1: 2016/10/18(火)02:42:55 ID:OPI
※キャラ崩壊あり。
※長め。

3: 2016/10/18(火)02:44:06 ID:OPI
ゆかり「…………」

ゆかり(あれ? 止まらずに行ってしまいました……。なぜでしょう?)

P「なんれとまらっねんと……!」

ゆかり「あ。はい。そうですね」

ゆかり(目の前を通り過ぎてしまったタクシーに戸惑いながらも、呂律の回らないPさんには一応同意しておきます。
何を仰っているのかは分かりませんが、Pさんのことです。たとえ泥酔していたとしてもその言葉に間違いはないでしょう)

ゆかり(それにしても、タクシー……。
以前さくらちゃんに教えてもらった作法は完璧なはずです。
今、止まらなかったのは、おそらく暗くてよく見えなかったか……。
そうです! 先に別のお客様を乗せていたのかもしれません。
これは盲点でした……)

ゆかり「ならばここは何度も挑戦あるのみ……!」

ゆかり(Pさんをご自宅までお届けするのはこの私の責務なのですから……)

ゆかり「脚は肩幅に開き、身体は道路の方向真正面。
突き出した右手、その親指一本をまっすぐ上向きに立て……」

ゆかり(今です……!)

ゆかり「へいタクシー!」

P「…………」

ゆかり「…………」

P「…………」

ゆかり「…………」

P「なんれさくろ」

ゆかり「なぜ止まってもらえないのでしょうか……」
きゅんキャラいらすとれーしょんず「アイドルマスター シンデレラガールズ」パスケース vol.2 水本ゆかり 単品
4: 2016/10/18(火)02:44:49 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

ゆかり(事は、私が初のソロライブを無事終えたことへのお祝いの席、そこから始まります)

ゆかり(ライブ自体がごく小さなものだったこともあり、Pさんはケーキと飲み物を用意し、事務所内で慎ましやかにお祝いをしようと準備を進めていました。
しかし、そこに大人組の皆さんが現れたのです)

片桐早苗「どうせならもっとパーっとやりましょう!」

姫川友紀「ビール持ってきたよ!ビール! 唐揚げもあるよ♪」

高垣楓「からあげ…からあげ…からあげんき…?
彼女にフラれたPさん、からあげを食べて空元気…ふふっ」

三船美優「少しつよ…珍しいお酒が手に入ったんです。Pさん、ご一緒しませんか?
酔ってしまったら帰りは送っていただけますか?
無理なら仮眠室が空いてますので、そ、そちらで……」

柊志乃「…………」(既に泥酔)

6: 2016/10/18(火)02:48:06 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

2時間後……

早苗「なんれぇーっ! あらしの酒がのめんのかぁーっ!!」

友紀「…………P」(熟睡)

楓「Pさん……なんでうずくまってるんですか……?
おつまみ食べませんか?
それとも未来の妻を摘まみ食いしますか……ふふっ」

美優「……ちょっと飲み過ぎちゃったみたいです……。肩、お借りしてもいいですか?」(部屋の隅でピニャの着ぐるみにもたれかかりながら)

持田亜里沙「…………ひっく」(笑顔であいさんにヘッドロック)

東郷あい「…………」(無抵抗)

8: 2016/10/18(火)02:49:14 ID:OPI
ゆかり(お酒というのは楽しそうですね……。私も早く飲めるようになりたいです)

ゆかり「あっ。そろそろ寮の門限が近づいてきました」

ゆかり(お祝いを始めたのが夕食時だったこともあり、女子寮で定められている門限までもうあまり余裕がありません)

ゆかり(楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね……)

ゆかり「あの。ちひろさん? 私、そろそろ時間が……」

ゆかり(お祝いが始まってからずっと無言でカメラを回し続けていたちひろさんに、一言声をかけます)

ちひろ「あ、はい。後片付けは任せて下さい。
外はもう暗くなってますから夜道には気をつけて下さいね」

ゆかり(黄緑色の着ぐるみを抱えて仮眠室へと向かう美優さんをカメラで追いかけながら、ちひろさんは私に手を振り、そう告げます)

ゆかり(と、そんな折)

がばっ!

P「いかーん! おくっれくぞ! ゆかりぃっ!」

ゆかり(テーブルに顔を伏せていたPさんが勢いよく起き上がり、そう叫びました)

ゆかり(遅れ……? ああ、送っていくぞ、とPさんは言っているのでしょう)

ゆかり(呑みながらずっとPさんにまとわりついていた楓さんと留美さんが弾き飛ばされて床に転がります。
そのまま寝息を立てる彼女達を見て、私は、なぜか無意識のうちに小さくガッツポーズをしてしまいました)

ゆかり(自分の握り拳を見つめ、首を傾げます。
う~ん。……なぜでしょうね?)

9: 2016/10/18(火)02:49:57 ID:OPI
P「さぁ、いくろゆかりっ!」

ゆかり「お気持ちは嬉しいのですが、Pさんも酔ってフラフラされていますし……」

P「よっれらい! おんらのこのひろりあるきは……あるきは……ううっ……!」

ゆかり(大人組の皆さんはこの様子だと、このまま事務所にお泊りになる可能性が高そうです。
そこにPさんを残して帰るのは……少しだけマズイような気がします……)

P「うぅぅ……ゆかり?」

ゆかり(仕方なく。あくまで仕方なく、です。
Pさんに送ってもらうのではなく、私がPさんをお家まで送って差し上げましょう)

ゆかり(Pさんには色々ご恩がありますし、そもそもこの状況は私のお祝い事から始まったのですから……!)

10: 2016/10/18(火)02:50:33 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

運転手「着いたよ、嬢ちゃん」

ゆかり(ようやく乗ることのできたタクシーの運転手さんは、とても親切な初老の男性でした)

ゆかり(最初は私とPさんを見比べ、訝しげな様子でしたが、私が「ちゃんと作法通り呼び止めようとしたのに、なかなかタクシーが止まってくれなかった」と言うと、ひとしきり笑った後、「不思議だなぁ」と仰いました)

ゆかり「ありがとうございました」

ゆかり(走行距離はよく分かりませんが、時間にすると20分ちょっとでしょうか。
無事Pさんのお家に着いたようなので、私は運転手さんに代金を支払い、お礼を言います)

ゆかり(ちなみに、Pさんのお家の住所はメールで智絵里さんに聞きました)

運転手「お疲れ様。ご利用ありがとうございました。
ああ、あと嬢ちゃん、これを持って行きなさい」

ゆかり(と、小さな白い手提げのビニール袋を渡されたので、中を覗いてみると……そこにはタクシー会社の名前と電話番号が記されたポケットティッシュがたくさん詰まっていました)

運転手「……頑張りなさい」

ゆかり(運転手さんは親指を立て、優しい笑顔でそう告げます)

ゆかり「はいっ!」

ゆかり(運転手さんのその素敵な応援に、私も笑顔でこたえます)

ゆかり「水本ゆかり、精いっぱい頑張ります!」

11: 2016/10/18(火)02:51:16 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

ゆかり「到着しましたよPさん。ここ、お布団ですからゆっくり寝転がって下さいね」

ゆかり(Pさんのお家は二階建ての一軒家でした。
こちらの土地や建物の事情には詳しくありませんが、おそらく特別大きくも小さくもないのではないかと思います)

ゆかり(お家の鍵を探すためにPさんの懐やズボンのポケットをまさぐるのは少しドキド…苦労しましたが、ようやくキーホルダーを見つけ、解鍵に至りました)

P「うぐぅ」

ゆかり(散らかってるわけではないのに、どこか雑多な印象を受ける室内に、敷きっぱなしだったらしいお布団を見つけたので、そこにPさんの寝かしつけます)

