1: 2009/08/04(火) 00:19:31.06 ID:NuvyZrpn0
どっかの女子大学、軽音部部室
女1「でさー」
澪「・・・」
女2「マジでー?ありえねー」
澪「・・・」
女3「ウケるー」
澪「・・・」
女共「アハハハハ」
女1「でさー」
澪「・・・」
女2「マジでー?ありえねー」
澪「・・・」
女3「ウケるー」
澪「・・・」
女共「アハハハハ」
2: 2009/08/04(火) 00:20:33.93 ID:NuvyZrpn0
澪「ねえ、みんな」
女1「あ?」
澪「そ、そろそろ真面目に練習しない?」
女共「・・・」
女共「はああああああああああああああ?」
女1「あ?」
澪「そ、そろそろ真面目に練習しない?」
女共「・・・」
女共「はああああああああああああああ?」
5: 2009/08/04(火) 00:21:45.36 ID:NuvyZrpn0
女1「嫌だし。今から合コン行くし」
澪「でも・・・」
女2「汗かきたくないよねー」
澪「だからって・・・」
女3「ウケるー」
澪「・・・」
澪「今日は練習するの!絶対の絶対!」
澪「でも・・・」
女2「汗かきたくないよねー」
澪「だからって・・・」
女3「ウケるー」
澪「・・・」
澪「今日は練習するの!絶対の絶対!」
7: 2009/08/04(火) 00:22:52.25 ID:NuvyZrpn0
女1「練習とかいらんて。高校生じゃあるまいし」
澪「だってもう3ヶ月も演奏してないじゃないか!私達は軽音部じゃないのか!?」
女2「軽音部の部活内容は合コンでーす」
澪「そんなの認められるか!」
女3「ウケるー」
澪「だってもう3ヶ月も演奏してないじゃないか!私達は軽音部じゃないのか!?」
女2「軽音部の部活内容は合コンでーす」
澪「そんなの認められるか!」
女3「ウケるー」
8: 2009/08/04(火) 00:24:18.89 ID:NuvyZrpn0
女1「ちょっと澪マジうっさい。空気読んで」
女2「澪には無理じゃね?たぶん高校の時もこんな感じで嫌われてたんだと思うよ」
澪「嫌われてない!私が練習しようって言ったらみんなちゃんとやってくれたぞ!」
女1「そんなん知らんて・・・マジうぜ」
女3「ウケるー」ジャキ
澪「え・・・?ノコギリ・・・?」
女2「澪には無理じゃね?たぶん高校の時もこんな感じで嫌われてたんだと思うよ」
澪「嫌われてない!私が練習しようって言ったらみんなちゃんとやってくれたぞ!」
女1「そんなん知らんて・・・マジうぜ」
女3「ウケるー」ジャキ
澪「え・・・?ノコギリ・・・?」
10: 2009/08/04(火) 00:25:50.90 ID:NuvyZrpn0
女3は澪の愛用ベースFENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bassを真ん中から切り始めた。
女3「ギコギコターアイ♪ギコギコターアイ♪」ギコギコ
澪「ああああああああ!!!私のFENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bassがあああああ!!」
女1「マジウケるし」
女2「澪のベース切り終わったら合コン行こうぜー」
女3「ノコギリのち合コン」
女3「ギコギコターアイ♪ギコギコターアイ♪」ギコギコ
澪「ああああああああ!!!私のFENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bassがあああああ!!」
女1「マジウケるし」
女2「澪のベース切り終わったら合コン行こうぜー」
女3「ノコギリのち合コン」
11: 2009/08/04(火) 00:26:26.83 ID:pUJeF1lj0
女3ウケるーしか言ってないw
12: 2009/08/04(火) 00:28:03.52 ID:NuvyZrpn0
FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bassは女3の蛮行によって真っ二つとなる。
澪「こんなことって・・・いくらなんでもひどすぎるよ・・・」ポロポロ
女1「自分のゴミなんだから自分で片付けておいてね」
女2「なあ、あのベース高かったんじゃないの?高校の時からの愛用みたいだったし」
女3「知るかよ。早く合コン行くぞ、野郎共」
女1、2「ヘイ!」
部室にはひとつ増えた自分のベースを抱きしめながら泣きじゃくる澪だけが残された。
澪「こんなことって・・・いくらなんでもひどすぎるよ・・・」ポロポロ
女1「自分のゴミなんだから自分で片付けておいてね」
女2「なあ、あのベース高かったんじゃないの?高校の時からの愛用みたいだったし」
女3「知るかよ。早く合コン行くぞ、野郎共」
女1、2「ヘイ!」
部室にはひとつ増えた自分のベースを抱きしめながら泣きじゃくる澪だけが残された。
13: 2009/08/04(火) 00:28:30.29 ID:gxKdYWgMO
なんでのこぎりがあるんだよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
16: 2009/08/04(火) 00:31:55.11 ID:NuvyZrpn0
澪は涙を流しながら昔のことを思い出していた。
楽しかった部活。
おいしかったお菓子。
文化祭、新歓ライブ。
そして最高の仲間達。
今の澪はその全てを失っていた。
大学生になった彼女に残されたものと言えば、
申し訳程度に付き合っているサークル仲間だけである。
楽しかった部活。
おいしかったお菓子。
文化祭、新歓ライブ。
そして最高の仲間達。
今の澪はその全てを失っていた。
大学生になった彼女に残されたものと言えば、
申し訳程度に付き合っているサークル仲間だけである。
19: 2009/08/04(火) 00:37:27.78 ID:NuvyZrpn0
澪「もう嫌だ・・・こんなサークル辞めたい・・・」
澪「でも・・・」
このサークルを辞めればいよいよ澪はひとりぼっちになってしまう。
澪「学科に友だちなんて一人もいないもんな・・・ハハ、高校の時よりひどいよ・・・」ポロポロ
澪「高校のときは部活をするのがあんなに楽しかったのに、いつから音楽が嫌いになっちゃったんだろうな」
澪「唯、律、むぎ、梓、やっぱり私お前らと一緒じゃないとダメだよ・・・」ポロポロ
澪「氏のう」
澪は決意した。
澪「でも・・・」
このサークルを辞めればいよいよ澪はひとりぼっちになってしまう。
澪「学科に友だちなんて一人もいないもんな・・・ハハ、高校の時よりひどいよ・・・」ポロポロ
澪「高校のときは部活をするのがあんなに楽しかったのに、いつから音楽が嫌いになっちゃったんだろうな」
澪「唯、律、むぎ、梓、やっぱり私お前らと一緒じゃないとダメだよ・・・」ポロポロ
澪「氏のう」
澪は決意した。
23: 2009/08/04(火) 00:43:54.81 ID:NuvyZrpn0
澪「どうせ私が氏んでも悲しむのは家族だけだ」
澪「律達とも最近はまったく連絡とってないしな」
澪「あいつら今何してんだろ・・・?」
澪「まあ、今から氏ぬ私には関係ないか」
澪「最後に律と話がしたかったなあ」
口ではそんなことを言いながらも、この後どうやって氏ぬか、
澪はそれしか考えていなかった。
澪「律達とも最近はまったく連絡とってないしな」
澪「あいつら今何してんだろ・・・?」
澪「まあ、今から氏ぬ私には関係ないか」
澪「最後に律と話がしたかったなあ」
口ではそんなことを言いながらも、この後どうやって氏ぬか、
澪はそれしか考えていなかった。
24: 2009/08/04(火) 00:50:38.96 ID:NuvyZrpn0
澪は夜の繁華街をトボトボと歩いていた。
自殺用のロープは買った。
首吊りが無理だった時のために包丁も買ってある。
氏ぬ準備は万端だ。
今の澪には街のネオンサインは明るすぎる。
仲良く歩くカップルも、これから飲み行くであろう大学生も、
澪にとっては憎悪の対象でしかなかった。
なぜ自分だけがこんなに苦しまなければならないのか?
そう考えた1秒後、馬鹿らしくなって考えるのをやめた。
澪「今から氏ぬんだからどうでもいいだろこんなこと・・・」
自殺用のロープは買った。
首吊りが無理だった時のために包丁も買ってある。
氏ぬ準備は万端だ。
今の澪には街のネオンサインは明るすぎる。
仲良く歩くカップルも、これから飲み行くであろう大学生も、
澪にとっては憎悪の対象でしかなかった。
なぜ自分だけがこんなに苦しまなければならないのか?
