1: ◆lrSDAkq2tQ 2019/08/30(金) 10:15:37.55 ID:o7Bpzblm0
並木芽衣子「急にできたオフで何も考えず一人旅に出てみたけど、楽しい~~!」

芽衣子「日が暮れかけてきたけど・・・そろそろ今夜どうするか考えなきゃかな?現地でビビッと来たところがいいからどこも予約してないもんね」

芽衣子「とか考えてたら・・・ついつい入りたくなりがちな裏道を発見!勇気と度胸と直感でゴーゴ~♪」

芽衣子「お?」

芽衣子「なになにここ、雰囲気イイじゃん!」

芽衣子「よし。ここに決めたぞっ。すいませーん!」


宿の主人「おーねがい~シーンデレラ~」

主人 「はあ、平日だしヒマだなあ・・・」

主人 「推しのSNSチェックが捗ってしかたないわ。あ、芽衣子ちゃんまたふらっと旅立ってる」

主人 「まかり間違ってうちにも有名なアイドルが来たりしねえかなあ」

芽衣子「すいませーん!」

主人 「たとえば・・・」

芽衣子「あのっ、今お部屋空いてませんか?」

主人 「芽衣子ちゃんみたいな旅ドルが・・・」

芽衣子「予約とかしてないんですけど・・・」

主人 「・・・」

芽衣子「・・・」

主人 「・・・」

芽衣子「・・・」

主人 「・・・うちに泊まってくれたりしねえかな~」

芽衣子「あ、あのっ!!」

アイドルマスターシンデレラガールズ カプセルラバーマスコット3 [7.並木芽衣子](単品)

2: 2019/08/30(金) 10:17:07.84 ID:o7Bpzblm0
主人 「も、もしかして並木芽衣子ちゃん!?」

芽衣子「あっ、ありがとうございます!突然なんですけど、今日はここで1泊したくて」

主人 「まあまあよくこんな裏路地の寂れた安宿に」

芽衣子「そんな、風情があってステキだなって思ったんです。空いてますか?」

主人 「も、もももちろん!ええ、ええっと、他の泊り客には全員帰ってもらいましょうか?」

芽衣子「まずは落ち着いてください」

主人 「し、失礼」

主人 「ようこそいらっしゃいました。ご宿泊は100泊でよろしいですね?」

芽衣子「口調だけしか落ち着いてませんよ!?長期ロケじゃないんですから!1泊、お願いしたいんですけど」

主人 「すみませんつい願望が」

芽衣子「願望!?」

主人 「いやびっくりしました、僕芽衣子ちゃんの大ファンなんですよ!」

芽衣子「本当ですか!ありがとうございます」

主人 「うちみたいなところにも来てくれたらな~なんて思ってましたけど、まさか本当に・・・」

芽衣子「そうなんですね、じゃあ、旅がつなげた運命ですね♪」

主人 「!!運命・・・芽衣子ちゃんとの運命・・・」

主人 「むふ・・・むふ・・・むふふふふふ~~~!!」

芽衣子「どこかで聞いたことがあるリアクション」

3: 2019/08/30(金) 10:18:06.96 ID:o7Bpzblm0
芽衣子「はい、これでいいですか?」

主人 「ご記入ありがとうございます、それでは早速お部屋にご案内しますね」

芽衣子「はい・・・あっ!」

主人 「?」

芽衣子「あそこ、お土産のコーナーですか?」

主人 「ええ」

芽衣子「この辺の観光地の土産物は大体見たつもりなんですけど、ここはいろいろ珍しいものがありますね!」

主人 「そうですか?」

芽衣子「これとか、変わったデザインのキーホルダーですね」

主人 「ああ、それは・・・町内会長の鶴の一声でできた、この辺りの地名が入ってるやつです。変な柄でしょう」

芽衣子「なんだか気に入っちゃいました、後で買いにきますっ」

主人 「ありがとうございます(マジかよ普段全然売れないのに、会長グッジョブかよ)」

芽衣子「ご当地ならではの『何でこんなの売ってるの!?』感あるもの大好きなんです!」

主人 「はははは(やっぱイロモノ枠よなあ)」

4: 2019/08/30(金) 10:24:38.09 ID:o7Bpzblm0
主人 「それではごゆっくりどうぞ」



主人 「マジか・・・マジだ・・・あの並木芽衣子が今ウチに泊っている・・・」

主人 「こんな家業継いだばかりに現場参戦も滅多にできないけど、今日ばかりは実家が宿で本当に良かった・・・!」

主人 「サインくらい頼んでも失礼じゃないよな?いやむしろ何もしないほうが失礼ってもんだろ!」

主人 「芽衣子ちゃんがウチに・・・芽衣子ちゃんがウチに・・・」

主人 「・・・」

主人 「・・・」



主人 「何か私物忘れて帰ったりしねえかなあ」

5: 2019/08/30(金) 10:25:09.34 ID:o7Bpzblm0
主人 「失礼します。間もなくご夕食をお持ちいたします。あの、その前に不躾ながらお願いがあるのですが」

芽衣子「はい、なんでしょう?」

主人 「もしよろしければ、お食事の後からで結構ですのでこちらにサインをお願いできませんか?」

芽衣子「もちろん喜んで♪この色紙と、それから・・・あっこれは!」

主人 「『芽衣子ちゃんの日本旅行記』の視聴者プレゼントで当たった番組Tシャツです!」

芽衣子「えーっ、何年も前の番組なのに!ご主人に当たってたんですね。それじゃあ、後でサインさせてもらいます」

主人 「ありがとうございます!福井の魅力を紹介されてましたよね芽衣子ちゃん解説上手だから映るもの全部良く見えちゃいましたよそれからピックアップされてた車窓の日本海すごく綺麗でしたけどやっぱり一番輝いているのは芽衣子ちゃんで背景の海にすごく映えてました(早口)」