ゆかり「ふぅ……。Pさんがちゃんと歩けないから支えるのが大変でした……。
けど、どうにか任務完了です。日々のレッスンの成果はあがっているみたいですね」

ゆかり(まだまだダンスのような激しい運動は苦手ですが、昔に比べたら確実に体力がついてきているような気がします。
いずれは、きらりさんのようにPさんを肩車できるくらいになりたいものです)

P「むぐ……ゆかりぃ……」

ゆかり「は、はい。ゆかりですよ」

P「…………」

ゆかり「寝言ですか……」

ゆかり(相当お疲れだったのでしょう。仰向けになったPさんは口を少し開け、掠れたようないびきをかいて眠っています)

ゆかり(そんな無防備な様子と、凛々しい普段とは違う、どこか可愛らしい寝顔を見ていると、ふいに誘惑が……欲望が鎌首をもたげます)

ゆかり「ちょ、ちょっとくらい……触っても平気……ですよね……?」

12: 2016/10/18(火)02:52:00 ID:OPI

ゆかり(はしたないだろうか? バレやしないだろうか? 嫌われてはしまわないだろうか?
そんな不安を胸に抱きながらも、好奇心に抗い切れず、私はおそるおそる、そこに手を伸ばします)

ゆかり「こ、これがPさんの……大きくて硬くて……たくましい」

ゆかり(そっと指先でつつき、撫でつけます)

ゆかり「それに……とても熱い……」

ゆかり(指先で触れているだけでは満足できなくなり、私は勇気を出して両手で包み込みます)

P「むがっ!?」

ゆかり「!?」

ゆかり(Pさんが急に震え、身体をビクつかせたので、私は驚いて、手を離してしまいました)

P「む、むぅぅぅ……。ぐぅ……」

ゆかり「ど、どうやら起こしてしまったわけではないようですね……」

ゆかり(やはり眠っているとは言え、手の甲や手の平を触られるのは、くすぐったかったのでしょう。
悪いことをしてしまいました)

ゆかり(反省し、同時にほっとした次の瞬間)

ぐるん

ゆかり(私の見ていた景色が一変しました)

ゆかり「……えっ?」

ゆかり(目の前にいたはずのPさんの姿が消え、かわりに広がるのは……天井?)

13: 2016/10/18(火)02:52:46 ID:OPI

ゆかり「…………」

ゆかり(こ、これは……ひょっとして……お、押し倒されていませんか!?)

ゆかり(私の後頭部には敷き布団の感触。そして身体の……胸の上にはPさんの体重と手の体温を感じます)

ゆかり(ふ、布団の上に組み伏せられてますっ……!?)

ゆかり「…………!? …………! …………っ!!」

ゆかり(突然のことで、反射的に悲鳴を上げようとしてもなかなか声がでません。
口を何度もぱくぱくと動かし……ようやく言葉を捻り出します)

ゆかり「P……っさん! あ、あのっ! そういうのは……こういうことは……あまり良くないと言いますか、なんと言いますか……」

ゆかり(自分が涙目であることを自覚しながら、それでも歯の根も合わないまま、言葉を紡ぎます)

ゆかり「わ、私も不用意だったかもしれません……。
けど、やはり、年齢的にも立場的にも、まだ……こういうのは早いかなって……!」

P「…………」

ゆかり「い、いえ。べっ、別にPさんが嫌いだとか、こういうことをされたくないとか、そういうわけではないんですよ?
むしろ、Pさんが本気なのでしたら、やぶさかではないというかなんというか……」

P「…………」

ゆかり「ただ、心の準備が……。せっ、せめて、お風呂にっ! シャワーを浴びさせて欲しいですっ! 今のままだとお互い汗くさいと思いますし……」

P「…………」

ゆかり「……だ、だからそのっ!!」

14: 2016/10/18(火)02:53:24 ID:OPI

P「…………」

ゆかり「あ、あれっ……?」

ゆかり(いつまでも無反応。次の行為にも移らないPさんにふm…不安になり、私はそーっと視線を横にずらします)

ゆかり(視線の先、私の胸に手と腕を乗せて押さえ付けるその主、Pさんは……)

P「…………ぐぅ」

ゆかり「ま、まだ寝てたんですかっ!?」

ゆかり(押し倒されたというのは、どうやら私の勘違い、早とちりだったようで、当のPさんはまだまだ深い眠りの中にいるようでした)

ゆかり「つまりは……」

ゆかり(寝返りに巻き込まれるくらい、私、前のめりでPさんのものに触れていたんですね……は、恥ずかしい……)

ゆかり「ともあれ、そうと分かれば……よっ。ほっ。……あれっ?」

ゆかり(もがき、脚をバタつかせますが、動けません。
ありていに言うと、Pさんに抱きしめられたまま、抜け出せません)

ゆかり「こ、これは……」

ゆかり(私に乗っかった腕は予想外に重く、角度的な問題もあるのか、上手く押し退けられません。
もしかしたら、さっきのことで私自身の腰が抜けてしまっているのかもしれません)

ゆかり「ど、どうしましょう……」

ゆかり(Pさんを揺すり、大きな声を出したら目を覚まして頂けるかもしれません。
しかし、お疲れのPさんにそのようなことはしたくありませんし、眠りの深さを考えると、ちゃんと起きて頂けるかどうかも、ちょっと怪しい気がします)

ゆかり(それより何より……)

P「ぐーっ……」

15: 2016/10/18(火)02:54:09 ID:OPI

ゆかり「…………」

ゆかり(Pさんの腕の中、あったかくて……気持ちいいです)

ゆかり(Pさんから伝わってくる、温もり、重み、そして仄かな香り)

ゆかり(その優しい誘惑に、少し前に感じた驚きや恐れは私の中からすっかり消え去ってしまいました)

ゆかり「このまま……お泊まりしてしまいましょうか」

ゆかり(大人組の皆さんも、今日は事務所に泊まり込むはずです。私も外泊したって……良いのではないでしょうか)

ゆかり「動けないから仕方ないですよね……」

ゆかり(私はPさんの腕をぎゅっと抱きしめ、自分に言い聞かせます。
この腕のせいで、動きたくても動けない。帰りたくても帰れない。だから仕方ない。不可抗力だ……と)

ゆかり(あっ……でも……)

ゆかり(ふと思い出し、自由の制限された手でどうにかスマホを取り出します)

ゆかり「そろそろ……門限を過ぎてしまいますね……」

ゆかり(もともとPさんを送ろうと決心した時から、ちゃんと間に合うとは思っていませんでしたが、少し遅れて寮に帰宅するのと、完全に外泊してしまうのでは、かなり話の深刻さが変わってきます)

ゆかり「事前に許可もとっていませんし、泊まるにしても、どうにかしないといけませんね」

16: 2016/10/18(火)02:54:42 ID:OPI

ゆかり(既に『ちゃんと寮に帰る』という選択肢を排除してしまっていた私は、次の一手、次善策を考えます)

ゆかり「悪い事ではありますが……誰かに代返を……門限の誤魔化しをお願いしましょう……」

ゆかり(Pさんの腕をくぐらせ、スマホを耳に当てます。
こういう時に頼りになる知り合いは何人かいます。
そのうち、智絵里さんは先ほど頼らせてもらったばかりなので、できる事なら別の方にお願いしたいところです)

ゆかり「と、なると……。頼りになるのは、さくらちゃんか、まゆさんですね」

ゆかり(少し考え、より確実そうな彼女の名前をタップします)

P「ぐ、ぐがっ……!?」

ゆかり(Pさんが何かを察知したように震えたような気もしましたが……まぁ、気のせいでしょう)

