1: ◆MY38Kbh4q6 2017/04/08(土) 16:05:45.54 ID:6iENb3Do0
先日投稿した
【ガルパン】西住みほ「IV号対空戦車?」
を別視点から描いてみたものです。
・キャラ崩壊(いつもの)
・独自設定あり
・やっちゃえ西さん!キテるね西さん!
以上がOKならどうぞ
や、やってやるぞ!
2: 2017/04/08(土) 16:08:38.91 ID:6iENb3Do0
◆1 入院生活
【対大洗戦から1週間後】
ダージリン「それにしても」ズズ…
ダージリン「随分、痩せたわね?」カチャ
西「………」
ダージリン「でも、そんな痩せ方は不健康よ?」
西「………」
ダージリン「うちの砲手が言うにはね、背筋を伸ばして座るだけでダイエットに成功したって子がいるそうなの」
ダージリン「同僚がやお友達が皆痩せたねって驚くほど変わったそうよ」
ダージリン「あなたはおっちょこちょいだけど礼儀正しい子だから、その方法をオススメするわ」フフッ
西「………」
3: 2017/04/08(土) 16:09:59.42 ID:6iENb3Do0
ダージリン「かく言う私も甘い物を摘みすぎたせいで少し体重が気になりだして」
ダージリン「見た目は変わってないかもしれないけど、油断していると…ね?」
西「………」
ダージリン「だから、私もその方法を試してみようと思うのだけど、いかがかしら?」クスッ
ダージリン「………」
西「………」
ダージリン「………」
ダージリン「紅茶、冷めちゃったわね…」
西「………」
4: 2017/04/08(土) 16:10:57.05 ID:6iENb3Do0
スッ...
ダージリン「あなたの手、とっても温かい…」
西「………」
ダージリン「知波単学園は幸せね。こんな暖かい人がリーダーですもの」
西「………」
ダージリン「あなたの手でカップを持てばまた温かくなるかしら」
西「………」
西「……ぅ…」
5: 2017/04/08(土) 16:11:48.92 ID:6iENb3Do0
ダージリン「! 意識が戻ったのね?!」
西「………ダ…ジ…リン…?」
ダージリン「無理に喋らなくて良いわよ。いま看護師を呼んでくるから」
西「ま…ッ…て…」
ダージリン「えっ?」
西「ぃか…なぃ…で……」
ダージリン「………」
ダージリン「わかったわ」
ダージリン「お言葉に甘えてここ居させて頂くわ。だから…」
ダージリン「だから、泣かないの」
西「ぁ…りが…と………」ツー
6: 2017/04/08(土) 16:13:38.97 ID:6iENb3Do0
【数分後】
医師「無事に意識が戻られたので、あとはこのまま順調に回復していくかと思います」
ダージリン「良かった…」
医師「ただ、肋骨と左腕、左足が骨折しているのと、極度の疲労状態なので、しばらくは安静にしている必要があります」
ダージリン「あの、頭の傷は?」
医師「安心してください。痕は残りませんでしたよ」
ダージリン「そうですか」ホッ
医師「では、私は回診がありますので。また何かあったら呼んでください」
ダージリン「ありがとうございます」ペコリ
7: 2017/04/08(土) 16:14:57.36 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「…良かったわね。後遺症やキズが残らなくて」
西「ええ…。生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたみたいです」
ダージリン「舩坂弘ね。面白くないジョークよ。うちの砲手でもそんな事は言わないわ」
西「ははは…」
ダージリン「腕はともかく、顔は乙女の命なのよ?キズが残らなくて良かったわ」
西「でも額にキズがあると何か格好良いじゃないですか。あのハリー・バッター?みたいに」
ダージリン「馬鹿なこと言わないで頂戴!」
西「すっ、すみません…」
8: 2017/04/08(土) 16:16:48.24 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…全く。それだけ元気ならもう大丈夫ね」
西「ええ。ダージリン殿には色々ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
ダージリン「お気になさらず。好敵手を憂うのも淑女の嗜みでしてよ」
西「お、奇遇ですな。実は私もダージリン殿の事を前から考えておりまして」
ダージリン「それはどういうことかしら?」
西「その…なんと申せば良いのか…」モジモジ
ダージリン「歯切れが悪いわね。はっきり言って頂戴」
西「実はダージリン殿の…」モジモジ
ダージリン「ええ…」
西「走行中の戦車で紅茶をこぼさず持つという芸当が気になっておりました」
9: 2017/04/08(土) 16:18:31.48 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…………は?」
西「戦車の中は揺れるので、荒れ地を走った時なんてカップの中身をひっくり返してしまいそうです」
西「なのにダージリン殿や聖グ口リアーナの皆さんは器用に紅茶を保っておられるようで」
ダージリン「………」プルプル
西「あ、あれ?ダージリン殿?」
ダージリン「こんな名言を知っているかしら」カタカタ
西「へっ?あ、ダージリン殿?!手が震えてますよ!紅茶こぼれt」
ダージリン「"クララのバカっ!!"」バシーン!
西「あいたーっ!!?」
― 数分前まで意識不明だった人にも容赦ないダージリンなのでした。
10: 2017/04/08(土) 16:20:03.34 ID:6iENb3Do0
ダージリン「ふん」ツーン
西「その…機嫌を直して頂けないでしょうかダージリン殿」ヒリヒリ…
ダージリン「誰のせいだと思ってるのかしら」
西「あはは。すみません。ダージリン殿が面白いからついつい…」
ダージリン「…喧嘩を売っているのかしら?」
西「し、失礼しましたっ!張り手はご勘弁をっ!!」
ダージリン「…あなたはもう少し気品と言うものを学ぶべきよ」
ダージリン「何でもかんでも突撃すれば良いわけではない事を肝に銘じなさい」
西「あはは…。私もダージリン殿のようにお淑やかな女性になりたかったですね」
ダージリン「でしたら聖グ口リアーナに転校されてはいかが?」
ダージリン「乙女の嗜みを一からご指南しましてよ」
11: 2017/04/08(土) 16:21:05.11 ID:6iENb3Do0
西「うーん…。饅頭に紅茶は合うのでしょうか?」
ダージリン「またそれを言うのね…」ハァ
西「あ、饅頭じゃないですけど、菱餅ならあります」
ダージリン「…菱餅」ピクッ
西「…?どうされました…?」
ダージリン「いえ。ちょっと昔の話を思い出して」
西「そうですか?」
ダージリン「それより、ずっと気になってた事があるの」
西「何でしょう?」
ダージリン「知波単学園の戦術が大幅に変わったことについて」
西「あぁ…」
ダージリン「一体あなたはどうやってあの血の気の多い"突撃チーム"を変えたのかしら?」
12: 2017/04/08(土) 16:22:50.36 ID:6iENb3Do0
西「………」
ダージリン「な、なによ…どうしてそんな顔するの?」
西「……いえ…」
ダージリン「?」
西「ダージリン殿になら話しても良いのかなぁ…って思いまして。ははは…」
ダージリン「そう…」
西「出来れば他の人には内緒に…」
ダージリン「ええ。あなたと私だけの秘密ということにしますわ」
西「恐縮です」
13: 2017/04/08(土) 16:25:20.98 ID:6iENb3Do0
西「簡単に言えば、『人間、氏ぬ気でやれば何とでもなる』というやつでしょうか」
ダージリン「笑えないわよ。あなたはそれで実際に氏にかけてるのだから」
西「ははは…」
ダージリン「…」
西「…実は、大学選抜との試合が終わって暫くした日に夢を見たんですよ」
ダージリン「夢?」
西「ええ。ものすごく嫌な夢を」
ダージリン「…それはお気の毒様」
西「今だから夢だと言えるけれど、もしかしたら正夢になってたかもしれない…と」
ダージリン「どんな夢かしら?」
西「大洗女子の運命が懸かった大学選抜チーム戦、私が自分の隊をまとめ切れず暴走し」
西「その結果惨敗。大洗女子学園が廃校になるという夢です」
14: 2017/04/08(土) 16:27:50.50 ID:6iENb3Do0
ダージリン「!」
西「エキシビジョンマッチ戦、大学選抜チーム戦において私は隊長でありながらチームをまとめることが出来ずにいました」
西「真正面から勇猛果敢に突撃し、潔く散ることが知波単の魂だ、誇だと思う皆と」
西「それが正解なのかと迷う私とのズレがあったために優柔不断になってしまい…」
ダージリン「あなたの学校は突撃が伝統ですものね」
西「ええ。その戦い方を否定するのは知波単を否定するも同然であります」
西「…だから私も練習試合とかなら皆が望む知波単として、存分に吶喊・突撃を用いた戦いをするつもりです」
西「でも、その考えが仇となり、私は負けてはならない戦(いくさ)で負け、一つの学校を潰してしまいました」
ダージリン「ご安心なさい。私達は大学選抜チームに勝利して大洗女子の廃校も阻止した。あなたもご存知の通り」
西「…」
15: 2017/04/08(土) 16:29:29.13 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…あなたらしくないわね。普段のあなたならそんなもの寝たら忘れるでしょうに」
西「あはは…。あの時の西住さんが私に向けた、怒りや悲しみ、嫌悪に満ちた顔は忘れようにも忘れられません…」
ダージリン「むしろ一度拝んでみたいものですわ。みほさんのそんな表情を」
西「全てを諦めた顔でした」
ダージリン「…」
西「笑顔が素敵で凛々しい西住さんからは想像も出来ないような、魂が砕け散った人の顔でした」
西「言うなれば…"心が氏んだ人"の顔です」
ダージリン「それはなかなか物騒な話ね」
西「きっとそんな顔を本当に見せられたら壊れますよ」
西「心が、"ぱ り ん" と」
ダージリン「?」
16: 2017/04/08(土) 16:32:12.70 ID:6iENb3Do0
ダージリン「ご心配なく。彼女は私達が思っている以上にしっかり者です」
ダージリン「万に一つ廃校になったとしても必ず別の方法を模索する」
西「…彼女は立派な方です。2度の廃校の危機に瀕しても、冷静で居られた。だから勝てた」
西「しかし…私は西住殿には遠く及びません………」
ダージリン「…!」
西「……同じ立場なのに………」
ダージリン「ちょっとあなた、一体何を…?!」
西「私は…私は………知波単学園の…戦車道を…」
西「………守れなかったんです……」ツー...
17: 2017/04/08(土) 16:33:16.88 ID:6iENb3Do0
ダージリン「なっ!!」
西「……私は……命に変えてでも………守らなきゃ………いけなかったのに………」
ダージリン「…なによ、それ…」ワナワナ
西「あの戦いには……ヒッグ……知波単の……興廃が懸かってました…ヒグ……」
西「だから……私は……ッグ……頑張ったのに……グスッ…」
西「………負けちゃった………」
18: 2017/04/08(土) 16:34:31.49 ID:6iENb3Do0
ダージリン「な、なによそれ…」
西「………」
ダージリン「そんなのあんまりじゃないッ!!!!」ダンッ
西「………」
ダージリン「許せないわよそんなの!」
ダージリン「自分や仲間の道を守るために氏ぬ気で戦ったのに…なのに…!」
ダージリン「どうして誰もそれを認めないのよ!おかしいじゃない!!」
西「ダージリン殿………!」
ダージリン「あなたに何の恨みがあるって言うの!?」
ダージリン「独りで悩んで苦しんで!それでも勝たなきゃ全部台無しになる!!」
ダージリン「全部終わってしまうから止まることができないのに!!」
ダージリン「なのにこんな結果あんまりよ!!!」
19: 2017/04/08(土) 16:35:48.72 ID:6iENb3Do0
西「ありがとうございます…ダージリン殿………」ギュッ
ダージリン「はっ、離しなさい!何であなたが私を慰めるの?!離しなさいっ!!」
西「私が不甲斐ないばかりに…あなたまで…」ゴシゴシ
西「私はダージリン殿に助けてもらってばかりですね…あはは」
ダージリン「やめて!頭撫でないで!!これじゃただの惨めったらしい女じゃない!!」
西「そんな事ありません。」
ダージリン「っ…!」
西「私は粗忽な人間ですが、人から受けた恩だけは忘れないつもりです」
西「なので、ダージリン殿が困っている時に何もしないなら、私はそれこそ"惨めな女"です」
ダージリン「…あなた何を言っているの?…本当に困ってるのはあなたなのに!」
西「馬鹿か利口かと言われたら…迷うところですが、恩を仇で返す馬鹿にはなりたくないと思っております」
ダージリン「………ホントに馬鹿げてるわ………ばかみたい…」
20: 2017/04/08(土) 16:36:39.37 ID:6iENb3Do0
西「でも、ダージリン殿が私の分まで悲しんでくれたおかげで少し元気が出ましたよ。ありがとうございます…」ニコ
ダージリン「…………」
西「今の私には大したことは出来ませんが、せめてダージリン殿が落ち着くまでこうさせて下さいませ」
ダージリン「………人を片手で抱き締めといてよく言うわね」
西「はは……あいにく左腕は包帯でぐるぐる巻きですから」
ダージリン「………ばか…」
西「あはは。その…」
ダージリン「……なによ…」
21: 2017/04/08(土) 16:37:16.69 ID:6iENb3Do0
西「知波単学園から戦車道が無くなったら…」
西「その時は志願者を集めて非公式のチームでも作ろうと考えてます」
ダージリン「…好きにすれば良いわ」
西「草野球ならぬ草戦車道チームでも作れば誰にも迷惑かけず、思う存分吶喊も突撃もすることが出来ますからね」
ダージリン「………」
西「どれだけの人が付いて来てくれるはかわかりませんが、もし戦車が1輌でも動かせる程度に集まったなら…」
西「どうかその時はまたお手合わせ願います」
22: 2017/04/08(土) 16:38:55.25 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…たった1輌で私に挑もうというの?」
西「さすがに聖グ口リアーナ全員に1輌は…いや、戦車の機動力を活かせば或いは…」
ダージリン「…1輌じゃ無理よ」
西「そうですねぇ…5輌あれば勝てるかと」フフッ
ダージリン「…」ムカッ
西「痛っ!背中つねらないで下さい!」
ダージリン「……ふんっ!」
西(泣いたり怒ったりイジけたり…なかなか感性豊かな方だ)
西(でも私達のためにそこまでして下さるダージリン殿がとても愛おしく感じる)
西(しかし、どうしてダージリン殿はここまで激昂なさったのだろう…?)
23: 2017/04/08(土) 16:39:53.75 ID:6iENb3Do0
ダージリン「………なによ」
西「いえいえ、ダージリン殿はお綺麗だなぁ…と」
ダージリン「こんな醜女によく言えるわね……」
西「そうですか?涙と鼻水でクッチャクチャなダージリン殿もこれはこrあいでででで!!!」
西(…この先どうなるかわかりません)
西(でも、出来ることなら、ダージリン殿とは今後も良好な関係を築いていきたい)
24: 2017/04/08(土) 16:40:43.63 ID:6iENb3Do0
トントン
ダージリン「っ…」ゴシゴシ
西「ん、どうぞー」
「おお、意識が戻ったみたいだね!」
西「あ…」
ガチャ
ダージリン「…どちら様?」
西「学長殿…!」
ダージリン「!!」
26: 2017/04/08(土) 16:41:33.93 ID:6iENb3Do0
学長「ケガをしているから『無事でよかったよ』とは言えないけど、見たところ元気にしてるようで安心したよ」
西「あはは…生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたみたいです」
学長「舩坂弘の名言だね。今の君が言うと冗談に聞こえないから怖いよ」
西「あはは…」
ダージリン「学長様自らお見舞に来てくださるなんて、いい学校ですわね」ギッ
西「だ、ダージリン殿!?」
ダージリン「生徒の努力が報われない。そんな学校ですもの」
学長「あははは…。まぁここに来たのは西君の様子を見に来たというのもあるんだけど」
学長「もう一つの目的は"それ"なんだよね」
西「………!」
ダージリン「信じられない」ボソッ
28: 2017/04/08(土) 16:43:34.26 ID:6iENb3Do0
学長「君の望み通り、戦車道廃止は撤回することにしたよ」
ダージリン「!!」
西「えぇぇっ!!?」
ガタッ
西「…あいたっ!」
学長「こ、こら西君!…君は仮にも重傷なんだから無理に動いたら駄目だよ…」
西「で、ですが、廃止撤回とは!?」
学長「うん。実はね、大洗戦の後に戦車道関係の人が殺到してね」
学長「皆口を揃えて君の指揮や強豪校相手に勝利した秘策について知りたいと」
西「あはは。そんな大したことは…」テレテレ
学長「記事を書きたいから取材の許可をくれとか、戦車道履修者育成の参考にしたいとか…ね」
学長「更には生徒が戦車道を履修したいと言い出して、定員オーバー状態になってしまったり」
西「ははは…はっ!?」
学長「…と、知波単学園創設以来、凄いことになってるんだ」
学長「おかげで学校の電話は鳴り止まないんだよね」ハハハ
西(…な、なんか凄いことになっているぞ?!)
29: 2017/04/08(土) 16:45:19.35 ID:6iENb3Do0
学長「知波単学園にとっては今までにないくらい脚光を浴びているよ」
西「そ、そうでありますか…!」
学長「でもね、そんなことはどうでも良いんだ」
西「え?」
学長「いや、どうでも良いは言いすぎかもしれない。でも私にとってはそれよりも優先すべきものがある」
西「?」
学長「君のことだ。あれから血の滲むような努力をしたと思う」
学長「…さすがに倒れるまで無茶をしろとは言わないよ?けれどもその姿勢だけは我が校の模範生としては十二分だ」
西「あ、ありがとうございます…!」
学長「それでいて強豪校に完勝するなんて実績まで作ってくれたらね」
ダージリン「…」ムスッ
学長「これで『廃止にします!』なんて言う者は教育者として失格だと私は思う」
西「!!」パァァッ
学長「私は改めて思うよ。君のような素晴らしい生徒に出会えて良かったと」
学長「だからこれからも戦車道を続けてほしいと思った」
学長「それが私の結論だよ」
30: 2017/04/08(土) 16:46:35.56 ID:6iENb3Do0
西「あ、あ…」
西「ありがとうございますッ!!!」
学長「うんうん。そういうわけだから今はしっかり静養して、ケガが完治したらまた戦車道を再開して欲しい」
西「もちろんであります!」ビシッ
学長「それでは、よろしくたのむよ」
ダージリン「あの…」
学長「ん?」
ダージリン「その…先ほど無礼な態度を取ってしまったこと、お詫び致します」
学長「ああ。お気になさらず。君も西君と同じ気持ちだったのだからね」
ダージリン「恐縮です…」
学長「ダージリンさんと言ったね?西君をよろしくたのむよ」
ダージリン「はい」
学長「それでは、失礼するよ」
西「ありがとうございましたっ!」フカブカ
31: 2017/04/08(土) 16:47:24.57 ID:6iENb3Do0
西「………」
ダージリン「………」
西「あの、ダージリン殿」
ダージリン「なにかしら?」
西「ちょっと、ほっぺたを軽くつねってもらっても良いですか?」
ダージリン「こうかしら?」ギチッ
西「あいででででッ!!! お、おっけー!!夢じゃないです!!」
ダージリン「何をやってるのだか。…まぁ、良かったわね」
西「ええ。ダージリン殿のおかげです」ヒリヒリ
ダージリン「別に私は何もしてないわ」
32: 2017/04/08(土) 16:49:06.63 ID:6iENb3Do0
西「ダージリン殿がいなかったら私はあの時…」
ダージリン「特攻兵器」
西「知ってたのですか!?」
ダージリン「私とて一戦車道チームのリーダーでしてよ?」
ダージリン「相手が使う戦車、そして無人機もおおよそ把握しているつもりですの」
西「そう…ですよね」
ダージリン「あなたがそれを試合に持ち込むということは、レギュレーションをクリアした」
ダージリン「ならば使っても反則負けでは無いのだから試合では問題ない」
西「…」
33: 2017/04/08(土) 16:50:12.89 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…しかし、それは試合のルール上の話であって、その試合を見た人の反応とは別」
西「ええ…」
西「あの時、私は最低の人間になりました」
西「かつて我が国が開発した史上最凶の兵器の一つである特攻兵器を私は」
西「どの爆弾よりも強力で高精度な"誘導ミサイル"として見てしまった…」
ダージリン「でも、あなたは使用しなかった」
西「…」
ダージリン「あなたは正しい選択をしたのよ」
西「正しい選択?」
ダージリン「こんな格言を知ってるかしら。 "With great power comes great responsibility. "」
34: 2017/04/08(土) 16:53:13.26 ID:6iENb3Do0
西「よ、横文字は不得手です…」
ダージリン「"大いなる力には、大いなる責任が伴う"」
ダージリン「学長さんはあのように仰ってたけれど、本当の"運命の分かれ道"はあの特攻兵器を使うか否かだったと思うわ」
ダージリン「あの時誘惑に負けて特攻兵器を使用したら、恐らく大洗の切り札であるポルシェティーガーはもちろん」
ダージリン「その近くにいた他の車両もろとも走行不能になっていたはず」
西「確かに…あの時ポルシェティーガーの近くには複数の戦車が固まっておりましたので…」
ダージリン「結果として大洗にも勝利したと思うわ」
ダージリン「でも、」
ダージリン「そうなった場合、きっと今とは全く逆の評価を受けたでしょうね」
35: 2017/04/08(土) 17:04:50.69 ID:6iENb3Do0
西「ええ。間違いありません…」
ダージリン「特攻兵器を使用したことによって批判が殺到し、戦車道どころか知波単学園まで"廃止"になってたかもしれない」
西「…」
ダージリン「そうなればあなたは1つの学校を潰した諸悪の根源として一生恨まれ続けたでしょうね」
西「戦術で勝って戦略で負けたということですね…」
ダージリン「ええ」
西「やっぱり…その……」
ダージリン「?」
西「私にはダージリン殿がいないと駄目なんだなぁと思いました」
36: 2017/04/08(土) 17:06:47.91 ID:6iENb3Do0
ダージリン「…何よいきなり」
西「実際あの時の私は特攻兵器を使用する直前まで追い詰められておりました」
西「そして特攻兵器を起動するために端末を取ろうとした時に」
西「すぐ隣にダージリン殿から頂いたティーセットがありました」
西「それでダージリン殿との会話を思い出しまして」
ダージリン「…」
西「それで、特攻兵器よりも知波単学園の伝統で最後を飾った方が良いだろうなぁって我に返ったのです」
ダージリン「あの時の約束、覚えてくれたのね」
西「ええ…」
西「あのあとボンヤリしている中でもダージリン殿がいて、目が冷めたときもダージリン殿がいました」
ダージリン「………」
西「本当にありがとうございます。ダージリン殿」フカブカ
37: 2017/04/08(土) 17:08:09.48 ID:6iENb3Do0
ダージリン「やめて」
西「えっ………」
ダージリン「その"殿"というの。他人行儀みたいで好きじゃないわ」
西「ふぇ?で、ですが」
ダージリン「他の呼び方で呼んで下さらないかしら?」
西「…たとえば?」
ダージリン「人に聞かないで、自ら求め、調べた知識こそ身に付くものなのよ?」
西「………ケチ」ボソッ
ダージリン「どうかした絹代さん?」
西「い、いえ何でもありません」
38: 2017/04/08(土) 17:09:22.75 ID:6iENb3Do0
西「ふむ………」ウーム
ダージリン「そんな悩むことなのかしら…」ヤレヤレ
西「そうですね…たとえば『ダーちゃん』はいかがです?」
ダージリン「急に馴れ馴れしくなったわね。…というより何処かの王者みたいで嫌よ」
西「では『リンちゃん』というのは?」
ダージリン「呼ばれても気付かないわ」
西「じゃぁ『田尻さん』とか?」
ダージリン「…殴るわよ?」
西「じりん」
ダージリン「真剣に考えてますの?」
西「ダーリン!」
ダージリン「ちょっと!」
39: 2017/04/08(土) 17:13:13.44 ID:6iENb3Do0
西「なかなか難しいですな…」
ダージリン「あなたが真面目に考えないだけよ!」
西(そもそも私は"殿"以外で人を呼んだ事ってあったなぁ…?)
西(…あったような…ないような……いや、ある!)
西「ダージリン!!!!!」クワッ
ダージリン「きゃっ!!?」ビクッ ガタッ ゴン!
西(うむ。よくよく考えれば福田や玉田たちには敬称をつけずにそのまま呼んでいたしな)ウンウン
西(でも正直なところ目上のダージリン殿にそれは非礼…ってまた殿って言ってしまった…)
西(さすがに"無礼よ!"って怒られるだろうなぁ…。またほっぺたつねられるのは勘弁願いたいけど致し方ないか…)
40: 2017/04/08(土) 17:15:01.86 ID:6iENb3Do0
ダージリン「……わよ」ヒリヒリ
西「ふぇ?」
ダージリン「……それで良いって言ったのよ」ヒリヒリ
西「ほ、本当でありますか?!ダージリン殿!?…あ」
ダージリン「…本当なら『己の立場を弁えなさい』と言うところだけど、特別に」ヒリヒリ
西「有り難きお言葉でありますっ!」
ダージリン「言わずもがな他所様にそんな口を利くものなら砲弾が飛んでくるから努々お間違え無きよう」
ダージリン「…あと急に大声で呼ぶのはやめて頂戴。心臓が止まるかと思ったわ」
西「そこは心得ております!!」ビシッ
ダージリン「心得てないから言ってるのよ!」
41: 2017/04/08(土) 17:15:59.43 ID:6iENb3Do0
西「そうだ!」
ダージリン「…今度は何かしら?」ジトッ
西「私が"ダージリン"と呼ばせて頂けるのですから、ダージリンも私のこと自由に呼んで下さい」
ダージリン「そうね。お言葉に甘えて『突撃バカ一代』とでも呼ばせて頂こうかしら」
西「なっ、それはさすがに…」
ダージリン「冗談よ」クスッ
西(冗談を言う顔じゃなかったけどなぁ…)
42: 2017/04/08(土) 17:16:55.58 ID:6iENb3Do0
ダージリン「そうね。『絹代さん』って呼ばせていただくわ」
西「………」
ダージリン「…なによ」
西「いや、意外だったなぁと」
ダージリン「意外?」
西「私より年上なのですから"絹代"とか"西"と呼んで下さるものだと思っておりました」
ダージリン「私は何処かの誰かさんと違って礼儀を弁えておりますので」オホホ
西(人を容赦なくつねるクセに良く言うなぁ…)
ダージリン「なによその顔」
西「い、いえ」
ダージリン「言いたいことがあるのならハッキリ言って頂戴」
43: 2017/04/08(土) 17:17:52.24 ID:6iENb3Do0
西「今まで色んな人に"殿"をつけて呼んでいたのですが、やっぱりおかしいのかなぁと思いまして…」
ダージリン「おかしいわね」キッパリ
西「うぇぇっ?!」ガーン
ダージリン「それが敬称だというのはわかるけれど、何だか小馬鹿にされているような気がして私は好きではないわ」
西「そ、そうですか…」
西(ふむ…。ともなれば他の人も"殿"ではなく"さん"をつけてお呼びした方が良いかもしれない)
44: 2017/04/08(土) 17:18:45.89 ID:6iENb3Do0
ダージリン「それならいっそ"ダージリン"と呼んでくれた方が良いわ。あなたのように」
西「ではこれから遠慮なくダージリンと呼ばせていただきますぞ!」
ダージリン「どうぞご自由に」
西「ダー・ジ・リンっ♪ ダー・ジ・リンっ♪ 聖グロだぁ~からキンキラキ~ン♪」キャッキャッ
ダージリン「人の名を雑菌みたいに言わないで頂戴!消毒するわよっ!」
西「おわーっ!?冗談ですってば!ポット下ろしてください!!」
ギャーギャー!!
看護師「お静かに願います!!」
西・ダジ「すいません…!」
― まぁ…これが彼女の本当の顔なのかもしれないわね。
46: 2017/04/09(日) 21:00:44.39 ID:ITu1SYDo0
【数日後 昼】
西(たまにはゴロゴロ過ごすのも悪くないなぁと思っていたけど)
西(流石に毎日ベッドでゴロゴロは退屈だなぁ…)
西(この時間だとテレビも面白いのやってないし)
西「…」
西「あいはぶぁぴ~ん」( ゚д゚ )つ♀
西「あいはぶぁぱいなぽ~」●⊂( ゚д゚ )
西「おぉーん」 ●⊂(゚д゚u)つ♀ ●⊂(u゚д゚)つ♀
+:.,'+:*.+,"+.*
西「………」
西「退屈だなぁ…」
47: 2017/04/09(日) 21:01:51.29 ID:ITu1SYDo0
コンコン
西「おっ?入ってますよー」
?「おかしいですね。病室に来たつもりなのに、お手洗いに来てしまったかしら?」クスクス
西「あ、失礼。どうぞ~(…とは言ったものの、誰だろう?)」
ガチャ
?「こんにちは。西さん」
西「どうもこんにちは(……ダージリン?今日はいつもの髪型じゃないのかな?)」
?「聖グ口リアーナを破った隊長さんがどんな方か気になったので来てしまいましたわ」フフッ
西(…にしては声も違うし制服じゃない。そもそも"西さん"なんて呼ばな…呼ぶかな?)ウーン
48: 2017/04/09(日) 21:02:29.86 ID:ITu1SYDo0
西「あの、付かぬ事をお伺いしますが、どちら様でしょうか?」
?「ご挨拶が遅れましたわね。失礼しました」
?「わたくし、聖グ口リアーナOGの」
アールグレイ「アールグレイと申しますわ」ペコリ
西「アールグレイさんですね。私、知波単学園の西絹代と申します」フカブカ
西「聖グロOGの方にまで足を運んで頂き恐縮であります」
西(…ん?でも何で聖グ口リアーナのOGの方がいらしたのだろうか?)
49: 2017/04/09(日) 21:03:21.55 ID:ITu1SYDo0
~~~~~~~~~~~~
アールグレイ「この間はよくも聖グロをコテンパンにしてくれたな。覚悟は出来てるだろうな?」
西「えっ!?」
アールグレイ「氏ねェッ!!!」
グサッ
~~~~~~~~~~~
○
o
。
西「」
50: 2017/04/09(日) 21:04:21.13 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「ふふ。私たち聖グロのOGは今あなたの話題で持ち切りですからね」
西「そ、そうなのですか…?」ビクビク
アールグレイ「ええ。それはもう。私達の母校を"こてんぱん"にしたというのだから」
西「」アワワ...
アールグレイ「"知波単学園の西絹代とは誰なの?!"と躍起になっているわね」フフ
西「きき恐縮であります…」オロオロ
アールグレイ「でも、いざ蓋を開けたら"知波単学園の戦車道を救った英雄"だったというのですから…ねぇ?」フフ
西「ははは……はぁっ?!」
51: 2017/04/09(日) 21:05:23.39 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「クルセイダー会はあなたを聖グロの"脅威"と言い」
アールグレイ「また、チャーチル会は聖グロの"好敵手"と言い」
アールグレイ「そしてマチルダ会は"騎士道精神に則り、西絹代の思想を戦車道に取り組むべき"なんて言い出す程」ウフフ
西(な、なんだか私の知らん所でエラい事になってないか?!)オロオロ
アールグレイ「こんな話は滅多に無いものだから、OG会はそれはそれは大はしゃぎでして」クスクス
西「そ、そうなのですか。あは、あははは…」
52: 2017/04/09(日) 21:06:27.41 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「ええ。知波単のサムライに皆"くびったけ"ですわ」ニコニコ
西(どうしよう…。屈託の無い笑顔でものすごい誤解をなさっておられる…)
アールグレイ「知波単学園が羨ましいわね。聖グロでもそういった武勇伝が出てこないものかしら」ウフフ
西(うーん。勝手に誤解しているとは言え、嘘をそのままにしておくべきなのかなぁ…)
西(いや、どう考えても良くない。正直に言った方が良いか)
西「あ、あのっ!」
53: 2017/04/09(日) 21:08:22.14 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「あら、どうしたのかしら?」ニコッ
西「私は…その、アールグレイさんやOGの皆さんが想像されるような者ではございません」
西「ましてや英雄だなんてとんでもない」
アールグレイ「あら、どうしてかしら?」
西「私は自分の居場所を守りたい為にただ闇雲に暴走しただけであります」
アールグレイ「…」
西「その結果、たまたま運が良く私の望み通りになったに過ぎません」
西「ですが、私のやった事と言えば後ろ指をさされる様なものばかりで、」
西「罵声が飛ぶならまだしも、英雄なんて自分にはとても…」
アールグレイ「…」
西「ですから…どうか、OGの皆さんには誤解されぬよう『知波単の西は噂のような立派な者ではない』とでもお伝え頂けないでしょうか」
アールグレイ「………そう」
西「…」
54: 2017/04/09(日) 21:09:01.61 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「……ふふっ」
アールグレイ「やっぱり。あなたは私の予想通りの方でした」ニコッ
西「えっ…?」
アールグレイ「絶大な力を持っているにも拘らず、それを鼻に掛けることもなく、あくまで謙遜に振る舞う」
アールグレイ「本当に武士道を極めたサムライのような方ね」ウフフ
西「そ…そんな…」
アールグレイ「こんな格言を知っているかしら?」
西「はい?」
アールグレイ「"イギリスはすべての戦いに敗れるであろう、最後の一戦を除いては。"」
55: 2017/04/09(日) 21:09:48.87 ID:ITu1SYDo0
西「すみません、よくわからないのであります…」
アールグレイ「あなたのやったことの中には、ひょっとしたら失敗もあったかもしれない」
アールグレイ「でも、あなたは知波単学園を守るという"最後の一戦"で勝利した」
アールグレイ「これは誰が何と言おうと変わらない事実でしてよ?」
西「確かにそうかもしれませんが…」
アールグレイ「そしてOG会はその結果を称賛している」
アールグレイ「胸を張れ、そして誇れ。…と言ってもあなたの性分では難しいかもしれないけれども」
アールグレイ「我々聖グ口リアーナOGが認めた以上、卑屈になる理由はどこにもないわ」
56: 2017/04/09(日) 21:10:42.28 ID:ITu1SYDo0
西「…!」
アールグレイ「…そうね。もしこの事であなたに牙を剥くような者がいるなら…」
アールグレイ「それは聖グ口リアーナOG会を敵に回したことになるわね」ニッコリ
西「」ゾワーッ
アールグレイ「ふふ。だけどOGの皆様には"本人が困ってるから程々に"とお伝えしますわね」ニコッ
西「は、はい宜しくお願いします…」
西(私はそんなに凄いことをしたのか…???)