そう考えた1秒後、馬鹿らしくなって考えるのをやめた。
澪「今から氏ぬんだからどうでもいいだろこんなこと・・・」
25: 2009/08/04(火) 00:54:18.26 ID:NuvyZrpn0
虚ろな目をあげると一軒の寿司屋が目に入った。
明るい繁華街には不釣合いの、
お世辞にも綺麗とは言えない外装である。
澪「寿司・・・か。氏ぬ前にうまいものを食べるのもいいかもな」
何気なく入ったこの寿司屋。
この寿司屋が彼女の運命を大きく変えることになろうとは、
今の澪には知る由もなかった。
明るい繁華街には不釣合いの、
お世辞にも綺麗とは言えない外装である。
澪「寿司・・・か。氏ぬ前にうまいものを食べるのもいいかもな」
何気なく入ったこの寿司屋。
この寿司屋が彼女の運命を大きく変えることになろうとは、
今の澪には知る由もなかった。
27: 2009/08/04(火) 00:56:58.11 ID:NuvyZrpn0
ガララ
「いらっしゃいませー。一名様ですか?」
澪(一名様で悪かったよ)
澪「はい」
「じゃあこちらに・・・って澪先輩!?」
澪「へ?」
梓「私ですよ!中野梓です!あなた澪先輩ですよね!?」
「いらっしゃいませー。一名様ですか?」
澪(一名様で悪かったよ)
澪「はい」
「じゃあこちらに・・・って澪先輩!?」
澪「へ?」
梓「私ですよ!中野梓です!あなた澪先輩ですよね!?」
29: 2009/08/04(火) 01:01:23.97 ID:g3jMJRZq0
まさかのあずにゃんwww
30: 2009/08/04(火) 01:03:15.31 ID:MZRGhBN+0
なんでwwww
31: 2009/08/04(火) 01:03:53.69 ID:NuvyZrpn0
澪「ええ!?梓!?全然分からなかったよ」
無理も無かった。
梓は高校時代と比べて、色々なところが少し大きくなっている。
そして化粧効果だろうか、すごく大人びて見えた。
俺が言うのも何だが超かわいー。
マジプリチー。
梓「もう~、私はすぐにわかりましたよ!」
澪「ごめんごめん。ところで梓は大学生だったよな?ここでバイトでもしてるのか?」
無理も無かった。
梓は高校時代と比べて、色々なところが少し大きくなっている。
そして化粧効果だろうか、すごく大人びて見えた。
俺が言うのも何だが超かわいー。
マジプリチー。
梓「もう~、私はすぐにわかりましたよ!」
澪「ごめんごめん。ところで梓は大学生だったよな?ここでバイトでもしてるのか?」
33: 2009/08/04(火) 01:06:16.57 ID:3WbZJg+S0
俺ってなんだ俺って
34: 2009/08/04(火) 01:06:18.94 ID:gF/2KsmSP
>俺が言うのも何だが超かわいー。
なんだこれは
なんだこれは
37: 2009/08/04(火) 01:08:55.71 ID:NuvyZrpn0
梓「そうですよ。澪先輩も大学生ですよね?もちろん音楽は続けていますよね?」
澪「う・・・」
梓はキラキラした目で澪を見つめる。
音楽・・・続けている・・・と言えるのだろうか。
ここ3ヶ月、メンバーと合わせて演奏などしていない。
ずっと自主練習のみである。
澪「まあ、一応ね・・・梓は?音楽系サークルに入ってるのか?」
澪「う・・・」
梓はキラキラした目で澪を見つめる。
音楽・・・続けている・・・と言えるのだろうか。
ここ3ヶ月、メンバーと合わせて演奏などしていない。
ずっと自主練習のみである。
澪「まあ、一応ね・・・梓は?音楽系サークルに入ってるのか?」
40: 2009/08/04(火) 01:20:31.03 ID:aYo9bSJnO
梓「音楽サークルはやってないです」
澪「えっ、そうなんだ。意外だな」
梓「見学はしたんですけど、サークルみたいな緩い雰囲気があんまり合わなかったんです…」
澪「へ~」
澪(高校時代の方が緩いだろ…明らかに…)
梓「その代わり外バン組んでるんです!今度ライブやるんですよ!」
澪「あ、あ~そうなんだぁ」
澪は、輝いている梓を恨めしく思った。
43: 2009/08/04(火) 01:24:41.46 ID:aYo9bSJnO
澪(なんかこんなに充実した大学生活を送ってる梓を見ると、余計に氏にたくなるな…)
澪「梓、それより席に…」
梓「あっごめんなさい。食事ですよね。案内しますね」
「テメエ何度言やわかるんだこのグズ!」
澪「!?」
「へ、ヘイ…すいやせん…」
澪「梓、それより席に…」
梓「あっごめんなさい。食事ですよね。案内しますね」
「テメエ何度言やわかるんだこのグズ!」
澪「!?」
「へ、ヘイ…すいやせん…」
45: 2009/08/04(火) 01:32:39.92 ID:aYo9bSJnO
オヤジ「もうテメエは裏で皿洗ってろ!」
律「はい…」
澪「ええ!?り、律!?」
律「え…?み、澪!?」
澪「ビックリしたぁ!一体何をしてんだよ!?」
律「何って見ればわかるだろ。おやっさんに弟子入りしたんだよ」
澪「弟子?は?お前大学生じゃなかったの?」
梓「律先輩は大学辞めてここに住み込みで働いてるんですよ」
律「はい…」
澪「ええ!?り、律!?」
律「え…?み、澪!?」
澪「ビックリしたぁ!一体何をしてんだよ!?」
律「何って見ればわかるだろ。おやっさんに弟子入りしたんだよ」
澪「弟子?は?お前大学生じゃなかったの?」
梓「律先輩は大学辞めてここに住み込みで働いてるんですよ」
46: 2009/08/04(火) 01:37:52.61 ID:MeUxrmSC0
デコ寿司とネコ寿司・・・
49: 2009/08/04(火) 01:41:31.40 ID:aYo9bSJnO
澪「大学を辞めた…?何か色々聞きたいことはあるんだけど…」
澪(律、あんなに怒られて涙目になってる…こんな律を見たのは初めてだ)
澪は律の目を見つめる。
律「あっ、べ別に怒られて悔しいなんて思ってないからな!勘違いすんなよ!」
律は必氏に涙を拭うと厨房に消えていった。
梓「いつものことなんですよ。私と違って律先輩は寿司職人ですからね。オヤジさんも厳しくしてるんです」
澪「それにつけても女の子にあんな辛く当たらなくても…」
客「オヤジ、おあいそ」
オヤジ「あいよ!梓ちゃん、3番テーブルおあいそね」
梓「はーい、ありがとうございまーす」トテトテ
澪「こ、これはひどい…!律に対するイジメじゃないのか…」
澪(律、あんなに怒られて涙目になってる…こんな律を見たのは初めてだ)
澪は律の目を見つめる。
律「あっ、べ別に怒られて悔しいなんて思ってないからな!勘違いすんなよ!」
律は必氏に涙を拭うと厨房に消えていった。
