1: 2012/01/14(土) 13:06:03.00 ID:Xs7aVRZt0
アザリー「ちょっと……なに?」

キリランシェロ「よくないっていうかさ…」

アザリー「あら? どうして?」

キリランシェロ「つつしみを持てってこと」

アザリー「昔は一緒にお風呂入ってたのに今さらつつしみ?」

キリランシェロ「昔は昔だろ」

アザリー「ふうん?」

12: 2012/01/14(土) 14:36:27.00 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「だいたいアザリーも嫌じゃない? ぼくに見られてさ」

アザリー「別に?」

キリランシェロ「ええ?」

アザリー「逆にあんたのも見てるし」

キリランシェロ「ええ!?」

アザリー「眼福」

キリランシェロ「や、やめてよそういうのは!」

アザリー「冗談よ。あんたそんなに自分の身体に自信あったの?」

キリランシェロ「ぐ……」

14: 2012/01/14(土) 14:48:44.88 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「と、とにかく服着てよ! ほら、早く」

アザリー「とか言って、あんたもホントーはうれしいんじゃないの?」

キリランシェロ「そんなわけないだろ!」

アザリー「……いてたくせに」

キリランシェロ「え?」

アザリー「ティッシの着がえ、覗いてたくせに」

キリランシェロ「わー!」

15: 2012/01/14(土) 14:55:09.69 ID:Lm/FWvv80

アザリー「ちょっと、声大きいわよ。今何時だか分かってんの?」

キリランシェロ「だ、誰のせいだと……」

アザリー「姉に欲情する変態キリランシェロのせい」

キリランシェロ「違う!」


  「ウルセーゾ!」ドン!


アザリー「ほら怒られたじゃない」

キリランシェロ「だから誰のせいだと……!」

アザリー「繰り返すの?」

キリランシェロ「……いや、もういいや」

16: 2012/01/14(土) 15:00:06.44 ID:Lm/FWvv80

アザリー「分かったら早く寝なさい。明日の晩からが大変なんだからね」

キリランシェロ「結局服は着てくれないんだね……」

アザリー「どうしようが私の自由でしょうが」

キリランシェロ「……」ハァ

キリランシェロ(まあ、天魔の魔女相手に言うこと聞かせようってのが間違ってんだけどさ)

19: 2012/01/14(土) 15:09:06.42 ID:Lm/FWvv80


『ほら、泣かないの。わたしはそばにいてあげるから』


20: 2012/01/14(土) 15:10:46.43 ID:Lm/FWvv80

翌日(夜)


アザリー「宿のチェックアウトにどれだけかかってるのよ」

キリランシェロ「アザリーが魔術で鍵を変形させなければもっと早かったと思う……」

アザリー「仕方ないじゃない暇だったんだから」

キリランシェロ「暇、で魔術を多用されてちゃ苦労が絶えないよ」

アザリー「そんなことより早くタフレム市内で聞き込みするわよ」

キリランシェロ「いや、そんなこと、って……まあいいけどさ……」

21: 2012/01/14(土) 15:14:16.60 ID:Lm/FWvv80

男「何か妙な事件?」

キリランシェロ「ええ。ここ最近で不可解な事件があったりしませんでしたか?」

男「それは魔術絡みの、ってことかい?」

キリランシェロ「ええ、まあ」

男「ってことはあれか、塔外任務って奴か」

キリランシェロ「はい。それで――」

男「あるぜ、心当たり」

キリランシェロ「……!」

22: 2012/01/14(土) 15:18:58.02 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「教えてもらえませんか?」

