1: ◆VEKixXsFvlSQ 2017/03/26(日) 15:42:51.10 ID:LFUQ7pFz0

2: 2017/03/26(日) 15:54:36.73 ID:LFUQ7pFz0
11:少年エルフ「進路相

3: 2017/03/26(日) 23:28:17.75 ID:2u9aiG6O0
#1 私のパパがこんなに可愛いわけがない ~超魔力学園の秘密クラス~

4: 2017/03/26(日) 23:29:57.52 ID:2u9aiG6O0
○超魔力学園・Aクラス

\ざわざわ/ \しずーかーにー/

担任A「では転校生を紹介します」

ガラッ テクテクテク

廊下からボブカットの少女が歩いてくる。

\年下?/ \飛び級?/

担任A「今日からAに入るエルフ子さんです」

エルフ子「ょ……よろしくおねがいします」カアア

\きゃー/ \かわいー/

エルフ子「……」カアア

担任A「ほらあそこ座って、授業はじめるよー」

\ざわざわざわ/

エルフ子は示された席にすわる。

エルフ子(少年エルフ)「うぅ……(どうしてこうなったの……)」

少年エルフは女装している。

5: 2017/03/26(日) 23:31:45.99 ID:2u9aiG6O0
○数日前 魔法都市・ホテル、少年エルフ達の部屋

娘友「だーかーらー、オトコは短髪指定だから耳隠せないでしょ」

少年エルフ「だからって女装だなんて」

白竜(人型)「大丈夫きっと似合うわよー」

バサッ

少年エルフはボブカットのウェッグを被せられる。

娘友「かわいいー♪」

少年エルフ「うう(僕オトコなのに)」

娘「パパ、嫌ならやめておいたほうが……」

娘友「何言ってんの! エルフさん憧れの学園生活ですよー」

少年エルフ「学園……学校生活」パアア

6: 2017/03/26(日) 23:34:26.59 ID:2u9aiG6O0
白竜(人型)「じゃあ次はこの『男の娘矯正パンツ』を」

少年エルフ「う゛っ、なにそれ」ズーン

白竜(人型)「これはね気になる膨らみを矯正して女性ものでもすっきりはけるパンツアンダーパンツよ~」

\そこまで……ダメ―!?/ \オンナは下着からよー/

スパーン

娘「パンツアンダーパンツって意味わかんないんだけど。 ……第一パパが潜入しなくても」

第七王女「駄目じゃ! 高魔力のAクラスにはエルフ以外潜入できんのじゃ」

娘「そうだけど……、学校に魔王?……いるのかしら?」

男子「魔王城の跡地ってだけだしな」

第七王女「絶対に魔王はおるのじゃ! それにエルフ自身も学校に行きたがったじゃろうが」

娘「それは……」

男子「エルフさん学校いったことないからなぁ」

女兵士「そうなんだ……。 それじゃあ行きたいよねぇ」

少年エルフ「確かに学校には行きたいけど……けど」

7: 2017/03/26(日) 23:36:49.74 ID:2u9aiG6O0
○現在・超魔力学園Aクラス

エルフ子(少年エルフ)「……(普通の格好で学校に来たかった)」

\ねえ/

エルフ子「はぁ……(エルフ族だってのをを隠すため……でもなぁ)」

\エルフ子さん エルフ子さん/

エルフ子「……(それにしても誰も僕がオトコって気づいてないの? ホントに?)」

委員長「エルフ子さんッ」

エルフ子「うわっ!?」

エルフ子は隣のお団子ヘアーの女子生徒が呼びかけているのに気づいた。

委員長「授業はじまってますよ、大丈夫ですか?」

エルフ子「ごめんなさい……。えっと?」

委員長「委員長です、教科書まだお持ちでないですよね? 一緒にどうぞ」

エルフ子「はい、ありがとう……ございます」ドキドキ

委員長「ふふ……かわいいですね」

エルフ子「……(なんでバレないの!?)」カアア


10: 2017/04/01(土) 21:30:11.64 ID:g9AKW57s0
#2 WANTEDじゃんくしょん

11: 2017/04/01(土) 21:33:02.83 ID:g9AKW57s0
○休憩時間・Bクラス2

休憩時間、第七王女が女子生徒と話している。

「へー王女ちゃんていうんだ、お姫さまみたいな名前ね」

「あるよねーお姫様の命名にあやかって名づける事」

第七王女「うむ、よくある事じゃな」カッカッカ

娘「大丈夫そうね……(お姫様本人とはさすがに思わないか)」

娘「それにしても……」フゥ

「それで趣味は何かな?」「よかったら今度一緒に乗馬でも」「お姉さまって呼んでもいいですか」

娘「んー……(メンドクサイわね)」

娘は生徒たちに質問攻めされている。

「で、付き合ってる人居るの?」

12: 2017/04/01(土) 21:34:52.58 ID:g9AKW57s0

\ざわっ/

娘「それは……(きたわ一番面倒くさいのが……、いつもの手で)」

「もしかして居るの? それとも居ないの? 居ないなら……」

娘「もちろん居るわよ」ニッコリ

\ええーっ!?/ \ギャアア/

「だだだ誰ですかそれは!?」

娘「……それはね」

13: 2017/04/01(土) 21:36:23.02 ID:g9AKW57s0
○校庭・Cクラス

体育教師「よしやめー、昼飯くったら一般科目だぞ寝るなよ」

教師が体育授業の後かたずけを指示して校舎へ歩いていく。

娘友「なんで魔法学校に体育があるのよーっ!」バタッ

「Cクラスは魔法が使えない組だから…… ほら片づけよ」

グラウンドに倒れた娘友を女子生徒が気遣う。

男子「どうした友、大丈夫か?」

娘友「大丈夫よーちょっと休んだらやるから」ひらひら

男子「わかった」のしのし

片手で応じる娘友を見て男子は用具を片付けに歩いて行った。

14: 2017/04/01(土) 21:38:01.93 ID:g9AKW57s0
「一緒に入って来た男子君カッコイイね、背が高くて、筋肉すごいし……」ドキドキ

娘友「そーね元々騎士科だったしね」

「そうなんだ……、Bクラスに入ったヒトが彼女ってホント?」

娘友「うおっと何それ? 娘の事?」

「だって噂で……」



男子「やれやれ、腹が減ったな」

「君が男子君かっ!」

背後から男子生徒が呼びかけた。

男子「む、なにかようか?」

「君が娘君の彼氏だと聞いた、彼女をかけて決闘を申し込むっ!」シュッ

15: 2017/04/01(土) 21:39:01.93 ID:g9AKW57s0

バシン

男子の顔面に手袋が投げつけられた。

男子「……またか(いつもの事とはいえ)」

「ようしでは方法は君に任せよう、好きな方法をいいたまえ」

\ざわざわ/ \決闘だ/

見物人が集まって来た。

男子「……(逃げれる雰囲気じゃないな)わかったわかった。 そうだなお前Bクラスだから魔法使えるんだよな」

「もちろんだ」

男子「じゃあ、好きな攻撃魔法うってこいよ。俺を倒したらあんたの勝ち、耐えたら俺の勝ちで」

「なっ!? なめられたものだなCのくせに……くらえ『爆裂』」

男子「むんっ」

ドドォン

16: 2017/04/01(土) 21:41:41.13 ID:g9AKW57s0
爆発が収まり砂埃が収まると……。

男子「ゲホゲホ……、久々に爆裂くらったな……。よし俺の勝ちだな」

男子が平然として現れたが。

「なにぃ!? ってお前」

男子「ん?」

\キャー――/

女子生徒の悲鳴があがる。

男子「うわっ服が」

男子はジャージが爆発で吹っ飛んで裸になってしまった。

男子「おおお! おいお前ジャージ貸してくれっ」

「でかっ!? うわっ来るなっ うわああああ」

男子「逃げるなお前の責任だろっ」

「ひいいいいい」

\キャーー/

17: 2017/04/01(土) 21:43:25.90 ID:g9AKW57s0
○Aクラス専用食堂

エルフ子(少年エルフ)「ん?」もぐもぐ

委員長「校庭が騒がしいですね…… 喧嘩でしょうか」

エルフ子「かな? それにしてもどうしてAクラスだけ校舎が別なの?」

委員長「Aは生徒の中でも特に魔力の高い者が集まっており、カリキュラムも独自の物が用意されています。 なので校舎も寮も別々になっている方が都合がよいのです」

エルフ子「えっと授業が別々なの?」

委員長「基本は別々ですね、選択科目でいくつか合同の物もありますが」

エルフ子「なんの科目?」

委員長「薬草学と変性魔法学、あとは占い・予言学ですね」

エルフ子「そうなんだ……、薬草とろうかな」

委員長「あら薬草がお好きですか? 私もとってますから御一緒できますね」

エルフ子「そうなんだよかった」

委員長「ええ……」ふふ

18: 2017/04/01(土) 21:46:50.15 ID:g9AKW57s0
○夜、共同女子寮 娘の部屋

娘友「と、いうわけで。 男子君の筋肉サービスによって無駄な争いは終結したわ」

娘「やっぱりあの爆発はそういうことだったのね」

第七王女「男子が格の違いを見せつけたというわけじゃな」

娘友「格の違いというかナニの違いというか……。 眼福ですた」

第七王女「ふむ? 何か眼福になるような物があったかの?」

娘友「ゲフンゲフン。 そういえば娘、男子君愚痴ってたわよ、また『都合のいい彼氏』にしたなって」

娘「オホホホ……。 おかげで午後からはオトコ共が減っては快適にすごせたわ」

第七王女「なるほど男子を彼氏と思わせることで無駄なアプローチを減らすわけか」

娘「そういうこと、フリーだとオトコ共がうるさいのよホントに」

娘友「はーつらいわー親友がモテすぎでつらいわー」

娘「モテたくてモテてるんじゃないの、もう」

娘友「マジつらいわー」しくしく

19: 2017/04/01(土) 21:49:55.63 ID:g9AKW57s0
第七王女「しかし今後の連絡をどうするかのう、男子には友につないでもらうとしてエルフと連絡がとれんのう」

娘友「そうね、寮もAクラスだけ別だし全室個室で夜間は原則外出禁止」

娘「パパと連絡がとれないわね、困ったわ」

第七王女「安心するのじゃ、わらわが今夜にでも忍び込んで話してくるのじゃ」

娘「そうね、王女お願いするわ」

第七王女「もとより、この学校は調べ尽くすつもりじゃからな」

娘友「そうね……、だったらアタシは新聞部に入ろうかと思うわ」

第七王女「なるほど諜報活動にはもってこいじゃな」

娘「わたしは部活はおいといて……学内の魔力異常がないかしらべるわ、パパ程精密にできないけど」

第七王女「そうじゃなしばらくはわらわと娘は自由に調査したほうがよいの」

娘「そうね……それにしてもパパ大丈夫かしら、バレてないわよね」

娘友「まさか一日目でバレることはないでしょ」

第七王女「そうじゃよ、昨日今日でバレるような変装ではなかろ」

娘「……そうだけど」

20: 2017/04/01(土) 21:51:56.26 ID:g9AKW57s0
○深夜・Aクラス専用女子寮の大浴場

湯気が揺らめく中、倒れた少年エルフの前に委員長が立ちはだかっている。

委員長「貴方、その耳は……。 まさか『エルフ族』?」

少年エルフ「……(ど、どどどうしようバレタ)」


23: 2017/04/08(土) 21:32:50.10 ID:wuEFNQ+K0
#3 PとHW

24: 2017/04/08(土) 21:34:01.46 ID:wuEFNQ+K0
○数十分前・Aクラス専用女子寮、少年エルフの個室

ゴソ

エルフ子(少年エルフ)「ん……、そろそろ」

少年エルフはベットから起きると着替えをもって大浴場へ向かった。

エルフ子(少年エルフ)「……(この時間ならだれもいないよね)」

○大浴場前

エルフ子「……(お風呂も食堂もいつでも利用できるっていってたけど。 すごい設備だなぁ)」

エルフ子は入り口で耳を澄ます。

シーン

エルフ子「……(大丈夫、誰も入ってないね)」

25: 2017/04/08(土) 21:35:25.76 ID:wuEFNQ+K0
○大浴場・脱衣所

カパッ

少年エルフは飾り耳付きウィッグを外した。

少年エルフ「ふぅ、これ耳が蒸れる……。 仕方ないけど」ポリポリ

ペタペタ……ガラガラガラ

少年エルフ「すごい湯気、先が見えないや」

少年エルフは大浴場に足を踏み入れると。

石鹸「!」

少年エルフ「うわあ!?」

つるーん

ドタ ガラガラカラーン

少年エルフは石鹸を踏んで盛大に転んでしまった。

26: 2017/04/08(土) 21:36:44.27 ID:wuEFNQ+K0
少年エルフ「いたた……」

ペタペタペタ

少年エルフ「え?」

湯気の向こうから委員長があらわれた。

委員長「大丈夫? すごい音が……、エルフ子さん?」

少年エルフ「うそ……(なんで居るの!?)」

少年エルフは咄嗟に下半身を隠した。

委員長「あなたその耳……『エルフ族』なの?

27: 2017/04/08(土) 21:38:27.96 ID:wuEFNQ+K0
○Aクラス専用女子寮・洗濯室

スチャ

第七王女「ふむ……(都合よく窓があいてて助かったわい)」

第七王女が洗濯室の開いていた高窓から忍びこんだ。

第七王女「おぉ……(最新の洗濯魔導器がこんなに)」

王女は並んだ洗濯槽と乾燥器に感嘆の声をあげる。

第七王女「ふむぅ……(なんという資金力、やはり裏がありそうじゃな)」

スッ

第七王女「……(しかし、まずはエルフと連絡を取らねば)」

第七王女は音も立てずに移動を始めた。

28: 2017/04/08(土) 21:39:31.77 ID:wuEFNQ+K0
○大浴場

少年エルフ「あの…… その……」わたわた

ガラガラガラッ

更に誰かが脱衣所に入ってきたようだ。

少年エルフ「え? そんな!?」

委員長「……こっちよ」グイ

少年エルフ「え? え?」

ザプン

委員長は少年エルフを引っ張って湯船にはいった。

29: 2017/04/08(土) 21:40:35.88 ID:wuEFNQ+K0


少年エルフ「あ、あの……」カアア

委員長「ダメ、喋らないで……”無音霧”」

委員長は魔法の霧を辺りに造り出した。

ゴソゴソ

脱衣所に入ってきた何者かは何かを探しているようだった。

少年エルフ「何してるんだろう、入ってこない……」

委員長「静かに、離れないでください、」ぎゅう

委員長は少年エルフを抱き寄せる。

少年エルフ「あのちょっと近い、離して……」カアア

委員長「駄目です、私の魔法はそんなに範囲がありませんから」

30: 2017/04/08(土) 21:41:50.57 ID:wuEFNQ+K0
むにゅう

少年エルフ「ッ……(うわぁ背中に胸が、やらわかい!)」ドキドキ

ガラガラッ

脱衣所の何者かは出て行ったようだ。

委員長「よかった、中には入ってこなかったようですね」

少年エルフ「あの、今のは……」

委員長「最近、校内に不審者が出るという噂です」

少年エルフ「不審者? どういう?」

委員長「まってくださいまた誰か来ます」

ドタドタドタ……ガララッ

風紀委員「誰か入ってる!?」

風紀委員が制服のまま大浴場に入ってきた。

31: 2017/04/08(土) 21:42:55.98 ID:wuEFNQ+K0

委員長「(潜って……)はい私です」

少年エルフ「ブクブク……」

少年エルフは頭を押さえられて湯船に潜らされた。

風紀委員「委員長またこんな時間に入ってる。 例の変質者がでたのよ早く部屋に戻って」

委員長「わかりましたわ」

\キャー 出たー/

風紀委員「あっちか、被害があったら後で報告して」

ドタドタドタ

風紀委員はあわただしく駆け出していった。

委員長「……行きましたわ」

少年エルフ「ぶはっ」

委員長「大丈夫ですか? ……耳先まで真っ赤ですよ」

少年エルフ「う……、のぼせました」ドキドキドキ

32: 2017/04/08(土) 21:43:53.67 ID:wuEFNQ+K0
○廊下

廊下の曲がり角で第七王女は様子を伺っていた。

\バタバタ/ \キャー/
 
曲がり角の先から足音と悲鳴が聞こえてくる。

第七王女「……(妙じゃな、こんな夜更けに騒がしいのう)」

王女が廊下の先を伺うと。

狼男「へっへっへ……」

パンツをはいた狼男が息を切らせて走って来た。

第七王女「くっ!? 曲者ーッ!!」

33: 2017/04/08(土) 21:45:17.52 ID:wuEFNQ+K0
○脱衣所

少年エルフ「え? 無くなってる!?」

委員長「やっぱり、先ほどのは噂の下着泥棒さんでしたね」

少年エルフ「うそ……、委員長も?」

委員長「私のは隠してたので無事です。ほらこれで耳を」

クルクル

委員長はタオルで少年エルフの頭を包み耳も隠す。

委員長「服を着たら私の部屋へ、そちらの方が近いですから」

少年エルフ「はい……」カアア

少年エルフは委員長に背中を向けて服を着だす。

少年エルフ「う……(すごいスース―する)」

34: 2017/04/08(土) 21:46:28.87 ID:wuEFNQ+K0
○廊下

\くせものー/

風紀委員「こっちね!」

風紀委員が駆け付けると、第七王女が狼男と戦っている。

第七王女「おのれ珍妙な奴め! わらわが成敗してくれる」

ヒュンヒュン

第七王女はナイフを持って狼男と高速戦闘を行っている。

狼男「ぬぅ、なんというデンジャラスガール」

風紀委員「見つけた! 覚悟なさい下着泥棒っ”麻痺”」

シュババッ

駆け付けた風紀委員の杖から麻痺光線が飛び出す。

35: 2017/04/08(土) 21:47:18.62 ID:wuEFNQ+K0
バシン

狼男「うおっと、こりゃまずい逃げるか」

麻痺光線を避けると狼男は窓へとりつく。

第七王女「おのれ逃すか」

シュッ

狼男「いってぇ!?」バタバタ

狼男は尻にナイフが刺さるもそのまま逃げていった。

第七王女「ぬぅ、逃がしたか。しかしこんなところに狼男とは……」

36: 2017/04/08(土) 21:48:38.58 ID:wuEFNQ+K0
○委員長の部屋

バタン

委員長「これで一安心ですね、大丈夫ですかエルフ子さん」

少年エルフ「あ、あの……その、なんで」

委員長「『なぜエルフ族に驚かないか』ですか?」

少年エルフ「……はい」

委員長「そうですね……、うん。知ってもらったほうが早いですね」

バサッ

そういうと委員長は団子ヘアーを下す。

委員長「手を」

37: 2017/04/08(土) 21:49:21.23 ID:wuEFNQ+K0

少年エルフ「何?」ドキドキ

委員長は少年エルフの手を取り、自身の頭へ促す。

委員長「わかりますか?」

少年エルフ「これは……角?」

少年エルフが触る先に髪の下に突起が当たる。小さい角のようだ。

委員長「はい、私は『魔族返り』なのです」

38: 2017/04/08(土) 21:50:05.33 ID:wuEFNQ+K0
○廊下

風紀委員「あ、あなた!」

第七王女は風紀委員に呼びかけられた。

第七王女「うーむ(しまったどう誤魔化すかのう)わらわは……その」

風紀委員「貴方素晴らしい身体能力だわ、風紀委員会に入らない」

第七王女「おお? ……うむ任せるのじゃ、あのような狼藉物を一緒に捕まえようぞ!」

第七王女はその場のノリで風紀委員会に所属した。

39: 2017/04/08(土) 21:51:33.78 ID:wuEFNQ+K0
○委員長の部屋

委員長「似た境遇の方と会うのは初めてなのでとても嬉しいのです」

少年エルフ「あの……『エルフ族』は嫌いじゃないの?」

委員長「嫌い? なぜ? こんなにカワイイ子なのに」ぎゅうう

委員長は少年エルフを抱きしめるとクルクルと回転する。

少年エルフ「え?あの(あれ? カワイイ子?)」

ゴン、カチャ

委員長「あらいけない……、メガネメガネ」オロオロ

委員長は落としたメガネを探しているが拾えない。

少年エルフ「……あの、ここに」

スッ

委員長「ありがとうございます。 駄目ね、メガネがないと小さいものは見えなくって」

少年エルフ「小さい……」ズーン

委員長「どうしたのエルフ子さん?」

委員長にエルフがオトコだということはバレていなかった。


43: 2017/04/15(土) 21:15:50.62 ID:z/rOQc510
#4 マッガーレ、スプーン!

