388: ◆6RLd267PvQ 19/07/15(月)02:30:40 ID:8z7
第11話。

Unseen ambitions and the secret of fists.
シリーズ:クロノスライトストーリー
389: 19/07/15(月)02:31:13 ID:8z7
※ここで、ほんの少しだけ時を遡る。

~5時の街 プロセウタウン~

忍「ブルーメから流れ流れて、ここまで来ちゃったけど……確か、この街ってジムがあるんだよね」

カニくん「ケケン」シュシュッ

忍「あはは…意気込みは嬉しいんだけど、流石に一匹でジム挑戦はね…」

忍「っていうか、グリモ地方のジムってユニット制だから、アタシ一人でどうこうできるわけでもないしなぁ……」ハァ

忍「ううん、あれだけの啖呵切って故郷を飛び出してきたんだもん!何とか仲間を見つけて、絶対全ジム制覇してやるんだから!」

カニくん「マケンカー!」
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)
390: 19/07/15(月)02:31:33 ID:8z7
~数時間後~

忍「はぁ……組んでくれる人……見つからない……」

カニくん「ケンカニ…」

『ユニット?キミの手持ち…え、そのカニ一匹!?ダメダメ、せめてもうちょっと強そうなのじゃないと』

『この街のジムリーダーは手強いぞ、そんなポケモン一匹で挑んでどうにかなるわけないだろ、修行でもしてくるんだな』

忍「うー……落ち込んだら何だかお腹減ってきた……」キュルル

芳乃「ほー?」キョトン

忍「うわっ、ビックリした!?」

カニくん「ケケン…?」

391: 19/07/15(月)02:31:49 ID:8z7
芳乃「ふむー、お困りの方がおられる気配がしたのですがー、成程成程、そなたでしたかー」フフッ

忍「まるで気配を感じなかった……この子、只者じゃ……」

芳乃「マケンカニ殿もはらぺこのご様子ー。よろしければ、共に夕餉といたしましょー」

忍「ゆうげ……って、晩御飯!? い、行きます!たべられるならもう、何でも!」

カニくん「ケケン!」

芳乃「ではでは~、参りましょー」

392: 19/07/15(月)02:32:13 ID:8z7
~芳乃の社~

忍「んっ、あむっ、はぐっ、ごくん!」ガツガツ

カニくん「カニカニカニ」ガツガツ

芳乃「急に慌てて食べると、腹の腑がびっくりしてしまいますよー?」

忍「平気!食べられる時にお腹いっぱい食べとかなくちゃ、とてもじゃないけど……」 

カニくん「カニカニ」プハー

芳乃「ふむ、どうやら相当に苦労を重ねた様子ですねー」

忍「あなた、わかるの?えと……名前は」

芳乃「芳乃と申しましてー。このお社は、代々受け継がれてきた大事な場所なのですー」

忍「社の持ち主の、芳乃ちゃん……」

カニくん「カニ」ペコリ

忍「あ、あの、ご飯ごちそう様でした!えっと、それでその……」

芳乃「ふむふむー……」ジーッ

忍「よ、芳乃ちゃん…?」

393: 19/07/15(月)02:32:30 ID:8z7
忍(何かわかんないけど思いっ切り見られてる……!?)

