105: 2010/10/01(金) 08:57:16.45 ID:7LbFEaFg0

律「…痛ってぇーな」 澪「ご、ごめん律」【前編】


律side
律の家!

律「あぁあ…うざ…っ!!」

この日、あたしはイライラしていた。
両親と進路について揉めたからだ。

律「まだまだ先の話じゃねーか全く…」


いつもの食事で話すようなノリじゃない。
その時一緒にいた聡は追い出され、両親と3人で話した。
あたしが進路なんてまだ考えてねーよって答えたらマジギレ。

律「(あんなに怒らなくてもいいっつーのに!!)」

最初は適当に聞き流していたあたしも、さすがにそれが1時間も続くと
殺意が湧くってもんだ。
結局あたしは『ほっといてくれよ!』と怒鳴って部屋に逃げ帰ってきたんだ。

律「(イライラする。寝よ)」

106: 2010/10/01(金) 09:01:44.64 ID:7LbFEaFg0
次の日!


律「(やべぇ。まだむかつく)」

昨日の気持ちは今日になっても無くならなかった。
それどころか…

律「(もう家出しちまうかなちくしょー)」

こんなことまで考えてしまうほどだ。

澪「おはよ、律。なんかグッタリしてるな」

律「…おう」

登校中、澪に会った。
でもそっけない返事を返してしまう。
それくらいあたしはイラついていたんだ。
昨日の両親にも、1日経ってもこんなムカツク気持ちが晴れないあたし自身にも。

151: 2010/10/01(金) 13:46:34.74 ID:7LbFEaFg0
放課後!


澪「律、どうしたんだよ。お前今日1日ずっと様子おかしいぞ…」

律「へぃへぃ、すいやせーん」

まじ気分も乗らねえ。
それなのに澪は授業と授業の間の休み時間の度にまであたしに話しかけてきた。
普段はここまでしつこいやつじゃないのに。
こういう時こそ空気読んでこないでくれよ…。

律「(…かと言って澪にキレるのもお門違いだしなー)」

152: 2010/10/01(金) 13:49:11.52 ID:7LbFEaFg0
ここはおもいっきしドラム叩いて気分発散すればきっと!!

なんて思った矢先…

澪「…部活、今日はやめておいた方がいいんじゃないか?」

律「あー?なんで」

こいつはあたしが機嫌悪いのとか、気づいてるんだろうか。
それでもただ何となく言ってるだけなんだろうか。

でも当然そんなことは言えずに…

律「部活はやるよ。ほらいこうぜ、もう鍵借りてあるし」

澪「……律が良いならいいけど」


別に澪が悪いなんて思ってない。
思ってないけど、無償に腹が立つ。
澪に腹が立ってる自分にも腹が立つ。

あーー!!もーーっ!!!

153: 2010/10/01(金) 13:52:39.91 ID:7LbFEaFg0
部室!


律「ふぅ、あいつら来るまでしばらく待つか」

澪「…そうだな」

たまにはティータイムの前に練習するのも悪くないだろ。
……そう思いながらセッティングを始める。
あたしが始めたら、何も言わなくても澪も自然と始めた。

この辺りはさすが幼馴染ってとこかね。
…別にそんなん自慢する気とかねーけどさ。

唯「ふぃー、掃除に時間かかっちゃったよぉーう…」ヘトヘト

紬「あらあら。唯ちゃんが転んでバケツひっくり返しちゃったからよー?」
「自業自得ってとこかしらね♪」

唯「痛いトコをつきますねぇ!ムギちゃんっ」

律「…お。2人ともおーっす」

155: 2010/10/01(金) 13:57:14.78 ID:7LbFEaFg0
準備が終わって軽くドラムを叩こうとした時、唯とムギが入ってきた。
2人が掃除当番なのは知ってたけど、さすがにちょっと遅いと思ってたんだよな。

唯「あれれー?もう練習するの?」

律「たまには良いんじゃないかなーって、な」

紬「うふふ。すぐ準備するから待っててね」

さすが2人はノリがいいぜー。

あたし以外の3人が準備している中、暇だったから、ドラムのスティックをくるくる回す。
けど、その時。
スティックはあたしの指から離れて、あらぬ方向に飛んでいった。
んでそれが…

澪「……痛っ…」

澪に当たる。

律「(……あー……)」

唯「もー!りっちゃん危ないよお!」

まぁそんな勢いつけて回してたわけじゃないし、大して痛くなかっただろーし。
別にそこまで怒るようなことでもないよな。

なんて考えてしまったけど、当然澪が怒らないわけもなく…

156: 2010/10/01(金) 14:04:35.55 ID:7LbFEaFg0
澪「……」プルプル

律「なはははー、み、澪すまん」

澪「またお前はそうやってふざけてっ!」ゴチンッ


……あれ。

律「………」

いつもと同じ。
いつもと同じ感じで殴られたハズなのに。

やばい、何でだろう。
すげームカツク。

律「……痛ってぇーな」

思わず発してしまう。
でももうあたしの感情は止まらなかった。

「な、何怒ってるんだよ。こんなのいつものツッコミだろ」
トドメと言わんばかりに澪からこんな声が発せられたらもう…。

158: 2010/10/01(金) 14:09:22.30 ID:7LbFEaFg0
律「はぁ…?」

いつもと同じツッコミだ?
あたしらは漫才のグループでも組んでるのか?