57: 2017/04/09(日) 21:11:43.68 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「あと、うちの後輩、今の隊長のダージリンに会ったら仲良くしてあげてくださいな」
アールグレイ「ちょっと高飛車でお嬢様気質だけれど、根は優しくてとっても良い子なのよ?」ニコッ
西「ええ。ダージリンさんはとても素敵な方です(よくツネるけど)」
アールグレイ「あら、既に面識があったのね?」
西「はい。私が今こうして居られるのもダージリンさんのお蔭です」
西「本当にダージリンさんには感謝してもしきれない気持ちで一杯です」
アールグレイ「ふふ。そうだったのね」ニコニコ
アールグレイ「今は彼女も聖グロの人間らしく淑女になったけど、昔はなかなか面白い子だったのよ」
西「あはは。なんとなーく想像がつきます(今でも十分面白いですけどね)」
アールグレイ「でも、ずっと憧れていた"淑女"になろうと、あの子なりに頑張って成長していった」
アールグレイ「だから、私はあの子を次の聖グ口リアーナの隊長に選んだの」
西「そうだったのですね…!」
58: 2017/04/09(日) 21:12:35.99 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「他の子には申し訳ないけれど、今の聖グロの隊長は彼女以外に有り得ない」
西「仰る通りダージリンさんは大変優秀な方です」
西「…しかし、それは他の聖グロの生徒さんも同じなのでは?」
アールグレイ「ええ。もちろん皆良い子ばかりよ」
アールグレイ「でもね、ダージリンは頭一つ抜けて優秀なの」
西「そうなのですか?」
アールグレイ「ええ。元からの才能もあったけれど、あの子は何より人一倍努力家だった」
アールグレイ「だから、ダージリンを私の後継者として選んだ」
アールグレイ「そしてダージリンは私の期待に応えてくれた」
アールグレイ「見事に隊長としての責務を全うしてくれた…」
西「ダージリンさんの優れたリーダーシップは、私も大いに参考にさせて頂いております」
59: 2017/04/09(日) 21:13:14.85 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「ありがとう。彼女の代わりにお礼を言わせて頂くわ」
アールグレイ「ただ…」
西「?」
アールグレイ「彼女もまた、聖グロの隊長としての"宿命"を背負っているの」
西「宿命…?」
アールグレイ「聖グ口リアーナOG会による介入…聖グロの悪い方の伝統ね」
西「聖グロのOG会については私も聞いたことがあります」
西「経済的な援助をすると同時に、学校の運営にも強い影響力を持っているそうで…」
60: 2017/04/09(日) 21:14:47.93 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「ええ。OGも元は世間知らずなお嬢様だから好き放題言ってくれますの。まるで小姑様のように」
西「そうなのですか…」
アールグレイ「少しでも聖グロに泥を塗るような真似をすれば、"制裁"を受けることになるから気が気でなかった…」
西「!! ということは、ダージリンさんは…!」
アールグレイ「ええ。ダージリンもOG会に縛られているわ…」
西「っ…!」
アールグレイ「だから、あの子がOG会の意見を押し返して『クロムウェル』を導入したのは、聖グロでも一部の人間だけしか知らない"大戦果"なの」
西「それは凄い…!」
アールグレイ「ええ。本当に凄い話ですわ」
61: 2017/04/09(日) 21:27:06.18 ID:ITu1SYDo0
西「ダージリンさんについては前々から凄腕の隊長だと思っていましたが」
西「アールグレイさんの話をお聞きして、ますますその思いが強まりました」
アールグレイ「ふふっ。彼女もきっと喜ぶわ」
アールグレイ「…でも、同時にあの子は」
アールグレイ「貴族たちの"機嫌"を損ねてしまった」
西「っ…!」
アールグレイ「聖グロにおいて、OG会を敵に回す事はタブーとされているの」
アールグレイ「なぜなら…」
アールグレイ「OG会の采配一つで隊長どころか学園からも追放することも出来るから」
西「つ、追放ですって!!?」
アールグレイ「ええ。今やはOG会はそれくらい強い権力を持った組織になってしまったの…」
西「一体どうなってるんですか!いくらOGとはいえ…!」
アールグレイ「お金の力って、怖いわよ」
西「ぐっ…!」
62: 2017/04/09(日) 21:27:43.42 ID:ITu1SYDo0
----------------------------------------
ダージリン「許せないわよそんなの!」
ダージリン「自分や仲間の道を守るために氏ぬ気で戦ったのに…なのに…!」
ダージリン「どうして誰もそれを認めないのよ!おかしいじゃない!!」
ダージリン「あなたに何の恨みがあるって言うの!?」
ダージリン「独りで悩んで苦しんで!それでも勝たなきゃ全部台無しになる!!」
ダージリン「全部終わってしまうから止まることができないのに!!」
ダージリン「なのにこんな結果あんまりよ!!!」
---------------------------------------
西(そっか…)
西(だからダージリンはあの時…)
63: 2017/04/09(日) 21:28:49.51 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「そしてもう一つ」
西「!」
アールグレイ「驚いたのは、西さん、あなたよ」
西「わ、私ですか?!」
アールグレイ「ええ。さっきも言ったように、OG会が皆口を揃えて貴方を称え出した」
アールグレイ「聖グロの生徒ならまだしも、"よそ者"であるにもかかわらず」
アールグレイ「これは前代未聞の出来事です」
西「私のような若輩者が認められるのです。偉業を成し遂げた方には同様に称賛されていたのでは?」
64: 2017/04/09(日) 21:29:47.06 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「いいえ。無かった」
西(バッサリ斬り捨てられた…)
アールグレイ「プラウダ高校のお嬢さんが黒森峰女学園の10連覇を阻止した時も」
アールグレイ「大洗女子学園が強豪校をまとめ、大学選抜チームに勝利し、二度にわたる廃校の危機から学校を守った時も」
アールグレイ「OG会の間ではほとんど話題にならなかった」
西(大学選抜チームに勝ったというのに…?)
アールグレイ「だから………」
65: 2017/04/09(日) 21:30:40.16 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「…いいえ、何でもないわ」
西「えっ…」
アールグレイ「ふふ、ごめんなさい。絹代さんが聞き上手だからついついお喋りが過ぎてしまったわ」ニコッ
西「は、はぁ…(いつの間にか絹代さんって呼んでる)」
アールグレイ「話題を変えましょうか」
西「はい」
アールグレイ「そうね………」
アールグレイ「うふふっ」ニタァ
66: 2017/04/09(日) 21:31:26.61 ID:ITu1SYDo0
西「え」ゾワーッ
西(なんだろう…ものすごーく嫌な予感がする)
西(…って何故接近してくるのです?!)
アールグレイ「ダージリンが聖グロに入った理由、知りたい?」ニコニコ
西「ふぇっ?!…えっと……まぁ、ちょっと気になるところではあります…」
西(この笑顔、心あたりがある…)
西("イタズラっ子"がする笑顔だ!!!)
67: 2017/04/09(日) 21:33:00.20 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「あの子はね、"白馬の王子様"にずっと憧れてたのよ」ウフフ
西「そ、そうなんですか…?(意外にメルヘンチックだなぁ)」
アールグレイ「でもね、『高貴な王子様は高貴な女性の所にしか行かない』って」
アールグレイ「だから聖グロに来て礼儀や作法を一生懸命学んだのよ。可愛いでしょう?」
西「ええ、とっても素敵です…!」
アールグレイ「最初は見ていて冷や冷やする事もあったけれど」
西「そうなのですか?」
アールグレイ「ええ。茶葉をそのままカップに入れたり」
アールグレイ「自販機で買った紅茶を出したら一級品を味わうかのようにしたり顔で飲んだり」
西(うわっ!それは恥ずかしい!!)
アールグレイ「マスタードがたっぷり入ったパイを食べて発狂したこともあったわね。ヒィーヒィー!って」フフフッ
西「あははは…(なかなかえげつない事をなさる)」
68: 2017/04/09(日) 21:34:09.34 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「…でも」
西「?」
アールグレイ「あの子は本当に、本当に頑張った…」
アールグレイ「だから…」
アールグレイ「来て欲しいわね。"王子様"」
西「絶対、来ますとも…!」
西(ダージリンもそんな過去があったんだなぁ。何となく察しはついていたけど)
西(そして、何だかんだ言ってアールグレイさんも後輩を案じる優しい先輩なんだね)
69: 2017/04/09(日) 21:36:29.08 ID:ITu1SYDo0
「ウォッホン!!」
西・アールグレイ「!!?」ビクッ
ダージリン「これはこれはアールグレイ様、お久しぶりでございますわね」ニコニコ
西(げぇっ!噂をすればっ!!!)
アールグレイ「あら、お久しぶりねダージリン。学校はどうしたの?」
ダージリン「お忘れでして?本日は創立記念日でお休みですの」ニコニコ
アールグレイ「そう言えばそんな時期ね」シンミリ
ダージリン「そ し て 絹代さん、御機嫌よう」ニコニコ
70: 2017/04/09(日) 21:37:23.22 ID:ITu1SYDo0
西「あ、あ、あは…は、ダージリン。き、昨日ぶりであります…」
ダージリン「絹代さんが空腹のあまり床に落ちてる物を食べて氏んでないか心配で見に来たら」
西「しっ、失礼な!私だって落ちてるもn
ダージリン「まさかまさか、暴露大会をなさっていたとは」ニコニコ
西「」ビクッ
ダージリン「…ねぇ?」
ダージリン「絹 代 さ ん ?」ギロリ
72: 2017/04/09(日) 21:38:25.02 ID:ITu1SYDo0
西「あ、アールグレイさん!まさに今ダージリンに牙を剥かれているのであります!助けてくださぁーい!!」
アールグレイ「うーん。ちょっとこれは無理かも」フフフ
西「そ、そんなぁ!!」ガーン
ダージリン「ふふっ。もちろん覚悟は出来てるわよね? き ぬ よ さ ん」ゴゴゴゴゴ
西(…あ、香水のいい香りがす)
パチコーーーーン!!!
アイタァァァァァァァァァァ!!!!
73: 2017/04/09(日) 21:40:51.70 ID:ITu1SYDo0
西「っぅぅ…」オデコヒリヒリ
アールグレイ「…それにしても、ダージリンがお見舞に来るなんて思わなかったわ」
ダージリン「それはこっちのセリフですの。どうしてまたこんなヘンな所へ?」
西(ヘンな所とは失礼なっ!)ヒリヒリ
アールグレイ「絹代さんにはさっき話したけれど、聖グロを打ち負かした高校の隊長さんがどんな方なのか知りたくてね」
ダージリン「人のプライバシーを覗きたがる助平なソレが隊長でしてよ」シレッ
西「助平?!」ガーン
アールグレイ「こらこら、意地悪を言わないの。彼女が困っているわ」
ダージリン「意地悪をされたのは私の方ですけど?」
アールグレイ「こんな格言を知っているかしら? "完全主義では、何もできない"」
ダージリン「チャーチルの言葉ですね。何故それが出てきたのかはわかりませんが」
アールグレイ「才色兼備ななあなたにも、可愛らしいところがあるってことよ」
西「わかります」
ダージリン「分からなくて良いわよ」
74: 2017/04/09(日) 21:42:26.53 ID:ITu1SYDo0
コンコン
アールグレイ「あら?またお客様?」
西「今日は色んな方がいらっしゃるのであります。どうぞー」
ダージリン「…あなたは何でもホイホイ入れる前に確認を取るべきよ」ハァ
西「あ…すいません。いつものクセで」
アッサム「失礼します」
オレンジペコ「お邪魔します」
ダージリン「遅かったわね二人とも」
アッサム「あなたがローズヒップのように先にピューと飛んでいったのでしょう」ハァ
ダージリン「なんだか嫌な予感がしたからよ」
アッサム・オレンジペコ(嫌な予感?)
75: 2017/04/09(日) 21:43:41.79 ID:ITu1SYDo0
西「先日の試合ぶりですね。オレンジペコさんと…セイロンさん?」
アッサム「ぐっ、アッサムですわ!聖グ口リアーナ隊長車砲手の!」
オレンジペコ「そういえば、アッサム様は自己紹介はまだでしたっけ」
西「先日はお世話になりました。西絹代と申します」フカブカ
アッサム「こちらこそ、宜しくですわ」ペコリ
アールグレイ「お久しぶりね。アッサム」
アッサム「なっ、アールグレイ様?!お、お久しぶりでございますの!」アセアセ
西(ん?随分取り乱しておられるな?)
オレンジペコ「確か、先代隊長の…」
アールグレイ「そちらのお嬢様は初めましてね。アールグレイですわ」
オレンジペコ「ご挨拶が遅れました。隊長車の装填手をしているオレンジペコです」ペコッ
アールグレイ「ご丁寧にどうも。1年の頃のダージリンにそっくりね」
ダージリン「アールグレイ様!」
西(あれ…なんだか疎外感を感じる…)
76: 2017/04/09(日) 21:46:50.83 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「ほらほらダージリン、絹代さんが困っていますわ」フフッ
西「え、あ、はい」
ダージリン「わ、私のせいですの?!」
アールグレイ「折角ですから紅茶を淹れてあげたら如何かしら?」
ダージリン「う…わかりましたわ」
オレンジペコ「ダージリン様が淹れる紅茶、久しぶりです」ワクワクペコペコ
アールグレイ「ふふ。本当に1年の頃のダージリンを見てる気分ね」ニコニコ
ダージリン「あ、アールグレイ様っ!」
西「実はオレンジペコさんを初めて見たとき、ダージリンの妹さんだと思っておりました」
オレンジペコ「えへへ。よく間違えられます」
アッサム「傍から見れば瓜二つですものね」フフッ
アールグレイ「賑やかで良いわね。私ももう一年聖グロに居たかったわ」シンミリ
ダージリン「留年なさるおつもりで?」コポポ
77: 2017/04/09(日) 21:48:15.28 ID:ITu1SYDo0
ダージリン「はい、どうぞ」コトッ
アールグレイ「ふふ…ダージリンも腕を上げたわね」
ダージリン「それはもう、アールグレイ様に姑様の如くご指導いただきましたので」
アールグレイ「ふふ。意地悪を言わないで頂戴。あなたカップに直接茶葉入れてお湯を注ごうとするんですもの」フフッ
西(緑茶でやったら大変なことになりますね…)
ダージリン「あ、あれは…!」
アッサム「…ありましたわねそんな事」ズズ
アールグレイ「アッサム、あなただって茶葉とヒジキ間違えて入れてたじゃない」フフッ
アッサム「アールグレイ様っ!?//////」カァァァ
ダージリン「…ひじき…ック…フフ…アハハッッ」プルプル
西「出汁が取れそうですな」フム
ダージリン「だ、出汁って…うっ…くふっ…あはっはははっ…!」プルプル
アッサム「笑いすぎですダージリンっ!!////」
西「こんなに笑うダージリンは初めて見ました」
アールグレイ「この子は案外笑い上戸で一度ツボに入るとこんな感じになるのよ」フフフッ
西「ははは。そうなのですね!」
アールグレイ「ほら。絹代さんも紅茶が冷めないうちに」フフッ
西「あっ、そうでした。いただきます」
78: 2017/04/09(日) 21:49:51.74 ID:ITu1SYDo0
西(よくよく考えたら、紅茶って飲んだことないんだよなぁ)
西(それにダージリンの淹れる紅茶を頂くのは初めてだし)
西(またとない機会だから味わって飲もうっと)
西「…」
アールグレイ「…」
ダージリン「…」←おさまった
アッサム「…」
オレンジペコ「…」
西「…あれ?皆さん?どうなさいました?!」オロオロ
アールグレイ「いえいえ、なかなかお上品ですね。思わず見とれてしまったわ」フフッ
西「そ、そうですか?」
ダージリン「…意外ね」
アッサム「我が校の生徒でもなかなかお作法が身に付かない子が多いのに、大したものですわ」
オレンジペコ「もしかして茶道をやっておられたのでは?」
79: 2017/04/09(日) 21:55:11.63 ID:ITu1SYDo0
西「ええ。実家に居た頃は華やら茶やら色々やらされており、学校でもそういった授業があるので気が付けば…」
アールグレイ「まぁ。良いとこのお嬢様でしたのね」
西「はは。そんな大層な話ではありませんよ」
西「何しろ、そういった生活が少し窮屈に感じたが故に、こちらに来たものでして…」ハハ
ダージリン「…」
アールグレイ「あなたとは逆ね。ダージリン」クスッ
ダージリン「…ええ」ズズ
アールグレイ(もしかしたら、白馬の王子様は…)
80: 2017/04/09(日) 21:55:55.63 ID:ITu1SYDo0
オレンジペコ「あら、もうこんな時間です」
アッサム「ふふ、楽しい時間は本当に早く過ぎてしまいますわね」
アールグレイ「ええ。時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのよ」
オレンジペコ「シェイクスピアですね」
ダージリン「アールグレイ様は相変わらず格言がお好きですのね」ヤレヤレ
アッサム「ダージリンがそれを言いますか」
ダージリン「えっ?」
アッサム「…もう結構です」ヤレヤレ
オレンジペコ(ダージリン様も昔は延々と聞かされる側だったのかな?)
81: 2017/04/09(日) 21:56:37.71 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「それでは、私はこれで失礼します」
西「アールグレイさん、色々とお話して下さりありがとうございました」フカブカ
アールグレイ「こちらこそ。楽しい時間ありがとう」ニコッ
アールグレイ「もし良かったら聖グロにも遊びに来てくださいな」
アールグレイ「丁重におもてなしを致しますの。ダージリンが」フフッ
ダージリン「えっ、私がですの?」
アールグレイ「ええ。今の隊長はあなたですもの」
ダージリン「そうですわね。ヒジキのだし汁でもお出ししますわ」シレッ
西「えぇぇ…」
アッサム「だ、ダージリン!」
アハハハハハハハ
82: 2017/04/09(日) 21:57:22.91 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「それじゃ皆も元気でね?」
アッサム「色々ありがとうございました」ペコリ
オレンジペコ「アールグレイ様もお元気で。また学校に来て下さいね」
アールグレイ「ええ。ありがとう」
アールグレイ「そして、ダージリン」
ダージリン「はい?」
アールグレイ「今度は二人っきりでゆっくりお茶しましょうね」
ダージリン「ええ。喜んでお付き合い致しますわ」
83: 2017/04/09(日) 21:58:02.65 ID:ITu1SYDo0
アールグレイ「絹代さん」スッ
西「はい?」
アールグレイ「私の連絡先です」
西「あ…どうもです」
アールグレイ「もし、宜しければ」
アールグレイ「ダージリンが困った時は、どうか助けてやって下さい」
西「もとより、そのつもりです…!」
アールグレイ「ありがとう」
― 結局、伝えることが出来なかったね…。
85: 2017/04/11(火) 20:34:22.46 ID:Q5P/FDte0
【同日 夕方】
西(聖グロの皆さんは帰っちゃったし、また暇になったなぁ…)
西(やっぱり私はじっとしているのは性に合わないのかもしれん。戦車で突撃がしたい)
西(…あ!そういえば皆から頂いた御見舞品このままにしておくのは良くないな。食べ物とかもあるし)ヨッコイショ
西(食べ物とかは冷蔵庫に入れて、花はあとで看護婦さんに花瓶を借りて)ガサゴソ
西(…にしても片手が使えない上に松葉杖というのは不便だな。猫の手も借りたいとはまさにこの事だ)アハハ
西「…ん?なんだこりゃ?」
86: 2017/04/11(火) 20:35:49.22 ID:Q5P/FDte0
― BRITISH INFANTRY TANK MK.IV CHURCHILL Mk.VII
西「おおっ、夕三ヤの戦車模型じゃないか!!一度作ってみたかったんだよ!」キラキラ
西「ふむふむ…"イギリス歩兵戦車チャーチル"とな」
西「…ん?チャーチル?」
西「どこかで聞いたことがあるような無いような…」
西「まぁいっか」
西「ご親切にニッパーや接着剤まで付いているし、暇つぶしに有難く作らせて頂きませう♪」
87: 2017/04/11(火) 20:37:26.49 ID:Q5P/FDte0
西「まずはパーツを切り離してー」パチン パチン
< コンコン
西「カッターでバリやラインを消してー」キュッキュッ
< コンコン
西「接着剤を付けて貼り合わせるー」ヌリヌリ ペタン
< ガチャ
西「イギリスの~チャ~チル~♪」パチン パチン
西「模型になったチャ~チル~♪」ショリショリ
西「コぉ~ンにぃ~生まれたぁ~このぉ気持ちぃ~♪」
「チャーチルがどうしたのかしら?」
西「いやぁ、面白い形をした戦車だなぁ~と思いまし…」
西「うぉぁぁぁぁぁ出たぁぁぁぁ!!?」ビクゥッ
ダージリン「人を幽霊みたいに言わないで下さるかしら」
88: 2017/04/11(火) 20:38:35.44 ID:Q5P/FDte0
西「だ、ダージリン!? ノック無しで部屋に入るのはマナー違反ですぞ!心臓に悪いっ!!」ドキドキ
ダージリン「何度もしたけれど、あなたが全然気付かなかっただけよ?」
西「えー…」
ダージリン「えーもびーも無いわよ全く。知らない人が来たらどうするつもりだったのよ」
西「あはは…面目ない……ん?」
西「そういえば何故ここに?」
ダージリン「あら、私はここに来たらいけなかったかしら?」
西「いえ、そういうわけでは…てっきり帰られたのだと」
ダージリン「あのまま帰るつもりだったけれど、忘れ物を思い出して取りに来たのよ」
89: 2017/04/11(火) 20:39:59.23 ID:Q5P/FDte0
西(へぇ、ダージリンも忘れ物するんだ)
ダージリン「…なによその顔」
西「い、いえなんでもありません。ダージリンがそそっかしい人だなんてこれっぽっちも…あっ!」
ダージリン「ほぅ…」
ダージリン「コレであなたの鼻をつまめばその減らず口も治るかしら?」つ[ニッパー]
西「やめてください。天才バカボンのお巡りさんになります」
ダージリン「ついでにコレでその口を塞いでしまえば静かになるわね?」つ[夕三ヤセメント]
西「それもいやです」
ダージリン「まったく…。 それで?」
西「へ?」
90: 2017/04/11(火) 20:41:19.61 ID:Q5P/FDte0
ダージリン「チャーチルがどうのこうの言うから少し気になったのよ」
西「あぁ、コレです」
ダージリン「…なにこれ?」
西「え、プラモデルをご存知ないのですか?!」
ダージリン「ええ…知らないわ」
西「プラモデルというのは、説明書を見ながらプラスチックのパーツを組み立てて、戦車とか車とか飛行機とか作るものです」
ダージリン「なるほど…」
西「これがまた奥が深くて、実際に戦車を組み立てるエンジニアのような気分に浸れるのであります!」
ダージリン「そうなの?」
西「それで、組み立てが終わったら塗装をしたりステッカーを貼って完成!…なのですが」
ダージリン「なのですが?」
91: 2017/04/11(火) 20:42:39.86 ID:Q5P/FDte0
西「拘る人はあえて車体の色を暗くして色あせた質感を表現したり」
西「塗装の剥がれや配管のサビを表現したり、履帯や転輪を砂まみれにするのですよ!」
ダージリン「それって、面白いのかしら?」
西「」ニヤリ
ダージリン「な、何よ。急にニヤニヤして気味が悪いわね…」
西「ダージリン、ホントは興味津々なのでは?」ニコニコ
ダージリン「そ、そんなことないわよ。…あなたがノックも気付かないほど夢中になって何をしてるのか気になっただけよ」
西「ダージリンもやってみます?」ニコニコ
ダージリン「…あなたがどうしてもって言うならやってあげても良いわよ?」
92: 2017/04/11(火) 20:44:09.16 ID:Q5P/FDte0
西「…」
ダージリン「な…何よ…」
西「やってみたいですか?」
ダージリン「…少しね」
西「少し?」
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「………やってみたいわよ」
西「そうでしたか!」ニパァァァ
ダージリン「ぐっ…憎らしい笑顔ね…」グヌヌ
94: 2017/04/11(火) 20:45:11.02 ID:Q5P/FDte0
西「では、お隣にどうぞ」ポンポン
ダージリン「え?」
西「さすがに立ったままではやり辛いでしょう」
ダージリン「べ、ベッドに行けと…?」
西「ええ。幸い大きいベッドを選んで頂いたので、窮屈ではないかと」
ダージリン「…じゃ、じゃぁお邪魔するわね?」チョコン
西「どうぞどうぞ」
95: 2017/04/11(火) 20:46:14.80 ID:Q5P/FDte0
西「それではまず転輪を組み立てて行きましょう」
西「パーツナンバーはAの16と17ですから、まずはA16をランナーから切り離して下さい」
ダージリン「ランナー?」
西「あ、ランナーというのはパーツがくっついている枠のことです」
ダージリン「ほう…」
西「その枠がアルファベットで振り分けられているので、そのうちのAの16番をまず切り離します」
ダージリン「Aの16…これかしら?」
西「お、それですね。ではニッパーでランナーから切り離してください」
ダージリン「わかった。やってみるわね」
ダージリン「…」プルプルプル
西「…あれ?ダージリンってもしかして手先はあまり器用ではなかったりします?」
ダージリン「よっ、余計なお世話よ!こんなの慣れてしまえばアーリーティー前よっ!」
西(だけどすごく手が震えていますね…)
西(変なところカットしたら面倒なことになるし、ここは…)
96: 2017/04/11(火) 20:47:22.95 ID:Q5P/FDte0
ギュッ
ダージリン「ふぇっ?!」←手を握られている
西「このままゆっくりパーツとランナーの隙間にニッパーの刃を通していきます」
西「多少バリが残ってもあとからヤスリで削れば良いので安心してください」
ダージリン「え…えぇ…」
パチン コロン
西「おお、いい感じに切り離せましたね!」
ダージリン「ほ、本当?」
西「ええ。初めてにしては上出来ですよ!」
ダージリン「えへへ…///」
西「」ニコニコ
ダージリン「…ハッ!」
ダージリン「ま、まぁ私にかかればこんなもの簡単ですわよ!」フフン
97: 2017/04/11(火) 20:49:12.51 ID:Q5P/FDte0
西「では、今度はダージリン一人でやってみてください」
ダージリン「え」
西「今ので大体コツを掴んだと思います。なので今度はお一人で」
ダージリン「」
西「大丈夫。ダージリンは要領が良いのですぐ出来ますよ」
ダージリン「…って」
西「え?何と申されましたか?」
ダージリン「も、もう一回手、握って…」
西「あ…かしこまりました」ギュッ
ダージリン「…」
パチン ポロン
98: 2017/04/11(火) 21:07:27.95 ID:Q5P/FDte0
西「ふぅ…。ようやく転輪の組み立てが終わりましたね」
ダージリン「ええ」
西「まだまだ完成は先ですけど、疲れたので一旦ここで休憩しましょう」
ダージリン「そうね」
西「にしてもチャーチルは転輪が多いですな」
ダージリン「仕方ないわ。重たい車体を支えるためだもの」
西「なるほど。うちの戦車も転輪の数増やしたら突撃しやすくなるでしょうか」
ダージリン「それじゃ別の戦車になってしまわないかしら?」
西「そうですね。九六式重戦車ダ号とか」
ダージリン「何よそれ…」
西「グ口リアーナの"グロ"で九六、ダージリンの"ダ"でダ号です」
ダージリン「意味がわからないわ。それに何で重戦車なのよ」
西「重量感のあr <ツネッ!> 痛ぁっ!!?」
ダージリン「私は重くないわよっ!」
99: 2017/04/11(火) 21:09:14.18 ID:Q5P/FDte0
西「あはは…ふぁぁ。何だか眠くなってきましたね」
ダージリン「ここは日当たりも風通しも良いから、お昼寝には最適かもしれないわね」
西「ええ。ただ、あまりに快適なので寝過ごしてしまうのですよ」ハハハ
ダージリン「あなたがニートになってしまわないか心配だわ」
西「に、ニートぉ?!」ガーン
ダージリン「ええ。こんな快適な所にずっといたら元に戻れなくなってしまうわ」
ダージリン「人間ね、一度堕落してしまったら矯正するの大変なのよ?」
西「…(長くなりそうだな)」
ダージリン「身の回りのあらゆるところに快楽は潜んでいる」
ダージリン「そういった快楽の誘惑からいかに自分を制するか…」
西(…あ、そろそろティーガースの試合中継始まってるな)ピッ
100: 2017/04/11(火) 21:10:23.89 ID:Q5P/FDte0
オオアライガワルイ
ナンデヤ! グンシンカンケイナイヤロ!!
ソラソウヨ
ワイワイガヤガヤ
西(あちゃー。また今日も29点差かぁ…)
ダージリン「快楽にハマって抜け出せなくなって、取り返しの付かないことになる人だっているのだから」
ダージリン「特に今の絹代さんはやる事が無くて毎日ボーッと過ごしているからまさにニート予備軍よ?」
西(うーん…今季はダメだなぁ…)
ダージリン「このままニートになってしまう前に……ちょっと聞いてるの!?」
101: 2017/04/11(火) 21:12:01.39 ID:Q5P/FDte0
西「え?!あ、ああ…聞いてましたよちゃんと!」
ダージリン「それじゃあ私が何と言ったか説明できるかしら」
西「え」
ダージリン「ちゃんと聞いていたなら説明できるわよね?」
西「え、えーと…ダージリンがニートって話ですよね??」ハテ
ダージリン「」ブチッ
西「あれ…違いました?」
ダージリン「ええ、どうやらあなたの存在そのものが間違ってるみたいね」ジリジリ
西「私の存在ってどういう…ちょっ、何でこっちに近づいてくるんですかっ!?」
ダージリン「この減らず口を矯正するためよ!!」ビローン
西「ふもぉぉ!!いひゃいへふっ!!ははひふぇふははい!!」ジタバタ
102: 2017/04/11(火) 21:14:38.23 ID:Q5P/FDte0
西「うぅ…容赦ないですなぁ…」ホッペヒリヒリ
ダージリン「ふん!」ツーン
西「仮にも私はケガ人でありますからして、もう少しお手柔らかに…」ヒリヒリ
ダージリン「あらあら御免あそばせ。あまりに憎まれ口を叩くものだから怪我の事なんてスッカリ忘れてしまいましてよ」ホホホー
西「動けないのを良い事に好き放題してよく言いますよ。そういうのが趣味なんですか?」
ダージリン「なんですって?」ギロッ
西「…なんでもありません」
ダージリン「まったく…」
西「っ…!」ブルッ
ダージリン「…何よ」
103: 2017/04/11(火) 21:16:04.69 ID:Q5P/FDte0
西「いえ…あの…」
ダージリン「毎度ながら歯切れが悪いわね。どうでも良い事はベラベラと喋るクセに」
西「……いえ…お手洗いに行きたくなって…」モジモジ
ダージリン「…あぁ。ちょっと待ってなさい。…あったわ」
西「?」
ダージリン「はい。どうぞ」
[尿便]
西「」
ダージリン「何よ?」
西「あの、この病室にトイレあるので…」
ダージリン「一人で行けるの?」
西「ええ、松葉杖があるので…おっと」ヨロッ
ダージリン「危なっかしいわね。連れて行ってあげるわよ」
西「あはは…恐縮です」ヨッコイショ
104: 2017/04/11(火) 21:17:30.52 ID:Q5P/FDte0
ガチャ バタン
ダージリン「やれやれ。手も足も使えないなんて不便ね」
西『あの…ダージリン』
ダージリン「どうしたの?」
西『その…厚かましいのは重々承知なのですが…』
ダージリン「何を今更。言ってご覧なさい」
西『さすがの私も人がそばにいる状態では用を足し辛いのであります…』
ダージリン「あなたにもそれくらいの恥じらいはあるのね」
西『あの…そろそろ出そうです…』ブルッ
ダージリン「はいはい。離れれば良いのでしょう」スタスタ
西『恐縮です…ん……ふぅ……』
105: 2017/04/11(火) 21:18:16.57 ID:Q5P/FDte0
ダージリン「それにしても良いベッドね」フカフカ
ダージリン「こんなベッド使ってたら動く気力を吸い取られそう」
ダージリン「一体どこのメーカーかしら?」
ダージリン「………」
ダージリン「ふぁぁ…」ノビーッ
ジャー
西『ダージリン、すみません。もう一回お願いします』
106: 2017/04/11(火) 21:19:01.03 ID:Q5P/FDte0
シーン
西『ダージリン…?』
ガチャ
西「ダージリン?」
西(帰られたのかな?)
西(ふむ…仕方ないな…)ケンケン...
西「よっと!」 つ[松葉杖]
西(にしても、帰るならひとこと言って欲しかったなぁ……って、あれ?)
ダージリン「zzz」スヤァ...
西「あはは。そこにいたのですね」
107: 2017/04/11(火) 21:20:31.98 ID:Q5P/FDte0
ウッター!
ティーガースガウチマシタァァァァァァ!!
西(おっと、テレビつけっぱなしだ)ピッ
西(…これでよし、と)
ダージリン「zzz」スヤァ
西(ダージリンも色々あってお疲れなんでしょう。このまま寝かせておきませう)
西(それにしても柔らかそうなほっぺただ。まるで肉まんのような)
西(………)
西(ちょっと触るくらいだったら良いだろうか…)
西(ダージリンさんも私のほっぺた引っ張ったしお相子だよね?)
西「」ソーッ
108: 2017/04/11(火) 21:21:02.12 ID:Q5P/FDte0
コンコン
西「!!」ビクッ
西「ど、どうぞぉ…?」
ガチャ
オレンジペコ「失礼します」ペコッ
西「あ、先ほどぶりであります。オレンジペコさん」
オレンジペコ「何度もすみません。ダージリン様の帰りが遅かったものでして」
西「ああ、もうこんな時間ですからね」チラッ
時計『20:00』
109: 2017/04/11(火) 21:22:26.62 ID:Q5P/FDte0
オレンジペコ「…あれ、ダージリン様…」
西「ええ。私が少し目を離した隙にぐっすりと」
ダージリン「」スピー
オレンジペコ「そうですか…困った人ですね。怪我人押しのけてベッドを占領しちゃうなんて」クスッ
西「ダージリンも色々お疲れなのですよ」
オレンジペコ「そうかもしれませんが…」
西「試合は終わったのですから、ゆっくりしてもバチは当たらないかと思いますよ」フフッ
オレンジペコ「たしかに…」
西「そういえばダージリンも隊長ですからね。聖グロの」
オレンジペコ「…忘れてたのですか?」
110: 2017/04/11(火) 21:24:23.27 ID:Q5P/FDte0
西「ええ。ここ最近は戦車から離れてしまったこともあって、ダージリンには色々お世話になってることもあったおかげで」
西「隊長としてではなく」
オレンジペコ「…」
西「お友達という印象が強いですね」
オレンジペコ「…」
西「…ん?どうかされましたか?」
オレンジペコ「えっと…」
西「?」
オレンジペコ「ダージリン様は知波単学園と戦って以降、やたら貴方の名前を呼ぶようになったんです」
西「えっ、私の名前をですか?」
オレンジペコ「ええ。事あるごとに"絹代さんだったらこういう時どんな顔をするでしょうね"…と」
西「そうなのですか」
オレンジペコ「ええ。それはもう楽しいことを思い出してるかのように」
西「ははっ。それは嬉しいです!」
111: 2017/04/11(火) 21:25:33.79 ID:Q5P/FDte0
オレンジペコ「西さん、率直にお尋ねしますが」
西「なんでしょう?」
オレンジペコ「西さんはダージリン様の事をどう思っておられるのですか?」
西「うーん…」
オレンジペコ「…」
西「少し前は聖グ口リアーナの隊長殿という印象でして」
西「品の無い自分とは真逆の存在ゆえに少々接しづらい方だなぁと思っておりました」
オレンジペコ「では、今は?」
西「今は色々お世話をして頂いていることもあって、親しく思うようになったのですが…」
オレンジペコ「…」
西「実際のところ、よくわからないのであります」
112: 2017/04/11(火) 21:26:38.92 ID:Q5P/FDte0
オレンジペコ「よくわからない…?」ピクッ
西「ええ。よくわからないのですが…その、」
西「ダージリンが近くにいないと」
西「心にぽっかり穴が空いたような気持ちになります」
オレンジペコ「…それはどういう意味ですか?」
西「それが"よくわからない"のです」
西「腹に風穴でも空いたかのような…そんな錯覚に陥ってしまうんですよね」
オレンジペコ「…」
西「でも、ダージリンがいると、その穴が埋められていくような気がします」
西「冷たい風を遮ってくれるかのように、暖かい気持ちになれます」
西「それもダージリンのお人柄なのかな…」
113: 2017/04/11(火) 21:27:30.53 ID:Q5P/FDte0
オレンジペコ「…となれば、似たような方がいらしたら同様に"穴"を埋めてもらえると?」
西「それはないです」キッパリ
オレンジペコ「…」
西「…あれ以来、気がつけば私のそばにはダージリンがいました」
西「ダージリンがいる日常がごく当たり前のように思えました」
西「それは当たり前でも何でもないのに」
西「ですから、もしもダージリンがいなくなったら…と思うと凄く寂しいです」
西「学校が違うので、いずれ離れてしまう日が来ますが、それでも何かしらの形でダージリンとは繋がっていたい…と」
オレンジペコ「…わかりました」
114: 2017/04/11(火) 21:28:30.68 ID:Q5P/FDte0
西「なんだかお茶を濁す返答で申し訳ありません」
オレンジペコ「いえ。こちらこそ変なこと聞いてすみません」
オレンジペコ「今夜はもう遅いので、ダージリン様はこのままここで休ませて頂けないでしょうか?」
西「ええ、私は構いませんよ?」
オレンジペコ「ありがとうございます。それと、」
オレンジペコ「ダージリン様には私がここに来たことを内緒にして下さい」
オレンジペコ「そうでないと『どうして起こしてくれなかったのよぉ!!』って怒られちゃいますので」エヘヘ
西「あはは。ダージリンならきっと言うでしょうね」
115: 2017/04/11(火) 21:29:11.27 ID:Q5P/FDte0
オレンジペコ「…あ、重ね重ね恐縮ですが」
西「構いませんよ。なんでも仰ってください」ニコッ
オレンジペコ「連絡先、交換していただけないでしょうか?」
西「ええ、是非とも」つ[携帯]
オレンジペコ(あ、一応携帯電話は扱えるんですね)
西「ははは。こんなご時世ですのでパソコンや携帯電話は扱えたほうが良いなと思った次第ですよ」
オレンジペコ(うっ…顔に出ちゃってたかな…)
オレンジペコ「あ、来ました。有難うございます」
西「いえいえ、こちらこそ」
オレンジペコ「さて、それでは私はこの辺で失礼します。色々有難うございました」ペコ
西「こちらこそ。お休みなさい」フカブカ
116: 2017/04/11(火) 21:30:09.58 ID:Q5P/FDte0
西(さて…もうこんな時間か。1日が終わるのはあっという間だなぁ)
西(チャーチルもそのままだから片付けないと…)ジャラジャラ
チラッ
ダージリン「zzz」スヤァ
西(にしてもダージリンは寝顔も綺麗だなぁ)
西(起きてる時はちょっと口うるさいところもあるけれど)
西(………)
西(ダージリン真似)「こんな格言を知ってるかしら? "早起きは三文の徳"」
西(ダージリン真似)「あなたも一日中寝てばかりいないで、たまには早起きでもして自分を磨いたらどうかしら?」
西「…似てないか」ハハハ
117: 2017/04/11(火) 21:31:09.04 ID:Q5P/FDte0
― ええ。ダージリンもOG会に縛られているわ…
西(………)
― ダージリン様はやたら貴方の名前を呼ぶようになったんです
西(………)
― 西さんはダージリン様の事をどう思っておられるのですか?
