺だ。

敢えて俺と絡もうともしなかったのは、放置プレイで仲間に託したのは、

この状況を作り出すため

2週連続比企谷くんご愁傷様ムードで邪魔な二人を切り離すため

そんなことを考えてしまう俺は、やはり自意識過剰になってしまったのだろうか?

ルミルミからの告白を思い出す。

77: 2013/11/24(日) 18:19:48.90 ID:7M3m1rHAO
他にも考えられる理由はある。

いつぞやの肝だめし

俺が……俺たちがルミルミを怖がらせたのは事実だ。

これはきっと、彼女なりの意趣返しのつもりではないだろうか。

これでチャラ。差し引き0。

同時に、体験入学を実現させるという、今彼女が持てる力の一部を見せつけることで、あの頃の自分との決別を示したのだ。
もう大丈夫と。

自分は変わったのだと。

これは気のせいではないように思う。

果たして考えすぎなのだろうか?

答えは出ないまま
俺たちはサイゼに向かった。

第2話:これから俺の強制的青春ラブコメがはじまる



90: 2013/11/25(月) 20:44:21.68 ID:AHAWKr3AO
いちご「八幡、あ~んして」

八幡「えー……」

いちご「あ~ん!だってば」

蘭「はいこっちも、あ~ん」

あおい「二股とは穏やかじゃないわね。この幸せ者~」

蘭「いちごには悪いけど、私もなんとなく気にいってるんだ」ツンツン

ほっぺツンツンするのやめて。
勘違いしちゃうから!

この三人に会ってからというもの、俺のぼっちライフが狂いっぱなしである。

ぼっちは悪意に敏感だ。過敏ですらある。
逆に好意を感じることも、向けられることも少ない。

なので、こうもストレートに好意を向けてくるルミルミや蘭に胸はとってもキュアハート。
なに言ってんだ俺。

91: 2013/11/25(月) 20:47:41.99 ID:AHAWKr3AO
あおい「修羅場ね。いいわ。いちごは絶対渡さないわよ!」ダキッ

いちご「え……ちょっ……あおい~」

蘭「はい、いちご脱落。八幡は私と関節キスしような?」

八幡「す……好きです……付き合ってくださいっ」

やべっ……咄嗟になんか口から出ちゃったんだけれども

比企谷くん、あなた何を言っているか理解できているのかしら?

ここにはいない雪ノ下ですら俺の脳内ジャックで絶好調だ。

蘭「えっ///は、はいっ?」

八幡「あ、いや……その」

氏にたい。

いちご「……八幡のばか」

ですよねー。
稀に発症するぼっち病みたいなもんです。ぼっちに噛まれたと思って忘れてくださいなんて。

言えねぇ……
調子狂いっぱなし。

突き放すなんて簡単なんだがな。
それがぼっち道。

92: 2013/11/25(月) 20:48:58.04 ID:AHAWKr3AO
蘭「私も……なんか八幡のこといいなって……。……でもごめん。いちごからは奪えないよ……」

八幡「ですよねー……ははは……」

蘭「だからさ、いちごの許可を先に取ってくれないか?二股でも、いちごとならいいからさ」

やっぱりちょっとクレイジーだと思うこの人たち。

蘭「親友と同じ相手を好きになるってシチュエーション、身を引く私……引き留める八幡……うん、悪くないな」

いちご「普通に悪いし!どうして好きな人を親友に寝取られなきゃいけないの!?」

寝・取られではありません。

俺とルミルミ付き合ってないし
そもそもルミルミと寝てないし

なんて詭弁

ルミルミ→俺?
俺→←蘭

うん、寝取られじゃない。

93: 2013/11/25(月) 20:50:42.84 ID:AHAWKr3AO
八幡「……」キーン
あれ……なんか目眩が……
貧血か?

