1: ◆GPcj7MxBSM 2013/07/07(日) 14:30:50.58 ID:y8Htynep0
プリベット通り四番地

ハニー「……それは、そうね」

ハニー「この私、ハニー・ポッターが」

ハニー「高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的なのは、疑いようもない事実でしょうけれど」

ハニー「……」

『親愛なるハニー
 夏休みを楽しく過ごしておるかね
 わしは波乱万丈すぎて日焼けで右腕が萎びてしまうほどじゃよ、マジでマジで
 君の都合さえよければ、金曜の午後に君を向かえに行こうと思う
 そのままウィーズリー家のもとへランデブーとしゃれ込もうかの
 それでは、金曜に。信頼を込めて
 君のプリンス、アルバス・パーシなんちゃら・ダンブルドアより』

ハニー「……夏休み二週目、こんなに短い間ここにいるだけですむなんて、話が出来すぎてるわ」

ハニー「それは、この私だもの。全てがうまくいくのは当然のことなのだけれど」

ハニー「……そこじゃないわね。まったくこの人、豚は、言うに事欠いて自分で……」



ハニー「……プリンス、だなんて。なんなのかしら」

ダンブルドア「ほっほ、君にとってのプリンスは一人だけじゃ、そういうことかの」

ハニー「そんなのじゃ……!?こ、この意地悪豚!いつからそこに!?」

ダンブルドア「君の影にいつでもおるのが豚の役目なのじゃろう?ヒンヒン!」

ハニー「見上げた志だけれど、声くらいかけなさい!だから、いつから……」

ダンブルドア「君がわしが本当に来るのか来ないのか不安で窓の外を見やったり、やっぱりわしの冗談だったのではと思い悩んだり、期待して荷造りするのが無駄になってはいかんとトランクを開けたり閉めたりしたあたりから――」

ハニー「何、時間、前よっ!!!~~~っ、相変わらずねまったく!この豚!!!」

コンコンッ!!ガチャッ!!

ダドリー「ヒンヒン!!」

ハニー「呼んでないわ、ダドリー!」

バーノン「そうでなくとも何事だ小娘!こんな夜更けに……!?だ、誰だ、お前は!」

ダンブルドア「こんばんわ、ミスター・バーノン。わしじゃよっ」

バーノン「……いや、だから誰だ!?」

ダンブルドア「……これで通じんかったのは始めてじゃ。ダンブルドアじゃよ、名前くらい……」

バーノン「いや、だから、誰だ!?!?!?」

ダンブルドア「……わしってなんじゃっけ」

ハニー「私の豚でしょう?」

ダドリー「ヒンヒン!ヒーーーーン!!」


2: 2013/07/07(日) 14:32:08.35 ID:y8Htynep0

13: 2013/07/07(日) 14:46:46.66 ID:y8Htynep0
バーノン「……小娘のキチOイ学校のキチOイ校長が、我が家になんのようだ!?」

ダンブルドア「話が早いのか遅いのか……ふむ?対応を見受ける限り、ハニー。君は、わしが今夜ここを訪れることは?」

ハニー「……忘れていたけれど、それでもいきなり部屋の中に現れることなんて想定しないわよ」

ダンブルドア「ほっほ、こりゃ一本とられたのう」

ハニー「何億本あるのか考えたくもないわ……この豚、あー、この人は私の客よ。心配しないで、あなたたちに迷惑かけずに、すぐに出発するから――」

ダドリー「!? ヒン、ヒンヒーーーン!」

ハニー「えぇ、ダドリー。言いそびれて悪かったわ。明日からは朝の日課に背中を踏みつけられるのがなくなるなんて、あなたにとっては氏活問題ね?」

バーノン「わしとしては毎朝怒鳴らなくてすむから朗報だがな!そうか!それじゃさっさと行ってしまえ!」

ダンブルドア「そうもいかんのじゃ、ハニー。それにミスター・ダーズリー。少し話がありましての」

バーノン「わしには頭のおかしい連中の頭目と話をするような趣味などない!」

ダンブルドア「……ハニー、ちょっと黙らせていいかね?」

ハニー「気持ちはわかるけれど堪えなさい。おじさん、この人はどこででも自由に魔法使えるわよ」

バーノン「……それならさっさとわしの前から消えてしまえばいいものの」

ダンブルドア「そうしましょうぞ、話が済んでから。さぁ、わしが居間に案内されて美味しい紅茶が用意されることにしましょうかの?あと、ゆったりした肘掛椅子と、美味しいレモン・キャンデーもあれば万々歳じゃ」

20: 2013/07/07(日) 14:58:42.94 ID:y8Htynep0
居間

ダンブルドア「これはこれは、ペチュニアとお見受けする。手紙をやりとりしましたのう」

ペチュニア「」

ハニー「……あなたからの一方的な『吼えメール』をやり取りと呼ぶのなら、ね」

ダンブルドア「いやいや、それだけではないのじゃ。それはもう、ペチュニアとわしはマブダチレベルで昔――」

ペチュニア「黙って!!!」

ダンブルドア「おぉ、びっくりした、バンシーかと思った……ほう、なんと片付けられた居間じゃろう。トンクスが綺麗すぎて落ち着かないと言っておったはずじゃ、うむ」

ハニー「さりげなくトンクスにダメだしするのはやめなさい」

ダンブルドア「いじりというやつじゃて。さぁ、ダーズリー家のみなさん。おかけくだされ。そう長くなる話ではないが、立ったままする話でもないですからのう」

バーノン「……自分の家のように振舞うのはよしてもらおうか!ここはわしの家だ!」

ダンブルドア「じゃぁさっさと座って威厳でも発揮すればどうかね」

バーノン「……ふんっ!」ドカッ

ぺチュニア「……」 ストッ

ダドリー「ヒンヒン!!」

ハニー「えぇ、そうねダドリー。あなたは私の椅子、よくわかってるじゃない。出来る豚さんは好きよ?」フーッ

ダドリー「ヒンヒーーーン!」

バーノン「ダーーードリーーーーー!!!」

ダンブルドア「流石ダの字を持つ同胞じゃの、うむうむ」

ハニー「勝手な伝統にしないで頂戴」

24: 2013/07/07(日) 15:08:24.56 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「さて、そうなるとわしに椅子がなくなるのう……空気椅子かね?うん?アルバスそういう無茶ブリ全力投球して申し訳ない気持ちにさせることをモットーにしておるよ?」

ハニー「さっさと出すもの出して落ち着きなさい。話を進めなさいさっさと」

ダンブルドア「失礼、ハニー。待たせたようじゃの。どれ。椅子よー、でてこーい!」

ポンッ!

ハニー「いつの間に杖握って……あなた、その右腕」

ダンブルドア「ほっほ、言ったじゃろハニー。日焼けじゃ日焼け。この夏アルバス百有余にしてイメチェンしてみたのじゃ、まずは右腕からのう」

ハニー「どういう配分よ……そうじゃなくて、日焼けなんてレベルじゃないじゃない!まるで、ミイラみたいに――」

ダンブルドア「後にしておくれ、ハニー。さて、ダーズリーのみなさん。わしとハニーは間もなくここから立ち去るが、ニ、三ネイプほど確認しておかねばならんことがあるのじゃ」

ハニー「……まだ引きずるのねその数え方」

バーノン「なんだ!?今更小娘の学費のことなんぞ知らんぞ!そやつは折角用意しとったタレント学校の準備を蹴りおったのだからな!」

ダンブルドア「そうではない。まぁ、多少は金が関係するがの。ハニー、豚団のことなのじゃが」

ハニー「私のかわいい豚団、ね」

バーノン「悪夢のような単語だな」

26: 2013/07/07(日) 15:23:00.40 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「一週間前、シリウスの遺言状が見つかったのじゃ」

ハニー「……シリウスの」

ダンブルドア「そうじゃ。分厚くてのう、彼の部屋に入ったらすぐわかった。むしろそれまで気づかんかった意味がよくわからん。君はブラック家の屋敷、そして全財産を所有することとなった」

バーノン「小娘!屋敷の改装に穴あけドリルなんてどうだ!?え!?安くしとくぞ!?いやさせてください!」

ハニー「清清しいまでの変わり身ねこの豚以下……待って。その話をするとまるで、シリウスが氏んだみたいじゃない!眠ってるだけで――」

ダンブルドア「落ち着いて聞いてほしいのじゃが、ハニー。シリウスが有しておった権利そのものは、そう、シリウスが管理できなくなった時点で遺言状の通りにすることが正しいだろう、という見方をした。あまり深く聞かんでおくれ、わし変な汗でるから」

ハニー「……まぁ、いいわ。それで?言い切らない理由はなんなのかしら」

ダンブルドア「そう、正しいじゃろう、ここが問題での。グリモールドプレイス十二番地を本部として活用していた豚団なのじゃが、シリウスから所有権が移った場合、保護魔法その他も打ち消されるのでは、とのう」

ハニー「……私がブラック家の、少なくとも直系ではない、から?」

ダンブルドア「そうじゃ。ほっほ、今はの」

ハニー「……ニヤニヤしない。言いたいことは、わかったわ。それじゃ、確認をしにあそこまで……?」

ダンブルドア「いやいや、もっと簡単な方法があるのじゃ。そーれ、でてこい!」

バチンッ! ドサッ!

ハニー「!? いきなり杖振って、なに……く、クリーチャー!?」

クリーチャー「クリーチャーはしない!しない!しない!!」

ペチュニア「キャァアアアアア!?」

バーノン「!? な、なんだこいつは!なんなんだこの汚らしい、い、生き物!?生き物か!?」

ダドリー「ヒンヒーーーーン!!」

ハニー「……咄嗟に盾になったのは褒めてあげるわ、ダドリー。でもいいわよ、こいつは――近づけるなら、一発お見舞いしてやろうと思っていたんだもの」

ダンブルドア「どうどうじゃ、ハニー」

ダドリー「試し打ちに僕の腹なんてどうだい?」

バーノン「こ、こいつ、久しぶりに喋ったと思ったら!!」

29: 2013/07/07(日) 15:36:15.79 ID:y8Htynep0
クリーチャー「クリーチャーはしない!しない!しない!」

ダンブルドア「あー、見てのとおりじゃ、ハニー」

クリーチャー「クリーチャーはしない!しないぞ!するもんか!ふざけるな!クリーチャーはミス・ベラトリックス様のもの!ポッターなんかに仕えたりしない!しない!!」

ハニー「……こっちだって御免だわ」

ダンブルドア「そう言わないでくれんかのう……聞いたとおり、こやつはベラトリックスこそが真の主人だと思いこんでおる。このまま野放しにすれば、今度こそ騎士団の情報をあちらにマルっと渡すことになるやもしれんフォイ」

クリーチャー「クリーチャーはしない!しない!クリーチャー・ドント・する!絶対にするもんか!」

ハニー「どうしろって言うのよ」

ダンブルドア「まずは試してくれんかの。君が真にシリウスの遺言通りの権利を受け取ったならば、クリーチャーは君からの命令に従うはずじゃ」

クリーチャー「ほざけ長髭!ベルトに挟むのカッコイイとでも思ってんのか!いてーしくせぇ!!加齢臭で臭ぇんだよ!」

ダンブルドア「…………まぁ、わしがちょっとふにゃっとすればわしの命令も聞くじゃろうが」

ハニー「落ち着きなさいよ……仕方がないわね。クリーチャー……?」

クリーチャー「しない!しない!しない!!!クリーチャーはあのぼんくらの親友の娘なんかに絶対に絶対に従わ……」


ハニー「魔法界じゃ暖炉を移動手段に使うけれど、煙突飛行粉も入れずに頭からおもいっきり突っ込んだら、どうなるのかしら」

31: 2013/07/07(日) 15:49:35.92 ID:y8Htynep0
クリーチャー「」ダクダクダクダクダク

バーノン「暖炉ぉーーーーーー!!!」

ペチュニア「変な生き物の血で絨毯がぁーーー!!!」

ダンブルドア「ものすごい音がしたのう……おぉ、タンコブがクリーチャーの頭ほどになっておる」

ダドリー「……ヒンヒン……?」

ハニー「いいえ、これは私の豚じゃないわ、ダドリー……私、いやよ。これを自分の傍に置くなんて」

ダンブルドア「そう言うじゃろうと思ってのう。ホグワーツの厨房で働かせてはどうじゃ?君の親愛なる豚で同胞のドビーには話を通しておるから、見張ってくれることじゃろう」

ハニー「最初からそう言えばいいじゃないの、まったく……クリーチャー」

クリーチャー「が、っふ、っく、なん、だ、なんでしょう、くっ、ぐぅ、ご主人様、この――」

ハニー「悪態も嫌な目線も結構よ。あなたは屋敷に戻らず、ホグワーツの厨房に行きなさい。そこで働くのよ」

クリーチャー「……チッ!!!!」

バチンッ!

ダドリー「ヒンヒン!ヒンヒン(怒)」

ハニー「いいのよ、ダドリー。舌打ちで済むならこれで……確認したいっていうのは、これだけ?」

ダンブルドア「いや、君にはあと一ネイプ」

ハニー「だからやめなさい、それ」

ダンブルドア「君が望むならのう、ヒンヒン! バックビークのことなのじゃが、ハグリッドに返してもよいか?あ奴があのヒッポグリフが生きていたと知ったときの喜びようと言ったら、まるで君に踏まれて居るときのそちらの同胞のような顔じゃった」

ハニー「えぇ、そうね。何にも勝る幸福ね……もちろんだわ。バックビークも、それが嬉しいでしょうし」

ダンブルドア「よろしい――さて、残るはあと一つ。お二方にお話なのじゃが……暖炉や絨毯のことは後にしてもらえますかの。ちゃんと元通りにして去るので後にせい、後に。わしこれでも魔法使いなんじゃよ、しっとったかね」

34: 2013/07/07(日) 16:03:51.94 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「知っての通り、ハニーはあと一年で成人を迎える」

ペチュニア「……違うわ」

ダンブルドア「おぉう、ペチュニア。金切り声以外の声が出せたのかね」

バーノン「馬鹿にしとるのかお前は!」

ペチュニア「いいのよ、バーノン……その子は、あと二年以上経たないと十八にはならないはずよ」

ダンブルドア「あぁ、そのことですかな。なぁに、簡単なこと。魔法界での成人は十七歳なのじゃよ。一つ賢くなりましたのう?」

バーノン「十七で?ハッ、生意気な……小娘が生意気なのは今に始まったことじゃないがな」

ハニー「えぇ、それに美貌とかね」

ダドリー「ヒンヒン!」

ダンブルドア「そうじゃの、ヒンヒン!十五年前から変わらぬ素晴らしい子じゃ……さて、話と言うのはそこに立ち戻る」

ダンブルドア「知っての通り、魔法界は現在十五年前と同じ、いやそれ以上の緊迫した戦争状態にあるわけじゃ」

ダンブルドア「ヴォルデモート卿が何度も殺そうとしたハニーは、いまや以前とは比べ物にならんほどの危険に晒されておる」

ダンブルドア「十五年前、そう、わしがそなたたちにハニーの両親のことを説明し、ハニーを実の娘のように育てるよう頼む手紙と共に玄関口へと置き去りにした、あの夜よりのう」

バーノン「」

ペチュニア「」

ダンブルドア「むっ、いかんいかん。いきなり真面目ブルドアになりすぎたかね。あー、そうじゃの。わしー、ちょっと思うんじゃけどー」

ハニー「いきなり凄む目つきになったから、よ……食えない豚ね、ほんと」

ダドリー「ヒンヒン!」

38: 2013/07/07(日) 16:20:08.23 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「そなたたちはわしが頼んだようにせなんだ。この子は無視され、たびたび残酷に扱われておった」

バーノン「……」

ダンブルドア「わしは言うたはずじゃ。この子を守ることによって働く守りは、この家に住むそなたたちの守りを意味すると。もしもこの子がおらねば、諸君らに危険がおよぶことになろう、と」

ペチュニア「……」

ダンブルドア「せめてもの救いは、そうじゃの。ハニー自身がそれに屈さず、懸命に生きたことじゃ。生きるものの放つ輝きは美しい、そうでなくともハニーはハニーなのじゃが」

ハニー「えぇ、そうね。眩しすぎてその眼鏡をサングラスにしないといけないんじゃないかしら」

ダンブルドア「ヒンヒン! それで、じゃ。わしとしてはこの静かな怒りを、この家をペシャンコにして高笑いすることで晴らしたいところなのじゃが」

バーノン「!?」

ペチュニア「!?」

ダンブルドア「そうもいかん。わしがかけた、この家とハニーの血による守護の魔法は、彼女が成人するまで効果を発揮する」

ハニー「私が十七歳になる、その瞬間まで……?」

ダンブルドア「そうじゃ。わしがお二人に説明したいのは、来年の夏もう一度、ハニーがここに戻るのを承知するように、ということじゃ。さすれば護りは、確かに継続する」

ダンブルドア「ハニーの扱いを改めろ、とは言わん。もう遅すぎるしのう。ここがハニーの家と呼べればそれでよいのじゃ。よろしいか?」

バーノン「……」

ペチュニア「……」

ハニー「……」

バーノン「……この契約書に、サインをもらえるなら」スッ

ハニー「そこまでしなくたって……穴あけドリル大口契約の取り決め書……たくましいわねあなた」

ダンブルドア「どーれ、それじゃいっちょものすごくたくましい体にしてやろうかの。わし切れちゃったぞぉ」

42: 2013/07/07(日) 16:36:50.28 ID:y8Htynep0
バーノン「わがった、わがったからこの、胸板なんとかせんか!なんどか、してくれ!息が、できん!うっぷ!」

ダンブルドア「戻す前に一枚写真をいいかね?我ながら巧い事部分的変身をかけられたと思うのじゃが……超鳩胸の呪いとでも名付けようかの」

ペチュニア「戻して!戻して早く!!」

ダンブルドア「そうじゃの、ペチュニア――以前の君からのお願いは聞いてあげられなんだ。今回はそうs」

ペチュニア「黙って!!!!!!!」

ハニー「何がなにやら、ね……私、自分の部屋からトランクを……あら」

ダドリー「ヒンヒン!」

ハニー「……少し姿が見えないと思ったら。ダドリー、偉いわ。出来る豚さんね」

ダンブルドア「わしも見習わなければならんのう……ほれ、ミスター・ダーズリー。元通りじゃよ」

バーノン「はぁ、はぁ、偉い目にあった……話は終わったんだろう!とっとと出て行け!」

ダンブルドア「そうするとしよう。ハニー、用意はいいかね?」

ハニー「誰に聞いているのかしら」

ダンブルドア「愚問じゃったのう。荷物はとりあえず『隠れ穴』に送るとしよう。あちらへ向かう前に、ハニー。わしの用事に一つ、付き合ってほしいのじゃが」

ハニー「……あなたがわざわざ出張るって言うから、どうせ何かあるんだろうと思っていたわ」

ダンブルドア「聡い子じゃ。なぁに、ものの数分じゃよ、あっという間、瞬殺じゃ。多分」

ハニー「何をさせる気かわからないけれど。いいわ、豚のお願いは聞かなくっちゃ。そうでしょ?」

ダドリー「ヒンヒーーーン!ヒーーーーン!」

ハニー「あぁ……そうね、ダドリー。でもあなたのそのお願いは聞けないの、私は行かなくちゃ。良い豚でありなさい?」

バーノン「うるさい小娘!お前がいなくなったらダドリーはまともだ!喋らんが!というかお前たちはどういう理屈で会話しとるんだ!!!!!!」

ハニー「理屈なんて、そんなものとっくに私の前に跪いているじゃない。それじゃぁね」

ダンブルドア「またお会いしましょうぞ、ミスター・胸板」

バーノン「ニ度くんなっ!!!!!」

45: 2013/07/07(日) 16:53:40.11 ID:y8Htynep0
ホー、ホーーォ

ダンブルドア「君のような素晴らしい女性とこんな夜更けに外を歩いておると、マグルの警官にしょっぴかれかねないのう。はよう『姿あらわし』できる場所へいかねば」

ハニー「平気よ、このあたりを見回る人たちは私の豚だから……透明マントを使えば、気にしなくてもいいんじゃないのかしら」

ダンブルドア「それは君が念のために持っておくのじゃ。杖もしまわないでおいてくれるかのう、無論念のため」

ハニー「……私は校外で魔法を使えないはずだけれど?」

ダンブルドア「その辺の許可はわしがおろそう。君は何者かが襲撃してきた場合、思いつく限りの対抗処置をとってよい。まぁ、今宵はその心配はないじゃろうが」

ハニー「? どうして?」

ダンブルドア「わしと一緒じゃからのう」

ハニー「……ドヤ顔やめなさいよ」

ダンブルドア「ほっほ。さて、このあたりでよいじゃろ。ハニー、君はまだ『姿現し』の試験には合格しておらんな?」

ハニー「……あれを受けられるのは十七歳からでしょう?もっとも、この私なら今だっていつだって合格で当然だけれど」

ダンブルドア「うむ、そうじゃろうな。それはそれとして、今回はわしの腕にしっかり掴まっておいておくれ。付き添い型姿あらわしというやつじゃ」

ハニー「……そうしてあげるわ、光栄に思いなさい」

ダンブルドア「ヒンヒン!おっと、すまんハニー。できれば左腕にしてくれるかのう。見てのとおり今のわしの杖腕は、少しばかり、あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「日焼けでヒリヒリしとるんじゃ。いやぁ、じじい無茶すんな。至言じゃのう」

ハニー「あくまでその体でいくのね……いいわ、そうしてあげる」

ダンブルドア「ヒンヒン!さぁ、それでは参ろうか。夜の世界に踏み出し、冒険と言う名の気まぐれで誘惑的なかわいこちゃんを追求するのじゃ」

ハニー「……ずっと思っていたけれど、あなた異様にテンション高いのはなんなのかしら」

ダンブルドア「去年度は君の前で中々はっちゃける機会なかったからのう……いやいや、何を言うねハニー。これがわしの素じゃよ、ホントジャヨー」

51: 2013/07/07(日) 17:17:11.12 ID:y8Htynep0
ギュルギュルギュルギュルグルグルグルグル

パッ! ドサッ

ハニー「っ、つっ……なぁに、今の、感覚……細い管の中を、無理やり通らされたような……」

ダンブルドア「『姿あらわし』の移動のコレには、慣れが必要じゃ。ほれハニー、手を」

ハニー「……少しは前もって説明しなさい、もう……それじゃ、ここはもうプリベット通りじゃないのね?」

ダンブルドア「いかにも。バドリー・ババートンという素敵な村じゃよ」

ハニー「どうしてここに、私を?」

ダンブルドア「それは道々で話す事にしようかのう。こっちじゃよ」

ザクッザクッザクッザクッ……

ハニー「……ほんと、小さいけれどいい村みたい。大きな教会もあるわ……もう真夜中なのね」

ダンブルドア「寝てなければよいのじゃが。ところでハニー、最近、傷の方はどうかね?」

ハニー「……全く。君が悪いくらいになんの反応もないわ。こんなことってありえるの?あいつは今、力を……」

ダブルドア「取り戻したからこそ、じゃ。ほれ、魔法省のアトリウムで奴が君に取り憑いたときのことを覚えておるじゃろう?奴は君との繋がりは危険だと判断した。おそらく君に対して『閉心術』を使っておるのじゃろ」

ハニー「……逃げ出して篭っちゃったわけね。黒豚らしいわ」

ダンブルドア「まったくのう。そのまま臆病風に吹かれて大事なものを全部一箇所に集めておったらいいのじゃが」

ハニー「? 何の話?」

ダンブルドア「こっちの話じゃ。さて、今からやろうしておること、の話に変えようかの。この台詞をもはや何年言うておるのかも分からんのじゃが、またまた先生が一人足りない」

ハニー「……あぁ、アンブリッジがいなくなったから」

ダンブルドア「それ自体は朗報で……オホン。そこで、ここにいるわしの古い同僚を引退生活からひっぱりだし、ホグワーツに戻ってもらおうと思うのじゃ」

ハニー「……魔法省から採用するよりは、ずっとずっと良さそうだわ」

ダンブルドア「まったくのう。もっとも、彼らには今こちらに割くほどの余裕はないじゃろうが。多くの役人も消えておる……マダム・ボーンズは残念じゃった」

ハニー「私の裁判の時の、あの魔女ね……それに大臣そのものも変わって……ねぇ……ファッジは」

ダンブルドア「顧問に留まることになったそうじゃよ。しかし、まぁ、実態は新大臣の使いっぱしりというところじゃろう。ルーファス・スクリムジョールの」

ハニー「どんな人なのかしら」

ダンブルドア「髭がライオンみたいで負けてる気がして――」

ハニー「真面目に」

54: 2013/07/07(日) 17:33:45.09 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「有能じゃ、すこぶる有能じゃよ。少なくともヴォルデモート卿の脅威を軽んじたり、なかったことにするような真似はせん」

ハニー「あら、評価しているの?」

ダンブルドア「髭以外はのう」

ハニー「それはどうでもいいけれど。意外ね……新聞では、あなたはその人との面会を拒んだ、とあったわ」

ダンブルドア「有能じゃ、とは思うがの。わしと彼はあまり話があわん。堅物での。わしがちょっとお茶目を言うても、眉一つ動かさんのじゃ。ファッジなど昔はそれはもう笑いすぎてお互い会議にならんくらいに――」

ハニー「どんどん新大臣への信用が高まるわ、まったく……でもそれにしては、先週送られてきた氏喰い人対策パンフレットは、内容がお粗末だったわね」

ダンブルドア「基本中の基本しか書いておらんかったのう、うむ。例えば変装の可能性があるために、他人と出会いがしらはまず最初にその人しか知らぬことを質問しろ、など。そういえば君はわしに質問をしておらなんだ」

ハニー「あんな登場する人間が魔法界広しと言えどもあなた以外にいてたまるもんですか」

ダンブルドア「後学のために言うておくが、わしの好きなジャムはラズベリージャムじゃ。これを君とわしの質問にしておこうかの?」

ハニー「必要があればね。へぇ、ラズベリー?」

ダンブルドア「そうじゃ。今朝方、その美味しさを再発見してのう。長年チャンピオンじゃったクラムベリーと取って代わったのじゃ」

ハニー「信用性皆無だわ……あと気になったのは……最後に書かれてあった、『亡者』というのは?」

ダンブルドア「氏者の肉体を魔法で操ったものじゃ……あやつが暴れておった時代からは目撃例がないがの。無論、奴は好んで用いた。亡者の軍団を編成できるほど、人を頃しておったのじゃから――」

ハニー「……それで」

ダンブルドア「……あぁ、そうじゃの」

ハニー「……向かっていたのは、あのお家?」

ダンブルドア「……扉も、窓も、家全体が無残に破壊されておるな。何か、あったようじゃ」

56: 2013/07/07(日) 17:51:50.65 ID:y8Htynep0
バキッ、パキパキッ

ハニー「ひどい荒らされ方……壊されたものの欠片が、そこらじゅうに」

ダンブルドア「おぉう、このピアノは彼がまっこと大事にしておったものだというに……惨いことをするのう」

ハニー「そうね、随分立派で素敵なピア……きゃぁ!?」

ダンブルドア「どうしたね……血、じゃのう」

ハニー「はっ、ふーっ、そ、そうね。あー、いきなり、そうよ。赤いものが目にはいって、そうね。とつぜん、ロンの髪の毛でも落ちてるのかとばかり」

ダンブルドア「それはそれで確かにおったまげじゃがのう……ふむ、血、ふむ……?」

ハニー「……これがべったりついている、ってことは……ここにいた、人」

ダンブルドア「恐ろしいことに巻き込まれた、そう言えるかもしれんのう」

ハニー「連れ去られた、ってこと?」

ダンブルドア「いや、そうではあるまい。おそらく、この家の中じゃ。ふむ……」

ハニー「それじゃ、つまり……」

ダンブルドア「姿は大いに、変わっておるじゃろうな。それはそれとして、見たまえハニー。立派な肘掛け椅子じゃのう」

肘掛け椅子「」

ハニー「こ、こんな時にそんなもの見てる場合!?真面目にやりなさいこの豚!跪かせてもいいのよ!?」

ダンブルドア「まぁまぁ、落ち着くのじゃハニー。少し座って、休憩しようかの?君もその血を見てすこし震えておるじゃろ」

肘掛け椅子「」

ハニー「だ、誰が!誰に物を言ってるの、この意地悪豚!」

ダンブルドア「ヒンヒン!君はそちらのソファにでも腰掛けなさい。わしは……よっ、っとぉおお!」

肘掛け椅子「ぎゃぁっ!!!!」

ハニー「そんなに勢いつけて座ると腰に悪いわよ……!?な、なに!?」

ダンブルドア「うむ?はて?何か声がしたのう……うーむ?」

肘掛け椅子「ぎゃぁっ、ぎゃぁああ!?痛いっ、痛い!!アルバスやめ、肘ガンガンぶつけ、やめ、痛い!!重い!!!あやまるから!!騙したことはあやまるから!!!ぎゃぁぁっ!」


59: 2013/07/07(日) 18:01:10.74 ID:y8Htynep0
ハニー「ねぇ、ちょ、ちょっと……」

ダンブルドア「これは如何なること、肘掛け椅子が喋っておる。むむ、いかんのう。これは間違いなく闇の力()が働いておるにちがいない。さーて、杖でもって……」

ポンッ!!

「やめろというのに!!!」

ハニー「!? よく、見えないけれど……椅子が人に……まぁ、喋りだしたあたりから分かってたわ」

ダンブルドア「久しいのう、ホラス。わしの親愛なる友人」

「友人にやる行いかね、まったく!君はいつだってぶっとんでいるな、アルバス。なんでバレた?」

ダンブルドア「わしじゃしのう」

「……あー」

ハニー「……納得できてしまうのが嫌ね」

「まったく、せっかく貴重なドラゴンの血まで使った細工が台無しだ。あれは今や天井知らずに高騰する価値だというのに……」

ダンブルドア「わしがドラゴンの血にはちょっとばかり自信があることを忘れておったようじゃの。さてと、片付けを手伝おうぞ、ホラス」

「それはありがたい」

スーッ、 パチパチパチッ、パチッ、スーッ

ハニー「……部屋がみるみる、片付いていくわ……魔法って便利ね、まったくもう」

「仕掛けるのは大苦労、片付けは一手間とね。さて、と。シャンデリアも元通りで、やっと見知れぬお客人に挨拶ができ……ほっほぉう!?」

ダンブルドア「ハニー、こちらはわしの友人のホラス・スラグホーンじゃ。ホラスよ、言うまでもないがハニー・ポッターじゃよ」

スラグホーン「ほーぉ、ほっほぉー!?いやはや、これは……うん?待てよ、さっき少し君との会話を聞いていたが……あれは」

ハニー「……ハァイ、スラグホーンさん。私の豚が迷惑かけたわね」

スラグホーン「………………」

ハニー「?」

スラグホーン「…………眼鏡だぁ」

ハニー「……なんとなく言いたいことは分かるけれど、この私を見てため息はやめなさい」

63: 2013/07/07(日) 18:15:38.82 ID:y8Htynep0
スラグホーン「あの眼鏡ときたらすれ違う度『こんにちは、今日も卑しい眼で好みの生徒漁りですか下衆野郎』などとまったく不届き千万な物言いを」ブツブツブツブツ

ハニー「……あの?」

スラグホーン「それは確かに、ブラックと一緒にあの眼鏡をクラブへ誘おうと声をかけたとき、ほんのすこーし彼らの友人二人に失礼なことを言ったかもしれんがなんだね、どうしてあそこまで嫌う必要があるんだねまったく」ブツブツブツ

ハニー「……」

スラグホーン「おまけに私達のリリーをなんてこった手篭めにしてなんてこったその娘がなんてこった同じ眼で目の前にいるなんてあぁなんてこった、なんて……」

ハニー「……この私を無視するなんてどういうつもりよ、この豚!」

スラグホーン「間違いない、君は眼鏡の子だ!リリーじゃない!うん!ハッハッハ、アルバスよ!その手には乗らん、のらないぞぉ?」

ダンブルドア「そりゃ残念ジャー」

ハニー「何の話をしているのよ……」

スラグホーン「いや、待てよ……借りにも女の子だ、まさかそっくりそのまま眼鏡と同じというわけじゃあるまい……いやしかし、うーむ」

ダンブルドア「立ち話もなんじゃし、ホラスよ。一杯お茶を飲むくらいはしてもよいかの?昔のよしみで」

スラグホーン「昔のよしみ?あぁ、それを出されたらかなわないな……待っていてくれ、いい酒がある――この家のものだがね」

74: 2013/07/07(日) 21:21:30.79 ID:y8Htynep0
ダンブルドア「君の教職復帰に乾杯じゃ、ホラス」

スラグホーン「あぁ、かんぱ……待て待て待て!だから、そうはいかんと言っておるだろ?え?」

ダンブルドア「何故じゃね、あんな仕掛けをするほど元気に動けるなら、なにも問題ないじゃろう?」

スラグホーン「馬鹿言え。胸が弱いしリュウマチもひどい。昔のようには動けんよ。歳、疲労、こればっかりはどうしようもない」

ダンブルドア「じゃがホラスよ、わしよりは若いじゃろうが」

スラグホーン「そりゃ、君もそろそろ引退を考えりゃどうだね?と返事させていただくよ、アルバス。周りを見てみろ、わたしはもう退いた老いぼれだ。静かな生活と、多少の人生の快楽を勝ち得た、疲れた老人だよ」

ハニー「……確かに、狭いけれどたくさん素敵なものがあるわね。この部屋には」

スラグホーン「だろう?この肘掛け椅子やあそこにあるピアノなんて特注の……オッホン。ともかく、アルバス。君も……どうやら、昔のような反射神経とはいかんようじゃないか?え?」

ダンブルドア「何を言うね、この右腕はほんの日焼けじゃて」

スラグホーン「そりゃもう、どキツイ光を浴びたんだろうさ」

ハニー「……」

ダンブルドア「あんまり見ないでくださるかね、お二方。さてさてホラスよ、それではこのまま氏喰い人()から逃げ回る生活を続けるというのかね?」

ハニー「っ……あいつらに、狙われているの!?」

スラグホーン「いいや、いや、自衛をしているだけだ。違う。こんな老いぼれに……あいつらが何の用があるというんだ?」

ダンブルドア「闇の陣営では作り得ない、あれじゃなかろうかのう」

スラグホーン「――まぁ、あぁ、そういう可能性もあるだろうとして。一週間に一回住む場所を変えた。奴らに気取られる前に、次の快適な家へとな……今日越しておけばよかった」

ダンブルドア「おぉーう、ホラスよ。わしゃあんな恥ずかしい集団の一員ではないぞ?」

スラグホーン「対局だがそれはそれで厄介なほうの一員だろう!いいか、わたしはホグワーツに戻らんぞ!あそこが安全だという証拠がどこにある!?え!?アンブリッジの顛末は聞いたぞ!?」

ハニー「あれは自分で墓穴を掘ったのよ。ケンタウロスに、野蛮な汚らわしい半獣、なんて言うから」

スラグホーン「なんと!あの顔面悲劇はそんな愚かしいことを言ったのか? まぁ、いい。あいつはもとから好かん」

ダンブルドア「――あ、わし、ちょっと思い出して吐き気がするので手水場を拝借してもよいかnうっぷ」

77: 2013/07/07(日) 21:46:37.13 ID:y8Htynep0
スラグホーン「……まったく、どうにもアルバスとは話しているとペースに嵌められてしまう。昔からあぁだ」

ハニー「……古いお友達、そう言っていたわね」

スラグホーン「そう、奴さんがまだ変身術の教授だった頃から……あぁ、その頃から食えん男だった。だが、付き合いがながいと少しは彼がどういうつもりか分かるぞ……君をつれてきた理由とか」

ハニー「……当然、パパとママのこともご存知なのね」

スラグホーン「それはもう。眼鏡のことは……思い出すだけで蕁麻疹が出るが」

ハニー「それだけのことをしたのではないの、と言わせていただくわ」

スラグホーン「まっこと奴の子だな……だが、うむ。見た目は……リリーにそっくりだ。あぁ、彼女はわたしのお気に入りの生徒だった。もっとも、あの頃城にいた人間でリリーが嫌いだった者などいないがね」

ハニー「……そう」

スラグホーン「リリー・エバンズ。教え子の中でもずば抜けて賢く、そして魅力的。わたしの寮に来るべきだった、と、何度も言ったものだがね。その度に悪戯っぽく微笑まれたものだ」

ハニー「どこの寮監をしてらしたの?」

スラグホーン「わたしはスリザリンだ……あぁ、あぁ!」

ハニー「……」

スラグホーン「それ、それ!そのことで私を責めるな!いいかね、スリザリンがみーーーーんな例のあの人の派閥に行ったなんて幻想は捨てるんだ!そりゃ、他の寮よりはそういった力に魅入られる者もいたがね!みんながみんなじゃない!はぁ……その表情から察するに、君はグリフィンドールなのだろうね?」

ハニー「えぇ、そうね。獅子寮の覇者だわ」

スラグホーン「それはまたどこかで聞いたような……そう、大体家系できまる。必ずしもそうじゃないが。ブラック家は覚えている限りみんなわたしの寮だったが、シリウスはグリフィンドールだった」

ハニー「っ」

スラグホーン「この間消息不明になったとか聞いたが……無実だったそうだ。ふむ、リリーの友人だ、それはそうだろう。わたしは分かっていた、うん。だからこそ、わたしの寮にくるべきだたと思ったのだがなぁ」

ハニー「……パパの親友でもあったわ」

スラグホーン「眼鏡のことは知らん。そう、弟のレギュラスの方は勝ち取ったのだ。できれば揃いで寮に欲しかった……写真をみるかね?ほら」

ハニー「そんな物の様な言い方を……これが、シリウスの弟の……シリウスよりは、ハンサムじゃないわね」

スラグホーン「それはそうだ、あれ以上を見つけるのは至難だろう……あの年代は粒ぞろいだった。ブラック家の兄弟、ダーク・クレスウェル、それに、まぁ、眼鏡。そして……リリー・エバンズ。マグル生まれにも関わらず首席だ。聞くまでは純血だと疑わなかったものだ」

ハニー「私の友人もマグル生まれで、学年一位だわ」

スラグホーン「あぁ、たまにそういうことが起きる。不思議だとは思わんか?」

ハニー「……別に」

スラグホーン「あぁ、あぁ!違うぞ!私がマグル生まれに偏見を持ってる、そんな風に思うな!むしろそんな風潮は馬鹿げて居ると思ってる!言ったはずだぞ、リリーは私のお気に入りだったんだ」

ハニー「……?純血主義では、ないの?」

スラグホーン「はっ、そういうご大層なものをわざわざ口にする馬鹿者は、自らに負い目があるというのが相場だ。人の成功、大成に最終的に関わるのは血筋ではない――どう生きるかだ。それを分かっておらんと、こんなにも素晴らしい友人たちとめぐり合うことは叶わない、そうだろう?」

ハニー「友人達……ここの壁に飾ってる写真、全部」

スラグホーン「わたしの愛すべき友人たちだ。無論、スリザリン寮以外の者もいる。マグル生まれも、混血も、純血もだ」

78: 2013/07/07(日) 22:12:40.28 ID:y8Htynep0
スラグホーン「さっき言った、ダーク・クレスウェル。マグル生まれだが、今では小鬼連絡室の室長だ。非常に優秀、才能のある学生だったが、今でもわたしにグリンゴッツ内部のすばらしい情報をよこす!」

ハニー「……いるのね、マグル生まれでも魔法省で出世している人」

スラグホーン「あの顔面悲劇に何度か阻まれかけたそうだが、あんな愚か者で相手にできるような半端者ではないさ。バーナバス・カッフに気づいたかね?」

ハニー「……確か、『日刊予言者新聞』の」

スラグホーン「今や編集長だ。毎日のニュースに対するわたしの意見に常に関心をもっている。こっちはハニーデュークスのアンプロシウム・フルーム。魔法が優秀だったわけではないが、人当たりがよく成功者の眼をしていた――今ではどうだ!誕生日のたびに家から溢れんほどの菓子をよこす!ハッハッハ!」

ハニー「……奥の写真に写ってる、クィディッチローブを着た人は」

スラグホーン「グウェノグ・ジョーンズ、ホリヘッド・ハーピーズのキャプテンだ、そうとも。彼女のおかげでいつでも試合の切符は手にはいるし、選手の全員とは名前で呼び合う仲さ!」

ハニー「……」

スラグホーン「ハッハッハ!いやぁ、手塩にかけた生徒たちが成功しているのを見られるのは素晴らしいことだ。わたしも少しばかりの恩恵にあずかれて、あぁ、あえて少しばかりと言わせてもらうがね。そう、わたしは――」

ハニー「それじゃ、今でもこのあなたの教え子たちが、あなたの居場所をつきとめて色々送ってきたり、手紙をよこす、って言うの?」

スラグホーン「――――それは、ちがう。あぁ……一年間、誰とも連絡をとっていない」

ハニー「……」

スラグホーン「しかし、賢明な魔法使いはそうすべきなんだ。アルバスのやっていることは立派だ、だが、それは生き急いでるとしか思えない。今の時勢でホグワーツに戻るのは……アルバス側に、つまり、騎士団への忠誠を表明するに等しい」

ハニー「……彼らが愚かだと言うの?」

スラグホーン「そんなわけはない!彼らは立派だ!勇敢だ!紛れもなく――ただ、あの氏亡率の高さはいただけんね」

ハニー「ホグワーツの職員だからと言って、必ずしも騎士団の一員にならなくちゃいけないなんて、聞いた事ないわ」

スラグホ-ン「しかし――」

ハニー「こんなにぬくぬくとした場所で――騎士団の中には、冷たい洞窟でネズミを食べながら生きていた人もいるっていうのに」

ハニー「安全が約束されているホグワーツに来ることさえできないっていうの?先生達の中に殺された人なんて、一人もいないわ。ヴォルデモート本人に取り憑かれていた、クィリナスでさえ!私のおかげだけれど」

スラグホーン「その名前を口にしないでくれ!」

ハニー「いいえ、いくらだって呼んでやるわ! あいつの名前程度で、馬鹿馬鹿しい! 第一、あなたの守りよりもダンブルドアが守っている城の方が安全だっていう単純なことも分からないの!?ヴォルデモートが『唯一恐れた』ダンブルドアの!」

<光栄じゃよはうぅぼぇ

ハニー「さっさと吐ききってこっち来なさいあなたは!!!」

80: 2013/07/07(日) 22:36:10.93 ID:y8Htynep0
スラグホーン「……それは、そうだ。確かに、あの人は結局ダンブルドアと戦うことはしなかった……うむ、しかし、うーむ……」

ハニー「魔法省に匿ってもらおうにも、無駄でしょうね……ミセス・ボーンズのことは?」

スラグホーン「あぁ、聞いている。そう、このタイミングでアルバスがやってきたことは本当に……なんというか、ズルイ。わたしが丁度不安が高まって居るときに……あぁ、彼はそういうところがある」