― もしダージリンがいなくなったら…と思うと凄く寂しいです
西「ダージリン…」
西「…」
ダージリン「…」zzz
118: 2017/04/11(火) 21:31:43.28 ID:Q5P/FDte0
西「………」
ピタッ
ダージリン「…んっ……」
ツネッ
ダージリン「…っぅ……」
西「………」
プスッ プスッ
ダージリン「…んんぅ……」
西「………あはは…」
― 私はダージリンに甘えてばかりだなぁ…
119: 2017/04/13(木) 22:10:02.79 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「………うーん?」パチッ
西「あ…おはようございます」
ダージリン「…絹代さん……いま何時ぃ…?」ポケー
西「えっと、9時ですね」
ダージリン「そう…」ウトウト
ダージリン「…」
ダージリン「9時ぃ?!!」ガタッ
西「わ!」
ダージリン「ひどいわ絹代さん!どうして起こしてくれなかったのよ!」
西(うっひゃぁ…オレンジペコさんの言った通りだ)
ダージリン「あぁ…私としたことが寝坊助にも程があるわぁ……」
西「ま、まぁまぁ落ち着いて…」
ダージリン「うぅ…あなたのそばにいるせいで私までだらけてしまったのね…」ズーン
西(失礼なっ!!)
120: 2017/04/13(木) 22:10:34.12 ID:TN4BMIQP0
西「あの…ダージリン」
ダージリン「なによ」
西「今晩はもう遅いでしょうから、此処に泊まっていって下さい」
ダージリン「え、ここに?」
西「ええ。生憎この近辺には宿泊施設がありませんので」
西「他にも空いている部屋や仮眠室があるかもしれませんので聞いてみますね」つ[電話]
ダージリン「ええ…お願いするわ」
121: 2017/04/13(木) 22:12:34.16 ID:TN4BMIQP0
西「……あの、申し訳ないのですが」
ダージリン「他にお部屋が無いのでしょう?」
西「ええ…」
ダージリン「仕方ないわよ。私のような健常者が病人や怪我人押しのけて『寝過ごしたから部屋を使わせてくれ』なんて厚かましいにも程がありますもの」
西(私を押しのけて寝てたクセに…)
西「ただ、私の部屋したら"利用者が許可するならそれで良い"とのことでして」
ダージリン「でも、それってつまり…」
西「あ、ダージリンはそのベッド使ってください。私は椅子にでも座って寝ますよ」
ダージリン「何を言ってるの。あなた仮にも怪我人なのよ」
西「とは言ってもダージリンを地べたで寝させるのはさすがに…」
ダージリン「あなたが椅子でどうして私は床なのよ…」
西「ははは冗談ですよ。私が床で寝ましょう」
西「ウチの玉田も選抜戦帰りの列車で地べたに寝そべってたことがありますので」アハハ
122: 2017/04/13(木) 22:13:40.60 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「…じゃぁ」
西「ん?」
ダージリン「あなたのベッド…ほんの少しだけ貸してくれないかしら…?」
西「え?」
ダージリン「あなたのベッドなのだから、あなたが使うべきよ」
ダージリン「ただ、少しだけ場所を貸してくれないかしら…と思って」
西「や、やっぱり私が椅子なり床なりで寝ます!こう見えて戦車の中でよく転寝してますので!」
ダージリン「だからそれは駄目」ガシッ
西「わっ!だ、ダージリンは平気なんです?!」
ダージリン「え?…ええ、女同士でしょう?」
西「そう…ですよね…?」
ダージリン「ええ」
ダージリン「…でも、制服のままだと皺になるわね」
西「…あ、私の予備の浴衣があるので良かったら使ってやって下さい」
ダージリン「いいの?」
西「ええ」
ダージリン「じゃぁ、お言葉に甘えようかしら」
123: 2017/04/13(木) 22:15:09.11 ID:TN4BMIQP0
西「…」
ダージリン「なに?」
西「いえ、浴衣姿のダージリンも絵になるなぁ~と思いまして」
ダージリン「褒めても何も出ないわよ」←ちょっと嬉しい
西「浴衣は良いですぞ!浴衣一つあれば寝るのはもちろん、病院内や外も出歩けますし!」フフン
ダージリン「さすがに外を歩くときは着替えるわよ」
西「まぁ、私の場合こんな体ですからね」
ダージリン「ああ…そうだったわね」
西「はははっ!気軽に脱げるってのも浴衣の利点ですよ!」
ダージリン「何を言ってるのかしらこの子は」ハァー
西「あ、そうだ、病室内にシャワールームがあるので良かったらそちらも使ってください」
ダージリン「何から何まで悪いわね」
西「いえいえ、これくらい」
ダージリン「…じゃあ、お先に頂くわね?」
西「どうぞどうぞ」
124: 2017/04/13(木) 22:15:56.19 ID:TN4BMIQP0
西「………」
西(んー…大丈夫なのかなぁ…?)
西(ダージリンは優しいから気をつかって下さってるけど、一つのベッドで二人というのはどうなんだろう…)
西(やっぱりダージリンに言って私は床で寝た方が良いのでは?いやそうに違いない)
ダージリン『絹代さん』
西「ひゃっはぁい!?」ビクッ
ダージリン『? お湯ってどうやれば出るのかしら?』
西「え、え?あっ、あ、右側を回すと出るのでありますっ!」
ダージリン『ありがとう』
西(し、心臓に悪い)
125: 2017/04/13(木) 22:17:46.14 ID:TN4BMIQP0
ダージリン『ひゃああああっ!!!』
西「だーズりンどのォ?!!」←噛んでる
ダージリン『ちょっと!こっち冷水じゃないの!!』プンスカ
西「ももも申し訳ございませんっ!温かいのは反対側でしたぁーっ!!」
ダージリン『まったくもう…!』
シャワーーーーー
西(なんだか胃が痛くなってきた…)キリキリ
126: 2017/04/13(木) 22:19:08.99 ID:TN4BMIQP0
ダージリン『絹代さん』
西「…今度はなんでしょうか?」ジトッ
ダージリン『良かったら一緒にシャワー浴びません?』
西「ふぁっ?!」
ダージリン『手足が不自由でしょうし、髪洗うの手伝うわよ』
西「い、いえ、私は…」
ダージリン『?』
西「…ダージリンはそういうの気にされないのです?」
ダージリン『ええ。エキシビジョンマッチ戦後にもご一緒したでしょう?』
西「た、たしかに…」
西(…って、あの時は他の方もいたではないか!でも、今回はその…)
西(二人っきりってさすがに…)
ダージリン『じれったいわね。早くなさいな』
西「は、はいぃっ!」
西(もう…どうにでもなれば良いんだ…)グッタリ
127: 2017/04/13(木) 22:19:55.34 ID:TN4BMIQP0
【シャワールーム】
西「お、お邪魔します」E:タオル
ダージリン「余所余所しいわね。早くこっちへ来なさいな」
西「きょ、恐縮です(そりゃ余所余所しくもなりますよ!!)」
ダージリン「あら?腕や足はやっぱり濡らしちゃダメなの?」
西「え、ええ…ギプスなので上からタオルを巻いて更にビニル袋で水が入らないようにします」
ダージリン「不便ね。やっぱり一人じゃ大変でしょ?」プシュップシュッ
西「まぁ、慣れましたけ <ピタッ> ひゃぁっ!?」
128: 2017/04/13(木) 22:20:59.25 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「ちょっと大声出さないで頂戴。びっくりするじゃない」
西「びっくりしたのは私の方であります!いきなり触るなんて反則ですぞ!」ドキドキ
ダージリン「それは申し訳ないわね。次からは"触る"って一声かけてからで良いかしら?」ゴシゴシ
西「え、ええ。それなら…」
ダージリン「じゃぁ触るわね」
西「触ってから言わないでください」
129: 2017/04/13(木) 22:22:58.67 ID:TN4BMIQP0
ゴシゴシ ワシャワシャ
西(でも…なんだか気持ち良いのであります。髪を切りに行った時の洗髪を思い出すのであります)ホヘー
ダージリン「懐かしいわね」ワシャワシャ
西「ほへ?」
ダージリン「昔はこうやって妹の髪を洗ってたのよ」モシャモシャ
西「妹…アップルペン殿ですか?」
ダージリン「"オレンジペコ"よ。それにペコは後輩。ちゃんとした妹よ」ゴショゴショ
西(…オレンジペコ殿が聞いたらちょっとヘコみそうな…オレンジ凹。…いや無いか)
西「妹さんは聖グ口リアーナ生なのですか?」
ダージリン「いいえ、まだ中学生(※)だもの。でも、もしかしたらウチに来るかもしれないわね」ゴシゴシ
※ここだけの独自設定です
130: 2017/04/13(木) 22:24:19.98 ID:TN4BMIQP0
西「妹さんが聖グ口リアーナに来たら今度はオレンジペコさんが隊長になっているかもしれませんね」
ダージリン「そうね。あの子はああ見えてなかなか頼もしいから」ゴシゴシワシャワシャ
西「それで、ダージリンよろしく」
西(オレンジペコ真似)「こんな格言を知ってます?」ドヤッ
西(オレンジペコ真似)「お寿司はね、銀シャリよりも上に乗ったチクワが一番おいしいの。握られた方がいい味だすのよ」ドヤァァ
西「…となったりしt ぶわぶっ!?」
ダージリン「私を格言自慢が好きな嫌味ったらしい人間みたいな言い方しないで頂戴」ジャー
西「ゴボゴボガボゴボゲホッゲホッゲエホッオェェェェッ!!!!」ブクブク
ダージリン「まったく。なんでお寿司のネタにチクワなのよ」ジャー
131: 2017/04/13(木) 22:26:05.29 ID:TN4BMIQP0
西「いきなりシャワー顔面にぶっかけるなんて卑怯じゃないですかぁ!!」ケホッケホッ
ダージリン「あらあら御免あそばせ。シャワーのときは一声かけろと言われておりませんので」
西「…まさにイヤミな女」ボソッ
ダージリン「…」ジャー
西「ゴボゴボガボゴボゲホッゲホッゲエホッオェェェェッ!!!!」ブクブク
ダージリン「フフフ」ニタァ
西「ゲホゲホオ゛エ゛ェッ! それ反則です!ルール違反であります!」
ダージリン「あなた用の制裁措置よ」フフフ
西「私は何も悪いことしてませんっ!」
ダージリン「自覚がないのならしょうが無いわねぇ?」
西「あ!シャワーこっち向けようとしていますね?!ダメです禁止です!!」
ダージリン「はしゃぎ過ぎよ。もう少し落ち着きなさい」
西(誰のせいだと思ってるんですか!!)
133: 2017/04/13(木) 22:29:47.21 ID:TN4BMIQP0
西「でも…」
ダージリン「今度は何よ?」
西「もし妹さんがうちに来たらどうします?」
ダージリン「"うち"って知波単学園?」
西「ええ」
ダージリン「それはご勘弁願いたいわね。騒がしいのはローズヒップ一人でお腹いっぱいですわ」
西「えぇー」
ダージリン「妹は私のようにお淑やかになってもらわないと困りますもの」
西「私のようにねぇ…フッ」
ダージリン「」シャワージャー
西「ゴボゴボガボゴボゲホッゲホッゲエホッオエッ!!鼻はやめゴボボガバオゴバ!!」ブクブク
134: 2017/04/13(木) 22:30:38.22 ID:TN4BMIQP0
西「」ゲホッゲホッ オェェッ!!
ダージリン「あなたもなかなか懲りないわね…」
西「むしろ懲り懲りです。ダージリンがイジワルするだけです!」
ダージリン「………」
西「…また何か悪いことでも企んでるんです?」ジトッ
ダージリン「………」
西「………」
ダージリン「………」
西「…どうしたんです?」クルッ
西「………」
ダージリン「?」
西「っ!!」
ダージリン「!! この助平っ!!」シャワージャー
西「ンゴボゴボゴゴンボオッゴゴンゴゴノゴッボゴゴボボゴボンゴオオォォォォオォォ!!!!!!」ブクブク!
西(ダージリンは見た目"だけ"は綺麗な方でした。……鼻血出てませんよね?)ゴボゴボ
141: 2017/04/13(木) 22:39:31.56 ID:TN4BMIQP0
西「ひどい目にあった…」チーン
ダージリン「それはこっちのセリフよ」E:タオル
西「はい!私悪くないであります!悪いのは急に黙り込むダージリンであります!!」
ダージリン「お黙りっ!人の裸舐めるように見てよく言えたものね!」キィィィ
西「な、舐めるようになんか見てません!ちょっと視界にチラッと見えただけですっ!」フシャー!!
ダージリン「やっぱり見たんじゃない!この助平!」ウガー
西「また助平って言った!!見たんじゃなく痴女ジリンに見させられたのですっ!!」ピギィ
ダージリン「なっ!痴女ですって!!?」
看護師「お静かに願います!!」ドンドン
西・ダージリン「すみませんっ!!」
135: 2017/04/13(木) 22:31:52.00 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「ほらあんたのせいで怒られたじゃないのっ!」ボソボソ
西「ですから私は!!」ヒソヒソ
ダージリン「」シュッ
西「も゛っ!?」ボフッ
ダージリン「おバカな事言ってないで早く拭きなさい。いくらおバカなあんたでも風邪引くわよ」
西「じゃぁダージリンはしょっちゅう風邪引いてるのでは?」
ダージリン「あ゛あ゛ん!?」ギロッ
西「」ベー
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「…疲れたわ」ハァ
西「…同じく」ハフゥ
ダージリン「…ほら、後ろ向きなさいな。髪の毛拭くから」
西「はーい」ワシャワシャ
136: 2017/04/13(木) 22:32:37.08 ID:TN4BMIQP0
西「…ところで」
ダージリン「なによ」
西「寝るときは頭の"アレ"解くんですね?」
ダージリン「アレって何よ」
西「後頭部のもこもこしてるやつです」
ダージリン「…また引っ叩かれたいのかしら?」
西「暴力反対です」
ダージリン「これは『ギブソンタック』と言うのよ」
ダージリン「アメリカの画家チャールズ・ダナ・ギブソンが描いた"理想の女性"を描くギブソン・ガールの髪型なのよ」
西「なるほど…ん?」
ダージリン「どうしたの?」
西「米国ですか?」
ダージリン「そうよ?」
西「英国ではなくて?」
ダージリン「私とて何でもかんでもイギリスをリスペクトしてるわけじゃないのよ?」
137: 2017/04/13(木) 22:33:13.86 ID:TN4BMIQP0
西「そうなんですか?」
ダージリン「ええ。あなたもやってみる?ギブソンタック」
西「うーん、私がやるとサザエさんになりそうな気がします」
ダージリン「サザエさん…」
西「でも、私はそれ」
ダージリン「ギブソンタック」
西「…げぶそんたっくとやらじゃないダージリンは初めて見ますね」
ダージリン「ゲじゃないギよ。ギブソンタック」
西「そうそう。それです」
138: 2017/04/13(木) 22:33:42.80 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「当たり前じゃないの。下ろすのは寝る時くらいですもの」
西「んー、私は髪をおろしたダージリンも良いなぁと思うんですけどね」
ダージリン「え?そ、そうかしら?」
西「ええ」
ダージリン「そう?」←ちょっと嬉しい
西「はい」
ダージリン「じゃぁ、たまにはこれにしてみようかしら?」
西「…あ、でもやめといたほうが良いかと」
ダージリン「どうして?」
139: 2017/04/13(木) 22:34:42.68 ID:TN4BMIQP0
西「男性からのお誘いが殺到しかねませんので」
ダージリン「良い事じゃない。淑女冥利に尽きましてよ」ホホホ
西「紳士と呼べるような方が寄って来るなら良いのですが、必ずしもそうとは言い切れないので」
ダージリン「さすがに私だって多少は人を選ぶわよ。多少はね」
西「不逞な人がハエのように集ってまるでウン」
ダージリン「」ツネッ
西「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」ジタバタ
ダージリン「あんたはもう少し品を良くしなさい!!怒るわよっ!!!」
西「もう怒ってるじゃないですかっ!」ヒリヒリ
ダージリン「もっと怒るわ!!」
西「やめてくださいまだ氏にたくありません」
ダージリン「"ごめんなさい"は?」
西「はいはいわたくしがわろうございますぅ~」シレッ
ダージリン「」ツネッ
西「痛い痛い痛いいだぁぁぁぁぁぁぃ!!!!!!」ジタバタ
140: 2017/04/13(木) 22:36:23.33 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「どうやらあなたは徹底的に"品格"を矯正する必要がありそうね!」
西「人をツネるダージリンこそ改善すべきでありますっ!」
ダージリン「原因を作ってるのは何処のどなたかしら?」
(西`・ω・)σ
ダージリン「」ツネッ
西「いだぁぇぇぇぇ!!!」
ダージリン「少しは学習なさい!!」プンスカ
西「ダージリンこそもう少し手加減を覚えても良いと思うのでありますっ!」ヒリヒリ
ダージリン「駄目よ。あなたは甘やかすとすぐ付け上がるんですから」
142: 2017/04/13(木) 22:41:00.89 ID:TN4BMIQP0
西「…人のことよく言いますよ」ボソッ
ダージリン「あら、何か?」ワキワキ
西「まって!その手おろしてください!つねらないで!!」
ダージリン「小声で言ったって聞こえるわよ」
西「む。ダージリンもプラウダ高校のカチューシャさんみたいに二つ名つけたらどうですか?」
ダージリン「二つ名?」
西「"地獄耳のダージリン"」
ダージリン「私が地獄耳だったらあなたはロバの耳ね」Wギュゥッゥゥ
西「あ゛ぁぁっぁぁぁぁぁ両手は反則ですぅぅぅっぅ!!!」ジタバタ
143: 2017/04/13(木) 22:45:32.78 ID:TN4BMIQP0
西「ダージリンひどい」シクシク
ダージリン「ほら、お馬鹿なことやってないで髪の毛ちゃんと乾かしなさいな」
西「む。これくらい放っておけばすぐ乾きますよ」ヒリヒリ
ダージリン「だめよ。ちゃんと乾かさないと髪が傷んでしまうから」つ[ドライヤー]
西「まるでお母さんみたいですね。ママジリンですか?」
ダージリン「」ゴー
西「熱ッ!? ちょっとダージリン!さっきから暴力的ですよっ!!」
ダージリン「デキの悪いワンちゃんには躾が必要なだけよ」ゴー
西「私が犬でしたらダージリンは猫ですね」ニャー
ダージリン「あらあら嬉しいわ。猫は気高い生き物でしてよ」オホホ
西「…ガーフィールド」ボソッ
ダージリン「焼き加減が甘かったかしら?」ゴー
西「人を秋刀魚のように扱わないで下さい」
144: 2017/04/13(木) 22:46:35.06 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「はいおしまい。私も髪を乾かすから。先にベッドに入って頂戴」
西「はーい。かしこまりでございます」
西(ん……何か忘れてるような?)
ゴー
西「………」
西(まぁいいか)
西「………」ジー
ダージリン「…何よ」
西「いえ、ダージリンの髪ってサラサラなんだなぁーと思いまして」
ダージリン「そう?」
西「ええ。洗髪料の宣伝とかで出てきそうな感じですよ」
145: 2017/04/13(木) 22:47:49.24 ID:TN4BMIQP0
ダージリン「そういうあなただってサラサラじゃないの」
西「そうですか?」
ダージリン「ええ。"絹代"って名前だけに絹のような手触りよ?」
西「そうかなぁ…?」クルクル
ダージリン「あなたは見た目だけは"べっぴんさん"なのだからもう少しお淑やかにすべきよ」
西「はーい。善処するであります」
ダージリン「やけに素直ね…?」
西「目の前に模範例がいますから」シレッ
ダージリン「」ガタッ スタスタ ツネッ
西「あ゛ぁぁぁぁぁッ!!!!」ジタバタ
ダージリン「自分を模範になさい!!」
149: 2017/04/15(土) 14:49:11.52 ID:BbZ8wPDe0
【就寝】
ダージリン「ほら、私も入るからもっと奥へ行って頂戴」ゲシゲシ
西「あたっ!さっき"ほんの少し"って言ったじゃないですかぁ」
ダージリン「ええ。だから"ほんの少し"よ?」ニコッ
西「ぶぅ」
ダージリン「そんな不満げな顔しないでくれるかしら」
西「」プクー
ダージリン「ほっぺ膨らまさないの」ツン
西「」プシュッ
ダージリン「ふふっ」
150: 2017/04/15(土) 14:50:37.54 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「電気消すわよ?お手洗いは大丈夫?」
西「むっ、子供扱いしないで下さい」
ダージリン「あなたは立派なお子様よ」
西「ダージリンだって未成年ではありませんか」
ダージリン「あなたよりは大人よ?」
西「たった1年の違いです。大した事ないのであります」
ダージリン「1年でも年上は年上よ。先輩は敬うものなのよ?」
西「そうですねぇ。チビっ子みたいにプラモデルに興味津々だったダージリン大先輩ですもんね」
ダージリン「あれは初めてだからよ」
151: 2017/04/15(土) 14:51:18.99 ID:BbZ8wPDe0
西「意外でしたね」
ダージリン「なにが?」
西(ダージリン真似)「そんな子供じみた玩具で遊んでいないで、少しは勉強でもしたらいかが?」ヤレヤレ
西「…とでも言うかなぁと思ってたので」
ダージリン「ほぅ」ジリジリ
西「…って、なんでこっち近づいて来るんですか?!」
ダージリン「子供みたいな子供に礼儀の勉強をして差し上げようと」ニコニコ
西「え、ちょっ!落ちます!それ以上こっち来たら私ベッドから落ちあいでででで!!」
ダージリン「ホントに懲りないわねこの悪童は!」
152: 2017/04/15(土) 14:53:13.81 ID:BbZ8wPDe0
西「ダージリンは…その、趣味とかはないのですか?」ヒリヒリ
ダージリン「趣味?」
西「ええ。たとえば将棋とか散歩とか昼寝とか」
ダージリン「最後のはあなたのでしょ」
西「む。私とて四六時中寝てるわけではありませんぞ」
ダージリン「そうなの?」
西「そうであります」フンス
ダージリン「…そうね。私の趣味といえば、やっぱり紅茶かしら」
西「そのまんまですね」
ダージリン「なによ」
西「血液も紅茶で出来てるんじゃないかというくらい飲んでおられますので」
153: 2017/04/15(土) 14:54:19.69 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「否定しないわ」
西「話によると、戦車に乗ってる時も飲んでいるとのことで」
ダージリン「いつでも何処でも優雅に。戦車道と紅茶は淑女のたしなみでしてよ」フフフ
西「ほほぉ?」
ダージリン「…何か文句でも?」
西「い、いえ…」
ダージリン「あなたの事だからどうせまた『どこが淑女なんだろうか』とでも思ってたのでしょう」ジリッ
西「思ってません!手ぇワキワキさせながらこっち来ないでください!」
ダージリン「じゃぁ何を考えてたのかしら?」ジトッ
西「いえ、その…まぁ、乙女のたしなみを」
ダージリン「言ってみなさい」ガシッ
西「え」
西(り、両肩掴まれた…!?)
154: 2017/04/15(土) 14:56:02.55 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「あなたの悪いところは肝心な事を言いよどむ所よ。どうでも良い事はペラペラ言うくせに」
西(ダージリンに言われたくないやいっ!)
モニュッ
西「いぐゥっ!? わ、脇腹は反則ですっ!!」
ダージリン「考えはお見通しよ。さぁ白状なさい」
西「えぇー…(やけに食いついてくるなぁ?)」
ダージリン「はやく」
西「まぁ、その…それだけ紅茶を飲んでおられるのでしょうから」
ダージリン「ええ」
西「戦車乗ってる時におしっこしたくなったらどうするのかなぁ…と」モジモジ
155: 2017/04/15(土) 14:58:38.45 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「………は?」
西「さすがに試合中に降りて草むらで…、というわけにはいきませんし」
西「かといって、オムツを着用するのもどうかと思いますので…」
ダージリン「…何を言うかと思えば」ハァ...
西「い、いや!紅茶しこたま飲んでたらその…催す事だってあると思いますよ!」
西「実際問題、試合が始まれば数時間は戦車に乗ったままですし」
ダージリン「…」
156: 2017/04/15(土) 15:00:23.31 ID:BbZ8wPDe0
西「そういう経験、無いのですか…?」
ダージリン「あるわよ」
西「(即答かい!)…でしたら」
ダージリン「そんな事知りたいの?」
西「………まぁ、ちょっと気になります」
ダージリン「助平」
西「…はいはいどーせ私は助平で不埒な女であります」ムスッ
ダージリン「そうね。その通りね」
西「………戦車の中で盛大に漏らして"おちびリン"とか"垂れジリン"ってあだ名つけばいいのに」ボソッ
ツネッ!!
西「ぐぎゅううううう!!!!」ジタバタ
ダージリン「おちびもおちびりもカチューシャだけで良いわよっ!」
西「???」ヒリヒリ
157: 2017/04/15(土) 15:03:04.59 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「…一応皆には気を付けなさいと言っているけれど」
西「ほうほう」
ダージリン「どうしても我慢できないなら、ちゃんと"ソレ用"の瓶があるわ」
西「…なるほど」
ダージリン「他に良い方法があれば是非とも教えて頂きたいわね」
西「たとえば…戦車に乗る時は紅茶飲まないとか」
ダージリン「我が校の伝統を真っ向から否定するとはいい度胸ね」
西「私だったら戦車に乗ったままトイレに突撃しますけどね。伝統を尊重して」
ダージリン「却下よ却下」
西「…じゃぁ座席をトイレにするとか」
ダージリン「嫌よ。作戦行動中にすぐ近くにいる砲手が突然脱ぎ出して、用を足すところを想像してみなさい」
西(自分じゃなく砲手で例えるんですか…)
158: 2017/04/15(土) 15:05:15.24 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「戦車の中は密閉されているから音だけでなく臭いも充満する。地獄絵図よ」
西「ふむ……」
西(ダージリン真似)「…ん、ちょっと失敬するわ(ごそごそ)」
西(アッサム真似)「うっ、またですの…? これで5回目ですわよダージリン…」
西(オレンジペコ真似)「だから紅茶の飲み過ぎには注意して下さいとあれほど…」
西(ダージリン真似)「ふぅ……」ジョロロロロ
ブゥゥッ!
西(ダージリン真似)「あら御免あそばせ」ホホホ
西「…みたいな感じで <バゴッ!!> sぐっふぉぉぁぁっ!!?」
ダージリン「あんたはトイレより自分の頭を心配なさいッ!!!」
西「は…腹は…反則ですぞ………」ヌォォ...
ダージリン「頭叩いたらバカがますますバカになってしまうわ!もう手遅れでしょうけど!!」
西「んぐぬぉぉぉぉ……」ジンジン
159: 2017/04/15(土) 15:07:10.36 ID:BbZ8wPDe0
西「…実を言うと」ジンジン
ダージリン「…何よ」ジトー
西「今日が初めてなんですよね」
ダージリン「初めて?何が?」
西「紅茶を飲んだのが」
ダージリン「ええええっ!!?」バタッ
西「わっ!」
ダージリン「あなた今の今まで紅茶飲んだこと無かったの?」
西「え、ええ…。そうですけど…?」
160: 2017/04/15(土) 15:07:57.16 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「喫茶店とか飲食店でも?」
西「飲食店じゃお冷とかオレンジジュースとか、あとはお茶ですね」
ダージリン「自動販売機で買ったこともないの?!」
西「普通のお茶ならよく買うんですけどねぇ」アハハ
ダージリン「」
西(そ、そんなにおかしいことなのかな…?!)
ダージリン「あなた、人生の9割損してるわよ」
西「え゛っ!?」ガーン
162: 2017/04/15(土) 15:09:39.79 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「いい? 紅茶は1500年ごろにポルトガル人が中国でお茶を飲んだのが始まりとされてるの」
西(な、なんか急に解説しだした?!)
ダージリン「当時ヨーロッパは文化も風習も違う、遠く離れた東洋に興味をもっていて」
ダージリン「香料や香辛料、産物品を東洋からヨーロッパに運んでいたのよ」
ダージリン「そのときに一緒にお茶も含まれていて、それがヨーロッパ初のお茶といわれているの」
西(世界史はあまり得意ではないのであります。珍紛漢紛です)
ダージリン「中国から紅茶を輸入する代わりにイギリスは銀を提供していたの」
ダージリン「でもそれではだんだん財政が圧迫されるというから、植民地のアヘンを代わりに提供し始めた」
西(あ、コレは知ってる。アヘン戦争だ)
163: 2017/04/15(土) 15:11:21.01 ID:BbZ8wPDe0
【30分後】
ダージリン「…というわけよ。おわかり?」
西「…はいダージリン先生…」ゲッソリ
ダージリン「本当にわかったのかしら?」
西「えげれすはなかなかエグいということがわかりましたであります」
ダージリン「…どうやらもう一回最初から説明する必要があるみたいね」
西「う、ウソです!ちゃんと理解してます!紅茶の魅力十二分に伝わりましたから故っ!」
ダージリン「なら良いけれど」
西(しばらくダージリンの前で紅茶の話するのやめようかな…)
164: 2017/04/15(土) 15:12:08.37 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「ところで絹代さん」
西「はい」
ダージリン「紅茶飲むのは初めてって言ったわよね?」
西「え?…まぁ、そうですね」
ダージリン「ということは、今私が淹れたのが初めてってこと?」
西「そう言われてみればダージリンのが生まれて初めてですね」
ダージリン「ならば是非とも感想をお聞きしたいわね」
西「紅茶の味がしました」
ダージリン「」ツネッ
西「いだいっ!!冗談です冗談ですってばぁ!!」ジタバタ
165: 2017/04/15(土) 15:15:06.85 ID:BbZ8wPDe0
ダージリン「初めてなのに"紅茶の味がした"なんて感想おかしいでしょう!」
西「ま、まぁそうですけど、なんと言いますか…」ヒリヒリ
西「普段我々が飲んでるようなお茶とはまた違った感じがしましたね」
ダージリン「と、言うと?」
西「私達は沸かしたお茶はそのまま飲みますので、それがお茶という認識であります」
西「ですが紅茶はそうではなく、砂糖や牛乳を入れて甘くして飲むわけなので、ちょっと新しいなぁと思いました」
ダージリン「普通の人ならもう10年は早くそれに気づいてたわね」
西「えぇー…」
ダージリン「まぁいいわ。またいつか淹れてあげるわよ」
西「ホントですか?!」パァァ
ダージリン「気が向いたらだけど」
西「楽しみでありますっ!」ワクテカ
ダージリン「それは良かったわ」
166: 2017/04/15(土) 15:16:12.61 ID:BbZ8wPDe0
西「何しろ私の初めての人ですからっ!」
ダージリン「なっ…!」
西「え?」
ダージリン「あっ、あなたはもっと言葉を選ぶようにしなさいと何度言えば…!」ワナワナ
西(…そんなに変なこと言ったかなぁ)
西(実際ダージリンの紅茶が人生初・紅茶なわけだし、間違ってるのかなぁ??)
西(ひょっとしたら私の心得違いで以前にも飲んでいたとか? それはないと思うけどなぁ…うーん…)
西「ま、いっか」
ダージリン「良くない!!」
167: 2017/04/15(土) 15:17:59.84 ID:BbZ8wPDe0
西「あ、あとは」
ダージリン「今度は何よ…」ジトー
西「ダージリンといえば色んな格言をよく言っておられますよね?」
ダージリン「ええ。それが?」
西「どこから仕入れてるのかなぁーと」
ダージリン「それはね…」
― こうして夜は更けていくのでした。
一緒にお風呂に入り、一緒の布団で眠る。
ダージリンとここまで仲良くなれるとは思いませんでした。
…ツネられるのはイヤだけど、この時間がずっと続けばいいなと思いました。
169: 2017/04/16(日) 08:07:03.82 ID:MCvwfzEe0
【翌日 朝】
チュンチュン
西「………ん…」パチ
西(ここは…? あ、病院か…)ファァ
西(んー…。今日もいい天気だなぁ…)ノビー
ギュッ
西(…ん?)チラッ
ダージリン「zzz.....」スヤスヤ
西「わっ?!」ビクッ
ダージリン「…んぅ…?」ネボケ
西(そ、そうか。ダージリンここに泊まったんだ。スッカリ忘れてた)
170: 2017/04/16(日) 08:08:13.44 ID:MCvwfzEe0
西「おはようございますダージリン」
ダージリン「んぅー…ぉはよぅござぃますのぉ……」ポケー
西(あれ? ひょっとして寝ぼけてる…?)
ダージリン「…ペコぉ…アーリーティー…」ウツラウツラ..
西(ふむ。どうやら私以上に寝ぼけてる人がいるようだ)
西「…」
西「」ニヤァ
171: 2017/04/16(日) 08:09:15.45 ID:MCvwfzEe0
西「あー…コホン!」
西(ペコ真似)「ダージリン様、早く起きて下さい。もう夕方ですよ」
西(アッサム真似)「ダージリン!何をしていますの!今日は練習試合の日でしてよ!知波単の隊長さんカンカンですの!!」
ダージリン「………」ポケー
ダージリン「ふぇぇっ?!きっ絹代さん!?絹代さん来てるのっ?!」ガバッ
ダージリン「ちょっとペコ!!何で起こしてくれ…な……???」
西「」プークスクス
ダージリン「」
ガシッ
ァ…
パチコーン!!
イッタァァァァァ!!!
172: 2017/04/16(日) 08:10:59.78 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「朝っぱらから何やってるのよ!!!」プンスカ
西「それはコッチのセリフですよ!おかげでおデコ真っ赤ですぞっ!」ヒリヒリ
ダージリン「自業自得よ!」
西(ペコ真似)「お寝坊も自業自得ですか?ダージリン様?」
ダージリン「今度はグーで行こうかしら?」ギロッ
西「やめてください退院が遅れます」
ダージリン「まったく。どこでそんなモノマネ覚えたのよ…」
西「暇だったので色んな人の真似して遊んでました」
ダージリン「時間は有効に使いなさい」
西「でも色んな人の真似が出来るようになりましたよ!」フンス
ダージリン「…たとえば?」
西(みほ真似)「ダージリンさん!出来る限り余裕の表情を崩さず崖から飛び降りて下さい!」
ダージリン「みほさんがそんなこと言うわけないでしょう!!」ゲシッ
西「いでぇっ!!」
ダージリン「悪趣味にも程があるわよ!!」
西「そんなぁ…」ショボーン
173: 2017/04/16(日) 08:12:58.13 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「…ほら、どうぞ」コトッ
西「ん?」
ダージリン「アーリー・ティーよ。イギリスでは目覚ましとしてベッドの中で飲むその日最初の一杯なの」
西「なるほど…だから先程アーリーティがどうのこうのと」
ダージリン「グー」ニギッ
西「…いただきます」ズズ
ダージリン「…」
西「ん…どうかしました?」キョトン
ダージリン「いいえ。あなたもそうやって静かに紅茶を嗜んでいれば悪くないのに。性格で損しているわね」
西(オレンジペコさんもダージリンを見て同じこと思ってるだろうなぁ…)
ダージリン「なにかしら?」
西「い…いえ、ダージリンの紅茶は美味しいなぁ…と」
ダージリン「褒めても何も出ないわよ」
西(グーは今にも出そうだけど…)
グゥゥゥ
174: 2017/04/16(日) 08:14:32.86 ID:MCvwfzEe0
西「あ、失敬…///」
ダージリン「まぁ随分と大きな音。お寝坊さんも飛び起きてしまいますわ」フフッ
西「はは…恐縮です」
西(そういえば昨夜は何も食べてなかったもんなぁ)
ダージリン「こんな格言を知っているかしら。"武士は食わねど高楊枝"」
ダージリン「生理現象だから仕方ないとは言え、あなたもピシッとした方が良いわ」
西(よく考えるとダージリンも昨晩は…)
キュゥゥゥ
ダージリン「ぅっ………/////」カァァァ
西(…やっぱり)
175: 2017/04/16(日) 08:16:35.00 ID:MCvwfzEe0
西「下に飲食店がありますので朝食行きません?」
ダージリン「…ぇぇ…/////」カァァァ
西(ダージリン真似)「こんな格言を知っているかしら。"武士は食わねど高楊枝"」
西(ダージリン真似)「生理現象だから仕方ないとは言えあなたもピシッと
ダージリン「ふん!」ドゴッ!!
