1: 2018/08/13(月) 16:27:50.44 ID:7jXXehvgO
ぷりっ……
麻子「あ、ごめん西住さん、オナラをしてしまった」
みほ「う、うん」
麻子「それでだ……この問題はさっき言ったみたいにこの公式を使って──」
みほ「え、あ、う、うん……」
麻子「……? あ……ごめんね、もっとちゃんと謝ったほうがよかったかな」
みほ「あ、ううん! そうじゃないの、ただ……」
麻子「ただ……?」
2: 2018/08/13(月) 16:29:04.46 ID:7jXXehvgO
みほ「ぜ、全然恥ずかしがったりしないんだもん……麻子さん、すごいなって」
麻子「あ~……普段おばあと一緒にいるからかなのかもしれない……」
みほ「ふぇ……?」
麻子「おばあってば『屁ぐらい当たり前にでるもんだろ』って、どこでもブーブーするから……」
みほ「そ、そうなんだ」
麻子「いつのまにか私も『出て当たり前』っていう認識になってたかも……もちろん、往来でとか男子の前ではしたりしない。でも西住さんはお友達だし……」
麻子「でも、ごめん、失礼だよね、改めないと──」
みほ「──そ、そんなことない!」
3: 2018/08/13(月) 16:29:56.36 ID:7jXXehvgO
麻子「え?」
みほ「むしろ、気にしないでいてもらえて、……リラックスしてくれてるんだなって、そう思うと、私、うれしい」
麻子「……ほんと? 気を使ってない?」
みほ「う、うん!」
麻子「……ふふ、ありがとう、西住さん」
みほ「こ、こちらこそ……///」
4: 2018/08/13(月) 16:31:48.84 ID:7jXXehvgO
────────────────────────
麻子「さっきの話なんだけど……」
みほ「さっき?」
麻子「オナラの話」
みほ「う、うん///」
麻子「オナラってその人の生きてる環境──家族とか──かいま見えるのかもしれない」
みほ「……? 麻子さんの考えること、難しくてよくわからない……」
麻子「例えばね、沙織の場合なんだけど」
みほ「沙織さん……?」
5: 2018/08/13(月) 16:32:31.12 ID:7jXXehvgO
~~~~~ぽわわわわわーーーーーーーーーん~~~~~~~~
<ぶぼっ
沙織『ひゃあっ! あー、やだも~~~、オナラしちゃったー、もー恥ずかしー! あっはははっ!』
麻子『えっ、なんでそんなにテンションがあがってるんだ、ちょっと怖い……』
沙織『だって、うちのお父さんとお母さんってね、いつも二人でオナラをぶーぶーやりあってるの。『あ、オナラがでるよママ!』って! 変だよねぇ、でもなんかすっごく楽しそうで、それを思い出しちゃって! あははは!』
麻子『明るい家庭だなぁ……』
・・・・・・・・・・・・・・・・。
<ぶぼっ
沙織『ひゃあっ! あー、やだも~~~、オナラしちゃったー、もー恥ずかしー! あっはははっ!』
麻子『えっ、なんでそんなにテンションがあがってるんだ、ちょっと怖い……』
沙織『だって、うちのお父さんとお母さんってね、いつも二人でオナラをぶーぶーやりあってるの。『あ、オナラがでるよママ!』って! 変だよねぇ、でもなんかすっごく楽しそうで、それを思い出しちゃって! あははは!』
麻子『明るい家庭だなぁ……』
・・・・・・・・・・・・・・・・。
6: 2018/08/13(月) 16:33:54.18 ID:7jXXehvgO
みほ「ふふふ、沙織さんらしい。あ、でも、そういえば以前、優花里さんが……」
麻子「ほうほう」
・・・・・・・・・・・・・・・。
<ぷぴーっ!
優花里『あひぃ!? す、すみません! つい力んでしまって……』
みほ『あはは、しかたないよね』
優花里『はうぅぅ、お恥ずかしい……うぅ、私としたことが、西住殿の隣で何てことを……』
みほ『気にしないで。……ふふ、優花里さんもやっぱり女の子っぽいところがあるんだね』
優花里『その言い方はひどいですよぉ。……ただやっぱり、オナラはあんまりしちゃだめっていう意識があるじゃないですか』
みほ『うーん……駄目なことはないと思うけど……?』
優花里『でも、お父さんがオナラをすると、お母さん、すっごく怒るんですよねぇ~』
みほ『そうなんだぁ』
・・・・・・・・・・・・・・・・。
麻子「ほうほう」
・・・・・・・・・・・・・・・。
<ぷぴーっ!