律「いい加減にしろよ。いつもいつもポカポカポカポカ」
「あたしを何だと思ってるんだよ澪は?あぁ?」

澪「そ、そうやって私を騙そうとしても無駄だっ!!」ゴチンッ

唯「わっ…」

紬「澪ちゃんっ!!」

律「…痛っ……」

何でまた殴るんだよこいつ。
もう怒りの衝動が抑えられない。いくら澪でももうダメだ。
あたしはもう何も考えられずに右手を振りかざす。

159: 2010/10/01(金) 14:13:08.84 ID:7LbFEaFg0
律「お前…いい加減にしろよ」

パチーーンっ!!

澪「あぐっ!!」

唯「りっちゃんーっ!?」

澪はあたしが振りかざした右手に一瞬驚いた顔をした。
でも衝撃を受ける準備をさせる前にあたしの平手が澪の頬をとらえる。

澪「う…ぐっ…」

ついにやっちまった。
澪をぶった右手が震えてる…。
自分でやったくせに情けないぜあたし…。

162: 2010/10/01(金) 14:18:13.20 ID:7LbFEaFg0
紬「ふ、2人ともまぁまぁおさえて…、お茶飲みましょ?」

澪「律、私はいつも軽く叩いてやっていたんだぞ。お前今…」

…軽く?軽くならいいのか?
そんなわけないだろ、だって今あたしはこんなにムカついてんのに。

律「本気ではたいたよ、今までの仕返しも含めてな。あースッキリした」

澪の言葉を聞いて、自然とそんな台詞が出た。
だけどもちろん全然スッキリなんてしてない。
むしろまた自分に腹が立っちまったよ。

166: 2010/10/01(金) 14:24:33.13 ID:7LbFEaFg0
澪「そっか、律…、本気でやったのか…」

あー、こりゃ澪相当怒ってるな。
また殴られるかな。

…そう思いつつ次の言葉を発しようとしたその時。

バコッ!!!

紬「きゃっ…」

唯「澪ちゃん!?グーはダメだよグーはっ!!」

律「ッ…、澪てめ…」

おい。
グーはねえだろグーは。しかも顔面。
こんなんでもあたし女なんだぞ…。

168: 2010/10/01(金) 14:29:42.55 ID:7LbFEaFg0
澪をぶって、せっかく下がりかかっていた怒りのボルテージがまた上がっていく。

律「(あー、ちくしょ、立てねえ…)」

澪があたしを上から見下ろすような角度で見つめてきていたのがムカついたから
立ち上がってもう一発澪にきついの入れてやろうかと思ってたんだけど、
あたしは唸るのが精一杯で立つことができない。
そんなあたしの様子を見て、唯と紬はこちらに向かって介抱しにきてくれる。

律「別に痛くねーから平気だよ…っ」

強がってこんな台詞を吐いたけどまじ痛ってぇ…。
とか、思ったら血が出てるし…。

澪「…さっき思いっきり痛がってただろ。だから私をぶったんだろ」

…またこいつはあたしの気持ちを言い当てるように態々言ってきやがって……。

律「黙ってろ、澪」

だからあたしがそう言ってやると、澪はまた驚いたような表情をした後、ゆっくりと俯いた。

169: 2010/10/01(金) 14:33:44.43 ID:7LbFEaFg0
---------------

あたしが澪に顔面グーパンチされてから暫く経ち、ようやく血も止まってくれた。
…にしても素早く丁寧に介抱してくれたムギと違って、唯はあたしのおでこ撫でてただけだな。
別にいいけどさ。

律「サンキュ、唯、ムギ。もう大丈夫」

あたしの言葉で聞いて、唯とムギからは、ふうっと溜め息と似たようなものがでた。

もちろんその間は無言だ。
澪なんかその場から1mmたりとも動いてない。

あたしは2人に介抱されてる間も、澪になんて言ってやろうか考えていた。
少なくてももう今日は澪の顔は見たくない。
見てるだけでも腹が立つってもんだよ……ったく。

171: 2010/10/01(金) 14:39:37.61 ID:7LbFEaFg0
「あ、あのさ!!練習しようよ練習っ!ねっ!!私上手く引けないところがあってぇ…」アセアセッ
「ちょっと澪ちゃんに見てほし…」

律「澪。出て行けよ、もうここに用はないだろ」

あたしはまだちょっと動けそうにないから、澪に出ていってもらおうと言葉を発すると
唯の台詞と見事に被さってしまった。
ま、これから演奏する気になんてなれないだろうし別にいいか。