西「グォォォォオォォッッ!? ……い…今のは…強烈…で…す………」
ダージリン「ほら!さっさと車椅子乗りなさい!置いてくわよ!」プンスカ
西「ぁぃ…」ボロッ
西(だんだん強度が増している気がするであります…)
176: 2017/04/16(日) 08:18:27.58 ID:MCvwfzEe0
【病院内にある飲食店】
「お待たせしました焼き鮭定食とサンドイッチです」
西・ダジ「いただきます」
西「ところで、ダージリンは今日はどうされるのです?」
ダージリン「そうね。一旦学園艦に戻ろうかしら。大会中だからしばらくは寄港したままだけど、学校に顔を出さないとさすがに宜しくないものね」
西「大会?」
ダージリン「戦車道の全国大会」
西「あ、そういえばそうでしたね」
ダージリン「…あなた一応隊長なのよ?大丈夫?」
西「あはは…。何日も寝てたせいで色々ド忘れしてしまって…」
ダージリン「まだ一週間しか経ってないわよ…」
177: 2017/04/16(日) 08:21:52.04 ID:MCvwfzEe0
西「私の体内時計だと1年は眠ってた気がします」
ダージリン「それだけ無茶をしたということよ。これに懲りてもうしないことね」
西「そうですね。知波単が廃校になったり戦車道が廃止になるといったピンチにならない限りは」
ダージリン「ピンチになってもよ。仮にピンチを回避出来てもあなたが廃人になったら意味が無いわ」
西「自分で言うのも何ですが、あの時はとにかく必氏でしたからね」
ダージリン「…」
西「勝たないと終わりだと思ったから、時間が許す限り、ありとあらゆる情報や知識集めました」シンミリ
ダージリン「ほう…例えば?」
西「あらゆる戦車や無人機の移動速度、あらゆる砲の初速、射程距離、貫通力、試合会場の地形、過去の戦車道大会、歴史上の戦い…」
西「とにもかくにも片っ端から頭に叩き込みましたよ」
ダージリン「…」
178: 2017/04/16(日) 08:26:17.33 ID:MCvwfzEe0
西「一方で定期試験が重なっていた時期でもあったので、そちらの勉強もしなければいけなかったです」アハハハ
ダージリン「…」
西「私は頭が悪いので効率的な方法を知りませんし、知っていたとしてもしっかり吸収して実践出来るか自信ありません」
西「なので、寝る間も惜しんで戦車道に励んでましたよ」
西「今思うと、満足に寝たのは久々ですね」ハハハ
ダージリン「………」
西「我ながらよくあんなに頑張れたなと思います」ハハハ
ダージリン「………絹代さん」
西「ん。何でしょう?」
ダージリン「二度とそんな馬鹿な真似はしないで頂戴」ギロッ
西「"危機"に瀕しなければ」キッパリ
ダージリン「っ…」
西(ダージリンには申し訳ないけど、こればかりは…)
179: 2017/04/16(日) 08:39:29.11 ID:MCvwfzEe0
西「戦車道の大会といえば…」
ダージリン「ええ」
西「大洗のM3リーの戦法は大変参考になりました」
西「黒森峰との戦いでM3リーは、エレファントやヤークトタイガーといった重戦車を相手に善戦してました」
ダージリン「確かに。本来なら簡単に撃破されるのに大したものね。あの子たち」
西「ええ。後ろに回り込めたエレファントならまだしも、ヤークトタイガーは真正面から対峙していました」
ダージリン「ヤークトティーガーの前面装甲は250mm。悔しいけれど私たちの戦車では真正面から挑んで勝てる見込みは無い」
西「それは知波単でも言えますし、彼女たちM3リーの接射砲弾も尽く弾いていました」
ダージリン「それでも彼女たちはヤークトティーガーに勝った」
西「ええ。はたき込みのごとく相手の勢いを上手く利用して、水路へ落とし走行不能にさせましたね」
西「あの試合を見て私は"砲弾を命中させることだけが走行不能にさせる方法ではない"と思ったのです」
180: 2017/04/16(日) 08:42:14.40 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「ほう?」
西「というのも、今の知波単が保有する戦車は火力・防御面において聖グ口リアーナや大洗女子、その他多くの学校に劣ります」
西「それを鑑みるに、普通の対戦車戦闘では力負けするので、別の方法を考えねばならなかったのです」
ダージリン「なるほど」
西「まぁ…とにかく必氏でしたよ」アハハ
ダージリン「それは次の試合でも活かせると良いわね」
西「もちろんですよ。またダージリンたちが相手になっても勝てるようにしておきましょう」
ダージリン「調子に乗りすぎですの。私達とて何度も同じ手にかかるど間抜けではないわよ」
西「私の策には見事にハマりましたけどね」ニシシ
ダージリン「」ゲシッ
西「あぎゃぁっ?!!」
ダージリン「冷めないうちにとっとと食べなさい」
西「…す、脛は反則です………」ヌォォ…
181: 2017/04/16(日) 08:44:10.91 ID:MCvwfzEe0
~~~~~
西「ふぅ…。満腹であります」ポンポン
ダージリン「よく朝からそんなに食べられるわね…」
西「ここの食事なかなか美味しいのですよ!ご飯もおかわり自由ですし!」
ダージリン「だからといって3杯は食べ過ぎよ」
西「はっはっは!知波単学園にいたころはもっと食べておりましたぞ!」フンス!
ダージリン「動いてないのに食べてばかりじゃ太るわよ?」
西「うっ…」
ダージリン「あら?部屋の前に誰かいるわね?」
西「おっ?」
「あ…!」
182: 2017/04/16(日) 09:00:38.26 ID:MCvwfzEe0
「「「隊長殿ぉーーーーー!!!」」」ダダダダ
西「わっ!?お、おまえたちここは病院だぞ!おお落ち着けッ!!」
ダージリン「あなたも落ち着きなさいな」クス
玉田「隊長殿の意識が無事に戻られて玉田嬉しいのであります!」ブワッ
細見「同じく!あのまま三途の川を渡っていたのではないかと思いました!」ジワッ
寺本「お葬式の準備するところでした」グスッ
西「まて!勝手に私を頃すでない!」
福田「知波単の隊長は西隊長殿の他おりませぬ!」シクシク
名倉「これで我が高校も安泰でございますっ!」ウワーン
池田「全くであります!いつでも突撃命令お待ちしております!」シクシク
浜田「また皆で突撃して散りましょう!!」ズビビ
西「い、いやいや散ったら駄目だろっ!」
髙山「そうです!吶喊して突撃すれば病も怪我も吹っ飛びますぞ!」
上本「ええ!私、いつでも突撃できるよう足腰を鍛えておりました!!」フンス!
糸井「ええ!それはもう!かけっこなら他校には負けませんぞ!!」
福留「足だけでなく腕も鍛えておりますぞ!」
原口「隊長がいない間も常に全速前進でございます!!」
鳥谷「これで隊長殿が戻ってきたら知波単学園は怖いものなしですぞ!!」ハッハッハ
糸原「今回は敢闘及ばずでしたが、次こそ我らが知波単学園が天下を取ってその名を轟かせるでしょう!!」
梅野「来季が楽しみであります!!」
女仙「いえす!いえす!!」
ワイワイガヤガヤ
アーダコーダソーダドアラ
183: 2017/04/16(日) 09:02:09.16 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「に、賑やかね…」
西「あはは、ウチのチームはみな元気一杯ですからね!」
西(初めて見る顔もいるぞ……?)
玉田「おや? そちらの"ぱつきんのちゃんねぇー"は…?」
寺本「聖グロイアナ?の隊長殿で名前は確か"ドンジリン"殿でしたかな?」
福田「細見殿、私は"チャップリン"殿だったと思うのであります!」
池田「そんな名前じゃないだろ福田ぁ!"ユーコリン"殿なはずだ!」
名倉「"チャージマン"だと思われ」
ワイワイ ガヤガヤ
184: 2017/04/16(日) 09:02:55.03 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「」イライラ
西「お、お前ら、この方は"ダージリン"さんだぞっ!」
玉田「おお!そうでした!さすが隊長殿!」
名倉「よくご存知でありますっ!」
福田「さすが隊長殿!博識聡明であります!」
ワイワイガヤガヤ
ダージリン「…ホントに、賑やかね」
西「あはははは……」
185: 2017/04/16(日) 09:03:47.60 ID:MCvwfzEe0
玉田「して、お体の方はどうなのでありますか?」
西「ああ、腕と足はこの有様だが心配はいらん。じきに戦車にも乗れるようになるさ!」
細見「それは良い知らせであります!」
福田「また隊長殿の吶喊が聞きたいのであります!」
西「ははっ、演習場に響き渡るよう鍛えておくよ」
名倉「何でしたら今ここでも!」
西「まぁ待てここは病院だ。ここで吶喊したら看護師さんがまた突撃してくる」
ワッハハハハ!
186: 2017/04/16(日) 09:04:58.76 ID:MCvwfzEe0
玉田「…さて、名残惜しいですが我々も学校があります故、そろそろ戻るのであります」
西「おっ、そうか」
細見「本当に名残惜しいのです西殿ぉ…」ギュッ
西「ははは今世の別れじゃあるまい。すぐ戻るさ」ナデナデ
ダージリン「…」
福田「それでも寂しいのでありますっ!」
タイチョウドノォー!
西「わっ!こらお前たち!いっぺんに抱きつくな!」ハハハッ
ダージリン「愛されてるのね」
西「あはは。隊長やってて良かったです」
ダージリン「それじゃ、私もそろそろお暇するわね」
西「え…」
187: 2017/04/16(日) 09:06:31.84 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「なに?」
西「あ、いや、何でもないであります」
西「ちょっと寂しいなぁと思っただけです」
ダージリン「ちょっと?」
西「……だいぶ寂しいであります」
ダージリン「ふふ。ご安心あそばせ。またお見舞いに来てあげるから」
西「そうして頂けると嬉しいです」
ダージリン「ほら、そんな顔しないの。あなたの後輩たちが心配するわよ」
西「あ、そっか…諸君っ!」
知波単生「「「「「はっ!!」」」」」ビシッ
188: 2017/04/16(日) 09:09:41.56 ID:MCvwfzEe0
西「ダージリンさんがお帰りだから案内してやってくれないか?」
知波単生「「「「「了解っ!」」」」」ビシッ
西「うん、頼んだぞ」
玉田「一同、隊長に敬礼!」
ビシィィッ!!
西「うむ、また会おうぞ!」ケイレイ
西「ダージリン、色々お世話になりました」フカブカ
ダージリン「こちらこそ。楽しかったわ。それでは、お元気でね?」ニコ
西「ダージリンもお体に気をつけてお過ごしくださいまし」
ダージリン「ありがとう。 お嬢さん方、出口まで案内いただけるかしら」
知波単生「「「「「かしこまりでございます!」」」」」
189: 2017/04/16(日) 09:11:12.05 ID:MCvwfzEe0
【病院 玄関】
オレンジペコ「おはようございます。お迎えに上がりましたダージリン様」
アッサム「おはようございます。これはまた随分大所帯ですね」
ダージリン「おはよう。ペコ、アッサム。そしてご苦労様。知波単学園の皆様が案内してくださったのよ」フフッ
玉田「先日はお世話になりました」フカブカ
一同「「「お世話になりました」」」フカブカ
アッサム「これはご丁寧に」ペコ
オレンジペコ「こちらこそ」ペコリ
190: 2017/04/16(日) 09:12:19.75 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「さて、それでは私達はここでお別れね」
細見「ダージリン殿、お気をつけてお帰りくださいませ」フカブカ
ダージリン「あなたたちもね。隊長さんみたいに包帯グルグル巻にならないことを祈るわ」クスッ
玉田「ご心配なさらずとも我々が今度は隊長が不在の間、知波単を引っ張っていくのであります」
ダージリン「きっと彼女も喜ぶわ」
福田「ええ!なにしろ西殿は英雄なのでありますから!」
ダージリン「英雄?」
寺本「そうであります!隊長は知波単学園を救ったヒーローなのです」
ダージリン「………」
細見「…?」
191: 2017/04/16(日) 09:13:22.69 ID:MCvwfzEe0
ダージリン「そうね、あなたの隊長は知波単学園を守るために戦った騎士よ」
玉田「む!隊長殿は騎士じゃなく武士であります!」
名倉「そうであります!隊長殿は居合いもやっておられます!カッコいいのであります!」
細見「西殿はとっても素敵なお方なのです!」キラキラ
ダージリン「はいはいわかりましたわ。それでは御機嫌よう」フフッ
192: 2017/04/16(日) 18:10:43.71 ID:W4mo48pD0
【病室】
シーン
西(また急に静かになったなぁ)
西(ダージリンと過ごした時間はとっても楽しかったし、みんな元気そうで良かった。余は満足である)
西(………ただ、)
西(やっぱ誰もおらんと寂しいなぁ…)ショボン
西(またチャーチル作るかな)ゴソゴソ パカッ
西(今度ダージリンがいらっしゃる時までに完成するかなー?)
193: 2017/04/16(日) 18:12:44.27 ID:W4mo48pD0
コンコン
西(ん? 誰だろ?)
西「どうz…どちら様ですか~?」
「西住です」
西「おお!西住さんですか!どうぞどうぞ!」
ガチャ
「失礼します」
西「お久しぶりです西住………さん?」
しほ「初めまして」
西「えっと、あれ? 初めまして…ですよね?」
西(私の知ってる西住さんと違う???)
西「あの…西住さん…ですか?」
しほ「ええ」
西「先日試合にてお会いした西住さんとはまた違う西住さんなのでしょうか…」
しほ「みほの母です」
194: 2017/04/16(日) 18:14:42.80 ID:W4mo48pD0
西「そう言われると確かに似ているような…」
しほ「…」
西「あっ、ご挨拶が遅れました。知波単学園の西絹代と申します」フカブカ
しほ「ええ。よく知ってるわ。みほを打ち負かした隊長ですから」
西「あはは…。確かに戦車戦においては勝ちましたが、試合には…」
しほ「それでも、あの子に勝ったことには変わりありません」
西「…はは、恐縮です」
しほ「西絹代さんという方がどういう人物なのか、一度お会いしてみたかった次第です」
西「お、畏れ多きお言葉です」フカブカ
西(なんだかものすごく気まずい…)
195: 2017/04/16(日) 18:20:21.56 ID:W4mo48pD0
西「かく言う私もエキシビジョンマッチ戦や対大学選抜チーム戦において、みほさん達のチームに様々なことを教えて頂きました」
西「私や知波単学園が今も生き続けているのは彼女たちのおかげかもしれません」
しほ「それは良かったです。あの子もしっかりやっているようで安心しました」
西「ええ。本当に」
しほ「しかし、家を出てからは一度も顔を合わせることがなくなって」
西「あら…そうなのですか…」
しほ「ええ。長期休暇くらい帰省すれば良いものを」
西(そう言われてみると私も長らく実家に帰ってないなぁ…)
しほ「あの子はコンビニによく行くそうで、ちゃんと栄養のある」
西(ふむふむ。怖そうだけど、いい母上様ですな)
196: 2017/04/16(日) 18:24:52.05 ID:W4mo48pD0
コンコン
西「おや? またお客さんですかな? どちら様でしょうか~?」
「…あ…あの…」
西(女の子の声?…でもどこかで聞いたことがあるような…)
「西…さんの部屋は…ここ…ですか?」
西「はい。そうですよー」
「………」
西「? 立ち話もなんでしょうから中へどうぞ~?」
西(また確認せずに入れちゃったけど、まぁ良いよね)
ガラッ
197: 2017/04/16(日) 18:26:32.68 ID:W4mo48pD0
「…こ、こんにちは」モジモジ
西「おや。あなたは」
「その…お久しぶり…です…?」モジモジ
西「確か、島田流の…ありささん?」
愛里寿「………ありす」ムスッ
しほ「…」
西「あ…、愛里寿さんですね。大変失礼致しました」アセアセ
西「それと、先日はお世話になりました」フカブカ
愛里寿「こ、こちらこそ…」
198: 2017/04/16(日) 18:36:03.38 ID:W4mo48pD0
西(ふむ…。どうやら人と話すのが苦手な方のようだ)
西(…まぁ無理もないか。なにせこうやってお話をするのは初めてだからね)
西(ならば一つ、緊張をほぐしてみようかな)
西(確か、愛里寿さんは西住さんと同じ…えーと…あれ? 何だっけ?)
西(西住さんが好きなあのぬいぐるみ………あ、アレだ!!)
西「おっす!おらペコ!よろしくなっ!!」デーン
しほ「…」
愛里寿「…」
シーーーーン
西「………あれ?」
愛里寿「ペコじゃない。ボコ」ボソッ
西「」
199: 2017/04/16(日) 18:44:05.00 ID:W4mo48pD0
愛里寿「…あなたが、その…みほさんをやっつけたという西さん?」
西「え? ええ。私が西です」
愛里寿「…ふむ」ジーッ
西「ん? 私の顔に何かついてますか?」
愛里寿「確かに、ボコだ」
西「へ?」
愛里寿「ほうたい」
腕:包帯
足:包帯
胸:包帯
頭:ガーゼ
西(…確かにそう言われてみりゃ私は満身創痍だったな)
西(ともなれば…)
西「おいらボコだぜッ!!」
愛里寿「おおーっ!」キラキラ
西(今度は成功した…!) ←謎の達成感
しほ「愛里寿さん、一人でここへ?」
愛里寿「あ…いえ…お母様と…」
しほ「」ピクッ
200: 2017/04/16(日) 18:49:03.56 ID:W4mo48pD0
コンコン
しほ「」ギロッ
西(うっ…すごい殺気を放ちながらドアを睨んでおられる…)
西「…ど、どちら様?」オロオロ
『島田と申します』
西「島田ってことは…もしや…?」チラッ
愛里寿「うん。お母様」
西「…」チラッ
しほ「…」
西「ど、どうぞ?」オロオロ
ガチャッ
201: 2017/04/16(日) 18:53:47.22 ID:W4mo48pD0
千代「お邪魔します。うちの娘がこちらn
しほ「…」ギロッ
千代「!」キッ
愛里寿「」ガタガタ
西「」オロオロ
― 映画などで病院が爆撃されるシーンは何度か観ましたが、
病院そのものをあえて戦場にするのは、おそらく今回が初めてだと思います。
なんというか、冷戦です。
一触即発の東西超大国に挟まれた島国の気分です。
お、お願いだからこっちにミサイル飛ばさないでぇぇ!!
202: 2017/04/16(日) 19:32:46.52 ID:W4mo48pD0
【一方、廊下では…】
優花里「私は西殿にどんな顔をしてお会いすれば良いのでしょうかぁ…」
みほ「あはは。大丈夫だよ。西さんは良い人だからそんなことぐらいで怒らないよ」
優花里「でも!私は試合の時に西殿のこと酷く言ってしまいましたし…」シュン
みほ「ふふっ。優花里さんは心配性なんだから」
優花里「誰だって悪い事してないのに、ヒドい事言われたら怒りますよぉ…」ショボン
みほ「大丈夫。もし西さんが怒ったら私がフォローするよ」
優花里「どんな風にですかぁ…?」
みほ「ギャフン!って言ってあげる」アハハッ
203: 2017/04/16(日) 19:35:17.55 ID:W4mo48pD0
みほ「こんにちはー。西住ですー」コンコン
『え? あ、どうぞー』
ガチャ
みほ「お久しぶりです西さn
しほ「…」ギロッ
千代「…」ジロッ
みほ「ぎゃふんッ!!!?」
優花里「にっ西住殿がギャフン言ってどうするんですかぁ~~~!!」
西「あんな漫画の様なポーズで固まる西住さんは初めて見たのであります…」
204: 2017/04/16(日) 19:40:39.49 ID:W4mo48pD0
千代「お久しぶりですね。西住流のお嬢さん」ニコニコ
みほ「おおお久しぶっぶりりですぅっ!」カタカタ
優花里「に、西住殿、落ち着いてください!」
しほ「"ぎゃふん"とは随分な挨拶ですね。みほ」
みほ「な、にゃ、なんでお母さんがここにィ?!」オロオロ
しほ「先日の試合であなたを打ち負かした相手の顔を見に来たのよ」
みほ「こっ、ここ来なくて良いよこんな所にまでっ!!」ガタガタ
西(西住さんにまでこんな所って言われたぁ!?)ガーン
しほ「あら。どうしてかしら?」
205: 2017/04/16(日) 19:42:23.45 ID:W4mo48pD0
みほ「ど、どうしてって…その…病院だし?」
しほ「病院だと何か都合が悪いの?」
みほ「えっと…その…」アタフタ
愛里寿「みほさん…」オロオロ
みほ「あ、愛里寿さん…?!」
千代「みほさん。先日はうちの娘がお世話になりました」ニコニコ
みほ「いいいいえいえこここちらこそっ!」
西・優(心臓に悪い…)
206: 2017/04/16(日) 19:44:06.12 ID:W4mo48pD0
優花里「そ、そうだ愛里寿殿!にしず…みほ殿!下の階に病院限定ボコがありましたよっ!!」
優花里「今ならまだ売ってますので急ぎましょう!!」
みほ「そ、そうだね!行こう愛里寿さん!(グッジョブベリーナイスだよ優花里さん!)」グッ
愛里寿「う、うん!」トテトテ
西「あっ、ちょっと…!」
みほ「」パッパッパッ
西(え? ハンドサイン?)
西(なになに? …コ・ウ・タ・イ・シ・マ・ス?)
タタタタタタッ!!
西「…」
西(畜生ォ!!!足が動けば私も撤退的前進したのにッ!!!!)
207: 2017/04/16(日) 19:47:18.76 ID:W4mo48pD0
千代「お久しぶりね。西住さん」ギロッ
しほ「ええ…」ジッ
バチバチッ!
西(ぬぉぉ…空気が重い…というかピリピリ痛い…)
千代「あなたがこのような所へ足を運ぶという事は、そちらの西さんに何かあったのでしょうね?」
しほ「ええ。西さんの戦術、哲学は我々西住流に通ずるものがあります」
しほ「我々西住流に"後退"の二文字は無い」
しほ「あなたならご理解頂けると思うのですが。西さん」
西「えっ? えぇ…まぁ…?」
しほ「故に我が流派、西住流を訪れてみては如何だろうと思いまして」
西「え」
208: 2017/04/16(日) 19:50:23.08 ID:W4mo48pD0
千代「あらあら。肝心の西さんは萎縮しているじゃないですか」フフフッ
しほ「…」ギロッ
千代「雁字搦めにしては人は最大限のパフォーマンスを発揮できません」
千代「聖グ口リアーナ、そして西住流のお嬢さんをも撃退した、西さんの柔軟かつ多彩な戦術」
西「いや、試合には負
千代「これは我々島田流の戦法によく似ている」
千代「つまり、西さんは島田流でこそ、その真価を発揮出来る」
千代「なので是非、我が流派へいらしてはいかが?」
西「あ…ははは…は…」オロオロ
西(二大戦車道流派の家元からお誘いが来るなんて一体どーなってんだ!!?)
西(何かがおかしいぞ! 絶対どこかで間違った情報が流れてる!!)
209: 2017/04/16(日) 19:53:30.82 ID:W4mo48pD0
千代「…」バチバチ
しほ「…」バチバチ
西(…というか怖い! この2人怖い!!)オロオロ
しほ・千代「「…」」サッ
西「えっ? あの…これは…?」
千代・しほ「「私の連絡先です」」
千代「む…」ギロッ
しほ「ぬ…」ギッ
西「あの…」
しほ・千代「「何でしょう」」
千代「む…」バチバチ
しほ「ぬ…」バチバチ
西「」
西(見るからに仲悪そうなんだけど、どうしてか息はピッタリなんだよなぁ)
西(…まぁ仲が良かろうが悪かろうが、私の置かれた状況は決して良くないことには変わりないけど)
210: 2017/04/16(日) 19:54:50.71 ID:W4mo48pD0
千代「西住さん、あなたのせいで西さんが萎縮してます」
しほ「その言葉、そっくりそのままお返しするわよ」
千代・しほ「…」バチバチ
西(あぁ…胃が痛い。助けてダージリン…)
西(………ダージリン?)
― ええ。ダージリンもOG会に縛られているわ…
西(そういえばダージリンは…!)
211: 2017/04/16(日) 19:55:36.00 ID:W4mo48pD0
西「あのっ!!」ガタッ
しほ・千代「」ビクッ
西「お、お二人にお尋ねしたいことがありますっ!」
しほ「…」
千代「…」
西「その…聖グ口リアーナ女学院のOGについてなのですが…」
しほ「…聖グ口リアーナ女学院?」
千代「あら? 転校でもなさるの?」
西「いえ…そうではなくて」
212: 2017/04/16(日) 20:02:03.27 ID:W4mo48pD0
しほ「聖グ口リアーナ女学院はそこそこ歴史のある学校よ」
しほ「英国式の格式と作法を学ぶ名門校であり、気品ある淑女を養成すべく」
しほ「多才な教育、課外活動を推進している、いわば"お嬢様学校"」
千代「ふふ。西住さんもそこへ入学すれば良かったですわね」
しほ「あなたのような法螺吹きにはなりたくなかったもので」
千代「…」ギロッ
しほ「…」ギッ
西「ま、まぁまぁ…」
213: 2017/04/16(日) 20:05:21.62 ID:W4mo48pD0
千代「多くのお嬢さんが卒業されて、中には政界や財界とのパイプのある人もいるそうよ」
千代「いわゆる"玉の輿"でしょうね」
西「…」
千代「そういったお嬢さんたちが作ったのが、いわゆる『聖グ口リアーナ女学院OG会』」
千代「同窓会みたいなものだけれど、なにしろ学校に資金援助する代わりに運営方針とかにも茶々を入れているそうよ」
西「…」
しほ「そのOG会は、各々が在学時に使用していた戦車に因んで、マチルダ会、チャーチル会、クルセイダー会といった三大会派によって構成される」
しほ「その中でも特に強い組織力を持つのがマチルダ会と言われているわね」
― クルセイダー会はあなたを聖グロの"脅威"と言い
― また、チャーチル会は聖グロの"好敵手"と言い
― そしてマチルダ会は"騎士道精神に則り西絹代の思想を戦車道に取り組むべき"なんて言い出す程ですわ
西(なぜ聖グロOGは私をそこまで…!?)
214: 2017/04/16(日) 20:07:36.81 ID:W4mo48pD0
千代「それにしても聖グロの子たちは気の毒ねぇ。OGのお小言のせいで戦車も満足に導入できない」
千代「ブラックプリンス、チャレンジャー、そしてセンチュリオン…。イギリスにも良い戦車はいっぱいあるのに」
西「…例えば、そういった事情の中で、OGたちを押し切って新しい戦車を導入したとすれば?」
千代「"大したものだ"と言うべきよ」
西「!!」
千代「ただ…」
千代「出資者からの要望を跳ね除けてしまえば、まず考えられるのが出資の取りやめ」
千代「あるいは…」
千代「それに加担した者への"私的制裁"でしょうね」
215: 2017/04/16(日) 20:09:41.14 ID:W4mo48pD0
西「っ!! それってつまり!?」
千代「まぁ、そういったことを画策するのは大体隊長でしょうから」
千代「更迭されるかもしれないわね?」
西「!!!」
しほ「聖グ口リアーナ女学院の隊長といえば、ダージリンという方だったはず」
しほ「彼女の計らいによってクロムウェル巡航戦車が導入されたことは、戦車道連盟の間でも一時期話題になったそうよ」
千代「そんな話もありましたねぇ」
しほ「確かにクロムウェルは強力な戦車だが、そこまで驚くようなものではない」
しほ「経済的に恵まれている聖グ口リアーナ女学院であれば、それは尚の事」
しほ「別段ニュースになるようなことでも何でもない」
西「という事は、やはり…」
千代「その当時、言われていたことは」
千代「近いうちにまた隊長が変わるだろう。と」
216: 2017/04/16(日) 20:11:09.58 ID:W4mo48pD0
西「………ですが」
千代「ん?」
西「今の隊長は、まだ現隊長としてチームを率いております」
千代「そうみたいね」
西「という事は…」
千代「許してもらえたのかもしれないわね?」フフッ
西「…!」ホッ
217: 2017/04/16(日) 20:12:40.92 ID:W4mo48pD0
千代「しかし、どうして急に聖グロOGの事を?」
西「あ…実は、聖グ口リアーナの隊長とは交流がありまして」
千代「…」
西「私が邪道を回避できたこと」
西「知波単学園の戦車道廃止を阻止できたこと」
西「…今日までの私の道は、彼女無しでは存在し得ないものです」
千代「…」
しほ「…」
西「………」
218: 2017/04/16(日) 20:14:35.40 ID:W4mo48pD0
千代「ふふ。良いお話ね」
しほ「ええ。昔を思い出すわね」
西「…」
千代「隣にいるオバサンね、昔っからアタマが戦車の装甲よりも固くて」
千代「"どんな戦車も倒せる砲と、どんな攻撃も弾く装甲があれば良い"」
千代「…って、ずっと言って聞かないのよ」クスクス
しほ「あなたこそ、尻軽女がそのまま老けたみたいに"機動性だけあれば他はいらない"と軽口を叩いていたでしょう」
千代「ふふふ」メラメラ
しほ「フン」ゴゴゴゴ
西「家元様たちも仲が良いのですね」
しほ・千代「「それはない」」
西「うっ…」
219: 2017/04/16(日) 20:15:57.48 ID:W4mo48pD0
千代「あらやだ。体重はヘビーなのに旦那様の前では豆タンクのように軽いのにねぇ」
しほ「フン。戦車だけでなく頭の中も軽い女にはわかるまい」
バチバチッ
西「まぁまぁ…」
チラッ
西「…ん?」
壁|ω・`)
壁|ω・`)
西「」
220: 2017/04/16(日) 20:20:59.35 ID:W4mo48pD0
西(西住さんと愛里寿さんが壁越しにこちらの様子をうかがっている)
西(………ふむ)
西「おやぁー!? みほさんに愛里寿さん! そんな所にいないでこちらへどうぞぉー!!」
壁|д゚;) !?
壁|д゚;) !?
しほ・千代「…」ジロッ
みほ・愛里寿「!?」
しほ・千代「「こちらへ来なさい」」
みほ・愛里寿「」ガタガタ
西(はっはっは~! 先程のお返しですぞっ!)
みほ「西さんきっとロクな氏に方しないよ…」ゲッソリ
愛里寿「ボコみたいに袋叩きにあって入院長引いてしまえば良いんだ…」ゲッソリ
西「」
221: 2017/04/16(日) 20:23:25.69 ID:W4mo48pD0
その後、西住さん・島田さんは親子水入らずな会話をされました。
「ちゃんと栄養のあるものを食べなさい」とか
「たまには顔を見せなさい」とか
「遅くても9時には寝なさい」とか
「無人機は邪道だから一機残らず叩き落としなさい」とかとか
久々に娘と再開出来た家元様たちは満足したようで、一通り会話をしたあと帰っていきました。
あの二人のやり取りを見ると、「犬猿の仲」という言葉がよく似合います。なんだかんだ言ってお二方は仲が良いのでしょう。
……間に挟まれた愛里寿さんは氏んだ魚の眼をしていましたけど。
ともあれ、親と子の微笑ましい光景でした
みほ「全然微笑ましい光景じゃないよっ!!」クワッ
西「ふぇえっ!?」ビクッ
222: 2017/04/16(日) 20:26:55.51 ID:W4mo48pD0
みほ「まったく。好き放題言うだけ言って帰ってくんだからホントに困るよお母さんは…」ブツブツ
西「いい母上様に見えましたけどね」
みほ「きっと西さん疲れてるんですよ」シレッ
西「えぇ…」
優花里「しかし、あのお二方に挟まれてよく平然としていましたね西殿…」←最後まで隠れてた
西(これっぽっちも平然ではなかったのだが…)
みほ「いるだけで寿命が縮まるお母さんなんて邪道だよ。私だったら」
ママみほ『あらお久しぶりね。マカロン食べる?お小遣い増やしておくね』ニコツ
みほ「…くらいの優しさを娘には見せるよ。愛里寿さんが羨ましい…」トオイメ
優花里「そんな愛里寿殿もなんだか氏んだ魚の眼していましたけどねぇ」ハハハ...
西(火花散らす両家元の間に挟まれてものすごく小さくなっていたなぁ…)
西「あ、マカロンはありませんがバウムクーヘンならありますよ。いかがです?」
優花里「あっ、おひとつ下さい!」キラキラ
西「どうぞどうぞー」
優花里「んま~♪」ハムハム
223: 2017/04/16(日) 20:36:11.39 ID:W4mo48pD0
西「そういえば、西住さん達大洗女子の次のお相手はどちらですか?」
みほ「サンダース大学付属高校です」
西「ふむ。戦車はもとより、無人機が怖いところですなぁ」
優花里「ええ。レギュレーションで爆弾搭載数は抑えられてるとは言え、強力な無人機を保有していそうです」
西「サンダース、もとい米国は多彩な航空機を保有する国ですからね」
みほ「"どの無人機の対策をするか"ではなく、"どの無人機も落とす"という覚悟でないと厳しいですね」
優花里「一言に航空機といえど、用途に合わせて様々なカテゴリーがあるくらいですからね…」
西「読みが当たるのならば、いずれかに特化した対策を取れば良いのですが、外してしまうと致命傷になります」
西「ましてや大洗は無人機ではなく対空戦車での応戦となるので、それは尚のことでしょう」
みほ「実を言うと、その対空戦車もレギュレーションによって限られてしまって…」
西「えっ!?」
224: 2017/04/16(日) 20:38:40.52 ID:W4mo48pD0
みほ「前回の試合で私たちが使ってたオストヴィント、38(t)対空戦車、3号対空戦車はオープントップであるために、本来なら使えない車輌だったんです」
みほ「以前までは見過ごしてもらえたのですが、安全性を考慮した結果、ルール改定で禁止されてしまって…」
西「となると無人機への対抗手段は無くなってしまうのでは?!」
みほ「いえ。そこでIV号戦車を"クーゲルブリッツ"という密閉型砲塔を搭載した対空戦車へカスタマイズしました」
西「おお…! 西住さんたちのIV号戦車は変幻自在ですね!」
みほ「えへへ。その対空戦車は砲身の俯仰や旋回も砲塔ごと行うので、慣れないうちは大変でしたよ」
西「ははは。西住さんを参らせてしまうなんて相当な代物ですな!」
優花里「酔っぱらいみたいにヘベレケになってましたもんねぇ西住殿!」
みほ「よ、酔っぱらい…」ガーン
225: 2017/04/16(日) 20:40:30.22 ID:W4mo48pD0
― それから私達はしばらく談笑に花を咲かせました。
どうやら西住さんは"ぼこ"が相当好きなようで、延々とその良さをアピールしておられました。
隣で苦笑いしながら聞く秋山殿とは違い、水を得た魚のように話す西住さんがとても印象的でした。
確かに、満身創痍になっても退却せず、相手に挑み続ける姿は、西住流に通ずるものがあります。
そして我々知波単学園も真正面から相手に突撃するという点でも。
全く無関係なはずなのに、西住流には何かしらの縁があるような気がしてきました。
…と言うと今度は島田流の家元様に怒られそうなので『柔軟な戦い方は島田流と何かしら縁がありそうだ』と言って茶を濁しておきませう。
226: 2017/04/16(日) 20:42:19.19 ID:W4mo48pD0
みほ「…あっ、もうこんな時間だ。そろそろ行かなきゃ」
西「本当に楽しい時間は経過が早いのであります」
優花里「色々ありがとうございました西殿」
西「こちらこそ。話の続きはまた時間がある時に是非しませう!」
優花里「そうですねぇ。…ボコの話は当分いいですけど」アハハ
みほ「えっ?!」ガーン
アハハハハハハ
優花里「あ、ちょっと家に電話するので先に行ってます。それでは失礼しますっ!」ビシッ
西「こちらこそ。楽しい時間をありがとうございました!」フカブカ
227: 2017/04/16(日) 20:43:52.11 ID:W4mo48pD0
西「…」
みほ「…」
西「西住さん」
みほ「はい?」
西「次の試合、如何しょうか?」
みほ「ハッキリ言って、かなり厳しい戦いです」
西「そうですか…」
みほ「ルール改定で対空戦車が3輌から1輌になってしまった上に、相手はサンダース」
みほ「相手は戦車はもちろん、無人機も相当強力なものを使ってくるかと思います」
みほ「対空戦車が走行不能になったら、あとは戦車と無人機によって一方的に蹂躙される……」
西「………」
228: 2017/04/16(日) 20:45:12.45 ID:W4mo48pD0
西「西住さん」
みほ「は、はい?」
西「これが"釈迦に説法"なのは重々承知しておりますが…」
みほ「うん?」
西「もしも、無人機が手に負えないと思った時は」
みほ「?」
西「その時は戦車を傾け、お天道様を叩き割るが如く砲弾を無人機へ放ってみて下さい」
みほ「えっ…?」
西「戦車を即席の対空砲として上空に放ちます」
西「命中すれば御の字ですが、そうでなくても多少の妨害にはなりますので」
みほ「!」
西「対空戦車は1輌とのことですが、即席の対空戦車を作ることで防空能力は幾分か向上します」
みほ「確かに…!」
229: 2017/04/16(日) 20:48:47.67 ID:W4mo48pD0
西「そして、これはダージリンをはじめ、聖グロの皆さんにはご内密にして頂きたいのですが」
みほ「?」
西「聖グロの三つある無人機のうち、一つは戦車砲による撃墜判定が出ていました」
みほ「ええっ!?」ガタッ
西「山岳地帯に戦車二輌を忍ばせておき、自軍の無人機で扇動して迎撃地点まで誘導」
西「射程範囲に入ったらこれを戦車が叩く」
みほ「…」
西「こうも上手く行くとは思ってませんでしたが、それでも戦車で無人機の撃墜が可能であることがわかりました」
みほ「でも、アッサムさんは"エースパイロット"によって落とされたと…」
西「ええ。我々の無人機でも対無人機戦を展開させました」
西「ただ、こちらの無人機はなるべく硬い戦車の撃破を優先させたかったので」
西「対無人機用の航空機銃の弾は従来より少なくしました」
230: 2017/04/16(日) 20:50:35.45 ID:W4mo48pD0
みほ「そうなのですか…!」
西「ええ。無人機は戦車ほどの装甲は無いので、脆弱な戦車砲でも命中すれば撃破できます」
西「なので当たるか否かの違いです」
西「空と陸とを連携させることで戦車砲は無人機を撃破でき、」
西「無人機は戦車を激破するという役割を構築してみた次第であります」
みほ「すごい…」
西「西住さん」
みほ「は、はいっ!?」
西「無人機は戦車でも落とせるのです。…戦術と腕次第で」
みほ「!!」
西「ですので、どうか諦めず、戦ってください。私達の分まで」
みほ「はいっ!…あ、あの」
西「ん?どうされました?」
みほ「変なことお聞きしますが…」
みほ「本当に西さんなのでしょうか…?」オロオロ
231: 2017/04/16(日) 20:53:51.65 ID:W4mo48pD0
西「ふぇ? え、ええ…私は正真正銘 西絹代でありますが?」
みほ「で、ですよねっ! …なんだか、以前お会いした時とは全然違ったので、もしや別人では!? …と」
西(最近色んな人に言われるなぁソレ…)
西「まま、あれから私も色々考える事があったのです」
みほ「考える事?」
西「あはは。エキシビジョンマッチ戦や大学選抜戦を通じて、我が校も戦術を見直すべきと思った次第でして」
みほ「その結果が、ここ最近の戦果に繋がったわけですね…!」
西「ええ。今回は志半ばで終わってしまいましたが、次は更にその成果を発揮させて頂こうと思う所存であります」
西「ですから、西住さん達には私達の分まで存分に戦ってやって下さい」
みほ「もちろんです!アドバイスありがとうございます!」フカブカ
西「いえいえ。武運長久をお祈り申し上げます」フカブカ
233: 2017/04/17(月) 18:52:49.41 ID:xBcilmOc0
【みほたちが去ってから】
西「………」
西(………)
~~
~~~~~
~~~~~~~~
「まぁ、高校生相手じゃ所詮この程度でしょうね」
「なんの考えもなしに真正面から来てくれたから探す手間が省けたわ」
「もっと戦術はしっかり練ったほうが良いわよ?」
「統制の取れないチームはその時点で負け。戦う前から勝敗は決まってた」
みほ「………」
西「………」
みほ「…あなたのせいだ………」
西「うっ…」
みほ「あなたが指示を無視して好き放題やったから作戦も台無しになって、味方もみんなやられて負けた…」
西「も、申し訳ありませんでしたっ!!」
234: 2017/04/17(月) 18:55:09.51 ID:xBcilmOc0
ダージリン「呆れたわ。大洗の命運がかかった試合だと言うのに」
アンチョビ「助けに来たと言うより、バカ騒ぎしに来たって感じだったな」
西「うっ…」
ミカ「対岸の火事だと思えば気楽だろうね」
ケイ「自由には責任が伴うってのを自覚すべきよ」
西「………」
カチューシャ「あなたの部下は全員八甲田山でも送ったほうがいいわ。もちろんあなたもね」
まほ「部下の暴走を止められないようでは隊長として失格だ」
みほ「あなたのせいで…」
「あなたのせいで…」
~~~~~~~~
~~~~~
~~
西(あれは…"夢"…だよね………?)
