1: 2009/10/23(金) 21:20:41.01 ID:QLov/kpV0
『唯編』
澪「そういう所が嫌なんだよ」
床に突っ伏したまま泣いている私に、澪ちゃんはそう言った。
もう私は何十分もこうして床に丸まって、顔を隠して泣いている。
駄々をこねる私に、とうとう澪ちゃんは愛想を尽かしたらしい。
唯「う…うぅ…うああああああん…」
謝らなきゃ。
いくらそう思っても涙が止まらない。泣き声も止まらない。
つくづく私は甘ったれた人間だ。
澪「わかった?いくら泣いたってダメだ。私は別れるって決めたんだから」
澪「そういう所が嫌なんだよ」
床に突っ伏したまま泣いている私に、澪ちゃんはそう言った。
もう私は何十分もこうして床に丸まって、顔を隠して泣いている。
駄々をこねる私に、とうとう澪ちゃんは愛想を尽かしたらしい。
唯「う…うぅ…うああああああん…」
謝らなきゃ。
いくらそう思っても涙が止まらない。泣き声も止まらない。
つくづく私は甘ったれた人間だ。
澪「わかった?いくら泣いたってダメだ。私は別れるって決めたんだから」
5: 2009/10/23(金) 21:25:46.61 ID:QLov/kpV0
澪ちゃんの言葉とは思えなかった。
優しさも愛情も感じられない。友情すらそこにはなかった。
唯「ふっ…うっ…うわあああああん」
顔を床に伏せたまま、一際大きな声で私は泣いた。
澪ちゃんに対する当てつけでそうしたわけではない。
ただ、澪ちゃんの言葉を受け入れ、目の前の現実を飲み込むには、私の心は狭量すぎた。
決壊したダムのように、私の感情は身体を越えて溢れ出し、声となって発露した。
思えばあの時もそうだった。私の感情はいとも簡単に堤防を越え、自分自身を飲み込んだ。
ゴールデンウィーク後の部活。
開け放たれた窓から、ソフトボール部のランニングをする声が聞こえた音楽室―――
優しさも愛情も感じられない。友情すらそこにはなかった。
唯「ふっ…うっ…うわあああああん」
顔を床に伏せたまま、一際大きな声で私は泣いた。
澪ちゃんに対する当てつけでそうしたわけではない。
ただ、澪ちゃんの言葉を受け入れ、目の前の現実を飲み込むには、私の心は狭量すぎた。
決壊したダムのように、私の感情は身体を越えて溢れ出し、声となって発露した。
思えばあの時もそうだった。私の感情はいとも簡単に堤防を越え、自分自身を飲み込んだ。
ゴールデンウィーク後の部活。
開け放たれた窓から、ソフトボール部のランニングをする声が聞こえた音楽室―――
7: 2009/10/23(金) 21:35:01.67 ID:QLov/kpV0
澪「ひゃうっ!」
唯「ふおっ!?」
澪「…ベースが冷えてて、それが膝に当たって…」
唯「ひゃうっ!だって。もう一回言って?」
澪「い~や~だ~」
冬の日。
すがりついて懇願する私を、澪ちゃんは必氏で引き離そうとする。
本当にもう一回聞きたいと思った。
私の身体の奥から沸々と沸き上がる未知の感情がそこにはあった。
この時から、私は澪ちゃんのこの声を聞きたいがために、練習を始める前にベースを肩にかける澪ちゃんに注目する様になった。
しかし、澪ちゃんは私と違って賢い子だ。
反省を活かし、その綺麗な太股に冷えたベースを当てる事はもうなかった。
それでも私は、澪ちゃんを観察し続けた。
唯「ふおっ!?」
澪「…ベースが冷えてて、それが膝に当たって…」
唯「ひゃうっ!だって。もう一回言って?」
澪「い~や~だ~」
冬の日。
すがりついて懇願する私を、澪ちゃんは必氏で引き離そうとする。
本当にもう一回聞きたいと思った。
私の身体の奥から沸々と沸き上がる未知の感情がそこにはあった。
この時から、私は澪ちゃんのこの声を聞きたいがために、練習を始める前にベースを肩にかける澪ちゃんに注目する様になった。
しかし、澪ちゃんは私と違って賢い子だ。
反省を活かし、その綺麗な太股に冷えたベースを当てる事はもうなかった。
それでも私は、澪ちゃんを観察し続けた。
9: 2009/10/23(金) 21:41:40.34 ID:QLov/kpV0
ずっと忘れていたが、最初に澪ちゃんを見た時、本当に綺麗な子だと思った。
澪「ようこそ軽音部へ」
あの時の私は、入部を断る事で頭がいっぱいだった。それでも一瞬、彼女に目を奪われた。
私みたいな平凡な女の子とは違い、背が高く、かっこいい大人の女性だった。
三年からは同じクラスになり、最初の席替えで私は澪ちゃんの隣になった。
唯「わーい、澪ちゃんが隣だ!」
澪「うん、よろしくな唯」
あの冬の日から、無意識のうちに私は澪ちゃんを目で追うようになっていた。
澪「ようこそ軽音部へ」
あの時の私は、入部を断る事で頭がいっぱいだった。それでも一瞬、彼女に目を奪われた。
私みたいな平凡な女の子とは違い、背が高く、かっこいい大人の女性だった。
三年からは同じクラスになり、最初の席替えで私は澪ちゃんの隣になった。
唯「わーい、澪ちゃんが隣だ!」
澪「うん、よろしくな唯」
あの冬の日から、無意識のうちに私は澪ちゃんを目で追うようになっていた。
12: 2009/10/23(金) 21:48:06.16 ID:QLov/kpV0
>>8
保存し…うわあああああああああああああああああああああああ
保存し…うわあああああああああああああああああああああああ
13: 2009/10/23(金) 21:50:08.59 ID:QLov/kpV0
澪「…い…唯…唯!おい唯!」
唯「ほえ…?」
澪「お前、当てられてるぞ?」
唯「へっ…!?」
その日の英語の授業中、隣に座る澪ちゃんに見とれていた私は、自分が当てられた事にも気づかなかった。
先生「平沢さん、じゃあこの英文を訳して」
唯「え…えーっと…ア、アイ、アイム…」
澪「いや、和訳だってば」
わかるわけがない。
その授業は頭からほとんど聞いていなかったのだ。
唯「ほえ…?」
澪「お前、当てられてるぞ?」
唯「へっ…!?」
その日の英語の授業中、隣に座る澪ちゃんに見とれていた私は、自分が当てられた事にも気づかなかった。
先生「平沢さん、じゃあこの英文を訳して」
唯「え…えーっと…ア、アイ、アイム…」
澪「いや、和訳だってば」
わかるわけがない。
その授業は頭からほとんど聞いていなかったのだ。
16: 2009/10/23(金) 21:55:32.01 ID:QLov/kpV0
私がもたついてるのを見ていられなかったのか、澪ちゃんが手を挙げた。
先生「ん?…仕方ないな。じゃあ秋山さん」
澪ちゃんは立ち上がると、事もなげに答えた。
澪「はい。えーっと…『私が部屋に入った時、カーテンの隙間からは朝日が射していて、』…うんたらかんたら」
先生「ん。正解」
律「おおー、私今のところ、カーテンにくるまって部屋に入ったのかと思ってたよ」
先生「ん?…仕方ないな。じゃあ秋山さん」
澪ちゃんは立ち上がると、事もなげに答えた。
澪「はい。えーっと…『私が部屋に入った時、カーテンの隙間からは朝日が射していて、』…うんたらかんたら」
先生「ん。正解」
律「おおー、私今のところ、カーテンにくるまって部屋に入ったのかと思ってたよ」
18: 2009/10/23(金) 22:04:48.61 ID:QLov/kpV0
りっちゃんのボケに教室がどっと沸いた。
澪ちゃんはすっと席に座ると、私のほうをちらっと見た。
私が小声で、
唯「澪ちゃんありがとう」
と言うと、ふっと笑って澪ちゃんは黒板のほうを向いた。
かっこいい。
素直にそう思った。
授業が終わり、放課後になり、部活が始まっても、私はまださっきの澪ちゃんの笑顔が頭から離れなかった。
見慣れたはずの澪ちゃんの顔が、やけに新鮮に思えた。
澪ちゃんはすっと席に座ると、私のほうをちらっと見た。
私が小声で、
唯「澪ちゃんありがとう」
と言うと、ふっと笑って澪ちゃんは黒板のほうを向いた。
かっこいい。
素直にそう思った。
授業が終わり、放課後になり、部活が始まっても、私はまださっきの澪ちゃんの笑顔が頭から離れなかった。
見慣れたはずの澪ちゃんの顔が、やけに新鮮に思えた。
20: 2009/10/23(金) 22:14:33.34 ID:QLov/kpV0
律「いやあ、しかし澪が授業中に自分から手をあげるなんてな」
澪「だって唯がさ…。ちょっと放っておけなくて」
紬「でもあの時の澪ちゃん、かっこよかったわ」
澪「そ、そう?ハハハ…。唯、今度からちゃんと予習しとけよ?」
唯「…」
梓「…唯先輩?」
唯「え」
澪「全く、ちょっとは予習しとけよ?」
唯「う、うん。そうだね」
澪「だって唯がさ…。ちょっと放っておけなくて」
紬「でもあの時の澪ちゃん、かっこよかったわ」
澪「そ、そう?ハハハ…。唯、今度からちゃんと予習しとけよ?」
唯「…」
梓「…唯先輩?」
唯「え」
澪「全く、ちょっとは予習しとけよ?」
唯「う、うん。そうだね」
22: 2009/10/23(金) 22:21:51.87 ID:QLov/kpV0
澪ちゃんはやれやれ、といった顔をしている。
私は途端に恥ずかしくなった。
澪ちゃんに見られるのが、澪ちゃんと話すのが、恥ずかしくて仕方なかった。
この時は、自分が授業中にヘマをやらかしたらだとしか思わなかった。
その夜、私は家に帰り、憂が作った夕飯を食べ終わると、自分の部屋のベッドに身を放り出した。
俯せで枕に顔をうずめながら、英語の授業中に澪ちゃんが私に向けた笑顔を思い出した。
やけに落ち着かない。
私は悶々としながら、思い出したようにケータイを開いた。
新規メール作成。
宛先、澪ちゃん。
[澪ちゃん、今日はありがとう]
最後に絵文字を打ち終わると、そわそわした。
私は送信ボタンを押す。
一曲演奏し終えたような達成感があった。
私は途端に恥ずかしくなった。
澪ちゃんに見られるのが、澪ちゃんと話すのが、恥ずかしくて仕方なかった。
この時は、自分が授業中にヘマをやらかしたらだとしか思わなかった。
その夜、私は家に帰り、憂が作った夕飯を食べ終わると、自分の部屋のベッドに身を放り出した。
俯せで枕に顔をうずめながら、英語の授業中に澪ちゃんが私に向けた笑顔を思い出した。
やけに落ち着かない。
私は悶々としながら、思い出したようにケータイを開いた。
新規メール作成。
宛先、澪ちゃん。
[澪ちゃん、今日はありがとう]
最後に絵文字を打ち終わると、そわそわした。
私は送信ボタンを押す。
一曲演奏し終えたような達成感があった。
27: 2009/10/23(金) 22:30:42.27 ID:QLov/kpV0
すぐに、私のケータイが鳴った。
澪ちゃんから返信が来た。わくわくしながら私はメールを開いた。
[え?なにが?]
