1: 2016/04/29(金) 20:53:05.956 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ~いつものバス停~

夏海「ねえ、このポスター見てよ。銭湯だって」

小鞠「なになに……『○○銭湯!! ××バス停留所から徒歩5分!!』……」

小鞠「へー、うちの近所に銭湯があったんだ、知らなかったよ」

蛍「××バス停って、この近くにあるんですか? 初めて聞きますが……」

夏海「すぐ近くだよ。バスで1時間くらいかな」

蛍「へ、へぇー……」

蛍(バスで1時間って『近所』なのかな……)

4: 2016/04/29(金) 20:57:58.642 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「じゃあせっかくだし行ってみない? 銭湯」

小鞠「うーん……銭湯かぁ……」

蛍(銭湯………裸の付き合い………小鞠センパイと、裸の付き合い!?)カァ-

蛍「是非行きましょう!!! 銭湯!!! ねえ、小鞠センパイ!!?」

小鞠「わ!? すごい乗り気! 蛍ってそんなお風呂好きだったっけ……?」

夏海「まぁまぁ、せっかくだし行ってみようよ。楽しそうじゃん」

蛍「はい!! 行ってみたいです!!」

小鞠「……まぁいいんじゃない。行ってみよっか」

蛍(やった……小鞠センパイとお風呂……!)

6: 2016/04/29(金) 21:01:55.109 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
れんげ「せんとー……?」ハテ?

夏海「れんちょーん、さては銭湯がなんだか知らないんだなー?」ニヤニヤ

れんげ「む。せんとーなら、もちろん知ってるのん! こうなんなん!」

れんげ「あちゃー!! ほあー!! とあー!!」ヒュン!! シュバ!! ビシ!!

 れんげはアクロバティックにパンチやキックの素振りをし、空手の型のようなポーズを取る。

蛍「わあ! れんちゃんすごい!」

れんげ「まだまだー!! ふぬー!! ちょあー!! あたたたたたたー!!」シュパパパパパパパパ!!

夏海「それは戦闘」

7: 2016/04/29(金) 21:08:24.845 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
小鞠「銭湯てのは……まあ、みんなでお風呂に入れるお店だね」

れんげ「お風呂?」

小鞠「そ。大きなお風呂にみんなで入るの」

蛍「れんちゃんも行くよね?」

れんげ「せんとー行くのん! みんなでお風呂の中で戦うのん!」

小鞠「『戦闘』じゃなくて『銭湯』だからね? 戦わないからね?」

8: 2016/04/29(金) 21:12:47.395 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「じゃ、さっそく行こうぜ。いまから!」

小鞠「え、いまから行くの!?」

れんげ「月日に関守なしなのん」

小鞠「えっ?」

蛍「あの……、私、家から入浴道具持ってきても大丈夫ですか?」

夏海「あ、そうか、確かに入浴道具が必要か」

夏海「じゃあいったん解散して、各自、家から入浴道具持ってくるってことで!」

れんげ「道具ってなに持ってくればいいん?」

夏海「そりゃお風呂に必要な道具だよ。水鉄砲に、ビーチボールに、」

小鞠「いやいや!! 一つ目からおかしいから!! 何しに行くつもりなの!?」

10: 2016/04/29(金) 21:18:54.024 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「ん? お風呂といったらオモチャ必須っしょ。姉ちゃん遊ばないの?」

小鞠「そういう子供っぽいはことしないの。だいたい他のお客さんに迷惑じゃん」

夏海「あんだよー、頭固いなー……」

小鞠「いいから、変なもの持ってこないでよ?」


れんげ「して、ウチは何を持っていけば……?」

蛍「タオルとシャンプーとボディソープがあれば大丈夫だよ」

れんげ「リョーカイなのん」

11: 2016/04/29(金) 21:23:07.767 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ~銭湯~

夏海「着いたー!」

蛍「けっこう雰囲気がありますねー」

れんげ「棚の中にカゴがいっぱいあるのん! このカゴがお風呂なのん?」

 れんげはカゴを一つ引っ張りだして、中にすっぽり入り込んだ。

れんげ「……ちょっと窮屈なのん」

小鞠「違う違う。脱いだ服をこのカゴに入れるの。お風呂はあっち」

れんげ「なんとー!?」

夏海「あっはっは。そんな小さなカゴがお風呂なわけないって! それじゃ、れんちょんと姉ちゃんしか入れないじゃん!」

小鞠「私は入れないから!!」

12: 2016/04/29(金) 21:30:33.980 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「ところで、他に人いないみたいですね」

