1: 2013/12/24(火) 02:39:16.62 ID:BndY2XNd0
―【萩原雪歩バースデー&クリスマススペシャルライブ】ライブハウス楽屋

春香「楽しいライブだったね~!」

雪歩「うん! 春香ちゃん、みんな、本当にありがとうございますぅ!」

亜美「じゃあゆきぴょん、亜美たちサプライズパーティーの準備があるから先行くねん」

雪歩「え!?」

真美「足洗って待っててYO→」

響「雪歩が何したって言うんだ」

千早「というか、言ったらサプライズにならないじゃない」

美希「何でもいいから早く事務所に戻ったらいいって思うな」

伊織「そうね。しょうもないこと言ってる暇があったら準備に回した方がいいわ」

律子「よし。じゃあ雪歩以外は撤収! 雪歩はプロデューサー殿と一緒にゆっくり戻ってくれたらいいわ」

雪歩「えっ? あの…」

アイドルマスター 萩原雪歩 1/8スケール ABS&PVC製 塗装済み完成品フィギュア

2: 2013/12/24(火) 02:39:50.54 ID:BndY2XNd0
やよい「ご馳走作っちゃいますー!」

あずさ「頑張りましょうね、やよいちゃん」

雪歩「あのー」

春香「私も特製バースデーケーキ作るから、期待しててね、雪歩っ」

雪歩「ありがとう、春香ちゃん。それでね」

真「色々あるから時間掛かりそうだなぁ! 雪歩、ほんと、ゆっくりでいいからね」

雪歩「真ちゃんまで…」

貴音「今日がちゃんす、ですよ、雪歩」

雪歩「しっ、四条さん!?」

律子「さっ、撤収ー!」オー!

ガチャバタン

雪歩「…」ポツン

雪歩「……」グス

3: 2013/12/24(火) 02:40:23.03 ID:BndY2XNd0
コンコン

雪歩「はい?」

P「俺だ。入っていいかー?」

雪歩「プロデューサー? どうぞ」

P「…あれ。雪歩しかいないのか?」

雪歩「はいぃ。みんな、サプライズパーティーの準備があるから、って」

P「宣言したのにサプライズなのか…」

P「まあいい。タクシー呼ぶからもうちょっとゆっくりしててくれ」

雪歩「あ、はい…」ハッ

『今日がちゃんす、ですよ』

雪歩(…うん!)キュッ

P(きゅってした…?)

雪歩「あっ、あの!」

P「ん!? な、なんだ?」ビクッ

雪歩「みんなにゆっくり帰ってこいって言われたので、その…」

雪歩「今日は、歩いて帰りませんか?」

4: 2013/12/24(火) 02:41:12.87 ID:BndY2XNd0
―ライブハウス前

P「本当にいいのか? こっから事務所ってそれなり遠いぞ」

雪歩「うぅ、駄目でしたか?」

P「いやいや、駄目って訳じゃないぞ」

P「ただ、今日は雪歩の誕生日でもあるんだが、同時にな、うん」

雪歩「クリスマス・イヴですよね」

P「ああ。そんな日に二人で歩いてるとあらぬ誤解を受けるかもしれない」

P「アイドル的にもそうだが、嫌じゃないか? 女の子としては」

雪歩「プロデューサーとだったら、大丈夫ですぅ」ニコッ

P「お、おう。なら、いいんだけどな」

P「…ぼちぼち行くとするか。雨に降られるのも嫌だし」

雪歩「はいっ」

5: 2013/12/24(火) 02:42:05.77 ID:BndY2XNd0
―事務所への帰り道、メインストリート

P「予想はしてたが、ひどい人混みだな」

P「どうする? 道一本外すか?」

雪歩「いえ。折角ですから…、駄目でしょうか?」

P「いや。雪歩がそうしたいならそうしよう」

雪歩「ありがとうございますぅ。…ふふっ」

P「……」

P「手でも繋ぐ?」スッ

雪歩「え?」

P「はぐれたら大ごとだからな。無理にとは言わないが―」ギュッ

雪歩「よ、よろしくお願いしますぅ」カァァ

P「…おう」

雪歩「えへへ…」ニギニギ

P(まあ、雪歩だって女の子だ。こういうことへの憧れだってあるだろう)