男「そりゃまあ、大陸魔術士同盟、しかも牙の塔の魔術士相手となりゃ情報は渡さないわけにはいかんだろうよ」

キリランシェロ「……」

男「だが、なあ……」

キリランシェロ「何か?」

アザリー「鈍いわねキリランシェロ」

キリランシェロ「え?」

26: 2012/01/14(土) 15:25:35.73 ID:Lm/FWvv80

アザリー「情報を手に入れるには大抵の場合対価が必要なの」

キリランシェロ「……」

男「へへ、分かってるじゃねえか姉ちゃん」

アザリー「ギブアンドテイクね」

キリランシェロ「じゃあ――」

アザリー「というわけで生血を提供しなさいキリランシェロ」

キリランシェロ「いくらなら……て、え?」

27: 2012/01/14(土) 15:29:41.65 ID:Lm/FWvv80

アザリー「ほら、早く生血」

キリランシェロ「はあ?」

男「……?」

アザリー「ほら、そっちの男もあなたが早くしないから待ってるじゃない」

キリランシェロ「いや、これは明らかに戸惑ってるんだと思うけど」

29: 2012/01/14(土) 15:35:41.16 ID:Lm/FWvv80

アザリー「甘いわねキリランシェロ」

キリランシェロ「なにがさ」

アザリー「ぱっと見ただけで分かるようにならなきゃだめよ」

キリランシェロ「……というと?」

アザリー「明らかに血を欲しそうな顔してるじゃない」

男「誰がだ!」

32: 2012/01/14(土) 15:41:09.52 ID:Lm/FWvv80

アザリー「隠しても無駄よ。オールバックの髪型。つり上がった目」

キリランシェロ「……」

アザリー「尖った犬歯にくろずくめの服装」

男「……」

アザリー「吸血鬼よ吸血鬼」

男「ふざけてんなら帰るぞ」

アザリー「待ちなさい。耳だってほら、尖ってる」

キリランシェロ「尖ってないけど?」

アザリー「これから尖るのよ」

男「尖るか!」

33: 2012/01/14(土) 15:49:11.66 ID:Lm/FWvv80

アザリー「……おかしいわね」

キリランシェロ「おかしいと思えるアザリーの頭がおかしい」

男「チッ、もういい、帰る」

アザリー「分かったわ!」

男「あん?」

アザリー「目的は生血じゃなくて鎖骨なのね!」

男「……っ」プチ

35: 2012/01/14(土) 15:56:14.79 ID:Lm/FWvv80

男「おうおう姉ちゃん訳わかんないことほざきまくりやがって、あんまり舐めてっと痛い目あわすぞ?」

アザリー「……」

男「俺はこのあたりでは≪吸血蝙蝠≫で通ってんだ。謝るんなら今のうちだぜ?」

アザリー「キリランシェロ、やっぱり吸血鬼よ!」

キリランシェロ「えーと」

男「聞けよ!」

36: 2012/01/14(土) 16:02:30.58 ID:Lm/FWvv80

男「あー、もうあったまきた。ちょっとこっちこいや」グイ

アザリー「つっ……」

キリランシェロ「!」

男「へへ、ここなら誰も来ないぜ」

アザリー「……」

キリランシェロ「ちょっと待――」

37: 2012/01/14(土) 16:07:19.70 ID:Lm/FWvv80

 ドカバキゴスガスゴスゴスボグゥ……


キリランシェロ「……遅かった」

アザリー「で、情報は?」

男「ぐふ……こ、この……」

アザリー「対価はあんたの命でどう?」

男「ひっ……」

38: 2012/01/14(土) 16:16:13.30 ID:Lm/FWvv80

数分後


キリランシェロ「この地区の空き家はここしかないみたいだ」

アザリー「間違いなさそうね」

キリランシェロ「この西区で多発しているのが、明らかに魔術を使わないと不可能な規模の事件……」

アザリー「店一個を吹き飛ばして強奪なんて思いきったことするわよね」

キリランシェロ(なんとなく驚く気になれないのはなんでだろう)

キリランシェロ(……あ、牙の塔じゃ日常茶飯事だからか。爆発が)

アザリー「ん?」

キリランシェロ「別に」

41: 2012/01/14(土) 16:23:13.56 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「にしても問題は」

アザリー「そんな大胆な手口を使ってるのに、大したしっぽを見せていない点よね」

キリランシェロ「よほど用意周到なのかな?」

アザリー「そんなことより早く突入しちゃいましょうよ。爆破でもいいわよ?」

キリランシェロ「よくない」

アザリー「その後はまあ適当になんとかなるでしょ」

キリランシェロ「よくないってば」

42: 2012/01/14(土) 16:28:53.46 ID:Lm/FWvv80

 ギィ……


キリランシェロ「大陸魔術士同盟だ! おとなしく――」

キリランシェロ「……!?」

アザリー「……氏んでるわね、全員」

キリランシェロ「そんな……ここにいるのが全員……?」

アザリー「見たところ、特に訓練されてないけどそれなりに組織化されたチンピラ達ってとこかしら」

キリランシェロ「……」

アザリー「キリランシェロ。来るわよ」

キリランシェロ「!」

44: 2012/01/14(土) 16:35:23.48 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ("敵"は、用意周到な人物……)

キリランシェロ(あれだけ大胆にやったんだから、そろそろぼくら魔術士が動き出すことを読んでいてもおかしくない)

キリランシェロ(と、すれば――)


 ゴゥッ!