235: 2017/04/17(月) 18:59:45.13 ID:xBcilmOc0
【同日 昼】
西「………まじぃ」モソモソ
ナース「ガマンしなさい。あれだけ馬鹿騒ぎしてても、一応入院患者なんだから」
西「わ、私は健康体そのものですぞっ!どこにも異常はありませんっ!」モソモソ
ナース「異常だらけよ。腕も足も使えないのだから」
西「ぐぅ…」
ナース「それに、他の患者さんも同じもの食べてるのよ?」
ナース「中には食事が摂れずに点滴で栄養補給している人もいるけど」
西「ぬぅ…食の大切さが痛いほどわかるのであります。知波単学園の食事が恋しい」ゲッソリ
ナース「あら。学校では何を食べてたの?」
西「そうですね、銀舎利あるいは握り飯、あと味噌汁ですね」
西「それで、たまに焼き魚やお漬物がついたりします。なかなか美味いんですよ~コレが!」
ナース「…」
西「…あれ? 看護婦さん?」
236: 2017/04/17(月) 19:01:53.76 ID:xBcilmOc0
ナース「それより昨夜は遅くまで騒いでたみたいだけど」
西「あぁ、うるさくしてすみません…」
ナース「一体何をしてたのかしら?」ニヤ
西「へ? …雑談してそのまま寝ただけですが?」キョトン
ナース「それだけ?」
西「ええ、そうですが?」
ナース「そっか」
西「??」モグモグ
ナース「いや、ね? あんだけ激しくはしゃいでたのだから」
ナース「エOチでもしてるのかなって」フフッ
西「んグゥッ!!?」
ナース「ふふっ、冗談よ。ほらお水」
西「ゲホッゲホッ!! …そ、その冗談はキツ過ぎますぞっ!」
ナース「あはは! ゴメンゴメン!」
237: 2017/04/17(月) 19:05:26.30 ID:xBcilmOc0
西「…まったく。何を仰るかと思えば…」
ナース「あはは。今時の若い子は早いからねぇ~」
西「またおば様みたいなことを仰る」
ナース「あら失礼ね。まだ20代よ?」
西「そうなんですか」
ナース「あ、でもね」
西「?」ゴクゴク...
ナース「エOチするときはちゃんと避妊しなきゃダメよ?」
西「」ブフォォッ!!
看護婦「わっ汚い!!」ヤダモー
238: 2017/04/17(月) 19:08:06.38 ID:xBcilmOc0
西(ふぅ、食べた食べた)ポンポン
西(…でもやっぱり知波単の食事が恋しいなぁ)
西(何故か看護婦さんは唖然としてたけど、やっぱり我が家の食事が一番だ)
西(…というかあの看護婦さん、やたら変な話ばかりしてきたけど何だったんだ?)
西(よくわかんないけど、きっとああいうのを"助平"っていうのだろう)フム
西(それはそうと、入院生活というのは退屈だなぁ…もう何度思ったかわからないけど)
西(ダージリン入院しないなぁ。紅茶の飲み過ぎとかで。…流石に不謹慎か)
西(………ちょっと外に出てみようかな?)
西「いよっと」E:車いす
西「よし、吶喊!とーつーげーきー!」キコキコ
ゴンッ!
ゴッ!
西「…操縦はヘタクソだから練習しなくちゃ」
239: 2017/04/17(月) 19:09:53.80 ID:xBcilmOc0
【病院 エントランス】
西(ん~! 今日はいい天気だなぁ)ノビー
西(部屋でゴロゴロするのもいいけど、やっぱり動物たるもの陽の光を浴びてた方が健康的だ)
西(そういえばこの先に駄菓子屋があったはず。ちょいと覗いてみるか!)
西(久々に水飴食べてみたいなー。あ、あとラムネもここ最近飲んでないな。小銭あるかな?)チャリチャリ
?「………」
?「………」
240: 2017/04/17(月) 19:11:21.92 ID:xBcilmOc0
【駄菓子屋さん】
西「お、ヤンヤンつけボーだ。懐かしいなぁ」
西「おおっ!! ベーゴマもあるぞ!!」キラキラ
爺さん「お嬢ちゃんなかなか詳しいねぇ」カッカッカ
西「ははは。私の地元にもこんな感じの駄菓子屋がありまして!」
西「そんなことよりおじさん! このベーゴマ、ちょいとやらせて下さいな!」
爺さん「お!いっちょやるか!」ゴトッ
― 西絹代、ベーゴマに没頭中
?「………」
?「………」
241: 2017/04/17(月) 19:20:52.46 ID:xBcilmOc0
西「いやぁ~楽しかった!」ハッハッハ
爺さん「お嬢ちゃんなかなかやるじゃないか! 若いのに珍しいねぇ!」カッカッカ
西「はっはっは! 実はこう見えて地元のお爺さん達としょっちゅうベーゴマをやっていたのですよ!」
西「勝ったら相手のベーゴマを貰えるってルールがあったから、たくさん集めてました!」
爺さん「あったなぁそんなルール…」ウンウン
西「…でも母が全部ゴミの日に捨ててしまって」ズーン
爺さん「…ぅっ…」ジワッ
― その後、一通りベーゴマを堪能して駄菓子屋さんを後にした
本当はもっと長居したかったけど、長時間病室を空けていると看護婦さんに怒られてしまう。
242: 2017/04/17(月) 19:23:59.56 ID:xBcilmOc0
西(あの駄菓子屋はいいな。また今度行こう)ポリポリ
西(次はメンコもやってみようかな~)
西(知波単にもこういった駄菓子屋さんがあればいいのに。駄菓子屋はいいぞ!)
?「………」
?「………」
西「隠れてるのはわかるぞ?」
西「玉田と…細見か」
玉田「!? ど、どうしてわかったのでありますか?!」
細見「勘付かれぬよう慎重に行動していたはずなのに…!」
西「はっはっは! 私はベーゴマだけじゃなく隠れんぼも得意だぞ! 隠れるのも探すのもなっ!」キリッ
細見「さすが西殿でありますっ!」
西「…で、戻って来たという事は何かあったのだろう?」
玉田・細見「ええ」
西(…この様子だと"ワケあり"かなぁ…)
243: 2017/04/17(月) 19:26:09.95 ID:xBcilmOc0
玉田「実を申しましと、隊長殿が不在の間、我が知波単学園ではちょっとした意見の対立が起きておりまして…」
西「意見の対立…?」
玉田「はい、先日学長殿が」
学長『我が校も戦車道をもっと盛んに行うべきだ』
学長『だから、戦車道に費やす予算を増やすことにしたよ』
玉田「…と、申しておりまして」
西「おお! それは朗報ではないか!」
玉田「その通りです! だから戦車を追加すべきと進言した次第であります!」
西「ふむふむ」
西(安直に『無人機を増やすべき!』と言わないところは褒めるべきだ)
玉田・細見「そこで隊長殿!!!」ジリッ
西「う、うむ(近い近い!)」
244: 2017/04/17(月) 19:30:48.67 ID:xBcilmOc0
玉田「今ここで我々に下知を下して頂きたい!!」
西「げ、下知??」
玉田「私は知波単学園の伝統文化、誇りを継承するべく、従来の戦車を拡充すべきと提言しますっ!」
細見「西殿! 玉田の戯言に耳を傾ける必要は皆無ッ! 大艦巨砲主義の如く、強靭な装甲と強力な砲を搭載した戦車を導入すべきです!!」
玉田「貴様ぁ!! 知波単の伝統を忘れたのかッ!!」
細見「貴殿こそ過去の栄光にいつまでも縋り付いているっ!! 我々は新たな道を模索すべきぞ!!」
西「お、おい、お前たちケンカは…」
玉田「いえ隊長殿! こいつは弛んでおります! 今日こそはギャフンと言わせてやります!!」
細見「望むところよ!! 貴殿のヒン曲がった根性いますぐ叩き直してやるっ!!!!」
パチン!!
玉田「貴様! このォ!!!」
バチ-ン!!
細見「こいつッ!!!!」
パシィィィィィン!!
西(将棋やり始めた…)
245: 2017/04/17(月) 19:33:48.51 ID:xBcilmOc0
玉田「王手っ!!」パチン
細見「ぐっ…!」
玉田「うははは参ったか! これぞ私の実力なり!!」
西(おいおい…。一つだけ進め過ぎてないか。それじゃ…)
細見「」パチン
玉田「ああーっ!? 私の飛車がぁ!!」
細見「はっはっは! 油断大敵だ! いかなる時も真剣勝負!!」
西(こちらはまた随分と守りが堅いな…)
西(ふむふむ…)
246: 2017/04/17(月) 19:35:54.50 ID:xBcilmOc0
「………ニシタイチョウドノ…」
西「うぉあっ!!?」ビクッ
福田「…先ホド振リデアリマス…」ドヨーン
西「び、びっくりしたぁ!福田、お前かくれんぼの才能あるぞ…!」ドキドキ
福田「……光栄デアリマス……」ドンヨリ
西「…で、福田は福田で何をそうドンヨリしているんだ…?」
福田「実を申し上げますと…」
福田「隊長殿がご不在の間に知波単が真っ二つに分裂してしまったのであります……」
西「なっ!?」
247: 2017/04/17(月) 19:38:10.10 ID:xBcilmOc0
西「それは先程聞いた戦車の導入についてか?」
福田「それも含め、知波単学園が今後すべき戦術について揉めているのであります…」
福田「従来通り、知波単の伝統を重んじ"突撃すべき"という玉田殿と」
福田「先日の聖ぐろ戦や大洗戦の戦訓より"新たな戦術を模索すべき"という細見殿」
西「…」
福田「お二方の考はそれぞれ一定の賛同者を得ており、知波単学園は見事に真っ二つであります…」
福田「そしてその"玉田派"と"細見派"の二大勢力による縄張り争い的な事がしばしば起きておりまして…」
西「おい! それは笑えん話だぞ!!」
福田「ええ…」
福田「対立が起きるたび将棋だの相撲だの竹馬といったもので雌雄を決するようになったのであります……」
西「なにッ!?」
西「………ん?」
248: 2017/04/17(月) 19:39:30.35 ID:xBcilmOc0
福田「わっ、わたくしは鳥頭ゆえに将棋は苦手でありますし、このチンマリとした身体では相撲も黒星なので立つ瀬がありません!!」クッ
福田「そうしている間にも皆一同戦車そっちのけで抗争を…」
西「待て、待たんか!色々おかしいぞっ!?」
福田「?」
西「いや『?』じゃないだろう! 戦車の訓練はちゃんとやってるのか?!」
福田「いえ! 全くやってないのでありますっ!!」キッパリ
西「」
福田「昨日は"おはじき"で勝敗を競っておりましたっ!!」ビシッ
西「」
福田「…あれ? 西隊長殿???」
249: 2017/04/17(月) 19:42:22.27 ID:xBcilmOc0
玉田「ふははは! どうした細見。降参するなら今のうちだぞ?」
細見「馬鹿を抜かすな! 私は一歩たりとも後ろには下がらぬ!」
西「お、おい、お前たち。戦車の訓練は…?」オソルオソル
玉田「西殿、今暫くお待ち下さいませ。今まさに此奴めを追い詰めている所であります故に」
細見「そんなことはありませんぞ隊長殿! ここから私の逆転劇をお見せしませう!」
西「おっ、そうだな」
パチン!
パチン!
西「じゃなくて聞けやお前らぁぁぁぁぁ!!!」ガァァァッ
細見・玉田「ひぃぃぃっ!!?」
250: 2017/04/17(月) 19:47:21.43 ID:xBcilmOc0
西「戦術について意見が対立するのはまだ良い」
西「それを将棋や相撲で解決を図るのも平和的で結構だ」
西「だが肝心の戦車道そっちのけは本末転倒だろーがっ!!」
玉田「おお! そう言われてみればすっかりこんこん忘れておりました!」ハッハッハ
細見「そこに気付くとはさぁすが西殿! 目の付け所がシャープですなぁ!」ハッハッハ
西「じゃかましいわ!!!」ガァァッ
西「お前たちは知波単学園の何だ!?」
玉田「はっ! 知波単学園の玉田! 戦車乗りであります!」
細見「同じく知波単学園の戦車乗り、細見ですっ!」
福田「更に同じく知波単学園の戦車乗り見習いの福田でありますっ!!」
西「で、昨日やった訓練は!?」
玉田・細見・福田「「「おはじきですっ!!!」」」
西「」クラッ...
― 砲弾の代わりにこのバカタレ共を詰め込んで射撃したろか。…と、本気で思った西絹代でした。
251: 2017/04/17(月) 19:49:53.15 ID:xBcilmOc0
西「…ひとまずだな」
西「まず私がいなくても真面目に戦車の練習はすること!」
玉田「あの…」
西「どうした玉田?」
玉田「先日より戦車道を希望する者が増えた為、戦車の数が足りないのであります」
西(えっ? そんなに履修者増えたの?! 結構あったはずなのに…)
西「な、ならば順番に乗れば良い」
玉田「なるほど!」
細見「それで訓練なのですが、私は先日の西殿の戦術を提案します」
玉田「何を言う!今までのように知波単一同火の玉として突撃あるのみ!!」
細見「貴殿はまだ懲りぬか! 往生際が悪い!」ドン!!!
玉田「それは私の台詞だ! このうつけ者が!!」ジャラジャラ
福田「け、ケンカは良くないのでありますっ!」カン!!
西「おいこらサンマすな! というかその台どっから持って来た!?」
252: 2017/04/17(月) 20:15:32.87 ID:xBcilmOc0
西「まずお前たちは根本的に間違ってる」
細見「そう言われると仰る通りです!」
西(ようやく気づいたか…)ハァ
細見「西殿がいるのに"サンマ"はおかしいですな!」
玉田「あっ! こ、これは失礼いたしましたっ!!」
福田「申し訳ございません! 福田気付かなかったのであります!」
西「ちがぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!」
西「いいか、耳の穴かっぽじってよ~く聞け」
西「確かに我々知波単学園は長年突撃を伝統として敢行してきた」
玉田「その通りです!さすが隊長殿!」
細見「そんな…」ジワッ
西「しかし!!」
玉田・細見「!」
西「一方で戦術を見直すべきという考えも胸中にある!」
細見「!」パァァ
西「私も入院中ただプラモデルを作っていたわけではないぞ。今後の知波単のあり方についても色々考えていた」
玉田・細見(ぷらもでる???)
253: 2017/04/17(月) 20:19:35.88 ID:xBcilmOc0
西「そこで考えたのだが…まず、」
西「私の下に玉田・細見の両名を副隊長として任命する!!」
玉田・細見「!!!」
福田「すごいであります! 知波単学園の副隊長が二人も!!」
西「知波単学園の伝統は確かに真正面から正々堂々対峙することにある」
西「そしてそに突撃戦術により、過去にはベスト4入りという成果も出ている」
西「…しかし、ここ最近の戦績を鑑みるに、それだけで強豪校を相手に勝てるほど戦車道は甘くはないと思ったのだ」
玉田「うっ…!」
西「そこで!!」
西「玉田にはこれまで戦術を主軸に、その機動力・突破能力を最大の武器とし、敵戦車体の懐に潜り込む戦術を任せる」
西「素早く敵戦車の弱点を叩くことが可能な位置へ立ち回り、敵戦車の行動を封じる」
西「同時に敵の連携を乱し、包囲する。砲ではなく足で相手を切り伏せる忍者の如く、変幻自在の戦い方が求められる」
西「一方でこれらは行動のタイミングを見誤ると戦隊が崩れ、大敗北に直結する!!」
西「やることは多いが、出来るか? 玉田」
玉田「やってみるのであります!!」ビシッ
福田「………」メモメモ
254: 2017/04/17(月) 20:23:13.26 ID:xBcilmOc0
西「次に!」
西「細見には攻守に長けた戦車を指揮し、敵の切り札を叩く役目を任せよう」
細見「了解でありますっ!!」
西「今の知波単所有の戦車では叩けない戦車が数多く存在する。先日の大洗女子のポルシェティーガーがまさにそうだ」
西「それら重戦車は我々の戦車では叩けないどころか、逆に遠方から我々の戦車を悠々と撃破する火力を持つ」
西「そういった戦車に対抗するための部隊だ。わかるな?」
細見「はい!」
西「装甲が厚く火力が高い…ともなれば当然機動力が落ちる」
西「ゆえに移動・目標の捕捉、そして攻撃。これら一連の動作に無駄があってはただの木偶の坊だ」
細見「…」
西「どこに配置するか、どの戦車を狙うか、戦車のどこを狙うか、目標撃破後はどうするか」
西「その1つ1つの判断に智将としての手腕が問われる!」
西「当然ながらこちらもまた一筋縄ではいかない」
西「これが私の考える"もう一つの"知波単戦術だ。どう思う?細見」
細見「諸手を挙げて賛成致します!!」
255: 2017/04/17(月) 20:25:06.10 ID:xBcilmOc0
西「この戦術が上手く実を結べば非常に強力なものとなり、強豪校を相手に引けを取らぬ戦いが出来るだろう」
玉田・細見・福田「おおおお!!」
西「ただし!」
玉田・細見・福田「!」
西「この戦術はたった1つの条件を満すだけで」
西「150% "惨敗"する」
玉田「ええっ?!」
細見「その1つの条件とは何ですか?!」
西「連携の崩壊だ」
256: 2017/04/17(月) 20:28:06.91 ID:xBcilmOc0
細見・玉田・福田「!」
西「本戦術において真に重要なのは機動力でも火力でもない」
西「適切な情報を、適切な場所へ、適切なタイミングで伝達する力」
西「すなわち玉田隊、細見隊の連携、そこに全てがかかっている」
細見・玉田「…!」
西「まず玉田隊の迅速な進軍により、敵より優位な位置を確保」
西「そして多方向から奇襲をかけることで敵の連携・統制を乱し、作戦の実行を遅らせる」
西「その間に細見隊は敵戦車を撃破できる場所へ配備」
西「そして攻撃、敵戦車を確実に仕留める」
西「こちらは正確な連携を固め、相手の連携は乱すというのが本質だ」
257: 2017/04/17(月) 20:29:53.28 ID:xBcilmOc0
西「………以上が私の考える新たな知波単学園の戦法だ!」
玉田「…」
細見「…」
福田「…」
西(あ、あれ? …みんな黙り込んじゃったぞ? ちょっと無理があったかなぁ…)
玉田「さすがです隊長殿!!」
福田「非の打ち所がありません! 完璧であります!!」
細見「素敵であります西殿ぉ…!」
西「そ、そうか。気に入ってもらえて何よりだ!」
258: 2017/04/17(月) 20:32:28.07 ID:xBcilmOc0
細見「はい! 質問であります!」
西「うむ、聞こう」
細見「その、"攻守に長けた戦車"というのは如何なるものでしょうか?」
西「四式中戦車、五式中戦車・(試製)五式砲戦車一型ないし二型を中心に導入を検討したい」
西「ただ、このあたりの車両は使用可否が不明瞭なものもある。特に五式砲戦車は怪しい。連盟の返答待ちだ」
西「そして、敵の重戦車を叩くために、切り札となる車両を出す」
細見「その切り札とは?」
西「大型イ号車だ」
259: 2017/04/17(月) 20:38:05.87 ID:xBcilmOc0
細見「大型イ号車?」
玉田「初耳です」
西「ドイツの超重戦車に触発された日本が開発した戦車だ」
西「大雑把に言えば日本版マウスといったところだろうか」
西「重量は諸説あるが150トン、主砲は15糎砲、副砲も47粍が2つと超強力な戦車だ」
細見・玉田・福田「!!」
西「ただ、この車両も先述の新規増設車輌同様に、一部不明瞭な点がある」
西「そのため連盟の認定待ちとなるが、配備されたら間違いなく強力な味方となるだろう」
西「また、玉田隊にも新規に2つ戦車を増やそうと思う」
玉田「! それはどんな戦車でしょうか!?」
西「まずひとつが三式中戦車」
玉田「おおっ!大洗のアリクイ殿が乗っておられるやつですな!」
西「うむ。そしてもう1つが」
西「特三式内火艇だ」
260: 2017/04/17(月) 20:39:14.73 ID:xBcilmOc0
玉田「…ん? ちょっと聞きそびれてしまったであります」
西「もう一度言うぞ。特三式内火艇だ」
玉田・細見・福田「………」
玉田「………なにゆえ…そのようなものを…?」
西「玉田、お前の隊には機動力により、なによりも素早く敵地に到達し、相手を撹乱し、状況を後続部隊に伝達しなければならない」
西「そのためには陸地だけでなく時に川や池を潜ることも必要とされる」
玉田「あっ!」
西「大会の会場によっては川や湖によって迂回を余儀なくされる場合もある」
西「しかし、それは我々には関係のないものだ!!」
西「川があれば流れに逆らい、湖があれば横断するまで!」
西「そのための戦車だ」
玉田「なるほど…!」
西「玉田隊に走れない場所など無いと心得よ!!」
玉田「はいっっ!!!」
261: 2017/04/17(月) 20:40:21.96 ID:xBcilmOc0
玉田「それでは早速知波単に戻って訓練をしましょうぞ!」
細見「同意であります!私辛抱たまらんのであります!!」
福田「同じく!」
西(巡航戦車と歩兵戦車)
西(ダージリンがいなかったらこんな運用方法、思いつかなかっただろうなぁ)
西(…ただ、問題は絶対に起きる。むしろ起きないわけがない)
西(この2つの戦術と2つの組織の選出こそが、かつて経験した"失敗"なのだから)
西(だから、私は今度こそ成功へと…!)
262: 2017/04/17(月) 20:41:53.75 ID:xBcilmOc0
西「よし、それで今後の訓練について私から幾つか提案がある」
玉田「何でございましょう!」
西「基本は玉田隊と細見隊の紅白戦を主軸にするが」
西「3日に1度、誰がどの車両のどの座席に就くかを完全ランダムにする」
細見「何故ですか?」
西「全てのメンバーが全ての戦術を学び、"穴"を無くすためだ」
西「たとえば欠員が出たり、試合において予想に反する結果になった際に総崩れでは困るわけだ」
西「そういった予想外な事態が発生した時に、それらを補うための柔軟性もまた必要だ」
福田「なるほどであります!」
西「それに、同じ編成で同じ試合ばかりではつまらないだろう?」
西「色々試してみるのも戦車道の楽しみの一つだよ」
西「私がいない間、知波単学園を頼んだぞ。玉田、細見、そして福田!」
玉田・細見・福田「了解!!!」
265: 2017/04/18(火) 21:35:28.08 ID:nRPlxJ8u0
【病院 エントランス】
西「ほっせほっせ…」キコキコ
西「はぁ…はぁ…」キコキコ
西「やっと…着いた………」フゥ...
西(歩けばすぐだけど車椅子だと結構だったなぁ…)キコキコ
西(…にしても)
西(しつこいなぁ…!)
「あら、車椅子でリハビリでもしてるのかしら?」
266: 2017/04/18(火) 21:37:10.84 ID:nRPlxJ8u0
西「えっと…初めましてですかな?」
カチューシャ「この間のエキシビション戦と大学選抜戦で会ったじゃないの!」
西「あぁ! カチューシャさんでしたか!お久しぶりであります」ビシッ
ノンナ「привет там」
西「そしてモンナさんもお久しぶりです」フカブカ
ノンナ「モではなくノです。ノンナです」
西「あ…失礼しました」
西「…と、言うことはお二方はお見舞いに来て下さったのですか?」
カチューシャ「そうよ。このカチューシャ様がお見舞いに来たんだから感謝なさい!」
西「はるばる来てくださって有難うございます」フカブカ
267: 2017/04/18(火) 21:38:44.76 ID:nRPlxJ8u0
カチューシャ「…にしても、あなたのことだからまだ眠りこけているかと思ったけど、意外に早いお目覚めね」
西「あはは。とはいっても1週間くらい寝ていましたけど」
カチューシャ「それだけ寝たら元気になるわよ」
西「ええ。寝る子は育つと言いますからね。少し背も伸びたような気がします」
カチューシャ「それは本当なの?!」ガタッ
西「あとで看護婦さんにお願いして測ってもらおうと思います」
カチューシャ「ノンナ! 明日からお昼寝の時間を増やすわよ!!」
ノンナ「寝過ぎれば良いというものではありませんよ同志カチューシャ」
268: 2017/04/18(火) 21:41:25.40 ID:nRPlxJ8u0
西「あれ? そういえば試合の方は?」
カチューシャ「もちろん勝ったわよ。だから次の相手が決まるまで少しだけ皆を休ませてるの」
カチューシャ「このカチューシャのご厚意に感謝することね!」
西「そうでありましたか!」
カチューシャ「特に無人機は色々大変だから人も機会もしっかり休ませたげるのよ! 偉いでしょ!」エヘン
西「確かに。戦車とは勝手が違うので大変な思いをしました」
カチューシャ「しっかし理不尽なルールよねぇ。使う側が言うのも何だけど」
ノンナ「同意です。高校間の"格差"を広げる改悪に過ぎません」
西「やはり皆さんもそうお考えですよね」
カチューシャ「ということは、あなたもなの?」
西「ええ。無人機でこっ酷い目にあった一人です」
西(…まぁあれは私の浅はかさが原因だけど)
269: 2017/04/18(火) 21:58:57.62 ID:nRPlxJ8u0
西「無人機といえば、つい先程、西住さんたちがいらっしゃいました」
カチューシャ「ミホーシャが?」
西「ええ。次はサンダースと対戦するとのことです」
カチューシャ「ミホーシャも気の毒ね。立て続けに強豪校とブチ当たるんだから」
西「そうですね…。それでも、大洗の皆さんが"また"無人機を落としてくれる事に期待しています」
ノンナ「…」
カチューシャ「…無理よ」
西「な、何故ですか?!」
270: 2017/04/18(火) 22:00:18.19 ID:nRPlxJ8u0
カチューシャ「あなたはサンダースが何持ってるか知ってて言ってるの?」
西「お恥ずかしながら、よく存じ上げないのであります…」
カチューシャ「高度1万メートルを飛ぶ大空の要塞よ」
西「!」
ノンナ「残念ですが、大洗女子学園が所有する対空戦車では、高度1万メートルの無人機を撃墜するのは困難かと思われます」
西「…」
カチューシャ「カチューシャたちの無人機ですらそこまで行くのは大変なんだからね」
カチューシャ「だから、ミホーシャたちもここまでよ。残念だけど」
ノンナ「…」
271: 2017/04/18(火) 22:01:32.51 ID:nRPlxJ8u0
西「果たしてどうでしょう」
カチューシャ「なによ。勝算でもあるのキヌーシャ?」
西「今まで色んな苦悩を乗り越えてきた西住さんです」
西「西住さんなら、たとえ高度1万メートルを飛行する無人機の対抗策もきっと編み出すでしょう」
カチューシャ「無理よ。絶対に無理なんだから!」
西「1万メートルを飛ぼうが大気圏を飛ぼうが…」チラッ
ノンナ「?」
西「何とかしてくれますよね?」
ノンナ「えっ…?」
カチューシャ「出来るのノンナ?!」
ノンナ「いえ…さすがn
西「カチューシャさんがお願いすれば出来ます」
ノンナ「え」
カチューシャ「ノンナ…出来るの…?」
ノンナ「Да」
カチューシャ「凄いじゃない! さすがノンナだわ!!」
ノンナ「…」←褒められて嬉しい
西(振っといて言うのも何だけど、ノンナさんがちょっと心配になってきた)
西(しかし…)
272: 2017/04/18(火) 22:03:12.64 ID:nRPlxJ8u0
ノンナ「…」
西「気になりますか?ノンナさん」
ノンナ「はい?」
西「どうも駄菓子屋からここへ戻ってくる間、ずっとこんな感じでして」
ノンナ「…何がでしょう?」
西「私も"あれら"が何を知りたいのか存じませんが、ずっと付けられていますね」
ノンナ「………」
ノンナ「では、気付いてたのですか?」
273: 2017/04/18(火) 22:04:33.15 ID:nRPlxJ8u0
西「ええ。幼いころからよく隠れんぼをやっていましたので、こういうのには敏感だったりします」
ノンナ(隠れんぼ…?)
カチューシャ「ちょっとノンナ! キヌーシャ! このカチューシャを仲間外れにしないでよねっ!」
ノンナ「」ボソボソ
カチューシャ「えっ!ていさモゴゴゴゴ...」
ノンナ「シーッ」
西「…」
西(このお二方の所からではなさそう…かな?)
西(…ふむ。ここはひとつ)
274: 2017/04/18(火) 22:06:06.99 ID:nRPlxJ8u0
西「ノンナさん、カチューシャさん」
カチューシャ「今度は何よ?」
ノンナ「はい」
西「…」ジッ
ノンナ「!」ピクッ
ノンナ「…どうされましたか?」
西「実は私はこう見えて」
西「けっこうアホなんです!」デーン!
ノンナ「…」
カチューシャ「…」
西「…」
カチューシャ「…知ってるわよそんなもん」シレッ
西(…そう返ってくるのは分かってたけど、やっぱり辛いものがある)
275: 2017/04/18(火) 22:07:53.47 ID:nRPlxJ8u0
西「そんな私ですが、ついこの間は聖グ口リアーナ相手に "完 全 勝 利" をしました!」
ノンナ「その試合については私達もよく知っています」
カチューシャ「そうね。あなたにしてはホント良くやったと思うわ」
西「自他共に認めるアホな私ですが、あの強豪校である聖グロに勝ったのには」
西「秘密兵器を使ったからです!!」
ノンナ「何ですって!?」ガタッ
カチューシャ「ちょっと!それどういうことよ!!」
西(ノンナさん演技上手いなぁ。カチューシャさんは素だけど)
276: 2017/04/18(火) 22:09:08.87 ID:nRPlxJ8u0
西「」キョロキョロ
西「…誰にも見られていませんね?」
カチューシャ「大丈夫よ」
ノンナ「…大丈夫です。気配は感じません」
西「…わかりました。その秘密兵器というのが………コレです」
ノンナ「これは一体…?!」
カチューシャ「キヌーシャ! 勿体ぶらないで教えなさい!!」
西「これは…」
ノンナ・カチューシャ「…」ゴクリ
西「(さっきの駄菓子屋さんで買った)"水飴"ですっ!!!」バーン!
277: 2017/04/18(火) 22:10:49.08 ID:nRPlxJ8u0
カチューシャ「………は?」
西「"水飴"には脳の働きを活性化させる成分が入っております」
西「それによってヒトの力を 最 大 限 発揮できるようになるのです!」
西(甘いものは脳を活性化させるんだ。間違ったことは言ってない…はず)
西「私はコレのおかげで、対・聖グロ戦で 圧 倒 的 勝 利 を実現することが出来たのですっ!!」
ノンナ「…」
カチューシャ「…あんた、カチューシャを馬鹿にしてんの?」
カチューシャ「そんなモン食べて試合に勝てるんならみ~んな食べてるわよっ!!」
カチューシャ「ノンナも黙ってないで何か言ってやりなさい!!」
278: 2017/04/18(火) 22:12:31.47 ID:nRPlxJ8u0
ノンナ「…」アゼン
カチューシャ「ノンナ…?」
ノンナ「………」
カチューシャ「ちょっとノンナ!!」
ノンナ「…そう…ですか………」
カチューシャ「ふぇっ?!」
ノンナ「西さんも、気付いてしまったのですね…」
カチューシャ「ノンナ…?」
ノンナ「同志カチューシャ、ここでの話は他言無用です…!」
カチューシャ「えっ、えっ?!」オロオロ
ノンナ「に、西さん…これはかなり危険な話です。…その、あまり深追いはしないように…!」アセアセ
西「…えぇ。心得ております」
西(ノンナさんにこんな真剣な顔されたら何を言われても信じちゃいそうだ。…昔演劇でもやってたのかな?)