芽衣子「そんなに前から私のこと見てくださってたんですね。こんなに熱心に応援してもらえて嬉しいです」キラキラ

主人 「」

芽衣子「?」

主人 「」

芽衣子「ご、ご主人?」

主人 「はっ、尊氏してました」

芽衣子「尊氏してました!?」

主人 「失礼しました、色紙は後日当宿で飾らせてください」

芽衣子「もちろんいいですよ!私も帰ったらここの宣伝させてもらっちゃおうかな!」

主人 「」

芽衣子「あっ戻ってきてください!!」

6: 2019/08/30(金) 10:25:55.20 ID:o7Bpzblm0
主人 「お待たせしましたご夕食でございます」

芽衣子「わあ、待ってました!」

主人 「本日のお料理はとある趣向を凝らせていただいておりまして」

芽衣子「ほうほう!」

主人 「今日はこの辺りで何をお食べになりましたか?・・・ふむふむ、やはり地元の名物はチェックされてるんですね。そこで本日お出しするのは、ミョウガ尽しのお料理でございます」

芽衣子「ミョウガですか」

主人 「はい、有名ではありませんがこの地域の隠れた名産です」

芽衣子「隠れた名産!!」

主人 「(あっやっぱりこういうのに弱いんだ。名産ってかウチの裏にいくらでも生えてんだよね)」

主人 「こちらがミョウガの浅漬けでございます。こちらがミョウガの三杯酢、ミョウガの煮つけ、ミョウガの天ぷら、ミョウガのお味噌汁、ご飯もミョウガご飯・・・」

芽衣子「わ~こんなに色とりどりのミョウガのお料理初めて見ました。早速食べちゃいますね。・・・ん~!おいしい!」

主人 「ありがとうございます。心ゆくまでお楽しみください」



主人 (食べてる食べてる・・・ミョウガをあんなにたくさん)

主人 (昔からよく言うよな、ミョウガをたくさん食べると物忘れするって。あれだけ食べれば明日の出発時、何か忘れて帰らないかな・・・)

7: 2019/08/30(金) 10:26:38.05 ID:o7Bpzblm0
芽衣子「お世話になりました!」

主人 「いえいえ、こちらこそありがとうございます」

芽衣子「ぐっすり眠れました。朝食までミョウガ尽しなんてびっくりしちゃいましたけど、ミョウガって結構奥が深いんですね」

主人 「そう言っていただけて何よりです」

芽衣子「それじゃ、ありがとうございました!」

主人 「お気をつけて行ってらっしゃいませ」



主人 「行っちゃったなあ、夢のような時間であった」

主人 「さて。・・・部屋の清掃しなきゃな」



主人 「ま、まさか本当にうまくいくとは・・・!!」

主人 「これは・・・これは間違いない!!3年前だったか、食べ物ロケシリーズでサツマイモを紹介していたときにつけていたお揃いのネックレスとブレスレット!!」

参考画像 https://imas.gamedbs.jp/cg/image_sp/card/l_noframe/42484da391a105442dc3523e303fff9d.jpg

主人 「いつ見ても違うアクセ使ってて本当にオシャレさんだよなあ。そんな、そんな芽衣子ちゃんがアクセ忘れていくなんて、ミョウガ恐ろしい子・・・!」

主人 「世に芽衣子推し多しといえども、こんなものを持ってるのは絶対に俺だけだ!」

主人 「よし、早速神棚に」

芽衣子「すいませ~~ん!!」

主人 「わっこの声は!?」

芽衣子「また勝手に上がっちゃってすみません、忘れ物をしちゃって・・・あっそれ!」

主人 「あ、えーと、えーと、そうなんですよ!ちょうどこれを見つけて、今から追いかけようかなって・・・」

芽衣子「そうだったんですね、ご迷惑おかけしてすみません。優しいご主人でよかったです」

主人 「(ズキッ)」

芽衣子「ごめんなさい、今度こそ失礼します!」



主人 「・・・うん。これでいいんだ。これでいいんだ。あんな天使の持ち物を本人に教えもせず自分のものにしようなんてダメだダメだ」

主人 「心を入れ替えて、マジメに清掃作業に戻・・・」

8: 2019/08/30(金) 10:27:58.69 ID:o7Bpzblm0
宿の主人は目を疑った。

やはりミョウガで物忘れなんてただの迷信。そう思った矢先のことだ。
先ほどは気が付かなかったが、部屋の隅に「それ」は確かにあった。
何も加えられず、ただ白いまま、忘れ去られてそこに存在している。

彼は天を仰がずにはいられなかった。


主人 「芽衣子ちゃん・・・」


主人 「サイン書くの忘れて行っちゃってるうううううう!!!」

9: 2019/08/30(金) 10:34:22.23 ID:o7Bpzblm0
ちゃんちゃん。
古典落語「茗荷宿」を参考に書きました。
古典本来のあらすじはこちら↓
http://sakamitisanpo.g.dgdg.jp/myougayado.html


過去作

善子「夢なんて見てないわよ」(「天狗裁き」改作)

茜「スクワット2000回!?」(「試し酒」改作)

日菜子・柚「パッションTAKAMARI☆」光・茜・友紀「CLIMAX!!!」

10: 2019/08/31(土) 13:54:58.39 ID:J07A3S0s0
こういうのすき

引用元: 芽衣子「ミョウガで物忘れ?」