芳乃「では、まだ日も落ちてはおりませぬし、後片付けをして、腹ごなしに少しだけ歩きましょー」

忍「え、えっ? えっ?」

カニくん「カニカニ?」

394: 19/07/15(月)02:32:50 ID:8z7
~鎮守の浜~

スイクン『芳乃か…む、その者達は?』

忍「わ、喋るポケモン……?」

芳乃「この街の守り神でしてー。スイクン様、こちらは旅のトレーナーさんなのですよー」

スイクン『旅人か。私はスイクン。この浜辺で水を清める神として崇められている。』

忍「スイクン様……えと、忍といいます!はじめまして!」

スイクン『……良い眼をしているな。だが……心の中に立ち込める霧も深い様だ』

忍「霧……」

芳乃「悩みがあるのであれば、私達が聞いてさしあげるのでしてー。お力になれるかはわかりませぬがー、心のもやもやは晴れるやもしれませぬー」

スイクン『話すがいい。志ある眼をした者が、悩みの霧に飲まれ消え行くのはしのびない。この街の神として、力を貸そう』

忍「…は、はい!実は……」

~~~~~~

395: 19/07/15(月)02:33:14 ID:8z7
スイクン『成程。共に修練の場に赴く仲間がおらず、困っていた、と』

芳乃「それはそれはー、一大事なのでしてー」

忍「私、ポケモンもまだ一匹だけだし……ルールでは確かに、一匹でもポケモンがいれば、他の人と組んで数合わせもできる……できるけど…」

芳乃「真に絆を育む相手でなくてはー、いずれ瓦解し、全て無に帰す事になるでしょうねー」

スイクン『ふむ……』

拓海「お、芳乃と……スイクンさんじゃねえか、どうしたんだこんなトコで」

ガオガエン「ガエン」

芳乃「拓海さんー。ちょうど良い所にー」

拓海「あ?何だ一体。…そういやそっちは見ねェ奴だな、新顔か?」

忍「えと、あの、この人は…?」

芳乃「拓海さんはポケモンリーグの四天王の一人なのでしてー」

忍「ああ、成程四天王………四天王!??」

拓海「おう、アタシはあくタイプ使いの拓海ってンだ。んで、こっちは相棒の『牙王餓炎』、イカス名前だろ」

牙王餓炎「ガウガァ」ガッツポ!

忍「わわ、神様に四天王に……何だか凄い人達ばっかで混乱してきちゃったかも……!」

~~~~~

396: 19/07/15(月)02:33:38 ID:8z7
~マリータ峠(プロセウからメーヴェへ向かう道)~

忍「はぁ……はぁ……っ!」

カニくん「ケケン……カッ」ダッ

野生のグレッグル「ケッ」ゲシッ

カニくん「ケンカー!」ズザザザ……

忍「カニくん!!」

拓海「どうした、そんなモンじゃねェだろ!ちゃんと前向いて、思いっ切りぶん殴れ!!」

※峠の岩場、少しだけ高い岩に拓海があぐらをかいて座っている。どうやら見守るつもりの様だ……。

397: 19/07/15(月)02:34:02 ID:8z7
カニくん「ケン……ケンカッ!」スカッ

グレッグル「ケッ!」ドッス!

カニくん「カニ……ッ」ゲホッ

忍「急所を……!」

拓海「ありゃ『毒突き』か……こりゃ、今日はここまで………ん?」

カニくん「マケン………カニィィィィ!」ダッ

忍「カニくん!?」

拓海「キレた……ありゃ特性の『怒りのツボ』ってヤツだな…」

忍「怒りのツボ?」

拓海「ああ、敵の技が急所に入った時、ブチキレて、攻撃力が最大までアガんだよ」ニヤリ

グレッグル「ケッ……ケケッ……」

カニくん「ケンカーニー……」グッ

拓海「出るぞ、新しい技!」

忍「…っ!」

カニくん「マケーン!!」ドゴシャアアア………

グレッグル「グレッ……グレエエエエ……!」ドサッ

忍「勝った……凄い」

398: 19/07/15(月)02:34:23 ID:8z7
カニくん「カニィィィィ!」ウオオオオ

忍「やったよカニくーん!」ギュー!