279: 2017/04/18(火) 22:14:18.13 ID:nRPlxJ8u0
カチューシャ「き、キヌーシャ! その"水飴"ってのはそんなに凄い効果なのっ!?」オロオロ
西「えぇ…それはもう…」
西「疲れたときに食べれば元気になります」
カチューシャ「それじゃ今すぐニーナたちにも食べさせるべきよ!!」
ノンナ「ええ。是非とも(クラーラが喜びそうですね)」
西「ただし!!」クワッ
ノンナ・カチューシャ「!!」ビクッ
西「"水飴"(の糖分)は脳を活性化させますが、食べ過ぎると逆に脳の動きを低下させてしまう"副作用"もあります」
カチューシャ「そ、そうなの?!」
西(おやつ程度にしておかないとね。食べ過ぎはダメ)
280: 2017/04/18(火) 22:18:09.63 ID:nRPlxJ8u0
ぐれも摂取し過ぎないように注意してください…!」
カチューシャ「…わかったわ」
西「また、"水飴"の中には身体を侵食する成分も含まれております…!」
西「ですので、摂取したあとは必ず身を清めてください…!」
西「さもないと………」
カチューシャ「さもないと…?」オロオロ
西「鋭利な刃物でその身を削ることとなるでしょう」
カチューシャ「ひぃっ!!?」ガクガク
ノンナ「お、恐ろしい…」
西(いわゆる"虫歯"ってやつだ)
カチューシャ「で、でもでも…! 身を清めるって何をどうすればいいのよっ!!」ガタガタ
ノンナ「毎日お風呂に入り、歯を磨くことです」
カチューシャ「…わかったわ」
西「また、"水飴"の中には身体を侵食する成分も含まれております…!」
西「ですので、摂取したあとは必ず身を清めてください…!」
西「さもないと………」
カチューシャ「さもないと…?」オロオロ
西「鋭利な刃物でその身を削ることとなるでしょう」
カチューシャ「ひぃっ!!?」ガクガク
ノンナ「お、恐ろしい…」
西(いわゆる"虫歯"ってやつだ)
カチューシャ「で、でもでも…! 身を清めるって何をどうすればいいのよっ!!」ガタガタ
ノンナ「毎日お風呂に入り、歯を磨くことです」
281: 2017/04/18(火) 22:21:50.72 ID:nRPlxJ8u0
西「…あと」
カチューシャ「ま、まだあるのっ?!」
西「えぇ。絶大な効果がある反面、その副作用もまた………!!」
カチューシャ「っ…!!」
西「巷では"水飴"の効果を盲信した者がバタバタと倒れているそうです…!」
カチューシャ「ひぇっ…!」ビクビク
西「それだけ、身体に大きな負担をかけるのです…!」
カチューシャ「そ、そんなのどうしろって言うのよっ!!」カタカタ
西「負担を軽減するためには、様々な成分を併用して摂取しなければなりません」
西「そして、その成分は野菜、魚、肉などから抽出されます」
西「つまり、これらの成分によって"劇薬"の副作用を抑え、利点だけをもたらすよう調整するのです…!」
カチューシャ「そ、そうなのねっ?!」
西(食事は好き嫌いせずバランス良く食べよう)
282: 2017/04/18(火) 22:23:47.74 ID:nRPlxJ8u0
西「プラウダ高校のナンバー2であるノンナさんは、他校にもその実力が知れ渡るほど優れた方です」
カチューシャ「え、えぇ! ノンナはすごいのよ!!」エッヘン
ノンナ「凄いのです」
西「元から並外れた才能・センスをお持ちなのはもちろん、"水飴"によってその力を最大限に発揮してきたからです」
カチューシャ「それ本当なのノンナ!?」
ノンナ「えぇ。私はこれらをバランス良く摂取しております」
ノンナ「今のポテンシャルが保てるのもそのおかげでしょう」
西(本当にノンナさんは良いポテンシャルしております。何がとは言わんが)
283: 2017/04/18(火) 22:24:53.31 ID:nRPlxJ8u0
西「最後に」
カチューシャ「…」ゴクリ
西「"水飴"による身体へのダメージを少しでも緩和するためには」
西「長時間の稼働をしないことです」
カチューシャ「…そうなの?」
西「えぇ。疲労が蓄積された状態では最大限の力を発揮できません」
西「無理は厳禁。そして適度な休養を」
西(良い子は早く寝よう)
カチューシャ「て、適度ってどれくらいなのよ!?」
ノンナ「7時までに布団に入ればギリギリ大丈夫です」
284: 2017/04/18(火) 22:28:26.07 ID:nRPlxJ8u0
ノンナ「…しかし、驚きました」
西「…」
ノンナ「この事を知っているのは、私だけだと思っていました」
ノンナ「それが完全なる自惚れだったと…!」ギリッ...
西「私もこの事を知ったときは、人体実験をしてるかのような心境でした」
西「自分は極めて危険な道へ足を踏み込んだと…!」
ノンナ「………」
西「………」
ノンナ「行ってしまわれましたね」
西「えぇ、芝居に付き合って下さってありがとうございました」フカブカ
西(コソコソと私たちの会話を盗み聞きしてた助平らが何をしたいのかはわからない)
西(しかし、この"芝居"に引っかかったら、連中が誰なのかわかるかもしれない)
西(‥それにしてもノンナさんの迫真の演技には驚いたなぁ)
西(カチューシャさんは見事に乗せられたし、そうでない人もあんな顔されたら信じちゃうに違いない)
西(…あとは偵察してた連中がどうなるか)
285: 2017/04/18(火) 22:32:30.54 ID:nRPlxJ8u0
― その後、"水飴"の素晴らしさを知ったカチューシャさんは、ノンナさんと共に大急ぎでプラウダ高校へ戻りました。
カチューシャさんには悪いことをしたけれど、ノンナさん曰く、
『ここ最近は夜更かしに好き嫌いと不健康な生活をしており、それらが改善出来たので感謝しています』
…とのことなので、まぁ大丈夫だろう。
昔は公園とかでおじさんが紙芝居をやってくれたのだが、残念なことに最近ではそういうのは"不審者"として扱われる。
世知辛い世の中になったものだなぁ…。
なお、その後プラウダ高校では空前の"水飴"ブームが到来しているらしい。
特に留学に来ていたロシア人の方が大喜びとのことで、
『この素晴らしいメズアメをお父様にも教えましょう!』
と、嬉しそうに"水飴"を買い占めて、特殊部隊出身のお父様がいるロシアの実家へ大量に郵送したそうです。
ついでにカチューシャさんの無茶振りも無くなって"同志"の皆さんも喜んでるとのこと。
人生どこで何が起きるかわからないものだ。
そんな思いを胸に私は今日も水飴を練っている。あま~い。
286: 2017/04/20(木) 21:58:05.16 ID:Zy8DL1IR0
【またとある日 西の病室】
西「zzzz」スースー
コンコン
西「…とっかん……ムニャ…」zzzzz
コンコン
西「……やった…ゆうしょぅ…」スピー
ガチャ
287: 2017/04/20(木) 21:59:38.90 ID:Zy8DL1IR0
「ごきげんよう絹代さん。…って、まだ寝てたのね」
西「…ンー……」zzzz
ダージリン「やれやれね」
西「…フシュー…フシュー…」zzzz
ダージリン「あなたは食べる時と寝る時は静かね」クスッ
ツンツン
西「………フニュ…」zzz
ムニュ
西「…フミ……」zzz
ダージリン「ふふっ」ツンツン
288: 2017/04/20(木) 22:01:13.99 ID:Zy8DL1IR0
西「………ぅ……ぁ…」ウーン...
ダージリン「…あら?」
西「…だ……じりん…」
ダージリン「えっ…?」
西「………だめ…」
ダージリン「!」
西「…ぃかな…ぃ…で………」
ダージリン「…」
ダージリン「…大丈夫よ」クスッ
ダージリン「私は何処にも行かないわよ」ナデナデ
西「………そっち……こえだめ…」zzzz
ダージリン「」ブチッ
ダージリン「さっさと起きなさいっ!!!」バサッ!
西「もがぁっ!!?」
289: 2017/04/20(木) 22:01:56.71 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「おはよう。絹代さん」
西「………オハヨウゴザイマス」ジトー
ダージリン「なによ」
西「…嫌な夢を見ました」ジトー
ダージリン「どうやらそのようね」シレッ
西「肥溜めに落ちr
ダージリン「言わなくていいわよ」
西(むぅ。助けてやったのに。…一緒に落ちたけど)
290: 2017/04/20(木) 22:03:05.04 ID:Zy8DL1IR0
西「…で、どうしてここに?」ジトー
ダージリン「あら? 私がここに来てはいけなかったかしら?」
西「いえ、そういうわけでは…」
西「いらっしゃるならご一報頂ければと」
ダージリン「御免なさいね。あなたの連絡先を知らないもので」
西「だから寝込みを襲ったと…?」
ダージリン「…殴るわよ?」
西「やめてくださいしんでしまいます」
291: 2017/04/20(木) 22:04:37.44 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「そんなことより早く準備なさい」
西「はい?」
ダージリン「準備よ準備」
西「何の準備ですか?」キョトン
ダージリン「あなた今日が何の日か知らないの?」
西「燃えないゴミの日ですか?」
ダージリン「違うわよ」
西「えぇ…。何だったかなぁ…」ウムム
ダージリン「大洗とサンダースの試合」
西「あ…!」
292: 2017/04/20(木) 22:05:29.45 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「わかったなら早く準備なさい」
西「…その……」
ダージリン「今度は何よ…」
西「…着替えるので………」モジモジ
ダージリン「…はいはいわかりました。着替えたら呼んで頂戴」
ダージリン「あなたもこういう時だけは恥じらうのね」フゥ
スタスタ
西「………ダージリンのすけべー」ボソッ
スタスタスタ
パチコーン!
イッデェェェ!!!
293: 2017/04/20(木) 22:07:27.42 ID:Zy8DL1IR0
【病院 エントランス】
ローズヒップ「ダージリン様ぁ! おっ待ちしておりましたでございますのぉ~!」
ダージリン「落ち着きなさいローズヒップ」
西「おはようございます。えーと…」
ローズヒップ「ローズヒップと申しますのよ」
西「ローズヒップさんですね。私は西絹代と申します」フカブカ
ローズヒップ「よろしくお願いしますっ!」
西(ほうほう。知波単の皆に負けないくらい元気だな)ウムウム
ローズヒップ「ではでは行っきますわよ~!!」
ダージリン「くれぐれも安全運転でお願いするわ、ローズヒップ」
ローズヒップ「はいっ! おまかせ下さいまし!」
ダージリン「さぁ、乗って頂戴」ガチャ
西「お邪魔します」
294: 2017/04/20(木) 22:09:33.51 ID:Zy8DL1IR0
【車内にて】
ピー!!
プップー!!
ピピー!!
ローズヒップ「全っ然進まないですわ…!」イライライライライラ
ダージリン「落ち着きなさいローズヒップ」
西「この時間帯は出勤ラッシュ直撃ですからね…」
ダージリン「だから早く準備しなさいと言ったのよ」
西(何の事前連絡も無しに朝5時に叩き起こしといてそりゃないだろう!)
ダージリン「まぁ、試合には間に合うから安心なさいな」ズズ
ローズヒップ「」イライライライライラ
西「試合はともかく、ローズヒップさんが…」
ダージリン「ローズヒップ。今日はいつものは持ってきてないのかしら?」
ローズヒップ「もっちろんありますわよ!」イライライライライラ
ダージリン「だったらそれでも食べて気を紛らわせなさい」
ローズヒップ「わかりましたの」ゴソゴソ
西「いつもの?」
ダージリン「よほど気に入ったのか気付いたら食べてるのよ」フフッ
ローズヒップ「♪」ネリネリ
ダージリン「"水飴"をね」
西(あんたらかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)
295: 2017/04/20(木) 22:13:01.20 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「何でも、うちのアッサムが『"水飴"には凄いヒミツがありますのよ!』って」
西(私はアッサムさんのヒミツを知ったよ…。"コロッと騙されやすい"っていう…)ハァ..
西(まぁ、あの場には"役者"のノンナさんがいたし、私がアッサムさんの立場だったら騙されるかもしれないけど…いや、ないか…あるか?…うーん…)
ダージリン「どこから仕入れてきた情報なのかわからないけれど、」
アッサム『私が独自入手した情報によると、水飴には脳を活性化させ、並外れた力を発揮する』キリッ
ダージリン「…って」
西「ヘーソウナンデスカー」シレッ
ダージリン「それでアッサムがこの子にあげたらとても気に入ったと」クスクス
西(自分で試さずローズヒップさんで実験するところが何とも…)
296: 2017/04/20(木) 22:14:34.22 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「あなたも食べたほうが利口になれてるから良いわよ?」
西「大きなお世話です。そういうダージリンは食べないのです?」
ダージリン「私はベタベタしたものはあまり好きじゃないわ」
西「性格はベタベタどころかドロッドロのギットギトのクセに…」ボソッ
ゲシッ!!
西「いだっ!!」
ダージリン「口を慎みなさい」
西「ダージリンは絶対食べたほうが良い! 暴力的なのは脳が正しく機能していない証拠ですぞっ!!」ヒリヒリ
ダージリン「その原因はあなたにあるのよ?」
西「あー言えばこー言 <ゲシッ!!> いでぇぇぇ!!」
ダージリン「それはコッチのセリフでしてよ」フン
ローズヒップ「~♪」ペロペロ
297: 2017/04/20(木) 22:16:49.26 ID:Zy8DL1IR0
【試合会場】
ガチャ
ローズヒップ「到着でございますわよ~!」
オレンジペコ「お疲れ様です。ダージリン様、西さん」
西「おはようございます、ペコさん」フカブカ
ダージリン「ご苦労様。ペコ」
ローズヒップ「ダージリン様! 私も! 私もですの!」
ダージリン「ええ。ご苦労様ねローズヒップ」
ローズヒップ「はいでございますの!」エヘヘ
ブロロロロロロロ!
ダージリン「…おや?」
「ヘイハニー!グッモーニンっ!!」
298: 2017/04/20(木) 22:18:48.04 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「あらケイ。こんなところでアブラを売って大丈夫なのかしら?」
ケイ「あははっ! 折角ダージリン達が観に来てくれたんだから挨拶しないとねっ!」
西「ケイさんお久しぶりでございます!」ビシッ
ケイ「おっキヌ! 元気になったんだ!!」
西「えぇ、お陰様でこの通り! ピンピンしておりますぞ!」ハッハッハ
ケイ「あっはっは! オーケイオーケイ! それでこそキヌよっ!!」ワッハッハ
ダージリン「ケイ。こんな言葉がありましてよ」
ケイ「ん?」
ダージリン「"バカは風邪引かない"」
ケイ「へ?」
299: 2017/04/20(木) 22:21:00.21 ID:Zy8DL1IR0
西「む…」
ダージリン「この子は無駄に頑丈だから心配する必要なんてないわ」
ダージリン「ねぇ、絹代さん?」ニヤリ
西「…」
西(ダージリン真似)「こんな格言を知ってるかしら?」
西(ダージリン真似)「"貪欲であれ、愚かであれ"」
オレンジペコ「スティーブ・ジョブズの言葉ですn…ええっ!!?」
ケイ「うわっはっははははっ! めっ、メチャクチャ…クヒッ…似てるじゃない…!!」アハハハハハ
西(ダージリン真似)「人生、おバカな方が刺激があって面白いのよ?」ニコッ
300: 2017/04/20(木) 22:22:19.91 ID:Zy8DL1IR0
ケイ「あははははひゃはははひゃひぃ…やめてぇぇ…笑い氏ぬぅぅ……!」ゲホッゲホッ!オェェッ!!
ダージリン「………」イライラ
西(ダージリン真似)「あなたもそう思うd <ドゴッ!!> グフォォォォォッ!!?」
ダージリン「人を馬鹿にするのも大概になさい!」
オレンジペコ「み…見事なボディーブローです…」オロオロ
西「ンぐぬぉぉぉ………(自分だって馬鹿にしたクセにっ!)」
オレンジペコ「お、恐ろしいほどソックリでした…」
ダージリン「似てないわこんな猿真似」
ケイ「あひっ…ひぃひっあひ……」ハァハァ
ダージリン「あなたもいつまでもゲテゲテ笑わない!」
ケイ「アヒヒッ…ヒッヒッ…い…息が…ヒィ…フヒィ…」コヒューコヒュー....
オレンジペコ「そ、相当ツボに入ったみたいですね…」
301: 2017/04/20(木) 22:23:56.18 ID:Zy8DL1IR0
【数分後】
ケイ「へぇー。そんなに色んな人が来てたんだ」←復旧した
西「えぇ。お陰で入院生活もなかなか充実してましたよ」
ダージリン「そのままニートにならないか心配だわ」ヤレヤレ
西「に、ニートぉ!?」ガーン
ダージリン「あんな快適な所にずっといたら元に戻れなくなってしまうわよ?」
西(なんか前にも言われたなぁ…)
ケイ「へぇー、そんな快適なんだ。ちょっと行ってみたいなぁ~」
ダージリン「やめておきなさい。サンダースの隊長がニートだなんて示しがつかないわ」
ケイ「No problem!そん時ゃアリサにでも養ってもらうよ」アハハハ
302: 2017/04/20(木) 22:24:47.10 ID:Zy8DL1IR0
アリサ「あ、アタシがですかぁ!?」バッ
西「うぉっ、びっくりした!」
ケイ「おっ、アリサお帰りー」
アリサ「だ、ダメですからね! ニートになったらダメですからね隊長っ!?」
ケイ「あはははーどーしよっかなぁ~?」
ダージリン「ほら、年下の子をいじめないの」
ケイ「はーい」アハハハ
西(…人のこと言えるのだろうか?)
ダージリン「なによ」
西「何でもないです」プイッ
303: 2017/04/20(木) 22:26:34.29 ID:Zy8DL1IR0
ナオミ「隊長、準備完了だ」
ケイ「サンキューナオミ。それじゃ行こっか!」
アリサ「Yes mam. 今度こそ大洗に勝ちましょう!」
西(ケイ真似)「負けたら反省会だからね?」ボソッ
アリサ「ひぃぃっ!!?」ビクッ
ナオミ(似てる…)
ダージリン「っぐ…!」プルプル
ケイ「こらっキヌ! うちのアリサにまで手を出すなーっ!」
西「あははっ。お気をつけて」ケイレイ
アリサ「何よぉ…何なのよもう…!」
ナオミ「ほらアリサ。行くぞ」ポンポン
アリサ「ひぃーん…」
304: 2017/04/20(木) 22:28:04.29 ID:Zy8DL1IR0
西「サンダースもなかなか個性的な方が多いですな」
西「ダージリンもそう思いません?」
西「…あれ?ダージリン?」
ダージリン「っふ…あはははっ!くふっ…ヒィ…!」プルプル
西「」
オレンジペコ「ダージリン様も一度ツボに入るとこうなっちゃうんです…」
西「そ、そうなんですか…」
オレンジペコ「えぇ…」アハハ...
西「まぁ、笑う門には福来ると言いますし、良い事だと思います」
オレンジペコ「あはは…」
305: 2017/04/20(木) 22:29:59.81 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「あぁ…。笑いましたわ…」フゥ
西「お、ようやく戻ってきた」
ダージリン「まったく。あなたは下らない事に関しては超一流ね」ハァー
西「む、失礼な…」
ダージリン「本当のことですわ。入院生活が退屈だからってこんな猿真似を極めるくらいですもの」
西(猿真似だなんて失礼な!)
西「…でも結構似てると思いません?」
ダージリン「似てないわよ。特に私のは」フン
西「えぇ…」
ダージリン「あなたごときが私の真似なんて出来る筈がないわ」フフン
西「」ムカッ
西(ダージリン真似)「ペコ。あなたはどう思うかしら?」キリッ
オレンジペコ「そ、そっくりです…。まるでダージリン様が二人いるような…!」
ダージリン「ちょっとペコっ!?」
西(ダージリン真似)「ふふっ。そうよね」ニコッ
オレンジペコ「は、はぃ…///」ドキッ
西(ペコさん可愛いなぁ。知波単専属の家政婦さんになってくれないかなぁ)
306: 2017/04/20(木) 22:31:35.76 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「まったく。"誰かの真似をするくらいなら、一番素晴らしい自分でいればいい"のに」
オレンジペコ「じ、ジュディー・ガーランドですね」アセアセ
西(ダージリン真似)「"あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ"」
オレンジペコ「それは…護廷十三隊五番隊隊長の藍染惣右介の言葉ですね」オロオロ
ダージリン「何を言ってるのかしら。"他人のものはもちろん、たとえ自分の仕事でも、なぞってはだめ"よ?」
オレンジペコ「お、岡本太郎です…」ヒヤヒヤ
西(ダージリン真似)「そんなこと無くてよ。"お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの"ですの」
オレンジペコ「ミュージシャンの剛田武ですね」アハハ
ダージリン「"一番になりたければ、他の人がやらないことをやりなさい。"」
オレンジペコ「えっと、流 音弥ですか…?」
西(ダージリン真似)「"アンタ達はいつ己を捨てた?"」
オレンジペコ「5代目風影の我愛羅ですね」
ダージリン「…」
西「…」
オレンジペコ「…」
西ダジ「「おやりになるわね…」」
307: 2017/04/20(木) 22:33:12.97 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「」ムカッ
ツネェェッ!!
西「いいい痛い痛い痛いいだぁぁぁぁぁぁい!!!」ジタバタ
オレンジペコ「あわわわ…」オロオロ
ダージリン「ペコ。この子は長い入院生活のせいでだいぶ頭がおかしくなってるから真に受けては駄目よ?」
オレンジペコ「えっ、ええ……?」
西「ほ、ほら! ペコさん困ってるじゃないですかっ!」ヒリヒリ
ダージリン「そんな事はないわ。とてつもなくお馬鹿なあなたと違ってペコはお利口さんですもの」
西「」ムカッ
西(ペコ真似)「ダージリン様のお小言にはこりごりです…」
オレンジペコ「ええっ?!」ビクッ
ダージリン「…あらペコぉ?そんな事思ってたの?」ニッコリ
オレンジペコ「ち、違います違います!!」オロオロ
オレンジペコ「に、西さんっ…」アセアセ
西「あはは。ペコさんは聖グロで一番ですから、その様な事は言いませんよ」
オレンジペコ「い、一番…えへへ///」テレテレ
ダージリン「知ってるわよ。一番かどうかはさておきね」
オレンジペコ「むぅ…」
西(ペコさんは小動物的な可愛さがあるな)ウンウンン
308: 2017/04/20(木) 22:34:17.65 ID:Zy8DL1IR0
― しばらくして
ワシャワシャ
西(なんかダージリンが私の髪で遊びだした…)
ワシャワシャ
西「ダージリン、髪で遊ばないでください」
ダージリン「遊んでないわよ。良いからじっとしてなさいな」シュルシュル
西「…一体何をなさるおつもりで?」
ダージリン「大丈夫よ。取って食べたりはしないわ」クイッ
西「本当ですかねぇ…」ジトー
ダージリン「ええ」クリンクリン
309: 2017/04/20(木) 22:35:32.38 ID:Zy8DL1IR0
ダージリン「ホラ、出来たわ」フフッ
西「?」
オレンジペコ「わぁ~!」
ダージリン「これであなたも少しは上品に見えるはずよ」
西「…一体何をなさったんですか?」ジトー
ダージリン「ふふっ」
オレンジペコ「こんな風になってます」つ[鏡]
西絹代(ギブソンタックver)
西「な、なんと…」
ダージリン「なかなか似合ってるわよ」
西「そ、そうですか…?」
オレンジペコ「はい。よく似合ってます」
西(ちょっと後頭部に違和感あるけど…まぁいっか)
310: 2017/04/20(木) 22:36:36.91 ID:Zy8DL1IR0
西「…ところで何ゆえこの様なことを?」
ダージリン「こうやって私達と肩を並べているのだから、あなたにもこの髪型の良さを知ってもらおうと思ってね」
西「なるほど。郷に入れば郷に従えですな」
ダージリン「ええ。そいいうことよ」フフッ
西「ならばダージリン達が知波単へ参られた時は是非とも吶k
ダージリン「それは遠慮するわ」シレッ
西「………ケチ」ボソッ
ダージリン「何か言った?」
西「いいえ何でもありません。私はペコさんと仲良く突貫しますから」シレッ
オレンジペコ「え、私がですか?」
西「ええ!一緒に"ダージリンのバカヤロー!"って叫びなg <ツネッ> あいでででで!!!」ジタバタ
ダージリン「バカヤローは絹代さんだけで十分」
西「むぅ…」ヒリヒリ
オレンジペコ「あはは…」
311: 2017/04/20(木) 22:37:07.88 ID:Zy8DL1IR0
オレンジペコ「あ…試合、始まるみたいですよ」
西「ではでは。ゆっくり観戦させていただきましょう」
ダージリン「ふふ。楽しみですわね」
312: 2017/04/21(金) 20:14:35.47 ID:AgOoSeIg0
~~~
オレンジペコ「どうやら大洗が無人機を発見したみたいです…!」
ダージリン「ずいぶん高いところを飛んでいるわね」
西「あれはB-29ですね」
オレンジペコ「えっ? B-29は爆撃機ですよね? 搭載弾数が限られている以上は不要の長物なのでは?」
ダージリン「恐らくケイはB-29の飛行高度を選んだのよ」
オレンジペコ「高度ですか?」
西「B-29は上空10,000mを飛行する"大空の要塞"です」
西「大洗の既存の対空戦車では攻撃が届きません」
オレンジペコ「!!」
313: 2017/04/21(金) 20:20:21.85 ID:AgOoSeIg0
ダージリン「私達の無人機でも、あの高度にたどり着くには時間がかかるわ」
西「あそこまで高く飛べない無人機も多いですしね」
オレンジペコ「で、では大洗側の対抗手段は…」
西「現状では皆無です」
オレンジペコ「そんな…!」
西「このまま大戦末期の大日本帝国のように為す術もなくやられるか」
西「あるいは、何かしらの対策を見出すか」
西「どちらかですね」
ダージリン「ケイも随分大人げないことをするわね」
314: 2017/04/21(金) 20:21:31.62 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「あっ!攻撃が始まりました!」
ダージリン「…」
西「…」
オレンジペコ「そんなぁ………」
西「案の定、対空攻撃が全然届いていないです」
オレンジペコ「ど、どうすればいいのでしょうか…」ソワソワ
西「あとは西住さん次第ですね」
315: 2017/04/21(金) 20:27:36.45 ID:AgOoSeIg0
~~~~~~
アナウンス『サンダース大付属高校 B-29・飛行不能!』
オレンジペコ「お、大洗がB-29を落としました!!!」パァァ
ダージリン「Amazing、ですわね」フフッ
西「………」
ダージリン「どうしたの絹代さん?驚いたあまり言葉も出ないのかしら?」フフッ
西「いえ」
ダージリン「…」
西(さすがです西住さん…)
西("あそこ"から活路を見出すなんて!!)
ダージリン「絹代さん」
西「へっ?」
ダージリン「あなた、何かみほさんに言ったの?」
西「いいえ? お見舞いに来てくれたときに雑談に花を咲かせたくらいです。ボコというぬいぐるみですね。あはは」
ダージリン「そう………(嘘ついてるわね)」
316: 2017/04/21(金) 20:30:27.75 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「あぁっ!!!」
西ダジ「!」
オレンジペコ「B-29の破片がIV号戦車に…」
西「なっ!? あの中には西住さん達が!!!」
ダージリン「落ち着きなさい。車内はカーボンで保護されているわ」
西「っ…」
オレンジペコ「でも司令官である西住さんを失ったのは大きな痛手です…!」
西「やっとの思いでB-29を攻略したというのに…!」
ダージリン「勝負は時の運とも言うわ。まだわからないわよ」
西「…」
317: 2017/04/21(金) 20:32:59.84 ID:AgOoSeIg0
アナウンス『サンダース大付属高校 M4A1シャーマン 走行不能!』
アナウンス『フラッグ車走行不能により、勝者・大洗女子学園!』
オレンジペコ「か、勝ちましたぁ…!」
西「流石です西住さん、そして大洗女子学園…!」
ダージリン「本当にお見事ですわ」
オレンジペコ「B-29を撃破してからの展開は凄かったです…!」
ダージリン「えぇ。対空戦車ではなく普通の戦車で無人機を撃破するなんて、普通の考えからは生まれませんもの」
西(知波単の戦車が聖グロの無人機を撃ち落としたけど、黙っておこう)
オレンジペコ「何度も"お見事です"って言いたくなる素晴らしい作戦でした。これは勉強になりますっ!」
318: 2017/04/21(金) 20:34:47.61 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「あ、ケイさんに抱きつかれてますよ西住さん」アハハ
ダージリン「ケイの抱きつき癖は相変わらずね」
西「抱きつきというよりあれはプロレス技に近いのでは…」
オレンジペコ「確かに。こっちにまでミシミシと音が聞こえて来そうです」
ダージリン「言うことを聞かない誰かさんに打って付けな躾かもしれないわね」
西「聖グロの隊長がそんな下品なことして良いんですか?」ジトー
ダージリン「こんな格言を知ってる?"あたらしい門出をする者には新しい道がひらける
"」ミシミシ
西「いだだだだだだだ!! ギブギブ!!」パンパン
オレンジペコ「相田みつをですね」ハハハ...
319: 2017/04/21(金) 20:37:56.54 ID:AgOoSeIg0
ダージリン「さて。お暇しましょうかね」
西「え? ケイさんに会われないんです?」
ダージリン「ケイは大洗の皆とパーティーよ。邪魔するのも野暮よ」
西「そうですか(パーティーって参加したこと無いんだよなぁ。ちょっと羨ましい)」
オレンジペコ「ダージリン様、片付けが終わりました」
ダージリン「ありがとう。ペコ」
西「お手伝いできず申し訳ありません」
オレンジペコ「いえいえ」
西「」ブルッ
ダージリン「どうしたの?」
西「あの…トイレ…」モジモジ
ダージリン「ハァー。紅茶の飲みすぎよ」
西「む。ダージリンだってしこたま飲んでたじゃないですか」
ダージリン「私は嗜む程度よ。あなたみたいにジャバジャバ飲んでないわ」
西(嘘つけ! 絶対私の倍は飲んでた!)
ダージリン「ほら。一人じゃまだおトイレ出来ないのだから行くわよ」
西「むっ。ちょっと引っかかる言い方です…」
ダージリン「あら? だったら絹代さんは一人でおトイレ行けるのね?」フフッ
西「ぐぅ。…いいもん。ペコさんに連れてってもらいますから!」
オレンジペコ「えっ!?……ま、まぁ良いですけど」
320: 2017/04/21(金) 20:40:16.54 ID:AgOoSeIg0
ダージリン「悪いわねペコ。そこらへんの草むらで良いわよ」
西「なっ!!」
オレンジペコ「大丈夫ですよ。ちゃんとお手洗いまで行きますから」アハハ
西「ダージリンは行かなくても平気なんです?」
ダージリン「行くわよ。後で」
西(自分だって結局行くじゃないか…)
ダージリン「なにか?」
西「…そこで漏らせばいいのに」ボソッ
ダージリン「ペコ。肥溜めがあったらその子を放り投げてやりなさい」
西「なっ! またその話ですか!」
ダージリン「えぇ。何しろ私を夢に呼び出して肥溜めに放り投げるんですもの」
西「違う! あれは勝手にダージリンが!!」
オレンジペコ「はいはい。行きますよ」
西「むぅ…」
321: 2017/04/21(金) 20:42:44.39 ID:AgOoSeIg0
【試合会場 お手洗いまでの道】
西(ということで、ペコさんに車椅子を押してもらってます)
西「それにしても、大洗女子の皆さんの敢闘はお見事でしたね」
オレンジペコ「はい。まさか戦車を対空砲として運用するだなんて思いませんでした」
西「あの咄嗟の判断はさすが西住さんです。我々知波単も見習わねば」
オレンジペコ「ですが、西住さん達のIV号戦車は…」
西「ええ。派手に大破してしまったようです」
西「幸い、乗員の皆さんは全員無事とのことでしたが」
西「IV号戦車は次の試合までに修理が間に合うかどうかは…」
オレンジペコ「! それでは次の試合は…」
西「…もしかしたら、IV号戦車無しで臨むことになるやもしれません」
オレンジペコ「そんな!?」
西「…」
西(あくまでそれは最悪の場合だ。恐らく、何かしら手は打つはず…)
西(………私の方で何か、力になれないだろうか)
322: 2017/04/21(金) 20:45:14.18 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「どうして…」
西「ん?」
オレンジペコ「どうして、頑張ってる人ばかり辛い思いをするのかな………」
西「!!」
オレンジペコ「大洗女子はいつも頑張ってるのに、いつもピンチで…」
オレンジペコ「だけど、もっと頑張って乗り越えて」
オレンジペコ「そしたらまたピンチになって…」
西「…」
オレンジペコ「一体何のために頑張ってるのかわからなくなりそうです………」
西「そんなの決まってるじゃないですか」キッパリ
オレンジペコ「えっ…?」
西「自分たちが大事にしてきたものを奪われないようにするためですよ」
323: 2017/04/21(金) 20:48:09.75 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「西さん…?」
西「人間、不思議なもので、普段はグータラなのに」
西「自分やその周りの人を守りたいって思った時にものすごい力を発揮出来るんですよね」
西「火事場の馬鹿力ってやつでしょうか」
オレンジペコ「…」
西「全ての人に出来るというわけではありませんし、無理はして欲しくないですが」
西「少なくとも西住さんや大洗の皆さんはその火事場の馬鹿力でこの苦境を乗り越えると私は思います」
西「先程の無人機を撃墜した時のように」
オレンジペコ「………」
西(現に西住さんはこうやって絶望的な状況をひっくり返して"完勝"した)
西(だから、たとえ戦車が使えなくなろうと、必ず次の手を見つけて勝利を掴み取るはず…)
西(それでもダメというなら………)
324: 2017/04/21(金) 20:49:59.30 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「…そうですよね」フフ
西「おっ、ペコさんが笑った!」
オレンジペコ「えっ…?」
西「やっぱりペコさんはしょぼくれた顔よりもニコニコ顔がお似合いですな!」ウンウン
オレンジペコ「むぅ…。またそうやって人をからかうんですから…」
西「別にからかってなんかいませんよ。本心です」
オレンジペコ「はいはい。そういうことにしておきますよー」
西「む。ダージリンといいペコさんといい、どうして聖グロの人は素直じゃないんですか」
オレンジペコ「はいぃ? 捻くれてるのはダージリン様だけですから」キッパリ
西「えー」
オレンジペコ「私はダージリン様とは違いますもの」フフン
325: 2017/04/21(金) 20:51:12.70 ID:AgOoSeIg0
西「そうなんですか?」
オレンジペコ「はい」ニコッ
西「"同じ穴の狢"って言ったら怒ります?」
オレンジペコ「怒ります」
西「えー」
オレンジペコ「私はダージリン様みたいにしたり顔で格言を言ったり、回りくどいことを言ったりしません」
西「お、言いましたな? これはダージリンに報告せねば!」ニヤリ
オレンジペコ「あ、ちょっと?!」
西「ダージリンがどんな顔するか見てみたいのであります」ニシシ
オレンジペコ「だっ、だめです! 許しませんからね!?」
西「くひひ。下克上ならぬペ克上ですなー」
オレンジペコ「むっ。その辺にしないともう紅茶淹れてあげませんよ?」ジトー
西「え゛っ!? それは困りますっ!!」
326: 2017/04/21(金) 20:53:45.11 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「そうですよね。何しろあれだけたくさん飲んでたのですから」
西「あはは。とても美味しかったのでついつい」エヘヘ
西「あんな美味しいお茶なら何杯でも飲めちゃいますよ」」
オレンジペコ「…そうですか?」←ちょっと嬉しい
西「ええ」
オレンジペコ「ダージリン様の淹れた紅茶とどっちが美味しかったですか?」
西「む。なかなか難しい質問ですな…」
オレンジペコ「どっちです?」
西「うーん…」
オレンジペコ「どっちですか?」
西(や、やけに食いついてくるな?!)
西(でも、実際どちらの紅茶も美味だったしなぁ。こりゃ順位なんて付けられんぞ)
西(うん。どっちも美味しい。毎日飲みたい!!)
327: 2017/04/21(金) 20:55:03.59 ID:AgOoSeIg0
西「どっちも美味しかったです」(`・ω・)V
オレンジペコ「む…」
西「どちらの紅茶も真心込めて淹れて下さったのです」
西「それに優劣をつけろなど私には不可能であります」
オレンジペコ「…ふふっ」
西「ん?」
オレンジペコ「西さんらしい回答ですね」クスッ
西「ふぇ? そうですか?」
オレンジペコ「ええ」
西「あははは」
西「もしも私が聖グロ生だったら、恐らく毎日紅茶を浴びるように飲んでますな!」
328: 2017/04/21(金) 20:56:26.97 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「ダージリン様とどっちが多いでしょうね」フフッ
西「あ、やっぱりペコさんもダージリンの飲む量は多いと思いますよね?」
オレンジペコ「えぇ。本当に血液まで紅茶で出来ているんじゃないかと思うほどです」
西「あははっ! それダージリンも言ってましたよ」
オレンジペコ「まったく…ダージリン様は」アハハ..