44: 2017/04/15(土) 21:17:04.40 ID:z/rOQc510
○翌日、休憩時間・中庭

第七王女「と、いうわけで風紀委員になったのじゃ」

娘「フリーでいようって話じゃなかったっけ?」

第七王女「それはのう、まぁその場のノリでじゃな」

娘「まあいいけど……、確かに風紀委員とかなら一般の生徒が知らない所も調べられるでしょうね。 でも」

娘友「エルフさんと連絡がつかなかった、でしょ?」

娘「それよそれー、あー~もう。心配だわ、ヘンな生徒に絡まれてないかしら」

娘友「そんな娘に朗報よ、エルフさん合同授業の薬草学に出るみたいよ」

娘「ホント!? 薬草学って何処?いつ?」

娘友「えっと別棟の次の時限みたい……」

フォン

娘は別棟へ消えた。

娘友「はっや」

第七王女「娘はエルフの事になると容赦がないのう」

娘友「前回の事もあるし、不安なんでしょ」

45: 2017/04/15(土) 21:18:05.34 ID:z/rOQc510
○調合室

広くない薬草・魔法薬の実習室だが生徒は疎らである。

エルフ子(少年エルフ)「薬草学って人少ないね」

委員長「そうですね、魔法に比べるとやはり地味ですから」

ガタガタ

委員長とエルフ子は並んで座った。

エルフ子「委員長さんはどうして薬草学を?」

委員長「ただ単に植物が好きだったので……エルフ子さんは?」

エルフ子「僕も山育ちだし草花は好きだしそれに……」

娘「実際に薬師の助手をしてたからよね? エルフ」

娘があらわれた。

46: 2017/04/15(土) 21:19:34.25 ID:z/rOQc510
エルフ子「あ、娘」

娘「ここ座るわね(……よかった会えたわ)」

ガタ

娘はエルフ子の隣に座った。

委員長「あらコンニチワ、エルフ子さんのお知り合い?」

エルフ子「あ、そうだね娘は僕の……えっと」アセアセ

委員長「……?」

娘「私とエルフ子は……親戚なのよ。 そうでしょエルフ」

エルフ子「うん、そう……いとこみたいなもの」アセアセ

委員長「そうでしたか……(いとこみたいな?)」

娘「貴方は? エルフ子と同じクラス?」

47: 2017/04/15(土) 21:21:38.97 ID:z/rOQc510
委員長「ええ私は委員長です」

娘「そう委員長ね……、エルフが世話になってるわね」

委員長「いえエルフ子さんはその……まだ若いのにとても優秀ですね」

娘「知ってるわ長い付き合いだしね……(この感じ、まさか)」ニコニコ

委員長「私は日は浅いですけどすっかりいいお友達になりましたわ(親戚? 全然似てないじゃない)」ニコニコ

娘「そのようね(……怪しい)」ニコニコ

委員長「はい(……怪しい)」ニコニコ

エルフ子「どうしたの二人とも?」

娘「エルフ? 昨日は初日だったけど大丈夫だった?」

エルフ子「えっ! 大丈夫なにもないよ」ドキドキ

娘「……(ッ!? エルフがウソを……一体なにが)」

48: 2017/04/15(土) 21:22:52.83 ID:z/rOQc510
委員長「エルフ子さんどうかしましたか? 大丈夫ですか?」

エルフ子「委員長さんまで、大丈夫だよ何もないって」ドキドキ

委員長「そうですよね……(この反応……普通じゃない)」

娘「とにかく、よろしくお願いしますね委員長さん(……さてはオトコと判って狙ってるわね! エルフは渡さないわよ)」

委員長「いえこちらこそよろしくお願いしますね娘さん(……さてはエルフハンターですね、エルフ子さんは私が守ります!)」

キーンコーンカーン……

授業が始まった。

49: 2017/04/15(土) 21:24:08.34 ID:z/rOQc510
○Cクラスの教室

男子「次は何の授業だっけ?」

男子は同級生に話しかける。

「超魔力実習だ『裏切者』」

「教室移動だぞ『裏切者』」

男子「わかったから、それとその呼び方そろそろ勘弁してくれよ……」

男子のあだ名は『裏切者』になっていた。

「許してたまるか! なんで娘さんがお前みたいなゴリラと!!」

「絶望した氏んでやるー」

ダダダ―。

同級生は現実から逃げ出した。

男子「はー、とりあえず移動するか」

50: 2017/04/15(土) 21:25:50.71 ID:z/rOQc510
○魔法実技室

巨O教師「始めての者もいるから言っておく、貴様らは魔力のないクズだ!」ぺシンッ

教師は教鞭を手にして高圧的に話している。

男子「……(美人だけど性格きつそうだな)」

娘友「……(おのれ巨Oめ)」

巨O教師「しかし、そんなお前らでも魔力に頼らない魔法を発見した。見ろ」

フワッ

\おお/

教師が手を放すと教鞭が空中に浮かび上がった。

娘友「なによ手品じゃない」ボソッ

51: 2017/04/15(土) 21:26:50.38 ID:z/rOQc510

巨O教師「そこ私語は禁止だ!」

シュッ ベシン!

娘友「ぎゃう!?」

浮遊していた教鞭がひとりでに振るわれ娘友の脳天を打った。

\おおお~/

巨O教師「これは隣の研究所にて発見され特別にこの学校での訓練が許されたものの一つだ。我々はこれを魔力を超えた魔力、すなわち超魔力とよぶ」

男子「すげぇ……」

巨O教師「魔力は関係ない、貴様らにも出来る。潜在能力を開花させるのだ」

\うおおおーッ/

巨O教師「では貴様らにはまずこれを曲げてもらおう」

52: 2017/04/15(土) 21:29:22.54 ID:z/rOQc510


班ごとに分かれた生徒たちがスプーンを手にしきりに擦っている。

巨O教師「そろそろ一人ぐらい曲げる奴は出ないのか?」

男子「ぬおお……」ゴシゴシ

「まっがーれ!……」ゴシゴシ

「チンチラホイ!」ゴシゴシ

巨O教師「気合を入れろ!」

娘友「……こんなの曲がるわけないじゃない」

「友ちゃん……、でも現実に先生曲げてるし」

53: 2017/04/15(土) 21:31:00.86 ID:z/rOQc510
娘友の前にスプーンが漂ってくるとひとりでにお辞儀をした。

娘友「……(バカな)」

超魔力教師「貴様、もっと集中しろ!」

娘友「でもセンセ、これ出来た生徒はいるんですか~?」

超魔力教師「確かに出来る者は少ないかもな、だから少しでも曲げれた班は特別講習でより超魔力を伸ばしてもらうぞ」

「特別講習……」

「先生の……」

\うおおおお/

半数の生徒が曲げようと必氏になる。

娘友「オトコてやつぁ……」

54: 2017/04/15(土) 21:33:40.23 ID:z/rOQc510


「かってぇー」

同級生は力づくてスプーンを曲げようとしている。

「おい男子今こそゴリラパワーを見せてくれ」

男子「おいおい、それだと超魔力関係ないだろ」

「そんなの後でどうとでもなる。先輩情報によれば特別講習さえ受ければ出来るようになるらしいぜ」

男子「ホントか?……(超魔力が使えるようになれば娘にもバカにされないかもな)」

男子「よし、……フンッ」メキッ

ペキン

男子のもつスプーンの頭が吹っ飛んだ。

\おお/

55: 2017/04/15(土) 21:34:44.22 ID:z/rOQc510
パシッ

超魔力教師「ほう貴様ら……、後で残れ」

教師は飛んできたスプーンの頭を受け止めると男子たちの班に言った。

「やったああ」

「ゴリラ万歳」

男子「やれやれ……」


58: 2017/04/22(土) 21:02:19.89 ID:18UGRFWk0
#5 強敵と書いて……

59: 2017/04/22(土) 21:03:36.28 ID:18UGRFWk0
○調合室

生徒たちが課題の試薬を調合している。

ガヤガヤ

エルフ子(少年エルフ)「結構簡単だったね」

委員長「すごいですねエルフ子さん、こんなに早く出来るなんて」

エルフ子と委員長は課題を終えていた。

エルフ子「委員長さんだってできてるじゃない」

委員長「私は独学でやってましたから」

エルフ子「あと何したらいいんだろ?」

委員長「あとは自習ですよ、私はいつも新しい調合を試しています」

エルフ子「へぇどんなの? 見せて」

委員長「ふふ……、お見せするほどではないかもしれませんが」

60: 2017/04/22(土) 21:04:44.24 ID:18UGRFWk0


娘「うぐぐ……、早く終わらせないと」

ゴリゴリ

娘は乳鉢と乳棒で試薬を混ぜ合わせる。

\わぁすごい/

\これは魔法薬に近い調合ですよ/

娘「むぐぐ……、あの子があんなに調合ができるなんて……」

ゴリゴリ……バチバチ

焦りから漏れた魔力が電撃となって試薬を焦がした。

娘「あっ……(そうよ体質的に無理なんだった、忘れてたわ)」

61: 2017/04/22(土) 21:05:39.40 ID:18UGRFWk0
娘「ねぇエルフ、手伝ってくれない?」

エルフ子「娘? 仕方ないなぁ」

委員長「あら、手伝わなくていいんですよエルフ子さん。 課題なのですから」

エルフ子「え? でも……、ほら人によっては難しい所もあるから」

エルフ子は娘の課題を手伝い始める。

娘「ありがとパ……エルフ」ニコニコ

委員長「むー、(このままではエルフ子さんが)」

カチャカチャ

委員長は忘却薬を調合した。

62: 2017/04/22(土) 21:06:48.32 ID:18UGRFWk0


エルフ子「娘、それ計ったら頂戴」

娘「はーい、やってるわ」

委員長「もうできますか?」

娘が振り向くと委員長が微笑んでいる。

娘「何……(邪気が)」

委員長「エルフ子さんと本当に仲がよろしいのですね」

娘「そりゃあ、長い付き合いだもの」

委員長「だとしても随分と……甘えすぎではありませんか?」

娘「それは仕方ないじゃない家族、……のようなものなんだし」

委員長「家族……、いとこでは家族ではないと思いますが?」

63: 2017/04/22(土) 21:08:27.72 ID:18UGRFWk0
娘「……一緒にいたら家族よ」

委員長「はっきり申し上げて、エルフ子さんを便利に使ってないですか?」

娘「便利にってそんな……」

委員長「とりあえず、こちらに来たことを忘れて考えなおしてみては?」

娘「はぁ? それはどうい――」

委員長「あら、テガスベッタワー」

委員長は手にしていた忘却薬を振りまいた。

娘「だろうと思った」

ヒュッ

娘は薬をかわした。

64: 2017/04/22(土) 21:09:37.71 ID:18UGRFWk0
エルフ子「娘まだー?」

ぼわっ

委員長・娘「「あ!?」」

撒かれた薬をエルフ子が頭からかぶってしまった。

エルフ子「うわぁ!? なにこれ」ゲホゲホ

委員長「きゃああ大変」

娘「こっち早く!!」

娘はエルフ子を引っ張って調合室のシャワーを浴びせる。

ザァー

\どうしましたか/

委員長「すません誤って薬品が掛かってしまい……」

65: 2017/04/22(土) 21:10:55.11 ID:18UGRFWk0
娘「エルフ大丈夫?」

エルフ子「ん? んん」ボー

娘「とりあえず着替えさせないと……こっちへ」

ダダッ

娘はエルフ子を引っ張って教室を飛び出した。

委員長「ああもう、どうして」

66: 2017/04/22(土) 21:12:45.70 ID:18UGRFWk0
○女子更衣室

娘「はやく着替えて」

エルフ子「ふえ?」ボー

娘「脱がすわよ」

テキパキ

エルフ子は娘に服を脱がされ、最後にウィッグを外され少年エルフに戻った。

少年エルフ「ほえ?」ボー

娘「様子がおかしいわね……解毒がいるのかしら」

ガラッ

委員長「あの……、中和剤をって。エルフ子さん!?」

委員長は一糸まとわぬ少年エルフを見て驚く。

娘「早く解毒を……って、どうしたの?」

委員長「ウソ……、生えてる!?」

娘「え、知ってたんじゃないの!?」

委員長「知って? 知ってたの!?」

67: 2017/04/22(土) 21:15:39.54 ID:18UGRFWk0


少年エルフは娘のジャージを着せられ端に座っている。

少年エルフ「……(バレタ……見られた……)」カアア

委員長「……そうでしたか、それでこの学園に」

娘「貴方を誤解してたわ、それに『エルフ族』のことを黙っていてくれてありがとう」

娘は委員長に経緯を説明した。

委員長「それは私も似たような所がありますので」

娘「それでもよ……。 それと秘密を知ったついでにAクラスでエルフの事頼めるかしら?」

委員長「それはもちろん、大切なお友達ですから」ニコニコ

娘「いいえ、普通に友達でいいわよ」ニコニコ

委員長「……」ニコニコ

娘「……」ニコニコ

ゴゴゴゴゴゴ

68: 2017/04/22(土) 21:16:51.19 ID:18UGRFWk0
少年エルフ「娘? 委員長さん?」

娘「大丈夫よ話はついたわ」ニコニコ

委員長「ええ聞きましたわ」ニコニコ

少年エルフ「……(なんか笑顔がコワイ)」

娘「それにしても魔王調査のことよく信じる気になったわね」

委員長「それは私も完全に他人事ではありませんし、ここに来てから『魔族返り』が進行してるような気がするのです」

少年エルフ「そうなんだ」

委員長「ええ、ですから私も魔王調査の件。手伝わせてください」

委員長が仲間に加わった。


71: 2017/04/29(土) 21:36:16.31 ID:f8FMA2Nl0
#6 魔法学校の怪談

72: 2017/04/29(土) 21:37:27.53 ID:f8FMA2Nl0
○夜・Aクラス専用女子寮

第七王女「おのれ曲者!」

ダダダダ

狼男「今日もいるのか!?」

またも現れた下着泥棒を第七王女が追いかけている。

風紀委員「それはこっちのセリフです、毎回毎回いい加減にしてください!」

風紀委員があらわれ行く手を遮る。

狼男「くっそ、今日は収穫ゼロか」

ダッ

狼男は窓を開け外へ逃げ出す。

風紀委員「3階なのに!?」

第七王女「逃がすか」

風紀委員「まってください!?」がしっ

風紀委員が飛びおりようとした第七王女を捕まえる。

第七王女「こりゃ、逃げられるじゃろう」

風紀委員「ダメです、危険すぎです。 それに夜間は外出禁止ですよ」

73: 2017/04/29(土) 21:38:15.78 ID:f8FMA2Nl0
○翌日、中庭・昼食休憩

第七王女「なにが外出禁止じゃ、それだから捕まえられんのじゃ」

王女が不満をいいながらサンドイッチをかじる。

娘「なんだかんだと学校生活楽しんでない? 目的覚えてる?」

第七王女「もちろんじゃ、友。 調べはついておるよな」

娘友「もちろんよ……と、いいたけど噂レベルの情報しかないわね」

エルフ子(少年エルフ)「どんな噂」

娘友「そりゃもう……、七不思議ってやつよ」

エルフ子「え゛っ」

74: 2017/04/29(土) 21:39:41.22 ID:f8FMA2Nl0
娘友「ひとつ……、音楽室の目が光る肖像画!」

第七王女「音楽室があるのか?」

委員長「音楽魔法や詠唱の発声練習用に一応、あまり使われてませんが」

エルフ子「……(コワイ)」フルフル

娘友「ふたつ……ひとりでになる人食いピアノ」

娘「それミミックじゃないの?」

エルフ子「……(音楽室コワイ)」フルフル

娘友「みっつ……走る初代校長像」

第七王女「ゴーレムじゃないの?」

エルフ子「……(コワイ)」フルフル

娘友「よっつ……うごめくホルマリン標本」

委員長「魔力標本が遊離魔力で動くのは実際ありますよ」

エルフ子「……(標本コワイ)」フルフル

75: 2017/04/29(土) 21:42:05.23 ID:f8FMA2Nl0
娘友「いつつ……夜になると増える13階段」

娘「だいたい数え間違いよねそれ」

娘友「むっつ……異次元への入り口、開かずの扉」

委員長「そういえばAクラス校舎にありますね」

エルフ子「え゛え゛ッ!?」

娘友「ななつ……女子トイレの幽霊」

娘「ちょっと……」

娘友「やっつ……神出鬼没の狼男」

第七王女「あれはただの曲者じゃろう」

委員長「というよりヘンタイさんですね」

娘「それよりなんで七不思議が8個もあるのよ」

娘友「とりあえず調べたらこうなったわ」

76: 2017/04/29(土) 21:43:07.20 ID:f8FMA2Nl0
エルフ子「全部本当なの?」ブルブル

委員長「いくつかは聞いたことありますが本当かどうかは」

娘「エルフ心配しないでほとんどデマよ」

エルフ子「ほんと?」

第七王女「しかしこれでは魔王城や魔物との関係はなさそうじゃのう」

娘友「そーね、記録でも魔王城の後にはお墓になってたし、それが怪談の出どころにもなってるんでしょうね」

委員長「昔お墓でしたはよくあるわね」

エルフ子「ひいぃ」

娘「大丈夫よエルフ、それに実家の裏手は墓地だったでしょう」

エルフ子「それはそうだけど……」

第七王女「それにしても噂が多い学校じゃのう」

委員長「やはり魔法の学校ですからそれの影響もありますかね」

77: 2017/04/29(土) 21:43:53.16 ID:f8FMA2Nl0
娘「エルフは何か魔性の物とか感じないの?」

エルフ子「うーん、感じないというより学校全体に魔力が充満してるからよっぽど強いなにかじゃないとわからないよ」

第七王女「そうか、やっかいじゃのう」

娘友「他に手掛かりないけどどうする? 調べてみる?」

娘「そうね、何かわかるかもしれないし」

委員長「調べるといってもこれは夜じゃないとだめですよね? そこはどうしましょう」

第七王女「それはわららに任せるのじゃ、今夜はわらわが提案した大掛かりな狼男捕獲作戦を行うので教員、風紀委員の動きは把握済みじゃ」

娘友「じゃあ、時間になったら調べにいきましょう、調べる場所はそれぞれ割り当てないと……」

第七王女「ところで男子はなぜおらんのじゃ?」

娘友「男子くんは補習よ」

第七王女「何じゃ? 男子は魔法ができんからか?」

娘友「魔法はできないけど……超魔法、いえ超魔力がね……」

78: 2017/04/29(土) 21:44:40.61 ID:f8FMA2Nl0
○夜・Aクラス用女子寮

第七王女「ようし、では作戦開始じゃ!」

\\おおー//

風紀委員たちの狼男捕獲作戦が始まった。

第七王女「各自配置につくのじゃ……(怪談の調査は娘らに任すしかないの)」



委員長「はじまったようですね、指示されたルートで校舎まで行きましょう」

エルフ子「う、うん」ビクビク

委員長「大丈夫ですか?」

エルフ子「え?! うん大丈夫行くよ」

79: 2017/04/29(土) 21:45:20.55 ID:f8FMA2Nl0
○共同校舎・1階廊下

娘「流石王女ね、誰とも会わなかったわ」

娘友「ほんと、さてアタシ達は音楽室、階段、校長像か急がないと」

娘「そうね……(大丈夫かなパパ)」

娘友「どうしたの、エルフさんが心配?」

娘「そりゃそうよ……、人一倍怖がりなんだから」



81: 2017/05/06(土) 23:34:19.02 ID:lJCNKDEk0
#7 ノッキンオンヘルゲート

82: 2017/05/06(土) 23:35:16.30 ID:lJCNKDEk0
○夜・Aクラス専用校舎の2階廊下

エルフ子(少年エルフ)「う……ぐす」

増える13階段と標本室を見回ったエルフ子は半ベソである。

委員長「大丈夫ですかエルフ子さん?」

エルフ子「大丈夫だって、ちょっと驚いただけだから」ぐすぐす

エルフ子と委員長は真っ暗な廊下を歩いている。

委員長「そうですか……無理しなくて私に任せてもらってもいいんですよ」

エルフ子「ダメだよ委員長さんに任せっきりになっちゃうよ」

委員長「いいんです、友達ですから頼ってもいいんですよ」

エルフ子「ともだち……、うん」ニコ

83: 2017/05/06(土) 23:36:15.19 ID:lJCNKDEk0
○2階女子トイレ前

委員長「さて、ここが開かずの扉と」

エルフ子「こっちが例のトイレ? こんなに近いの?」

トイレの入り口の対面に古い大扉がある。

エルフ子「これが開かずの扉」ブルブル

委員長「というか、搬入口なんですけどね」

エルフ子「搬入口?」

委員長「ほら見てください、扉の向こうは外ですよ」

エルフ子「ほんとだ、扉だけだ」

廊下の窓から扉の向こうをみると部屋はなく空中、外へつながっている。

エルフ子「どういうこと?」

委員長「古い建物でありがちですが、出入り口を通らない大きな荷物を入れるための扉で普段は使わないものなんですよ」

エルフ子「じゃあ開かずの扉って」

委員長「事情を知らない生徒が謎の扉ということで噂を造ったのでしょうね」

エルフ子「なあんだ」

委員長「その筈なんですが、実際に生徒が行方不明になることが……」

エルフ子「ひいぃ」

委員長「違いますごめんなさい、多分早期就職か退学ですよ、ほら次はトイレを……」

エルフ子「待って……、誰かこっちに来るよ」

委員長「こんな時間に?」

84: 2017/05/06(土) 23:36:55.89 ID:lJCNKDEk0


コツコツ

巨O教師「さあ、こっちよ」

男子「こんな時間に授業なんて……」

「だから特別授業なんだよ」

「うひひ」

男子と同級生は巨O教師の後をついて夜の校舎を歩いていく。

巨O教師「ここよ」

「あれここって」

男子「ここが教室か?」

「知らないのか、ここは開かずの扉だぞ」

巨O教師「ふふ、いいえここは開くわよ。 ほら」

ガチャ、キュオオオオオオッ!