小鞠「あ、ホントだ。てことは私たちの貸切だね。ラッキー」

夏海「マジで!? じゃあ水鉄砲で遊ぼうぜー!」ジャラ

小鞠「なんで持ってきてるの!?」

れんげ「おお!! なっつんグッジョブなん!」

小鞠「もう! 変なの持ってくるなって言ったじゃん!」

夏海「貸切なんだからいいじゃーん。姉ちゃんも一緒にやろーぜ」

14: 2016/04/29(金) 21:35:48.459 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
小鞠「私はそんな子供っぽいことやらないの! 誰か来たら恥ずかしいし」

夏海「つれないなー。ふん、3人でやるからいいよーだ!」

蛍「え……」

蛍(私がやるのは確定なんだ……)

れんげ「ウチ、ビーチボール膨らますのん!」シュコー

夏海「お、サンキューれんちょん!」

蛍「……あの、おもちゃ禁止って書いてますよ……あそこの貼り紙に」

れんげ「!?」

夏海「そんな!?」ガーン

16: 2016/04/29(金) 21:42:05.478 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ~浴室~

蛍(本当に誰もいない……。なんだか得した気分)

小鞠「貸切なんてツイてるよねー」

蛍(! 裸の小鞠センパイが隣に……!)クルッ

蛍「ってあれ?」

小鞠「ん?」

蛍(そんな……! タオルでしっかり隠してる!!)

19: 2016/04/29(金) 21:47:20.045 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍(というか……)キョロキョロ

小鞠・夏海・れんげ「?」

蛍(タオルで隠してないの私だけ!?)

小鞠「……えーっと……なんて言うか……。蛍ってスタイルすごいよね……」クラリ

夏海「さすが、スタイル抜群のほたるんは堂々としてらっしゃる」

れんげ「さすがなのん」

蛍「い、いえ! そういうわけでは……!」

22: 2016/04/29(金) 21:51:52.391 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍(じろじろ見られて恥ずかしい……。タオル持ってくればよかった……)

小鞠「うぅ~ん……」クラクラ

蛍「小鞠センパイ? どうしたんですか? 具合悪いんですか?」

夏海「あー、気にしないで。ちょっとその、ショック受けてるだけだから」

れんげ「こまちゃん元気出すのん」ヨシヨシ

小鞠(うぅ……もう帰りたい……)

28: 2016/04/29(金) 21:59:22.027 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「でも考えてみれば、ウチらしかいないのにタオルで隠す必要もないよな。動きにくいし!」

 そう言って夏海はタオルを投げ捨てた。
 そしてれんげのタオルも引ったくり、投げ捨てる。

れんげ「いやん」

夏海「さあ姉ちゃんも」

 夏海は小鞠のタオルに手を伸ばす。
 小鞠は夏海の手を払いのけると大きく後ずさった。

小鞠「いやいやいや!! 私はいいよ恥ずかしいし」

29: 2016/04/29(金) 22:04:28.469 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「何も恥ずかしくないっしょ。姉ちゃんの幼児体型っぷりはもう周知の事実なんだから、誰も今さら笑ったりしないって」ニヤニヤ

小鞠「すでに笑ってんじゃん!!」

夏海「もー、なに超マジな顔してんの」

夏海「すきあり! とりゃぁ!!」

 夏海は一気に間合いを詰め、小鞠から強引にタオルを奪い取った。

小鞠「ぎゃああ!?」

蛍「!」

31: 2016/04/29(金) 22:09:54.065 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
小鞠「タオル返してよー……」グスン

夏海「あれ、姉ちゃん前よりおっOい大きくなった?」サワ

小鞠「えっ本当!?」ドキ

夏海「あ、気のせいだった。全然変わってないや」

小鞠「バカーーー!!!」

37: 2016/04/29(金) 22:16:31.020 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「ぶはっ! てか改めて見るとホントに幼児体型だな! 幼稚園児にしか見えないんだけど! おっOい全然無いじゃーん! ひゃはははは!」

