1: ◆C2VTzcV58A 2015/11/19(木) 12:00:56.11 ID:z9MkaeHI0
事務所にて


P「そろそろ日が暮れるぞ?」

梨沙「学校の宿題やってるのよ。家に帰ったらだらだら先延ばしにしちゃいそうだし、ここで終わらせときたいの」

P「そうか。真面目だな」

梨沙「でしょ? もっと褒めていいのよ」フフーン

P「ははっ。えらいえらい」

梨沙「あー、なによその言い方。バカにしてない?」

P「してないよ。俺はたまに宿題サボってたし、その点梨沙は立派だ」


アイドルマスターシンデレラガールズ カプセルラバーマスコット10 [6.的場梨沙](単品)

2: 2015/11/19(木) 12:04:42.10 ID:z9MkaeHI0
梨沙「Pはまだ帰らないの?」

P「今日中にやっておきたいことが少し残ってるからな。俺も梨沙と一緒に居残りだ」

梨沙「ふーん、そうなんだ」

P「お互い、もうちょっと頑張るか」

梨沙「そうね」


カタカタカタ

カキカキカキ


梨沙「……うーん」

P「どうかしたのか?」

梨沙「ちょっと算数でわからないところがあるんだけど。P、教えてくれない?」

3: 2015/11/19(木) 12:07:01.01 ID:z9MkaeHI0
P「いいぞ。といっても、俺もわからないかもしれないけど」

梨沙「大人なんだから、小学生の宿題くらい解けるでしょ」

P「漢字とかなら自信あるけどな。算数は普段使わないような内容も結構多いし、忘れてることもあるんだ」

梨沙「……そういえば、時々パパに宿題見てもらうんだけど、ちょっと悩んでる時があるわね」

P「親のメンツを保つのも一苦労だって、この前笑いながら言ってたよ」

梨沙「なるほど……って、ちょっと待ちなさい。この前言ってたって、それいつ?」

P「先週一緒に飲みに行った時」

梨沙「はぁ!? なにそれアタシ聞いてないわよ!」

P「居酒屋に君を連れていくのもあれだし、男同士でしか話せないこともあるんだよ」

梨沙「……アンタ、パパと仲いいわよね。よく電話で連絡取り合ってるってパパから聞いてるし」

P「なんかウマが合うんだよな。年も結構離れてるのに、不思議なもんだ」

梨沙「言っとくけど、パパとデートしていいのはアタシとママだけよ!」ビシッ

P「しないって」

4: 2015/11/19(木) 12:09:04.59 ID:z9MkaeHI0
作業再開


梨沙「………」カキカキ

梨沙「……へくちっ」

P「寒いのか? というか寒いだろ、そんな肩出した服着てたら」

梨沙「おしゃれにはこのくらいの犠牲は必要なのよ」

P「風邪引かないように気をつけるんだぞ」

梨沙「わかってるわよ。でも、アタシセクシー担当だし仕方ないのよねー」

P「バラエティ担当でもあるけどな」

梨沙「……前々から思ってたけど、アンタアタシに結構無茶振りしてくるわよね」

梨沙「オーストラリアに行った時なんて、ジャングルで体当たりリポートさせられたし」

P「リアクションとツッコミが鋭いからついつい頼ってしまうんだ」

梨沙「まったく……あんまりめちゃくちゃなのはやめてよね」

P「わかってるよ」

梨沙「あ、でも動物の赤ちゃんとかと触れ合うのは好きよ。かわいいし♪」

P「梨沙は意外と面倒見いいところあるよな。晴にオシャレを教えたりもしてるだろ?」

梨沙「アタシはしっかり者だから!」ドヤ

5: 2015/11/19(木) 12:11:54.99 ID:z9MkaeHI0
しばらく無言の時間


梨沙「………」

梨沙「よし、終わり!」

P「お、終わったか」

梨沙「Pは?」

P「俺はあと30分くらいかな。待っててくれたら、その後家まで車で送れるけど」

梨沙「じゃあそうするわ。テレビでも見てる」

6: 2015/11/19(木) 12:14:05.48 ID:z9MkaeHI0
テレビ「さあ日本先制のチャンス! ここでバッターボックスには侍の4番が向かいます!」