キリランシェロ(確実に待ち伏せしている!)

キリランシェロ「我は紡ぐ光輪の鎧!」

45: 2012/01/14(土) 16:42:07.49 ID:Lm/FWvv80

 カッ! ガラガラガラ……


キリランシェロ(家を吹き飛ばすほどの威力……情報通りか)

アザリー「キリランシェロ。あれ」

キリランシェロ「……!」

?「……」

キリランシェロ「あれが……!」

アザリー「逃げるわ!」

?「……」タタタ!

キリランシェロ「待て!」

46: 2012/01/14(土) 16:46:01.78 ID:Lm/FWvv80


     ・
     ・
     ・


47: 2012/01/14(土) 16:46:32.24 ID:Lm/FWvv80

ハーティア「で、取り逃がしてぼくにもとばっちりがきたと」

アザリー「すごい洞察力ね」

ハーティア「嫌みのつもりだったんだけど」

アザリー「なら相応の覚悟をするべきね」

ハーティア「ごめんなさい」

50: 2012/01/14(土) 16:51:28.63 ID:Lm/FWvv80

ハーティア「それにしてもなんでぼくがタフレムに」

アザリー「暇そうに見えたんじゃない?」

ハーティア「それちょっとへこむ」

キリランシェロ「まあ、フォルテとティッシは忙しいし、コルゴンは塔外、コミクロンはちょっとこう言うの不向きだし」

ハーティア「分かるけどさ」

52: 2012/01/14(土) 17:02:13.93 ID:Lm/FWvv80

ハーティア「まあ愚痴っててもしょうがないか。情報を整理させてくれ」

アザリー「OK」

ハーティア「まず事の始まりは二週間前。遺跡からの帰還した調査隊の隊員が、回収して移送していた天人種族の遺産の数が一つ足りないことに気付いた」

キリランシェロ「慌てて調べた結果、タフレムで紛失した可能性が高いことが判明」

アザリー「で、わたしたちがそれの回収を命じられた、と。簡単に言えばこういうことね」

57: 2012/01/14(土) 17:18:22.01 ID:Lm/FWvv80

ハーティア「その遺産の性質は、どんなか分かってる?」

アザリー「攻撃用らしいわ」

ハーティア「うげ……」

アザリー「魔術士狩りに使われていた可能性も高いって」

ハーティア「マジ……?」

59: 2012/01/14(土) 17:27:42.93 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「……具体的には?」

アザリー「形状はナイフ形。所持者に魔術士的性質を付与するもの」

ハーティア「つまり?」

アザリー「持つだけで魔術が使えるようになるってこと」

ハーティア「そんなのアリかよ……」

60: 2012/01/14(土) 17:32:39.27 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「そんな簡単に魔術を使えるようになるものなの?」

アザリー「擬似的なものでしょうね」

ハーティア「ぼくらは苦労して制御法を身に付けたっていうのに」

アザリー「多分だけど、精神に作用してそこらへんはごにょごにょしてるんだと思うわ」

キリランシェロ(ごにょごにょ?)

63: 2012/01/14(土) 17:41:53.69 ID:Lm/FWvv80

 その後もいろいろ話しこんで……


アザリー「さ、じゃあ夜も更けたし寝ましょうか」

ハーティア「んじゃ、行こうぜキリランシェロ」

アザリー「なにいってんの?」

キリランシェロ「え?」

ハーティア「なにが?」

アザリー「キリランシェロはこっちの部屋」

キリランシェロ「……え?」

ハーティア「はあ?」

65: 2012/01/14(土) 17:50:46.34 ID:Lm/FWvv80

アザリー「なによ二人して尖った拳を打ちこまれたさそうな顔をして」

ハーティア「どんな顔だよ」

アザリー「そんな顔」ガン!