ゆかり(そわそわする様な罪悪感と、隣から伝わってくる不思議な昂揚感に包まれながら、私は電話の向こうへの言い訳を考えるのでした……)

17: 2016/10/18(火)02:55:19 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

チュンチュン…

P「なんでっ!?」

P(起床後の第一声はまず、それだった。
昨日、アイドル達に酒を飲まされ、その後の記憶はほぼ無い)

P(夕食時から意識は飛んで一気に朝、だ。
そんな状態で、目が覚めて二日酔いに顔をしかめる間も無く、自分が自分の事務所に所属している清純派お嬢様アイドルのはだけた乳を鷲掴みにしていることに気付いたら、こういった第一声になるのも無理はなかろう)

P「わ、わけがわからないよ……」

P(連日の据え膳おあずけ生活に精神が異常をきたし、遂に幻覚を見るに至ったのかもしれない)

ふにふに。

P「いや、これは幻覚じゃないな。うん」

P(堪能している場合ではない。堪能している場合ではないのだが、しかし、この感触、共に分かち難く……)

ゆかり「う……ん……? ううん?」

P(瞬時に手を離し、ハンドインポケット! 誤魔化そうとするが、ポケットがない!
ていうか、ズボンを穿いていない。
ついでに着ていたはずのスーツもシャツもない。肌着のシャツとパンツだけ辛うじて! なにゆえっ!?)

P(しかし、俺は慌てず騒がず、まだ感触の残る右手で敬礼。布団の中でやや前屈みになりながらも、爽やかに挨拶をする)

P「やぁ。おはよう! 昨夜はお楽しみでしたか?」

ゆかり「……ああ~、Pさんだぁ~…」

P「と言うと、寝ぼけ眼の清純令嬢は俺の首に手を回し、そのまま抱きつきぃぃぃっっ!!」

P(こ、これはあかん。色々ダメなやつだ。朝からこれは、理性その他がもたない展開だ)

ゆかり「うふ~。くんくん。あったか~い……」

P「ああああっ! 起きてっ! ゆかり目を覚ましてっ!
いや、目を覚ましたらマズイ気もするけど、このままよりはマシなハズっ! 起きてっ! ああ、いいにおいっ!」

ゆかり「うう~ん。ダメですよぉ、Pさぁん……」

P「知ってるよっ!!」

18: 2016/10/18(火)02:56:23 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

1時間半後……。

ゆかり「あ、Pさん。ちょうど朝ごはんが出来たところですよ」

P(ひとっ風呂浴びて、上がってきた俺を出迎えたのは、同じく風呂上りで、やや上気した肌に俺の貸したワイシャツをまとったゆかりだった)

P(ちなみに、当然だが一緒にお風呂に入ったわけではない)

P「おお。作ってくれたのか?」

P(目玉焼きにベーコン、レタス。白いご飯と味噌汁まで)

ゆかり「はい。ご飯は炊いてあったみたいなので、ごく簡単なオカズを用意しただけですけど」

P(…………)

P「いや、大したもんだ。うん。ありがとう!」

P(ちなみにゆかりが着ていた服は洗濯した上で、現在、乾燥機の中で乾燥中。
それゆえ、今のこの格好だ)

P(いわゆるボーイフレンドシャツというのは男のロマンではあるのだが……ううむ。目のやり場に困る……)

ゆかり「さぁ、冷めないうちに食べましょう♪」

P(色々と悶々とするところではあるが、どうやら昨夜も一線を越えるような過ちはなかったようだし……深く考え過ぎない方が賢明だろう)

P「お、おう。じゃあ、いただきます」

P(速やかに席に着き、箸を持つ。並べられた料理をよく見ると、俺のだけ目玉焼きが2個分だ)

ゆかり「…………」

P(ゆかりが固唾を飲んで見守る中、俺は目玉焼きを掴み上げ、ベーコンと一緒に口に運ぶ)

P「……うん! 美味い。味付けも焼き加減も俺好み。文句無しだ」

P(そんな俺の言葉にゆかりは相好を崩し)

ゆかり「ほっ……。良かったです。これでもPさんの好みは色々と調べて……あっ!
Pさん、それっ。こぼれちゃってますっ!」

P「へっ?」

19: 2016/10/18(火)02:57:13 ID:OPI

P(ゆかりの視線を意識し過ぎたのか、摘み上げていた卵の黄身が少し垂れ、ワイシャツに小さな汚れを付けてしまっていた)

P「うおっ!?」

ゆかり「動かないで下さいね」

P(素早く近づいてきたゆかりが、ポケットから取り出したティッシュを軽く濡らし、俺のシャツに触れされせる)

P(そしてそのまま、トントンと手際よく黄身の汚れを拭き、あっという間に落としてしまった)

ゆかり「ふぅ。良かったです。シミにはなってないみたいですよ」

P(シャツを摘んだままのゆかりが、俺を見上げ、笑顔を向けてくる)

P「そ、そっか。ありがとうな」

ゆかり「ふふっ。どういたしまして」

P(近ーいっ! 物理的に近ーいっ! 吐息と吐息が重なり合う距離なんですけどっ!?
あと、シャツの胸もとっ!)

P「す、凄く素早かったな。今は俺の服を着てるのにすぐにポケットからティッシュが出てきたのもびっくりだ」

P(適当な話題で時間を稼ぎながら、心を落ち着かせる)

P(……他の娘だったらここまで動揺しないんだけどな。
普段大人しい娘に不意打ちでこういうことされると、ちょっとクルものがある)

ゆかり「実は昨日、タクシーの運転手さんに、ポケットティッシュを沢山頂いたんです。
早速役に立ちましたね!」

P「そ、そっか……」

P(ドヤ顏のゆかりも良いなぁ……)

20: 2016/10/18(火)02:57:51 ID:OPI

ゆかり「あ、Pさん。襟がちょっと曲がっちゃってます。後ろの方、この辺りが……」

P(近い近い! 近ーい! 首に手を回すな。耳に息がかかる。かかってる。
ヤバいヤバい! Pちゃん色々ヤバい!)

ゆかり「はい。きれいに整いました♪」

P(なんか知らんうちに距離感っていうか、パーソナルスペースが狭まってない!?
もはや恋人のそれに近いんだけどっ!?
理性がいくらあっても保たないんですけどっ!?)

P「あ、あ、ありがとう。ご、ごはん。ごはん続き食べる。
食べよう。続き食おうぜ、な?」

ゆかり「はいっ♪」

P(嬉しそうなゆかりが少しスキップ気味に自分の席、俺の向かい側へと戻る)

P(それを見届けた俺は心に落ち着きを取り戻すために、深呼吸し、次は味噌汁へと手を伸ばす)

P(おっ……!)

P「これも美味いなっ!」

P(お味噌自体はウチにあったものなんだろうが、それにしても濃さや出汁の取り方が完璧だ。
あの短時間でネギや豆腐まで入れてあるのもポイントが高い)

ゆかり「本当ですか。ふふふ。凄く嬉しいです。
以前のウェディングドレスイベント、花嫁修業のお仕事以来、家事の研鑽は怠ってないんですよ。えへへ」

P「可愛い」

P(ふーん。流石だな)

ゆかり「!?」

21: 2016/10/18(火)02:58:16 ID:OPI

P「ここまで上達すると、いつお嫁にいっても恥ずかしくないな。立派なもんだ」

ゆかり「ほ、本当ですか。私、お、お嫁さんになれますかっ? あと今可愛いって…」

P「まー、年齢や立場云々を差し引いても当分は遠慮しておいて欲しいところだけどなー。
担当のアイドルが結婚しちゃったら結構寂しくなって、精神的にこたえそうだ」

ゆかり「そ、そうですか? 大丈夫ですよ。私が結婚しちゃってもPさんは寂しくならないと思います!」

P「ふーん。そういうもんかね~」

ゆかり「はいっ」

P「…………」

P「…………ん?」

P(今のゆかりの言葉はどういう意味だろう……?)

