490: 2017/11/22(水) 22:38:55.05 ID:c1Cq8yxQo

491: 2017/11/22(水) 22:41:06.79 ID:c1Cq8yxQo
菜々「……はい」

武内P「その、具体的にはどういった内容で?」

菜々「……孤独氏」

武内P「……はい?」

菜々「……一人アパートで、ひっそりと息を引き取る夢です」

武内P「それは……また……」

菜々「……」

492: 2017/11/22(水) 22:43:52.58 ID:c1Cq8yxQo
武内P「だから、今日はそばに居て欲しい……と?」

菜々「……はい」

武内P「あの、何故、私なのでしょうか?」

菜々「……CPのプロデューサーさんも、孤独氏するタイプかなと思って」

武内P「……」

菜々「キャハッ!」

武内P「……」

菜々「……すみません」

493: 2017/11/22(水) 22:45:51.38 ID:c1Cq8yxQo
菜々「で、でもほら! 二人だったら孤独氏じゃないですから!」

武内P「孤独氏が二つ並ぶだけの様な気もしますが……」

菜々「……」

武内P「……すみません」

菜々「……いえ、お気になさらず」

武内P「……」

菜々「……」

494: 2017/11/22(水) 22:48:35.49 ID:c1Cq8yxQo
武内P「……」

菜々「あの……電話が鳴ってますよ?」

武内P「……少し、失礼します」

菜々「あ……はい」

武内P「もしもし、お待たせしました。……はい……はい……」

菜々「……」

武内P「その件に関しては……はい、そのようにお願いします……」

菜々「……」

495: 2017/11/22(水) 22:50:41.73 ID:c1Cq8yxQo
  ・  ・  ・

武内P「――すみません、お待たせしました」

菜々「……」

きゅっ

武内P「あの、安部さん? 何故、私の上着を掴んでいるのでしょうか?」

菜々「危なかった! 今のは危なかったですよ!?」

武内P「は、はい!?」

菜々「私がウサミン星人じゃなく、ウサギだったら孤独氏してましたよ!?」

武内P「は、はぁ……?」

496: 2017/11/22(水) 22:54:21.55 ID:c1Cq8yxQo
菜々「あー、危なかった! にじゅ……17年生きてきて一番危なかった!」

武内P「その……申し訳ありませんでした」

菜々「いえいえ、お仕事ですから!」

武内P「それでその……手を離していただけますか?」

菜々「ピピピピピ! あっ、今! 今ウサミン星から電波を受信しました!」

武内P「……はぁ」

菜々「手を離すと氏ぬそうです! ウサミン、ピーンチ!」

武内P「……」

497: 2017/11/22(水) 22:58:06.56 ID:c1Cq8yxQo
菜々「あっ、その顔は信じてませんね!?」

武内P「いえ、あの……ですが……」

菜々「うぅ……本当に怖い夢だったんですよぉ……!」

武内P「あの……申し訳ありません」

菜々「田舎の両親には戻ってこいって言われるし、でも諦められなくて……!」

武内P「あの……」

菜々「その結果孤独氏なんて夢を見たら、ウサミン星人ならこうなります!」

武内P「トイレに……行きたいのですが」

菜々「!?」

498: 2017/11/22(水) 23:01:32.49 ID:c1Cq8yxQo
  ・  ・  ・

武内P「――すみません、お待たせしました」

菜々「……」

ぎゅっ

武内P「あの、安部さん? 上着の袖をそんなに強く掴まないでください」

菜々「もうギリッギリ! ギリギリですよ今のは!」

武内P「は、はい!?」

菜々「後二分、いや、一分遅かったら、男子トイレの前で氏んでましたよ!?」

武内P「は、はぁ……?」

499: 2017/11/22(水) 23:05:38.89 ID:c1Cq8yxQo
菜々「あー、危なかった! 一気に十歳老ける所でしたよ!」

武内P「その……申し訳ありませんでした」

菜々「キャハッ! ラブリーな17歳なので、大丈夫ですよ!」

武内P「しかしその……手を離していただけますか?」

菜々「ピピピピピ! あっ、また! またウサミン星から電波が!」

武内P「……はぁ」

菜々「手を離すと氏ぬって言ってるでしょうが! ですって! プロデューサー、ピーンチ!」

武内P「……」

500: 2017/11/22(水) 23:08:54.79 ID:c1Cq8yxQo
菜々「良いですか、考えてもみてくださいよ!」

武内P「……」

菜々「ナナが孤独氏したら、次はプロデューサーさんですよ?」

武内P「……」

菜々「良いんですか? 皆を残して氏んじゃっても良いんですか?」

武内P「……」

……ヌギヌギ

菜々「あの、どうして上着を脱いで――」

武内P「っ!」

ダッ!