ハーティア「ぶっ!」ドサァ!

アザリー「キリランシェロ、お風呂先いい?」

キリランシェロ「え、いや、ハーティアが思いのほか重傷……ってごめん、なにも言わないから拳は下ろして」

68: 2012/01/14(土) 17:59:55.64 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「……風呂上がりは風呂上がりで、また下着姿?」

アザリー「悪い?」

キリランシェロ「いや。もう別にいいや」

アザリー「ハーティアは?」

キリランシェロ「隣の部屋に移しといた」

アザリー「上出来」

70: 2012/01/14(土) 18:06:39.50 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ(明日からはまた振り出しからの調査か)

アザリー「ねえ、キリランシェロ」

キリランシェロ「ん?」

アザリー「前は一緒にお風呂入ってたじゃない?」

キリランシェロ「昔ね」

アザリー「また一緒に入る?」

キリランシェロ「ぶッ!?」

72: 2012/01/14(土) 18:08:14.62 ID:Lm/FWvv80
>>69
そうだった
でもなんか既にもうコレジャナイ感が凄まじいので諦めた

73: 2012/01/14(土) 18:08:56.75 ID:Lm/FWvv80

アザリー「というのは冗談で」

キリランシェロ(心臓に悪い……)

アザリー「何か思った?」

キリランシェロ「別に。でも、アザリーがそんな冗談言うなんて珍しい」

アザリー「そうかしら」

キリランシェロ(冗談っぽい本気はいつも見てるけど)

77: 2012/01/14(土) 18:22:54.06 ID:Lm/FWvv80

アザリー「……」

キリランシェロ「? どうかした?」

アザリー「キリランシェロ」

キリランシェロ「うん」

アザリー「あんた入宮審問受けるんだって?」

キリランシェロ「……うん」

アザリー「そっか」

81: 2012/01/14(土) 18:33:51.80 ID:Lm/FWvv80
>>78
なるほどそれだ。アザリーはもっとこう、アレだよな

82: 2012/01/14(土) 18:34:20.43 ID:Lm/FWvv80

アザリー「んじゃおやすみ」

キリランシェロ「え? それだけ?」

アザリー「なに?」

キリランシェロ「いや、別に」

アザリー「ならいいでしょ。わたしは眠いの」

キリランシェロ「……」

85: 2012/01/14(土) 18:42:36.88 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ(……)

キリランシェロ(アザリーと一緒に風呂入ってた頃、かあ)

キリランシェロ(……どんなだったっけ?)

キリランシェロ「確か――」

87: 2012/01/14(土) 18:48:59.53 ID:Lm/FWvv80

 深夜


アザリー「キリランシェロ」

キリランシェロ「……なに?」

アザリー「起きなさい。気付いてるでしょ」

キリランシェロ「……気のせいじゃないんだね」

アザリー「さっさと迎撃の準備」

キリランシェロ「了解」

90: 2012/01/14(土) 19:07:22.68 ID:Lm/FWvv80

 ギィ……


キリランシェロ(ドアが開いた……"敵"!)

?「……!」ダッ

キリランシェロ「逃げた!」

アザリー「追うわよ!」

91: 2012/01/14(土) 19:12:04.33 ID:Lm/FWvv80

 夜道


キリランシェロ「気付かれる前にこちらから無力化したかったけど……!」

アザリー「あっちも勘がいいわね」

キリランシェロ「ていうか、宿を突き止められるなんて」

アザリー「触角的な何かかしら。こう、びびっと」

キリランシェロ「ごめん、突っ込む余裕がない」

93: 2012/01/14(土) 19:18:23.72 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「常識的に考えれば宿を突き止められたのは」

アザリー「顔を覚えられていたのはもちろんだけれど、組織的な力よね」

キリランシェロ「うん、その通りだと思う」

アザリー「わたしに敵対するということは、イールギットの手のものに間違いないわ」

キリランシェロ「いやどんだけ狭い社会の中で生きてるの!?」

98: 2012/01/14(土) 19:26:26.48 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「と、とにかく、組織的な力が働いてるなら、それなりの注意をしないと」

アザリー「もう手遅れみたいだけどね」

キリランシェロ「あ」ザッ


 ちんぴらs「へへへ」


キリランシェロ(囲まれてる……二十人、とちょっとか?)