ゆかり「…………あれ?」

ゆかり(今の私の言葉はどういう意味でしょう……?)

P「…………」

ゆかり「…………」

P・ゆかり(ま、いっか……)

22: 2016/10/18(火)02:58:58 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

P「あー。美味かった。ごちそうさまっ!」

ゆかり「ごちそうさまでした。そしてお粗末様でした♪」

P「んー。炊飯器にご飯、結構残っちゃってるな。おむすびにして空っぽにしちゃうからちょっと待っててくれ」

ゆかり「結構量ありましたからね。手伝いましょうか?」

P「たぶん二合くらいだったのかな? いや、いいよ。すぐ終わるから、出る準備だけ済ませちゃって」

ゆかり「はーい。今回は簡単なものしか作れませんでしたけど、次来る時は色々と材料用意して練習の成果見せちゃいますね」

P「おーう。……次?」

P(塩で味付けしたおむすびに、軽く2枚海苔を巻きつけながら疑問符を浮かべる)

P「…………」

P(が、当のゆかりは既に乾燥機の方へと走り去ってしまっていた)

P「何はともあれ、ゆかりが細かいことを気にしない性格で助かった……」

23: 2016/10/18(火)02:59:37 ID:OPI

とっとっとっ……。

ゆかり「Pさん。見て下さい。ちゃんと乾きましたよ」

P(素早く着替え終えたらしいゆかりが、俺のそばまで走ってきて、昨日まで着ていた洋服で、くるりと回ってみせる)

P「おー。良かったな。さっきまでのフェティッシュな格好もいいけど、やっぱそっちの方が似合ってる。可愛いよ」

ゆかり「ふぇ、ふぇち?」

P(俺の精神衛生上もこっちの方が助かるしな)

P「俺はこれから出社するけど、ゆかりはどうするんだけっけ?」

ゆかり「学校はお休みですしね。一緒に事務所に行ってみようかなと思ってます」

ゆかり「もしかしたら昨日の代返のお礼も言えるかもしれませんし。
確か今日は午前中からレッスンだって言ってたはずです」

P「代返?」

ゆかり「ああ、代返って言うのはちょっと違うんでしょうか?
昨日、寮に帰れなかった分のアリバイ工作的なことをお願いしてあったんですよ」

P「おおー。抜かりねぇな。立場的には色々複雑だが、今回は仕方ないか。
ちなみに誰に頼んだんだ?」

ゆかり「さくらちゃんとまゆさんで迷ったんですけどねー」

P「ちょ、ちょい待ったっ!」

ゆかり「?」

24: 2016/10/18(火)03:00:11 ID:OPI

P「それ以上は聞きたくない。聞いちゃいけない気がする。
けど聞かなかったら聞かなかったで、もっと怖い気もするし、何より、聞こうが聞くまいが変わらず血を見そうな気がする」

ゆかり「よく分かりませんが、私がお願いした相手は……」

P「…………!!」

ゆかり「さくらちゃんですよ?」

P「…………」

ゆかり「…………」

P「……マジ?」

ゆかり「はい。まじです」

P「……っしゃあっ! セーフ!!」

ゆかり「!?」

P「あー、氏ぬかと思った。火サスるかと思った。
セーフ! さくらも色々アレだが、まゆに比べたら、かなり大幅にセーフ!!」

ゆかり「そ、それは良かったです?」

P「おう! 良かった! 良くやった! ゆかりは良い子だなぁっ!」

なでなで。

ゆかり「!!」////

P「よしっ! ちょっと早いけど、そろそろ行くかっ!」

ゆかり「はいっ!」

P「今日も1日、頑張るぞーっ!」

ゆかり「おーっ!」

25: 2016/10/18(火)03:00:46 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

世には押しかけ女房、通い妻、といった概念があるようです。
ガードの固い彼を落とすには、まず既成事実を積み重ねるべし。
読み漁った本やブログ、あと母の教えから学んだ必勝法です。
立場上や年齢上の問題から、今すぐ結論を求めるのは難しいでしょう。
しかし、今からで出来ること行い、外堀を埋め、逃げ場がなくなるよう、さり気なく物事を運んでいく。
それが彼との幸福な未来へと繋がると私は信じています。

手始めに、プロジェクト通い妻。
私のアドバンテージを最大限に利用し、毎朝、自宅を訪問。
朝ごはんを作ってあげようと思います。
人心掌握、男心を掴むには、まず胃袋から!
Pさん宅のご近所のスーパーで食材を買い込み、いざ、いくさ場へ!
意気揚々と訪れたそのご自宅の前で、私は信じられないものを目にしました。

26: 2016/10/18(火)03:02:06 ID:OPI


※ ※ ※ ※ ※

P「よし。行ってきまーす!」

ゆかり「おじゃましまし……こほん。い、行ってきまーす!」

P「ははっ。なんだよ、それ」

ゆかり「ま、マネしちゃいました。えへへ」

どさっ!

P「?」

ゆかり「?」

橘ありす「…………」

P「へ? 」

ゆかり「……橘さん?」

ありす「…………」


27: 2016/10/18(火)03:02:39 ID:OPI

P「な、なんでここに? ていうか、硬直してる? 大丈夫か?
目に光がないんだけど……。あ、ありす?
た、橘さん……?」

ありす「ありすですっ!!」

P「うおっ!?」

ゆかり「きゃっ!?」

ありす「ありすですっ! タチバナさんじゃありません! ありすですっ!
なんでですかなんでですかなんでですか!
待てるって言ったじゃないですか!
なんでですかっ!」

P「お、落ち着けっ! いきなり過ぎて意味わからん。き、近所迷惑に、ちょっ、暴れるなっ!」

ありす「ふがふがふが! むぐぐふがっ!」

P「一旦中に戻ろう。ゆかり、俺はありすを黙らせるのに手が塞がってるから……鍵を開けてくれ。どこに入れてるかは」

ゆかり「大丈夫です。覚えてますから」

ありす「ふがーっ!!」

P「こ、こら。噛むな舐めるな暴れるな。ぎゃーっ!?」

28: 2016/10/18(火)03:03:37 ID:OPI

29: 2016/10/18(火)03:05:13 ID:OPI


※ ※ ※ ※ ※

再びP宅にて

ありす「…………」

P「…………」

ありす「で……、すべては誤解だと?」

P「お、おう。……いえ、はい。その通りです」

ありす「アイドルを自宅に連れ込み、一夜を共にして、朝チュンして、同じシャンプーの匂いをさせて、何もなかった。潔白であると?」

P「はい。そのはずです。……いえ、間違いありません」

ありす「…………」

P「た、橘サン?」

ありす「ありすです! 苗字は遠からず貴方からいただく予定のありすです!」

P「重いよっ!?」

ありす「ふぅ……。Pさんが言いたいことは分かりました。
あとは向こうで待ってもらっているゆかりさんにもお話を聞いて、判断しましょう」

30: 2016/10/18(火)03:06:10 ID:OPI

P「ていうか、何でさっき俺の指に噛み付いた時、しゃぶり付いて離れなかったの?
なんかもう人差し指が、ふにゃっふにゃなんだけど」

ありす「ゆかりさん、お話を聞いても構いませんか?」

P「あ、無視するんだ。そこはスルーするところなんだ」

ありす「……ふぅ、仕方ないですね……。ごちそうさまでした」ぺこり

P「俺の求めてる反応とは違うなー」

ゆかり「Pさんとのお話は終わったんですか?」

ありす「ええ。概ね私の思っていた通りの回答でした。信じていましたから」

P「……もう何も言うまい。いやしかし、そもそもなんでありすは俺の家を知ってるんだ?」

ありす「文香さんに教えてもらいました」

P「文香にも教えてないんだけど」

ゆかり「私は智絵里さんにお聞きしました」

P「智絵里にも教えてないんだけど」

32: 2016/10/18(火)03:07:27 ID:OPI

ありす「それはさておき、ゆかりさん、単刀直入に聞きます。Pさんとは一晩寝ただけの関係、ということで間違いありませんか?」

P「語弊があるんですけど!」

ゆかり「え、ええ。そ、そうですね。ね、寝ただけですよ?」

P「言い淀まないで!?」

ありす「……あやしい」

P「お、落ち着け」

ありす(ここは反応を見るため、揺さぶりをかけてみましょう……)