スラグホーン「それに、今戻れば……そういえば、『予言者新聞』だけはなんとか定期的に受け取って居るのだがね」

ハニー「えぇ、そうでしょうね。魔法界から完全に切り離されていたら、それしかすがるもの、ないもの」

スラグホーン「……新聞の見出しでよくみるところ、君は……『選ばれし者』だとか――」

ダンブルドア「ふいー、吐いた吐いた。いやぁ、アンブリッジ炎はおそろしくしつこいのう、それはもうホグワーツの生徒が困らせられるわけじゃ」

ハニー「……あぁ、持ってたのねあれを」

ダンブルドア「なんのことじゃねハニー、ヒンヒン!」

ハニー「何も。双子の商売は半永久的に心配いらなそうね、って思っただけよ」

ダンブルドア「あの二人は素晴らしく粋じゃからのう。さて、ホラスよ。そろそろおいとまさせてもらおう」

スラグホーン「もうかね……?」

ダンブルドア「それはそうじゃ、勝ち目のない戦はせんよ。わし合理主義じゃからの。意味知らんけど。ハニー、ホラスとのお話は楽しめたかね?」

ハニー「……えぇ、そうね。ためになる事も教えてもらえたわ。ありがとう、ミスター・スラグホーン」

スラグホーン「……!眼鏡と違って常識がある……やはり、やはり見た目通りリリーに似て居る部分も?いやしかし、あの物言い、いや、でも選ばれし――」

ダンブルドア「よかろう。益々もってホラスに教職についてもらえんのは残念じゃが……じゃあの、ホラス」

スラグホーン「……あー」

ダンブルドア「ざーんねんじゃのう……城の警備は十分すぎるほど施しておるのじゃが」

スラグホーン「うー……」

ダンブルドア「君があの頃欲しがっておったメリーソート先生の教室を用意しておったのじゃがのう」

スラグホーン「うーん……」

ダンブルドア「君は、そうじゃ。ここにおるミス・ポッターと同じくらい特別じゃし……給料も」

スラグホーン「――倍には、してくれるのだろうな!そうでないと、割りにあわんぞ!え?アルバス!」

ダンブルドア「……では?」

スラグホーン「分かった、分かった!!引き受ける!」

ダンブルドア「いや、ええよ。ご好意をありがとう」

スラグホーン「それじゃ九月――えっ!?!?!?」

ハニー「……」

ダンブルドア「いやぁ、無理やり言わせたようなものというのも心苦しいし、わし、きみの友人じゃし、ほら。そんな金で釣ったようなまねしたくないんじゃ。じゃから、他をあたって――」

スラグホーン「いや、いやいや、いやいやいや!!待て、待ってくれ!やらせてくれ!あー!教えたいなーーーー!!ホグワーツですっごく教えたいなーーーー!!アルバスが校長してるならすっごく楽しいんだろうなぁやっほーぉ!」

ハニー「……性格悪いわよ」

ダンブルドア「ほっほ、なんせ意地悪豚じゃからの。ヒンヒン!」

86: 2013/07/07(日) 22:57:24.18 ID:y8Htynep0
ハニー「……私をあの人のところにつれてきたのは、焚きつけるため?」

ダンブルドア「ジェームズ・ポッターがかつて彼に言い放った事から察するに、君が彼の現状を見てどう言ってくれるかは分かろうものじゃからのう」

ハニー「なによそれ……」

ダンブルドア「彼のことは、好かんかね?」

ハニー「……あー。あの人はあの人なりに、いい人なんだろうっていうのもよく分かるわ。けれど――何と言えば、いいのかしら」

ダンブルドア「ひっかかるのは虚栄心、それに執着心、といったところかのう?」

ハニー「……えぇ、そうね。そう見えたわ、私には」

ダンブルドア「うむ。彼は快適さが好きじゃ。そして、有名で成功した者と一緒にいることも。自身がそういう者たちに影響力を持っているということが、楽しくてしかたない。王座につくことは望まず、その後ろでゆったりと助言することこそが」

ハニー「……お気に入りの生徒達の後ろで?」

ダンブルドア「そうじゃ。彼は教職時代、時には野心、時には頭脳。時には魅力や才能、とにかく後に様々な分野で抜きん出る者を見極める力に優れておった。そんなお気に入りの生徒を集めて自分をとりまくクラブのようなものを作り、そのなかで人脈を固め、そして自然と自分に利益が舞い降りるようにしておった。時には物、時には情報、時には発言力を」

ハニー「……蜘蛛みたいね」

ダンブルドア「勘違いせんでおくれ。このことを話して聞かせるのは君にホラスを悪く思ってほしいからではない。ただ、用心はしてほしい」

ハニー「あの人は、私のことをほしがる。えぇ、そういうこと?当然の感情でしょうね」

ダンブルドア「あぁ、それは今のところ君の見た目や内面ではない。そう、彼は間違いなく君を蒐集物の一つとして欲するじゃろう――『生き残った女の子』を」

ハニー「……または、『選ばれし者』?」

ダンブルドア「おぉ、なんとまぁ、魔法省の緘口令の厳粛さたるや。情報が漏れるどころか大洪水じゃったのう、まったく……つかまるのじゃ、ハニー。ウィーズリー家に向かうとしよう」

87: 2013/07/07(日) 23:18:29.47 ID:y8Htynep0
『隠れ穴』近く

ハニー「っ、ぅう、やっぱり、嫌ね、これ」

ダンブルドア「そのうち嫌でも慣れるじゃろうて。さて、ハニー。モリーのあたたかい食事が待って……といいたいところなのじゃが、もう少しだけ話をしてよいかね」

ハニー「ここまできたらどれだけだって。去年度の私が心から望んだことだわ」

ダンブルドア「それはよかった。どれ、この物置にでも」

ハニー「……すぐそこにロンがいるのに、こんな硬いバケツの上に座るのは変な感じね」

ダンブルドア「わしの膝の上にでも案内したいところじゃが、そういうのはあの一等星にとっとかんといかんしのう。さて、ハニー。先ほどの話に戻るのじゃが」

ハニー「『選ばれし者』の?」

ダンブルドア「そう、それじゃ。予言者やマスコミ各社は、昨年度に君と闇の輩が『予言の間』でひと悶着起こしたことを知っておる」

ハニー「出来すぎる豚ね、まったく」

ダンブルドア「そして憶測が憶測を呼び、『予言の間にはハニー・ポッターと例のあの人()に関する予言があったのではないか』『ポッターが奴を倒す予言が』、と。そうして生まれたのが『選ばれし者』という言葉なのじゃから、なんとまぁ、知らぬ者は安易に名付けてくれることじゃのう?」

ハニー「でも、大体正しいからいいじゃない。私は、あいつを――」

ダンブルドア「いいや、ハニー。あの予言の全容を全て正しく知っておるのはこの世界に二人だけじゃ。わしと、君がのう。憶測で言うのと、真実として扱うのでは何もかもが違う。君は分かっておるはずじゃ。じゃから、まだ誰にも話しておらんのじゃろう?」

ハニー「……お見通しというわけ」

ダンブルドア「君は賢明じゃからの」

89: 2013/07/07(日) 23:34:54.69 ID:y8Htynep0
ハニー「……そうね。はぐらかしておくのは、楽だわ。でも、それじゃいけないと思う……少なくとも、二人には」

ダンブルドア「ミスター・ウィーズリーとミス・グレンジャーじゃな」

ハニー「えぇ。二人は、これまで……わたしのこと、支えてくれたわ。心配してくれた、怖がってくれた……今度も、勝手だけれど……二人になら、知っておいてもらった方がいいと思う」

ダンブルドア「君が怖がり、震える姿をよーく知っておる二人なら、そうじゃのう」

ハニー「……知っていたのはここにもいたようだけれどね、全く」

ダンブルドア「ほっほ、何せ君の豚じゃからのう。あぁ、ハニー。わしも、二人には予言のことをしかと聞かせておくべきじゃと思う。ほかでもない君から、じゃ。わしから言うてもいいのじゃが、二人に冗談やめろとぶん殴られかねないからのう」

ハニー「そんなことするわけ…………あー」

ダンブルドア「……君の友人たちの行動力たるや、ホグワーツ校長なんて肩書きエバネスコじゃからな、うん」

ハニー「……あなたの威厳の問題でもあるとおもうのだけれど」

ダンブルドア「なんと。髭をあと2メートルほど伸ばすかのう。ところで、ハニー。今学期の授業のことなのじゃが、君にはわしの個人授業を受けてもらいたい」

ハニー「……あなたの?スネイプではなく?」

ダンブルドア「スネイプ先生、じゃよ。ハニー」

ハニー「そう、そのそれとの、『閉心術』ではないのね?」

ダンブルドア「あぁ、そうじゃ。あの授業は、まぁ言うなれば、うむ。大しくじり!これがぴったりじゃった」

ハニー「……この私に、何を教えるの?」

ダンブルドア「あっちをちょこちょこ、こっちをちょこちょこじゃよ。わしの命の及ぶ限り、全てを。さてハニー、引き止めてすまんかった。君と同胞諸君の感動の再会シーンを、これ以上先送りにするのはやめにするとしようかのう」

ハニー「感動は、分からないけれど。私がいればいつだってそれは全英が注目する重要カットじゃない。そうでしょ?」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

91: 2013/07/07(日) 23:50:28.57 ID:y8Htynep0
ギィィッ

モリー「ねぇトンクス、あなたはまだ若いわ。そんなにも辛い駆け引きをしなくたって、他に――誰!?!?」

トンクス「ううん、もうきめたんだモリー。私――こっちには杖があるわ!出て来い!ぶっ飛ばすぞ!!」

ダンブルドア「おぉう、女性の怒りは時にどんな魔法戦士の呪詛よりも恐ろしい。こんばんわ二人とも。わしじゃよっ」

モリー「まぁ、アルバス……あら、あらあらあら!」

トンクス「なんだ、先生か……ハニー!」

ハニー「ハァイ、お母様、トンクス……元気そう、じゃないわね」

モリー「そんなこと!元気一杯よ、あなたに会えて嬉しいわ!トンクスは、そうね。少し痩せたかしら」

トンクス「そう?よくわかんないや、最近巧く変化できないし……先生、ハニーを迎えるならわたしたちも護衛したのに」

ダンブルドア「ちょいと野暮用を手伝ってもらっておっての。それより、ニンファドーラよ」

トンクス「先生と言えども髭ちぎるよ」

ダンブルドア「ミス・トンクス、変化が巧くいかんというのは?」

トンクス「うん、なんだかな。髪もきまんないし、ハハハ……ハニー、今度会う時まではばっちり赤髪にしとくからさ!またね。私、もう帰るよ」

ハニー「えぇ……トンクス、大丈夫?」

ダンブルドア「わしへの気遣いは無用じゃよ。すぐにスクリムジョールんとこに喧嘩売りにいかねばならんからの」

トンクス「いや、いいんだ。本当に帰らないと――いや先生面倒やめてよ頼むから」

モリー「金曜の夕食、本当にこれないの?ほら、えーっと……リーマスも、それにマッド‐アイだって」

トンクス「……まだ、ちょっと。お茶と同情をありがと、モリー。じゃね」

バタンッ!

ハニー「……何があったのかしら」

ダンブルドア「愛じゃのう、うむ」

93: 2013/07/08(月) 00:05:19.65 ID:Gx1gDByA0
ダンブルドア「さて、モリー。ハニーのことはお任せしてよいかね」

モリー「えぇ、えぇ!夏中引き受けますわ!ハニーさえそれでよければ!」

ハニー「願ってもないわ!あと一月以上、ここにいられるなんて……!」

ダンブルドア「双方充実した夏をお過ごしになるようでいい事じゃ。さて、ハニー。先ほど伝えた新学期のことはまた追って連絡しようぞ。それと、以後は常にあの素晴らしいマントを携帯しておいてほしい。よいな?」

ハニー「そうしてあげるわ」

ダンブルドア「よろしい。わしにできるのはこれまでじゃ。モリー、ご機嫌よろしゅう。アーサーに、新しい仕事は大変じゃろうが頑張るよう伝えておいておくれ。じゃあの」

バタンッ!

ハニー「……新しい、っていうのは?」

モリー「えぇ、スクリムジョール新しい状況に対応するために新設した局の、局長になったの!『偽の防衛呪文ならびに保護器具発見ならびに没収局』の!部下もいまじゃ10人以上いるそうよ!」

ハニー「……素晴らしいわ。お父様なら、絶対にそれくらいの評価をされるべきだもの」

モリー「優しい子ね。でもね、たまには点火プラグをいじる暇があった方が良い、なんて言うのよ。まったくもう。今もきっと仕事中――あぁ」

ハニー「……このお家の時計……一人ひとりの行動が針で刺される時計……全部……『命が危ない』、って」

モリー「ダメね、えぇ、壊れてしまって……それともどこの時計もこうなのかしら?こんな時計他にみたことがないから分からないわね……さっ、ハニー。何か食べる?それとももう休むかしら。部屋は用意してあるわ!」

ハニー「そうね……色々あって、疲れてしまったもの。寝室から案内してもらって、いいかしら」

モリー「えぇ!でも、それはそれで疲れることになりそうねぇ……期待しましょう」

ハニー「?」

モリー「こっちのお話よ」

95: 2013/07/08(月) 00:21:23.41 ID:Gx1gDByA0
トンッ、トンッ、トンッ

モリー「そう、スラグホーンがホグワーツに戻るの……私もアーサーも、あの人に教えてもらっていたわ」

ハニー「お母様たちの頃に?」

モリー「えぇ。随分長く務めていたのよ。多分、ダンブルドアと同じ頃からだったとか……私もアーサーも、あまり好きな人ではなかったわね。というか、得意じゃなかったわ」

ハニー「……えぇ、なんとなく分かるわ」

モリー「その気になればいくらでも良い人になれるのだけどね。でもそれなら私は、どんな生徒にも優しい先生が好きだったわ……さぁ、ここよ。前はフレッドとジョージの部屋だったんだけど」

ハニー「二人は今、どこに?」

モリー「ダイアゴン横丁の自分達の店の上に住んで居るのよ。あの子達、えぇ。どうやら商才があったようだわ。驚いた事にね!」

ハニー「順調のようでよかったわ……二人で使ってた部屋なら、私一人だと少しもてあましそうね」

モリー「そう言うと、思っていたわ!大丈夫!」

ハニー「?」

コンコン、ガチャッ



ロン「だからさ!ハニーが来るのは明け方だろ!?あの同胞が僕らに嘘つくはずないじゃないか……そりゃ、さっきから僕の首輪とかハニーへの熱い想いとか主に第六感キュピーンならぬ豚ロン感ヒヒーンって……!?!?!?」

ハーマイオニー「だから何度も言ってるじゃないの!どこかから確かにハニーの香りが、あー、ひょっとしたら枕元からかもしれないけどでも確かに……きゃぁ!?!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー?私の香り、それこそしっかりと、奥の奥まで、とろけるまで堪能させてあげなきゃ……でしょ?」

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、そんな、いつ、あぁ、ダメよ、だからいきなり、あぁ、あなたの香りだなんて、『ビリーウィグ』に刺されたのと同じくらい、クラクラ、しちゃうわ……」

ロン「つづけて!」

モリー「どうぞ!!」

バタバタバタバタバーーン!

ジニー「ヒンヒンヒーーーン!!」

96: 2013/07/08(月) 00:24:14.78 ID:Gx1gDByA0
ここらで一旦区切り
六巻分はこれまで以上に不定期になってまう
でもとりあえず今日は十二時間後に再開
じゃあの!

118: 2013/07/08(月) 17:50:28.26 ID:Gx1gDByA0
ハーマイオニー「っはぁ、はぁ、ふぅ、な、なにが、香りよ!!非科学的だわ!!!」

ロン「そりゃもちのロンでここは魔法界だしね。というか、そのハリーの香りの主張は君発信だったと思うな僕ぁ」

ハーマイオニー「黙って!ハニー!もう!あなたっていっつもこうやって!」

ハニー「私はいつだって私のしたいようにしてる、えぇ、そうね。今更でしょう?」

ロン「あぁ、君の美貌と羨望を集めてやまない健やかさとかも変わらずね!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「あなたが流れるように椅子になることも、ね……まったく」

ロン「いや、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「なによ」

ロン「なんのかんの言いつつ、明け方までハニーとナニかをしっかり堪能してた君が言う台詞じゃないと僕は思うんだけ――」

ハーマイオニー「ハニー、あちらではどうだったの?」

ロン「シカトときたよ。マーリンの髭!」

ジニー「結局あれから扉の前で数時間待機だったものね、私達。ご褒美だわ。ヒンヒン!」

ハニー「ロン、ジニー。私がすることに文句があるのかしら?」

ロン「とんでもない!君がやることなら例え神の教えを破ってでも僕は認めるよなにせハニー!僕のハニーは女神だからね!ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!ハニー!私のハニー!」

ハーマイオニー「……はぁ。あなたが来ると、騒がしくなるわね」

ハニー「ふふっ、寂しくなくなる?」

ハーマイオニー「そちらこそ、だわ」

ハニー「えぇ、毎夜が楽しみね」

123: 2013/07/08(月) 18:16:49.07 ID:Gx1gDByA0
ロン「いつ着いたんだい?呼んでくれりゃ、この階からだって飛び降りて出迎えたのに」

ハーマイオニー「何事かとおばさまに杖むけられても知らないわよ……ダンブルドアが今日つれてくるとは聞いていたけど、所用で朝までかかるだろう、って言っていたの」

ハニー「所用、ね。えぇ、そうね。あの豚がどうしてもとお願いするものだから、新しい先生の勧誘を手伝ってあげたわ。すぐに済んだから、こうしてここにいるというわけだけれど」

ハーマイオニー「新しい先生?」

ロン「そりゃいいや、今度の面はどんなのだろうな。後頭部マーリンの髭、面だけヘッポコ野郎、ルーピンはまともで、ニセ面名誉豚、顔面喜劇ときたんだし……そろそろ馬面とかかい?」