拓海「『グロウパンチ』…当てる度に攻撃力が上がる根性の拳か。イイモン持ってるな……だが」ストッ

カニくん「カニ?」

拓海「上がりきっちまったパワーに更にパワーを上げる技はかえって無駄になっちまう」

忍「あ…そっか…」

カニくん「カニィ」

拓海「でもそれはそれとして、だ。この峠の野生ポケモンは、アタシが普段特訓で喧嘩してる奴らだからな。並のポケモンとトレーナーじゃ、どんな技があったってこうはいかねえよ」ニッ

忍「拓海さん……」

拓海「おい、魔拳禍弐とか言ったっけな、ソイツ」

忍「い、いえ、カニくんって一応名前が……」

拓海「何だそれ、締まんねえ名前だな…もっとビシッと来るやつ、考えらんねえのか?」

399: 19/07/15(月)02:34:39 ID:8z7
カニくん「マケンカ マケンカ」シュシュッ

拓海「コイツ、大したタマだな…あれだけやりあってまだツッパれんのかよ」

忍「ツッパる……強がる………ツガル?」

カニくん「カニ?」

忍「何でだろ、今ちょっとピンと来たんだけど…」

拓海「ヘェ、ツガル…か。いい名前貰ったじゃねえか、お前」

ツガル「カニィ!」


~~~~~~

400: 19/07/15(月)02:34:57 ID:8z7
~翌日~

拓海「昨日の話の続きだ。上がりきっちまったパワーに更にパワーを上乗せしても効率が悪りィ。いいワザだとは思うんだけどよ」

忍「でも、じゃあどうすれば……他に威力の高い技って言ってもなあ……やっぱり、努力と根性で…!」

拓海「その気合は嫌いじゃねえぜ。けど、どうせ同じ努力すんなら、闇雲に突っ走るよか、目的地を決めといたほうがいいかもしんねぇな」

忍「目的地…?」

拓海「アタシは計画だの目的地だの、そう言うのはアタマいいヤツの領分だと思ってっからなァ……だから泰葉のヤツに頭上がんねぇんだけどよ」

忍「は、はぁ……」

401: 19/07/15(月)02:35:15 ID:8z7
拓海「まぁそれはいいや、とにかくだ」

拓海「今からアタシがツガルにワザを教えてやる」

忍「え、ええっ!?いいん……ですか?」

拓海「落ち着けよ、教えてやるだけだ、できるようになるとは言ってねえだろ」

忍「……って事は……技は教えるけど、後はアタシ達の努力次第……」

拓海「だな。わかってんじゃねえか」

拓海「つっても、アタシが教えられんのは細々した補助技だの、味方を援護する奴だの、そんなヤワなモンじゃねえ」

拓海「常に前に立って、仲間のピンチは自分が何とかする。何が何でも根性で喰らいつく。そういうヤツのための技だ」

拓海「お前らに、その覚悟はあるか?」

402: 19/07/15(月)02:35:46 ID:8z7

忍「あります!!」ボウン!

ツガル「マケン!」グッ

拓海「……いい返事だ!!出てこい、牙王餓炎!!」ボウン!

牙王餓炎「ガーウ!」

忍「……っ、何て、威圧感……!けど!」

ツガル「マケン……!」

拓海「…腰は引けてねえみてえだな、上等だ」

拓海「牙王餓炎、そこの壁に『雷パンチ』だ!」

牙王餓炎「ガオッ」バチバチバチバチ……

牙王餓炎「ガエーン!」ドゴシャアアア……!

忍「す、凄い、一撃で…岩が粉々に……」

拓海「『雷パンチ』のコツは、とにかく魂の底から『ブチ抜く』って想いを引き出して、ソイツを拳に乗せるだけでいい」

忍「ブチ抜く………貫く。」

拓海「やってみろ。言っとくが、完成するまで飯が食えるとか思うなよ。アタシはやるからにはトコトンだ」ドサッ

拓海「んで、アタシも食わねえ。ここで見ててやる。さぁ、叩き込め!」

403: 19/07/15(月)02:36:01 ID:8z7
忍「……はい! ツガル、想いを拳に!」

ツガル「ケンカーニー…!」ピリッ…ピリッパチッ

ツガル「カニィィィィ!」バシュウ!

忍「く………まだまだ!」

ツガル「ケンカーニー…!」ピリッ…ピリッパチッ……

拓海「最初から小せぇけどカミナリが出せてんじゃねぇか……こりゃ、思ったよか早く片が付くかもな」ニヤリ

~~~~~~

404: 19/07/15(月)02:36:22 ID:8z7
~夜~

ツガル「カニィィィィ!」バチバチバチバチ!