ありす「もう一つお聞きします。Pさんの……Pさんのアレは……お、大きかったですか?」

P「ブラフのつもり? 何聞いてんのっ!?」

ゆかり「そうですね。Pさんの(私を抱きしめる腕や胸板)は思っていたよりもずっと大きかったですよ」

ありす「!?」

P「!?」

ゆかり「逞しくて熱くて、男の人らしくて素敵でした……。
けどその分、私にはちょっとキツくて苦しかったですけどね」

ありす「Pさんっ! どういうことですかっ!」

P「ちょ、ちょっと待って!?」

33: 2016/10/18(火)03:07:52 ID:OPI

ゆかり「あの後も、なかなか寝かせてくれなくて……実は少し寝不足気味なんです。
それに、無理のある体勢だったから身体中が痛くて……」

ありす「何もなかったって言ったじゃないですかっ! どんな体勢でしたんですかっ!」

P「誤解! たぶん誤解のはずだから! ていうか耳年増だな橘ァ!」

ありす「ありすです!」

ゆかり「あ。酔っ払って寝ぼけてたみたいですし、多分Pさんに記憶はないと思いますよ」

ありす「Pさんの嘘つき! 浮気者っ! 変態大人っ!」

P「えええっ!? ちょっと待って! マジでっ!? 俺、マジでやっちゃった!?
じ、辞表……辞表を書かなかきゃ……」

ゆかり「えっ!? だ、ダメですよPさん! ちゃんと最後まで責任をとって(私をトップアイドルにして)もらわないと!」

ありす「待てるって! あと四年待てるって言ったのにぃ!」

P「あああぁっ!? お、俺は、俺は何て事をぉぉ!」

ゆかり「…………」

ゆかり(……あれ? なにか誤解してる? ……なんで?)

34: 2016/10/18(火)03:08:28 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

1時間後
事務所入り口前にて

P「とうちゃーく。色々あったけど遅刻はせずに済んだな」

ゆかり「それにしても……先ほどは紛らわしいことを言ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」

ありす「そのことはもういいですよ。私達の早とちりでもあったんですし。
わざとじゃなかったんでしょう?
……わざとじゃなかったんですよね?」

P「あー、朝から氏ぬかと思った。胃に穴が空いて氏ぬかと思った」

ガチャ

P・ありす・ゆかり「おはようございます」

どすっ!

佐久間まゆ「うふ♪」

P「……な、なんか出会い頭にまゆが銀色の鋭利なものを俺の腹に突き立ててきたんだけど」

ゆかり「…………えっ?」

ありす「Pさんっ!?」

まゆ「Pさんがいけないんですよぉ。まゆを……まゆを裏切るから……」

36: 2016/10/18(火)03:09:49 ID:OPI

P「ぐふっ!? あ……な、なんていうか、いつか……こんな日が来るような気はしてたけど……意外と……あまり……痛みは……感じないものなんだなぁ……」

ゆかり「う、嘘……。P……さん? い、いや……っ」

P「ゆかり……ありす……俺はこのまま、まゆを抱きとめておくから……お、奥の部屋から……ほ、他の大人に……助け……を……」

ありす「Pさん……Pさん! 氏んじゃ嫌です! Pさんっ!」

カラン

まゆ「うふふ……」

P「お、俺が氏んだ後は……PCの中にある犬猫画像フォルダを……中身を確認せずに消去……。
……って、あれ? ……マジで痛くない?」

ありす・ゆかり「へっ?」

まゆ「なんでまゆを裏切ったんですかぁ?」

P「ていうか、これスプーンだ。ナイフでも包丁でもない、スプーンだ」

ありす・ゆかり「なんでっ!?」

まゆ「……刃物なんか使ったらPさんが氏んじゃうじゃないですかぁ」

P・ありす・ゆかり「やさしい!」

まゆ「ねぇ、Pさん。なんでまゆを裏切ったんですかぁ? ねぇ? ねぇ?」

37: 2016/10/18(火)03:10:48 ID:OPI

ありす「あ。朝ごはんになる予定だった食材、事務所の冷蔵庫に入れてきますね。
お昼ご飯でリベンジです!」フンス

P「一応、言っておくが、その袋に入ってるいちごのパックはデザートとして単品で出してくれよ」

ありす「それだとお味噌汁や肉じゃがが物足りなくなりません?」

P「絶対にやめてくれ!」

まゆ「……ふぇ。な、なんで無視するんですかぁ」

P「あー、泣くな泣くな。無視してない無視してない。昨日のことなら大丈夫。何もない。何もなかったから!」

ゆかり「…………」

P「ゆかりも無言でスプーンを見つめない。ちょっと怖いから」

ありす「……あのー、なんか向こうで裕子さんが、スプーンがなくなったって泣いてたんですけど」

P「これ、ゆっこのかよ! 面倒くせえっ!」

まゆ「まゆ、面倒くさい女の子ですかぁ?」

P「だぁ、もう! 泣くなって!」

ありす(ていうか、なんで昨晩のこと、まゆさんまで知ってるんでしょう……?)