ハニー「顔……そうね……セイウチ?に似ていたかしら。体格とか、髭とか。名前は、ホラス・スラグホーン」

ハーマイオニー「ダンブルドアがわざわざ、それもハニーをつれていくのだから、よっぽど有能な人なのね」

ハニー「そうね。仕掛けをする手際とか、氏喰い人に狙われるらしい手腕とか……まぁ、私には遠く及ばないでしょうけれど」

ロン「あぁ、君の有能さときたら誰もが憧れて慢心せずに君を目指したくなるくらいの完璧さだもんな」

ジニー「孤高だとか至高だとかでお高く止まった人とは大違いよね。ハニーすてき」

ハニー「当然ね。……?ジニー、どうしてわざわざ彼女を引き合いにしたのかしら?」

ジニー「それは……あら」
 
    トンッ、トンッ、トン

ジニー「誰かが登ってくるわ……ママかも!ハニーとハーマイオニーに朝食を持ってくるって言っていたもの」

ロン「そりゃいいや、ハニーの完璧なおなかが鳴ることなんて転地がひっくり返ってもないけど」

グーッ

ロン「おっと失礼、マーリンの髭が鳴ったみたいだ」

ハニー「……気をつけなさい」

ハーマイオニー「とんだホラーよそれ」

ロン「とにかく飯は大事だよ、僕ら豚はハニー分摂取できれば生きていけるけどね!ヒンヒン!」

ジニー「まったくだわ!さて、ママの手はふさがってるだろうから扉をあけてあげないと……ママったらよっぽど絡みが見れて嬉しかったのね。鼻歌歌ってるわ」

~~~♪

ハーマイオニー「……これ……フランス……待って!!ジニー!!!開けちゃだめ!!!あの女よ!!!!」

ハニー「ハーマイオニー!お母様にそんな失礼なこと言ってはダメじゃない」

ジニー「えっ!?あっ……」

ガチャッ

パァアアアアアアアッ

ロン「うわっ!?なんだ!?フレッドとジョージがやった実験のせいで焼け焦げだらけだった壁紙が!花柄に!それに空気が!うっ、ひん、ぶひ、ぐっ、おらっ!!マーリンの髭!!」バキャッ!!

ハーマイオニー「だから出くわす度に自分の頬を殴らないでロン!!!それでも豚なの!?」

ロン「ハニー以外が豚って呼ぶなよ!」

「ボンジュール、ハァニー!」

ジニー「あぁ……ハニーには極力合わせないつもり、だったのに」

ハニー「ふ……フラー!?」

フラー「んーふん!あいたかったでーす、ハァニー!」

125: 2013/07/08(月) 18:37:09.63 ID:Gx1gDByA0
ハニー「あぁ、えぇ、そうね。とっても久しぶり……いや、それはいいのよ」

フラー「一年ちょーっとぶりでーすね?新聞では見てまーしたけど」

ハニー「あー、でしょうね。去年度はとっても不本意な出方ばかりだったけれど……」

フラー「でもわたーし信じてまーしたよ?ハァニーはわたーしのお友達でーす!から!」

ハニー「えぇ、そうね。ありがとう、でもそれは今どうでも……」

フラー「オッオー……ハァニーは、わたーしと会えて嬉しくないでーす?」

ハニー「そうじゃなくって!嬉しいわよ、えぇ!でもちょっと、話を聞きなさい!もう!相変わらず良い性格してるわ」

フラー「ふーふん。孤高で至高でどこまでも絶世なわたーしです、とうぜーんとうぜーんね?」

ジニー「当然でしょうとも……そうやってビルもたらしこんだんでしょ、もう」

ハーマイオニー「どこかの鼻の下を伸ばしてる豚のように、でしょうね」

ロン「それ誰のことだろうね全く想像もつかないよ僕らにはハニーっていう存在があるのにそんなこの人になんてぜーんぜん全然髭でーす」

ジニー「ネビルの代わりをしておくわ。おらっ!」バキャッ!!

ロン「いたいっ!ハッ!ハニーって女神だ!ヒンヒン!」

ハニー「知ってるわ」

126: 2013/07/08(月) 18:49:48.79 ID:Gx1gDByA0
ハニー「みんな、フラーはお友達でしょう?あまり邪険にしないの」

ハーマイオニー「ハニーがそう言うなら……知らない仲ではないもの」

ジニー「……ハニー、これはウィーズリー家全体に関わることなの。やっぱり譲れ、あぁでもハニーが、あぁ、どうしよう……神様!ハッ!神様ってハn――」

ハーマイオニー「それついさっきやってるわ」

ハニー「もう……それで、フラー。どうしてここに?ジニーがこぼしていたけれど、ビルが関係しているの?」

フラー「んーふん?ふーん?ハァニーに、伝えてなーいでーすか?」

ロン「あ、ママ。いたんだ。なるほどね。フラーがいるからその表情でだんまりだったってわけか」

モリー「……その時間がなかったんですよ。はい、ハニー、ハーマイオニー。あなたたちの朝食で……」

フラー「むーっ!ノン、ノーン!ごーはんより大事なこーとでーす!ハァニー、聞いて、聞いて!」

ハニー「聞くわよ……あなた英語うまくなったわねそういえば」

フラー「ビルのおかげでーす!わたーし、ビルとずーっとお仕事してまーした!それで、わたーし……ビルと、結婚しまーす!」

ハニー「……まぁ……ほんとに!?あなたと、ビルが!」

フラー「おーぅ、驚くのも無理はござらん、でーす!わたーしは、ふーふん?ビルに対してそんなそーぶりすこーしも……」

ハニー「……出会いがしらから、そうね」

フラー「……に、ニヤニヤするのはやーめーて!やーめーて!ハァニー!!」

ロン「……確実に破壊力あがったよな」

ハーマイオニー「あなたの頭に対して?」

ロン「そういうのじゃなく痛い!やめろよ!ハニー以外が僕に鉄拳くらわすなよ!マーリンの髭!」

127: 2013/07/08(月) 19:08:33.94 ID:Gx1gDByA0
ハニー「それじゃ、もう結婚してこの家で暮らしているの?」

フラー「オッオー、そうじゃありませーん。ビルいまとてもとてーも忙しいでーす。でも来年の夏には式をあげまーす!」

ハニー「それは、いいことだわ。良いニュースが少しでもあれば、励みになるもの」

ロン「聞いてくれよハニー!僕、身長がこの夏またまたまた伸びたんだぜ!821メートルまであとどのくらいかな!」

ハーマイオニー「巨人か何かを名乗りなさいよもう」

フラー「ここには、家族のひーとを知っておくためにつれてこられまーした。でも、お料理と鶏が好きじゃなければここはたいくーつでーす」

モリー「あーらあらあらあら、それなら今すぐ荷物をまとめてもらってもいーいのよぉー?」

ジニー「ママ、ママ、そんな笑みの奥に隠した怒りじゃ伝わらないってば、この人には」

フラー「ハァニー?あなたが来てくれてよかったでーす!まーたお喋りしましょうねー!朝食、ごゆっくーりでーす!」

ツカツカツカッ、 バタンッ

モリー「……シッシッ!」

ハニー「お母様……えっと、悪い子じゃないのよ?」

ハーマイオニー「そういう問題じゃないと思うわ、ハニー。おばさまにとっては、大事な息子をとっていく相手なんだもの」

モリー「そんなんじゃありません!いいえ、違いますよ!あの子はビルに合わないと思うだけです!そうですとも!」

ロン「そうじゃないか、ったく、諦め悪いなぁ」

モリー「いいえ!大体、出合ってまだたったの一年!えぇ、分かってますよ!こんな状況だからこそ結婚を急ぐような人たちがいるって言うのは!前のあの人の時代もそうだったわ……!」

ジニー「ママとパパも含めて?」

モリー「――それは、そうよ。でも、お父様とわたしはお互いピッタリだったもの。ところがどう?ビルは勤勉で、地味なタイプだっていうのに!」

ロン「長髪、ピアス、それにドラゴン皮のブーツ。あぁ、どっからどうみても地味だよな。そのままマグルの町に放り出したら見物だよ。見世物って意味で」

モリー「お黙り!さっ、二人とも早く食べて下に降りてきて頂戴ね。あの女……オホン、フラーと二人きりは御免だわ!」

バタンッ!

ハニー「……変なところで強情ね、お母様は」

ロン「平常運転さ、君の高貴さくらいにね。ヒンヒン!」

130: 2013/07/08(月) 19:24:01.26 ID:Gx1gDByA0
ロン「結局ジニーはフラーと二人きりになりたくないママのいけにえで連れて行かれっちまったね」

ハニー「そういう言い方をしないの。もう、どうしてあぁまで嫌ってしまうのかしら……ビルを大事に思っているというのはわかるけれどね」

ハーマイオニー「フラーは、ほら……あぁいう性格で損をしているじゃない?私も四年生の第二の課題までは何度呪っ、オホン、怒鳴ってやろうと思ったか」

ロン「あぁ、その怒鳴り声って何故か呪文みたく聞こえるんだろうな。まぁ、ビルが突っぱね続けてればママもそのうち諦めるよ。ハニーに見惚れることはどうやったって回避できないから諦めるしかないのと同じさ」

ハニー「えぇ、そうね。この壁紙に描かれた花をも羨むほどだもの……幸せオーラ振りまいてたわ、フラー。うまくいくといいけれど」

ハーマイオニー「双子の部屋が一気にファンシーになったものね……あの二人は、元気にしてるの?」

ロン「だと思うよ。ガリオン金貨がザックザクだろうな、羨ましいや。ハニー見てれば心の源泉からお金で変えない価値のものがあふれ出てるからどうでもいいけど」

ハニー「しっかり集めておきなさい。全く、商魂逞しいわね二人は。それじゃ、パーシーは?魔法省が改めたことで、帰ってきたのよね?」

ロン「……あー」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……どういうこと?だって、パーシーがお父様と仲たがいしたのは……私達が正しかったんだって、わかったはずじゃない?そうでしょ?」

ロン「奴さんも君の豚だったらよかったのになぁ……」

ハーマイオニー「ダンブルドアがおばさまに言っていたわ。『他人の正しさを許すより、間違いを許すほうがずっとたやすい』……パーシーは意地になっているんでしょうね」

ハニー「……ロン、今すぐロンドンまで行くわよ」

ロン「もちの僕さ、パースの家までひとっ飛びだぜ」

ハーマイオニー「強硬手段はやめて。本当にどうにかなってしまいそうだから、やめなさい」

131: 2013/07/08(月) 19:38:09.79 ID:Gx1gDByA0
ロン「他人の正しさー、か。ほんと、ダンブルドアが言いそうな含みのある物言いだよな。豚はヒンヒン言っておけばいいのに、伝わるのにさ」

ハーマイオニー「スタンダードのように語らないで」

ハニー「ダンブルドアと言えば。今学期、私に個人授業をするそうだわ」

ロン「……ちょっと定例会議の召集状を」

ハーマイオニー「そういう意味じゃないでしょ、黙って。は、ハニー、ほんと???ダンブルドアが、あなたに個人的に……教えることがある、って?」

ハニー「えぇ、今朝言われたわ」

ロン「おったまげ。あの豚はなんでだって、そんな……あー」

ハーマイオニー「シッ! えーっと……どうしてかしらね?気になるけど、そうだわ。あなたの豚だもの、えぇ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「えっと、きっとあなたに何かためになることを、教えて……」

ハニー「それは、違いないわ。だって――予言のことで、約束したもの」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「ねぇ、二人とも。私……わたし、話しておきたいことがあるの」


ハニー「予言の、ことなんだけれど」

165: 2013/07/11(木) 10:45:49.45 ID:1G73fhPK0
ハニー「新聞にあった通り。あの予言は、私とヴォルデモートに関することだったわ……ロン、動揺しないの」

ロン「な、なんのことかな僕ぁハニーの美しさに恐れおののいただけさヒンヒン!」

ハーマイオニー「で、でもねハニー。予言は、あの時壊れてしまったはずじゃ……」

ハニー「その予言が成されたのを聞いたのは、あの意地悪豚だったのよ」

ハーマイオニー「……」

ロン「……あんにゃろ、回りくどい事をしてくれるよな。マーリンの髭!」

ハニー「まったくだわ」

ハーマイオニー「校長先生についての対処は後々考えることにして……」

ハニー「……やっぱり機器察知能力高いわねダンブルドア」

ハーマイオニー「それで……予言の内容を、聞いた、のよね?」

ロン「赤子のハニーが世界中を魅了して魔法界がヤバイ、とかかな。大正解だよ、出来た予言者だなぁ。予言豚だ」

ハニー「あの人は豚になりそうもないけれど……えぇ、聞いたわ。それも、大体は新聞に書いてあった通り」

ハニー「あいつに止めを刺せるのは、この私だけ。それで。私とあいつのどちらかが生きているかぎり……もう一人は、生き残れない」

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……怖い、わよね。ハニー。えぇ、強がらなくてもいいわ」

ハニー「……今は、あんまり?」

ハーマイオニー「分かってる、だから私達に話してくれたんでしょう?そういえば、魔法省から戻って一時私達を避けていたのも、そういうことね……当然ですけど、私はそれを聞いたってあなたから離れたりしな……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー……あなたたちが一緒にいたら、私、なんでも乗り越えられそう。離れられなくしなくちゃ、ね……?」

ハーマイオニー「ちょ、ハニー、ちが、そういう、物理的な意味じゃなくて、いいえ、そう、そうでもあるけど、あぁ、そんな……私があなたに取り付くチズパーフルになって、しまうじゃない……」

ロン「つづけて、どうぞ!幸先がいいね!ヒンヒン!」

168: 2013/07/11(木) 10:59:42.60 ID:1G73fhPK0
ハーマイオニー「真面目な、ふーっ、お話を、ふーっ、して、いるの!」

ハニー「私は大真面目だけれど」

ロン「その通り、僕ら豚はまじめにどうぞることを誇りにしてる。ですからどうぞ、つづけてよ」

ハーマイオニー「黙って! とにかく、これでダンブルドアがあなたとの個人授業でなにをしたいか分かったわね」

ロン「ハニーに勝ち目があるからそうするんだろうしな。おっと、ハニーに待ってるのはいつだって勝利と歓喜と豚の歓声だけどね!もちのロンで!」

ハニー「えぇ、そうね。あの意地悪豚の助けも……頼りにしてあげることにするわ……それに」

ハーマイオニー「高度な防衛術を教えるのかしら……それとも、強力な反対呪文、呪い崩し……回避呪文全般とか?」

ロン「例のあの豚以下の弱点とかじゃないかな。なんだろ、マーリンの髭とか?」

ハーマイオニー「仮に存在したとしたらそれは大体の魔法使いは苦手でしょうよ、もう、真面目に考えて頂戴ってば」

ハニー「ねぇ、二人とも」

ロン「なんだハニー!僕のハニー!」

ハーマイオニー「なぁに、ハニー?」

ハニー「……二人とも、口には出さないけれどショックを受けてること、分かってるわ。私を誰だと思ってるの?」

ハニー「……あなたたちよりずっとずっと怖がりで、臆病なんだから。わたし」

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハニー「けれど、それでも……少しも尻込みしないで、一緒にいてくれて、嬉しい。あなたたちがきっとそう言ってくれるって、信じていたけれど……とっても、言葉に、できないくらい」

ハニー「っ、だい、好きよ!ロン!ハーマイオニー!」

ロン「僕たぶんいまヴォルなんとか素手でいけるとおもう」

ハーマイオニー「右に同じだわ」

170: 2013/07/11(木) 11:17:19.48 ID:1G73fhPK0
ロン「まったくもう、この部屋はあの二人が居た時はこの家の地雷源もいいとこだったのにさ。今や最高のオアシスだよ、頬が緩んで仕方ないね全く。マーリンの髭さ」

ハーマイオニー「ほんと。あなたの場合緩むのは頭のほうもでしょうけど」

ロン「君が言うかなぁ」

ハニー「……ニヤニヤしないの」

ハーマイオニー「存分にさせてもらうわ、えぇ。隣でね」

ロン「僕は下さ!ハニーの快適な座り心地は一番豚たる僕の役目だからね!ヒンヒン!」

ハニー「そうさせてあげるわ、もう……ふふっ」

ハーマイオニー「ともあれ……どうやらハニーは今学期とるべき科目が一つは確定しているようだし、私やロンよりはましね」

ロン「『闇の魔術に対する防衛術』って、『例のあの人に対抗するための防衛術』とかに名前を変えOちまったほうがいいんじゃないかな」

ハニー「とるべき科目、っていうのは?」

ハーマイオニー「ほら、先学期の末に話していたでしょう?六年生からは七年生で受ける『いもり試験(N.E.W.T)』でとる科目しか履修しなくていい、って」

ロン「じゃぁ僕ハニーと一緒でいいや」

ハーマイオニー「言うと思ったけど、それはあなたが全科目落第していなければね……あぁ、ふくろうテストの結果はいつくるのかしら……」

コンコンッ、ガチャッ

モリー「朝食は終わったかしら? 降りてらして、あなたたち三人に手紙が来てますよ」

ハニー「あら」

ロン「噂をすればなんとやらって……おい、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「」

ロン「……枕に顔埋めて何してんのさ、君」

ハーマイオニー「だ、だって、今日、いきなり、そんな――今日、だなんて!!!心の準備が!!!」

ロン「あぁ、気が利かないよな。前もってこの日この時間に結果を送りますよーって手紙をくれりゃぁよかったんだ、そうすりゃ徹夜して張り込んでママにバレる前に回収し……なんでもないよママ!だからその片手にもった大鍋を下ろしてもら――マーリンの髭!!!!!」

172: 2013/07/11(木) 11:35:28.74 ID:1G73fhPK0
キッチン

フラー「んーふん?こーっちの公的試験は大変でーす。五年生で受けーるなんて―限りある青春の日々に態々影を落とすとはこれ如何に―でーす」

ハニー「たまにとてつもなく流暢なのはなんなのよあなたは……ボーバトンではどうなの?」

フラー「六年間学んでから一度、あるだけでーす。わたーし、その方がいいと思いまーす」

ハーマイオニー「まったくその通りよねあぁどうしましょうどうしようあの時の訳し方はあれはどう考えても適当ではなかったわ『驚き桃の木』だなんて頭がどうかしてたとしか――」

ロン「今更どうあがいたって無駄なんだからブツブツ言うなよ……僕らにはハニーっていう女神がいるじゃないか。その加護で君は全科目『O・優』に違いないって」

ハーマイオニー「言わないで!!!言わないで!!!聞こえない!!聞こえないあーあー聞こえないわ!ハニーの声しか!!」

ジニー「今年は私もこうなるのかしら……ハニーの加護があるのはロンも同じじゃないの?」

ロン「あぁ、ハニーのおかげで僕はママから庭に埋められずに済みそうさ、もちのロンでね」

ハニー「あなたは私の豚なのだから、ベストを尽くしたのなら大丈夫よ。この私の言葉が信じられないの?」

ロン「ヒンヒン!なんてこった!僕の評価は全部マーリンの髭に違いないや!」

ジニー「……豚のPig繋がりで『P・不可』だったりしt」

ハーマイオニー「やめて!!!やめて!!!!聞こえない!!!あーあー不可なんて聞こえないわ!!!!」

ジニー「……ねぇハニー、ハーマイオニーがめんどくさい」

ハニー「そっとしておいてあげて頂戴、大事なことなのよ」

ロン「なぁハーマイオニー、ハニーがこう言うから触れないでやってたけどさ。いい加減盾はるのやめろよ、さっきからふくろうどもが空中で何かにガンガンぶつかってかわいそうだろ」

モリー「あぁ、てっきり防衛の呪文が働いているのかしらと思ったら……」

ガンッ!ガンッ!! バサバサッ!! ピィーーピィーーー!ヒンヒン!!!

174: 2013/07/11(木) 11:53:49.08 ID:1G73fhPK0
ふくろう「」ガタガタガタガタガタガタガタ

ハーマイオニー「こ、ここここの中に、この中に試験の、け、結果が……」

ロン「手紙外すならちょっと震えるのやめときゃどうだい、ほら、まるでふくろうが君の剣幕に怖がって震えてるように……どっちもか」

ハニー「ご苦労様、出来る豚ね」ツーッ

ふくろう「ピィヒン!ヒン!」

ジニー「なんで私たちふくろうじゃないんだろう」

ロン「飛べるんだけどなぁ、僕ら」

ハーマイオニー「どうしましょう、あぁ、どうしましょう、きっと全科目、全科目落第だわ!パパとママになんていえば」

ロン「ツッコミさえ放棄かいまったく……君が全科目落第だったら僕はどうすりゃいいんだい?」

ハーマイオニー「だってあんなに……ど、どうって!?どういう意味!?」

ロン「? 僕にいたっちゃ魔法使い剥奪もんの成績かもしれないじゃないか、って意味だけど」

ハーマイオニー「……あぁ、そういう」

ハニー「……」

フラー「……」

モリー「……っしゃぁ!」

ジニー「……」

ハーマイオニー「ニヤニヤするのはよして!そ、そんなことより成績!!!成績よ!!さっさとよこして!!」

ロン「その前に君が握りつぶしかけてるふくろう放してやれよ、まったく。マーリンの髭」

178: 2013/07/11(木) 12:09:59.29 ID:1G73fhPK0
ハニー「……ふーっ。まぁ、まぁね。この私が受けたのだから、それだけで全科目『O・優』じゃないのかしら、とは思うけれど」

ロン「全くだよハニー、むしろ新たに『H・ハニーのように高貴で可憐で儚げで伝説的で道徳的で家庭的』って評価を設けるべきだよな、もちのロンで」

ハーマイオニー「……」

フラー「オッオー、ハァニー?ほとーんど良い成績でーすけど、落第だめだーめさんが、ふたーつありまーす?」

ハニー「『占い学』がどうしようもないのは覚悟していたわ。『魔法史』は……テストの途中であんなことがあったもの。当然でしょうね」

ロン「あのゴースト教師、今学期から君がいないと知ったら成仏しちまうんじゃないかな」

ハーマイオニー「……」

ジニー「ロンは……フツーね」

ロン「僕にしちゃよくやったさ。そりゃ、ハニーみたいに『O・優』はないけどね。でもハニーとおんなじ7ふくろうだ!ハニー!僕やったよ!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、ロン。出来る豚ね、ご褒美をあげなきゃ」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!ヒーン!」

ハーマイオニー「……」

モリー「ハーマイオニー?えーっと、どうだったのかしら?」

ハーマイオニー「あ……あぁ、その……悪く、なかったわ」

ロン「触れてやるなよ、ママ。どーせあんなに騒いだ手前この成績を見せびらかすのは嫌味だしそもそも何か不備がないかとかで不安もあるしでも自慢はちょびっとしたくてそれはそれでやっぱり嫌味にならないか、とか考えてんだろうからさ」

ハーマイオニー「勝手にきめないで頂戴!ま、まだなにも」

ロン「あててやるよ、『闇の魔術に対する防衛術』が『E・期待以上』で、あとは全部『O・優』だろ?」

ハーマイオニー「……あなたどうなってるの」

ロン「そりゃ、ハニーの一番の豚だからね!ヒンヒン!」

183: 2013/07/11(木) 12:27:27.17 ID:1G73fhPK0
ハーマイオニー「ハニーはやっぱり『闇の魔術に対する防衛術』で『O・優』なのね」

ハニー「えぇ、そうね。当然だわ」

ハーマイオニー「そうでしょうとも……私が唯一取れなかったものでなんて、一層悔しい……」

ハニー「……私の苦手はあなたがカバーして、あなたの苦手は私が補えるわ。そう考えると、ステキじゃないかしら?」

ハーマイオニー「全世界に自慢したい成績だわ、私」

ロン「そりゃもう、そうだろうさ。ハニーと凸凹がかみ合うなんて羨ましいよ。成績の話だぜ、成績の。もちのロンで」

モリー「ナニやら盛り上がっていますけど。みんな、素晴らしいわ!ロン、ママは嬉しいわよ。7ふくろう!フレッド、ジョージ二人分より多いじゃない」

ジニー「流石は一番豚!」

ロン「あー、まぁね!でも、ハニーとかハーマイオニーに比べれば――」

フラー「ビルは、たーしか十二ふくろうだったと言ってまーした」

ハニー「フラー、空気を読みなさい」

フラー「? それは英語でーす?フランス語でーす?」

ハニー「そういうところよ、まったくもう」

ハーマイオニー「そういえば、パーシーも十二ふくろうだったわね……あの二人は、あんなに気の狂いそうな時間割を四年続けたの……?」

ロン「だからパースはぶっとんでたんだな、色んな意味で」

モリー「なんのお話?さっ、今夜は晴れてイモリ学生になる三人のために、豪華なお食事の用意をしないといけないわ。ジニー、手伝って頂戴――」

ジニー「あー、いいけど――」

フラー「わたーしも!」

モリー「座っていて頂戴、えーぇ、お客様なんですからねぇ」

フラー「んーふん? わたーし、この家の人でーす」

ハニー「……その空気は読まなくて正解よ、フラー」

184: 2013/07/11(木) 12:45:05.77 ID:1G73fhPK0
ロン「僕らはどうしようか。果樹園まではうちの境界線だから防衛が効いてるし、出られるよ。ハニーがいれば僕らの心は常に平穏と祝福で守られてるけど」

ハニー「えぇ、そうね。体が鈍ってはいけないもの。あそこは確か、飛んでも大丈夫だったわよね?」

ハーマイオニー「せ、せっかく成績が送られてきたのだから、時間割をきめましょうよ?ね?わざわざお休みなのに、飛行なんて……」

ロン「そりゃ君が恐ろしく飛行がへったくそだから嫌なだけだろ?」

ハーマイオニー「……飛べなくったって成績には関係ないわ!」

ハニー「あー、私、ファイアボルトをとってくるわね」

ロン「あぁハニーそんなことくらい僕が行くのに!ヒンヒン!」

ハニー「いいのよ。荷物の整理もしなくちゃいけないわ」

ロン「なんで僕って女の子じゃないんだろ……それで、なんだっけ?飛行が成績に関係ないって言ってもさ、限度があるよ全く。ハーマイオニー、君はそれでも魔女かい?」

ハーマイオニー「自分が得意だからって、なによ!みてなさい、私だって、そうね、ハニーの後ろに乗せてもらうわ!」

ロン「そりゃ無理だ、ファイアボルトの加速じゃ振り落とされっちまっても知らないよ。そんなに飛びたいなら僕の後ろにでも乗せるけどさ」

ハーマイオニー「えっ」

ロン「なんだよ、飛びたいんじゃないのかい?」

ハーマイオニー「あー、そう、まぁ、そうでも、あるわ」


ハニー「……ふふっ。さて、部屋に行かなくっちゃ」

ハニー「……成績」

カサッ

ハニー「……『O・優』の次、『E・良』がほとんど……けれど」

『魔法薬学 E』

ハニー「……スネイプは、O・優の成績の生徒しかとらない、って言っていたわ」

ハニー「……マクゴナガル先生が、あれだけ言ってくれたのに……『闇払い』を目指すのは、無理そうね」

ハニー「……そんなに、なりたかったわけじゃない、けれど」

ハニー「……ふーっ」

ハニー「……何かの間違いで、魔法薬薬の先生が代わらないかしら。願ってもないわ」

189: 2013/07/11(木) 14:06:10.80 ID:1G73fhPK0
数週間後

ロン「あぁハニー!君がこの世界に誕生してから丁度十六年目だなんてそんな場にいれる僕はなんて光栄なんだろうみんなもそうだろうなんてったて僕のハニーの誕生日おめでとうかんぱーーーーい!」

カンパーイ!

ハーマイオニー「音頭が長いわよ……おめでとう、ハニー」

ハニー「この私のお祝いだもの、仕方ないわね。えぇ、ありがとう。プレゼントはこの晩餐が終わってから存分にいただくわ」

ジニー「はじめて!」

ロン「どうぞ!」

ハーマイオニー「こんなに集まった中ではじめてたまるもんですか!」

ロン「どの口が言うんだろう」

ビル「相変わらず仲がいいなぁ」

フラー「ふふーん?わたーしとビルにはおよびませーん?ビル、ワインはどうでーす?」

ハニー「すっかりデレデレね、フラーは」

ロン「君のあの人へのあれには遠くおよばな痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「何より不謹慎よロン」

ハニー「気にしてないわ……そう、それで思い出したのだけれど。リーマスも来るのではなかったのかしら、お母様?」

モリー「そのはずだったんですけどねぇ。それに、アーサーも遅くって……あぁ、どうやら到着したようだわ!」

ジニー「? あぁ、パパの針が移動中に……」

コンコンッ

モリー「はいはい、あなたなのね、アーサー?今開けますよ」

アーサー?「あぁ、それはありがたい。だがね、モリー!ちゃんと私に質問をしなくてはいけないよ」

モリー「まぁ……アーサー、何度も言いますけどね、我が家でそんなわざわざ」

アーサー?「いいや、省の提唱したことなのだから私から実践しなくては。さぁ、質問を」

モリー「はい、はい……あなたの一番の望みはなんですか?」

アーサー?「飛行機がどうして浮いているのか解明すること! あぁ、あとそれに自動改札!券売機!一つほしいものだなぁ、どうしてもああいうものは個人では買えないこうなればキングズ・クロスに務める友人に……」

モリー「おかえりなさいあなた、早速ですけどお話がありますから奥に」

アーサー「」

192: 2013/07/11(木) 14:22:58.57 ID:1G73fhPK0
ハニー「……元気そうでよかったわ、お父様。それに……リーマス!」

リーマス「やぁ、ハニー。あー、誰か一応私に質問した方がいいのではないかな?」

ハニー「そうね……私の守護霊は?」

リーマス「君のお父さんだね、まったく滅茶苦茶な奴だった」

ハーマイオニー「牡鹿って答えてほしいわ」

ビル「父さんと一緒だったんだね。遅れているから、心配してたところですよ」

リーマス「少し問題が起きたんだ……吸魂鬼の襲撃事件がまた起きた。今月、これで何件目なのやら」

ロン「その場にハニーの写真一枚あれば逃げ出したのかもしれないのになぁ。一家に一枚」

リーマス「抜群の護符だろうね、あぁ。それに、ついに奴の氏体が見つかった……イゴール・カルカロフ」

ジニー「カルカロフって、ダームストラングの校長だった、あのカルカロフ?」

ハーマイオニー「あれからずっと行方不明だ、って、ビクトールは言っていたけど……」

ロン「ご大層な手紙と言う名の大長編小説でかい?マーリンの髭! でも、よくこれまで生き延びてたなぁ」

リーマス「あぁ、奴の元来の狡猾さの成せるわざだろう。よくもったほうだ、レギュラスなどは離反してから数日もたなかったと聞いたし……おっと。あー、レギュラスというのは……そうだな……昔飼っていた子犬……」

ハニー「知ってるから平気よ、リーマス」

ロン「あの人に立ち向かう子犬ってそれはそれで凄いよな」

ハーマイオニー「家族を守ろうとしたんじゃないかしら」

193: 2013/07/11(木) 14:41:47.36 ID:1G73fhPK0
ハニー「あの人はどこで見つかったの?」

リーマス「北の方の掘っ立て小屋、闇の印があがっていたそうだよ……ヴォルデモートに追い詰められたか、それとも連中か」

モリー「ごめんなさいねみんな――きゃぁ!?あー、あら、えっと!も、もっと楽しい話をすればどうかしら……」

ビル「フローリアン・フォーテスキューの話を聞きましたか?ダイアゴンの、アイスクリーム屋の」

ハニー「……どうなったの?」

モリー「あ、あー!そろそろケーキを切り分けましょうか?ビル、ほら、お前の好きなチェリーの……」

フラー「んーふん?ビルはチェリーは好きではありませーん。ロナールドにあげればどうでーす?」

ロン「うるさいな!マーリンの髭!」

ビル「後でいいよ、母さん……現場の様子じゃ、拉致されたみたいだ。殺されているかはわからない。多分、連中の気に触ることでも言ったのだろう……フローリアンは気の良い奴だったから、落ち込んでる客でも元気付けようとして」

ハニー「……えぇ、そうね。とっても親切な……お友達だったわ」

アーサー「ダイアゴンと言えば――オリバンダーもいなくなった」

ハーマイオニー「杖つくりの、あの人が!?」

アーサー「そう。だが、争った跡がなかった。あの人のことだ、ひょっとすると手にかかる前に自ら姿をくらませたのかもしれない――彼の作る杖は、他の物とは別格だったからね」

ハニー「でも、もしも――あの人が、ヴォルデモートに掴まってたら」

モリー「それじゃ!えぇ!フレッドとジョージから送られてきたこのドラゴンのような蝋燭に火をつけましょうか!えぇ!ハニーの誕生日ですからね!奮発よ、そーれ!!」

ロン「ママ、ママ、そりゃあの人の話でハニーの誕生日っていうめでたい空気が壊れるのは嫌だけどハニーが知りたがってるんだから、というかその蝋燭確実にあの花火じゃないかハニーあぶな熱い!!!マーリンの髭!!髭!!!!!」

195: 2013/07/11(木) 15:06:57.94 ID:1G73fhPK0
翌日

ハーマイオニー「……昨日は結局、少し暗い空気で終わったわね、あなたの誕生会」

ハニー「そうね……お開きになって寝室に戻ってからは、とってもいい空気だったけれど」

ロン「ピンク色だったんだろうなぁ、マーリンの髭。ごめんよ、ママがうるさくてさ」

ハニー「いいのよ、お母様は悪気があるわけじゃないもの……フラーのことは早く認めてあげてほしいけれど」

フラー「わたーしの高貴で可憐でどこまでも絶世っぷりが、なんでーすか?」

ハニー「なんでもないわよ。そういえばその煽りも英語で言えるようになったのね」

フラー「ふふーん、男子三日会わざれば利目して見よ、でーす!」

ハーマイオニー「英語を習っているはずなのにどうして出てくるのは東洋の言葉なの……?」

フラー「とこーろで、あなたたちにまたお手紙でーす。今朝届きまーした――はいハァニー。ハァミオニー、ロナールド」

ロン「どうも。なんだろ、やっぱり全科目Pだったとか……あ、ホグワーツからのだ」

ハーマイオニー「新学期と、新しい教科書のリストね……あぁ、教科をどうしようかしら」

ロン「なんとかかんとか言って、けっきょく全科目継続するんだろ?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「どうかしら……うーん、『魔法生物飼育学』をどうするか迷うわ……もちろん、あー、ハグリッドが嫌だということではないのよ!?でも、私のやりたいことに必要かどうか……ハニー?」

ハニー「……」

ロン「? どうしたんだい、封筒を開けてから固まっちまって。鏡でもみたのかな。君が絶句するほど完璧なのは今に始まったことじゃないよ?」

ハニー「これ……これ!!見て!!!」

ハーマイオニー「な、なに、あぁ、目輝かせるハニーって……バッジ?」

ハニー「またバッジ、って言いたいけれど!それどころじゃないわ!私、わたし!!!クィディッチのキャプテンよ!!」

ロン「! ヒンヒン!やったぜ!分かってたよハニー!今のグリフィンドールに君ほど飛行バkゴホンクィディッチ大好きな人はいないしね!ヒンヒン!」

フラー「すごーいでーす、ハァニー!」

ハーマイオニー「素晴らしいわ!それに、あぁ!これであなた、監督生と同じ待遇よ!例えばほら、私達と同じバスルームをつかえたり……きゃぁ!?」

ハニー「ありがとう、えぇ、ハーマイオニー? ふふっ、わざわざそんなことを言うなんて、そういうことよね……なにも同じお風呂にはいるのは、城に戻ってからじゃなくても、いいと思わない……?」

ハーマイオニー「あぁハニー、そんな、そんなつもりじゃ、あぁ、あなたとお風呂なんて、私、水中人になるまで入っていたく、なっちゃうわ……」

ロン「つづけて!」
 
           ジニー「どうぞ!!!」

フラー「オッオー、レOビアーン」

197: 2013/07/11(木) 15:28:52.64 ID:1G73fhPK0
キッチン

ロン「ハニーの下でクィディッチをプレーできるなんて光栄だなぁ。まぁ、常に僕ぁ物理的な意味でハニーの下だけど」

ハーマイオニー「箒やらなんやら大暴れでしょうね、まったく」

ロン「あぁ、でも……そっか、僕がチームに残れたら、の話か……アハハ」

ハニー「平気に決まってるじゃない、ロン。あなたは私の豚でしょう?それに、先学期の最後の守りができたのなら、メンバー入りは確実よ」

ジニー「確かにあれはすごかったわ……私も今年は、スタメンメンバーになれるように頑張ろうっと!あぁ、ハニーに命令されるなんて考えただけで……!ハッ、いつもと変わらないわ!?」

ハニー「私が、命令?おかしいわね、私はいつもお願いしているだけだと思うのだけれど?」

ロン「ヒンヒン!」

ジニー「違いないわハニー!」

ハーマイオニー「ブレないわねまったく……えぇっと、そういうわけでおばさま」

モリー「えぇ……はぁ。これが来たとなると、ダイアゴン横丁へ買い物に行くのを先延ばしにはできないわね」

ロン「やったぜ。あの二人の店がやっと見られるってわけだ」

ハニー「フレッドとジョージの……あら?まだ行っていなかったの?」

ロン「あぁ、君の教えで家族は大事にするのはもちのロンなんだけどさ!」

ジニー「ママが、絶対にパパ抜きじゃダメって言うのよ」

モリー「当然です!今度の土曜日がお休みですけど、お父様がまたお仕事になったら延期ですからね!」

ロン「ねぇママ、例のあの人がフローリシュ・アンド・バンクスの書店で立ち読みでもしてるってのかい?ありえないよ」

ハニー「マナー講座の本かもしれないわね。お辞儀のページを」

モリー「フォーテスキューやオリバンダーのことを忘れてないでしょうね!?えぇ、昨日さんざ話したあのことを!そうですか!安全措置なんて笑止千万というのなら、ここに残っておいてもらいますよ!」

ロン「そんな!あー、ママ、冗談、冗談だよほんの……」

モリー「大笑いですこと! いいわね、お行儀よくしていないと母さんは全部一人で買い物を済ませてきますよ!」

フラー「オッオー、それならわたーしも着いていきまーす!」

モリー「ぜっっっっっったい良い子にしていなさい!?いいわね!?いいわね!?た、多少なら目を瞑るから!」

ハーマイオニー「……おばさま、ブレまくりだわ」

ジニー「フラーと二人で買い物、なんて。ママにとっては悪夢よ」

ハニー「……ねぇお母様」

モリー「ハニー、言いたいことはわかるわ。お世話様……あぁそういえば土曜の予定を、リーマスにも確認しないといけなわねぇ」

ハニー「リーマス? 護衛についてくれるの?」

モリー「えぇ。だって、約束していたでしょう?あー……」


モリー「夏休みに、彼と……お見舞いに行く、って」

ハニー「……えぇ、そうね。そうだったわ」

199: 2013/07/11(木) 15:38:25.96 ID:1G73fhPK0
細切れですまない。ここで区切り
土日のどちらかに一日かけて進めていく。どちらかは明日
今まで以上にノロノロになってまうが、完結はさせるんで気長に付き合って欲しい
じゃあの

231: 2013/07/14(日) 10:47:12.01 ID:D7hIcm0R0
土曜日

ロン「ハニーと出かけるっていうおったまげるほどめでたいイベントだってのに、なんだよこの曇り空!ハニーがいれば心は晴れやかは常套句だけどさ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「あなたの減らず口も曇ればいいのだけどね」

ハニー「私は曇りくらいが丁度いいと思うわよ?」

ロン「やるなこの空!さてはハニーの豚だな!?」

ハーマイオニー「命あるものに限るのは諦めたからせめて固有物して」

アーサー「みんな揃ったかな?ビル、留守を頼んだよ」

モリー「アーサーが急な出勤を命じられたら、すぐにみんなを暖炉で返しますからね。いい?誰ととは言わないけれどベタベタしていたら見られてもしりませんよ?」

ビル「母さん、色々考えすぎだよまったく。みんな、行ってらっしゃい。あぁ、そうだった。ほら、ハニー。金貨だよ」

ジニー「巾着一杯の金貨……び、ビルも同胞だったの!?ひ、ヒンヒン!?」

ビル「いや僕は兄さんだけどねお前の」

ロン「ビル、ハニーに貢ぐなんてそりゃ見上げた精神だけどさ。んなもの貰ったら僕のハニーは恐縮でオロオロしかねn痛い!ありがとう!」

ハニー「誰がなんですってこの豚。えぇっと、ビル。それはどういう?」

ビル「君のだよ、ハニー。今のグリンゴッツの警備体制じゃ、ちょっと金貨を取り出すのにも何時間って手続きが必要だからね。君が小鬼に体中検査されるのは、そこの二人が黙ってないだろう?」

ハーマイオニー「その前に小鬼が黙ることになるわ」

ビル「おっとこっちにも鬼がいた。そいうわけで、先に下ろしてきたのさ」

フラー「ふーふん!このひーとは、いつでもおもいやりがありまーす!」

ビル「まぁ本当のところ長引いてくれれば二人でいる時間が増えてフラーとナニかする時間が稼げたんだけどね、ハハハ」

フラー「!?」

ハニー「……?」

ハーマイオニー「二人で仲良くお話できるということよ、ハニー」

モリー「……やっぱり庭小人を家の中にいれておこうかしら」

ロン「そしたら先にハニーがあいつらをどっかにやってくれるよ、庭豚だからね。ヒンヒン!」

234: 2013/07/14(日) 11:06:59.09 ID:D7hIcm0R0
チャリング・クロス通り

運転手「到着しました、漏れ鍋前です。ここで待機しますが、どのくらいかかりますか」

アーサー「ありがとう……そうだな、1、2時間といったところだろう」

運転手「正確にお願いします、規則ですから」

アーサー「……君、こないだ勤務中にパブに寄って」

運転手「どうぞご自由に!私はいつまでもここで待っていますので!えぇ!」

ロン「お?豚かな?」

ハーマイオニー「忠犬という感じね、言い方は。えぇ、ハニー。なんでもないわ、謝るからその期待顔おろして頂戴」

ジニー「家を出てからここまで、あっという間だったわね。さっすが魔法省の特別車」

ロン「ハニーのために送迎なんて、扱いをわかってるよなぁ。去年の扱いを考えたらまだ足りないけどね。マーリンの髭」

ハニー「えぇ、そうね。省総土下座の上、全員が人間山車になって私を出迎えるくらいするべきだと思うけれど」

アーサー「そういう案もあったがね……目立ちすぎるからやめにしよう、と」

ハーマイオニー「おじさま、問題はそこじゃないと思うわ」

アーサー「とにかく、ハニーには魔法省からの一級セキュリテイ資格が与えられているんだ。ダイアゴンに入ったら、追加の警護も待っているよ」

ジニー「せっかくハニーとおでかけなのに、マッド‐アイみたいなムーディ、もといムードない人がゾロゾロなんて嫌よ!」

ロン「豚なら山ほどいるのにそんなムディムディしなくってもいいじゃないか!」

アーサー「いやマッド‐アイがたくさんいたら確かに殺伐とするがね、分かってくれ。安全のためだ……それに、そう悪くない警護だと思うがね。ほら、漏れなべの前をみてごらん」

ハニー「? ……!ハグリッド!」

ハグリッド「ハニーーーーー!ヒンヒン、ヒーーーーーン!」

ハーマイオニー「目立ちすぎるからやめるってなんだったのかしら……」

ロン「いい役回りで登場だなぁハグリッド!羨ましいよ!マーリンの髭!」

ハグリッド「相変わらずハニーのクッション代わりになっちょるお前さんには言われたくねぇな!」

237: 2013/07/14(日) 11:24:49.29 ID:D7hIcm0R0
ハニー「会えて嬉しいわ。それに、聞いたわよ。バックビーク――ウィザウィングズのこと」

ハグリッド「あぁ、そう、そうだ!あいつの喜びようといったらなぁ!また外に出られてそりゃもう、おまえさんを一目見た人類くらい歓喜にあふれちょった!」

ハニー「えぇ、そうね。それくらい、嬉しいでしょうとも」

ハーマイオニー「随分翼を伸ばしてなかったと思うけど、平気だったのかしら……?」

ハグリッド「あー、そこを少し訓練しねーといけねーな。俺を乗せて飛べなんだ」

ハーマイオニー「あなたを乗せて飛べてたら全快どころか限界を超えてると思うわ」

ロン「ハニーの豚だからなぁ」

ジニー「限界?なにそれ?スタートラインでしょ?」

ハーマイオニー「ぶっちぎっておいでの二人は黙っていて。護衛は、あなただけなの?」

ハグリッド「あぁ、省の連中はぎょーさん闇払いをよこそうとしちょったんだがな。ダンブルドアが俺一人で十分だって言っちょくれたんだ。それから、後でリーマスも来るぞ」

ハニー「リーマス?」

ハグリッド「俺ぁ、どうにも病院ってのが苦手でよぉ」

ハニー「あぁ……そういうこと。えぇ、いいわ。あなたにはあなたに出来ることをしなさい、ハグリッド。さぁ?」

ハグリッド「ヒンヒン!よ、っと!おぉハニー、こうしてお前さんを肩に乗せると、まるで昔に戻ったみてーじゃねーか?え?」

ハニー「昔も今もこれからも、あなたは私の豚に違いないでしょう?」

ハグリッド「そりゃそうだ!ヒンヒン!」

241: 2013/07/14(日) 11:57:24.05 ID:D7hIcm0R0
漏れなべ

カランカラン

トム「いらっしゃい……おぉ、おぉー!ポッターさん!あぁなんとご機嫌うるわヒン!ヒンヒン!」

ハニー「ハァイ、宿豚。元気に……とは、言えないみたいね」

ハーマイオニー「いつもはあんなに活気のあるパブなのに……空っぽだわ」

ロン「定例会議真っ盛りだったのになぁ……ヘイ同胞、元気出せよ」

トム「これはどうも……ついでに宿泊はいかがですかな?」

モリー「ごめんなさいね、トム。今日は日帰りなの……こんなご時勢だもの」

ハグリッド「俺もだ、ホグワーツの仕事だからな、あぁ」

アーサー「あー、今度帰りにでも寄らせてもらうよ、トム」

トム「……ありがとうよ」

ハニー「頑張りなさい、私の豚でしょう?」

トム「ヒンヒン!ありがとう!!よぉーし!グラスが見えなくなるくらい磨くぞぉー!」

ハーマイオニー「この差」

ジニー「ハニーからの励ましの言葉は起爆剤よね、うん。精神的に」

ロン「肉体的にもね」

ハーマイオニー「薬か何かにしないで」

ハグリッド「そんじゃ、ダイアゴンに向かうぞ。ちょいと暗くなっとるが驚かねーでくれ」

ロン「ハグリッド、できれば僕かハーマイオニーも一緒に肩に乗せたほうがいいかもね。何せそんな空気だとしたらハニーは……」

ハニー「ハグリッド」

ハグリッド「ヒンヒン!なんだ、ハニー!?」

ハニー「あなたの渾身でロンを踏み潰したら、どうなるのかしら」

242: 2013/07/14(日) 12:16:59.30 ID:D7hIcm0R0
ダイアゴン横丁

ハニー「……確かにここには三年ほど来てなかったけれど、あまりにも……変わり過ぎだわ」

ロン「ショーウィンドウのほとんどが指名手配犯のポスターとかで覆われてら。ハニーのブロマイド貼っとけよまったく。それとも、そうだな。ポスターなみにペラくなっちまった僕とか貼っておこうか。ペラナルド・ウィーズリーってね」

ハーマイオニー「確かにペシャンコになるほどのプレスだったでしょうけど、今のところ人類の姿形のままだから冗談にならない冗談やめて」

ジニー「ポスターどころか、そもそもショーウィンドウそのものが無くなってるところもあるわ……板がうちつけられて。あそこって、アイスクリーム・パーラーの……?」

アーサー「……あんまりみないでおきなさい。さぁ、進もう。少し手狭になっているから、ハグリッドに続いてゆっくりいくんだよ?」

ロン「手狭、かぁ。うん、ハグリッドじゃなくてもこりゃぁね……石畳のそこかしこに、出店みたいなのがニョキニョキ作られてんだもんなぁ。マーリンの髭!」

ハーマイオニー「許可をとった店舗じゃなさそうね……売ってるものも……うさんくさいわ」

魔女「ウェッヘッヘッヘhゲホッ、ゴホッ!ゲフッ……ウェッヒッヒッヒッヒッヒ、お嬢さんたち、護符はどうだい?」

ハニー「……あなたいつかのノクターンにいた……相変わらず無理してその笑い方してるのね」

魔女「奥さん、かわいいお子さんを守る為にこのねっくれすはどうかねぇ?エーッヒッヒッヒッヒ!」

モリー「遠慮するわ。ほら、みんな進んで進んで」

アーサー「……仕事中ならば、あんなものを扱うところを見たら……いや、むしろ今ここで」

モリー「アーサー、分かりましたから早くいきましょう……えーっと、お買い物を手早く済ませるには、順序よく行きましょうか。ハーマイオニーは新しいダンスローブが必要だと言うし、ロンとハニーは制服のローブを……まずは、マダム・マルキンのお店へ」

ハグリッド「そんなら、俺がこいつら三人をつれて行ってくらぁ。モリー、お前さんたちは他のを行っとくれ。その方が早ぇだろうが?」

モリー「えぇ――でも、あぁ――二手になんて」

アーサー「平気だよ、モリー。ハグリッドに任せよう」

ハニー「安心して、お母様。ハグリッドは私の豚だもの」

ハグリッド「あぁ!あの連中が来たら全力で、な?ロン」

ロン「ああ、丁度ここに来たネビルを全力でぶん投げよう」

ネビル「ハニー!会えて嬉しい!ヒンヒン!そしてわぁい!ひどいや!なれっこさ!」

ハーマイオニー「ネビル……せめて氏んだ目になって。輝いた目のまま受け入れないで。泣けてくるわ」

251: 2013/07/14(日) 14:32:05.76 ID:D7hIcm0R0
ロン「相変わらずネビルは漢だったなぁ、豚の中で」

ハーマイオニー「出会い頭であんな提案をされたのにあの返しだものね……冗談だと分かってるからでしょうけど」

ハニー「おばあさまと一緒だったわね……みんな、誰かしらと一緒だけれど」

ハグリッド「俺がお前さんらと一緒なようになぁ。あぁ、今はあんまり一人で出歩くのはいけねぇよ、うん」

ロン「あの対闇の連中パンフレットだかにもそう書いてあったっけ。その点ハニーは大丈夫だよ、どこに出かけようとも現地豚がいるし」

ハーマイオニー「英国産だけで十分よもう」

ハグリッド「マダム・マルキンの洋裁店、っと。ここはやっとるな、良かったよかった。さっ、ハニー。降りとくれるか?」

ハニー「そうしてあげるわ……あなたは入らないの?」

ハグリッド「俺が入るにゃちーっと狭すぎるからな。表で見張っとこう。ロン、ハニーを頼んだぞ!ヒンヒン!」

ロン「誰に向かって言ってんのさ!僕はハニーの一番の豚だぜ?もちのロンさ!」

ハーマイオニー「勇ましい首輪ですこと」

カランカフォイ

ハニー「……フォイ?」



「母上、お気づきでしょうが僕はもう子供じゃないんだ。買い物くらいは一人でできます」

「何を言います、ドラコ。私はあなたが心配なのです――買い物だけではありません。あの男に誓いをたてさせとはいえ、本来ならばあの城に戻させる事も――だから」

「いいや、母上!聞きたくありません」


ロン「……マーリンの髭」

ハーマイオニー「……最悪のタイミングね」

ハニー「……ここに着いてから初めての、嫌な出会いだわ。マルフォイ」



マルフォイ「……母上が自分用に学校のローブを作っても母上は城には入れませんから!いいから外で待って、やめ、おい!マダム!ひきつった顔をするくらいならやめろ!困ルフォイ!」

255: 2013/07/14(日) 14:59:08.94 ID:D7hIcm0R0
マダム・マルキン「マルフォイ様?あー、ナルシッサ様?こちらのローブなんてどうでしょう、あの、もちろん貴女様はお若いですが学生用のローブは、あー、キツイといいますか――ひぃ!すみません、すみません!」

ナルシッサ「……いいでしょう。ですが、ドラコ。いいですか、城ではおとなしく――」

マルフォイ「僕はやらないといけない、分かっているでしょう母上。僕は父上の分までやらなくちゃいけない――おや」

ハニー「……」

マルフォイ「母上、何か臭いとお思いなら原因は今入ってきた奴らですよ。コソコソイタチのウィーズリー、ポッティーのいかれポンチ、それに極めつけは、汚らしい穢れた血だ」

ロン「オーケーマザコンマルフォイ略してママフォイ、お前の血で店の中を匂わせてやろうか」

マルキン「マルフォイ坊ちゃん、そんな言葉はお使いにならないで!そちらの坊ちゃんも!店の中で暴力はおやめなさい!」

ハニー「間接をきめるのは暴力にはならないわよね?」

マルキン「程度によりますけどその目折る気満々でしょう!?お断りです!」

ハーマイオニー「ねぇ二人とも、やめましょう?構うだけ無駄よ、そんな価値ないわ」

ロン「あぁ、価値はないだろうさ。君にあんな口きくゴミ野郎を片付けるだけだからな」

マルフォイ「なるほど、ウィーズリー?ゴミ屋敷に住んでいる君はそのお手並みも知れそうだねぇ?」

マルキン「おやめなさい! あぁ、奥様!どうか加勢を!」

ナルシッサ「……お黙りなさい。私の息子に気概を加えれば、それがあなたたちの最後の仕業にしてさしあげますよ」

ハニー「へぇ?」

ナルシッサ「言葉の暴力もやめなさい。ドラコは繊細なのです。ドラコ、母の後ろに。すぐに追い払いますからね。それまでこのバタービーr」

ドラコ「母上黙って。お願いだから黙って」

ハニー「なぁに?元闇の輩()の大将格のご婦人って、そんなに偉い立場だったのかしら?今から連中を集めて私達を攻撃でもするの?」

ナルシッサ「……口の利き方を知らないようね、小娘」

ハニー「そっちこそ」

256: 2013/07/14(日) 15:18:34.32 ID:D7hIcm0R0
ナルシッサ「ダンブルドアのお気に入りはどこでも自分が安全で特別だとでも思っているようね。いつでもあの老いぼれがあなたを護れるわけではありませんよ」

ハニー「あら、なら試してみればいいじゃない。確かにダンブルドアは今、ここにいないわ。杖をむけてみればどう?草葉の陰、アズカバンの影で敗北者の誰かさんが喜ぶんじゃないかしら?」

マルフォイ「ポッター!母上にむかって!よくも!よくもそんな――うわっ!?」

ロン「採寸中のローブにずっこけてやがる、だから足元が見えてないって言うんだよフォイフォイ野郎め」

ナルシッサ「いいのよ、ドラコ。私達がルシウスを迎えるときには、ポッターは――愛するシリウスと一緒にいることでしょう」

ハニー「あら、予言をどうも」

ロン「あったまきたこいつら、マ髭天を突くとはこのことだぞこんちくしょう!」

ハーマイオニー「ロン!ダメ!ダメったら!!落ち着いて、拳と、杖を下ろして!」

ドラコ「ふんっ……母上、行きましょう。こいつらの顔なんて見たくもない」

ハニー「こっちの台詞よ」

ナルシッサ「えぇ、ドラコ。この店の客がどれだけクズで見下げ果てた愚か者か分かった以上、用はないわ。トウィルフィット・アンド・タッティングの店に行きましょう」

マルキン「あぁ、そんな!奥様!奥様あの、スリザリンのローブも、三角帽もつけますからぁー!!」

ナルシッサ「……あとで屋敷しもべにとらせに――」

ドラコ「母上行きましょうさぁ行きましょう間違ってもホグワーツにはこさせませんしこの店にもこさせませんけどね!」

カランカラン、バタフォイッ

ハニー「……ほんと、家族揃って」

ロン「まったくだよ。ハーマイオニー、もう離してくれよまったく。それともまだ信用おけないから繋いでおくつもりかい?」

ハーマイオニー「構っちゃだめよ、もう……繋ぐ?あ、あぁ!それは、あー、でもそうね、あなたいつまた暴れだすか、いいえ、でもそんな――」

ハニー「マダム。学校用のローブと、ダンスローブと、あと何年後か分からないけれどウエディングのものとかを――」

ハーマイオニー「ハニー!」

ハニー「任せて。世界一綺麗って言わせてみせるわ」

ロン「え?なんだい?ハニーの装飾語?そりゃ今更だよねヒンヒ……イタタタタタタタタ!!!ハーマイオニー!おい!手!握った手っがっいったっいってマーリンの髭!!!!!」

259: 2013/07/14(日) 15:31:30.11 ID:D7hIcm0R0
数十分後

カランカラン

ハグリッド「おう、終わったか。全部買えたか?え?」

ロン「あぁ、僕ぁあやうく右袖が二倍くらい広くなるところだったけどね。誰かさんのおかげでさっきまで右手がはれ上がってたから」

ハーマイオニー「自業自得よ」

ロン「なんの業で何を得たんだろうね僕ぁ。わけが分からない」

ハニー「いつかそちらにちゃんと目覚めればいいけれど……ハグリッド、マルフォイ親子と会った、わよね?」

ハグリッド「おぉ、相変わらず俺を家畜かなんかを見る目で見ちょった。不愉快な奴らだ、俺ぁハニーの豚だっちゅうに」

ハーマイオニー「共通項にあるはずなのだけどねその二つの言葉」

ロン「ハニーの豚ってだけで世界は広がるよなぁ、ハニーだし」

ハグリッド「ハニーだしな」

ハニー「えぇ、そうね。私だもの」

ハーマイオニー「誰か私に諦めろって言って」

262: 2013/07/14(日) 16:04:04.97 ID:D7hIcm0R0
モリー「ふぅ、ふぅ。あぁ、ローブは買えたのね?みんな大丈夫?ロン?頭から血を流していたりしない?」

ロン「ママ、これ赤毛だよ知っての通りね。平気さ、ちょっと僕の右手が粉砕骨折しかけたけど」

モリー「あぁ、それはもう自業自得をしたんでしょう、えぇ。母さん分かりますよまったく」

ロン「世の中理不尽だよ」

ハグリッド「アーサー、モリー、ジニー。俺に教科書預けとけや。お前さんらはまだ回るところがあるだろう?」

アーサー「あぁ、ありがとう。すまないね、荷物もちのようにしてしまって」

ハグリッド「なぁに、ハニーが肩におるから百人力だ!心配ねぇ!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。力があふれ出てしかたないでしょうね」

ロン「あと涙とかね。あぁ、豚に生まれてよかった」

ハーマイオニー「謝って。おばさまにあやまって」

モリー「仲がいいことはいいことだわ。さ、て。薬問屋と、ふくろう百貨店に行きましょう。あまり時間がないわ」

ジニー「パパが脅し、ゴホン、説得したから時間ならたくさんあるでしょ?ママ」

モリー「そうでなくてもあまり時間をかけられないの!危険なんですから……すぐに買い物を済ませて、それから、えぇ、すこーしだけフレッドとジョージのお店に行きましょう」

ハニー「あの二人のお店、って……」


バーーーン!!パーーーーンパーーーーン!!
ヒュゥウウウウルルルルルルパーーーーーン!
  ガヤガヤガヤガヤワイワイワイワイワイ キャァアアアアアアア! フォォオオオオオオイ!

ハニー「……通りから離れてるここからでも分かる、騒音と光と悲鳴がする、あそこね」

モリー「……何をやっているのかしら、あの子たちはもう」

264: 2013/07/14(日) 16:19:37.65 ID:D7hIcm0R0
WWW(ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ)

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
 ワイワイワイワイワイワイ

ハニー「……ここだけ、別の通りみたいに人がたくさんいるわ」

ハーマイオニー「……そうでなくても、周りの寂れた外見からこの目立ちすぎな店構えは別世界よ」

ヒュルルルルルルルル!
 パーーーン!パーーーーン! ヒンヒン!

ロン「店の周りをいくつも花火が飛び回ってら……あっ!あれヒンヒン花火じゃないか!買い足さないと!」

ジニー「目がチカチカするわね。あれ?こっちのショーウィンドウに貼られてるのって、例の魔法省のパンフレット……?」

モリー「ま、まぁ……えぇ、あの子たちもお父様の仕事に敬意を示して、こうして自分達のお店にちゃんと……」


――――――――――――

『例のあの人』なんて気にしてる場合か!?

ウンウン唸って閉じこもってる場合か!?
 
そんな堅物野郎にお見舞いしよう!

我らがお送りする新製品、『ウンのない人』!

トイレに閉じこもれば『あの人』も手が出せない!

便秘のセンセーション! 国民的センセーション!

――――――――――――

ハニー「……っふふ。わざわざあの紙と文字様式までそろえて、この文面だなんて」

ロン「ひっでーセンス!HAHAHAHAHAH……あ」

モリー「」

アーサー「……モリー、ほら、二人はほら、我々を笑わせようとしてだね」

モリー「大笑いですとも、えぇ……あいた口がふさがらないわ、まったく!!まったく!!!」

268: 2013/07/14(日) 16:50:57.17 ID:D7hIcm0R0
店内

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ ヒンヒン!

ロン「すっげぇ人ごみ。あっ、同胞がいる!ヒンヒン!」

ハニー「表の陰鬱な空気がどこ吹く風だわ。ふふっ、ほんと、笑い飛ばしてくれるんだから」

ハーマイオニー「もう少しデリカシーを持って欲しいところだけど……前のダイアゴン横丁の活気が、ここだけは見られるみたいね」


フレッド「おーやおや、そんじゃ粛々と商売していて活気がないお店でこんなもんが売れるかね、獅子寮の才女様?」

ジョージ「いいやいや、俺達がちょいとふざけたことをしてるから丁度良いんだろうさ。なぁハニー?我らが女王様」


ハニー「ハァイ、二人とも。えぇ、そうね。素敵なお店だわ」

フレッド「君に太鼓判を押されたとなると自信がつくねぇ」

ジョージ「豚どもが大興奮してやまないだろうなぁ、あぁ」

ロン「これ、杖も売ってるのかい?」

フレッド「おぉともロニー、我らが『だまし杖』だ。オリバンダー老の作とまではいかんがね、こいつが中々によい出来をしておるのじゃよ、ほっほっほ!」

ジョージ「そうともロニー。こやつらはのう、安いのは振るとゴム製の鱈やら鶏になるだけじゃが、高いのになると騙された馬鹿の頭をしこたま叩くのじゃ」

ハーマイオニー「どうして老の字が出た瞬間年寄りになってしまうのよ……ねぇ、この『特許・白昼夢呪文』って!?」

フレッド「傍目には眠っていなくても、使った奴が好きな夢をきっかり三十分みられる、って代物さ。十六歳未満使用お断り」

ジョージ「殆ど気づかれることはないな。ただし、ちょいとボーッとした顔になるのと、夢によっちゃ涎と鼻血が困り物だね」

ハニー「? 美味しい食べ物の夢とか……鼻面を殴られる夢ということ?最初のはいいけれど、二つ目はなんだか物騒ね」

フレッド「おうハニー、できれば君はそのままでいてほしいものだねぇ。男の夢の具現化したような君はさ」

ジョージ「まぁあれだ、そこのロニー坊やが使えば君と才女様がナニかをよろしくしてるところなんだろう」

ロン「ハニーはそのものが夢みたいなもんだもんな、もちのロンで」

271: 2013/07/14(日) 17:18:18.77 ID:D7hIcm0R0
フレッド「君たち三人だけか?おふくろを連れて来てないのはよくやった」

ジョージ「表のあれを見られたらどうなるか分かったもんじゃないからな」

ハーマイオニー「ばっちり同行しているわよ。この人ごみではぐれてしまったけど」

ロン「息巻いてたぜ、例のウンでさ」

フレッド「そりゃマズイ、ペルー産『インスタント煙幕』を使うとするか?急いで逃げる時にこりゃ便利!」

ジョージ「それか『おとり爆弾』だ。落とすと逃げてって、見えないところで気を引く音をぶちかますんだ」

ハニー「宣伝上手ね。でも、へぇ……さっきの白昼夢といい、凄い商品を開発してるのね、二人とも」

フレッド「おいおいあまり褒めるなよ、サービスしたくなっちまうだろ?ハニー来店セールってなぁ」

ジョージ「そうでなくともハニーは全商品無料だけどな。ほら、『おとり』を何個か捕まえてやろう」

ハニー「……私がどこでだって特別扱いされるのは当然だけれど、そんな、受け取れないわ」

ジョージ「いいや、渡すね。僕らがこの店を立ち上げられたのは君の資金援助のおかげだ、忘れちゃいけないよ」

フレッド「君が受け取らないなら、ロニーの口の中にでも預けとこうか。ヘイロニー、いいもん食わしてやるよ」

ロン「そりゃ僕ぁハニーの持ち物みたいなもんだから構わないけどさ、な、なんだよその飴、飴!?や、闇の印!?」

フレッド「『食べられる闇の印』だな、あぁ」

ハーマイオニー「どんな味なの、それ……」

ジョージ「そりゃもう、吐き気のする味さ!」

ハニー「まともじゃないわねぇ」

フレッド「まとも、ふむ。その路線の商品もあるにはあるぜ?さっきの煙幕やおとり爆弾も、その類のわけだけど」

ジョージ「『盾の帽子』なんてほんと、呪文が跳ね返って相手をあざ笑うだけの物のつもりだったんだけどなぁ?」

ハーマイオニー「……被っているだけで、『盾の呪文』の効果が?」

フレッド「小から中程度の呪詛なら。でも本物の盾呪文には及ばないからあくまでジョークグッズだった。ところがどっこい、その程度の盾も張れないほど、魔法省の輩はお粗末らしい」

ジョージ「この間五百個もそいつの注文がきたぜ。まったく、呆れっちまうよな。おかげで『盾のマント』やら『手袋』まで作る羽目になった。あぁ、ぼろもうけさ。魔法省様様だよな」

ロン「僕も似たようなの持ってるぜ、ハニーの守護つき首輪」

フレッド「そりゃある意味呪いの道具だろ」

ジョージ「祝福なんだろうさ、本人達には」

274: 2013/07/14(日) 17:48:59.78 ID:D7hIcm0R0
ザワザワ 
 キャーキャー

ハーマイオニー「あぁ、ジニーはあそこにいたわ。あの、なんだかピンク色の雰囲気のところ」

フレッド「あぁ、君とハニーが振りまいてる空気みたいなあれかい?」

ハニー「なぁに?場所さえ貸してくれればそうして差し上げるわよ?」

ハーマイオニー「何を言ってるの!?あ、いいえ、嫌というわけではないけど、ちが、ちょ、ハニー、人ごみで分からないからって、どこ触っ――」

ジョージ「へいジニー、親愛なる兄貴達に挨拶してくれないのかい?」

ジニー「あら、だって見つけられそうになかったんだもの。ねぇ、このハニーみたいな香りのするもの、なに?」

フレッド「おーやおや、このスペースはいつだってレディースで一杯だな。よーく聞けよ?」

ジョージ「ワンダー・ウィッチ製、他にない最高の逸品『惚れ薬』。これはよーく効くぜ?」

ロン「惚れ薬、ねぇ。興味ないなぁ」

ジニー「ハニーがいるものね。ねぇ、ロミルダ?あなたはこういうの興味あるの?」

 ロミルダ「え、えぇ!ううん、あー、そうでも……あっ」

ハニー「? ハァイ。あぁ、確か私達の二つ下の……」

 ロミルダ「そ、そうよ! くっ……名前さえ覚えてもらえてない……いいわ!お金を下ろしてこなくちゃ!」

ジニー「あっ、行っちゃった……走ると危ないわよ、ロミルダ!」


ラベンダー「うーん」

パーバティ「まだ占いのお店で言われた事気にしてるの、ラベンダー?」

ラベンダー「気にもするわよ。だって、私達のこれからに大事なのは、女としての経験だ、なんて。それを高めるチャンスがくる? 私、占いは好きだけど……今度のはあてにならないと思う」

パーバティ「そんな高くて大きくて尖った水晶を買っておいて何を……きゃっ!?」

 ロミルダ「ごめんなさ!急いでるの!どいて!」

ラベンダー「ちょっと、押さないで……あぁっ!?」

グラッ


ロン「それより何よりジニー、君にはこいつは無用の長物だろ?マーリンの髭」

フレッド「そうだった、そうだった。ジニーよ、こいつはお前に売るわけにはいかん」

ジョージ「兄さん達は悲しいぞ。男をとっかえひっかえだそうじゃないか。悲しいぞ」

ジニー「ロンに何を吹き込まれたかしらないけど、何であろうと関係ないじゃない」

ロン「ないってこたないだろ!?僕らは君の兄貴で、それにハニーの……あぶないっ!!!」

ハニー「妹想いはいいけれど、あまりしつこいと……!?」

ラベンダー「い、いった……あ、あぁ!?ハァイみんな、って、ロン!?ごめんなさい、水晶が、手に!?!?」

ハーマイオニー「だ、大丈夫なの、ロン!?」

ロン「いったたた。いやぁ、平気平気。君に怪我がないならね、うん」

ラベンダー「……えっ」キュンッ

パーバティ「……ラベンダー、待って。その乙女フィルター外して。今の発言の行き先、ちょ、らべ、ラベンダー!?」

276: 2013/07/14(日) 18:04:03.73 ID:D7hIcm0R0
ラベンダー「そ、そんな、急に、困るわ……」

パーバティ「ラベンダーうつむかないで、前を向いて、現実をみてお願いよ」

ロン「ほんと、君に怪我がなくてよかったよ。君に怪我をさせるくらいならこの程度、安いもんさ――」

ラベンダー「そんな、えっと……」

パーバティ「お願いよラベンダー早まらないで、すぐそこにある真実に目をむけて。ウィーズリーあなたの方向いてないのよ、ほんとよ」

ロン「このくらいの傷で君を護れるならね、うん。本望だよ――」

ラベンダー「そんな、あ、あぁ……」

ロン「それでさ、君も。ラベンダー」

ラベンダー「は、はいっ!」

パーバティ「あぁ、これでやっと……」

ロン「たまには占いの道具じゃなくってさ、他のものに興味を持てばどうだい?」

ラベンダー「」

パーバティ「(はいやっちゃいましたーーーー!!!今の流れでそれやっちゃいましたーーーーーー!!!かんっっぜんにラベンダーの中で『俺のことも見ろよ』に変換されましたーーー!うわぁああああ!修羅場になりそうだから言うもんか!言うもんか!!!!)」

ラベンダー「ご、ごめんなさい!!」

パーバティ「ラベンダー、らベンダー!?走り去らないで!!ラベンダーーーーーー!!!」

ロン「例えば僕のハニーとかにね!ヒンヒン!あいててて」

ハニー「見上げた志だけれど、身を盾になんて御免よ、って前に言ったじゃない……フレッド、ジョージ、治療の道具はある?」

ロン「ヒンヒン!君に包帯を巻いてもらえるなんて二秒で治っちまうよ!ヒンヒーーーーン!」

ハーマイオニー「ラベンダー、何か様子がおかしかったけど……大丈夫かしら」





ラベンダー「はぁっ、はぁっ、はぁ……なぁに、この、胸の痛み!!」

パーバティ「はぁ、はぁ!と、止まってラベンダー!え、えっと!正しく、走りつかれたことから発する息切れとかだと思う!」

ラベンダー「ううん、これは……これはきっと、あぁ、あの占いの通りだわ!パーバティ!私、私……NLに生きる!!」

パーバティ「そ、そんな!!!フレ×ジョの新刊はどうするのよ、ラベンダーーー!とまって、とまってーー!!!その暴走とめてーーーー!!」

279: 2013/07/14(日) 18:19:42.25 ID:D7hIcm0R0
フレッド「なにやら騒がしかったが、面白そうな空気は大歓迎だ」

ジョージ「後の混乱がここから生まれたと思うと感動だな、あぁ」

ハニー「何のことよ……それより、えぇっと。本当にもらってもいいのかしら」

フレッド「もちのそこの豚さ。ついでにお望みとあらば定期的にふくろう便で商品送るぜ?」

ハニー「そこまでは、いいわ。ありがとう」

ジョージ「才女様、その薬をご所望なら成分を分けてバレないように送る事も出来るけど?」

ハーマイオニー「私だって興味ないわよ、『惚れ薬』なんて」

ロン「もっておけばいいじゃないか、使えるかもしれないよ?」

ハーマイオニー「……どういう意味?」

ロン「そりゃ、たとえば君が、そうだな!試験官を口説き落として答えを知りたいときとか、なーんて……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……ロン」

ロン「な、なーん、て、は、ハハ、ハ……フレッド、ジョージ」

フレッド「なんだい、氏に行く弟よ。聞いてやろう」

ロン「なんでもありそうなこのお店って、あー、ハーマイは置いてたり、しないのかな。言い値で買うよ」

ジョージ「残念、そいつはさっきお前が投げ捨てた」

287: 2013/07/14(日) 21:33:45.08 ID:D7hIcm0R0
モリー「はぁ、やっと見つけた。お前たちこんなところに……ろ、ロン!?どうしてズタボロなの!?」

フレッド「ズタボロじゃ足りないねぇ母さんや」

ジョージ「こりゃもうメッタクタのボロボロだ」

ロン「……髭になりたい」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……色々あったの、お母様」

モリー「ロン……お前って子は気がきくんだかとことんきかないんだか極端すぎます」

ロン「髭」

ジニー「そこのズタボロ髭野郎は放っておこうよ。ねぇママみて、ピグミーパフだって!」

モリー「ピグミーパフ?あらまぁ、昔うちで飼っていたパフスケインそっくりねぇ。そこの双子がブラッジャー代わりにして潰してしまったけど」

フレッド「それは言いっこなしだよおふくろ、僕達も若かったのさ。おや、やぁ父さん――」

アーサー「お前たち――お前たち!」

ジョージ「な、なんだよパパ。あれ?パパはあの、表のあれで怒るような人じゃないと――」

アーサー「そうじゃない!あっちの、あのコーナー!あれは、なんだね!?」

フレッド「あそこは、あー……マグルの」

ジョージ「……手品グッズのコーナー?」

アーサー「マグルが、まさか魔法使いのような不思議な現象を、自らの知恵で追い求めていたなんて――!お前たち!あそこにあるものを全部売ってくれ!父さん、新部署での残業代全部はたいちゃうぞー!」

フレッジョ「「まいどあり!」」

モリー「アーサーーーーーー!!!!!」


ハニー「ふふっ。ほんと、誰にも笑いを与えてるみたいね、このお店」

ハーマイオニー「惨劇もね」

ロン「悲惨だよまったく……ハグリッドも入りたかっただろうなぁ、表に立ってるけど……あれ?」

ハニー「どうしたの、ロン。そろそろ瞼の腫れが引いて少しは見えるようになったのかしら」

ロン「君が近くにいりゃすぐさま治ってなきゃおかしいんだけどさ。いや、表の、今ハグリッドの前を横切って、歩いていくのって……」

ハーマイオニー「……マルフォイ、ね。それも」

ハニー「……あんなにしつこそうだった母親も伴わず、一人で」

288: 2013/07/14(日) 21:45:49.25 ID:D7hIcm0R0
ノクターン横丁

ハーマイオニー『なんのためにポーチを持っているのかと思ったら、まさか透明マントを持ってきていただなんて……ねぇ、本当にマルフォイを追うの?』

ロン『ここまで着いてきたのに今更何を言ってんのさ、マーリンの髭。それともなんだい?談話室の扉は太ったレディがいなくなってるとでも言うのかい?』

ハニー『懐かしいわね、それ。あの時は透明マントはなかったけれど……マルフォイが、一人で、ノクターン横丁。すっごく怪しいじゃない。何をするつもりか、突き止めない手はないわ』

ハーマイオニー『分からなくもないけど……あぁ、ロン!もうちょっと屈んで頂戴!足が見えるじゃない!』

ロン『これ以上どうやれって言うのさ!それもう四つんばいと一緒で……ハッ!そうか!僕が四足モードになれば!』

ハーマイオニー『速さは求めていないしそもそもそれをやったら今度は高さじゃなくて幅が足りなくなるでしょう!?』

ハニー『二人とも、静かに……ふふっ。すっかり大きくなってしまったのね、私達』

ロン『背が髭みたいに伸びたのは僕だけどね。ハニーも………………ごめん、ちょっとトイレよっていいかな』

ハニー『?』

ハーマイオニー『垂れ流していなさいよ置いていくから……あ!マルフォイが、店に入っていくわ!』

カランカラン……バタンッ

ハニー『あそこって……ボージン・アンド・バンクス!私が二年生の時に、間違っ……ついうっかり出てきてしまった暖炉のお店だわ!』

ハーマイオニー『あぁ、ルシウス・マルフォイが闇の品を売りさばいたっていう、あの……なんの話をしてるのかしら』

ロン『うーん、それも気になるけど、あのショーウィンドウにある手首がなんとなーく気になるんだよな……萎びたやつじゃなくて、なんだか新しいっぽいやつ。なんだろう、よーく見た覚えがあるんだよな……なんでだろ????』

290: 2013/07/14(日) 21:59:02.02 ID:D7hIcm0R0
  マルフォイ『~~~~、~~フォイ~~~~?』

  ボージン『~~~~、~~!~~~~~!』

ハニー『何と言ってるのかしら……一言だけは何故か凄く聞き取れたのが嫌だけれど』

ハーマイオニー『あの部分は強く言ってるんでしょうね……あぁ、盗聴する手段があれば』

ロン『あるともさ!ほら、さっきあの二人がハニーに色々くれただろ?ちょっと待ってくれ……うぇ、おえっ、うっぷ』

ハーマイオニー『それが冗談だと信じてるわよ。私、あなたのいつものおふざけだと信じてるわよ。まさか本当に丸飲みして保管なんて人知超えたことしてないって、信じてるわよ』

ロン『ふぅ、あったあった。これさ!伸び耳! あ、ちょっと待って。しっかり拭くからさ』

ハーマイオニー『……もう何も信じないわ』

ハニー『私だけを信じられればいいんじゃない?』

ハーマイオニー『割と常識破壊した首謀者ですけどねあなたが、はいはい……ロン、他の商品もいくつか吐き、オホン、落としてるわ』

ロン『細かいことさ、後で拾うよ……さぁ、使ってみようか!いけ伸び耳!あの扉に『邪魔避け呪文』がかかってなきゃ、フォイフォイ野郎の声がマルっと聞こえるってわけフォイ!』

ハニー『聞く前から伝染ってるわ、気を確かにもちなさいロン……あぁ、無事侵入できたみたいね』

ハーマイオニー『……マルフォイの声が耳元って、なんだか嫌ね』

ハニー『あとでたっぷり私の声を上書きしてあげるわ。あなたの声もね』

ロン『扉には邪魔避けをかけないで、頼むよ』

292: 2013/07/14(日) 22:23:40.45 ID:D7hIcm0R0
 マルフォイ『――直し方を知っているのか、どうなんだ』

 ボージン『――かも、しれません』


ハニー『店主を問い詰めているわね』

ハーマイオニー『なんとなく、関わりたくなさそうな風ね』

ロン『そりゃそうだろ、ついにあのマルフォイ父はアズカバンにぶちこまれて社会的にも犯罪者だって知られてんだからね。ざまぁみろだ』


 ボージン『拝見いたしませんと、なんとも。マルフォイ坊ちゃま、店のほうにお持ちいただけませんか?』

 マルフォイ『できない。動かすわけにはいかないし、不可能だ。お前はそれを知っていて言っているな?それと、僕のことはミスター・マルフォイと呼べ!』


ロン『必氏だなミスター・マルフォイ(笑)』


 マルフォイ『とにかく、知っているならどうやるか教えろと言っているんだ』

 ボージン『ですから、なにしろ大変な仕事でして……お教えしたところで、そのひとつ一つの個体差もありますから……確実な方法と言うのを、お教えできる約束はしかねますかと』

 マルフォイ『さぁ、どうかな……これを見ろ』


ハニー『……? カウンターに身を乗り出して……何?何を見せているの?』

ハーマイオニー『マルフォイの姿は背中しか見えないわ……分かるのは、店主の、固まった表情だけ』


 ボージン『そ、それは、ま、まさか――』

 マルフォイ『さぁ、これで真面目に考える手助けになっただろう。九月が始まる前に、ふくろう便で詳細を知らせろ。そして、あっちは絶対に売るんじゃないぞ。分かったな』

 ボージン『あ、あぁ、あぁ……なんでしたら、今、お買い上げになって帰られたら……』

 マルフォイ『あんなものを担いで通りを歩けるか!それに、母上にはお菓子を一つだけ買ってきていい?と言って来たのに……ごフォイ!』


ハニー『……軽くまけたのね、あの母親』

ハーマイオニー『……なんなのかしらあの一家』

ロン『馬鹿なんだよな、もちの僕で』


 マルフォイ『いいな、忘れるんじゃないぞ!それに、お前もあっちを直しておくんだ!ちゃんと進めているか、我が家の友人フェンリール・グレイバックに確かめにこさせるからな!』

 ボージン『ひ、ひぃぃ!それだけは!それだけは!分かった、分かりました!ミスター・マルフォイのおおせのとおりに!』

 マルフォイ『ふんっ、最初からそう言えばいいんだ……いいか、このことは誰にも言うな。母上にもだ』

 ボージン『御意に』

 マルフォイ『それでは、失礼する。手紙は早急に送るんだぞ、ボージン!』

カランカランッ

ハニー『出てくるわ……『耳』をしまって、避けておかないと!』

ロン『あぁ、ハニー!こっちに!ほらハーマイオニー、ぼさっとするなよ!マーリンの髭!』

ハーマイオニー『わ、分かってるわ!分かってるから、ちょっと、手、手はいい!いいから!あの!』

ハニー『微笑ましいのはいいことだけれど後にして!!』


マルフォイ「……なんだか不快な声が聞こえるな……うん? なんだ、この箱は…………ペルー産……煙幕?」

293: 2013/07/14(日) 22:38:39.15 ID:D7hIcm0R0
ハニー『一体、なんのことを話していたのかしら……何かを修理したい、そう言っているのはわかったけれど』

ロン『それに、何かをとりおきしたがっていたな。……ハニーの美貌?あ、永久だった。ヒンヒン!』

ハーマイオニー『真面目に考えて……と言っても、この情報の少なさじゃ無理ね。せめてもう少しだけでも……しかた、ないわ。ねぇ、ちょっと待っていて』

ハニー『なぁに?……待って、待ちなさい、ハーマイオニー!?』

ロン『なんだよ、あの店主にでも聞き出そうってのか――おいおい、ちょっと、おい!?』

バサッ

ハーマイオニー「ハニーは有名人だし、ロンの赤毛も多分警戒されるわ。大丈夫、私、お店で世間話をするのは得意なの……」

カランカランッ バタンッ

ハニー『……』

ロン『君にさんざん、後先考えずに行動するのはやめて、だのほざいてたのは誰だっけね』

ハニー『影響されちゃったのかしら…耳!伸び耳よロン!早く!』

ロン『オーケーハニー!いけ耳豚!』


 ハーマイオニー『こんにちは!あーぁ、嫌な天気ですねー!』

 ボージン『……あ?』


ロン『……分かった、これダメだ』

ハニー『し、信じましょう。平気よ、ハーマイオニーは頭がいいわ。そうよ、たとえちょっと、あー、声が上ずってて、あのお店にあわない明るい挨拶、だったとしても……』


 ハーマイオニー『ふ……フンフッフフ~ン、フッフフ~ン、フンフフーン♪ ハニーズピッグ~♪』

 ボージン『……』


ハニー『……どうしましょう』

ロン『し、信じようよ、うん、場違い極まりない鼻歌を披露してるけどさ、あれ?ハーマイオニーって学年首席だったよね?マーリンの髭!!!!』

295: 2013/07/14(日) 22:51:01.35 ID:D7hIcm0R0

 ハーマイオニー『あー、あの。こ、このネックレスは売り物なんですか?』

 ボージン『……1500ガリオン払えるならね』

 ハーマイオニー『あっ、あー、そこまでは……それじゃ、そっちの髑髏は……?』

 ボージン『……十六ガリオン』

 ハーマイオニー『あっ、それじゃ売り物なのね。あー、誰かのとりおき、ということでは……?』

 ボージン『……あ?』


ハニー『……狙いが直接すぎよ、ハーマイオニー』

ロン『あんまりこういうこと女の子に言いたくないけどさ。あいつなにやってんの?』


 ハーマイオニー『え、えっと、あの!本当のことを言うと、さっきここにきたドラコ!彼、実は私の――――友人、で!』

 ボージン『……』


ロン『必氏に搾り出してたね、今の一言』

ハニー『多分今近くでみたら鳥肌がたってると思うわ』


 ハーマイオニー『それで、えーっと!プレゼントをしようと思ってるんですけど、当然、彼が何か予約したのならそれと同じものはあげたくないので――』

 ボージン『失せろ』

 ハーマイオニー『えっ?USERO?オセロのようなもの?聞いたことないわ……この中の、どれで……あら?この手首、ロンも言ってたけどなんだかほんと親しみが……???』

 ボージン『とっとと失せろ!!消えてしまえ!!!』

 ハーマイオニー『きゃ、きゃぁ!?お客様に何をするの!?これは権利侵害よ!!出るとこに出るわ!!!』

 ボージン『やってみろ!!省の連中がここに来る勇気があるならな!!』

カランカランッ、 ポイッ バタンッ!!!

ハーマイオニー「……何も、追い出すことないじゃない……ねぇ二人とも……そこにいるの」

ロン『……何も見てないよ』

ハニー『……何も聞いてないわ』

ハーマイオニー「……あー、あの……でも、やってみる価値はあったと」

ロン『いいから蒸し返さずにさっさとマントに戻りなよ。あんな記憶僕らみんな透明にしてなかったことにしたい、だろ?マーリンの髭』

298: 2013/07/14(日) 23:16:30.61 ID:D7hIcm0R0
WWW

モリー「探したのよ!それはもう!あとほんの少し遅くなったら、ハグリッドに中にはいってもらって店じゅうひっくり返すところだったんですからね!」

ハグリッド「あぁハニー!良かった、よかった!俺ぁお前さんかダンブルドア先生様がいなくなっちまったら、どうすりゃえぇのかわからねぇ!ヒンヒン!」

ハニー「あれと同列なのはなんだか嫌だけれど、心配かけたわね。あー、お母様?何度も、言っているけれど」

ハーマイオニー「そうなの、おばさま。私達、ちゃんと店の奥にいたわ?」

ロン「僕の怪我を治してたんだ、って言ってるじゃないかぁ!みてよ!さっきのズタボロメタクタボロッボロっぷりが嘘みたいだろ?」

モリー「それは――そうだけど、ロン。お前に限っては今に始まったことじゃないじゃない?」

リーマス「まぁ、まぁ。モリー、見つかったんだしいいじゃないか。やぁ、ハニー」

ハニー「リーマス! あぁ、ごめんなさい。もう着いていたのね」

リーマス「ついさっきね。冒険は楽しかったかい?」

ハニー「……このお店の中だけだもの、そうでもなかったわ」

リーマス「そうか。そういうことにしておいてあげよう。アーサー、移動しようか」

アーサー「あぁ。フレッド、ジョージ。頑張れよ、父さん応援してるぞ。あと、定期便はできれば夜中、とびきりしずかなふくろうにしてもらえると……」

モリー「アーーーーーーサーーーー???」

フレッド「みんな達者でな。おい監督生の良い子ちゃんども、今年は我らの製品が城で暴れまわるから覚悟しとけよ」

ジョージ「残念だけどそれが君たち優等生君の宿命だ、せいぜい僕らのミニチュア版と戦う決意をしておくことだね」

ジニー「ですって、ロン。私の男の子遍歴なんかにかまっていられる余裕はないんじゃない?」

ロン「悪戯小僧どもくらい、ハーマイオニー一人でもなんとかなるさ、多分」

ハーマイオニー「あ、な、た、も!監督生でしょ!?」

ロン「あーぁ、嫌な天気ですねー!?」

ハーマイオニー「あぁ、そう!またズタボロになりたいわけね!?」

リーマス「これから病院だし、できれば穏便に頼むよ」

ハニー「……私とあなただけでいくのではないの?」

リーマス「おや、その方がよかったかい?」

ハニー「……ううん。みんな、一緒がいいわ。一緒が、ね」

リーマス「あぁ、ハニー。その通りさ。みんなであの馬鹿犬を、起こしてみようじゃないか」

357: 2013/07/21(日) 19:23:39.67 ID:D4+tMRcg0
聖マンゴ

ガヤガヤガヤ
 ザワザワ

ハニー「……いい事ではないけれど。盛況みたいね、ここは」

リーマス「最近は何かと物騒だ、あぁ、いい事とはいえないね……こんにちは」

受付「はいこんにちは……あら、今日はあのファンキーな女性は一緒ではない!なるほど!でもどうせチャンスがないのは分かってらハイハイ特別個室へどうぞ!」

ロン「荒れてるなぁ相変わらず何度見ても性懲りもなく。ハニーの姿みて深呼吸すればいいのに、マーリンの髭」

ジニー「ヒン呼吸ね」

ハーマイオニー「上手くないわよ。ファンキーな、っていうのは……もしかしなくても、トンクスのことよね?」

リーマス「そうだろうね。彼女とは何度か一緒に彼の様子を見に来ている……チャンス、とは。なんのことだろう」

モリー「さぁて、さて。なんのことかしら全く、リーマス。胸に手を当てて考えてごらんなさい」

ハニー「……あと、茶色のくすんだ髪の色とか」

アーサー「リーマス、正直そろそろマッド‐アイも騎士団、いや豚団の見守る会も見守る限界なのだがね」

リーマス「さぁ、行きましょうか。ひょっとしたらあの犬がそう、逆立ちして待っているかもしれない」

ハーマイオニー「そんな下手な誤魔化し方で騙される人なんて――ハニー、あー、その、リーマスのたちの悪い、ほら、冗談だから、あー、本人も物凄く反省しているとおもうからそのとっても期待で潤んだ目はやめてあげて?」

ロン「僕のハニーときたらその純粋さというか単純さときたら丸っきりであった頃つまりは十歳児のままで――」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「さっきの受付の魔女に、この行き遅れ、って叫んだら、どうなるのかしら」

363: 2013/07/21(日) 19:44:55.80 ID:D4+tMRcg0
肖像画『おぉお若い人よ、その発疹は命に関わりますぞ?え?はようここの癒者の診察を受けなさい!』

ロン「はっはは、何言ってんのさ、このくら、ゴフッ、このくらいの症状、ハニー見てればすぐ治、ゴフッ、なにせハニーときたら僕ら豚の万能薬どころか命の水だからね、もちのロンで」

ジニー「あの魔女に思いっきり呪詛ぶつけられても立ってるロンって一体……これが一番豚っ!」

ハーマイオニー「……一番の非常識ってことよね、理解してきたわ」

ハニー「常識から合わせてくるこの私、そんな私の可愛い豚だもの。それくらいは当然のこと、そうでしょ?」

ハーマイオニー「そうでしょうとも」

リーマス「実際のところの私とアーサーとあの受付の上司の尽力は取り合えず置いておくとして……みんな、あまり騒いではいけないよ。もうすぐ隔離病棟の前を通り過ぎるからね」

アーサー「あの悲惨な事故以来あそこは少し警備がついていてね。あー、そうだな。マッド‐アイを少し優しくしたような闇払いににらまれたくなければ、大人しくしていなさい」

ロン「ムーディを優しく?そりゃいいや、きっと挨拶代わりにマーリンの髭でもぶつけてくるんだろ?大歓迎だよ」

ハーマイオニー「髭だらけになってもしらないわよ。今でも発言はだいたいそうだけど」

ロン「だらけ?僕の頭ん中はハニーだらけさ」

ハーマイオニー「聞くまでもないわ」

ハニー「全くね」

モリー「仲がいいのはよろしい! はいはい、お父様とリーマスの言う通りに……あら?」