澪「…律…ッ!!」

凄い目で睨まれた。
ムカっときたのであたしも睨み返してやる。

紬「澪ちゃん待って、少し話をしましょ…?こんなことで私達が…」

唯「そ、そうだよ!りっちゃんも怒ってないよね!ねー??」

2人とも余計なこと言うなよ…。
友達思いなのは良いことだけどさ、こんな状態で今すぐ仲直りなんてどう考えても無理だろ。

173: 2010/10/01(金) 14:43:47.90 ID:7LbFEaFg0
律「…早く出て行け」

澪「わかったよ…!」

ガチャ…、バタン。

あたしのダメ押しの一言で澪はやっと出ていった。


律「はーあ……。なんでこんなことに」


唯「………」

紬「………」

律「悪りぃな、2人とも、嫌なとこ見せちまって…。あたしちょっと昨日色々あってさ」
「機嫌悪かったというか…、少しイライラしてたんだよ」

175: 2010/10/01(金) 14:46:56.31 ID:7LbFEaFg0
唯「………」

紬「………」

律「…おい、何か…」


唯「もう、りっちゃん!!!!なんでよ!!!」プンスコ

紬「りっちゃんっ!!ダメよ!!!」プンスコ


律「……えー、なんであたしが怒られるの?」


意味わかんないぞお前ら。

……まぁこんな空気はあたしには似合わないか。
2人のおかげで気が抜けたわ。

177: 2010/10/01(金) 14:50:50.55 ID:7LbFEaFg0
ガチャ。

再び部室の扉が開く。
一瞬、また澪が入ってきたのかと思って顔を強張らせようとしたけれど
入ってきたのは澪じゃなかった。

梓「こんにちは。あの、今澪先輩が泣いて…」


律「……なんだ」

唯「あずにゃぁーん!!!りっちゃんたら酷いんだよ!!」プンスコ

紬「そうよ!?酷いのよー!?りっちゃんたら!」プンスコ


梓「……何なんですか一体…?」

律「この流れやめろって…」

180: 2010/10/01(金) 14:56:19.20 ID:7LbFEaFg0
------------------

梓「は、はぁ…、そんなことが…」

唯「これってどっちが悪いのかなあ?」

紬「うーん…」

どっちが悪いってそりゃ澪の方だろ。
元はといえば、イライラしてるあたしにあいつが殴ったから…


梓「どっちが悪いとかないんじゃないですか?」

律「な、なんでだ。あたしは顔面グーパンチ食らったんだぞっ」

梓「それは律先輩がぶった上に、澪先輩を挑発したからじゃないですか」
184: 2010/10/01(金) 15:01:33.24 ID:7LbFEaFg0
律「……う…」

こ、こいつ…。
年下のくせになんて冷静な意見を出すんだ…

梓「こういうのは片方が許した時点で、片方が謝れば解決だと思うんですけど」

唯「おぉぉぅ!?あずにゃんあったまいー!」

紬「あったまいぃー♪」


律「……おい、まさかお前ら」

あたしに3人の視線が集まってくる…。
おいおい冗談じゃねー……。

185: 2010/10/01(金) 15:07:44.02 ID:7LbFEaFg0
律「…おい、あたしは謝る気なんか今のトコこれっぽっちもないぞっ!!」
「あ、あたしは被害者だぞぉっ!!?」

梓「…では、放課後ティータイムは解散ですね」

律「……えっ?」


梓「澪先輩抜きで放課後ティータイムを続けるなんて、私は嫌ですけど?」

律「いや、ちょっと待てよっ、そんなつもりは…」

唯「もちろん私もだよ??りっちゃん」

紬「うふふ。右に同じく」

どんどん話が膨らんでいってる。
放課後ティータイムが解散…?
おいおいそんなバカなことがあるか。

188: 2010/10/01(金) 15:13:43.15 ID:7LbFEaFg0
…気づいたら、いつの間にかさっきまでのイライラしてる気持ちは大分落ち着いていた。
そんなことよりも不安な気持ちの方が大きくなっていたからかね。

唯「りっちゃん。りっちゃんは澪ちゃんと幼馴染だし」
「私たちなんかよりも澪ちゃんのことをずっとずっと良くしってると思ってたけどなぁ?」

そ、そりゃそうだよ。
あいつとあたしは……。
…あぁ、そうだ。あたしは澪のことを誰よりもよくわかってるつもりだ…。

梓「…律先輩」


……そうだな。澪の性格を考えたら…。
だったらあたしから謝らないと…。でも…。

194: 2010/10/01(金) 15:18:40.73 ID:7LbFEaFg0
律「ちょ、ちょっと1日考えさせてくれ…。明日朝、ちょっと早めにみんな部室集合で…。いいか?」

紬「うふふ、OKよりっちゃん」

梓「わかりました」

唯「はーいっ!……って、あれ」

あたしが全員の返事を待っていると、唯が何かに気づいて、返事とは別の声をあげる。
みんなが釣られて唯の視線の方へ向く。


梓「…あ、澪先輩。ベース忘れて言ってますね」

本当だ。
やっぱりあいつ相当動揺してたんだな。
…全く、世話の焼けるやつ。

196: 2010/10/01(金) 15:26:35.14 ID:7LbFEaFg0
次の日!
部室!

唯「………ドッキリ?」

梓「何でまたそんな意味不明なことを…」

律「いやだってちょっと悔しいし…」

昨日考えたのはこうだ。

あたしから澪に謝るのは良い。
でもそれだとあたしとしてはかなり悔しい。
そんで、澪にもちょっとは反省してほしいって気持ちもある。

だから澪には、今日1日だけりっちゃん特性ドッキリに合っていただく、という訳だ!

紬「ちょっと面白いかもしれないわねー?」


梓「…で、私達はどうしたらいいんですか?」

律「いや、肝心のソレが思い浮かばなくてだね」デヘヘ

唯「…りっちゃん、それはないと思うなぁ…」

197: 2010/10/01(金) 15:29:50.53 ID:7LbFEaFg0
-------------------------

結局あたしは思いつかなかったので、ムギの考えた『返事は全て嫌だ!ドッキリ』となるものに決定した。
文字見りゃどんなドッキリか誰でもわかると思うけど…

紬「澪ちゃんに話しかけられたら、みーんなぜーんぶ、嫌だ!!で答えるの!」


唯「嫌だ!!」

律「え、いや唯。お前さっきこれで良いって言ったじゃないかよー…?」

唯「嫌だ!!」

紬「嫌だー♪」

梓「嫌です」

律「…おい、ドッキリの相手はあたしじゃない」

唯「嫌だ!!」

紬「嫌だー♪」

梓「嫌です」

律「(しつけぇー…)」

199: 2010/10/01(金) 15:37:15.97 ID:7LbFEaFg0
教室!