絵文字も何もない、シンプルな澪ちゃんのメール。
それすらもかっこよく思えた。
私は少し考えてから、返信をした。
[英語の授業中、私のかわりに答えてくれてありがとう]
[なんだ、その事か。明日はちゃんと予習して来るんだよ]
[了解です!]
ケータイを閉じると、不思議と笑みがこぼれた。
私は枕に顔を埋めて、足をバタバタさせる。
なんでこんなに嬉しくなるのか、見当もつかなかった。
少しして気持ちが落ち着くと、私は机に向かい、英語の教科書を開いた。
澪ちゃんから返信が来た。わくわくしながら私はメールを開いた。
[え?なにが?]
絵文字も何もない、シンプルな澪ちゃんのメール。
それすらもかっこよく思えた。
私は少し考えてから、返信をした。
[英語の授業中、私のかわりに答えてくれてありがとう]
[なんだ、その事か。明日はちゃんと予習して来るんだよ]
[了解です!]
ケータイを閉じると、不思議と笑みがこぼれた。
私は枕に顔を埋めて、足をバタバタさせる。
なんでこんなに嬉しくなるのか、見当もつかなかった。
少しして気持ちが落ち着くと、私は机に向かい、英語の教科書を開いた。
28: 2009/10/23(金) 22:32:23.87 ID:QLov/kpV0
翌日、遅刻ギリギリで教室についた私は、澪ちゃんの隣の自分の席についた。
澪「おはよう唯。危なかったな」
唯「う、うん。そうだね」
澪「?」
挙動不審な私を訝しげに見る澪ちゃん。
また恥ずかしくなってしまった私は、澪ちゃんから目を逸らした。
ホームルームが終わると、私はノートを取り出した。
澪「おはよう唯。危なかったな」
唯「う、うん。そうだね」
澪「?」
挙動不審な私を訝しげに見る澪ちゃん。
また恥ずかしくなってしまった私は、澪ちゃんから目を逸らした。
ホームルームが終わると、私はノートを取り出した。
29: 2009/10/23(金) 22:33:58.54 ID:QLov/kpV0
唯「ほら見て。ちゃんと予習してきたよ~」
澪「お!偉いな唯……ってこれ、予習範囲越えてるぞ!?」
唯「え?」
澪「教科書ほとんど終わらせちゃってるじゃん!」
唯「あ…えへへ、張り切りすぎちゃった」
澪「ほんとに極端な子…」
律「なになに?どしたの?」
澪「お!偉いな唯……ってこれ、予習範囲越えてるぞ!?」
唯「え?」
澪「教科書ほとんど終わらせちゃってるじゃん!」
唯「あ…えへへ、張り切りすぎちゃった」
澪「ほんとに極端な子…」
律「なになに?どしたの?」
30: 2009/10/23(金) 22:34:58.73 ID:QLov/kpV0
澪「ほら、唯が英語の予習、ほとんど終わらせちゃったんだよ」
律「うお!?マジで!ちょ…ちょっと写させてくれ!」
唯「ふふん!どーぞどーぞ」
律「あ~ありがたや~ありがたや~」
澪「あ、ちょっと待って。…ここと…あとここもだな。間違ってるぞ」
唯「ありゃ?」
律「…なんだよ、じゃあいいや~」
律「うお!?マジで!ちょ…ちょっと写させてくれ!」
唯「ふふん!どーぞどーぞ」
律「あ~ありがたや~ありがたや~」
澪「あ、ちょっと待って。…ここと…あとここもだな。間違ってるぞ」
唯「ありゃ?」
律「…なんだよ、じゃあいいや~」
31: 2009/10/23(金) 22:41:12.67 ID:QLov/kpV0
澪ちゃんはスラスラと訂正箇所を直していく。
黒くて長い髪を耳にかけ、真剣な眼差しで。
私は訂正される英文より、澪ちゃんのほうを食い入るように見つめた。
澪「はい。とりあえず今日のぶんは直したから」
唯「うん。あ、ありがとう」
どぎまぎしながら私は澪ちゃんからノートを受け取った。
律「ほら、澪がちゃっちゃと直しちゃうから唯がへこんじゃったじゃん」
澪「えぇ?」
唯「そ、そんな事ないよ!澪ちゃん」
律「あーあ…唯かわいそー。澪ーイジメは良くないぞ?」
澪「うるさいっ」
黒くて長い髪を耳にかけ、真剣な眼差しで。
私は訂正される英文より、澪ちゃんのほうを食い入るように見つめた。
澪「はい。とりあえず今日のぶんは直したから」
唯「うん。あ、ありがとう」
どぎまぎしながら私は澪ちゃんからノートを受け取った。
律「ほら、澪がちゃっちゃと直しちゃうから唯がへこんじゃったじゃん」
澪「えぇ?」
唯「そ、そんな事ないよ!澪ちゃん」
律「あーあ…唯かわいそー。澪ーイジメは良くないぞ?」
澪「うるさいっ」
32: 2009/10/23(金) 22:43:15.63 ID:QLov/kpV0
二人の掛け合いは毎度の事で、私にとってそれは日常だったはずだが、この日はまるで悲劇の舞台でも見ているように、胸をえぐられる思いがした。
私の顔が色を失ったのを察したのか、りっちゃんは、
律「ほら!やっぱ澪がスラスラやっちゃうから唯が」
と澪ちゃんをからかった。
澪「う…。ほ、ほんとに落ち込んでるの?」
唯「ううん。そうじゃないんだけど…んー調子悪いのかなあ?」
律「おいおい、また風邪か?気をつけろよ?」
唯「がってんです!」
私の顔が色を失ったのを察したのか、りっちゃんは、
律「ほら!やっぱ澪がスラスラやっちゃうから唯が」
と澪ちゃんをからかった。
澪「う…。ほ、ほんとに落ち込んでるの?」
唯「ううん。そうじゃないんだけど…んー調子悪いのかなあ?」
律「おいおい、また風邪か?気をつけろよ?」
唯「がってんです!」
34: 2009/10/23(金) 22:48:30.16 ID:QLov/kpV0
その日から、私はもうまともに澪ちゃんと話せなくなった。
教室でも、音楽室でも、私は澪ちゃんに話しかけられても、素っ気無い返事をするだけだった。
でも、毎日何かしらの理由をつけて澪ちゃんとメールを送った。
目が合うと、私はすぐ逸らすくせに、それでも胸が躍った。
たまの会話は楽しくて、体中が軽くなって浮かび上がるような気持ちがした。
ようやく気づいた。
私は澪ちゃんが好きなんだ。
でも、私達は友達。いや、それ以前に女の子同士だ。
和ちゃんにすら相談できず、私は毎晩ベッドの上で澪ちゃんのメールを待ちながら、頭を抱えていた。
足をばたつかせ、澪ちゃんが書いた歌詞を眺めながら一人でニヤニヤしていた。
教室でも、音楽室でも、私は澪ちゃんに話しかけられても、素っ気無い返事をするだけだった。
でも、毎日何かしらの理由をつけて澪ちゃんとメールを送った。
目が合うと、私はすぐ逸らすくせに、それでも胸が躍った。
たまの会話は楽しくて、体中が軽くなって浮かび上がるような気持ちがした。
ようやく気づいた。
私は澪ちゃんが好きなんだ。
でも、私達は友達。いや、それ以前に女の子同士だ。
和ちゃんにすら相談できず、私は毎晩ベッドの上で澪ちゃんのメールを待ちながら、頭を抱えていた。
足をばたつかせ、澪ちゃんが書いた歌詞を眺めながら一人でニヤニヤしていた。
36: 2009/10/23(金) 22:52:26.20 ID:QLov/kpV0
その日から、私はもうまともに澪ちゃんと話せなくなった。
教室でも、音楽室でも、私は澪ちゃんに話しかけられると、素っ気無い返事をするだけ。
でも、毎日何かしらの理由をつけて澪ちゃんにメールを送った。
目が合うと、私はすぐ逸らすくせに、それでも胸が躍った。
たまの会話は楽しくて、体中が軽くなって浮かび上がるような気持ちがした。
ようやく気づいた。
私は澪ちゃんが好きなんだ。
前に誰かが言っていた。
初恋とはこれが最後の恋だと思うもので、最後の恋はこれこそ初恋だと思うものだと。
私には、その両方がこの気持ちに当てはまる気がした。
でも、私達は友達。いや、それ以前に女の子同士だ。
和ちゃんにすら相談できず、私は毎晩ベッドの上で澪ちゃんのメールを待ちながら、頭を抱えていた。
足をばたつかせ、澪ちゃんが書いた歌詞を眺めながら一人でニヤニヤしていた。
教室でも、音楽室でも、私は澪ちゃんに話しかけられると、素っ気無い返事をするだけ。
でも、毎日何かしらの理由をつけて澪ちゃんにメールを送った。
目が合うと、私はすぐ逸らすくせに、それでも胸が躍った。
たまの会話は楽しくて、体中が軽くなって浮かび上がるような気持ちがした。
ようやく気づいた。
私は澪ちゃんが好きなんだ。
前に誰かが言っていた。
初恋とはこれが最後の恋だと思うもので、最後の恋はこれこそ初恋だと思うものだと。
私には、その両方がこの気持ちに当てはまる気がした。
でも、私達は友達。いや、それ以前に女の子同士だ。
和ちゃんにすら相談できず、私は毎晩ベッドの上で澪ちゃんのメールを待ちながら、頭を抱えていた。
足をばたつかせ、澪ちゃんが書いた歌詞を眺めながら一人でニヤニヤしていた。
37: 2009/10/23(金) 22:55:57.31 ID:QLov/kpV0
律「唯、ちょっといい?」
ゴールデンウイーク前の最後の部活後、りっちゃんが話しかけてきた。
その日はりっちゃんと二人で下校する事になった。
下駄箱で外靴を履き終わると、りっちゃんが話を切り出した。
律「お前さ、最近澪に対して距離置いてない?」
心臓が大きく鳴り、体中の血液が沸騰しそうになった。
もしかしてりっちゃんにはバレているのだろうか?
