1: 2011/04/04(月) 22:35:09.63 ID:SYRHER3o0

3: 2011/04/04(月) 22:36:12.31 ID:SYRHER3o0
注意
・原作との矛盾点はSSの設定として許容して下さい
・キャラ崩壊注意
・グダグダ、ゆるゆるが苦手な方は戻る事をおススメします
・パロディ、悪ふざけ注意



以下投下

5: 2011/04/04(月) 22:36:55.32 ID:SYRHER3o0
一方通行「おォ、そこのチビ」

黒子「え?」

一方通行「オマエだよ、ジャッジメントだろォ?」

黒子「チビ?……まぁジャッジメントですが」

一方通行「あそこの路地裏にクソなスキルアウトが寝てるから、ちゃンと捕まえとけ」

黒子「えっ?」

一方通行「じゃお疲れっしたァ」ペコリ

黒子「ちょちょ、ちょっとお待ちくださいな!」

一方通行「なに」

黒子「どういう事か説明してもらえますの?」

一方通行「バカかオマエ」

黒子「……」イラッ

9: 2011/04/04(月) 22:37:36.47 ID:SYRHER3o0
――


黒子「はぁ、つまりはアナタに絡んできたスキルアウトが気絶してるので」

一方通行「それを処理しとけっつってンだよ」グデー

黒子「失礼ですがお名前を伺っても?」

一方通行「なンで」

黒子「まぁ念の為と言いますか」

一方通行「普通自分から名乗るもンだろォが」

黒子「……ジャッジメントの白井黒子と申します」

一方通行「……」

黒子「……」

一方通行「パンダメントに名乗る名はねェ」スタスタ

黒子「お待ち下さい!待って下さい!待て!」ガシッ

11: 2011/04/04(月) 22:38:16.65 ID:SYRHER3o0
黒子「……パンダメントとは?」

一方通行「パンダがジャッジメントやってンだからパンダメントだろォが!」プンスカ

黒子「パンダってなんですの!バカにしてるんですか!?」

一方通行「バカにしてねェで何してるっつーンだよ」

黒子「……」

一方通行「パンダですの!」バーカバーカ

黒子「むっきぃぃぃぃ!なんですかこの失礼な殿方は!」ジタジタ

一方通行「第一位ですゥ、レベル5の第一位ですゥ」

黒子「」

黒子「え、第一位……?」

一方通行「おォ、オマエと違って人間だけどな」フフン

黒子「……」プルプル

14: 2011/04/04(月) 22:39:06.99 ID:SYRHER3o0
黒子「喰らえ鉄矢!」シュッ

一方通行「遅ェ!」ヒュン

黒子「よ、避けた!?」

一方通行「オマエなンかこォだ、爪の白いとこギューってしてやる」ギュー

黒子「い、痛っ!イタタタタタ!みぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」ジタジタ

一方通行「ン、もォこンな時間か……悪ィな、パンダに構ってる暇はねェンだ」

黒子「あぅぅぅ……あ!逃がしませんわよ!」ダッ

一方通行「遅ェ!」ダッ


<パンダのバーーーーカアアアアァァァァ…………


黒子「……」ポツン

黒子「……」プルプル

黒子「なんなんですのあの男はぁぁぁぁぁぁ!!!」ジタジタ

17: 2011/04/04(月) 22:40:20.51 ID:SYRHER3o0
絹旗「はー、超天気いいですね」トテトテ

絹旗「たまにはお散歩もいいものです」トテトテ

絹旗「……うん?」

絹旗「なんでしょう、子供たちが公園に集まってますね」

絹旗「ちょっと見て見ましょう」トテトテ




おっちゃん「こうして桃太郎はおじいさんとあばあさんと末永く暮らしましたとさ」

おっちゃん「めでたしめでたし」

男の子「えー、もう終わりー?」

女の子「まだみたーい」


絹旗「へぇ、紙芝居ですか、超珍しいですね」

絹旗「……あれ?」

19: 2011/04/04(月) 22:41:10.11 ID:SYRHER3o0
<ハイ!ハイハイ!

おっちゃん「ん?どうしたのかな?」

一方通行「犬とか雉とか猿ってどォなったンですかァ?」ハイ


絹旗「」


絹旗(あ、一方通行!?何してんですか!?)

おっちゃん「んー、きっと桃太郎と仲良く過ごしたんじゃないかな?」

一方通行「ほォ、そりゃ平和なこったな」

おっちゃん「君は紙芝居好きかい?」

一方通行「あァ、紙芝居にはロマンがあるからなァ」

おっちゃん「毎週来てくれてありがとうね」

絹旗「毎週!?超ファンじゃないですか!」

一方通行「あン?」

絹旗「あ」

21: 2011/04/04(月) 22:42:24.84 ID:SYRHER3o0
一方通行「ンだァ?アイテムのチビガキじゃねェか」

一方通行「こンなとこでなにしてンだよ」

絹旗「チビガキじゃないです!私には絹旗最愛という超可愛い名前があるんです!」

一方通行「カワイー、チョーカワイー」

絹旗「……」イラッ

絹旗「っていうかこっちのセリフですよ、第一位が何をしてるんですか?」

一方通行「紙芝居観てたンだよ、わかンだろォが」

絹旗「どうして第一位が紙芝居なんか観てるのかって聞いてるんですよ」

一方通行「……ンだと?」

絹旗「え?」

一方通行「紙芝居なンか、だと?」

絹旗「はい?」

一方通行「紙芝居ナメてンじゃねェぞクソガキ!」プンスカ

絹旗「」

22: 2011/04/04(月) 22:43:07.05 ID:SYRHER3o0
一方通行「いいか?紙芝居ってのは何年も、何十年も前から継承される日本の文化だ」

絹旗「え、はぁ……」

一方通行「語り手の技術によって織り成される臨場感」

一方通行「まるでその世界に飛び込んだかのように錯覚を覚えるストーリー展開」

絹旗「あ、はぁ……」

一方通行「それらを含めてもォ一度言う」

一方通行「紙芝居ナメてンじゃねェぞクソガキ!」

絹旗「……」

絹旗「……とりあえず一方通行が紙芝居の超ファンだという事はわかりました」

一方通行「……ちっ」

絹旗「?」

一方通行「おっちゃン」

おっちゃん「ん?」

一方通行「ダブルヘッダーだ」

おっちゃん「」

絹旗「えっ」

23: 2011/04/04(月) 22:44:01.72 ID:SYRHER3o0
一方通行「こォなったらオマエも観てその素晴らしさに酔いしれろ」

絹旗「え?」

おっちゃん「し、しかし、今日はこれで終わりなんだけど……」

一方通行「オマエらもまだ観たいよなァ?」

男の子「みたいー!」ワー

女の子「もういっかーい!」ワー

絹旗(て、手懐けている!!)

おっちゃん「んー、じゃあ今日は特別だよ?」

一方通行「おォ、わかってンじゃねェか」

おっちゃん「まぁ君は常連さんだしね」

絹旗(いいんだ……)

24: 2011/04/04(月) 22:44:43.38 ID:SYRHER3o0
一方通行「オラ、こっち来い」ポンポン

絹旗「え……」

一方通行「オラ、こっち来い」ポンポン

絹旗「いや私は別に……」

一方通行「オラ、こっち来い」ポンポン

絹旗「……わかりました」ススス

絹旗(ハイしか選ばせないとか……超RPGみたいですね)

おっちゃん「じゃあ浦島太郎のはじまりはじまりー」

絹旗(はぁ、なんでこんな事に……)

絹旗(大体私は紙芝居という子供っぽい趣味はないんですけど)

絹旗(そりゃB級、C級の映画は好きですけど、今時紙芝居って……)ハァ

26: 2011/04/04(月) 22:45:24.81 ID:SYRHER3o0
――


おっちゃん「そして海岸で、亀を虐めている子供たちを見かけました」ペラ

男の子「いじめちゃダメー!」

女の子「亀さんかわいそう!」

一方通行「亀を虐めンじゃねェ!」プンスカ

絹旗「そうですよ!超可哀相です!」プンスカ




おっちゃん「そして乙姫様から、お土産として玉手箱を貰いました」ペラ

一方通行「待て太郎!それは罠だァ!」ギャースカ

絹旗「遠慮という言葉を覚えてください!」ギャースカ

おっちゃん「……」

一方通行「早く、次」ソワソワ

絹旗「そうですよ、次」ソワソワ

おっちゃん「ああ、うん……」

27: 2011/04/04(月) 22:46:22.32 ID:SYRHER3o0
――


一方通行「……」ホクホク

絹旗「……」ホクホク

一方通行「どォだ?」

絹旗「超最高でした」

一方通行「だろォ?紙芝居最高だろォ?」

絹旗「ええ、正直ナメてましたもん!」

一方通行「ちゃンと紙芝居にゴメンなさいしろ」

絹旗「ゴメンなさい」ペコ

一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ

絹旗「わわ……」

一方通行「よし、じゃ興奮冷める前になンか飲み物でも飲みに行くか」

絹旗「え、ご馳走してくれるんですか?」

一方通行「ン?あァ、いいぞ」

絹旗「やった!さっすが第一位!」ワーイ

28: 2011/04/04(月) 22:47:17.75 ID:SYRHER3o0
高級っぽいお店――


絹旗「うわ、超高そうじゃないですかここ」

一方通行「そォか?」

絹旗「これが第一位の財力ですか……」

一方通行「俺はコーヒー、オマエは?」

絹旗「メロンソーダとかあります?」

一方通行「……ねーわ、メロンジュースならあるが」

絹旗「あ、じゃあそれでお願いします」



店員「お待たせ致しました、おコーヒーとおメロンおジュースになります」コト

一方通行「おォ」

絹旗(……落ち着かない)ソワソワ

一方通行「このまろみ……そして、このまろみ……」ズズー

絹旗「え?」

29: 2011/04/04(月) 22:48:14.29 ID:SYRHER3o0
一方通行「オマエ紙芝居観たの初めてか?」ズズー

絹旗「ええ、多分小さい頃施設で観たんでしょうけど、記憶にないもので」チュー

一方通行「ふゥン」

絹旗「一方通行が紙芝居を観るきっかけになったのってなんですか?」

一方通行「最初は打ち止めと番外個体……家族みてェな奴の付き添いだった」

絹旗「それで魅了された、と」

一方通行「まァな」

絹旗「しかし、あの感覚はなんなんでしょうね」

一方通行「やっぱり暖みのある絵と、語り手だな」

絹旗「文化っていうのが超納得ですもん」チュー

一方通行「紙芝居屋さンがもっと広がれば戦争はなくなる気がする」ウン

絹旗「あ、それわかります」

31: 2011/04/04(月) 22:49:07.97 ID:SYRHER3o0
絹旗「でも紙芝居屋さんって減ってきてるんじゃないですか?」

一方通行「そォなンだよな」

絹旗「超珍しいですもんね、今時紙芝居やるなんて」

一方通行「現代っ子はそンなもンに興味はねェンだろ」

一方通行「ネットが普及した今、不自由なく暮らしてるしな」

絹旗「……」

一方通行「……」

絹旗「……寂しい話ですね」

一方通行「あァ」

32: 2011/04/04(月) 22:49:58.99 ID:SYRHER3o0
一方通行「……」

絹旗「?」

一方通行「やるか」ウン

絹旗「なにをですか?」

一方通行「紙芝居屋さン」

絹旗「えっ」

一方通行「いや、パンチが足りねェな……お話屋さン、だな」ウン

絹旗「えっ」

一方通行「じゃオマエ作画な」ハイ

絹旗「」

絹旗「……は?」

一方通行「よし、じゃ俺の考えたストーリーに沿って絵を描くよォに」

絹旗「ちょちょ、ちょっと待って下さい!」

33: 2011/04/04(月) 22:50:45.80 ID:SYRHER3o0
一方通行「なに」

絹旗「作画担当って……私がですか!?」

一方通行「うン」ウン

絹旗「どうしてですか!超意味不明ですよ!」

一方通行「オマエも感動したっつってたじゃねェか」

絹旗「いや感動はしましたけど……」

一方通行「それをやる側に立てるンだから、喜ぶところだろォがよ」

絹旗「お断りです!」

一方通行「あァ?」

絹旗「私には仕事があるんですよ!?」

一方通行「で?」

絹旗「……いや、やりませんからね」

一方通行「……ならここの支払いは自分でするンだな」

絹旗「」

34: 2011/04/04(月) 22:51:35.33 ID:SYRHER3o0
絹旗「い、いいですよ!たかだかジュースの一杯くらい……」チラッ



【おメロンおジュース:\48,000】



絹旗「」

絹旗「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」ガタンッ

一方通行「うるせェな、ンだよ」

絹旗「48000円!?ジュース一杯よんまんはっせんえん!?」

絹旗「どういう事ですか!超意味わかんないですって!」

店員「ど、どうなさいましたか?」

一方通行「あァ、コイツに値段設定の理由教えてやってくれ」

店員「か、畏まりました」

35: 2011/04/04(月) 22:52:26.79 ID:SYRHER3o0
店員「こちらのおジュースは、お高級なおメロン丸々一つ使っております」

絹旗「」

店員「さらに、お氷はお南極大陸の大変お貴重なお氷になっております」

絹旗「」






一方通行「で、財布の中は?」

絹旗「い、いちまんえん……」

一方通行「紙芝居やる?」

絹旗「やります……」エグエグ

一方通行「おォ」ズズー

37: 2011/04/04(月) 22:53:25.20 ID:SYRHER3o0
絹旗「とは言っても、私はそんなに絵が上手いわけじゃありませんよ?」

一方通行「観れればいいだろ」ダラーン

絹旗「うぅ……」

一方通行「ちなみにCVもオマエ担当な」

絹旗「え!?」

一方通行「俺は脚本と語り手やるから」ウン

絹旗「CVって!超重要なポジションじゃないですか!」

一方通行「やっぱり女の声の方がいいと思ったンだよ」

絹旗「うぅ……なんだか責任がどんどん重く……」

一方通行「気軽にやれ気軽に」

絹旗「気軽に、ですか」

一方通行「紙芝居のいいとこは、気軽に観て楽しめるとこだろォが」

絹旗「それはそうですけど……」

38: 2011/04/04(月) 22:54:26.55 ID:SYRHER3o0
一方通行「ねみィ」ゴローン

絹旗「このお店でその格好は……帰りますか?」

一方通行「オマエ次いつ会える?」

絹旗「え?」

一方通行「次会う時までストーリー作ってくるからよ」

絹旗「そうですね……三日後はどうでしょう?」

一方通行「ン、じゃ番号教えろ」スッ

絹旗「あ、了解です」スッ

一方通行「じゃ完成次第、各地を廻るって事で」グデー

絹旗「わかりました!やるからには超すごいもの作りましょう!」

一方通行「おォ!その意気だぜ!」



一方通行「よし、じゃあお話屋さン、開店でェす」

絹旗「おー」オー

39: 2011/04/04(月) 22:55:05.40 ID:SYRHER3o0
一方通行「ストーリー、か」

一方通行「いざ書くともなると結構難しいもンだな」

一方通行「……」

一方通行「……」

一方通行「……」カキカキ

一方通行「……」カキカキカキ





一方通行「完璧だろコレ」フフン

40: 2011/04/04(月) 22:55:46.16 ID:SYRHER3o0
3日後――


一方通行「よォ」ダラーン

絹旗「こんにちは」

一方通行「待ったか?」

絹旗「いえ、全然……ストーリーの方はどうですか?」

一方通行「何本か書いてきた」

絹旗「ちょっと読んでみてくださいよ」

一方通行「あァ?」

絹旗「……」ワクワク

一方通行「しょうがねェな……」ガサガサ

43: 2011/04/04(月) 22:56:36.43 ID:SYRHER3o0
一方通行「黒いクリスマス」

絹旗「」

一方通行「ザクリ!グサリ!ドチャリ……町は一瞬にして血に染まr」

絹旗「ス、ストーーーーップ!!」

一方通行「なに」

絹旗「こ、怖い!超B級映画の匂いがしますよ!」

一方通行「バカ、怖くなンのはこれからだし」

絹旗「怖くしなくていいんです!紙芝居ですよ!?」

絹旗「もっと超ほんわかしたのでいきましょう!」

一方通行「ほんわかしたの、ねェ……」ガサガサ

絹旗「お願いしますよ、まったく……」

46: 2011/04/04(月) 22:57:42.24 ID:SYRHER3o0
一方通行「むかーしむかし……よりもォちょっとむかし」

絹旗「更に昔なんですか!?」

一方通行「あるところに、おじいさンとおばあさンが住んでました」

絹旗「ほう、出だしはまぁまぁですね」ウン

一方通行「更に息子夫婦が住んでました」

絹旗「……うん?」

一方通行「おばあさンとお嫁さンは折り合いが悪く、二世帯住宅でも限界だと考えていました」

絹旗「ストップ!超ストップ!」

一方通行「なに」

絹旗「ほんわかできませんよ、そんなリアルな嫁姑の話なんて!」

一方通行「ちっ……うるせェな」

絹旗「正論ですよ、もう」

48: 2011/04/04(月) 22:58:41.30 ID:SYRHER3o0
一方通行「三年寝太郎」

絹旗(あれ、どっかで聞いた事あるような……)

