1: 2019/02/24(日)02:28:06 ID:M0H

・きらら系
・時系列の都合上、2年生の3学期という設定です
>>1は単行本のみ読んでいるので、もう原作でキャンプネタが出てきてたらすみません

※球団のモデル
福岡ファルコンズ→ソフトバンク
埼玉ホワイトキャッツ→西武
北海道セイバーズ→日本ハム
千葉アルバトロス→ロッテ

2: 2019/02/24(日)02:29:06 ID:M0H
タマ「キャンプ?」

レオナ「そうそうキャンプ!」

タマ(キャンプっていうと……。みんなでハイキングして、テント張って、ごはん作って食べて……バーベキューとか)

タマ「いいですね。私も行きたいです」

レオナ「だろ?」

レオナ「もうじきキャンプ始まるし。土日とか使って行かないか?」

ファル子「私はもともと行くつもりだったけど。でも大丈夫なの? 遠征苦手でしょ」

レオナ「まあちょっとハードル高いけど……野球がないのが退屈すぎて禁断症状が」ガクガク

ファル子「依存症じゃないの! まあ分からなくはないけど」ブルブル

タマ「あ、やっぱり野球の話なんですね……」

3: 2019/02/24(日)02:30:37 ID:M0H
レオナ「去年は何とか耐えたが今年はもう我慢ならない! 早く野球が見たい!」

ファル子「ファルコンズは宮崎でやる予定だけどキャッツってどこでキャンプやるの?」

レオナ「南郷ってとこ。確か宮崎だった!」

ファル子「あら、じゃあ近いじゃない」

タマ「宮崎……。宮崎牛、チキン南蛮、マンゴー、海の幸山の幸……」

タマ「いいですね! 私も野球のキャンプに行きたいです!」

レオナ「明らかに食べること目的じゃないか!」

タマ「そ、そんなことないですよ。野球選手が山の中で野宿する光景なんて滅多に見れなくて面白そうですし」

レオナ「それはえらくガチなキャンプだな」

ファル子「この場合のキャンプは合宿って意味よ。シーズン開幕に向けての大事な――」

レオナ「でもキャッツドームでキャンプとかやってみたいな。外野の芝生の上にテントを立ててだなー」

タマ「あのドームだと冬は凍えそうなんで防寒対策はしっかりしないとですね」

ファル子「って聞きなさいよ」

4: 2019/02/24(日)02:31:51 ID:M0H
【宮崎空港】

レオナ「で、宮崎に来たわけだが。やっぱ関東よりはあったかいな」

ファル子「そりゃ寒いところでキャンプやっても仕方ないしね」

タマ「キャンプってどの球団もやってるんですか?」

レオナ「2月になったら一斉に始まるんだよ。それまでに選手は自主トレとかもしてるけど。宮崎だけじゃなく沖縄でやってるとこも多いぞ」

ファル子「セイバーズは何年か前からアメリカでキャンプやってるわね」

タマ「へぇ、凄いですね」

レオナ「プロ野球キャンプガイドも買ってきてるぞ~」

ファル子「準備がいいわねー」

タマ「私も宮崎のグルメガイド買ってきました」

ファル子「こっちはこっちで準備がいいわねっ」

5: 2019/02/24(日)02:33:00 ID:M0H
レオナ「さてと、さっそく南郷に向かうか。歩いて何分ぐらいだ?」

ファル子「電車を乗り継いで2時間くらいかかるわよ」

レオナ「遠すぎだろ!? 地図で見たときはファルコンズのキャンプ地のすぐ隣だったのに」

タマ「レオナさん、それ日本地図ですよ」

レオナ「宮崎ってこんなに広かったのか……」

ファル子「いつも狭苦しい埼玉に籠ってるからよ」

レオナ「なんだと!」

ファル子「なによ!」

タマ「まあまあ二人とも。ゆっくり電車に揺られて田舎を旅するみたいでいいじゃないですか」

レオナ「ん~、まあそれもそうか」

タマ「駅弁を買うのが楽しみですね!」

ファル子「それ言うと思ったわ!」

6: 2019/02/24(日)02:34:14 ID:M0H
【日南・南郷キャンプ】

カキーン!