キーンコーンカーン(チャイム

ここで予想外の出来事が発生してしまった。
予鈴のチャイムがなったのに澪が教室に入ってくる気配はない。

律「…おい、肝心の澪がこないんだが」

紬「澪ちゃんが来ないんじゃドッキリが成立しないわね…」


唯「え、えぇぇええ!?なんてこったぁあ…」ガクシ

律「何で唯がガッカリするんだよ。楽しみにでもしてたのかよ」

唯「ばれてしまいましたかぁ」デヘヘ

何故かテンションの高い唯に、あたしは自然と笑みと溜め息が零れる。
ま、楽しむなら楽しむでいいけどな。唯だし。

202: 2010/10/01(金) 15:43:42.65 ID:7LbFEaFg0
さわ子「はいはーい、席についてー」

唯「あ。さわちゃん先生きちゃった。りっちゃん、私澪ちゃんにメールしてみるよ」

律「…頼むわ、唯」

紬「それじゃまた後でね、りっちゃん」

律「おー」

-------------------------------

唯「(見つからないようにそーっとそっと…)」ピコピコピッピッ
「(澪ちゃん?今日お休みなの?…っと…。よし、送信っ!)」ピッ

律「(唯、マナーモードになってないからバレバレだよ…)」


唯「(あぁぁあっ!本文に書いてなかった!!!)」ガガーン!


さわ子「…唯ちゃん、携帯はしまってね。あとマナーモードね」

205: 2010/10/01(金) 15:51:32.66 ID:7LbFEaFg0
休み時間!

紬「風邪で欠席…、とさわ子先生は言っていたけど…」

律「……あいつ…」

十中八九ズル休みじゃねーか…。
変な気起こさなければいいけど。

唯「澪ちゃんからメールの返事ないねぇ…、電話もかけてみてるんだけどぉ」

律「そうか…」

紬「りっちゃんからもしてみたら?電話とメール」

律「え、あたしが…?」

いやいやそれはさすがにしにくい。
昨日の今日でメールなんてしにくすぎるにも程があるぞムギ。
でも、確かに心配なんだよなぁ…。
次の授業が終わったら昼休みか…。
さすがにまだ寝てるってことはないと思うけど。

207: 2010/10/01(金) 15:54:06.09 ID:7LbFEaFg0
その時、ピンッ!と頭に1つの案が浮かぶ。

律「ムギ、携帯貸してくれ。それでメールするわ」

紬「?え、私ので?」

律「おう。澪を学校に来させるとっておきの文章を考えたんだ!!」

紬「?だからそれを、なんで私の携帯で送るのかしら、りっちゃん」ニコニコ

突っ込んでくるなぁムギは…!
言わなくてもわかってるくせによぉ…。

律「は、恥ずかしいからだよ…!さ、早く早く!」

紬「もう、仕方ないわね」うふふ

律「サンキュ、恩に着るっ!!」

208: 2010/10/01(金) 15:56:58.28 ID:7LbFEaFg0
ムギから携帯を受け取り、あたしは自分の席に戻る。
文章を作るのに予想以上に手間どってしまい、結局送信できたのは授業が始まってからになってしまった。

律「(よしよし…)」

今からでも良いから早くきて!!りっちゃんが澪ちゃんを軽音部から退部させるって!!
凄く怒っちゃってて私じゃ止められないの!!

律「(上手くムギっぽく書けたし、これを送れば澪は間違いなく学校に来るハズだぜ…)」ニヘヘ

紬「(りっちゃん笑ってる…。変なメール送ってなければいいけど…)」


唯「スピー、スピー」zZZ

247: 2010/10/01(金) 20:29:14.82 ID:7LbFEaFg0
 

249: 2010/10/01(金) 20:57:00.84 ID:7LbFEaFg0
お昼休み!

な、何故…。
何故返事がこねーんだ…。
そして来る気配もねぇ…。
仕方なくムギに携帯を返却すると、ムギは心配そうな顔をして送信ボックスを見始めた。

紬「りっちゃん……これ……これ…」プルプル

律「お、ムギ。すげー良い出来だろ?」
「どっからどう見てもムギが書いたようにしか思えないよな!」アハハッ

紬「………」プルプルプル

律「?ムギ??」


紬「バカぁー!バカバカぁー!」ポカポカポカ

律「痛っ!痛い痛い!やめ!ポカポカやめ!」


唯「どうみてもムギちゃんだから、ムギちゃんが可哀想なんだよりっちゃん…」

律「あ、なるほど」

紬「りっちゃんのバカァー!」ポカポカポカ

250: 2010/10/01(金) 20:59:00.31 ID:7LbFEaFg0
紬「もうばらすっ!澪ちゃんに電話かけるんだから!」

律「…多分出ないけどな。実際そのメールの返事も返ってこねーし」

紬「………」クスン

唯「それにしてもどうしたんだろうね澪ちゃん。本当に風邪なのかなぁ??」


律「そんなことないと思うんだけどなぁ…」

あー…。
まぁ確かに本当に風邪ならメールとか電話の返事が返ってこないのも納得できるか。
でも澪なら着信見た時点で返事返してくれると思うんだよなぁ。
唯が朝にメールをして、あたしもさっきメールして…
その間一回も目を覚ましてないってことか?
有り得ないことではないけどさー。

