1: 2016/09/16(金) 18:28:16.62 ID:lG6s+x1h0
つれづれと書いていきます。


ちひろ「――うちのプロデューサーは本当に優秀です。」


ちひろ「――スカウトで連れて来た子、連れて来た子、アイドルは瞬く間に売れっ子に化けて、うちの事務所は押しも押されぬ大手になっていきました」


ちひろ「――ですが、時たま謎の外出があるんです。日報にも平日の午後、たまに午前中ですがアイドル発掘という項目を書いているんです」


ちひろ「――少し、気になりますね…。ちょっとその謎を探っていきましょう。」


2: 2016/09/16(金) 18:40:55.17 ID:lG6s+x1h0
ちひろ「しっかし、プロデューサーの机は汚いですね…。整理したらどれだけの書類があるんでしょうか…」


ちひろ「ん?何でしょうか、この茶封筒。『開封厳禁』と書かれてありますが、あけましょう!封もされていませんし」ガサゴソ


ちひろ「こ、これは!」バサバサー


ちひろ「机の上に広がったのは、複数枚の写真です。写っているのは少女。しかも、見たことのない女の子で、小学生ほどの少女です」


ちひろ「な、なんですかこれは!?」


ちひろ「様々な角度から写真が撮られています。校庭でしょうか、友達と遊びながら走る写真。学校で真面目に勉強に励む写真。そして体育着に着替えて体育の授業のものもあります!」