梓「いつものことなんですよ。私と違って律先輩は寿司職人ですからね。オヤジさんも厳しくしてるんです」
澪「それにつけても女の子にあんな辛く当たらなくても…」
客「オヤジ、おあいそ」
オヤジ「あいよ!梓ちゃん、3番テーブルおあいそね」
梓「はーい、ありがとうございまーす」トテトテ
澪「こ、これはひどい…!律に対するイジメじゃないのか…」
50: 2009/08/04(火) 01:49:50.16 ID:aYo9bSJnO
オヤジ「なんでぃ、嬢ちゃん律の知り合いかい」
澪「はい。まあ…そうです」
オヤジ「そうか、おい律!皿洗いは後でいい!お客さんに茶出してやんな!」
律「え!は、はい!」
梓(ふふ、オヤジさん素直じゃないんだから)
梓「上1人前1700円になりまーす。レジにどうぞー」トテトテ
客「は、はい…フヒヒ…あずにゃんかわええ」
澪「はい。まあ…そうです」
オヤジ「そうか、おい律!皿洗いは後でいい!お客さんに茶出してやんな!」
律「え!は、はい!」
梓(ふふ、オヤジさん素直じゃないんだから)
梓「上1人前1700円になりまーす。レジにどうぞー」トテトテ
客「は、はい…フヒヒ…あずにゃんかわええ」
54: 2009/08/04(火) 01:58:54.80 ID:aYo9bSJnO
律「よっ、ほらアガリ」
澪「おお、サンキューな」
律「まさかこんなところでバッタリなんてな。ビックリしたよ」
澪「それはこっちのセリフだって…まさか律が寿司職人なんて…大学が嫌になったのか?」
律「ん…大学が嫌になったっつうか…私ってこのままでいいのかなぁって思ってさ」
澪「え?」
律「あのままダラダラ過ごしていいのかなって思って。大学4年間を適当に過ごして何か得られるものはあんのかな~って考えたら、大学行くのが急に馬鹿らしくなってさ」
澪「おお、サンキューな」
律「まさかこんなところでバッタリなんてな。ビックリしたよ」
澪「それはこっちのセリフだって…まさか律が寿司職人なんて…大学が嫌になったのか?」
律「ん…大学が嫌になったっつうか…私ってこのままでいいのかなぁって思ってさ」
澪「え?」
律「あのままダラダラ過ごしていいのかなって思って。大学4年間を適当に過ごして何か得られるものはあんのかな~って考えたら、大学行くのが急に馬鹿らしくなってさ」
56: 2009/08/04(火) 02:09:15.64 ID:aYo9bSJnO
律「んでさ、悩んでる時たまたまここを通りかかったんだよ」
澪(私と同じ…)
律「なんか知らないけど、惹き付けられたんだよなこの店に」
律「フラフラっと入って、適当に寿司頼んだらさ、それが旨いのなんのって。あの時、思わず泣いちゃったんだよな」
律「食べ物に感動するなんてアホな話だよ。でもさ、気付いたらおやっさんに弟子にしてくださいって頼んでたってわけ」
昔の話をする律の顔もまた輝いていた。
澪(私と同じ…)
律「なんか知らないけど、惹き付けられたんだよなこの店に」
律「フラフラっと入って、適当に寿司頼んだらさ、それが旨いのなんのって。あの時、思わず泣いちゃったんだよな」
律「食べ物に感動するなんてアホな話だよ。でもさ、気付いたらおやっさんに弟子にしてくださいって頼んでたってわけ」
昔の話をする律の顔もまた輝いていた。
61: 2009/08/04(火) 02:15:21.76 ID:aYo9bSJnO
澪「でも辛くないのか…あんなにイジメられて」
律「イジメ?何の話?」
澪「いやホラ、さっきの…」
オヤジ「おい律、口ばっか動かしてねえで包丁でも磨いだらどうだ」
律「あ、はい」
律「よっせ、よっせ」シャッシャッ
澪(律…辛くないのか?もしかしてお前も氏にたいと思ってるんじゃないのか?)
澪(律と一緒なら…)
律「イジメ?何の話?」
澪「いやホラ、さっきの…」
オヤジ「おい律、口ばっか動かしてねえで包丁でも磨いだらどうだ」
律「あ、はい」
律「よっせ、よっせ」シャッシャッ
澪(律…辛くないのか?もしかしてお前も氏にたいと思ってるんじゃないのか?)
澪(律と一緒なら…)
67: 2009/08/04(火) 02:23:54.17 ID:aYo9bSJnO
梓「ありがとうございましたー」
梓「最後のお客さんも帰ったし、今日は終わりっと」
梓「澪先輩、せっかくですから軽く飲みに行きません?」
澪「えっああ…」
澪(氏のうと思ってたんだけどな…まあ今度にするか)
澪「律も来るだろ?」
律「いや~私は無理。予定あるしな。二人で行っておいでよ」
梓「はい、律先輩頑張って下さいね。行きましょ澪先輩」
澪(予定ってまさか彼氏か!?)
澪(律に先を越されるとか…氏にたい…)
梓「最後のお客さんも帰ったし、今日は終わりっと」
梓「澪先輩、せっかくですから軽く飲みに行きません?」
澪「えっああ…」
澪(氏のうと思ってたんだけどな…まあ今度にするか)
澪「律も来るだろ?」
律「いや~私は無理。予定あるしな。二人で行っておいでよ」
梓「はい、律先輩頑張って下さいね。行きましょ澪先輩」
澪(予定ってまさか彼氏か!?)
澪(律に先を越されるとか…氏にたい…)
71: 2009/08/04(火) 02:33:01.81 ID:aYo9bSJnO
飲み屋
梓「かんぱーい」
澪「かんぱい」
梓「ゴキュゴキュ、プッハー。やっぱり仕事の後の一杯は格別ですね!」
澪「チビチビ」
澪(梓、お酒強そうだな…)
澪「そ、そうだな」
澪(大学に入ってからバイトなんてしたことないよ。サークルと授業以外は外に出ることもないし)
澪(私と梓って何が違うんだろ。なんで梓はこんなに楽しそうなんだろ)
梓「かんぱーい」
澪「かんぱい」
梓「ゴキュゴキュ、プッハー。やっぱり仕事の後の一杯は格別ですね!」
澪「チビチビ」
澪(梓、お酒強そうだな…)
澪「そ、そうだな」
澪(大学に入ってからバイトなんてしたことないよ。サークルと授業以外は外に出ることもないし)
澪(私と梓って何が違うんだろ。なんで梓はこんなに楽しそうなんだろ)
74: 2009/08/04(火) 02:38:06.78 ID:aYo9bSJnO
澪「なあ、それより律に彼氏でもできたのか?予定あるって言ってたけど」
梓「律先輩に彼氏?アハハ、そんなことあるわけないじゃないですか」
澪「じゃあ予定って何?」
梓「明日のネタの仕込みですよ」
澪「…」
澪(律はお笑いもやってるのか?)
梓「ちなみにお笑いのネタじゃないですからね。まあ、澪先輩がそんなつまらないギャグ考えるわけないか」
澪「あは…は、当たり前だろ」
澪(氏にたい)
梓「律先輩に彼氏?アハハ、そんなことあるわけないじゃないですか」
澪「じゃあ予定って何?」
梓「明日のネタの仕込みですよ」
澪「…」
澪(律はお笑いもやってるのか?)