251: 2010/10/01(金) 20:59:56.92 ID:7LbFEaFg0
和「珍しくどんよりしちゃって。どうしたの?」

律「ん。和。別にどんよりなんかしてねーぞ」

紬「どんよりしてるのは私だけよね、りっちゃん」

律「あ…、いやどうかな」

唯「和ちゃんー、澪ちゃんにメールと電話したんだけど、返事が全然返ってこないんだよぉ」シュン

和「あら、そうなの…。って先生が朝に風邪って言ってなかった?」

律「いや、多分ズル休み」

和「…はぁ?どうして澪がズル休みなんてするのよ」

律「説明するのに1時間はかかるから、まずは澪に電話してみてくれよー」


和「?よくわからないけどわかったわ…」

252: 2010/10/01(金) 21:02:41.97 ID:7LbFEaFg0
------------------

和「出ないわね。……まぁ風邪らしいし寝てるんじゃない?」


律「あー、うんそうだな。風邪だ」

唯「りっちゃん和ちゃんかわいそうだよぉ…」

悪ィ、和…。
説明してたら昼休みが終わっちまうんだわ。

律「いやさ、和からの電話なら出てくれるんじゃないかなーって思ったんだけど」

和「どうして風邪で寝てるのに私の電話なら出るのかわからないわよ…」

律「ゴメン!事情は今度話すからさっ!」

和「な、何よ電話までさせておいて…。もう…」

唯「和ちゃん、ごめんねぇ…」

253: 2010/10/01(金) 21:04:07.38 ID:7LbFEaFg0
ちくしょー、澪め。
ここまであたしらを無視するとは良い度胸じゃないか。

律「(よし…!こうなったら絶対返信したくなるようなメールを考えてやるか!)」


和「もう私生徒会から帰ってこないから」

唯「わわぁ。帰ってきてー、帰ってきてー和ちゃーん」

紬「帰ってきてー」


唯もダメで、ムギ(の携帯)もダメで…
和の電話も出なかった…

となれば、後はあいつしかいない…か。

254: 2010/10/01(金) 21:05:20.54 ID:7LbFEaFg0
2年2組

さて。きたぞ。
梓はどこにいるのかなっと…、あ、いたいた。

律「どうも中野さん。りっちゃん先輩です」

梓「何ですか気色悪い…」

紬「どうもー」

唯「あずにゃん会いにきたよー!!」ダキっ

梓「にゃ、にゃぁっ!!?///」
「ダ、ダメです唯先輩!!ここ教室ですよ!?周り周り!周り見てっ!」

唯「照れなさんなってぇ」モフモフ

255: 2010/10/01(金) 21:06:39.98 ID:7LbFEaFg0
憂「あ、お姉ちゃんだー」

唯「ういー、会いたかったよぅう。10年ぶりの再会だようぅう!」

憂「え?えと今朝会ったよね…?」


梓「私に抱きつきながら変なこと言わないでください!」


律「憂ちゃん、ちょっと梓借りてくな」」

紬「借りていくわねー」

憂「?あ、はい。どうぞ」

梓「!?」

256: 2010/10/01(金) 21:08:00.65 ID:7LbFEaFg0
--------------------

梓「嫌です!!」

律「そこを何とか!」

梓「絶対に嫌です!!」
「律先輩に携帯を渡したら、澪先輩にどんなメールを送られるかわかったものじゃないです!」

唯「りっちゃん信用されてないんだね」アハハッ

紬「私もちょっと信用できなくなってきたのー」ウフフ

律「頼むよ梓ちゃん、いえ、梓さまっ!決して変なメールは送りませんっ!」

257: 2010/10/01(金) 21:09:06.18 ID:7LbFEaFg0
梓「大体なんで自分の携帯でメールしないんですか!」
「澪先輩が一番来て嬉しいのは律先輩だと思いますけど!?」

律「そこは今は重要じゃないんだ」

唯「重要じゃないのだよあずにゃん」

梓「(重要でしょうどう考えても…。)」



梓「わかりましたよ…。じゃあすぐ返し…」パッ

律「んじゃ借りてくな~」携帯ヒラヒラ

梓「うわああっ!律先輩ぃーっ!」

唯「ばいばーいあずにゃーんっ」

258: 2010/10/01(金) 21:11:45.92 ID:7LbFEaFg0
授業中!

…さて、梓の携帯を見事にゲットできたわけだが。

律「(あー。なんて送るかな…)」

こんにちは、あずにゃんです
今日純の家の猫が氏にました。澪先輩のせいです
責任とってください

律「(イマイチ…かな)」

部室が爆発しそうです
でも今ならまだ間に合います
早く学校にきてください

律「(なんか。惜しい…)」

今すぐ学校に来てください
本当に風邪引いたわけじゃありませんよね
絶対返事下さい

律「(うん。やっぱり普通が一番だなー)」
「(本当に風邪で寝てる可能性も考えて、もう暫く時間経ってから送るか)」

259: 2010/10/01(金) 21:13:59.18 ID:7LbFEaFg0
放課後!
部室!

梓「りぃつ先輩ぃいいいいいいいいいいいッ!!」ドタドタドタッ

律「…おー、梓。早かったな、ほれ携帯」ヒョィ

梓「あ、どうも(あっさりだ)」

律「……はぁ…」ドンヨリ


梓「…唯先輩。律先輩どうしたんですか?これ」

唯「うんー…。澪ちゃんから返事まだこないんだって」

梓「え…まだきてなかったんですか。そういえば学校にも結局…」

唯「うん。さすがにちょっとヘンだね」

律「(な、何故だ…。さすがに気づいてないわけないだろこれ)」


紬「とりあえず、お茶にしましょうか」

261: 2010/10/01(金) 21:18:03.75 ID:7LbFEaFg0
----------------

紬「澪ちゃんの分、どうしようかしら…」

ムギが黙々とティータイムの準備を進める中、あたしは真剣に考えていた。
今日のお菓子はなんだとか、そういうんじゃない。勿論澪のことだ。
あいつのベースをボーッと眺めながら、今日の事を振り返ってみる。

