762: ◆6RLd267PvQ 19/08/12(月)18:54:28 ID:CX0
更新します。19話。

Aiming for a hot spring town. Arrival, industrial city.
シリーズ:クロノスライトストーリー
763: 19/08/12(月)18:54:57 ID:CX0
※マギアシティから列車に乗る事しばらく。
次の目的地であるクロノシティへ向けて、廃煙と工場の街、ティリオタウンへとたどり着いたのだった…。

肇「夕日にたなびく工場の煙……これはこれで何となく風情を感じますね…」

忍「わかるなぁ……ちょっと癒やされるよね、こういう人工的な景色ってのも」

未央「そういえば、あんなに煙吹いてる割に…思ったほど、空気も悪くない感じするね?」

ネネ「はい、流石に空気が美味しいとまでは言いませんけど……てっきりもっと…」

加蓮「うん、ちょっと調子崩れるかと思ったけど、案外大丈夫みたい。何でだろ?」

美世「ふふふ、どくポケモンの中にも働き者の子達がいてね…ほら、あそこでふわふわしてるマタドガスとか」

未央「お、おお!?あれ、マタドガスなの!? 私の知らないやつだ……」
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(8) (電撃コミックスEX)
764: 19/08/12(月)18:55:21 ID:CX0
加蓮「確か、カントーのポケモンでしょ、マタドガスって。未央ペディア、意外と抜けが多いね」