忍「いける……」ハァ ハァ

ツガル「マーケン!」ドゴシャアアア…!

忍「やっ………た……」フラッ

拓海「オイ、大丈夫……」タッ

忍「……大丈夫です、師匠…」グッ……

拓海「お、おう……大した根性だな、おメェも……ん?」

忍「はい…?」ハァ ハァ

拓海「今お前、その……師匠、っつったか」

忍「はい、師匠は師匠ですよ。アタシ達の……喧嘩の師匠です……へへ」

ツガル「カニィ」コクン

拓海「……喧嘩の師匠、か。……そうか、アタシにも弟子ってのができたってワケだ」

405: 19/07/15(月)02:36:45 ID:8z7
忍「師匠、雷パンチ、ありがとうございました。この技、きっと大事にします!」

ツガル「カニィ」ウッス

拓海「……まぁ待てよ。」

忍「はい?」

拓海「アタシは半端が嫌いなんだ。アタシの弟子になったって言うんなら……」

拓海「もう一発、とっておきのワザを教えてやるよ。…どうする」

忍「………!」

ツガル「カニ カニカニカ ケンカニ!」

忍「お、お願いします!師匠!!」

拓海「よし来た! っても、アレだな。流石に日も落ちてるし、腹も……」

忍「師匠、アタシ達、きのみならたくさん持ってます!」

ツガル「ケンカニ」

拓海「ヘェ、用意いいじゃねぇか。ホントなら肉が食いてぇとこだけどな。ま、ならこれ食って、特訓の続きと行くか!」

忍「はい!!」

ツガル「カニィィィィ!」

~~~~~~

406: 19/07/15(月)02:37:00 ID:8z7
拓海『いいか、戦いってのはただ相手を倒して勝てばいいってモンじゃねえ。時には仲間を守ったり、逃したりする戦いだってあるだろ。』

拓海『そんな時、格が上の相手だからって、逃げることは許されねえ。引けば仲間がやられちまうからだ』

拓海『今から教えんのは、とにかく粘りを見せなきゃなんねえ時に使う技だ。氏ぬ気で敵に喰らいついて、氏んでも敵を通さねえ。その覚悟がなきゃ、この技は教えられねえ』

拓海『…ってのをお前らに聞くのは今更野暮だよな。いいか、こうやるんだ……』

407: 19/07/15(月)02:37:20 ID:8z7
忍「ツガル、『ドレインパンチ』!!」

ツガル「ケンカーニー……マケーン!」ドゴオ

野生のゴロンダ「ゴロオオオ!」シュオオオオオ

ツガル「ケン マケンカ」シュシュッ

忍「拳を当てた相手から体力を奪って自分のものにする技……ドレインパンチ…正々堂々の技じゃない、守るための戦いの技……」

ゴロンダ「ゴオロオオオ」ブンッ

忍「『アームハンマー』が来る…!受け止めて!!」

ツガル「カニィ!」ガキン!

ゴロンダ「ゴロロ……」グググ

ツガル「カニ」グッ……ブクブクブクブクゴボボボ

ゴロンダ「ゴロダ!?」

408: 19/07/15(月)02:37:46 ID:8z7
拓海「ハサミに水……アイツ、自力で新技まで…」

忍「いっけええ!『クラブハンマー』っ!!」

ツガル「マッケエエエン!」ゴボシャア!

ゴロンダ「ゴロオオオ!」バコーン!

拓海「キマった!ハンマーにハンマーでやり返すたァ……くーっ………アツいぜお前ら!」タタッ

逃げるゴロンダ「ゴロダ ゴロダー!」

拓海「ンだよ、『すてゼリフ』かよ、みっともねえな……おい、お前ら、凄えぞ、よくやっ……」

忍「………っ」バタン

ツガル「カニカ…」バタン

拓海「オイ!大丈夫……」

忍「…………おかぁさん……」スーッ……スーッ……

ツガル「カニー……カニー……」スヤア

拓海「………寝ちまっただけ、か。ったくよ」

拓海「お前ら、アタシの自慢の弟子だよ」ニッ