梓「ちなみにお笑いのネタじゃないですからね。まあ、澪先輩がそんなつまらないギャグ考えるわけないか」
澪「あは…は、当たり前だろ」
澪(氏にたい)
76: 2009/08/04(火) 02:45:04.57 ID:aYo9bSJnO
梓「ネタの仕込みはオヤジさんがやるから律先輩は関係ないんですけどね」
梓「律先輩、ずっとオヤジさんが魚を捌くところを見てるんです」
澪「見てる?それに何の意味が?」
梓「ホラ、オヤジさんてあんな性格じゃないですか。だから人に教えるってことをしないんですよ」
梓「律先輩はオヤジさんの技術を盗もうと毎日仕込みの見学をしてるんです。別にオヤジさんに言われたわけでもないのに自主的に」
澪「あの律が?練習をサボるのがアイデンティティーだった律が?嘘だろ?」
梓「本当ですよ。今の律先輩は昔とは比べ物にならないほど大人になりました」
梓「律先輩、ずっとオヤジさんが魚を捌くところを見てるんです」
澪「見てる?それに何の意味が?」
梓「ホラ、オヤジさんてあんな性格じゃないですか。だから人に教えるってことをしないんですよ」
梓「律先輩はオヤジさんの技術を盗もうと毎日仕込みの見学をしてるんです。別にオヤジさんに言われたわけでもないのに自主的に」
澪「あの律が?練習をサボるのがアイデンティティーだった律が?嘘だろ?」
梓「本当ですよ。今の律先輩は昔とは比べ物にならないほど大人になりました」
78: 2009/08/04(火) 02:58:07.09 ID:aYo9bSJnO
梓「律先輩、あそこで働き出してから毎日2時間しか寝てないんですよ」
澪「どういうこと?」
梓「仕込みが23時に終わるんです。それですぐにお風呂に入って寝て、3時には起きてオヤジさんと河岸に行きますからね」
澪「河岸?」
梓「あ、えっと魚を買いに行くんです」
澪「何もそんな朝早く行くことないだろ。寝ないと体壊すぞ」
梓「えっとですね、まあ簡単に言えば朝早くないと新鮮な魚が買えないんです」
澪「ふーん…それよりその人本当に律か?ド田舎律とか言わないよな?」
梓「ド田舎?」
澪「いや、ごめんこっちの話」
澪(信じられない。律はニート体質だと思ってたのに)
澪「どういうこと?」
梓「仕込みが23時に終わるんです。それですぐにお風呂に入って寝て、3時には起きてオヤジさんと河岸に行きますからね」
澪「河岸?」
梓「あ、えっと魚を買いに行くんです」
澪「何もそんな朝早く行くことないだろ。寝ないと体壊すぞ」
梓「えっとですね、まあ簡単に言えば朝早くないと新鮮な魚が買えないんです」
澪「ふーん…それよりその人本当に律か?ド田舎律とか言わないよな?」
梓「ド田舎?」
澪「いや、ごめんこっちの話」
澪(信じられない。律はニート体質だと思ってたのに)
107: 2009/08/04(火) 13:25:17.57 ID:NuvyZrpn0
PCから
梓「でもさすがの律先輩もここで働き出して半年は毎日泣いていたそうです」
澪「イジメ・・・か・・・?」
梓「イジメ?ああ、オヤジさんのはイジメじゃないですよ」
澪「いやあれはイジメだろう。梓ばかり優しくして、律にはあんなひどい仕打ち・・・」
梓「ん~私の予想ですけど、オヤジさん、律先輩にあの店譲るつもりなんじゃないかな」
梓「だからあんなに厳しくしてるんだと思いますよ。多分律先輩もそれをわかってる」
梓「でもさすがの律先輩もここで働き出して半年は毎日泣いていたそうです」
澪「イジメ・・・か・・・?」
梓「イジメ?ああ、オヤジさんのはイジメじゃないですよ」
澪「いやあれはイジメだろう。梓ばかり優しくして、律にはあんなひどい仕打ち・・・」
梓「ん~私の予想ですけど、オヤジさん、律先輩にあの店譲るつもりなんじゃないかな」
梓「だからあんなに厳しくしてるんだと思いますよ。多分律先輩もそれをわかってる」
108: 2009/08/04(火) 13:32:44.64 ID:NuvyZrpn0
澪「律が店長に?いよいよ夢物語だぞ」
梓「いえ、本当に律先輩は変わりましたよ。幼馴染の澪先輩が信じられないのも無理はないけど」
澪(嘘だろ・・・なんで私だけみんなから置いてけぼりなんだよ・・・こんなの嫌だよ。みんなと私、一体何が違うって言うんだ)
澪「休みの日は?あいつまだドラムをやってるんだろう?」
梓「いえ・・・従業員が3人しかいないですから・・・私が休みの日は律先輩がレジをやってますから年中無休状態なんですよ」
澪「それであいつは納得してるのか?ドラムしたいんじゃないのか?」
梓「どうですかね・・・私には今の律先輩はお寿司しか見えてないように思いますけど」
梓「いえ、本当に律先輩は変わりましたよ。幼馴染の澪先輩が信じられないのも無理はないけど」
澪(嘘だろ・・・なんで私だけみんなから置いてけぼりなんだよ・・・こんなの嫌だよ。みんなと私、一体何が違うって言うんだ)
澪「休みの日は?あいつまだドラムをやってるんだろう?」
梓「いえ・・・従業員が3人しかいないですから・・・私が休みの日は律先輩がレジをやってますから年中無休状態なんですよ」
澪「それであいつは納得してるのか?ドラムしたいんじゃないのか?」
梓「どうですかね・・・私には今の律先輩はお寿司しか見えてないように思いますけど」
109: 2009/08/04(火) 13:38:12.28 ID:NuvyZrpn0
深夜2時、厨房
ガララ
律「うう、さむさむ・・・」
律「今日は澪に会って興奮したせいで1時間しか眠れなかったな」
律「まあいいや。掃除掃除っと」ゴシゴシ
河岸に行く1時間前には起床し、厨房の掃除をするのが毎日の日課だった。
律「あいつ・・・またこないかな」ゴシゴシ
ガララ
律「うう、さむさむ・・・」
律「今日は澪に会って興奮したせいで1時間しか眠れなかったな」
律「まあいいや。掃除掃除っと」ゴシゴシ
河岸に行く1時間前には起床し、厨房の掃除をするのが毎日の日課だった。
律「あいつ・・・またこないかな」ゴシゴシ
111: 2009/08/04(火) 13:42:19.30 ID:NuvyZrpn0
深夜3時
ガララ
オヤジ「おう」
律「うす」
オヤジ「行くぞ。準備しろ」
律「へい」
律は愛用の黄色いカチューシャを外し、代わりに手ぬぐいを巻いた。
さらに薄汚れ、黄ばんだ白のツナギに着替え、長靴を履き軽トラックの運転席に座った。
律「しゅっぱーつ!」
オヤジ「うるせえ。黙って運転しろ」
律「へい」
ガララ
オヤジ「おう」
律「うす」
オヤジ「行くぞ。準備しろ」
律「へい」
律は愛用の黄色いカチューシャを外し、代わりに手ぬぐいを巻いた。
さらに薄汚れ、黄ばんだ白のツナギに着替え、長靴を履き軽トラックの運転席に座った。
律「しゅっぱーつ!」
オヤジ「うるせえ。黙って運転しろ」
律「へい」
112: 2009/08/04(火) 13:49:03.78 ID:NuvyZrpn0
飲み屋
澪「あの律が毎日泣くほど辛いんだな。職人って」
梓「バイトの私なんかじゃ想像もつかないですよ。このお店でこんなに長く働いてるのは律先輩だけです」
澪「みんな辛くて辞めちゃうんだな」
梓「ええ、だからオヤジさんも律先輩にはずいぶん期待してると思います。口では絶対に言いませんけどね」
梓「というか、ずっと律先輩の話ばかりですね。澪先輩のことも聞きたいです。大学のバンドはどうなんですか?」
澪「・・・」
澪「あの律が毎日泣くほど辛いんだな。職人って」
梓「バイトの私なんかじゃ想像もつかないですよ。このお店でこんなに長く働いてるのは律先輩だけです」
澪「みんな辛くて辞めちゃうんだな」
梓「ええ、だからオヤジさんも律先輩にはずいぶん期待してると思います。口では絶対に言いませんけどね」
梓「というか、ずっと律先輩の話ばかりですね。澪先輩のことも聞きたいです。大学のバンドはどうなんですか?」
澪「・・・」
132: 2009/08/04(火) 18:15:13.31 ID:NuvyZrpn0
澪「私の話はいいよ・・・別に大したことしてないし」
サークル仲間はただ自分を繋ぎ止めておきたいだけの存在。
梓「謙遜しないでください。澪先輩あんなにベース上手だったじゃないですか」
ただ孤独になりたくなくて。
梓「先輩くらいだったら週1でライブができるレベルですよ」
みんなに見下されたくなくて。
梓「先輩聞いてますか?」
聞きたくない。
もうみんなが輝いてるところを見たくない。
澪「梓、私はとんでもないクズだよ」ポロポロ
サークル仲間はただ自分を繋ぎ止めておきたいだけの存在。
梓「謙遜しないでください。澪先輩あんなにベース上手だったじゃないですか」
ただ孤独になりたくなくて。
梓「先輩くらいだったら週1でライブができるレベルですよ」
みんなに見下されたくなくて。
梓「先輩聞いてますか?」
聞きたくない。
もうみんなが輝いてるところを見たくない。
澪「梓、私はとんでもないクズだよ」ポロポロ
133: 2009/08/04(火) 18:21:31.89 ID:NuvyZrpn0
澪「もう嫌だ・・・なんで私だけこんな惨めなんだ・・・」
梓「せ、先輩!?どうしたんです」
やっぱり私は放課後ティータイムで・・・
澪「梓・・・」
梓「は、はい」
後輩にこんなことをお願いするのか?
とことん惨めなことだ。
澪「もう一度、みんなでバンドを組もう」
梓「せ、先輩!?どうしたんです」
やっぱり私は放課後ティータイムで・・・
澪「梓・・・」
梓「は、はい」
後輩にこんなことをお願いするのか?
