1: 2012/12/22(土) 18:04:59.09 ID:Y40YEaYw0
妹「お兄ちゃんじゃ……ない?」

兄「どうしたんだ?」

妹「この人……お兄ちゃんじゃない……」

兄「えっ?」

妹「あなた、だれ……?!」

兄「!?」
プラスチック姉さん 1巻 +チック姉さん (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

5: 2012/12/22(土) 18:05:34.27 ID:Y40YEaYw0
ムシャムシャ兄「よく気付いたな。俺はムシャムシャ兄」

兄「俺に似ている……いやよく見たら全然似てないが、お前は一体?!」

ムシャムシャ兄「お前の妹をさらいに来たのさ」

妹「きゃっ!」

兄「い、妹ー!」

妹「お兄ちゃん、助けてー!」

ムシャムシャ兄「さらばだ」バサァ

兄「待て!」

兄「……くそっ、何なんだよ……」

兄「あいつタンクトップなのに、今のバサァって何の音なんだよ!」

8: 2012/12/22(土) 18:06:11.16 ID:Y40YEaYw0
一ヵ月後

警官「誘拐された妹さんですが、昨日、我々が保護しました」

兄「本当ですか?! よかった……」

警官「連れて帰ってあげなさい」

兄「ありがとうございます。行こう、妹」

ポコポコ妹「うん」

兄「?!」

13: 2012/12/22(土) 18:06:45.19 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「どうしたのお兄ちゃん? 早く帰ろうよ」

兄「違う」

ポコポコ妹「え?」

兄「お前は妹じゃない」

ポコポコ妹「そんな事ないよ、私は妹だよ」

警官「妹さんの特徴と一致していますし、何より本人がそう言ってるんですから」

警官「早く連れて帰ってください」

兄「そ、そんな!」

ポコポコ妹「先行ってるよー」

兄「あっ、ちょっと待てよ!」

15: 2012/12/22(土) 18:07:20.37 ID:Y40YEaYw0
兄「ハァ、ハァ、お前意外と足速いのな」

ポコポコ妹「……」

ポコポコ妹「よく私が妹じゃないって分かったね」

兄「分かるさ。お前は妹に良く似ているけど」

兄「妹は普段の髪型がストレートのセミロングなのにお前はツーサイドアップ」

兄「妹の背丈は俺のアゴくらいまであるのにお前は俺の肩くらいまでしかない」

兄「妹の目は丸っこい目なのにお前は少しツリ目だ」

兄「うんごめん良く似ているって言ったけど貧O以外何一つ共通点ないわ」

18: 2012/12/22(土) 18:07:56.68 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「貧Oで悪かったな」