未央「いやいや、だってあんなヒゲ生やして煙突ついたマタドガス初めて見たよ!?」

美世「ガラル地方のマタドガスだから無理もないんじゃないかな。汚れた空気を食べて浄化する作用があるから、街の中をああして巡回してくれてるんだ!」

未央「ほほーう……ガラル地方のマタドガス……かれんのぱんもそうだけど、地方によってポケモンの姿が違うのって面白いよねぇ」

ネネ「そう言えば、メーヴェシティにもアローラ地方のナッシーさんがいたりするんですよ。アローラに負けず、メーヴェの街も気候的には南国そのものですから」

未央「アローラのナッシー?どんなの?」

ネネ「あ、写真ありますよ。たまに街まで出てくるんですけど人懐っこくて。…これです」ピラッ

未央「……長っ!?」

765: 19/08/12(月)18:55:52 ID:CX0
忍「長いっていうか……写真から上の方見切れてるね……」

加蓮「えーと、アローラ、ナッシー…と」ピピポパ

加蓮「あ、出た。ふーん……大体11メートルくらいあるみたいだね」

未央「11メートル!そんな子が街中に出てきたら大迫力だねえ…」

ネネ「因みに、のびのび育ったのでサイコパワーが要らなくなって、代わりにドラゴンタイプになったみたいです」

未央「この子ドラゴンタイプなの!?」

肇「ポケモンも見かけによらないですね……」

未央「っていうか、知ってるはずのカントーのポケモンがこんなに姿違うなんて、ちょっとしたカルチャーショックだよ私」

ベトベター「ベタァ」モグモグ

美世「あ、ベトベターだ、やっほー♪」

未央「えっ、あれも知ってるのと違う…!」

加蓮「例によって海外産なのかな」

美世「うん、ゴミを拾って食べてくれるんだ。おかげで街の中はいつも清潔ってわけ。意外でしょ?」

未央「どくポケモンってもっと危ないイメージがあったけど……」

肇「まさに共生関係ですね。ちょっと故郷の村を思い出してしまいます、ふふっ」

加蓮「……今端末で出てきたんだけど、アローラのベトベトン、凄い色してるね…」

未央「うおっ、なんじゃこりゃあ!?」

766: 19/08/12(月)18:56:17 ID:CX0
ネネ「カラフル…というか、ちょっと既視感が……」

未央「言われてみれば何かちょっと見覚えあるような無いような……?」

肇「……何となく、マジカ団のローブの色みたいですね…」

未央「あ、それだ!」

忍「あー…言われてみれば、色は違うけどこんな感じでごちゃごちゃしてたよね」

ネネ「サイケデリック……とでも言うんでしょうか、こういうのって…あ、でも以前戦った幹部の人は普通に1色のローブでした」

忍「確か、インディゴとかいう……?」

ネネ「はい、名前の通り、藍色1色でした」

加蓮「何なんだろ、偉くなると色が選べるのかなマジカ団…」

未央「それって、好きな色を着たけりゃのし上がれ!みたいな……?」

ジラーチ【いくら何でも他に理由くらいあるでしょ、未央じゃないんだから】

未央「ジラちんはだまってて」

ジラーチ【はいはい】

767: 19/08/12(月)18:56:43 ID:CX0
美世「ふふ、皆賑やかで楽しそうだね♪」 

肇「あっ、すみません、つい私達ばかり盛り上がって…」

美世「いいっていいって。新しい街に来た時って、色々珍しくて夢中になっちゃうもんだし!…あたしもジムのお仕事ともう1つがなければもうちょっとあちこち見て回るんだけどな~」