菜々「ちょっ、何で逃げるんですか!?」

501: 2017/11/22(水) 23:12:51.86 ID:c1Cq8yxQo
菜々「待って! 待ってくださいよ!」

武内P「いくら社内とは言え、限度というものがあります!」

菜々「でもでも!」

武内P「……!」

菜々「な、なんて逃げ足の早さ! こうなったらメルヘン――」

武内P「……!」

菜々「メルヘン……メルヘンダーッシュ! メルヘンダーッシュ!」

武内P「……!?」

菜々「メルヘンダーッシュ!」

502: 2017/11/22(水) 23:16:31.55 ID:c1Cq8yxQo
  ・  ・  ・

武内P「……離れて、ください」

菜々「ぜぇ……はぁ……!」

がっしいっ!

武内P「あの、背中にしがみつかれると、流石に重いのですが……」

菜々「「ぜぇ……はぁ……!」

武内P「あの、胴体に回した足の力を緩めては……」

菜々「ぜぇ……はぁ……!」

武内P「……頂けないようですね」

503: 2017/11/22(水) 23:21:31.95 ID:c1Cq8yxQo
武内P「……」

菜々「ぜぇ……はぁ……!」

がっしぃっ!

武内P「……わかりました、もう逃げませんから」

菜々「……本当に?」

武内P「……」

菜々「……」

武内P「本当です」

菜々「間が! もうね、今の間はウサミン星人じゃなくても嘘だってわかりますよ!」

武内P「……」

504: 2017/11/22(水) 23:25:10.91 ID:c1Cq8yxQo
武内P「……」

菜々「……」


コンコン、ガチャッ


みく「おはようございま――って、何してるの!?」


菜々「あっ、おはようございます! 孤独氏対策です、キャハッ!」

武内P「……だ、そうです」

みく「……意味がわからないにゃ」

武内P「ええ……私もです」

505: 2017/11/22(水) 23:29:32.78 ID:c1Cq8yxQo
  ・  ・  ・

みく「……なるほど、そういう事だったんだね」

菜々「はい! わかってもらえましたか?」

みく「ナナチャン! ナナチャンは間違ってるにゃ!」

菜々「えっ!?」

みく「ナナチャンには……みく達が居るにゃ!」

菜々「……みくちゃん」

みく「ガチで孤独氏しそうなのは、Pチャンだけにゃ!」

武内P「……」

武内P「えっ?」

506: 2017/11/22(水) 23:33:27.29 ID:c1Cq8yxQo
武内P「あ、あの……前川さん?」

みく「Pチャンはきっと、10年後も、20年後もずっと笑顔ですって言ってるの」

菜々「ふむふむ……それは、ナナも想像できます」

みく「だけど、ある日突然事務所に来なくなるにゃ」

武内P「前川さん……?」

菜々「そして二日後くらいに自宅に行ったら……」

みく「息を引き取ったPチャンが……ううっ、考えただけでも泣けてくるにゃ……!」

武内P「……」

507: 2017/11/22(水) 23:36:55.65 ID:c1Cq8yxQo
みく「だけど、ナナチャンには!」

菜々「みくちゃんが――皆がいますっ!」

みく「ミミミン♪ミミミン♪ウーサミンッ♪」

菜々「メルヘンチェーンジ! キャハッ! ラブリー17歳!」

みく「その意気にゃ!」

武内P「……」

菜々「……」

…ストンッ

菜々「ありがとうございました! もう、大丈夫です!」

武内P「……そう、ですか。それは……はい、良かったです」

508: 2017/11/22(水) 23:41:06.35 ID:c1Cq8yxQo
みく「というわけで、ナナチャン、お昼ごはん一緒に食べない?」

菜々「あっ、良いですね! 是非、ご一緒させてください!」

みく「あっ、そうだPチャン!」

武内P「!」

みく「この上着、Pチャンの?」

武内P「……これは……はい、そうですね、ありがとうございます」

みく「もー! クリーニングに出すのは自分だからって、物を乱暴に扱っちゃ駄目にゃ!」

武内P「……はい……すみませんでした」

みく「それじゃ、みく達はもう行くね!」

菜々「それじゃあ、失礼しまーす!」

ガチャッ、バタンッ

武内P「……」

509: 2017/11/22(水) 23:44:44.63 ID:c1Cq8yxQo
  ・  ・  ・

武内P「……」

ちひろ「……プロデューサーさん? 何か、考え事ですか?」

武内P「いえ……アイドルとプロデューサーは、近いようで遠いものだ、と思いまして」

ちひろ「はぁ……?」

武内P「……」

ちひろ「あの……何かあったんですか?」

武内P「……ああ、いえ」


武内P「悲しい現実を見せられたな、と」




おわり

引用元: 武内P「大人の魅力、ですか」