律「もしかして、澪と喧嘩でもしたの?」
唯「え?ち、違うよ」
ゴールデンウイーク前の最後の部活後、りっちゃんが話しかけてきた。
その日はりっちゃんと二人で下校する事になった。
下駄箱で外靴を履き終わると、りっちゃんが話を切り出した。
律「お前さ、最近澪に対して距離置いてない?」
心臓が大きく鳴り、体中の血液が沸騰しそうになった。
もしかしてりっちゃんにはバレているのだろうか?
律「もしかして、澪と喧嘩でもしたの?」
唯「え?ち、違うよ」
38: 2009/10/23(金) 22:58:18.10 ID:QLov/kpV0
律「…澪はさ、確かにちょっと口ベタだし、融通利かないとこあるけど…まあそこは梓も同じか」
律「とにかく、悪い奴じゃないと思うんだ。幼なじみの私が言うんだから間違いない」
唯「わかってるよそんなの」
わかってる。
私は澪ちゃんの親友じゃないし、幼なじみでもないけど、それは良くわかっているつもりだ。
律「ならいいんだ。…まあ、なんていうの?仲良くしてやってほしいんだ。私としては」
仲良くしたいに決まってる。誰よりも仲良くしたい。
律「とにかく、悪い奴じゃないと思うんだ。幼なじみの私が言うんだから間違いない」
唯「わかってるよそんなの」
わかってる。
私は澪ちゃんの親友じゃないし、幼なじみでもないけど、それは良くわかっているつもりだ。
律「ならいいんだ。…まあ、なんていうの?仲良くしてやってほしいんだ。私としては」
仲良くしたいに決まってる。誰よりも仲良くしたい。
39: 2009/10/23(金) 22:59:28.54 ID:QLov/kpV0
唯「…お…ちゃんも…」
律「ん?」
唯「澪ちゃんもそう思ってるのかな?私が距離置いてるって」
律「そりゃあ澪からそう聞いたからな」
唯「えっ…」
律「あ、いや…あはは…まずかったかな今の。忘れてくれ!」
唯「ううん。話してくれてありがとうりっちゃん!」
律「お、おう!最後の最後で喧嘩なんて私はイヤだからな?」
唯「わかってるよー大丈夫大丈夫!」
律「ん?」
唯「澪ちゃんもそう思ってるのかな?私が距離置いてるって」
律「そりゃあ澪からそう聞いたからな」
唯「えっ…」
律「あ、いや…あはは…まずかったかな今の。忘れてくれ!」
唯「ううん。話してくれてありがとうりっちゃん!」
律「お、おう!最後の最後で喧嘩なんて私はイヤだからな?」
唯「わかってるよー大丈夫大丈夫!」
41: 2009/10/23(金) 23:06:04.79 ID:QLov/kpV0
どうしよう。
澪ちゃんは私が澪ちゃんを避けてると思っている。
出来る事ならもっと澪ちゃんとくっつきたい。
いつもあずにゃんにしているみたいに。
でも出来ない。
澪ちゃんを前にすると、私の身体はレンガの様に固まり、言葉は行き場を失い、胃に飲み込むしかなくなる。
ゴールデンウイーク中の私は、空気の抜けた風船よろしく、ずっとベッドの上で悶々としていた。
澪ちゃんを誘ってどこかに行こうかとも考えた。
でもメールが出来ない。
私から送らない限り、澪ちゃんとはメールが出来ない事に気づいたからだ。
今までは、私が一方的に送っていただけで、もしかしたら澪ちゃんは迷惑だったんじゃないだろうか?
そう思うと私は送信ボタンが押せなくなった。
何度も何度もメールの下書きをしたが、後は送信ボタンを押すだけというところで、私は電源ボタンを連打してそれを消してしまうのだった。
結局、ゴールデンウィーク中は澪ちゃんに会う事はおろか、メールすらできなかった。
澪ちゃんは私が澪ちゃんを避けてると思っている。
出来る事ならもっと澪ちゃんとくっつきたい。
いつもあずにゃんにしているみたいに。
でも出来ない。
澪ちゃんを前にすると、私の身体はレンガの様に固まり、言葉は行き場を失い、胃に飲み込むしかなくなる。
ゴールデンウイーク中の私は、空気の抜けた風船よろしく、ずっとベッドの上で悶々としていた。
澪ちゃんを誘ってどこかに行こうかとも考えた。
でもメールが出来ない。
私から送らない限り、澪ちゃんとはメールが出来ない事に気づいたからだ。
今までは、私が一方的に送っていただけで、もしかしたら澪ちゃんは迷惑だったんじゃないだろうか?
そう思うと私は送信ボタンが押せなくなった。
何度も何度もメールの下書きをしたが、後は送信ボタンを押すだけというところで、私は電源ボタンを連打してそれを消してしまうのだった。
結局、ゴールデンウィーク中は澪ちゃんに会う事はおろか、メールすらできなかった。
43: 2009/10/23(金) 23:09:53.44 ID:QLov/kpV0
連休明け最初の部活。
音楽室の窓は開いていて、風で揺れるカーテンの隙間から夕陽が射し込み、高総体を控えたソフトボール部がランニング中に声を出しているのが聞こえる。
吹奏楽部の練習音も聴こえてくる。指揮者はさわちゃんだろうか。
りっちゃんとムギちゃんは掃除当番、あずにゃんは日直の仕事があったため、音楽室には私と澪ちゃんだけだった。
私は澪ちゃんと言葉を交わす事もなく、ギー太のチューニングをしていた。
澪「チューナー無しで出来るなんて凄いよな」
唯「うん」
私は澪ちゃんのほうを向かずに、返事をした。
でも、私の声はしっぽを振った犬のように喜んでいる。
違う。こんな会話をしたいわけじゃない。
どうしたら前みたいに構えずに会話出来るんだろう。
チューニングをする私の手が言う事を聞かない。
私がギー太と格闘していると、澪ちゃんが意を決したように言った。
澪「ねえ、どうして最近私と話そうとしないんだ?」
音楽室の窓は開いていて、風で揺れるカーテンの隙間から夕陽が射し込み、高総体を控えたソフトボール部がランニング中に声を出しているのが聞こえる。
吹奏楽部の練習音も聴こえてくる。指揮者はさわちゃんだろうか。
りっちゃんとムギちゃんは掃除当番、あずにゃんは日直の仕事があったため、音楽室には私と澪ちゃんだけだった。
私は澪ちゃんと言葉を交わす事もなく、ギー太のチューニングをしていた。
澪「チューナー無しで出来るなんて凄いよな」
唯「うん」
私は澪ちゃんのほうを向かずに、返事をした。
でも、私の声はしっぽを振った犬のように喜んでいる。
違う。こんな会話をしたいわけじゃない。
どうしたら前みたいに構えずに会話出来るんだろう。
チューニングをする私の手が言う事を聞かない。
私がギー太と格闘していると、澪ちゃんが意を決したように言った。
澪「ねえ、どうして最近私と話そうとしないんだ?」
46: 2009/10/23(金) 23:22:15.29 ID:QLov/kpV0
私が澪ちゃんに会えなかったのは、たかだかゴールデンウィークの数日間だけだ。
それでも、私はおあずけを食らった犬の様に、澪ちゃんに会い、言葉を交わす事を心待ちにしていた。
しっぽを振るどころか、よだれまで垂らすほどに。
一日千秋とは言うが、私には千では足りないくらいだった。
押し寄せて来た津波は、テトラポッドを越え、砂浜も、雑木林も飲み込むような気がした。
もう我慢しちゃダメだ。我慢なんてできない。
私はギー太を置き、ベースを肩にかけている澪ちゃんに近づいた。
私は澪ちゃんの細くて綺麗な手を両手でしっかりと握った。
唯「澪ちゃんが好きだからに決まってるじゃん」
それでも、私はおあずけを食らった犬の様に、澪ちゃんに会い、言葉を交わす事を心待ちにしていた。
しっぽを振るどころか、よだれまで垂らすほどに。
一日千秋とは言うが、私には千では足りないくらいだった。
押し寄せて来た津波は、テトラポッドを越え、砂浜も、雑木林も飲み込むような気がした。
もう我慢しちゃダメだ。我慢なんてできない。
私はギー太を置き、ベースを肩にかけている澪ちゃんに近づいた。
私は澪ちゃんの細くて綺麗な手を両手でしっかりと握った。
唯「澪ちゃんが好きだからに決まってるじゃん」
49: 2009/10/23(金) 23:24:36.04 ID:QLov/kpV0
多分、私の顔は窓から射す夕日よりも赤くなっていたと思う。
それでも私は澪ちゃんの顔をじっと見つめた。
もう目を逸らしたくなかった。
澪「と、友達って事だよな?」
突然の事に、澪ちゃんは目を見開いて私をじっと見ながら言った。
それでも私は澪ちゃんの顔をじっと見つめた。
もう目を逸らしたくなかった。
澪「と、友達って事だよな?」
突然の事に、澪ちゃんは目を見開いて私をじっと見ながら言った。
50: 2009/10/23(金) 23:27:52.73 ID:QLov/kpV0
唯「違うよ。わかってるでしょ」
澪ちゃんの顔が見る見る赤くなっていく。
足の先を含めた澪ちゃんの身体を巡る血液が、全て顔に集まったような顔を澪ちゃんはしていた。
澪「なんで私なの…?」
澪ちゃんは私から目を逸らしながら尋ねた。
なんで?