とことん惨めなことだ。
澪「もう一度、みんなでバンドを組もう」
135: 2009/08/04(火) 18:27:59.32 ID:NuvyZrpn0
梓「・・・」
梓「ごめんなさい・・・私には今のバンドがあるから」
澪「そ、そっか。急に変なこと言ってごめんな」
澪(律ならきっと・・・)
澪「そうだ、唯は!?唯は何してるんだ?むぎは!?」
梓「ああ、唯先輩なら」
梓「ごめんなさい・・・私には今のバンドがあるから」
澪「そ、そっか。急に変なこと言ってごめんな」
澪(律ならきっと・・・)
澪「そうだ、唯は!?唯は何してるんだ?むぎは!?」
梓「ああ、唯先輩なら」
153: 2009/08/04(火) 19:44:11.97 ID:aYo9bSJnO
梓「唯先輩なら時々お店に来ますよ」
澪「なんだって!?まさかあいつもあそこで働いているのかっ」
梓「まさか…唯先輩があんなきつい仕事続くわけないでしょう」
澪「じゃあなぜ?」
梓「じ、人生相談…かな…?」
澪「人生相談?」
154: 2009/08/04(火) 19:54:10.18 ID:aYo9bSJnO
河岸
律「おやっさん、着きましたよ」
オヤジ「ん、おぉ。最近全然だめだな。すぐ眠くなっちめぇよ」
律「歳には勝てないっすね」
オヤジ「生意気な口聞いてんじゃねぇよ。てめぇは鮪見てこい。おらぁ烏賊を見てくっからよ」
律「あいよ」スッタカッター
オヤジ「あぁよっこらせっと。そろそろ後続にゆずらにゃなんねぇなぁ」
律「おやっさん、着きましたよ」
オヤジ「ん、おぉ。最近全然だめだな。すぐ眠くなっちめぇよ」
律「歳には勝てないっすね」
オヤジ「生意気な口聞いてんじゃねぇよ。てめぇは鮪見てこい。おらぁ烏賊を見てくっからよ」
律「あいよ」スッタカッター
オヤジ「あぁよっこらせっと。そろそろ後続にゆずらにゃなんねぇなぁ」
156: 2009/08/04(火) 20:09:33.46 ID:aYo9bSJnO
次の日、寿司屋の前
澪「律と梓に会いたくてまた来ちゃった」
澪は外から中の様子を伺った。
澪「お、律は今日も握りか」
澪「梓もパタパタしてて可愛いな」
澪「ん?カウンターに座ってるのは…唯!?」
ガララ
梓「いらっしゃいませー。あ、澪先輩」
唯「りちゃあん。ア~ガ~リ~」ゴロゴロ
律「お前な…」
澪「律と梓に会いたくてまた来ちゃった」
澪は外から中の様子を伺った。
澪「お、律は今日も握りか」
澪「梓もパタパタしてて可愛いな」
澪「ん?カウンターに座ってるのは…唯!?」
ガララ
梓「いらっしゃいませー。あ、澪先輩」
唯「りちゃあん。ア~ガ~リ~」ゴロゴロ
律「お前な…」
158: 2009/08/04(火) 20:15:57.58 ID:aYo9bSJnO
律「注文しないならさっさと帰れよ…床でゴロゴロすんなよ」
唯「ア~ガ~リ~。ア~ガ~リ~」ゴロゴロ
澪「唯!」
唯「へぁ?あぁ澪ちゃ~ん。おっす~、久しぶり~」
澪「随分軽いな…」
唯「ア~ガ~リ~。ア~ガ~リ~」ゴロゴロ
澪「唯!」
唯「へぁ?あぁ澪ちゃ~ん。おっす~、久しぶり~」
澪「随分軽いな…」
166: 2009/08/04(火) 20:41:24.27 ID:aYo9bSJnO
律「いらっしゃい。ほいアガリ」
澪「ん、ありがと」
澪(本当に律は2時間しか寝ていないのだろうか?)
澪(それにしては随分元気みたいだが)
澪「そんなことより唯、久しぶり。元気だったか?」
唯「ゴロゴロ~」ゴロゴロ
オヤジ「おい律、いい加減その嬢ちゃんを摘まみ出せ」
律「へい」
澪「ん、ありがと」
澪(本当に律は2時間しか寝ていないのだろうか?)
澪(それにしては随分元気みたいだが)
澪「そんなことより唯、久しぶり。元気だったか?」
唯「ゴロゴロ~」ゴロゴロ
オヤジ「おい律、いい加減その嬢ちゃんを摘まみ出せ」
律「へい」
167: 2009/08/04(火) 20:44:11.91 ID:dPTVeEnD0
家でゴロゴロしろよw
169: 2009/08/04(火) 20:48:18.88 ID:aYo9bSJnO
唯「冗談冗談。よっこらせ」
澪「唯は今何してるんだ?確か大学進学はしなかったよな?」
唯「うん、毎日家でゴロゴロしてるよ」
澪「へ?」
唯「穀潰しだね!」
律「こうやってニートが出来上がっていくんだな」
唯「働いてないだけでニート!?;;」
オヤジ「そりゃあニートだろ」
梓「完全にニートですね」
澪「唯は今何してるんだ?確か大学進学はしなかったよな?」
唯「うん、毎日家でゴロゴロしてるよ」
澪「へ?」
唯「穀潰しだね!」
律「こうやってニートが出来上がっていくんだな」
唯「働いてないだけでニート!?;;」
オヤジ「そりゃあニートだろ」
梓「完全にニートですね」
171: 2009/08/04(火) 21:01:22.76 ID:mECl0oiOO
ニートすぎて泣いた
180: 2009/08/04(火) 21:31:00.85 ID:aYo9bSJnO
梓「唯先輩、バイトでもしたらどうです?憂もきっと喜びますよ」
唯「面倒くさ~い!りっちゃんも働きたくないよねぇ?」
律「ばっ!私は今まさに働いてんだろ!」
唯「え~、りっちゃんのくせに」プー
律「私なら働いてなくて当たり前みたいな言い方す・る・な」
唯「ほーい、仕方ない。コンビニでアルバイトでもするか」
律「そうしろそうしろ。あともうここには来るな。2日に1回も来られたんじゃ仕事になんねぇよ」
唯「嫌だよ~。ここはゴロゴロするのに最適なんだから」ゴロゴロ
澪「まあ、ある意味人生相談…なのか…?」
唯「面倒くさ~い!りっちゃんも働きたくないよねぇ?」
律「ばっ!私は今まさに働いてんだろ!」
唯「え~、りっちゃんのくせに」プー
律「私なら働いてなくて当たり前みたいな言い方す・る・な」
唯「ほーい、仕方ない。コンビニでアルバイトでもするか」
律「そうしろそうしろ。あともうここには来るな。2日に1回も来られたんじゃ仕事になんねぇよ」
唯「嫌だよ~。ここはゴロゴロするのに最適なんだから」ゴロゴロ
澪「まあ、ある意味人生相談…なのか…?」
182: 2009/08/04(火) 21:39:14.08 ID:aYo9bSJnO
なんだか、高校の音楽室にいるみたいだ。
唯と律がふざけあって、
梓が正論を言って、
むぎはニコニコしてて、
私が律をぶん殴る。
やっぱり私は
澪「みんなと一緒にいたい」
唯「へ?澪ちゃん何か言った?」
もう一度みんなで
澪「バンドがしたいんだ!」
唯と律がふざけあって、
梓が正論を言って、
むぎはニコニコしてて、
私が律をぶん殴る。
やっぱり私は
澪「みんなと一緒にいたい」
唯「へ?澪ちゃん何か言った?」
もう一度みんなで
澪「バンドがしたいんだ!」
215: 2009/08/05(水) 01:38:25.26 ID:VgCPL7oa0
澪「なあ!?唯もそうだろ!?」
唯「え?ああ・・・んー」
澪「律だって私たちともう一度バンドを組みたいよな!?」
律「・・・」
澪「毎日仕事も大変だろう。ストレスも溜まるだろう。時々は思いっきりドラムを叩きたくなるんじゃないか!?」
唯「澪ちゃん、押し付けがましいよ。一体どうしちゃったの?」
澪「・・・」
澪「え?」
218: 2009/08/05(水) 01:44:48.57 ID:VgCPL7oa0
澪「今なんて?」
唯「押し付けがましいよ澪ちゃん。みんな今の生活があるの。私だってこんなでも就職活動してるんだよ」
律「唯は面接の日はこうやってここで気持ちを落ち着けに来るんだ」
澪「だってさっきは穀潰しだって・・・」
唯「今はね。いくら私でもバイトくらいいつでも受かるよ。でもやっぱりそれじゃあ憂に申し訳ないから・・・」
梓「正社員になろうと頑張ってるんですよね」
唯「うん」
唯「だから申し訳ないけど、ギターなんてしてる暇・・・ない」
唯「押し付けがましいよ澪ちゃん。みんな今の生活があるの。私だってこんなでも就職活動してるんだよ」
律「唯は面接の日はこうやってここで気持ちを落ち着けに来るんだ」
澪「だってさっきは穀潰しだって・・・」
唯「今はね。いくら私でもバイトくらいいつでも受かるよ。でもやっぱりそれじゃあ憂に申し訳ないから・・・」
梓「正社員になろうと頑張ってるんですよね」
唯「うん」
唯「だから申し訳ないけど、ギターなんてしてる暇・・・ない」