ちひろ「誰ですかこの子…」


ちひろ「プロデューサーは結婚していませんから、子どももいないはず…。親戚の子でしょうか…」


ちひろ「写真の裏に撮られた年まで!――この写真は2年前のですよ!」


ちひろ「…ちょっと待ってください。まだ同じような封筒がありますよ!」バサバサー

3: 2016/09/16(金) 18:46:33.80 ID:lG6s+x1h0
ちひろ「な、なんということだ…」


ちひろ「――そこにあったのは、違う少女。歳はやはり小学生です」


ちひろ「も、もしかして…プロデューサーって、ろりこn」ガラッ


モバP「ただ今戻りました。――あれ?ちひろさん。そこで何突っ立てるんですか?書類をお探しですか?」


ちひろ「プロデューサーさん!そこになおれぃ!」


モバP「は?ナンデですか?」


ちひろ「いいから!そこに正座!」


モバP「はあ…。良いですけど…」チョコン


ちひろ「さて、プロデューサーさん。この写真は一体なんですか?」


モバP「ゲ!ちひろさん、あんたそれをどこから!?ってか、開封厳禁の所からですよね!?」


ちひろ「これって、もしかして盗撮ですか…」

4: 2016/09/16(金) 18:53:17.84 ID:lG6s+x1h0
モバP「そんなわけないでしょう!これは将来のスカウトの――」


ちひろ「もしもし、早苗さんですか。――ええ。末期の口リコン野郎です。至急来たください」


モバP「早苗さんはまずいですよ!」


ちひろ「あんたのその病気の方がまずいんですよ!しっかり治療をした方が良いですよ」


早苗「ちわー!口リコン野郎はどこかな?そこにしかいないわね」メキョ


モバP「た、タイム…。俺の弁明を…聞いてくれ…」


ちひろ「どうします?私的には口リコンに慈悲はないと思うんですが…」


モバP「ちひろ…。てめえ…」


早苗「罪人にも五分の魂…。いいわ、聞いてあげましょう」


モバP「…それは、本当に将来のスカウト候補生なんです…」


ちひろ「本当なんですか?」


早苗「嘘ついたら断罪よ?」

6: 2016/09/16(金) 19:03:11.32 ID:lG6s+x1h0
モバP「本当ですよ…。俺は今まで売れっ子を輩出してきた賜物なんですよ…」


早苗「話が良く見えてこないわね…」


モバP「早苗さん。少し動いていいですか?」


早苗「どこ行きたいの?」


モバP「奥の資料棚です。ちひろさんも行きましょう」


ちひろ「これは、今ここで頑張ってるアイドルの資料ですね。そこに何があるんですか?」


モバP「例えば、これですよ。響子のファイルです」パラパラ


ちひろ「あ!」


早苗「これは…。響子ちゃんの12歳の時の写真…。しかも、1枚だけじゃなく数十枚単位…。しかも、13歳、14歳と歳ごとにファイリングされてるわ…」


モバP「写真もそうですが、次のページにスカウティングを書いてるんですよ」


早苗「なになに…。『○月○日五十嵐響子という少女を見つける。誰にでも明るく屈託のない笑顔を向ける。笑顔が好印象』」


ちひろ「もしかして、響子ちゃんって3年前から追っかけていたんですか…」


モバP「そうですよ…」

9: 2016/09/16(金) 19:13:03.05 ID:lG6s+x1h0
早苗『○月△日 響子は知らぬ老婆に話しかけられて、戸惑いもせず聞かれたであろう場所を教える。』


早苗『分かりにくかったのか、老婆は首をかしげたが、一緒に行こうと提案。その際、老婆の荷物を持ってあげていた。見ず知らずの他人にも優しく出来る。評価◎』


ちひろ「…ヤバい人ですよ。写真撮って、メモするなんて…」


モバP「ヤバい人になる前に、駐在さんにきちんとこね回してますので…イデデ」


早苗『△月×日 今日は家庭科の調理実習。響子はオムライスを作って周りを驚かせる。どうやら得意らしい。家庭的な趣味は親近感を覚える』


ちひろ「学校にまで堂々入ってるんですか!?捕まりますよ!」


モバP「ですから、教育委員会にも根回し…いっでぇー!」


早苗「そういうのをどこで覚えたのよ?」


モバP「先輩が、やるなら先手を打てって言う言葉を実践しただけですよ…」


早苗「まだまだあるわよ…。『×月××日 卒業。響子は涙を浮かべている。一生懸命合唱曲を披露した』」


ちひろ「アンタは、学校のなんなんですか…」

15: 2016/09/16(金) 19:28:07.03 ID:lG6s+x1h0
早苗『201×年 △月○日 中学入学。ブレザー制服も似合っている。制服が似合うアイドルも高評価である』


ちひろ「…次を」


早苗『△月??日 部活入部。家庭研究部入部。得意の手料理に磨きをかけるようだ。△月?×日 美術の時間に特徴的な絵を描く。クラスメートは困惑しきり。こういうアジな部分も受けは良い』


モバP「もう、驚きませんね…」


ちひろ「当たり前のように行っているのは、えげつの無い行為なんですから」


早苗『×月○日 クラスの発表会で高評価を得た弁論は、そのまま市の大会にまで出れるようだ。知的で堂々とした立ち居振る舞いも○』


早苗『?月×日 市の弁論大会は、おしくも勝ちあがれなかった。後は声を張り上げる力が見たい』


早苗『!月?日 体育の授業でダンスをやる。少し苦手なようでリズムがワンテンポずれていた。運動はやはり苦手なのかもしれない』


早苗『△月!!日 中学卒業。声量B 胆力B+ 運動D 性格A 以上の評価により、五十嵐響子は活躍できる可能性あり。翌日よりスカウト活動を開始する』


早苗・ちひろ「…」


モバP「なんで顔を見合わせたんですか…」


ちひろ「対応に苦慮しているんですよ…。本当は口リコン野郎と非難したいんですが…」


早苗「響子ちゃんをしっかり売れてる子にしちゃったからねえ…」

16: 2016/09/16(金) 19:37:48.08 ID:lG6s+x1h0
ちひろ「…待ってくださいね。今までスカウトした子たちも、みんなこれ作ってるんですか!?」


モバP「そうですけど何か?」キョトン


ちひろ「!?」


早苗「ちひろちゃん。すごいわよ。本田未央 渋谷凛 水本ゆかり…。他にも15歳でスカウトした子たち中心にファイルがあるわ」


モバP「スカウトの基本ですよ。3年は最低見てますから。一部分だけじゃなく様々な面を見るんです。性格はもちろんですが、他人に対する風当たり、趣味、運動力、声量…。これだけ長い期間を見たら、どうプロデュースしたら良いか手に取るようですからね」