ずいぶん野暮な事を聞くんだね。
私は一呼吸置いてから答えた。
唯「澪ちゃんだから」
私の言葉を聞いて、澪ちゃんはさらに顔を赤くした。
私はトマトが好きだけど、今の澪ちゃんのほうがずっと好きだ。
今にも卒倒しそうな澪ちゃんの手を握りながら、私は言葉を続けた。
唯「ダメ?」
澪ちゃんの顔が見る見る赤くなっていく。
足の先を含めた澪ちゃんの身体を巡る血液が、全て顔に集まったような顔を澪ちゃんはしていた。
澪「なんで私なの…?」
澪ちゃんは私から目を逸らしながら尋ねた。
なんで?
ずいぶん野暮な事を聞くんだね。
私は一呼吸置いてから答えた。
唯「澪ちゃんだから」
私の言葉を聞いて、澪ちゃんはさらに顔を赤くした。
私はトマトが好きだけど、今の澪ちゃんのほうがずっと好きだ。
今にも卒倒しそうな澪ちゃんの手を握りながら、私は言葉を続けた。
唯「ダメ?」
51: 2009/10/23(金) 23:30:27.56 ID:QLov/kpV0
澪「ダメって…?どういう事?」
唯「私が澪ちゃんを好きって事。ダメかな?」
私は更に強く澪ちゃんの手を握る。
澪「ダメじゃないけど…」
唯「じゃあいいんだね?」
何がいいんだろう?
自分で言っててわけがわからなかった。
澪ちゃんは観念したような顔をして言った。
澪「…手、離してよ。落ち着いて話そう」
やりすぎた?
私は途端に電源が落ちたように冷静になった。
唯「わかった…」
私は視線を下に落とし、スッと手を引いた。
唯「私が澪ちゃんを好きって事。ダメかな?」
私は更に強く澪ちゃんの手を握る。
澪「ダメじゃないけど…」
唯「じゃあいいんだね?」
何がいいんだろう?
自分で言っててわけがわからなかった。
澪ちゃんは観念したような顔をして言った。
澪「…手、離してよ。落ち着いて話そう」
やりすぎた?
私は途端に電源が落ちたように冷静になった。
唯「わかった…」
私は視線を下に落とし、スッと手を引いた。
52: 2009/10/23(金) 23:33:58.36 ID:QLov/kpV0
澪ちゃんは椅子に腰掛け、私にも座るように促した。
私は内心びくつきながら正面の椅子に座り、伏せ目がちに澪ちゃんを見つめた。
暫しの沈黙。
それから澪ちゃんは、泣いている子供を諭すような声色で言った。
澪「つまりだ。唯は私の事が好き。それも恋愛の意味で。こういう事か?」
すでにきりきり舞いになっていた私とは対照的に、澪ちゃんはとても冷静に見えた。
怖がりと言えど、こういう時に自分を保てるのは流石だと思った。
唯「うん」
私は内心びくつきながら正面の椅子に座り、伏せ目がちに澪ちゃんを見つめた。
暫しの沈黙。
それから澪ちゃんは、泣いている子供を諭すような声色で言った。
澪「つまりだ。唯は私の事が好き。それも恋愛の意味で。こういう事か?」
すでにきりきり舞いになっていた私とは対照的に、澪ちゃんはとても冷静に見えた。
怖がりと言えど、こういう時に自分を保てるのは流石だと思った。
唯「うん」
53: 2009/10/23(金) 23:36:00.84 ID:QLov/kpV0
澪「いつから?」
少し記憶を辿ってから私は答えた。
唯「…わかんない」
澪「そうか」
何て気のない返事だろう。
もしかして怒っているのだろうか。
堤防を越えた津波は、災害でしかなかったのだろうか。
私は精一杯記憶を遡った。
私が澪ちゃんを好きになったのは…
唯「あ、多分、冬あたりからだと思う」
澪「冬?」
少し記憶を辿ってから私は答えた。
唯「…わかんない」
澪「そうか」
何て気のない返事だろう。
もしかして怒っているのだろうか。
堤防を越えた津波は、災害でしかなかったのだろうか。
私は精一杯記憶を遡った。
私が澪ちゃんを好きになったのは…
唯「あ、多分、冬あたりからだと思う」
澪「冬?」
55: 2009/10/23(金) 23:37:19.39 ID:QLov/kpV0
唯「うん。澪ちゃんがベースを太ももに当てた時…かな?」
澪「は?」
澪ちゃんは覚えていないようだ。
唯「ほら、ベースが冷えてて」
澪「…ああ、あの時か」
唯「多分」
澪ちゃんが不思議そうな顔をして尋ねた。
澪「それで好きになるっておかしくないか?」
澪「は?」
澪ちゃんは覚えていないようだ。
唯「ほら、ベースが冷えてて」
澪「…ああ、あの時か」
唯「多分」
澪ちゃんが不思議そうな顔をして尋ねた。
澪「それで好きになるっておかしくないか?」
56: 2009/10/23(金) 23:39:16.21 ID:QLov/kpV0
もっともな意見だ。
でも…
唯「何がきっかけで人を好きになるなんてわかんないじゃん」
澪「そりゃそうだけど」
私はもう相当パニックになっていた。
ホラー映画だったら丁度逃げ惑っているあたりだ。
自分がどんな顔をして喋っているのかもわからなかった。
唯「大事なのは私が澪ちゃんを好きかどうかだよ。きっかけなんて関係ないよ」
澪ちゃんは何も答えない。
でも…
唯「何がきっかけで人を好きになるなんてわかんないじゃん」
澪「そりゃそうだけど」
私はもう相当パニックになっていた。
ホラー映画だったら丁度逃げ惑っているあたりだ。
自分がどんな顔をして喋っているのかもわからなかった。
唯「大事なのは私が澪ちゃんを好きかどうかだよ。きっかけなんて関係ないよ」
澪ちゃんは何も答えない。
59: 2009/10/23(金) 23:41:41.04 ID:QLov/kpV0
私は混乱したまま話し続ける。
唯「澪ちゃんは私の事どう思ってるの?」
澪「どうって…」
唯「好き?」
好きなわけがない。
我ながら素っ頓狂な事を聞いたもんだ。
私が一方的に好きになっただけで、澪ちゃんにそれらしい気配はまるでなかった。
メールだっていつも私から送っていたに過ぎない。
澪ちゃんは少し困ったような顔をして答えた。
澪「考えた事もないよ。だって私ら女の子だろ?」
唯「…うん」
唯「澪ちゃんは私の事どう思ってるの?」
澪「どうって…」
唯「好き?」
好きなわけがない。
我ながら素っ頓狂な事を聞いたもんだ。
私が一方的に好きになっただけで、澪ちゃんにそれらしい気配はまるでなかった。
メールだっていつも私から送っていたに過ぎない。
澪ちゃんは少し困ったような顔をして答えた。
澪「考えた事もないよ。だって私ら女の子だろ?」
唯「…うん」
62: 2009/10/23(金) 23:43:43.03 ID:QLov/kpV0
正論だ。
明らかに私がおかしい。
こんなおかしい事に澪ちゃんを巻き込んだ自分が恥ずかしくなり、私は俯いた。
澪「いや、そういうのを否定するつもりはないけどさ、なんていうか…ちょっとびっくりしたかな」
私は俯いたまま答えた。
唯「私だっておかしいなって思うよ…。でもどうしようもないんだもん」
何て身勝手な言い分だろう。
他にいくらでも言いようがあったはずなのに。
澪「もしかして恋愛じゃなくてさ、なんかこう…別の感情なんじゃないか?」
明らかに私がおかしい。
こんなおかしい事に澪ちゃんを巻き込んだ自分が恥ずかしくなり、私は俯いた。
澪「いや、そういうのを否定するつもりはないけどさ、なんていうか…ちょっとびっくりしたかな」
私は俯いたまま答えた。
唯「私だっておかしいなって思うよ…。でもどうしようもないんだもん」
何て身勝手な言い分だろう。
他にいくらでも言いようがあったはずなのに。
澪「もしかして恋愛じゃなくてさ、なんかこう…別の感情なんじゃないか?」
65: 2009/10/23(金) 23:45:45.20 ID:QLov/kpV0
違う。
それは絶対に違う。
確かに私は今まで恋愛なんてした事がない。
それでも澪ちゃんに対する気持ちには、これが恋だという妙に確信めいたものがあった。
しかし、それをこの場で証明する術はない。
唯「ううん。私だって小学校や中学校の時に気になる男の子はいたよ」
私は嘘をついた。
唯「その時の気持ちと、今の澪ちゃんに対する気持ち…同じだもん」
澪「私は男かい…」
それは絶対に違う。
確かに私は今まで恋愛なんてした事がない。
それでも澪ちゃんに対する気持ちには、これが恋だという妙に確信めいたものがあった。
しかし、それをこの場で証明する術はない。
唯「ううん。私だって小学校や中学校の時に気になる男の子はいたよ」
私は嘘をついた。
唯「その時の気持ちと、今の澪ちゃんに対する気持ち…同じだもん」
澪「私は男かい…」
66: 2009/10/23(金) 23:47:56.50 ID:QLov/kpV0
慌てて私は訂正した。
唯「あっ!違う違う!澪ちゃんはとっても素敵な女の子だと思うよ!本当だよ!」
それを聞いた澪ちゃんは俯いてしまった。
何か言い方がまずかったのだろうか。
私は言い訳をするように言葉を続けた。
唯「私も最初はびっくりしたよ。まさか女の子を好きになるなんて」
澪「そりゃそうだ」
唯「ちょっと悩んだりもした」
澪「うん」
唯「でも澪ちゃんと話すと恥ずかしくて、嬉しくて…ああ、私、澪ちゃんの事好きなんだなって」
唯「あっ!違う違う!澪ちゃんはとっても素敵な女の子だと思うよ!本当だよ!」
それを聞いた澪ちゃんは俯いてしまった。
何か言い方がまずかったのだろうか。
私は言い訳をするように言葉を続けた。
唯「私も最初はびっくりしたよ。まさか女の子を好きになるなんて」
澪「そりゃそうだ」
唯「ちょっと悩んだりもした」
澪「うん」