~~~~♪


ハニー「……なぁに?歌?」

リーマス「……異変、と言えば異変だが……警戒するべきだと思うかい、アーサー」

アーサー「随分と陽気な歌だから、心配はいらなそうだが……隔離病棟の方から?」



~~~~~♪
 ~~~~~♪
  HAHAHAHA☆


ロン「うん、リーマス、こりゃ大惨事の前触れだよとっとと離れようそうするに限るよもちのロンで!」

ハーマイオニー「いいえ!何かあるならハニーの豚団として確かめるべきだと私はおもうわ!リーマス!おじさま!」

ハニー「構わず進んで、リーマス、お父様。大丈夫、そうね、ちょっと黙らせておくわ。物理的に」

367: 2013/07/21(日) 20:05:23.04 ID:D4+tMRcg0

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、そんな、ダメよ、だってあなたにとって、あぁ、シリウスがすぐそばにいるのに、そんな、それはそれ、なんて、オーグリーみたいな悲しい目つきを、されたら……」

ロン「つづけて」

ジニー「どうぞ」

リーマス「いや、もう着いたからその辺にしてほしいところだけどね」

モリー「リーマス!」

リーマス「いやモリー、自分の息子と娘に背負われた女の子二人のそういう場面を見る目で私を非難するのはなんだかおかしいと思う」

アーサー「モリーは長年家族に女の子が欲しかったんだ、リーマス」

リーマス「うん、だからなんなんだろうと言っていいのかな、アーサー」

ハニー「――ハーマイオニー。お仕置きもかなているんだから、後にするわ。後に、帰ってから、ゆっくりね」

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、の、望む、ところよ!    望まないわ!望まない!!!」

ロン「覗見たいところだなぁ、マーリンの髭」

ハニー「それで、リーマス……ここなの?」

リーマス「やぁ、お帰り。あぁ、この中だ……随分と長かったろう?」

ハニー「そうね、この病院の敷地一杯といったところなのかしら……守るため?」

リーマス「あぁ、第一はそれさ。連中はしつこく、狡猾だ。完全にしとめ損ねたと知れば、寝首を掻きにここへ忍び込むこともありえる」

ハニー「そんなことにならないって、あなたたちのこと信じてるわ。お願いね……?」

リーマス「もちろん、そうしよう」

ハニー「それで、第一と言っていたでしょう?その他の理由、って言うのは?」

リーマス「……あまり、気軽に来られる場所だと」

ハニー「えぇ」

リーマス「……魔女の癒者がひっきりなしに訪れて、仕事にならない、と」

ハニー「きめた、きめたわ。私、癒者になってやる、なってあげるわよ!!!」

ロン「ヒンヒン!そうでなくとも君は僕ら豚の心も体も癒してやまないけどね!ヒンヒーン!」

370: 2013/07/21(日) 20:47:12.04 ID:D4+tMRcg0
病室

ハニー「…………」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

アーサー「……」

モリー「……」

リーマス「……」

ハニー「……シリウス」


シリウス「」


ハニー「……やっぱり、嘘みたい。ただ眠ってるみたいにしか見えないわ」

ロン「全くだね、うん。今すぐ飛び起きて君に何かいつものように歯が浮ついて抜けきっちまうんじゃないかって台詞をは痛い!ありがとう!」

ハーマイオニー「マグル風に言うと……脳氏、と言うことよね? 前例が無いから、便宜的にそう呼ぶだけだけど」

リーマス「彼の場合はかなり特殊なものだ。あのベールに、頭だけが触れた――本来ならあのまま、身体も戻ってこなかっただろう」

モリー「リーマス!」

リーマス「! あぁ、すまない……ハニー、あー」

ハニー「いいの、気にしてないわ。それに……魂だって、すぐに戻ってくるわよ。だって」

シリウス「」

ハニー「この私に……わた、わたしに、あんな、あんなこと、言っておいて、そうよ!どういうことなのか、そう……」

ロン「なんて言ったんd痛い!ありがとう!!ヒンヒン!ヒン!」

ハーマイオニー「ハニーの反応で大体分かるわよね、もう」

リーマス「私とネビルは胃もたれでベールに突っ込むところだったよ、まったく」

374: 2013/07/21(日) 21:01:28.28 ID:D4+tMRcg0
ハニー「分かっていたけれど、随分と狭い病室よね」

アーサー「本来は病室に使う部屋ではなかったものでね。ほら、あー、やまれぬ事情が」

ロン「どこぞのエセイケメンとは格が違うよな」

ハーマイオニー「……チャーミング・スマイル賞は実力でしょう?」

ロン「どこの誰のことなんてひとっことも言ってないけどね。エヘン!ロック!ゴホン!ハート!」

ジニー「ロンって病室で致命傷受ける趣味でもあるの……?」

ハニー「静かにしなさい二人とも、シリウスが起き…………もっとよ!!」

ロン「大体なんだよ君は!ハニーがいるのにエセイケメンの声らしきものにフォイフォイ吊られちゃってさ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「あーら!ハニーがいるっていうのにあのべっとりヌラーに目が泳ぎっぱなしなお豚さんはどちらかしら!」

ロン「ハニー以外が豚って呼ぶなよ!」

リーマス「まぁ、そのくらいの喧騒で起きたら苦労はしないのだけどね……私達のあれでも起きなかったんだ、とても無理だろう」

モリー「あれと言うのは?」

リーマス「なんでもないよ、モリー」

アーサー「トンクスがどうしたって?」

リーマス「彼女の名前は一言も出した覚えはないけどね、アーサー」

ハニー「あなたがここに一緒に来たのは、彼女だったと思うけれど?」

リーマス「……そう、うん、トンクスが本の角でこの犬を殴ろうとしてね、止めただけ、そんな喧騒だよ、うん」

ハニー「嘘ならもう少しトンクスがかわいそうにならない嘘にして」

リーマス「残念なことに真実だからかわいそうなんだ」

377: 2013/07/21(日) 21:14:58.72 ID:D4+tMRcg0
ハニー「それじゃ、ここでトンクスと何度もお話しているリーマスに聞くけれど」

リーマス「大したことは話していないさ、彼が聞いているかもしれないからね」

ハニー「それはそれはシリウスに早く起きてくれなきゃいけない理由が増えたわ……あれから、少しも回復とかは……?」

リーマス「残念ながら。薬も呪文も、効果は無し。起きる気配は一向に見られないそうだよ」

アーサー「実を言えばハニー、君が部屋に入った瞬間に何か変化が見られないか、そう期待していた者も多かったのだが……あ、あぁ!せめているわけじゃないんだ!違う違う!」

ジニー「パパ!十分変わったじゃないの!ほら、ハニーが入ってからこの部屋随分明るくなったと思わない!?」

ハニー「……えぇ、そうね。私が光あれと願ったから、そういうことでしょう?」

ハーマイオニー「そういうことで、照明がつけられたからでしょうね」

ロン「あー、そうだぜパパ!ハニーがこの部屋の敷居を跨いだ瞬間、空気が変わって壁紙が花柄に!?」

ハーマイオニー「フラーの時の珍事を引きずっておいでの人がどうして私にさっきあんなことを言えたのかしら」

アーサー「そ、そうだな、うん!この花瓶にも……ハイッ!なんと!!!腕一杯の花束が!!!」

ハーマイオニー「おじさま、双子のお店で買ったマグルの手品グッズを試したいのはヒシヒシと伝わるからせめて杖をだしてフリだけでもして」

380: 2013/07/21(日) 21:36:06.54 ID:D4+tMRcg0
モリー「話す事も動く事もできないのに。シリウスは本当、不健康には見えないわねぇ」

ハニー「だからすぐ目を覚ますに違いない、そうでしょ?お母様」

モリー「えぇ、そうなりますよハニー」

リーマス「呪文でなんとか喉に栄養のあるものを通すことはできているようだから、今すぐやつれることはないだろうね」

ロン「栄養のあるもの?ハニーの写真とか?」

ジニー「栄養過多で太っちゃうくらいよね」

ハーマイオニー「豚兼ヤギ兄妹は黙って」

モリー「なんだか、顔も綺麗なままですもの。益々ただ寝ているだけのように……あぁ、顔立ちということでなく、汚れの意味ですよ?」

リーマス「あー……それは多分」

ハニー「多分、なんなのリーマス?……あら?」

ガラガラッ

癒者1「ブラックさーん♪身体を拭く時間ですよー……あっ」

癒者2「なーんて、聞こえてないから勝手にやりますけどね☆……えっ」

癒者3「うへへぐふぃふぃ、大丈夫です、一線は越えませんよ一線は……げっ」

リーマス「……」

アーサー「……」

モリー「……」

ロン「……マー髭」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

ハニー「…………

384: 2013/07/21(日) 21:54:44.02 ID:D4+tMRcg0
癒者1「あ、あらー!面会の方ですか!ご苦労さまでーす♪あの、あー」

ハニー「その道具をよこして、さっさと出て行ってはどうかしら」

癒者2「ど、道具というのは、この身体を拭くためのものを!?い、いけませんよ、これは私達の仕事で……」

ハニー「代わりに、やると、言っているのだけれど?そんなことも分からないのかしらこの豚以下の家畜さんたち」

癒者3「か、家畜!?えーっと、お嬢さん?これは異性の方にはあまり任せられませんし、あー、ブラックさんとは?妹さんか何かですか?」

ハニー「……まず、この私が誰か分からないなんてどういう目をしているのか問い詰めたいところだけれど。仕方ないわね、シリウスのことで頭が一杯、そうなんでしょ」

ハニー「この私が、わたしが!?シリウスの、なにか!?」

ハニー「わたしは、わたしは!!シリウスの、シリウスの……こい、こい……」

癒者1「……鯉?」

ハニー「こい、び……」

癒者2「濃い火……?」

ハニー「こいび、と、よ……」

癒者3「恋……えっ?」

ハニー「~~~っ!家族よ!!!私の後見人!!!文句あるかしら!!さぁとっとと寄越しなさいこの豚以下!!」

癒者1「ひっ!?わ、分かりました、じゃ、じゃぁよろしくおねがいしますね!」

癒者2「え、えーっと、ごゆっくり!?」

癒者3「わ、我らを退けても第四第五の癒者が――」



ガラガラピシャンッ!



ハニー「~~~っ、もう、もう!なんなの、なんなのよここの人たち!おかしいわ、ねぇ……ちょっと……ちょっと!ニヤニヤ、するなら!入院させるわよ!!!」

392: 2013/07/21(日) 22:14:45.66 ID:D4+tMRcg0
ロン「僕全治するまでに学校始まっちゃうかもなぁ」

ジニー「私なんて、卒業式をここのベッドで迎えそうだわ」

ハーマイオニー「不治の病ね、えぇ」

ハニー「頬肉すり落とすわよこの布で」

リーマス「その道具は彼に使ってくれるかな、ハニー。さぁ、私達は少し席を外そうか」

ハニー「彼、って、それはこれは……えっ?」

モリー「そうね、お邪魔でしょうものね。さぁハニー、念入りにやってあげて?」

ハニー「ちょ、ちょっと、待って……えっ?」

アーサー「ハハハ。ハニー、私達もそこまで無粋じゃないよ。事情が説明し終わったら、そういう時間を設けるつもりだったさ」

ハニー「いいえ、その、違うわ。ちが、あの……えっ?えっ?待って、これ……」

ハーマイオニー「ハニー、ほら、寝ている人の肌をなぞるのは得意でしょう?頑張ってね」

ハニー「そんなの、あなた限定で、ちょっと、待って……」

ロン「あぁハニー!僕のハニー!その栄誉を受けられるなら僕らはなんだってするけどね!でもまぁ 君がすることになーんにも文句だってないけどね。もちのロンで」

ハニー「ちが、そういう、そういう悟りきった目をやめなさいロン、ロン!ちょっと……」

ジニー「ハニー、色んな意味で起こすチャンスよ!頑張って!」

ハニー「???」


ガラガラッ、ピシャンッ

ハニー「本当に、みんな出て行ってしまったわ……これ……これで」

シリウス「」

ハニー「……身体、拭く……なんて……なん……」

シリウス「」

ハニー「……。~~っ、た、ただ、拭く、だけだもの!それくらい!そう、そうよ、当たり前だわ、当たり前に……でき、なくっちゃ」

ハニー「家族、だもの……シリウスの……よm」

ハニー「…………」

ガタッ  ツカッツカッツカッツカッ

ハニー「……ロン」

    ロン『ヒンヒン!なんだいハニー君の声はこの伸び耳で聞き逃さな……あっ』

ハニー「隔離病棟に突っ込みながらダンブルドアなんてマーリンの髭って叫んだら、どうなるかしら」

394: 2013/07/21(日) 22:30:30.74 ID:D4+tMRcg0
  ガシャァアアアアアン!!
ヒゲェエエエエエエエ!
   シネーーーーーェエエエエエエ! ヒンヒーーーーン!
 HAHAHAHAHAHAHAHAHA
  キャーーー!キャーーーーー!


ハニー「……遠くで喧騒が聞こえるわね、まったく、もう」

ハニー「……みんなのお言葉に甘えさせてもらうわ。そう、していいわよね?……シリウス」

シリウス「」

ハニー「……考えてみたら。あなたと二人っきりって、数えるくらいしかなかったわ」

ハニー「……私達、ちっとも何にも知らないまま。それなのに……それなのに、あなたも、私、わたしも、あんな場所で、あんな言葉」

ハニー「……手、から。ふ、拭くわ」

ギュッ

ハニー「……ほら」

ハニー「……あの時、吸魂鬼に囲まれたあの湖で握ったときのあなたの手の感触と……違うわ」

ハニー「わたしの手、あの頃より大きくなったんだから」

ハニー「そんなことも知らないままなのよ? わたしの、気持ちは、全部あなたにあげたけれど」

ハニー「わたし……まだまだ、あなたに知ってほしいこと。たくさんあるわ」

ハニー「だから……あなたの、ことも」

シリウス「」

ハニー「……」

ハニー「……う、腕!腕、から!!えぇ、そう、えぇ、えっと……腕!腕、太くて、逞しくて、~~~っ!!」

ハニー「それで、えっと……次、次は……」

ハニー「……」

ハニー「胸……かしら」

395: 2013/07/21(日) 23:18:53.51 ID:D4+tMRcg0
ハニー「……まぁ」

シリウス「」

ハニー「すごい……シリウス、これ……黒くて、こんなに大きく」

シリウス「」

ハニー「ここの部分なんて……先が尖って……これ、って」

ハニー「入れ墨、よね? こんなものを胸にいれてたなんて、知らなかったわ」

シリウス「」

ハニー「……聞きたいわ。いつ、どうして入れたのか」

ハニー「痛かったのか、大したこと、なかったのかしら……きっと、痛かったとしても強がってそう言ってくれないんでしょうけれど」

ハニー「この図形……どんな、意味が」

ハニー「……入れ墨……意味」

ハニー「……!」

ハニー「マルフォイが……あのお店で……っ!」

バッ!

ハニー「……当たり前だけれど……シリウスの腕の部分には何もかかれてない」

ハニー「でも……カウンターから身を乗り出して」

ハニー「マルフォイがみせていたものはなに?何か、持っていたのかとばかり思ってたけれど……」

ハニー「腕を、まくっていたとしたら?そこにある、何かを見せていたとしたら……」

ハニー「……」

ハニー「……マルフォイが……闇の印を付けた、氏喰い人になっていた、としたら……?」

シリウス「」

432: 2013/07/24(水) 16:06:44.03 ID:lcXz/xfm0
数日後

ハニー「――だから、何度も言っているじゃない! マルフォイが見せていたのは……」

ハーマイオニー「えぇ、ハニー。何度も聞いたし何度も答えるわ……その可能性もあるでしょうけど」

ハニー「この私が確信していることが、可能性?」

ロン「あぁハニー、君が信じればどんな奇跡的な確率だって実現するよな、そもそも君がいること自体が奇跡だし……けどさぁ」

ハニー「なぁに、ロン。聞かせなさい、私の豚であるあなたまで、何を意見しようと言うの?」

ロン「ヒンヒン!ごめんよハニー! でも、やっぱりありえないとおもうんだ。マルフォイが……氏喰い人だなんてさ」

ハニー「どうして?つじつまがあうじゃない!父親のことで私たちに復讐したい、その実現のために父親の代わりに氏喰い人に加わった!自然だわ!」

ハーマイオニー「そう言われれば、そうかもしれないわ……でも、ハニー。マルフォイはまだ16歳よ?そんな半端な人を、連中が力になるとおもうのかしら」

ロン「おまけにフォイフォイうるさいクズだしな。僕ら豚はいつだってヒンヒン喚いてるけど」

ハニー「力云々じゃないわ。欲しいのは父親の代わり、その忠誠心よ……何か仕事をしているのを、私達は見ていたじゃない」

ハーマイオニー「ボージンのお店のこと? あれは――あれは、怪しいのは確かよ。でも、やっぱりそれとは」

ハニー「乗り気な態度じゃなかったボージンが、マルフォイが何かを見せた途端に怯えて協力的になっていたわ……絶対に、あれは闇の印よ!間違いないわ、だって……!」

ハーマイオニー「だって?」

ハニー「シリウスが私に、教えてくれたんだもの……!」

ハーマイオニー「……」

ロン「あぁハニー!どうすればいいかな、ニヤニヤもしたいし呆れた顔もしておきたいんだけどやっぱり君tt痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

434: 2013/07/24(水) 16:32:56.69 ID:lcXz/xfm0
ハーマイオニー「あのねぇ、ハニー。シリウスが教えてくれた、そう言えば聞こえはいいけど……実際はあなたが色々気がついただけなんでしょう?」

ロン「シリウスの体を拭くっていう作業でね。ハニーの推理力ったらマーチン・ミグズも真っ青だよな、赤いけど」

ハニー「それは、そうよ。あの、あれをしている時の私、とっても落ち着いていたもの。そうね、論理的な思考とか、そういうものが……」

ロン「あぁハニー!わかってるよハニー!恥ずかしくて直視しがたくって何か喋ったり考えたりして気を紛らわせてたんだ痛い!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「とにかくハニー。あなたちょっと、ダイアゴンから帰ってからこちらそのことに固執しすぎよ……よりにもよって、マルフォイに」

ロン「困るフォイだよな」

ハーマイオニー「そのフォイよ。ねぇ、それより――シリウスの病室でそれに気づいてから、何をしていたのかを教えてもらいたいわ」

ガタッ

ハニー「私、お母様にクィディッチのローブのお洗濯を頼んでくるわね!急がなくっちゃ!」

ハーマイオニー「それはついさっき畳まれてきたものじゃない、待って、待ちなさいハニー!あの日の夜に大人しかったのは、マルフォイが何をしていたのか考えてただけじゃなくって、もしかして――」

ハニー「ロン、ハーマイオニーがなんだか落ち着かないようだから肩でも抑えてあげたらどう?」

ロン「ヒンヒン!任せてよハニー!」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、離して!あなただって気になるはずで……!ちょ、ちょっと、わかった、わかった、から!手を離して頂戴!もう!」

ロン「なんだか大人しくなったみたいだしこっちは任せてよ。それでさ、ハニー?」

ハニー「えぇ、ロン。あなたは出来る豚ね。なぁに?」

ロン「フラーが君から借りてたって言う、眠れる森のなんたらって話覚えてるかい?いや、なーんにも他意はないんだけどさ。他意はないし、この場合美女というより美男で……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「そのまま耳元でハーマイオニーのいいところを喋り続けなさい」

ハーマイオニー「」

435: 2013/07/24(水) 16:56:59.52 ID:lcXz/xfm0
キッチン

フラー「ビルとわたーし、ジニーとガブリエールを付き添いにしようと思いまーす。とってもとってもかわいいでーす!」

モリー「えぇ、えぇ、そうでしょうとも……」

フラー「ふーふん? わたーしほどじゃありませーん」

モリー「……そうでしょうとも」

フラー「ふたーりには淡いゴールドの衣装がぴったりだとおもいまーす!ピンクもすてーきでーす、けど、ジニーの赤毛には合いませーん」

ハニー「あら、赤毛の女の子に似合わない服なんて存在するわけがないと思うけれど?」

フラー「ハァニー! オッオー、そうは問屋が卸しませーん」

ハニー「まぁ、あなたの式だもの。納得のいくようにすればいいわ……どんどん決まっているみたいね」

モリー「この子の頭の中ではですけどね、いまは、いまのところは……ハニー、あぁ、降りてきてくれて嬉しいわ、本当に。なんだか難しい話をしているようだから声をかけられなかったの」

ハニー「難しい、えぇ、そうとも言えるわ。中々認めたがらないんだもの、二人とも」

モリー「私は女の子同士も問題ないと思いますよ?」

ハニー「その辺りは今のところ問題にしてくる人はいないから平気だわ」

フラー「不思議の国ブリテンでーす」

ハニー「あなたもフランスで似たようなことしてたでしょ」

フラー「オッオー、いまはビル一筋でーすから問題ありませーん! ハァニー?あなたにもそういうひーとがいると――ぁ」

ハニー「なぁに、フラー?女帝さん?私のことを簡単に焦らせられると勘違いしているのなら、少し、再教育してあげなくちゃいけないわね……一夜の過ちでも犯したいのかしら?」

ジニー「つづけて!」バターン!