レオナ「おお! また柵越えだ」

タマ「よく飛びますねー」モグモグ

レオナ「いやー、もう狙ってホームラン打てる感じって言うか4番として貫禄が出てきたよ。今年は50本期待だな」

ファル子「貫禄っていうか太ってるから威圧感あるだけじゃない?」

レオナ「むしろそれがいいんじゃないか。アルバトロスの4番もだけど古き良きPリーグの選手って感じで」

ファル子「ん~まあ否定はしないけど」

タマ「ファル子さんはキャッツの練習見てて楽しいんですか?」モグモグ

ファル子「まあ敵情視察っていうか。ファルコンズは明日紅白戦があるから見に行くつもりだし」

ファル子「それにせっかくみんなで来たんだから……どうせなら一緒に……ゴニョ」

タマ「はい?」

レオナ「え、なに? ファル子はそんなに私と一緒にいたいのか~?」

ファル子「そ、そんなわけないでしょっ」

タマ(野球が絡んでるのに二人とも仲がいい……キャンプっていいな)モグモグ

7: 2019/02/24(日)02:35:37 ID:M0H
ファル子「まあ実際、敵情視察って言っても今年のキャッツはファルコンズの敵じゃないけどね」

レオナ「なんだと!」

ファル子「恒例のFA流出とメジャー挑戦で投打の柱が抜けたのよ。フツーにBクラス転落じゃないの?」

レオナ「言ったな! 去年優勝したのはこっちなのに、シーズン後にちょっと勝っただけで日本一かっさらいやがって! ふざけんな!」

ファル子「あーら。こっちはちゃんと正式なルールに従ってCS勝ち進んだだけよ? ここ一番で勝てるチームが真の日本一にふさわしいわ」

レオナ「なんだと! 以前はいつもそっちが秋の風物詩だったくせに!」

ファル子「ええそうよ! キャッツにもプレーオフで負けてリーグ優勝まで持って行かれたのよ!」

レオナ「う、それは……」

ファル子「あん時ば悔しさ……あんさんに分かると? ほんまに……どげんしてくれるん」グスッ

レオナ「ご、ごめんって」

タマ「ファル子さん興奮していろんな方言が混ざっちゃってます……」

8: 2019/02/24(日)02:37:30 ID:M0H
ファル子「まあ……今は、少しは分かったんじゃないの」

レオナ「う……確かに今なら分かる。悪かったな、ちょっと言い過ぎたよ」

ファル子「ふふ……分かってくれたらいいのよ」

レオナ「ファル子……」

ファル子「だから今年は独走でリーグ優勝して3年連続の日本一になるから。キャッツファンは低見の見物でもしていればいいわ」

レオナ「なにおー! FA獲得失敗したうえにここ数年はドラフトもいまいちで主力も衰えてきてるチームが独走できるわけないだろ!」

ファル子「育成上がりが結果残してるケガ人も帰ってくるし(予定)キャッツと違って主力も控えも流出防いでるファルコンズは長期的に強いのよ!」

レオナ(ぐっ、正論過ぎて言い返せない)

ファル子(あ、ちょっと言い過ぎちゃったかしら)

タマ「二人とも本当に仲がいいですね」

レオナ・ファル子「「よくない!!」」

9: 2019/02/24(日)02:40:23 ID:M0H
カキーン!