律「(もし…もしもだ)」

仮に本当に風邪だったとして、もしも今、澪が目を覚ましたとしたらどうする…

律「(あたしらからの沢山の着信…。そして澪に対して残酷な内容メール…)」

そのメールを、昨日みたいに動揺しちまってる澪が見たらどう思うか。

律「(やっべえ…コレ、ドッキリより半端なく大変なことやらかしちゃったかもしれね)」

唯「ケーキおいひぃよぉー、ムギちゃん!!」

紬「うふふ。ありがとう」

263: 2010/10/01(金) 21:20:20.36 ID:7LbFEaFg0
梓「……律先輩?」

律「悪い、ちょっと電話してくる」

もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃないな。
携帯にかけても出てくれないだろうし、澪の家に電話してみよう。


---------------------

ツーッ ツーッ


律「……話し中か。しゃーないな…」

ま、もしかしたらメールを見て学校に向かってきてるかもしれないし…
少し部室で待ってみるか。

澪、早く来いよ。みんな待ってるし、お茶もお菓子もあるぜ。
それにお前が来ないと練習もできないんだよ。

270: 2010/10/01(金) 22:03:36.35 ID:7LbFEaFg0
唯「これももらっちゃっていいかなぁっ?」

梓「ダ、ダメですよ!!それ澪先輩の…!!」

紬「あらあら」

訂正、お菓子はなくなりそう。


律「…最後に唯の携帯使ってそれっぽいメール送るかな!」

唯「……なんで電話はできるのにメールはできないんだい!りっちゃん」モグモグ

律「あたしの名前を使うからな」

唯「?…りっちゃんの??」

271: 2010/10/01(金) 22:08:52.01 ID:7LbFEaFg0
ゆうがた!


唯「遅いねえ…澪ちゃん」

唯「……そうだな」紅茶ズズー


梓「…もうすぐ下校時間ですよ」

紬「せっかく準備して、すぐ練習できるようにしておいたのに。残念ね…」


律「澪のことだから、あたしらがいない間にベースを取りにくるってこともあると思うんだ」
「だから、まだ可能性がないわけじゃねーさ」

梓「……なんでそんなことわかるんですか」

律「あたしが澪と何年一緒にいると思ってるんだっての!」


唯「幼馴染の勘だね!?りっちゃんっ」

紬「りっちゃんが言うから本当に来ちゃいそうね」うふふ

律「おうっ!………でも来なくてもあたしを攻めないでなっ」

272: 2010/10/01(金) 22:09:39.21 ID:7LbFEaFg0
しばらく後!

ガチャッ

さわ子「やっぱりいたのね…。あなた達、とっとと帰りなさい。もう下校時間過ぎてるわよ」

律「げ。さわちゃん…」

梓「……もう19時ですしね。届出も出してませんし」

紬「……りっちゃん」

律「…えー……もうちょっと…」

さわ子「ほらほら急いで!校門閉まるわよっ!」

唯「澪ちゃん……」


律「…しゃーねぇ、出るか」

さわちゃんに急かされ、渋々ながら楽器を片付ける。
澪のベースに少しだけついてしまっていた埃を落とすと、あたし達はそのまま鍵をさわちゃんに返して
学校を出た。

274: 2010/10/01(金) 22:11:08.52 ID:7LbFEaFg0
校門前!


梓「では、実は私親に頼まれた買い物がありますのでこれd…」ガシッ


律「まぁまぁもうちょっと話していこうじゃないかー!」

梓「な、なんでですか!何で校門前なんかで!」

唯「ここで澪ちゃんを待つんだね!りっちゃん!」

紬「ちょっと不良っぽくて良いわねー」

梓「そんなコンビニ前にたむろってる人達じゃあるまいし…っ」

外はちょっと寒い。
でもみんなで話してるとなんか暖かい。

275: 2010/10/01(金) 22:12:17.70 ID:7LbFEaFg0
当然だけど、澪が学校に向かっているだなんて核心はもててない。
それはみんな一緒だ。
でもこうして話してると楽しいよ。……もし澪がまだ家で寝ててさ、
明日の朝になるまで学校に来なくても、何かそれはそれで良い気がしてきたよ。
そしたらお前は笑うんだろうな『朝まで何やってんだバカ律』ってあたしを殴りつつ。