ちひろ「言われてみれば高校生以下の子ってスカウトしないんですね」


モバP「その分、スカウトしていますから。今注目のアイドルは輿水幸子 関裕美 橘ありす 神崎蘭子…」


ちひろ「この写真の子は!?」


モバP「この子は、橘ありすです。大人ぶってますが、テンパると年相応の反応を見せますね。まだスカウティングして間もないので、それ以上のことは…」


早苗「それ以上って、普通に恐ろしいわ…」



18: 2016/09/16(金) 19:51:12.73 ID:lG6s+x1h0
早苗「中学卒業したら、すぐにスカウト活動に動くの?」


モバP「いえ。活躍できる道筋が出来た時点で。ですね」


ちひろ「例えば、他の子はどうなんですか?」


早苗「じゃあ、忍ちゃん見てみましょうか」


ちひろ「青森にまで行ってんの!?」


モバP「全国にいますから」


ちひろ・早苗「――こいつはプロ野球のスカウトよりもすごいんちゃうか…」


早苗「あったわ。…やっぱり小学6年生の忍ちゃんの写真があるわ」


早苗「×月△○日 青森の片田舎で標準語で喋ろうとしている子がいた。工藤忍というらしい。たどたどしい標準語ではあるが、使おうと努力している。今後当たってみようと思う」


ちひろ「片田舎って…。まあ、その通りですが…」


早苗「×月△△日 一人、誰もいない空き地で工藤忍が踊っていた。通りがかる人の目もくれずただ一心不乱に。その向上心は今まで見たことがない」

21: 2016/09/16(金) 19:58:16.79 ID:lG6s+x1h0
早苗「○月?日 工藤忍は泣いていた。理由を聞いてみると、アイドルになりたいと学校で言ったところ、クラスメートにバカにされたようだ。今後どうなっていくか見物である」


ちひろ「その頃から、忍ちゃんはアイドル目指していたんですね。そしてあんたは青森行きすぎですよ」


モバP「これだけの逸材はそうそういないですって」


早苗「??月!?日 最近姿を見なかったが、この日から練習再開。携帯プレーヤーを鳴らして練習する。その表情は鬼気迫るものだった」


早苗「△月×日 小学校卒業。本当は中央の私立を推薦させて、スカウトをもっと行わせたかったが…」


ちひろ「アンタは一体どこまでコネ持ってるんですか?」


モバP「中央の私立中に推薦枠を2,3ほど」


早苗「…化け物」

22: 2016/09/16(金) 20:23:39.25 ID:lG6s+x1h0
早苗「○月○日 中学入学。部活はバスケットらしい。彼女の負けん気ならそっちの方面でも活躍できるだろう」


早苗「×月○日 部活の大会で足首をひねってしまった。部活もだが、ダンスの自主練が出来ないのはかなりつらいだろう。果たしてその期間は何を行うか?」


早苗「×月×日 聞くところによれば、忍は関東のラジオを聞いてイントネーションの勉強をしているとのことだ。志の高さに惚れてしまう」


ちひろ「惚れたのは、志だけですよね?」


モバP「当たり前じゃないですか!それ以外やったらアウトですよ!」


早苗「分かっていればよろしい」ニッコリ


早苗「!!月??日 歌の練習ではポップスの練習をしているらしい。しっかり聞きこんでいるからかかなり上達している。イントネーションもほぼ問題ない」


早苗「201×年 ?月 ここまで見た結果、歌唱力C 運動力B 性格B 志AA 以上から、スカウト活動を開始する。まずは両親からの説得だ」


ちひろ「あれ?スカウトしていたんですか。でも忍ちゃんはオーディション出てましたよね?」


モバP「問題なしであれば、即スカウトで行きたいのですが、忍の両親は最後まで首を縦に振らなかったんです。そこでひとつ宿題としてオーディション合格で折れるとのことでした」


早苗「アンタ、まさか裏で…」


モバP「そんなことありません。本当は無条件でOK出したかったんですが、志望動機で周りを唸らせろと出したんです。しっかり合格しましたよ」

25: 2016/09/16(金) 20:34:10.28 ID:lG6s+x1h0
早苗「○月??日 工藤忍中学卒業。高校は中央の私立。金銭面は特待生扱いで感謝される」