あおい「そこに私が参戦とかしちゃったりして。私といちごと蘭で八幡を奪い合い!そして三人は結ばれ、八幡は去る」

鬼か

いちご「それはない」
蘭「ないな」

雪ノ下「ないわね」

きゃああああああ

結衣「やっはろー!ヒッキー!いやあ、偶然だねぇ」

八幡「白々しいぞ、由比ヶ浜」

雪乃「てっきりスターライト学園でボロボロにされているものだと思っていたのだけれど、比企谷くん」

雪乃「奇遇ね?」ニコッ

八幡「ああ、ほんとうに“奇遇”だな。それで?二人揃ってどうかしたか?俺は見ての通り今歓談中でな」

結衣「デートしてるんだ?」

八幡「まあ、俺が休日に何をしようとお前たちには関係ないはずだが?」

雪乃「自意識過剰ね。私と由比ヶ浜さんは“偶然”サイゼリヤに食事にきただけよ。休日なのだから、私がどう過ごそうと比企谷くんには関係ないわね」

八幡「ああ」

94: 2013/11/25(月) 20:52:20.34 ID:AHAWKr3AO
雪乃「私たちは隣の席にいるから、比企谷くんたちは引き続き、お好きな様に盛り上がってくれて構わないのよ?」

いちご「待って下さい!……雪ノ下さんは八幡のことが好きなんですよね?」

雪乃「それが何か?」ニコッ

八幡「なっ……」

驚くほどあっさりと、あのプライドの高い雪ノ下雪乃が、俺を好きだと告げた。

掌返しをするように。

結衣「あたしもヒッキーのこと大好きだから!」

いちご「っ……!」

蘭「強敵が現れたな……」

急転直下の事態。
4人の少女からの告白。

あおい「そんな……」

あおい「穏やかじゃないわね、私だけ蚊帳の外なんて」

そっちかよ

96: 2013/11/25(月) 20:57:42.51 ID:AHAWKr3AO
雪乃「認めざるを得なかった。ここ数日間のドス黒い感情を。これが嫉妬なのだと、初めて理解したわ。同時に比企谷くんへの恋を…………知ってしまった……はぁ……困ったものね」

雪乃「自分が不器用なのは十分承知しているわ。だって……夢を見たのよ」

雪乃「このままきっと、永遠にすれ違うの……私たち」

雪乃「いつの日か……大人になった私が、『あの頃に戻りたい』と……比企谷くんと過ごした日々を想うのよ……。現実は残酷なものね」

雪乃「稚拙だった私の対抗心……いえ虚栄心かしら……正確には異なるのだけれど、私のちっぽけなプライドがあなたを認めなかった」

『……ならなくていいだろ。そのままで』

雪乃「姉の呪縛を解いたのは、きっとあなたなのに」

雪乃「目が醒めたら、あなたはいない。私は独り……そしてまた目覚めるの。きっと心の奥底では気づいていたわ……」

雪乃「もし、私が『変われる』機会があるとするならば、それは今しかない。この時、この瞬間、あなたの隣にしかないのよ。

雪乃「……なので」


97: 2013/11/25(月) 20:58:57.62 ID:AHAWKr3AO




雪乃「生涯、私と共に歩いてくれませんか?」




98: 2013/11/25(月) 21:00:24.48 ID:AHAWKr3AO
色々すっ飛ばしてプロポーズなんて、雪ノ下らしいな、と
そんなことを思った。

八幡「ありがとう、雪ノ下。お前に会えてよかった」

気付くと俺は泣いていた。

理由なんてどうでもいい。

そんな俺を誰も笑わない。

雪ノ下の言葉が胸に届く。
微塵も疑うことはなかった。
信頼。そうか……

そして俺は気付くのだ。

こいつが好きだ。

結衣「ゆきのんばっかじゃズルいよ」

八幡「ああ……そうだな。その通りだ」

雪ノ下の決意を見た。

雪ノ下の覚悟を知った。

俺は一度だけ逃げるのをやめた。
言葉を飾らず、捻くれもせず。

4人と対峙する。

トラウマにだって立ち向かおう。

それが一応男である自分の礼儀だ。

こんな素晴らしい女性が好きと言った男が、無価値な嫌われ者だなんて思いたくはないから。

自分のことはどうでもいい。
しかしこれ以上の卑下はできそうにない。

それは雪ノ下への冒涜だ。

99: 2013/11/25(月) 21:01:56.91 ID:AHAWKr3AO
結衣「ヒッキーが告白されてさ、しかも相手はアイドルじゃん?あたしじゃ敵わないよ……。取られちゃうって思ったら気が気じゃなかった。諦めようとも思ったよ?でもさ、目を逸らせない……逃げたくないって思っちゃったんだ」