小鞠「うぅ………もういや……帰りたい……」フラフラ

れんげ「こまちゃん元気だすん。こまちゃんはおっOい無くないのん。ちょっとだけあるのん。ウチよりちょっとだけ大きいのん!」

小鞠「あんまフォローになってないんだけど……」

蛍「大丈夫です! 小鞠センパイはちっちゃくてすごくかわいいです! だから今のままで全然大丈夫です! いやむしろ今のままの方がいいです!!」ボタタ

小鞠「わっ、蛍すごい鼻血出てる!? どうしたの!?」


れんげ「なんだかほたるん、すごくハッスルしてるのん」

夏海「よっぽどお風呂が好きなんだなー」

38: 2016/04/29(金) 22:22:15.217 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ・
 ・
 ・

夏海「やっぱ銭湯と言ったらこれっしょ!」ゴシゴシ

小鞠「なんか漫画みたい」ゴシゴシ

蛍「でも楽しいです」ゴシゴシ

 4人は1列になって背中を流し合っていた。
 夏海が小鞠の背中を流し、小鞠が蛍の背中、蛍がれんげの背中を流している。

れんげ「みんなずるいのん!」

 先頭のれんげが、自分の腰掛けているバスチェアを平手で叩いた。

蛍「え? 何が?」

41: 2016/04/29(金) 22:27:13.993 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
れんげ「みんなごしごししてるのにウチだけごしごしできないのん。ウチもごしごししたいん。ほたるん、あっち向くのん!」

蛍「あっ、待って! まだれんちゃんの背中全然洗い終わってないよ!?」

夏海「でも、考えてみればこの流し方って不公平だよなー。ウチだけ背中流してもらえないし」

小鞠「洗い終わったら交代すればいいだけじゃん」

夏海「いいや、同時に流し合えるやり方があるはずだ」

夏海「たとえば……………………………うーん………」

小鞠「……ないんじゃない?」

夏海「ひらめいた!!」

44: 2016/04/29(金) 22:34:08.988 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「少年野球とかでお互い肩組んで輪になって気合い入れるのあるじゃん」

蛍「……円陣のことですか?」

夏海「そうそれ! で、4人で円陣組みながら背中洗うってのはどうだ? もちろん掛け声上げながら」

れんげ「おお! こーしえん優勝間違いなしなのん!」

小鞠「いやいや洗いにくすぎるよ!! 背中見えないじゃん!!」

45: 2016/04/29(金) 22:39:06.138 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
れんげ「ウチもひらめいたのん!」

れんげ「二人組で背中合わせで背筋伸ばすやつやりながら洗うのん! 背中で背中を洗うのん!」

夏海「なるほど!! 背筋も伸びて一石二鳥ってわけか!!」

小鞠「まともに洗える気がしないよ!!」

48: 2016/04/29(金) 22:43:44.402 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「うーむ……背中を流すのって難しいんだな……」

小鞠「変なこと考えるからでしょ……」

夏海「ほたるんは何かアイディアない?」

蛍「え、私!?」

蛍「……私が小鞠センパイを流します!! 私の背中は洗わなくて大丈夫です!
  小鞠センパイさえ綺麗なら……私は汚くても気にしません!!」

小鞠「気にしてよ!! 衛生的に!」

50: 2016/04/29(金) 22:50:44.736 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ~湯船~

夏海「あ゙あ゙~~生き返る゙~~~」チャポン

小鞠「夏海ったら! はしたない声出さないの」

夏海「ウチらしかいないんだから別にいいじゃーん!」

小鞠「そういう問題じゃなくて……まったくもー」

51: 2016/04/29(金) 22:53:47.849 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
れんげ「……」プカー

蛍「れんちゃん、何してるの?」

れんげ「水氏体ごっこなん」

蛍「へ、へぇー……」

れんげ「ほたるんもやる?」

蛍「いや……私はちょっと……」

52: 2016/04/29(金) 22:59:31.056 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「でも大きなお風呂って、いいですね。開放感があって」

小鞠「うん、貸切だからなおさらだね」

 ピヒューー パシャ 

小鞠「きゃっ!? 何!? 顔にお湯が……」

夏海「妖怪ひんぬー星人発見! 退治しなければ!」ピヒュー ピヒュー

小鞠「ひんぬー星人って誰のことよぉおおおおおおおお!?」

54: 2016/04/29(金) 23:05:00.010 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「すごい! 手から水が出た! どうなってるの!?」

れんげ「水鉄砲なのん。こうすれば手から水を撃てるのん」ピヒュー

蛍「わ、すごい! どうやるの?」

れんげ「こうやって手を組んで……」

蛍「なるほど……」

57: 2016/04/29(金) 23:10:23.609 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「えい! えい!」ピヒュ

蛍「できた!」

れんげ「上々なのん」

小鞠「キーーーー!! もう許さないんだからっ!!」ジャバァ!! バシャァ!!