西「そういえば、ダージリンにたくさん紅茶を飲んでいるのに試合中トイレ大丈夫なのかと聞いてみたんですよ」
オレンジペコ「そしたらダージリン様は何と?」
西「"助平"」
オレンジペコ「…でしょうね」
329: 2017/04/21(金) 20:57:38.39 ID:AgOoSeIg0
西「不埒なのは重々承知ですが、利尿作用のある紅茶を大量摂取して催さないのは聖グロ七不思議の一つだと思います」
オレンジペコ「七不思議だなんて大げさな…」
西「それくらい不可解なことですからね」
西「あ、ちなみに七不思議の1つに"ペコさんがダージリンの格言に対し的確に出典を言い当てる"ってのもありますよ」
オレンジペコ「えぇー…」
西「ダージリンがしたり顔で格言を言う横で、その格言が誰のものかを解説する」
オレンジペコ「それほど大したことでは…」
330: 2017/04/21(金) 20:59:28.75 ID:AgOoSeIg0
西(ダージリン真似)「ペコ。こんな言葉を知っているかしら。"余は常に諸氏の先頭にあり"」
オレンジペコ「栗林忠道中将ですね…って何やらせてるんですかっ!///」カァァ
西「あはは。やっぱり的確に答えてくれます」
オレンジペコ「むぅ…」プクー
西「他にも"戦闘中の戦車内で紅茶をこぼさず保ち続ける"とかも々ありますけどね」
西「ガタガタ揺れる戦車の中で湯呑みに入った液体を保ち続けるのは至難の業です」
オレンジペコ「こぼす時はありますよ?」
西「え」
オレンジペコ「昔ダージリン様の紅茶を頭から派手に被ったことがありまして…アッサム様が」
西「…なかなか苦労人なんですねアッサムさん」
オレンジペコ「それで車内で大喧嘩したことがありまして…」
331: 2017/04/21(金) 21:02:15.87 ID:AgOoSeIg0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガクン!
バシャッ!
アッサム「あづぅぅぅ!!?」ジタバタッ
ダージリン「あ…ごめんあそばせ…」
アッサム「"ごめんあそばせ"ではありませんのよダージリン!!」ポタポタ
ダージリン「ま、まぁ落ち着きなさいアッサム。"人の世に失敗ちゅうことは、ありゃせんぞ"」
オレンジペコ「さ、坂本龍馬ですね…」オロオロ
アッサム「ほぉ…? これが失敗じゃないと仰るのですね?」
ピタッ ジュッ
ダージリン「熱っ!!?」
アッサム「あらごめんあそばせ。足にカップが当たってしまいましたわ」オホホホ
ダージリン「ちょっとアッサム! "目には目をという考え方では、世界中の目をつぶしてしまうことになる"わよ!」
オレンジペコ「ガンジーですね…」ヒヤヒヤ
アッサム「上等ですわ! 表へ出なさい! あなたのそのヒン曲がった性格を矯正してさしあげますわ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
332: 2017/04/21(金) 21:03:27.74 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「…ということがあったんです」
西「…なんというか…個性的ですね……」ハハ...
オレンジペコ「ダージリン様とアッサム様は昔は結構仲が悪かったみたいでして…」
西「え? そうなんですか?」
オレンジペコ「ええ。他の先輩によると入ったばかりの頃は色んな事で競ってたとのことです」
西「意外ですね。良いコンビに見えるのに」
オレンジペコ「今となっては良きパートナーですが、昔は良きライバルだったんでしょうね」
西「ほほう。雨降って地固まるってやつですな」
オレンジペコ「徹夜でチェスしたり、料理で対決したりと…まぁ、色々とやってたそうで」
西(いや戦車道しましょうよ。人のこと言えないけど)
333: 2017/04/21(金) 21:05:06.32 ID:AgOoSeIg0
【試合会場 トイレ】
オレンジペコ「さて、着きましたよ」
西「ありがとうございます」
ガチャ バタン
オレンジペコ「早くしないと置いてっちゃいますからねー」
西『なっ! 待ってくださいよ!』
オレンジペコ「ふふ。冗談ですよ」クスッ
西『むぅ。今日のペコさん辛口ですぞ。スパイシーペコさんです』
オレンジペコ「何ですかそれ。微妙に語呂が良いですし…」
334: 2017/04/21(金) 21:06:59.79 ID:AgOoSeIg0
西『あはは。ペコさんのニックネームって何気に汎用性高いんですよ』
オレンジペコ「そうなんですか…」
西『他にもアレンジペコとかハレンチペコとかもありますよ』ニシシ
オレンジペコ「なっ! アレンジはともかくハレンチはイヤですっ!!」
西『そうですね。ハレンチなのはダージリン一人で十分です』ゴソゴソ
「あら? ダージリンはハレンチなのかしら?」
オレンジペコ「」
西『えぇ。今日なんて寝ているところ襲われましたし』フゥ…
オレンジペコ(寝てるところ襲われたんですか?!///)
「それはそれは。災難でしたわねぇ…」
オレンジペコ「わわわ…」オロオロ
西『ええ。全くですよ』フキフキ
西『…ん、この声って』ジャー
335: 2017/04/21(金) 21:10:19.74 ID:AgOoSeIg0
「それで? 絹代さん」
西『げえっダージリン?! どうしてここに!?』
ダージリン「あなた達の帰りが遅いから心配して見に来たのよ」
ダージリン「なにしろ絹代さんは助平ですもの」
ダージリン「うちのペコをトイレに連れて行って淫らな事をしてないか心配で心配で」
西『なっ! 失礼にも程がありますぞ!! 人を獣みたいに言いやがってからに!!!』
オレンジペコ「そ、そんな事するつもりだったのですか?!////」
西『違 い ま す!!』
西『こらダージリン!! ペコさんに変な誤解与えたじゃないですか!! 責任取って下さい!!』
オレンジペコ「せ…責任…!/////」プシュー
西『こらぁぁぁぁ! 絶対わかって言ってるでしょ!!』ガァァァァァァ!!!
オレンジペコ「はて、何の事でしょう?」キョトン
西『………ハレンチペコ』ボソッ
336: 2017/04/21(金) 21:12:13.26 ID:AgOoSeIg0
オレンジペコ「はぁいぃ?! もう西さんなんて知りませんっ!」
西『あ、ちょっと! ハレンチは撤回するからお助けを!!』
オレンジペコ「しぃーらない」プイッ
西『む! さっき言ったことダージリンにバラしますよ!?』
オレンジペコ「あっ! ダメだって言ったじゃないですか!!」
ダージリン「あらペコぉ? "さっき"は何て言ったのかしら?」フフフ
西(オレンジペコ真似)「私はダージリン様みたいにしたり顔で格言を言ったり、回りくどいことを言ったり、人をツネったりしません」
オレンジペコ「ちょっと! 最後は言ってませんよ!!」
ダージリン「つまり最後以外は言ったと?」ニコッ
オレンジペコ「あ゛っ!!」
ダージリン「ペコの処遇は追々考えるとして、絹代さん」
ダージリン「最期に言い残すことはあるかしら?」ニッコリ
337: 2017/04/21(金) 21:14:37.08 ID:AgOoSeIg0
西『あの、執行猶予はつきますか?』
ダージリン「つかないわよ?」
西『で、では不服申立てによる控訴は…?』
ダージリン「無いわよ?」
西『…釈放は?』
ダージリン「極刑よ?」
西『酷い! 横暴だ! こんなの絶対認めない!!』
ダージリン「良いからさっさと出てきなさい」
西『やだやだ絶対やだ!!出たらダージリンまたツネるんだもん!!』
ダージリン「そう。ならばずっとそこにいなさいな」
西『え』
ダージリン「あなたは陽の当たる快適な部屋よりも暗くてきったないそこがお似合いよ」
西『それどういう意味ですかーっ!!?』
ダージリン「嫌なら早く出てきなさい」
西『ペコさん! いますよね!? 聖グロの興廃はあなたに掛かっていますっ!!』
西『ダージリンの暴走を止めてくださーい!!』ウワーン
オレンジペコ「知りません」シュン
西『そんなぁ………』ガーン
338: 2017/04/21(金) 21:18:57.40 ID:AgOoSeIg0
ダージリン「日が暮れるから早く出てきなさい」
西『ツネらない?』
ダージリン「出てきなさい」
西『ツネらない?』
ダージリン「早く」
西『ツネらない?』
ダージリン「…」
西『…』
ダージリン「…ハァ」
ダージリン「わかったから早く出てきなさいな」
西『!!』パァァ
カチャン
― このあと滅茶苦茶デコピンされた。
ちなみにペコさんは罰としてダージリンの肩揉みをやらされることになりました。
339: 2017/04/21(金) 21:20:31.03 ID:AgOoSeIg0
【お仕置き後】
西「だーじりんきらい」シクシク ヒリヒリ
ダージリン「自業自得でしてよ?」
西「どこが!!」
オレンジペコ「あはは…」モミモミ
西「"ツネらない?"と聞いて、"わかったから出てこい"と言って出たらデコピンするんですよ?!」
ダージリン「勘違いしないで頂戴。"わかった"と言っただけで"イエス"とは言ってませんわ」
西「捻くれ者め」
ダージリン「今度はどこがいいかしら?」ワキワキ
西「や、やめてください!! たた助けてペコさん!」
オレンジペコ「えーどうしましょう」アハハ モミモミ
ダージリン「ペコ、もっと右…そう、そこ…」ホヘー
340: 2017/04/21(金) 21:23:10.19 ID:AgOoSeIg0
西「む。さてはペコさん、笑顔で人を地獄に叩き落とすタイプですな? きゃーこわい」
オレンジペコ「むかっ。そんなわけないじゃないですか!」
西(オレンジペコ真似)「えへっ! ダージリン様の紅茶にワサビ入れちゃった♪」テヘペコ
西「とか」
オレンジペコ「そ、そんなことしませんよ!!」
ダージリン「年下の子をいじめない」ツネッ
西「いでぇぇぇ!! ど、どの口が言うかっ!!!」バタバタ
ダージリン「ペコ、もっと首の近くもお願い」
オレンジペコ「はーい」モミモミ
西「ペコさん、そのまま首をキュッとやっても大丈夫ですよ。ニワトリみたいに」
ダージリン「ペコ、やるならそこの助平にやってあげなさい」
オレンジペコ「は…はぁ…」モミモミ
西「スケベスケベ言うなっ!」
341: 2017/04/22(土) 21:43:52.22 ID:8ZarQEPh0
トボトボ....
西「あれ…ケイさん?」
ダージリン「わかっているじゃない。危機管理という"計算"が出来ないから減らず口を叩けると」
西「違います。ほら後ろに」
オレンジペコ「本当だ。ケイさんです」
ダージリン「えっ?」クルッ
ケイ「………」
西「おーい! ケイさーん!!」ブンブン
ケイ「ふぇっ?! き、キヌ!?」
ダージリン「あらケイ。てっきりパーティーに参加していると思いましたの」
ケイ「ははは…ちょっとはしゃぎ疲れたから休憩よ」
西「ケイさんが休むから休ケイですな」
ダージリン「…面白くないわよ」
ケイ「ははは…ハァ…」
342: 2017/04/22(土) 21:45:45.12 ID:8ZarQEPh0
ダージリン「浮かない顔ですわね? どうかしまして?」
ケイ「いや…ね」
ダージリン「試合でコ口リとやられたからですの?」
オレンジペコ「だ、ダージリン様」オロオロ
ケイ「んー。確かに負けたのは少しヘコんだけどさ…」
ケイ「でもミホのあの快進撃見れてすごい満足だったよ?」
ダージリン「でしたらどうしてそんな顔を?」
ケイ「そりゃあ…」
西「IV号戦車でしょうか?」
オレンジペコ「!」
ケイ「…ザッツライト」ハァ..
343: 2017/04/22(土) 21:48:21.79 ID:8ZarQEPh0
ダージリン「あれは事故ですの。無人機を使う以上あのような事が起きるのも想定内」
ケイ「…そうだけどさ。よりによってミホたちの戦車に当って」
ケイ「しかも損傷が激しいってメカニックに言われてさ」
ダージリン「メカニック?」
西「整備を担当しておられるレオポンさんですね」
ケイ「決勝戦には修理間に合わないって…」
西・ダージリン・オレンジペコ「!!」
オレンジペコ「それじゃ、やっぱり…!」
ケイ「アンジーは気にするなって言ってくれたけどさ」
ケイ「IV号って大洗の指揮車両でしょう?」
ケイ「しかも大洗にとって主力級の戦車」
西「かなりの痛手ですね…」
ダージリン「言い方は悪いかもしれないけれど、大洗は」
ダージリン「戦術で勝って、戦略で負けたのかもしれないわね」
344: 2017/04/22(土) 21:50:23.85 ID:8ZarQEPh0
西「っ…!」
ケイ「そうなのよ…」
ケイ「ミホはまだこれから戦わないといけないってのに…!」
ダージリン「あなたのところから戦車を差し上げてはいかがですの?」
西「…」
ケイ「そ、そうよね!やっぱりウチの戦車貸してあげるべきだよね!?」
ダージリン「ええ」
ケイ「ウチのファイアフライだったら火力でも申し分ないわ!」
ダージリン「何なら全ての車輌を寄付しても良いですのよ?」フフッ
ケイ「えー! そしたらウチらの戦車無くなっちゃうじゃない!」
フフッ
アハハハハハ
345: 2017/04/22(土) 21:51:44.40 ID:8ZarQEPh0
西「…」
オレンジペコ「西さん…?」
西「あの、水を差すようで恐縮なのですが…」
ケイ「なーに?」
西「大洗のあんこうチームは5名でしたよね?」
ダージリン「それが何か?」
オレンジペコ「…あっ!」
ケイ「jesus」
西「ええ。シャーマン・ファイアフライは4人乗りなので定員オーバーであります」
西「それに、無人機の対策もしなければいけませんし…」
オレンジペコ「確かに…」
346: 2017/04/22(土) 21:54:12.68 ID:8ZarQEPh0
ダージリン「あら、随分と冷淡ね?」
西「…」
ダージリン「あなたなら"ならばどうぞ我が校の戦車を使ってやってください!!"とでも言うかと思ったけれど」
西「残念ながら、黒森峰やプラウダを相手にするとなれば、知波単の既存戦力では太刀打ちできませんので…」
ケイ「…」
ダージリン「…」
西「プラウダのT-34、黒森峰のティーガー、これら戦車の装甲を知波単の戦車で貫くのは極めて困難です」
西「一方で、相手の主力戦車はこちらの戦車の射程外から撃破可能」
西「…それらを鑑みると、残念ながら我々の戦車では大した戦力にならないのです」
ダージリン「なかなか冷静な分析ね。珍しい」
西「なので、そういったことを鑑みてこのたび新しい戦車を導入することにしました」
347: 2017/04/22(土) 22:03:53.99 ID:8ZarQEPh0
ケイ「ワーオ! それ本当?!」
オレンジペコ「羨ましいです」
ダージリン「ッ…!」
西「ええ。ただ今回の試合には間に合わないので、お貸しすることは出来ませんけどね」
オレンジペコ「そうなると私達にとって知波単学園がもっと脅威になるわけですね…」
オレンジペコ「喜んで良いのか悪いのか…」アハハ
ダージリン「…………」
西「あはは。聖グロだって"クロムウェル"を導入したじゃないですか」
オレンジペコ「確かにそうですけど…」
西「王室を倒し、共和制を敷いた大将の名を持つ"勝利の戦車"です」
ダージリン「…!」
西「それは聖グロにとって大きな意味を持つ戦車でしょうな」
オレンジペコ「そうなんですか??」
西「ええ」
ダージリン「…」フフッ
― 彼女もまた、聖グロの隊長としての"宿命"を背負っているの
― ええ。ダージリンもOG会に縛られているわ…
― そんな中、OGたちを押し切って新しい戦車を導入したとすれば?
― "大したものだ"と言うべきですわね
西(ダージリンの苦労は誰も知らない…)
348: 2017/04/22(土) 22:16:48.30 ID:8ZarQEPh0
ダージリン「それで、みほさんの戦車の件は?」
西「ええ。これは私の考えなのですが」
西「まずは、大洗の皆さんに任せてみませんか?」
ケイ「Why?!」
西「言わずもがな私も手を差し伸べたい気持ちで一杯です」
西「でも、まずは大洗の"やり方"を尊重しようと思うのです」
ダージリン「つまり静観していろと?」
西「ええ。恐らく大洗の皆さんも動くでしょうから」
西「なので外野から彼是いうのは、彼女たちの努力に水を差す行為になってしまうのです」
ケイ「んー、確かにねぇ…」
西「それで、駄目だった時に改めて私達が助けの声をかければ良いのです」
ダージリン「なるほど…」
349: 2017/04/22(土) 22:25:34.16 ID:8ZarQEPh0
西「それに…」
ケイ・ダジ・ペコ「?」
西「此処から先は"戦車だけ"、"対空戦車だけ"では厳しくなるかと思うのですよ」
ダージリン「どういう意味かしら?」
西「つい先日、西住さんからお話を伺ったのですが、以前にプラウダ高校と練習試合をしたそうです」
西「その時にプラウダ側は3機の無人機を投入したとのことですが」
西「その結果、大洗は開始10分で全滅したそうです」
ケイ・ダジ・ペコ「!!!」
西「今年の優勝校であり、私達を率いて大学選抜チームを相手に勝利した西住さん達大洗女子ですら」
西「無人機が相手では絶対的な力の差が出てしまうのです」
ケイ「確かにね。今回の試合もミホの奇策がなければ対抗手段は無かったわけだし」
西「その上、プラウダも黒森峰も装甲・砲ともに優れた戦車を保有しています」
西「その戦力差は天と地ほどの差と言っても過言ではありません」
西「なので、4号戦車、あるいは4号対空戦車が復活しましたでは駄目なんです」
オレンジペコ「で、ではどうすれば良いんですか!?」
西「戦車も無人機も叩ける戦車が理想ですね…」
ダージリン「そんな戦車あるわけないでしょう」
西「ええ」
西「だから、大洗の皆さんに任せるのです」
350: 2017/04/22(土) 22:55:19.93 ID:8ZarQEPh0
オレンジペコ「それは一体どういう
ブロロロロロロロ!!
ダージリン「あら。お迎えが来たわね」
ローズヒップ「ダージリン様ぁ!おっ待たせしましたのぉー!」
ダージリン「丁度良かったわローズヒップ。また送って頂戴」
ローズヒップ「喜んでですの!さぁさぁ絹代様も乗ってくださいまし!」
西「これはこれは恐れ入ります」ガチャ
オレンジペコ「私はお先に学園艦へ戻りますね」
ダージリン「あら? 何か用事でも?」
オレンジペコ「実はアッサム様からお言い付けがありまして…」
西「…"水飴"ですか?」ボソッ
オレンジペコ「ええ…」
西「…ご愁傷さまです」
オレンジペコ「あはは…」
西(プラウダでは良い方向に話が進んだみたいだけど、此方ではそうでもないみたいだ…)
西「アッサムさんに"おデコに塗りたくると効果抜群ですよ"とでもお伝えください」シレッ
オレンジペコ「あはは。わかりました」
ダージリン「?」
351: 2017/04/22(土) 22:58:46.12 ID:8ZarQEPh0
【帰りの車内】
ローズヒップ「かっ飛ばしますわよ~♪」オッホホホホ
西「行きと違って帰りは道が空いているので快適ですな」ハッハッハ
ローズヒップ「快適すぎてご機嫌ですのよ~!」
西「あははは。突撃をしているみたいですよ」
ダージリン「制限速度と交通ルールはちゃんと守るのよローズヒップ」
ローズヒップ「もっちろんでございますのよ~!」
352: 2017/04/22(土) 23:01:49.80 ID:8ZarQEPh0
西「…」チラッ
ダージリン「………」
西(ダージリン…何か悩んでることでもあるのかな…?)
ダージリン「……えっ?」
西「ん?」
ダージリン「いま何か言ったかしら?」
西「いいえ」
ダージリン「そう…?」
西「…あー、ダージリン?」
ダージリン「何かしら?」
西「次の試合で大洗、西住さん達はどうなるでしょうか」
ダージリン「…」
ダージリン「やはり、みほさん達のIV号が破損されたのが致命的ね…」
353: 2017/04/22(土) 23:03:43.11 ID:8ZarQEPh0
西「ですね…」
西「でも、おそらく大洗は次の試合までに代替となる戦車を探すでしょう」
ダージンン「そうね。"戦車がなくて試合に出ません"は有り得ないもの」
西「そこで入手する戦車が、既存の戦車なのか…それとも」
西「我々の知らないトンデモな戦車なのか」
ダージンン「トンデモって何よ…」
西「先程言った"戦車も無人機も叩ける戦車"です」
ダージンン「さっきも言ったでしょう? そんな戦車あるわけ無いと」
西「ええ。その通り」
ダージンン「人の話はしっかり聞きなさいな。そんな都合の良いものは新しく作りでもしない限…っ!!」
354: 2017/04/22(土) 23:04:54.41 ID:8ZarQEPh0
西「…そうなんです」
ダージンン「そんなの不可能よ。まずレギュレーションが通らない」
西「そこを上手く掻い潜る方法が見つかったとすれば…?」
ダージンン「………あなた、何か心当たりがあるの?」
西「ありません。ただ…」
西「大洗ならそんな修羅場もきっとくぐり抜けるだろうなぁ…と」
ダージンン「………」
355: 2017/04/22(土) 23:06:35.38 ID:8ZarQEPh0
ピー!!
プップップー!!
ピピー!!!
ローズヒップ「全っ然進まないですの…!」イライライライライラ
西「あははは…」
西(見事に帰宅ラッシュにめり込んでしまったな)
ローズヒップ「行きはともかく帰りも渋滞だなんてどーなっていますのっ!?」イライライラ
西「はは…。他の運転手も皆おなじ面持ちでしょうな」
ローズヒップ「ぐぬぬ…」ブツブツ
西「まま。ここは"水飴"でも食べて気分転換されてはいかがでしょう?」
ローズヒップ「残念ながら"水飴"は1日3個までですの」
西「へ? そうなんですか?」
ローズヒップ「アッサム様から言われていますの」
ローズヒップ「"水飴は脳を活性化させるけれど、食べ過ぎると逆に脳の動きを低下させてしまいます"って!」
西「………ソウナンデスネ」
ローズヒップ「だからガ マ ンですのっ」イライライラ
356: 2017/04/22(土) 23:08:29.33 ID:8ZarQEPh0
西「あれ? ローズヒップさんご存知ではないのですか?」
ローズヒップ「…何がですの?」ジロッ
西「(早くも噛み付かれた) "水飴"の食べ過ぎは確かに脳の動きを低下させます」
西「しかし、ずっとイライラした状態だとそれ以上に脳の動きを低下させてしまうと」
ローズヒップ「そうなんですの?」
西「ええ。イライラはダメなんです」
西(間違ったことは言ってない。ストレスは脳にも体にも毒である)
西「はい。ですので、今みたいなイライラを払拭するための"水飴"の使用は別段問題ないと」
ローズヒップ「そうなんでございますのっ!?」パァァ
西「ええ」ニコッ
ローズヒップ「では! では! 良いんですわね!?」パァァ
西「ええ。どうぞ」ニシッ
ローズヒップ「いやっほーいですのっ♪」
357: 2017/04/22(土) 23:10:04.79 ID:8ZarQEPh0
西(ペコ太郎といいローズヒップさんといい、聖グロは愛くるしい方が多いですな)
西(ダージリンさんもさぞ後輩を可愛がり甲斐があるだろう)
西(もちろん知波単にも可愛い後輩はいるぞ!福田は可愛い!)
西(…ところでダージリンは?やけに静かだな?)
ダージリン「…」スヤァ
西「あはは。お疲れのようですね」
ローズヒップ「おーっほっほっほー♪」ネリネリ
西「おっと、ローズヒップさん、ダージリンがご就寝のようです。お声の音量を落として頂けますか?」
ローズヒップ「これは失礼しましたのー」ボソボソ
西「ご協力感謝致します」フカブカ
358: 2017/04/22(土) 23:11:26.28 ID:8ZarQEPh0
ヘクチョン!!
西「ん?」
ダージリン「クチュン!!」
ダージリン「…」ブルブル
西(ああ。屋根のない車だから風がまともに当たってしまうか…)
西(風邪をひかれても困るしな)パサッ
ダージリン E:浴衣の羽織
西(…これで良しっと)
ダージリン「……エヘヘ…」zzzz
西(ダージリンも"えへへ"って笑うことがあるんだなぁ)シンミリ
西(まぁ、何だかんだ言ったってダージリンも女の子だしね)ウンウン
西(ただ…)
西絹代 E:浴衣
西「さもい…」ブルブル
359: 2017/04/22(土) 23:13:00.11 ID:8ZarQEPh0
コテン
西「ん?」
ダージリン「…」ムギュッ
西(おっと、枕にされてしまったぞ)
ダージリン「…フスー…フスー」zzz
西「あはは。有難うございます。とっても暖かいです」ホッコリ
ダージリン「…フフ……」zzzz
360: 2017/04/22(土) 23:21:08.20 ID:8ZarQEPh0
【病院 エントランス】
キキーッ
ローズヒップ「到着で御座いますのー(小声)」
シーン
ローズヒップ「あれ?」キョトン
西「…」zzz
ダージリン「…」zzz
ローズヒップ「ふむ…」
ローズヒップ「!」ピコーン
ローズヒップ「少々お待ちくださいましー(小声)」スタタタタッ
361: 2017/04/22(土) 23:22:13.06 ID:8ZarQEPh0
看護婦「はいはい?」タッタッタッ
ローズヒップ「お部屋までお願いしますのー」タッタッタ
ローズヒップ E:担架
看護婦「………そういうことね」ニヤ
ローズヒップ「そういうことでございますのよー!」ヨッコイショ
(数分後)
ローズヒップ「ではでは、お休みなさいませですの~」ペコッ
ブロロロロ....
363: 2017/04/25(火) 20:30:31.89 ID:pfb36CDZ0
【同日夜 西絹代の病室】
西「ん……」パチッ
西「あれ…ここは…?」
西「………病室?」
ダージリン「スースー…」zzzz
西「っ?!」ビクッ
西(えーと…)
西(確か私達は大洗とサンダースの試合を観戦して)
西(そのままローズヒップさんに送ってもらって…)
西(そこから記憶がない)
西「ふむ………」
西「まぁいっか」パタン
西「お休みなさいダージリン」
ダージリン「…ムニャ」zzz
西「私は寝込みは襲いませんからね」
ダージリン「…ムゥ……」zzz
西「ふふっ」ナデナデ
ダージリン「…エヘヘ……」zzz
364: 2017/04/25(火) 20:31:46.79 ID:pfb36CDZ0
― よほど居心地がいいのか、ベッドの寝心地がいいのか
ダージリンはぐっすりと眠っている。
私がかつて眠りたくても眠れなかった時期はあったことを思うと、ダージリンにも眠れない日があったのかもしれない。
そう考えると、今の私に出来るダージリンへの恩返しは…
嫌な事を忘れる事ができる、居心地のいい空間を提供することなのかもしれない。
この頃からか、私はダージリンに特別な感情を抱いていた。
ダージリンが嬉しそうにしていれば私も嬉しいし
ダージリンが悲しいと私も悲しい。
お世話になった方々や、知波単の皆とは違う感情。
でも、私はこの事について特に深く追求することはなかった。
365: 2017/04/25(火) 20:32:47.36 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「んぅ…?」パチッ
西「あ、おはようございます。…といっても夜ですけど」
ダージリン「………ここどこ?」
西「あはは…私の病室です」
ダージリン「そう…」
西「ええ」
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「何で病室にいるのよっ!!?」ガバッ
西「わっ!」
366: 2017/04/25(火) 20:33:36.21 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「…ローズヒップに送ってもらったところまでは覚えているわよ」
西「ええ」
ダージリン「そして途中で寝てしまって」
西「はい」
ダージリン「気づいたらここ」
西「うん」
ダージリン「どういうことなの…」
西「さぁ?」
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「今、何時?」
西「ちょうど10時ですね(まだ10時かぁ。もう深夜だと思ってたのに)」
367: 2017/04/25(火) 20:34:24.57 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「ハァ…またこんなところに来る羽目になるなんて…」ズーン
西(その"こんなところ"でとてもとても幸せそうに寝ておられたわけですがね…)ジトー
ダージリン「…何よ」
西「何でもございません」
西「きっとローズヒップさんが気を利かせてここまで連れてってくれたのでしょう」
ダージリン「どうやって…」
西「"水飴"の食べ過ぎで脳が超常現象起こして空間移動能力使えるようになったとか?」
西(ローズヒップ真似)「おーっほっほっほ! マネジメントですのっ!」
西「…って」
ダージリン「バカなの?」
西「…もうバカで結構です」ムスッ
ダージリン「そうね」
西(ダージリンは寝起きの機嫌が悪い。…低血圧なのかな?)
ブーブー
ブーブー
368: 2017/04/25(火) 20:35:27.53 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「ほら電話。鳴ってるわよ」
西「はーい。…おっ、ペコさんからだ」
ダージリン「ペコ?」
西「大方ダージリンのこと心配されておるのでしょう。良い後輩ですな」シミジミ
ダージリン「それは申し訳ないことをしたわね」
西「まったくです」ピッ
オレンジペコ『夜分遅くにすみません。西様のお電話でしょうか』
西(みほ真似)「いえ…西さんではなく西住ですけど、オレンジペコさん…?」
ダージリン「何してるのよ…」
オレンジペコ『えっ?確かこの番号で合ってた…あ、いえ、ごめんなさい間違え
西「ははは。合ってますよペコさん」
369: 2017/04/25(火) 20:36:32.48 ID:pfb36CDZ0
オレンジペコ『え?』
西「私ですよ。知波単の西絹代でございます」ハッハッハ
オレンジペコ『もうっ! ビックリしたじゃないですか!!』プンスカ
西「あはは。失礼しました」
オレンジペコ『あの、それでダージリン様のことなんですが…』
西「あぁ、ダージリンなら私の横でぐっすり寝てますよ」
ダージリン「起きてるわよ…」ハァ
オレンジペコ『えぇっ!? もうそんなことを?///』カァァァ
西「ん? そんな事とは??」
オレンジペコ『そ、それは…あの…アレですよ…/////』モジモジ
西「アレ…?」キョトン
オレンジペコ『………………ぇっちぃことです…/////////』ボソッ
370: 2017/04/25(火) 20:38:06.33 ID:pfb36CDZ0
西「…」
オレンジペコ『…/////』カァァァ
西「………は?」(゚д゚;)
西(この小娘は何を宣っとるのだ…???)
オレンジペコ『…え?』
西「あの………ただ単にご就寝されてただけですが…?」
オレンジペコ『』
西「…」
オレンジペコ『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!////////』ジタバタ
西「わっ!?」キーン
ダージリン「さっきから何してるのよ…」
西「何かペコさん、ご乱心のようですよ…?」
ダージリン「ご乱心?」
371: 2017/04/25(火) 20:40:06.37 ID:pfb36CDZ0
オレンジペコ『に、西さんなんか大っ嫌いですっ! うわぁぁぁぁぁぁぁん!!』バタバタ
西「ちょっと待って下さいよ! 私なにか悪い事としましたか!?」
オレンジペコ『悪いことも悪いことですっ! 西さんが助平だからいけないんですっ!!』
西「なっ失礼な!? 私は決して助平なんかじゃありませんぞ!!」
ダージリン「あなたは十分助平だからご心配なさらずとも」
オレンジペコ『西さんが"私の隣で寝てる"って言うからいけないんですよっ!!』
西「はい裁判長! 冤罪であります! 私は見たままを述べただけでありますっ!」
オレンジペコ『被告人の要求を棄却します! 氏刑です!!』
西「そんなぁ…あ、ちょっと!」
パッ
ダージリン「御機嫌ようペコ。私よ」
オレンジペコ『ダージリン様ぁ…西さんがいじめますぅ…』
ダージリン「絹代さんにはあとでキツ~い罰を与えておくからご安心なさい」
オレンジペコ『…絶対ですからね?』
西「ち、ちょっと待って下さい! なんで私が罰を受けにゃならんのですかっ!?」
372: 2017/04/25(火) 20:42:16.05 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「はいはい。それで、ご用件は?」
オレンジペコ『あっ、ごめんなさい。その、ダージリン様への伝言だったんですが…』
ダージリン「ええ。私が直接承るわ」
オレンジペコ『先程ローズヒップさんから事情を聞いたのですが』
オレンジペコ『曰く"お病院にお運びしましたわよー!"とのことでして…』
ダージリン「ええ。どうやらそのようね。起きたら入院患者になってましたわ」
オレンジペコ『あはは…。それで、夜も遅いですから、また病院で泊めて頂けないかと』
ダージリン「…良いかしら絹代さん?」チラッ
西「キツ~い罰を取り止めて下さるのなら」シレッ
ダージリン「仕方ないわね」
西(なぁにが"仕方ないわね"だ全く…)ヤレヤレ
ダージリン「絹代さんが"泊まって下さいお願いします"って言うから、仕方な~くまた一泊するわ」
西(こんにゃろ好き放題言いやがってからに…!)グギギ
オレンジペコ『なんか…それはそれで心配です…何しろ西さんですので』
西「おいこらハレンチペコ。そりゃどういうこった」
オレンジペコ『聞こえてますよ!ハレンチって言わないで下さい!』プンスコ
西「事実ですしお寿司」シレッ
オレンジペコ『事実じゃありませんっ!!』
ダージリン「ちょっと。私を挟んで傷の舐め合いをしないで下さる?」
西「ペコ太郎があまりに面白くてついつい」
373: 2017/04/25(火) 20:52:24.47 ID:pfb36CDZ0
オレンジペコ『ぺ、ペコ太郎…』
西「あはは。他にもラーメンペコとかペコ煎餅とかペコ饅頭とかクールペコとか」
ダージリン「ラーメンペコ…美味しそうね」フフッ
オレンジペコ『ダージリン様も悪ノリしないで下さいまし!』ムスッ
西「あはは。ペコさんのあだ名は色々浮かび上がるので、また面白いの出来上がったら発表しますぞ」
オレンジペコ『結構です。西さんが名前を悪用するなら私も悪用しますもんね』ムスッ
西「あはは。どんなのが出来るか楽しみですなぁ。"絹おねーちゃん"とか大歓迎ですぞ!」
オレンジペコ『呼 び ま せ ん』キッパリ
ダージリン「あら?お姉様って呼んでくれても良いのよペコ?」ウフフッ
西「気持ち悪っ」ボソッ
ガンッ!
西「いでぇっ!!!」
オレンジペコ『ダージリン様まで…』ヤレヤレ
374: 2017/04/25(火) 20:53:33.33 ID:pfb36CDZ0
西「私のあだ名かぁ…楽しみだなぁ」
オレンジペコ『とんでもないの付けますからね?後悔しても知りませんよ?』ムスッ
西「わくわく」
オレンジペコ『まぁでも…今は思い浮かばないので絹代様のあだ名は思いついた時にでも』
西「あはは楽しみです」
西「ん?」
オレンジペコ『えっ?』
ダージリン「"絹代様"?」
オレンジペコ『あ…』
西「ほほう絹代様かぁ…これは斬新ですなぁ」
ダージリン「別に普通じゃない」
西「そりゃダージリンは常に"ダージリン様"って呼ばれてるからですよ」
西「それにしても絹代様かぁ…」フムフム
ダージリン『い、今のはですねっ!』アセアセ
375: 2017/04/25(火) 20:55:20.68 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「ペコ、こんな子に"様"なんてつけては駄目よ。呼び捨てでも良いくらいですの」
西「あ、ペコ太郎、ダージリンはこれから"ダージリ貧"で良いですよ。私が許可いひゃいいひゃいほっへひっはははいへ!!!」
ダージリン「誰がジリ貧ですって?」ビローン
西「はーひひんへふほ!!!」ジタバタ
ダージリン「ほぉ?」Wビローン
西「いひゃぁい!ひょうへははんほふへふっ!!!」バタバタ
ダージリン「両手だけじゃ足りないわ」
西「いいはらははっふははひへ!!」ジタバタ
ダージリン「何言ってるかわからないわよ」パッ
オレンジペコ(普通に会話してるじゃないですか…)
西「フニュー…ダージリン酷いです」ホッペサスサス
ダージリン「口は災いのもと。自業自得でしてよ」
ダージリン「どうせ喋るのなら有益なことを喋りなさいな。私のように」フフッ
西「…妖怪口から糞出す大便ジリンめ」ボソッ
ツネッ ミシッ!
西「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁいだぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!」ジタバタバンバン
ダージリン「あんたは品を良くしなさいって言ってるでしょうがッ!!!」
オレンジペコ(あはは…絹代様も懲りないですね……)
376: 2017/04/25(火) 20:57:10.99 ID:pfb36CDZ0
西「ところでペコ太郎は今何されてるんです」ヒリヒリ
オレンジペコ『結局ペコ太郎なんですか…』
西「気に入ったんですよね"ペコ太郎"って響きが」ニシシ
オレンジペコ『そうですか…。というか私が何してるかなんて知りたいんですか?』
西「んー、何となく聞いてみただけです」
オレンジペコ『何となくで女の私生活覗きたがるなんて、やっぱり絹代様は助平です』
西「まーた助平言う…」
ダージリン「助平よ」
オレンジペコ『助平です』
西「どいつもこいつも助平助平ってちきしょう…」ワナワナ
オレンジペコ『日頃の行いですね』
西(オレンジペコ真似)「ぇ…ぇっちぃことも日頃の行いですか?(モジモジ」ボソッ
オレンジペコ『なっ!? あれは!!!/////』カァァァ...