扉が開くと光が渦巻いている。

85: 2017/05/06(土) 23:37:33.44 ID:lJCNKDEk0
「うおおすげえ」

「ヤバくないか」

男子「先生これは一体」

巨O教師「さぁ、授業を始めるわよ」

巨O教師が手を振ると男子達が光の中へ放り込まれる。

\\うわああ//

86: 2017/05/06(土) 23:38:10.63 ID:lJCNKDEk0


委員長「……(消えた……)」

エルフ子「……(今の魔法? 男子君……他のコもどこいったの?)」

エルフ子たちは女子トイレから隠れて様子を伺っていた。

巨O教師「さぁて、貴方たちは飛び入りかしら?」

委員長・エルフ子「「……(気づかれてる!?)」」

巨O教師「さぁ、こっちへ」

ブゥン

委員長「きゃああ」

エルフ子「うわああ」

委員長とエルフ子は空中に放り投げられ、そこで浮いている。

エルフ子「なにこれ? 動けない!?」

87: 2017/05/06(土) 23:39:00.44 ID:lJCNKDEk0
巨O教師「あら貴方はAの新顔ね、それと……」

委員長「これは正当な授業なんですか? それとも……」

巨O教師「あらあら委員長さんじゃない、ちょうどよかった前から狙ってたのよ」

委員長「その口ぶり……生徒の行方不明は貴方が」

巨O教師「うーん、その素質に頭脳。 あなたなら王にもなれるかもしれないわね」

委員長「王? 一体何を……」

巨O教師「魔族返りの貴方なら魔王にもなれるわよ」

委員長「なぜそれを!? まさか貴方も」

巨O教師「私? 私は違うわ

エルフ子「委員長さんこの先生、魔族だよ!」

委員長「え!?」

巨O教師「あら正解よ。 ご褒美をあげなくちゃね」

ブゥン

\\きゃああ//

エルフ子と委員長は光の渦の中へ放り込まれた。


90: 2017/05/13(土) 21:20:52.65 ID:iA9e5ThD0
#8 トイレのコックリサン

91: 2017/05/13(土) 21:23:44.05 ID:iA9e5ThD0
○翌日・昼休み、中庭

娘「エルフが居なーい!」

娘友「委員長さんも欠席みたいよ」

第七王女「あと男子もいなくなったようじゃ」

娘「男子はどうせ退学したんじゃないの?」

第七王女「それが学園外の白竜たちと電話したんじゃが居ないようじゃ」

娘友「王国まで一人で行けるわけないし……、同じく行方不明と考えた方がいいわね」

娘「別にどうでもいいわ」

娘友「もう少し興味もってあげて」

第七王女「あと風紀委員会で分かったのじゃが、生徒の行方不明者がかなりいるようじゃ」

娘「そうだったの」

92: 2017/05/13(土) 21:24:52.96 ID:iA9e5ThD0

娘友「表沙汰にならないように、退学や、早期卒業、就職とか内々に処理してるみたい」

娘「……パパ達が担当したのは標本室と階段と開かずの扉だっけ?」

娘友「あと女子トイレの幽霊もよ」

娘「はぁ……午後からはサボりましょ」

93: 2017/05/13(土) 21:26:35.71 ID:iA9e5ThD0
○Aクラス専用校舎・女子トイレ前

娘友「ここが女子トイレの幽霊が出るっていうトイレよ」

第七王女「本当におるのか?」

娘「……何か感じるけど、見えないわね」

娘友「そりゃ真っ昼間じゃね、でも大丈夫。 呼び出しかたがあるから」

第七王女「呼び出し方」

娘友「そう、個室のドアを『コックリサンコックリサン遊びましょう』といいながらノックすると返事が返ってくるという……」

第七王女「ほうほう」

娘友「でも返事を聞いてドアを開けると異次元に連れ去らわれてしまうという恐ろしいのろ……」

こんこんこん

娘「『コックリサンコックリサン遊びましょう』」

娘友「わーっ!? ちょっとはタメラッテ!?」

94: 2017/05/13(土) 21:28:06.17 ID:iA9e5ThD0
\ハーイ カムイ―ン/

何処からか女性の声が答えた。

娘友「キャーー!?」

第七王女「割と気さくな声じゃな」

娘「そうね」ガチャ

娘は個室のドアを開ける。

娘友「だから心の準備が!? いやー!!」

95: 2017/05/13(土) 21:30:06.05 ID:iA9e5ThD0
○異空間・薄暗い中庭

バタン

第七王女「ほう……、ここが異次元かの」

娘「そのようね」

個室のドアをくぐると薄暗い中庭でテーブルと椅子がおいてある。くぐった扉は閉まると同時に消えた。

娘友「閉じ込められてないアタシ達」

娘「そうかもね……、それはあちらも同じようよ」

第七王女「む?」

スゥ

誰もいなかったテーブルに少女の姿が浮かび上がってくる。

狐女「久しぶりのお客さまね、どうぞゆっくりしていって」

狐の獣人が優雅に紅茶を飲んでいる。

96: 2017/05/13(土) 21:32:31.80 ID:iA9e5ThD0
娘「あなたが『トイレの幽霊さん』?」

狐女「そうね……、そう呼ばれているわ」

娘「昨日の夜に男の子……じゃなかった、女生徒が二人やってきたでしょ、ひとりは背が低くてカワイイ……」

狐女「あらいきなり質問攻め? それならゲームをしましょう」

そういって狐女がテーブルを指さすとそこには文字盤とコインがある。

第七王女「数字、文字、はいといいえ……なんのゲームじゃ?」

狐女「なんでも教えてくれる『コックリゲーム』よ、知ってることから知らないことまでなんでもね」

娘「……(質問ゲームをしようっていうのね)いいわ、やるわ」

娘友「まってそれは闇のゲームよ! きっと呪いが」

娘「どっちみちゲームに付き合わないとここを出られないんじゃないの?」

狐女「さぁ、どうかしらね?」

娘友「それもゲームでしか答えないということなのね……うう」

第七王女「おもしろそうじゃ、やるのじゃ」

娘「問題ないわね……、じゃあ始めましょう」

狐女「うふふ、嬉しいわ」

娘たちは文字盤を囲みコインに指を置いた。

97: 2017/05/13(土) 21:34:48.31 ID:iA9e5ThD0
狐女「『コックリサンコックリサン』と言ってから質問してね、そしたらコインが真実を示すから問われた者は正直に答えるのよ」

娘「ウソをつけないわけね」

狐女「そうよ、うふふ」

\コックリサンコックリサン/

娘「昨夜ここに女生徒が来たのを知ってるわね?」

娘友「うわコインが勝手に動く!?」

娘の問いかけにコインが『いいえ』を示した。

狐女「知らないわ」

娘「なんですって!!」

娘が憤慨するが、狐女は動じない。

狐女「じゃあ私の番ね」

娘友「幽霊さんも聞くの!?」

狐女「そうよ、ゲームだもの」

\コックリサンコックリサン/

98: 2017/05/13(土) 21:36:53.26 ID:iA9e5ThD0
狐女「貴方は探してる人とどんな関係?」

コインが動き『カ』『ゾ』『ク』と示した。

狐女「……あら恋人でも探してるのかと思ったのに」

娘「探してるのは友人と私の家族よ」

娘友「ホントにィ? ただのカゾクなのぉ?」ニヨニヨ

娘「友!」

狐女「では次は貴方の番よ」

狐女は娘友に質問を促す。

娘友「アタシ?」

狐女「そうよ、どんなことでも答えてくれるわよ」

娘友「どんなことでも……、男子君が好きな人は誰っ!?」

娘「ちょっと友、そんなどうでもいいこと……」

娘友「どうでもよくない!」

狐女「だいじょうぶよ、聞いてみて」

\コックリサンコックリサン/

99: 2017/05/13(土) 21:38:39.37 ID:iA9e5ThD0
コインは『娘』を示した。

娘友「ぎゃあー、ナムサーン!!」

狐女「あらあら三角関係になったかしら」

娘「なにもないわよ……(まったくあのバカは)」

狐女「ないの? つまらないわね」

\コックリサンコックリサン/

第七王女「この学園から消えた生徒はどこにおる?」

コインが動いて『マ』『カ』『イ』と示した。

娘「マカイって魔界?」

娘友「ホントこれ!?」

狐女「そうねあいつらは魔界の魔王城跡にいるわ」

100: 2017/05/13(土) 21:40:41.31 ID:iA9e5ThD0
第七王女「魔王城跡じゃと!? どうすれば行けるのじゃ?」

狐女「ダメよ質問は一度に一つ、今度はこちらの番よ」

第七王女「むぅ」

\コックリサンコックリサン/

狐女「そうね貴方には消えてほしい人はいる?」

第七王女「何?」

コインが動いて『バ』『カ』『6』と示した。

第七王女「まったくじゃな、あのバカは消えた方が世の中のためじゃ」

狐女「えっとどんな方?」

娘「どーしよーもない王女の兄ね」

第七王女「アレと兄妹かと思うと悲しくなるわ」

狐女「……仲が悪いのね」

101: 2017/05/13(土) 21:43:16.72 ID:iA9e5ThD0
娘「また私の番ね」

\コックリサンコックリサン/

娘「さっき言った『あいつら』って誰? 答えてもらうわよ」

狐女「ん……(このコ、耳ざといわね)」

コインが動き『マ』『ゾ』『ク』と示した。

第七王女「やはり魔族が絡んでおるのか」

狐女「そうね、超魔力学担当の女教師だけど実は彼女は……」


103: 2017/05/20(土) 22:27:37.11 ID:YWVGLnwm0
#9 魔王育成計画

104: 2017/05/20(土) 22:28:31.27 ID:YWVGLnwm0
○???・古びた教室

\ひゃあああ/

\うほおおお/

男子「お前らしっかりしろ」

古びた教室で同級生たちがのたうちまわる。

男子「何をしたんだ先生!」

巨O教師「ちょっとしたおまじないよ……素直になれるわ」

男子「人間じゃ……ないよな」

巨O教師「正解、実は先生はね……」

メキメキメキ

巨O教師の背後から節足が伸びて来た。

男子「……魔族が先生だったのか」

巨O教師は下半身が蜘蛛の女郎蜘蛛だった。

105: 2017/05/20(土) 22:29:15.03 ID:YWVGLnwm0
女郎蜘蛛(巨O教師)「あら、魔族は教師しちゃいけないっていうの?」

男子「え?、いや……」

女郎蜘蛛「私だって教師やって皆に教えたかったのよ」

女郎蜘蛛がしなを造りながら男子に詰め寄る。

男子「い、いやしかし……こんな所で何を教えようっていうんだ?」デレデレ

男子は胸元を強調しながら詰めよる女郎蜘蛛から目をそらしながら問う。

女郎蜘蛛「それは……こうよっ」シュシュー

男子「うわああ」

男子は女郎蜘蛛の糸に絡めとられた。

106: 2017/05/20(土) 22:30:10.76 ID:YWVGLnwm0
○狐女の異空間

娘「蜘蛛の魔族ね……」

狐女「ええ、あいつらが来てから私の元には一人も来ない……いい迷惑だわ」

娘「貴方は魔族とは関係ないの?」

狐女「私はもともとここにいたのよ、いっしょに居ないで」

娘「もともと、ね……」

狐女「……言い過ぎたかしら、次の質問は?」

娘友「アタシね」

娘「真面目に質問してよ」

娘友「わかってるって魔王に関することでいい?」

第七王女「OKじゃ」

\コックリサンコックリサン/

107: 2017/05/20(土) 22:30:53.55 ID:YWVGLnwm0
娘友「魔王ってイケメン?」

娘「友ッ!」

娘友「何よ大事なことでしょう、最近は魔王とキャッキャッウフフもなきにもあらず」

第七王女「最近ってなんじゃ?」

狐女「魔王ねぇ……」

コインが大きく揺れ動くと『いいえ』を示した。

娘友「え~」

狐女「そもそも、あの魔界に魔王はまだいないわ」

第七王女「まだじゃと?」

狐女「まって私の番よ」

\コックリサンコックリサン/

108: 2017/05/20(土) 22:32:15.28 ID:YWVGLnwm0
狐女「貴方(娘友)が一番欲しいものは何?」

娘友「それやおか……いいえ、『愛』よ」

娘「そんなキャラだっけ」

娘友「そうよ、愛さえあれば何でもできる。 しゃーんなろー」

狐女「さて本当かしら……ふふふ」

コインは動いて『お』『っ』『ぱ』『い』を示した。

狐女「……」

娘「……」

第七王女「……友、そんなに気にしておったのか?」

娘友「ちょっ、違うって……。 やあああああ」

ダダダ

娘友は逃げ出した。

狐友「といってもここからは出れないけどね」

第七王女「そのうち戻ってくるじゃろう」

娘「そうね……」

109: 2017/05/20(土) 22:33:14.96 ID:YWVGLnwm0


第七王女「その魔族らは何が目的なんじゃ?」

\コックリサンコックリサン/

コインが動いて『い』『く』『せ』『い』と示した。

狐女「あいつらは」

第七王女「魔王になったじゃと?」

狐女「あいつらは魔王を育成するつもりよ」

娘「どうやって……」

狐女「あいつらは魔界に引きずり込んだ旧校舎の一部でさらった生徒に……」

110: 2017/05/20(土) 22:34:45.01 ID:YWVGLnwm0
○魔界・旧校舎の一室。

女郎蜘蛛「というわけでコレを貴方に埋め込むわよ」

委員長「なんですかそれは……(なんて禍々しい)」

女郎蜘蛛「とっても素直で強くなれるモノよ」

エルフ子「むぐむぐ」ジタバタ

エルフ子は糸に縛られている。

委員長「約束ですよ、エルフ子さんを解放して危害を加えないと」

女郎蜘蛛「ええ、大丈夫よ」

エルフ子「んんーんんーッ」

委員長「エルフ子さん安心してください、私が守りますから」

女郎蜘蛛「フフフ……」

ビシュッ

真っ黒な結晶が委員長の胸に打ち込まれた。

委員長「ぐうっ!」

111: 2017/05/20(土) 22:35:40.26 ID:YWVGLnwm0
エルフ子「んんー」

委員長「うぎぎぎぎ」

メキメキ

委員長の頭から角が巨大化して背中たから黒い翼が生えてきた。

エルフ子「んんんーぶはっ 委員長さん!」

女郎蜘蛛が糸を解くとエルフ子は委員長の元へ駆け寄った。

女郎蜘蛛「ふふ、私は危害を加えないわよ。 私はね」

委員長「ふーふー」

ギ口リ

エルフ子「い……委員長さん」

委員長(魔族)「に……げて……わたし……から」

\キュオオオオオオオオ/

委員長は魔族化してしまった。

112: 2017/05/20(土) 22:37:13.16 ID:YWVGLnwm0
○狐女の異空間

第七王女「魔王の心臓じゃと!?」

狐女「まぁ心臓と言っても実際はコアとか魔力結晶とかそんな感じ? それを小さく砕いて……」

娘「そんなので魔族や魔王を造れるっていうの?」

狐女「実際みたでしょ、例の狼男はここの生徒だったのよ」

第七王女「なんと、あれは魔族化した生徒じゃたか!?」

狐女「そ、魔族化すると隠された欲望を抑えきれなくなるのよ」

娘「じゃあエルフも委員長も……ぐずぐずしていられないわね」

狐女「そう? でも私の番よ」


115: 2017/05/27(土) 14:13:39.39 ID:gsBPMEtU0
#10 魔界へGO

116: 2017/05/27(土) 14:14:36.99 ID:gsBPMEtU0
狐娘「そうね、あなたたち知りたいことを知るみたいだけど、知りたくないことはなあい?」