梓「まったく…、元はと言えば律先輩がドッキリしようなんて酷いこと考えるからいけないんです!」
「ドッキリなんかじゃなくて普通にメールを送っていたら…!」

唯「あはは、でも『返事は全て嫌だ!ドッキリ』はやってみたかったな~」

紬「唯ちゃんったら。うふふ」

律「そのドッキリはもうあたしでやってたじゃないかよー…」

276: 2010/10/01(金) 22:13:37.87 ID:7LbFEaFg0
---------------------

唯「あずにゃん私お腹空いちゃったよー。アイス買って帰ろうよ~」

梓「帰ったら憂がご飯作って待ってるでしょうに……もう」

律「唯、お前さっき澪の分まで食べてたくせによー」

唯「甘いものは別腹って言うじゃないのさ!りっちゃん!!」

律「えー…?」

紬「今日は宿題もなかったし、もうちょっと遅くなっても良いんじゃないかしら」


律「そうだな。澪がきたら、みんなでアイス買って帰るか」

唯「さんせ~いっ!」

277: 2010/10/01(金) 22:14:20.51 ID:7LbFEaFg0
律「……ン」

みんなで談笑しつつ、校門で過ごして数十分。

ようやくご登場かよ…。
お前の気配にあたしが気づかないとでも思ったか、澪。


唯「…りっちゃん?どうかしたの?」

梓「やっと帰る気になりました…?」


律「………澪…」

279: 2010/10/01(金) 22:15:51.91 ID:7LbFEaFg0
紬「えっ!本当にっ!?どこ!?どこかしら!?」キョロキョロ

唯「あ、あれかな?…でももう見えなくなっちゃうよ!?」

やっと来てくれたのかと思ったのも束の間、澪は校門とは逆方向へ歩いていた。
……やっぱりあたしらとは会いづらいみたいだな。

ま、それならこっちから捕まえてやるさ。

律「…追いかけよう」


唯「了解ですっ!!!」フンス

紬「了解ですっ!!!」

梓「わかりましたよ、もー!」

あたし達は早足で澪を追いかける。

281: 2010/10/01(金) 22:17:31.57 ID:7LbFEaFg0
-------------------

律「…で、なんでこんな人ごみ激しいトコに来てんだよ」

紬「……見事に見失っちゃったわね…」

唯「どうする?りっちゃん」


律「どうするって言ってもな。じゃあ手分けして探…」

梓「……それは反対です。というかちょっと怖いですこの辺り」

紬「確かに、あまり良くない噂ばかり聞くわね…」


律「しょうがない。なら一緒に行くか。回りを見つつ、ゆっくり進もうぜ」

唯「あいよぅりっちゃんっ!!」


あたし達は見逃さないように、人間だけではなく、道の隅から隅までを見ながら歩く。

でも20分程探し回っても、澪を見つけることはできなかった。

283: 2010/10/01(金) 22:18:27.78 ID:7LbFEaFg0
梓「いませんね…。さっきの見間違えとかじゃないですよね」

律「そんなはず…」

そんなはずはない。
あれは確かに澪だ。
黒髪でロングヘアでうちの制服を着ていたってこともあるけれど
それだけじゃない。
澪にしかない雰囲気ってやつを持っていた気がするんだ。

唯「…りっちゃん、こっちにも道があるよ」

律「ん。おう、行ってみよう」

298: 2010/10/01(金) 23:28:03.16 ID:7LbFEaFg0
そこは今までの道とは違う。
人通りが激しいこの場所で、何故か誰もそこを通ろうとする人はいない。
そんな道だ。
正直澪がこんなところに一人で来ることは考えにくいとは思う。
でも唯が見つけたからか、何故か気になってしまった。

梓「く、暗いですね…」

紬「本当ね…。さっきまでの賑やかな場所が嘘みたい」



……そして見つける。


律「……ッ!!!」


男に詰め寄られ、腕を縛られ、服を汚され、身動きができなくなってしまっている女の子の姿。
あれは紛れもなく……!

唯「あっ!!りっちゃん待ってっ!!」

あたしは走った。
せっかく見つけたんだ。
捕まえるまでもう止まれない。

300: 2010/10/01(金) 23:29:33.32 ID:7LbFEaFg0
走りながら何か武器はないかと鞄を弄る。お目当てのものがすぐに指に当たる。
……これだっ!!

律「(へへ、これなら扱いなれてるッ!!)」


握ったのはドラムスティック。
そして…

律「何してんだよ、オッサン」


「…あ?なんだおm…」」


律「おらァッ!!!!!」

力まかせにぶん殴った。


バゴッ!!!!!


鈍い音が聞こえる。
そして響く。

302: 2010/10/01(金) 23:32:28.93 ID:7LbFEaFg0
ドガッ!!バキィッ!

「あゲッ!!!!!」


律「はぁ…っ!はぁ…っ!」


「……………」ピクピクッ

おいおい、もうのびたのか?
まだたった3発しか殴ってないぞ…!
澪にこんなことしてこの程度で済むと思ってんのか…!?
昨日ドラム叩けなかった分、思いっきりやらせてもらったけどさ!


ま、でもこれだけは言わせてもらう。


律「…私の親友に手を出そーなんて1億年はえーんだよ!!!」デデーン


ハハーン!どうだ!仁王立ちで言い切ってやったぜっ!

305: 2010/10/01(金) 23:34:59.10 ID:7LbFEaFg0
あたしは軽くふうっと深呼吸をした後、澪の方を見る。
澪は震えながらもあたしを見つめ返してくれていた。
その様子は、とてもじゃないけどいつもの澪とは程遠い。

澪「…り…つ……?」

律「…あぁ、迎えにきたぜ、澪」

あたしは近づき、澪をそっと抱きしめた。
もう力が残ってないのか、さすがに抱き返してくれるなんてことはなかったけど
澪が今まであたしにもあまり見せてくれたことがないような顔をしてくれるもんだから
あたしはちょっとだけ嬉しかった。

律「すげー震えてる。澪、辛かったよな…。ごめんな。本当にごめんな」

澪「……りつ…私…私…」

律「…もう喋らなくていいよ」

308: 2010/10/01(金) 23:37:56.93 ID:7LbFEaFg0
もうちょっとだけこのままでいても良いかな、何てことも考えたけど
後ろで叫びながら近づいてくる仲間がいたので、少しだけ離れる。


唯「りっちゃぁーん!!」

梓「律先輩…!澪先輩っ!!」

紬「大丈夫ー?2人ともー…!」


澪はもう眼を閉じていてしまったけれど…
その可愛らしい表情は間違いなくさっきまでよりも安心してくれている。
いきなり男に襲われてる所を見つけた時はさすがのあたしも驚いたけど
澪が無事で良かった良かった。

とりあえず、帰ろっか。澪。
あたしも今日は疲れたや。

313: 2010/10/01(金) 23:44:47.29 ID:7LbFEaFg0
------------------------------

澪のへや!