一方通行「太郎は有名大学を出た後、就職するタイミングを逃していました」

絹旗「」

一方通行「最初は『なんとかなる』と思っていましたが、不況の煽りは既卒者に厳しいものになりました」

一方通行「焦りを感じた太郎でしたが、時既に遅し、晴れてニートとして寝て過ごす事になったのです」

絹旗「ダメダメ!超ダメです!」

一方通行「なンで」

絹旗「だいたいそんな話じゃないじゃないですか!」

一方通行「これは現代社会を痛烈に風刺しt」

絹旗「そんなんじゃないですから!紙芝居って違いますから!」

51: 2011/04/04(月) 22:59:35.90 ID:SYRHER3o0
絹旗「他はないんですか?」

一方通行「あとは……既存の話をアレンジした話だな」ハイ

絹旗「どれどれ……」フムフム

一方通行「ま、無難なとこだろ?」ゴロゴロ

絹旗「面白いですね、誰かモデルがいるんですか?」

一方通行「あァ、身近な奴らでイメージしてみたンだ」

絹旗「なるほど、道理でどこかで感じた事があると思いました」

一方通行「これがまたマッチするンだわ」

絹旗「これでいきましょう!さっそく絵に起こします!」

一方通行「あァ、頼む」ゴロゴロ

絹旗「よーし、やるぞー」オー

52: 2011/04/04(月) 23:00:30.69 ID:SYRHER3o0
数時間後――


一方通行「ねみィ」ダラーン

絹旗「……」カキカキ

一方通行「俺帰るぞ?」

絹旗「ちょ、ちょっと待ってください!もう少し……」カキカキ

一方通行「はァ……家でやれ家で」

絹旗「なら原稿借りていいですか?」

一方通行「あァ、構わねェよ」

絹旗「明日までには仕上げて見せます!」

一方通行「無理すンじゃねェぞ?」ヨシヨシ

絹旗「あわわ……は、はい!」

一方通行「じゃあなァ」スタスタ

絹旗「……」

絹旗「……」ニヘラ

絹旗「なんだか超楽しくなってきました!」ワーイ

54: 2011/04/04(月) 23:02:03.75 ID:SYRHER3o0
絹旗「……」カキカキ

滝壺「きぬはた、何してるの?」

絹旗「紙芝居の作画です」カキカキ

フレンダ「かみしばい?」

浜面「なんだってそんな事……」

絹旗「私、実は一方通行と紙芝居屋……じゃなかった、お話屋さンやるんですよ」

麦野「え!?なんで第一位?」

絹旗「まぁそれは成り行きと言いますか……」

絹旗「とにかく、二人で紙芝居で学園都市に平和をもたらすんです!」ブンッ

フレンダ「あら……」

浜面「まぁ……」

麦野「それはそれは……」

滝壺「きぬはた、頑張って」

絹旗「はい!」ニヘッ

56: 2011/04/04(月) 23:03:01.97 ID:SYRHER3o0
次の日――


一方通行「ン、完璧じゃねェか」

絹旗「本当ですか!?」

一方通行「あァ、イメージ通りだ」

絹旗「やった!」

一方通行「よし、じゃあ早速行くか」

絹旗「どこにですか?」

一方通行「言っただろォが、紙芝居で戦争のない世界を作るってよ」

絹旗「ええ」

一方通行「まずは暗部だ」

絹旗「え!?」

一方通行「学園都市の闇を浄化するところから始める」

絹旗「そ、それは少し無謀じゃないですかね……」

57: 2011/04/04(月) 23:03:49.67 ID:SYRHER3o0
一方通行「大丈夫だ、信じろ」

絹旗「……」

一方通行「紙芝居は世界を救う」ウン

絹旗「……わかりました」

一方通行「よし、じゃあ行くぞ」

絹旗「はい!」

一方通行「お話屋さン!ふぁいとー!」ブンッ

絹旗「おー!」ブンッ







土御門「で、ここに来たと」

一方通行「うン」ウン

絹旗「お、お邪魔しまーす」

結標「アイテムの構成員を連れてくるなんて……」

58: 2011/04/04(月) 23:04:50.60 ID:SYRHER3o0
土御門「だいたい紙芝居だと?ふざけてるのか?」

海原「そうですよ、しばらく顔を見せないと思ったら……」

一方通行「はい、拍手―」

絹旗「わー」パチパチ

結標「……まるで聞いてないわね」

土御門「……まぁ付き合ってやれば満足するだろう」

海原「そうですね」

結標「まぁどんなもんか興味あるしね」




一方通行「【三匹の変態】」



結標「」

土御門「おぃぃぃぃぃぃぃい!」

60: 2011/04/04(月) 23:05:43.59 ID:SYRHER3o0
一方通行「なに」

結標「それって誰の事!?」

海原「あ、悪意しか感じられません……」

一方通行「いいから黙って聞け」

土御門「これでつまらなかったらぶん殴ってやるにゃー」

一方通行「つまらなかったら、なァ」ニヤ

絹旗「では改めまして」




一方通行「【三匹の変態】」



絹旗「はじまりはじまりー」

62: 2011/04/04(月) 23:06:19.60 ID:SYRHER3o0
動物が暮らすある森に、三匹の兄弟が住んでいました。

彼らは上からシスコン、ショタコン、ストーカーという異質な性癖を持っていました。



そう、彼らは「変態」だったのです。

64: 2011/04/04(月) 23:07:03.81 ID:SYRHER3o0
同属嫌悪なのか、三匹の変態は常にいがみ合っていました。



土御門「黙れ!ショタコンとストーカーには言われなくないぜよ!」

海原「何を言ってるんですか!」

結標「そうよ!ストーカーと一緒にしないでよね」

海原「なんですって!?」

結標「なによ!」



毎日のように罵り合いをする彼ら。
端から見ればどれも大して差のない変態なのですが、彼らなりの安いプライドがあるようでした。

66: 2011/04/04(月) 23:07:55.73 ID:SYRHER3o0
そんな折り合いの悪い三匹に、転機が訪れます。
アンチスキルが彼らの変態っぷりを見かね、捕まえに来るという噂が流れてきたのです。


土御門「ふん、捕まるのはどうせお前らだにゃー」

結標「なによ、どうせあんた達だけよ」

海原「まぁ自分は大丈夫だと思いますけどね」

土御門「巻き添えで捕まるのはゴメンだ、お前らはここから出て行け」

結標「上等よ!こっちだって犯罪者と間違えられたらたまったもんじゃないわ!」

海原「兄妹の縁もここまで、ですね」


彼らは『自分は捕まらない』という根拠のない自信があったので、それぞれ離れて暮らす事にしました。
長男はワラで出来た家にそのまま残り、他の二人は自分で家を建てることになりました。

69: 2011/04/04(月) 23:09:11.59 ID:SYRHER3o0
結標「バカね、もしアンチスキルが来たらワラの家なんかあっという間に終わるわよ」

海原「ええ、あの人は根本的にバカですから」


ここぞとばかりに二人は長男の悪口を言いました。
そして、それぞれアンチスキルが突入してきてもいいように頑丈な家を建てることにしました。


長女はレンガ造りの家を。

次男はメゾネットタイプのデザイナーズマンションを。



それから数週間後、ついにアンチスキルが来ました。
アンチスキルは最初に長男の家を包囲しました。

70: 2011/04/04(月) 23:10:12.77 ID:SYRHER3o0
やはり、ワラの家ではアンチスキルは抑えられず、長男は命からがら逃げ出しました。

続いてアンチスキルは長女のレンガの家に突撃をかけました。

レンガの家もあっという間に占拠され、長女は命からがら逃げ出しました。


これを見かねた次男が、長男と長女をメゾネットタイプのデザイナーズマンションに入れてあげることにしました。


土御門「い、いいのか?」

結標「私、アナタに酷い事言ったのに……」

海原「ええ、やっぱり自分らは血の繋がった兄妹ですし」



なんということでしょう、三匹の変態の織り成す兄弟愛です。

72: 2011/04/04(月) 23:11:21.26 ID:SYRHER3o0
しかし、いくらメゾネットタイプとはいえ、マンション。
アンチスキルに包囲され、落ちるのも時間の問題でした。


黄泉川『オラ、さっさと出て来い変態ども!お前らはもう逃げられないじゃん!』

黒子『座標移動しようと、私のテレポートで地の果てまでも追いかけますの!』


なんとアンチスキルは応援に森の風紀委員、パンダさんを呼んでいました。
これで逃げ場なし、三匹の変態はいよいよ追い詰められました。


土御門「……降参しよう」

結標「え?」

海原「そんな……自分らは誰かに迷惑をかけたわけではないんですよ!?」

土御門「いや、俺たちの性癖を社会が許さないというなら、黒になるんだ」

結標「く……」


なんとも世知辛い世の中です。

不況の煽りを受けた社会は、彼らから性的な嗜好すらも奪い取ろうとしていました。

75: 2011/04/04(月) 23:12:08.53 ID:SYRHER3o0
土御門「それに……お前らと捕まるなら俺は悔いはないぜい」

結標「……私も」

海原「……ええ、自分もです」


いつもいがみ合っていた三匹の変態は今この瞬間、真の兄妹へと成りました。

すると、まるで神様が見ていたかのように、事態は思わぬ展開へうつります。



土御門「……ん?」

結標「なんだか外が騒がしいわね」

海原「なにやら揉めているようですが……何があったんでしょう?」

77: 2011/04/04(月) 23:13:02.69 ID:SYRHER3o0
鉄装「先輩!『連続女子中学生下着窃盗事件』の犯人がわかりました!」

黄泉川「なに!?」

鉄装「そこのパンダさんです!」

黒子「ギクッ!」

黄泉川「ほーう、パンダ、説明してもらおうじゃん」

黒子「そ、それは!お姉さまや妹さん達が余りにも可愛いので……」ワタワタ

黄泉川「逮捕じゃん!」

黒子「うわぁぁぁぁぁん!」




なんの因果か神のいたずらか。

最近、森を震撼させていた連続女子中学生下着窃盗事件の犯人が逮捕されました。

80: 2011/04/04(月) 23:14:16.79 ID:SYRHER3o0
この事件はその連続性、悪質な手口から最重要事件として扱われていたのです。

なので、その犯人を確保できた今、アンチスキルの目は完全に三匹の変態から外れていました。


三匹の変態はこれを機にメゾネットタイプのデザイナーズマンションを脱出。




その後、彼らは別の地で静かに暮らしました。


土御門「……悪かったにゃー」

結標「……私も」

海原「……自分も、申し訳ありませんでした」

土御門「これからは、互いの性癖を否定せず、仲良く暮らしていこうぜい」

結標「うん、そうしましょう」

海原「ですね」


三人仲良く。


めでたしめでたし。

83: 2011/04/04(月) 23:15:01.86 ID:SYRHER3o0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

土御門「こ、これは……」

結標「最初はバカにしてるようにしか見えなかったけど……」

海原「はい、お互いを否定せず、仲良くしようというメッセージ性が伝わってきました」

一方通行「メッセージソングだ」フフン

絹旗「いや歌ではないですけど」

土御門「中々感動したぜい」

海原「はい……」ホロリ

結標「バ、バカね……泣くほどのもの?」ホロリ

海原「む、結標さんこそ……ふふ」

土御門「くっくっく……」

絹旗「」

絹旗(なんですかこれ)

85: 2011/04/04(月) 23:16:03.95 ID:SYRHER3o0
土御門「……今まで口リコンとかストーカーとかショタコンとか馬鹿にして悪かった」

一方通行「あァ」

絹旗「え?一方通行って口リコンなんですか?」

結標「そうよ、アナタも気をつけないと」

一方通行「はァ?」

土御門「いや、打ち止めをすごい大切にしてるもんだから、ついな」

一方通行「俺は口リコンじゃねェ!」

一方通行「大体絹旗と俺は2つくらいしか離れてねェンだ」

一方通行「だから口リコンにはならねェだろォが!」

絹旗「え、あぅ……そ、それって……」

一方通行「まァ別になンとも思ってないンですけどね」ウン

絹旗「」

結標「……これはこれは」

土御門「うん、中々面白そうだにゃー」

86: 2011/04/04(月) 23:16:54.77 ID:SYRHER3o0
土御門「いやいいものを観させてもらったぜい」

結標「ええ、紙芝居って事で侮っていたわ」

一方通行「わかったンならいい」ゴロン

海原「これからも他の場所で公演を?」

絹旗「はい、まだまだこれからです!」

土御門「そうか……応援してるぜい!」

絹旗「ありがとうございます!」




絹旗「大成功、ですね」トテトテ

一方通行「おォ、奴らもこれからは仲良くするだろォよ」

絹旗「次行きましょう!次!」

一方通行「やる気出てきたじゃねェか」

絹旗「あんなに感動してもらえたらやる気も超出ますよ!」

89: 2011/04/04(月) 23:18:05.57 ID:SYRHER3o0
絹旗「ちなみに次はどこですか?」

一方通行「あン?常盤台中学」

絹旗「常盤台ですか、超お嬢様学校ですね」

一方通行「学校側に電話したらふたつ返事でオッケーくれた」

絹旗「えー、すごいじゃないですか」

一方通行「お嬢様学校だからだろォな」

絹旗「え?」

一方通行「こういったもンはお嬢様は見る機会がねェンだろォよ」

絹旗「あ、なるほど……」

一方通行「よっしゃ、行くぞ」スタスタ

絹旗「あ!待って下さい!」テテッ

90: 2011/04/04(月) 23:18:58.82 ID:SYRHER3o0
常盤台中学、体育館――


美琴「なんなの?急に全学年集合だなんて」

黒子「さぁ?先生の話によると公演があるそうですが」

泡浮「なんの公演ですかね?」

湾内「なんでしょう……」

黒子「あ、誰か壇上に上がってきましt」




一方通行「はい、お話屋さンですの!」ババーン

絹旗「こ、こんにちはー」ドキドキ




美琴「」

黒子「」

91: 2011/04/04(月) 23:19:48.19 ID:SYRHER3o0
一方通行「はい、えー……今日は紙芝居をお届けに来ましたァ」グデー

黒子「なにしてるんですのぉぉぉぉぉ!?」

一方通行「あァ?なンだ、パンダメントか」

黒子「パンダ言うなですの!!」

泡浮「し、白井さん?」

美琴「黒子も知ってるの?ちょっと!なにしてんのよ一方通行!!」

絹旗「げ、第三位じゃないですか」

一方通行「そォいやあいつら常盤台の制服着てたな」ウン

美琴「どういう事か説明しなさい!!」

黒子「そうですの!」

一方通行「うるっせェ!」

先生「御坂さん、白井さん!静かになさい!」

美琴「うっ……」

黒子「ぐぅ……」

93: 2011/04/04(月) 23:20:33.41 ID:SYRHER3o0
一方通行「えー、この学校に通うお嬢様共は、紙芝居なンざ見た事ねェだろ」


美琴「私は小さい頃にあるけど……」

婚后「紙芝居?なんですかそれは?」


一方通行「古きよき、日本の文化を現代に継承するこの紙芝居、それを体験してもらう」


黒子「へぇ、紙芝居ですか」


一方通行「今日日やれゲームだアニメだ漫画だ……」

一方通行「そンなンじゃダメだァ、紙芝居を通じて文化を知れ!」


美琴「アイツが紙芝居とはね……」

黒子「なぜ第一位さんが紙芝居など……」

94: 2011/04/04(月) 23:21:24.73 ID:SYRHER3o0
一方通行「じゃ絹旗、準備はいいか?」

絹旗「ひゃ、ひゃいっ!」ハイッ

一方通行「……緊張しすぎだろ」

絹旗「だ、だって……こんなに人がいるなんて……」

一方通行「アレだ、全員お菓子だと思え」

絹旗「お、お菓子、ですか?」

一方通行「あァ、サクサクパンダだと思えばそこまで緊張しねェだろ」

絹旗「サクサクパンダ……サクサクパンダ……」

一方通行「よし、じゃあ始めるぞ」

絹旗「は、はい!」



一方通行「【ツンデレールガンとパンダメント】



美琴「」

黒子「」

96: 2011/04/04(月) 23:22:26.79 ID:SYRHER3o0




むかしむかし、あるところに浦島美琴という電気属性の女子中学生が住んでいました。

美琴は小さい頃に照れ屋をこじらせ、思春期となった現在では極度のツンデレになっていました。




周りの人間はそんな彼女を尊敬の念と少しの皮肉を込めて、【ツンデレールガン】と呼んでいました。




97: 2011/04/04(月) 23:23:20.77 ID:SYRHER3o0
ある日、美琴が海へバッキャロー!と叫びに行った時の事。



初春「なんでパンダのくせに海岸にいるんですか」

佐天「笹薮に帰りなさいよ!」

絶対等速「そうだ!パンダは山に帰れ!」

初春「パーンダ!それパーンダ!!」ヘイ

黒子「う、うぅ……ちょっと塩気のある物を求めただけですのに……」シクシク




海岸でパンダが悪ガキ達にフルボッコにされていました。主に精神面を。

100: 2011/04/04(月) 23:24:15.30 ID:SYRHER3o0
見かねた美琴がパンダを助けました。正義感には定評があったのです。

ツンデレとはいえ、電気は強力。子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていきました。



黒子「あ、危ないところを助けていただき、ありがとうございましたの」ペコリ

美琴「ふ、ふん!別にアンタを助けたくてやったわけじゃないんだからね!」フイ


じゃあ何をしたかったんだ、とパンダは思いましたが、そこはグッと堪えて続けます。


黒子「助けてくれたお礼に竜宮城へ連れて行ってあげますの」

美琴「竜宮城?アンタ泳げるの?」

黒子「いえ、『陸の竜宮城』と呼ばれる……陸の竜宮城ですの」




そのまんまでした。

105: 2011/04/04(月) 23:25:34.51 ID:SYRHER3o0
思春期の美琴は好奇心旺盛で、聞いた事もない『陸の竜宮城』にとても興味をもちました。
そして、連れて行ってもらう事になったのです。