第七王女「なぬ? それはどういう意味じゃ?」

狐娘「さぁ、聞いてみましょうか」

\コックリサンコックリサン/

狐娘「この子が本当は知りたくない事」

第七王女「ふむ、妙なことを」

娘「……(まさか)」

コインが動き『ゆ』『う』『し』『ゃ』と示した。

狐娘「ふぅん、ゆうしゃについてね……」

第七王女「これは奇妙な、わらわは二代目勇者ゆえに先代の事を調べておるというのに」

狐娘「ふぅん、本当に?」

第七王女「あ、あたりまえじゃ……、勇者の末裔として知る義務がある」

狐娘「ふふふ」

第七王女「なんじゃ……」

娘「次は私の番よ、準備して」

狐娘「とりあえずそういうことで」

第七王女「うむ……」

117: 2017/05/27(土) 14:15:25.39 ID:gsBPMEtU0
\コックリサンコックリサン/

娘「魔界への行き方は?」

コインが動いて『あ』『か』『ず』と示した。

狐女「魔界へ行くには開かずの扉で――」

娘「開かずの扉で?」

そこで狐女は答えるのをためらう。

第七王女「どうしたのじゃ?」

狐女「ね、ねぇ。これはやめて、別の事にしない? これは後でもいいでしょ」

第七王女「どうしたんじゃ?」

娘「そう……、じゃあ次は二つ答えてもらうけどいい?」

狐女「ええいいわよ」

118: 2017/05/27(土) 14:15:56.61 ID:gsBPMEtU0
娘「あなた友達いなかったでしょ」

狐女「ッ!? な、なにを……」ワナワナ

娘「それと、寂しがり屋なんでしょ」

狐女「そんなことは……」

娘「はい、コックリサンコックリサン。このコは友達のいなかった寂しがり屋の……」

コインが動き出し――

狐女「ダメ―ッ!! 今日はおしまいッ!」

119: 2017/05/27(土) 14:16:27.09 ID:gsBPMEtU0
○女子トイレ

ドサッ

娘たちはもとの女子トイレへ投げ出された。

娘友「うおう、何があったの」

娘「図星だったみたいね……」

第七王女「幽霊のコケンにかかわるといったことかの……」

ヒラリ

娘が落ちて来た折り紙を拾いあげる。

娘「そして素直じゃないっていうね……」

折り紙には『またきてね』と書かれていた。

娘「でも困ったわね、開かずの扉について聞けなかったわね」

娘友「噂を調べなおそうか」

娘「うーん早く魔界に行かないと、でも他に方法は……」

第七王女「ふむ、わらわに心当たりがあるのじゃが」

娘「ホント!?」

120: 2017/05/27(土) 14:17:17.60 ID:gsBPMEtU0
○夕方・開かずの扉前

娘「どうやってあけるの」

第七王女「案ずるな」

ガラガラガラガラ

風紀委員「王女もってきたわよ」

娘友「なにこれ」

風紀委員は洗濯機を台車に乗せて運んできた、なにやらスクロールが貼るられている。

ガタガタ

\うおお出せ―/

娘友「マジ」

第七王女「うむ、昨夜の作戦で狼男捕まえたのじゃ」

121: 2017/05/27(土) 14:18:52.44 ID:gsBPMEtU0
\パンツ―/

娘「で、こいつが開けかたを知ってると」

第七王女「左様、おそらく魔界からやってきてるだろうて」

かち……グオングオングオン

洗濯機が動き出す。

\ぎょわああああああ/

第七王女「お主、この扉の開け方を教えるがよい」

\うおおお ウオォオオオン/

ゴォン

狼男が遠吠えすると扉が開き光の渦があらわれた。

娘「これが門ね」

第七王女「いざ魔界じゃ」


124: 2017/06/04(日) 00:52:55.88 ID:BakPlGxl0
#11 ハレンチアカデミー

125: 2017/06/04(日) 00:55:59.80 ID:BakPlGxl0
○魔界校舎・開かずの扉前

第七王女「ここが魔界か?」

娘「たしか旧校舎を引き込んでるっていってわよね」

娘友「そのわりには作りはもとの校舎とよく似てるわね」

赤黒い開かずの扉が閉まり光の渦が消えた。

\あおおおーん/

ダダダダ

洗濯器の封印を狼男が破って逃げていく。

第七王女「おのれ逃げおった!」

娘「もう用はないわ、それよりエルフを……」

娘は少年エルフ探知機を取り出すとスイッチを入れる。

ピコ―ンピコ―ン

娘「あっちよ」

娘友「それまだ持ってたんだ」

126: 2017/06/04(日) 00:58:40.46 ID:BakPlGxl0
○魔界校舎・廊下

エルフ子「はぁはぁ……、委員長さん……どうしよう」

蛙男「ゲロゲロ 女子だ!」

蜥蜴男「カワイイヤッター」

制服を着た蛙男と蜥蜴男が襲い掛かって来た。

エルフ子「うわああ!? 離して”風弾”」

ビュオオオ

「「ぐげげー」」

ビリビリビリ

掴まれていた制服が破れる。

127: 2017/06/04(日) 00:59:49.02 ID:BakPlGxl0
エルフ子「うわああ服が!?」

蛇男「うおお つるぺたー!」

エルフ子「ひい!? ”旋風”」

「ぐわー」

風でウィッグが外れて少年エルフの耳があらわになる。

兎女子「長耳! 萌え―ッ!」

あちこちから魔族化した生徒があらわれ半裸の少年エルフに襲い掛かる。

少年エルフ「”竜巻”」

ギュゴオオオオオオ

\アレー/ \ぐわー/ \ひいいい/

少年エルフ「ハァハァ、どこかに隠れないと」

少年エルフは人気の無い教室へ入っていく。

128: 2017/06/04(日) 01:01:08.62 ID:BakPlGxl0
○魔界学校・家庭科教室

ガラガラ

少年エルフ「ここなら……、何か着る物は」

パンツ姿の少年エルフは着るものを探す。

ガタン

少年エルフ「ひ!? 誰?」

男子「うぅ」

暗い教室の隅に男子がうずくまっていた。

少年エルフ「男子君? よかった無事だった? 怪我は?」

男子「エルフさん? ……パンツ? 女子?」カアア

少年エルフ「え? いやこれはその、ちょっとそこで狼男が」

男子「おお……」

129: 2017/06/04(日) 01:02:37.76 ID:BakPlGxl0
少年エルフ「お? おなか痛い?」

――男子、お腹痛いの?

男子の中で微かに残る母親の記憶がフラッシュバックして――

男子「おかあさーん!」

ガバァ

少年エルフ「うわぁ!? 男子君」

男子は錯乱して少年エルフに襲い掛かった。

130: 2017/06/04(日) 01:05:39.76 ID:BakPlGxl0
ガラッ

娘「誰がアンタのおかあさんだ ゴルァ!」

ゲシッ

少年エルフ「娘!」

突如現れた娘はそのまま男子にケリを見舞う。

娘「エルフは」

ゲシッ

娘「あたしの」

ゲシッ

娘「パパよ」

ゲシッ

少年エルフ「娘、そろそろやめてあげて」

娘友「うーわーひどいことになってるわね」

第七王女「ぬぅ、娘そろそろ堪忍してやらんか?」

娘「まったく」

131: 2017/06/04(日) 01:07:11.04 ID:BakPlGxl0
男子「ぐぐぐ……、ぐがぁあ!?」

ボボン!?

娘「これは!?」

第七王女「男子が狼男に!?」

男子は狼男になってしまった。

\うおおおおーん/

男子(狼)「娘ーっ!」

男子は娘に向かって突進する。

娘「大人しくしなさい! ”雷撃”」

ガラガラガッシャーン

男子(狼)「ぐおおお」

少年エルフ「ああ!? 男子君」

男子は雷に吹き飛ばされるがすぐに起き上がった。

第七王女「うおう!? あれに耐えれるとは」

132: 2017/06/04(日) 01:08:24.81 ID:BakPlGxl0
娘「もう! 手加減なしよ”重雷撃”」

ガガッガッシャーン

男子(狼)「ぐおおおお」

男子は雷に吹き飛ばされるがすぐに起き上がった。

娘「ウソぉ!? きゃああ」

娘は男子に押し倒された。

娘「いいかげんにしなさい男子ッ!」

男子(狼)「うお? うおおおおおぉおん」

娘「男子っ!?」

娘は男子を叱りつけるが効かない。

娘「この、言っても聞かないなんて…… ”帯電”」

バリバリバリバリ

133: 2017/06/04(日) 01:09:20.56 ID:BakPlGxl0
男子(狼)「ぐぐぐぐ」

男子は電撃に耐えながら娘を押さえつけようとする。

娘「く……、無駄にタフなんだから」

男子(狼)「娘ぇー!」

ビリビリ

男子が娘の制服を掴み引きちぎる。

娘「な!? このバカ」

バチバチバチ

娘は電圧を上げる。

134: 2017/06/04(日) 01:10:14.45 ID:BakPlGxl0
少年エルフ「娘! 男子君!」

娘「はやく気絶しなさいよ……」

男子(狼)「ガキ扱い……、するな!」

ビリビリ

再び娘の制服が破られた。

娘「男子っ!」カアア

第七王女「男子やめんか! 静まらんか!」

少年エルフ「駄目だ、正気を失ってる」

娘友「娘もチャノマもヤバいわよ! どうする」

第七王女「しかしあれでは近寄れん」

135: 2017/06/04(日) 01:11:00.77 ID:BakPlGxl0
バチバチバチ

娘の電撃をものともせずに男子は娘に襲い掛かっている。

少年エルフ「男子君やめて、ケンカしないで」

男子(狼)「ぐ」

男子の動きが一瞬とまったがすぐに娘と格闘しはじめる。

第七王女「む、一瞬とまったのう」

娘友「ふーむ、もしかするとうまくいくかな?」

少年エルフ「なにか方法ある?」

娘友「そおねー、ギリギリOKかな?」

ボソボソ

少年エルフ「ええ!?」

136: 2017/06/04(日) 01:13:02.97 ID:BakPlGxl0


バチバチバチ

男子(狼)「ぐおおおお」

娘「魔力が……くぅ」

少年エルフ「こらー男子君やめなさい」

男子(狼)「ぐ……」

男子の手が止まった。

娘「?……、エルフ?」

少年エルフ「えっと……、ケンカやめないとご飯抜きだぞ」カアア

少年エルフが下着の上にエプロンを付けて母親っぽく(?)叱りつけた。

男子(狼)「お……」

137: 2017/06/04(日) 01:14:14.16 ID:BakPlGxl0
娘友「エルフさんの裸エプロンママよ、さぁどうよ!」

少年エルフ「無理だよハズカシイ」カアア

第七王女「オトコじゃろう、何を恥ずかしがる?」

少年エルフ「だって……、なんでこんな格好ばかり」カアア

娘「エルフのパンツエプロン……(イイ)」

男子(狼)「お、おかあさーん」

ドドド

男子は少年エルフへ向かって突進した。

第七王女「成功じゃ!」

少年エルフ「うわあ!? でもこの後どうするの!?」

娘友「あ」

\うわあああ/ \きゃああ/ \ひょおおお/

バタバタバタ

男子は少年エルフを担いで走りさった。

138: 2017/06/04(日) 01:15:08.97 ID:BakPlGxl0
男子は少年エルフを担いで走りさった。

娘友「とくに考えてなかったわ、テヘペロ」

第七王女「じゃったな」

娘「追わないと……、今の男子が何するかわからないわ」


○魔界学校・体育館

男子(狼)「」

娘「男子!? エルフはどこ?」

娘達は気絶した男子を発見した。

男子(狼)「」

第七王女「ううむ、この状態の男子を倒すとは、一体何者が……」

\ふふふ/

娘友「もしかしてあの飛んでるの……、委員長さん?」

魔族化委員長「ふふふ……、さぁエルフ子さん私のことはお姉様と呼んでください」

少年エルフ「委員長さん……、目を覚ましてぇ」

少年エルフは委員長に捕まっている。

第七王女「委員長までも……」

娘「……すごい魔力」

魔族化委員長「うふふふ……」


141: 2017/06/10(土) 23:58:24.63 ID:vFYWACgk0
#12 ミスミストミッシングメモリー

142: 2017/06/10(土) 23:59:35.87 ID:vFYWACgk0
○魔界学校・体育館

ヒュオオオオオオオオオ

ミストドラゴンが冷たい霧を吐き出した。

娘友「さっぶー」ブルブル

第七王女「寒くて動けんのじゃ」ブルブル

娘「”閃熱”」ヒュゴオオオ

娘が魔法を唱えるがミストドラゴンは霧になり効果が無い。

娘「やっかいね……」

娘友「やっぱり操作してる本体をやっつけないと」

第七王女「そうはいってものう……」

娘「委員長を倒すの……」

143: 2017/06/11(日) 00:01:13.95 ID:2cxU3RPu0
娘は体育館の球技施設の上に腰掛けた魔族化した委員長を見る、彼女は少年エルフを抱き込んで逃げられないようにしている。