西「私が助平だったらペコ太郎も助平でダージリンはその百万倍助平です」
ゴンッ!
西「いでっ!!」
ダージリン「助平はあなただけで十分」
西「むっ…」
377: 2017/04/25(火) 20:59:08.49 ID:pfb36CDZ0
オレンジペコ『まぁ…今は電話してますけど、先程まではルクリリ様とニルギリ様のお相手をしていました』
西「ほぉ…(誰?)」
ダージリン「ニルギリもルクリリもうちの車長よ」
西「なるほど」
オレンジペコ『それで、"面白いゲーム手に入れたからやるぞペコ!"って』アハハ
西「ん? 聖グロもゲームやるんですか?」
ダージリン「やる子はやるんじゃないかしら? 私はやった事がないけれど」
西「"やる相手がいない"の間違いでは?」
げ ん
こ つ
ダージリン「ゲームをするのも良いけど、程々にね?」
ダージリン「そうでないと隣にいるお馬鹿さんみたいになってしまうわ」
西「」ヒリヒリ
オレンジペコ『はい…。(絹代様、入院延びちゃうんじゃないかな…)』
378: 2017/04/25(火) 21:00:25.15 ID:pfb36CDZ0
西「ちなみにどのようなゲームです?」ヒリヒリ
オレンジペコ『スーパーマジノブラザーズです』
西「…はい?」
『ペコ? 誰と電話してるの?』
ペコ『あ、お帰りなさいルクリリ様。知波単学園の隊長さんとお話してました』
西(この声…どこかで聞いたことがあるような…)
ルクリリ『知波単学園…』
西「この声…」
西・ルクリリ「『あーーーっ!』」
ダージリン「あら? 面識あったかしら?」
ルクリリ『あ、あんたはエキシビジョンの時に私をハメやがった…!』
西「そういうあなたは!!」
西「…どちら様?」
電話『』<ガタンッ!!
オレンジペコ『…ルクリリ様?』
379: 2017/04/25(火) 21:02:53.86 ID:pfb36CDZ0
ルクリリ『いててて…覚えていないのかよ…。エキシビジョンマッチの時に戦った相手じゃないかぁ…』
西「あー…ウチの福田が言ってた"二度も騙されたか!!"の方ですな?」
ルクリリ『"騙されるか"だ! というかその覚え方はおかしいっ!!』
西「あはは。あの時はお世話になりましたよ」
ルクリリ『ん…、こちらこそ』
西「で、どちら様?」
電話『』<ガタガシャーン!!!
ダージリン「さっき言ってた"ルクリリ"よ。ウチのマチルダIIの車長」
西「ほうほうルリリさんですか」
ルクリリ『し、知らなかったのか!? っていうかルリリじゃない! ル・ク・リ・リ!』
西「あら、失礼しました」
ダージリン「ルクリリ」
ルクリリ『え…今の声誰?』
西「あぁ。私の友人ですよ」
ルクリリ『友人? でも私の名前をいま…』
ダージリン「…」チラッ
西(なんで私を目で見るんです……ってそういうことか)
西「あはは。あれだけ大きな声で叫べば聞こえますよ」
ルクリリ『…そっか』
ダージリン「」コクリ
西(ダージリンもなかなかイタズラっ子だなぁ…)
380: 2017/04/25(火) 21:04:03.64 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「自己紹介が遅れたましたわ」
ルクリリ『あ、うん。初めまして』
ダージリン「絹代さんの友人を"してやってる"者ですの」
西(し、してやってる!?)ガーン
ルクリリ『私はルクリリ。聖グロで戦車長をやっているわ』
ダージリン「これはこれはご丁寧に。同じく聖グロの隊長をやっている者でございますの」
ルクリリ『はぁ?』
ダージリン「あら、どうかしまして?」
ルクリリ『いや。なかなか面白いジョークだなって』ハハハ
オレンジペコ『…』オロオロ
ダージリン「ほう?」
西(ルクリリさん、電話の相手がダージリンだって気付いてないな…)
381: 2017/04/25(火) 21:05:45.22 ID:pfb36CDZ0
ルクリリ『ウチの隊長はダージリンって言うちょっと変だけど面白い隊長なのよ』
西(ちょっと?)
ダージリン「」ギロッ
西「ナンデモナイデス」
ダージリン「それはそれは。さぞかし優秀な隊長ですのね?」
ルクリリ『そうだね。変だけど』アハハッ
ダージリン「…変?」
ルクリリ『ええ。後輩にしょっちゅう格言とかジョークをドヤ顔で語ったりするの』クスクス
ルクリリ『そうでしょうペコ?』
オレンジペコ『…え…ええ…?』オロオロ
ルクリリ『それがあまりに滑稽で、巷じゃ"喋るだけで面白い女"とか言われてるらしいの』アハハハ
ダージリン「ふふふっ。それは面白いわね」
ルクリリ『でしょでしょ! あっはっははは!』
ダージリン「ところでルクリリ」
ルクリリ『あはは。なぁに~?』ケタケタ
ダージリン「こんなジョークを知ってる?」
ルクリリ『え』
西(ご愁傷様です)
382: 2017/04/25(火) 21:07:04.71 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「アメリカ大統領が自慢したそうよ。"我が国には何でもある"って」
ルクリリ『え゛っ?!』
ダージリン「そうしたら、外国の記者が質問したんですって」
ルクリリ『あ、あの…もしかして…』オロオロ
ダージリン「"地獄のホットラインもですか?"って」
オレンジペコ『お国柄ジョークですね』
ルクリリ『』
ダージリン「それはそうと、"喋るだけで面白い女"のお話、もっと聞かせてくださる?」
ダージリン「ル ク リ リ」ニコッ
ルクリリ『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!』ウワーーン
西(ルクリリさん、地獄のホットラインの方がずっとマシですぞ)
西(何しろ私なんかすぐ真横に"地獄"がいるわけですから)
383: 2017/04/25(火) 21:08:36.81 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「まず相手が誰かを確認してからモノを言うことね」ズズ...
ルクリリ『ももも申し訳ありませんでしたっ!!』
ルクリリ『まさか電話の先にダージリン様がいらっしゃるなんて知らなかったもので!!』ヒィィ
ダージリン「あら、電話の先が私でなければ"喋るだけで面白い女"のお話の続きをしていたと?」
ルクリリ『あっ、いえ…それはその…』オロオロ
ダージリン「何かしら?」
ルクリリ『ひぃぃっ!』ガタガタ
西「まま、ダージリン、その辺でご勘弁を」
ダージリン「…そうね。絹代さんに免じてこの辺にしておくわ」
西(私に免じて?)
ルクリリ『あ、ありがとうございますぅ絹代様ぁ…!』パァァ
西「なんだか今日はやたら"絹代様"って言われるなぁ…」
384: 2017/04/25(火) 21:11:04.67 ID:pfb36CDZ0
ダージリン「そういうわけだから、ペコ、ルクリリ。あまり遅くまで遊んでいては駄目よ?」
ルクリリ『はいっ!』
オレンジペコ『かしこまりました』
ダージリン「それと私はこちらで過ごすから、明日はお願いね?」
オレンジペコ『はい。絹代様にも宜しくお伝え下さい』
ダージリン「ペコが宜しくですって」
西「すぐ横にいるんだから直接言ってくださいよ」
オレンジペコ『絹代様、ダージリン様をお願いします。くれぐれもフラチなことをなさいませぬよう』
西「ふ、不埒ぃ?!」
オレンジペコ『ええ』ニコッ
西(ペコ太郎め…だんだんダージリン化してきおる…)グヌヌ
西(………そうだ!)ペコーン
西「ルクリリさん、後輩の指導がなってないようですが?」
ルクリリ『え? あ! こらペコッ! 絹代様に向かってその口の聞き方は何だっ!』
オレンジペコ『えぇぇっ?!』
西「ふははは」
ダージリン「ルクリリ。程々にね?」
ルクリリ『心得ております』
ダージリン「それではお休み」
ルクリリ『お休みなさいませ!』
オレンジペコ『お休みなさい。ダージリン様、絹代様』
プツッ
385: 2017/04/26(水) 22:57:50.17 ID:9bZwe9Ud0
西「…」
ダージリン「…」
西「…あははっ」
ダージリン「なによ」
西「いやぁ、聖グロの皆さんは楽しいなぁと思いまして」ハハハ
ダージリン「良くも悪くも個性的な子が多いからね」ズズ
西(その個性的な聖グロ生のなかでも群を抜いて個性的なのがダージリンなんですけどね)
ダージリン「グー」
西「ま、まだ何も言ってないじゃないですか!」
ダージリン「どうせ良からぬことを考えているのでしょう」ズズ
西「そんなことないです。…というかダージリンだけ紅茶ずるいです。私にも下さいな」クレクレ
ダージリン「どうぞ」 つ[ティーカップ]
西「え。それダージリンが飲んでたやつじゃ?」
ティーカップ(空)
西「」
西「ダージリンっ!!」ガァァァ!!
ダージリン「もう、騒がしいわね」
西「いくら何でも飲み干したティーカップ差し出すこたぁ無いでしょうに!」
ダージリン「冗談よ。今あげるから大人しく待ってなさい」コポコポ...
西「むぅ…」
386: 2017/04/26(水) 22:59:49.73 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「…でも、さすがに紅茶だけだと少し寂しいわね」
西「確かに。そういえば晩御飯も食べておりません………あ!」
ダージリン「なに?」
西「冷蔵庫の中に色々入ってたと思うので、良かったらそれをどうぞ」
ダージリン「良いの?」
西「ええ。私一人じゃさすがに食べきれないですし、折角の差し入れを腐らせては申し訳無いので」
ダージリン「そう。ならお言葉に甘えて」ガチャ
冷蔵庫ちゃん<ビッシリ
ダージリン「…」
西「どうされました?」
ダージリン「色んなものが入っているから驚いたのよ…」
西「地元の人や学校関係者など色々な方が来て下さったので」
西「お陰でお見舞の品が増えて感謝感激雨あられであります」アッハッハ
ダージリン「お見舞というよりお葬式に近いわね。この量」
西「勝手に殺さないで下さい」
387: 2017/04/26(水) 23:00:59.75 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「…それじゃあ、これを頂くわね?」
西「どうぞどうぞー。…ってそれ結構な量ですが、お一人で…?」
ダージリン「あなたは食べないの?」
西「良いのですか?」
ダージリン「あなたのお見舞品なのよ?」
西「あ、そうでしたね。では少しだけ」
西「ところでこれは所謂"けぇき"というものでしょうか?」
ダージリン「ケーキじゃないわ。ミートパイよ」
西「みーとぱい?」
ダージリン「ええ。イギリスの伝統料理で、パイ生地の中にひき肉を入れて焼き上げるのよ」
西「ほうほう」
ダージリン「ただね。ミートパイの起源はイギリスではなくフランスだって主張する人もいるのよ」
西「よくわかりませんが、ダージリンが好きそうな料理ですな」
ダージリン「ええ」フフッ
西(お、当たりかな?)
388: 2017/04/26(水) 23:03:05.40 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「でも冷たいままだとちょっと…」
西「あ、電子レンジは冷蔵庫の隣にありますよ」
ダージリン「何でもあるのね…」
西「ここでなら一人暮らし出来そうですぞ!」
ダージリン「氏ぬまで出られなくなりそうね」
西「それ笑えないです…」
チーン
ホッカホカ
ダージリン「ふふっ。良い香り」
西「美味しそうです」
ダージリン「うふっ♪」
西「随分とご機嫌ですね。そんなにこのパイとやらがお好きなのですか?」
ダージリン「ええ。ミートパイは格別よ」
西「あはは。それは良かった。冷めないうちに頂きましょう」
ダージリン「ええ♪」
西(ダージリン、本当にこのパイが好きなんだなぁ)フムフム
389: 2017/04/26(水) 23:05:19.17 ID:9bZwe9Ud0
西「これはこれは、なかなか美味ですね」モグモグ
ダージリン「ふふっ。先輩方に作って頂いたミートパイの味を思い出すわ」シンミリ
西「先輩? アールグレイさんですか?」
ダージリン「アールグレイ様もだけど、色んな方に茶請けのお菓子や料理を振る舞って頂いたのよ」フフッ
西「そうなんですか」
ダージリン「思えば、学問、料理、戦車…色んなことを教えて頂いたわね…」シミジミ
西「…」
ダージリン「…また変なこと考えてるのかしら?」ジトッ
西「いえ、ダージリンが1年生の頃ってどんなだったのかなぁ…って」
ダージリン「何を言うかと思えばそんなこと」
西「そりゃ気になりますもん。ダージリンの過去」
ダージリン「…」
西「話によると、アッサムさんとは昔はライバル同士だったとか」
ダージリン「…またペコね」ハァ...
西「あ、ペコ太郎は悪くないですよ。私が聞いただけですので」
390: 2017/04/26(水) 23:10:19.11 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「…今もよ」
西「ん?」
ダージリン「アッサムとは今もライバルよ」
西「そうなのですか?」
ダージリン「ええ。砲手をやってるけど、彼女の洞察力、行動力は隊長として十分すぎるものよ」
ダージリン「油断していたらすぐに追い抜かれてしまうわ」
西「!」
ダージリン「それに、アッサムは戦車道では砲手を務めているけれど」
ダージリン「彼女はGI6のトップも兼任しているわ」
西「GI6…?」
ダージリン「正式名称は"聖グ口リアーナ女学院・情報処理学部第6課"」
ダージリン「我が校の"情報処理学部"の一つよ」
西「ほうほう?」
ダージリン「主に他校の情報収集をお願いしているわ」
西「なんだかスパイ映画みたいですな!」
ダージリン「他にも課によって地図の作成、プログラミング、コード(暗号)の作成…など、様々なことをやっているの」
西「ふむふむ…」
ダージリン「それら情報処理学部のトップがアッサムなの」
西「なるほど…」
西(そんな人が"水飴"に引っかかるのかなぁ…)
391: 2017/04/26(水) 23:11:35.06 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「アッサムは言ってみれば聖グ口リアーナの頭脳」
ダージリン「戦車道の技術はもちろん、ありとあらゆる情報を駆使して有利に事をすすめる」
ダージリン「味方ながら恐ろしいほど頭の切れる女よ」
西「一つ、宜しいですか?」
ダージリン「何かしら?」
西「失礼な言い方になるかもしれませんが…」
ダージリン「あなたが失礼なのは今に始まったことじゃないわ」
西「む…」
ダージリン「良いから言ってみなさいな」
西「そんな凄いアッサムさんがいるのに、どうしてダージリンが隊長なのでしょう?」
ダージリン「…」
西「…」
ダージリン「勝ったからよ」
西「勝った?」
ダージリン「ええ」
ダージリン「あれは私達が一年の頃の話…」
392: 2017/04/26(水) 23:13:58.42 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
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●聖グ口リアーナ女学院 入学式
ダージリン(一年)「何から何まで噂通りのお嬢様学校ね…」
「ちょっと退きなさいな。邪魔よ」
ダージリン「えっ?」
アッサム(一年)「何処のご令嬢かは存じませんけど」
アッサム「私が通る道を塞がないで頂けますこと?」
ダージリン「あら、ごめんなs」
アッサム「随分と庶民的な立ち振舞いですわね」
ダージリン「っ…!」
アッサム「てっきり他校の生徒かと思ったほどですの」
ダージリン「た、他校ですって?!」
アッサム「ここは名門校の聖グ口リアーナ女学院でしてよ?」
アッサム「貴女のような庶民派が来る場所ではありません」フフッ
ダージリン「」イラッ
アッサム「せいぜい学園の品を損ねないことです」スタスタ
ダージリン(何よあの女! 感じ悪い!!)ギリッ
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~~~
393: 2017/04/26(水) 23:14:54.75 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「元々聖グロはお嬢様学校だけども、その中でもアッサムは典型的なお嬢様だった…」
西「…」
ダージリン「第一印象は最悪だったわ。クシャクシャにしてゴミ処理場に放り投げてやりたいと思うほどに」
西「しかし、それが今では良き相棒というのですから不思議です」
ダージリン「…そうね」
西「?」
394: 2017/04/26(水) 23:17:11.72 ID:9bZwe9Ud0
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『勝者 ----!!』
隊長「見事ね」
アッサム「この程度、私の手にかかれば造作もありません」フフッ
副隊長「早くも隊長候補が決まったわね」
3年A「これで私達が抜けても聖グロは安泰ですの」
アッサム「ご安心下さい。私が聖グ口リアーナを変えてみせます」
副隊長「ふふっ。期待しているわよ」
アッサム「ほら。アナタたち。何をモタモタしていますの? 早く整備なさい」
ダージリン「…」
アッサム「あら? 何かご不満でも?」
ダージリン「整備は下級生の役目じゃなかったかしら? あなたも下級生ならやりなさい」
ダージリン「それとも、下級生を装った留年生かしら?」
アッサム「…フン。整備などあなたたち格下の仕事です」
ダージリン「整備を知らずに戦車の事を知ることができるのかしら?」
アッサム「整備を知ったところであなたが私に敵うとでも?」
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395: 2017/04/26(水) 23:18:13.01 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「アッサムは上から戦車道を見ていた。態度だけでなく実力も」
ダージリン「一方で私は下から彼女を見上げるだけ」
西「同じお嬢様なのに考え方も異なるのですね」
ダージリン「アッサムは良家の生まれよ。本当の意味で貴族出身。だから頭一つ置いて高飛車だったわね」
ダージリン「そして態度だけでなく実力も相当で、"自分より上は存在しない"…と」
ダージリン「あの時のアッサムは本気でそう思っていた」
西「そうですか…」
396: 2017/04/26(水) 23:20:29.02 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
アッサム「はぁ? 試合? この私と?」
ダージリン「ええ。お手合わせ願えるかしら?」
アッサム「ッフ…」
ダージリン「…」
アッサム「あはははははっ!」
ダージリン「…っ」
アッサム「何を言うかと思えば"手合わせしたい"ですって? 随分なジョークですわ!」
ダージリン「…」
アッサム「自分の立場を弁えては如何です? 貴女のような凡人が私に敵うわけがない!」
ダージリン「やってみなければわからないじゃない」
アッサム「お気の毒ですが、あなたの勝率は限りなく0%ですわ」
ダージリン「…」
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~~~~~~~
~~~
397: 2017/04/26(水) 23:21:47.20 ID:9bZwe9Ud0
西「それで、お手合わせの結果は…?」
ダージリン「"完敗"よ」
西「えっ?!」
ダージリン「私はアッサムに撃たれて、見るも無残に敗れてしまったわ」
西「でも先程は勝ったと…」
ダージリン「ええ、最終的には…ね」
西「??」
398: 2017/04/26(水) 23:22:50.86 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
『A車 走行不能!』
『よって勝者、B車!』
隊長「やはりあの子が一番ね」
3年A「ええ。あの状況で完璧に相手の戦車を捕捉していましたわね。ケチのつけようがありませんわ」
副隊長「一方で相手の子は全然ね」クスクス
隊長「まだ入りたてだから仕方無いわ。あの子が凄すぎるだけで」
ダージリン「………」
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~~~~~~~
~~~
399: 2017/04/26(水) 23:25:42.28 ID:9bZwe9Ud0
西「正直言うと、信じられないです」
西「どうしてもダージリンがアッサムさんに負けるという図が想像できません」
ダージリン「それでも事実ですの。私はあの時アッサムに負けた」
西「それで、アッサムさんは?」
ダージリン「不思議なことに何も言わなかったわ」
西「えっ、あの高飛車なアッサムさんが…?」
ダージリン「ええ。私も未だにそれが不思議なの…」
西「そのことを聞いてみてはいかがでしょう?」
ダージリン「私がその話をしようとすると嫌がるのよ」
西「えっ」
400: 2017/04/26(水) 23:28:51.06 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
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「あら。随分丹念に戦車を整備してくれるのね?」
ダージリン「…!」ゴシゴシ
「でも、戦車の汚れは涙や鼻水じゃ落ちないわよ」フフッ
ダージリン「…何か…ご用ですの………」ズビッ
「聖グロに似つかわしくない"煤けたお嬢さん"がいるから、気になってね」フフッ
ダージリン「………」
「こんな格言を知っているかしら?」
「"天才とは努力する凡才のことである"」
ダージリン「…知りません」
「確かに彼女は天才かもしれないわ。聖グロでも十年に一度来るか来ないかの"逸材"」
ダージリン「…」
「…でもね」
「あなたや他の人が思ってるような"天才"って、案外脆いのよ?」
ダージリン「…」
「そして天才が…」
「努力に勝る日が来ることは無い」
ダージリン「!」
「もしアッサムが生まれ持った天才ならば」
「あなたは"努力の天才"になりなさいな」フフッ
401: 2017/04/26(水) 23:31:41.52 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「……私に努力なんて…」
「簡単なことよ?」
ダージリン「えっ…」
「誰にでも出来ることをやれば良いのよ?」
「別段難しいことをやれというものでは無いわ」クスクス
ダージリン「だったら誰だって…!」
「その代わり、やるなら徹 底 的 にやれ」
ダージリン「!!」
「"何だ、そんなことか"と思うことを、誰よりもやりなさいな」
「そして、五感全てに染み込ませなさい」
「寝ぼけ眼(まなこ)でも完璧に再現できるほど体に浸透させなさい」
「…それが努力よ」
ダージリン「っ…!」
「精神論や根性論を語るつもりはないけれど」
「結局のところ、人を分けるのは誰でも出来ることを誰よりもやって来たか、そうでないかの違いなのよ?」
ダージリン「…そう…ですの?」
「ええ。…そうね。面白いことを教えてあげるわ」
402: 2017/04/26(水) 23:35:24.20 ID:9bZwe9Ud0
「私、天才ちゃんに勝ってしまったわ」ニコッ
ダージリン「ええっ!!?」
「確かに素晴らしい才能とセンスの持ち主だった」
「そしてあの子の戦術には隙間の無いように見えた」
「でもね、私には彼女の"隙間"が見えたの」
ダージリン「隙間ですって…?!」
「だから、そこを突いたら案の定アッサリと崩れた」
ダージリン「信じられません…。あの人に隙間があるだなんて…!」
「普通の人じゃまず見つけられないでしょうね」フフッ
ダージリン「そ、その隙間とは一体何ですの!?」
「ヒントはおしまい。あとは自分で探しなさい」フフッ
ダージリン「うっ…」
「まぁ…でも、もう1つ」
ダージリン「?」
「あなたが彼女の隙間を見つけたとき」
「彼女が天才ではないことを理解するでしょうね」
ダージリン「えっ…?」
「整備もほどほどに。適当なところで切り上げるのよ?」フフッ
ダージリン「あ、あのっ…!」
「何かしら?」
ダージリン「お名前、教えて頂けませんか?」
「アールグレイよ」
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~~~
403: 2017/04/26(水) 23:37:17.41 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「今思うと、あのやり取りが無かったら聖グロの隊長は私ではなかった」
ダージリン「それどころか、聖グロに居続けたかどうかも怪しい…」
西「…」
ダージリン「そして、そこから私の戦車道が本格的に始まった」
西「…」
ダージリン「お嬢様学校の生徒らしからぬ泥臭さだった…」シミジミ
西「…」
ダージリン「聞いてるの?」
西「ええ。ちゃんと聞いてますよ」
ダージリン「そう。静かだからてっきりお馬鹿な事を考えてるのか寝てしまったのかと思ったわ」
西「失礼な…」
― 馬鹿なことを考えたり、うたた寝をしたり
そんなこと出来るわけがない。
ダージリンが歩いて来た道は、私が今歩いている道なのだから。
404: 2017/04/26(水) 23:40:27.66 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
副隊長「………」
隊長「驚いたわね。あの子が"天才"に勝つなんて…!」
3年A「まだ入学して1年も経過していないのに、追いついちゃうなんて信じられない…」
3年B「なにかイカサマでもしたのでは?」
3年C「そうに違いありません! きっとあの小娘が!!」
アールグレイ「ご心配なさらず」
隊長「アールグレイ…?」
副隊長「あなたも見たでしょう? あの"天才が負けた"のよ?!」
アールグレイ「ええ。"彼女は見事に天才に勝利"しましたわ」
3年A「前の試合じゃ全く歯が立たなかった子がですのよ? こんなのおかしいわ!」
アールグレイ「彼女は"隙間"を見つけたから勝てたのです」
副隊長「そんな馬鹿なことがあってたまるものですか! あの子は聖グロの…!」
アールグレイ「先輩方はこの私の目が節穴とでも仰るおつもりで?」
3年「………」
隊長「あなたがそこまで言うのだから、彼女の実力は確かなのでしょう」
アールグレイ「間違いありませんわ。私の戦車道生命に懸けてお誓い致します」
隊長「そう…」
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~~~
405: 2017/04/26(水) 23:42:27.03 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「アールグレイ様の言う通り、アッサムの戦術には"隙間"があった」
ダージリン「その隙間を見つけ出して、そこを突いたら本当にあっさりと崩れた」
ダージリン「そして私はアッサムに勝った…」
ダージリン「10年に1度の逸材と言われたアッサムに………」
西「アッサムさんの"隙間"とは一体?」
ダージリン「それは教えない」
西「む…」
ダージリン「あの時は私にとっての"突破口"だったけれど」
ダージリン「今はそれが聖グロの"弱点"の一つですもの」
西「えっ、ということは…?」
ダージリン「今もなおアッサムはあの弱点を克服できてない」
西「あのアッサムさんが?!」
ダージリン「ええ」
西(一体どんな弱点なんだろう…)
406: 2017/04/26(水) 23:44:03.94 ID:9bZwe9Ud0
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~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
ダージリン「何処へ行くのよ」
アッサム「………」
ダージリン「私の質問に答えてくれるかしら」
アッサム「………もうここに用はありませんの」
ダージリン「はい?」
アッサム「今までこんなことはなかった」
アッサム「誰にも負けなかったのに…」
ダージリン「負けを知るのも教訓の一つよ。良い機会じゃない」
アッサム「あなたに何がわかるというの!!」
ダージリン「…」
アッサム「多くの人に期待されるということがどういうことなのか!!」
ダージリン「100%期待に応えることなんて誰にも無理よ」
アッサム「それでも! 私は応えなければいけなかった!!」
アッサム「だから…ずっと……」
ダージリン「?」
アッサム「ずっと………」
アッサム「頑張ってきたのに………」
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~
~~~
407: 2017/04/26(水) 23:54:38.72 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「アッサムは"天才"だと思っていた。けれど違った」
ダージリン「名家のご令嬢を装う裏では常に多くの人からの期待という重圧に苦しんできた」
ダージリン「彼女もまた私と同じ、努力家だったの…」
― 彼女が天才ではないことを理解するでしょうね
西「アールグレイさんは既にアッサムさんの事を気付いておられたのですね」
ダージリン「ええ。そしてアッサムの本当の顔を知ったと同時に」
ダージリン「私は彼女の積み重ねてきたものを壊してしまったことに気付いた」
西「ッ!!!」
ダージリン「誰にも気づかれない場所で誰よりも苦労を重ねてきたのよ…アッサムは」
西「…」
ダージリン「彼女は名家の娘だから、常に色んな人の目につくと…」
ダージリン「だから、少しでも粗相を起こせば、それは家の看板に傷をつける事だと何よりも恐れた」
ダージリン「あの高飛車な態度は、それを、弱みを見せないための仮の姿だったって………」
西「それでもアッサムさんは聖グロを出て行こうとしたのですよね?」
ダージリン「引っ叩いて引きずり戻したわ」
西「え」
ダージリン「冗談よ。勝った理由を教えたら納得してくれたのよ」
ダージリン「そしたら」
アッサム『一度勝っただけで良い気にならないことですわ』
アッサム『あなた程度の"努力"など一晩でひっくり返して差し上げますの』
ダージリン「…ってね」
西「なるほど。どことなくアッサムさんらしいですね」
ダージリン「ええ。私はなんとかアッサムの戦う術と場を取り戻すことに成功した…」
西「…」
408: 2017/04/26(水) 23:56:54.12 ID:9bZwe9Ud0
ダージリン「そこから色んなことで競い合うようになったわね。学問、スポーツ、お料理、早食い」
西「は、早食い?!」
ダージリン「どうして早食いが出てきたのかはよくわからないけれども」
ダージリン「もう二度とやりたくないわね…」
西「まさか聖グロで"早食い"という単語が出てくるとは思わなかったです」
ダージリン「…私もよ」ゲンナリ
西(相当厭な勝負だったみたいだ…)
~~~
~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
アッサム「ここまで30勝30敗」
ダージリン「ええ」
アッサム「次の勝負で私は貴女を負かしてみせます」
後輩「では次は早食いで勝負してみてはいかがでしょう?」
ダージリン・アッサム「早食い!?」
後輩「ええ。ちょうどランチの余りが大量にありまして」
後輩「このままでは廃棄処分になってしまう、それをお二方に…」
アッサム「…」
ダージリン「…」
アッサム「…ダージリン、まさか逃げるつもりで?」
ダージリン「何ですって…?」
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~~~~~~~
~~~
409: 2017/04/26(水) 23:59:07.37 ID:9bZwe9Ud0
西「…」
ダージリン「…賛成したアッサムがいけないのよ」
西「…」
ダージリン「私は嫌だったのに」
西「…」
ダージリン「…何よ」
西「…で、結果は?」ジトッ
ダージリン「二人ともお腹を壊して病院送り」
西「」
ダージリン「後ほど先輩方にこっ酷く叱られましたわ」
西「馬鹿なんですか?」
ダージリン「私はイヤだと言った。馬鹿はアッサムでしてよ」
西(あなたも十二分馬鹿である)
ダージリン「何よ」ギロッ
西「いえ…聖グロ史上最高に意味のない勝負だなぁと…」
410: 2017/04/27(木) 00:03:32.85 ID:1AjhjHuM0
ダージリン「…そういえば、アッサムに勝った直後だった」
西「何がです?」
ダージリン「私達がそれぞれ"ダージリン"と"アッサム"というニックネームを授かったこと」
西「ほうほう」
ダージリン「あの勝負で、私やアッサムが改めて評価された」
西「一年生ながら天才として台頭したアッサムさんと、それを打ち破ったダージリンですから」
西「その時に先輩方から評価されるのはごくごく順当かと思われます」
ダージリン「そうね」
西「聖グロの皆さんはニックネームの方ばかりですよね」
ダージリン「ええ。幹部クラスには紅茶に因んだニックネームがついているわ」
ダージリン「チャーチルの操縦手の"ルフナ"、マチルダ車長の"ルクリリ"」
ダージリン「そしてクロムウェル車長の"ニルギリ"」
ダージリン「これらの名前はアールグレイ様が付けて下さったわね」
411: 2017/04/27(木) 00:05:20.01 ID:1AjhjHuM0
西「ではペコ太郎やローズヒップさんはダージリンが?」
ダージリン「ええそうよ。ローズヒップはクルセイダー部隊のリーダーで、その下にもジャスミン、クランベリー、バニラって子がいるわ」
西「なるほどなるほど」
西(………)
ダージリン「…ネーミングの異論は受けないわよ?」
西「ち、違いますよ!」
ダージリン「じゃぁ何かしら?」
西「いやぁ…あははは…」
ダージリン「言いなさい」
西「別に大したことじゃないですよ?」
ダージリン「良いから」
西「むぅ」
412: 2017/04/27(木) 00:07:30.12 ID:1AjhjHuM0
西「もしも、もしもですよ? 私が聖グロの生徒だとしたら、どの様な名前を頂けるのだろうかと思っただけです」
ダージリン「そうね。紅茶に因んで」
ダージリン「"茶番"なんてどうかしら?」
西「………」
ダージリン「冗談よ。そんな顔しないでちょうだい」クスクス
西「何でか知りませんが妙にグサッと来ました…」
ダージリン「そんな大げさなこと言わないで頂戴」
西「衝撃的すぎたので明日から"聖グ口リアーナの茶番"と名乗ります」
ダージリン「悪かったわ。許して頂戴」フフッ
西「ダージリンのばか」プクー
ダージリン「はいはい」
西「む」
ダージリン「そうね。あなただったら―――」
413: 2017/04/27(木) 00:10:35.61 ID:1AjhjHuM0
― 知らなかった。聖グロやダージリンたちにそんな過去があったなんて。
この事を知っているのはアールグレイさんはじめ当時の先輩方、アッサムさん、
そして私だけらしい。
西住さんやカチューシャさんといった他校の皆さんには勿論、ルクリリさんやペコ太郎にすらこの事は話していないそうだ。
ダージリンは何故、ペコ太郎や他の後輩よりも先に私にこの事を話したのだろう…?
そして、その過去を知った今、ダージリンが更に親しく感じた。
いや、"親しく"じゃない
ダージリンの幸せが私の幸せであり
ダージリンの苦痛が私の苦痛である。
ダージリンと過ごしたことによって
ダージリンの気持ちが私の気持ちのように分かるようになってきた。
…そんな感情だった。
それから数日後、私は退院した。
腕や足のギプスは取れ、歩けるようになり、酷使さえしなければリハビリも出来るようになった。
414: 2017/04/27(木) 00:13:34.06 ID:1AjhjHuM0
【知波単学園】
西「おはよう諸君! 久しぶりだなっ!!」
玉田「西隊長殿ぉご無事で!!」
細見「おおおお西殿!!良くぞ戻って参られました!!」
福田「おかえりなさいでありますっ!!」
「ケガの方はもう大丈夫でありますか?」
「また突撃が出来るであります!!」
「是非とも突貫しましょうぞ!!」
「知波単学園、万歳!!」
「いえす!いえす!」
バンザーーーーイ!!!
ワーワーワー!!
ワイワイガヤガヤ
415: 2017/04/27(木) 00:14:57.53 ID:1AjhjHuM0
西「心配かけてすまなかった!私は復活したからま…た……!?」
ワイワイガヤガヤ
ゾロゾロゾロゾロゾロ
西「おおおい!? どうなってんだこりゃあ!?」
玉田「ご説明しましょう! 隊長殿の知波単魂は知波単学園全土に響き渡り」
玉田「その後"我こそは!!"と勇敢にも知波単戦車道の門を叩く者が殺到し、現在に至りますっ!」
西「そ…そうか…」
私の居ない間にえらいことになっていた。
軽く見積もっても入院前の3倍はいる。そういえば学長さんもそんなようなことを言ってたな。
…戦車足りんぞこりゃ。
でも戦車道に興味を持ってくれる人が増えるのは嬉しい。
せっかくだし戦車だけでなくリハビリも兼ねて体力トレーニングをまたやるか!
416: 2017/04/27(木) 00:16:43.64 ID:1AjhjHuM0
西「諸君ッ!!」
西「まずは戦車道を選んでくれたこと感謝するぞ!!」
西「そして、日頃の訓練を経て、より強靭な体と心をもつ真の知波単生となり」
西「その名を全国に轟かせようぞ!!」
ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
バンザァァァァァァァァァァァイイ!!!!!
西「玉田ァ! 知波単の伝統とは何だ!!!」
玉田「はッ! 勇猛果敢に突撃し、敵の猛攻を掻い潜り、懐へ潜り込み、これを攪乱させることにあります!!」
西「細身ィ!! これからの知波単はどう動く!!」
細身「はいッ!! 突撃部隊と緊密なる協同の下に敵主力部隊を打破、我がチームを勝利に導くことにあります!!」
西「その通り!! 知波単学園は今まで背負ってきた伝統と」
西「新たな戦術を巧みに織り交ぜ」
西「新たな強豪校として、我ら一丸となりて全国の頂点を目指そうぞ!!!」
ウォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
チハタンバンザァァァァァァァァァイ!!!!!!
417: 2017/04/27(木) 00:17:27.46 ID:1AjhjHuM0
知波単学園は生まれ変わった。
突撃は伝統だけど、それだけが全てじゃない。
あらゆる状況に応じて柔軟な戦術を模索する。
知波単学園は生まれ変わった。
強豪校を目指して、全国優勝を目指す新たな仲間を迎える事ができた。
知波単学園は生まれ変わった。
入院生活は退屈かなと思ったけれど、色んな人が来てくれたお陰で充実した日々だった。
さすがに布団に寝転がってずっと過ごすのは嫌だけど、ダージリンや皆と楽しく過ごせたのはとても幸せなことだったと思う。
私は変わることが出来たかな?
◆1 入院生活 おしまい
418: 2017/04/27(木) 01:20:28.78 ID:tTrTcNvp0
乙
伝統と革新の両立を目指す知波丹の新たな門出に幸あれ
伝統と革新の両立を目指す知波丹の新たな門出に幸あれ
419: 2017/04/27(木) 06:08:11.63 ID:oQPOqZr1O
乙
引用元: 【ガルパン】西「四号対空戦車?」
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