38: 2016/10/18(火)03:11:18 ID:OPI
※ ※ ※ ※ ※

ありす「で、なぜPさんは出社して早々、ソファーで女の子をはべらしてくつろいでるんですか」

P「いや、だってまゆが放してくれなくて……」

まゆ「Pさんにまゆの匂いを上書きするんです。ゆかりさんの匂いを消さなくちゃ……」

P「いや、一応、朝イチでお風呂は入ってきたぞ」

ゆかり「私も入りました」

まゆ「いっしょにですかっ!?」

P「別々にっ!」

ありす「……ゆかりさんのそれは本当に天然なんでしょうか?」

まゆ「Pさん達二人の間に一夜の過ちがなかったことは分かりました。分かりましたが、まゆを不安にさせた罰です。
しばらくこのまま、抱きつかせておいて下さい」

P「あー、はいはい。ちひろさんが来るまでなー」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

まゆ「うふ♪」

ガチャ

39: 2016/10/18(火)03:11:56 ID:OPI

椎名法子「おはようございまーす」

中野有香「押忍。おはようございます!」

P「おー。おはよう」

まゆ・ありす「おはようございます」

ゆかり「ふたり共、一緒だったんですね。おはようございます♪」

法子・有香「あっ……」

ゆかり「?」

法子「ゆ、ゆかりちゃん、えー、えーっと……」////

有香「お、押忍! えーっと……押忍! 押忍!」////

ゆかり「どうしたんですかお二人共? 何か様子がおかしいですよ?」

P「特に有香が酷い」

41: 2016/10/18(火)03:13:28 ID:OPI

法子「い、いえ、別に。ただ……。えーっと、その……ゆ、ゆかりちゃん?」

ゆかり「はい?」

法子「だ、大丈夫? む、無理してない?」

ゆかり「? 何がでしょうか……?」

有香「……む、無理はしてなさそうですね」こそっ。

法子「……少なくとも同意の上だったみたいだね」こそっ。

P「…………」

P「…………なぁ」

法子・有香「!!?」

P「…………」

P「……いや、なんでそんなに後ずさるん?」

法子「い、いえ。べ、べべべ別にっ!」

有香「な、なな、なんでもないですじょ?」

P「……法子のそんなに怯えたような顔、初めて見たんだけど……。有香に至っては臨戦態勢だし」

ありす「お二方の親愛度、300くらい一気に下がってません?」

ゆかり「ええ、本当にどうしたんですか? ふたりとも……」

42: 2016/10/18(火)03:14:09 ID:OPI

有香「う……こ、こほん。す、少し取り乱しました。
ただ先程、き、昨日の夜に関する噂を耳にしまして……」

ありす「噂?」

法子「うん。……Pさんがゆかりちゃんを自宅にお持ち帰りした上で、無垢で無知で素直なのにつけ込んで、鬼畜プレイの限りを尽くしたって……」

P「はぁっ!?」

ゆかり「きちく?」

有香「ああ……!
せっかくのお祝いの席。私達も参加したかったのですが、Pさんと軽くお食事するだけだと聞いて、
『二人きりにしてあげよう』と法子ちゃんと示し合わせ、気を利かせた……その結果。
その結果がこんな事になってしまうなんて……!」

法子「Pさんがゆかりちゃんを選んだこと、ゆかりちゃんにPさんをとられちゃったこと……、
それ以上に、あたし的にはPさんとゆかりちゃんが初体験からアブノーマルにフルスロットルなのがショックでショックで……」

ありす「鬼畜プレイ……あ、アブノーマル……! く、詳しく! 」

P「いや、ねーよ! してねーから!
ていうかお前は信じるなよ橘ァ!!」

ありす「あああ、ありすです!」

P「なんで微妙に興奮してんだ!」

43: 2016/10/18(火)03:14:52 ID:OPI

法子「ゆかりちゃん! Pさんとのことは、あたし的に色んな意味で残念だったけど……。
それでも私達、ずっとドナダチだからね!」

P「ドナダチて」

有香「押忍! 自分もずっと押忍ダチです!」

P「対抗するな!」

ありす「声に出して読んだら語感ヤバ気ですね」

P「ていうか、何度でも言うが、それ、ガセネタだからな! 俺はそんなことしてない! NOT鬼畜! 濡れ衣よくない!」

有香・法子「えっ!? ……ほ、本当に?」

P「……信用ねーなー、俺」

まゆ「まゆも同じ様な噂を耳にしましたが……やっぱりガセネタだったんですねぇ」

P「どんだけ拡がってんだその噂」

ゆかり「そもそもどこから……誰がそんな根も葉も無い噂を広めたのでしょう……」

P「…………」

バンッ!

村松さくら「おっはよーございまーすっ! みなさぁーん! 大変ですっ! Pさんとゆかりちゃんがっ!」

P「村松ァ! お前かぁっ!!」

さくら「ふぇっ!?」

ありす「『さくらぁ!』で良くないですか?」

P「まゆっ! 捕まえろっ!」

まゆ「はいっ!」

シュババ。

さくら「なんなんですかぁ!」

45: 2016/10/18(火)03:15:40 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

P「自分で指示しておいてなんだが、なんで一瞬でリボンぐるぐる巻きに緊縛できるんだ?」

まゆ「Pさん捕縛道の三十七『愛氏』詠唱破棄バージョンですよぉ」

P「……そっか」

さくら「そっか、じゃないんですけどぉ! なんでわたしは、いきなり縛られてるんですかぁ!」

P「やかましい! 人の有る事無い事言いふらしやがって!
下手したらスキャンダルの上、事務所崩壊の危機だったぞ!」

ありす「半分『有る事』なのは、Pさんの自業自得ですけどね」

P「正論はやめて」

さくら「えーっ! そんなことしてませんよぉ!」

P「ああん?」

さくら「いくらわたしがお馬鹿でおっちょこちょいだからってぇ!
人の悪口や嘘を触れ回ったりしませぇん!」

P「む。……た、確かに……。さくらはそんな子じゃないよな……」

ゆかり「では一体誰が……」

さくら「わたしはPさんがゆかりちゃんにイヤラシイことをした件で、みんなに相談しただけでぇす!」

P「それじゃボケェェェェッ!!」

さくら「ええええっ!?」

ありす「まぁ、予想はしてましたが」

さくら「で、でもでもでもぉ!」

P「ああん?」

ありす「なんでさっきからチンピラ口調? もしくは時子さん」

さくら「あれは間違いなく鬼畜プロデューサーと、その毒牙にかかるお嬢様でしたよぉ!」

46: 2016/10/18(火)03:16:17 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

前日夜
P宅より、ゆかり嬢の電話

さくら「はぁい! もしもし? ゆかりちゃんですかぁ? こんな時間に珍しいですね!」

ゆかり「あ。良かった。繋がった……。夜分遅くに失礼します。ちょっと、さくらちゃんにお願い事がありまして……」

さくら「はぁい! わたしにできることなら、何でも言ってくださぁい!」

ゆかり「じ、実は……ん。今晩……寮に帰れなくなってしまいまして……。
悪い事ではあるとは思うのですが、さくらちゃんには代返を……寮の出入りの管理システムを誤魔化してもらいたいんです」

さくら「あー。わかりましたぁ! 泉ちゃんにお願いして、データをいじってもらえばいいんですねぇ!」

ゆかり「え、ええ……。そうです。お、お手数ですが……はぁはぁ……お、お願いできます……か?」

さくら「……?」

さくら「……ところでゆかりちゃんは今どこにいるんですかぁ?」

ゆかり「Pさんのお家ですよ」

さくら「へっ!?」

ゆかり「お酒のせいで(Pさんが)酩酊してしまい、色々あって今は私もPさんのお家にお邪魔しているんです」

さくら「お、お酒はまずいですよぉ!」

47: 2016/10/18(火)03:16:45 ID:OPI

ゆかり「もともと飲む予定はなかったのですが、無理矢理飲まされたと言いますか……」

さくら「ひ、ひえっ!?」

ゆかり「と、とにかく……、そのせいもあって、今日は、か、帰らせてもらえそうにないと言いますか……あ。
お、重っ。Pさん、体重……かけすぎですっ」

さくら「な、ななな、何してるんですかぁ!?」

ゆかり「……? な、何って……。
今は……少しお恥ずかしいのですが、Pさんと同じお布団で……」

さくら「お、おおおお、同じお布団っ!?」

ゆかり「つ、強く……抱かれている……とでも言うのでしょうか?」

さくら「だ、だだだただ、だかっ? だかれっ!?」

ゆかり「ふぅふぅ……。そういうわけなのでシステムの方……い、泉さんによろしくお願いします……ね?」

さくら「あわあわあわあわあわ……!」

ゆかり「?」

さくら「い、いっずみちゃ~~ん!! うえぇぇ~~~ん!!」

プツ。ツーツー。

48: 2016/10/18(火)03:17:22 ID:OPI

※ ※ ※ ※ ※

さくら「こんな感じでしたぁ!」

P「俺ひどいなっ!!」

有香・法子「うわぁ……」

まゆ「電話させながらとか、鬼畜ですねぇ」

ありす「…………」ごくり。

ゆかり「あー……」

さくら「ですよねぇ! ひどいですよねぇ!」

P「いや、それは勘違いしてもしかたないけどさぁ! 誤解だから!
俺、そんなことしてねーからっ!」

さくら「……えーっ?」

P「くっそ、本当に信用ねーな」

さくら「ちなみに話を聞いた泉ちゃんはぁ、
『データの改竄ね。言われたことは、きちんとこなす……けど……明日は一人にして欲しい……ぐすっ。なんで私……こんなに落ち込んでるんだろう……』
って、ちょっと凹んでましたぁ!」