唯「でも澪ちゃんと話すと恥ずかしくて、嬉しくて…ああ、私、澪ちゃんの事好きなんだなって」
67: 2009/10/23(金) 23:50:24.51 ID:QLov/kpV0
オーバーヒートした私の頭には、次々と言葉が降って湧いてきて、自分でも驚く程私の口は正直になった。
しかし、澪ちゃんは何も答えず、黙り込んでしまった。
私は途端に申し訳なくなってしまい、
唯「ごめんなさい澪ちゃん…やっぱりイヤだよね…」
と歯切れ悪く謝った。
澪ちゃんは怪訝そうな顔をして尋ねた。
澪「う、うーん…ていうか何で今のタイミングで言ったの?全然そういう空気じゃなかったのに」
しかし、澪ちゃんは何も答えず、黙り込んでしまった。
私は途端に申し訳なくなってしまい、
唯「ごめんなさい澪ちゃん…やっぱりイヤだよね…」
と歯切れ悪く謝った。
澪ちゃんは怪訝そうな顔をして尋ねた。
澪「う、うーん…ていうか何で今のタイミングで言ったの?全然そういう空気じゃなかったのに」
68: 2009/10/23(金) 23:53:06.51 ID:QLov/kpV0
改めてそれを聞かれると困る。
私が今告白したのは、殆どエンジンの暴走によるものだった。
唯「勢いといいますか…二人っきりだし、こう…溢れ出したといいますか…」
澪「…ありがとう。嬉しいよ」
その言葉を聞いて、私はお菓子を与えられた子供のように嬉しくなった。
17歳の今でもお菓子を貰うのは嬉しいが。
唯「え?じゃあ…」
私は期待に胸を膨らませた。
澪「あ、いや…付き合うとかは別の話。今まで唯の事そーゆー目で見た事なかったから」
私が今告白したのは、殆どエンジンの暴走によるものだった。
唯「勢いといいますか…二人っきりだし、こう…溢れ出したといいますか…」
澪「…ありがとう。嬉しいよ」
その言葉を聞いて、私はお菓子を与えられた子供のように嬉しくなった。
17歳の今でもお菓子を貰うのは嬉しいが。
唯「え?じゃあ…」
私は期待に胸を膨らませた。
澪「あ、いや…付き合うとかは別の話。今まで唯の事そーゆー目で見た事なかったから」
69: 2009/10/23(金) 23:56:57.30 ID:QLov/kpV0
唯「…」
私は落胆した。
それはそうだ。
普通、女の子は女の子を好きにならない。好きになられるとも思わない。
澪「考える時間をくれない?」
唯「…」
澪「だってそうだろ?いきなり言われたわけだし」
澪「私、ロクに恋愛した事ないから段取りとかわかんないし」
澪「告白されたのだって今が初めてだよ」
澪ちゃんは急に饒舌になった気がした。
唯「ウソだぁ。澪ちゃんモテるでしょ」
澪「そんな事ないって。だからさ、とりあえず時間をくれよ」
唯「…そっか。それもそうだよね!うん、わかった。私待つよ」
少なくとも希望は残った。
どうやら大洪水はそれほど悲惨な被害を生んだわけではなさそうだ。
私は落胆した。
それはそうだ。
普通、女の子は女の子を好きにならない。好きになられるとも思わない。
澪「考える時間をくれない?」
唯「…」
澪「だってそうだろ?いきなり言われたわけだし」
澪「私、ロクに恋愛した事ないから段取りとかわかんないし」
澪「告白されたのだって今が初めてだよ」
澪ちゃんは急に饒舌になった気がした。
唯「ウソだぁ。澪ちゃんモテるでしょ」
澪「そんな事ないって。だからさ、とりあえず時間をくれよ」
唯「…そっか。それもそうだよね!うん、わかった。私待つよ」
少なくとも希望は残った。
どうやら大洪水はそれほど悲惨な被害を生んだわけではなさそうだ。
77: 2009/10/24(土) 00:19:17.82 ID:aSL+WO2P0
一応話が纏まり、私と澪ちゃんはほっと胸を撫で下ろした。
律「おいーす!二人とも、仲良くやってたか!?」
紬「遅くなってごめんなさい」
りっちゃんとムギちゃんが元気良く音楽室に入って来た。
澪「うわ、り…律…」
澪ちゃんは露骨に驚いたような顔をした。
私はそれに気づかないフリをした。
澪ちゃんに言いたい事を全部言った私は、喉の痞えがとれた様にすっきりしていたので、この時はまだ瑣末な事だと思っていた。
唯「あ、りっちゃん!」
律「おーす唯!澪と二人っきりでなーにしてたのかなぁ?」
澪「な、何言ってんだバカ!!」
先程まであんなに冷静だった澪ちゃんは、急に取り乱し始めた。
律「おーおー、照れちゃって!」
りっちゃんの大きな声で、ソフトボール部の声は掻き消され、もう聞こえなくなっていた。
律「おいーす!二人とも、仲良くやってたか!?」
紬「遅くなってごめんなさい」
りっちゃんとムギちゃんが元気良く音楽室に入って来た。
澪「うわ、り…律…」
澪ちゃんは露骨に驚いたような顔をした。
私はそれに気づかないフリをした。
澪ちゃんに言いたい事を全部言った私は、喉の痞えがとれた様にすっきりしていたので、この時はまだ瑣末な事だと思っていた。
唯「あ、りっちゃん!」
律「おーす唯!澪と二人っきりでなーにしてたのかなぁ?」
澪「な、何言ってんだバカ!!」
先程まであんなに冷静だった澪ちゃんは、急に取り乱し始めた。
律「おーおー、照れちゃって!」
りっちゃんの大きな声で、ソフトボール部の声は掻き消され、もう聞こえなくなっていた。
78: 2009/10/24(土) 00:26:32.36 ID:aSL+WO2P0
その日から、私は今まで照れていたのが嘘のように、澪ちゃんに接する事ができた。
ただの開き直りだったかも知れないが、少なくとも停滞ではなく前進だった。
唯「澪ちゃん、コレ食べる?」
澪「え…?いいよ、私ダイエット中だし」
唯「えー…」
律「唯、梓じゃないんだから澪に餌付けは難しいと思うぞ…」
梓「それ、私が餌付けされてるって事ですか…?」
澪「いや…うん。されてるだろ梓は」
梓「な…///」
唯「はい、澪ちゃん、あーん」
澪「だから私はいいってば…」
ただの開き直りだったかも知れないが、少なくとも停滞ではなく前進だった。
唯「澪ちゃん、コレ食べる?」
澪「え…?いいよ、私ダイエット中だし」
唯「えー…」
律「唯、梓じゃないんだから澪に餌付けは難しいと思うぞ…」
梓「それ、私が餌付けされてるって事ですか…?」
澪「いや…うん。されてるだろ梓は」
梓「な…///」
唯「はい、澪ちゃん、あーん」
澪「だから私はいいってば…」
79: 2009/10/24(土) 00:30:16.01 ID:aSL+WO2P0
紬「最近、唯ちゃんは澪ちゃんがお気に入りみたいね?」
唯「えへへ~まぁね」
澪「…」
梓「…」
律「お?梓~、唯に構ってもらえなくなって寂しいのか?」
梓「ち、違います!」
唯「ね~澪ちゃ~ん」
澪「わ、わかったよ!食べればいいんだろ…」
紬「うふふ」
唯「えへへ~まぁね」
澪「…」
梓「…」
律「お?梓~、唯に構ってもらえなくなって寂しいのか?」
梓「ち、違います!」
唯「ね~澪ちゃ~ん」
澪「わ、わかったよ!食べればいいんだろ…」
紬「うふふ」
80: 2009/10/24(土) 00:43:39.06 ID:aSL+WO2P0
私は必氏に澪ちゃんに好かれようとした。
人の心を動かすなんて今までした事のない私には、駆け引きのイロハなどまるでわからず、とにかく出来る事、思いついた事は何でもやった。
しかし、私が頑張れば頑張る程、澪ちゃんは以前の私がそうだったように、私と目を合わせなくなり、会話も拒んでいる気がした。
この流れを変えるため、私はすぐに行動に出た。
6月上旬。
中間テストを目前に控えた私達は、帰りのホームルームが終わると、音楽室には向かわず真っ直ぐ家に帰る。
その日私は、澪ちゃんを下校に誘った。
唯「ねえ澪ちゃん、一緒にかえろ?」
澪「え?いや…今日は…」
唯「私、今度の試験で教えてほしいところがあるんだけど」
澪「あー…和は?和に頼めば?」
唯「…澪ちゃんに教えて貰いたいんだけどなー」
ここで引いちゃダメだ。
私にはテクニックなんてない。最後まで押し切らないと。
律「おーい、何やってんのー?帰ろうよ」
人の心を動かすなんて今までした事のない私には、駆け引きのイロハなどまるでわからず、とにかく出来る事、思いついた事は何でもやった。
しかし、私が頑張れば頑張る程、澪ちゃんは以前の私がそうだったように、私と目を合わせなくなり、会話も拒んでいる気がした。
この流れを変えるため、私はすぐに行動に出た。
6月上旬。
中間テストを目前に控えた私達は、帰りのホームルームが終わると、音楽室には向かわず真っ直ぐ家に帰る。
その日私は、澪ちゃんを下校に誘った。
唯「ねえ澪ちゃん、一緒にかえろ?」
澪「え?いや…今日は…」
唯「私、今度の試験で教えてほしいところがあるんだけど」
澪「あー…和は?和に頼めば?」
唯「…澪ちゃんに教えて貰いたいんだけどなー」
ここで引いちゃダメだ。
私にはテクニックなんてない。最後まで押し切らないと。
律「おーい、何やってんのー?帰ろうよ」
81: 2009/10/24(土) 00:46:15.60 ID:aSL+WO2P0
澪「あ、今行くよ。悪いな唯。じゃ、また明日」
そう言うと澪ちゃんは、足早にりっちゃんのほうへ駆けていった。
一人取り残された私を見たりっちゃんが、
律「おーい、唯も早くー」
と誘ってくれたが、その横でばつが悪そうにしている澪ちゃんの顔見たら、のこのことついていくのも気が引けた。
唯「あ…私はいいや。和ちゃんと帰るから…」
律「そう?んじゃ、また明日なー」