モリー「どう……でもそれだとあの子が……えぇい!どうぞ!!!」

439: 2013/07/24(水) 17:18:06.44 ID:lcXz/xfm0
フラー「ふーーーっ、ふーー、ふーふん?ハァニー?ふーっ、あまーくなりまーしたね?このくらい、へっちゃらでーす」

ハニー「そう。次はハーマイオニーも呼ぼうかしら」

ジニー「私でも大歓迎よハニー……いいえ!恐れ多いわ!忘れて!」

モリー「あなたたちが降りてきてくれて色んな意味でよかったわ。明日はホグワーツに向かうでしょう?安全対策について、説明しておかなくちゃと思っていたの」

ジニー「安全対策って……ダイアゴンの時のようにまた護衛がつくの?ママ」

ハニー「あら、それならまたあの豚に会えるのかしら」

モリー「残念だけど、ハグリッドは駅では目立ちすぎるから却下されたそうよ。魔法省の闇払いが何人か控えているって」

ハニー「そう……仕方ないわね。できれば、トンクスだといいのだけれど」

ジニー「今年の夏はあんまり会えなかったわね。何度か来ても、ニーと同じ髪型にしてくるのも忘れちゃっていたし」

フラー「ふーふん、あのひーと、このところ身なりをかまわなすぎでーす!大きな間違いでーす! 恋をすれば、変わりまーす?」

モリー「はいはい、余計な心配をどうも。本人に言わないで頂戴ね絶対に」

ハニー「……」

モリー「二人とも、明日は魔法省の車が来ますからね。トランクの用意は今日中に済ませておくように。ロンとハーマイオニーにも伝えておいてくださいね」

ジニー「了解ママ。ハニー、行きましょ?」

ハニー「えぇ、そうしてあげるわ」

ジニー「ところで降りてくるとき、あなたたちの部屋からロンの、何ていうのかな。屠殺されるような声が聞こえたけど何かあったの?」

442: 2013/07/24(水) 17:43:11.53 ID:lcXz/xfm0
翌朝

モリー「全員揃った!?ロンは動けるようになったのかしら」

ロン「なんだよママ、僕が朝日が昇るのと同時にハニーという存在に感謝して今日一日を始めるのは知ってるだろ? 起きてるよちゃんと、お世話様」

モリー「あぁそう、母さんは昨日の晩のボロボロ具合を心配していたんですけどね。用意はいいのね?各自ペットは?」

ハニー「私の出来る豚さんだもの、言われる前から籠に待機していたわ。ねぇ、白豚?」

白豚「ピィーヒンヒン!」

ロン「僕と同じくハニーの豚だぜ?ばっちりだよ、もちのロンで」

ハニーの豚「ピピィヒンヒン!」

ハーマイオニー「たまにはピッグウィジョンって呼んであげたらどう……クルックシャンクス?特急についたらだしてあげるわ、大人しくね?」

クルックシャンクス「ナーゴ」

ジニー「あ、クルックシャンクスいたんだ。気づかなかった……アーノルド、肩から落ちないでね!」

アーノルド「御意」

ロン「双子んとこでジニーが買ったピグミーパフ、見た目は小さくてふわふわでハニーほどじゃないけどかわいいのに、なーんか変だよな」

ジニー「アーノルドに失礼なこと言わないでよ。それより、変なのはハーマイオニーじゃない?」

ハーマイオニー「失礼の連鎖やめてくれる? なぁに、ジニー?なにかおかしいかしら私」

ジニー「なんだか昨日から、ロンによそよそしいと言うか……冷たい?」

ロン「何言ってんのさ、ハーマイオニーがハニー以外に滅多に熱上げないのはわかりきったことだろ」

ハーマイオニー「……あーら、そう!だったら……」

ハニー「そういう冷静なところもいいところ、とか、昨日は言っていたのかしら?」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー、ほんと君はなんでもお見通しだn痛いっ!!いだだだだだだ、ハーマイオニー、やめ、痛い!!マーリンの髭!!!!!」

445: 2013/07/24(水) 18:03:54.85 ID:lcXz/xfm0
キングズ・クロス駅

闇払い1「遅い!四十秒の遅刻です!何をしていたんですか!まさか入れ替わって!?おい!臨戦態勢だ!!!!!」

闇払い2「ぶっとばすぞ!!」

闇払い3「であえであえーーー!!!」

ロン「マッド-アイがどんな教育を施してるのかはよーくわかったよ、お世話様」

ハニー「目立ってはいけないからハグリッドはよこせないって、なんだったのかしらね」

ハーマイオニー「目立たない人が存在しているのか最近疑問だわ……」

モリー「手際がいいのはよろしいわ闇払いのみなさん。早くこの子たちを柵の向こうにやって頂戴!」

闇払い1「任務!そうだ!任務だ!ハニー・ポッター!こちらへ来い!」

ハニー「なぁに、その口の利き方は。ヒンヒン言って、四つんばいになりながら先導しなさい」

闇払い1「……ヒンヒン!!」

闇払い2「おいお前!任務中になにをふざけ……ヒンヒン!」

闇払い3「ヒンヒンヒーーーン!」

ガヤガヤガヤガヤ

ジニー「さっすがハニー!熟練の闇払いも瞬殺、ううん!瞬豚だわ!ヒンヒン!」

ロン「あぁ、何せハニーの魅力ときたら目と目があった瞬間本能で理解できるもんなヒンヒン!」

ハーマイオニー「言った矢先に自ら目立つ行動をしないで、ハニー!!!」

ハニー「私に、目立つなって? とてもじゃないけれど、無理な相談ね。そうでしょ?」

ヒンヒーン!!!

449: 2013/07/24(水) 18:20:39.54 ID:lcXz/xfm0
9と4分の3番線

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ
ヒンヒーーーン!!ヒーーーン!

ハニー「ハァイ、えぇ、いい夏だったわ。ハァイ、そうね、今年も豚として可愛がってあげるわ。当然じゃない」

ロン「今年もハニーはみんなの注目の的だなぁ、どんな時代に爆誕しようとそうなってただろうけど」

ヒソヒソヒソ 
 ザワザワザワ

ハーマイオニー「……去年とはまた別種の好奇の目線も一緒にね」

ハニー「なぁに?私が高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的なことは今更言われなくてもわかっているけれど?さっ、席を探しに行きましょうか」

ハーマイオニー「あー……ハニー、その。ごめんなさい、私とロンは、つまり、監督生は」

ロン「ごめんよハニー!あぁ、ハニー!ヒンヒン! 前の車両に一回集まらなくっちゃいけないんだなんてこった僕ぁ豚失格だ!ヒンヒーン!」

ハニー「あぁ……そうだったわね。すっかり忘れていたわ……いいのよ。任されたことをしっかりこなして頂戴。ロン、それでこそ私の豚でしょう?」

ロン「よーしハーマイオニー、城に着くまでに1ダースくらい騒ぐ馬鹿をとっつかまえてやろうぜ」

ハーマイオニー「そう、じゃぁまずはあなたから神妙にしてもらえるかしら」

ジニー「私はそういうのに選ばれなくてよかったわ!ハニーの雌豚としてしっかり仕えるんだから!ヒンヒン!」

モリー「みんなおまたせ!ジニー、自慢できることじゃありませんよ!ほらほら、みんな乗って!時間がありませんからね……」

フラー「オールヴォワ、ハァニー!まーた会いましょうね」

ハニー「えぇ、フラー。ビルと仲良くね! お母様とも!」

モリー「いらない心配ですよ、ハニー……あら、あらあら!アーサー!」

アーサー「はぁ、良かった。なんとか見送りに間に合ったようだね。みんな、いい新学期を!」

ハニー「……本当に、間に合ってよかったわ。お父様、少し話したいの!いい!?」

アーサー「? いまかね、ハニー!?」

モリー「出発まであとわずかしかないのよ、ハニー!?手紙になさいな――」

ハニー「だめなの!いますぐでなきゃ!」

ハーマイオニー「……まさか」

ロン「もちのロン、フォうイうことだろうさ。好きにさせてあげなよ、言うだけはタダなんだから」

450: 2013/07/24(水) 18:37:27.24 ID:lcXz/xfm0
ホームの物陰

アーサー「それで、話というのはなんだい、ハニー」

ハニー「えぇ、お父様。実は……私達が、ダイアゴン横丁にいったとき」

アーサー「もしくは、フレッドとジョージの店で突然君達がいなくなった時の話を聞かせてもらえるのかな?」

ハニー「……どうして」

アーサー「おいおい、ハニー。私はあの二人を育てたんだよ?それに、君の一番の豚の親でもあるんだ。当然じゃないか」

ハニー「……ほんと、あなたたち一家って。えぇ、そうなの。私達、本当はあそこにいなかったわ」

アーサー「あぁ、いいだろう。最悪の部分を聞かせてもらえるかな?」

ハニー「私達、ドラコ・マルフォイを追っていたの。透明マントを使って、気づかれないように」

アーサー「……いい趣味とは言えないね。何か理由があったのかね?それとも、単なる気まぐれで?」

ハニー「明らかに様子がおかしくて、なにか企んでいると思ったからよ」

アーサー「ッハハハ。ハニー、君は本当、思い切りがいいね」

ハニー「私だもの、当然ね。それであいつは……ノクターンの、ボージン・アンド・バンクス商店に入っていったわ」

アーサー「ほう……何か買おうとしたね?それとも、また売りに……?」

ハニー「どちらでもなかったわ。何かの修理の仕方を聞いて……それに、店にあるなにかをとり置いて、それも修理すうように、そういいつけていたの。脅してた、って言ったほうがいいわね」

アーサー「脅す……?」

ハニー「……お父様、呆れないで聞いて頂戴。マルフォイは……父親の代わりに、氏喰い人になってるわ」

451: 2013/07/24(水) 18:51:21.05 ID:lcXz/xfm0
アーサー「……腕をまくって、ねぇ」

ハニー「……」

アーサー「いいかい、ハニー。君と彼が嫌いあっているのは知っているしよくわかる。だが、闇の印そのものを見たわけではないのだから……」

ハニー「でも、そうでなきゃ説明がつかないわ!調べる価値はあると思うの、あいつが何を直したがっていたのか、何を欲していたのか……」

アーサー「あぁ、そのために私に話してくれたのか。ありがとう。だが、マルフォイが逮捕された後、あの屋敷は徹底的に調べ上げたよ。闇の道具の類は一つも残っていない、保障する」

ハニー「……見落としが、あったのかもしれないわ」

アーサー「それはきっと、ないね。ホグワーツ勤めの優秀な屋敷しもべが、驚くほどあらゆる隠し場所を探し当てたから。いやぁ、彼は優秀だった。どこか見覚えがあったけど」

ハニー「……流石は私の豚ね。でも、でも……」

アーサー「ハニー、『例のあの人』がたかだか十六歳の子供を受け入れるとは思いがたい。その考えは忘れなさい」

ハニー「私だって十六だし、子供じゃないわ! あいつが何を考えているのかわかる人間なんて、いないじゃない!いるとしたら、私で……」

ポーーーーーーーーーッ!!!

アーサー「汽笛だ! ハニー、行きなさい!わかった、わかった。よーく覚えておくし、屋敷に一人残ったナルシッサ・マルフォイが何かしでかさないか省も目を光らせておく!行きなさい!」

ハニー「約束よ、お父様!」

アーサー「あぁ!さっそくだが件のナルシッサ・マルフォイが……ホグワーツの制服に身を包んで特急に乗り込もうとしているが、あれは何事かな」

ハニー「……乗り込もうというか、下ろされているように見えるけれど」

 マルフォイ「は、は、う、え!!!それは母上はお綺麗ですが、無理が、あると、言っています!!帰ってくだ、かえ、帰れ!!!!」

 クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラ!!」」

 マルフォイ「黙るフォイ!!」

452: 2013/07/24(水) 18:54:00.18 ID:lcXz/xfm0
一旦休憩
9時には戻る

455: 2013/07/24(水) 21:15:50.78 ID:lcXz/xfm0
ガタンゴトン、ガタンゴトン

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハニー「……ロンとハーマイオニーは監督生車両に行ってしまったんでしょうね。ジニーは……お付き合いしてるディーンのところにいるのでしょうし」

ジーーッ
 ヒソヒソヒソヒソ

ハニー「……あまりジッとしてるのも落ちつかないわね。それは、私がいつだってどこだって視線を集めるのは当然の、ことだけれど」

ハニー「……さぁ、席を探さなくっちゃ。どこかに……あら」

ネビル「やぁハニー!ヒンヒン!よかった!もうどこかのコンパートメントに入っちゃったかと思ったよ!」

ハニー「ハァイ、ネビル。それに……ハァイルーナ、元気にしてた?」

ルーナ「こんにちは、ハニー。うん、元気だよ。カブ、やっぱり付けてたんだ」

ハニー「えぇ、あなたにもらった赤いカブのイヤリングね。せっかくの新学期だmの……やっぱり?なんだか含みのある言い方ね?」

ルーナ「うん。駅についてからやたらと同じのを売ってくれ、って人が大勢あたしのとこに来たから」

ネビル「豚どもも騒然だったよ、ハニーがアクセサリーをしてるなんて!イヤリングになりたい!って」

ハニー「えぇ、そうね。私からいつだって離れないという意味では同じようなものでしょうけれど?」

ネビル「全くだよ!ヒンヒン! それで、ルーナ。そのイヤリングって売ってくれるの?」

ルーナ「悪いけど、特別製だから売れないもン」

ハニー「えぇ、ふふっ。特別、その通りだわ」

ルーナ「ザ・クィブラーならあげるよ?」

ネビル「あー、うん、いいや、えーっと、付録のメラメラメガネは、きっと僕にはファンキーすぎるから」

456: 2013/07/24(水) 21:30:48.80 ID:lcXz/xfm0
ハニー「私のインタビューが載ってから、クィブラーは何か変わった?」

ルーナ「一時期よりは収まったけど、発行部数がグンと伸びたよ。中身は全然変わんないんだけど、パパはみんなが興味をもってくれたんだって喜んでた」

ハニー「そっ。それなら私も嬉しいわ」

ネビル「ヒンヒン!ハニー、ここ空いてるよ!……あー」 

ザワザワザワ
 ヒンヒン

ネビル「な、なんだか変な感じだ。ハニーが豚はおろか全世界から注目されるのは自然の流れだけど……僕達も、見られてる!」

ハニー「きっと、魔法省での騒動の場にあなたたちもいたことが報道されたからでしょうね」

ネビル「うん、新聞に書きまくられてたね。あ、トランク貸してよハニー。君の荷物を君に押し上げさせるなんて、定例会議もんだからね。ヒンヒン!」

ハニー「ありがとう、気の利く豚は好きよ?」

ネビル「ヒンヒン! ばあちゃんったら、僕が父さんたちに恥じない魔法使いになり始めたってとっても喜んでくれたんだ。あの時折れた杖の代わりに、新しいのを買ってくれたよ!みて!」

ハニー「あら……少し、ピンクがかった綺麗な杖ね」

ネビル「桜の木にユニコーンの尾が入ってるんだ。きっと、オリバンダーが最後に売った杖だと思う……次の日にはいなくなっちゃったみたいだから」

ハニー「……そう」

ネビル「……いなくなったと言えば、僕のペットのヒキガエルのトレバー、どこにいったか知らないよね……?」

ハニー「……まだここに入って五分と経ってないと思うのだけれど」

460: 2013/07/24(水) 21:52:23.63 ID:lcXz/xfm0
ネビル「まさか僕の靴底の下に入ってたなんて……」

ハニー「そのヒキガエル、本当にただのカエルなのかしら」

ネビル「さぁ……ハッ!さては豚かな!」

ハニー「それならそれで迎えあげてあげるけれど……ルーナ、助かったわ。よくわかったわね、トレバーの居場所」

ルーナ「なんでもないよ。ラックスパートが、動けないカエルの耳に入ろうとしてたのが見えたから」

ネビル「えーっと、そのファンキーなめがねで? ハッハ、ハだね……」

ルーナ「そういえば、今年もDAの会合は続けるの?」

ハニー「え? そうね……もうアンブリッジはいなくなったもの。まともな先生に代わるなら、必要ないと思うわ。幸い、あの人は先生としては優秀のようだし」

ネビル「そっか……僕、ハニーからたくさん習ったあの集まり好きだったんだけどなぁ。なによりはハニーがいたからだけど。ヒンヒン!」

ルーナ「あたしも。友達がたくさん出来たみたいだった」

ハニー「ルーナ……そうね、楽しかったわ。今年も、出来れば……」

ガラガラッ

ハニー「あら」

ネビル「? なんだろ……わっ!女の子だ……うわ!?よ、よく考えたらいまここ女の子だらけだ!とばっちりがコワイ!!」

ロミルダ「あ、あの、こん、こんにちは、ハニー!」

ハニー「……?ハァイ。あなたは確か……双子の店でジニーが話しかけてた」

ロミルダ「ロミルダ!ロミルダ・ベインよ!   やったわみんな!覚えててくれたわ!!!」

キャーキャー! ザワザワザワ

ルーナ「? あんまりそこにたまってると、ラックスパートにやられちゃうよ」

ネビル「お、女の子の大群……だ、大丈夫かな、何か飛んできたり殴られたりしないかなぁ」

462: 2013/07/24(水) 22:09:02.03 ID:lcXz/xfm0
ロミルダ「えっと、今日もお召し物がステキだわ、ハニー!」

ハニー「言われなれているわ、ありがとう」

ネビル「お召し物だけじゃなくて存在全てだよね!ヒンヒン!」

ハニー「知ってるわ。それで、ロメルダ?何かご用?」

ルーナ「イヤリングならあげられないって、あんたにはさっき断ったはずだもン」

ハニー「あら、この子も。ふぅん……?」

ロメルダ「え、えーっと、ハニー。あの……実は、お誘いしようって思って」

ハニー「お誘い? えぇ、そうね。可愛い後輩のようだもの……慕ってくれているなら、耳くらいは――」

ロメルダ「か、可愛い!?い……いける! あの、わ、私達のコンパートメントに、来ない!?」

ハニー「えぇ、力を抜いて……え?なぁに?あなたたちのところ?」

ロメルダ「そ、そうよ。混んでいるのは確かだけど、なにもこの……ルーニーとか」

ルーナ「?」

ハニー「……」

ロメルダ「なんだか冴えない、カエル片手のやぼったい人と一緒になんて、座る事ないと思うの!」

ネビル「やっぱりね!ヤッホー!わかってた!慣れっこさ!」

ハニー「……」

ロメルダ「だから、えっと、私達と座って、おしゃべりとか、えっと、あの――」

ハニー「この人たちは、わたしのお友達よ」

ロメルダ「……は?え、え?」

ハニー「旅の道連れは間に合っているわ。とっても、素敵なね。用はそれだけ?」

ロメルダ「あ……あー……オッケー……」

ガラガラピシャンッ!

ネビル「……ハニー」

ハニー「……同じことを言ったのが男の子だったら、どうなってたかしら」

ネビル「僕が真っ赤に染まってたね、うん」

465: 2013/07/24(水) 22:27:29.85 ID:lcXz/xfm0
ルーナ「みんなは、あんたに、あたしたちよりももっとかっこいい友達を期待するんだ」

ハニー「あら、とっても率直で面食らう言葉をありがとう。でも、そうね。あなたたちは十分、カッコイイと思うわ」

ネビル「ヒンヒン!光栄だよハニー!身に余るよ!」

ハニー「本当のことよ。あの子たちの中に誰も、私と一緒に魔法省に行った人はいなかった。誰も、わたしと一緒に戦ったりしてないわ」

ルーナ「ふぅん。前より、ちゃんと言うようになったんだね」

ハニー「えぇ、誰かのおかげで」

ネビル「でも、一番カッコイイのは君だよ、ハニー。当然だけど……『あの人』に立ち向かったのは君だけだ。僕達はだれも、そこまでついていかなかった」

ハニー「それは、そうだけれど。私だってあそこじゃ……解説役もいいとこだったわ」

ネビル「それでもさ。ばあちゃんは言ってたよ、『ハニー・ポッターは、魔法省全部を束にしたより根性があります!』ってね」

ハニー「比べるのもおこがましいわね、そうでしょ?」

ネビル「全くだよ!ヒンヒン、ヒーン!」

466: 2013/07/24(水) 22:50:38.89 ID:lcXz/xfm0
ネビル「そういえば……OWL試験の結果はどうだった?僕、せっかく褒められてたのに……あれのせいでまたばぁちゃんの機嫌を損ねちゃったんだ……」

ハニー「私だもの、悪いわけはないと思うけれど?」

ネビル「だよね!ヒンヒン! 僕も、思ってたよりは良かったんだけど……薬草学じゃ『O・優』を取れたしね。でも、いくつか落第もしちゃったし『闇の魔術に対する防衛術』じゃ自信あったんだけど『E・良』だったんだ……残念だなぁ」

ハニー「あなたの成長ぶりはしっかり見てたわ。私に評価されればそれでいいでしょう?違う?」

ネビル「ヒンヒン! でも、あー……変身術が『A・可』だったのは……とっても残念だなあ」

ハニー「あら……たしか、マクゴナガル先生は」

ネビル「うん、『E・良』以上じゃないと受けられないんだ……ばあちゃんは無茶を承知でも時間割を入れてもらえって言うんだけど、聞いてくれるかなぁ」

ハニー「どうかしらね。厳しい人だけれど、私達のことを考えてくれるわ。話してみるのは無駄じゃないはずよ」

ネビル「だよね……あぁ、僕がもうちょっと出来るやつだったらなぁ。生まれなおしたい気分だよ」

ハニー「あなたは私の出来る豚さんだ、ってば……生まれ……」

ハニー「……」

ハニー「(あの予言は、私とネビルの両方に当てはまってた……可能性が、の話だけれど)」

ハニー「(もしも、私じゃなくネビルが襲われていたとしたら……『選ばれし者』はネビルになっていたの?)」

ハニー「(それとも、ネビルのことを片付けてから私のところに来ることになるのかしら)」

ハニー「(結局、私が、わたしが生き残れたのはママのおかげだもの……でも、あぁ、ネビルのママだって、ステキな人だった)」

ハニー「(きっと、ネビルを守るはずだわ……でも、本当にママと同じ風に守ることが出来るのかしら。そんなに都合のいいものなのかしら)」

ハニー「(予言は……本当に、私達二人を)」

ネビル「――ってわけで、晴れてスネイプの授業から解放されてとばっちり具合がぐっと減るんだ!ヤッタネ!あれ?ハニー、大丈夫?」

ハニー「……えぇ、なんでもないわ。そう、『魔法薬学』は……」

ネビル「トロールだったよ!ハハハ!でもいいんだ、トロールのパンチよりいやーなあの面おがまなくて済むんだから!ハハハハハ!」

468: 2013/07/24(水) 23:15:23.55 ID:lcXz/xfm0


ガラガラッ

ロン「ヒンヒン!やっとハニ呼吸ができる!」

ハーマイオニー「深呼吸みたいに言わないで。おまたせ、ハニー」

ハニー「お疲れ様、二人とも。ロンはすぐに仕事があるけれど」

ロン「仕事?違うね!君のマットになることはそれすなわち僕の生きる理由さ!ヒンヒン!ようネビル、ルーナ。夏休みはどうだった?」

ネビル「ハニーとかなりの期間一緒にいれた君を豚一同で呪う毎日だったよ」

ロン「なるほどね、道理で今年の夏は怪我することが多いと思ったんだ、もちのロンで」

ハーマイオニー「それ本当に呪いをかけたのだったらみんな退学ものだからね……?こんにちは、ルーナ。えーっと、ステキな眼鏡ね」

ルーナ「あんたの場合、イヤリングの方を褒めたいんじゃないの?」

ハーマイオニー「それもあるけど、あなたとハニーの友情に水差したりしないわ」

ロン「拳は?っと、わかったわかった、茶々いれないよ。あぁ、そういえば仕事と言えばさ。マルフォイの奴、今年は監督生の仕事を放棄してやがるんだ」

ハニー「放棄……?」

ロン「あぁ。監督生用コンパートメントに来なくって、ここにくる途中、他のスリザリンどもと座ってるのが見えたよ」

ハーマイオニー「あなたに会いたかったし、どうでもいいから放っておいたけど……どういうつもりなのかし、きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。あんなマルフォイを見るよりも、私のことを優先するのは当然だけれど。ふふっ、そんなに会いたかったの、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、ちょ、だめよ、だめ、こんなとこ……あぁ、そんな、それは、もう……あなたに会えるなら、天馬に跨って、だって……

ロン「つづけて!!」

ネビル「どうぞ!!!」

ルーナ「? ラックスパートの大群だ、すごい」

469: 2013/07/24(水) 23:34:46.97 ID:lcXz/xfm0
ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、あたたの、ハニー!随分と気にしてらした、マルフォイの!真面目な、お話よ!」

ハニー「私はいつだって――」

ハーマイオニー「いつだって真面目ね、ハイハイ、そうでしょうとも!」

ロン「わかってきたじゃないか、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「六年にもなれば諦めもつくわ……マルフォイはきっと、もう監督生の立場を面白く思っていないのよ。尋問官親衛隊を、随分とお気に召していたじゃない?」

ロン「ドヤ顔だったもんな、終始。ここんとこのあいつは、何て言うんだろうな。余裕ぶいてるけど焦ってる、後がない、そんな感じだ。なんとなく」

ハニー「なんとなくの割りは随分と具体的だけれど……監督生として周りをいびるよりも、マルフォイがやりたがっていること……もしか、して」

ガラガラガラッ

ネビル「またお客だ……ひぃっ!?女の子!」

ハニー「もうロンもいるからそう怯えることもないと思うけれど、ネビル」

ロン「なんだい、ネビル何かしたのかい?定例会議でみっちり聞いてやろう」

ネビル「むしろしてなさすぎるのにこれだよ!なれっこさ!」

ハーマイオニー「あなたたちはいいから……えーっと、たしか三年生の?」

グリフィン生「わ、私、ハニー・ポッターとネビル・ロングビョトムさんに、この手紙を渡すように、って!」

ネビル「そっちから刺されちゃったかぁ」

ロン「ヘイ君、ハニーの前だからって緊張するなよ。それで、手紙?」

ハニー「何かしら……ありがとう、受け取ってあげるわ」ツツーッ

グリフィン生「ふわぁ!?あ、ありが、ありがとうございます!!そ、それじゃ!」

ピシャンッ!

ハーマイオニー「……しっかり顔を覚えておいたわよ、いまの子」

ロン「去年あいつに散々言ってたんだから、私怨のために監督生の職権乱用はなしで頼むぜハーマイオニー。もちのロンで」

470: 2013/07/24(水) 23:51:58.00 ID:lcXz/xfm0
ハニー「……招待状だわ」

ロン「よかった、恋文だったりしたら豚どもの怒号が響き渡るところだった」

ネビル「抜け駆けは屠殺だもんね」

ハーマイオニー「抜けても駆けても結果は明らかでしょうけど……何の招待なの、ハニー?」

ハニー「ランチよ。読むわね……『ハニー コンパートメントCでランチの用意をしているのだが、参加して貰えれば大変嬉しい 敬具 H・E・F・スラグホーン教授』」

ネビル「僕のもおんなじだ。スラグホーンって、誰?」

ロン「ホグワーツに来る新しい先生だとさ。ハニーがこの夏合ってる」

ネビル「ふぅん。豚なの?」

ハーマイオニー「それはどうしても必要な情報なの?二番目に聞かなくてはいけない要素なの?」

ルーナ「スラグホーン、面白い名前。しわしわ角のスノーカックのこと、何か知らないかな」

ハーマイオニー「あなたの論理の跳ね飛び方はいっつも驚かされるわ、ルーナ」

ハニー「それにしても招待されたのが私と、ネビルだけ? どうしてなのかしら……」

ロン「あぁハニー、そりゃ、君をランチを一緒できるなんてこの上ない幸福だもんな!誘いたくもなるってもんさヒンヒン!ネビルは……」

ネビル「……」

ロン「……ネビル、大丈夫だ。同胞は君を見捨てないぜ?捌かれそうになったら、ほら、ほら貝で呼べよ」

ネビル「数多いる豚の中から僕食材として招待されるの!?」

ロン「まぁ、どっちにしろハニーと一緒に呼ばれるなんて会議で裁かれることだけどさ」

ネビル「わぁ!ひどいや!」

ハニー「豚同士は仲良くしなさい、見苦しいのは嫌いよ」

ロン「ヒンヒン!」

ネビル「ヒーン!」

ハーマイオニー「まったくもう……ハニー、行くの?スラグホーン先生のところ」

ハニー「呼ばれた以上は、そうしてあげるわ。話してみたいこともあるもの……さぁ、ネビル?」

ネビル「ヒンヒン!や、やった!ロン、止めたって無駄だよ!僕はしっかりハニーの従者として務めるさ!」

ロン「くそっ!どうして僕はネビル・ロングボトムじゃないんだ!」

ハーマイオニー「ロナルド・ビリウス・ウィーズリーだからでしょ」

496: 2013/07/26(金) 15:10:28.13 ID:A9XwEUaE0
ガヤガヤ
 ヒソヒソ
 ヒンヒン! ネビル氏ね!!!

ネビル「は、ははは!やだねっ!!あぁハニー、やっぱり君と連れ立って歩くだなんて僕の身に余る光栄にもほどがあるよ!ヒンヒン!」

ハニー「あら、それならあなたは豚であることを放棄して、私を一人で行かせるつもりだと言うのかしら?」

ネビル「滅相もない!一生着いて行くよ!」

ハニー「そのつもりよ、可愛い豚だもの……あぁ、いやな顔があるわ」

ネビル「え? うわー、マルフォイだ」


 マルフォイ「監督生なんてくだらないものに時間をかける気はないんだ。そもそも僕は学校に戻ること自体……おーやおや」


ハニー「……意地の悪い顔。みんなが見ているから、私に喧嘩をふっかける気はないようね」

ネビル「だからって、ハニーに中指立てるなんて!噛み千切ってやりたいよ全く!ヒンヒン!」

ハニー「放っておきなさい、怒る価値もないわ……何を話しているのか、気にはなるところだけれど」

ネビル「フォイフォイうるさいんじゃないかな」

ハニー「そうでしょうね、えぇ。さっ、コンパートメントC、だったわね?」

ネビル「うん!あっ、僕が開けるよハニー!ヒンヒン!」

ガラガラッ

スラグホーン「ハッハッハッハッハ!いやぁ、実に愉快――おぉハニー!よく来てくれた!会えて嬉しい!」

ハニー「ハァイ、ミスター・スラグホーン……いいえ、今度からは先生、と呼ばなくてはいけないわね?」

スラグホーン「ハッハッハ!いやぁ、なぁに!君に限ってはホラスと呼んでもらっても構わないがね! 諸君、私と彼女が特別親しいと思ってはいけないよ?ここではみーんな、私の友だ!それで、君はミスター・ロングボトムだね?」

ネビル「あっ、はい、あー、すごい口髭ですね……みんな?……わっ、たっくさん生徒がいる!」

スラグホーン「そうとも、みな私が招待した生徒たちさ。あとで紹介するとしよう!」

ネビル「ハニーと二人じゃないのかぁ……あ、ジニーだ!」

ハニー「ジニー? ロンは呼ばれていなかったのに……」

ジニー「私にもさっぱりなの、ハニー」

スラグホーン「さぁ、立ち話もなんだ、席に着きたまえ!ランチを始めよう!おっと、急遽一人増えたのだった……新しい席を」

ハニー「必要ないわ。そうよね、ネビル?」

ネビル「うん、ハニー!ヒンヒン! さぁ、僕の背中に腰掛けてよ!ロンに代わって僕が臨時マットさっ!」

ジニー「ずるい!!ずるいわ!!!」

スラグホーン「……この性格、やはり、いや、堪えろ、こらえろ、見た目はリリーだ、見た目……目……ハニー!君に素敵な眼鏡の贈り物、眼鏡!?眼鏡なんて見たくもない!!どこかにやってしまえ!!!!」

ハニー「落ち着いて、先生」

499: 2013/07/26(金) 15:28:07.00 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「さーてさて、遅れてきたお二人にご紹介しよう。スリザリンのブレーズ・ザビニは、もちろん君たちど同学年だから知っているだろうね?」

ハニー「……えぇ、まぁ」

ネビル「えっと、顔だけは」

ザビニ「……」

スラグホーン「ハッハッハ、会釈もなしかね!いかんぞー、いかん!君らの寮がどういう関係かは痛いほど知っておるがね、長い付き合いになるのだからたまーには一人くらい愛想よくしたまえ!」

ハニー「跪いたら、考えてあげるけれど」

ネビル「ヒンヒン!」

ジニー「残念だったわねネビル!ハニーの下にいるあなたは跪けないわ!ヒンヒン!」

スラグホーン「君らが愛想振りまいてどうするね? とにかく、その態度はいただけませんぞ三人方」

ザビニ「……スリザリンとグリフィンドールは、敵同士です」

スラグホーン「ほう、そうかね。私とアルバスを例にしよう。グリフィンドールとスリザリンの出身者だが、わたしと彼はいつだって気のいい同僚だった」

ハニー「あの人は随分とあなたを振り回したようだけれど」

スラグホーン「それも含めてさ。『社会』に出てから寮の確執がどうの、生まれがどうのと言うものに固執していては成功せんぞ!さぁ、挨拶したまえ!」

ハニー「……ハァイ、ザビニ」

ネビル「いい天気だね」

ザビニ「……曇ってるけどな」

スラグホーン「よろしい! 若者の相互理解はいつ見ても素晴らしいものだなぁ! あぁ、わたしのおかげとは思わなくていいさ!君たちはたまたま、ここで出会っただけなのだからね!ハッハッハッハッハッハ!」

ハニー「……肝に銘じておくわ」

500: 2013/07/26(金) 15:38:43.90 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「さてさて、こちらは知っているだろうね? コーマック・マクラーゲン。君たちグリフィンドールの先輩だ」

コーマック「やぁ。あまり話したことはないけど、君の活躍はいつだって聞いてるよ」

ハニー「ハァイ。えぇ、そうでしょうね。隠しておくのが馬鹿らしいほどだもの」

ネビル「いつだって活躍してるものね!ヒンヒン! 大柄だなぁ、キーパーみたいだ」

スラグホーン「こちらはマーカス・ベルビィ。知り合いかどうかは……?」

マーカス「ヒンヒン!ハニー!学校に着く前に会えるなんて嬉しいよ!おじさんありがとう!」

スラグホーン「……どうやら聞くまでもなかったようだ」

ハニー「えぇ、マーカス。夏は楽しくすごしたかしら? おかしいわね、感謝は全て私に注ぐものと思っていたけれど?」

マーカス「ヒンヒン!そうだった!ありがとうハニー!」

スラグホーン「あー、そしてこちらのお嬢さんは、君たち二人の友人だとおっしゃる」

ジニー「ヒンヒン!」

ネビル「ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、違いないわ。でも、どうしてジニーだけ……」

スラグホーン「積もる話は後だ!さぁ、ランチにしよう!短い時間だが、みんなと知り合えるいい機会じゃぁないか。グラスをとって――あぁ、もちろん新学期前だ、お酒は振舞えないからカボチャジュースで我慢してほしいね」

ハニー「今度はタンポポジュースでお願いするわ」

スラグホーン「……あぁ、そうしよう。うむ、いかんな。目にゴミが……さぁ、乾杯だ!ようこそ、『スラグ・クラブ』へ!」

ジニー「……スラグ……なめくじ?」

ネビル「ロンの口が集会場所なのかなぁ」

501: 2013/07/26(金) 15:51:44.90 ID:A9XwEUaE0

ジニー「……どうやら、この人主催のお気に入りサークルの名前みたいね、さっきの……ママが言ってた通り」

ハニー「そうね……こんなに早く行動するとは、思っていなかったけれど……」


スラグホーン「で、どうだねマーカス!わたしがかつて教えた優秀な君のおじさんダモクレスは、今でも元気にしておるか?」

マーカス「あー、えっと――」

スラグホーン「我が家には彼がマーリン勲章を受章した時に、わたしと並んで撮った写真がある!それと言うのも、今の研究を始めるにあたって私がすこーし後添えしたことがあってだね」

コーマック「へーぇ!凄いなぁ!」

マーカス「あまり頻繁には、連絡をとっていないので、なんとも……」

スラグホーン「もちろん、そうだろう!彼の『トリカブト系脱狼薬』によって救われた、善良な隣人達はやまほどいる!」

ハニー「マーカス、後で少し時間をとりなさい。いいことをしてあげるわ」

マーカス「!? ひ、ヒンヒンヒーーーーン!」

スラグホーン「おやおや、仲が深まるのはいいことだ!それで、ダモクレスは仕事で忙しく手紙を出す暇もないのだろうと拝察するが――?」

マーカス「あぁ本当におじさんがおじさんでよかった……あー、ですけどあの、実は僕の父とおじはあまり上手くいってなくって。だから僕、ほとんど顔も……あー」

スラグホーン「――そうかね! さぁ、ベルビィ!雉肉はいかがかな?」

マーカス「えっ、あれっ、名前、あー……い、いただきます」


ジニー「……一気に興味がなくなった顔になったわ」

ネビル「わかりやすいなぁ……無碍にするわけじゃないけど……」

ハニー「……」

502: 2013/07/26(金) 16:11:04.23 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「コーマック、おじさんのチベリウスは元気かね?」

コーマック「はい、休暇の度に会いにいきますよ。忙しいのに、いいおじです」

マーカス「……雉肉冷たい」

スラグホーン「あぁ、君とノグテイル狩りをしている写真を見させてもらった。彼は昔から面倒見がよく、それに活動的だったからなぁ」

コーマック「えぇ、楽しませてもらってます。バーティ・ヒッグズや、ルーファス・スクリムジョールも一緒でした――もちろん、あの人が大臣になる前の話ですけど」

スラグホーン「それは、それは!バーティやルーファスも知っているとはね――さぁコーマック、パイはどうだね? 君たちも」

コーマック「ありがとうございます。美味しいパイですね!」

マーカス「ありがとうございま……あれ、僕の分がない」

スラグホーン「さてさて、ブレーズ君の話を聞きたいんだがね!」


ハニー「……どうやら、ここに集めた人たちを一人ひとり面談するみたいだわ」

ジニー「いやーな感じ。上から下までなめくじが這うみたいにジロジロみられて」

ネビル「あのザビニっていう奴も、あんまり面白くなさそうだね」


スラグホーン「君のお母様のことはおぼえているよ。飛びぬけて美人だった、それはもう。城中をあそこまで虜にした生徒は……過去に一人だけだ」

ハニー「残念だけれど今は三人目が在学中よ」

スラグホーン「それは楽しみだ。ブレーズ、あれほどの美貌をもちながら、お母様はもう伴侶を持とうとしないのかね?」

ザビニ「七回も夫が不審氏して、金貨が大量に残れば疑われもしますから……魔法省のお偉方とのパーティには、相変わらず招待されていますけど」

スラグホーン「ほっほーぅ……!」


ハニー「……」

ジニー「……」

ネビル「保険金殺……や、やめとこう、コワイね、偶然って」

504: 2013/07/26(金) 16:24:23.37 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「ネビル、君のご両親のことはよーーく知っているよ。優秀な二人だった、どちらも優しく、魅力的だった」

ネビル「あー……ありがとうございます」

スラグホーン「どちらも受け持ったが、非常に優秀だった。ネビル、君もきっとご両親と同じく……?」

ネビル「えっと、あんまり。あー、『薬草学』は得意で、えっと、ふくろうでも『O・優』だったけど……」

スラグホーン「ほぉ! 立派だ、非常に立派!なぁにも恥じることはない、『薬草学』はとても役に立つ学問だ。わたしの教科とは切ってもきれないと言える」

ネビル「そ、そうなんですか?」

ハニー「……?」

スラグホーン「あぁ――それで、他の教科はどうだったね?フランクは『闇の魔術に対する防衛術』や『呪文学』、アリスは『変身術』が得意だったように思うが?」

ネビル「えっと……自信はあったんですけど『闇の魔術に対する防衛術』は『E・良』で……『呪文学』も同じで……『変身術』は『A・可』だったから、今年取れるかもわからなくって……」

スラグホーン「…………ふぅーむ……『魔法薬学』は?」

ネビル「トロールにでも飲ませたほうがマシです」

スラグホーン「……ハッハッハッハ!まぁ、人間得て不得手はあるものだ!それに悪い成績というわけではない、十分誇る価値ありだ!それに、大事なのは――何をするか、そういうところだろう? パンはどうだね?みんなも」

ネビル「あ、はい、い、いただきます! あ、でもちょっと小さい」

コーマック「大きくてフワフワでおいしそうなパンですね、先生!」

ザビニ「……味はいいけど、いつ終わるのか聞いてもいいですか」

マーカス「……ハッ!わかった、僕いつの間にか『目くらまし術』を!」

ハニー「マーカス、これ、食べなさい」

マーカス「ヒンヒン!ありがとうハニー!はいつくばってでもいやむしろ這って食べるよ!ヒンヒン!」

506: 2013/07/26(金) 16:47:03.65 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「さぁて、さて!ハニー、いよいよ君だ」

ハニー「えぇ、そうね。私の面談というわけ?」

スラグホーン「ハッハッハ、面談だなんて滅相もない。ただの楽しいお喋りだよ、一体何から聞けばいいのやら!」

マーカス「スリーサイズ!」

ジニー「オーケーマーカス、ロンに報告しておくわ」

ネビル「むしろこの場で裁くべきだと思うんだ」

マーカス「」

スラグホーン「ハッハッハ、彼女は魅力的な女性だ、そういったものも知りたいのは、わかる。だがね、誰もが知りたい一番は……『選ばれし者』についてではないかね?」

ジニー「……」

ネビル「……」

マーカス「……痛い、いたっ、ネビル、悪かった、痛い、雉肉の骨痛い、やめて!」

コーマック「……」

ザビニ「……」

ハニー「……あら、どうやらそのようね。みんなが私のほうをジッと見ているもの」

ジニー「私達豚はそれがデフォルトだわ」

ネビル「ほんと、自然と向いちゃうよね」

スラグホーン「もちろん、もう何年も前から君は有名だった……わたしは覚えているよ、あの恐ろしい夜のあと……リリーが、リリ、すまんね、目にゴミが……そして君が、生き残った」

ハニー「……ぱp」

スラグホーン「眼鏡の話は置いておくとして。そして、噂が流れた。君がきっと、尋常ならざる力を持っているにちがいに、とね」

ザビニ「……フンッ」

ジニー「あーら、それはどうかなっていいたげね!そこの、常に不満げ気だるげで俺は孤高の男だぜ気取りのコミュ障さん」

ザビニ「!?」

ジニー「自分には格好つけるって才能があるんだ、そう言いたいわけ?」

ネビル「そういう奴のことをザビニってるって言われるくらい有名だよね、この格好つけ」

ザビニ「!? ざ、ザビ、なんだおい、それ!!」

スラグホーン「ハッハッハ!ブレーズ、気をつけたまえ。そこのお嬢さんを怒らせるとコワイぞぉ?ここに来る途中の車両で、男の子相手にそれはもう見事な『コウモリ鼻くその呪い』をぶちこんでいるのを見たのだからね!」

ザビニ「……フンッ」

ネビル「ザビニってるなぁ」

ザビニ「うるさい!!!!」

ハニー「……ねぇジニー?なんでそんなことになったの?」

ジニー「最高にザビニってるハッフルパフのあのバカ、ザガリーが魔法省でのことしつこく聞いて邪魔してくるものだから、つい」

ザビニ「それやめろ!!」

ガラガラッ!!