兄「お前は何者だ。妹はどこにいるんだ」

ポコポコ妹「私は妹のクローンだよ」

兄「クローン?! 全然似てないのに?!」

ポコポコ妹「妹さんについてだけど」

兄「え,ちょっと待ってクローンって普通そっくりになる物だよね」

ポコポコ妹「どこにいるかは私もわからないの」

兄「え何どうなってるの? 妹からこんなクローンできるの?!」

ポコポコ妹「わあ聞いてない」

19: 2012/12/22(土) 18:08:31.85 ID:Y40YEaYw0
兄「ただいま……」

ポコポコ妹「ちょっと狭いけど結構普通のお家に住んでるんだね」

兄「どうすればいいんだよ……妹は……」

ポコポコ妹「元気出しなよお兄ちゃん」

兄「……お兄ちゃんだと?」

ポコポコ妹「そ、そうだよ。私は妹のクローンなんだから私もお兄ちゃんの妹なんだよ?」

ポコポコ妹「これからは私の事を妹だと思って……」

兄「お前が、ずっと一緒だった妹の代わりになるかよ!」ドンッ

ポコポコ妹「きゃっ!」

兄「いきなり妹を誘拐されて、そんな都合のいい考えなんてできねえよ!」ドンッ

ポコポコ妹「お、落ち着いてよ……そんなドンドンすると近所迷惑だよ……」

兄「うるせえっ!」ドドンッ

ポコポコ妹「興奮すると太鼓叩く人、初めて見た……」

22: 2012/12/22(土) 18:09:15.26 ID:Y40YEaYw0
兄「うおおおおおお!!!」ドーンドーンドンカカカッカドッドーンドドン

兄「はぁ、はぁ……」

ポコポコ妹「……ごめんなさい」

兄「……」

兄「……俺も、急に大声出して悪かったよ」

ポコポコ妹「あなたは、謝る必要なんかないよ。私達のせいなんだから」

兄「……お兄ちゃんでいいよ」

ポコポコ妹「え?」

兄「お前が妹のクローンなら、俺とも一応血がつながってるんだろ?」

兄「他人行儀にならなくていいよ。お兄ちゃんでいいよ」

ポコポコ妹「……うん」

24: 2012/12/22(土) 18:09:58.09 ID:Y40YEaYw0
兄「組織?」

ポコポコ妹「……うん。クローン技術を研究する組織」

ポコポコ妹「通称、『田中』」

兄「田中」

ポコポコ妹「そこから私は送り込まれたの」

兄「田中」

ポコポコ妹「お兄ちゃんの一族、特に妹さんは、クローン元としての適正値がとても高いらしいの」

兄「田中」

ポコポコ妹「お兄ちゃんと妹さんが献血した血を偶然手に入れて、それを割り出したんだって」

兄「田中」

ポコポコ妹「あーうんそこ気になるよねうん」

27: 2012/12/22(土) 18:10:33.43 ID:Y40YEaYw0
兄「その田中って組織に妹は連れ去られてるんだな」

ポコポコ妹「そう。でも、私もどこにあるかは分からないの」

ポコポコ妹「私は昨日、気付いたら外にいて、警察に保護されてて」

ポコポコ妹「その時、脳に直接、お兄ちゃんの妹としてふるまえ、って指令があったの」

兄「今はその指令はないの?」

ポコポコ妹「うん。もう何も」

兄「そうなんだ……じゃあ妹に関する手がかりはないのか……」

ポコポコ妹「私、田中に見捨てられちゃったのかな」

ポコポコ妹「今までずっと田中に育てられてきたのに」

兄「なんだろう、凄くツッコミ入れたい」

29: 2012/12/22(土) 18:11:12.59 ID:Y40YEaYw0
数日後

ポコポコ妹「ねえお兄ちゃんスマブラやろー」

兄「さっきやったじゃん。俺ごはん作らないといけないから後でな」

ポコポコ妹「ちぇー」

兄「とりあえず豆腐サラダと卵かけごはんだな」

ポコポコ妹「えーまたそのメニューなの?」

兄「ごめん、普段は妹が作ってくれてたんだけど、俺料理できないから……」

兄「俺でも作れておいしいのって言ったらこれぐらいしかわからなくて」

ポコポコ妹「そっか……」

ポコポコ妹「妹さんの手がかりはあったの?」

兄「全然。警察にもあらためて言ったけど全然乗り気じゃなさそうだし」

32: 2012/12/22(土) 18:11:44.69 ID:Y40YEaYw0
兄「いただきまーす」

ポコポコ妹「いただきまーす」

兄「ポコポコちゃんが賞味期限切れかけてた缶詰見つけてくれたおかげで一品増えたよ」

兄「ありがとな」

ポコポコ妹「えへへ。お兄ちゃんは、妹さんがいない時はいつもこういうのを食べてるの?」

兄「……いや、妹がいない時はカップ麺ばっかりだな」

兄「妹にはほんと世話になってたんだな、ってあらためて思うよ」

ポコポコ妹「じゃあ、お兄ちゃんは、普段しない料理を私のためにしてくれてるの……?」

兄「……うん。そうだね。二人で毎日カップ麺ってのもどうかと思ったから」

ポコポコ妹「そうなんだ……ありがとう」

33: 2012/12/22(土) 18:12:16.48 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「……」

ポコポコ妹「……お兄ちゃん」

兄「ん?」

ポコポコ妹「私、田中にいたとき、かりそめの記憶を与えられて、塀の中の世界で生きてきて」

ポコポコ妹「こうやってリアルな家族を経験した事がなかったの」

兄「そうなんだ」

ポコポコ妹「だから、実は今けっこう幸せなんだ」

兄「……そっか」

34: 2012/12/22(土) 18:12:50.26 ID:Y40YEaYw0
兄「ポコポコちゃんは、妹から作られたクローンなんだよね」

ポコポコ妹「そうだね」

兄「妹が連れ去られたのは1ヶ月前なのに」

兄「1ヶ月でもうこんな完璧な人間ができちゃうの?」

ポコポコ妹「ううん。私はもう何年も前に作られてたよ」

ポコポコ妹「ずいぶん前から妹さんの髪の毛や血液を集めてて、それで私達を作ったみたい」

ポコポコ妹「今回、田中が妹さんを連れ去ったのは」

ポコポコ妹「たぶん、さらに何か新しい事をするつもりなんだと思う」

兄「今、私達、って言ったけど、ポコポコちゃん以外にも妹のクローンがいるのか」

ポコポコ妹「うん……そうだね。何人いるかはわからないけど」

兄「……こんな話、警察どころか、俺の家族や友人に話しても信じてもらえそうにないだろうな」

35: 2012/12/22(土) 18:13:22.01 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「お兄ちゃんお風呂先はいったよ」

兄「じゃあ俺も入ろうかな(パジャマかわいい)」

ピンポーン

ポコポコ妹「ん?お客さん?」

兄「誰だろう」ガチャ

フニフニ妹「……」

兄「……え、えーと」

フニフニ妹「……お、お兄さん」

兄「……え?」

36: 2012/12/22(土) 18:13:53.89 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「わた、私、誘拐されてた妹……戻ってこれたの……」

兄「また妹の……クローンか」

フニフニ妹「へっ?! え、な、なんで、そんな……」

兄「妹はもうちょっと背が低いし、メガネもかけてないし」

兄「あと胸も……うん。とにかく妹とは似ても似つかない」

フニフニ妹「で、でも、私……」

ポコポコ妹「ん?」

フニフニ妹「あっ?! え?! あれ?! な、なんでいるの……?!」

ポコポコ妹「あなたも妹のフリしろって言われて来たの?」

フニフニ妹「うん……ご、ごめんなさい、今日は帰ります……」

兄「そう」

フニフニ妹「しっ、失礼しました」

38: 2012/12/22(土) 18:14:30.63 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「行っちゃった」

兄「ダブルブッキングってヤツか」

ポコポコ妹「もしかしたら田中は、私に脳の指令が届かなくなったから」

ポコポコ妹「妹になりすます作戦が失敗したと思って、また新しい妹を送り込んで来たのかな」

兄「その可能性大だな」

兄「よし。着替えて後をつけてくる」

ポコポコ妹「え?」

兄「あいつ今、『今日は帰ります』って言っただろ」

兄「って事は、帰る場所があるって事じゃないかな」

ポコポコ妹「その帰る場所が、田中……」

兄「ああ。その可能性がある」

41: 2012/12/22(土) 18:15:01.49 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「私も行く」

兄「駄目だ。俺ひとりで行く」

ポコポコ妹「でも、お兄ちゃん一人で行かせたくないよ」

兄「留守番してなさい」

ポコポコ妹「いいの? 私は田中の人間だよ? そんなのに自宅を任せちゃうわけ?」

兄「……お前なら大丈夫だよ」

ポコポコ妹「……お兄ちゃんと一緒に行きたい。一人は嫌だよ」

兄「……わかったよ。じゃすぐ髪乾かして地味めの服に着替えて」

ポコポコ妹「うん!」

ポコポコ妹「あ」

兄「……どうした」

ポコポコ妹「服、もう洗濯機入れちゃった」

兄「……俺一人で行く」

ポコポコ妹「待って待って! 探せばなんかあるはずだから!」

43: 2012/12/22(土) 18:15:33.24 ID:Y40YEaYw0
兄「妹が高一の時の制服とカーディガンがピッタリだった」

ポコポコ妹「紺ブレだし目立たないよね。似合ってる?」

兄「似合ってるかわいい……でもふともも目立つんちゃう」

ポコポコ妹「帰宅時間帯だからカモフラージュになるって!」

兄「まあいいか、時間ないし」

兄「ひとまず尾行開始だな。あのメガネの子はまだ団地の坂を歩いてるな」

兄「あそこはしばらく一本道だから見失いはしないだろう」

44: 2012/12/22(土) 18:16:12.70 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「えーと、どこから来たっけ……」

フニフニ妹「どうしよう、暗くなってきてわからないよ……」オロオロ


兄「迷ってるみたいだな」ヒソヒソ

ポコポコ妹「結構方向音痴みたいだね」ヒソヒソ

兄「しかしあれはなかなかのモンだな」

ポコポコ妹「ん?」

兄「妹からあれほどのクローンができるとはな」

ポコポコ妹「そんな頭の切れる子に見えるの?」

兄「Eか……下手したらFカップはあるぞ」

ポコポコ妹「胸の話かい!」


フニフニ妹「?!」

45: 2012/12/22(土) 18:16:50.70 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「あっこっち見られたよ!」

兄「お前が大声出すから! 早く気付かないフリするんだ!」


フニフニ妹「……?」


兄「い、いやぁ今日はいい天気だねぇエヘッ、エヘヘェ」

ポコポコ妹「そ、そうだねエヒヒ」


フニフニ妹「……」

フニフニ妹「不審者が女子高生に声かけてるだけかぁ……」

フニフニ妹「それより早く戻らないと……」


兄「よし、仲むつまじい兄妹に見せかける事に成功したぞ」

ポコポコ妹「完璧な演技だったね」

49: 2012/12/22(土) 18:17:24.16 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「さっきの女子高生……」

フニフニ妹「胸がどうとか言ってた……」

フニフニ妹「ってことは、あの不審者、道を歩いてる女子高生にいきなり胸の話題を……」

フニフニ妹「あああ考えちゃダメ! 早く帰らなきゃ私!」


兄「何か悩んでるみたいだな」ヒソヒソ

ポコポコ妹「自分の意思と田中の命令との間で葛藤してるのかもね」ヒソヒソ

兄「……田中か。ひどい組織だぜ」

ポコポコ妹「クローン技術をこれ以上悪用させる訳にはいかないね」

50: 2012/12/22(土) 18:17:56.98 ID:Y40YEaYw0
2時間後

兄「ずいぶん歩いたな……」

ポコポコ妹「なんか頭痛くなってきた……」

兄「大丈夫? 少し休もうか」

ポコポコ妹「だ、大丈夫大丈夫!」

ポコポコ妹「せっかく妹さんを見つけられるチャンスなんだし休んでちゃマズいよ!」

兄「ありがとう、ごめんな」

ポコポコ妹「大丈夫だから、気にしないで」

兄「……! あいつ神社に入っていくぞ」

ポコポコ妹「ほんとだ、あんな所に神社が?」

52: 2012/12/22(土) 18:18:29.35 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「……」

巫女「こんばんは。何のご用件ですか?」

フニフニ妹「えっと……田」

巫女「中」

フニフニ妹「村」

巫女「山」

フニフニ妹「盛りポテト」

巫女「本殿の奥の床に取っ手があるから、それを右に回すと開くよ」

フニフニ妹「ありがとう」


兄「神社の本殿と見せかけて、田中の入り口って訳か」ヒソヒソ

ポコポコ妹「いかにも秘密基地って感じだね」ヒソヒソ

54: 2012/12/22(土) 18:19:00.99 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「入り口を見張ってる巫女さんも妹さんのクローンだね」


巫女(サラサラ妹)「……」


兄「父さん母さん。俺が知らない間に妹が増えてます」

ポコポコ妹「何その複雑な家庭事情を抱えてるみたいなセリフ」

兄「さて、あいつをどうやってやり過ごすかな」

ポコポコ妹「今は本殿より前にある屋台みたいな所でマンガ読んでるみたいだね」

ポコポコ妹「脇にマンガの束があるからしばらくそこで読み続けてそうだけど」

兄「なるほど。よし、いい考えがある」

56: 2012/12/22(土) 18:19:31.70 ID:Y40YEaYw0
兄「よし。うまく入り口を突破して中に入れたぞ」

ポコポコ妹「あれっもう中に入れてるんだ」

兄「めんどいから省いた」

ポコポコ妹「?!」

兄「見張りの巫女さんが居眠りしたスキに忍び込んだだけだし」

ポコポコ妹「ああそう……」

兄「しかしこの建物、神社の外観とは打って変わって、中はかなり近未来風だな」

ポコポコ妹「外は寒かったけど、田中の中ってあったかいね」

兄「その言い回し、なんとかならなかったかなあ」

兄「さて、この廊下の先に妹はいるのか……」

57: 2012/12/22(土) 18:20:02.59 ID:Y40YEaYw0
巫女「すー……すー……」

ムシャムシャ兄「よう」

巫女「ひゃばっ?!」ビクン

巫女「はっ! あ、こっ、こんばんは」

巫女「えーと……どうして、こちらに?」

ムシャムシャ兄「侵入者を見逃すとは、見張り失格だな」

巫女「へっ?!」

60: 2012/12/22(土) 18:20:33.60 ID:Y40YEaYw0
ムシャムシャ兄「お前が寝ている間に、外部の人間が二人、侵入したそうだ」

巫女「え……ええっ?! そ、そんな……ごめんなさい」

ムシャムシャ兄「ごめんなさいで済む話なら、俺はここに来てないんだがな」スチャ

巫女「!!!」

ムシャムシャ兄「あんたは結構な美人だからな、惜しかったぜ」

巫女「い、嫌……」

パァン

パンパンパァン

パァン
パァンパァンパンパァン

パァンパァン
パンパンパンパンパンパンパンパンパァン

パァン

61: 2012/12/22(土) 18:21:04.85 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「メガネ曇ってきちゃった……」

白衣の老人「ふむ」

フニフニ妹「わっ、い、いつの間に後ろに?!」

白衣の老人「残念だよ。妹になりすませなかったあげく、侵入者を引き連れて来るなんてな」

フニフニ妹「えっ……?!」

白衣の老人「お前はつけられていたんだよ」

フニフニ妹「そ、そんな、誰に……」

ムシャムシャ兄「博士、終わりました」

白衣の老人「うむ。ご苦労。こいつも始末しておけ」

ムシャムシャ兄「はい」スチャ

フニフニ妹「え……?!」

ムシャムシャ兄「あんたも結構な巨Oだが、まあ仕方ないな」

フニフニ妹「や、やめ……」

妹「待って!」

62: 2012/12/22(土) 18:21:45.98 ID:Y40YEaYw0
白衣の老人「なんだ、また抜け出されたのか」

ムシャムシャ兄「すっ、すみません。こいつ異様に手先が器用みたいで……」

妹「ふ、フニフニちゃんに何するつもりなの?!」

フニフニ妹「妹ちゃん……!」

ムシャムシャ兄「どけ!」

妹「嫌!」

白衣の老人「ふん、もうクローンの種も作り終えた。お前も用済みだ」

白衣の老人「二人とも始末しろ」

ムシャムシャ兄「はい」

妹「!」

フニフニ妹「妹ちゃん、逃げて!」バッ

パァンパァン

パァンパァンパァンパァンパァンパァンパァン
パンパァンパンパンパンパンパンパァンパァン

パァンパァンパァン

パァン

64: 2012/12/22(土) 18:22:17.18 ID:Y40YEaYw0
兄「! 今の音は?!」

兄「向こうから聞こえた……あっちか! 行こう!」

ポコポコ妹「う……頭が……」

兄「おい、大丈夫か?!」

ポコポコ妹「な、なんとか……先に行ってて……」

兄「いや、肩を貸すよ。行こう」

ポコポコ妹「ダメ! 妹さんを助けてあげて! 私は大丈夫だから!」

兄「だけど……」

ポコポコ妹「早く行って! すぐ追いつくから!」

兄「わ、わかった!」

66: 2012/12/22(土) 18:23:34.44 ID:Y40YEaYw0
妹「フニフニちゃん……研究コードが『おっOいメガネ』だったフニフニちゃんが……」

妹「色とりどりの紙テープまみれに……」

フニフニ妹「ううう……」

ムシャムシャ兄「この田中で最悪の刑罰と言われている『クラッカー打ち放題の刑』」

ムシャムシャ兄「一日に何度もやる事になるとはな」

フニフニ妹「うう……火薬くさい……紙テープが服と肌にまとわり付いて気持ち悪い……」

妹「フニフニちゃん! しっかりして!」

フニフニ妹「妹ちゃん……私はいいから逃げて……」

フニフニ妹「お兄さんに……会って……」ガクッ

妹「フニフニちゃああああん!」

67: 2012/12/22(土) 18:24:07.46 ID:Y40YEaYw0
ムシャムシャ兄「次はお前の番だ」

白衣の老人「派手にやりおって。ちゃんと片付けておけよ」

妹「よくもフニフニちゃんを! た、たぁーっ!」

ムシャムシャ兄「ほう、いい勇気だ」パァン

妹「きゃっ!」

妹「あああ、紙テープがまとわり付いて気持ち悪い……」

ムシャムシャ兄「もういっちょ」パァンパァンパァンパァン

妹「う、動けない……」

妹「このままじゃ、私も紙テープまみれになっちゃう……」

ムシャムシャ兄「とどめだ」スチャ

妹「助けて……お兄ちゃん、助けて……!」



兄「……妹ーッ!!!」

妹「!!!」

ムシャムシャ兄「……お前は!」

70: 2012/12/22(土) 18:25:05.68 ID:Y40YEaYw0
妹「お兄ちゃん!」

兄「助けに来たぞ、妹!」

ムシャムシャ兄「チッ、もうここが分かったのか」

兄「この場所を警察に伝えた。お前達は終わりだ。さあ、妹を返すんだ!」

白衣の老人「やれ」

ムシャムシャ兄「はい」パァン

兄「うわっ! なんだこれ、紙テープ?! クラッカーか!」

ポコポコ妹「よ、よけて……!」

ムシャムシャ兄「チッ、お前までいたのか」

ポコポコ妹「う……クラッカーは前の方への直線的な攻撃しかできない……」

ポコポコ妹「だから……うう……相手がクラッカーの糸を引く瞬間に真横に動けば……よけられる……」

ムシャムシャ兄「余計な事を……!」

白衣の老人「いい観察力だ。さすがは『クラッカー打ち放題の刑』最多受刑記録を持つクローンだな」

71: 2012/12/22(土) 18:25:57.66 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「あ、頭が……痛い……」

兄「くっ、一体どうしたんだよ!」

白衣の老人「お前には散々手を焼かされたが、最後くらい役に立ってもらおうか」

白衣の老人「私の研究の成果を思い知るがいい!」ドドォーン

ポコポコ妹「ああああッ!!」

白衣の老人「そら、どうした」ドォォン

ポコポコ妹「頭が、頭が痛いいいい!」

白衣の老人「ほれほれ」ドォンドォン

兄「やめろーっ!」

72: 2012/12/22(土) 18:26:46.91 ID:Y40YEaYw0
妹「お兄ちゃん! 相手はその大太鼓でクローンを操れるの!」

兄「なぜに太鼓」

妹「反対側を叩けば、その子の頭痛を引き起こす音波を打ち消せるの!」

兄「反対側を叩けばいいんだな、よし!」

白衣の老人「残念だが、太鼓を叩くためにはバチがなければならない」ドン

白衣の老人「バチは今ワシが持っている二つだけだ」ドドン

白衣の老人「もはやお前らには手出しできぬ。ムシャムシャ兄、残るはそいつだけだ、やれ!」ドドドン

ムシャムシャ兄「俺のクラッカーのえじきとなるがいい」スチャ

兄「バチならここにあるぜ」

白衣の老人「――?!」

ムシャムシャ兄「何だと?!」

兄「近所で毎年やる祭りで、代々太鼓を担当してる家系の実力、見せてやるぜ!」

73: 2012/12/22(土) 18:27:32.21 ID:Y40YEaYw0
兄「うおおおお! くらええええええ!!!」ドォンドォン

白衣の老人「こ、こしゃくな!」ドドンドドォン

ポコポコ妹「頭痛が……弱まってきた……!」

妹「すごい……」

妹「パッと見黒くて不審者なお兄ちゃんと、白衣を着たおジイさんが」

妹「近未来的な部屋の中で、両側から大太鼓を叩き合ってる……!」

ポコポコ妹「これなら動ける! 妹さん、一緒に逃げよう!」

妹「あ、ありがとう!」

ムシャムシャ兄「おっと待った。俺を忘れてもらっちゃ困るな」スチャ

ムシャムシャ兄「ここは通さないぜ」

74: 2012/12/22(土) 18:28:04.81 ID:Y40YEaYw0
ムシャムシャ兄「くらえっ!」パァン

ポコポコ妹「はっ!」サッ

ムシャムシャ兄「くそっ!」パァン

妹「ふんっ!」サッ

ムシャムシャ兄「ちょこまかと……!」パァンパァン

ムシャムシャ兄「博士、もっと太鼓を!」パァンパァンパァン

白衣の老人「とっくにやっとるわい!」ドドッドドドッド

兄「くそっ、手ごわい!」ドンドンドドドン

76: 2012/12/22(土) 18:28:35.55 ID:Y40YEaYw0
兄「く、くそ、疲れてきた……」ドンドンドン

白衣の老人「ふはは! 太鼓歴十二年のワシにかなうと思ったか、若造が!」ドンドドンドドン

兄「こいつ……! 歳のわりに意外と太鼓歴みじかい……!」ドンドン

白衣の老人「歳のわりに? フン」ドンドンドドドン

白衣の老人「ワシはクローン技術を応用して、永遠の若さを手に入れるのだよ!」ドンドンカッカカ

白衣の老人「貴様らが若さを誇れる時代はもう終わりなのだ!!!」ドドドドドンドドドンドン


ポコポコ妹「う、頭が……」

ムシャムシャ兄「これで終わりだ!」パァンパァンパァン

ポコポコ妹「きゃっ!」

妹「ああっ!」


兄「い、妹!」ドンドンドン

77: 2012/12/22(土) 18:29:23.25 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「まだ、まだ負けたわけじゃない!」ワサワサ

妹「帰りたい……いつもの家に帰りたい!」ワサワサ

ムシャムシャ兄「もうお前らは紙テープのミノムシみたいになる運命なんだよ!」パァンパァンパァン


白衣の老人「わっはっは! どうしたどうした!」ドッドッドドンドドンドドンドドン

兄「待ってろよ、妹! うおおおおおお!」ドンドンドンドンドドンドン

白衣の老人「ふん、無駄な抵抗を」ドンドンカカッカ

白衣の老人「ワシはようやく、永遠の若さを手に入れられる可能性を得たのだ!」ドドドン

白衣の老人「お前ごときに邪魔はさせん! 次の連打で終わりにしてやろう!」ドドォン

兄「俺は……俺は妹と家に帰って、一緒に卵かけごはんを食うって決めてんだ!」ドドン

兄「クローン技術を悪用して、クローンたちを不幸にしてるお前なんかに!」ドドンドドン

兄「負けてたまるかよおおおおおおお!!!」ドドンドドンドドンドドンドンドン

78: 2012/12/22(土) 18:30:08.64 ID:Y40YEaYw0
兄「うおおおおおおお!!!」ドドンドドンドドンドドンカッカカ

白衣の老人「な、なんだこいつの体力は!」ドンドドドンドド

兄「おおおおおおおおおお!!!」ドドンドドンドドンドドンドンドン

白衣の老人「馬鹿な! こっちは筋力増強ギブスを着けているんだぞ?!」ドンドンドドドン

白衣の老人「それなのに生身の人間が、なぜ同等の速度でついて来れるんだ?!」ドンドドン

兄「おおおおおおおおおおおおおお!!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

白衣の老人「くっ……ぬおおおおお!!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

81: 2012/12/22(土) 18:31:28.81 ID:Y40YEaYw0
ムシャムシャ兄「なぜだ、なぜそこまで紙テープだらけになって、まだ動けるんだ?!」パァンパァン

ポコポコ妹「はあ、はあ……」ワサワサ

妹「はあ、はあ……」ワサワサ

ムシャムシャ兄「くそ……うわっ!」ドテッ

ムシャムシャ兄「痛ッて……だっ誰だ、俺の左足をつかんでるのは?!」

フニフニ妹「……」グググ

ムシャムシャ兄「お、おっOいメガネ! まだ意識があったのか! くそっ、離せ!」

フニフニ妹「離さない……あなたを倒すまで絶対離さない……!」グググ

ムシャムシャ兄「くそっ立ち上がれない! 離せ! 離せって言ってるだろうがあぁ!」

ポコポコ妹「こんな研究所……もう一生いたくない!!」

妹「家に帰って、お兄ちゃんと卵かけご飯を食べるんだ!!」

ムシャムシャ兄「く、来るな! 来るなあああああああ!!!」パァンパァンパァンパァンパァンパァン

83: 2012/12/22(土) 18:32:53.69 ID:Y40YEaYw0
ポコポコ妹「たああああー!」ビシ

ムシャムシャ兄「あ痛っ!」

妹「えええーい!」ビシ

ムシャムシャ兄「痛っ! ひいィ! こいつら、ひたすら右足首を蹴って来る!」

ポコポコ妹「おらおらおらー!」ビシビシビシ

妹「やああああー!」ビシビシビシ

ムシャムシャ兄「やめてー! アキレス腱が切れちゃう!」

フニフニ妹「く、クラッカーを奪って!」

妹「うん!」バッ

ムシャムシャ兄「しまった!」

86: 2012/12/22(土) 18:33:35.41 ID:Y40YEaYw0
妹「紙テープの怖さ、思い知れえええ!!!」パァンパァンパァンパンパンパンパンパンパンパァーン

ムシャムシャ兄「ぐああああああああああ!!!」

ムシャムシャ兄「紙テープがまとわりついて気持ち悪いいいいー!」

ムシャムシャ兄「ぐふっ」ドサッ

ポコポコ妹「やった……!」

妹「あっ、そういえば、お兄ちゃんは?!」

87: 2012/12/22(土) 18:34:09.76 ID:Y40YEaYw0
白衣の老人「ひゅー……ひゅー……」ドン……ドン……ドン……

兄「ぜぇー……ぜぇー……」ドン……ドン……ドン……

白衣の老人「こっ……腰が……ぁ」ドン……ドン……

白衣の老人「無念……」ドサッ

兄「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」……ドン

兄「か……勝っ……た……!」バタッ

妹「お兄ちゃん!」

兄「はぁ……はぁ……よく頑張ったな……はぁ……妹……」

ポコポコ妹「お兄ちゃん汗まみれ……!」

フニフニ妹「お兄さん、腕が真っ赤になって……」

兄「はぁ……はぁ……お前ら……俺の自慢の……妹……だ……」ガクッ

妹「お兄ちゃーん!」

89: 2012/12/22(土) 18:35:30.22 ID:Y40YEaYw0
翌日・病院

妹「お兄ちゃん、あーんして」

兄「あーん」パク

兄「モグモグ……うん。ありが……あ痛たたた……」

ポコポコ妹「ダメだよ、まだ腕動かしちゃ」

兄「あはは。気をつけてるハズなんだけど、つい」

妹「そういえば、あの博士とムシャムシャ兄は逮捕されたみたい」

フニフニ妹「い、いろんな余罪があるらしいんだって」

ポコポコ妹「当分出て来なさそうだね。一件落着だね!」

90: 2012/12/22(土) 18:36:13.88 ID:Y40YEaYw0
フニフニ妹「お兄さん、腕の方は、その、大丈夫……なの?」

兄「大丈夫だよ。しばらくは動かせないけど、そのうち治るみたいだし明日にも退院できるよ」

フニフニ妹「よかった……」

巫女「ところで、本当にいいの? 私達まで家に住ませてもらっちゃって」

兄「もちろんいいよ。俺の妹なんだから(こ、この子近くで見るとかなりかわいい……!)」

巫女「ありがとう! これからよろしくね!」

兄「生活費も、皆のあてができるまでしばらく俺が面倒見るぜ」キリッ

巫女「本当に?! お金とか大丈夫なの?!」

兄「大丈夫! 心配するなって!」キリッ

ムキムキ兄「助かるよ」

兄「えっ」

91: 2012/12/22(土) 18:37:10.15 ID:Y40YEaYw0
ムキムキ兄「ん?」

兄「誰この筋肉」

ムキムキ兄「俺は君のクローンさ」

兄「えっ」

ムキムキ兄「田中の中に閉じ込められてたけど、君のおかげで助かったよ」

兄「お、おう、そいつはよかった」

モフモフ妹「私も助かりました~」

ヒョロヒョロ兄「入院費だけでも大変なのに、僕達の住む場所や生活費まで負担してくれるなんて」

シュルシュル妹「お兄ちゃんありがとう」

ヒラヒラ妹「お兄ちゃんかっこいい!」

兄「えっ」

妹「ありがとう、お兄ちゃん!」

兄「なにこれこわい」




支援ありがとう

93: 2012/12/22(土) 18:38:10.12 ID:agTuyTNX0
おつ

96: 2012/12/22(土) 18:39:46.01 ID:Y40YEaYw0
おもしろいって言ってくれる人がいてうれしかった
あと>>68

117: 2012/12/22(土) 19:28:52.08 ID:Y40YEaYw0
意外と好評でよかったです

引用元: 妹「卵かけごはんおいしいね」ムシャムシャ兄「それはよかった」妹「え?」