ありす「ちょっと……でしょうか?」

49: 2016/10/18(火)03:17:56 ID:OPI

さくら「隣で一緒に話を聞いてた亜子ちゃんはぁ、号泣しながらヤケクソ気味に、
『これが最後のひと稼ぎやっ!転んでもタダでは起きへんでぇ!』
って言って、わたしの証言に推測を交えた『ここだけの話新聞』を大量に刷りあげてましたぁ!」

ありす「清々しいまでに拡散する気満々なタイトル!」

P「おい誰か止めろっ!」

まゆ「まゆはそれでこの件を知りましたぁ」

有香・法子「同じく」

P「手遅れだったか……!」

さくら「ちなみに比奈先生の描き下ろし、マンガ版は鋭意執筆中、今秋中に発売予定でぇす!」

P「差し止めろっ!」

ゆかり「それ、予約ってできますか?」

P「ゆかりさんっ!?」

さくら「さらに付け加えるならぁ、泉ちゃんは今日、レッスンを休んでマキノさんと一緒に意味もなくペンタゴンにハッキングを仕掛けるって言ってましたぁ!」

ありす「憂さ晴らしの八つ当たりでしょうか」

P「国際問題になるわっ!」

さくら「米国防総省全モニターで『メルヘンデビュー!』と『あんずのうた』のPVをエンドレスで流し続けるって言ってましたぁ!」

ありす「関係ない菜々さんと杏さんを巻き込んでいくスタイル」

P「杏はともかくウサミンはやめたげて!」

さくら「そんなわけでぇ、Pさんの件がガセネタだったとしてもぉ、うちに所属してるみんなはもう大体知っちゃってると思いまぁす!」

P「まぁす!じゃねーよ!」

ありす「なら、この後の展開も自明ですね」

P「…………」

50: 2016/10/18(火)03:18:31 ID:OPI

ガチャ

早苗「P君、いるっ!?」

和久井留美「話は聞いたわ!」

美優「なんで私は半裸でピニャさんと寝てたんですかっ!?」

楓「おはようございますPさん、いい朝ですね。絶好の絶交日和です。ふふっ」(目が笑ってない)

P「……わーお」

ありす「まぁ、お約束みたいなもんです」

早苗「ついにやっちゃったみたいね。
……署までご同行願いましょうか。覚悟はできてるんでしょうねぇ」

留美「応接室の使用許可をとったわ。すぐに尋問に入りましょう」

美優「う、嘘ですよね……Pさんはそういう人じゃないですよね?」

楓「嬌声との共生は……強制的に矯正……ふふっ」(真顔)

P「ぐっ、お、落ち着いて下さい皆さん!
昨日の事を思い出して下さいっ!
お、俺に、噂になってるようなことをする余裕があったと思いますかっ!?」

51: 2016/10/18(火)03:19:04 ID:OPI

早苗「……うっ」

留美「そう言われてみれば……」

P「あの噂は不幸な誤解が重なったデタラメです。落ち着いて、俺の話を聞いて下さい。
俺を! 皆さんのプロデューサーを信じて下さい!」

楓「!!」

美優「そ、そう……ですよね。Pさんに限ってそんなこと……ありえませんよね」

留美「た、確かに……噂に流されて、冷静さを欠いていたわ。ごめんなさい」

P「い、いえ。分かっていただけたらいいんです」

早苗「そうよね。P君が15歳の女の子に……子どもになんか、手を出すはずがないもんね。
あたしも……どうかしてたわ」

ゆかり「…………」

P「よ、よし。これで最悪の事態は免れたな……」

ありす「意外に凌ぎ切りましたね」

まゆ「ひと安心ですねぇ」

ゆかり「…………」

有香・法子「?」

53: 2016/10/18(火)03:20:32 ID:OPI

ゆかり「あ、そういえば、ふと思い出したんですけど……Pさん?」

P「ん? どうした?」

ゆかり「昨晩と今朝だけでは使い切れなかった、この大量のティッシュ……どうしましょう」

P「!?」

美優「……ティッシュ?」

留美「昨晩と今朝……」

まゆ「使い切れなかった……」

ゆかり「今朝の服にかかったアレもシミにならなくて良かったですね」

P「言い方っ!」

ゆかり「あと、ずっと気になってたんですが……昨日の夜、私が脱がしたPさんの服とズボン、シワになったりしてませんでした?
私がああいうの慣れてなくて……」

P「ふぁっ!?」

早苗「ふーん……」

留美「脱がさせたんだ……」

五十嵐響子「Pさんの、ズ、スボンだったら私も脱がせましたしっ!」

P「公式ネタっ!? ていうか、いつの間にいたんだ響子っ!?」

55: 2016/10/18(火)03:22:14 ID:OPI

響子「ありすちゃんの
『なぜPさんは出社して早々、ソファーで女の子をはべらしてくつろいでるんですか?』
ってセリフの辺りから、ずっとソファーの後ろに立っていましたよ?」

P「怖いわっ!!」

ちひろ「響子ちゃんがPさんのズボンを力尽くで脱がせにかかるミニドラマは
『THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 045五十嵐響子』で聴けますよ!
可愛らしい歌も入って、お値段、720円と大変お買い得!
なお、ゲーム用のシリアルコードは期限切れで使えません。ご了承ください♪」

P「宣伝はいいが、俺にカメラ向けるの止めろや千川ァ!」

留美「ふぅ……。響子ちゃんの件も含めて……」

早苗「やっぱり署までご同行願わないといけないみたいね」

美優「若い子が……いいんですか……?」

P「くっ、やはり逃れられない……!
が、しかし!」

ずさっ!

56: 2016/10/18(火)03:23:00 ID:OPI

ありす「ど、土下座っ!?」

早苗・留美・楓・美優「!!?」

P「す、すみません! せめて少し、ほんの少しでいいんです!
時間を……猶予をもらえないでしょうかっ?」

早苗「な、何? 崖とか屋上にいく猶予は与えられないわよ」

P「追い詰められて自◯とかしませんよ!
ただ、ちょっと今日中に必ずやっておきたいことがあっただけです!」

ありす「もう終日拘束されるのは覚悟してるんですね」

留美「そ、それくらいなら……いいわよね?」

早苗「そりゃあ、まぁ……」

P「ありがとうございます。刑事さん……」

ありす「なんでノリノリなんですか」

P「ゆかり、ちょっといいか?」

ゆかり「は、はい。どうかしましたか?」

P「本当はもっとちゃんとした所で渡したかったんだが……これを受け取って貰いたい」

57: 2016/10/18(火)03:23:33 ID:OPI

ゆかり「これは……リボンの付いた……小箱?」

一同「…………」

ゆかり「う~ん。……婚約指輪ですか?」

一同「!?」

P「違うっ! どうしてそうなるっ!?
こほん。……10月18日、ゆかりへの誕生日プレゼントだ」

ゆかり「!!」

P「ハッピーバースデー。俺からの気持ちだ。受け取ってくれ」

ゆかり「…………!」

ゆかり「あ、ありがとう……ございます」

P「本当は昨日のパーティで1日早めに渡そうと思ってたんだけどな。
結果として丁度当日に渡すことができたな」

ゆかり「開けてみても……?」

P「ああ」

ゆかり「…………」

ゆかり「これは……ネックレス……ですか?」

P「ああ、派手過ぎない程度の色合いで……薄い金色のネックレスだ。飾りには花細工がついてる」

ゆかり「百合の……花」

58: 2016/10/18(火)03:24:12 ID:OPI

P「ゆかりの所属してるユニット、イ工口ーリリィから連想した。
ちょっと安直かな、とは思ったけどさ」

ゆかり「いえ……とても素敵です。とても……嬉しいです」

一同「…………」

P「そんなわけで……俺のやり残した事は以上です。刑事さん」

早苗「むぅ……」

ゆかり「Pさん……本当に……本当にありがとうございます。
私……いつも貰ってばかりで……本当に……なんて言ったら良いのか……」

P「いいって、いいって。そこまで大したもんじゃないからさ」

ゆかり「Pさんにはいつも大切なものを……素敵なものを貰ってばかりです。
アイドルとしての自分、思い出、仲間、友達……どれも、私だけでは……Pさんに出会わなければ手に入る事はなかった……掛け替えのないものです……」