よく聞く竜宮城は煌びやかで、それはそれは豪華で、見る者を圧倒させる程の海底のお城。

陸の竜宮城とは一体どれほどのものだろう、と美琴は薄い胸に期待を膨らます。



黒子「着きましたの」

美琴「え、ここ?」

黒子「ここですの」

美琴「へぇ……ここが陸の竜宮城」

黒子「ええ、どうです?パラダイスでしょう?」

美琴「うん……そうね……」





笹薮でした。



パラダイスとはパンダ族にとっての意味でした。

108: 2011/04/04(月) 23:26:34.94 ID:SYRHER3o0
黒子「あら、呆けてどうなさいました?それほど感動しましたの?」

美琴「いや、別に感動したってわけじゃないんだけどね」

黒子(この方は噂に違わぬツンデレなのですね……)


思わぬ裏切られた感に美琴は苛立ちを隠せませんでしたが
そこは持ち前のツンデレ属性が役に立ち、パンダが勘違いをして事なきを得ました。


固法「あら白井さん、その方は?」

黒子「私が虐めてられているのを助けてくれたんですの!」

固法「まぁ、部下がお世話になりまして」

美琴「あ、いえ」

黒子「こちらが乙姫様ですの!」フフン




パンダは得意気に紹介しましたが、パンダ自体は『お茶汲み補佐代理心得』という低い位でした。

110: 2011/04/04(月) 23:27:19.09 ID:SYRHER3o0
固法「せっかくですので、どうぞおかけになってください」

美琴「あ、ありがとう」

固法「とびっきりのご馳走を用意しますので」

美琴「え、本当!?」


美琴は思わずヨダレが出ました。

海の方の竜宮城は、鯛や平目が舞う中、色とりどりのご馳走が出されるそう。
笹薮とはいえ、期待せずにはいられませんでした。


黒子「ではオードブルですの」コト

美琴「……」




笹でした。

112: 2011/04/04(月) 23:28:03.09 ID:SYRHER3o0
それから数時間、楽しい時間はあっという間に過ぎました。



パンダやその仲間による演劇『ライオンキング』

フルコースで出される笹料理

美琴も参加させられた笹船レース



手厚いもてなしを受けた美琴はさっさと帰りたいと思っていました。

113: 2011/04/04(月) 23:28:49.35 ID:SYRHER3o0
ーー


黒子「今日は本当にありがとうございましたの」ペコリ

美琴「あ、いえ……こちらこそ……」ゲッソリ

固法「また来てくださいね」

美琴「あ、はぁ……」

固法「そうだ!お土産をお受け取り下さい」スッ

美琴「……」




笹でした。

114: 2011/04/04(月) 23:29:39.98 ID:SYRHER3o0
その日の夜、美琴は激昂していました。


美琴「なんなのよあのパンダ共!笹ばっかり出して!」

美琴「嫌がらせか!私は人間だっつーの!」プンスカ

美琴「なによ!こんなもの!」ビリビリ


怒りの余り、お土産の笹に向かって放電してしまいました。
するとあら不思議、笹から大量の煙が流れ出て、美琴を包みます。


美琴「え、ちょ!な、なにコレ!?ゲホゲホ!」


煙が晴れた時、美琴の姿は変わっていました。


美琴「え、何これ!?おばあちゃんになってる!?」


誰もが振り返る程の美貌を持っていた美琴は、哀れ老婆となってしまいました。

パンダの呪いです。

118: 2011/04/04(月) 23:30:30.68 ID:SYRHER3o0
それから数日後、美琴は海岸にある若者を呼び出していました。


美琴「あの……わざわざ来てくれて、ありがとう」

上条「いや、それで?用ってなんだ?」

美琴「あのね、その……」

上条「ん?」



最初は老婆になってしまった事に絶望し、自ら命を絶とうとも考えました。

が、悪い事だけではなかったのです。

そう、彼女の最大の短所だったツンが消えていました。
思春期を過ぎ、老婆となった事で、美琴にはとても穏やかな雰囲気が備わったのです。

121: 2011/04/04(月) 23:31:27.20 ID:SYRHER3o0
素直になった彼女には、周りの反応も一変しました。
腫れ物のような扱いを受けていたのが、皆心から接してくれるようになったのです。


美琴は心の中でパンダに感謝しました。



美琴(感謝するわ……ありがとう)



若さと引き換えに、彼女は素直さという大切なものを手に入れたのです。




でもフラれました。


めでたしめでたし。

123: 2011/04/04(月) 23:32:20.39 ID:SYRHER3o0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

美琴「バカにしてんのかコラァァァァァァァ!!」プンスカ

黒子「そうですの!あんまりですの!!」プンスカ


パチ、パチパチ……


美琴「えっ」

黒子「えっ」

泡浮「感動いたしました」パチパチ

湾内「え、ええ!」パチパチ

婚后「素直になる大切さを教えていただきました!」パチパチ


パチパチパチパチパチ!


黒子(ス、スタンディングオベーション!?)

126: 2011/04/04(月) 23:33:29.93 ID:SYRHER3o0
一方通行「えー、今オマエらは思春期真っ只中にいる」

泡浮「……」

一方通行「素直になれねェ事もあるだろォな」

湾内「……」

一方通行「だが……後で後悔するよォにはなるな」

婚后「……」

一方通行「親、教師、友達、好きな奴……たまには素直な気持ちを出さないとダメだぞ」

絹旗「以上、お話屋さンでした!」

一方通行「他ンとこでもやるから、興味ある奴は観に来い!」


<ワァァァァァァァ!


美琴「……」

黒子「……なんだか納得いきませんの」

美琴「でも、私たちだけみたいね」

黒子「それが悔しいんですの!」ジタジタ

美琴「むっきぃぃぃぃぃぃぃ!」ジタジタ

130: 2011/04/04(月) 23:34:22.35 ID:SYRHER3o0
一方通行「あァ疲れたァ」グデー

絹旗「第二公演も大成功でしたね!」

一方通行「あァ、あンだけ褒められて悪い気はしねェな」

絹旗「やっぱり紙芝居って超すごいですね」

一方通行「だろォ?」

絹旗「次はどうするんですか?」

一方通行「今日は終わりだな」

絹旗「え?」

一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ

絹旗「あわわわ……」

一方通行「心配すンな、ちゃンと次の予定は立ててる」

絹旗「……はい!」ニヘッ

一方通行「じゃ、また明日なァ」

絹旗「わかりました!」

132: 2011/04/04(月) 23:35:58.28 ID:SYRHER3o0
絹旗「ふんふんふーん♪」

滝壺「きぬはた、ご機嫌さんだね」

絹旗「ええ、お話屋さンが超反響あって」

浜面「へぇ、すごいなそりゃ」

フレンダ「そんなに人気なの?」

絹旗「それはもう!スタンディングオベーションでしたよ!」

麦野「……紙芝居なのに?」

絹旗「ええ!」ニコニコ

滝壺「頑張ってね」ニヘッ

絹旗「はい!」ニコニコ

フレンダ「……まぁいっか」

135: 2011/04/04(月) 23:37:55.42 ID:SYRHER3o0
一方通行「ねみィ」

打ち止め「おかえりー!ってミサカはミサカは抱きついてみる!」モフッ

一方通行「邪魔くせェ」

番外個体「ずいぶん遅かったね、お楽しみだったの?うけけ」

打ち止め「え!?」

一方通行「お楽しませだなァ」ゴロン

番外個体「?」

打ち止め「ねぇ、ミサカもアナタの紙芝居観たい!ってミサカはミサカはおねだりしてみたり!」

番外個体「あ、ミサカも観てみたいかも」

一方通行「予定が立て込んでるからな、そのうちだァ」ゴロゴロ

打ち止め「じゃあ楽しみにしてるね!」

番外個体「さて、どんだけ酷いもんなのか楽しみだね、ぎゃはっ」

一方通行「……」zzz

141: 2011/04/04(月) 23:39:20.28 ID:SYRHER3o0
次の日――


絹旗「さて、今日はどこへお話に行くんですか?」

一方通行「スクールの残党」

絹旗「え……」

一方通行「気悪ィかもしれねェが、避けるわけにはいかねェ」

絹旗「……」

一方通行「無理にとは言わねェよ」

絹旗「いえ、行きます」

一方通行「いいのか?」

絹旗「ええ、平和な世界にするには、闇にも光を当てないといけませんから」

一方通行「……よく言った」ヨシヨシ

絹旗「んにゅぅ……」

一方通行「よし、じゃお話屋さン、開店でェす!」

絹旗「おー」オー

146: 2011/04/04(月) 23:40:52.93 ID:SYRHER3o0
垣根「はぁ……」ゴロゴロ

心理定規「ねぇ、起きたら?」

垣根「眠ぃ、だりぃ」ゴロゴロ

心理定規「復活してからというもの、すっかり腑抜けてるわね」

垣根「だってやる気おきねぇんだもん」

心理定規「第一位にリベンジするんじゃなかったの?」

垣根「明日から本気出す」

心理定規(ダメだこの人)




一方通行「お話屋さンですの!」ババーン

垣根「……あ?」

147: 2011/04/04(月) 23:42:00.01 ID:SYRHER3o0
心理定規「一方通行!?」

垣根「なにしてんだ?」

絹旗「……どうも」

垣根「……アイテムのガキ、か?」

一方通行「今日は別にやり合いにきたわけじゃねェ」

垣根「ならなんの用だ?どんな組み合わせだよ」

一方通行「今日は紙芝居をお送りします」ハイ

心理定規「え?」

垣根「え?」

一方通行「え?」

心理定規「紙芝居……?」

垣根「ナメてんのか?」

絹旗(まぁそうなりますよね)

149: 2011/04/04(月) 23:42:48.38 ID:SYRHER3o0
一方通行「バカか、ナメてねェよ」

垣根「なんでてめぇがわざわざ紙芝居しに来るんだよ!」

一方通行「俺は紙芝居で戦争のない平和な世界を作りたいンだ!」プンスカ

垣根「なんだと……」

心理定規「……あら?」

一方通行「いいか!暗部という闇で汚されたオマエらの心を今から浄化してやる!」

垣根「か、紙芝居にそんな力が……?」

一方通行「あァ、ある」ウン

垣根「本当に世界が平和に……?」

一方通行「あァ、なる」ウン

垣根「早く」ソワソワ

心理定規「」

153: 2011/04/04(月) 23:43:55.33 ID:SYRHER3o0
心理定規「ちょっと!」

垣根「なに」ワクワク

心理定規「あ、ダメだもう」

一方通行「よし、じゃ絹旗ァ」

絹旗「オッケーです!」

一方通行「はじまりはじまりィー」

垣根「わー」パチパチ




一方通行「【かきねんとそぎねん】」




垣根「」

心理定規「」

156: 2011/04/04(月) 23:45:34.40 ID:SYRHER3o0





むかし、ある寺に二人の小僧がおったそうな。
それぞれ名前をかきねん、そぎねんと言い、トンチで名を馳せていました。



「この橋渡るべからず」と書かれた札の立つ橋に出会った時も

そぎねんは端を渡らず、真ん中を堂々と直進し
かきねんは未元トンチで空を飛ぶ

そんな優れたトンチ力を持っていた彼ら。



ある日、かきねんとそぎねんはお殿様に呼び出されました。





160: 2011/04/04(月) 23:46:43.25 ID:SYRHER3o0
アレイスター「ほう、かきねんとそぎねんか、よく来た」

垣根「それで、話ってのは?」

削板「根性でなんでもしてやるぞ!」

アレイスター「実はだね、パンダが夜な夜な悪さばかりするんだよ」

アレイスター「だから君達に退治してもらおうと思ってね」


そういって殿様はちらりと屏風を見ました。

屏風に描かれたパンダはそれはそれは白黒で、今にも飛び出してきそうな程に白黒です。

164: 2011/04/04(月) 23:47:35.70 ID:SYRHER3o0
殿様は常々彼らのトンチの評判を聞いていました。

なので、『屏風のパンダを捕まえろ』、という無理難題にどう対応するのか興味があったのです。





しかし、ここから殿様のプランは大きく外れます。

166: 2011/04/04(月) 23:48:28.02 ID:SYRHER3o0
アレイスター「というわけで、この屏風のパンd」

垣根「パンダ、か……だとしたら東の笹薮にいたな」

削板「よし!じゃあさっそくそのパンダを捕まえに行くぞ!」

アレイスター「え、いや、捕まえて欲しいのはこの屏風のパンダであって……」

垣根「またまたご冗談を、絵をどうやって捕まえるんですか」

アレイスター「……」

削板「よし、行くぞ!」

垣根「おう!」

アレイスター「あ、ちょっ……」



彼らは予想以上に人の話を聞かず、しかし変な所で常識が通じるタイプでした。

171: 2011/04/04(月) 23:49:33.57 ID:SYRHER3o0
こうして殿様にとってなんのメリットもない、二人のパンダ狩りがスタートしました。


垣根「とは言ってもな……どこにいるんだか」

削板「狐を呼び出す時と一緒じゃないか?」

垣根「……」

削板「……」

垣根「ルールルルルルル……」

削板「ルールルルルルル……」


彼らは人はいいのですが、基本的に頭が弱かったのです。

しかし、彼らのひたむきな姿勢を仏様は評価したのか、パンダを発見することができました。


垣根「おい!パンダいたぞ!」

削板「静かに!逃げられるだろうが!」

垣根「わ、悪い」

172: 2011/04/04(月) 23:51:14.73 ID:SYRHER3o0
黒子「さーさーの葉―サーラサラー、サーラサラったらサーラサラー」

黒子「ふーふふんふふサーラサラー」



パンダはうろ覚えの歌詞を口ずさみながら、笹舟で遊んでいました。



垣根「どうする?おれの未元トンチで捕獲するか?」

削板「いや、俺の根性トンチに任せろ」


ガサッ!