ザガリアス「ザガリーって言うなよ!!!!ペッペペッ!」

510: 2013/07/26(金) 17:08:19.02 ID:A9XwEUaE0
スラグホーン「今は君たちとの楽しいランチだからして、残念ながら招いていない彼はお帰りいただくことにした」

ハニー「……あっという間にザガリアスの顔がなんだか茶色いべたべたしたもので覆われてしまって飛んでいったわね」

ジニー「俄然尊敬したくなってきたわ」

ネビル「ザガリー被害が収まるといいよね」

スラグホーン「とにかく、この夏はかつてと同じほど様々な噂が飛び交った――『日刊予言者新聞』はたまに信憑性にかける記事を書くとはいえ、これだけは証人の数からみても確かだろう。君があの魔法省の騒ぎの真っ只中にいた、それは?」

ハニー「確かだわ、えぇ」

スラグホーン「あぁ、実に簡潔でつつしみ深い答えだ。そう、そこから先はあまりにも扇情的な内容ばかりで事実とは断定しがたいのだがね……例えば、あの伝説的な予言のことなんて」

ネビル「予言は聞いてません。僕達があれを、手にしたけど……」

スラグホーン「ほう、そう、そうだ!ネビル、君もあの場にいた、そう!それで、手にして……?」

ネビル「……予言なんてなかった」

スラグホーン「……えっ」

ハニー「……誰も聞くことなく、あれは失われたわ。そうよね?」

ジニー「えぇ、ハニーがそう言ってるんだからそうに決まってるわ」

スラグホーン「そう、そう、かね……あぁ、うん、新聞はたまーに、記事を大げさに書くことがある。バーナバスに何度もきちんと裏をとれといっていたのだが……そうかね」

ハニー「えぇ。だから、これ以上何か話すことは――」

スラグホーン「……ハッハッハ!あぁ、君の方はそうだろう!わかった、これ以上は今日は聞かないことにしよう。女性たるもの、一つや二つ秘密があった方が魅力的というものだ」

ネビル「それじゃ、ハニーは秘密だらけなのかなぁ。ヒンヒン!」

ジニー「百八つはありそうね!あぁハニー!いつか教えてねハニー!ヒンヒン!」

ハニー「……えぇ、そうね。いつか、そうしてあげるわ」

マーカス「じゃ、じゃぁスリーサ――」

ブオォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

スラグホーン「うわっ!?ハッハッハ、ネビル、そんな物騒な音を耳元で鳴らすと、ほら、ベルビィが伸びてしまったじゃないか――さぁ、食事を続けよう!そう、大きな音と言えばグェノグは今でこそハーピーズの主力だが、昔はホイッスルの音で飛び上がってしまうほどの緊張者でねぇ」






513: 2013/07/26(金) 17:25:46.43 ID:A9XwEUaE0
数時間後

スラグホーン「――ハッハッハッハ!そう、教え子たちはみな喜んで私のこの会に入ってくれたものだよ。みな、時を忘れて楽しんで――おっと!それは今日のわたしも同じだったようだ!もう夕暮れじゃぁないか!」

ハニー「……あれから延々、スラグホーンが教えた著名人たちの話で午後が過ぎてしまったわね」

ジニー「私、何度もお手洗いのフリして抜け出そうって言ったのに……あぁ、ハニーのやることにケチをつけたわけじゃないの!ヒンヒン!」

ハニー「……お年よりはいたわるべきだわ、えぇ。聞いてあげなきゃ……先生?今日はお開きなのかしら」

スラグホーン「あぁ、ハニー。名残惜しいがそうすることにしよう。『スラグ・クラブ』でまた君に会えることを楽しみにしているよ!お茶会の時は手紙を送ろう」

ハニー「あー……待っているわ。けれど、私、クィディッチのキャプテンもやることになっているし」

コーマック「……へぇー!君が!」

スラグホーン「なるほど、そうかね。うーむ、きっと優秀な選手なのだろうね……だが、なんとか都合は君を優先して合わせよう!私の部屋にでも、いつでもおいで!」

ハニー「……そうしてあげるわ」

スラグホーン「あぁコーマック、ノグテイルに関する本ならいつでも貸そう。ブレーズも、そちらのお嬢さんもいつでも私の研究室においで」

コーマック「はいっ!」

ザビニ「……気が向けば」

ジニー「そのうち」

スラグホーン「それで、ネビロングボトム。困ったことがあれば善処するから相談しに来なさい」

ネビル「わぁ、微妙なラインだったから扱いが中途半端だぁ」

スラグホーン「それで……はて、君は?」

マーカス「ハニーの豚という者です。ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。可愛い豚のあなたには私だけいればいい、そうでしょ?」

マーカス「ヒンヒン、ヒーーーン!」

スラグホーン「ハッハッハ!さぁ、行きなさい。学校でまた会おう!」

ハニー「……出来れば授業だけにしたいところだわ」

514: 2013/07/26(金) 17:48:43.31 ID:A9XwEUaE0
ガラガラッ
 ガヤガヤガヤガヤ

ネビル「終わってよかった……うーんと、変な人だったね?」

ジニー「なんだか、そうね。ザビニってるよりはマシだけど」

ザビニ「うるさいぞ!!……フンッ」

ハニー「あんな人がいたのね……マルフォイ以外のスリザリンの生徒をそれほどちゃんと見てこなかったから、知らなかったわ」

ネビル「一年生の時に色々と言いまくって、スリザリンの中でもちょっと浮いてるんだって」

ハニー「色々、って言うのは?回りくどいのは嫌いよ」

ネビル「ヒンヒン!えーっと……『俺は群れない、群れるのは弱い証拠だ』とか『俺はスリザリンとして、彼のように孤高に生きるんだ』とか『くっ、寄るな、俺の中の闇<ジャスティス>が暴れても知らんぞ……!』とかを」

ハニー「……」

ジニー「こういう言動、態度をとる人をザビニってる、またはザビ二病とも呼ばれてるわ」

ハニー「……かわいそうな人ね、頭が。サラザールが群れない?孤高?お門違いもいいとこだわ」

ネビル「なんの話? まぁ、いいや。早くもどろうよハニー、ロンが多分氏んでるよ、ざまぁみろ」

ジニー「午後中ハニーに会えなくてハニー成分枯渇しているでしょうものね日頃の恨みよ」

ハニー「豚同士仲良く出来ないのなら首輪はとりあげるけれど?」

ネビル「ヒンヒン!」

ジニー「ヒーン!」

ハニー「よろしい……ザビニは、スリザリンが大勢席を陣取ってるコンパートメントに行くのよね、もちろん……同学年が多く座ってるところへ」

ネビル「……ハニー?ヒンヒン?」

ジニー「えっと、ハニー?どうしたの?遠い目に……あー」

ハニー「……同学年、そうだわ……そこにはきっと、マルフォイが」

ネビル「えっと、どうしよう、聞いてないみたい……えっと、豚マニュアルによるとこんな時、えっと、」

ジニー「す、すぐにロンかハーマイオニーを呼んでこなくっちゃ!これ、ハニーが何か暴走する、あぁ!でも突っ走るハニーもステキ!むしろステキじゃないときを教えてほしい!ヒンヒン!」

ネビル「まったくだよ!ヒンヒン!」

ハニー「きっと、スリザリンばかりだと思って油断してるわ……何か、話すかもしれない。それを聞き出す事ができれば……透明マントをもってて、よかった! ふたりとも、先に戻って!いいわね!」

ネビル「ヒンヒン!君の命令ならね、ハニー!だけど、だけ、あぁ!!」

ジニー「ま、待ってハニー!もちの兄豚で従うけど、何も会話を聞きたいならほらあの双子の伸び耳とかあるじゃな……あぁ……行ってしまったわ」




ザビニ「……」

ハニー『絶対、突き止めてやるわよ。マルフォイ……!シリウスが教えてくれた、ことなんだもの!』

ザビニ「……」

ガラガラッ

マルフォイ「それで、母上ときたらまったく、確かに世界一似合ってはいたけど……おや?」

ザビニ「あー……そこ、座っていいか」

パンジー「!? どういう風の吹き回しかしら、ブレーズ!?いつもは憮然として無言でわたしたちの間を空気も読まずにわけ入って、強引に窓際の席をとって肩肘ついて遠い目になるザビニっぷりなのに!」

ザビニ「……うるさいな」

ハニー『……こっちでも言われてるのね、この人』

マルフォイ「……いいじゃないか。あぁ、入りなよ。こっちに座るといい」

ハニー『……パンジーに膝枕されて、いいご身分ね、マルフォイ。少しでも、暴いてやるんだから』

570: 2013/07/30(火) 23:03:00.43 ID:mzQvaNG20
ガタンゴトン、ガタンゴフォイ

ハニー「……(うるさいわねこの車両)」

マルフォイ「それで、ザビニ。君はスラグホーンに呼び出されたんだろう? 珍しさついでに、あの爺さんの狙いがなんだったのか聞かせてほしいね」

ザビニ「……」

パンジー「ザビニってないで答えなさいよ!」

ザビニ「うるさいな! 女の子に膝枕されてるような奴に上から目線で言われて何だかなとおもってるだけだ!」

マルフォイ「僕はいつだってマルフォイ家当主らしくしているだけさ、気にするな」

ハニー「……(私達がいないと、意外にマルフォイも振り回す立場なのね)」

クラッブ「ゴアー!」

ゴイル「ウッホウッホ!」

マルフォイ「うん? お前たち……もう車内販売で買った菓子を食べきったのか?まったく、その栄養を少しでも頭にまわせばどうだ……ほら、これも食べればいい」

クラッブ「……やったぜ」

ゴイル「……チョロい」

マルフォイ「うん? ああ、そうだな。やっとチョコにありつけて嬉しいだろう?」

ハニー「……(そうでもなかったわ)」

ザビニ「スラグホーンが呼び出したのは、狙いなんてほど大したことじゃないさ。ただ。いいコネを持ってる連中に取り入ろうとしてるだけ、そう見えたね」

マルフォイ「……ふぅん。他には誰が来ていた?」

ザビニ「マクラーゲンなんかは、バカ熱心に話を聞いていた」

マルフォイ「あぁ、マクラーゲン。あぁ、あいつのおじは魔法省で顔がきく。父上も褒めていた、さすが父上」

パンジー「さすがドラコのお父様!いいえ!義父様!キャッ♪」

マルフォイ「?」

ザビニ「……オェッ」

ハニー「……(初めてザビニに同感ね)」

576: 2013/07/30(火) 23:21:04.99 ID:mzQvaNG20
ザビニ「ベルビィとかいう冴えない奴もいた。レイブンクローの」

パンジー「ベルビィ!?あのお間抜けのベルビィ!何の冗談?」

ハニー「(私の豚になんて言い草なのよ、パグ犬みたいな顔をして……同じ犬科でも天と地だわ)」

マルフォイ「あれも確か、おじが有名だ。軟弱な発明をしたとかで父上の友人が馬鹿にしていたはずだがね」

ハニー「……(軟弱腰抜け一家はどちらかしら)」

ザビニ「あとは、ウィーズリーの凶暴そうな女」

マルフォイ「ハッ。あの音痴で歌のセンスが悪いあいつか」

ハニー「(むしろよく覚えてたわねそれ)」

マルフォイ「スラグホーンがコネを作るのに熱心なのだとしたら、あいつのどこに特別なものがあるっていうんだ?ウジャウジャいるウィーズリーの一匹に過ぎない、そうだろう?」

パンジー「男の子に人気があるわ……とってもね! あぁドラコ、あなたはそんな見てくれに惑わされる人じゃないって私信じてるけどっ!」

マルフォイ「男の子に人気? あぁ、確かに凶暴だからな。男の方が気が合うんだろうさ」

ザビニ「……そういうことじゃないと思うが」

パンジー「あーら!ブレーズ、あなたはあの子に気があるのかしら!美人なお母様をお持ちのあなたのメガネに敵う女の子はそうそういないって有名だけど!」

ザビニ「くだらない……顔がどうだろうと、あいつみたいに血を裏切る穢れた小娘に我が手をだすと思うかっ!!!……あ」

マルフォイ「……」

パンジー「……」

ザビニ「……笑ってくれ」

クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラ!!!」」

ハニー「……(ほんと、変な人)」

580: 2013/07/30(火) 23:35:51.38 ID:mzQvaNG20
マルフォイ「盛大にザビニった発言はおいておこう。他には?」

ザビニ「そうしてくれ。もうやめてくれ。あー、ロングボトムだ。あのずんぐりチビもいた」

マルフォイ「……ロングボトムを招いただと!?」

パンジー「きゃぁ!? ど、ドラコ?どうしたの?ごめんなさい、私の髪を撫でる動きになにか不快なことがあったなら……一生かけて償うわ!!!!」

マルフォイ「あぁ、いや……別に、そういうわけじゃない。とにかく、スラグホーンはロングボトムのどこに関心があるっていうんだ?」

ザビニ「さぁね。両親がどうとか言ってたけど、僕の知ったことじゃない」

マルフォイ「……ふんっ。どこに目をつけて選んでいるのやら……それで、残りは?」

ザビニ「あぁ、あと一人は――」

マルフォイ「聞くまでもないな。尊い君、『選ばれし者』の聖人君子、ポッター様。そうだろう?」

ハニー「(装飾がまだまだ足りないと思うけれど?)」

ザビニ「あたりだ。あぁ、そのあたりを聞きたがっていた。ポッターはかわしていたけど」

マルフォイ「ハッ、僕はスラグホーンの趣味を哀れむね。少しボケてきているのかもしれない。そうでなきゃ、父上が評価していた魔法使いがそんなお粗末な人間しか集められないなんて考えられないさ。あぁ、ザビニ。君は別にして」

ザビニ「とってつけたようにどうも」

マルフォイ「父上はあの人に気に入られていたそうだ。盛んな時はいい魔法使いだった、そう聞いて居る。だけど、この僕を招いていない時点で……」

ザビニ「君を招いていないのはもっと単純な理由だと思うね」

パンジー「ドラコの発言を遮らないで!!!」

マルフォイ「ふぅん?パンジー、いいさ。続けさs」

パンジー「ドラコは黙ってて!!!」

マルフォイ「……フォイ」

パンジー「いい、ブレーズ!?ドラコはドラコであぁドラコドラコはどうしてドラコなの!なドラコなのよ!?それをあなた、言葉を遮るなんてなんてことをするの!?」

ザビニ「……僕、君ら二人の関係がいまいちわからない」

ハニー「……(まったくだわ)」

582: 2013/07/30(火) 23:53:34.60 ID:mzQvaNG20
ザビニ「あー、僕が一番早くスラグホーンの待つ車両に着いたんだが、ノットの父親のことを聞かれた。どうやら旧知の仲だったらしい」

マルフォイ「そうだろうな、父上の知り合いでもある。流石父上」

パンジー「流石お父様」

ザビニ「どうしてもそっちにもっていくんだな……それで、彼は魔法省で逮捕されたって言ったら、スラグホーンはあまりいい顔をしなかった。悲しんでたわけじゃない、苦い顔だったな。どうやらスラグホーンは氏喰い人に関心はないのだろうと思うよ」

マルフォイ「それで、今や父上が掴まっている僕の家に関わることも恐れた?ハッ、ますますどうしようもないな」

ハニー「(どうしようもないのはどちらよ、だから)」

マルフォイ「まぁ、スラグホーンが何に関心があろうと知ったことじゃない。結局のところ、ただの老いぼれ臆病者のお間抜け教師じゃないか。そうだろう?」

パンジー「老いぼれ臆病お間抜け教師!ドラコ流石!語呂がいいわ!これはスリザリン中で流行る!」

クラッブ「ごぁー?……」

ゴイル「ウッホ……?」

マルフォイ「いや、だめだな。こいつらが覚えられない。もっと簡単な言葉で韻を踏まないと……」

ザビニ「……ウホウホ言ってればいいじゃないかと思うが」

マルフォイ「とにかく、あんな奴が何をしようと取るに足らないね。つまり、来年になれば僕はホグワーツにいないかもしれないのに、あんな太っちょが僕を気にかけようが恐れようが、どうでもいいことだろ?」

ハニー「!」

パンジー「えっ……えっ!?ど、どら、ドラドドドドラコ・マルフィ!?ど、どういうこと!?!?」

マルフォイ「マルフィはやめてくれるかい」

パンジー「どういうことなの!?ほ、ホグワーツにいないって!?あなたが!?そんな、そんなこって!」

マルフォイ「あぁ、なんだ。先のことはわからないだろう?僕は、あー……学校のお勉強なんかよりもっと高次元なことをしているかもしれない」

ハニー「……(ようやく話しだしたわね……さぁ、そのまま)」

ザビニ「……ふぉ、フォイフォイ普及計画、とか、なのか?」

マルフォイ「それはもうフォうっておイてもどうにでもなる」

ハニー「(そっちじゃなくて……そっちも嫌だけれど!!!)」

586: 2013/07/31(水) 00:14:40.39 ID:WO3nI1Ct0
パンジー「もしかして、ドラコ……れ、『例のあの人』のことなの?」

ハニー「(よく聞いたわ!伊達に犬種の顔してないじゃない!)」

マルフォイ「まぁ――考えてみるといい。闇の帝王が支配なさるとき、OWLやNEWTが何科目とれたかなんて、『あの人』が気になさるか?もちろん、そんなものは重要じゃない。 たとえ僕がほぼ全てのOWL科目でいい成績を修めていたとしても、だ」

パンジー「さっすがドラコ!」

ザビニ「……微妙な自慢は後にしてくれ。どうせグレンジャーには勝てていないんだろう」

マルフォイ「黙ルフォイ。とにかく、そんなものはどうでもいい。重要なのは『あの人』のためにどのように奉仕し、どのように献身ぶりを示してきたか、それだけだ」

クラッブ「……ごあ」

ゴイル「……ウホ」

ハニー「……(デカブツ二人が、あっけにとられてるわね……何言ってるか、わかってるのかしら)」

ザビニ「……それじゃ、まさか『君が』! 『あの人』のために何かできるって、本気でそう考えているのか?十六歳で、しかもまだ完全な資格もないのに?」

マルフォイ「たったいま言っただろう?もう忘れたか? 『あの人』は僕に資格があるかどうかなんて、気になさらない……そんな段階じゃないんだ。僕は『あの人』が僕にさせたい仕事をするだけだ」

ザビニ「…………」

パンジー「……ドラコ、神々しいわ……!」

ハニー「……(えぇ……とっても、好都合で望み通りの言葉を、ありがとう)」

ハニー「(さて……そろそろ、ホグワーツに着くころあいよね。この人たちの声を聞くために、荷物棚によじ登ったけれど)」

ハニー「(そーっと降りて、みんなのところに戻らないと……そー、っと)」

マルフォイ「そろそろローブに着替えないといけないな……ゴイル、僕のトランクをとれ」

ゴイル「ウッホ!」

ガタッ、ブンッ!!

ハニー「キャッ!……っ!!」

ドラコ「……」

ハニー「…………(降りることに気をとられて……ゴイルが振り回したトランクに、気づかなかったわ。い、いまの声……聞こえて、あぁ――!)」

マルフォイ「……」

ハニー「……(こっちをみてるわ……お願い、勘違いだと思って……)」

マルフォイ「……フォイじゃなかったな……まぁ、いい」

ハニー「(そっちはどうでもいいのよ! あぁ、よかったわ……目を放してくれた。けれど……いま迂闊に動くわけには、いかないわね)」

マルフォイ「…………」

596: 2013/07/31(水) 00:51:23.87 ID:WO3nI1Ct0
ハニー「(特急が……停まったわね。さぁ、早く行って頂戴……私が戻らないとなったら、皆が心配するわ)」

マルフォイ「おまえたち、先に降りていろ。僕は少しやることがある」

ハニー「!?」

パンジー「やること?なに、ドラコ!私手伝うわ!うふふっ、はじめてのきょーどーさぎょーね!キャッ!」

ザビニ「僕はそうさせてもらうが。元より君たちとそんなに……」

マルフォイ「……」

パンジー「……ザビニる?ザビニるの?」

ザビニ「うるさいな! それじゃ、失礼させてもらう!」

マルフォイ「あぁ、貴重な話をしてくれてどうも、褒めてやろう。ほら、お前たちも行くんだ」

クラッブ「ごあ」

ゴイル「ウホウホ」

マルフォイ「あぁ、そうだな。お前たちは聞き分けがいい。パンジー、君もさっさとあの二人みたいに振り向かずとっとと降りるといい」

パンジー「ねぇ、本当に手伝わなくて大丈夫なの?私、なんでもするわよドラコ?ドラコ?な、ん、で、も、よ?例えばホラ……丁度二人きりになって、この中で、と、か♪」

マルフォイ「残念だが二人きりじゃないし、僕が二人きりになりたいのは今は君じゃないな。ほら、行け。困ルフォイ」

ハニー「!?」

パンジー「!?ちょ、ドラコ!?それってどういう、どらこ、ドラコぉおおおおおおお!!」

ガラガラピシャンッ!

マルフォイ「……さて」

サッ、 バッ、バッ、バッ、バッ

ハニー「……(コンパートメント中の、窓に覆いが……マルフォイは、何をするの? 何を……って、そんなの、さっきの言葉を、聞けば……逃げ――)」

マルフォイ「『ペトリフィカス・トタルス 石になれ!』」

ハニー「!!」

ドサドサッ、バタンッ! パラッ……

マルフォイ「……コソコソと覗きとは、女王様らしくないご趣味だな?ポッター」

599: 2013/07/31(水) 01:08:53.22 ID:WO3nI1Ct0
ハニー「(っ、動け、ない、っ!)」

マルフォイ「そうか、透明マント。大層な代物を持っているじゃないか。お前はダンブルドアのお気に入りだからな?そんなものでもなんでもゆずってもらえるというわけだ」

ハニー「(これ、は、っ!元々、パパの、よ!)」

マルフォイ「粋がった、英雄気取りの、思い上がりの女王様め。それが、どうだい?今きみは海老みたいに足を丸めた滑稽な格好で、僕に……跪いてるわけだ!」

ハニー「(っ、この、この……!)」

マルフォイ「いつ気がついたか? おまえがこのコンパートメントに入った時からだ。おまえは自分の身長も理解できないトンマらしいな。途中足元がマル見えだった」

ハニー「(っ、そう、だったわ。この夏で、少しのびて、ローブも新調したのに……この、私が、そんな初歩的な)」

マルフォイ「それに、ゴイルのトランクが何かに当たった時の音。この僕の近くで鳴る効果音はほぼ間違いなくフォイになるはずなのに、そうじゃなかった。おかしいと思ったんだ」

ハニー「(どういう理屈で、おかしいのはそっちだ、って、っ!)」

マルフォイ「さて、どうしてやろうか。ポッター、おまえは僕が聞かれて困ルフォイなことなんて何一つ聞いてやしない。最初から何かいると思っていたからね。でも、そうだな。せっかくの機会だ……」

ガサゴソガサゴソ

ハニー「(っ、トランクの方で、何か……一体なにを……まさか、修理を必要としていたとかいう、あの!? っ、見えないわ……見え…………)」

マルフォイ「さぁて。ポッター」

ハニー「」

マルフォイ「とりあえず、そのご大層なみにくい傷の横に『はっぴー・ばーすでー』とでも書いてやろうか?そういえば母上の顔を侮辱したことがあったな。鼻の下にあの豚どもの顔でも描いてやろう、この、血のように赤いインクでね」

ハニー「(……いっそ鼻でも踏みつけられた方がマシだわ)」


603: 2013/07/31(水) 01:23:44.54 ID:WO3nI1Ct0
マルフォイ「ぶっ、っく、ッハハ……アーーッハッハッハッハ!!ハッハハフォイ!」

ハニー「(うるさいわ)」

マルフォイ「いいざまだな、ポッター!的外れな誕生祝いの言葉に、おまえの家畜どもが描かれて随分マシな面になったじゃないか!目立ちたがりのおまえには丁度いいだろう?」

ハニー「(元より目立ちっぱなしよ)」

マルフォイ「さてと。このマント――」

ハニー「!」

マルフォイ「を貰うなんて真似はしない。透明マントは珍しいが、世界に一つなんて言うほどの代物じゃないからな。まぁ、ウィーズリーの貧乏人なら欲しがるだろうけどね!」

ハニー「(あぁ……ホッとした、けれど……)」

マルフォイ「どうなんだい、ポッター?こいつを一日一シックルとかであのコソコソイタチに貸してやったりしてるのかい? おっと、そんなことしたらあいつの家はたちまち破産だな!ハッハッハ!困ルフォイだ!」

ハニー「(この……っ!)」

マルフォイ「もっと有効活用してやろう。これでおまえを覆ってしまえば……ロンドンにこの特急が戻るまで、誰もおまえを見つけられないだろうよ。その頃には、おまえの退学が決まっているかもしれないねぇ?」

ハニー「(っ、透明マント、どいて、どいて!私の物でしょ、パパの、持ち物だったのでしょう!?この、私、わたしを……)」

マルフォイ「じゃあな、ポッター。あっちに戻ったら便りをよこせよ、クラッブかゴイルの鼻噛み紙くらいには使ってやろう」

ガラガラガラッ、ピシャッ!

ハニー「…………」

606: 2013/07/31(水) 01:43:31.06 ID:WO3nI1Ct0
ハニー「(なんてざまなの、私……ふがいないわ。マルフォイなんかに、いいように)」

ハニー「(今頃あいつは、馬車の中で私をやっつけたとでも吹聴しているのでしょうね……あぁ、パグ犬の嫌な顔が浮かぶは。ほんと、同じ犬なのに……)」

ワイワイガヤガヤ
 ガヤガヤ ザワザワ
ガヤガヤ……

ハニー「(あぁ……特急から、どんどん人の気配が遠ざかっていく……)」

ハニー「(当然よね……もうみんな、懐かしい城に意識が向かっているもの)」

ハニー「(わざわざ特急に戻って、一室一室確認する人なんて……)」

ヒンヒーーーーーン!!ヒーーーーーン!!

ハニー「(豚さんの声は、するけれど……)」

ヒンヒーーン!h バーーーーンッ!
  ブオォオオオオオオオオ!ブォ……うわーーん!

<止まれっっっ!!!!喚くな!!!!!なんだそれは!?闇の輩への合図か!?よしきた!!一網打尽にしてくれる!!!

ハニー「(ホグズミート駅にも当然、闇払いが控えてたのね……みんな、あんまり騒いで、無理しないで)」

ハニー「(……でも)」

……ポーーーーーーーーーッ!

ゴウンゴウンゴウン

ハニー「(エンジンが再稼動したみたい……ロンドンに向けて、発車してしまうわ)」

ガタン、ゴトン ガタンゴトンガタン
 シューーーーーッ!シューーーーーーッ!

ハニー「(このまま……誰にも、気づかれず……)」

ガタガタ、ガラッ

ハニー「?」

ツカッツカッ、バサッ!

ハニー「!」


トンクス「よっ、ハニー。あっはは、面白い顔になってるね。変化に失敗でもしたの?」

ハニー「(と、トンクス!?)」

609: 2013/07/31(水) 02:06:12.90 ID:WO3nI1Ct0
トンクス「~~~~、っと。ほい、これで動けるでしょう?」

ハニー「あ……えぇ、ありがとう。そろそろ体勢が苦しくなってきたところだわ」

トンクス「だろうね、うん。君のお友達たちが見たら泣いて、同じポーズとって苦しみを分かち合いそうなくらい苦しそうな格好だったもんね」

ハニー「えぇ、そうね。私と豚さんたちは一心同体だもの、当然だわ」

トンクス「おっと、色々聞きたいけどさ。とりあえずこっから降りなきゃ。もうすぐホームからも離れっちまうしね。さ、立てる?」

ハニー「えぇ……元気そのものよ、私だもの。むしろちょっと心配なのは、やつれてるあなたの方だわ」

トンクス「あっははは。そんな顔のハニーに言われるだなんて、私そうとうなんだね……平気平気!あぁ、でもまーた髪を赤くしてくるの忘れちゃった。それはごめん……ほぅら、行くよ!」

ガラガラッ

トンッ、ドサッ、ドサッ

トンクス「着地成功! いやぁ、早めに見つかって助かった。それで、誰にやられたの?」

ハニー「……」

トンクス「あのね、ハニー。悔しくて言いたくないかもしれないけど、これ私の仕事なんだ。もちろん、ハニーを探してくるって言ったのは私の意思だけどさ」

ハニー「……マルフォイよ。ドラコ・マルフォイ」

トンクス「あぁ、まぁ、そんなところだと思った。ロンとかハーマイオニーとかジニーとか、あと誰だっけ?ほら貝の男の子がそう言ってたよ、うん」

ハニー「……みんなは、先に?」

トンクス「うん、男の子達の方はマッド-アイにふん縛られて引きずられていったよ。五体満足だといいね」

ハニー「洒落にならないわ」

612: 2013/07/31(水) 02:23:21.88 ID:WO3nI1Ct0
ハニー「少しだけ、ガラスにうつった自分の顔を見てみたけれど……いくらこの私でも、ちょっとひどかったわね」

トンクス「あー、うーんと、知っての通りわたしって綺麗にする呪文とか得意じゃないんだ……それに、顔の上で失敗したら余計とんでもないことになりそうだし……ハイ、ハンカチ。これでぬぐってみて?」

ハニー「ありがとう。諸事情であまりハンカチは汚せないから、助かるわ」

トンクス「それ不便じゃない? あー……」

ハニー「? なぁに?」

トンクス「……うん、あー、何が書かれてたかわかるよりはマシ、かな? まぁいいや。『マント』を被ってくれる?歩いて行く間、何かあったらいけない」

ハニー「えぇ、そうね。そうしてあげるわ」

バサッ

トンクス「よし、あとは、っと」

ビュンッ

パァァァァァッ!

ハニー「! 銀色の……獣」

タタッタタッタタッタタッ……

ハニー「トンクス……今のって、守護霊なのかしら」

トンクス「うん、城に伝言を送ったんだ。そうしないとみんなが心配で暴動になっちゃうからね」

ハニー「否定はしないわ。でも、今……呪文もなしに」

トンクス「あぁ、そういうテクニックがあるんだよ。そろそろ学ぶんじゃないかな……でも、吸魂鬼を追い払う時とかに出すにはあれじゃ足りないわ。使いどころが大事だね」

ハニー「……」

トンクス「ふふーん。尊敬した?」

ハニー「えぇ、腐っても闇払いなのね、トンクス!」

トンクス「く、くさ、うん、まぁ、そうだね、うん、日頃の……が、頑張ろう」

614: 2013/07/31(水) 02:42:47.23 ID:WO3nI1Ct0
ザクッザクッ、ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「どうやって私を見つけたの?」

トンクス「ハーマイオニーがすぐに『ハニーがいない!でも匂いはするから特急のどこかにはいるはず!』って知らせてくれたし、『マント』を持ってたことは知ってたからね。あとはそれらしい、覆いで隠されたコンパートメントを見つければ。チョチョイのチョイ、ってね」

ハニー「でも、私の姿が見えないはずなのに……」

トンクス「あっはっは。ハニー、わたしが誰のしごきで闇払いになったと思ってるの?透明マントが『使われてる可能性がある空間』でそれを看破できないようじゃ、マッド-アイに殺されちゃうよ」

ハニー「……」

トンクス「もっとも、マッド-アイなら特急をズイッって見渡しただけでどこにいたかも分かってたんだろうけど……まったくさぁ、私を鍛えるのとハニーの安全のどっちが大事なの?」

ハニー「えぇ、ふふっ。とってもいい上司だと思うわ、この私からみても」

トンクス「そう?腹いせに帰ったらお茶にゴキブリゴソゴソ豆板入れておこうと思ったんだけど」

ハニー「……いつでも修羅場ね、闇払い局」

トンクス「マッド-アイが復帰してからそりゃもう毎日だよ……みんな任務についたから少しは楽できるかと思ったら、まさかの現場指揮だしね」

ハニー「みんな、ってことはあなた以外にも闇払いがいたの?」

トンクス「うん。ドーリッシュとか、プラウドフット。それにサベッジとかね……そうそう、そうだった」

ハニー「? なぁに?」

トンクス「あんまり喋っちゃいけないんだ。せっかく『マント』に隠れてるのに、わたしが何かと喋ってると思われたら意味がないでしょう?」

ハニー「……え? あぁ、えぇ……そうね」

トンクス「そういうわけで、こっからは静かな行軍といこう」

ハニー「……」

トンクス「……」

ハニー「……」

トンクス「……鼻歌とかなら、いいかな?」

ハニー「キャラに合わないことはしないほうがいいと思うわ」

617: 2013/07/31(水) 03:18:27.15 ID:WO3nI1Ct0
ザクッザクッザクッ
 ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「……(それでもやっぱり、トンクスはあれから黙ってしまったわ)」

トンクス「……」

ハニー「……(夏休みに何度か会った時と同じ、くすんだ茶色の髪に生気のない顔……色々と、堪えているみたい)」

ハニー「……(私、わたしは、なんて声をかけてあげられるのかしら――)」

ハニー「……(なんて、何を言ったところで、野暮よね……当人たちの問題だもの)」

ハニー「……(当人、というか、一方の……リーマ――)」

トンクス「さっ、ハニー。ついたよ。いやぁ長かった、アルプスを本当に一万尺越えるとこだったよ」

ハニー「……ばっちり頭の中では歌っていたのね、それも英国ではない民謡を」

トンクス「パパが好きでさぁ……っと。私達が先についても、あっちから開けられないと入れやしないんだった」

ハニー「そうなの?」

トンクス「うん。この夏で警備は百倍も強化されたし、ダンブルドア自身が魔法をかけたからね……立ち会ったマッド-アイが言うには、『魔法の眼が飛び出んほどのキチOイな魔法力だった』って」

ハニー「そ。それじゃ、今年のホグワーツにはコガネムシ一匹入り込めないと思っていいわけね?」

トンクス「まぁ、去年から割と強くはなってたけどさ……とにかく、あっちから開けられないと」

ハニー「えぇ、そうね。ここで野宿するしかない、そういうこと?」

トンクス「そりゃいいや、カレーには闇の輩の肉でも使おう……大丈夫、そうはならないよ。さっき伝言を送ったって言ったでしょう?ほら、灯りが近づいてくる」

ザクッザクッザクッ

ハニー「あら、本当ね。この私を迎えにくるだなんて、褒めてあげないといけないわ」

トンクス「あぁ、うん。もうマントはとっていていいよ。彼ならきっと、褒められたら喜ぶと思うし……ウエッ!?」

ハニー「…………」

スネイプ「さて、さて、さて。ポッター、鼻持ちならない目立ちたがりのポッター、遅れて登場することで目立とうとする演出は二度目で…………!?!?!?」

ハニー「……わざとじゃないわ、『先生』」

スネイプ「待て、その顔!顔は、よりによって顔はなにごと、おい!!ニンファドーラ!貴様!これは何事だ!」

トンクス「うっさい名前で呼ぶな。これは――」

スネイプ「貴様それでも闇払いかニンファドーラ!任務はどうしたニンf」

トンクス「黙れスニベルス!舌とそのベタベタ髪引っこ抜くわよ!? これは、この赤いのはただのインク!そうでしょ、ハニー?」

ハニー「? えぇ、そうね。少しは残っているかもしれないけれど」

スネイプ「…………なるほど。おまけにポッター、貴様は自分が特別だとして、制服にも着替えなかったようですな?規則など鼻にもかけない、まるで父親の愚行そのものだ、反吐が出ること山の如し」

トンクス「嫌味ならハニーをつれていってから一人ぼっちの寝室で写真相手にでも呟いてなよ気持ち悪い」

スネイプ「……君の守護霊は変化したようですな? 我輩は前の方がいいように思う。今のは、そうだな。弱っちくみえる」

トンクス「そもそもハグリッドを呼んだつもりだったのになんであなたが来ちゃうかな……ハニー、ごめんよ。謝っても謝りきれないや」

ハニー「いいのよ、トンクス。随分助けられたし、人間、失敗はつき物じゃない?とくに、あなたの場合」

トンクス「ハハッ、ひどいや。うん、これは盛大なしくじりだったね」

スネイプ「うるさい。ハグリッドは遅れているからして我輩が参ったまでだ。こい、ポッター!道中貴様の減点についてたっぷり聞かせてやろう」

ハニー「……トンクス、色々ありがとう。おやすみなさい」

トンクス「うん、ハニー。またね、絶対」

ザクッザクッザクッ
        ザクッザクッ ザクッザクッ

トンクス「……うーん」

トンクス「……何よりの失敗は、赤いインクを変にふき取らせたせいで……ハニーの顔が血だらけのようにしか見えないこと、かなぁ」

647: 2013/08/02(金) 20:57:18.17 ID:Vy/DNBXw0
ハニー「……」

スネイプ「さぞ満足でしょうなぁ、ポッター。主役は遅れてやってくる、そう言いたげな実に悠々としたご登場でしたぞ」

ハニー「……(あれからずーっと、ネチネチ言ってるわ)」

スネイプ「我輩としましては遅れたままその目をみずに済めばそれこそ大満足だったがね」

ハニー「……(こっちだって見たくないわよ)」

スネイプ「空飛ぶ車が無い以上、これば一番衝撃の登場だと判断したのだろう?」

ハニー「(呼べば来るわよ、当然じゃない、私のかわいい豚だもの。そうでしょ?)」    ブルルルンッ!ヒンッ!

スネイプ「宴の途中で、その派手なメイクで乱入すれば劇的な効果が望めるに違いない。あぁ、実に鼻持ちなら無い思考だ。眼鏡をかけていないのが不思議ですなぁ?」

ハニー「……(余計なお世話よ)」

ハニー「(いつもこうやって、ネチネチネチネチって……シリウスがあの日、魔法省に乗り込んだのも……ほとんど私のせいだけれど、この人が、こうやって去年度中煽り続けたから……)」

ハニー「……」

スネイプ「その反抗的な目はなんだ。なんだその目は。目は!グリフィンドールから二十点減点!あぁ、そうですなぁ?」

ハニー「……童Oらしい、卑しい笑い方ね」

スネイプ「黙りたまえ! 遅刻でさらに五十点減点! それと、制服に着替えていない無礼に二十点減点! 教授への暴言に十点減点! おやおや、グリフィンドールは学期前だというのに百点も失ってしまいましたぞ?」

ハニー「……勝手にすればいいわ」

スネイプ「あぁ、そうさせていただこう。もう十点、減点だ。ポッター」

ハニー「……そんなに引くほどそもそも入ってるはずもないけれどね」

648: 2013/08/02(金) 21:18:25.96 ID:Vy/DNBXw0
玄関ホール

ギィィッ

ハニー「……最悪な凱旋になってしまったけれど。ただいま、ホグワーツ」

スネイプ「即刻出て行ってもらってもかまわんが。さぁ、大広間に向かいたまえ」

ハニー「あなたから離れられるならなんだってするわ。大広間……」

スネイプ「『マント』をかぶるのはなしだ、ポッター。全員が君に注目することがお望みだったと存ずるがね」

ハニー「……そんなもの、望まなくったってそうなるに決まっているわ。さようなら、『先生』。今年はこれ以上もう関わることもないと、確信もって宣言させてもらうわ」

スネイプ「我輩としても是非ともそれを受理したいところではある、が、とらぬドラゴンの皮算用はやめることだ。行きたまえ、なんなら花火でも打ち上げて差し上げましょうかな?」

ハニー「ご自分の性根に向ければどうかしら」

ギィィッ

ザワザワザワザワ
  ガヤガヤガヤギャ
 ヒンヒーン!ヒーーーン!

ロン「だから、僕だって気づいたら全身ひきちぎられるような痛みで馬車に乗せられたんだって言ってんだろ!あぁ、そりゃぁハニーの一番の豚としては失格だったよあぁハニーごめんよハ……ハニー!?」

ハーマイオニー「ムーディの呪いを受けて命があっただけでも御の字というか奇跡とおもいなさいって……ハニー!?あぁ、どこで……あぁ!?」

ネビル「いててっ、いたいなぁ、ほら貝がポケットに入ってなかったらきっと偉い事になってたよ……ハニー!ヒンヒ……わぁああああ!?」

ジニー「……ハニーーーーー!?そ、その、顔!!!!綺麗!!って、そうじゃなくて!!!」

ハニー「ハァイ、みんな……みんな、なぁに?その目は」

ザワザワザワザワザワ!
 キャーーー!?
ハニーーー!? ハニーーーー!!! ヒンヒーーーン!

ハニー「……?それは、私を見つめる視線と歓声と熱狂は当然あって然るべきだけれど。なんだか、悲鳴……?」

ロン「そ、そりゃ驚きもするさ!ハニー!?どどど、どうし、あぁ、君色にそまった肌もステキだねというか大丈夫なのかいハニー!?ヒンヒン!」

ハーマイオニー「すぐに医務室に行きましょう!?こんなに血だらけ、あぁ、ハニー!」

ハニー「血……?」

ネビル「そ、その顔中の赤いのだよ!」

ジニー「誰にやられの、ハニー!?」

ハニー「……? あー……マルフォイだけれd」


  マルフォイ「ハッハッハ、ほら見ろよお前たち!僕の言ったとおり、でもないけど、無様n」

ボーーーーーーーーンッ!!!!!

  パンジー「流石だわドラ……キャァアアアアアアアアアアアアアア!?ドラコの目の前のゴブレットから青い炎がぁああああああ!!」

651: 2013/08/02(金) 21:30:17.74 ID:Vy/DNBXw0
ロン「鮮やかだぜハーマイオニー!ネビル!合図だ!」

ネビル「もちの君さ!!」

ブォオオオオオオオ!!ブオオオオオオオオ!!