そう言ってりっちゃんと澪ちゃんは先に帰って行った。
私が望んでやまない澪ちゃんの隣は、いつもりっちゃんの特等席だった。
それを羨む自分が酷く小さく思えた。
そう言うと澪ちゃんは、足早にりっちゃんのほうへ駆けていった。
一人取り残された私を見たりっちゃんが、
律「おーい、唯も早くー」
と誘ってくれたが、その横でばつが悪そうにしている澪ちゃんの顔見たら、のこのことついていくのも気が引けた。
唯「あ…私はいいや。和ちゃんと帰るから…」
律「そう?んじゃ、また明日なー」
そう言ってりっちゃんと澪ちゃんは先に帰って行った。
私が望んでやまない澪ちゃんの隣は、いつもりっちゃんの特等席だった。
それを羨む自分が酷く小さく思えた。
83: 2009/10/24(土) 00:57:06.30 ID:aSL+WO2P0
結局、それから私は澪ちゃんに断られるのが怖くて、メールはおろか、話しかけるのも躊躇うようになった。
一度顔を出した臆病は、中々引っ込む事がなく、澪ちゃんも私を避け始めた今となっては、以前より関係が悪化しているのは明らかだった。
澪ちゃんは授業が終わるとさっさとりっちゃんと帰ってしまい、私が澪ちゃんの隣にいられるのは授業中だけになった。
中間試験が終わり、部活が始まっても、もう澪ちゃんはやはり目も合わせてくれなくないままだった。
私は来るはずのない澪ちゃんからのメールを待ちながら、毎晩ベッドの上で澪ちゃんの書いた歌詞を読んだ。
何も進展はないまま、私と澪ちゃんは友達ですらなくなり、期末試験も過ぎ、夏休みを迎えた。
一度顔を出した臆病は、中々引っ込む事がなく、澪ちゃんも私を避け始めた今となっては、以前より関係が悪化しているのは明らかだった。
澪ちゃんは授業が終わるとさっさとりっちゃんと帰ってしまい、私が澪ちゃんの隣にいられるのは授業中だけになった。
中間試験が終わり、部活が始まっても、もう澪ちゃんはやはり目も合わせてくれなくないままだった。
私は来るはずのない澪ちゃんからのメールを待ちながら、毎晩ベッドの上で澪ちゃんの書いた歌詞を読んだ。
何も進展はないまま、私と澪ちゃんは友達ですらなくなり、期末試験も過ぎ、夏休みを迎えた。
86: 2009/10/24(土) 01:11:26.40 ID:aSL+WO2P0
今年は合宿ではなく、さわちゃんのチケットでロックフェスへ行く事になった。
8月上旬、私は以前のりっちゃんとの心配とは裏腹に、もう澪ちゃんとはほとんど言葉を交わす事がなかった。
かと言って、私は澪ちゃんの事が好きじゃなくなるわけでもなく、鬱屈とした時間を過ごしていた。
ロックフェス初日、澪ちゃんはりっちゃんと一緒に回る事になり、私はあずにゃんと二人で色んなバンド見て回った。
夜はテントを張り、翌日に備える。
もちろん澪ちゃんは私とは別のテント。
就寝前に、私があずにゃんに虫除けスプレーをかけてあげていた時、りっちゃんが話しかけてきた。
律「ゆいー!ちょっといい?」
唯「え?」
私はちらっとあずにゃんへ目をやる。
梓「私はいいですよ。ていうかスプレーくらい一人で出来ますよ…」
8月上旬、私は以前のりっちゃんとの心配とは裏腹に、もう澪ちゃんとはほとんど言葉を交わす事がなかった。
かと言って、私は澪ちゃんの事が好きじゃなくなるわけでもなく、鬱屈とした時間を過ごしていた。
ロックフェス初日、澪ちゃんはりっちゃんと一緒に回る事になり、私はあずにゃんと二人で色んなバンド見て回った。
夜はテントを張り、翌日に備える。
もちろん澪ちゃんは私とは別のテント。
就寝前に、私があずにゃんに虫除けスプレーをかけてあげていた時、りっちゃんが話しかけてきた。
律「ゆいー!ちょっといい?」
唯「え?」
私はちらっとあずにゃんへ目をやる。
梓「私はいいですよ。ていうかスプレーくらい一人で出来ますよ…」
90: 2009/10/24(土) 01:18:58.76 ID:aSL+WO2P0
りっちゃんに呼ばれてついていった先には、澪ちゃんがいた。
あたりには他の客のテントが張ってあり、りっちゃんは澪ちゃんに何か耳打ちするとすぐに立ち去り、澪ちゃんは私を手招きした。
唯「あ…な、何?」
澪「え、えーっと…ちょ、ちょっとこっち来て!」
そう言うと澪ちゃんは、私の手とり、人気のない林の中へ誘導していった。
澪「あ、あのさ…今までその…無視じゃないけど…冷たくしてごめん…」
夏虫の声が聞こえる。
遠くのほうではフェスの興奮冷めやらぬ客が大声で合唱しているのが聞こえてきた。
唯「え、えーっと…」
こうして澪ちゃんと話すのは、音楽室で私が告白した時以来だ。
身が引き締まる思い…と言うより、引きちぎられるような思いで私は澪ちゃんの前に立っていた。
あたりには他の客のテントが張ってあり、りっちゃんは澪ちゃんに何か耳打ちするとすぐに立ち去り、澪ちゃんは私を手招きした。
唯「あ…な、何?」
澪「え、えーっと…ちょ、ちょっとこっち来て!」
そう言うと澪ちゃんは、私の手とり、人気のない林の中へ誘導していった。
澪「あ、あのさ…今までその…無視じゃないけど…冷たくしてごめん…」
夏虫の声が聞こえる。
遠くのほうではフェスの興奮冷めやらぬ客が大声で合唱しているのが聞こえてきた。
唯「え、えーっと…」
こうして澪ちゃんと話すのは、音楽室で私が告白した時以来だ。
身が引き締まる思い…と言うより、引きちぎられるような思いで私は澪ちゃんの前に立っていた。
92: 2009/10/24(土) 01:20:02.41 ID:aSL+WO2P0
やばい。
書いててこんなにつまんねぇSSは初めてだw
書いててこんなにつまんねぇSSは初めてだw
95: 2009/10/24(土) 01:23:54.09 ID:aSL+WO2P0
もうさ、今後の展開箇条書きで完結させていい?
99: 2009/10/24(土) 01:28:46.89 ID:aSL+WO2P0
なんやかんやで付き合う
↓
9月頃、梓「私も澪先輩好きですから」
↓
10月、唯澪セクロス
↓
キャッキャウフフ期
↓
12月に澪、いきなり唯を振る
↓
唯号泣で冒頭に戻る
↓
澪編へ
↓
9月頃、梓「私も澪先輩好きですから」
↓
10月、唯澪セクロス
↓
キャッキャウフフ期
↓
12月に澪、いきなり唯を振る
↓
唯号泣で冒頭に戻る
↓
澪編へ
102: 2009/10/24(土) 01:32:57.92 ID:aSL+WO2P0
『澪編』
憂ちゃんが用意してくれたお茶は熱を失い、立った茶柱も気休めにならなかった。
唯「…う…うえぇ…」
唯は床に突っ伏したまま、声をあげて泣いている。
私からはよく見えないが、大粒の涙を流しているのだろう。
もう何十分も唯はこのまま状態だ。いずれ体中の水分が涙になって、この子は氏んでしまうのではないかと心配になる。
澪「…そういう所が嫌なんだよ」
嘘だ。その証拠に私は今、唯から目を逸らした。
私の本心は、今すぐにでも唯の涙を拭い、鼻水をかませてやり、くしゃくしゃになるまで頭を撫でてやりたいと思っている。
だが私がそう思わなくなるのも時間の問題だ。
唯が私に何を言われても泣かなくなるのも時間の問題。
それ故に出した結論だ。
憂ちゃんが用意してくれたお茶は熱を失い、立った茶柱も気休めにならなかった。
唯「…う…うえぇ…」
唯は床に突っ伏したまま、声をあげて泣いている。
私からはよく見えないが、大粒の涙を流しているのだろう。
もう何十分も唯はこのまま状態だ。いずれ体中の水分が涙になって、この子は氏んでしまうのではないかと心配になる。
澪「…そういう所が嫌なんだよ」
嘘だ。その証拠に私は今、唯から目を逸らした。
私の本心は、今すぐにでも唯の涙を拭い、鼻水をかませてやり、くしゃくしゃになるまで頭を撫でてやりたいと思っている。
だが私がそう思わなくなるのも時間の問題だ。
唯が私に何を言われても泣かなくなるのも時間の問題。
それ故に出した結論だ。
103: 2009/10/24(土) 01:34:52.91 ID:aSL+WO2P0
澪「わかった?いくら泣いてもダメだ。私は別れるって決めたんだから。」
唯は何も答えない。
唯「うう…うあああああん…」
ただ悲鳴のような泣き声をあげているだけだ。
このまま唯の部屋にいたら、私はきっとほだされてしまう。
澪「じゃあね。もう帰るから。今までありがとう」
私はわざと冷たく唯に言い放ち、立ち上がって唯の部屋を出た。
憂「あっ…」
恐らく姉の泣き声を聞いて、様子を伺っていたのだろう。
ドアを開けたすぐ先に憂ちゃんが立っていた。
憂「え…えっと…」
唯は何も答えない。
唯「うう…うあああああん…」
ただ悲鳴のような泣き声をあげているだけだ。
このまま唯の部屋にいたら、私はきっとほだされてしまう。
澪「じゃあね。もう帰るから。今までありがとう」
私はわざと冷たく唯に言い放ち、立ち上がって唯の部屋を出た。
憂「あっ…」
恐らく姉の泣き声を聞いて、様子を伺っていたのだろう。
ドアを開けたすぐ先に憂ちゃんが立っていた。
憂「え…えっと…」
105: 2009/10/24(土) 01:36:13.71 ID:aSL+WO2P0
狼狽する憂ちゃんに私は一言、
澪「ごめん。あとよろしく」
とだけ言い、階段を降りて廊下を抜け、急いでブーツを履き、唯の家のドアを開けて外に出た。
外はもう真っ暗だ。
駆け足になると、周りの風景が、私のぼやける視界の隅を安っぽい映画のワンシーンの様に過ぎ去って行く。