~~~~~

409: 19/07/15(月)02:38:05 ID:8z7

~翌朝・プロセウタウン・鎮守の浜~

芳乃「今朝もまた、神々しい朝日なのでありましてー。」オガミ

芳乃「おひさまのおめぐみにー感謝感謝でありますのでー」

拓海「おーい!芳乃ー!」

芳乃「ほー?」

スイクン『アレは……』

忍「すう……すう……」

拓海「流石に峠からここまで背負ってくんのは、ホネだな」ヘヘッ

ツガルを背負う牙王餓炎「ガウ」ニッ

ツガル「カニ…カニ…」スヤスヤ

410: 19/07/15(月)02:38:25 ID:8z7
スイクン『その様子だと、修行は上々の成果だったようだな』

芳乃「はいー。来た時よりも、幾分お顔がたくましく見えますねー」

忍「ん……ここは……」パチッ

拓海「お、起きたかよ」

忍「アタシ……寝て……? あ、ごめんなさい師匠、すぐに……痛たっ」ズキッ

拓海「何日かは休んだ方が良さそうだな、こりゃ」

芳乃「慣れぬ峠道を歩き、特訓もしたのでありましょうー。疲れているなら、無理は禁物ですよー」

スイクン『休むこともまた戦いのうちと言うからな。焦る事はない。そなた達は既に充分に強くなったと言えるだろう』

芳乃「本来であれば、バッジを渡しても良いくらいなのですが、ユニットの掟がありますからねー」

忍「え、えっ、芳乃ちゃん、今なんて」

411: 19/07/15(月)02:38:43 ID:8z7
拓海「何だ、言ってなかったのかよ。ここの番はってんのは、この芳乃だよ」

芳乃「はいー。プロセウタウンのジムリーダーは、私なのでしてー」

忍「え、えええええ!?」

ツガル「ケカ」パチッ 

牙王餓炎「ガウガ」

ツガル「ケケン!」ペコリ

地面にツガルを下ろす牙王餓炎「ガウ」

拓海「まぁ、何だ。ダチが見つかるまで、芳乃んとこで修行でも…」ピピピピピ

拓海「んだ、電話か? もしもし」

泰葉「拓海さん、大変なんです!」

412: 19/07/15(月)02:39:01 ID:8z7
拓海「何だいきなり藪から棒に…リーグ開催はまだ先だからアタシら一応フリーじゃねえのかよ」

泰葉「そのフリーが問題なんです!1番フリーダムなあの志希さんがまたどこか消えちゃったの!」

拓海「志希が!? アイツはなぁ……放っとくとろくなコトしねえからなぁ……」

泰葉「今、人を集めて捜してるところなんだけど……とにかく、すぐに戻ってきて情報を確認して!」

拓海「わーった、すぐ戻る。んじゃな。」ピッ

忍「師匠、今のって……」

拓海「こないだ話したろ、アタシら四天王の纏め役があの泰葉だ。本来ならチャンピオンの仕事なんだが……あの人はあの人でどこぶらついてんのかよくわかんねえしなあ」

忍「は、はぁ……」

413: 19/07/15(月)02:39:18 ID:8z7
忍「は、はぁ……」

拓海「とにかく、アタシはすぐ戻らなきゃいけねぇ。街の入口にバイク止めてきてんだ、空気を汚さないとかってんで美世のヤツに試し乗りさせられてよ」

芳乃「志希さんは大丈夫なのでしょうかねー」

拓海「まぁ、あの志希が勝手に消えんのは今に始まった事じゃねーけど……智絵里の事もあるからな……」ヒソヒソ

芳乃「私の方でも気をつけてはおきましょうー」ヒソヒソ

忍「……? 何の話を……」

拓海「つーわけだから、アタシはちょっと行くわ。忍、ツガル。必ずリーグに来いよ!んで、アタシと戦うまで負けんじゃねえぞ!」

忍「…は、はい!」

芳乃「お気をつけてー」フリフリ

ツガル「ケンカニ!」フリフリ

~~~~~~

414: 19/07/15(月)02:39:34 ID:8z7