 ヒンヒン、ヒーーーーーン(怒)


  マルフォイ「ゴフォッ、ゴフォイッ、な、なんだいまの炎、うわ!?なんだお前たち、来るな!寄るな!!いいか!ぼくは『あの人』の……うわぁあああああああ!やめろ!!やめろ!!もうオールバックはやめたんだ髪、髪はやめろおおおおおお!!」

  パンジー「ドラコの前髪ーーーーーーー!!」

  クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラ!!!」」


ハニー「……まだ詳しい事情も、何も話していないのだけれど」

ハーマイオニー「いいのよ、ハニー。私刑の続きはあなたの豚たちに任せる事にしましょう」

ジニー「マルフォイにはパパの気持ちを若くして知ってもらうことになるわ」

ハーマイオニー「おじさまを対象にするのはやめてあげて……さぁ、医務室にいかなきゃ!」

ハニー「さっきも言っていたわね……医務室って?私、どこも怪我なんてしていないわ」

ハーマイオニー「えっ?……あー……えっと、これ……インク?」

ジニー「……インクもしたたるハニーステキ」

ハニー「私はいつだってステキじゃない?」

ハーマイオニー「……そうでしょうとも。『テルジオ、拭え!』これでいいわ……もう、氏ぬほど心配したのよ、ハ……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。トンクスが言っていたわ、あなたがすぐに知らせてくれたおかげで助かった、って。ハーマイオニー?また助けられちゃったわ。お礼、しないと。ね?」

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、そんな、だめよ、そんな、いくら大体の人たちがマルフォイの方に目がいってるからって、あぁ、助け、だなんて、そんなの私、あなたを守れるならヌンドゥにだって、負けないわ……」

ジニー「つづけて!どうぞ!ヒンヒン!」

652: 2013/08/02(金) 21:47:22.20 ID:Vy/DNBXw0
ネビル「先駆けたロンがぶん殴らないからそれに従ったけど、まさかあれが血じゃなかったなんて!だから髪で勘弁してやったんだね!」

ロン「当たり前だろ、ハニーの高貴極まりない血液とただの赤インクも見抜けないようじゃ、まだまだ豚として修行が足りないぜ、ネビル」

ネビル「ヒンヒン!勉強になるよ!」

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ。で、できれば他の分野に伸ばしてほしいわ、その好奇心……お帰りなさい」

ハニー「私のために何かするのは当たり前だけれど、よくやってくれたわ、豚さんたち?」

ロン「ヒンヒン! そりゃもうハニーのためなら僕達マーリンの髭だろうとひっこぬくさ!もちの僕で!」

ネビル「夕食が消える前でよかったね、ハニー!ヒンヒン!組分けは、もう終わっちゃったけど」

ハニー「えぇ、そうね。あの歌は聴きたかったところだけれど……どうだったの?どんな歌だったのかしら、今年は」

ジニー「去年の繰り返し。敵に立ち向かうのに全員が結束しなさい、って。つまり全生徒ハニーの豚化ね」

ハーマイオニー「一瞬正しいような気がしないでもないのが嫌だからやめて頂戴その単語」

ロン「でもちょっとそれ間違ってるぜ、ジニー」

ハニー「えぇ、そうね。この私が全生徒を豚にしているのなんて、言うまでも……」

ロン「いや、ハニーの最終目標は全生徒とお友達になるk痛い!!ありがとう!!!ヒンヒン!」

ネビル「友達……?あっ!そういえば、同胞ことハグリッドはハニーがこの大広間に降臨なさるほんの少し前にやってきたよ!」

ハニー「そういえば、遅れているってスネイプも言っていたわね」

ハーマイオニー「スネイプ?」

ロン「まさか今年は耳にしなくて済むと思った糞野郎の名前をハニーの素晴らしい声帯から発せられる心地いい振動で聴くことになるなんてね……なんであの野郎が?」

ハニー「たまたま出くわしたのよ、私だって会いたくもなかったけれど……それで、ハグリッドは……」


  ハグリッド「!  ~~~~!!ヒンヒンヒーーン!」  ブンブンブン!


ハーマイオニー「ふふっ。大手を振って、何か言ってるわ」

ロン「あぁハニー、この夏ぶりだなぁ元気にしとったか? さっきなんだかトンクスから伝言があったらしいのに受け取れなくてすまなんだ、すまなんだハニー俺は豚失格だ!実はよぉ、ちょっくら森に入って――」

ハーマイオニー「何か、で済ませて。お願いだから」

654: 2013/08/02(金) 22:09:07.59 ID:Vy/DNBXw0
ハニー「そう、森……きっと、大きなお友達のところかしら?」

ハーマイオニー「そうでしょうね……後で聞いてみましょう?どうなっているのか」

ネビル「大きなお友達?」

ジニー「? 小さい子が大好きな魔女っ娘にずーっと釘付けな魔法使いでもあの森に生息してるの?」

ハニー「同じような駄馬はたくさんいるでしょうけれどね……ハグリッドったら、まだ手を振ってるわ。ふふっ」

ハーマイオニー「あぁ、マクゴナガル先生が肘を叩いたわ。でも、ハグリッドに先生みたいな威厳を示せ、なんて、ちょっと無理よね?」

ロン「そりゃ、ハグリッドのあの図体でマクゴナガルの迫力出してたら、ハハハ。僕ら全員ちびっちまうよ、もちのロ……ペッペッ!!ペッ!!!な、なんだ!?ゴブレッドの中身が……猫の毛!?ま、マーリンの髭!」

ハーマイオニー「毛じゃないのね……そういえば珍しいことだけど、この晩餐にトレローニーもいるのよ。気づいていた?」

ハニー「? あぁ、本当ね……マクゴナガル先生の横に、座ってる……去年のことで少し、関係が改善されたのかしら……」

ハニー「……(あの予言、私とあいつのことを予言したのは、トレローニーなのよね……元々あまり、得意ではなかったけれど。益々近寄りがたいわ)」

ロン「何にせよ、あの占いぶっ飛びギラギラ昆虫とも今年でおさらばだし、清々するよな。『占い学』を辞められてありがたいよ、ほーんと」


  ラベンダー「……」

  パーバティ「……」

  ラベンダー「私、占い学やめようかしら」

  パーバティ「せ、せっかくロンとの運命が言い当てられてじゃない!もっと磨きましょうよ!  ……まぁあれは勘違いなんだけど」

  ラベンダー「なに?」

  バーバティ「なんでも!」

  ラベンダー「そう……あぁ、見て、ロンの……ハニーのためにあんな体勢で食事をとる横顔」

  パーバティ「……」

  ラベンダー「働く男の人って、ス、テ、キ」

  バーバティ「……あぁ、そういう認識なのね」

655: 2013/08/02(金) 22:29:36.38 ID:Vy/DNBXw0
ハーマイオニー「あぁ、ハニーが来てくれたからやっと思い出したわ。スラグホーンは、なんのためにあなたたちを呼んだの?」

ジニー「ママの見立て通り、コネのある子を自分のところに集めてたみたい。私は、ザガリーに一発お見舞いしてるところを見られて気に入られたんだけど」

ロン「よくやったぜ、まったくザビニってたりザガリーだったり、頭にザの付く奴ってどうかしてるのが多いよな」

ネビル「ぼっち一直線だよね」

ハニー「私に関しては、コネとかそういうのよりも魔法省で起きたことについて聞きたがってたわ」

ハーマイオニー「あー、結局スラグホーンも学生みんなと一緒、そういうことよね。あなたが『選ばれし者』かどうか!列車で何人からも、そのことを問い詰められたわ。私とロンがあなたにすごく近しいから、って……ぶ、物理的にじゃなくって!近づかなくていいの! あっ、離れてほしいってわけでも……」

ロン「ヒンヒン! まったく、どいつもこいつもさ。ハニーはハニーだろ、豚に選ばれた僕らが『選ばれし者』かどうあなんてそもそも気にする事そのものがさぁ」

「ですが、そのことはゴーストたちの間でもしきりに話題になっておりますぞ?」

ロン「……なぁ、そりゃなーんにも害はないんだろうけどさ。君が生前、自分の食べてた糖蜜パイの中から銀白色の零れ落ちかけた生首が出現したら、どんな気持ちがする?マーリンの髭!」

ハニー「ハァイ、ニコラス。えぇ、そうね。私のことで話題が持ちきりなのは、未来永劫なんだと思うけれど?」

ほとんど首なしニック「違いありませんハニー!ヒンヒン!とかく、ゴーストたちもあなたが所属する寮であるグリフィンドールの寮憑きゴーストである私に問い詰めてきましたとも、えぇ!」

ハーマイオニー「……みんな、生きてなくても下世話なのね」

ニック「本能でしょうなぁ。ですが、私はハッキリと申し上げましたよ。『彼女の名誉のためにも何も話すわけにはいかない、彼女の信頼を裏切るくらいならば、私はむしろ氏を選ぶ!』とね!」

ロン「なんだ、大した宣言じゃないじゃないか。だって君、もう氏んでるだろ?」

ニック「……」

ハニー「……ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「マクゴナガル先生の食べてらっしゃる糖蜜パイに頭から突っ込んでいったら、どうなるのかしら」

659: 2013/08/02(金) 23:00:44.94 ID:Vy/DNBXw0
ダンブルドア「よい夜じゃ!実によい夜じゃ!みな、大いに食べ、大いに語り、時に騒ぎ、また断末魔をあげたことじゃろう」

 マルフォイ「……フォイ」

ロン「まったくだよ、マーリンの髭」

ハーマイオニー「自業自得って、言うまでも無いと思うわ」


ダンブルドア「みな、おかえり!そしてようこそ、ホグワーツ魔法・魔術学校へ!わしの名前は……?そうじゃ!わしじゃよ!みなのよき友、アルバス・ダンブルドア※ミドルネーム略じゃよっ」


ザワザワザワザワザワ

ロン「うん?今あの同胞、どうやって発音したんだい?」

ハーマイオニー「そこもだけど、そこじゃないわよみんながざわついているのは……あの右手をみて?萎びたような……ご病気かしら」

ハニー「……」


ダンブルドア「うむ? あぁ、これかね。ほら、これはあれじゃ。わしも齢百うん年にしてちょっと夏休みデビューじゃて。イカすじゃろ?さて、今年もまた、みなには魔法教育がびっしり詰まっておる!」


ハニー「夏休みに私を迎えに来た時から、あの意地悪豚の手はあんな感じだったわ……でも、とっくに治していると思っていたのに」

ロン「夏の初めからってことかい?うーん、君の豚なのにそりゃおかしいね」

ハーマイオニー「おかしいのは……それはいいわ。きっと、治らない傷の類なのよ……解毒剤の効かない毒だってあるし、それに、強力すぎる呪いは何年たっても残るって言うわ」


ダンブルドア「管理人のフィルチさんからの通告じゃ。ウィーズリー・ウィザード・ウィーズとかいう店で購入した商品の持ち込みは一切を禁ずる、と。持っておるのを確認しただけで処罰対象だそうじゃ」

フィルチ「……」ピーブズ「ニヤニヤ」

ダンブルドア「すっかりゲッソリしてもうたフィルチさんを、これ以上悩ませないであげてほしいのう」


ハニー「……あのポルターガイスト、今後はここに居座るのかしら」

ハーマイオニー「ゴーストとはまた違うから、どうしようもないんでしょうね」

ロン「ハニーに迷惑がかからないならどうだっていいさ、マーリンの髭」

660: 2013/08/02(金) 23:15:24.70 ID:Vy/DNBXw0
ダンブルドア「各寮のクディッチ・チームに入団したい者は、例によって寮監に名前を提出すること。今年は多くの新人が見られることじゃろう、楽しみじゃ」


ロン「は、ハハ。グリフィンドール期待の新人キーパーとか、いないといいな……マーリンの髭」

ハーマイオニー「またそうやって……あのねぇ、ロン。あなたは――」

ラベンダー「! ロン、あなたって、最高のキーパーだと思うわ!絶対よ!」

ロン「!? あ、あぁ、ありがとう……?」

ラベンダー「えっ?そ、そんな、あ、愛してるだなんて……!」

パーバティ「誰か助けて親友の聴力が迷子」

ハニー「……」

ロン「それで、ハーマイオニー?君は僕がなんだって? へたっぴなんだから落ち込んでる暇があったら少しでも頑張れとでも?あぁ、ありがとさん」

ハーマイオニー「……えぇ、まったく!ハニーの足を引っ張らないで頂戴、そうよ!」

ハニー「……あぁ、もう」


ダンブルドア「加えて、今年度は解説役も募集じゃ。応募資格は、ミネルバに臆する事なくにゃんこと言える――」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「ウォッホン!熱意とクィディッチへの情熱と声さえ出せれば誰でもオールオーケーじゃ、ホントジャヨー」


ネビル「そっか、もうリーはいないんだもんね」

ハニー「あの解説がないとなると、えぇ、すこーしだけ寂しいものがあるわ」

ロン「その一言さえもらえれば、ハニー、きっと奴さんは試合の時だけシレっと解説席に座ってるかもしれないよ。もちのロンでね」

661: 2013/08/02(金) 23:41:25.76 ID:Vy/DNBXw0
ダンブルドア「今学年は、新しい先生をお迎えしておる。スラグホーン先生じゃ。こっちの太っちょじゃよ」

スラグホーン「アールバス! オホン、みなさんどうぞよろしく!」

パチパチパチパチパチ!
 ザワザワザワザワ

ロン「確かに太っちょだ、テーブルに下っ腹がのっかってら」

ジニー「頭のあたりになんだか親しみが……あぁ、パパに似てるわ」

ハーマイオニー「やめてあげてってば」


ダンブルドア「先生は、かつてわしの同輩だったのじゃが、このたびホグワーツに戻ってくることとなった。べらぼうな給料と待遇を請求してのう」

スラグホーン「脅しておいてそれを言うかねまったく……」

ダンブルドア「冗談じゃよホラス。さて、スラグホーン先生は、かつて先生が教えておった――『魔法薬学』の教師として復帰することとなった」


ロン「あんな太い腹で、闇の呪い()なんてのを避けられるのかなまった……はっ?」

ハーマイオニー「そこは、巧みに盾の呪文とかを駆使するのじゃないかしら。そう考えると太って居るのは手練の証拠……えっ?」

ハニー「……えっ? えっ???」

ザワザワザワザワザワザワ


ダンブルドア「おぉ、そうじゃ。皆の衆、聞き間違いではありませんぞ」

スラグホーン「? わたしの『魔法薬学』の授業は、楽しいぞー!みな、教室であえるのを楽しみに!」

ダンブルドア「そうじゃのうホラス。生徒に『瞳が緑色に変わる薬』なんぞ試してはいかんぞ?うん?」

スラグホーン「うぐっ、な、なんのことやらだなぁアルバス?君もボケてきたかね?」


ハーマイオニー「だって、だってハニー、あなたはスラグホーンが、『闇の魔術に対する防衛術』の先生だ、って!」

ハニー「そうだと、思っていたのよ!だって、そうじゃなきゃ……そうじゃなきゃ」

ロン「……分かった!!スネイプはクビになったんだ!!!なるほどね!そりゃいいや!!!!!」

ワーーーーーーー!!ワーーーーーーー!!!
 パチパチパチパチパチパチパチッ!!!!


ダンブルドア「お、おう、グリフィン、ハッフル、レイブンからの割れんばかりの拍手、まことに心苦しいのじゃが……」

スネイプ「……それぞれ五十点減点」

ダンブルドア「セブルス、無茶言うでないて……スネイプ先生には今年――『闇の魔術に対する防衛術』の後任の教師となってもらう」


ハニー「……スネイプ、が……?」

ハーマイオニー「……」

ロン「……マーリンの髭」

662: 2013/08/03(土) 00:01:26.50 ID:HYr1vjei0
スネイプせんせーー!
 ワーーーー!ワーーー!
 パチパチパチパチパチ!

ロン「……スリザリンテーブルの奴らは盛り上がってら。ついでに花火でも投げ入れてやろうか」

ハーマイオニー「……どうせ回復したマルフォイあたりが粋がっているんでしょう……って、あら?」

ネビル「な、なんだか関心なさそうな顔してるね、マルフォイ。いつもならフォイフォイうるさくスネイプを讃えてそうなのに」

ハニー「……えぇ、そうね。讃えてあげましょう?スネイプが、あの役職についたこと」

ハーマイオニー「は、ハニー?」

ハニー「だって、そうじゃない。『闇の魔術に対する防衛術』の教師は一年続かないジンクス……これで、来年度にはスネイプはここにはいないってことになるわ」

ロン「そりゃ最高だけどさ、薬学に戻るだけかもしれないよ。スラグホーンの爺さんがあまり長く教えたがるか分からない……あぁでもハニー!君の言うことなら正しいね!一年待ったらスネイプとはおさらばだ!やったぜ!」

ネビル「うん、一年、あぁ……そっか、そっかぁ……今年もきっと……とばっちりの餌食になるのかぁ……うわぁ」


ザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソヒソ

ダンブルドア「さて、さて、波乱の人事発表にみなが私語真っ盛りじゃのう……渦中のセブルスよ、所信表明演説でもしてみるかね?」

スネイプ「それよりも早くお開きにしてほしいものですな」

ダンブルドア「つれないのう。『我輩、一所懸命諸君に闇(笑)の(笑)力()から身を守る術を教えるであります!』とか言うてもいいのじゃぞ?」

スネイプ「……」

ダンブルドア「……無視されもうた。ホラス、わし、若い先生の気持ちがわからん。年かのう」

スラグホーン「ハッハッハ、わたし達どころかミネルバだってわからないだろうs」

マクゴナガル「ホラス」

671: 2013/08/03(土) 13:34:54.80 ID:HYr1vjei0
ダンブルドア「はてさて諸君、そろそろセブルス・ショックから解放されつつあるかのう?」


ロン「アンブリッジ・ファイヤに比べれば軽いもんだよな」

ネビル「吐き気も眩暈もないもんね」


ダンブルドア「よろしい、話を続けようぞ。この広間におる誰もが知っての通り、ヴォルデモート卿とその従者たちは再び跋扈し、力を強めておる」

ザワザワザワ……


ハニー「……何か企んでいたり、そういうことよね」

ハーマイオニー「ハニー、またマルフォイのことを言うのはよしてね……?いくら特急の中で何かあったからって」

ハニー「その恨みだけじゃなくって、色々と話してくれたのよ。あとで教えるわ、たっぷりと」


ダンブルドア「現在の状況がどれだけ危険であるか、また、我々が慎重になるべきかは、どれほど強調しても強調しすぎることはない。みなも夏中、悲惨な事件、事故の報せを聴いたことじゃろう」

ダンブルドア「そんな中でもみながこの学び舎に戻り、また訪れ、魔法教育を受けようと決断してくれたことを、わしは誇りに思おう。わしの力が及ぶかぎりの守りを城に施し、諸君らに安全を約束する」

ダンブルドア「しかし、じゃ。いかにわしの守りが強力で、他に並ぶものもないほど強大で、12アラスターほどのトンデモさを誇っておるとしても」


ハニー「いらない誇張はいいから続けなさいよ……」


ダンブルドア「ヒンヒン!最終的に諸君らの身を守るのも、そして危険に晒すのも君ら自身の行動如何じゃ。よいかね?どれだけうんざりしようとも、先生方が課す安全上の制約事項を遵守し、軽率な行動を慎むように。『眠れるドラゴンをくすぐるべからず』 アルバスとのお約束じゃよ?」


ハニー「……真面目なのだか、おちゃらけるのだか……なんだかいまの文句は聞いたことがあるわね?」

ハーマイオニー「ホグワーツの校章に刻まれている言葉よ、たしか」

ロン「眠ってなくったって、かわいいノーバートをくすぐるのはできれば勘弁してほしいよな、もちのロンで」


ダンブルドア「きめられた時間以降はベッドを抜け出さぬように。おぉ、若い諸君には酷なことじゃがのう。そして、わしからのたっての願いじゃが、城の中で何か不信な物、怪しげなものに気づいたらすぐに教職員に報告するのじゃ」


ロン「おい、職員テーブルの方みてみろネビル!あいつとんでもなく怪しいぜ!黒幕説だ!!」

ネビル「ほんとだ!髪の毛ベタベタで気持ち悪いね!辞めればいいのに!」

ハーマイオニー「……学期が始まってから知らないわよ、あなたたち」

673: 2013/08/03(土) 13:56:11.50 ID:HYr1vjei0
ダンブルドア「生徒諸君が常に自分自身と、そして隣にいる友人たちの互いの安全のために、最大の注意を払って行動するものと信じておる。わしからは以上じゃ」


ハニー「……」

ハーマイオニー「ですって、ハニー?」

ハニー「分かってるわ、分かってる。勝手なことはしない、まぁもっとも、私が私のやりたいようにすることが、誰かに止められることなんて無いに等しいと思うけれど?」

ロン「そりゃそうだよハニー!だって君の決定はもはや運命と言っていいからねもちの僕で!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「去年度末に散々問答したでしょ、もう」


ダンブルドア「さてさて、長きに渡るクソ真面目な演説を拝聴いただきどうもじゃ!諸君らにはあたたかく、そして望みうる限り最高にふかふかなベッドが待っておる!明日からの授業に向け、よーく休むこと!これが今年度最初の宿題じゃ!おやすみ!」

 ガタガタッ、ガタッ
ザワザワザワザワ
   ガヤガヤガヤガヤガヤ

ハニー「あら、それなら私とハーマイオニーは宿題をこなせそうにないわね?」

ハーマイオニー「それ、どういう……ダメよ、ハニー。それは、いくら初日だからって、いいえ、初日だからこそ……」

ロン「何の話だろ、分かってるけどさ。あーぁ、六年経っても女の子になれないんだもんな、なんのために僕魔法の勉強してるんだっけ?」

ハグリッド「そりゃぁ、りーっぱな大人になってハニーの豚に恥じないようになるためだろうが? ハニーは今でも十分すぎるくれぇ立派だけんどな!ヒンヒン!よぉ!」

ハニー「ハァイ、ハグリッド。遅れたって聞いて、また怪我でもしているんじゃないかと思ったわ」

ハグリッド「心配かけてすまねぇ! いやぁ、グロウプと話に夢中になっとってよぉ」

ロン「君の弟のデカブツだよな」

ハーマイオニー「声を小さくお願いよ、ロン。彼は、あー、元気?」

ハグリッド「おぉ、元気だ! ダンブルドア先生が新しい、ちゃんとした家を作ってくれてなぁ。そこで茶を入れてやって、話しとったんだ。あいつぁ賢いぞ!いずれ、俺の助手に推薦しようと思う!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ロン「ハハハ!助手って、なんだい?籠を運ばせたりとか?」

ハグリッド「うんにゃ、取引禁止品目Aクラスまでばっちり覚えられたから、いずれ俺の代わりに授業も出来るんじゃねぇかと思っちょる」

ロン「……」

ハーマイオニー「……ひょっとすれば、『魔法生物飼育学』ではロンの成績を超えてそうね」

ロン「……マーリンの髭!」

675: 2013/08/03(土) 14:11:41.48 ID:HYr1vjei0
玄関ホール

ハグリッド「――ハニーの顔を汚すなんざ、許されねぇこった!まったくあのフォイフォイめ!ヒンヒン!」

ロン「あぁ全く、よっぽど屠頃してやろうかと思ったけど奴さんが一番気にしてるところを突いてやるだけで勘弁してやったよ。無駄にとっちめて、またクィディッチ禁止になったりしたらそれこそハニーが望まないしね」

ハニー「出来る豚は好きよ、ロン」フーッ

ロン「ヒンヒン!ヒーン!」

ハグリッド「ぐぅ、ずりぃ!ずりぃぞロン!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「それはもういいわよ……で、ハニーはマルフォイの発言から、あの人が何かを企んでるに違いないって確信したのね?」

ハニー「えぇ、そうね。私の確信ということは、ほとんど真実だと思うけれど。だって、『例のあの人』なんて馬鹿げた名前で呼ばれる人間が、ヴォルデモート以外にいるっていうの?」

ハグリッド「あ、あんまりそっちで呼んでほしくねぇもんだが……しかしなぁ、ハニー。マルフォイは、まだこーんなにちっせぇガキだろうが?」

ロン「君から見りゃそれはね……あー、ハニー?パンジーの手前カッコつけただけじゃないのかな?例えば、君の前では豚達みんなが不可能を可能と宣言して果敢に挑戦しちまうくらい。だいたい実現するけど」

ハーマイオニー「その結果血の海でしょ……あー、でも見栄を張るにしても、話が大きすぎるのは確かだわ……」

ハニー「でしょう? とにかく、マルフォイは今年、この城で何かする気なのよ……どうにかして、突き止めなきゃ」

ハーマイオニー「……」

ロン「……あんなのより自分の方を見て!って言っていいと思うぜ?」

ハーマイオニー「残念、夜にはそうなるわ。お世話様」

ハグリッド「どうざれないのが残念だなぁ……おっと、俺ももう行かにゃ。じゃあなお前さん達。明日は朝一だ、楽しみにしとれよ!」

ハニー「えぇ、そうね。あなたの授業が記念すべき学期最初なのでしょう?しっかり励みなさい、私のかわいい豚として」フーッ

ハグリッド「!ヒンヒン、ヒーン!」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ロン「……結局僕ら二人も、『魔法生物飼育学』とってるんだよな」

ハーマイオニー「……ハニーが辞めるはずがないものね」

ロン「……大概僕らってハニー馬鹿だよなぁ」

ハーマイオニー「今更?」

ロン「まったくだ、もちのロンで」

ハニー「? なぁに?」

ロン「なんでもないよハニー!君はこの世の美が馬鹿らしくなるくらい完璧で文句ないくらいだよねってことさ!もちの僕で!」

ハニー「知ってるわ」

676: 2013/08/03(土) 14:35:31.97 ID:HYr1vjei0
翌朝

大広間

ガヤガヤガヤガヤ

マクゴナガル「六年生はこちらへ! 新しい時間割の確認を私と行います!こちらに固まってお座りなさい!六年生!」

ロン「固まって、だってさ。ハニーを祭り上げる人間矢倉が久々に出番かな」

ハーマイオニー「上に固まれなんて言ってないからやめなさい。時間割の確認……OWLの成績と個人の事情で、今年からは生徒それぞれで時間割が大きく違うものね」

ハニー「この私に不備があるとは思えないけれど……あなたもね、ハーマイオニー」

ロン「ほーんと、全教科すんなり何事もなく受理されるだろうな。学年首席さんはさぁ」

ハーマイオニー「や、やめて、油断させないで頂戴。もしかしたらあの成績表が、全て間違ってて、も、ももももしも全教科不可だったとしたら……」

マクゴナガル「はい、よろしい。しっかりお励みなさい――グレンジャー!」

ハーマイオニー「! ハ、ハイッッ!!」

マクゴナガル「大変よろしい。『呪文学』『闇の魔術に対する防衛術』『変身術』『薬草学』『数占い』『古代ルーン文字』『魔法薬学』『魔法生物飼育学』、申請された教科すべて、何の問題もありません」

ロン「ほーらね」

ハーマイオニー「あ、あの、本当ですか先生……?何かの冗談じゃ……」

マクゴナガル「……それは私に言っているのですか、ミス・グレンジャー?」

ハーマイオニー「い、いいえ!ありがとうございました!頑張ります!」

マクゴナガル「それでよろしい――ロングボトム!」

ネビル「は、はひっ!!!」

マクゴナガル「概ね問題ありませんし、『薬草学』ではあなたがクラスに戻ることをスプラウト先生が大変喜んでいました――ですが問題は、『変身術』です。えぇ、私の教科の」

ネビル「あ、あの……僕」

マクゴナガル「先学期申し上げた通り、NEWT向けの六年生からの授業では私は『良・E』以上の生徒でないと受け持ちません。授業についてこれないと判断するからです。気の毒ですが、ロングボトム。『良・A』の成績では、受けさせるわけにいきません」

ネビル「でも……あの……」

マクゴナガル「そもそもどうして、あなたは『変身術』を続けたいと? 私は、あなたが特に授業を楽しんでいたようには見受けませんでしたが」

ネビル「……あの、ばあちゃんが……『変身術』は絶対に、優秀になりたきゃとらなきゃいけない、って」

マクゴナガル「……なるほど、一理あるでしょう。ですが、全く! ロングボトム、あなたのおばあさまは『どういう孫を持つか』を考えるよりも、あるがままの孫を誇りに思うべきです。私は、ロングボトム。成績よりなにより、あなたの行動がグリフィンドールとして誇らしいですよ」

ネビル「あ……あり、ありがとう、ございます! 先生!」



ロン「……ネビルにいい人が見つかったな」

ハニー「……ネビルが、それでいいなら……でも、あー……」

ハーマイオニー「無駄な見方をしないの」

679: 2013/08/03(土) 14:48:29.18 ID:HYr1vjei0
マクゴナガル「ともあれ、残念ですが私の授業では受け入れるわけにはいきません。ただ、『呪文学』では必要な成績をおさめているようです。『呪文学』のNEWTを受けてはどうですか?」

ネビル「えーっと……ばあちゃんは、『呪文学』は軟弱な学問だ、って」

マクゴナガル「ロングボトム。あなたは今後、自身の決定に関することに一々おばあさまの助言を重視するおつもりですか?」

ネビル「……ごめんなさい」

マクゴナガル「あなたは悪くありません。『呪文学』を受けなさい、そして私からオーガスタに一筆入れて文句を言われないようにして差し上げましょう」

ネビル「お、オーガスタ、ってばあちゃんの……」

マクゴナガル「『ご 自 分 が!「呪文学」のOWLに落第したからと言って、孫の選択に余計な価値観を口出さないように』と。それでいいですね?」

ネビル「! はい、はい!先生!先生は最高です!」

マクゴナガル「何のことです、私は寮監としての責務を果たして居るまでですよ。さぁ、時間割です。しっかり励みなさい」


ハニー「……マクゴナガル先生がいれば、この学校は大丈夫な気がするわ」

ハーマイオニー「えぇ、数少ない常識ある大人だもの……」

ロン「君もめっきり非常識だもんなぁ痛い!やめろよ!ハニー以外が僕の足を蹴るなよ!マーリンの髭!」

681: 2013/08/03(土) 15:03:38.29 ID:HYr1vjei0
マクゴナガル「さて、さて――ポッター!」

ハニー「はい、先生」

マクゴナガル「『呪文学』『薬草学』『闇の魔術に対する防衛術』『魔法生物飼育学』、そして『変身術』。申請のあった教科、全て問題ありません」

ハニー「当然ですわ、私だもの」

マクゴナガル「大変結構。あなたの『変身術』の結果についても、私は満足しています。大変満足です。ただ、その結果に喜ぶあまり、非合法な動物もどきを目指そう、などとはゆめゆめ思いませんように」

ハニー「……なれる動物を選べたのなら、分からなかったわ」

マクゴナガル「どうしてもというのなら相談なさい、しっかり手続きからフォローします。さて、『魔法薬学』の申請を出さなかったのは何故ですか?昨年度、あれほど『何を目指すにしても必要となる』と説明したはずですが」

ハニー「先生、結果を見ればお分かりの通り、私の成績は『良・E』だわ。たしか、『魔法薬学』は……」

マクゴナガル「えぇ、スネイプ先生のときは『優・O』を取った生徒のみでした。しかし、スラグホーン先生は『良・E』の生徒でも喜んで受け入れてくれます。特に、あなたならば」

ハニー「……」

マクゴナガル「どうしますか、ポッター。『魔法薬学』を受けますか?」

ハニー「えぇ、そうしたい……けれど、先生?」

マクゴナガル「なんです?」

ハニー「……代わりに、『闇の――」

マクゴナガル「却下します」

ハニー「……だって、先生」

マクゴナガル「あの人をあなたが気に入らない、いいえ、嫌っているのは重々承知です。ですが、それだけの理由であなたが得意とする学問分野を投げ捨てることなど、寮監の私が許すとお思いですか」

ハニー「……」

マクゴナガル「お受けなさい。ウィーズリー、あなたもですよ。あなたたち二人は同じ申請でしたので、一緒に渡しておきます。しっかりポッターを見守りなさい。グレンジャーもです」

ロン「ヒンヒン!もちロンさ先生!」

ハーマイオニー「頑張ります、先生」

ハニー「ちょっと、先生!それじゃまるで、私が世話されてるみたいだわ!」

マクゴナガル「違うのですか?」

ハニー「……それは……まぁ」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「…………ニヤニヤしないの!」

682: 2013/08/03(土) 15:21:31.17 ID:HYr1vjei0
ハグリッドの小屋

ハグリッド「よーし!みんな、集まったなー!?」

ハニー「えぇ、ハグリッド。新学期最初の授業だもの、遅れるわけないじゃない」

ロン「あー、ハニーが訪れたその瞬間から時は始まるから遅刻なんて存在しないけどね!ヒンヒン! に、しても」

ハーマイオニー「……ハァ。分かっていたことだけど」

ハグリッド「六年生までとっておいた、ものすげぇ生き物がぎょーさんだからな!楽しみにしとれよ、何せそれ全部……お前さん達三人で独占できるんだ!」

ハニー「この私のかわいい豚候補たちだもの。しっかり世話してあげるわ。私が、ね!」

ロン「……僕達三人だけなんだもんなぁ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「……同学年で、ハグリッドに思い入れはあっても……この教科そのものに引かれる人は皆無だったものね」

ハニー「バックビーク、えっと、ウィザウィングスも元気そうで良かったわ。ねぇ、鳥豚?また一緒に飛びましょうね?」

鳥豚「ゲェーゲヒンッ!」

ロン「……まぁ、ハニーの笑顔見られるだけでもボロ儲けさ!ヒンヒン!」

ハグリッド「お、ロン張り切ってるな!よぉし、そんじゃまずは最初の授業に使うこいつを、お前さんに任せてみよう!なにせお前さんは一番豚だしな、きっとすぐになれるはずだ!」

ロン「は?えっと、そりゃどういうことだいハグリッド。そりゃ、生き物どころかこの世に存在するもの全てはハニーの豚になる運命だけどさ。まだ面も拝んでない生き物が、どうして――」

ガシャガシャガシャガシャッ!
 バーーーーーーーン!!!

ロン「……ちょっと待った。なんだい、その木箱の中身」

ハーマイオニー「……鋏を鳴らすような音に……火花……爆発」

ハニー「! まさか……ハグリッド!?ひょっとして!?」

ハグリッド「おぉ、ハニー!おめぇさんの喜ぶ顔が見られて俺ぁしあわせだ!ヒンヒン!おおとも!お前さんがあの迷路で助けた奴のそれまた子供、しかも母ちゃんやばあちゃんよりずーっと強くてでかくて美しくなった、この!」

バカッ!

ハグリッド「尻尾爆発スクリュートⅡだ!」

ロン「生き物につける名前じゃないって自覚してるだろちょっと待ったおい待てよ待って落ち着こうぜどうh」

バーーーーーーンッ!!!
 ガダシャレガダシャオガマシャエガシシャネガーシャッガ!シャ!

ハーマイオニー「ロン、ローーーーーーーーーン!?」

ハニー「ふふっ、あんなにじゃれちゃって……新学期も、騒がしくなりそうね」

696: 2013/08/05(月) 21:20:11.98 ID:j8H6QI+X0
談話室

ロン「あーぁ、エライ目にあった……マーリンの髭」

ハニー「よくやったわ、ロン。出来る豚にはご褒美をあげなくちゃ。そうでしょ?」フーッ

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君の吐息を耳にもらえるなら僕ぁこの指ぜーんぶあのガシャガシャ野郎にあげっちまっても本望さ!むしろ生えてくるねっ!!」

ハーマイオニー「想像にするに容易いからやめて……談話室、六年生以上の生徒で盛況のようね」

ロン「授業がグッと減るから空き時間も山ほどできるもんな、うん。やったぜ!ハニーを見ているだけの時間が山ほどできる!」

ハニー「あら、授業といえども私に目がいくのは当然だとおもうけれど」

ロン「ちがいないね!ハニー9:黒板1の割合だよもちのロンで!」

ハーマイオニー「……むしろその授業態度であの成績のあなたは凄いのかもしれないわ。それより、空き時間は遊ぶためにあるんじゃないのよ?計画的に、有意義に使わなきゃ!」

ハニー「そうね、まずは……クィディッチの選抜の日取りをきめないといけないわ」

ハーマイオニー「……」

ロン「止めても無駄だと思うよハーマイオニー。なんせハニーはほら、あの胸に光るバッジを見ろよ!そうでなくともハニーは光輝いて僕らを照らしてるけどな」

ハニー「えぇ、そうね。細めた瞳は羨望に輝かせなさい。 私、クィディッチのキャプテンなんだもの。これも、勉強と同じくらい大事なことだわ」

ハーマイオニー「わかったわよ、もう。あなたのことだもの、役目はしっかり果たしたいんでしょうね、えぇ」

「……やっぱり、あなたがそれを貰うと思ってたわ」

ハニー「えっ? えぇ、まぁ、私だもの。当然の結果ね……えーっと?」

ロン「うん?なんだい、君、チーム参加希望?」

「えっ?あー、そうなんだけど、えっと……?」

ハーマイオニー「……?」

「えっ……もしかして、あの。私、ほら……あー」

ハニー「?」



ケイティ「……ケイティ・ベル、なんだけど……」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ケイティ「……ちょっと待っててね、アリシアにふくろう便飛ばして、戻って来られないか相談して……」

ハニー「ち、ちがうの、ケイティ。そんな、いくらいままであぁだったからって、あなたを忘れてたってわけじゃ!」

ロン「そ、そうだぜケイティ!気づいたときには一人でも喋られんのかっておったまげたけどさ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「……フォローになってないわ、二人とも」

699: 2013/08/05(月) 21:35:47.71 ID:j8H6QI+X0
ケイティ「そうね、そうよね……ほとんどこれだけしか言ってなかったもの、忘れられもするわ」

ハニー「練習中ではそうでもなかったじゃない……悪かったわ。それで、そう。私が入った頃のメンバーは、あなただけになってしまったのね」

ケイティ「うん、アンジェリーナとアリシアは卒業、双子はウィーズリったし」

ロン「『今思えばNEWT試験の会場で特大イモリを会場中に降らせてからウィーズればよかったよ』とかこないだ言ってたなぁ」

ハーマイオニー「もしも再来年私の前で同じことをすれば人生からウィーズることになると思いなさい」

ケイティ「それで、キャプテン就任おめでとう。私は、まぁ、あんなだし。チームをまとめるのはきっとあなただろうと思ってたわ」

ハニー「あなたも十分に最高の選手だけれどね。今年も、よろしく。ケイティ」

ケイティ「待って。その台詞は選抜テストが終わってから聞かせてほしいわ。いつなの?」

ハニー「選抜、って……あなたには必要ないわよ!だって、何年同じチームでプレイしてたと思っているの?」

ハーマイオニー「……プレイどころか存在を忘れかけていたわよね」

ロン「そこんとこは突っつかない方向でいこうよ、マー髭だから」

ケイティ「最初からそれじゃいけないわ、ハニー。キャプテンが古顔ばかりつかったり、友達を入れたりしてチームを駄目にしちゃった例はいくらでもあるんだよ?」

ハニー「……それは」

ハーマイオニー「……キャプテンの、友達」

ロン「……突っつかない方向で頼むよ、もちの僕で」

700: 2013/08/05(月) 21:58:48.37 ID:j8H6QI+X0
廊下

ハニー「……ケイティも強情よね、まったく」

ロン「全くだねハニー!君からの無条件チーム参加を蹴っちまうなんてさ! でもハニー、僕にはわかるぜケイティのおかげで君がキャプテンとしてよりクィディッチバカに目覚めていく未来が開けたってね!」

ハニー「何か言った?」

ロン「ヒンヒン!君って考えるのがバカらしくなるほど完璧だよね、ってことさ!」

ハーマイオニー「何はともあれ、ハニーは今年も授業以外で苦労しそうね……もっとも、授業の方がその分軽くなるなんてことにはならないでしょうけど」

ハニー「……そうなるわ。その最たる科目が、今から始まるんだもの」

ロン「あーあ……あの辛気臭い面を今年から地下以外で拝むことになるなんてさ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「『闇の魔術に対する防衛術』……スネイプは、どんな授業をするのかしら」

ロン「さーね。あのドロドロ髪になっちまう呪いを防ぐ方法とかなら、喜んでご教示いただきたいもんさ」

ネビル「それ、僕が実験台になりそうだからやめてほしいよ……やぁハニー、ヒンヒン!」

ハニー「ハァイ、ネビル。今朝ぶりね。談話室にはいなかったようだけれど?」

ネビル「うん、フリットウィックのとこに教科書のこととか相談に行ったんだ。あぁ、考えてみたらハニーと一緒に過ごす機会を潰しちゃうなんてなんて愚かだったんだろう!ヒンヒン!」

ロン「まったくだぜネビル、あと魔法生物飼育学のこととかな豚どもめ定例会議で覚えておけよ」

ハニー「豚同士仲良くなさい……私とロンも、スラグホーンに説明しに行った方がいいのかしら」

ハーマイオニー「話を聞いた限り、あなたのことを気に入ってるみたいだから授業の時でも大丈夫じゃないかしら」

ハニー「そうね……サングラスでもかけておけば尚、なのかしら」

バタンッ!

