1: 20/09/16(水)04:00:47 ID:Kd1
或る十代美少女の、一般に恋と呼ばれる一過性の発情症候群に於けるその発病及び傾向と対策についての考察

2: 20/09/16(水)04:02:16 ID:Kd1

 恋におちたら一部の例外を削除すれば およそ 男は男らしく女は女っぽくなるものらしい


凛世(本日の予定は、ボイストレーニング)

凛世(プロデューサーさまは、事務所にいらっしゃるでしょうか……)

凛世(……レッスンの前に、一目だけでも)

凛世「……」ゴソゴソ

凛世(リップクリーム……唇に、艶が出る……と)

凛世「ん……」キュッ

凛世「……ばっちりで、ございます」



ガチャッ

凛世「お疲れ様でございます」

P「おっ、凛世。お疲れ様」

凛世「プロデューサーさま……」

P「これからレッスンだったよな。良ければ俺も見学しようと思うんだけど、平気か?」

凛世「……! はい、ぜひ……」

P「よし、じゃあ早速レッスン室に、…………?」

凛世「?」

P(凛世、今日はいつにも増して雰囲気があるような……?)

凛世「どうかなさいましたか?」

P「ああ、いや、……うん、気合入ってるみたいだな」

凛世「ふふ……はい。ばっちりでございます」
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3: 20/09/16(水)04:05:07 ID:Kd1

 手相 星座 タロット 四柱推命 その他茶柱まで 相性占いなど気になったら もう恋


智代子「凛世ちゃん見て見て! ここ! 今月のてんびん座の恋愛運、絶好調だって!」

凛世「……!」

智代子「『気になるあの人と急接近の予感!』 うわー! もう、どうしよう!」

樹里「なんでチョコの方がテンション上げてるんだよ」

智代子「だってだって! 凛世ちゃんの恋愛運って、つまり相手は、その……そういうことでしょ!?」

樹里「ま、まあ、そういうこと、だよな」

智代子「それなら二重の意味で他人事じゃないっていうか! ……大っぴらにはアレだけど、でもやっぱり応援したいよ!」

凛世「智代子さん……」

樹里「凛世、油断すんな。こういう事言ってるのに限ってしれっとヒトの彼氏と付き合ったりするもんだ」

智代子「私そんなことしないよ!? っていうか、それを言ったら樹里ちゃんこそ……」

樹里「はぁぁ!? なんでアタシがプロデューサーと!」

智代子「あれ? イヤだった?」

樹里「べ、別にイヤってワケじゃ、……いや、違う! そういう話じゃねーだろ!」

智代子「怪しい……この反応はカカオ99%だよ凛世ちゃん……凛世ちゃん?」

凛世「彼氏……凛世の、かれし……」

智代子「凛世ちゃん! 戻ってきて!」

凛世「……ふふ、成りました」

樹里「何がだよ」

4: 20/09/16(水)04:09:04 ID:Kd1

 相手には自分の良い所ばかり見せたくなるものであるし 相手の欠点には気づいても気づかずにいられるし


恋鐘「プロデューサーの為に料理ば練習したいなんて、凛世は健気やね~」

凛世「いえ……恋鐘さんが付き合ってくださったおかげで、随分と上達致しました」

恋鐘「ふふ~ん! 料理のことならうちに任せれば間違いなか!」

凛世「はい……。ですが……」

恋鐘「?」

凛世「よろしかったのでしょうか。その、……恋鐘さんも、プロデューサーさまのことを……」

恋鐘「そ、そいは……」

凛世「……」

恋鐘「……気にせんでよか! うちが好きでやってることばい!」

凛世「恋鐘さん……」

恋鐘「ライバルに塩を送るのも長崎の女のきょーじやけん! そがん申し訳なさそうにせんでもよかよ」

凛世「……ふふ、やはり、恋鐘さんは強敵です」

恋鐘「それに正直、うちひとりでは勝てん相手がいるけんね……」

凛世「それは、どういう……」

恋鐘「プロデューサー、ちょっと前に霧子が作ってくれたおにぎりば手に持って『食べたら無くなってしまう!』って本気で悩んでたばい……」

凛世「……」

恋鐘「強敵ばい」

凛世「強敵です」

5: 20/09/16(水)04:10:55 ID:Kd1

 食べ物 着るもの 見るもの 聴くもの すべて好みが合うと思うし


凛世『はーしーりーまーけーずにー かーらーだーをーはーってー』

凛世『さーいーごーまーでーいーこーうー ゴーゴーゴーゴーゴーーール……!』

凛世「……お粗末様でした」

果穂「~~! 凛世さん! あたし、あたし! 凛世さんの歌を聴いてたら何だか熱くなってきちゃいました!」

凛世「果穂さん……身に余るお言葉です」

夏葉「本当に素晴らしかったわ。凛世は意外と熱い歌を歌うのね」

凛世「ふふ、最近学びました」

シツレイシャース ポテトフライ オマタセシャーシター

夏葉「ありがとうございます。凛世、ポテトフライが来たわよ」

凛世「はい……よろしければ、お二人もどうぞ」

夏葉「あら、良いの?」

凛世「はい。ポテトフライは、一つのお皿から皆でつまむもの……」

夏葉「ふふ、そうなのね。それならお言葉に甘えましょうか、果穂」

果穂「はい! 凛世さん、いただきます! ……あの、あたし、次はジャスティスVを歌っても良いですか?」

夏葉「ええ、ぜひ聴かせてちょうだい」

凛世「合いの手はお任せください」

果穂「わあ……! はい! お願いします!」

夏葉(特撮モノも抑えているのね……流石だわ、凛世)

6: 20/09/16(水)04:12:41 ID:Kd1

 毎日が二人の記念日になる

――車中

P「凛世、今日はお疲れ様。一日がかりの撮影で大変だったろ」

凛世「プロデューサーさま。ありがとうございます。……ですが、凛世は平気です」

P「そうか? それなら良いんだが……」

凛世「はい」

凛世(……この日を、プロデューサーさまのお傍で過ごすことができ、凛世は……)

P「……じゃあさ、これからちょっとご飯でも食べて帰らないか」

凛世「え……」

P「今日って初めて凛世と会った日だろ。だからそのお祝いっていうかさ」

凛世「……覚えていて、くださったのですね」

P「そりゃあプロデューサーだからな。あ、でも、早く帰って休みたかったら無理はしなくて良いんだぞ?」

凛世「いえ……、いえ、プロデューサーさま。凛世は果報者です」

P「ははっ、そこまで言ってもらえると冥利に尽きるな。……うん、じゃあせめて店に着くまではゆっくりしててくれ。寝ちゃってもいいからさ」

凛世「ふふっ、それは、あまりに勿体なく……」

凛世「……プロデューサーさま」

P「ん?」

凛世「お店に着くまでの間、こうしてお話しをしていてもよろしいですか――」

7: 20/09/16(水)04:14:14 ID:Kd1

 処が一年二年とたつうち見えてくるんですよ 恋とは誤解と錯覚との闘い


――凛世のいいところ、俺が一番知ってなきゃいけないのにな


 そのうちなんだかお互い知らない人に思えてきて 次第に疲れて 会っても無口になる


――放っておいて……くださいませ


 初めは めまい 立ちくらみ 食欲不振で気付いた恋がいつか


――この凛世、殿方に、そのようなことを言われたのは、はじめてです……


 注意力散漫 動悸 肩こり 息ぎれに変わり やがて


――凛世の……気持ちは……ご迷惑になる……


 頭痛 発熱 歯痛 生理痛 すり傷 切り傷 しもやけ あかぎれ 陰金 夜泣き かんむし 田虫 水虫 出痔 いぼ痔 切れ痔 走り痔


 それから えーと えーと... えーとせとら


 とにかく そんな風に笑っちまった方が傷つかずに済むって


――いたかった……っ

 
 わかってるんだ 誰だって そうだろう

8: 20/09/16(水)04:16:04 ID:Kd1

 恋は必ず消えてゆくと 誰もが言うけれど ふた通りの消え方があると思う


あさひ「凛世ちゃん紙飛行機折ってるっすか? わたしも折るっす! 改良型を試してみたかったんすよ!」

凛世「ふふ……はい。一緒に折りましょう」

摩美美「ねー。このカメレオンのやつも折って欲しいんですけどー」


 ひとつは心が枯れてゆくこと そしてもうひとつは 愛というものに形を変えること


P「外回りですっかり遅くなっちゃったなあ……あ、でもまだ書類が残ってるし、事務所に戻らないと……」

P「ただいま戻りましたー……って、この時間じゃ誰もいないよな……戸締りもしてあったし」

P「あれ、机に何か……」


 おそらく求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋 与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛


ピロリン

凛世(……?)

凛世(……! プロデューサーさまから、メール――)


 だから ありったけの思いを あなたに投げ続けられたら


P『折り鶴と紙飛行機、ありがとう。元気出たよ』


 それだけでいい


凛世(……プロデューサーさま)


 あなたに出会えて

 心から しあわせです

9: 20/09/16(水)04:23:06 ID:Kd1
以上です。今更だけど摩美々の名前間違えてる……ごめん摩美々


前作に感想をくださった方、ありがとうございました。
よろしかったらこちらもぜひ。

【シャニマス】市川雛菜は素数を数えない

10: 20/11/03(火)12:37:31 ID:r1d
なんかよかった

11: 20/11/15(日)17:40:44 ID:Usi
いいね

引用元: 【シャニマス】凛世「恋愛症候群」