99: 2012/01/14(土) 19:30:39.16 ID:Lm/FWvv80

?「……」ザッ

アザリー「逃げるのを諦めた……ってわけじゃないわね」

キリランシェロ(非魔術士相手なら、二十人でもいける、か? でも一人は魔術士と同等の能力を持ってる……)


 チンピラs「……」ジリ


アザリー「キリランシェロはチンピラ達をお願い」

キリランシェロ「アザリーは?」

アザリー「あいつをぶちのめす」

?「……」

102: 2012/01/14(土) 19:36:28.85 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ(アザリーの実力なら、行ける)

キリランシェロ(でも……正直なところ数の差が厳しい……せめて――)ジリ


 「牛、ビィィィム!」


キリランシェロ「へ?」

104: 2012/01/14(土) 19:41:00.04 ID:Lm/FWvv80

 ドドドドドドドドドドッ!


牛s「ブモー!」

キリランシェロ「うわわわわわ!?」

チンピラs「おおおおおおお!?」

?「……ッ!?」

107: 2012/01/14(土) 19:46:37.41 ID:Lm/FWvv80

ハーティア「うわー、牛がいっぱい通っていったぞー」

ハーティア「あれれー、みんな大丈夫かー」

キリランシェロ「な、なにが起き……?」ボロ……

ハーティア「なんて事だ! キリランシェロ、なにがあった!?」

キリランシェロ「な、なんか牛が……」

ハーティア「それは大変だったな!」

キリランシェロ「なんかハーティアの声が聞こえてた気がしたけど……」

ハーティア「そうか、気のせいだ!」

キリランシェロ「うう、ハーティアが言うならそうなんだろうね……」

109: 2012/01/14(土) 19:55:02.60 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「そ、それよりアザリーは……?」

アザリー「こっち。こいつ、女だったみたい」

女「うう……」

ハーティア(しっかり狙ったのになんでアザリーは平気なんだろう)

アザリー「なんか思った?」

ハーティア「いいえ」

110: 2012/01/14(土) 20:02:56.04 ID:Lm/FWvv80

アザリー「まあとにかく、こいつから遺産をとりあげればそれで終わりね」

女「……」

アザリー「これね。変な抵抗はしない方がいいわよ」ヒョイ

女「っ……!」ビクン!

アザリー「ッ!」バチチ!

ハーティア「な!?」

キリランシェロ「アザリー!?」

113: 2012/01/14(土) 20:10:04.63 ID:Lm/FWvv80

アザリー「が――ッ!」

キリランシェロ「な、なにが!?」

アザリー「ぐぅ!」

ハーティア「何か、不味いぞ」

アザリー「あああああ!」


 カッ!

114: 2012/01/14(土) 20:13:03.75 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「ぐ!」

ハーティア「いって!」

アザリー「――」

キリランシェロ「アザリー!」

アザリー「――」

ハーティア「ありゃ聞こえてないぞ!」

116: 2012/01/14(土) 20:16:17.73 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「一体何が……!」


  アザリー『多分だけど、精神に作用してそこらへんはごにょごにょしてるんだと思うわ』


キリランシェロ「……まさか」

キリランシェロ(非魔術士が魔術を制御できるようになるメカニズム……あれは精神支配的な機能も持っているのか!?)

118: 2012/01/14(土) 20:20:01.39 ID:Lm/FWvv80

アザリー「――ッ!」ゴゴゴ……

ハーティア「なにが起こってるのかは分からないけど、なにが起こるかはよく分かる……あの構成はヤバい!」

キリランシェロ「……この!」ザッ

ハーティア「キリランシェロ!?」

キリランシェロ「……ッ!」ギリ!

ハーティア「馬鹿! 天魔の魔女だぞ! 真っ向からやり合えば間違いなく氏ぬ!」

キリランシェロ「ハーティア! 見ているか手伝うか選べ!」

ハーティア「はあ!?」

キリランシェロ「早く!」

ハーティア「……チッ! 分かったよ!」

119: 2012/01/14(土) 20:26:43.63 ID:Lm/FWvv80

アザリー「天魔よ!」ゴッ!