しばらく走り続けた私は、人通りの少ない住宅街の路地で、膝に手をついて呼吸を整えた。
澪「…はぁっ…はぁっ…」
12月の下旬だというのに、私は額に汗をかいていた。私の目から落ちるソレも汗に違いない。
澪「ごめん。あとよろしく」
とだけ言い、階段を降りて廊下を抜け、急いでブーツを履き、唯の家のドアを開けて外に出た。
外はもう真っ暗だ。
駆け足になると、周りの風景が、私のぼやける視界の隅を安っぽい映画のワンシーンの様に過ぎ去って行く。
しばらく走り続けた私は、人通りの少ない住宅街の路地で、膝に手をついて呼吸を整えた。
澪「…はぁっ…はぁっ…」
12月の下旬だというのに、私は額に汗をかいていた。私の目から落ちるソレも汗に違いない。
106: 2009/10/24(土) 01:37:05.65 ID:aSL+WO2P0
澪「う…う…うぅ…」
私はそのまま両手で膝を抱えて座り込み、顔を隠しながら下唇を噛んだ。
澪「ふっ…うっ…うう…ひっく…」
呼吸は整うどころか乱れる一方だ。
何分かそのまま泣き続けた私は、はぁーっと息を吐いてから顔をあげ、夜空を見上げた。
きっとコンタクトのせいに違いない。視界は霞んだままだ。
私の目にはぼやけた星空が映るだけだった。
その中でも一際光る星を見上げながら、私は唯の事だけを考えていた。
私はそのまま両手で膝を抱えて座り込み、顔を隠しながら下唇を噛んだ。
澪「ふっ…うっ…うう…ひっく…」
呼吸は整うどころか乱れる一方だ。
何分かそのまま泣き続けた私は、はぁーっと息を吐いてから顔をあげ、夜空を見上げた。
きっとコンタクトのせいに違いない。視界は霞んだままだ。
私の目にはぼやけた星空が映るだけだった。
その中でも一際光る星を見上げながら、私は唯の事だけを考えていた。
107: 2009/10/24(土) 01:38:49.86 ID:aSL+WO2P0
高校三年の四月。
唯「澪ちゃんが好きだからに決まってるじゃん」
唯は律と仲が良い。
梓ともしょっちゅうじゃれ合っている。
和という親友もいる。
もちろん私ともそれなりに仲は良かったが、特別な間柄という程ではなかったはずだ。
それだけに、今私の目の前にいる唯が、頬を赤らめ、その柔らかい手で私の大きな手を握りながら、私を真っ直ぐに見て今の言葉を発した理由がわからなかった。
唯「澪ちゃんが好きだからに決まってるじゃん」
唯は律と仲が良い。
梓ともしょっちゅうじゃれ合っている。
和という親友もいる。
もちろん私ともそれなりに仲は良かったが、特別な間柄という程ではなかったはずだ。
それだけに、今私の目の前にいる唯が、頬を赤らめ、その柔らかい手で私の大きな手を握りながら、私を真っ直ぐに見て今の言葉を発した理由がわからなかった。
109: 2009/10/24(土) 01:39:58.53 ID:aSL+WO2P0
明らかに友達としてのそれで無い事がわかった。
確かに兆候はあった。
最近唯とは毎日メールをしていたが、それに反比例して部活中に言葉を交わす頻度は下がっていた。
それでも、私とのたまの会話では、唯はとても嬉しそうに、そして気恥ずかしそうにしていた。
私は野暮を承知で尋ねた。
澪「と、友達って事だよな?」
唯「違うよ。わかってるでしょ…」
鉄の壁をも射抜きかねない程真っ直ぐな眼差しで私を見ながら、唯は答えた。
私はこの一連の問答のきっかけを作ってしまった事を悔やんだ。
確かに兆候はあった。
最近唯とは毎日メールをしていたが、それに反比例して部活中に言葉を交わす頻度は下がっていた。
それでも、私とのたまの会話では、唯はとても嬉しそうに、そして気恥ずかしそうにしていた。
私は野暮を承知で尋ねた。
澪「と、友達って事だよな?」
唯「違うよ。わかってるでしょ…」
鉄の壁をも射抜きかねない程真っ直ぐな眼差しで私を見ながら、唯は答えた。
私はこの一連の問答のきっかけを作ってしまった事を悔やんだ。
111: 2009/10/24(土) 01:41:07.10 ID:aSL+WO2P0
今日、律とムギは掃除当番、梓は日直だったため、部活にはいつもより遅れてくる。
開け放たれた窓からソフトボール部がランニングをする声の聞こえる、この二人きりの音楽室で、私はギターのチューニングをしていた唯にある事を尋ねたのだ。
澪「なあ、何で最近私と話さないの?」
すると唯は、チューニングを中断し、ギターを置き、私に近づき、私の手を握った。
そしてはっきりとこう言ったのだ。
唯「澪ちゃんの事が好きだからに決まってるじゃん」
開け放たれた窓からソフトボール部がランニングをする声の聞こえる、この二人きりの音楽室で、私はギターのチューニングをしていた唯にある事を尋ねたのだ。
澪「なあ、何で最近私と話さないの?」
すると唯は、チューニングを中断し、ギターを置き、私に近づき、私の手を握った。
そしてはっきりとこう言ったのだ。
唯「澪ちゃんの事が好きだからに決まってるじゃん」
113: 2009/10/24(土) 01:41:54.66 ID:aSL+WO2P0
私は唯から目を逸らし、またしても野暮な質問をぶつけた。
澪「なんで私なの…?」
唯は一呼吸おいてから答えた。
唯「澪ちゃんだから」
こう言われてしまっては、私ももう逃げようがない。
私に真剣に愛の告白をした目の前の女の子の気持ちに、私の気持ちを話さなければならない。
と言っても、今まで唯の事は友達としか思っていなかった。気持ちも何もあったもんじゃない。
当然だ。恋愛は異性とするものだ。少なくとも私にとって恋愛とはそういうものだ。
私が次の言葉を見つける前に、唯は言った。
唯「ダメ?」
澪「なんで私なの…?」
唯は一呼吸おいてから答えた。
唯「澪ちゃんだから」
こう言われてしまっては、私ももう逃げようがない。
私に真剣に愛の告白をした目の前の女の子の気持ちに、私の気持ちを話さなければならない。
と言っても、今まで唯の事は友達としか思っていなかった。気持ちも何もあったもんじゃない。
当然だ。恋愛は異性とするものだ。少なくとも私にとって恋愛とはそういうものだ。
私が次の言葉を見つける前に、唯は言った。
唯「ダメ?」
114: 2009/10/24(土) 01:42:59.67 ID:aSL+WO2P0
澪「ダメって…?どういう事?」
もう何を言っても野暮になるだけだ。
それを自覚しながらも、私はなんとか話を本題から逸らそうとした。
唯「私が澪ちゃんを好きって事。ダメかな?」
相変わらず唯は真っ直ぐ私を見ている。
私の手を握る唯の力が強くなる。
澪「ダメじゃないけど…」
唯「じゃあ、いいんだね?」
私はもう逃げる事を諦めた。
澪「…手、離してよ。落ち着いて話そう」
唯「わかった…」
唯は視線を下に落とし、スッと手を引いた。
もう何を言っても野暮になるだけだ。
それを自覚しながらも、私はなんとか話を本題から逸らそうとした。
唯「私が澪ちゃんを好きって事。ダメかな?」
相変わらず唯は真っ直ぐ私を見ている。
私の手を握る唯の力が強くなる。
澪「ダメじゃないけど…」
唯「じゃあ、いいんだね?」
私はもう逃げる事を諦めた。
澪「…手、離してよ。落ち着いて話そう」
唯「わかった…」
唯は視線を下に落とし、スッと手を引いた。
115: 2009/10/24(土) 01:43:59.13 ID:aSL+WO2P0
私は椅子に腰掛け、唯にもそれを促した。
唯は正面の椅子に座ると、また私をじっと見つめた。今度は今にも泣き出しそうな目で。
澪「つまりだ。唯は私の事が好き。それも恋愛の意味で。こういう事?」
唯「うん」
私は混乱しきっていた。
過度に回転したエンジンは熱くなり、いつ暴走してもおかしくなかった。
それでも私は、つとめて冷静に振る舞おうとした。
髪をピンでとめた目の前の女の子は、とっくにエンジンから火を噴いて暴走している。
ここで私が取り乱したら、いよいよ事態は収拾がつかなくなる。
澪「いつから?」
唯「…わかんない」
唯は正面の椅子に座ると、また私をじっと見つめた。今度は今にも泣き出しそうな目で。
澪「つまりだ。唯は私の事が好き。それも恋愛の意味で。こういう事?」
唯「うん」
私は混乱しきっていた。
過度に回転したエンジンは熱くなり、いつ暴走してもおかしくなかった。
それでも私は、つとめて冷静に振る舞おうとした。
髪をピンでとめた目の前の女の子は、とっくにエンジンから火を噴いて暴走している。
ここで私が取り乱したら、いよいよ事態は収拾がつかなくなる。
澪「いつから?」
唯「…わかんない」
116: 2009/10/24(土) 01:44:45.76 ID:aSL+WO2P0
澪「そうか」
唯「多分、冬あたりからだと思う」
澪「冬?」
唯「うん。澪ちゃんがベースを太ももに当てた時…かな?」
澪「は?」
唯「ほら、ベースが冷えてて」
澪「…ああ、あの時か」
唯「多分」
そういえばそんな事もあった。
私が冷たいベースを太ももに当ててしまい、声をあげた。
たったそれだけの事で人を好きになるものだろうか?
澪「それで好きっておかしくないか?」
唯「多分、冬あたりからだと思う」
澪「冬?」
唯「うん。澪ちゃんがベースを太ももに当てた時…かな?」
澪「は?」
唯「ほら、ベースが冷えてて」
澪「…ああ、あの時か」
唯「多分」
そういえばそんな事もあった。
私が冷たいベースを太ももに当ててしまい、声をあげた。
たったそれだけの事で人を好きになるものだろうか?