~で。その志希はと言うと……~

~某所・マジカ団ラボ~

志希「ふ~ん……意外とキョーミ深い研究してるんだねー」パサリ

志希のベベノム「ベノベノ」

志希「ん、りょーかーい。意外と手薄なんだにゃー。さてさて、これに書いてある問題の洗脳装置とやらは……」

したっぱ「誰だ!」パチッ

志希「はにゃ?」

したっぱ「……その白衣は……何だ、新しく来た研究者か……」

志希「あー、うんそうそう、志希ちゃんマジカ団の研究者~。」

415: 19/07/15(月)02:39:49 ID:8z7
したっぱ「ならさっさと働け!戦力増強と総帥の野望を果たすために、我々の計画を少しでも早く進めるのだ!」

志希「りょーかーい。べべちゃんいくよー」

ベベノム「ベノベノ♪」

※図らずも、潜入に成功してしまった四天王の志希であった。

416: 19/07/15(月)02:42:34 ID:8z7
※一方、こちらはブルーメタウンを後に、旅を続ける加蓮達。次のジムがあるプロセウタウンに向けて、シトリー渓流と呼ばれる場所に差し掛かっていた。

肇「釣りをするには最適の場所ですね。風も涼しくて気持ちいいです…」

ヤド先生「やぁん…♪」

肇「先生もお気に入りみたいですね、ふふっ」

未央「おっ、ネネちん、それお昼ごはん?」

めりゃめりゃ「メリャ」

ネネ「はい。街で食料も買ってきましたし、ここなら水も使えますから……よいしょ」

ハナちゃん「ダネー」タッタカ

まろ「チルー」パタパタ

417: 19/07/15(月)02:42:56 ID:8z7
加蓮「またミツの取り合いしてるよ……いい加減仲良くすればいいのにさ」

肇「あ、先生、水に入っちゃいました」

ヤド先生「やぁん」プカー

肇「いいなぁ……私も泳ぎたいです」

加蓮「風邪ひくよ、少し風冷たいし」

肇「ですね。それにそろそろお昼みたいですし」

ネネ「できました、野菜たっぷりのBLTサンド!」

未央「お、お肉様も入ってる~。ネネちん、わかってますな、お主」

ネネ「長旅ですから、元気を出さないと、です!」

肇「医食同源、ですね。食べ物から身体は作られていますから」

加蓮「わ、美味しそう……アタシこういうの大好きなんだよねー♪」

ネネ「ではでは、手を洗ってからご飯にしましょうか」

「「「はーい!」」」

※ところが。

418: 19/07/15(月)02:43:15 ID:8z7
Side 加蓮

加蓮「待てーっ!アタシのサンドイッチ返せーっ!」

サンド(アローラのすがた)「サンサン」モグモグ

加蓮「人の貴重な…それもよりによってアタシの好物を……!」ワナワナ

加蓮「ぽて、燃やし……」グッ

加蓮「たらダメか、サンドイッチ焦げちゃう…」

サンド「サン?」キョトン

加蓮「まろは論外。余計に食べられる」

加蓮「…………詰んだ……」ガーン

419: 19/07/15(月)02:43:34 ID:8z7
半分くれたサンド「サン」ハイッ

加蓮「あ、ありがと……泥棒に同情された……」

サンド「サンサン」モグモグ

加蓮「アンタ、野生のポケモンみたいだけど、この辺の子にしては水タイプっぽくないよね」ピポ

加蓮「あ、端末で出た。こおりとはがねタイプなのね…ふーん……」

サンド「サン…」ポケー

加蓮「何かヒマそうだね、アンタ…って言うか、長いツメ……手入れとかしてないの?」

サンド「サン」コクン

加蓮「普通アンタみたいにツメがある子って、自分で爪研ぎとかして、手入れは怠らないもんだと思うんだけど」

加蓮「えーと……爪やすり、これ使えるかな……ちょっと手出して」