優花里『あひぃ!? す、すみません! つい力んでしまって……』
みほ『あはは、しかたないよね』
優花里『はうぅぅ、お恥ずかしい……うぅ、私としたことが、西住殿の隣で何てことを……』
みほ『気にしないで。……ふふ、優花里さんもやっぱり女の子っぽいところがあるんだね』
優花里『その言い方はひどいですよぉ。……ただやっぱり、オナラはあんまりしちゃだめっていう意識があるじゃないですか』
みほ『うーん……駄目なことはないと思うけど……?』
優花里『でも、お父さんがオナラをすると、お母さん、すっごく怒るんですよねぇ~』
みほ『そうなんだぁ』
・・・・・・・・・・・・・・・・。
7: 2018/08/13(月) 16:35:20.70 ID:7jXXehvgO
麻子「なるほど……一番まっとうな感じがする」
みほ「うん、私も」
麻子「逆に、華さんはすごかった」
みほ「え……?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
9: 2018/11/16(金) 14:56:59.28 ID:Hk2VSyqDO
~回想~
< パ ァ ン !!
麻子「わ!?」
華「あっ」
麻子「な、何だ、今の音!? 爆竹!?」
華「あ、あのう麻子さん」
麻子「?」
華「今の…………わたくしです」
麻子「へ? 華さん?」
華「はい、わたくしのおしりです……///」
麻子「え、あ」
麻子「……」
麻子「……フ、ファイアフライみたいだった」
華「///」
麻子「おしり、大丈夫?」
華「鍛えてありますので」
麻子「そ、そうなんだ」
華「とにかく、申し訳ありません……///」
麻子「き、気にしないで」
~回想終わり~
-----------------------------------------------
みほ「あはは、すごいって、そういう意味かぁ」
< パ ァ ン !!
麻子「わ!?」
華「あっ」
麻子「な、何だ、今の音!? 爆竹!?」
華「あ、あのう麻子さん」
麻子「?」
華「今の…………わたくしです」
麻子「へ? 華さん?」
華「はい、わたくしのおしりです……///」
麻子「え、あ」
麻子「……」
麻子「……フ、ファイアフライみたいだった」
華「///」
麻子「おしり、大丈夫?」
華「鍛えてありますので」
麻子「そ、そうなんだ」
華「とにかく、申し訳ありません……///」
麻子「き、気にしないで」
~回想終わり~
-----------------------------------------------
みほ「あはは、すごいって、そういう意味かぁ」
10: 2018/11/16(金) 14:58:24.14 ID:Hk2VSyqDO
麻子「痔になってしまうと長時間の正座が難しくなる。そしたら華道にも支障がでる。だから、子どもの時から鍛えられていたそうだ」
みほ「そうなんだぁ」
麻子「どうやって鍛えるのかは、教えてくれなかった」
みほ「………………おしり……生け花……」
麻子「……。西住さん、今、すごいこと考えてないか」
みほ「っ、べ、べつに……ただ、……黒森峰にいたころ、お友達が貸してくれたちょっとエOチな漫画に、男の人がすごい事してるお話しがあって……」
麻子「……西住さんて、意外と……」
みほ「ふぇぇぇ、やめてよぉ」
麻子「ふふふ」
みほ「うぅ……。」
麻子「とはいえ、私も西住さんの事、笑えない。私も、変なこと、考えてる」
みほ「え……?」
麻子「……。……そど子……」
みほ「?? そど子さんが、どうかしたの?」
麻子「うん。私の目の前で、そど子におならをさせて、そうして、すっごくバカにしてやりたい」
みほ「えぇ……?」
麻子「……。」
みほ「……麻子さんて……そど子さんの事、好き?」
麻子「!? な、なんでそうなるんだっ///」
みほ「ご、ごめんなさい、でも、なんとなく……」
麻子「もぅっ」
11: 2018/11/16(金) 15:00:46.88 ID:Hk2VSyqDO
みほ「でも、真面目な人のおならって、ちょっぴりギャップがあって可愛いですよね」
麻子「うん、私もそう思う」
みほ「……。」
麻子「……。」
みほ「……ふふ、ミカさんとか……」
麻子「あぁ。カンテレで、ごまかしてそうだけど」
みほ「ふふふ。アキさんは気にせずぷーぷーしそうです。ミッコさんは、あまり人前ではしなさそう」