未央「もう1つ…?」

美世「あ、そうそう。ちょっとあたしから提案なんだけどさ」

加蓮「提案?」

美世「うん、もうすぐ夜だしここで一泊してもいいけど、どうせならあたしのクルマで一気にクロノシティまで向かってさ、そこで休んだ方が色々スムーズなんじゃないかな?」

肇「良いのですか?お疲れなのでは…」

美世「全然大丈夫♪ むしろ、クルマの運転できるなら喜んでって感じだもん!」

ネネ「ふふ、美世さんはクルマがお好きなんですね」

美世「そりゃもう、運転から整備まで、クルマいじりはあたしの趣味だから♪」

忍「あ、そう言えば師匠……拓海さんが乗ってたバイクも確か、空気を汚さないとかって…」

美世「うん、あたしが作った子だね、そのバイク。試し乗りを頼んでたんだけど、結構気に入ってくれたみたいで。この間それでご飯奢られちゃった」アハハ

768: 19/08/12(月)18:57:08 ID:CX0
忍「ご飯……工場の煙を見てると…何故だか焼肉が食べたくなるなぁ……」

美世「お、焼肉? だったらクロノシティに炭火焼肉の美味しいお店があるんだけど…」

忍「行きます!!!」

肇「そ、即答でしたね…」

忍「だってもうお腹ペコペコなんだもん…焼肉、焼肉を食べる…!」

未央「こりゃ止めても聞かないだろね、しのむーは」

加蓮「ま、たまにはいいんじゃない?私も味の濃いものが食べたかったところだし」

美世「なら、きまりでいいかな? この先まっすぐ行けば駐車場が……」

肇「あっ!」タタタッ

未央「うおおい、はじはじどうした!?」

肇「見てください、露店でモンスターボールが売られています!見た事のないデザインです……」

ネネ「あ、ヒールボール…。他にも色々ありますね」

769: 19/08/12(月)18:57:35 ID:CX0
美世「街の工場から作られた製品は、一部はこの街でもこうして売られたりするんだけど、大半は隣町で観光地のクロノかマギアシティに出荷されてるんだよね」

店員「そういう事。ボールやアクセサリーなら場所を取らないからこうして日銭稼ぎにね。どうだい、どれか1つ記念にってのは」

肇「工場の生産品、それも光沢の感じから見て作りたてですよね…無駄のない丸み……やはり、手製のものは廃れる運命なのでしょうか…」

未央「はじはじの作るボールにも違った良さはあるんだし、何を選ぶかは人それぞれなんじゃないかな?」

肇「未央ちゃん……そう、なのでしょうか」

店員「ボール職人っていうと、ヒュドールの村の?遠いとこから来たんだなぁ……よし、1個だけタダにしてあげるから好きなの選んで持ってくといいよ」

肇「良いのですか? じゃあ…ええと……」

肇「……この、波模様の意匠……これは…?」

店員「ダイブボールだな。釣り上げたポケモンが捕まえやすくなる他にも、海底深くに住むポケモンにも効果絶大だ。これにするかい?」

肇「……私が作るルアーボールと違って、釣り上げる以外にも使いみちがあるのですね…」ムー……

770: 19/08/12(月)18:58:00 ID:CX0
肇「何か、新しい着想を得られるかもしれません。ダイブボールを1ついただく事にして、他のボールも1個ずつ買わせていただけませんでしょうか…!」