サンド「サン」ハイッ

420: 19/07/15(月)02:43:49 ID:8z7
加蓮「ひゃ、冷たっ。こおりタイプってこんななんだ……よいしょ…」スリスリ

サンド「サンサン♪」

※サンドは気持ちよさそうにしている…。

421: 19/07/15(月)02:44:12 ID:8z7
加蓮「……つい癖でネイルまでやってしまった……」

サンド「サン……!」キラキラキラ

加蓮「気に入った? あ、もしかしてメスなのかな…」

サンド「サンサン♪」

加蓮「普通戦うための武器でしょその爪。そんな飾りで喜んじゃうなんて…ふふ、アンタ変わってるね」ナデナデ

サンド「サン♪」

加蓮「よし。行くとこないならアタシと一緒に行こ」スクッ

サンド「サン? サンサン!」ピョン

加蓮「捨てられたのか、迷い込んだのかわかんないけど…このままほっとくなんてアタシには無理だし。それに、ポケモンのツメのお手入れも結構楽しいし♪」

加蓮「とりあえず、名前つけなきゃね。ぱんでどう?サンドイッチ食べちゃったし」

ぱん「サンサン♪」

加蓮「決まりね。じゃ、はい、モンスターボール」ポイッ

ボウン ユラッ ユラッ ユラッ カチッ… 

422: 19/07/15(月)02:44:30 ID:8z7
加蓮「3体目……か。強いのか弱いのかはさておき、アタシはアンタのこと気に入っちゃったからね。」

加蓮「責任持って、ちゃんと面倒見てあげるから、安心していいからね。」

※モンスターボールを撫でながら、加蓮は皆のもとへ帰っていった…。

※その、サンドがいた場所から少し離れた場所に、智絵里が囚われていたマジカ団のラボがひっそりと建っていた……。

423: 19/07/15(月)02:44:45 ID:8z7

~マジカラボ(シトリー支部)~

部下「マギアシティでの降雨実験はうまく行きました…ポケモンのエネルギーを集める事にも成功しています。やはり、天候を操作するほどの力をエネルギーとして取り込めば、かなり強力な資源となるのは間違いないでしょうね」

総帥「その様な事は始めからわかっています。異常気象を引き起こし、エネルギーを集め、アレを呼び起こす……そして……」

部下2「総帥!捕らえていたポケモンが一匹逃げ出したようです!まだ産まれて間もない個体だった様ですが……」

424: 19/07/15(月)02:45:00 ID:8z7
総帥「捨て置きなさい。進化前のポケモン一匹のエネルギーひとつで狂う我が計画ではありません。」

総帥「とにかく、気象を操作し、アレを呼び覚まし……そしてそのエネルギーで…………を眠りから解き放たねば……」

部下「総帥…」

部下2「渓流の降雪実験、影響力は未だ20%程でありますが、いかがなさいますか」

部下「少し寒風が吹く程度、でしょうか…」

総帥「もう少しだけ実験を続けましょう。それでダメならこのラボは放棄、ポケモンは別の支部に移送して実験を再開します」

総帥「諦めない……諦めるわけには……絶対にいかないのです…」グッ

425: 19/07/15(月)02:45:14 ID:8z7

※徐々に片鱗を見せる、マジカ団の野望。
果たしてその真の目的とは。

そして、加蓮達の旅は、まだまだ続く!

426: 19/07/15(月)02:46:54 ID:8z7
新キャラがかなりの数登場しましたね。
マジカ団の目的も気になるところ。
加蓮の3体目も加入。果たしてどんな活躍を見せるのか。

さて、それでは今回もお目汚し、失礼をば。

引用元: シンデレラガールズ×ポケモンクロス クロノスライトストーリー