麻子「そうかもしれない。じゃあ、例えば、安藤さんと押田さんは……お互いに吹きかけ合っていそうだ」
みほ「わかります。でも、マリーさんは絶対に人前ではしなさそう」
麻子「そうとは限らないかも」
みほ「どうして?」
麻子「中世の時代って、実は今とは衛生観念がすごく異なってるんだ」
みほ「へぇ~」
麻子「特に貴族は、寝室におトイレをするツボがあったりして、しかもその処理は、召使にさせるんだ」
みほ「ええええ!?」
麻子「ある意味、下々に下の世話をさせることは貴族の特権であったのかもしれない」
みほ「ふぇぇ……」
麻子「けど、まぁ……マリーさんの事は、あまり深く考えることはしないでおこう」
みほ「う、うん……。」
麻子「……。」
みほ「あの……じゃあ、ダージリンさんは?」
麻子「絶対に人前ではしないと思う」
みほ「ですよね」
麻子「だけど、あの人はちょっぴり三枚目なところがあるから、ついウッカリ──」
みほ「あはは」
麻子「ね、一度くらいは絶対してる」
みほ「うん、ふふ」
12: 2018/11/16(金) 15:03:01.98 ID:Hk2VSyqDO
麻子「ローズヒップさんは──まったく気にしなさそう」
みほ「でも、実は意外と慎み深かったり……?」
麻子「たしかに、あの学園の人たちは結構ギャップが激しいから……あるいは……」
みほ「ですよね」
麻子「うん、うん、わかる」
みほ「えへへ」
麻子「ふふふ」
みほ「……ケイさんは……?」
麻子「あぁー、あの人は、率直に音を掻き立ててると思う……笑いながら」
みほ「ケイさんの笑顔、私、とっても大好きです」
麻子「そうだな、あの人の笑顔は、私も気持ちがいい。おならだって、きっと許してしまうと思う」
みほ「ね、私もそう思います」
麻子「うん。……あっ、そういえば」
みほ「?」
麻子「カチューシャ」
みほ「? カチューシャさん?」
麻子「うん。……いや、もしも肩車された状態で……したら、どうなるんだろうって」
みほ「……ぷっ……」
麻子「あ、西住さん、笑った」
みほ「だって、麻子さん、ひどいです。カチューシャさんはそんな事しないですよ」
麻子「でも、出るものはしかたがないしなぁ」
みほ「っ、ふふっ……『地吹雪の』……」
麻子「っ! ふふ……!」
みほ「あ、麻子さんも笑ったぁ」
麻子「もうっ、西住さん」
みほ「あはは」
13: 2018/11/16(金) 16:30:30.68 ID:3DZsAq8IO
みほ「あはは」
麻子「もー……ところで、この話題、いつまで続くかな? もう止めたい?」
みほ「ううん、そんな事ないです。えっと、あとは……アンチョビさん達に、西さん達、ありすちゃんや、大学選抜の方たちと……それに、……黒森峰の……」
麻子「まだまだ時間がかかりそうだ」
みほ「ほんとだね」
麻子「アイス食べたい」
みほ「じゃあ、食べながらおしゃべりしましょうか、お店に行って」
麻子「うん、そうしよう、お茶しよう」
みほ「はい! …………ハァ……」
麻子「あ……もしかしてこの話題はやっぱり嫌だった? ごめん……何か違う話を」
みほ「! 違います!!」
麻子「本当?」
みほ「むしろ、全然その逆で……私、嬉しくって……」
麻子「オナラの話が?」
みほ「だって、こんなに、たくさんの人たちの事を、想い浮かべられるだなって。みんなどんなオナラをするのかなって、私、いろいろな人達と、お友達になれたんだなって」
麻子「……それは、私も同じだ。私もおならなんて、おばあのオナラしか、知らなかった」
みほ「麻子さん」
麻子「みんなと出会えてよかった。戦車道……やっててよかった、西住さん、私を誘ってくれて、ありがとう。みんなにも、感謝しなきゃ」
みほ「っ、こちらこそ、麻子さんが、皆と、私と一緒に戦車道を続けてくれて、本当に!」
麻子「えへへ」
みほ「ふふ」
麻子「……。」
みほ「……。」
麻子「……。そうだ、西住さん、もう一人、オナラの話を聞いてみたい人の事、忘れてる」
みほ「え? ……あ、蝶野さん?」
麻子「あー……まぁあの人はところかまわずブーブーやってそうだ。でも、蝶野さんでもなくて」
みほ「?? ……うーん……?」
麻子「……………………西住さん、だよ」
みほ「え──」
14: 2018/11/16(金) 16:31:21.17 ID:3DZsAq8IO
みほ「私、の……で、でも……私なんかの話……つまらないと思います……」
麻子「そんなことない」
みほ「……。」