結衣「ヒッキーなら大丈夫。捻くれてるからって。斜め下の解決法で、きっと全員振っちゃうの。あたしから見たヒッキーは難攻不落なんだもん。自分に言い訳してでもあたしたちを突き放すよ。ヒッキー、優しいしね」

結衣「でも、絶対なんてないじゃん……。不安だよ……。あたしはヒッキーを信じきれなかったんだ……」

結衣「あたしはゆきのんが大好き。同じ人を好きになった、いつも独りだったヒッキーを好きだと言ってくれる優しいゆきのんが。だから、どんな結果になっても、一生友達だよ?」

雪乃「ええ、誓うわ。由比ヶ……結衣は大切な親友だもの」

結衣「えへへ……ありがと。あたしさ、バカだからさ。きっと何があってもゆきのんを憎めない。二人といるのが大好き。ヒッキーは好きだけど、でも今は違うんだ。ヒッキーだけじゃなくて二人が好きなの」ニコッ

100: 2013/11/25(月) 21:05:33.45 ID:AHAWKr3AO






結衣「だから、あたしは前に進むよ」






101: 2013/11/25(月) 21:06:23.30 ID:AHAWKr3AO
結衣「あたしが言えるのはあと一言だけ。でもこの気持ちに嘘も間違いもないと誓える」

結衣「あたしは八幡が好き!比企谷八幡が大好き!!奉仕部は永遠だよ!!!」

それは一言じゃないよ……
ありがとう、由比ヶ浜

102: 2013/11/25(月) 21:07:37.80 ID:AHAWKr3AO
八幡「……俺は人間としてのお前が大好きだ、由比ヶ浜。優しくて気遣いができて、何より俺みたいな奴を好きだと言ってくれる。本当は気づいてたさ。ぼっち舐めんな……。弱かったのは俺だ……。誰に嫌われたっていい。だがお前と雪ノ下だけには嫌われたくなかった……。勘違いだったらどうしよう、三人の関係が崩れたら……俺がどんなに孤立しても、お前と雪ノ下は見捨てなかった……。それがありがたかった。だからこそ、変わることを恐れたんだ。俺はさ、どこかでお前たちに甘えたんだな、きっと」

結衣「そんなことない。ヒッキーは守ろうとしたよ?私たちの居場所」

八幡「ビXチなんて言って悪かった。お前はかけがえのない、優しい女の子だよ。ずっと共にありたいとも思う」

結衣「うん……」

103: 2013/11/25(月) 21:08:41.03 ID:AHAWKr3AO
八幡「だから、ごめん。俺の気持ちに嘘はつけないから」

お前に嘘はつきたくないから

結衣「……うん。……知ってた。頑張って……ヒッキー」

もう名前で呼ぶことはない。

八幡「雪ノ下雪乃さん」

雪乃「なにかしら?」

八幡「愛しています。俺と……」

雪乃「ええ、付き合いましょう」

『ごめんなさい、それは無理』

リフレインする。

その先を言わせない。

友達は無理
お願いしてなるようなものじゃないから。

でも、恋人にはなれる。

104: 2013/11/25(月) 21:09:28.98 ID:AHAWKr3AO
よく、恋愛とは告白した者の負けというが、きっと雪ノ下は俺を勝たせたのだ。

自分が先に告白したのだから、あなたはただイエスかノーで答えなさい。
こんな上から目線で。
雪ノ下らしい。
気持ちを告げた時点で、永遠の負けを認めたのかもしれない。