梨沙「あ、野球の試合やってる」

P「今は世界大会中だからな。地上波でも中継やってるんだ」

梨沙「アタシ、あんまり野球わからないのよね。パパがプロ野球観るの好きだから、勉強してみようかなって思ってるんだけど」

P「無理に合わせる必要はないんじゃないか」

梨沙「とりあえず知ってみるってだけよ」

梨沙「この前も、戦国武将のことを仕事で勉強したら、パパと時代劇の話できるようになったし。そしたら案外時代劇が面白いことに気づいたし」

梨沙「ショーグン様のテーマとかかっこいいわよね」

P「上様かー。ちょっと前まで、あの曲を流しながら打席に入る選手がいたんだよな」

梨沙「ホント? どんな選手?」

P「一言で語るにはあまりに濃い男だった。その名は――」

7: 2015/11/19(木) 12:16:11.12 ID:z9MkaeHI0
30分後


P「ふう。俺も仕事終わりっと」

梨沙「野球語りしながら作業してたのね」

P「ああ。口と手を同時に動かすくらいわけないさ」

P「さて、帰ろうか」

梨沙「そうね。帰ったら試合の続き見ようっと」

8: 2015/11/19(木) 12:19:10.26 ID:z9MkaeHI0
車で移動中


P「梨沙。ひとつ聞きたいことがあるんだけど」

梨沙「なに?」

P「俺のこと、好きか?」

梨沙「………」

梨沙「は? えっ、なに、アンタアタシのことそういう目で……」ドンビキ

P「違う違う。単純に、俺というプロデューサーを気に入ってくれてるかってことだよ」

梨沙「な、なら最初からそう言いなさいよ。びっくりしたじゃない!」

P「はは、ごめんごめん」

9: 2015/11/19(木) 12:21:27.63 ID:z9MkaeHI0
P「それで、俺に対する評価はどんな感じだ?」

梨沙「そうねえ……」

梨沙「んー……仕事ができるヘンタイ!」

P「褒めてるのか貶してるのかわからないな……」

P「もっと、カッコいいプロデューサー! とかないのか」

梨沙「………??」

P「本気で意味わからないみたいな顔するのはやめてほしい」

10: 2015/11/19(木) 12:26:49.06 ID:z9MkaeHI0
梨沙「えっと、もっとかっこいい言い方すればいいの?」

P「そうだな。できれば」

梨沙「じゃああれね。なんかどっかで聞いたことあるし……」


梨沙「変態紳士!」

P「チェンジ」

梨沙「なによー、文句多いわね」

11: 2015/11/19(木) 12:28:43.38 ID:z9MkaeHI0
梨沙「この前の怪盗Rみたいに、次もセクシーでカッコいい仕事がやりたいわ」

P「考えておこう」

梨沙「ああいう役をやってると、アタシのファンがどんどん増えちゃうわね。モテる女は辛いわ♪」

P「馬に情熱的なキスをされるほどだからな」ハハハ

P「あまりのペロペロアプローチに俺に助けを求めるほどだったし」

梨沙「……その話、パパにしてないでしょうね」

P「してないよ。内緒にしろって言われたもんな」

梨沙「ならいいけど。ま、アタシの魅力は人間以外にも伝わっちゃうってことね!」

P「梨沙にはそれくらい自信満々で前向きなのが似合ってるよ」

12: 2015/11/19(木) 12:32:01.72 ID:z9MkaeHI0
P「よし、家に着いたぞ」

梨沙「送ってくれてありがと」

P「どういたしまして」

梨沙「………」

P「梨沙? どうしたんだ」

梨沙「ねえ、P」



梨沙「さっきはあんなこと言ったけど……アタシ、Pのこと好きよ」

P「え?」

梨沙「ヘンタイだけど、頼りになるし。いろんな経験させてくれるし。他の大人達とは違う感じ」