麻子「ほかの誰の事よりも、一番、聞きたい。……知りたい」
みほ「……。麻子さん……」
麻子「今すぐ、お話ししたい、しよう」
みほ「……嬉しいです」
麻子「ふふふ」
みほ「えへへ」
麻子「でも、やっぱり──厳しそうだね、西住さんのお家は」
みほ「たしかに、はい、お母さん、厳しかったです」
麻子「人前では絶対にしちゃいけなさそう」
みほ「うん。外でするとすっごく怒られました」
麻子「やっぱり」
みほ「……だけどそれはあくまで『他人』の前でのお話しで……」
麻子「?」
15: 2018/11/21(水) 14:30:26.48 ID:SW1+PzUYO
~~~~~~~~~~~~~
<ぶっ
しほ「おっと」
菊代「まぁ、しほさんったら」
しほ「ふふ」
菊代「負けませんよ──えい」
<ぷっ、ぷっ
しほ「まっ」
菊代「速射砲です」
しほ「生意気ですよ──ん」
<ばぉっー
菊代「ふふ、母音持続型の素晴らしい音ですね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
麻子「……信じられない」
みほ「チームは家族です。同じ戦車の中で長い時間を一緒にすごすんです」
麻子「……。」
<ぶっ
しほ「おっと」
菊代「まぁ、しほさんったら」
しほ「ふふ」
菊代「負けませんよ──えい」
<ぷっ、ぷっ
しほ「まっ」
菊代「速射砲です」
しほ「生意気ですよ──ん」
<ばぉっー
菊代「ふふ、母音持続型の素晴らしい音ですね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
麻子「……信じられない」
みほ「チームは家族です。同じ戦車の中で長い時間を一緒にすごすんです」
麻子「……。」
16: 2018/11/21(水) 14:48:56.65 ID:SW1+PzUYO
みほ「狭い空間でずっと一緒に、一緒に勝利を祝って、一緒に悔しさを慰め合って、いつでも一緒に、おならだって、げっぷだって──」
麻子「……!」
みほ(麻子さんが、ハッとする。私の瞳の奥の熱に、私の視線の絡みつくような揺らめきに、気が付いてくれたんです)
麻子「西住さん……」
みほ「私、麻子さんのおなら、嬉しかったんです」
麻子「……」
──みほ、留意なさい。ディフトング(ぼ音持続)型のおならは音楽的だという事。ほかのおならはどうか。答えはノン(否)。
ディフトング型のおならの音楽は声楽とも違うし、バイオリンやギターのような響く音とも異なる。あなたも西住流なら──
みほ(お母さん)
麻子「……テープレコーダーを用意しておけばよかった」
みほ「──!」
みほ(瞬間、私のお腹の一連の筋肉が、大いなる胎動を始めます。その胎動が、終端に位置する括約筋を目指して、少しづつ、下降してゆきます)
みほ「また今度、テープレコーダーを持ってきてくれますか?」
麻子「わかった」
みほ「でも、もう、今は、我慢できません」
麻子「うん」
17: 2018/11/21(水) 15:00:31.56 ID:SW1+PzUYO
みほ(──エリカさん)
──かすかな一瞬、懐かしいしかめっ面が私の脳裏に瞬いて──
──ギャラホルンの悲しい音が、脳裏の彼女を吹き消してしまった──
みほ(あぁ……)
────────────。
麻子「ふふふ」
みほ「えへへ」
みほ(頬を赤らめる私を見つめているのは──もう、彼女の鋭い瞳ではなく──)
みほ「──さようなら」
麻子「え?」
みほ「ううん、なんでもないの」
麻子「そう」
ぷっ
みほ「あ、……えへへ、少し残ってたみたい」
麻子「もー」
みほ(その音色は、もう、とても軽やかなものでした。)
おしまい。
18: 2018/11/21(水) 15:01:38.74 ID:SW1+PzUYO
最後までありがとうございました。
青春のける離別の哀しみをテーマに書き上げたつもりです。
青春のける離別の哀しみをテーマに書き上げたつもりです。
19: 2018/11/21(水) 15:09:26.28 ID:SW1+PzUYO
誤字修正です。
<<17
ギャラホルン→ギャラルホルン
<<18
青春のける→青春における
失礼いたしました。
<<17
ギャラホルン→ギャラルホルン
<<18
青春のける→青春における
失礼いたしました。
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