それが負けず嫌いのプライド。

105: 2013/11/25(月) 21:12:47.98 ID:AHAWKr3AO
いちご「…………」

蘭「いちご、あんたの負けだ。最初から勝ち目なんてなかったのさ」

あおい「こんなこっ恥ずかしい青春ラブコメ見せられたらね」

いちご「……八幡」

八幡「……悪い」

いちご「……謝らないで」

いちご「好きなんでしょ?その女のこと」

八幡「ああ」

いちご「……ならいい」

蘭「幸せにな」

いちご「帰ろう。あおい、蘭」

あおい「今夜は無礼講ってね」

蘭「ああ、そうだな」

いちご「八幡、私を振ったこと……必ず後悔させてやるんだから!」

八幡「期待してる」

いちご「もう……なんか締まらないな……」

106: 2013/11/25(月) 21:14:12.54 ID:AHAWKr3AO
いちご「私はもう、一生誰かを好きになったりしない。誰もが羨む最高アイドルとして生きるよ。孤高の華だ」

八幡「なれるさ、お前なら。でも恋愛はしたほうがいいぞ?」

いちご「いいよもう。なんか懲りた。私にはあおいと蘭もいるし」

蘭「えっ?私たちも付き合うのか!?」

あおい「当然でしょ!私たち3人揃えば無敵なんだから!」

八幡「やっぱお前ルミルミだわ」

いちご「そ……」

八幡「ああ、間違いなくな」

いちご「ふふっ」

結衣「あたしはまだ諦めないけどね!ヒッキーあたしのこと人間として好きだって、共にありたいって言ってくれたし!」

雪乃「話が違うわよ、由比ヶ浜さん」

結衣「名前戻った!?」

雪乃「あれはちょっとその……恥ずかしいのだけれど」

107: 2013/11/25(月) 21:15:37.77 ID:AHAWKr3AO
結衣「いちごちゃん、あおい、蘭の3人が無敵のアイドルなら、あたしたち3人は無敵の親友だね!」ドヤァ

雪乃「比企……八幡は親友ではなくて恋人、なのだけれど」

結衣「じゃあさじゃあさ!あたしの恋人でもある、みたいな?えへへ~こういうのなんて言うの、そうあれだ!ペアリングだよ!ゆきのん」

雪乃「……もしかしてなのだけれど、それはシェアリングと言いたいのかしら?」

結衣「そうそれだ!ヒッキー!今からヒッキーはあたしとゆきのんでシェアリングするから」

雪乃「頭痛が……」


八幡「由比ヶ浜…ちょ、待てよ~」

どこのキム〇クだ。


やはり俺の青春ラブコメは

ある日唐突に終わりを迎える――

番外編
素直で綺麗な雪ノ下さんとガハマさんエンド
了????

108: 2013/11/25(月) 21:17:14.85 ID:AHAWKr3AO
いちご「私の熱いアイドル活動」

いちご「アイカツ!始まるよ!うふふ」

雪乃「始まったわね、鶴見さんをモデルにした番組が」

八幡「ああ」

雪乃「このアニメの中では金髪なのね、星宮いちごさん」

八幡「こんな陽気なキャラじゃないけどな。あざといわルミルミ」

結衣「蘭もあおいも可愛い~。『穏やかじゃないわね』ってアニメでも言ってるんだぁ」

雪乃「あれはもう口癖のようなものだもの」

八幡「蘭ちゃん可愛ぇぇぇ」

結衣「ぅぅ……ヒッキー」ギロッ

雪乃「八幡」ギロッ

八幡「う……浮気じゃないぞ?」

雪乃「そうよね、八幡には可愛い恋人が二人もいるのだもの。浮気などできるはずがないわよね」

結衣「男子がヒッキーのこと超恨んでたよ?女子も引くレベル」

109: 2013/11/25(月) 21:19:07.19 ID:AHAWKr3AO
雪乃「気にする必要はないのよ?どんな時でも、あなたの傍には私たちが在るのだもの」

結衣「離れちゃ嫌だよ?大好きヒッキー」

雪乃「あら、私のほうが八幡を満足させられているわけなのだけれど」

結衣「あたしだってヒッキー満足してくれてるし!……特に胸とか」

雪乃「む……胸など飾りに過ぎないわ……大切なのは気持ち、内面なのではなくて?」


八幡「……勘弁してください」

俺はもう、奉仕部へ足を踏み入れたあのときから

ぼっちは卒業していたのかもしれない

変わらず今日も紅茶の香りが辺りを包む。

いつまでもこんな日々が続けばいいと思いながら

これが夢ではないことを祈った。

110: 2013/11/25(月) 21:20:08.02 ID:AHAWKr3AO
結論は必要ない。

一つ言えることは


平塚先生、早く結婚できるといいですね



了??