黒子「だ、誰ですの!?」

削板「私だ」

黒子「……?」



パンダは警戒心を露にしました。

176: 2011/04/04(月) 23:52:28.65 ID:SYRHER3o0
削板「……」

黒子「……」


小一時間ほど睨み合ったでしょうか、二人は動かないままでした。
その静寂を破ったのは、関係ないかきねんでした。


垣根「オラァァァァァ!」

黒子「!?」ヒュンッ

削板「くらえ!」

黒子「あ、あぶなっ!」ヒュンッ


パンダはテレポートを駆使して華麗に交わしていきますが、多勢に無勢。


削板「すごいパーンチ!」

黒子「げっふぅ!?」



そぎねんの根性トンチによって捕まりました。

181: 2011/04/04(月) 23:53:46.87 ID:SYRHER3o0
垣根「どうですか殿様、見事パンダを捕まえてきましたよ」

黒子「」キュー

アレイスター「え?ああ、うん、そうだね……」

削板「またなんかあったら呼んでくれ!」

アレイスター「え?ああ、うん、そうだね……」



こうして、勘違いをした二人は一仕事終えた感を漂わせながら、満足気に帰って行きました。

殿様に残されたのは一匹のパンダ。



アレイスター(もうアイツら呼ばない)



その後、このパンダはお城で飼われ、生涯幸せな暮らしを送ったとさ。


めでたしめでたし。

187: 2011/04/04(月) 23:54:54.69 ID:SYRHER3o0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

心理定規「……」

心理定規「え、結局どういう話だったの?」

垣根「感動した」ツー

心理定規「」

垣根「パンダ……よかったなぁ……うぅ」ホロリ

心理定規「えー……」

190: 2011/04/04(月) 23:55:52.36 ID:SYRHER3o0
垣根「感動して胃が痛ぇ」

絹旗「いやその理屈はわかりませんけど」

心理定規「どこに感動する要素があったのかしら?」

垣根「バカ、『人の話は最後まで聞け』ってとこだろうが」

心理定規「バカはどっちよ!それでどうして感動するわけ?」

垣根「人間のエゴで捕まったパンダが生涯幸せに暮らしたところだろうが!」プンスカ

心理定規「」

一方通行「お話屋さンのキャッチコピーは『アナタの荒んだ心、浄化します』だからなァ」グデーン

絹旗「え、そうだったんですか?」

垣根「浄化されたよ……紙芝居ってのは……命の洗濯だったんだな」

一方通行「それは違う」ウン

垣根「あ、そうか」ウン

心理定規「……」

192: 2011/04/04(月) 23:56:38.67 ID:SYRHER3o0
心理定規「……」

垣根「オイ!なにボーっとしてんだ!」

心理定規「え?あ、ああ」

垣根「ホラ、オマエの分の水あめ」

心理定規「……ありがとう」

垣根「しかし第一位が紙芝居ねー」グリグリ

垣根「想像以上に良かったな、な!」グリグリ

心理定規「ええ、そうね」

垣根「次が楽しみだぜ!」グリグリ

心理定規「ええ、そうね」

垣根「?」グリグリ

194: 2011/04/04(月) 23:57:25.74 ID:SYRHER3o0
一方通行「どォだ?大丈夫だっただろ?」

絹旗「ええ、第二位があんなに超バカだとは知りませんでしたが」

一方通行「ま、紙芝居で毒気抜かれたンだろォよ」

絹旗「うーん、そうなんですかね?」

一方通行「とりあえず休憩するか」

絹旗「私も超喉渇きました!」








店員「おコーヒーと、おオレンジおジュースです」コト

一方通行「このまろみ……そして、このまろみ……」ズズー

絹旗(またここ来ちゃった)

199: 2011/04/04(月) 23:58:31.17 ID:SYRHER3o0
一方通行「オマエの絵の評判、中々いいじゃねェか」

絹旗「超嬉しい限りですよ」チュー

一方通行「ただアフレコの時はもォちょい声張れ」

絹旗「う……き、緊張するんですって」

一方通行「なンの為の窒素装甲だよ」ヤレヤレ

絹旗「少なくともアフレコの為じゃありません!」

一方通行「まァいいか」ウン

絹旗「いいんですか……」

絹旗「で、でもアレですね……こうして二人でのんびりしていると」




絹旗「まるでデデ、デ、デートしてるみたい、じゃないです……か?」




一方通行「なァ、ホラホラ、縮んだストローの袋がウニョウニョーって」ホラホラ

絹旗「超どうでもいいですよそんなの!!」プンスカ

204: 2011/04/05(火) 00:00:27.18 ID:KlhLHFLa0
19090「で、ミサカ達はどうしてここに集まっているんでしょう?」

打ち止め「うーん、あの人が『病院にいろ』って言ってたからかな!ってミサカはミサカは答えてみたり」

御坂妹「なにかを始める気なのでしょうか?」

番外個体「あ、紙芝居じゃない?例の」

19090「紙芝居?」

打ち止め「そうそう!最近あの人紙芝居やってるんだよ、ってミサカはミサカは打ち明けてみる」

御坂妹「ほう、それは興味深いですね、とミサカはちょっとワクワクしてみます」ワクワク




ガララッ


一方通行「おォ、集まってやがンな」ダラーン

絹旗「こんにちはー」

打ち止め「あ、来たー!ってミサカはミサカははしゃいでみる!」ワーイ

207: 2011/04/05(火) 00:01:39.92 ID:KlhLHFLa0
絹旗(み、御坂美琴が4人……超圧巻ですね)

番外個体「ふーん、へーぇ」ジロジロ

絹旗「うぇ!?な、なんですか?」

番外個体「アナタが最近第一位とイイコトしてる人?」

絹旗「」

19090「イ、イイコト……」ジュルリ

御坂妹「ヨダレ出てますよ、とミサカはお姉さんらしく振舞ってみます」

絹旗「な!ち!違います!ただの紙芝居仲間です!」

番外個体「へー」ニヤニヤ

打ち止め「む!」

絹旗「そうですよね一方通行!?」グリン


一方通行「コーヒーあるか?」

19090「あ、はいどうぞ、とミサカはコーヒーを手渡します」ハイ


絹旗「」キケヨ

208: 2011/04/05(火) 00:02:45.33 ID:KlhLHFLa0
一方通行「じゃとりあえず始めるか」

絹旗「う、わかりました……」トボトボ

番外個体「本当にやるんだ」

打ち止め「わーい!楽しみ楽しみ!ってミサカはミサカは全身で喜びを表現してみたり!」

御坂妹「紙芝居ですか……情報としては知っていますが、実際に観るのは初めてですね」

19090「た、楽しみです」ソワソワ

御坂妹「聞いた話だと紙芝居というものは水あめを舐めながら鑑賞するものでは?」

番外個体「水あめ」

19090「甘いものですか……カ口リーが気になるところですが」

御坂妹「む、どの口が言うんですか、とミサカは隠れてダイエットしている19090号ににじり寄ります」ジリジリ

番外個体「あ!ミサカにも教えて!」

19090「ちょちょ、近いですって!離れてください!」



一方通行「うるっせェ!話が進まねェだろォが!!」プンスカ

妹達「すみませんでした」ササッ

絹旗「」

211: 2011/04/05(火) 00:03:36.42 ID:KlhLHFLa0
一方通行「ったく……オイ絹旗、準備はいいか?」

絹旗「プッ、あはは……はい、なんだか緊張がほぐれました」

一方通行「じゃ始めるぞォ」




一方通行「【白黒姫】」




打ち止め「白黒姫?」

御坂妹「白雪姫なら聞いたことはあるのですが……」

19090「似たようなものなのですかね?」

番外個体「でもなんだか白黒姫ってまぬけだね、ぎゃはは」

一方通行「だからうるせェ!黙って聞け!」

打ち止め「ゴ、ゴメンなさい」

御坂妹「すみませんでした」

19090「す、すいません」

213: 2011/04/05(火) 00:04:21.90 ID:KlhLHFLa0





ある森に、お姫様と七人の小人が住んでいました。

お姫様の名前は白黒姫。



パンダ界で随一の美貌を誇るお姫様でした。





219: 2011/04/05(火) 00:05:17.73 ID:KlhLHFLa0
そして、付き人である七人の小人は愉快に素敵に毎日を過ごしているように見えました。

が、それはフザけた幻想だったのです。



黒子「はぁ、はぁ……今日も可愛いですわね」

19090「ひ、ひぃぃぃ」

番外個体「まーた始まったよ、お姫様」

打ち止め「もうそろそろ限界かも、ってミサカはミサカは呟いてみたり」



そう、白黒姫は小人達にセクシャルハラスメントの限りを尽くしていたのです。

それに耐えかねて三人の小人が逃げ出し、現在では四人となっていました。

222: 2011/04/05(火) 00:06:17.91 ID:KlhLHFLa0
白黒姫が眠りについた夜、小人たちは会議を開きました。


番外個体「……明日はミサカだって指名されたんだけど」

御坂妹「もう、限界ですね」

19090「早々に逃げ出した彼女たちの判断は賢明だったと言えましょう」

打ち止め「どうしよっか……ってミサカはミサカは途方にくれてみる」


貞操の危機を感じた彼女たちは、ある計画を立てることにしました。


「白黒姫暗殺計画」です。


番外個体「殺られる前に殺れ、ヤられる前にヤれ、か……」

打ち止め「それしかないね……ってミサカはミサカは溜息をついてみたり」

御坂妹「では具体的にどうしましょうか?とミサカは具体案の提出を求めます」

225: 2011/04/05(火) 00:07:07.56 ID:KlhLHFLa0
番外個体「感電氏?」ハイ

御坂妹「それだとまず電撃系の能力者が疑われるでしょうね」

打ち止め「うーん……」

19090「シンプルに毒殺はいかがでしょう?」ハイ

番外個体「でも、それこそ身近なミサカ達が真っ先に疑われない?」

19090「……」

御坂妹「……」



小人達はまたまた途方に暮れていました。

結局暗殺計画は中々進展せず、そのまま朝になってしまったので
再び夜に話し合う事にしました。

228: 2011/04/05(火) 00:08:38.30 ID:KlhLHFLa0
黒子「大きいお姉さまーーーー!」

番外個体「もう!離してよ!」

黒子「うへへへへへへ」

番外個体「うぅぅぅ……」

御坂妹「……」

打ち止め「……」

19090「……」



番外個体を除く他の三人は、ただただ見守る事しかできませんでした。

明日は我が身。
下手に助け舟を出すと、白黒姫はそういうプレイだと勘違いしてしまうからです。

己の弱さと無力さに奥歯を噛み締めている三人。



そこに、天の助けがやってきます。

231: 2011/04/05(火) 00:09:45.36 ID:KlhLHFLa0
「おい!」


御坂妹「あ、あなた様は!」




上条「おい!その子を離せっつってんだよ三下!」




真っ黒いツンツン頭が特徴の、一人の若者。

隣国の王子様です。



いかにも『何回も警告したぞ』的な感じで来ましたが
実は初めて発した言葉でした。

235: 2011/04/05(火) 00:10:50.17 ID:KlhLHFLa0
黒子「あなたは類人猿国の王子!なぜここに?」

上条「その子嫌がってんだろ、離してやれよ」

黒子「ふん!私の付き人なのですから、私の勝手ですの!」

上条「いいぜ、お前が付き人をそれ以上辱めるっていうなら……」

上条「まずそのふざけた幻想をブチ[ピーーー]!」バキッ

黒子「ほげっ!?」


出ました。
隣国では割りとメジャーな、男女平等パンチ。


男女の平等性を訴える為に、悪であれば性別関係なしに殴る。


他国からは色々とバッシングを受けていましたが
その男女平等パンチが小人たちの貞操を救いました

242: 2011/04/05(火) 00:12:10.98 ID:KlhLHFLa0
上条「じゃあな」スタスタ

御坂妹「……」

19090「……」

番外個体「……」

打ち止め「……」


その後、颯爽と帰って行く王子様に御坂妹と19090号は見惚れてしまいました。
でも打ち止めと番外個体は割りと冷めていました。


こうして、貞操の危機を救われた小人たちは幸せに過ごす事になったのです。



しかしーー

243: 2011/04/05(火) 00:13:01.65 ID:KlhLHFLa0
白黒姫の氏を聞いた王様が、犯人探しをすることにしたのです。

現場に残されたコンバースと思われるスニーカーの跡。
さらに白黒姫が『いつか小人達とのハメ撮り用に』と設置していた隠しカメラ。


これらを材料に、大規模な犯人探しが始まりました。

247: 2011/04/05(火) 00:13:53.74 ID:KlhLHFLa0
当初は隠しカメラによってあっという間に犯人が捕まると思われたのですが
以前から隠しカメラに気づいていた小人たちは、レンズを黒く塗りつぶしていました。

その為、映像は残っておらず、音声のみの証拠となりました。



王様「いいか!『その幻想をブチ頃す!』だぞ!」

兵士「はっ!」



パンダ界の最新技術を駆使した声紋調査がスタートしました。

251: 2011/04/05(火) 00:14:55.46 ID:KlhLHFLa0
国民一人一人、さらには隣の国まで調査が及んだものですから、王子様はガクブルでした。


上条「……」ガクガクブルブル

インデックス「どうしたの?とうま」

上条「イ、インデックス……上条さんはもう終わりやで……」

インデックス「……大丈夫だよ、とうま」

上条「?」

インデックス「とうまが捕まっても、私は毎日会いに行くよ」

上条「……」

インデックス「だって私は、シスターだからね!」ニヘッ

上条「インデックス……」


シスターだから、の意味は誰にもわかりませんが、インデックスの言わんとしている事はなんとなくわかりました。


しかし、天は彼を見放しませんでした。

254: 2011/04/05(火) 00:16:02.10 ID:KlhLHFLa0
海原「どうも、こんにちは」

番外個体「うげ、また来たの?」

御坂妹「この大変な時に……とミサカは溜息をもらしてみます」ハァ

海原「呆れた顔の妹さんもお綺麗ですね」ニコ

19090「……」

海原「元気がないですね……では、僕が励ましてあげましょう」



パァッと光が辺りを包みました。



なんと彼は、上条当麻の姿になったではありませんか。
そう、この男は変装を得意とする魔術師。

こうして彼女たちの想い人に変装することで彼女たちを元気付け
あわよくば姉妹丼を、と下衆な事を考えていたのですが、そう上手くはいかんざき。

258: 2011/04/05(火) 00:17:00.89 ID:KlhLHFLa0
兵士「ん?お前、声紋検査したか?」

海原「え?なんですか?」

兵士「ちょっとこのセリフ言ってみろ」

海原「えーと……その幻想をブチ頃す!……こうですか?」

兵士「こここ、こいつやー!犯人見つけたでー!」

海原「えっ」


変装のプロである彼は、なんと声紋までも本人と一致してしまったのです。


こうして二人の変態から逃れた四人の小人たちは隣国に亡命しました。

そして、王子様の付き人として生涯幸せに暮らしましたとさ。



めでたしめでたし。

261: 2011/04/05(火) 00:18:07.94 ID:KlhLHFLa0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

打ち止め「面白かった!ってミサカはミサカは惜しみないGJを送ってみる!」

御坂妹「ええ、大変素晴らしい作品でした」パチパチ

19090「正義は最後には勝つ、感動です」チパチパ

番外個体「ふーん、思ってたよりまともだったね」

一方通行「このよォに、悪党は必ず滅びる」

一方通行「だから俺もそのうち滅びるだろォな」

打ち止め「……」

一方通行「だがこの小人達みてェに、オマエらが幸せに過ごせるよォにしてやる」

御坂妹「一方通行……」

一方通行「だからオマエ達は何も気にせず、今を楽しんで今を生きろ」

19090「……はい!」

265: 2011/04/05(火) 00:19:02.43 ID:KlhLHFLa0
番外個体「それはアナタの気持ち?」

一方通行「バカ、義務であり責任だァ」

打ち止め「もう!素直じゃないんだから!」ガバッ

御坂妹「……ふふ」

19090「あの、一方通行……よければ、また紙芝居を観せてもらえませんか?」

一方通行「あァ、紙芝居でよければなンぼでも見せてやるよ」

絹旗「ええ!」

番外個体「もう行くの?」

一方通行「おォ、まだまだこれからだからなァ」

御坂妹「頑張ってくださいね、一方通行」

一方通行「あァ、じゃあな……行くぞ絹旗」スタスタ

絹旗「はい!」テテッ

268: 2011/04/05(火) 00:20:08.19 ID:KlhLHFLa0
19090「上位個体の言う『あの人は素直じゃないう』という言葉がわかったような気がします」

打ち止め「でしょう?あの人はツンデレだからね!」

番外個体「それにしても紙芝居にメッセージを乗せるとか……ヘタレだね」

御坂妹「おやおや、そういう番外個体も感動したのではありませんか?」

番外個体「し、してないし!」

19090「……」ニヘラ

御坂妹「……」ニヘラ

番外個体「なんかムカつくんですけど!」プンスカ

打ち止め「あんまり末っ子を虐めちゃダメだよ?ってミサカはミサカはお姉さんぶってみたり」

番外個体「なんだと一番のお子様め!」ギュー

打ち止め「いふぁいいふぁいー!」ジタジタ

273: 2011/04/05(火) 00:21:39.26 ID:KlhLHFLa0
絹旗「あれが妹達なんですね」

一方通行「なンだ、知ってたのかよ」

絹旗「前に仕事でやり合った時に資料で、と言っても私は聞いただけですけど」

一方通行「ま、俺の自己満足の犠牲となった奴らだ」

絹旗「……」

一方通行「罪滅ぼしのつもりはねェが、アイツらはもォ学園都市の自由にはさせねェ」

一方通行「これからは自分の為に生きていけるよォにフォローしてく」

絹旗「……大変、ですね」

一方通行「さァな」

絹旗「……」

一方通行「……」

絹旗「……あ、あの」

一方通行「……」zzz

絹旗「」

絹旗「寝る場面じゃないです!超起きてくださいよ!」ユサユサ

358: 2011/04/05(火) 22:48:08.50 ID:OWa+/B/y0
一方通行「よし、じゃ行くか」ウン

絹旗「次はどちらに?」

一方通行「闇=そいつって感じの奴」

絹旗「そ、それは……」ゴクリ

一方通行「オマエもちゃンと気ィ張っていけよ」

一方通行「でないと……」

絹旗「で、でないと?」

一方通行「恐らくソイツの空気に流されちまう」

絹旗「は、はい!超了解です!」

一方通行「行くぞ」



絹旗(一方通行がこんなに気構える相手……)

絹旗(どれだけの人なんでしょう?)ゴクリ

359: 2011/04/05(火) 22:48:59.84 ID:OWa+/B/y0
とある研究所――


木原「……」カタカタ

木原「……」カタカタ


ガララッ


一方通行「木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥン!?」ババーン

木原「うお!?なんだよてめぇ!?」

一方通行「お話屋さンですの!」ハイ

絹旗「こんにちはー」

木原「は?」

一方通行「いやー、復活した木原くンは色々と仕事が大変だって聞いてな」

木原「あ?てめぇに心配される事なんかねぇよ」

一方通行「だからその疲れを癒しに来てやった」ウン

木原(ヤダ……いつの間にこんないい子に育ったの……?)キュン

360: 2011/04/05(火) 22:49:59.10 ID:OWa+/B/y0
木原「そ、そうか!そうか!オラ座れ!」

絹旗「え、あ、どうも」

木原「お前は一方通行の彼女か?ん?可愛いじゃねぇか」ソワソワ

絹旗「え!?い、いや!別に彼女とかそういうんじゃ……」

木原「まぁいい!コーヒーでいいか?それとも紅茶か?」ソワソワ

絹旗「えっ」

木原「あ!ねぇ!……おーい!紅茶切らしてんぞボケ!!」プンスカ

研究員「あ、すみません!」ダッ

絹旗「」

一方通行「落ち着けよ木原くン、俺らはまだ帰らねェから」

木原「まぁゆっくりしてけよ!で、なんの用だ?」ソワソワ

絹旗(えー……超ソワソワしてるじゃないですか)

362: 2011/04/05(火) 22:50:47.90 ID:OWa+/B/y0
――


木原「ほォ、紙芝居ねェ」

一方通行「あァ、学園都市に巣くう闇に光を当てにきたンだ」

木原「暗い社会を明るく照らす、桂歌丸です……って事か」ウン

絹旗(え、なに言ってるんですか?)