澪「それで好きっておかしくないか?」
118: 2009/10/24(土) 01:45:51.17 ID:aSL+WO2P0
唯は真剣な顔で答えた。
唯「何がきっかけで好きになるかなんてわかんないじゃん」
澪「そりゃそうだけど」
唯「大事なのは私が澪ちゃんを好きかどうかだよ。きっかけなんて関係ないよ」
いつも呆けているだけに、真顔の唯の言葉には不思議な説得力があり、それを聞いた私は気圧されて黙ってしまった。
唯「澪ちゃんは私の事どう思ってるの?」
澪「どうって…」
唯「好き?」
逡巡した後、私は答えた。
澪「考えた事もないよ。だって私ら女の子だろ?」
唯「…うん」
途端に唯は申し訳なさそうな顔をして俯いてしまった。
唯「何がきっかけで好きになるかなんてわかんないじゃん」
澪「そりゃそうだけど」
唯「大事なのは私が澪ちゃんを好きかどうかだよ。きっかけなんて関係ないよ」
いつも呆けているだけに、真顔の唯の言葉には不思議な説得力があり、それを聞いた私は気圧されて黙ってしまった。
唯「澪ちゃんは私の事どう思ってるの?」
澪「どうって…」
唯「好き?」
逡巡した後、私は答えた。
澪「考えた事もないよ。だって私ら女の子だろ?」
唯「…うん」
途端に唯は申し訳なさそうな顔をして俯いてしまった。
120: 2009/10/24(土) 01:47:08.79 ID:aSL+WO2P0
私は言い訳をする様に言葉を続けた。
澪「いや、そういうのを否定するつもりはないけどさ、なんていうか…ちょっとびっくりしたかな」
俯いたまま唯が答える。
唯「私だっておかしいなって思うよ…。でもどうしようもないんだもん」
澪「そう。もしかして恋愛じゃなくてさ、なんかこう…別の感情なんじゃないか?」
唯は顔を上げ、また私を真っ直ぐ見て答えた。
唯「ううん。私だって小学校や中学校の時に気になる男の子はいたよ」
唯「その時の気持ちと、今の澪ちゃんに対する気持ち…同じだもん」
澪「私は男かい…」
唯「あっ、違う違う!澪ちゃんはとっても素敵な女の子だと思うよ!本当だよ!」
今度は私が俯いた。
唯の言葉は恥ずかし気もなく、堂々としていて、言われるこっちが恥ずかしくなってしまう。
澪「いや、そういうのを否定するつもりはないけどさ、なんていうか…ちょっとびっくりしたかな」
俯いたまま唯が答える。
唯「私だっておかしいなって思うよ…。でもどうしようもないんだもん」
澪「そう。もしかして恋愛じゃなくてさ、なんかこう…別の感情なんじゃないか?」
唯は顔を上げ、また私を真っ直ぐ見て答えた。
唯「ううん。私だって小学校や中学校の時に気になる男の子はいたよ」
唯「その時の気持ちと、今の澪ちゃんに対する気持ち…同じだもん」
澪「私は男かい…」
唯「あっ、違う違う!澪ちゃんはとっても素敵な女の子だと思うよ!本当だよ!」
今度は私が俯いた。
唯の言葉は恥ずかし気もなく、堂々としていて、言われるこっちが恥ずかしくなってしまう。
121: 2009/10/24(土) 01:47:51.08 ID:aSL+WO2P0
唯「私も最初はびっくりしたよ。まさか女の子を好きになるなんて」
澪「そりゃそうだ」
唯「ちょっと悩んだりもした」
澪「うん」
唯「でも澪ちゃんと話すと恥ずかしくて、嬉しくて…ああ、私、澪ちゃんの事好きなんだなって」
頼むからもうそんなにはっきりと言わないでくれ。顔を見れない。
私が黙ると、唯は罰の悪そうな顔をして言った。
唯「ごめんなさい澪ちゃん…やっぱりイヤだよね…」
澪「そりゃそうだ」
唯「ちょっと悩んだりもした」
澪「うん」
唯「でも澪ちゃんと話すと恥ずかしくて、嬉しくて…ああ、私、澪ちゃんの事好きなんだなって」
頼むからもうそんなにはっきりと言わないでくれ。顔を見れない。
私が黙ると、唯は罰の悪そうな顔をして言った。
唯「ごめんなさい澪ちゃん…やっぱりイヤだよね…」
125: 2009/10/24(土) 02:00:05.40 ID:aSL+WO2P0
澪「う、うーん…ていうか何で今のタイミングで言ったの?」
唯「勢いといいますか…二人っきりだったし、こう…溢れ出したといいますか…」
なるほど。この子は今まで、悩みに悩んで、気持ちを抑えに抑え、そうしてなんとか今までやってきたのだ。
それがとうとう決壊して、今大洪水を起こしている。
そしてその洪水は私を飲み込もうとしている。
澪「…ありがとう。嬉しいよ」
私がそう言うと唯の表情は明るさを取り戻した。
唯「え?じゃあ…」
唯「勢いといいますか…二人っきりだったし、こう…溢れ出したといいますか…」
なるほど。この子は今まで、悩みに悩んで、気持ちを抑えに抑え、そうしてなんとか今までやってきたのだ。
それがとうとう決壊して、今大洪水を起こしている。
そしてその洪水は私を飲み込もうとしている。
澪「…ありがとう。嬉しいよ」
私がそう言うと唯の表情は明るさを取り戻した。
唯「え?じゃあ…」
126: 2009/10/24(土) 02:00:46.65 ID:aSL+WO2P0
澪「あ、いや…付き合うとかはちょっと待って。今まで唯の事そーゆー目で見た事なかったから」
唯「…」
澪「考える時間をくれない?」
唯「…」
澪「だってそうだろ?いきなり言われたわけだし」
何で私が言い訳してるんだろう。
唯「そっか。それもそうだよね!うん、わかった。私待つよ」
拍子抜けするくらい、唯は素直だった。
話がまとまった所で、音楽室のドアが開いた。
律「おいーす!お前らー仲良くやってたかー?」
紬「遅くなってごめんなさい。今すぐお茶煎れるね」
私は体がびくっとなったが、唯は何事もなかったように律に手を振っている。
唯「…」
澪「考える時間をくれない?」
唯「…」
澪「だってそうだろ?いきなり言われたわけだし」
何で私が言い訳してるんだろう。
唯「そっか。それもそうだよね!うん、わかった。私待つよ」
拍子抜けするくらい、唯は素直だった。
話がまとまった所で、音楽室のドアが開いた。
律「おいーす!お前らー仲良くやってたかー?」
紬「遅くなってごめんなさい。今すぐお茶煎れるね」
私は体がびくっとなったが、唯は何事もなかったように律に手を振っている。
127: 2009/10/24(土) 02:04:15.37 ID:aSL+WO2P0
5、6月 律に相談するため一緒に下校。律「いーじゃん。付き合っちゃえよ」ニヤニヤ
↓
付き合う
↓
9月 やっべ、唯めっちゃ可愛い
↓
10月 梓「澪先輩の事好きだと思ってたけどただの憧れでした」
↓
澪「あれ?もしかして唯もただの憧れじゃね?私の事美化しまくってるし」
でもセクロスはする
↓
↓
付き合う
↓
9月 やっべ、唯めっちゃ可愛い
↓
10月 梓「澪先輩の事好きだと思ってたけどただの憧れでした」
↓
澪「あれ?もしかして唯もただの憧れじゃね?私の事美化しまくってるし」
でもセクロスはする
↓
130: 2009/10/24(土) 02:09:43.39 ID:aSL+WO2P0
唯、調子こいてクラスで付き合ってます宣言
↓
澪キレる。澪「ハズカシーハズカシー」
↓
澪「つーか私も唯も、恋に恋してる段階で、それって好きとかじゃなくね?」
↓
澪「大学行ったら私も唯も普通に男の人と付き合うだろうし…思い出がキレイな今のうちに別れよう…」
↓
別れる
↓
澪「でも私の18才の青春は一生唯のものだよ(キリッ」
↓
EDテーマ
↓
↓
澪キレる。澪「ハズカシーハズカシー」
↓
澪「つーか私も唯も、恋に恋してる段階で、それって好きとかじゃなくね?」
↓
澪「大学行ったら私も唯も普通に男の人と付き合うだろうし…思い出がキレイな今のうちに別れよう…」
↓
別れる
↓
澪「でも私の18才の青春は一生唯のものだよ(キリッ」
↓
EDテーマ
↓
133: 2009/10/24(土) 02:13:45.82 ID:aSL+WO2P0
紬「っていう感じのが見たいの!」
澪「な…ななななな///」
律「ない。これはないってムギ…」
梓「言葉が見つかりません…」
唯「ねーねー、私と澪ちゃんがベッドでもぞもぞしてるところ、よくわかんなかったんだけど」
律「え」
唯「あれって何してたの??」
紬「あらあら」
完
澪「な…ななななな///」
律「ない。これはないってムギ…」
梓「言葉が見つかりません…」
唯「ねーねー、私と澪ちゃんがベッドでもぞもぞしてるところ、よくわかんなかったんだけど」
律「え」
唯「あれって何してたの??」
紬「あらあら」
完
134: 2009/10/24(土) 02:15:22.58 ID:aSL+WO2P0
終わりです。
ゼノギアス的な感じで中々斬新な演出が出来たのでは、と満足のいくSSでした。
保守&支援サンクス!
ゼノギアス的な感じで中々斬新な演出が出来たのでは、と満足のいくSSでした。
保守&支援サンクス!
139: 2009/10/24(土) 02:22:55.72 ID:49zkPqXx0
いやだめだ。全て書くんだ
151: 2009/10/24(土) 02:53:18.12 ID:aSL+WO2P0
唯「うう…怒られた…」
154: 2009/10/24(土) 03:00:58.86 ID:NUUlocj20
はやく続きを!
155: 2009/10/24(土) 03:03:28.85 ID:NUUlocj20
続きを見てから寝たいんだ
157: 2009/10/24(土) 03:07:47.08 ID:NUUlocj20
続き書いてくださいお願いします
158: 2009/10/24(土) 03:10:19.66 ID:aSL+WO2P0
聡「それはご勘弁を…」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります