1: 2018/08/20(月) 22:30:44.21 ID:aEsyMnu+.net
―浦の星女学院前バス停―

千歌「えー、大事なお知らせがあります」

曜「はい」

千歌「バスが行っちゃいました」

曜「練習終わってからのんびり着替えて、のんびりバス停に来ちゃったからね」

千歌「ということで歩いて帰ろ」

曜「えー」

千歌「えー、って何さ」

曜「午後の練習後ならともかく、こんな炎天下に歩くなんてヤバいって。お昼ご飯もまだだし」

千歌「たしかに暑いけど、そんな暑さを吹き飛ばすものがあると言ったら?」ニヤニヤ

曜「お、なになに?」

千歌「おしゃべり」

曜「はぁ……」トボトボトボ…

2: 2018/08/20(月) 22:31:28.02 ID:aEsyMnu+.net
千歌「ちょ、そこは嬉しそうにリアクションするところでしょー!」

曜「とりあえず熱中症にならないよう気を付けて帰ろ」

千歌「さすがよーちゃん。さすよーだね」

曜「塩飴とお水は持ってて……よし。行こっか」

千歌「何だかんだ付き合ってくれるよーちゃんすき♡」ギュッ

曜「暑いから抱き着かないでー」ペシッ

千歌「あいてっ……気を取り直してレッツゴー!」

曜「ヨーソロー!」

千歌「ん?」

曜「どうしたの?」

3: 2018/08/20(月) 22:33:30.88 ID:aEsyMnu+.net
千歌「ぜんそくぜんしーん?」

曜「ヨーソロー♪」

千歌「レッツゴー!」

曜「ヨーソロー!」

千歌「あ、その1発ギャグって何にでも反応するんだね」

曜「いっ……!?え、千歌ちゃんの中でヨーソローってギャグ扱いだったの?」

千歌「うん」

曜「ギャグじゃないよ!?口癖というか、決めセリフというか」

千歌「たしかお父さんがやっていたのを真似したんだっけ」

曜「パパがお仕事している時に見て、きらきら輝いててかっこよくてね」

千歌「そう言えば船長さんって何するの?」

曜「船の航海ルート考えたり、人事とか企画立案とか。いつも大忙しって」

千歌「へぇ~。てっきりビール片手にガハガハ笑っているだけかと」

曜「海賊船じゃないんだから……」

4: 2018/08/20(月) 22:34:16.22 ID:aEsyMnu+.net
千歌「ずっと船にいるの?」

曜「うん。お仕事してる間は会えないんだ」

千歌「やっぱり寂しい……よね」

曜「昔はね。小さい頃はよく泣いたりしたなぁ。パパに会いたいよぉって」

千歌「今はもう慣れちゃったの?」

曜「今はAqoursの活動で忙しいし。千歌ちゃんこそお母さんに会えなくて寂しくないの?」

千歌「うちのお母さんはちょくちょく帰ってくるからね」

曜「あ、そうなんだ」

千歌「この前もふら~って帰ってきて東京のバナナ買ってきてくれたよ」

曜「東京のバナナ……」

千歌「他にもバターシュガーの大木とか」

曜「大木……」

千歌「あれ、元々何の話してたっけ」

曜「一発ギャグの話でしょ?一発ギャグじゃないけど」

5: 2018/08/20(月) 22:34:52.15 ID:aEsyMnu+.net
千歌「そうだそうだ。一発ギャグと言えばルビィちゃんもあるよね」

曜「ルビィちゃん?」

千歌「頑張ルビィ!ってやつ」

曜「あれ笑うようなものなの?」

千歌「ダイヤちゃんがいつも顔面崩壊するくらいニヤニヤしてるじゃん」

曜「あれはまた別なような。でもたしかに気になるね」

千歌「気になる?」

曜「私のはパパの真似でしょ?でもルビィちゃんの頑張ルビィはいつ、どこで、どうして生まれたのかな」

千歌「どうしてだろ」

曜「……あ、私わかっちゃったかも」

千歌「ほぅ」

6: 2018/08/20(月) 22:35:48.77 ID:aEsyMnu+.net
曜「ルビィちゃんってちょっと人見知りなところがあるでしょ?」

千歌「あるね」

曜「小、中を消極的に過ごしたルビィちゃんは、花丸ちゃんと出会ってある決心をしたのです」

千歌「決心?」

曜「高校の自己紹介で一発ギャグをして人気者になると!」

千歌「はい違いまーす」

曜「否定早くない?もう少し話聞いてみない?これからどんでん返し待ってるよ?ラスト20分に釘付けになる!みたいな煽り文句付けてもいいんだよ?」

千歌「どうせアイドルの自己紹介を、自分風にアレンジしただけでしょ」

曜「鋭い……!」

千歌「スクールアイドルファンですから♪」

曜「あ、信号赤になっちゃった」

千歌「せっかくウィンクまでしてキメ顔したのに無視……!?」

曜「チラ見したからセーフだよ♪」

千歌「きちんと見てよ……」

曜「……」チラッチラッ

7: 2018/08/20(月) 22:38:27.58 ID:aEsyMnu+.net
千歌「よーちゃんのばか……あちゅい。汗が止まんないや」

曜「千歌ちゃん、あの太陽どうにかして」

千歌「ちょっと壊せるかやってみる」

曜「うん」

千歌「うぬぬ……!ごめん、お腹が減って力が出ないや」

曜「あんぱん持ってたらいけたかもね」

千歌「……汗で溺れそう」

曜「大げさだって。ハンカチ持ってる?」

千歌「忘れちゃった」

曜「じゃあこれ。千歌ちゃんが忘れた時のために2枚持ち歩いてるから」スッ

千歌「さっすがよーちゃん。できる幼馴染は違うね」

曜「昔から千歌ちゃんの忘れ物をすぐ側で見てるからだよ」

千歌「そっかぁ」

曜「太陽めちゃくちゃ輝いてるね」

千歌「よーちゃんの心も輝いてる?」

曜「超サンシャイン」

千歌「超かぁ」

曜「ここの信号結構長いから、1本隣の道行こうか」スタスタ…

千歌「いいけど迷子にならない?」

曜「大丈夫でしょ」

千歌「この前ルビィちゃんがこの辺りで迷子になったって聞いたからちょっと心配で」

曜「え?」

8: 2018/08/20(月) 22:38:55.30 ID:aEsyMnu+.net
千歌「アメを舐めていたら迷子になったって」

曜「ざっくりし過ぎでよくわかんない」

千歌「犬に追いかけられたって」

曜「ざっくりなのにすごいよくわかる」

千歌「あっちこっち歩き回って海沿いに辿り着いて、なんとかお家に帰ってこれたって」

曜「海沿い歩けば知り合いのお家多いもんね」

千歌「今思い出したんだけど、迷子って言えばさ」

曜「うん」

千歌「果南ちゃんって海の中でよく迷子にならないなぁって」

曜「あー……普通はならないんじゃない?」

千歌「果南ちゃんがどぼーんって潜ってお魚と遊んでいたら、船がないよーってならないのかな」

曜「いやそこまでおバカじゃないでしょ」

千歌「そう?」

曜「前にダイビングした時にさ、『潜降ロープ』ってロープを掴みながら潜ったでしょ?」

千歌「うん」

曜「だから大丈夫なんじゃない?素潜りするにしてもそこまで深く潜らないし」

9: 2018/08/20(月) 22:39:17.51 ID:aEsyMnu+.net
千歌「でも海底に着いた後、3人であちこち周ったよね。果南ちゃんがサンゴ礁きれー♪って泳ぎ過ぎて沖に行っちゃうとか」

曜「普通に泳いで帰ってこれるでしょ」

千歌「果南ちゃん鍛え過ぎでしょ」

曜「ほぼ毎日潜ってお家のお手伝いしてるし」

千歌「いやまぁそうだけど。果南ちゃんがお手伝いし始めてから、お客さん増えた気しない?」

曜「するする。インスタの宣伝のおかげもあるよね」

千歌「あれ宣伝しているっけ?ほぼ果南ちゃんの日記でしょ」

曜「そこがまた可愛いって人気なんだって。昨日もみかん美味しいって内容だったし」

千歌「そんなのでいいなら、私もインスタ始めて人気出ちゃったりして」

曜「もうやってるでしょ」

千歌「コメントするだけだよ。可愛い写真とか綺麗な写真とか上げたら一躍人気者だよきっと」

千歌「沼津で可愛いの……」キョロキョロ

曜「あの山とか」

千歌「盛っても可愛くならなくない?」

10: 2018/08/20(月) 22:40:47.09 ID:aEsyMnu+.net
曜「盛るならおばあちゃんとかおばさんとか」

千歌「勝手にメイキングしちゃうのはねぇ」

曜「じゃあ海?」

千歌「海って可愛いの……?」

曜「見る人が見ればね。あ、花丸ちゃんに聞いてみたらどうかな」

千歌「いやいや、花丸ちゃんは1番ダメでしょ」

曜「どうして?」

千歌「だってトイレの手を乾かす機械を見て未来じゅら~!とか言ってるんだよ?」

曜「それが今では……ふふふ」ニヤニヤ

千歌「何その含み笑い」

曜「花丸ちゃん、ツイッターで有名人なんだよ?」

千歌「えっ?」

曜「ほらほら、これ見て」スッ

『国木田花丸』

千歌「アカウント持ってるのは知ってるよ。私自身、最近ツイッター触ってないけど」

曜「その下その下」

千歌「ん」

『20000フォロワー』

千歌「はい!?」

11: 2018/08/20(月) 22:41:08.10 ID:aEsyMnu+.net
曜「すごいよねー」

千歌「花丸ちゃんに何があったの……」

曜「日々のつぶやきや、いろんな物に対する感動を綴っていたらこんなことになっていたって。

千歌「あの未来じゅら丸ちゃんが……これが親離れなんだね」

曜「千歌ちゃん、お母さんだったの?」

千歌「まぁ?私がツイッター教えたから?ある意味恩師だよね」エッヘン

曜「じゃあ私は千歌ちゃんのお師匠様だね」

千歌「じゃあ私は先生」

曜「何このイタチごっこ」

千歌「花丸ちゃん、ネット使いこなしてすごいねぇ」

曜「私と善子ちゃんでいろいろ教えたんだ。最近、本読んでるとこ見た?」

千歌「そう言えば見ないね。練習で忙しいのかな」

曜「ううん。電子書籍」

千歌「へ?」

曜「スマホに本を入れて読んでるんだって」

千歌「いや、ちょ、何言ってんの?」

12: 2018/08/20(月) 22:41:44.15 ID:aEsyMnu+.net
曜「何が?」

千歌「スマホに本は入らないよ?」

曜「……ん?」

千歌「あ、もしかして本にスマホを挟んで栞代わりにするとか?」

曜「いやいやいや、え、電子書籍だよ?」

千歌「でんししょせき?伝書鳩の仲間?」

曜「えっ」

千歌「えっ」

曜「電子書籍……知ってる?」

千歌「専門学校の名前?」

曜「いやいや、スマホに本のデータを入れてスマホで読むの」

千歌「そ、そんなことできるの?」

曜「うん。漫画も見れるよ」

千歌「えぇっ!?」

曜「結構有名だよ?」

千歌「……み、未来ちかぁ~!」キラキラッ

曜「パソコン持ってるくせに……」

13: 2018/08/20(月) 22:42:19.40 ID:aEsyMnu+.net
千歌「スクールアイドルの動画しか見ないからね」

曜「パソコン持ってても、皆そんな感じだよね」

千歌「ねー。やっとお家まで半分か」

曜「ここまでくれば海風も吹くし涼しいよね」

千歌「うんっ。よーちゃん、お水もらってもいい?」

曜「どぞ~」スッ

千歌「ありがと……んっ、んっ、ぷはぁ。全身に染みるねぇ!」

曜「ふふっ、何だかおじさんみたい」

千歌「あっ」

曜「どうしたの」

千歌「向こう歩いてるのってダイヤちゃんじゃない?」ユビサシッ

曜「あの長髪と凛とした歩き方……背中しか見えないけどダイヤさんだね。今日の練習お休みしていたけど、何してるんだろ」

千歌「ダーイヤちゃーん!」タッタッタッタ…

ダイヤ「っ!」ダダダ…!

千歌「えっ、ちょ、どうして逃げるのー!?」

14: 2018/08/20(月) 22:43:07.35 ID:aEsyMnu+.net
曜「もしかして人違い?」

千歌「いや、そんなことはないと思うけど」

曜「もしかしてケンカしたの?」

千歌「してないしてない!昨日も前髪の話とかしたもん!」

曜「それならどうして、」

ピロリンッ

曜「ん」スッ

千歌「?」

曜「ダイヤさんからLINEきたけど……」

『何かご用で?』

千歌「いや、ご用というわけでもないよね」

曜「どうして逃げたんですか……と」ポチポチ…

『実は昨日、千歌さんから前髪をいじった話を聞いて私も挑戦しまして……』

千歌「へぇ~」

『失敗して前髪がなくなってしまいました』

ようちか「あちゃー」

15: 2018/08/20(月) 22:43:31.84 ID:aEsyMnu+.net
『なので今日は勘弁してください。明日には吹っ切れていると思いますので。それとどうか私に会ったことはご内密に』

曜「そういうことか。これ半分千歌ちゃん悪いよね」

千歌「話しただけなのに!?」

曜「話さなければダイヤさんの前髪がなくならずに済んだのに……自分の手を汚したくなかった、と」

千歌「勝手に犯罪者に仕立て上げないでくれる?それにダイヤちゃんなら大丈夫だって」

曜「すぐ立ち直りそうだよね」

千歌「それもだけど、結構似合ってると思うんだ」

曜「ダイヤさんの前髪ぱっつんがさらに減って……小さい頃のダイヤさんみたいな?」

千歌「うんうん!可愛くない?」

曜「可愛いけど怒られてる時に髪型見たら、つい笑っちゃうかも」

千歌「……はっ」

曜「だからってイタズラし放題じゃないからね?」

千歌「な、何言ってるのよーちゃん。わ、わた、私がそんなあはははは」アセアセアセアセッ

曜「だといいけど。髪型失敗しちゃっても可愛いっていいなぁ」

16: 2018/08/20(月) 22:44:34.46 ID:aEsyMnu+.net
千歌「よーちゃんもかわいいよ?」

曜「あっ、アルミ缶の上にー!」

千歌「あるみかん!」

ようちか「あっはっは!」

千歌「いやだから、自分が褒められそうになったらダジャレ言うのやめない?」

曜「むず痒いんだもん///」

千歌「褒められ慣れてるのに……ダイヤちゃんの話に戻るけど、何かしてるのかな」

曜「生徒会長とスクールアイドル」

千歌「わかってて言ってるでしょ」

曜「バレちゃった。何か美容を保つ秘訣ってことだよね」

千歌「うん」

曜「ふふふ」ニヤニヤ

千歌「出た、知っているけどすぐには教えないゾ♡のよーちゃん!」

曜「なんかその呼び方嫌だからすぐ教えちゃう」

千歌「やった♪」

17: 2018/08/20(月) 22:45:21.36 ID:aEsyMnu+.net
曜「とあるスクールアイドルの美容法を真似し出したんだって」

千歌「スクールアイドルの?」

曜「その方法が独特でね。輪切りにしたキュウリをクレイと混ぜて顔にパックするんだって」

千歌「くれい?」

曜「美容用の粘土だね」

千歌「ほへー。それとキュウリを混ぜてパックに……なーんかその話聞いたことあるような、ないような」

曜「あのダイヤさんが真似するくらいだから、有名なスクールアイドルなんじゃない?」

千歌「そんな変なことしてる有名なスクールアイドルなんていたかな……わかんないや」

曜「変だけどダイヤさんの顔を見れば結果は出てるし……私もやってみようかな」

千歌「あれは元々美人さんだからだよ。結果が出るかどうかは謎だって」

曜「さらに可愛くなれるなら、試す価値ありじゃない?」

千歌「そこはよーちゃんの自由だけどさ。でもこれ以上可愛くなったら大変だよ?モデルのスカウトが来ちゃうかも」

曜「な、ないないない///」

19: 2018/08/20(月) 22:55:46.22 ID:aEsyMnu+.net
千歌「あるよ~。よーちゃん、スタイルも抜群だもん」

曜「えっと、えーっと……みかん!」

千歌「そこはせめてダジャレにしてよ」

曜「思い浮かばなかった……も、モデルなら鞠莉ちゃんがよく似合いそうだよね」アセアセッ

千歌「金髪でバインバインで細くて可愛くて……私にも半分くらいアメリカの血が入ってたら……!」

曜「ハーフ千歌ちゃんねぇ」

千歌「ハローよーちゃん♪」

曜「みかんよりオレンジって感じだね」

千歌「名前も高海サウザンドソングに変えちゃうの」

曜「誰……!?」

千歌「曜ちゃんはアルファベットで渡辺You」

曜「読みは変わんないんだ」

千歌「よーちゃんはよーちゃんだもん」

20: 2018/08/20(月) 22:56:15.37 ID:aEsyMnu+.net
曜「名前で言うと鞠莉ちゃんって漢字だよね。マリーとかにしなかったのかな」

千歌「日本にいる時は鞠莉ちゃん、向こうにいる時はマリーで使い分けてるんじゃない?」

曜「どっちも使える名前っていいね。ダイヤさんとルビィちゃんも向こうに行ってたらすぐ覚えてもらえそう」

千歌「元がカタカナだからねぇ……はぁ。海風あるとは言えやっぱり暑いねー」

曜「8月下旬だし、そろそろ涼しくなるんじゃないの?」

千歌「9月に入れば涼しいって天気予報でやってたよ」

曜「そっか。それはそれで寂しくなっちゃうね」

千歌「夏休みももう少しで終わっちゃうねぇ」

曜「……」

千歌「……」

曜「……」

千歌「たまに思うんだけどさ」

曜「うん」

21: 2018/08/20(月) 22:56:47.30 ID:aEsyMnu+.net
千歌「東京のスクールアイドルの子とか都会の子って、どうしてあんなに可愛いのかな」

曜「わかるー。同い年に見えない子とかいるよね」

千歌「やっぱり都会は違うのかなぁ」

曜「それはあるかも。いろんな良い物があるからそれだけ可愛くなれるし」

千歌「だから梨子ちゃんもあんなに可愛いのかもね」

曜「元が可愛いってのもあるけど」

千歌「しばらく東京に住んだらめちゃくちゃ可愛くなったり、」

曜「しませーん」

千歌「1ヶ月!」

曜「無理だって」

千歌「1年!」

曜「だめでーす」

千歌「じゃあ10年!」

曜「私たちと離れ離れだよ?」

千歌「何その拷問……!」

曜「自分で言い出したじゃん。東京に住むってのはいいけどね。また行きたいなぁ」

千歌「ねー。あの時はあんまり観光できなかったし」

曜「あんまり……?」

22: 2018/08/20(月) 22:57:14.58 ID:aEsyMnu+.net
千歌「全然足りないよ。見たかった有名な所の半分も見てないし」

曜「結構欲張るねぇ。そう言う私も物足りなかったけど」

千歌「でしょ?よーちゃんはどこ行ってみたい?」

曜「とりあえずもう1回秋葉原でコスプレのお店を見て回って、原宿と渋谷と新宿に行きたい♪」

千歌「相変わらずファッション好きだね。さすがうちの衣装担当!」

曜「あとはスイーツ巡りとかも」

千歌「スイーツかぁ。今度行った時のために美味しいスイーツ屋さん調べているから、あとで教えてあげるね」

曜「うんっ。千歌ちゃんは?」

千歌「私はねー、動物園と水族館に行きたいかな」

曜「動物園はわかるけど水族館……?三津シーか淡島マリンパーク行けばいいじゃん」

千歌「遠足とかで毎年行ってるから飽きた」

曜「あー」

23: 2018/08/20(月) 22:57:45.76 ID:aEsyMnu+.net
千歌「クマとかチーターとかぁ……ライオンも見たい!」

曜「じゃあ今度行った時には皆で行こっか♪」

千歌「うん♪そんな所に住んでた梨子ちゃん、可愛くないわけがないよね」

曜「可愛くなるべくして可愛くなったんだ」

千歌「どんな生活していたんだろう」

曜「どんなって、そこは今と変わんないんじゃないの?」

千歌「だって東京の音ノ木坂だよ?首都だよ?くーるじゃぽんだよ?」

曜「くーるじゃぽん」

千歌「まず朝起きて……あーるぐれいを一杯」

曜「あーるぐれい」

千歌「下に降りてお父さんとお母さんにおはようして、育てているまんどらごらにお水をあげる」

曜「まんどらごら……マンドラゴラ!?」

24: 2018/08/20(月) 22:58:06.84 ID:aEsyMnu+.net
千歌「朝ごはんにはあさいーぼうる」

曜「あ、あさいーぼうる」

千歌「学校までりむじんで行くの。やっぱり都民は違うね」

曜「かなり上流階級の人だけだと思うけど……あとどうしてマンドラゴラ?」

千歌「ニュースで開花したよーってやってたから。あれ実在するんだね」

曜「へぇ……知らなかった」

千歌「そんな感じで梨子ちゃんは私たちと全然違うんだよ。なんかもうオーラも違うよね」

曜「オーラはちょっとわかるかも。行動一つ一つがお上品だよね」

千歌「窓から跳んだりしたけど」

曜「あれはノーカンで」

千歌「でもよーちゃんと善子ちゃんもじゃない?」

曜「そうなの?」

千歌「沼津って都会だし」