一方通行「まァ、木原くンは大体こンな感じだ」

絹旗「へ、へぇ……」

木原「で、今日はそれを見せてくれるのか?」

一方通行「あァ」



木原「おい!てめぇらも来い!」

木原「あん?研究だぁ?うるっせぇ!一方通行の紙芝居観ろ!!」プンスカ



絹旗「……研究員集まってきましたね」

363: 2011/04/05(火) 22:51:53.86 ID:OWa+/B/y0
一方通行「ンじゃ始めるか」

絹旗「はい」



木原「ひゅっひゅー!」

一方通行「あ、お静かに願います」ハイ

木原「あ、すいません」ハイ






一方通行「【みにくいキハラの子】」


366: 2011/04/05(火) 22:52:50.69 ID:OWa+/B/y0




あるところに一人の研究者がいました。彼の名は木原数多。

彼は小さい頃から身体がヒョロく、『キャシャリン』とバカにされていました。



これは、そんな彼の成長物語――。




368: 2011/04/05(火) 22:53:47.37 ID:OWa+/B/y0
彼は新しい研究所に配属される事になり
心機一転、新しい地での新しい生活に期待していました。


木原「しかし……この身体じゃあまた虐められんな」

木原「せっかく一からのスタートなんだ、そんなのゴメンだぜ」

木原「……」ウーン


木原くんは悩みます。
どうしたらナメられずに済むかを必氏で考えました。



初めて上京した時の道民と同じ考えでした。

373: 2011/04/05(火) 22:54:50.49 ID:OWa+/B/y0
とりあえず身体を鍛える事にしました。
やはり見た目のコンプレックスが最大の敵なようです。


木原「いーち……にーい……さーん……」セイセイセイ


――


木原「14510,14511,14512……」フッフッフッ


気がつくと腕立て伏せの回数がエライコトになってました。

木原くんは一つの事に集中すると周りが見えなくなるタイプで
面接で長所と短所を聞かれた時も、この事を「長所でもあり短所でもある」とか言ってました。


そして、次第に筋肉はついていきました。

夢にまで見たマ神です。

375: 2011/04/05(火) 22:56:18.30 ID:OWa+/B/y0
しかし、筋肉だけじゃいまいちパンチが足りないと思った木原くん。


木原「……」ウーン

木原「……そうだ」

木原「そうだ!これだよ!」

木原「思い立ったが吉日ってな!」


ハッ、と思いついたようです。
そして彼はとあるタトゥーショップへと足を運びました。


木原「思い切って顔にやっちゃってくれ」


思い切りすぎです。
彼のアイディアとは、顔に刺青を入れる事でした。


こうして彼は『顔に刺青の入った強面研究者』というわけのわからないスペックを手にしました。

379: 2011/04/05(火) 22:57:31.60 ID:OWa+/B/y0
木原「あー、木原数多だ、よろしくな」


木原くんの作戦は見事に成功しました。
強面の彼を虐めようとする人間は誰一人としていなくなったのです。



しかし、ここで別の問題が浮上してきました。



木原「よう、飯食いに行かねぇか?」

研究員「あ、いえ……僕は食べたので」

木原「そうか……あ、お前は?」

研究員「ひぃ!」

木原「……」





ぼっちになりました。

382: 2011/04/05(火) 22:58:29.31 ID:OWa+/B/y0
虐められる事はなくなったのですが、彼と関わろうとする人間すらもいなくなったのです。

顔に刺青が入っているなんて、ファンタジーの世界でしか有り得ない事。
現実にそんな人と肩を並べて歩けるわけもありません。


恥ずかしい。


こうしてぼっちになった木原くんは、段々心が荒んできます。
そしていつしか、顔に違わぬ性格になってしまいました。

384: 2011/04/05(火) 22:59:27.74 ID:OWa+/B/y0
研究所内で『あの人は怖い』『あの人はヤバイ』という噂が蔓延した頃……
木原くんにとある実験の話が舞い込んできました。


木原「あァ?第一位の世話?」

所長「あ、ああ……第一位と言っても候補だがね」

所長「その子に第一位たる能力を開発してあげてほしいんだ」

木原「俺にガキの面倒を見ろってのか?」

所長「君は優秀な研究員だ、頼んだよ」

木原「……ちっ」


こうして木原くんは、第一位となりえる子供の能力開発を担当する事になりました。


黒子「アナタが木原くんですの?」

木原「……」エー




パンダでした。

385: 2011/04/05(火) 23:00:23.46 ID:OWa+/B/y0
そして心がみにくくなった木原くんとパンダの共同生活が始まりました。



周りの研究員はこの時、確実に失敗するだろうと考えていました。

『あんな凶暴な男に、子供の相手など務まるわけがない』

皆が口を揃えて言いますが、そうでもありませんでした。

388: 2011/04/05(火) 23:01:32.12 ID:OWa+/B/y0
木原「ちっげぇよ!なんでこの笹の角度が60度なんだよ!」

黒子「公式に沿って解いたら60度ですの!」

木原「辺がグァーッときてて、隣の笹の角度がこんだけまろみあんだから45度だろうが!」プンスカ

黒子「だからそのまろみってのがわかりませんの!」プンスカ


怖いもの知らずというか、純真無垢の子供というか
パンダは木原くんに全力でぶつかっていきました。

今まで避けられる事しかなかった木原くんは、ここで何か変わったのかもしれません。


木原くんは毎日を、パンダとぶつかりながら過ごしました。

それはそれは楽しそうに。

392: 2011/04/05(火) 23:02:31.48 ID:OWa+/B/y0
時は流れて数年後――


黒パンは期待通り、レベル5第一位として恥じない程の実力を身につけました。
そして、研究所から旅立つ日がやってきました。


黒子「お世話になりましたの」ペコリ

木原「はっ、お前がいなくなって清々すらぁ」

黒子「こういう時は素直になるものですわよ?」

木原「ちっ……うるせぇよ」

黒子「……」

木原「……」

393: 2011/04/05(火) 23:03:32.38 ID:OWa+/B/y0
黒子「では」

木原「ちょっと待て」

黒子「?」

木原「あーと……その、なんだ、俺は今まで誰かに全力でぶつかられた事なかったからな」

木原「そこそこ、楽しかったぜ」

黒子「木原くん……」

木原「元気でな」

黒子「はいですの!」

木原「たまには顔、見せろよ?」

黒子「わかりましたの!お父様!」ニヘッ

木原「!」


なんということでしょう。

人間とパンダの、種族の壁を越えた親子愛です。

395: 2011/04/05(火) 23:05:24.82 ID:OWa+/B/y0
木原「お父さん、か……」

木原「ちっ、バカじゃねぇのか?」

研究員「あの、木原さん」

木原「あん?」

研究員「お疲れ様でした、コーヒー飲みます?」

木原「……おお」


こうして大事なプロジェクトを見事完遂させた木原くんは
他の研究員から尊敬されるようになり、木原くんもまた心を開くようになりました。

パンダとのやり取りで見せた彼のひたむきな姿勢、それの賜物でした。


それまで腫れ物の扱いだったのですが、それを変えたのはもちろんパンダ。
彼女もまた、彼にとってかけがえのない、大切な人だったのです。



ヴェルタースオリジナル。

396: 2011/04/05(火) 23:06:48.03 ID:OWa+/B/y0
それからというもの
木原くんは人当たりもよくなり、口は悪いですが誰に対しても親切で優しい兄貴分になりました。


研究員「木原さん!今日飲みに連れてってくださいよ!」

木原「はぁ?どうせまた俺に払わせようとしてんだろうが」

研究員「あれ、バレちゃいました?」

木原「……95割しか出さねぇぞ」

研究員「さっすが木原さん!じゃあまた後で!」ダダッ

木原「……」

木原「けっ、なんだってんだ」

木原(感謝してやるよ、クソパンダ)


みにくい木原くんは、もういません。



めでたしめでたし。

399: 2011/04/05(火) 23:07:48.38 ID:OWa+/B/y0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

木原「……」パチパチ

研究員「……」パチパチ

一方通行「どォだった?」

木原「最高じゃねぇか……」ホロリ

一方通行「木原くン、たまには下の奴にも優しくして、信頼関係築かなきゃダメだぜ?」

木原「けっ……ガキがナマ言ってんじゃねぇよ」

一方通行「そォかい」

木原「……おい、お前ら」

研究員「は、はい!なんですか?」

401: 2011/04/05(火) 23:09:06.02 ID:OWa+/B/y0
木原「飲みに行くか、今日」

研究員「へ?」

木原「心配すんな、ちゃんと95割出してやるよ」

研究員「木原さん……」

一方通行「くかかっ……」

木原「よし!じゃあさっさと今日の仕事終わらせるぞ!」

研究員「はい!」

木原「嬢ちゃん」

絹旗「な、なんですか?」

木原「絵はてめぇが描いたのか?」

絹旗「そ、そうです!お気に召しませんでしたか!?」アワワ

木原「中々うめぇじゃねぇか」ギュッ

絹旗「へ?」

木原「飲み物代だ、とっとけ」

絹旗「……ありがとうございます」ペコリ

404: 2011/04/05(火) 23:10:08.31 ID:OWa+/B/y0
ーー


一方通行「いくらもらったンだ?」スタスタ

絹旗「一万円です……飲み物代で一万円……」テクテク

一方通行「三下なら何日生きられるンだろォな」

絹旗「?」

一方通行「こっちの話」ダラーン

絹旗「ちょ、道端でそんな格好しないでください!」

一方通行「疲れたァ」グデー

絹旗「今日はもう終わりですか?」

一方通行「あァ、今日はもォいいや」

絹旗「そうですか、じゃあまた明日ですね」

一方通行「おォ」

405: 2011/04/05(火) 23:11:18.71 ID:OWa+/B/y0
滝壺「あ、おかえり」

絹旗「あれ、他の三人はお出かけですか?」

滝壺「うん、買い出しに行ったよ」

絹旗「そうですか……あぁ超疲れたー」モフッ

滝壺「今日はどこに行ったの?」

絹旗「えーと、御坂美琴のクローンと、一方通行の育ての親?です」

滝壺「順調?」

絹旗「ええ、超大絶賛です!」

滝壺「そっか、私も観てみたい」

絹旗「絶対お見せします!」

滝壺「じゃあ楽しみにしてるね」ニヘラ

絹旗「はい!」ニヘラ

408: 2011/04/05(火) 23:12:27.18 ID:OWa+/B/y0
ーー


麦野「たっだいまー」

滝壺「おかえり、むぎの」

絹旗「……」zzz

浜面「あれ、絹旗寝てんのか?」

滝壺「うん、絵を描いてる途中で寝ちゃった」

フレンダ「へぇ、頑張ってるみたいね」

麦野「風邪ひいちゃうわよ……浜面」

浜面「へいへい……ほいっと」

絹旗「うにゅぅ……」zzz

絹旗「にへへ……」zzz

フレンダ「どんな夢見てるんだか」

麦野「ふふ、まだまだお子ちゃまね、絹旗は」

410: 2011/04/05(火) 23:13:10.42 ID:OWa+/B/y0
次の日――


インデックス「ごちそうさまでした!」

上条「はいお粗末さん」

インデックス「とうま、今日のもやし炒めはちょっと味違ったね」

上条「わかるか?ウスターソースを2、3滴足してみたんだ」

インデックス「美味しかったかも!お腹すいた!」

上条「」


ガチャ、バタン


一方通行「お邪魔しまァす」スタスタ

絹旗「おはようございまーす」トテトテ

上条「」

インデックス「あくせられーた?どうしたの?」

412: 2011/04/05(火) 23:14:01.25 ID:OWa+/B/y0
一方通行「三下、飲み物ォ」グダー

絹旗「あ、お構いなく」

上条「な、なにしてるんでせうか?」

一方通行「今日はオマエらに紙芝居を届けにきてやった」

絹旗「お話屋さンです!」

上条「……は?」

インデックス「かみしばい?」

一方通行「おォ」ゴロゴロ

絹旗「ちょっと!人の家ですよ!」

上条「なにがどうしてこうなってんだ?」

413: 2011/04/05(火) 23:15:24.51 ID:OWa+/B/y0
――


上条「へぇ、紙芝居で争いのない世界、ねぇ」

インデックス「すごい立派だと思うんだよ!」

一方通行「紙芝居と言う魔法の言葉でポポポポーンだァ」ゴロンゴロン

上条「えっ」

インデックス「えっ」

絹旗「一方通行、今日は一段とゴロゴロしてますね」

一方通行「なンだろォな……この床のフィット感」ゴロゴロ

上条「あ、あのー……紙芝居は?」

一方通行「あァ?あァ、あと5ゴロゴロ……」ゴロゴロ

インデックス「なにその単位!?」

一方通行「ちなみに1ゴロゴロは10ダラダラな」ダラダラ

上条「知るか!」

414: 2011/04/05(火) 23:16:11.87 ID:OWa+/B/y0
一方通行「よし、じゃあやるぞ」

絹旗「はい」

インデックス「なんだかワクワクするんだよ」ワクワク

上条「なんか懐かしいなー」ワクワク

一方通行「じゃはじまりはじまりィー」

インデックス「わー」パチパチ



一方通行「【アリとキリギリスはキリキリ舞い】」



インデックス「?」

上条「」

415: 2011/04/05(火) 23:17:05.89 ID:OWa+/B/y0




ある森に、アリとキリギリスが住んでいました。

この二匹は種族の壁を越え、同棲していました。


働き者のアリは、甲斐性無しのキリギリスにほとほと困っています。




417: 2011/04/05(火) 23:17:51.33 ID:OWa+/B/y0
上条「なぁインデックス、食料を採りに行ってきてくれないか?」

インデックス「あうー、なんだか動く気しないんだよ」ゴロゴロ

上条「あのな、もうちょっとで冬が来るんだぞ……」

インデックス「なんとかなるんだよー」

上条「はぁ……」


アリはどうにか家計をやりくりし、二人つつがなく暮らしていたのですが……


冬が近づいていました。

419: 2011/04/05(火) 23:18:53.80 ID:OWa+/B/y0
冬は食料がなくなる為、予め蓄えて春まで乗り切る、というのが虫界でのセオリーでした。
こうして、アリは来る冬に備えてせっせと食料を集めていました。


上条「ふぅ、とりあえずこんなもんかな」

上条「……ん?昨日より減ってる?」

インデックス「ゴメンとうま、ちょっとつまみ食いしちゃったんだよ」


あろうことかキリギリスはアリが貯めていた食料を食べてしまっていました。
テヘペロするキリギリスでしたが、これには流石のアリも激怒しました。


上条「出て行け!もう我慢ならん!」プンスカ

インデックス「そ、そんな!とうま!とうまーー!!」



追い出されました。

424: 2011/04/05(火) 23:21:08.05 ID:OWa+/B/y0
追い出された際、少しの食料をくれたのは、アリのやさしさライセンスによるものでしょう。
その食料を頬張りながらキリギリスは考えました。