219: 2009/08/05(水) 01:52:37.36 ID:VgCPL7oa0
唯「それにもう一度バンドを組みたいと思ってるのは、澪ちゃんでしょ?」
澪「・・・」
唯「私たちをダシにしてバンド再結成させようとしてるのが見え見えだよ。それってすごく・・・卑怯だと思う」
律「唯、もういいだろ。澪だって色々悩みがあるんだ。昔に戻りたいって気持ちは私にもわかるよ」
唯「ううん、言わせて。澪ちゃん、私たちいつまでも子供じゃないんだよ?澪ちゃんは結局一人で一歩踏み出すのが怖いだけなんだよ」
律「もういいって言ってんだろ。その辺にしとけ」
店は静寂に包まれた。
澪「・・・」
唯「私たちをダシにしてバンド再結成させようとしてるのが見え見えだよ。それってすごく・・・卑怯だと思う」
律「唯、もういいだろ。澪だって色々悩みがあるんだ。昔に戻りたいって気持ちは私にもわかるよ」
唯「ううん、言わせて。澪ちゃん、私たちいつまでも子供じゃないんだよ?澪ちゃんは結局一人で一歩踏み出すのが怖いだけなんだよ」
律「もういいって言ってんだろ。その辺にしとけ」
店は静寂に包まれた。
223: 2009/08/05(水) 01:57:27.06 ID:VgCPL7oa0
唯「・・・」
唯「じゃあ私面接に行くから」
梓「あ・・・頑張ってくださいね」
唯「ありがとうあずにゃん」
唯「りっちゃん、また来てもいい?」
律「ああ、いつでも来い。熱いお茶を用意しとく」
唯「澪ちゃん、嫌なことから逃げ出してばっかりじゃダメだよ。大学で何があったか知らないけど今の澪ちゃんはすごく格好悪いよ」
澪「・・・」
唯「・・・」
唯「じゃあね」
唯「じゃあ私面接に行くから」
梓「あ・・・頑張ってくださいね」
唯「ありがとうあずにゃん」
唯「りっちゃん、また来てもいい?」
律「ああ、いつでも来い。熱いお茶を用意しとく」
唯「澪ちゃん、嫌なことから逃げ出してばっかりじゃダメだよ。大学で何があったか知らないけど今の澪ちゃんはすごく格好悪いよ」
澪「・・・」
唯「・・・」
唯「じゃあね」
224: 2009/08/05(水) 01:57:30.70 ID:dTrLnVgbO
ギターなんて発言や言ってる事とか普通に性格悪いなこの唯
225: 2009/08/05(水) 01:58:56.31 ID:4hIJzlva0
就職活動で30社くらい落とされると、これくらいすさんだ気持ちにはなれるぞ
226: 2009/08/05(水) 01:58:56.85 ID:sND58rX90
就活でピリピリしてるんだよきっと…
250: 2009/08/05(水) 08:35:23.40 ID:T052gszvO
澪「…」
律「許してやってくれ。あいつも切羽詰まってるんだよ」
梓「いつもここに来てはフザケてるけど、家ではすごく暗いらしいですよ。憂が言ってました」
澪(だからってあんな言い方ヒドイよ。私が逃げている?何から?新しいことを始めようとしてるじゃないか)
澪(やっぱり唯はいつまでたってもガキだな)
澪「じゃあ律、唯抜きでバンド再結成しよう。いいだろ?」
律「お前な…唯が言った意味わかってるか?」
251: 2009/08/05(水) 08:48:44.25 ID:T052gszvO
澪「唯の言った意味?唯はもう音楽を捨てたってことだろ」
律「…お前馬鹿だろ?」
律「唯はみんなそれぞれ音楽以外に大切なことを見付けたって言いたいんだよ!」
律「澪はいつまで昔に縛られて生きれば気が済むんだ」
澪「なんだよ!お前も音楽を捨てるのか!」
律「とことん馬鹿だなお前は。私はもう寿司しか見えないんだよ。おやっさんの寿司に一歩でも近付きたくて毎日へとへとになるまで働いてるんだ」
律「働いてわかったよ。毎日怒られて泣いて、それでも諦めないで握りの練習して、3年かかってやっと客に出せるようになったんだ。適当に練習して適当にうまくなったドラムと比べて、どんだけ充実感があったと思う?」
澪「そんなの…」
わかるわけがない。
澪は孤独を埋めるためだけに音楽を続けているのだから。
律「…お前馬鹿だろ?」
律「唯はみんなそれぞれ音楽以外に大切なことを見付けたって言いたいんだよ!」
律「澪はいつまで昔に縛られて生きれば気が済むんだ」
澪「なんだよ!お前も音楽を捨てるのか!」
律「とことん馬鹿だなお前は。私はもう寿司しか見えないんだよ。おやっさんの寿司に一歩でも近付きたくて毎日へとへとになるまで働いてるんだ」
律「働いてわかったよ。毎日怒られて泣いて、それでも諦めないで握りの練習して、3年かかってやっと客に出せるようになったんだ。適当に練習して適当にうまくなったドラムと比べて、どんだけ充実感があったと思う?」
澪「そんなの…」
わかるわけがない。
澪は孤独を埋めるためだけに音楽を続けているのだから。
265: 2009/08/05(水) 11:27:19.34 ID:T052gszvO
澪「変わったな律…私の知ってるお前はそんなこと言う奴じゃなかったよ」
律「…」
澪「私が練習しようって言ったら嫌々でもやってくれた。なんだかんだ言いながら私のことを一番に考えていてくれていた」
わかっている。
澪「律…変わったよ律…」
本当はわかってるんだ。
律「…」
律「お前が変われないだけだろ」
澪「――!」
図星。
私は変わるのが怖いんだ。
一人で一歩踏み出すのが怖いだけなんだ。
律「いつまで高校生気分でいるつもりだ?なあ、澪。私にここまで言われて悔しくないか?何も感じないならマジでただの馬鹿だよお前」
律「…」
澪「私が練習しようって言ったら嫌々でもやってくれた。なんだかんだ言いながら私のことを一番に考えていてくれていた」
わかっている。
澪「律…変わったよ律…」
本当はわかってるんだ。
律「…」
律「お前が変われないだけだろ」
澪「――!」
図星。
私は変わるのが怖いんだ。
一人で一歩踏み出すのが怖いだけなんだ。
律「いつまで高校生気分でいるつもりだ?なあ、澪。私にここまで言われて悔しくないか?何も感じないならマジでただの馬鹿だよお前」
266: 2009/08/05(水) 11:28:35.93 ID:1EQerXsC0
澪「ただの馬鹿か…。そこは間違ってないのかもしれないな」
澪は自嘲を含めて笑った。
梓「澪先輩…」
澪「律、私がやりたい事って何だろうな」
律「知らねーよ。それは自分で考えろ」
澪「…そう言うと思ったよ」
オヤジ「おい律。ちょっとこっち手伝え」
律「へい」
律がオヤジのほうへ向かった
澪「さて、私はそろそろ帰るかな。梓、おあいそで」
梓「あ、はい。1200円です。ちょうどいただきます。」
澪「あ、それと…」
澪は鞄に入ってた飴を全部梓に渡した。
澪「これ、梓と律とオヤジさんで食べてくれ。疲れた時には甘いものって言うしな」
梓「はい、ありがとうございます!」
澪「じゃあな」
梓「澪先輩。あの…」
澪「わかってるよ」
梓「…え?」
澪「私だって、それくらいはわかってるよ じゃあな」
店を出る澪を、梓は立ち尽くしたまま見ていた。
澪は笑顔だったが、その笑顔が何かを始めるのではなく、何かを諦めたような表情に梓は見えた。
澪「ああ、私だってわかってるよ」
澪「…あの音楽で繋がってた日々は、もう戻らないんだって」
澪「私、やっぱり変われないよ…」
澪「やっぱり、死ぬしか道はないんだよ」
家で首を吊ろうとも思ってたが、この前ネットで一番綺麗な死に方は凍死と書いてあったから、そっちでもいいと考えていた。
この寒い時期なら、睡眠薬を使って道端で寝たって死ぬには十分なはずだ。
澪「雪山 …なんてのもいいかもな」
澪「睡眠薬か… 数年前パパが使ってたものでも大丈夫かな?」
澪「試しに今日一錠飲んでみよう」
澪「そうするとロープと包丁はいらないかな? そうだ、どうせなら包丁は律にあげよう。」
澪「あと遺書も書かないとな。どんな内容がいいかな?」
遺書の内容を考えて楽しんでる自分に澪は、ある意味では自分も変わったな と苦笑した。
――――――
数日後
律「ふぃー 今日も終わった終わった。さっさと風呂入って寝るか」
そう言って自分の部屋に戻った時、携帯が光ってるのに気づいた。
仕事中に着信が来てたらしい。律は何気なく携帯を開いた。
律「うお!? 着信が28件? …しかも全部家から」
そんなに急いで伝えたい事でもあったのだろうか?