律「……」

澪「……すぅ、すぅ」

澪を自宅まで送って、この日はあたしも帰って休もうかと思ってたんだけど
おばさんに澪についていてあげて、と、頼まれてしまった。

まぁ、少しだけならいいかな、と。
あたしは澪と一緒に部屋にいる。
澪はベッドで。
あたしはイスで。

律「……」

澪「すぅ、すぅ…」

今は静かに寝息を立てている澪だけど、既に何度か涙を流している。
涙を流す時は、決まってうなされる時だ。

よっぽど今日の事が怖かったんだろうなあ。

317: 2010/10/01(金) 23:47:00.29 ID:7LbFEaFg0
澪「…ん……」

律「…お。やっと起きたか」

澪「…り…つ?」

律「おう。おはよ。あたしだ」


あたしがこの部屋に来てからどのくらい経っただろうか。
ようやく澪の瞳が開く。


澪「……ここ、どこ…?」

律「どこって…。澪の部屋だけど。何かまずかったか?」

…つーかなんだよ、寝ぼけてるのか。


澪「私の…へや……?どうして?」

律「どうしてって…おい…」

319: 2010/10/01(金) 23:50:19.71 ID:7LbFEaFg0
なんだ、この…丸一日寝てたみたいな反応。
一瞬、澪の精神的な部分に良からぬ悪影響を与えてしまったのかと思っちゃったよ。

ま、次の澪の言葉でそんな不安は消し飛んだけど。


澪「りつ…。り、律?律なんだ。律なんだな…?」

律「…そうだよ」


澪「律…!律…!!」
「うわぁああああん!!律ぅうううううううううっ!!」ガバッ

律「…ぉおっ!?」

やっと感覚が戻ったのか知らないけど、急にあたしに抱きついてくる澪。
しかもマジ泣きしてやがる…。
おいおい、もう怖いのは去ったんだぞ。
あの男はムギがどこかに運んでいってくれたんだ。

320: 2010/10/01(金) 23:52:27.81 ID:7LbFEaFg0
澪「…怖かったんだ…!!私、すごく…!!でも律が助けてくれて…!!」

律「……澪を助けたのはあたしだけじゃないぜ。みんなが澪を助けたんだよ」
「確かに良いトコ見せちゃったのはあたしかもしんないけどさ」

澪「…みんな…?」

律「…どうしてみんなで校門で待ってたのに逃げちゃったんだよ」


澪「だって…、だって…。みんな私がいなくても笑顔で…。律だって笑ってた」
「それにメールで……」


律「(…あ。)」

…やっぱり気にしてたのか、澪は。
いやー、ムギと梓と唯には悪いことしちゃったな、ははっ。

321: 2010/10/01(金) 23:54:21.26 ID:7LbFEaFg0
澪「…それだけじゃない、昨日。私は律に酷い事をしちゃったし」
「だから学校でまた律と会うのが怖くて」

律「昨日は…あたしも悪かったよ。澪をぶっちゃったりしたし…」


澪「いいんだ。私が律の事を考えずに、ポカポカ殴ったりしてきたから…」

律「いいっていいって。つーかそんな風にしょぼくれてんの。澪らしくないぜ」
「もっと元気出せよ。元気」


澪「律…」

律「昨日の後、みんなに脅迫されたんだぜ?」
「『じゃあ放課後ティータイムは解散ですね』なんて梓に言われた時にはまじで焦ったよ」
「あたしと澪の友情がこんな簡単に崩れるわけねーってのにさ」

322: 2010/10/01(金) 23:56:15.34 ID:7LbFEaFg0
澪「……放課後ティータイム、私はクビなんじゃ」

律「そんなわけないだろ。あたしらは軽音部のあの5人で放課後ティータイムなの」

澪「う。…そ、そっか…。そうだよな…」

律「おう。…だからさ」

澪「…うん?」

律「またいつも通りあたしがヘマした時にはツッコミ入れてくれよ」
「この役は澪以外には勤まんねーからさ」


澪「……うん。わかった」

律「よしっ!」


澪「……ごめんね。律」



おわり

326: 2010/10/01(金) 23:58:26.60 ID:7LbFEaFg0
おまけ


澪「……何……ドッキリ…?あのメールは全部律が……?」


紬「そうなのよ澪ちゃんっ!りっちゃんが私達の携帯取り上げて!」

律「ちょ、ムギ!!!」


澪「…律……、私、せっかく律のこと……」


律「ちょ!!ま、待てよ!!!唯!梓っ!お前らからもなんか言ってくれよっ!」


唯「嫌だー!」

梓「嫌です」


律「今そのドッキリはシャレになってな……って痛ィ!!」ゴツンッ!


澪「謝って損した!!!!」



327: 2010/10/01(金) 23:58:27.70 ID:zQK7AhQo0
おわったか…乙

その、もっと甘甘な律澪を長く取って欲しかったな

329: 2010/10/01(金) 23:59:17.82 ID:cBM5Iz/p0
乙ー、面白かった
けいおん全く知らないけどこういう友情ものっていいね

330: 2010/10/02(土) 00:00:08.53 ID:G0AiC57oP
友情止まりでも俺は全然よろしいぞ

おつかれ

引用元: 律「…痛ってぇーな」 澪「ご、ごめん律」