夏海「ぐっ、敵の攻撃は苛烈! メーデー! メーデー! 援軍を要請する!」

れんげ「なっつんがピンチ! いま助けるのん!」

蛍「れんちゃん!?」

蛍(こ、このままでは小鞠センパイが2対1になってしまう……!)

蛍「小鞠センパイ! 助太刀します!」

 ・
 ・
 ・

61: 2016/04/29(金) 23:18:15.354 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
 ~脱衣所~

蛍「けっこう長風呂しちゃいましたねー」

夏海「ちょっとのぼせ気味……」

れんげ「みんなで遊べて楽しかったのん!」

小鞠「私はもっと大人らしく静かにお風呂を楽しみたかったけどね!」

夏海「またまたー。姉ちゃん、あんな楽しそうにはしゃいでおいてー」ニヤニヤ

小鞠「はぁ!? バ、バカじゃないの!? 楽しそうにもしてないし、はしゃいでもないから!」

蛍(楽しそうに見えたけどなぁ……)

夏海「まあ、姉ちゃんがそー言うなら、そーゆうことにしといてあげるよ!」ニヤニヤ

小鞠「うわ……なんかムカつく」

63: 2016/04/29(金) 23:23:55.806 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
夏海「ところで! 銭湯と言ったらアレでしょ、マッサージチェア! やっていこうぜ」

小鞠「ここ、そんなのあったっけ?」

蛍「なかったですね」

夏海「マジで!?」ガーン

夏海「まさかないとは……! まったく、銭湯の風上に置けないな!」

蛍(むしろ置いてないところの方が多いんじゃないかな……)

65: 2016/04/29(金) 23:29:08.506 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
れんげ「マッサージチェアってなんなん?」

夏海「自動マッサージ機だよ。椅子が自動でマッサージしてくれるんだ」

れんげ「へ? 椅子がマッサージ……? (どうやって?)」

蛍「そうそう、高性能なのだと、どこが凝っているかも探してくれますよね」

れんげ「す、すごい椅子なん! ロボットなん!」

67: 2016/04/29(金) 23:33:08.174 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
小鞠「ふふ、言いようによってはロボットとも言えるかもね」

れんげ「ロボット!! 人型に変形できるん!? 空飛べるん!? 目からビーム出るん!?」

蛍「いや、そこまではできないんじゃないかな……」

れんげ「マッサージチェア……いつの日か出会ってみたいのん……」

夏海「れんちょんのやつ、ウチらの想像を超える物凄いものを想像しているみたいだぞ……!」

小鞠「ロ、ロボットと言っても、あくまで椅子だからね?」

73: 2016/04/29(金) 23:40:13.658 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「見て、コーヒー牛乳が売ってますよ!」

夏海「マジだ! 風呂上がりの1杯は格別なんだよなー。すみませーん1本くださーい」

蛍「私もー!」

れんげ「ウチも飲むー!」

小鞠(私は……大きくなるように普通の牛乳にしよっと)

74: 2016/04/29(金) 23:46:54.311 ID:PFLzjWPw0NIKU.net
蛍「れんちゃんはまだ小さいから、コーヒー飲まない方がいいかな?」

夏海「うーん……、まあもう小学生だし、大丈夫じゃない?」

れんげ「ウチはもうコーヒー飲める年齢なん! 大人の階段上がったん!」エヘン

小鞠(大きくなりますように! 大きくなりますように! 大きくなりますように!)ゴクゴクゴク

夏海「……。姉ちゃんは幼稚園児だから牛乳飲んでるのか」

小鞠「誰が幼稚園児だ!!」




 ~おわり~

75: 2016/04/29(金) 23:47:14.642 ID:A7T75hKz0NIKU.net

引用元: れんげ「みんなで銭湯行くのん」