雪乃&結衣番外編?
まさか俺の青春ラブコメがハーレムエンドを迎えるなんて


結衣「アイカツは毎週木曜夕方6時から放送中だよ!」


ザ―――――――

ノイズの音

世界が歪む

??「機能停止。正常に動作を確認」

??「罪悪感が凄いですね、学園長」

……………………

「…ちまん……!」

111: 2013/11/25(月) 21:23:07.92 ID:AHAWKr3AO
いちご「八幡!八幡ってば!」

八幡「……あれ?」

ここは?
意識が浮上する。
見慣れた場所、サイゼだ。

記憶が混濁する。
直前に見ていたのはそうだ、雪ノ下や由比ヶ浜と恋人になった夢。

はは……ありえないって……

俺の知る雪ノ下は……あんな素直な奴じゃない。

112: 2013/11/25(月) 21:23:54.55 ID:AHAWKr3AO
残酷な夢が夢で夢になるんだ
ほら挑戦待ってるよ
君と向かう場所はどこだろう?
眩しい希望の中へ
望む場所はどこだろう
探しに行こうよ出発だ

店内BGMによって意識はすっかり覚醒した。

なんだよ
残酷な夢が夢で夢になるって

ルミルミたちの歌

明るい曲のはずなのに気分は沈んでいく。

俺もあんな未来を望んでたりするのかね?

バカバカしい。

113: 2013/11/25(月) 21:24:47.57 ID:AHAWKr3AO
八幡「……帰るわ」

伝票を掴む。金額を確認することもないままレジへ向かった。

いちご「待って八幡!」

蘭「どうしたんだよ?八幡」

八幡「夢を見てたらしい。そんなんあるはずないのにな……」

最近俺はどうかしていた。

いちご「意味わかんな……」

八幡「付き合うのはこれで最後だ。じゃあな」

いちご「待ってよ!」

蘭「おい!なんなんだよ!」

あおい「……いちご、蘭」

首を横に振るあおい。

あおい「なにか事情があるんだよ。彼の目……ただ事じゃなかった」

いちご「でもっ!」

あおい「いいからやめときなさい」

あおい「今はダメだよ……きっと」

114: 2013/11/25(月) 21:25:54.43 ID:AHAWKr3AO
変わらないものはない。
知りたくなかった現実。

雪ノ下や由比ヶ浜との未来は、容赦なく俺の心を貫く弾丸のようで。

幻と消えた日々を振り返り、残酷な今を嘆く。

八幡「残酷な夢が夢で夢になる……か」

自覚してしまった。二人への想い。

いつかこの悪夢が俺の夢に変わる日が来るのかもしれない。

八幡「……らしくない」


第三話:そして彼は普段の自分を取り戻す。


115: 2013/11/25(月) 21:30:00.93 ID:AHAWKr3AO
嘘ハッピーエンドでしたっと

116: 2013/11/25(月) 21:32:32.71 ID:ztLbYiZ10

117: 2013/11/26(火) 00:22:03.59 ID:MMwA8KEno
お疲れ様でした

118: 2013/11/26(火) 18:26:33.80 ID:oPZrUUs8o
嘘ハッピーエンドでよかった

119: 2013/11/26(火) 18:28:53.42 ID:oPZrUUs8o
雪乃&結衣エンドが嘘でよかった

120: 2013/11/26(火) 18:46:52.68 ID:OSmpI8GOo
焦った、自由に書いては欲しいけど、これだと流石にアイカツ要素がいらなすぎる展開にオモタ

引用元: 八幡「星宮いちご?」いちご「久しぶりだね、八幡」