とりあえず着信の後に来てた母親からのメールに目を通した。
律「…え?」
律はこの時あまりに現実離れしたような内容だと思った。
『電話が繋がらないのでメールで伝えます。
澪ちゃんが自殺しました。
明後日にお葬式があるから、なるべく帰ってきなさい。』
本文全てに目を通した時、ちょうど29件目の着信がきた。
律は慌てて通話ボタンを押す。
律「母さん!? このメール本当なのか!? 本当に澪は…」
律「……」
律「…うん、わかった。休み取るよ。じゃあ…」ピッ
律「澪…」
――――――
翌日河岸に行く車の中で、律は休みを取るように頼んだ。
律「オヤジさん…」
オヤジ「どうした? そんな顔して」
律「私と梓、明日から2日間休みをもらいたいんですけど…」
オヤジ「ほう お前が休みを欲しがるなんて珍しいな。家にでも帰るのか?」
律「実は… この前ここに来た私の友人が、自殺したんです…」
オヤジ「何?」
律「『私は変われない。私の心はずっと高校の時のままだ』って内容の遺書を家に残して、雪山の麓で凍死してるのが見つかったって話でした」
オヤジ「雪山か… 遠くまで行ったもんだ」
律「この間来た時に私達に高校の時からのバンドをまた続けたいって言ってきたんですけど、それが出来ないってわかったら…」
オヤジ「……」
律「オヤジさん。私、間違ってたんですかね?」
オヤジ「友人を自殺に追い込んだって意味では間違ってるかもしれねえが、それがお前が選んだ道なんだろ?」
律「はい、私はこれからもずっと寿司職人として生きていくつもりです」
オヤジ「じゃあそんな心でまた音楽を続けても仕方ないだろ。お前がそう思うなら、お前にはそれしか選択肢はなかった」
律「はい…」
オヤジ「まあその2日間は店は俺一人で何とかするから、その友人に最後の挨拶してこい」
律「ありがとうございます」
――――――
律「ただいま…」
仕事が終わってから家に着いた時、既に家族は寝ていたらしい。
静かな家の中を歩いて久々に自分の部屋に入ると、前と変わらない風景があった。
部屋の電気も点けずに、テーブルの前に腰掛けた。
律「澪…」
律「なんで、死んじゃうんだよ…」
そう言って、律は夜通しで泣き続けた。
人前では泣かないようにしていたが、いざ一人になるとどうしても泣かずにはいられなかった。
当日はよく晴れていた。
良くも悪くも行事日和だった。
律が会場に着いた時には、既に他の3人がいた。
唯はさっきまで思いっきり泣いたらしく、まだ目が腫れている。
紬はいつものぽわぽわ雰囲気もなく、俯いたままだ。
梓はただ呆然と式場を見ていた。
律「お前ら早かったな」
唯「りっちゃん… わああああん!」
律を見た途端に唯は泣き出した。こうやって一人ずつ会う度に泣いていたのだろうか。
律「唯、そんなに泣くなよ。こっちまで悲しくなるだろ…」
唯「だって、澪ちゃんが…」
律「わかったわかった。よしよし」
とりあえず唯の頭を撫でておく。
紬「りっちゃん。久しぶり」
律「ああ、久しぶりだな。まさかこんな形で会うとは思わなかったよ」
紬「そうね… 澪ちゃん、どうして自殺なんか…」
梓「私のせいなんです…」
紬「梓ちゃん?」
梓「あの時の笑顔は絶対普通じゃなかった。あの時に澪先輩を呼び止めておけば…」
式場を呆然と見つめたまま、梓は淡々と喋る。
唯「あずにゃん…」
律「梓、気にするな」
梓「律先輩?」
律「あいつは昔から人と生きる事が苦手だった。軽音部が初めてだったんだよ。まともな人付き合いがあったのは」
唯「……」
律「だから、離れたくなかったんだろ。私達と」
梓「律先輩…」
律「それでもさ、私達は別々の道を歩まないといけないんだ。いつかは…」
紬「りっちゃん…」
律「さてと、そろそろ始まるから中に入ろうぜ」
唯「…うん」
4人は誰からともなく、式場の中へ入っていった。
棺の中の澪はあまりに綺麗だった。
今にも起き上がるんじゃないかと思う程にそのままだった。
それだけがあまりにも印象的だった。
――――――
唯「…式、終わっちゃったね」
紬「ええ」
梓「……」
律「……」
4人はそれ以上何も話せなかった。
思い出話をしようにも、今は辛いだけだ。
唯「じゃあ、私とあずにゃんは家こっちだから…」
紬「私はあっちの駅だから、ここでお別れね」
律「そうか… 皆、今日は本当にありがとう」
梓「いえ… 私はまた明後日から宜しくお願いします」
唯「りっちゃん。私、絶対正社員になってまたりっちゃんのお店に行くからね」
律「ああ、待ってるぞ」
紬「私も今度空きが出来たら是非行くわ」
律「ムギとはなかなか会えなかったし今日もあまり話せなかったから、私も楽しみにしてるよ」
紬「ええ、梓ちゃんもその時はよろしくね」
梓「はい、楽しみに待ってます」
律「じゃあ… またな」
唯「バイバイ」
紬「また今度」
梓「さようなら」
それからの帰り道が妙に長いと思ってよく考えたら、高校の時は澪と一緒に歩いてたからだった。
隣に誰もいないと長くも感じるし、いつもより寒くも感じた。
人のまばらな通りの中を、律は早歩きで家に戻った。
律「ただいまー」
律が家に入ると、誰もいなかった。
きっとこの一件で色々出回ってるのだろう。
自分が何もしないのもどうかと思ったが、幼馴染が亡くなった自分への周りの配慮なのだろう。
ありがたみを感じながら、とりあえず部屋に戻る事にした。
律「ん? 何だこれ?」
部屋のテーブルには、朝にはなかった箱があった。
箱の上にメモ書きで「澪ちゃんから」と書いてあった。
律「澪… から?」
とりあえず箱を開けてみると、新品の包丁と一枚の手紙が入っていた。
あまり良い予感はしなかったが、律は手紙を広げてみた。
『 律へ
この包丁、仕事で役立ててほしい。
自殺用に買った縁起悪いもので悪いんだが、律が包丁研いでるところを見たら使えなかった。
良い職人になれよ。私は応援してるからな。
最後に、こんなどうしようもない私と仲良くしてくれてありがとう。
生まれ変わったらまた一緒にバンドやりたいよ
澪 』
澪は自嘲を含めて笑った。
梓「澪先輩…」
澪「律、私がやりたい事って何だろうな」
律「知らねーよ。それは自分で考えろ」
澪「…そう言うと思ったよ」
オヤジ「おい律。ちょっとこっち手伝え」
律「へい」
律がオヤジのほうへ向かった
澪「さて、私はそろそろ帰るかな。梓、おあいそで」
梓「あ、はい。1200円です。ちょうどいただきます。」
澪「あ、それと…」
澪は鞄に入ってた飴を全部梓に渡した。
澪「これ、梓と律とオヤジさんで食べてくれ。疲れた時には甘いものって言うしな」
梓「はい、ありがとうございます!」
澪「じゃあな」
梓「澪先輩。あの…」
澪「わかってるよ」
梓「…え?」
澪「私だって、それくらいはわかってるよ じゃあな」
店を出る澪を、梓は立ち尽くしたまま見ていた。
澪は笑顔だったが、その笑顔が何かを始めるのではなく、何かを諦めたような表情に梓は見えた。
澪「ああ、私だってわかってるよ」
澪「…あの音楽で繋がってた日々は、もう戻らないんだって」
澪「私、やっぱり変われないよ…」
澪「やっぱり、死ぬしか道はないんだよ」
家で首を吊ろうとも思ってたが、この前ネットで一番綺麗な死に方は凍死と書いてあったから、そっちでもいいと考えていた。
この寒い時期なら、睡眠薬を使って道端で寝たって死ぬには十分なはずだ。
澪「雪山 …なんてのもいいかもな」
澪「睡眠薬か… 数年前パパが使ってたものでも大丈夫かな?」
澪「試しに今日一錠飲んでみよう」
澪「そうするとロープと包丁はいらないかな? そうだ、どうせなら包丁は律にあげよう。」
澪「あと遺書も書かないとな。どんな内容がいいかな?」
遺書の内容を考えて楽しんでる自分に澪は、ある意味では自分も変わったな と苦笑した。
――――――
数日後
律「ふぃー 今日も終わった終わった。さっさと風呂入って寝るか」
そう言って自分の部屋に戻った時、携帯が光ってるのに気づいた。
仕事中に着信が来てたらしい。律は何気なく携帯を開いた。
律「うお!? 着信が28件? …しかも全部家から」
そんなに急いで伝えたい事でもあったのだろうか?