曜「内浦に比べたらだけどね。でも善子ちゃんは都会っぽいよね。そこはわかる」

千歌「うん。ほんと……すごいよね」

曜「千歌ちゃん?」

25: 2018/08/20(月) 22:58:40.32 ID:aEsyMnu+.net
千歌「……ちょっと相談なんだけどさ」

曜「え、なに、ケンカ?」

千歌「よーちゃんの中の私って、そんなに皆とケンカしてるイメージなの?」

曜「本気でぶつかり合ってるイメージ」

千歌「それ褒めてる……?あのさ、善子ちゃんが羨ましいっていうか、眩しいっていうか」

曜「羨ましい?」

千歌「ほら、最初にAqoursに誘った時に堕天使の話をしたでしょ」

曜「したね。そのままでいいよーって千歌ちゃんが説得したやつ」

千歌「言ったはいいけどかなり無責任だったかなぁって、あの時は反省していたんだ」

曜「そうなんだ」

千歌「でも善子ちゃんは好きを好きでい続けて……その勇気がすごいよ。絶対つらいことや悲しいこともあったはずなのに、どうやって乗り越えたのかなぁって」

曜「それも含めて好きなんじゃないかなぁ」

千歌「嫌な思いしてるのに?」

曜「好きでいるために楽しいことや辛いこと、面白いことも悲しいことも全部ひっくるめて大事な好きなんだよ」

千歌「……」

26: 2018/08/20(月) 22:59:16.20 ID:aEsyMnu+.net
曜「私も高飛び込みでつらいことあったけど……それもいい思い出になっているから今でも好き」

千歌「2人は強いね。私、最近わかんなくなっちゃったんだ」

曜「何が?」

千歌「『好き』って何だろうって」

曜「何って……」

千歌「スクールアイドルを始めたのはもちろん好きだからだよ?でも今は皆がいる責任感なのか、廃校を救う使命のためなのか、それともただ好きなのか……わかんないの」

曜「あー、迷っちゃうやつね。あるある」

千歌「あるあるなの?」

曜「何かに熱中している人なら、一度は必ず迷っちゃうんだよ。なんでやってるんだろって」

千歌「そ、そうなんだ……」

曜「飛び込むのやんなっちゃった時もあったけど……私は1つだけ忘れないようにしてたから」

千歌「なになに、教えてっ!」

曜「好きでいることだよ」

千歌「それがわかんなくなってるんだけど……」

27: 2018/08/20(月) 23:00:10.25 ID:aEsyMnu+.net
曜「わかんないって勘違いしているだけだと思うよ?責任感とか使命とか期待されてるとか気にしなくていいって」

千歌「でも、」

曜「誰かに強制されたわけでも、仕方なく選んだんじゃない、自分で選んだからこそ……そこははっきりしないと」

千歌「……そっか」

曜「上から偉そうにごめんね。でも最後に1つだけ!」

千歌「うん?」

曜「後悔はしちゃだめ!であります!」ニコッ

千歌「うん……とりあえずやってみる。どんな未来が待ってるかわかんないけど……楽しんでみるね」ニコッ

曜「その調子!皆と一緒にがんばろー!」

千歌「ヨーソロー!」

曜「あ、それ私のぉ~!」

28: 2018/08/20(月) 23:00:48.12 ID:aEsyMnu+.net
千歌「ふふっ。なんだか、答えがすぐに見付かりそうな気がする」

曜(とっくに見付けている気もするけど……黙っとこ)ニヤニヤ

千歌「あー、またニヤニヤよーちゃんだ。今度は何隠してるの?」

曜「気のせいだって。ほら、もうすぐ十千万だよ」

千歌「え、もう?やっぱりおしゃべりしてると早いね。全然喋り足りないよ」

曜「そう?」

千歌「そうそう。ねね、うち寄ってく?」

曜「いいの?やった♪」ギュッ

千歌「ちょ、暑いから抱きつかないで~」

曜「じゃあ早速始めよっか♪」スリスリ

千歌「いいけど暑いってば~」

曜「おしゃべりしよ」

千歌「あつーい」


29: 2018/08/20(月) 23:01:14.28 ID:aEsyMnu+.net
おしゃべりしていると登下校の時間が短くなる不思議。
乙したー。

30: 2018/08/20(月) 23:15:13.58 ID:MNKKstoP.net

引用元: 千歌「おしゃべりしよ」曜「あつーい」