P「ゆかり……」

ゆかり(そして、胸の中、いえ、もっと奥深く……胸なんかよりもずっとずっと深くに……沈むように眠る……まだよく分からない……この感情……)

一同「…………」

ゆかり「Pさんには本当に大切な……素敵なものをいただいたんです……」

P「そ、そう言ってくれるのは嬉しいんだが、そういう事を言いながら自分の下腹部に手を当てるのはやめような。
またいらん誤解を」

59: 2016/10/18(火)03:24:44 ID:OPI

早苗「P君?」ガシッ

P「あ、あれ? 早苗さん? 急に俺の腕掴んで、ど、どうしたんスか?」

留美「話もひと段落ついたみたいだし、行きましょうか?」ガシッ

P「え? 留美さん? 掴んでる腕が、ちょっと痛いなー、なんて」

美優「…………」

楓「カツ丼の出前は、おいどんに、どーんとお任せ下さい。ふふっ♪」

ありす(あれ? 楓さん、もう疑ってないのに、悪ノリしてません?)

まゆ「応接室の準備ができましたよぉ。うふふ♪」

響子「私、お茶淹れてきますね」

P「ああっ! まゆ達までそっち側にっ!?」

ゆかり「あっ! Pさん!」

P「ゆ、ゆかり、頼むたすけ…」

60: 2016/10/18(火)03:25:25 ID:OPI

ゆかり「私、今日で16歳ですね!」

P「お、おう?」

ゆかり「アイドルが楽しいから、まだ結婚はできませんけど、今度またお料理を作りに行くって話、ちゃんと覚えておいて下さいね」

P「お、oh……」

ゆかり「良いお嫁さんなるって言ってくれたのが嬉しかったから……私、もっともっと色々と頑張りますね♪」

P「…………」

早苗「はーい。ではちょっと処までご同行願いましょうか?」

P「なんかニュアンス…っていうか、漢字変わってません!?」

早苗「だいじょーぶ。話を聞くだけ、聞くだけだから……身体に」

P「今、ぽそっと聞き捨てならないこと言ったーっ!?
可視化をー! 取り調べの透明化をー!」

ズルズルズル……バタン

ゆかり「Pさん……今日も一緒に帰られるでしょうか?」

ありす「難しいんじゃないですかね……。
ていうか、ゆかりさんはちゃんと自分の寮に帰ってくださいね」

ゆかり「ふふっ」

ありす「いや、ふふっじゃなくて」

ゆかり「そういえばなぜ、今朝ありすちゃんはPさんのご自宅に?」

ありす「……も、黙秘します」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

61: 2016/10/18(火)03:26:03 ID:OPI

さくら「よぉし! じゃあ、わたしは泉ちゃんと亜子ちゃんにPさんの事は誤解だったって伝えてきますねぇ!」

ありす「わっ。いたんですね。静かだったので、すっかり忘れてました」

さくら「空気を読んでみましたぁ!」

ありす「そ、そうですか……。
ていうか、Pさんの件が誤解だって納得されたんですね……」

さくら「よくよく考えたらPさんがそんな酷いことするわけないなぁって!」

ありす「……そういうことは本人がいる時に言ってあげて下さい」

さくら「はぁい! では、泉ちゃん達の所に行ってきまぁす!」

バタン

ありす「はぁ……」

有香「ではあたし達は他の方々の所に誤解を解きに行きましょうか」

法子「そうだねっ」

ありす「有香さん達もしばらくだんまりでしたね」

有香・法子「大人組がなんか怖かったので」

ありす「……ですよねー」

有香・法子「それでは行ってきまーす」

ありす「よろしくお願いします」

バタン

62: 2016/10/18(火)03:26:39 ID:OPI

ありす「みんな出て行っちゃいましたね……。 ゆかりさん?」

ゆかり「あ、はい。そうですね」

ありす「ああ、さっきPさんに貰ったプレゼントを見てたんですか。
いいですね。とても綺麗です。正直、ちょっと羨ましい……」

ゆかり「ええ……それに……」

ありす「?」

ゆかり「ありすちゃん、百合の花言葉って知っていますか?」

ありす「いえ……。あ、今更ですが、できればPさん以外には橘と呼んでもらいたいのですが……」

ゆかり「百合の花言葉……それは一般的に『純潔』とか『無垢』などと言われてます……」

ありす「……へぇ。なんて言ったらいいのか……。よく似合っていると思いますよ?」

ゆかり「けど、黄色の百合にはまた別の花言葉もあるんです」

ありす「えっ?」

ゆかり「『偽り』……それが黄色い百合に込められたもう一つの意味、花言葉です」

ありす「……!? そ、それは……!」

63: 2016/10/18(火)03:27:18 ID:OPI

ゆかり「つまりPさんは、口では、大したものではない、ユニット名にちなんだ安直なプレゼントだと言っていましたが、それはきっと『偽り』なのだと思うんです……」

ありす「ん? ……んん?」

ゆかり「Pさんが本心を『偽って』まで贈って下さったこのプレゼント。
では、その真意は一体どこにあるのでしょうか?」

ありす「え、えーっと……?」

ゆかり「ありすちゃん」

ありす「は、はい」

ゆかり「男性が女性にネックレスを贈る時、込められるメッセージというものをご存知ですか?」

ありす「う、う~ん。聞いたことあるような、ないような?」

ゆかり「『あなたを独占したい』『束縛したい』『永遠に繋がっていたい』……そういった意味合いがあるそうです。
要するに首輪のようなものですね」

64: 2016/10/18(火)03:27:54 ID:OPI

ありす「ちょ、ちょっと待って下さい。話が飛躍し過ぎ、極論過ぎます。
それに多分、あの人、Pさんはそこまで考えてないと思うんですけど……!」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

ゆかり「…………」

ありす「…………」

ゆかり「とりあえず凛さんに自慢してきますね」

ありす「あなた絶対、天然じゃないでしょう!!」


水本ゆかりさんは裏表のない素敵な人ですエンド




なお、窮地のPさんは、なぜか全てを把握していた文香と智絵里の証言によって、無事釈放されたとのこと。

Pさんは二人に、たいへん感謝したそうです。

めでたしめでたし。

65: 2016/10/18(火)03:28:40 ID:OPI

あ。学校がお休みなのは日にち的におかしいかもしれませんが、アイマス時空ということで、ご容赦下さい。


追記:
Pさんが作り置いていったおむすびは、お昼過ぎに起きてきたサンタクロースが美味しくいただきました。

66: 2016/10/18(火)03:31:56 ID:OPI

引用元: 【デレマスSS】水本ゆかり「へいタクシー!」