ちひろ「プロデューサーさん。高校にもあるんですか?コネ」


モバP「ええ。枠を持ってます。有名にしますから引っ張りだこです」


早苗「プロデューサー、なんて恐ろしい子!」


ちひろ「…すごいですね。愛梨ちゃんのもありますよ。この子も3年間?」


モバP「…愛梨は5年見続けました」


ちひろ「!?早苗さん。写真は?」


早苗「すごいわ…。14歳だっていうのに、正面から見ても分かるふっくら感…逮捕ぉ!」


モバP「ぎゃー!」


ちひろ「?月×日 のんびりしたニコニコ笑顔の少女を見つける。これが常時出来るならすごい素養の持ち主だ。名前は十時愛梨14歳らしい」


早苗「プロデューサー。これはもう完全にアウトじゃない?」


モバP「いやいや、これもスカウティングですから…」

26: 2016/09/16(金) 20:45:26.72 ID:lG6s+x1h0
ちひろ「@月××日 体育の運動。予想通りというべきか運動は苦手だ。しかし、周りを釘付けにさせるあの…これは要調査だ」


モバP「締まってる!締まってますよぉ!」


早苗「」ギギギ


ちひろ「×月!@日 愛梨の人物評だが、恐ろしいほどの悪評がない。みんな『愛梨だから』と微笑んでいた。そして脱ぎ癖もあって大変らしい。あの身体でそれをされたら…」


モバP「・・ぇ…。」プラーン


早苗「」ギチギチ


ちひろ「早苗さん!プロデューサーさんが!」


早苗「おっと…。失礼」


ちひろ「○月○?日 音楽の発表ではクラスで平均。運動はやや苦手。おっとり…。スカウトレベルとしては迷いどころだ。と思っていたが、彼女はお菓子作り、特にケーキが得意らしい。エプロン姿で…うん!」


ちひろ「やっぱ締め直してください」


モバP「うぉぉぉ!ちひろぉ!てめえええ!」


早苗「後悔はその時の自分に言いなさい」ギリギリ


ちひろ「××月○○日 愛梨は部活でテニスをしていたらしい…。マジですか…」

29: 2016/09/16(金) 20:58:14.28 ID:lG6s+x1h0
早苗「愛梨ちゃんはずっとテニスしてたのか、でも…」


ちひろ「まあ、運動したいっていう気持ちは良いと思いますけどね」


モバP「そう…。そこが良い所なんです…」


早苗「まだいけるか。もうちょい締めるわ」ギギギ


モバP「」


ちひろ「×月○日 愛梨高校入学。この段階でのスカウトは、見送ろう。まだ見極めていきたい。ちなみに、愛梨の評判は同級生はもとより先輩にも良いらしい。どうやら男の先輩も愛梨のお近づきになりたいということらしい。彼らの評判の為に良いとのこと。許さん!」


早苗「許されないのはプロデューサーのほうだからねー」ギリギリ


モバP「」ブクブク


ちひろ「××月△日 愛梨。進路で悩む。調理専門学校もテキパキ動く先輩を見て挫折したようだ。歌唱力D 運動力D 性格A 魅力AAA。ココからスカウト活動に入る」


ちひろ「しっかし、今までにスカウトしてきたアイドルたちは、こうして生まれたんですか…」


早苗「…ほんとにあと数ミリでもずれたら、口リコンとして豚箱行きだったわ」


ちひろ「そう言えば、赤城みりあちゃんという子のスカウティングノートがありまして…」


モバP「あ!?」

30: 2016/09/16(金) 21:02:30.24 ID:lG6s+x1h0
ちひろ「×月♡日 朝、こちらのことは分からず、元気にあいさつをしてくれた。パジャマの上にコートを羽織り、ゴミ出しも元気にやっている。これは要チェックだ」


早苗「やっぱ、お前は豚箱行きだわ」


モバP「んほーーー!」


劇終!

31: 2016/09/16(金) 21:04:12.69 ID:lG6s+x1h0
以上、オリPによるやりたかったネタでございました。
広島のスカウトがすごいということを、モバマスに落とし込んでみましたが、難しい…。
ではHTML申請してまいります。

34: 2016/09/16(金) 21:57:23.41 ID:Y6BkzbCKo

引用元: 【モバマスSS】ちひろ「ちょっと!どういうことですか!?」