店員「おお、ホントにいいのかい?そこらの街でも売られるようなものがほとんどだよ?」

肇「構いません。せっかくの機会ですし、これも何かの縁かと思いますので」

店員「…その熱意、同じボール作りに携わる者として気に入った!こっちも商売だから全部タダにするわけにはいかないけど…全部3割引……いや、半額にしてあげよう!」

肇「良いのですか!?」キラキラキラ

店員「ああ、二言はないよ!持ってけドロボーってな、ははは」

肇「ええと、では……このボールはどういった効果が…」

店員「それはただの記念品で普通のモンスターボールの色違いだよ、プレミアボールって名前で、街のお店とかでボールを買うとたまにおまけで貰えたりするんだ」

肇「成程……では、こちらの網模様のボールは……」

771: 19/08/12(月)18:58:15 ID:CX0
忍「……お腹ペコペコ~……」

未央「ああなったらはじはじは……なかなか離れないからねぇ……」

美世「わかるなぁ……あたしもクルマの事になるとあんな感じになっちゃうし…うんうん…」

加蓮「火がついちゃったってわけか。まぁ、焼肉は逃げないし、まろの食べ残したキャモメまんじゅうがまだ何個か残ってるけど、食べる?」

忍「いや…我慢する……焼肉…久々に豪華なご飯だもん……お腹すかせてたっぷり食べてやる……!」メラメラメラ

加蓮「あ、こっちも別な意味で燃えてた……」

~~~~~

772: 19/08/12(月)18:58:31 ID:CX0
※ティリオタウンからクロノシティへと至る道はクルマが走れるように舗装がなされており……

ティリオの労働者達の行き帰りや、作られた産業物資の一部は観光名所、クロノの街にも送られるため、大きなトラックやバイクなどの行き来が盛んであるため、多くの車が一度に走れるように、広々とした道が続いている…。

その道路の名を、人々はいつからか「ダイヤモンド道」……通称【アルマスハイウェイ】と言った……。

773: 19/08/12(月)18:58:52 ID:CX0
~アルマスハイウェイ・車中~

美世「少しだけ時間かかるけど、待ってる間は寝てても大丈夫だからね。あ、シートベルトはキチンと着用お願いします♪」

未央「はーい。…にしても、出発前の点検とか、ホントにプロみたいでビックリしちゃったよ」

ネネ「ですね、何だか手慣れてましたし…」

美世「あはは、プロみたいっていうか、あたしの家、クルマ屋さんなんだよね。だから小さい頃から工具とミニカーが友達だったって言うか…」

加蓮「それ、ジムリーダーと兼業って事?大変なんじゃない?」

美世「クルマいじりはもう半分あたしの趣味っていうか、人生みたいなものだから。むしろ乗ったり弄ったりしないと落ち着かないくらいでさ」

忍「まさに筋金入りって感じだね…やりたい事をやって、自分の趣味の時間もきちんと大切にできるって、憧れるけど凄く大変そうだよね」

774: 19/08/12(月)18:59:13 ID:CX0
美世「でも、好きでやってる事だしね。それに拓海ちゃん……本当ならクロノのジムリーダーはあの子がやるべきだと思ってたんだけど、リーグ協会から四天王に是非、ってお達しが来ちゃってね……。それで、代わりにクロノの街を守れるのは美世しかいねぇ、なんて言って鍛えられちゃって」

未央「まさしく友情って感じですなぁ……」

忍「あれ、じゃあ師匠の一番弟子ってアタシじゃなくて美世さんなんじゃ…?」

美世「弟子入りってほど教わってないよ、ある程度は自己流でだったし。もともと拓海ちゃんの練習相手でよくポケモンバトルはしてたんだけどね」

775: 19/08/12(月)18:59:44 ID:CX0
忍「なるほど……でも残念だなぁ、アタシ、今回はまだジムの挑戦権持ってないし……そんな話なら師匠の弟子としては是非バトルのお相手をしてほしかったんだけど……」

美世「ん、バトル?あたしと?」

忍「はい、師匠の親友っていうことは、アタシにとって美世さんは敬うべき人ですから…きっと美世さんがいなかったら、拓海師匠も今みたいにアタシを弟子に持つまでになってなかったかもしれませんし…」

美世「……どうかな。たまたま相手があたしだっただけで、拓海ちゃんならあたしがいなくてもきっと……」

忍「美世さん?」

美世「あ、ううん、何でもないよ。…そう言えば後ろの方、静かだけど…」

肇「すぅ……すぅ……」

未央「実は、はじはじが寝ちゃっててさ…」

加蓮「さっきはしゃいだ分、疲れが出たのかもね。隣で騒いで起こすのもよくないでしょ?」

肇「むにゃ……ごはん…」

加蓮「ってのは建前で寝言が可愛かったりするんだけど」クスクス

ネネ「もう、加蓮さんってば、また悪そうな顔して…」クスッ

美世「仲良きことは美しきことかな、か…何だか懐かしいな」

776: 19/08/12(月)19:00:13 ID:CX0
忍「懐かしいって、拓海師匠の事ですか?」

美世「うん。最近は特に忙しいみたいで…ほら、例の事件で四天王の皆はあちこち飛び回ってるから。リーグ開催前で、あの人達は自由に動けるからね」

忍「そっか、流石にジムリーダーとなると、そこまで自由には動けないんだ」

加蓮「…あれ、クシナイのトーナメントにはジムリーダーがかなりの数参加してたけど…」

美世「ああ、あの時はリーグ本部から通達があってね。囮役としてトーナメントで戦う人をある程度身内で固める必要が……っとと」キキーッ

忍「うわっと!」ガクン

美世「あ、ゴメンね皆、急ブレーキしちゃって」

加蓮「大丈夫だよ。けど、一体何が…?」

美世「…もう街の入口なんだけど……はぁ、あの子達ったらも~……」ガチャ

未央「お、おお? 何か目の前にいかにもなバイクの集団が……」

ネネ「こ、怖い人達ですか…?」

美世「大丈夫大丈夫、あれ、拓海ちゃんとこの走り屋チームだから」

777: 19/08/12(月)19:00:40 ID:CX0
暴走族「整列!!」

「「「「「ウス!」」」」」

暴走族「美世の姐(あね)さん、長旅お疲れ様でした!」ペコリ

「「「「「お疲れ様でした!」」」」」ペコリ

美世「あー…あのね、お出迎えは嬉しいんだけど、道を塞いじゃうと街に入れない人が出ちゃうから……」

暴走族「いえ、姐さん、それがちょっとした緊急事態でして」

美世「…緊急事態?」

暴走族「クロノの火山から、炎ポケモン達が山を降りて来たんすよ…オジキが言うには、最近のおかしな天気でパニクってるとかで…」

美世「ボルさんが…?」

未央「おかしな天気って……」

加蓮「ここでも、か……まぁ、これだけ鉢合わせてると多分、いないトコ探す方が難しいのかもしれないけど」

美世「で…街のみんなは?」

暴走族「ウス、俺らで姐さんの代わりに避難誘導しておきました」

美世「なら良かった……けど、被害が出ちゃう前に何とかなだめないとね…で、ボルさんも街に?」

暴走族「はい、オジキなら多分そろそろ…」

ボルケニオン『おう、原田の嬢ちゃんじゃねえか、遅かったな』ノッシノッシ

778: 19/08/12(月)19:01:11 ID:CX0
未央「うわ、おっきなポケモン……」

ジラーチ【ボルケニオン……クロノシティで火山の神様って呼ばれたりして祀られてる幻のポケモンだよ】

ボルケニオン『ん、声が聞こえたな……おいジラーチの小僧、姿が見えねえって事はその中の誰かに取り憑いてんのか?』

ジラーチ【取り憑いてるとは失礼だね、ゴーストタイプじゃあるまいし。寝起きでヒマだったから旅するトレーナーを眺めてただけだよ】

未央「お?本当にそれだけかな?」

ジラーチ【未央はだまってて】

未央「はいはい」

美世「で、ボルさん、天気がどうのって話……」

ボルケニオン『ああ、火山灰が風で煽られて、砂嵐みてぇになっててな…パニック起こしたブーバーやマグマッグ達が街に降りてっちまってよ』

未央「ブーバーにマグマッグって……一歩間違えたら火事になっちゃうじゃん!」

ボルケニオン『それよ、そんでとりあえず追っかけて来て奴らを落ち着かせはしたんだが……』

暴走族「これ以上状況を知らない人間が入る前に、入口固めといた方が良いかと……独断で動いてすいやせん、姐さん」

779: 19/08/12(月)19:01:41 ID:CX0
美世「ううん、そういう事なら大丈夫。むしろ、皆あたしがいない間に頑張ってくれたんだよね、ありがと!」

暴走族「滅相もないっす!お役に立てたなら光栄っす!」

「「「「「光栄っす!」」」」」

ボルケニオン『…で、砂嵐の原因だけどよ』

未央「えっと、ボルケニオンさん、この近くに、見慣れないおかしな建物とか見たりしてない?」

ボルケニオン『前に美世から聞いてたヤツだな?妙な研究所ができてたら注意しろ、だったか』

美世「うん、ちょっと今この地方全体で騒ぎになってるんだけど……」

加蓮「今までのパターンからして、近くにラボがあるのは間違いないけど……そうなると火山の中の可能性もあるよね…」

未央「うーん……流石に何の対策もしないまま火山の中って言うのも……ねえ」

暴走族子分「大変です!砂嵐が収まりやした!!」タタタタッ

ボルケニオン『何?本当か』

暴走族子分「はい、火山の方からデカイ爆発みたいな音がして……それからはピタリと……」

加蓮「…誰かがラボを破壊した…?」

780: 19/08/12(月)19:02:14 ID:CX0
ネネ「で、でも火山の砂嵐の中を、ですか…?」

忍「それ、只者じゃないね……一体誰が…」

~~~~~~

~クロノ霊峰中腹・ラボ破壊跡~

亜季「ブロスター、戻るであります!」シュウウウ

亜季「ふう、これで任務完了でありますな……なかなかに厳しい行軍ではありましたが…」

清良「これは…また随分派手に壊してしまったのね」

亜季「清良殿。いえ、中を調べてみたら団員らしき者は一人もおらず、どこかからワープで移送された砂漠のポケモン達が天候をおかしくしていたようで…」

清良「なるほど。ラボを潰してしまえば転送先が消えるから、もうここに被害が出ることはないし…確かに一番早い方法だったかもしれないわね」

亜季「ええ、私もそう思い、実行に…」

清良「……でも、もし見つかったりでもしたら」

亜季「この私がそんなへまをするとお思いなのですか、清良殿は」

清良「杞憂なら、それに越したことはないけれど……心配なのよ、あなたが…」

亜季「相変わらず、清良殿はお優しいのでありますな。では、そうなる前に急いでこの地を離れると致しましょう」

清良「そうね。さっきまでの砂嵐と夜の闇にうまく紛れられていればまず見つからないはず…急ぎましょう」

亜季「了解であります!」ビシッ

~~~~~~

781: 19/08/12(月)19:02:40 ID:CX0
~クロノシティ~

ボルケニオン『ったく、終わってみれば人騒がせな話だったな、結局避難も何も無駄足になっちまったしよ』

美世「でも、いざって時に皆が頼れるってわかったのは、あたしにはちょっと嬉しい収穫だったかも」

ボルケニオン『お前はそうかもしれねえけどな…こっちはとっくに歳だってのに、またあの山を登らなきゃなんだぜ…飛んで帰れたらラクなんだが、ここに来る時に水を切らしちまってな…』

未央「水?」

ジラーチ【ボルケニオンは両腕が給水ポンプの役割を果たしてるからね。その水を使って水蒸気の噴射で空を飛べるんだよ】

ボルケニオン『おう、そうだ、クロノの温泉もどうせ風呂掃除しねえと灰だらけだろ。なら、捨てる前に露天の湯を分けて貰えねえか』

美世「うん、聞いてみる。ボルさんの頼みなら断られはしないだろうし。けど……そっか、じゃあすぐには温泉には入れないね…」

未央「私なら大丈夫だよはらみー、確かにちょっと痛みはするけど、しばらくは我慢できるからさ」

ボルケニオン『何だ、そっちの嬢ちゃんは湯治か何かか』

782: 19/08/12(月)19:03:10 ID:CX0
ジラーチ【今日みたいに天気がおかしくなった場所でポケモンがパニックを起こしてね。体を張ってそれを止めたから、思いっきり深手を負ってるんだよ】

未央「ジラちん、大袈裟だって…ほら、普通に動くし、何ともないない」プラプラ

未央「……っ」ズキッ

ボルケニオン『こりゃ、本人の自覚がないのが一番厄介だな』

加蓮「ちょっと、よく見たら腕腫れて来てるじゃん…!」

ネネ「えっ……!?」

ジラーチ【ガブリアスのツメで引き裂かれてるんだ、もしかしたら骨にヒビでも入ってるかもね】

未央「げ……骨やっちゃってる…? 切れ味抜群だなぁガブりんは…」アハハ

ネネ「未央ちゃん…」

ボルケニオン『おう、ジラーチに取り憑かれてるそこの小僧、名前、何つったか』

未央「こ、小僧って…これでも一応女の子だぞー!」

ボルケニオン『へっ、お前みてえなお転婆は小娘ってより小僧の方がお似合いだぜ』

未央「むー……かれん~、ボルじいが意地悪する~…」

加蓮「未央もドサクサにおかしなあだ名付けてるからイーブンじゃない…?」

783: 19/08/12(月)19:03:45 ID:CX0
ボルケニオン『まぁ、何でもいいや。そんな話なら街の温泉より山の中の源泉に浸かるほうが治りが早ええ。飛んで帰るついでだから乗っけてってやってもいいぜ』

未央「え……それ本当、ボルじい!」

ボルケニオン『そのおかしなあだ名で呼ぶのはやめろ、爺さんなんて呼ばれるほど歳食ってねえよ』

ジラーチ【どうだかね、実際もう何千年生きてるやら】

ボルケニオン『小僧は黙ってろ』

ジラーチ【はいはい】

ボルケニオン『幸いあの源泉は砂嵐を免れてた筈だ。ここに飛んできた時にそこの湯を吸って来たからな』

未央「そういう事なら……少しの間、また皆とは別行動だね」

加蓮「マジカ団の連中の動き、明らかに活発になってきてる……時間もないし、先にジム戦は始めとくから」

未央「了解。ネネちん、はじはじ、かれんのこと、よろしくね」

ネネ「任せてください。未央ちゃんこそ、山道で足を滑らせないように気をつけて」

肇「すう……すう……」

忍「……………もしかしてだけど…」

未央「はじはじ……これだけ色々あったのに…………ずーっと寝てたのかい…?」

肇「ふにゅ……すう……」

加蓮「……爆睡してる」ツンツン

ジラーチ【まるでヤドンだね、これじゃ】

784: 19/08/12(月)19:04:05 ID:CX0
未央「トレーナーはポケモンに似てくるってヤツなのかねえ……はじはじー、行ってくるからねー」

肇「ふぁい……………すう……」

未央「……」パシャリ

加蓮「未央…」

未央「てへ、目の保養目の保養♪そんじゃ、とりあえずクロノの温泉でお湯を借りて、ボルじいと私は火山にレッツゴーだね!」

ボルじい『ケッ、せいぜい振り落とされないように気をつけろよ、小僧』ノッシノッシ

※かくして、ボルケニオンの誘いで火山の源泉へと向かった未央。

一方、加蓮、ネネ、肇の3人は5番目のジムリーダー、美世との戦いを控えている。

そんな中、一人悩む少女がいた。

忍「…アタシが今……やるべきことは……」

忍「……もっと強く、ならなきゃ……!」グッ

※次回へ続く!

785: 19/08/12(月)19:05:01 ID:CX0
流石にこんな状態じゃ焼肉食べてる場合じゃない。
皆揃ったらたっぷり食べられると良いですよね。

では、お目汚し、失礼をば。

引用元: シンデレラガールズ×ポケモンクロス クロノスライトストーリー