梨沙「パパやママへの『好き』とは違うし、友達への『好き』とも違うけど」

梨沙「好きよ」

13: 2015/11/19(木) 12:35:51.94 ID:z9MkaeHI0
P「梨沙……」

梨沙「P……」



梨沙「で、今ドキッとした?」

P「へ?」

梨沙「したわよね? 顔見てたらなんとなくわかるわ。フフン、作戦成功ね」

P「は? 作戦?」

梨沙「これよ」スッ

P「(梨沙が膝の上に置いていた雑誌を見せつける)」

P「なになに……男をドキッとさせる秘策は、ここぞの甘い言葉?」

梨沙「よーするに、たまに素直に『好き』とか言うと好感度アップ間違いなしってことね」

梨沙「Pに試して成功したから、これはパパにやってもきっとうまくいくわ」ウキウキ

14: 2015/11/19(木) 12:38:02.75 ID:z9MkaeHI0
P「なるほど。俺は実験台だったというわけか……」

P「でも梨沙。パパに対しては普段から好き好き言ってるんだから、今さら言っても効果薄いんじゃないか?」

梨沙「へ? ……あーっ! しまった!!」

P「ははは、実行前に穴が見つかっちゃったな」

梨沙「なによー、それじゃアタシ、試し損じゃないのよ」

P「俺は得したぞ。梨沙の素直な気持ちが聞けて」

梨沙「んなっ……」

P「さっきの、嘘じゃないんだろ? 『素直に』言うことが秘策なわけだったんだし」

梨沙「そ、それはまあ、そうだけど」アセアセ

P「だろ? うれしいなあ」

梨沙「むむむ……」

15: 2015/11/19(木) 12:40:13.87 ID:z9MkaeHI0
梨沙「あ、アタシだけ素直になるのは不公平だわ! Pもアタシに素直になりなさい!」

P「いや、俺は普段から素直なつもりだけど……」

梨沙「嘘ね! ホントに素直なら、毎日5回はアタシのことを『かわいい』とか『セクシー』とか褒めてるはずだわ」

P「そんな無茶苦茶な……ほら、そろそろ車から降りないと。いつまでも家の前に止めてたら邪魔になるし」

梨沙「あ……忘れてた。もう家に着いてたのよね」

P「(はじめのころは、家に着くなり勢いよく車のドアを開けてたもんだが……)」

16: 2015/11/19(木) 12:42:54.31 ID:z9MkaeHI0
車から降りて


梨沙「それじゃ、バイバイ」

P「ああ。明日も遅れずに来るんだぞ」

梨沙「わかってるわよ」


P「(さて、俺も帰るか)」


梨沙「P!」

P「うん?」

P「(玄関に向かって歩いていた梨沙が、足を止めて俺の方に振り向いた)

梨沙「また明日ね!」ニカッ

P「………」

P「うん。また、明日」

P「(疲れた身体によく効く、そんな感じのいい笑顔だった)」

17: 2015/11/19(木) 12:44:57.39 ID:z9MkaeHI0
P「……よし! 明日も頑張るか!」

P「そのためにも、さっさと帰って寝るとしよう」



おしまい

18: 2015/11/19(木) 12:53:42.14 ID:z9MkaeHI0
終わりです。お付き合いいただきありがとうございます
誕生日記念SSですが特に誕生日ネタというわけでもなく、山なしオチなしな感じになりました

今日書いたもう一本の誕生日記念SSも貼っておきます。宣伝です
的場梨沙「もうすぐ誕生日なのよね」 二宮飛鳥「へぇ」

モバマス原作のほうで、誕生日祝った時のセリフが相変わらずで安心


19: 2015/11/19(木) 12:56:12.58 ID:HKy+22Nr0
さくって読めてほんわかする良SSだった乙

引用元: モバP「梨沙、まだ帰らないのか?」 的場梨沙「うん」