とりあえず着信の後に来てた母親からのメールに目を通した。
律「…え?」
律はこの時あまりに現実離れしたような内容だと思った。
『電話が繋がらないのでメールで伝えます。
澪ちゃんが自殺しました。
明後日にお葬式があるから、なるべく帰ってきなさい。』
本文全てに目を通した時、ちょうど29件目の着信がきた。
律は慌てて通話ボタンを押す。
律「母さん!? このメール本当なのか!? 本当に澪は…」
律「……」
律「…うん、わかった。休み取るよ。じゃあ…」ピッ
律「澪…」
――――――
翌日河岸に行く車の中で、律は休みを取るように頼んだ。
律「オヤジさん…」
オヤジ「どうした? そんな顔して」
律「私と梓、明日から2日間休みをもらいたいんですけど…」
オヤジ「ほう お前が休みを欲しがるなんて珍しいな。家にでも帰るのか?」
律「実は… この前ここに来た私の友人が、自殺したんです…」
オヤジ「何?」
律「『私は変われない。私の心はずっと高校の時のままだ』って内容の遺書を家に残して、雪山の麓で凍死してるのが見つかったって話でした」
オヤジ「雪山か… 遠くまで行ったもんだ」
律「この間来た時に私達に高校の時からのバンドをまた続けたいって言ってきたんですけど、それが出来ないってわかったら…」
オヤジ「……」
律「オヤジさん。私、間違ってたんですかね?」
オヤジ「友人を自殺に追い込んだって意味では間違ってるかもしれねえが、それがお前が選んだ道なんだろ?」
律「はい、私はこれからもずっと寿司職人として生きていくつもりです」
オヤジ「じゃあそんな心でまた音楽を続けても仕方ないだろ。お前がそう思うなら、お前にはそれしか選択肢はなかった」
律「はい…」
オヤジ「まあその2日間は店は俺一人で何とかするから、その友人に最後の挨拶してこい」
律「ありがとうございます」
――――――
律「ただいま…」
仕事が終わってから家に着いた時、既に家族は寝ていたらしい。
静かな家の中を歩いて久々に自分の部屋に入ると、前と変わらない風景があった。
部屋の電気も点けずに、テーブルの前に腰掛けた。
律「澪…」
律「なんで、死んじゃうんだよ…」
そう言って、律は夜通しで泣き続けた。
人前では泣かないようにしていたが、いざ一人になるとどうしても泣かずにはいられなかった。
当日はよく晴れていた。
良くも悪くも行事日和だった。
律が会場に着いた時には、既に他の3人がいた。
唯はさっきまで思いっきり泣いたらしく、まだ目が腫れている。
紬はいつものぽわぽわ雰囲気もなく、俯いたままだ。
梓はただ呆然と式場を見ていた。
律「お前ら早かったな」
唯「りっちゃん… わああああん!」
律を見た途端に唯は泣き出した。こうやって一人ずつ会う度に泣いていたのだろうか。
律「唯、そんなに泣くなよ。こっちまで悲しくなるだろ…」
唯「だって、澪ちゃんが…」
律「わかったわかった。よしよし」
とりあえず唯の頭を撫でておく。
紬「りっちゃん。久しぶり」
律「ああ、久しぶりだな。まさかこんな形で会うとは思わなかったよ」
紬「そうね… 澪ちゃん、どうして自殺なんか…」
梓「私のせいなんです…」
紬「梓ちゃん?」
梓「あの時の笑顔は絶対普通じゃなかった。あの時に澪先輩を呼び止めておけば…」
式場を呆然と見つめたまま、梓は淡々と喋る。
唯「あずにゃん…」
律「梓、気にするな」
梓「律先輩?」
律「あいつは昔から人と生きる事が苦手だった。軽音部が初めてだったんだよ。まともな人付き合いがあったのは」
唯「……」
律「だから、離れたくなかったんだろ。私達と」
梓「律先輩…」
律「それでもさ、私達は別々の道を歩まないといけないんだ。いつかは…」
紬「りっちゃん…」
律「さてと、そろそろ始まるから中に入ろうぜ」
唯「…うん」
4人は誰からともなく、式場の中へ入っていった。
棺の中の澪はあまりに綺麗だった。
今にも起き上がるんじゃないかと思う程にそのままだった。
それだけがあまりにも印象的だった。
――――――
唯「…式、終わっちゃったね」
紬「ええ」
梓「……」
律「……」
4人はそれ以上何も話せなかった。
思い出話をしようにも、今は辛いだけだ。
唯「じゃあ、私とあずにゃんは家こっちだから…」
紬「私はあっちの駅だから、ここでお別れね」
律「そうか… 皆、今日は本当にありがとう」
梓「いえ… 私はまた明後日から宜しくお願いします」
唯「りっちゃん。私、絶対正社員になってまたりっちゃんのお店に行くからね」
律「ああ、待ってるぞ」
紬「私も今度空きが出来たら是非行くわ」
律「ムギとはなかなか会えなかったし今日もあまり話せなかったから、私も楽しみにしてるよ」
紬「ええ、梓ちゃんもその時はよろしくね」
梓「はい、楽しみに待ってます」
律「じゃあ… またな」
唯「バイバイ」
紬「また今度」
梓「さようなら」
それからの帰り道が妙に長いと思ってよく考えたら、高校の時は澪と一緒に歩いてたからだった。
隣に誰もいないと長くも感じるし、いつもより寒くも感じた。
人のまばらな通りの中を、律は早歩きで家に戻った。
律「ただいまー」
律が家に入ると、誰もいなかった。
きっとこの一件で色々出回ってるのだろう。
自分が何もしないのもどうかと思ったが、幼馴染が亡くなった自分への周りの配慮なのだろう。
ありがたみを感じながら、とりあえず部屋に戻る事にした。
律「ん? 何だこれ?」
部屋のテーブルには、朝にはなかった箱があった。
箱の上にメモ書きで「澪ちゃんから」と書いてあった。
律「澪… から?」
とりあえず箱を開けてみると、新品の包丁と一枚の手紙が入っていた。
あまり良い予感はしなかったが、律は手紙を広げてみた。
『 律へ
この包丁、仕事で役立ててほしい。
自殺用に買った縁起悪いもので悪いんだが、律が包丁研いでるところを見たら使えなかった。
良い職人になれよ。私は応援してるからな。
最後に、こんなどうしようもない私と仲良くしてくれてありがとう。
生まれ変わったらまた一緒にバンドやりたいよ
澪 』
270: 2009/08/05(水) 12:09:58.17 ID:XaxRY/aU0
痛いよ
275: 2009/08/05(水) 13:26:03.60 ID:V1IcdHliO
バンド組もうとしてももう時既にお寿司ってか?
277: 2009/08/05(水) 13:33:04.76 ID:j7iR3eYm0
うわぁ・・・
引用元: 澪「もう死にます」律「otituke」
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