インデックス「とりあえず春まで過ごせばいいんだよね……もぐもぐ」モグモグ

インデックス「それならなんとかなるかも!」

インデックス「とうま、許せないんだよ!」


逆ギレでした。
クレーマーになったキリギリスは、まずバッタのところへ向かいました。


小萌「そうですか……でもゴメンなさい、先生もそんなに貯蓄してるわけじゃないのです」

インデックス「そ、そっか……ゴメンね」

小萌「あ、インデックスちゃん!少ないですが、コレを持って行ってください」

インデックス「ありがとうなんだよ!」


キリギリスはバッタから少しのタコわさとイカキムチを分けてもらいました。

427: 2011/04/05(火) 23:22:35.22 ID:OWa+/B/y0
バッタからもらったイカキムチを頬張りながら、次にヘラクレスオオカブトのところへ向かいました。
しかしヘラクレスは留守のようなので、携帯で連絡を取ってみる事にしました。


インデックス「かおりー?今どこにいるのかな?」

インデックス「え、帰省中?あ、ヘラクレスパーティか」

インデックス「ううん!なんでもないんだよ!じゃあまた春にね!」


頼みの綱であるヘラクレスは、年に一度のヘラクレスパーティの為に帰省していました。


こうしてキリギリスの頼みの綱は切れました。
彼女には人脈がなかったのです。

431: 2011/04/05(火) 23:24:05.24 ID:OWa+/B/y0
そして、森に冬が到来しました。


行くあてもないので、キリギリスは公園で冬を過ごす事にしたのですが
分けてもらった食料は底をつき、ダンボールをかじって飢えを凌ぐ毎日。


インデックス「さ、さ、寒いんだよ……」ガタガタ

インデックス「お腹すいたなぁ……とうまの言う通りちゃんと食料貯めておけばよかった」

インデックス「とうま……ゴメンなさい……う、うぇぇぇぇぇ」ポロポロ


キリギリスはこれまでの自分の行動を後悔し
そして涙を流しました。


インデックス「えへへ、涙ってしょっぱいんだね、なんていうか……しょっぱいんだね」


キリギリスはボキャ貧でした。



と、その時――

434: 2011/04/05(火) 23:25:10.73 ID:OWa+/B/y0
全てを諦め、氏ぬモードに入ったキリギリスの耳に、懐かしい声が聞こえてきました。


「オーイ……インデックスー」

インデックス「あれ?お腹が空きすぎて幻聴が聞こえてきたんだよ……」

上条「幻聴じゃねぇよ!しっかりしろ!」

インデックス「あれ?とうま、どうしたの?」

上条「お前が気になったから迎えに来たんだよ!ゴメンな!」


アリはキリギリスを追い出したことを後悔していました。
キリギリスが一人では何も出来ない甲斐性なしという事を忘れていたのです。

そしてバッタやヘラクレスに聞き込みをし、ここに辿り着いたのでした。

437: 2011/04/05(火) 23:26:30.08 ID:OWa+/B/y0
上条「さ、帰るぞインデックス」

インデックス「いいよ……食い扶持が増えるだけだよ?」

上条「バカヤロウ!例え食料が底をついて氏ぬとしても……それでいいんだよ!」

上条「地獄の底までついてってやるって言っただろうが!」

インデックス「とうま……!」

上条「帰ろう、インデックス……気の迷いとはいえ、追い出して悪かった」

インデックス「……うん!」


なんということでしょう、アリはいつかの二人で交わした約束を覚えていたのです。
いつどんな形で約束したかは知りませんが、きっとしたのでしょう。


こうしてアリとキリギリスは二人で家に帰って行きました。

439: 2011/04/05(火) 23:27:28.09 ID:OWa+/B/y0
ですが、二人を待っていたのは厳しい現実でした。


上条「ゴメンな、もうこれっぽっちしかないんだ」

インデックス「いいんだよ、とうまが食べて?」

上条「いいから、お前が食べろ」

インデックス「……うん」


家に帰ったはいいですが、アリの食糧事情はキリキリ舞いでした。
出された料理は、とてもキリギリスのお腹を満たしきれるものではありません。


上条「お腹一杯食べさせてやれなくて……ゴメンな」

インデックス「ううん、これは全部私のせいなんだよ……ゴメンね」

442: 2011/04/05(火) 23:28:30.24 ID:OWa+/B/y0
やがてアリの食料も底をつき、そしてーー


上条「氏ぬ……のかな……俺たち」

インデックス「きっと、私は……地獄に……行くかな」

上条「インデックス……」

インデックス「ゴメンね、とうま……私のせいで……こんな、不幸、に……」

上条「不幸なんかじゃねぇ……よ」

インデックス「え……」

上条「俺は……貧乏、でも……お前と過ご、せて……楽しかった……」

インデックス「と、うま……わ、わたしも、楽しかったんだよ……」




そして二人は寄り添い、手を繋ぎました。

445: 2011/04/05(火) 23:29:22.86 ID:OWa+/B/y0
上条「なぁインデックス……」

インデックス「……」

上条「インデッ、クス?」

インデックス「……」

上条「そうか……」

上条「なぁインデックス、俺……疲れたよ……」


そういうとアリはキリギリスに覆いかぶさるようにして息を引き取りました。


すると、天から光が差し込み、なんと天使が二人の魂を迎えに来たではありませんか。




黒子「お迎えに上がりましたの」ラーラー





パンダでした。

450: 2011/04/05(火) 23:30:23.51 ID:OWa+/B/y0
上条「こ、これは!?」

ガブリエル「nowiatrjmaweki」ラーラー

インデックス「天使様が迎えに来てくれたんだよ!」

上条「そうか、天国に行けるんだな」

黒子「それでは私たちがご案内いたしますわ!」ラーラー

ガブリエル「alkoiehano;」ラーラー

インデックス「とうま!天国でもよろしくね」

上条「ああ!」



こうして、アリとキリギリスは天国で仲良く暮らしましたとさ。



めでたしめでたし。

455: 2011/04/05(火) 23:31:49.28 ID:OWa+/B/y0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

インデックス「うわぁぁぁぁぁん」ドバー

上条「ど、どうしたインデックス!?」

インデックス「良かったんだよ、本当に良かったんだよ!」

上条「え、だって結果的に二人とも氏んじゃったじゃないか」

インデックス「それでも、二人揃って天国に行けたのは奇跡としかいいようがないんだよ!」

上条「そうだな……でも、キリギリスがちゃんとしてたらアリが氏ぬこともなかtt」


バキッ


上条「ふげっ!?」

一方通行「三下、お話にツッコミを入れるのは野暮ってもンだぜ」

上条「ああ、悪い……どうかしてた」ボタボタ

460: 2011/04/05(火) 23:33:03.14 ID:OWa+/B/y0
インデックス「これから私はとうまのお手伝いをする!」

上条「えっ」

インデックス「今までゴメンね?」

上条「え、いや、うん」

インデックス「お使い、お掃除、なんでもするんだよ!」

上条「ほ、本当か?」

インデックス「うん!」

上条「……氏ぬとしても、二人で天国に行けるならそれはそれでいいかもな」

インデックス「えへへ」

一方通行「けっ……イチャコラしやがって」

絹旗「なんだかこっちが熱くなってきますね」パタパタ

一方通行「こォなったらこっちもイチャコラするか」ウン

絹旗「へ、へぁっ!?」

一方通行「しねェよ」

絹旗「どっちですか!切り替え早いですねオイ!」プンスカ

462: 2011/04/05(火) 23:34:05.01 ID:OWa+/B/y0
インデックス「とっても良いものを見せてもらったんだよ」

上条「ああ、中々良かったぞ」

一方通行「茶ァ」グデー

上条「ああ、ちょっと待ってろ」

インデックス「あの絵はアナタが描いたの?」

絹旗「え?はい、そうです」

インデックス「なんというか、温かみのある絵だね!」

絹旗「そ、そうですか?」テレテレ

上条「ほいっと」コト

一方通行「俺はコーヒーだろォが!」プンスカ

上条「え!?茶って言ったじゃないですか!」

一方通行「絹旗には茶って意味だ!俺はいつもコーヒーだろォがよ!」

上条「そんな!理不尽だ!」

464: 2011/04/05(火) 23:36:10.73 ID:OWa+/B/y0
上条「今までどこ行ってきたんだ?」

一方通行「グループ、常盤台中学、スクール、妹達、木原くン、でオマエらか」

上条「そ、それは中々濃い……な」

インデックス「まだまだ続くの?」

一方通行「あァ」

上条「そうか……頑張ってな」

一方通行「おォ」

絹旗「それじゃあそろそろ行きますか?」

一方通行「あと4ダラダラ」ダラダラ

絹旗「」

上条「」

インデックス「あ、私もー」ゴロゴロ

一方通行「ちなみに1ダラダラは100モフモフな」モフモフ

上条「だから知らねーって!!」

465: 2011/04/05(火) 23:37:03.17 ID:OWa+/B/y0
絹旗「一方通行」

一方通行「ン?」

絹旗「アイテムでもやってくれますか?」

一方通行「あァ、そのつもりだが」

絹旗「実は超楽しみにしてくれてる人がいるんですよ!」

一方通行「そォなンか?」

絹旗「ええ!」

一方通行「ちゃンと行くから安心しろ」ヨシヨシ

絹旗「はい!」ニヘッ


<見つけましたの!


一方通行「あン?」

469: 2011/04/05(火) 23:37:51.71 ID:OWa+/B/y0
黒子「ようやく見つけましたわよ、お話屋さん!」

絹旗「あ、こんにちは」

黒子「ああ、こんにちはですの」ペコリ

一方通行「なンの用だ、パンダさン」

黒子「それ!パンダですわ!」

一方通行「はァ?」

黒子「やっぱりどう考えても私をバカにしている内容にしか見えませんでしたの!」

一方通行「なンで」

黒子「む、無意識ですの!?むっきぃぃぃぃ!!」ジタジタ

一方通行「ジャッジメントですの!」ハイ

黒子「少し黙ってくださいな!!」プンスカ

472: 2011/04/05(火) 23:38:49.21 ID:OWa+/B/y0
一方通行「いいじゃねェか、オマエはお話屋さンにとって必要不可欠なンだから」

黒子「へ?それはどういう……」

絹旗「そういえばパンダさんは今のところ全話にフル出場ですね」

一方通行「あァ」

黒子「」

一方通行「限られた中でのオマエの活躍っぷりは見事だぜェ?」ダラーン

黒子「そ、そうですか?」テレテレ

一方通行「紙芝居を学園都市中に広めると言う事は」

一方通行「オマエが学園都市で有名になるという事と同義だ」キュピーン

黒子「……そうですの」ハッ

一方通行「まだなンか文句でも?」

黒子「いえ、これからも頑張ってくださいな」

一方通行「あァ」

絹旗(超丸めこまれている!!)

476: 2011/04/05(火) 23:39:40.54 ID:OWa+/B/y0
置き去り施設――


園長「今日は宜しくお願いします」

一方通行「あァ」

男の子「紙芝居だー!」

女の子「わーい!」

絹旗「……本当にコレでいくんですか?」

一方通行「演目に変更はしねェ」

絹旗「どうなっても知りませんよ?」

園長(若いのに紙芝居、関心しますね)ウン



一方通行「【ホ〇太郎】」



園長「」

480: 2011/04/05(火) 23:40:43.20 ID:OWa+/B/y0
――


一方通行「面白かったかァ?」ヨシヨシ

男の子「うん!」

女の子「また来てね、おにーちゃん!おねーちゃん!」

絹旗「はい、また来ますよ!」ヨシヨシ

園長「まさか、パンダ界で生まれた唯一のホ〇サピエンスのモラトリアムを描いたストーリーだったとは……」ブツブツ

園長「なんというか、変な想像をしていた私が恥ずかしい……」ブツブツ

一方通行「園長ォ、また来ていいか?」

園長「ええ、また来てください!……でもできればもっと子供向けのやつで」

絹旗「わかりました!」

一方通行「じゃあな」

男の子「ばいばーい!」

絹旗「ばいばーい」フリフリ

487: 2011/04/05(火) 23:42:02.22 ID:OWa+/B/y0
絹旗「子供たちも超喜んでくれてましたね」トテトテ

一方通行「そォいやオマエも置き去りだっけか」スタスタ

絹旗「ええ」

一方通行「ふゥン」

絹旗「でも、私は置き去りだからといって気にしてません!」

絹旗「実験とか色々ありましたけど、今はこうして超楽しいんですから!」

一方通行「オマエ強ェな」

絹旗「そう、ですかね?」

一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ

絹旗「うにゅ……」

一方通行「……」

絹旗「……」ドキドキ

一方通行「オマエ、強ェな!」ハイ

絹旗「もっと気の利いた事言えないんですか!思いつかなかったんですか!」バタバタ

489: 2011/04/05(火) 23:43:27.70 ID:OWa+/B/y0
次の日――


滝壺「きぬはた、今日はお出かけしないの?」

絹旗「ああ、もうそろそろ来ると思いますが」

麦野「え?お迎えに来てくれるの?ダーリン」

絹旗「ダッ……!ち、超違いますって!」

フレンダ「あれ、必[ピーーー]ー」ニヤニヤ

絹旗「違いますよ!今日はここでやるんです!」

浜面「え?」

麦野「ここで?」

絹旗「ええ!今日はアイテムです!」

滝壺「楽しみだったんだ」キラキラ

絹旗「はい!お待たせしました!」フフン

494: 2011/04/05(火) 23:44:40.26 ID:OWa+/B/y0
次の日――


滝壺「きぬはた、今日はお出かけしないの?」

絹旗「ああ、もうそろそろ来ると思いますが」

麦野「え?お迎えに来てくれるの?ダーリン」

絹旗「ダッ……!ち、超違いますって!」

フレンダ「あれ、必氏ねー」ニヤニヤ

絹旗「違いますよ!今日はここでやるんです!」

浜面「え?」

麦野「ここで?」

絹旗「ええ!今日はアイテムです!」

滝壺「楽しみだったんだ」キラキラ

絹旗「はい!お待たせしました!」フフン

495: 2011/04/05(火) 23:45:35.59 ID:OWa+/B/y0
フレンダ「あれ麦野、今日買い物行くって言ってなかった?」

麦野「そのつもりだったけど……」

滝壺「……」キラキラ

絹旗「……」キラキラ

麦野「……中止」

フレンダ「っかー、結局天下の第四位も身内には甘いってわけね」

浜面「どうせなら俺にもちょっとは優しくしてほしいもんだ」

麦野「浜面、なんか言った?」

浜面「いいえなにも言っておりませぬ」ササッ


バターーンッ!