少年エルフ「さ、寒い……」

魔族化委員長「寒いですかエルフ子さん、だったらまた一緒にお風呂にはいりましょね」

少年エルフ「いやそれは……、それよりあの竜を止めて娘たちを攻撃してるんだよ。 目を覚まして」

魔族化委員長「娘……さん」

少年エルフ「そうだよ、王女も友もいるんだよ。 迎えに来てくれたんだよ」

魔族化委員長「王女さん……、友さん……」

少年エルフ「思い出して……(もう少しで)」

小蜘蛛「……ボソボソ」

少年エルフ「……?(耳に蜘蛛が、しゃべってる!?)」

144: 2017/06/11(日) 00:02:18.28 ID:2cxU3RPu0
シュルルル

女郎蜘蛛「ご機嫌いかが委員長」

天井から女郎蜘蛛が下がってきた。

魔族化委員長「あら先生」

女郎蜘蛛「あそこで勝手に体育館を利用してる生徒を止めてくれない? この子は私が見てるから」

シュルシュル

少年エルフ「んんー」

女郎蜘蛛は糸で少年エルフを絡めとった。

魔族化委員長「……そうですね、そういえばさっきもそれを頼まれたような」

女郎蜘蛛「そうよ、貴方の魔法でさっさとかたずけてこの子も仲魔にするんでしょう」

魔族化委員長「そうでした……、では行ってきますね」

フワッ

少年エルフ「んんんー」

女郎蜘蛛「フフ…… いい目の付け所だったわ、でもそれ以上は駄目よ」

145: 2017/06/11(日) 00:03:31.03 ID:2cxU3RPu0


第七王女「委員長目を覚ますのじゃ」

娘友「そうよ、操られてるわよ」

魔族化委員長「はて? 何のことでしょう? とにかく止まってください”霧氷”」

ヒュルルルル

氷混じりの霧が吹きつけ娘たちが霜に覆われ凍っていく。

第七王女「ひゃむいいい」

娘友「ひいいい」

娘「貴方、エルフまで巻き込んでるのよいい加減に……」

魔族化委員長「エルフ……エルフ子さん。 寒がってましたし早くお風呂に入れてあげないと一緒に。 フフフ」

娘「なんですって!? 私だって最近一緒にはいってないのに!」

娘友「怒りのポイントそこですか?」

146: 2017/06/11(日) 00:05:16.83 ID:2cxU3RPu0
娘「うらや……ケシカランわ、たとえ委員長でも”放電”」

バチバチバチ

娘は電熱で霜を溶かして委員長に飛び掛かる。

娘「”雷撃掌”」

魔族化委員長「あら? すごい嫉妬ね」

娘「エルフは私のパパよ! ハァッ!」

娘は電撃を帯びた掌底を委員長に繰り出し、そのまま顔面を掴む。

バチバチバチ

魔族化委員長「きゃあ」

小蜘蛛「!?」ジュ

娘友「決まったわ、娘の電撃クローよ」

第七王女「やったのかの?」

147: 2017/06/11(日) 00:06:21.18 ID:2cxU3RPu0
キュオオオオ

娘「何コレ!?」

娘の嫉妬が委員長に吸収され魔力に変換される、委員長は回復した。

娘「これってもしかして」

魔族化委員長「あなたいい加減に止まってくださる?”霧竜波”」

ヒュオオオオ

委員長が生み出した霧竜が娘を飲み込みまとわりつく。

娘「ああっ!」

娘友「娘!」

第七王女「むぅ、わらわももう動けぬ」

娘達は凍えて動けなくなった。

148: 2017/06/11(日) 00:07:19.45 ID:2cxU3RPu0


魔族化委員長「片付きましたわ」

女郎蜘蛛「お見事よ、後はまかせなさい」

女郎蜘蛛は少年エルフを委員長に渡すと娘たちのところへ降りていった。

魔族化委員長「ではエルフ子さんお風呂に……」

少年エルフ「んんー」ボロボロ

少年エルフは大粒の涙をこぼしている。

キュオオオ

魔族化委員長「これは悲しみ? ……エルフ子さん?」

少年エルフ「ンンンー」

キュオオオオ

少年エルフの悲しみが委員長に流れ込み魔力へ変換される。

魔族化委員長「……そんなにも」

149: 2017/06/11(日) 00:08:34.71 ID:2cxU3RPu0


女郎蜘蛛「流石の勇者様一行も私の魔王には勝てなかったということかしら」

第七王女「……」

娘友「……」

娘「く……」

娘はかろうじて意識を保っているが動けない。第七王女と娘友は気絶しているようだ。

女郎蜘蛛「でも安心して、貴方も魔王になれるかもねコレで」

女郎蜘蛛は邪悪な黒い結晶を取り出すと娘に近づく。

娘「……(コイツが黒幕ね、せめてコイツだけでも)」

女郎蜘蛛「貴方も変わった魔力をもってるようね、どうなるかしら」

ブス……ズズズ

娘「ぐぅ!?」

150: 2017/06/11(日) 00:10:08.76 ID:2cxU3RPu0
パアァ……バキン

娘が光り結晶が破壊された。

娘「ハァハァ……」

女郎蜘蛛「そう本物なの ……どうやら貴方はここで退学してもらったほうがよさそうね」

シャキン

女郎蜘蛛が爪を振り上げた。

娘「……(エルフ)」

ヒュオオオオオ ドォン

女郎蜘蛛「なに!?」

ミストドラゴンが女郎蜘蛛を横なぎで吹き飛ばした。

魔族化委員長「……先生、エルフ子さんが悲しむのです」

女郎蜘蛛「ぐっ(操り蜘蛛が) ……再教育が必要なようね」


153: 2017/06/18(日) 00:10:34.51 ID:6YkApIRy0
#13 ミスミストミッシングメモリー2

154: 2017/06/18(日) 00:11:21.68 ID:6YkApIRy0
○魔界学校・体育館

娘「うう」

少年エルフは凍えた娘に駆け寄る。

少年エルフ「大丈夫? ”大治癒”」パアア

娘は回復した。

娘「エルフ……、どうやって」

少年エルフ「委員長さんが先生と戦ってるんだよ」

ドシュン バシュン

体育用具とミストドラゴンが攻防の応酬をしている。

少年エルフ「王女と友ちゃんも回復しないと」

少年エルフは第七王女と娘友にも治癒魔法をかけにいった。

娘「委員長……ありがとう」

パアア

娘の右手が光を放つ。

娘「これは!? ……来たわね、剣に!」

娘は光を操り剣を形づくる。

155: 2017/06/18(日) 00:12:15.12 ID:6YkApIRy0


魔族化委員長「く、たかが糸なのに」

ビュン ドドン

あちこちから糸に操られた体育用具が飛んでくる。

バシン

魔族化委員長「ぐぅ!」

女郎蜘蛛「もっと広い視点をもたないと駄目よ、もっとも霧じゃふせぎきれないでしょうけど」

魔族化委員長「うう……」

女郎蜘蛛「さて、もう一度イイコになりなさい」

ツー

女郎蜘蛛の手から小蜘蛛が垂れる。

魔族化委員長「……ぐぅ」

パアア……

委員長をあしあう女郎蜘蛛は娘の光に気づく。

女郎蜘蛛「あれは、まさか!? まだ残っていたのね、これだから人間は」

女郎蜘蛛は糸を天井の鉄骨に伸ばす。

ギギギギ……、メキメキ

156: 2017/06/18(日) 00:13:21.16 ID:6YkApIRy0


娘友「こっちに気づいたわ!」

第七王女「天井を落とす気じゃぞ!?」

娘「……

がしっ

魔族化委員長「娘さん 今です」

女郎蜘蛛「な!?」

委員長が女郎蜘蛛に組み付いた。

少年エルフ「委員長さん!?」

娘「委員長!」

女郎蜘蛛「なに!? 放しなさい」

魔族化委員長「早く、長くはもちません」

157: 2017/06/18(日) 00:14:48.00 ID:6YkApIRy0
娘「……」

少年エルフ「娘、まさか委員長ごと撃つつもり」

娘「……これが最後の一撃なのよ」

娘友「でもそれ魔族特攻よね、委員長さんまで……」

第七王女「しかし委員長の覚悟を無駄にするわけにもいかんのじゃ」

娘「……」

魔族化委員長「エルフ子さん、貴方と友達になれて楽しかったです」

少年エルフ「委員長さん、僕だって」

魔族化委員長「私は魔族返りだし、Aクラスは競争ばっかりだったから…… だからとても楽しかったです」

第七王女「委員長」

158: 2017/06/18(日) 00:15:31.48 ID:6YkApIRy0
魔族化委員長「先生は学校の生徒を魔族化して兵隊にするつもりなんです」

女郎蜘蛛「いつのまちそれを…… ぐぅ」

魔族化委員長「娘さん、私の学校と友達を救ってください」

娘友「娘……」

娘「ありがとう委員長」

ヒィイイイン

娘の光剣がさらに輝く。

娘「えーい!」

キィイイイイイイイイイイイイン

娘の斬撃が光線となり女郎蜘蛛と委員長を撃つ。

女郎蜘蛛「いやあああ」

委員長「……(エルフ子さん)」

パアアアアアアアアアアアア……

辺りが光に包まれる。

159: 2017/06/18(日) 00:16:30.72 ID:6YkApIRy0


娘友「うお眩し」

第七王女「どうなったのじゃ?」

ヒィィン……

光が収まると、元に戻った委員長が倒れている。

娘「委員長!」

少年エルフ「大丈夫、気を失ってるだけみたい」

娘「魔族化も解けたわね、予想通りだわよかった……」

少年エルフ「よかった……」

娘友「予想通りって、あの魔法を誰かに試したことあったの?」

娘「ええ、男子に」

第七王女「なんと」

娘「まぁ、男子がタフだから何ともなかったのかどうかが怪しかったから不安は残ったんだけどね」

娘友「よくもまぁ……、そういえば男子君は?」

160: 2017/06/18(日) 00:17:02.46 ID:6YkApIRy0
男子「ン……、なんだここは?」

男子は狼男から元にもどっている。

少年エルフ「男子君も元に戻ったみたいだね」

男子「エルフさん!? それに娘もなんだその恰好は」カアア

第七王女「む」

少年エルフは半裸エプロンで娘は制服が破れて胸元があらわである。

娘「アンタのせいでしょーが!!」

ゲシ

男子「ゴフ!」

161: 2017/06/18(日) 00:18:00.17 ID:6YkApIRy0


ゴゴゴゴゴゴ

第七王女「なんじゃ!?」

少年エルフ「……この空間は不安定になってる」

娘「あの蜘蛛を倒したから崩壊しかかってるのよ」

娘友「じゃあ脱出しなきゃ」

娘「そうね、男子は委員長さんを運んで。 くれぐれも変な事しないでよ」

男子「しないって……、なんでみんなそんな目でみるんだ」

娘「王女、一応見張ってて」

第七王女「うむ心得た」

ゴゴゴゴ

娘「行くわよ」

少年エルフ「でもどこから?」

娘友「入って来たところよ」

162: 2017/06/18(日) 00:19:43.68 ID:6YkApIRy0
○魔界学校・廊下

ダダダダ

\わー/ \きゃー/ \うほッ/

様々な魔族化した生徒が逃げ出していく。

第七王女「結構のこっていたのじゃな」

娘友「あの子たちはどうするの」

娘「とりあえず脱出してからね」

ダダダダ


○魔界学校・開かずの間

ひゅいんひゅいん

次々と魔族化した生徒が光の渦に飛び込んでいく。

第七王女「はやくするのじゃ」

男子「さすがにこれ以上はきついって」

ガラガラガラ

シュイン

最後の生徒が飛び込むと光の渦は消えてしまった。

163: 2017/06/18(日) 00:20:16.46 ID:6YkApIRy0
少年エルフ「消えちゃったけど」

娘友「あ」

男子「どうした?」

第七王女「そういえば来たときは……」

娘「開けてもらったのだったわね」

ガラガラガラ

少年エルフ「え? じゃあ開けれないの」

娘友「もしくは他に生徒が残っていれば……」

第七王女「いなさそうじゃの」

ガラガラガラ

廊下が端から崩れてくる。

164: 2017/06/18(日) 00:21:03.23 ID:6YkApIRy0
男子「どどど、どうするんだ!?」

娘「どうするたって……」

少年エルフ「こっちは?」

娘「そこは女子トイレよ……トイレ?」

娘友「そうよ! こっち早く!」

男子「まてそこは女子用だろ……、ここで待ってるから」

娘「馬鹿な事いってないで早く!」

ドタドタ

娘は個室のドアをノックする。

娘「コックリサンコックリサン遊びましょーう!!」

\ハーイ カムイ―ン/


165: 2017/06/18(日) 00:22:12.33 ID:6YkApIRy0
※つづく

167: 2017/06/24(土) 23:00:19.23 ID:aDVmytRW0
#14 フレンズ

168: 2017/06/24(土) 23:06:03.47 ID:aDVmytRW0
○一週間後・超魔力学園前

スタスタ

委員長「久々ね……(ようやく学園に戻れた)」

委員長は学園前の道を歩いている、超魔力学園が見えて来る。

委員長「事故があったというけど、元通りね」

スタスタ

委員長「……(私も巻き込まれたっていうけど、覚えてないのよね)」

\あ/ \まって慌てないで/

委員長「……?(姉弟かな? こっちを見てる)」

スタスタ

委員長「どうかされました、学校に御用ですか?」

169: 2017/06/24(土) 23:08:26.80 ID:aDVmytRW0
少年エルフ「あ! あの……」

委員長「はい?」

娘「……貴方はこちらの生徒さん? ちょっと見学に来てて」

委員長「そうでしたか私は委員長といいます。 はじめまして」

娘「……はじめまして、私は娘ですこっちは」

少年エルフ「あの、僕はエルフです……その」

委員長「よろしかったら中を案内しましょうか?」

娘「……いえ、見学は十分したし大丈夫よ、ありがとう」

委員長「そうですか、見学は楽しかったですか?」

少年エルフ「……っ、はい楽しかったです本当に、本当に」ぐすぐす

委員長「あの、どうしたの? どこか体調を悪くしました?」

娘「そうね、ちょっとね……。 だからそろそろ行くわ」

委員長「そうですかお気をつけて」

少年エルフ「あの……委員長さんありがとう。本当にありがとう」

委員長「はい……?」

170: 2017/06/24(土) 23:12:00.25 ID:aDVmytRW0
○学園・廊下

ドタドタ

委員長「……(なんだかやたら浮かれた生徒が多いような)」

掲示板に人だかりができている。

委員長「……(あら校内新聞、『恋愛・進路・どんな相談も解決!トイレの幽霊さん』)」

\これスゴイって/ \ホントにわかるの/

委員長「……(すこし見ない間にずいぶん紙面が変わったわね? なにこれ怪談?)」

よくみると行交う女子生徒が女子トイレに向かっているようだ。

委員長「……みんなこんなのスキね」

171: 2017/06/24(土) 23:12:53.43 ID:aDVmytRW0
○学園・教室

委員長「……(なんだろう何か足りないようなあったような)」

\ぐすぐす……/ \そんなに落ちこまないで/

委員長「……(事故の前となんら変わらないのに)」

女子生徒は手に新聞を持っている。

委員長「……(事故で何が、私……何を?)」

\でも本当の事がわかるって/ \そうだけど/

委員長「なんでも……」

172: 2017/06/24(土) 23:13:49.93 ID:aDVmytRW0
○学園の外・塀沿い

塀を乗り越えて娘友と第七王女があらわれた。

娘友「やれやれちゃんと発行されてたわね」

第七王女「これで幽霊との約束も守れたのじゃ」

娘「おつかれさま、こっちも用事はすんだわ」

娘友と第七王女が制服から着替える。

少年エルフ「うぅ」ぐすぐす

第七王女「大丈夫かエルフ? 別れはつらいのう」

少年エルフ「大丈夫……、ちゃんと元気になってたし」

第七王女「そうかそうか」なでなで

第七王女が少年エルフをあやしている。

173: 2017/06/24(土) 23:15:03.04 ID:aDVmytRW0
娘「それでそっちは? もうひとつ用事があったでしょ」

娘友「ええばっちりよ、巨O教師の記録。 それでわかった事だけど」

娘「何?」

娘友「あの教師、魔族化した生徒をあちこちに派遣してたらしいの」

娘「どこに?」

娘友「隣の研究所もあるけど、ほとんどは帝都よ」

娘「帝都……、まさか軍がらみじゃ?」

娘友「それはわからないわ、ほら宛名みて」

娘「……『帝都歌劇』? 劇場じゃない」

娘友「そ、わからないでしょ。 単純に役者にしてたのかしら」

娘「うーん、これだけじゃわからないわね」

174: 2017/06/24(土) 23:15:57.83 ID:aDVmytRW0
第七王女「そうなのじゃ、だから実際に行ってみるのじゃ」

娘友「行くって……、そうねここまで来たら行きますか」

娘「そうね」

第七王女「そうじゃ次は帝都じゃ、よし帰ったら準備じゃ」

娘「ほらエルフ大丈夫? 行くわよ」

少年エルフ「うん、もう大丈夫」

175: 2017/06/24(土) 23:16:37.14 ID:aDVmytRW0
○女子トイレ

委員長「……(まさかトイレに入るのに整理券が必要だとは)」

風紀委員が整理券を確認している。

風紀委員「それじゃあ次どうぞ、中に時計がありますから目安にしてください」

委員長「ありがとう……」

コンコンコン

委員長「『コックリサンコックリサン遊びましょう』」

\カムイ―ン/


178: 2017/07/15(土) 23:25:17.90 ID:hht7y1GI0
#15 百合の花咲く頃 ~スタア・イズ・ボンボーン~

179: 2017/07/15(土) 23:31:00.46 ID:hht7y1GI0
○帝都・帝都演劇場

\わーわー/ \ドドーン/

*「監獄に白旗があがったぞ」

兵士達が勝鬨を上げる。

娘「そうか勝ったのかこれで革命がなされる……」

ホビット子「ああ! 目を開けてください娘様!」

貴族の位を捨て民衆と共に戦った娘は力尽き先に戦氏した従者が迎えにきていた。

\キャー/ \娘様ー/

観客から感極まった叫びがあがる。

舞台は暗転し緞帳が下りてきた。

180: 2017/07/15(土) 23:32:31.86 ID:hht7y1GI0
○舞台裏

娘「あー~、氏に役って慣れないわ」

ホビット子「そんなことは……素晴らしかったです娘ねぇさま」モジモジ

娘「その『ねぇさま』はなくならないの? 私の方が新人でしょ」

猫娘「そうだけどここでは人気が物をいうの、娘は圧倒的ですよう」

娘「それなら先輩たちのほうが実力があるじゃ」

サソリ女「ちゃうちゃう実力やなくて人気や、人気とスター性があればあんたが一番や」

娘「そう、ありがとう」

\はいはいはーい通りますよ/

181: 2017/07/15(土) 23:34:01.09 ID:hht7y1GI0
ドタドタドタ

娘友「一躍トップスターになった娘さん今のお気持ちは?」パシャパシャ

猫娘「勝手に写真は困りますう困りますう」

少年エルフ「娘ーかっこよかったよー」

第七王女「いいのう、わらわも出たいのじゃ」

娘「時代劇があれば王女もチャンスがあるかもね」

犬娘「まったく君たちときたら一カ月もかからずにこんなにも……」

ジリリリリリン! ジリリリリリン!

犬娘「む!? 警報だ、総員出撃準備!」

182: 2017/07/15(土) 23:35:40.17 ID:hht7y1GI0
○帝都・東区教会

ドドーン ガシャーン

双頭熊男「グオオオオ」

双頭のウェアベアが教会を破壊している。

帝国兵「むちゃくちゃだ距離をとれ」

帝国兵は魔法や石弓で応戦するも効果がない。

ガラガラガラ

帝国兵「くそ一体どうすれば」

ギュルルルルル

魔導鎧(犬娘)「居たぞ一気に片づける」

双頭熊男「ぐま!?」

183: 2017/07/15(土) 23:37:25.81 ID:hht7y1GI0
犬娘は魔導鎧の車輪をさらに加速させて大剣を構えて突撃する。

ジャキン

双頭熊男「グギャオオオ」

魔導鎧(猫娘)「もっらいー」

とどめを刺そうと猫娘が突撃する。

双頭熊男「グオオ」スボオオ

ブンッ!

魔導鎧(猫娘)「きゃあああ」

急速に再生した腕に猫娘は捕まってしまった。

魔導鎧(犬娘)「猫!」

ザシュッ

184: 2017/07/15(土) 23:41:38.11 ID:hht7y1GI0
魔導鎧(娘)「気を付けて! 見た目以上に魔力もおかしいわよコイツ」

娘が猫娘をとらえている腕を切断するも見る見るうちに再生していく。

魔導鎧(猫娘)「うえー気持ちわるーい」

魔導鎧(犬娘)「首を両方、一気に落とすんだ!」

魔導鎧(娘)「わかったわ」

娘と犬娘が同時に切りかかった。

185: 2017/07/15(土) 23:43:21.38 ID:hht7y1GI0
○帝都歌劇・宿舎

娘友「というわけで、魔王の手掛かりを追ってやってきた帝都歌劇団は昼は演劇、夜は帝都を荒らす怪人を倒す謎の魔導鎧兵団だったのです」

少年エルフ「どうしたの友ちゃん?」

娘「エルフ、気にしないでたまにそうなるのよ」

女兵士「怪人かーあたしもみてみたかった」

男子「俺もだ」

娘「やめた方がいいわ、今までの魔族や獣人とはずいぶん違うわ」

第七王女「魔王のなにかしらが関与しておるのかのう」

白竜(人型)「さてどうかしら」

186: 2017/07/15(土) 23:45:35.64 ID:hht7y1GI0
コンコン

少年エルフ「あれ? はーいどちらさま?」

ガチャ

ホビット子「あ、エルフさんこんにちわ」

少年エルフ「ホビットさん、娘に用?」

ホビット子「ええ、今後の予定をお知らせに」

ホビット子は今後の稽古スケジュールを伝えた。

娘「じゃあ明後日までは休みね」

ホビット子「はい」

女兵士「やったー、観光いこー」

187: 2017/07/15(土) 23:47:26.79 ID:hht7y1GI0
第七王女「そうじゃ! こっちにきてから働きどおしじゃ遊ぶのじゃ」

娘「仕方ないわね皆でいく?」

男子「俺はやめ……」娘「あんたは荷物持ちよ」

\グワー/

それぞれが観光に浮足立つ。

ホビット子「あ、あの……ボクも行っていいですか?」


191: 2017/07/22(土) 23:12:58.75 ID:x/4ka/MP0
#16 群衆

192: 2017/07/22(土) 23:13:55.54 ID:x/4ka/MP0
ホビット子「では、いってきます」

団長「気をつけろよ」

ホビット子は娘達と買い物へ出かけた。

193: 2017/07/22(土) 23:15:05.64 ID:x/4ka/MP0
○数時間後 大通り

男子「ぐおお」

男子は大量の荷物をもっている。

女兵士「これおいしー」パクパク

第七王女「よし次はあの店じゃ」

第七王女は男子と女兵士を引き連れて次の店へ行った。

娘「暑いわね、大丈夫? ここで休もうか」

少年エルフ「うん」

ホビット子「はい」

娘達は喫茶店のテラス席で休憩することにした。

194: 2017/07/22(土) 23:16:41.46 ID:x/4ka/MP0
○噴水広間・喫茶店のテラス席

娘「王女たちはしばらく出てこなそうね」

少年エルフ「暑くなってきたし衣替えしなきゃいけないしね」

ホビット子「皆さんにぎやかですね、いつもこうなのですか?」

娘「だいたいこうなるわね」

ホビット子「フフフ 今日は大勢で楽しいです」

少年エルフ「他の団員の人と買い物に来ないの?」

ホビット子「そうですね、犬ねえさまやサソリねえさまは出不精ですし……」

娘「猫娘は結構買い物好きそうだけど」

ホビット子「猫ねえさまは夜型の方なので休みの昼は寝てることが多いです」

少年エルフ「そうなんだ、白竜みたいだね」

娘「あれは紫外線を気にしてるのよ」

195: 2017/07/22(土) 23:18:01.11 ID:x/4ka/MP0
○帝都劇場・宿舎

白竜(人型)「ふあぁ……お土産まだー」

196: 2017/07/22(土) 23:20:37.85 ID:x/4ka/MP0
○噴水広間・喫茶店のテラス席

少年エルフ「ホビットは劇団入ってどれくらいなの?」

ホビット子「そうですね、3年くらいですね」

娘「けっこう長いのね」

少年エルフ「あの怪人と戦うのもそんなに前から?」

ホビット子「いえ、僕はまだ作戦には出てないんです」

少年エルフ「あ、ごめんそんなつもりじゃ」

娘「でもあの怪人は何なの? 普通の魔物や魔族返りじゃないわよね」

ホビット子「そうなのですか?」

少年エルフ「魔族じゃないの?」

197: 2017/07/22(土) 23:23:01.13 ID:x/4ka/MP0
娘「そういうわかりやすいものじゃなくて…… なんていうか複雑に歪んでいるような、エルフも直に見たら何か気づくでしょうけど」

