1: ◆6RLd267PvQ 19/07/22(月)22:54:28 ID:am1
短め。地の文です。
2: 19/07/22(月)22:54:48 ID:am1
夜の街、寝静まった世界はまるで、何もかもが氏に絶えたように穏やかで。
煩わしいしがらみも、鬱屈した世界の喧騒も。
何もない。 何も、ないのだ。
煩わしいしがらみも、鬱屈した世界の喧騒も。
何もない。 何も、ないのだ。
3: 19/07/22(月)22:55:01 ID:am1
強いて言うなら孤独。
闇をひた歩き、心に溜まってしまった凝りや雑念を
ただ、吐き出したくて。
甘えてみたくて、歩くのだ。
闇をひた歩き、心に溜まってしまった凝りや雑念を
ただ、吐き出したくて。
甘えてみたくて、歩くのだ。
4: 19/07/22(月)22:55:16 ID:am1
「…変わらないな、ここも」
昔から、歌が好きだった。
一日、誰もいない公園で一人、特に意味のないフレーズを並べて。がむしゃらに、それらしく、格好だけつけて歌っていた。
意味なんてなかったし、先行きなんて真っ暗だった。
たまたま気の合う仲間を見つけて、テキトーなフレーズに、曲をつけて、歌って。
「でも…楽しかったよな」
昔から、歌が好きだった。
一日、誰もいない公園で一人、特に意味のないフレーズを並べて。がむしゃらに、それらしく、格好だけつけて歌っていた。
意味なんてなかったし、先行きなんて真っ暗だった。
たまたま気の合う仲間を見つけて、テキトーなフレーズに、曲をつけて、歌って。
「でも…楽しかったよな」
5: 19/07/22(月)22:55:31 ID:am1
公園のベンチに腰かける。夜風はほんのりと湿っていたが、暑くもなく、寒くもなく。
「今…変われてるのかな、アタシは」
ふと空を見上げる。月は、見えなかった。
「今…変われてるのかな、アタシは」
ふと空を見上げる。月は、見えなかった。
6: 19/07/22(月)22:55:58 ID:am1
~~~~~
朝が来て、今日も一日が始まる。
空の向う側が少しずつ白んできて、眩しいくらいでかい大陽が昇っていく。
特に何をするでもなく。一晩中空を見つめていた。
センチメンタル、なんざアタシには似合わないってのに。
そんなもんは、歌い続けると決めた時に、とっくにどこかに捨ててきた、つもりだった。
朝が来て、今日も一日が始まる。
空の向う側が少しずつ白んできて、眩しいくらいでかい大陽が昇っていく。
特に何をするでもなく。一晩中空を見つめていた。
センチメンタル、なんざアタシには似合わないってのに。
そんなもんは、歌い続けると決めた時に、とっくにどこかに捨ててきた、つもりだった。
7: 19/07/22(月)22:56:17 ID:am1
「そうそう、変われるもんじゃないのかね…人間なんて」
それでも…踏み出した事に悔いはないし。
昔のままじゃ見えなかった景色を、今確かに見ているはずなんだ、きっとな。
それでも…踏み出した事に悔いはないし。
昔のままじゃ見えなかった景色を、今確かに見ているはずなんだ、きっとな。
8: 19/07/22(月)22:57:00 ID:am1
「はっ、はっ、はっ…!…あれっ?凉さんっ?」
「よう、悠貴。朝早いな。ランニングか?」
「あ、はいっ。日課なので、毎朝この辺りを走っててっ。凉さんはどうしてここにっ?」
「…んー、何となく」
「何となく、ですかっ…?」
「ああ、寝付けなくてさ、何となくだ」
「よう、悠貴。朝早いな。ランニングか?」
「あ、はいっ。日課なので、毎朝この辺りを走っててっ。凉さんはどうしてここにっ?」
「…んー、何となく」
「何となく、ですかっ…?」
「ああ、寝付けなくてさ、何となくだ」
9: 19/07/22(月)22:57:32 ID:am1
「何か、悩み事ですか…?それなら、私、聞きますよっ!話してくれませんかっ?」
「…いや、何に悩んでるのか自分でもわかんなくてな。モヤモヤしたままってのも嫌だから、ここに来てみたんだよ」
「そうなんですか…」
「あと…何となく、誰かに会える気がしてな」
「…会えましたね、私にっ」
「そうだな。…会えてよかった。」
「…いや、何に悩んでるのか自分でもわかんなくてな。モヤモヤしたままってのも嫌だから、ここに来てみたんだよ」
「そうなんですか…」
「あと…何となく、誰かに会える気がしてな」
「…会えましたね、私にっ」
「そうだな。…会えてよかった。」
10: 19/07/22(月)22:58:03 ID:am1
「あのっ、凉さん。悩み事が何なのか、わからないんですよね」
「ん、ああ」
「だったら…一緒に走りませんか?ちょっとだけ…」
「おいおい、お前はトレーニングだろ?アタシが邪魔するわけには」
「いえ、ほっとけないですよっ。私でよければ、話し相手にはなれないかもですけど…一緒に走ることならできますからっ」
「…そうか」
「はいっ。…あ、嫌ならいいんですけどっ…その…えっと」
「ん、ああ」
「だったら…一緒に走りませんか?ちょっとだけ…」
「おいおい、お前はトレーニングだろ?アタシが邪魔するわけには」
「いえ、ほっとけないですよっ。私でよければ、話し相手にはなれないかもですけど…一緒に走ることならできますからっ」
「…そうか」
「はいっ。…あ、嫌ならいいんですけどっ…その…えっと」
11: 19/07/22(月)22:58:35 ID:am1
「いや、走ろう。一緒に走ってくれ、悠貴。」
「…はいっ!」
何に悩んでたのか、何がキツくてここに来たのか
そんなこと、考えたって時間の無駄だし、どうせつまんないことに決まってる。
「…はいっ!」
何に悩んでたのか、何がキツくてここに来たのか
そんなこと、考えたって時間の無駄だし、どうせつまんないことに決まってる。
12: 19/07/22(月)22:58:51 ID:am1
だから、今は走り続ける事にした。
横に並んで走ってくれる、ダチがいてくれるから
面倒でどうしようもないしがらみを、吹き飛ばすために。
気付けば夜は明けていて、きっと今日も笑って生きていけるんだろう。
隣を走る、アタシよりほんの少し背の高い妹分に。その屈託のない笑顔に。
釣られるよう、不器用にアタシも、微笑みを返したんだ。
横に並んで走ってくれる、ダチがいてくれるから
面倒でどうしようもないしがらみを、吹き飛ばすために。
気付けば夜は明けていて、きっと今日も笑って生きていけるんだろう。
隣を走る、アタシよりほんの少し背の高い妹分に。その屈託のない笑顔に。
釣られるよう、不器用にアタシも、微笑みを返したんだ。
13: 19/07/22(月)22:58:58 ID:am1
おしまい。
14: 19/07/22(月)23:00:04 ID:am1
夜のイメージの彼女と、朝のイメージの彼女。
何となく、書き連ねるままに。
では、お目汚し、失礼をば。
何となく、書き連ねるままに。
では、お目汚し、失礼をば。
引用元: 松永涼「夜想曲」
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