一方通行「お話屋さンですけどォ!?」ババーン

フレンダ「」

浜面「お、お前!もっと普通に入ってこいよ!ビビッただろうが!」ドキドキ

501: 2011/04/05(火) 23:46:58.56 ID:OWa+/B/y0
一方通行「話は絹旗から聞いてンな?」

滝壺「待ってたよ、あくせられーた」ワクワク

一方通行「あン?ありがとなァ」ヨシヨシ

絹旗「むむ……」ムゥ

一方通行「じゃあ早速準備を……」


ピピピピ……


フレンダ「あ」

絹旗「え?」

麦野「……あちゃー」

一方通行「なンだ?」

麦野「……仕事よ」

滝壺「……」エー

絹旗「……」ショボン

麦野(可哀相だけどこればっかりは……)

503: 2011/04/05(火) 23:48:21.78 ID:OWa+/B/y0
絹旗「……」ショボン

滝壺「……」ショボン

一方通行「貸せオラ」

麦野「え、あ、ちょっ」

一方通行「あーもしもし、俺だ、ン?……なにが?もしもし?」

一方通行「はァ?俺か?俺はオマエあれだ!オマエはなンだ?ン?なにィ?」

一方通行「……うるっせェ!」ピッ

フレンダ「」

浜面「」

一方通行「イタズラ電話だな、こりゃ」

麦野「……ぷっ」

絹旗「む、麦野?」

麦野「あー、もういいわ!責任なら私がとるから、今は紙芝居優先!」

絹旗「むぎのぉぉぉ!」ガバッ

滝壺「よかったね、きぬはた」ニコニコ

506: 2011/04/05(火) 23:49:19.39 ID:OWa+/B/y0
一方通行「じゃ始めるぞォ」

滝壺「……」ワクワク

麦野「なんだかんだ言って、結構楽しみね」

絹旗「はじまりはじまりー」




一方通行「【ウマカニ合戦】」




滝壺「?」

麦野「馬と……」

浜面「カニ?」

509: 2011/04/05(火) 23:50:37.75 ID:OWa+/B/y0




むかーし、あるところにとても仲のいい二匹のカニがいました。

彼女たちはそれはそれは仲良しで、まるで本当の姉妹のようでした。


二人がカニの分際で山にハイキングへと出かけた日の出来事――。





514: 2011/04/05(火) 23:51:52.57 ID:OWa+/B/y0
絹旗「滝壺さん、そろそろ休憩にしましょうか」カニカニ

滝壺「そうだね」カニカニ


二匹は横歩きハイキングの途中で、お昼ご飯を食べるところでした。
そこに、一頭のオスが近寄ってきました。


馬です。


浜面「なぁ、そのおにぎり一つ分けてくんねぇか?」

絹旗「嫌ですよ、誰ですかアナタ」モグモグ

滝壺「だれ?」モグモグ

絹旗「というか超馬面ですね、馬だけに」モグモグ

浜面「……」


カニたちは厳しい態度を示しました。

517: 2011/04/05(火) 23:53:06.61 ID:OWa+/B/y0
浜面「ほら、柿の種やるから交換しようぜ?」

絹旗「柿の種と交換ですか?超不利益なんですが」

浜面「バカ、実がなれば食べ放題だぜ?」

滝壺「……それもそうだね」

絹旗「滝壺さん!いいんですか?」

滝壺「うん、長い目で利益を考えるよ」

浜面「やった!ありがとな!」



こうして馬はおにぎりを。

カニは亀田の柿の種を。



それぞれ納得の物々交換となりました。

521: 2011/04/05(火) 23:54:06.98 ID:OWa+/B/y0
それからからというもの、カニたちは毎日柿の種に話しかけました。


絹旗「早く芽を出してください!でないと超窒素パンチですよ!」


芽は出ません。


絹旗「早く育ってください!でないとピーナッツをチョンギリますよ!」


それでも芽は出ません。


滝壺「柿の種さん、早く成長してくれたら嬉しいな」カニカニ


グングン育ちました。
柿の種は人を……いえ、カニを選びました。


絹旗「……」



こうして、柿の種の木は見事に生長し、真っ赤な実とピーナッツをつけました。

527: 2011/04/05(火) 23:55:16.03 ID:OWa+/B/y0
さて、ここで黙っちゃおけねー奴がいます。

馬です。


浜面「はぁ?なんであんなに早く育ってやがんだ……俺の柿の種だっつーのに」

浜面「しめしめ、騙して俺が食べてやろう」


馬は悪知恵を働かせて、再び二人に接触しました。


滝壺「あ、うまづら」

絹旗「見てください!アナタのおかげでこんなにたくさん!」

浜面「はは、でも収穫はどうすんだ?」

滝壺「大丈夫だよ」

絹旗「登れませんけど、私の超窒素パンチで落としてみせます」

浜面「」




詰みました。

536: 2011/04/05(火) 23:56:38.46 ID:OWa+/B/y0
浜面「まぁ待て、最初は俺に味見をさせてくれないか?」

絹旗「はぁ?超図々しいですね」

浜面「いや、お前らに渡した柿の種も俺が育てた奴だからさ、ちょっと愛着があるというか」

滝壺「そういう事なら、どうぞ」

絹旗「滝壺さんの温情に感謝するんですね」

浜面「そのかわり俺が上から実を落としてやるよ」



上手く丸めこんだ馬は、そのまま木に登りました。
おそらくホースヒストリー史上初の快挙です。

そして、丸々と育った柿の種とピーナッツを味わいました。

540: 2011/04/05(火) 23:58:20.16 ID:OWa+/B/y0
醤油の香ばしい香り。
ピリリと、それでいて舌に残らない絶妙な辛さ。
ピーナッツのまろみ。


すべてが一級品でした。


浜面「おお!これは美味い!」

滝壷「私も食べたい」

浜面「うーん、マンダム」ポリポリ

絹旗「超早くしてください!」


馬はこの言葉にイラッときました。
彼は無能力者なので、元々能力者に対して強い憎しみを抱いていたのです。


溜まりに溜まったフラストレーションが、絹旗カニの一言で爆発しました。

545: 2011/04/05(火) 23:59:32.60 ID:OWa+/B/y0
浜面「うるせぇ能力者!これでも喰らえ!」


そう言うと馬は赤い実ではなく、まだまだ辛い青い実を絹旗カニに向かって投げつけました。


わさび味です。


絹旗「うにゃぁぁぁぁぁぁ!辛いぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


当たり所が悪く、目にわさび味が入ってしまいました。


滝壺「きぬはた!大丈夫?」

絹旗「うぇぇぇ……超痛いです……」ポロポロ

浜面「はん!帰れ!」ポリポリ



こうしてカニは追い返されてしまいました。

548: 2011/04/06(水) 00:00:36.55 ID:pPBC0UgO0
絹旗「はぁ……はぁ……」グッタリ

滝壺「きぬはた、大丈夫?」


絹旗カニは余りの辛さに寝込んでしまいました。
滝壺カニは毎日毎日看病していました。


すると、カニの友達である三人がお見舞いに来てくれました。



麦野「絹カニ、大丈夫?」

ボンッキュッボンの臼が言いました。



フレンダ「馬だっけ?許せないね」

脚が細い蜂が言いました



黒子「ジャッジメントとして許すわけにいきませんの!」

オセロの駒が言いました。

556: 2011/04/06(水) 00:02:30.73 ID:pPBC0UgO0
彼女達は馬に仕返しをする為、作戦を考えました。


――


黒子「……うまく行くでしょうか?」

麦野「大丈夫、私達を信じて!」

フレンダ「絶対に仕返ししてやるってわけよ!」


作戦はこうです。

滝壺カニが色仕掛けで馬を家に連れ込み
それぞれ違う場所に隠れた三人が次々に攻撃を仕掛けていく。

そんなシンプルイズベストな作戦でした。


色仕掛けという単純な罠にかかるのかという懸念がありましたが……




浜面「な、なんだよ話って……」ドキドキ




馬は思ったよりも単純でした。

559: 2011/04/06(水) 00:03:34.00 ID:pPBC0UgO0
滝壺「ちょっとトイレに行ってくるね」

浜面「あ、ああ……」ソワソワ

浜面「……」

浜面「しかし寒いなー」


馬が囲炉裏に近づいた瞬間、熱せられたオセロが飛び出してきました。


黒子「ジャッジメントですの!」ピトッ

浜面「あっづぁぁぁぁぁぁ!?あちぃぃぃぃぃ!!」

浜面「ヤケドした!水!水!」



馬は水の入った瓶を見つけ、ダイレクトに飛び込みました。

爆発しました。

蜂によるブービートラップが仕掛けられていたのです。

563: 2011/04/06(水) 00:04:45.02 ID:pPBC0UgO0
こりゃたまらんと、馬は家から逃げ出しましたが、万事休す。

屋根に待機していた臼が原子崩しの雨を降らしました。


浜面「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

絹旗「どうします?白井さん」

黒子「このままアンチスキルに引き渡してもつまらないですの」

麦野「そうね、私たちのパシリやってもらおうか」

フレンダ「あ、それいいかも!」

浜面「うぅ、悪い事はコリゴリだぜ……」

滝壺「かに、かにー」カニカニ


こうして、仲良し五人組にパシリの馬が加わりました。



めでたしめでたし。

565: 2011/04/06(水) 00:05:32.57 ID:pPBC0UgO0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

浜面「おぉぉぉぉぉい!!」

絹旗「なんですか、超浜面」

浜面「馬が可哀相すぎるだろ!アンチスキルに引き渡された方が全然楽じゃねぇか!」

麦野「そう?中々面白かったと思うけど」

滝壺「うん、面白かった」ニヘラ

フレンダ「日本の文化も捨てたもんじゃないわね」

一方通行「ほら、否定してンのオマエだけじゃねェか」

浜面「うぐぐ……納得いかん」

絹旗「紙芝居に納得を求めちゃダメですよ」

麦野「そうよ」

569: 2011/04/06(水) 00:07:31.67 ID:pPBC0UgO0
一方通行「疲れたァ」ゴロン

麦野「これが絹旗の最近の努力の結晶なのね」

滝壺「良い作品だったよ、きぬはた」

絹旗「えっへへ……」テレテレ

フレンダ「なんていうか、買い物中止した甲斐はあったね」

麦野「まぁね」

浜面「それにしても紙芝居とか懐かしいな……」

麦野「なんだか心が洗われた気がするわ」

浜面「ああ、わかる」

フレンダ「癒されたってわけよ!」

一方通行「なンたって、紙芝居は命の洗濯だからなァ」フフン

絹旗(だ、未元物質が可哀相……)

571: 2011/04/06(水) 00:08:19.03 ID:pPBC0UgO0
一方通行「よし、次行くか」ウン

滝壺「もう行っちゃうの?」

絹旗「ええ、今日はもう一箇所行くところがあるので」

絹旗「あ……仕事」

麦野「いいわ、私らでやっておくから」

絹旗「いいんですか?」

麦野「言ったでしょ?責任は私が持つって」

絹旗「麦野……」

一方通行「麦のン……」

麦野「誰が麦のんだコラ!行くならとっとと行け!」

一方通行「はいはい」スタスタ

絹旗「じゃあいってきます!」

滝壺「頑張ってね」フリフリ

575: 2011/04/06(水) 00:09:37.97 ID:pPBC0UgO0
ガチャ、バタン……


麦野「……」

滝壺「きぬはた、楽しそうだったね」

フレンダ「あんなに輝いてる絹旗見るの久々よ」

浜面「ああ、なんだかんだ言っても最年少だしな」

麦野「まぁ、そこは第一位に感謝ね」

浜面「車回してくるわ」

麦野「よっし!じゃあアイテム!行くわよ!」ブンッ

フレンダ「オー!」

滝壺「おー」オー

576: 2011/04/06(水) 00:10:49.27 ID:pPBC0UgO0
一方通行「……なに緊張してやがりますか」

絹旗「だ、だって……私ここ入った事ないですもん」

一方通行「バカ、雰囲気に飲まれンじゃねェ」

絹旗「う……」

一方通行「大丈夫だ」ヨシヨシ

絹旗「……」

一方通行「今まで紙芝居を見た奴らの顔思い出して見ろォ」



垣根『水あめうめぇ』ペロペロ



絹旗「……そうですね、超大丈夫でしょう!」

一方通行「お話屋さン!ふぁいとー!」

絹旗「おー!」

578: 2011/04/06(水) 00:11:48.08 ID:pPBC0UgO0
一方通行「……」

絹旗「……」

アレイスター「……」

一方通行「お話屋さン!」バーン

絹旗「です!」ババーン

アレイスター「ほう、それで私の所へ来た、と」

一方通行「あァ、学園都市の闇の中心っつったらオマエだからな」

絹旗(こ、これが統括理事長……)ドキドキ

アレイスター「まぁいい、それで?」

一方通行「これからお話するから、黙って観ろよ」

アレイスター「」

アレイスター「なぜ私がこのような事を……」

583: 2011/04/06(水) 00:13:05.24 ID:pPBC0UgO0
一方通行「いいか絹旗、これはお話屋さンにとって重要任務だ」

絹旗「え、ええっ!」

一方通行「普段通りだぞ?」

絹旗「超オッケーです!」

一方通行「お話ィー!ふァい!」セイ

絹旗「え?」

一方通行「え?」

絹旗「いや、それなんですか?」

一方通行「『お話ィー!ふァい!』って言ったら『おォし!』だろォが」

絹旗「知りませんよ……いつからそんな制度が」

一方通行「今朝出掛けに選抜見て来たンだよ」

絹旗「ああ、それで」



アレイスター(……え、何しにきたのこの子たち?)

586: 2011/04/06(水) 00:14:03.59 ID:pPBC0UgO0
一方通行「お話ィー!ふァい!」セイ

絹旗「おー!」ソイ

アレイスター「……」

一方通行「……」イソイソ

絹旗「……」イソイソ




一方通行「【靴屋さンと妖精さン】デン




アレイスター「……」

アレイスター「至って普通に始まった」

588: 2011/04/06(水) 00:15:01.25 ID:pPBC0UgO0




とある街に、古くから続く靴屋さんがありました。

その店主は生真面目で、神経質で、何ごとも自分のプラン通りに進めなきゃ気がすまない人でした。


しかし腕は一流、そんな靴屋さんのお話です。





591: 2011/04/06(水) 00:16:13.68 ID:pPBC0UgO0
ある日のこと、靴屋に一人のお客が来ました。


エイワス「特注で靴を作ってもらいたいのだが」

アレイスター「悪いが他を当たってくれ、今は手一杯だ」

エイワス「おや、客を追い払うというのかい?」

アレイスター「一日に作る数は決めているんだ、でないとプランが崩れてしまうからね」

エイワス「そうか、それは残念だ」


靴屋はわけのわからない理屈で、無駄に光っているお客を追い返しました。


それでも、受けた注文はキッチリとこなす事から、この靴屋はそこそこに信用できるお店でした。

592: 2011/04/06(水) 00:17:06.45 ID:pPBC0UgO0
しかし、ここで靴屋にとって思いがけない展開が訪れます。

恐らく彼のプランは崩れる事でしょう。


アレイスター「くっ……なぜこんな小さな街に靴の流通センターが……」

アレイスター「このままでは私のプランが……」

アレイスター「まずい、まずいな……」




やっぱり崩れました。

598: 2011/04/06(水) 00:19:01.50 ID:pPBC0UgO0
そう、この街に安さを売りにする大手が新規参入してきたのです。


それに比べて、安くはない靴屋の値段。
さらに『プランが……』とかわけのわからない理屈を述べる偏屈店主。


このままではお店が潰れる。

そんな事は誰から見てもわかる事でした。



店主はビーカーの水を取り替えるのを忘れる程にピンチでした。

601: 2011/04/06(水) 00:20:16.26 ID:pPBC0UgO0
先代から受け継いだこのお店を潰すわけにはいきません。
店主は恥もプライドも捨てて、生き残る事だけを考えました。

値段を安く設定し、ビーカーの水も半分にし、受注する量を今までの5倍にしました。

そのおかげで、なんとか存続させる状態にはなったのですが……


アレイスター「はぁ、はぁ……さすがに5日間徹夜はこたえるな」

アレイスター「しかし、まだまだ休むわけにはいかない」

アレイスター「ここで倒れるわけにはいかないな」


靴屋の店主は御歳1700歳。
そんな高齢の身体に耐えられない重労働。



そのうち店主に限界が来ました。

605: 2011/04/06(水) 00:21:32.57 ID:pPBC0UgO0
アレイスター「……ダメだ、10分だけ寝よう」


店主の眠気と疲れは限界を迎え、徹夜7日目にしてつい寝てしまいました。
目覚めたのはその日の夜。

予想以上に眠ってしまった事よりも、もっと驚く事が起きていました。
なんと、製作途中だった靴が全て完成しているではありませんか!


アレイスター「こ、これはどういう事だ?私は確かに眠っていたはずなのに……」

アレイスター「なぜ完成している?」

アレイスター「まさかこれもプランだと言うのか?」




この期に及んでプランとか言っているので、精神面は大丈夫そうです。

607: 2011/04/06(水) 00:22:58.24 ID:pPBC0UgO0
それからというもの
寝て起きてみると靴が出来ている、という怪奇現象は続きました。

そしてある日、店主は真相を突き止めようとしました。


アレイスター(いつも私が眠っている間に何かが起きている……)

アレイスター(となると、敢えて寝たフリをする事で真実を知ることだできるのでは?)

アレイスター(真実はいつも一つ!)キラン

アレイスター「ふぁーあ!さーて!私はそろそろ寝ようかなー!」


びっくりするぐらい下手くそな演技をして、店主は店の奥へと引っ込みます。
そして、影から様子を覗く事にしました。

609: 2011/04/06(水) 00:23:45.07 ID:pPBC0UgO0
すると突然、靴の周りが光りはじめました。
よく目を凝らして見ると、光の正体はなんと妖精でした。


黒子「まったく、経営云々より身体を壊されたらどうするんですの……」ブツブツ


どう見てもパンダです、本当にありがとうございました。


黒子「今日も頑張るんですの!」

アレイスター「」


パンダはそう言うと、未完成の靴を次々に完成させていきます。


黒子「さーさの葉―サーラサラー、サーラサラったらサーラサラー」チクチク

アレイスター「な、なんだチミは!?」




興奮と驚きのあまり、鈍りました。

617: 2011/04/06(水) 00:25:43.51 ID:pPBC0UgO0
黒子「あらあら、バレてしまいましたわね」

アレイスター「何者かと聞いているのだ」

黒子「私は靴屋の妖精ですの」

アレイスター「靴屋の妖精?パンダなのに?」

黒子「細けぇ事はいいんですの」

アレイスター「……なぜ妖精が?」

黒子「私は、このお店に通う人たちの幸せ指数によって生まれましたの」

黒子「皆さんの『存続させてほしい』という気持ちが、私の生んだのですわ!」




パンダはよくわからない事を言いました。

620: 2011/04/06(水) 00:27:08.55 ID:pPBC0UgO0
黒子「つまりこの靴屋を存続させる為に、手伝っているんですの」

アレイスター「そんなもの……私のプランには……」

黒子「うるさいんですの!」プンスカ

アレイスター「な、なに?」



黒子「いっつもいっつもプランプラン……」

黒子「事ある毎にプランプラン……」

黒子「アナタはプラン村の村人かっつーの!ですの!」プンスカ



アレイスター「」


パンダは厳しい態度を示しました。

623: 2011/04/06(水) 00:28:19.00 ID:pPBC0UgO0
黒子「いいですか?このお店が好かれてきたのは、アナタの真面目な仕事っぷりが評価されたのです」

黒子「値段を安くするのはいいですわ」

黒子「でも……受注量を増やして仕事が雑になるなど、言語道断ですの!」


そう、彼は店の存続を図るあまり、本来の丁寧な作業を失念していたのです。


アレイスター「しかしだね、今まで通りだと利益が上がらないのだよ」

黒子「このお店は利益の為にやってるんですの?本当に?」

アレイスター「……」


靴屋は何も言い返せません。
彼自身、雑に仕上げた靴を売っていて、いい気持ちはしませんでした。

626: 2011/04/06(水) 00:29:15.06 ID:pPBC0UgO0
彼がここまでお店を続けてきたのは、本当に利益の為だったのでしょうか?