P(ここのところずっと頑張ってくれてるしな。プレゼントとは別のちょっとしたサービスって奴だ)

P(それだけだ。それだけ…)

6: 2013/12/24(火) 02:42:42.09 ID:BndY2XNd0
『二人で祝おう 神さまのBirthday♪』

P「お。流れてるぞ」

雪歩「わ、分かってますけど。まだちょっと恥ずかしいですぅ」

P「はは。そういうところは変わらないな」

雪歩「そんなにすぐには変われないですよぉ」

P「そうでもないと思うぞ」

雪歩「え?」

P「しっかり、強くなれてるって。そうでもなきゃ、ここまで来られてないだろ」

雪歩「それこそ、そうじゃないです」

P「雪歩?」

雪歩「ここまで来られたのはきっと、プロデューサーがこうしてくれてたから、です」ギュッ

雪歩「プロデューサーが手を引っ張ってくれなかったら、私はずっと立ち止まったままでした」

雪歩「だから、私、プロデューサーに…」

ポツ、ポツ…

雪歩「ふぇ?」

P「事務所まで保たなかったか! しょうがない、雨宿りだ」グイッ

雪歩「はっ、はいぃ」

7: 2013/12/24(火) 02:43:37.38 ID:BndY2XNd0
P「この辺がアーケードになっててよかったよ」

雪歩「セーフですぅ」

雪歩「…あ、プロデューサー。ちょっと動かないでください」ゴソゴソ

P「ん? 分かったけど…」

雪歩「肩、ちょっと濡れてます」スッ

P「おぉ。ありがと――」

雪歩「…」フキフキ

P(――近いなっ)

雪歩「髪も少し…」スッ

P「…」ジッ

雪歩「…」ジッ

雪歩「ふぁっ!?」ビクッ

8: 2013/12/24(火) 02:44:20.83 ID:BndY2XNd0
雪歩「ち、ちちち違うんですぅ、これは決してやましい気持ちではなくて」

P「分かってるから落ち着こう。で、一旦離れようか」

雪歩「は、ひゃいっ」パッ

P「よし。あとは自分で拭くからいいよ。ありがとう、雪歩」ゴシゴシ

P「さて、このままじっと待つのもなんだし、ちょっと見て回るか」

雪歩「あの、帰らなくていいんでしょうか?」

P「三十分くらいなら待ってみていいんじゃないか? 折角ここまで来たんだし」

P「雪歩も楽しみたいだろ、クリスマス」ニコッ

雪歩「…!」

雪歩「は、はいぃ。楽しみたい、ですぅ…」カァァァ

P「じゃ、それっぽい所冷やかしてこうか」

雪歩「はいっ」ギュッ

P(こんな人混みの中ではぐれたら一大事だからな。うん、それだけのことだ)ギュッ

9: 2013/12/24(火) 02:45:50.24 ID:BndY2XNd0
P「そういや、七面鳥って食べたことないな」

雪歩「あれって、わざと美味しくないのを食べるらしいです」

P「高い金払ってまで、大変だなぁ」


雪歩「クリスマス・イヴって厳密には12月24日の夜までだそうですぅ」

P「じゃあもう終わっちゃってるのか。…まあ、関係ないけど」

雪歩「ですねぇ。ふふっ」


P「ほら、雪歩。室内犬可愛いぞ」

雪歩「い、犬は駄目ですぅぅ!」

P「…悪かったよ」

10: 2013/12/24(火) 02:46:30.89 ID:BndY2XNd0
P「お。雨、止んだみたいだな。ちょうど三十分経ってるし、帰ろうか」

雪歩「そう、ですね…」

雪歩(もう、終わっちゃった…)

雪歩(四条さん、ごめんなさい。つかまえてはもらえませんでした)

雪歩(やっぱり私は、ひとりじゃ勇気も度胸もなくて、駄目駄目で…)

雪歩(手を引っ張ってくれれば、どこまでも行けるのに)

P「そういえばさ。雪歩」

雪歩「…はい?」

P「雪歩はやっぱり強い子だと思うよ、俺は」

雪歩「え…?」

P「雪歩は、自分で765プロに応募してきたんだろ。だったら、その時点で一歩踏み出せてるじゃないか」

P「それに、雪歩は俺が引っ張ってきたからだって言ったけど。それだってさ」

P「雪歩は男が苦手なのに、俺の手を握ってくれた。これでほら、もう二歩も進めてる」

11: 2013/12/24(火) 02:47:13.52 ID:BndY2XNd0
雪歩「でも、他のみんなに比べたらずっと小さな一歩です」

雪歩「それで二歩進んだところで、他の人の一歩にも及びません…」

P「他のみんなには小さな一歩かもしれない。でも、雪歩にとっては大きな一歩だよ」

P「だから、それでいいじゃないか。雪の上を歩くように、ゆっくり」

P「そんな風に歩いていけるなら、それは素敵じゃないか?」

雪歩「……」パッ

P「…雪歩? どうしたんだ、急に立ち止まって」

雪歩「プロデューサー。本当に私に勇気があるって思いますか?」

P「? ああ、勿論。嘘は言わないよ」

雪歩「私にはやっぱり、どうしてもそう思えないんです」

12: 2013/12/24(火) 02:48:03.56 ID:BndY2XNd0
雪歩「今日、さっき。四条さんに『今日がちゃんす、ですよ』って言われました」

P「それって…」

雪歩「だから、なけなしの勇気を振り絞って、プロデューサーをこうして誘ってみました」

雪歩「でもそれだけ。後は、足を止めて待っているしかできませんでした」

雪歩「怖いです、プロデューサー。踏み出した雪の下に、何もないんじゃないかって」

雪歩「先に立ってくれてるプロデューサーがいなかったら、本当にそう感じるんです」

雪歩「ねぇ、プロデューサー。私を、つかまえてください。離れてると、怖くて、寒くて、泣いちゃいそうです…」

P「……」

P「…俺は」


P「本当は、薄々そう感じてた。雪歩は、俺が好きなんじゃないかって」

雪歩「!」

P「でも俺は意気地なしなんだよ。今の関係から一歩踏み出すのが、怖い」

P「雪歩。手を握ってくれないか?」

P「そこまで歩いていけるって分かったら、俺は雪歩をつかまえられると思うんだ」

P「だから…」スッ

雪歩「……」ギュッ

P「ゆき――」

雪歩「…!」ダキッ

P「――ほ?」

雪歩「…えへへ。つかまえちゃいましたぁ」ギュゥゥ

P「…本当に、雪歩は勇気あるよ」

13: 2013/12/24(火) 02:48:39.91 ID:BndY2XNd0
P「…このタイミングで言うのも何だかカッコ付かないけどさ」

P「一応ケジメだからな」

雪歩「はい?」

P「雪歩、好きだ。ずっとこうして、一緒に歩いてくれ」

雪歩「っ! はいぃ、こちらこそ、よろしくおねがっ、ぃ…ふぇ…」ジワ

P「泣かないでくれよ。泣いてても可愛いから困る」ナデナデ

雪歩「でもっ、わだし、ほんとっに゛、嬉しくっ、て…!」グス

P「参ったな。…ん?」

P「雪歩、空見てくれ」

雪歩「ぐすっ。は、はいぃ」

雪歩「わぁ…。雪…」

P「雪歩。ちょっと、そのまま雪見ててくれ。動くんじゃないぞ」

雪歩「え? こ、こうですか?」

P「そうそう。そのままそのまま」

チュッ

14: 2013/12/24(火) 02:50:50.17 ID:BndY2XNd0
P「さて、帰るか」

雪歩「は、ひゃい…」

P「結構遅くなったなぁ。怒られるかなぁ…」

雪歩「あの、プロデューサー」

P「ん?」

雪歩「ゆっくり、歩いていきましょうね」

P「…まあ、そうだな。転ぶといけないし」

『きっときっと あたたかい冬になぁれ♪』

15: 2013/12/24(火) 02:52:22.92 ID:BndY2XNd0
以上です。

雪歩誕生日おめでとう!

16: 2013/12/24(火) 03:02:10.13 ID:JA6/YyPMo
雪歩誕生日おめでとう!

引用元: 雪歩「神さまのBirthdayイヴ」