スネイプ「入りたまえ。ポッター?学内でそのような装飾品を思案するとはいいご身分ですな? ホグワーツではこの緑色のレンズが入ったサングラスのみが許可されていたよないないような気がする、かけたまえ」

ハニー「少なくともあなたの手に触れたものは受け取らないわ、『先生」

702: 2013/08/05(月) 22:25:26.13 ID:j8H6QI+X0
『闇の魔術に対する防衛術』教室

ハニー「……」

ロン「……ウエッ、趣味悪い壁掛けばっかりだ……マーリンの髭」

ネビル「おまけにスネイプ臭い……じゃなかった、陰気臭いもんね。厚いカーテンのせいで、地下でもないのに真っ暗だ……まるで僕のこの授業でのお先みたい」

ハーマイオニー「呪いで怪我をした人、体を捻じ曲げられて苦しむ人の絵……えーっと、ハニー?」

ハニー「っ! な、なあに!?」

ハーマイオニー「……声、裏返ってるわよ」

ハニー「……」

ロン「あぁハニー!そうだよねハニー!こんな気色悪い絵に囲まれちゃいくら君でもそりゃぁ当然さ怖がっ痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

ハニー「怖がる?冗談やめなさい。私が恐れるのは退屈と体重計だけ、今更だわ」


スネイプ「お喋りはやめて座りたまえ。授業を始める……」


ザワザワ 
 ガタッ、ガタガタッ

ハーマイオニー「一応聞くけど、この教科書は二人ともあるのよね?『顔のない顔に対面する』は」

ロン「あぁ、スネイプの野郎が担当だとわかったら表紙にマーチン・ミグズの顔でも描いてやったってのにな」


スネイプ「私語は慎め。そして、我輩はまだ教科書を出せとは頼んでおらん。我輩が話をする、拝聴するのだ」


ハニー「……ご自分のスピーチを聴けってこと?えぇ、聴かせてもらおうじゃない。退屈極まりないでしょうけれど」


スネイプ「慎めといったはずだポッター、十点減点……諸君はこれまで、この科目において五人の教師を持ったことと思う」


ネビル「思う?簡単な数字もわからないのかな」


スネイプ「ロングボトム、どの壁掛けが気に入った? 我輩自ら施してしんぜよう」


ネビル「うわぁあああん!!」

703: 2013/08/05(月) 22:36:18.34 ID:j8H6QI+X0
スネイプ「一年毎に教師が替わり、その教師たちはそれぞれ自分なりの方法と好みを持っていた。そうした混乱にもかかわらず、かくも多くの諸君が辛くもこの学科においてOWLの合格点を取り得たことに、我輩は驚いておる」


ロン「アンブリ、オエッ、アンブリッジと似たような事言ってら」

ハーマイオニー「割と、妥当な評価だと思うわ。異常だもの、毎年替わるって」

ロン「ハニーの美しさくらい永久に変わらなければ苦労しないのになぁ」

ハニー「えぇ、そうね。そうなると、ゴーストの教師がまた増えることになるでしょうけれど」


スネイプ「慎めと言うに十点減点」


ロン「息を吐くように減点するよな、あいつ」

ハーマイオニー「だったら余計なことを言わないの……続けてください、先生」


スネイプ「頼まれなくともそうさせていただこう。NEWTはOWLよりはるかに、はるかに高度であるからして、もしも、仮に、奇跡的に、諸君全員がついてこられるようなことがあれば、我輩はOWLの時よりさらに驚くであろう」


ネビル「……」


スネイプ「驚きのあまり、ロングボトムの記念石像でも立ててしんぜよう」


ネビル「わぁ、心からいらない」


スネイプ「何がですかな、ロングボトム。この教室での君の存在かね?」


ハニー「さっさと授業を進めてはどうかしら。それに、ネビルはこの科目は優等よ」


スネイプ「黙れポッター、目を開けるな。十点減点」

704: 2013/08/05(月) 22:57:02.70 ID:j8H6QI+X0
ロン「黙れって言うのに口じゃなくて目って、あいつ、頭おかしいんじゃ……あぁ、今更かぁ」

ネビル「……ロンも割りと言ってるのになんで僕ばっかり目をつけられるんだろう」

ハーマイオニー「今更だけど、ネビル……あなた、声を抑えるってことを知ったほうがいいと思うわ」

ネビル「……そんな単純な話なんだ」


スネイプ「『闇の魔術に対する防衛術』 我輩がこの学科の教鞭をとるにあたり、諸君に理解しておいてもらわねばならぬことは多い」

スネイプ「『闇の魔術』――その力は多種多様、千変万化、流動的にして、永遠なるもの。魔法使いの力の根源たるものに等しく、故に強く、故に時の多くの魔法使いを魅了してきた」


ハニー「……なぁに、あの……まるで褒め称えるような言い方……」

ロン「黒幕説」

ハーマイオニー「……あー……ちょっとあれは、えぇ。そうとられても……」


スネイプ「この力と戦うということは、多くの頭を持つ怪物と戦うに等しい。首を一つ切り落としても別の首が、それも前より獰猛で賢い首が生えてくるのだ」


ロン「お?豚か?」

ハーマイオニー「勘弁して」


スネイプ「諸君の相手はそういった、固定できず、変化し、破壊不能な偉大な力なのだ」


ネビル「ついに偉大って言っちゃった……」

ハニー「……いつでもあちらに戻ればいいじゃない、まったく」


スネイプ「諸君の防衛術はそれ故、諸君が破ろうとする相手の術と同じく柔軟にして創意的でなければならぬ。この壁掛けに描かれた絵の数々は、術の手に落ちた者がどうなるかを正しく表現している」

スネイプ「『磔の呪い』によりもがき苦しむ者、『吸魂鬼のキス』の感覚、『亡者』の攻撃を挑発した者の末路――」


ラベンダー「キス……あぁ、彼とはどうしたら――」

パーバティ「もうやだ親友がずっとこんなん……せ、先生!『亡者』って……それじゃ、本当に『あの人』は『亡者』を使うのですか?」


スネイプ「『闇の帝王』は過去に『亡者』を使った。となれば、今回も再び使うかも知れぬ、そのくらいのことを想定するのが賢明で当たり前のことだろう、そんなことも想像できないのかね?」


ハニー「生憎と、私たちはあなた様のように闇の方面にドップリではないわよ」

705: 2013/08/05(月) 23:15:02.22 ID:j8H6QI+X0
スネイプ「さて、諸君はみたところ『無言呪文』についてはずぶの素人だ。無言呪文の利点は何か?」


ハーマイオニー「はい、先生。こちらがどんな魔法をかけようとしているかについて、敵対者に何の警告も発しないことです」


スネイプ「なるほど、『基本呪文集・六年生用』を丸写ししたかのような答えだな、グレンジャー。そして、まだ我輩は君に答えろと頼んではいないのですがねぇ?」


 マルフォイ「ハッ、あんなもの誰だって……」


ハーマイオニー「すみません。それで、ミスター・マルフォイはどうやら答えたがっていたようなので、今の私の発言した部分を『忘却』させて聞いてみてはどうでしょう」

 
 マルフォイ「!?」


スネイプ「君のくだらぬ我が儘に付き合う時間はない、口を閉じていたまえ十点減点」


ロン「あのフォイフォイのオロオロ顔だけでも減点された価値はあったぜ、ハーマイオニー」

ネビル「そういえば、面倒だから触れなかったけどスリザリンと合同なんだね」

ロン「面倒なこともあるけど、マルフォイのいつものスネイプへのおべっかもなかったから目立たなかったってのが大きいな。あいつ、どうやら相当アンブ、うぇっ、アンブリッジのことを気に入ってたらしい」


スネイプ「『無言呪文』 左様、呪文を声高に唱えることなく魔法を使う段階に進んだ者は、呪文をかける際に驚きという要素の利点を得る。しかし、すべての魔法使いに使える術ではない」

スネイプ「物を言うのは集中力、そして意思力。こうした力は諸君らの何人かに欠如しておる。特に、再三必要な事だと説明を受けたにも関わらず進歩が見られなかった目つきの悪い者、あとロングボトム」


ハニー「……」

ネビル「わぁ、名指しだぁ。分かってた」

707: 2013/08/05(月) 23:34:01.58 ID:j8H6QI+X0
ザワザワザワ

ロン「あぁハニー!君と二人組を組めるなんて名誉極まりないぜ全く!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。二人組みなのに百人力だと思うけれど?」

ロン「百!?そんなもんじゃないさかるーく千はいくね!ヒンヒン! ネビル、頑張れよ。三途の川は千とは言わず二、三回行けば多分馴れるからさ」

ネビル「臨氏体験なんてそうそうしたくないよ!? よ、よろしく、ハーマイオニー。ハーマイは残しててくれたら嬉しいな」

ハーマイオニー「そんなにビクビクしなくたって、先学期のDAで何度か練習したことあるじゃない……ハーマイってなによ」


スネイプ「相手が決まったならば静まりたまえ……ザビニ、君は我輩が直接教えてしんぜよう」


ザビニ「……ありがとうございます」

ネビル「ザビニってるなぁ」


スネイプ「ロングボトム?何なら本当に一生『無言』にさせてもよいのだが?」


ネビル「……ごめんなさい」


スネイプ「諸君らはこれから、一人が『無言』で相手に呪いをかけようとする。相手も同じく、『無言』でその呪いを防ぐ、または跳ね返す術を展開したまえ」


ロン「防ぐ、跳ね返すかぁ……『盾の呪文』かな?DAでやったしお手のもんさ、もちのロンで!」

ハニー「えぇ、そうね……『無言』でやれるのかは、分からないけれど」


スネイプ「口を動かすのはそこまでだ。頭と腕を動かして、せいぜい励みたまえ。開始」


……シーーーーーーーーン

709: 2013/08/05(月) 23:50:52.80 ID:j8H6QI+X0
シーーーーーーンッ

ハニー「……(まだ誰も、そもそも呪う方の杖からだって呪文が発せられてないわね)」

ハニー「……(当然だけれど……だってほとんど、『どうやるのか』を説明していないもの)」

ハニー「……(まぁ、それでも)」


ボソボソ、ボソッ
 ボソボソ

ネビル「うー、あ……みんな、小さい声で呪文呟いて誤魔化し始めてる……ハーマイオニーをあんまり待たせちゃいけないし、えっと、きっとハーマイオニーもそうするよね……?」

ハーマイオニー「……」

ネビル「えーっと、そうだ、小さな声で……『クラゲ足になれ』」ボソッ

ハーマイオニー「――――」

パンッ!

ネビル「えっ   わあああああ!?」

ハーマイオニー「! やったわ!  ああああ!ネビル、なんで避けずに当たってしまうの!?ネビルーーーー!?」


ハニー「(成功させてしまうのがわたしのハーマイオニーなのだけれど。さすがね……普通なら、点数をあげる場面……)」


スネイプ「さぁザビニ、我輩はハンデとして耳を塞いでおくことにしましょうぞ。回りの様子など知りませんな、えぇ」

ザビニ「えっと、先生、それじゃ『無言呪文』の意味がないんじゃ……」


ハニー「……(あのスネイプがグリフィンドールに点をくれるはずがないわよね)」

ハニー「(さて、ロンは……みんなのように、小声で呪文唱えてもいいのに。我慢して、無言でやろうとしているわ)」

ハニー「(ふふっ。あとで褒めてあげなきゃ、ハーマイオニーの次に。あぁ、前ね。ハーマイオニーを褒めるのは夜でいいわ)」


ロン「~~~っ!(駄目だ!駄目だ駄目だ!ちくしょう!マーリンの髭!)」

ロン「(そもそもどうやって僕がハニーに呪いをかけろって言うんだ!?マーリンの髭!!!髭!!!!!)」

ロン「(むしろそんな役目に回ること事態が豚失格だ!それに、ハニー!優しい僕のハニーが僕からの呪いを跳ね返して僕にあたる心配をするせいで呪いにあああああたっちゃったらどうすんだ!どうすんだよおいこの一番豚!バカヤロウ!!!)」

ロン「おら!!」バキャッ!!!

ハニー「!?」


ハーマイオニー「ね、ネビルしっかり……ろ、ロン!?あら!?あなた呪う側、ロン!?あなたがどうして、自分で自分を拳で殴ってるの!?ロン!?!?!?」

710: 2013/08/06(火) 00:07:32.89 ID:3w1Ng9At0
ロン「うぅ、ハハハ、視界がハニー色だ。ヤッタぜ」

ハニー「目に入れるのは血じゃなくて私の美貌だけにしなさい、もう!」


スネイプ「これはこれは、凄惨たる結果だ。ポッター、攻撃的な貴様の性分はグズグズしていたウィーズリーを錯乱でもさせたのですかな?」


ロン「ハニーの魅力に豚がクラクラしちまってるのは常日頃だようるさいな」

ハニー「私は防御する側として立ってただけだわ、『先生』」


スネイプ「ほう。では、手本を見せてもらいましょうかな――」

ビュンッ

ハニー「!!!『プロテゴ!護れ!』」

スネイプ「な……ぐっ!!」


ロン「! やったぜハニー!スネイプの野郎の呪いを跳ね返して当てっちまった!ヒンヒン!」

ネビル「ざまぁみろ!!!!」


スネイプ「~~~~っ!っ!!!」


ハーマイオニー「スネイプ、目を押さえてもがいてるわ……『結膜炎』……?」

ハニー「いい気味だわ、本当に」


スネイプ「落ち着け我輩唱えろスニベルス……『~~~』…………ポッター。貴様はつい先刻我輩が説明した授業内容も覚えていないようですな?」

ハニー「えぇ、それは、あなたが無様に転げまわる前の話かしら?面白すぎて、それ以前の事は少し思い出しようがないわね」

スネイプ「『無言呪文』の練習だと言ったのを覚えておるのか、と聞いている」

ハニー「えぇ」

スネイプ「返事は、はい先生」

ハニー「あら、私の事を先生と呼ぶ必要はないと、教えてあげたはずだけれど?」

スネイプ「……罰則だ、ポッター。土曜の夜、我輩の部屋。『選ばれし者』であろうとも、我輩に向かって生意気な態度は許さん。授業を終わる。誰かそこのロングボトムを転がして医務室にでもつれていきたまえ、目障りだ」

711: 2013/08/06(火) 00:28:07.79 ID:3w1Ng9At0
廊下

ハーマイオニー「いくら呪いを向けられたとはいえ……あんなこと言う必要はなかったわ、ハニー」

ハニー「あら、それじゃあなたは私が! あの呪いを受ければよかった、そう言ってるの?」

ハーマイオニー「違うわ!違う!でも、あそこまで挑発しなくても良かったんじゃないかって」

ハニー「言いたくもなるわよ。スネイプが『闇の魔術』のことを話すの、聞いていたでしょう?」

ロン「うっとりしちゃってさ、気持ちわるかったよな」

ネビル「口の中クラゲだらけになればいいのに」

ハニー「ダンブルドアは何をやってるのよ!あんな、『闇の魔術』に恋してるような人に『防衛術』を任せるなんて!『千変万化』とか、『破壊不可能』だなんて……!」

ハーマイオニー「でも、えーっと、ハニー? スネイプのあの話、あなたが言っていたことと似ていたように、私は思うのだけど……」

ハニー「私!?」

ハーマイオニー「えぇ。ヴォルデモートと対決するのは、呪文をごっそり覚えればいいなんてことじゃなくて……わけがわからないままでも、直感とかそういうもの、って。それって、スネイプの言っていたことと似ていないかしら?結局は……きゃぁ!?」

ハニー「……えぇ、そうね。ありがとう、ハーマイオニー?ふふっ、私の言葉まで、教科書と同じくらい覚えててくれたの?じゃぁ、もっともっと色んな言葉、聞かせないといけないわ……?」

ハーマイオニー「ちょ、ハニー、ダメよ、お昼の時間が、あぁ、そんな、そんなのまで聞かされたら、エルンペントの毒液を注がれたみたいに、破裂しちゃう、わ……」

ロン「つづけて!」

ネビル「どうぞ!ヒンヒン!」

712: 2013/08/06(火) 00:44:31.56 ID:3w1Ng9At0
大広間

ロン「ネビルを医務室に送ってたら遅くなっちまったね。ただでさえおかげさまで時間を食ったけど」

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、文句は、ハニーに言って!」

ロン「いやだから待ってました顔してた君に言うのも間違ってないって、もちのロンで。あぁハニー!誰もが君の存在を待ちわびてるよね!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。期待に答えてあげないといけないわ」

ジニー「ヒンヒン!私も待ちわびてた一人だわ、ハニー! この羊皮紙、あなた宛に伝言よ!」

ハニー「ハァイ、ジニー。羊皮紙……?誰からなの?」

ジニー「さぁ、そこまでは……開けちゃいけないと思って、紐はほどいてないわ。でも、ここに『ヒン!』って書かれてたからあなた宛だっていうのは一目瞭然だったわ」

ハーマイオニー「どこの世界の目なのかしら……」

ロン「現実世界だよ、諦めなって。ふぅん?ハニーへの恋文とかなら定例会議でつるし上げだな」

ハニー「直接言う勇気のない豚は嫌いだわ」

ロン「ヒンヒン!あぁ、だから僕ぁいつだって口にするのさ!ハニー!君って世界一だよな!」

ハニー「知ってるわ。ジニー、ありがとう」

ジニー「どういたしまして! ディーンと食べていたから戻らなきゃ。それじゃ!」

ハニー「えぇ、仲良くね……ふふっ。上手くいってるようでよかったわ、ディーンとジニー」

ハーマイオニー「……」


  ジニー「それで、ハニーにはきっとこういう、クラシカルな衣装の方が似合うと思うの!」

  ディーン「いいや、ここはこう、現代的なミニとかを……!」


ハーマイオニー「……付き合い方は清いかどうかは、微妙なところだわ」

ロン「人の妹とべたべたしやがってまったく、マーリンの髭。でも、なんだい?ハニーを崇める豚としちゃああいうのは当然じゃないか。それじゃ君、どういう付き合い方が正しいと思ってるのさ」

ハーマイオニー「そ、それは……図書館で、あー、静かに二人で喋ったり、とか?」

ロン「……ハハッ」

ハーマイオニー「せめて大口開けてバカにされるほうがマシだわ、なによ!!!」

ハニー「落ち着いて、もう……」


 ラベンダー「……ロンは大勢の前でベタつかれるのが好み、っと……」

 パンジー「もうやだ……」

713: 2013/08/06(火) 01:01:07.28 ID:3w1Ng9At0
×パンジー
○パーバティ
マーリンの髭!

714: 2013/08/06(火) 01:02:05.80 ID:3w1Ng9At0
ロン「よくわかんない理想でおったまげーなのは置いといて。ハニー、誰からだったんだい?」

ハニー「だからやめなさい……えーっと……えっ!?」

ハーマイオニー「誰なの?ハグリッド?リーマス?」

ハニー「……ダンブルドアからだわ」

ハーマイオニー「! きっと、例のあなたの個人授業のことだわ!」

ロン「そういやそんな話があったっけね、定例会議ものの……同胞はなんだって?」

ハニー「……」

 『親愛なるハニー
  土曜日に個人授業を始めたいと思う。午後八時にわしの部屋にお越しいただきたい
  今学期最初の授業を、君が楽しく、また腹立たしく、時に切なく、結果健やかに過ごせていることを願う
  敬具
  アルバス・ダンブルドア
  追伸 わしは「ペロペロ酸あめ」が好きじゃ』

ハニー「……一体どこから見て居るのかしらね、まったく」

ロン「最後の追伸はどういうことだい?ハニーに献上させようっていうのかな、マーリンの髭!」

ハーマイオニー「部屋の合言葉よ、きっと。何度か行った時も、お菓子の名前だったんでしょう?」

ハニー「そういうことね……あぁ、スネイプは悔しがるでしょうね。罰則がふいになって」

ハーマイオニー「あの人のことだから、延期するだけのような気がするわ……あぁ、ダンブルドアはあなたにどんなことを教えるのかしら!」

ロン「戦う手段だってんだから、きっとものすごい呪いとか呪詛じゃないのかな。ハニーの魅力の前じゃどれもヒンヒンに変わっちまうけど」

ハニー「跪かせるのは便利ね、えぇ」

ハーマイオニー「どうかしら……むしろ高度な防衛術の方なんじゃ……ハニーはどう思うの?」

ハニー「……そう、ね」

ハニー「……ダンブルドアだけが知っているなにか、といったところじゃないかしら」  

716: 2013/08/06(火) 01:25:39.96 ID:3w1Ng9At0
午後

地下

ロン「ヒンヒン! あぁ、奥に待ち構えてるのがスネイプじゃないってだけで、こんなにもこの廊下が明るく見えるだなんてね!もっとも、ハニーが居れば心の中はいつだってこんなもんだけど!」

ハニー「えぇ、当然のことね。そうでしょ?アーニー?」

アーニー「ヒンヒン!そうでしょうとも僕らのハニー!ヒンヒーン!」

ハーマイオニー「『魔法薬学』のNEWTに進んだ生徒は少ないみたいね……ハッフルパフはアーニー一人?」

アーニー「ハハハ、点数とかの問題でね……ほら、僕達って、ほら、ハッフルパフだし」

ハニー「卑屈になる豚は嫌いよ、自信を持ちなさいアーニー。仮にも……そのバッジをつけているんだから」

アーニー「! そうだねハニー! 『セドリック・ディゴリーを応援しよう!』うん、彼に恥ずかしくないハッフルパフ生徒でいなきゃ!」

ロン「言っちゃなんだけど、それ、まだつけてるんだなぁ君達」

アーニー「そりゃそうだよ、必要だからね!」

ロン「ふーん?なんで――」

ギィィッ

スラグホーン「さぁさぁ、よく来た!えーっと、ひい、ふう、みい……十二人!なるほど、教えやすい数だな!入りなさい!やぁ、ブレーズ!元気かね?」

ザビニ「……えぇ、まぁ」

マルフォイ「おフォん! こんに――」

スラグホーン「おっと、レイブンクローのお嬢さんたち!蒸気があがってはいるが、鼻を覆うことはないよ!むしろとっても良いにおいだろう!」

マルフォイ「……」


ロン「ざマぁルフォイ」

ハーマイオニー「取り巻きのクラッブとゴイルは予想とおり、OWLで合格点をとれなかったみたいね」

ロン「当然の結果だよな。ザビニってる野郎と一緒に孤独に授業を受けてやがれ」

アーニー「スラグホーンの授業はどんなものなんでしょうね、ハニー。スネイプの頃と、少し様子が違うみたいだ……もう、薬が煎じられてる?」

ハニー「えぇ、そうね。教室の一番前で、四つの鍋が……なぁに?この香り…………」

ハーマイオニー「……ねぇロン、ハニーが二つの場所にいるなんてことありえないわよね?私の鼻がおかしいのかしら」

ロン「うん?なんだよその夢のような光景僕にも見せろよ……でもハニーは絶対唯一無二の存在さ、もちのロンで」

ハーマイオニー「そうよね……それじゃ、あなた……あー、なんでもないわ」

ロン「?」

アーニー「なんだかすごく爽やかなにおいがしますね!ハニー、君はどうだい?ヒンヒン!」

ハニー「……色々。糖蜜パイとか、箒の磨き上げた時の匂い、お母様が活けていた花の香り、ベッドでの匂い、それに……病院の匂い、かしら」

アーニー「病院?」

ハニー「えぇ。最後に嗅いだのは、そこだわ。なんなのかしらね、これ」

ハーマイオニー「……すぐに分かって、ロンの足が悲惨なことになると思うわ」

ロン「やめてくれよその予言、いや、ハニーにやられるならウエルカムだけどさ。もちのロンで」

717: 2013/08/06(火) 01:42:37.63 ID:3w1Ng9At0
スラグホーン「さーて、さて、さてと!みんな教壇の近くに座りなさい。この薬の数々は一見の価値ありだ。秤と魔法薬キット、それに『上級魔法薬』の――」

ハニー「あー、先生?」

スラグホーン「うん? ああ、ハニー!どうしたのかね?」

ハニー「私と、それにロンは何の準備も出来ていないの。NEWTでの授業を受けられると思っていなかったものだから。だから……」

スラグホーン「あぁ、ミネルバから聞いているよ!心配には及ばん、ハニー。授業で使う道具はここの物を使えばいい。教科書は『フローリアン・アンド・ブロッツ』に手紙をだしておいた。すぐに君達の分の教科書が届くだろう」

ハニー「……早くて助かるわ。それじゃ、今日の教科書は……」

スラグホーン「そこにの戸棚に、古いものが何冊か残っていたはずだ。セブルスもどうやらそんな隅は掃除していなかったようでホコリかぶっているが、好きな物をとりなさい」

ロン「遠慮なく。ヒンヒン!ハニー、君の手を汚す必要はないさ!僕が取ってくる、なにせ僕ぁ君の豚だからね!」

ハニー「えぇ、そうさせてあげるわ、ロン」

スラグホーン「……いや、目以外はリリー、目以外見た目はリリー、リリーだホラス、大丈夫……」

ロン「ほんと古いのばっかりだった……二冊あったから文句はなしにしようかな。はい、ハニー」

ハニー「えぇ、それじゃ、私はそっちの尚更古めかしい方をもらうわ」

ロン「!?な、何言ってるのさハニー!こんなぼろっちぃのを君に使わせるわけには……」

ハニー「あら。私のためにあなたが取ってきてくれて、そのご褒美に良いものを回してあげようっていう、この私の好意を無駄にするというの?」

ロン「ヒンヒン!このお古一生大事にするよ!!」

スラグホーン「……あぁ、不思議とリリーの匂いがしてたまらん。目にゴミが」

ハーマイオニー「先生?えっと、この二人はいつもこんな感じなので、額を押さえて呆れず進めてください」

スラグホーン「おっと、ありがとう。それでは授業といこう」

718: 2013/08/06(火) 02:08:32.62 ID:3w1Ng9At0
スラグホーン「みんなに見せようと思ってね。前もっていくつか魔法薬を煎じておいた。NEWTを終えた頃には、この中のいくつかを煎じられるようになるだろう。これが何か、分かる者は?」

ロン「湯だった水?」

ハーマイオニー「どれだけ間抜けな授業なの、それ……はい、先生!」

スラグホーン「一人だけかな?はい、お嬢さん」

ハーマイオニー「『真実薬<ベリタセラム>』です。無色無臭で、飲んだ者に無理やり真実を話させます」

ハニー「いらないところまでね」

スラグホーン「大変よろしい!そう、これは効果が絶大で、しかも飲み物に混ぜても全く気づかれない代物だ。用いる人間によっては大変危険……さぁて、さて。それはこっちの鍋の中身も同じことだ。最近、魔法省のパンフレットにも特記されていたが、これは――?」

ハーマイオニー「はい、先生!ポリジュース薬です!」

ロン「……あれってNEWTもんだったんだなぁ」

ハニー「ハーマイオニーは本当、頼りになるわ」

スラグホーン「よろしい、よろしい!そう、相手の一部を入れれば姿を変えられる薬、味はひどいものだ。さて、こっちは……おや?」

ハーマイオニー「はい、先生!」

ロン「君、ホグワーツ挙手選手権でぶっちぎり優勝できるだろうな」

スラグホーン「ハッハッハ、熱心なのは嬉しいことだよ。それで?」

ハーマイオニー「『アモルテンシア、魅惑万能薬』です!世界一強力な、愛の妙薬!」

スラグホーン「すばらしい! 真珠貝のような独特の光沢で判断したのかね?」

ハーマイオニー「それももちろんですが、一番の特徴はその香りです。周りの人の反応から、一人ひとり違った匂いに感じていることに気づきました。『アモルテンシア』は嗅いだ人が何に惹かれるかによって、その香りが変化します!」

スラグホーン「ふぅむ……」

ハーマイオニー「私の場合は、刈ったばかりの芝生や、新しい羊皮紙や、ハニ、あー、ハチミツ!それにロn……ロング・バケーションの時にフランスで嗅いだ海の香りが!!!」

ロン「最後長いよロングだけに」

スラグホーン「なるほど……お嬢さん、お名前を聞いていいかね?」

ハーマイオニー「えっ、あー、ハーマイオニー・グレンジャーです、先生」

スラグホーン「ほっほう!ヘクター・ダグワース-グレンジャーと何か関係は?超一流魔法薬師教会の設立者だが……?」

ハーマイオニー「いいえ、ないはずです。私はマグル生まれですから」

 マルフォイ「プーップクスクス」

スラグホーン「ほっほう! ハニー、君の言っていたマグル生まれで学年一番の子というのは、彼女だね?うん?」

ハニー「その通りよ、先生。どこかの血しか自慢できない人なんかには負けないわ」

スラグホーン「いやまったく、関心関心!ミス・グレンジャー、あなたがしっかり獲得した二十点をグリフィンドールに与えよう」

ハーマイオニー「! ありがとうございます、先生!」

 マルフォイ「……チッ」

720: 2013/08/06(火) 02:24:36.32 ID:3w1Ng9At0
ロン「『魔法薬』の授業でグリフィンドールに点が入ったのは何年ぶりなんだろうね全く、こりゃ快挙だよハーマイオニー」

ハニー「私のハーマイオニーだもの、当然だわ」

ハーマイオニー「あ、ありがとうハニー。でもえーっと、褒めてもらうのは後でいいわ、後で、だから、アモルテンシアの匂いはあの鍋からだけで十分だから!」

ロン「どうぞりたいところだけど、アモルテンシアといえばさ、ハニー?さっきの病院のくだr痛い!!!ありがとう!!!ウエルカム!!!!」

アーニー「あぁ!ずるい!ずるいなぁ、ロンばかり何かいつも察して!!ヒンヒン!」

スラグホーン「『愛の妙薬』に関心があっておいでのようで嬉しい。あぁ、この効果は素晴らしいものだ。しかし、実際に愛を創り出すわけではない……愛は創ったり、模倣したりすることは不可能なのだ」

ハニー「……」

スラグホーン「この薬が引き起こすのは単に強烈な執着心、または脅迫観念と言っていい。薬が切れれば覚めてしまう、空しいものだ。ここにある魔法薬の中でも最も危険な代物だろう――そう、そこの君」

 マルフォイ「プーーップクスクス……!?」

スラグホーン「わたしぐらい長く人生を見てくれば、妄執的な愛の恐ろしさを侮らないものだ……君にはまだ早いようだがね」

ロン「ざマぁルフォイ」

ハーマイオニー「流行らないわよ」

ハニー「顔を真っ赤にしてるわ、マルフォイ。いいざまね」

スラグホーン「さぁて、さて。説明はこれまで……実習を始めよう」

アーニー「……? 先生、あの。そちらの、黒い鍋の薬が何か、教えてくださっていません」

スラグホーン「ほっほう」

ハニー「……わざとらしいわ」

ハーマイオニー「みんなが注目するように、誰かが質問するのを待っていた、そう見えるわね」

スラグホーン「そう、これね。さて、これこそは!紳士淑女諸君、最も興味深い魔法界随一の魔法薬、その名も――フェリックス・フェリシス」

ハーマイオニー「……アッ!?う、うそ!?」

ハニー「? どうしたの、ハーマイオニー?まだ弱いところには触れていないと思うけれど……」

ハーマイオニー「そ、そうじゃなくて!それどころじゃ……先生、それは」

スラグホーン「あぁ、君はどうやらフェリックス・フェリシスが何かを知っているね?ミス・グレンジャー」

ハーマイオニー「幸運の液体……!飲んだ人に、幸運をもたらします!」

ハニー「……!?」

ロン「……おったまげー」

 マルフォイ「………………」

722: 2013/08/06(火) 02:45:35.17 ID:3w1Ng9At0
スラグホーン「この液体、摩訶不思議、世にも奇妙なフェリックス・フェリシスは。伝説や空想の代物でなく確かに今ここに存在している」

スラグホーン「この調合法の複雑さ、間違えた時の惨憺さたるや! 誰もがこれを手の届かないものとしてしまうのも当然ということだ」

スラグホーン「しかし――ここにあるもののように正しく煎じることが出来れば、飲んだ者の全ての企てが成功に傾くのが分かる。少なくとも、薬効が切れるまでは」

ハニー「……すごいわ。魔法って、凄い」

ロン「でも、なら、どうしてみんなそれをしょっちゅう飲まないんだ?そりゃ、調合が難しいっていうのは分かるけど、だってそれって……最っ高だ!」

スラグホーン「気持ちはわからんでもない。しかしだ、これはあまりにのみすぎると有頂天になり、危険な自己過信に陥って戻れなくなる。薬効が切れても自分の運を疑わず、無謀な行いをして破滅へと向かいかねないのだ。過ぎたるは尚、ということだ」

スラグホーン「そもそも大量に摂取すれば毒性が高い。常飲などもってのほかだ……しかし、ちびちびと。長い人生のうち、ほんの数回ならば」

マイケル「せ、先生は飲んだことがあるんですか!?」

ロン「おうマイケル、君は飲んでもジニーとの仲は復縁しないと思うぜ」

スラグホーン「二度ある。二十四歳の時に一度、そして五十七歳の時にも。朝食と一緒に大匙二杯、我が人生において完全無欠の二日だった――」

 マルフォイ「……あれがあれば」

スラグホーン「さて。ところで、この最高の薬を――諸君に差し上げたいと思う」

ハニー「……えっ?」

スラグホーン「小瓶一本分、十二時間分だ。一応警告しておこう、この薬はもちろんスポーツ、試験、賭博の際に使用するのは禁じられている。通常の日に使いなさい、そして、通常の日にどれだけのラッキーが待っているのか体感するといい!」

シーーーーーーーン

スラグホーン「ほっほう、謹聴で結構。なぁに、緊張は解きなさい。この最高の賞を得る条件は、簡単なことだ……教科書十ページを開いて!」

ばさばさっ!ばたっ!

スラグホーン「時間はあと一時間と少々。『生きる屍の水薬』にきっちり取り組んでいただこう!これまでのどの魔法薬よりも複雑であるからして、完璧な代物は求めない、だが、ベストを尽くしなさい!最も尽くしたものが、この愛しいフェリックスを獲得する!さぁ、はじめ!」

バタバタバタバタツ
 トントントントン グツグツグツグツグツ

728: 2013/08/06(火) 08:19:23.92 ID:3w1Ng9At0
ハニー「……みんなあの薬が欲しくって、必氏に作業を始めたわね」

ロン「幸福の薬なぁ。僕ぁハニーがいればそれで毎日丸儲けだけど……美味しいのは確かだよな、うん」

ハニー「えぇ、そうね。丸一日どころか……丸と言えば」

 マルフォイ「ここを……こうして、こうで、あっ!くそ!おい、クラッブ!手をかせ、僕の腕の力じゃ…………」

 ザビニ「……う、ウホ?」

 マルフォイ「……黙ルフォイ」

ハニー「……マルフォイも躍起になっているわ。から回っているけれど……企てを成功させるため?ふぅん……」

ロン「あー、ハニー?考えすぎじゃないか?ほらあいつは、きっとしょうもない事に使うだけなんじゃ……」

ハニー「私は私の信じるようにするわ。ロン、いい?なんとしても薬を完成させて、マルフォイになんか渡さないようにするの」

ハーマイオニー「――その役目は私に任せてもらえると助かるわ。カノコソウの根、カノコソウの根、っと」

ロン「確かに、ハーマイオニー様様だもんな。ヒンヒン!ハニー!ぼくらも取り掛かろうか!」

ハニー「そうしてあげるわ。十ページ……なぁに、これ」

ロン「なんだい?……うっわ……ページ中、余白までビXチリ書き込まれてら」

ハニー「前にこれを使っていた人の仕業ね……本文も読み解くのを苦労させられるくらい、行間にメモが……」

ロン「教科書に落書きなんて、いい神経してるよな」

ハーマイオニー「『魔法史』の教科書で髭が描かれた偉人のページには毎度毎度マーリンの髭!と落書きしてたあなたが言えることじゃないと思うわ」

ロン「様式美だよ、様式美。マーリンの髭!」

729: 2013/08/06(火) 08:41:50.82 ID:3w1Ng9At0
十数分後

ハニー「(ロンに気を利かせてこっちの本を選んだけれど、失敗だったかもしれないわ……普通の教科書でも、ロンは苦労しているようだけれど)」

ロン「マーリンの髭!髭!」

ハニー「(馬鹿馬鹿しい走り書きが邪魔で、本当に……一つ進むのにも時間がかかってしまうじゃない)」

ハニー「(ハーマイオニーは……)」

ハーマイオニー「……これでいいわ!理想的な中間段階、『クロスグリ色』!あとは、えーっと。この刻んだ催眠豆を……」

ハニー「(言うまでもなく、順調のようね。当然だわ、わたしのハーマイオニーだもの)」

ハニー「(私も、催眠豆の下処理をしないといけないわ。刻んで、豆の汁を……)」

ハニー「(……こんな些細な事にも、難癖をつけてるわね。この教科書の前の持ち主)」

ハニー「(『銀の小刀の平たい面で砕け。刻むより多くの汁が出る』 ふぅん?)」


 マルフォイ「先生?僕の祖父の、アブラクサス・マルフォイのことはもちろんご存知ですよね?」

 スラグホーン「あぁ――お亡くなりになったと聞いて残念だ。もっとも、あの歳で龍痘だったということだし……だからなんだと言う話だがね。さぁ、作業に戻りなさい」

 マルフォイ「……」

 スラグホーン「おーぉ、ザビニ!いい塩梅だ、実にいいぞぉ!」

 ザビニ「……ありがとうございます」

 スラグホーン「だがねぇ、催眠豆の汁がすこーし足らなかったようだ。刻み方が荒かったようだよ?ここを、こう――」


ハニー「(あんなことは言っていたけれど、特別待遇してもらいたい気持ちはあったのね。いいご身分だこと)」

ハニー「(催眠豆の、汁……『刻むより多くの――』)」

ハニー「(……試してみても、損はしないわ。きっと)」

ハニー「ハーマイオニー。銀の小刀、貸してもらえるかしら」

ハーマイオニー「……えぇ、もちろん。はい」

ハニー「ありがとう……調子はどう?」

ハーマイオニー「それが、全然……催眠豆を刻んで汁を入れたあとは、明るいライラック色に変化するはずなのに……まだ深い紫色だわ」

ロン「僕ぁ顔色が紫になりそうだよまったく」

ハニー「頑張りなさい、ロン。小刀の……平らなところで……?」

グイッ

ブシャァアアアッ!

ハニー「!? あっ、と。ボウルの底に……こんな小さな萎びた豆のどこから、ってくらい……液体が。凄いわ」

ハニー「これを……鍋に」

ポタポタポタポタポタッ

ハーマイオニー「どうするべきかしら。規定の量を超えてでも、催眠豆をもっと刻む……?でも、そうなったら次からの工程が……あっ!」

ロン「! さっすがハニー!教科書通りの明るいライラック色だ!ヒンヒン!」

730: 2013/08/06(火) 08:57:18.11 ID:3w1Ng9At0
ハニー「(書き込みは、どうやらとっても適切なものだったみたい)」

ハニー「(凄く優秀な『魔法薬』の生徒の持ち物だったのかしら……他人の指示に従うのは、気に食わないけれど……あの薬をマルフォイに確実に渡さないように、するために)」

ハニー「(次の工程……薬が水のように澄むまで、反時計回りに攪拌……でも、追加された書き込みには『七回毎に一度時計回りを追加する』って、あるわ)」

ハニー「(二つ目も、正しいのかしら……)」

ゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポ

ハニー「(……時計回りに)」

ゴポッ……サァァァッ

ハニー「!」

ハーマイオニー「おかしいわ、おかしい。どれだけ攪拌しても、精々水あめほどにしか……ハニー!?それ、どうやったら……

ハニー「えぇ、あー……七回毎に時計回りにかき混ぜるの」

ハーマイオニー「そんなのおかしいわ!本では反時計回りなんだから!!!」

ロン「ハニーの言うことにケチつけるなよハーマイオニー!オーケーハニー、時計回りだね!そりゃ!」

ゴポゴポゴポポポポポポポポ プシューーーッ!

アーニー「あぁ!謎の蒸気が立ち上ってロンの顔が豚の燻製に!!」

ロン「ペッペ、ペッ!なってたまるか!マーリンの髭!」

ハニー「七回毎に、って言ったでしょう? それで……ハーマイオニー?試してみるのも悪くないと思うけれど」

ハーマイオニー「いいえ!教科書から外れた手法は悪手なことが常よ!」

ハニー「……それなら、強要しないけれど」

ゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポ、ゴポッ
 ゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポ

731: 2013/08/06(火) 09:19:16.83 ID:3w1Ng9At0
スラグホーン「さぁ、時間だ!作業やめ!」

ザワザワザワ
 ゴポゴポゴポゴポゴポゴポゴポ

スラグホーン「皆、真剣に取り組んでいただけたようだ。さぁさぁ、順番に見ていこう……こちらはどうかな?ふむ、ふーむ……」


ロン「……僕が作ってたのって、なべ型甘草飴かなんかだっけ?」

アーニー「……僕も、濃紺の某かにしかならなかった」

ハーマイオニー「……自分ではよくやった、つもりだけど……あなたのを見たら、誇れないわ」

ハニー「あー、えっと……そうね、この私だもの。でも、あー……」


スラグホーン「――よいよい、今後わたしとしっかり魔法薬について学んでいこう。さぁ、次は君達だ。あー、男の子たちはもうすこーし努力が必要だな。それで……おぉ!」

ハーマイオニー「……」

スラグホーン「ミス・グレンジャー、大変よろしい! 初めてでこれは上出来、上出来!ただ、少し攪拌が強すぎたのではないかね? 行間に潜む薬への手心も、これからは学んでいかねばならんよ」

ハーマイオニー「……はい先生」

スラグホーン「さてさて、最後は……ほっほう!なんと、まあ!」

ハニー「……どうかしら、先生」

スラグホーン「紛れもない勝利者だ、ハニー!素晴らしい!素晴らしい!あぁ、なんと、君は間違いなく母親の才能を受け継いでいる!初めてでこれほど完璧な水薬を煎じるとは……!あぁ、いかん、蒸気が目に……」

ハニー「ママが……?」

スラグホーン「あぁ、間違いなく魔法薬の名人だった……さぁ、さぁ、ハニー。約束のフェリックスだ、上手に使いなさい。みな、拍手!」

パチパチパチパチパチ!

ロン「ヒンヒン!」

アーニー「さすがですハニー!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、当然ね。私ならば、これくらい……えっと、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「……そんな、申し訳なさそうにすることないわ、ハニー。あなたが自分の手で成功させたんじゃない、おめでとう」

ハニー「……後で話すわ。今は、あれがいることだもの」

 マルフォイ「…………」

732: 2013/08/06(火) 09:39:29.44 ID:3w1Ng9At0
談話室

ハニー「……と、いうこと、なんだけれど……ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……怒ってる?」

ハーマイオニー「怒ってるわよ!当たり前じゃない!」

ロン「ハニー相手にハーマイ取るのはやめてくれよな。なんだよ、ハニーがずるしたって言いたいのか?」

ハーマイオニー「だって、そうじゃない!正確には、ハニー自身の成果だとはいえないもの!」

ロン「僕達とは違うやり方に従っただけじゃないか。それも、大失敗になるかもしれないリスクを冒して。違うかい?」

ハーマイオニー「~~っ、そこよ!迂闊だと言っているの!もしも、何かとんでもない事態になっていたらどうするつもり!?」

ロン「論点すりかえるなよ!マーリンの髭!」

ジニー「――ちょっと待って。聞き間違いかもしれないけど、ハニー?あなた、誰かが書き込んだ本の命令に、従ったっていうの……?」

ハニー「あら、ジニー……あぁ、なんでもないの。違うわ、あの日記とは全然……誰かが書き込みした、ただの古い教科書よ」

ジニー「でも、あなたは書いてあることに従った!それに間違いはないの?ハニー!私、一生あなたの豚であることはきめてるけど、豚だからこそ言わせてもらうわ!ちょっと軽率すぎる!」

ハーマイオニー「そうよ!そうだわ!ジニーの言う通り!」

ロン「俄然活気付くなよ!命令って、ハニーはただ余白に書いてあったヒントをいくつか試しただけだぜ?」

ハニー「そう、よ!それに、この私が!誰かの命令に従うような存在だと思っているのかしら?」

ジニー「それは、そうだけど!あの日記だって、見た目は普通の日記帳だったわ!」

ハーマイオニー「ハニー、教科書を貸して!調べてみる必要があるみたい……何かでてきたら、暖炉に叩き込んで即刻お還り願いましょう」

ロン「あーあ、まったく。頼りになるよな君達は……ハニー、どうする?」

ハニー「……二人が心配してくれている気持ちも、分かるもの。それで納得するのなら。はい、どうぞ」

733: 2013/08/06(火) 10:01:56.51 ID:3w1Ng9At0
ハーマイオニー「……『スペシアリス・レベリオ! 化けの皮 剥がれよ!』」

ジニー「……」

ハニー「……」

ロン「……すっげぇや、教科書がボロッボロのオンボロになっちまった。あぁ、元からか」

ハーマイオニー「……いいわ。色々と疑わしいところもあるけど……見かけは、ただの教科書」

ハニー「そう言ったじゃない……返してもらえる?」

ジニー「そもそも、ロン!あなた一番豚のくせに気が回らないわ!どうしてハニーにあんな古めかしい教科書を使わせているの!?」

ロン「その件はハニーの慈悲と豚愛と美貌と魅力と美しさと高潔さ溢れる行動で済んでるようるさいな!ヒンヒン!」

ジニー「あぁ、そういう……あぁハニー!やっぱりあなたは私達の女神だわ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「あっと言う間の変わり身ね……はい、ハニー。でも、一応言っておくと私個人としては!あなたがその書き込みを不用意に頼りすぎるのは反対よ。覚えておいてね?」

ハニー「当然だわ。私だって、そうね……自分の力じゃないことで評価されるのは、本意じゃないもの」

ロン「あぁ、ハニーってなんて公正なんだろ。模範的だよな」

ハニー「高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的ね。えぇ、否定しないわ……けれど」

ハーマイオニー「なに?」

ハニー「……見た目以外で、ママそっくりだ、って言われるのは……なんだか嬉しくって」

ロン「……」

ジニー「……」

ハーマイオニー「……ハニー」

ハニー「! 分かってる、分かってるわ!あー……そういえば、前の持ち主の名前とか書いていないのかしら」

ロン「あぁ、教科書に名前書いておくのは常だよな。僕の脳裏にハニーの名前が永久に刻まれてるくらい。あと首輪」

ジニー「持ち物だものね、私達」

ハーマイオニー「それでいいのあなたたちは……えっと、裏表紙とかはどうかしら」

ハニー「きっと、そのあたりね……あら」

ジニー「どうしたの? ……えー」

ハーマイオニー「……あー、これ……」

ロン「なんだこりゃ。どうやら相当、ザビニってる奴だったらしいね。前の持ち主は」

ハニー「……そうね」



ハニー「『半純血のプリンス』、だなんて……一体、なんなのかしら」



つづく

734: 2013/08/06(火) 10:04:26.49 ID:3w1Ng9At0
残りレス数とページと区切りを考えてこのスレではここらで
上巻・後半は明日この時間から
ラドクリフお大事に
じゃあの!



 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻~七巻

 世界的大ヒット発売中!

 2014年後半、USJにて

 ハリポタアトラクション建設決定!!

736: 2013/08/06(火) 10:06:29.52 ID:D+WI6d2Fo
乙!!

引用元: ハニー・ポッター「プリンス、だなんて。なんなのかしら」