いいえ、彼はここに足を運ぶお客の笑顔を見る為、毎日毎日頑張っていました。



しかし、いつの間にか利益を上げる事を考えてしまい
料金を上げ、客を選ぶようになってしまったのです。

627: 2011/04/06(水) 00:30:34.88 ID:pPBC0UgO0
黒子「初心を思い出してくださいな」

黒子「先代から引き継いだ時は、靴を作ることが楽しかったはずですの」

アレイスター「それは……」

黒子「大きな利益など上げなくていいんですわ」

黒子「お客様の『ありがとう』はそれ以上の価値があるはずです」

アレイスター「……」

黒子「赤字だろうと続けていけばいいのですわ、私には関係ないですし」

アレイスター「」

黒子「大丈夫、世の中には8兆円の借金を抱えても頑張ってる人もいますの」




パンダはよくわからない励まし方をしました。

631: 2011/04/06(水) 00:32:25.59 ID:pPBC0UgO0
それからしばらくしてーー


エイワス「やぁ、頼んでいた靴はできたかい?」

アレイスター「ああ、そこに」

エイワス「ふむ、やはり君の作る靴は一級品だね」

アレイスター「そうかな」

エイワス「ありがとう、また頼むよ」

アレイスター「こちらこそ、ありがとう」


靴屋はなんとか生き延びていました。

新商品の俊足が子供たちにヒットしたのです。


それでも値段は安いため、今では靴屋が一人食べられるくらいの収益しかないものの
彼は充実した生活を送っています。

634: 2011/04/06(水) 00:33:29.59 ID:pPBC0UgO0
値段は安いですが、それでも彼の丁寧な仕事ぶりを評価し
人々はチェーン店よりもこちらを選びました。


そして靴屋も、忙しいと言って断る事はせず
時間をかけてでも、キッチリと仕上げるようになりました。


靴屋の靴屋ソウルが、お客をがっちりキャッチングハートして離さなかったのです。

638: 2011/04/06(水) 00:34:53.62 ID:pPBC0UgO0
あの日を境に、パンダ型の妖精は姿を現しません。
仕事の質、靴屋としての信念を取り戻した靴屋。

きっとあのパンダはもう現れる事もないでしょう。




アレイスター「やあ、いらっしゃい」



靴屋に今日も、お客が来ます。



めでたしめでたし。

644: 2011/04/06(水) 00:36:22.41 ID:pPBC0UgO0
一方通行「語り手、一方通行」ハイ

絹旗「CV、絹旗でした」ハイ

アレイスター「」

一方通行「おい、どォした」

アレイスター「……」ハッ

アレイスター「いやすまない、あまりの感動にトリップしていたようだ」

一方通行「だろォ?」

アレイスター「ああ……私は確かにプラン村の村人だった」

絹旗「えっ」

アレイスター「人間を捨てた時に、心まで捨てたと思っていたのだが……」

アレイスター「ふふ、まだ人の心は残っていたようだな……」グス

絹旗「超気持ち悪っ!」

一方通行「絹旗は厳しい態度を示しました」

647: 2011/04/06(水) 00:37:24.29 ID:pPBC0UgO0
一方通行「オマエは大切なもンを見落としてンじゃねェか?」

アレイスター「ああ、確かにそうかもしれない」

一方通行「学園都市の在り方ってもンを、もォちょっと見直してみねェか?」

アレイスター「そのつもりだよ」

絹旗(えっ、本当に?)

一方通行「同じプランでも……全員が幸せになるプランでも考えろ」キュピーン

アレイスター「一方通行ン……」

絹旗(ア、アクセラレータン!?)





一方通行「な、大丈夫だったろ?」スタスタ

絹旗「……なんだか学園都市が心配になってきました」トテトテ

650: 2011/04/06(水) 00:38:23.08 ID:pPBC0UgO0
絹旗「しかし、統括理事長まで取り込めるなんて」

一方通行「これで学園都市も少しは平和になンだろォよ」

絹旗「そうだといいんですけど……」

一方通行「ダメなら紙芝居を細部まで浸透させるだけだ」

絹旗「……そうですね」

一方通行「しかし疲れたァ」グデー

絹旗「どこか寄って行きます?」

一方通行「そうすっかァ」

絹旗「あ、お高級なお店は勘弁してください!」

一方通行「なンで」

絹旗「緊張するんです!」

653: 2011/04/06(水) 00:39:30.03 ID:pPBC0UgO0
ファミレスーー


店員「お待たせ致しました、おステーキおセットとおカルボおナーラです」コト

一方通行「あァ」

絹旗(か、掛け持ち!?)




一方通行「食うもンも流石に女の好みだな」モキュモキュ

絹旗「そうですか?食べます?」

一方通行「あ」アー

絹旗「む……あ、あーん……」

一方通行「ふむふむゥ……」チュルチュル

絹旗「ど、どうですか?」

一方通行「このつるみ……そして、このつるみ……」フムフム

絹旗「つるみ!?ツルツルさですか!?」

661: 2011/04/06(水) 00:40:38.21 ID:pPBC0UgO0
一方通行「ふはァ、食ったなァ……」ズズー

絹旗「はい、超お腹いっぱいです」チュー

一方通行「さて、とりあえず一通り終わったな」

絹旗「でもまだ新作あるんですよね?」

一方通行「あァ」

絹旗「どんなのですか?」

一方通行「【リストラ物語】、【政治と金】、【ブラック企業の正体】……」

絹旗「超却下です!どうして全部ドロドロした感じなんですか!」

一方通行「じゃあオマエも考えろ」ダラーン

絹旗「わ、私もですか?」

一方通行「たまにはオマエの作品でもいいだろォが」

絹旗「うーん、そうですね……」ウーン

666: 2011/04/06(水) 00:41:40.08 ID:pPBC0UgO0
一方通行「しかし、評判いいなァ」ダラーン

絹旗「ええ、紙芝居がこんなに受け入れられるとは」

一方通行「この調子でいけば、戦争なンて本当に回避できるかもしれねェ」

絹旗「そう、ですね」

一方通行「ま、明るい未来に俺はいねェけどな」

絹旗「……」

一方通行「あン?」

絹旗「やはり、妹達の事が?」

一方通行「まァそりゃあな」

絹旗「……ですよ」

一方通行「あァ?」

絹旗「ダメです!アナタが悪党として去る事はこの私が許しません!」ガタンッ

668: 2011/04/06(水) 00:42:30.56 ID:pPBC0UgO0
絹旗「確かに償いは必要かもしれません!」

絹旗「だからといってアナタが悪人のままフェードアウトするのはダメです!」

絹旗「超ズルいですよそんなの!」

一方通行「なンで」

絹旗「え……っと、それは…………紙芝居です」

一方通行「なンだと?」

絹旗「そうですよ!お話屋さンとして紙芝居できるのは一方通行だけなんですよ?」

絹旗「一度始めたからには、責任を取ってください!」

一方通行「責任、ねェ」

669: 2011/04/06(水) 00:43:24.47 ID:pPBC0UgO0
絹旗「私を引き込んだんですから、それくらいはしてください!」

一方通行「……」

絹旗「なので、本当に世界を紙芝居で超平和にするまでいなくなるのは許しません!」

絹旗「本当に超世界が平和になったら、その時は……」

一方通行「……」

絹旗「その時は、その時考えましょう!」

一方通行「……くくっ」

絹旗「……あ」

一方通行「そォかい」

絹旗「……は、い」ストン

絹旗(うぁぁぁぁぁぁ!超熱弁しちゃった!)

670: 2011/04/06(水) 00:44:12.50 ID:pPBC0UgO0
一方通行「……」

絹旗「……」

一方通行「ま、それもいいかもな」ウン

絹旗「へ?」

一方通行「悪人としてだけじゃなく、お話屋さンとして氏ぬのも」

絹旗「……はい!」

一方通行「その代わり、オマエ一生俺のアシスタントだぞ?」

絹旗「え、あ……へ!?」カァッ

一方通行「いや作画とCV担当なら当たり前だろォが」

絹旗「」

絹旗「……まぁ、それでいいです」

一方通行「あン?」

絹旗「いいですよ!やってやろうじゃありませんか!」ブンッ

一方通行「あそォ」ゴロン

絹旗「超温度差!この温度差!!」ムキー

672: 2011/04/06(水) 00:45:02.69 ID:pPBC0UgO0
――


絹旗「ご馳走様でした!」

一方通行「おォ」

絹旗「じゃあ次はいつ会います?」

一方通行「オマエの脚本が完成したらだな」

絹旗「う……じゃ、じゃあ早めに上げます!」

一方通行「急いで書いて靴屋みたいになンなよ?」

絹旗「なりませんよーだ」ベー

一方通行「わっしわっしィ」ワシワシ

絹旗「あ、あわわわ」

一方通行「じゃ、またなァ」

絹旗「……はいっ!」

絹旗「……」

絹旗「……」ニヘラ

674: 2011/04/06(水) 00:45:50.78 ID:pPBC0UgO0
数週間後――


園長「わざわざありがとうございます」

一方通行「いいや、こっちこそ呼んでもらって悪ィな」

園長「いえいえ、子供たちもあなた方が来るのを楽しみにしてたんですよ」

絹旗「それは超嬉しいですね!」

男の子「あー!にいちゃん達だー!」

女の子「おねーちゃーん!」ブンブン

絹旗「えへへ」フリフリ

男の子「今日はなんのおはなしー?」

絹旗「それは始まってからのお楽しみです!」



一方通行「よし、お話屋さン、開店でェす」

絹旗「おー!」オー





お話屋さン、おわり

681: 2011/04/06(水) 00:46:47.35 ID:pPBC0UgO0
黒子可愛いよ黒子

じゃあ次におまけ投下します
お店屋さンの真実を9レス


では投下

688: 2011/04/06(水) 00:47:29.47 ID:pPBC0UgO0







上条「っていう夢を見たんだ」




浜面「は?」









691: 2011/04/06(水) 00:48:16.79 ID:pPBC0UgO0
上条「いやだから、俺の夢の話」ズズー

浜面「え、今までの長々とした話は全部お前の夢?」ズズー

上条「ああ、まさか一週間連続で一方通行の夢を見るなんてな」

浜面「どんだけアイツの事好きなんだよ」

上条「ゆ、夢の話だろうが!」

浜面「しっかし、一方通行が色んな店を開く夢、か」

上条「中々面白い夢だと思わないか?」

浜面「まぁ有り得ないけどな」

上条「現実じゃ有り得ないから夢なんだよ」

浜面「確かにな」

692: 2011/04/06(水) 00:48:18.31 ID:Battz+Sy0
!?

694: 2011/04/06(水) 00:48:29.59 ID:cTMIZiMD0
夢落ち・・・・だと・・・・?

696: 2011/04/06(水) 00:48:43.30 ID:eU49W9R2o
なん・・・だと・・・!?

702: 2011/04/06(水) 00:48:59.12 ID:pPBC0UgO0
浜面「ダラダラしてる一方通行、ねぇ……考えられねぇな」

上条「そうか?」

浜面「だってこないだもホラ、コンビニの前でさ」

上条「あー、絡まれてる女の子助けた時か?」

浜面「ああ、ほんで女の子が一方通行にお礼言ったじゃん」

上条「可愛い子だったな」

浜面「それなのにアイツ……」




女の子『あ、あの……あ、ありがとうございましt』

一方通行『うぜェ、失せろ』

女の子『あ……す、すいません……』ビクッ

705: 2011/04/06(水) 00:49:40.18 ID:pPBC0UgO0
浜面「言うか!?普通言うか!?」

上条「クイ気味だったもんな」

浜面「可愛い子が……いやこの際顔は関係ねぇ!」

浜面「自分が助けた女の子が、ただお礼を言おうとしただけだぜ!?」

上条「んー、アイツってお礼とか含めた好意を向けられるのに慣れてないんだよ」

浜面「いやそれにしても、もっとこう……なぁ!」

上条「わかったから落ち着け」

浜面「アレ確実にトラウマもんだよな」

上条「その時の女の子の顔が忘れられないな」

浜面「いやあれは可哀相だって」

上条「いや、うん」

707: 2011/04/06(水) 00:50:23.76 ID:pPBC0UgO0
浜面「そんなアイツが店主とか……経営破綻しそうだわ」

上条「それは言いすぎだろ」

浜面「なんだっけ?」

上条「えーと、便利屋、喫茶店、占い、整体、食事処、寺子屋、紙芝居」

浜面「ますます有り得ねぇよ、そのラインナップ」

上条「うん、まぁ」

浜面「しかも何?それぞれフラグを立てて、立てっぱなしってか?」

浜面「いくらお前の夢とはいえ、許せねぇ」

上条「そうだそうだー!」

浜面「お前が言うな!」プンスカ

上条「お前も言うな!」プンスカ

711: 2011/04/06(水) 00:51:03.15 ID:pPBC0UgO0
浜面「それに」

上条「なんだ?」

浜面「えーと黒井白子、だっけ?」

上条「白井黒子、な」

浜面「そうそう……そのジャッジメントの子、可哀相過ぎるだろ」

上条「白井か、確かに毎度同じポジションについてたな」

浜面「逆にその一方通行はその子の事好きなんだろうな」

上条「あー、好きな子ほど虐めたくなる、みたいな?」

浜面「じゃないと認めない」

上条「なんでだよ」

浜面「不憫すぎる」

上条「うーん……確かに」

716: 2011/04/06(水) 00:51:48.74 ID:pPBC0UgO0
浜面「しっかし一方通行の奴遅いな」

上条「もうそろそろ来るんじゃないか?」


<イラッシャイマセー


浜面「お、噂をすれば」

上条「本当だ、こっちだこっち!」

一方通行「うるせェから騒ぐンじゃねェよ」スタスタ

上条「いつも通りで安心したよ」

浜面「だから言ったろ?」

一方通行「あン?」

上条「いやなんでもないよ」

浜面「注文どうすんだ?」

一方通行「とりあえずコーヒー」ガタン

717: 2011/04/06(水) 00:52:23.28 ID:pPBC0UgO0
一方通行「……はァ」グデー

浜面「おいおい、どうしたんだよ」

一方通行「なンか疲れたンだよ」ダラーン

上条「どうかしたのか?」

浜面(ま、まさかな……)

一方通行「いや、番外個体と打ち止めの相手でちょっと疲れた」

上条「あいつら元気いいからな」

浜面「仕事は最近ないのか?」

一方通行「グループ抜けたからな、仕事はしてねェよ」

浜面「そうか」

一方通行「でもそろそろなンかしよォと思ってンだけどな」ウン

上条「!?」

浜面「えっ」

719: 2011/04/06(水) 00:53:25.17 ID:pPBC0UgO0
上条「な、なんかって?」

一方通行「あァ?何驚いてンだ?」

上条「い、いやなんでもない」

一方通行「学校も行ってねェし、暇だからな」

一方通行「なンか店でも開くか」ウン

上条「」

浜面「」

一方通行「そォだな……ベクトル操作でなンでもできるし、『なンでも屋さン』とか面白ェかもな」

上条「」

浜面「」

一方通行「……どォした?」




一方通行のお店屋さン、おわり

740: 2011/04/06(水) 00:56:33.66 ID:pPBC0UgO0
というわけで、お話屋さン並びに一方通行のお店屋さン、閉店です。
長い間当店をご愛顧いただきありがとうございました。

これまでアイディアをくれた方、絵をうpしてくれた方、支援してくれた方
感謝感謝です、本当にありがとうございました。

一応HTML化依頼は出すつもりですが、最後なので雑談で埋めてくれても構いません
全文投下し終わったので>>308も自重しなくておk

お疲れ様でした。

745: 2011/04/06(水) 00:57:11.04 ID:eU49W9R2o
超乙ですの!

引用元: 一方通行「お話屋さンでェす」