少年エルフ「僕も作戦には出れそうにないよ」

娘友「そうねーあの魔導鎧はサイズ的に無理かな、主に身長が」

少年エルフ「はうっ」

娘「ちょっと友」

娘友があらわれた。

娘友「ごめんごめん、アタシもここで休ませて。 王女が長考に入ったから」

娘「王女ってそんなに悩む方だったっけ?」

娘友「むしろ男子君が、かな」

娘「ああ」

198: 2017/07/22(土) 23:25:01.08 ID:x/4ka/MP0
少年エルフ「うう、身長…… 着れない」

ホビット子「大丈夫ですかエルフ? 僕も鎧は着れませんから」

少年エルフ「そっか、そうだよね着れなくても普通だよね」

ホビット子「そうですよ」

少年エルフはホビット子と固い握手を交わす。

娘友「麗しい友情ね」

娘「……(カワイイ)」

少年エルフ「でもあの鎧ってそんなにすごいの?」

娘「そうね魔力を力に変えてくれるし、怪人の力に対抗するには必要ね」

娘友「でも正直魔法でどうにかなるんでしょ?」

娘「なるわよ、でも市街地では私の魔法は不向きよ」

199: 2017/07/22(土) 23:27:13.16 ID:x/4ka/MP0
娘友「なるほどねぇ、でもあの鎧を帝国兵が着ればいいだけじゃないの?」

ホビット子「実はあの鎧はまだ試験段階なんです」

少年エルフ「そうなんだ」

娘友「ねぇねぇ正直あの劇団って帝国軍と関係あるの? こう裏の秘密部隊とかなんやらかんやら」

ホビット子「ないことはないというか、劇団のスポンサーに大手魔導具メーカーが協賛してますから」

娘「なるほどね」

少年エルフ「どういうこと?」

娘「魔導鎧を実用化されたら帝国軍に売り込むつもりなのね」

ホビット子「そうです、サソリねえさまも団長ももともとそちらの会社の方なのです」

娘「ふうん、いろいろシガラミがありそうね」

200: 2017/07/22(土) 23:28:52.79 ID:x/4ka/MP0


男子「こんなとこに居た」

男子が荷物満載であらわれた。

娘「あら男子」

男子「俺はもう戻るぞ、もう持てない」

娘「王女と女兵士は?」

男子「また何か食べにいった…… 先に戻ったって伝えてくれるか?」

娘「わかったわ」

男子「頼んだ」

男子は宿舎へ戻っていった。

201: 2017/07/22(土) 23:31:09.48 ID:x/4ka/MP0


娘「そろそろ王女達と合流する?」

娘友「そうね」

ホビット子「まってくださいエルフはこっちへ」ぐいぐい

少年エルフ「なになに?」

娘「どうしたの?」

ホビット子は少年エルフを植え込みの陰へ引っ張る。

ガヤガヤ

大勢の人が通りを歩いてきた、手にはプラカードと百合の花を持っている。

\亜人はでていけー/ \皇帝陛下ばんざーい/ \議会はひっこめー/

娘友「なにあれ?」

202: 2017/07/22(土) 23:33:57.06 ID:x/4ka/MP0
ホビット子「あれは排他主義のデモです」

少年エルフ「排他主義?」

娘「人間以外の種族は帝都から追い出すっていう考え方ね」

少年エルフ「ヒドイ、じゃあ僕たち見つかったらどうなるの?」

娘友「よくは思われないでしょうね」

少年エルフ「ええ…… 帝都ってそういう国なの?」

ホビット子「もともと帝国は他種族混在が成り立ちです、なのに皇帝が亜人排他法を唱えだしてからこんな事に……」

少年エルフ「そんな法があるの?」

ホビット子「まだありません、議会が反対をしているので」

娘友「でも中には皇帝側の人もいると……」

203: 2017/07/22(土) 23:35:07.32 ID:x/4ka/MP0
少年エルフ「百合の花はなぜ持っているの?」

ホビット子「百合は皇帝の紋章になってます、皇帝支持のシンボルですね」

少年エルフ「そうなんだ、じゃああっちからのは?」

ガヤガヤ

\排他法撤回/ \自由の侵害だ/

ホビット子「あっちは議会派のデモですね」

娘友「よくみるとドワーフ族や獣人さんがいっぱいいるね」

ホビット子「最近ではそれ以外にも魔族返りの人もいるので」

娘友「て、まずくない?」

204: 2017/07/22(土) 23:36:28.50 ID:x/4ka/MP0


広場では皇帝派と議会派の集団がにらみ合うことになった。

\わーわー/ \ぎゃーぎゃ―/

少年エルフ「うう、うるさい」

娘「これじゃあそのうち乱闘になるわ」

娘友「ていうか始まってる、ほらあそこ」

\ひいい/

もみ合いが始まっている。

ホビット子「このままじゃけが人が……」

娘「ホビット……」

205: 2017/07/22(土) 23:37:38.10 ID:x/4ka/MP0
少年エルフ「うーんだったら……”二の口”」シュイン

少年エルフは魔法石を取り出して魔法をかけた。

娘「いつの間にそんな物を?」

少年エルフ「魔法学校でちょっとね。 娘、これを噴水まで投げれる?」

娘「わかったわ」

ヒュン…… ボチャン

娘が投げた魔法石は噴水の中へ沈んだ。

娘「OKよ」

少年エルフ「わかった、えっと……」ゴニョゴニョ

206: 2017/07/22(土) 23:38:35.54 ID:x/4ka/MP0


沈んだ魔法石「”水流”」

ビシ バキャ ブシァーッ

噴水から水が垂直に吹き出し、広場に土砂降りとなって振って来た。

バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ

\ひゃー/ \雨だ―/ \中止中止ー/

デモ隊は散り散りに分かれていった。

207: 2017/07/22(土) 23:39:39.96 ID:x/4ka/MP0


少年エルフ「うまくいったかな」

娘「すごいわエルフ」

ホビット子「エルフすごい」

娘友「あれなら噴水の故障って事でバレないかな」

神官「そうでしょうお見事でしたエルフさん」

パチパチパチ

少年エルフ「え」

娘「アンタ」

娘友「あらまいつぞやのオカッパ」

ホビット子「誰です?」

神官「お久しぶりですエルフさん、そちらは初めてですねどうも神官と申します」

神官は背後の席でワインを飲んでいた。


210: 2017/07/29(土) 16:39:33.55 ID:emqiaFku0
#17 ラストダンス・オン・ステージ

211: 2017/07/29(土) 16:40:51.97 ID:emqiaFku0
少年エルフ「わぁ神官さん久しぶり、港で分かれて以来だっけ」

神官「そうですね勇者祭り以来ですね」

娘友「なんで魔王温泉で始めてあった酒好き女好き行き過ぎて破門されたうさんくさい聖職者がなぜここに居るの?」

神官「うさんくさいって……」

娘「なんでそんな説明口調なの」

娘友「なぜかしらね」

神官「エルフさんその様子だと私の勧誘で来たわけじゃなさそうですね」

少年エルフ「え? それって」

娘「なによ勧誘って」ズイ

神官「おおう、そんな睨まないでください怒ってもお奇麗ですが」

娘「御託はいいから、エルフに何を言ったの」

212: 2017/07/29(土) 16:41:45.19 ID:emqiaFku0

神官「それはないしょ……」

シャキン…… パラパラ

神官の前髪が娘に切られて落ちる。

娘「……」ゴゴゴゴゴ

神官「では…… せっかくなのでご案内しますよ」

少年エルフ「え?」

213: 2017/07/29(土) 16:42:45.95 ID:emqiaFku0
○教団本部

*「教祖様お告げを」

薄暗い祭壇の周囲で何人もの獣人がローブを目深にかぶった人物と儀式らしきものを行っている。

教祖「うむ、わたしはビジョンをみることができる……あまりはっきりとはみえないが」

にょろりにょろにょろ

教祖様とよばれたローブの人物が妙な動きで踊る。

教祖「むむ、みえたぞ! 今そこよりわれらの星がきたる」

\どよどよ/

教祖は仰々しく扉を指し示すとそれはゆっくりと開いた。

ガチャ

214: 2017/07/29(土) 16:44:45.86 ID:emqiaFku0


神官「ここがここが以前お話した団体で、教団と呼ばれています」

扉を開けて神官に案内されてきた少年エルフ達が入って来た。

娘「異種族、魔族返りの互助組織ねぇ……」

少年エルフ「おおきな建物だね、エルフ族もいるの?」

神官「残念ながらそれはまだ……」

娘友「なんだか薄暗くて怪しさ満点ね」

神官「なにしろ古い倉庫を改築してますのでそこは御容赦ください」

教祖「おお神官よ戻ったか、この者たちは新しい同志か?」

神官「いえそれはまだ……とりあえず見学につれてきました」

教祖「そうかそうか、そちらの二人はホビット族とお見受けしたが?」

少年エルフ「ええと(本当はエルフ族だけど)……そうです」

215: 2017/07/29(土) 16:46:45.13 ID:emqiaFku0
教祖「私がここの代表で教祖と申します、お名前を伺ってもよろしいか」

少年エルフ「はい僕はエルフで、この子はホビット子です」

ホビット子「こんにちわ」

教祖「ほう……エルフ殿にホビット子殿と、ほうほう」シュルシュル

教祖は少年エルフ達をよく見ようと首をのばしてきた、教祖の頭は蛇だった。

ホビット子「ひゃ!?」

娘友「ヘビ!?」

教祖「おっと失礼、お嬢さんは蛇顔は苦手ですかな」シュルシュル

教祖は首を戻していく。

ホビット子「いえそんな…… ごめんなさい」

教祖「いえいえ若い女性では致し方ないこと、そちらの女性もお気を悪くしたら申し訳ない」

216: 2017/07/29(土) 16:48:39.49 ID:emqiaFku0
娘「私は大丈夫よ」

娘友「蛇人とは珍しいわ、ここでは何を?」

教祖「今のわれわれの活動はこの帝都から種族差別を根絶するために働いております」

娘友「何かの新興宗教じゃないの?」

教祖「確かに私が僭越ながらも教祖となっておりますが、たいした事はしておりません」

神官「教祖は以前、小さな神殿のカンヌシをやってたのですよ」

娘友「カンヌシ…… 異国の聖職者だったのね」

教祖「はい、しかし今では皇帝陛下の排他的政策に抗議するためにこの場所と人手を提供しているしだいです」

娘「ふぅん(ウソは言ってないようだけど)」

少年エルフ「立派な活動をしてるんですね」

教祖「いやなに、エルフ君、ホビット子君、困った事があれば何でも相談してくれたまえ」

少年エルフ「はい、ありがとうございます」

ホビット子「はい……」

217: 2017/07/29(土) 16:51:58.43 ID:emqiaFku0
○帝都劇場・宿舎

第七王女「まるでロックロック首じゃな」

少年エルフ「ろっくろ……何?」

娘友「東方の首の長ーいフェアリーのことよ」

第七王女「左様、夜中に首がのびてランプの油をなめたりするのじゃ」

少年エルフ「やだコワイ」

娘「妙なフェアリーが居るのね、まぁあの人は蛇人だったわけだけど」

第七王女「わらわも見てみたかったのう」

男子「あれ以上どこにも寄れませんよ」

少年エルフ「そうだ、ホタテ男さんも元気そうだったよ」

男子「ああ、港の時の」

\わいわい/

218: 2017/07/29(土) 16:53:07.89 ID:emqiaFku0
ホビット子「あの団長から次の公演の予定が決まったって、コレ」

ホビット子が台本を持ってきた。

娘「へぇ……ファミリー向けなんだ」

ホビット子「夏季休暇中ですから」

少年エルフ「娘、次はどんな役するの?」

娘「これは…… フフ、私じゃないわ。 エルフが主役よ」

少年エルフ「え?」

219: 2017/07/29(土) 16:54:09.84 ID:emqiaFku0
○帝都劇場・『お菓子の家』

サソリ女「かまどの具合を見とくれ」

少年エルフ「かまど具合? どうやって見るのか見本をみせて」

サソリ女「知らないのかい!? こうやって中をのぞき込んで……」

サソリ女はかまどの中をのぞき込む。

ドン! バタン!

少年エルフはサソリ女をかまどの中へ押し込むと扉を閉めてしまった。

\こらー開けろ あちー!?/

サソリ女はとうとうボイルロブスターになってしまいました。

少年エルフはホビット子を助けだすと宝物をもって家へとかえったのでした。

めでたしめでたし。

\パチパチパチ/

220: 2017/07/29(土) 16:55:15.26 ID:emqiaFku0
○舞台裏

サソリ女「って、あたしゃエビじゃない! ロブスターになるかいな」

団長「はっはっはっ……、まあエビの魔女だったということでここはひとつ」

サソリ女「森にエビの魔女が居てたまるかい」

バシィン

サソリ女が団長にツッコミを入れている。

猫娘「バターになるよりかマシだと思うけどねー」

猫娘はひとつ前の劇でバターになったところだった。

娘「子供向けの話ってたまにワケわからないわね」

娘友「だが、そこがいい」キリッ

221: 2017/07/29(土) 16:56:08.60 ID:emqiaFku0
ホビット子「エルフ、今回は主役お疲れ様です」

少年エルフ「ありがと、初めてだったけどちゃんと出来たかな」

ホビット子「ええとっても」

少年エルフ「よかった」

ジリリリリリン! ジリリリリリン!

犬娘「と、話の途中で済まないが警報だ総員出撃準備!」

ドタドタ

ホビット子「やっと初出撃です、がんばりましょう」

少年エルフ「うん」

222: 2017/07/29(土) 16:57:46.44 ID:emqiaFku0
○倉庫街

水路沿いの倉庫街で巨大な影が飛び交っている。

蛾男「モスモスモス……」

無数のモスマンが周囲を飛び交い、倉庫の物資を強奪しようとしている。

魔導鎧(猫娘)「このドロボウネコめ」

ザシュッ

魔導鎧(娘)「貴方がそれ言う」

蛾男達「モスモス……」バタバタ

魔導鎧(犬娘)「エルフ、ホビット子そっちにいった頼むぞ」

複座式魔導鎧(エルフ・ホビット子)「「はい」」

223: 2017/07/29(土) 16:58:45.70 ID:emqiaFku0
シャコン シャコン

少年エルフとホビット子は複座式魔導鎧で出撃していた、背部の射出口が開く。

ボボボボシュシュン ドンドンドン!

蛾男A「ボボッ」

蛾男B「ボーボッ」

蛾男C「ボーボボッ」

無数の誘導魔導弾が蛾男たちを撃墜する。

魔導鎧(猫娘)「新型の鎧すごいねー」

魔導鎧(娘)「アレも鎧でいいの? もはや歩行戦車じゃない」

224: 2017/07/29(土) 16:59:48.50 ID:emqiaFku0
○複座式魔導鎧の中

ホビット子「全弾命中、すごいです」

少年エルフ「まぁこれぐらいなら、ゴメンね操縦ほとんどまかせて」

ホビット子「こういうための複座式です気にしないでください」

少年エルフ「ありがと……まって後ろに何かいない?」

ホビット子「え? 探知機に反応はありませんが……」

225: 2017/07/29(土) 17:00:51.40 ID:emqiaFku0
○倉庫街

シュルルル

複座式魔導鎧の足に何かが巻き付いて引っ張ってきた。

ガシャン! ズルルルルル

複座式魔導鎧(エルフ・ホビット子)「「うわあああああ」」

ザッバーン

複座式魔導鎧は何かの力で水路に引きずり込まれてしまった。

魔導鎧(猫娘)「新手!?」

魔導鎧(娘)「エルフ! ホビット!」

魔導鎧(犬娘)「まて娘君、魔導鎧は水中では動かせん」

魔導鎧(娘)「だったら」

226: 2017/07/29(土) 17:01:54.61 ID:emqiaFku0
バシュッ

娘は魔導鎧を脱ぎ捨てた。

娘「エルフーッ!」

ザバーン

娘は少年エルフ達を追って水路へ飛び込んだ。


230: 2017/08/05(土) 22:10:02.40 ID:eUABHAeJ0
#18 スネークスネーク

231: 2017/08/05(土) 22:12:32.44 ID:eUABHAeJ0
○帝都劇場

団長「団員がさらわれた!? そんなバカな!」

猫娘「犬が今探してるけど、早く応援を」

団長「ダメだ、全員待機。 犬娘も呼び戻すんだ」

\\ええ!?//

第七王女「なぜじゃ!? 早く助けにいかねば」

団長「こんなことは本来ありえないんだ……、いいか全員待機だぞ」

バタン

団長は自室に戻ってしまった。

男子「何がどうなってるんだ?」

娘友「何かウラがありそうね」

232: 2017/08/05(土) 22:13:38.02 ID:eUABHAeJ0
第七王女「とはいってもこのまま待つのは出来んのじゃ」

男子「しかし全員待機って」

第七王女「うむ、現場で待機するのじゃ」

娘友「じゃあアタシは団長さんを探るから」

第七王女「うむ、頼んだのじゃ」

男子「じゃあ俺も……」

第七王女「男子は残るのじゃ、友と一緒に団長に対応しておくれ」

男子「むぅ、わかった」

第七王女「猫娘よ、案内を」

猫娘「いいけど、魔導鎧なしでついてこれる?」

第七王女「むろんじゃ、のう白竜」

白竜(人型)「んー仕方ないわね」

233: 2017/08/05(土) 22:15:15.15 ID:eUABHAeJ0
○???

*「……アザは見つかりません」

???「……よい、直に問いただす」

少年エルフ「……うん?」

教祖「お目覚めですか皇子」

少年エルフ「教祖さん? ……うわぁ!? なにこれ?」

ジャラジャラ

少年エルフはパンツ一丁で鎖で壁に両手をつながれている。

教祖「少々我慢していただけますか? 確認したいことがございますので」

ホビット子「エルフ!」

少年エルフ「ホビット子さん!?」

ホビット子は信者に掴まれている。

234: 2017/08/05(土) 22:16:52.57 ID:eUABHAeJ0
教祖「ご安心を、こうみえてもフェミニストなので彼女にはまだ何もしておりませんよ」

ホビット子「やめなさい教祖、こんなことしてるなんて団長が知ったら」

教祖「お静かにお願いします」

ホビット子「もがっ」

ホビット子は信者に口をふさがれた。

少年エルフ「教祖さん……貴方が僕たちを水路に」

教祖「まぁ細かいことはいいじゃありませんか皇子」

少年エルフ「……何で僕をオウジって呼ぶの?」

教祖「ほう…… もっと聡明な方と思ってましたが。 念のために確認しましょう」

ホビット子「……」

少年エルフ「?」

教祖「貴方が皇帝の弟君、第二皇子ですね」

少年エルフ「へ?」

235: 2017/08/05(土) 22:18:44.95 ID:eUABHAeJ0
○帝都劇場・団長の部屋の前

\協定違反だぞ……何ィ!/

団長の部屋からは怒声が聞こえる。

\団員には手を出さないはずだろう!/

娘友「どうやら電話で話してるみたいね」

\何を勝手な……、上に報告させてもらうからな/

男子「一体誰と?」

\何!? 本気か/

娘友「どうかしら……」

\寄せ集めの分際で何が出来る…… くそ!/

ガチャン

娘友「決裂したみたいね」

236: 2017/08/05(土) 22:21:36.22 ID:eUABHAeJ0
〇教団本部・地下

教祖「ビジョンで判っています、第二皇子はホビット族の先祖返りであると……ゆえに皇帝からその存在を抹消された」

少年エルフ「え? え!?」

教祖「なるほど歌劇団に所属しただけに演技はお手の物と見える」

少年エルフ「いやあの多分人違いじゃ……」

教祖「我々には大儀が必要なのです、皇帝を倒し貴方を新たな皇帝として獣人、魔族返りの世を創るのです」

少年エルフ「あの、ちょっと話がよくわからないんだけど……」

教祖「コレを見ればお判りいただけるでしょう」

少年エルフ「……(うわーこっちの話きいてない)」

パチン

照明がつくと首のない巨人の体のような物が照らされた。

少年エルフ「うわぁ!?」

237: 2017/08/05(土) 22:25:44.13 ID:eUABHAeJ0
教祖「これぞ魔王アーマー、伝説の魔王の体と魔導鎧、そして合体進化の秘法で作り上げた最高傑作……、そしてあなたの玉座です」

少年エルフ「な、なにこれ気持ち悪い!?」

教祖「協力していただけませんか? これなら宮殿を破壊しつくのも容易い」

少年エルフ「やだっ! 絶対呪われてるよコレ」

教祖「解ってしまわれたか、確かに並みの魔力では次ぐに吸い殺されます……なので貴方です。 皇族の巨大な魔力が必要です。 なに少しコレに乗って宮殿と皇帝を壊していただけたらそれで十分ですよ」

少年エルフ「……皇帝ってよく知らないけど、そんなのダメ」

教祖「ふぅむ、皇子は皇帝を恨んでおいてと思ってましたが違うようですね」

少年エルフ「恨むって……、第一僕は王子じゃないって」

教祖「仕方ありませんね、ほんの少し手荒になりますが」

教祖はローブから手を出し少年エルフの顔に向ける、しかしよく見るとそれは蛇だった。

少年エルフ「ヘビ!?」

238: 2017/08/05(土) 22:28:47.74 ID:eUABHAeJ0
教祖「生憎、頭ばかりなので」

教祖は多頭蛇人だった。

右腕蛇「シャーッ」

左腕蛇「チロチロ」

両腕の蛇は舌を出し入れしながら少年エルフに違づく。

少年エルフ「ひぃ……何を」

教祖「ご安心を傷つける事はいたしませんよ」

239: 2017/08/05(土) 22:30:15.44 ID:eUABHAeJ0
○帝都劇場・団長の部屋

団長「……バカな」

ガチャッ

娘友「失礼しゃーっす」

団長「なんだお前たち勝手に……」

娘友「夏休み人生相談室ですよー」

男子「おいおい」

娘友「で? どうういことか説明してもらえる」

団長「お前たちには、関係ない」

娘友「大ありだって娘もエルフさんも巻き込まれたのよ」

男子「そうだ、団長何かしっているのか?」

団長「……おそらくホビット君に巻き込まれたのだ」

240: 2017/08/05(土) 22:31:44.59 ID:eUABHAeJ0
○教団本部・地下

少年エルフ「ひゃははははは! やめてぇえええ」

ペロペロペロペロペロペロペロペロ……

教祖の両手の蛇が少年エルフの脇の下を舐めあげている。

教祖「ではご賛同いただけますか?」

少年エルフ「それはだめ、だめぇええええ……あははははは」

ペロペロペロペロペロペロペロペロ……

少年エルフ「お願いぃいホントにやめてぇ……」

教祖「だったらご協力していただかないと皇子」

ペロペロペロペロペロペロペロペロ……

少年エルフ「だから王子じゃないってぇえええ、ホント無理ぃいいい」

241: 2017/08/05(土) 22:33:55.44 ID:eUABHAeJ0
ペロペロペロペロペロペロペロペロ……

少年エルフ「ひぃいい、ひゃははは、ぁあああああっ!」

教祖「なかなか強情ですね(……このまま洗脳プログラムを)」

ガタン!