ハーティア「光よ!」カッ!

キリランシェロ「我は放つ!」

キリランシェロ(構成を研ぎ澄ませ!)

キリランシェロ「光の!」

キリランシェロ(制御の、さらに奥! 精緻のさらに向こう側!)

キリランシェロ「白刃!」


 キン――!

123: 2012/01/14(土) 20:30:30.48 ID:Lm/FWvv80


     ・
     ・
     ・


124: 2012/01/14(土) 20:31:00.33 ID:Lm/FWvv80


アザリー『ほら、泣かないの。わたしはそばにいてあげるから』


125: 2012/01/14(土) 20:31:36.82 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「ぅ……」

アザリー「あ、起きた」

キリランシェロ「アザリー……」

アザリー「夢でも見てた?」

キリランシェロ「……うん、ずいぶん前の夢」

アザリー「いつ頃の?」

キリランシェロ「いつだろう……孤児院にいたころだと思うけど」

128: 2012/01/14(土) 20:38:05.78 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「あの頃、ぼくはそういえば泣き虫だった」

アザリー「だったわねー」

キリランシェロ「両親がいないのは誰も同じだったけど、ぼくはそれが悲しくて」

アザリー「うん」

キリランシェロ「でも、そういうのは笑われるから、ぼくの泣き場所はもっぱら風呂場だった」

129: 2012/01/14(土) 20:42:23.27 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「アザリーはこのこと、いつから知ってたの?」

アザリー「ずっと前から。風呂場からへたれた雰囲気が漂ってくるなーって」

キリランシェロ「そっか。それでさ、いつだったか、アザリーが一緒にお風呂入ってさ」

アザリー「泣かないの。わたしはそばにいてあげるから」

キリランシェロ「うん、それ」

131: 2012/01/14(土) 20:48:19.37 ID:Lm/FWvv80

キリランシェロ「……」

アザリー「……」

キリランシェロ「アザリー」

アザリー「心配しなくても大丈夫よ。わたしはどこにもいかないから」

キリランシェロ「そっか。そうだね」

アザリー「わたしとティッシとキリランシェロ。たった三人。三人って結構離れ離れになったりしない人数よ」

キリランシェロ「うん」

アザリー「……」

キリランシェロ「そうだ。そうだね……」


     ・
     ・
     ・

134: 2012/01/14(土) 20:59:54.41 ID:Lm/FWvv80

オーフェン「……」

マジク「お師様?」

クリーオウ「オーフェン?」

オーフェン「んあ? なんだ?」

マジク「大丈夫ですか?」

オーフェン「どう見える?」

マジク「いつも通り飢えて顔色が、っていたた! 痛いです!」

135: 2012/01/14(土) 21:01:49.52 ID:Lm/FWvv80

クリーオウ「何だか調子悪そうね。わたしがなんか作る?」

オーフェン「作るほどなんか材料あるか?」

クリーオウ「ないわねー。あ、そこに生えてる雑草なんてどうかしら」

オーフェン「調子悪い奴に食わせるものがそれなのか?」

クリーオウ「雑草のようにたくましく育ってほしい、そういうわたしの愛」

オーフェン「やかましいわ!」

137: 2012/01/14(土) 21:05:48.52 ID:Lm/FWvv80

オーフェン「ったく。あー、俺は大丈夫だから気にすんな。ちょっと昔を懐かしんでただけだよ」

マジク「そうですか?」

クリーオウ「ならいいけど」

オーフェン「よし、じゃ、出発すっか。さーてボルカン達はどこに行ったかね、っと」


(終わり)

138: 2012/01/14(土) 21:07:19.51 ID:Lm/FWvv80
これはオーフェンssに見えるかもしれない。でもオーフェンとはなんか違う。コレジャナイ
そこで私はこれを霧の古城と呼ぶことにした。ということであなたが見たのは霧の古城です。さっさと忘れましょう

支援保守どうもでした

139: 2012/01/14(土) 21:07:23.20 ID:+frLiW2w0

140: 2012/01/14(土) 21:07:31.66 ID:FTVD7GanO


懐かしかった

引用元: キリランシェロ「アザリー…風呂上りに下着だけはちょっと…」