\オオォー/


タマ「頑張ってくださーい」

タマ「さっきからあの選手だけ1人でバッティング練習してるけど、他の選手はどうしたんだろう?」

猫子「ランチ特打ですね」

タマ「あ、猫子ちゃん。やっぱりキャッツのキャンプ来てたんだね」

猫子「はい、もちろん」

タマ「それで、えっとランチ特打?」

猫子「他の選手がランチ=お昼ごはんを食べているときに志願して打撃練習をするんです。観客も盛り上がりますよ」

タマ「そうなんだ」

10: 2019/02/24(日)02:43:47 ID:M0H
レオナ「メイングラウンドとブルペンをつなぐ135段の地獄の階段が選手の足腰を鍛えてくれるんだ」

ファル子「135って……選手はともかくスタッフさんとか記者さんとか大変そうね」

レオナ「FA補償の133勝左腕もびっくりしたって話だぞ!」ドヤ

ファル子「いやなんであんたがドヤ顔するのよ」


レオナ「スローボールマシンってのも隠れた名物らしい。マシンの先に竹が一本刺してあって」

レオナ「竹を目標にセンター方向を意識したバッティングをしたり、選手それぞれが工夫して使っているんだ」

レオナ「よし、私も挑戦するか!」ブンブン

ファル子「いや関係者以外使えないでしょ、たぶん。それより早く戻るわよ、あの子1人にしちゃってるんだから」

11: 2019/02/24(日)02:45:33 ID:M0H
レオナ「戻ったぞー」

ファル子「お手洗い混んでたわ……って猫子ちゃん!?」

レオナ「何だ、猫子もキャンプ来てたのか」

猫子「期待の若手、ルーキー、新外国人……中堅やベテラン陣も含めて仕上がり具合をしっかり確認するのはファンの義務ですから」

タマ「一人で来たの?」

猫子「いえ、母も一緒です。去年の優勝で心も体も10歳若返ったみたいで、今年はキャンプを見に行こうと」

タマ「そうなんだー」

タマ「あれ、10歳若返ったってことは……猫子ちゃんのお母さんは7歳に!?」

レオナ「猫子より年下になってるぞ……」

ファル子「猫子ちゃん久しぶり~? きゃ~今年も可愛いわぁ。なでなでしてもいいかしら」なでなで

猫子「春子さん、ちゃんと許可取ってからなでてください。申告スクイズじゃないんですから」

12: 2019/02/24(日)02:46:49 ID:M0H
レオナ「お、ランチ特打やってるのな」

タマ「ヒット性の当たりが多いですね。顔はあまり覚えのない選手なのですが」

猫子「あの選手は守備には定評がありますがなかなか打撃が伴わないんですよね。去年も2軍暮らしが長くて」

レオナ「二塁が空いたとはいえ、ルーキー含めてレギュラー争いは激しいもんな」

タマ「そうなんですか。それで頑張ってごはんも食べずに練習を」

ファル子「来年には外野に大穴開くしチャンスあるんじゃない?」

レオナ「おいやめろ……来年の話は」

13: 2019/02/24(日)02:48:21 ID:M0H
猫子「まじめで練習熱心な選手なので応援しているんですが」

ファル子「そうなの。不真面目で勉強してない誰かさんと違って、成果が出たらいいわね」

タマ「はい。レオナさんみたいに新学期の戦力外(留年)にならないでほしいです」

レオナ「ちょ、私はまだ留年決まってないからな!」

猫子「大丈夫ですよ、レオナさん」

レオナ「猫子……」

猫子「育成枠(留年)で再出発すればいいんです。私がドラ1で高校に入学するまで待っててくださいね」

レオナ「おーい私を何年留年させる気だー?」

14: 2019/02/24(日)02:50:10 ID:M0H
ファル子「シーズン中の試合で見るのは主力クラスがほとんどだけど、キャンプではあまり見れない選手も間近で見られるのが魅力よね」

レオナ「ファン感のときとはまた違った空気でチームを身近に感じられる。タマ、やっぱいいな、キャンプ!」

タマ「はいっ」

猫子「それじゃあ、そろそろ母のもとに戻ります。もし即席サイン会が始まったら連絡くださいね」

レオナ「おっけー」

ファル子「あーん、もう行っちゃうの猫子ちゃん……」

タマ「またね、猫子ちゃん」

15: 2019/02/24(日)02:51:46 ID:M0H
レオナ「じゃ、ちょうど昼時だし。そろそろ私達もごはん食べに行くか」

ファル子「そうね」

タマ「もうおなかペコペコです」

レオナ「いや、タマはフリー打撃見てたときからいろいろ食べてただろ……」

ファル子「あなた、このままじゃぶくぶく太ってキャッツの4番やおかわりくんみたいになるわよ……」

タマ「!!」ガーン

タマ「私もランチ特打してきます~!!」ダッ

レオナ「おい、そっちは関係者以外立ち入り禁止だぞーっ」

ファル子「冗談に決まってるでしょっ」

16: 2019/02/24(日)02:52:33 ID:M0H
【宿舎】

タマ「それじゃ、お風呂いただきますね」

レオナ「おーう」

ファル子「行ってらっしゃい」

レオナ「いやー、まあまあ良いホテルじゃん。けちなファル子のことだからカプセルホテルとかに泊まることになるのかと」

ファル子「節約って言いなさいよ……。まあ、一人だったらそれもありだけど、3人だしね。温泉宿とかってわけにはいかないけど」

レオナ「初めて宮崎キャンプに来たけどなかなか楽しいな。シーズンの開幕が楽しみ!」

ファル子「そうね。……、ねえ、レオナ」

レオナ「ん?」

17: 2019/02/24(日)02:53:38 ID:M0H
ファル子「どうして急にキャンプ行きたいって言いだしたの? 行こうと思えばいつだって……来年でも」