信者「ぎゃあ!?」

ホビット子が掴まえていた信者を投げ飛ばした。

ホビット子「もうやめろ! 教祖さん」

教祖「おや? お嬢さんヤンチャは困りますよ」

ホビット子「違う、見よ」

バサッ

ホビット子は上着を脱ぎ捨て、カツラも投げ捨てた。

242: 2017/08/05(土) 22:35:37.88 ID:eUABHAeJ0
教祖「む!?」

少年エルフ「ひょびっと……?」

ホビット子「私がお探しの第二皇子だ」

ホビット子は第二皇子だった。

教祖「その百合の形のアザ、まさしく…… まさか女装までしていたとは」

第二皇子(ホビット子)「あなたの言う通りにしよう…… だから彼は放してくれ」

教祖「なるほど、やはり聡明な方だ」

第二皇子「エルフ、すまなかった」

少年エルフ「ホビット……」


246: 2017/08/12(土) 23:38:41.91 ID:AfBLVpI80
#19 出撃! 魔王アーマー

247: 2017/08/12(土) 23:42:44.39 ID:AfBLVpI80
〇倉庫街

第七王女「どうじゃ、何かあったかの」

ざばっ

水路から白竜の首から上があらわれた。

白竜「何も沈んでないわよ」

犬娘「でも確かに水路に」

闇夜を飛んできた白竜は第七王女達を降ろすとそのまま水路の調査を行っていた。

白竜「水路からの地下水路に何か引きずった跡があったわ」

第七王女「それじゃな、何者かがエルフとホビットを鎧ごと引きずっていったのじゃな」

犬娘「そんなあんな重量を」

第七王女「娘も後を追って水路にはいったのじゃろうか」

248: 2017/08/12(土) 23:45:49.23 ID:AfBLVpI80
白竜「そうかも、魔力痕が何種類かあるみたい」

第七王女「そのまま水路に入っていけぬか?」

白竜「無理ー、狭すぎるわ」

第七王女「水路はどこから来ておるんじゃ」

犬娘「うーん…… おそらく旧市街からの地下水路じゃないかな」

第七王女「ふむそこに怪人の秘密基地があるということじゃな」

猫娘「かなー?」

パシャ

女兵士「うわー、ここだけ写真とったらと帝国水路のUMA発見て見出しになるね」

女兵士が娘友から借りたカメラで写真をとっている。

白竜「えーやめて、いまスッピンなんだし」

犬娘「そういう問題か?」

249: 2017/08/12(土) 23:48:17.78 ID:AfBLVpI80
〇教団地下・地下水路沿い

信者A「いよいよ出撃だと」

信者B「あーあー俺も行きたかったな、こんな雑用なんて……ん?」

地下水路にゴミを捨てに来た信者たちが愚痴る。

信者A「どうした」

信者B「なんだ? オンナが倒れているぞ」

信者A「流されてきたのか?」

信者B「まさか、それにこの服装……歌劇団の奴だ」

娘「う……」

娘は気を失っている。

250: 2017/08/12(土) 23:50:11.28 ID:AfBLVpI80
〇教団地下・少年エルフの牢屋

正体を明かした第二皇子(ホビット子)は少年エルフに説明をしている。

第二皇子「僕は現皇帝の弟、第二皇子なんだ」

少年エルフ「本当に? でも……」

第二皇子「そうは見えないでしょう、それで宮廷から逃げたんだ」

少年エルフ「逃げた……」

第二皇子「皇族は純潔、のはずだったんだけど僕が生まれたことでホビット族の血も混じってることがわかってね…… 大騒ぎ。 結局、第二皇子は氏んだことにしてるんだ」

少年エルフ「魔族返りだからってそんな」

第二皇子「こうしないと暗殺されちゃうからね」

少年エルフ「暗殺って誰が」

251: 2017/08/12(土) 23:51:55.51 ID:AfBLVpI80
第二皇子「皇族の中の誰かかな? それで女装までして劇場にもぐりこんで……女装はやっぱ変だったかな? 軽蔑する?」

少年エルフ「それはないです」

第二皇子「本当? エルフに嫌われなくてよかった」ニコ

少年エルフ「あ、はい……(先月同じことしてたとは言えない)」

第二皇子「実は怪人退治も魔導鎧も僕の発案なんだ」

少年エルフ「え?」

第二皇子「劇場スポンサーは僕の支援者でもあってね。 ちょっとわがままを聞いてもらったんだ」

少年エルフ「どうして怪人退治を?」

第二皇子「にぃさまに……、皇帝に認めてもらいたかったからかな、異種族でも帝国の役に立つってことを」

少年エルフ「お兄さんに……、じゃあなぜ教祖さんたちに協力するの?」

第二皇子「……」

252: 2017/08/12(土) 23:53:07.78 ID:AfBLVpI80
少年エルフ「お兄さん嫌いになったの」

第二皇子「ううん、でもほら仕方なかったし」

少年エルフ「う……(僕のせいだ)」

第二皇子「大丈夫うまくやるよ…… 宮廷を破壊なんてさせないから」ボソボソ

信者「そろそろ時間です」

第二皇子「わかった、いこう」

少年エルフ「ホビット……」

第二皇子「大丈夫、また一緒に舞台をやろう」

253: 2017/08/12(土) 23:54:32.70 ID:AfBLVpI80
〇教団地下・魔王アーマー格納庫

\準備いそげ/

カンカンカン

教祖「さぁ皇子、こちらです」

教祖は第二皇子を魔導アーマーの首のあたりに案内した。

第二皇子「……ここ座ればいいのか?」

教祖「はい」

魔王アーマーに頭は無く、首のところに魔導鎧の内装が埋め込まれている。

第二皇子「これは魔導鎧と同じ……」

254: 2017/08/12(土) 23:55:24.55 ID:AfBLVpI80
教祖「ええ……、使い慣れた物の方がよいかと思い、急遽組み込みました」

第二皇子「そうか」

ガチャ

第二皇子は操縦席に座った。

第二皇子「……(これなら操縦できる)」

教祖「では閉めますよ」

ゴゴゴゴ…… ガチャン

上から巨大で禍々しい兜が下りてきて操縦席を覆った。

255: 2017/08/12(土) 23:56:11.90 ID:AfBLVpI80
〇魔王アーマー・頭部操縦席

\魔力量クリア/ \安全装置解除/

第二皇子「……今だ、起動!」

ガチン

第二皇子「なんだ? 動かない!?」

シュルル

第二皇子「何だコレは!?」

操縦席から何本もの蛇が生えてきて第二皇子に絡まる。

通信(教祖)「ただ安全帯ですよ、かなり揺れますので」

第二皇子「これでは操縦ができない…… ハッ まさか複座まで」

256: 2017/08/12(土) 23:57:24.57 ID:AfBLVpI80
〇魔王アーマー・腹部操縦席

教祖「そうです、操縦はわたくしがやりますよ。 皇子は魔力だけ供給していただけたら」

通信(第二皇子)「おのれ騙したのか ぐむ……」

教祖「騙すなんて、皇子は旗印として動力源としてとってもとっても大事ですから操縦は我々にお任せください」

ゴゴォン

魔王アーマーが立ち上がる。

教祖「行きますよ革命です、第二皇子の新しい御代を創るのです」

\ワアアアアア/

無数の怪人と共に魔導アーマーが地上へ動き出す。

257: 2017/08/12(土) 23:59:08.32 ID:AfBLVpI80
〇教団・修行部屋

バシャン

娘「う…… ゲホゲホ」

信者A「起きたかベッピンさんよ」

娘は目を開けた。

ガシャン

両手は鎖で壁につながれている。

娘「その服装……なるほど、教団が黒幕だったのね」

信者B「お前歌劇団の奴だな、どうやって入ってきた? 仲間は?」

娘「仲間? 一人できたのよ」

信者A「面倒だ体にきいちまおう」

\うへへへ/

信者たちが娘ににじり寄る。

258: 2017/08/13(日) 00:00:14.36 ID:xAlW8+Ji0
娘「警告するけど、近寄らない方がいいわよ」

信者A「いいねぇこんな状況でも強気とか」

信者B「うへへへ」

娘「警告はしたわよ…… ハァッ」

バリバリバリバリバリッ

娘から電撃が迸り信者たちが感電する。

\\がっぎゃっぎゃっぎゃっぎゃっぎゃっああっ!!//

259: 2017/08/13(日) 00:01:29.59 ID:xAlW8+Ji0
〇数分後

ドサッ

信者A「」ジュ―

信者B「」ジュ―

娘「かば焼きくさいわね、貴方たち」

パチパチパチ

神官「いやぁお見事、詠唱無しでその威力とは」

神官が奥から現れ……。

バリバリバリバリバリッ

神官「ギャアアアアアアアアア」

床の水たまりを伝って神官も感電した。

260: 2017/08/13(日) 00:03:17.70 ID:xAlW8+Ji0
娘「神官アンタ、やっぱりグルだったのね」ゴゴゴゴゴゴ

神官「まってください、違いますよ今回のは教祖が勝手にやったことで私は関係ないですよ」

バリバリバリバリバリッ

神官「アババババババ」

娘「ウソくさいわよ、本当の事いいなさい」

神官「すいません、実はちょっとは何かしてるかなー? くらいはわかってました」

娘「あっそう、とにかくコレを外しなさい、あとエルフの居場所もわかるでしょ」

神官「わかりますよ、顔合わした途端に電撃は勘弁してくださいよ」

261: 2017/08/13(日) 00:05:21.91 ID:xAlW8+Ji0
カチャカチャ

娘「ふーん、あいつらが私に何かするまで見てる気だったの?」

神官「……やだなぁ娘さん寝たふりしてたなんて趣味悪いですよ」

娘「アンタが隠れてたとこも射程内だったのよ」

神官「ハハハ、あれはスキをみて助けようと……ハハハ」ダラダラダラ

怒涛の冷や汗が神官の額を流れおちる。

娘「まあいいわ、早くエルフの所へ」

神官「はーい」

ぐに

神官は黒焦げの信者を踏みつけてしまった。

神官「あーあ、この方たち黒焦げですよ」

262: 2017/08/13(日) 00:06:18.09 ID:xAlW8+Ji0
娘「ヘビ教の人でしょ、そのうち脱皮とかするんじゃないの」

神官「脱皮したからって全部チャラになりませんよ」

娘「いいのよ、縛られてる女子をどうこうしようって性根が気に入らないわ。 文句ある?」

神官「アリマセン」

娘「この分じゃもしかしてエルフも……」ゴゴゴゴゴゴゴ

バチバチバチ

神官「うわぁ、漏電してますよ。 どんな守護精霊ですか電気うなぎですか」

娘「知らないわよ」

263: 2017/08/13(日) 00:07:37.35 ID:xAlW8+Ji0
〇少年エルフの牢屋

タッタッタッ

神官「ここです」

娘と神官があらわれた。

娘「エルフ」

少年エルフ「娘、神官さんも」

娘「あぁよかった無事ね、怪我ない?変な事されなかった」

少年エルフ「だいじょ…う……ぶだよ」

娘「さ・れ・た・の・ね」ズゴゴゴゴ

神官「うわぁ」

娘「とりあえずこの施設を灰燼にしてやった奴を見つけ出して生まれた事を後k」ブツブツ

神官「……(恐ろしい程の魔力の高まりが)」

264: 2017/08/13(日) 00:09:13.17 ID:xAlW8+Ji0
少年エルフ「まって娘、僕は大丈夫だから、それよりホビットが」

娘「そういえばホビットは? 一緒じゃないの」

少年エルフ「実は……」


〇帝都歌劇・団長の部屋

団長「なにぃ!? 巨大怪人だと」

電話「そうです宮殿にむかって うわああ……ツーツー」

ガチャン

団長「くそっ 本当にやりやがった」

男子「どうなっているんだ」

団長「いままでのパフォーマンスとは違う、本当に革命を起こすきだ」

男子「革命!?」

娘友「パフォーマンス?」

団長「とにかく全員出撃準備を」

娘友「実は既に出撃してたり」

団長「なにぃ!?」

265: 2017/08/13(日) 00:10:41.40 ID:xAlW8+Ji0
〇帝都・旧市街

ズシーン ズシーン

無数の怪人と魔王アーマーが帝国軍を蹴散らしながら宮殿へ進撃していく。


〇魔王アーマー内部

第二皇子「ぐぅ……ううう(魔力が無理やり)」

\ピピッ 出力低下 出力低下/

教祖「ふむ……外部入力を試しますか」

教祖は周囲の建物を破壊するように怪人たちに指示をだした。



ドカーン ガシャアン

\キャー/ \わー/

266: 2017/08/13(日) 00:11:55.07 ID:xAlW8+Ji0


\ピピッ 怨嗟入力……変換…… 出力安定/

教祖「ギリギリですね、もっと過密部にいかねば」

第二皇子「や……め……」

教祖「皇子、もう少々お待ちくださいね直に宮殿に向かいますので(皇子は宮殿まで保てばよい)」

第二皇子「く……う……(にぃさま……エルフ……)」


270: 2017/08/19(土) 11:37:03.49 ID:U6W57dc70
#20 宮殿前広場の決戦

271: 2017/08/19(土) 11:38:49.56 ID:U6W57dc70
〇宮殿前広場

レポーター「ご覧ください、熊、鹿、トカゲ、昆虫など怪人を引き連れて巨人が宮殿に向かって侵攻していきます」

\撃てーッ/

レポーター「ついに帝国軍の攻撃がはじまりました」

シュババ…… バシンバシン

帝国兵の魔法、魔導兵器は魔王アーマーの装甲にはじかれた。

ドドドド

\うわー ぎゃー/ \引け― 撤退/

魔王アーマーから魔導弾が発射され帝国軍が壊滅する。

レポーター「なんということでしょう、あの巨大な怪人を止めることはできないのでしょうか」

怪人「ぐはは」

レポーター「怪人がこちらに、ひぃ、皆さん私はここまでのようですさようなら」

272: 2017/08/19(土) 11:40:02.68 ID:U6W57dc70

ひゅぅうううん ドズン

怪人「グギャアッ!?」

何かが上から降って来た。

女兵士「あ、ごめんなさーい……大丈夫?」

ジャキン

魔導鎧(猫娘)「生身で着地できるって何者!?」

ジャキン

魔導鎧(犬娘)「大丈夫か? ここは我々が食い止める安全な場所へ早く」

レポーター「はい、なんと噂の魔導鎧部隊が来てくれました。しかしどこから?」

273: 2017/08/19(土) 11:41:23.08 ID:U6W57dc70
〇宮殿前広場・上空

白竜が第七王女を乗せて旋回している。

第七王女「降下は成功じゃ、次はわらら達であの巨人を倒すのじゃ」

白竜「人前でとっくみあいなんてはしたないけど…… 仕方ないわね」

ドドオゥン

魔王アーマーの前に白竜が立ちふさがった。

レポーター「ドラゴンです、伝説の怪物が巨人の前に立ちふさがりました。」

274: 2017/08/19(土) 11:43:07.18 ID:U6W57dc70
〇宮殿広場近くの路上

ブオォン

団長「こんどは何だ怪獣か!?」

娘「あらー王女やっちゃったわね」

男子「今は後先考えていられないだろう」

車で団長と娘友たちが広場へ向かっている。

サソリ女「無線が通じるようになったで」

団長「現場はどうなってる」

サソリ女「犬と猫は避難誘導、王女はんがドラゴンで大物を抑えとる」

団長「ドラゴンを操るとは一体…… 帝国軍の動きは」

サソリ女「あそこで聞いたらいいんちゃう」

前方で帝国軍が道路を封鎖している。

275: 2017/08/19(土) 11:44:25.17 ID:U6W57dc70
〇検問

\危険です引き返してください/

キキィッ

団長「我々は帝都歌劇の者だ現場はどうなっている。」

団長は帝国軍たちの元へ歩いて行った。

娘友「なんだか大事になってきてるわね」

男子「娘たちは無事だろうか」

ブルォオン

\うわぁ止まれ止まれー/

ギギィー バコーン

\ワ―/

暴走した車が帝国軍の封鎖を突破していった。

娘友「て、今の!?」

男子「娘!?」

276: 2017/08/19(土) 11:45:25.17 ID:U6W57dc70
〇娘が運転する車

ブオーッ

少年エルフ「どこで車の操縦覚えたの!?」

娘「説明書を読んだのよ」

少年エルフ「今、止まれっていってなかった!?」

娘「止めなきゃいけないのは白竜でしょ、ホビットがあそこにいるんでしょ」

少年エルフ「うん……て、うわぁ!?」

娘「掴まっててよ」

ギギィッ

277: 2017/08/19(土) 11:46:28.25 ID:U6W57dc70
〇宮殿前広場

ガキィン

ドゴォン

白竜「硬いわねー」

第七王女「また撃ってきたぞい」

シュドドド

魔王アーマーから魔導弾が射出される。

白竜「もう、面倒ね」

ヒュボボ

白竜は火炎放射で迎撃する。

ズボボボン

爆炎があたりに広がる。

278: 2017/08/19(土) 11:47:30.13 ID:U6W57dc70
第七王女「今じゃ思い切って飛び込むのじゃ」

白竜「そうね、埒があかないし……えーい」

ドドドッ

白竜は突進して魔王アーマーを押し倒す。

ズドドォンン

第七王女「よし兜を取って投降を呼びかけるのじゃ」

白竜「美形は期待できないわね」

ガシィン

白竜が魔王アーマーの頭部を外すと頭部操縦席があらわになった。

白竜「なにこれ人が乗ってる」

第二皇子「う……ぅ」

279: 2017/08/19(土) 11:48:57.10 ID:U6W57dc70
第七王女「もしやホビットか!?」

ブオォオオオン ガシャーン

白竜「いったぁ!?」

突如白竜の脛に車がぶつかってきた。

娘「バカ! それにはホビットが乗ってるのよ」

第七王女「娘、エルフ」

白竜「一体何がどうなってるの」

ゴゴゴ

魔王アーマーは右手を白竜に向ける。

少年エルフ「白竜危ない! 離れて」

シュドン

魔王アーマーの左手が手首から射出された!

280: 2017/08/19(土) 11:49:58.69 ID:U6W57dc70
白竜「キャアア」

ドドォン

第七王女「うおおお!?」

白竜はロケットパンチを食らい倒れた。第七王女も放り出されてしまった。

魔王アーマー(教祖)「とんだ邪魔が入りましたが革命は止まりませんよ」

娘「教祖!」

キュオオオ

魔王アーマーの両肩の砲塔に魔力が集約される。

白竜「王女ふせて」

第七王女「う……なんじゃ」

白竜は王女を両手で覆った。

281: 2017/08/19(土) 11:51:07.54 ID:U6W57dc70
魔王アーマー(教祖)「魔王砲発射」

ビカーン

両肩の砲塔から禍々しい閃光が発射された。

娘「きゃあああああああ」

少年エルフ「うわああああああ」

白竜「い……たぁい」

白竜は閃光を翼で受けたが大ダメージ、飛べなくなってしまった。

娘友「何今の?」

男子「今のはビーム!?」

娘友たちが合流した。

娘「なんで喜んでのよアンタは」ゲシッ

男子「グゲッ」

282: 2017/08/19(土) 11:52:19.64 ID:U6W57dc70
魔王アーマー(教祖)「次は宮殿です」

教祖は砲塔を宮殿に向ける。

娘「させないわ、光よ!」

ヒュイイイン

娘の持つ剣が光を纏う。

魔王アーマー(教祖)「む!?」

娘「これで終わりよ」

ブォン

娘の斬撃と共に光の奔流が魔王アーマーを覆う。

シュワアアア……

娘「ふぅ…… これならホビットも無事の筈」

283: 2017/08/19(土) 11:53:27.31 ID:U6W57dc70
ビカーンッ

娘「な!?」

ズドドドォン

娘「きゃああああああ」

娘は魔王砲の余波を食らって吹っ飛んだ。

魔王アーマー(教祖)「ふぅむ? 目くらましなんて効きませんよ」

爆炎に照らされて魔王アーマーが悠然と歩きだす。


287: 2017/08/26(土) 21:54:35.42 ID:w8BIqAGh0
#21 君氏にたもふことなかれ

288: 2017/08/26(土) 21:56:06.97 ID:w8BIqAGh0
〇宮殿前広場・入り口

魔王砲を受けた白竜と娘の元へ少年エルフが駆け付ける。

少年エルフ「娘、大丈夫 ”大治癒”」パアア

娘「うぅ……やられたわね」

第七王女「エルフ、白竜にも頼むのじゃ」

少年エルフ「わかった」

少年エルフは白竜にも治癒魔法をかけた。

白竜「最悪…… 背中ボロボロ」

娘「それよりアイツはどこに?」

289: 2017/08/26(土) 21:56:44.29 ID:w8BIqAGh0
少年エルフ「宮殿に向かってるよ、団長や男子君も帝国軍と一緒にとめようとしてる」

第七王女「わらわも行こう、白竜と娘はちゃんと回復するまでここにおるのじゃぞ」

娘「でも……」

第七王女「エルフよ頼んだのじゃ」

第七王女は走り去った。

290: 2017/08/26(土) 21:58:06.93 ID:w8BIqAGh0
〇宮殿前広場・魔王アーマー内

教祖「魔王砲発射」

ビカーン…… バシュシュン

魔王アーマーから放たれた邪悪な光線は帝国軍の魔法障壁で防がれた。

\収束率低下……収束率低下……/

教祖「先ほどの光、無傷とはいかなかったようですね」

\撃てー/

ヒュドドドドン

帝国軍の魔法攻撃!

バシンバシン

魔王アーマーには効果がなかった。

教祖「目ざわりな接近して撃てば消し飛ぶでしょう」

ズシンズシン……

魔王アーマーは宮殿に向かって前進しはじめた。

教祖「フフフ…… 見えますよ燃える上がる宮殿がっ!」

291: 2017/08/26(土) 21:59:32.55 ID:w8BIqAGh0
〇宮殿・バルコニー

\撃てー/

ドドドドン

家来「陛下ここは危険です早く退避を」

皇帝「それには及ばん…… 見よ、最高のショーだと思わんかね」

ドドォン ドドォン

家来「ひぃ」

皇帝「逃げたければ逃げればよい、我は逃げも隠れもせん」

家来「そ…… それでは失礼して」

家来は逃げ出した。

皇帝「しょせんその程度の奴」

292: 2017/08/26(土) 22:00:18.14 ID:w8BIqAGh0
神官「……まだこちらに居ましたか」

カーテンの影から神官があらわれた。

皇帝「貴様こそ、とうに逃げ出したと思っておったぞ」

神官「御冗談を」

皇帝「先ほどの光が貴様が買いかぶっていた奴か? 余興にもならなかったな」

神官「おっしゃる通りだと…… 良いのですがね」

293: 2017/08/26(土) 22:01:47.22 ID:w8BIqAGh0
〇宮殿前広場・中央

魔導鎧(犬娘)「うおおおお!」

ギュイイイイ

魔導鎧(猫娘)「止まれーっ!」

ジャラジャラジャラ

犬娘と猫娘が鎖で魔王アーマーの左足を絡めとった。

魔王アーマー(教祖)「おおう」

グラッ ドドン

足を引っ張られた魔王アーマーは転倒した。

第七王女「あっぱれじゃ!」

294: 2017/08/26(土) 22:03:14.03 ID:w8BIqAGh0
団長「ようし今だアイツを操縦席から奴を引きずりだせ」

\ワアアア/

帝国軍兵が仰向けの魔王アーマーに群がる。

ゴゴン……ゴゴン

サソリ女「なんの音や?」

空を指す魔王砲の砲身が開いていく。

サソリ女「アカン!? 皆はなれるんやっ!!」

ビカーン

魔王アーマーは拡散魔王砲を発射した。周囲に爆風が広がる。

\うわあああ/

魔導鎧(犬娘)「おのれ、これでは近寄れん」

魔導鎧(猫娘)「あつー」

295: 2017/08/26(土) 22:05:13.56 ID:w8BIqAGh0
ガシャン ガシャン

魔導鎧(犬娘)「なんだ、変形?」

サソリ女「あれは四足歩行モード!?」

魔王アーマーは変形して四足歩行モードになった。

サソリ「ウチの複座式のマネしよって!」

団長「いや……流用されてるな」

ガシャンガシャンガシャン

団長「くそっ……来る」

\うわああああ/

帝国軍兵は総崩れになった。

第七王女「こらー、逃げるでないわ!」

団長「しかしもはや止めようが……」

第七王女「むぅ」

ゴゴン……ゴゴン……

魔王砲の砲身が拡散モードから戻る。

サソリ女「アカン……防げへんわ」

魔王アーマー(教祖)「今新たなる世が始まるのです」

魔王砲が宮殿を狙う。

296: 2017/08/26(土) 22:06:43.66 ID:w8BIqAGh0
ガガァン

魔王アーマー(教祖)「な!?」

白竜「アンタねぇ、シミになったらどうしてくれるの!」

白竜が魔王アーマーに飛び掛かった。

魔王アーマー(教祖)「しぶといトカゲが!」

白竜「今よ、そこ」

白竜は首を伸ばして娘とエルフを頭部操縦席に降ろした。

魔王アーマー(教祖)「何!? そうはさせるか」

ゴゴン

教祖は魔王砲を再び拡散モードで発射しようとする。

白竜「それはこっちのセリフよ」

297: 2017/08/26(土) 22:07:31.33 ID:w8BIqAGh0
ガシン

白竜が魔王砲の砲身を掴み発射を阻止する。

\砲身展開不良/ \過重量……過重量……/

白竜「これじゃあ手も足も出ないわよね」

魔王アーマー(教祖)「おのれ、これでもくらえ」

ボボボボン

魔王アーマーから魔法弾が連射される。

白竜「あいたた 足つぼ効くわー」

魔王アーマー(教祖)「おのれおのれ!」

298: 2017/08/26(土) 22:09:04.38 ID:w8BIqAGh0
〇魔王アーマー・頭部操縦席

少年エルフ「くぅ……外れない」

少年エルフは皇子の拘束と解こうとするが外れない。

第二皇子「うぅ…エルフ、ソレを」

第二皇子は必氏に何かを訴えている。

娘「何、このレバー?」

少年エルフ「なんでそれがあるの!?」

娘「エルフ、これは何?」

少年エルフ「緊急脱出装置…… 複座式魔導鎧にも同じ物がついてたよ」

娘「脱出装置、じゃあコレを引けば」

ガコン

299: 2017/08/26(土) 22:10:10.14 ID:w8BIqAGh0
少年エルフ「うわ!?」

ガツン

操縦席が激しく揺れた。

娘「何?」

ボシュッ…… ズルズルズル

娘「これで終わり?」

少年エルフ「……止められてる パラシュートだけ出ちゃったんだ」

魔王アーマーの後ろにしぼんだパラシュートが引きずられている。

娘「ダメだったの?」

少年エルフ「……うん」

第二皇子「娘ねぇ……さま、エルフ」

少年エルフ「心配しないで何とかするから」

少年エルフと娘は必氏に拘束を外そうとするが外れない。

娘「硬い……」

300: 2017/08/26(土) 22:11:24.70 ID:w8BIqAGh0


魔王アーマーは白竜を振り落とそうと暴れている。

ビカーン

白竜「あっつ!!」

空に向かって魔王砲が撃たれる

ボボボボン

間髪いれずに魔王アーマーの魔法弾連射が白竜に命中する。

白竜「いたっいたいってば…… 娘、まだなの!?」

301: 2017/08/26(土) 22:12:54.73 ID:w8BIqAGh0


キュゥウン

第二皇子「ッ……ああ!!」

魔王アーマーは第二皇子から魔力を絞りとる。

少年エルフ「ホビット!?」

娘「しっかりして」

第二皇子「このままじゃ宮殿が…… エルフ、僕を…… 僕を頃して」


305: 2017/09/02(土) 22:15:06.58 ID:6KhdxS4n0
#22 ロマンシング・デウス・エクス・マキナ

306: 2017/09/02(土) 22:16:34.48 ID:6KhdxS4n0
〇頭部操縦席

少年エルフ「な!? 何言ってるの!」

第二皇子「兄さまに迷惑かけたくない…… エルフも……娘ねぇさまにも」

娘「ホビットが迷惑なワケないでしょ、黙って助られなさい!」

第二皇子「……このままじゃ宮殿を撃つことに」

少年エルフ「あきらめないで」

キュウウン

魔王アーマーが再び第二皇子の魔力を吸い取る。

第二皇子「うぅ……ダメ、また撃つ気だ」

娘「くっ…… 止めてくるわ」

娘は腹部操縦席へ向かった。

307: 2017/09/02(土) 22:18:00.28 ID:6KhdxS4n0
〇魔王アーマー・腹部

娘「ここね」

ガツンガツン

娘は剣で操縦席を開けようとするが開かない。

娘「白竜! ここ開けられない?」

白竜は魔王砲と格闘している。

白竜「無理よこっちも手一杯よ」

娘「くぅ……」

シャッ

腹部操縦席に一部が透明になって教祖の顔が見える。

教祖「おやおやこんなところでお嬢さんがいると……」

308: 2017/09/02(土) 22:25:41.35 ID:6KhdxS4n0
娘「”雷撃”」

バリバリバリ

教祖「うおっ!? ……話を聞かないようですね」

娘「うっさいわね、ホビットを解放しなさい」

ガンガンガン

教祖「それは応じかねます、せっかくですので特等席でどうぞご覧ください」

ビカーン

娘「まさか!?」

ズッ……ズン

\白竜/

白竜「ミスったわ」

白竜が魔王砲を撃たれて倒れた。

309: 2017/09/02(土) 22:29:05.03 ID:6KhdxS4n0
教祖「ふむ(片方を犠牲になりましたか) ……しかしこれで終わりです」

残った魔王砲が宮殿に狙いを定める。

教祖「新たなる世の始まりです」

少年エルフ「”風弾”」ビュオオ

ビカーン ……チュドーン

少年エルフの魔法で照準がズレ、宮殿の尖塔だけ破壊される。

教祖「ぐむむ、次から次へと」

バサッ……バサッ……

頭部操縦席から伸びたパラシュートが風にあおられる。

少年エルフ「パラシュート…… そうだ”旋風”」

ゴオオオオオッ

310: 2017/09/02(土) 22:31:04.78 ID:6KhdxS4n0
教祖「これしきの風、魔王アーマーにはききませんよ」

バタバタバタ…… ガキン

パラシュートに引っ張られ頭部操縦席が浮き上がる。

娘「その手が、エルフ手伝うわ ”雷撃”」

ドドン! バリバリバリ

娘は頭部操縦席と魔王アーマーの境目に魔法を撃つ。

メキメキメキ

娘「今よ」

少年エルフ「”竜巻”」

ゴオオオオオオッ

魔王アーマーを中心に竜巻が空へ伸びる。

311: 2017/09/02(土) 22:32:58.25 ID:6KhdxS4n0
バキバキバキ…… バキンッ

少年エルフ「うわぁ!?」

第二皇子「ぅ……はぁ、外れた!?」

竜巻に巻き上げられ頭部操縦席が魔王アーマーから外れ宙を舞う。

教祖「馬鹿な!?」

\魔力低下魔力低下/

キュウン……

魔王アーマーが停止する。

ガッシャン

腹部操縦席のハッチが開く。

教祖「おのれ、こうなれば私が直々に皇帝をっ」

教祖は操縦席から身を乗り出し、その体が変化する。

312: 2017/09/02(土) 22:36:11.15 ID:6KhdxS4n0
娘「うわぁ気持ち悪っ!?」

教祖は急速に脱皮を繰りかえし、九頭大蛇へ変化した。

九頭大蛇「キシャアアアアッ」

娘「残念だけどここで終わりよ ”重雷撃”」

ドンガラガッシャーン バリバリバリバリ

九頭大蛇「ギャアアアアアアア」

雷が連続して九頭大蛇に落雷する。

少年エルフ「やった」

第二皇子「すごい」

ガシャン

頭部操縦席が落下して第二皇子が解放された。

娘「やっとこれで……なに!?」

シュッ…… ガブッ

313: 2017/09/02(土) 22:38:04.81 ID:6KhdxS4n0
娘「つぅ!」

少年エルフ「娘!?」

九頭大蛇「ははは…… 見えますよビジョンが、貴方が虫けらのように地に伏して氏ぬところが」

娘「なん……ですって」

九頭大蛇に噛まれ娘は呪われた。

少年エルフ「娘!?」

少年エルフが娘に駆け付ける。

九頭大蛇「貴方は氏ぬ! 革命は止まらない! 魔王アーマーよ私の魔力を受け取るのです!」

九頭大蛇が魔王アーマーに巻き付き魔力を供給する。

ゴゴン

魔王アーマーが再起動した。

314: 2017/09/02(土) 22:40:18.14 ID:6KhdxS4n0
第二皇子「なんて執着……」

少年エルフ「ホビット! 手を貸して娘を向こうへ」

娘は気を失っている。

第二皇子「わかった」

娘「う……」

少年エルフは第二皇子と協力して娘を運ぶ。

315: 2017/09/02(土) 22:41:35.03 ID:6KhdxS4n0
〇宮殿前広場・バルコニー前

ズズン……ズズン

\……王砲発……ザザッ……完了/

九頭大蛇「ゴフッ…… 革命成就せり」

皇帝「……」ククク

バルコニーでは皇帝が不敵に笑っている。

九頭大蛇「この状況で? ……なにこれは!?」

キュウウ

\強制……自爆……す、3、……1/

九頭大蛇「な……」

キュドーン

魔王アーマーは吹き飛び九頭大蛇も巻き込まれた。

316: 2017/09/02(土) 22:46:16.18 ID:6KhdxS4n0
〇宮殿前広場・帝国軍陣営

団長「爆発!?」

サソリ女「回路の短絡や 無茶な起動をしたせいやな」

第二皇子「……本当に?」

男子「エルフさん、娘はどうしたんだ!?」

娘「う……ぐ……」

娘は傷口がふさがらずうめき声をあげている。

少年エルフ「治癒魔法が効かない、なんで!?」

第七王女「とりあえず劇場に運ぶのじゃ」

男子「よし行こう」

少年エルフ「娘……」

少年エルフたちは帝都劇場へ引き上げた。

317: 2017/09/02(土) 22:47:41.98 ID:6KhdxS4n0
〇宮殿・バルコニー

皇帝「つまらん、大した者ではなかったな」

神官「そうですか? 彼女たちのおかげで皇子は助かりましたよ」

皇帝「だからつまらんというのだ」

神官「おっと…… 左様でございましたか」

皇帝「まあよい、これで議会も思い知っただろう異種族こそ災いの元だと」

神官「それでは概ね予定通りでございますか」

皇帝「そうだ、異種族を捕え、排し、種族統一による平和を実現する」

神官「まさに世界征服ですね」

皇帝「言いがかりだな、しかしそれが契約だったろう?」

神官「おっしゃる通りです陛下」

318: 2017/09/02(土) 22:49:38.18 ID:6KhdxS4n0
???「ブクブク……」

神官「王も異論はないようです」

部屋の奥には水槽に浸った異形の生首が浮いている。

皇帝「……その生首にまだ意思があるのか?」

神官「……おそらく」

皇帝「フン…… 昔はどうか知らんが、今はただの魔力炉だろうが」

神官「そうです、帝都の魔力を支える魔力炉ですよ」

皇帝「フン……(主すら売り飛ばす異種族め)」

神官「陛下はもっと論理的な方だと信じておりますよ

皇帝「黙れ、おかしな事をしたら貴様も魔力炉に放り込むぞ」

神官「我々はお目こぼししていただける契約ですよね」

皇帝「ああ……(使い道がある内はな)」

神官「ゆめゆめお忘れなきよう」スッ

神官は影に吸い込まれて消えてしまった。

皇帝「……(不気味な奴め、直に魔力炉で次世代エナジーにしてくれる)」

ガタン……カツカツカツ……

皇帝は部屋を出た。

319: 2017/09/02(土) 22:58:00.09 ID:6KhdxS4n0
〇翌日・帝都劇場

男子に担がれた娘が戻ってきた、少年エルフは沈んだ表情だ。

第二皇子「娘ねぇさまの様子は?」

娘「……ぐ……うぅ……」

娘は戦いの後からずっと目を覚まさず、ふさがらない傷にうなされていた。

少年エルフ「教会の司祭様にも無理だった、こんな強力な呪い僕じゃとても……ううう」ポロポロ

第七王女「泣くでないエルフ、何か方法があるはずじゃ」

少年エルフ「でも……このままじゃ娘が……」

\うわあああん/

男子「……」

第七王女「……」

娘友「……」

女兵士「……」

320: 2017/09/02(土) 22:59:00.95 ID:6KhdxS4n0
第二皇子「噂ですが…… 氷島の奥地には数百年生きた呪術師がいるらしいです」

第七王女「呪術師とな……」

第二皇子「はいもしかしたらその人なら解呪の方法をしってるかも」

少年エルフ「ぐす……わかった、ホビット僕をそこへ連れて行って」

第二皇子「エルフ……でもただの噂で」

少年エルフ「お願い……、少しでも可能性があれば僕は行くよ」

娘友「エルフさん……」

少年エルフ「僕は娘のパパだから」

321: 2017/09/02(土) 23:00:35.23 ID:6KhdxS4n0


バタン

団長「エルフ、ホビットすぐに出る用意をしろ!」

団長が部屋に飛び込んできた。

第二皇子「どうしたの!?」

団長「話は後だ直ぐに出ないと捕まるぞ」

少年エルフ「ええ!?」

322: 2017/09/02(土) 23:02:09.10 ID:6KhdxS4n0
〇テレビ・帝国放送

テレビでは皇帝の演説が流れている。

皇帝「先の暴動こそが異種族の本質、我々に仇をなすものに他ならぬ

――帝都、この宮廷においても被害は少なからずあった。

――この事態を重く受け止め、帝国の内外問わず、すべての異種族は我々もとに管理されねばならない。

――ここに皇帝の名のもとに異種族排他法を施行する」

帝国は異種族排他法を公布した。

323: 2017/09/02(土) 23:03:54.68 ID:6KhdxS4n0
〇数日後の夜・氷島沿岸

ザバッ

白竜「あーん」

ぴょい

少年エルフ「よいしょ」

ぴょい

第二皇子「うわっと」

少年エルフ「気をつけて、足場が悪いよ」

白竜が岸に向けて口を開くと少年エルフと第二皇子が出て来た。

白竜「ひゃぁ、やっと着いたわね」

324: 2017/09/02(土) 23:09:36.98 ID:6KhdxS4n0
少年エルフ「白竜ありがとう、顎疲れなかった?」

白竜「ありがと、それより背中が塩水で痛むわ」

少年エルフ「あとでまた治癒魔法かけるよ」

白竜「はーい、向こうから上がるからまってて」

白竜は上陸する場所を探して泳ぎ去った。

第二皇子「すごい、船で二週間はかかるのに」

少年エルフ「飛べたらもっと早くてみんな一緒だったけど」

ヒュウウウ

冷たい風が吹き付ける。

少年エルフ「寒い…… ここが氷島」

325: 2017/09/02(土) 23:11:44.89 ID:6KhdxS4n0
第二皇子「まずは港町で準備をしましょう、着替えも必要ですし」

少年エルフと第二皇子の服は白竜の唾液でベタベタである。

少年エルフ「うん……(娘大丈夫かな)」

第二皇子「……大丈夫です、船で追いついてきますよ」

少年エルフ「そうだね、それまでに呪術師を探さないと」

第二皇子「ええ、僕はここで育ちました。 案内は任せてください」

少年エルフ「うん、行こう」


326: 2017/09/02(土) 23:14:02.88 ID:6KhdxS4n0

327: 2017/09/02(土) 23:18:07.08 ID:m8Asppi90
お疲れ様です。
いよいよ、佳境に入って来ましたね。
続きを楽しみに待ってます。

328: 2017/09/03(日) 13:19:03.88 ID:a28uPRCmo
乙!

引用元: 少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を倒すことになりました」