レオナ「いやー、来年はさ」

ファル子「……あ、そっか。来年のこの時期ってちょうど受験」

レオナ「わぁ~! それを言わないでくれ~!」

ファル子「いや、言わないもなにも実際そうじゃない(その前にあなたは今年の留年問題もあるけど……)」

レオナ「うう~。まあ、それでさすがに来年はキャンプはきつそうだろ。それに」

ファル子「それに?」

レオナ「みんな高校卒業したら、今のように毎日野球の話して、頻繁に試合見に行ったりとかできなくなるかもしれない」

ファル子「……」

レオナ「だから、今年は今まで以上に思いっきりみんなで野球を楽しもうと思ってな!」

ファル子「……そう」

18: 2019/02/24(日)02:55:13 ID:M0H
ファル子(まあ、何だかんだで卒業後も、ちょくちょく野球見に行くと思うけどね。私たち)

ファル子「能天気なあなたがそんなこと思ってたなんてね。意外だわ」

レオナ「の、能天気で悪かったな」

ファル子「あの子が聞いたらなんていうかしらね」

レオナ「なっ。おいやめろよ、絶対言うなよ?」///

ファル子「どうしようかしら~。明日の紅白戦でファルコンズユニ着て応援するなら考えてあげてもいいけど」

レオナ「おのれファル子~」


タマ(ふふっ)コソ

19: 2019/02/24(日)02:56:26 ID:M0H
【宮崎(翌日)】

ビュン!
バシッ!
カンッ!
 ズザザッ!

ファル子「練習もいいけど、やっぱり試合を見るのはいいわね」

レオナ「ひいき以外の球団の紅白戦見ても別に面白くないけどな」

ファル子「ちょっとはっきり本音言うんじゃないわよ! 昨日付き合ってあげたのに!」

レオナ「ファル子が勝手について来たんだろー」

タマ「そうですか? いろんな選手がいて見ていて面白いですよ。同じチームの中でも真剣勝負しているのがプロって感じで」

ファル子「ありがと……」

タマ「あと、ここの限定弁当が本当においしくて……!」モグモグ

ファル子「って絶対そっちがメインよね!?」

20: 2019/02/24(日)02:57:42 ID:M0H
レオナ「紅白戦って打ちまくるとピッチャー陣が心配になるし、ゼロ行進だと打線が心配になるよな」

ファル子「ほんとそれ。まあ、今からアピールが必要な選手と、あくまで調整中のレギュラー組とじゃ求められるものも違うけど」

ファル子「……でも、とにかくみんなケガだけはしないことを祈るばかりよ」

レオナ「それな。この時期に今季絶望とか聞いたら他球団の選手でも辛いもんな」

タマ「練習試合でもケガしてしまうくらい、みんな全力でやってるんですね」

レオナ「ああ、老いも若いもみんなライバル同士さ」

タマ「はい。でも、ライバルなだけじゃないですよね」

レオナ「ん?」

21: 2019/02/24(日)02:59:11 ID:M0H
タマ「ライバルであって……みんな大事な仲間」

レオナ「……タマ」

タマ「私たちも。ライバルであり」

ファル子「……えぇ」コクリ

タマ「仲間ですね」

レオナ「ああ、もちろん」

22: 2019/02/24(日)03:00:18 ID:M0H


レオナさん、ファル子さん

    これからもずっと――

        私を球場に連れてって!



                            (おしまい)

23: 2019/02/24(日)03:01:05 ID:M0H
原作はギャグ要素強いしあくまでファンの生態がメインなので
野球にあまり詳しくない>>1でも楽しめるからおすすめ

なお今季中の打ち切りもありえる模様

引用元: 【私を球場に連れてって!】レオナ「キャンプに行くぞ!」