1: 2012/05/27(日) 13:08:26.15 ID:b9+/ptf2i
灼「私の汗とか恥ずかしいのでほぼ毎日びちゃびちゃになってるけど一回も洗わずに大事に使ってる。ほら、ここら辺とか色が褪せてる。」

11: 2012/05/27(日) 14:02:49.51 ID:wPRlgP330
レジェンド『私も灼のグローブにはいつもお世話になっているよ』

灼(みたいな事になってほしい……)

灼「さっそくハルちゃんの所にグローブ届けに行ってみよう」

みたいなのはどうなんでしょうか
咲-Saki- 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
16: 2012/05/27(日) 14:16:45.89 ID:wPRlgP330
灼(私の手汗がしみ込んだグローブをハルちゃんがつけてくれれば……)

灼(……ふふっ)

灼(あ、でも手のサイズが合わないかも……)

灼(どうしようかな)


普段灼ちゃんってレジェンドの事なんて呼んでたっけ


18: 2012/05/27(日) 14:24:21.87 ID:wPRlgP330
灼(最初の予定通りネクタイだけ見せに行く?)

灼(……いや、やっぱりグローブも捨てがたい)

灼(ネクタイなんてしょせんは服の上につけるもの……)

灼(対してグローブは直で肌に触れる!)

灼(これはスペアとストライク、満貫と役満ぐらいの差がある!)

灼(グローブを優先する方向で考えよう)

20: 2012/05/27(日) 14:31:56.28 ID:wPRlgP330
灼(……)

灼(……)

灼(……)

灼(いい案が思い浮かばない……)

灼(せめて私のグローブがフリーサイズなら良かったんだけど)

灼(……)

灼「そういえば明日は二人でミーティングの予定があるんだった!」

灼(二人っきりで話せるなんて部長の特権だよね)

灼「その時になんとかしてみよう!」



玄(灼ちゃん教室で何叫んでるんだろう……)

21: 2012/05/27(日) 14:37:51.06 ID:wPRlgP330
麻雀部室

玄「灼ちゃんさっきはどうしたの?」

玄「ずっと考え込んでると思ったら、突然叫びだすしびっくりしたよ」

灼「ごめん……大したことじゃないよ」

玄「でもミーティングがどうこうって言ってたし、麻雀部の事なんじゃないの?」

灼「まあそうなんだけどね。でも本当に大したことじゃないから」

玄「それならいいんだけど……お手伝いできることがあれば何でも言ってね!」

玄「灼ちゃんのおかげで私たち団体戦に出られるんだもん」

玄「しかも部長まで任せちゃったから、恩返ししたいんだ」

灼「恩返し……」

23: 2012/05/27(日) 14:45:35.49 ID:wPRlgP330
灼(恩返し……恩返し……か)

灼「だったらひとつお願いしたい事があるんだけど」

玄「うん! なになに?」

灼「あんまり麻雀には関係ない事なんだけどいいかな……」

玄「大丈夫だよー」

灼「それじゃあ今度みんなでウチのボーリング場に来てくれないかな」

灼「最近少しお客さんが少なくて……」

玄「うーん、ウチも旅館だからお客さんが来なくて困る気持ちは分かるし」

玄「いいよ! 皆にも声かけてみる」

灼「ありがとう。ハルちゃんにも親睦を深めるために声かけてくれると嬉しいな」

玄「分かったよ」

26: 2012/05/27(日) 14:54:55.26 ID:wPRlgP330
灼(これで第一条件はクリア)

灼(ウチではグローブの貸し出しも行っているからその時にハルちゃんの手のサイズも分かる)

灼(うまくいけばそのままハルちゃんを家に招待することもできるかもしれない)

灼(ふふっ楽しみ)



レジェンド(ミーティング中なのになんか上の空っぽい……)

レジェンド(私の話って灼にとって聞く価値がないのかな)シュン

27: 2012/05/27(日) 14:59:30.24 ID:wPRlgP330
数日後

灼(ようやくこの日が来た……)

灼(ハルちゃん+麻雀部のメンバーがウチのボーリング場に来る日が!)

灼(ここ数日楽しみでちょっと浮ついてミスしたり)

灼(ミーティングでもハルちゃんを困らせちゃったりしたけどここで挽回して見せる!)

灼「……早く来ないかな」ソワソワ

28: 2012/05/27(日) 15:08:22.12 ID:wPRlgP330
レジェンド(最近灼の様子がおかしい……)

レジェンド(前は私の話を誰よりもよく聞いてくれていたのに、ここ数日は聞き流されている感じがする)

レジェンド(あの子には結構慕われていると思っていたんだけどなぁ)

レジェンド(インハイで負けた私を唯一出迎えてくれた子)

レジェンド(その子が今私の教え子になってくれている)

レジェンド(……だからこそあの子にだけは尊敬される私、カッコイイ私でいたいと思っていたのに)

レジェンド(あの子にまで愛想尽かされちゃったら正直へこむなぁ)

レジェンド「ま、そんなこと考えててもしょうがないか!」

レジェンド「今日は灼のボーリング場で親睦会やるんだし、その送迎を任されちゃったからねー」

レジェンド「そろそろ家出ないと」

プルルルルル プルルルルル

レジェンド「……こんなときに電話? 誰からかな」

30: 2012/05/27(日) 15:16:14.00 ID:wPRlgP330
灼「……え? 今日の親睦会に来れそうにない?」

玄『本当にごめんね、灼ちゃん……』

玄『お姉ちゃんが熱中症で倒れちゃって……』

灼「ううん、そういうことなら仕方ないよ」

灼「一年生コンビも昔の友達の帰省の出迎えの後に来るから参加できるとしても遅い時間からになるって言っていたし」

灼「今回は中止にしよう」

玄『灼ちゃん……ごめんね、恩返しするって言ったのに』

灼「大丈夫だってば。それじゃあ宥さんにお大事にって伝えておいて」

玄『ありがとう、それじゃあまた学校でね』

灼「うん、バイバイ」ピッ

灼「……」

32: 2012/05/27(日) 15:21:31.45 ID:wPRlgP330
灼(うまくいかないなぁ……)

灼(でも当然の結果なのかも)

灼(ハルちゃんを連れてくるダシに皆を使おうとしてたんだもんね)

灼(バチが当たっちゃったんだ)

灼「……ハルちゃんと一年生に今日の親睦会は中止だって連絡しなくちゃ」

灼「携帯携帯っと」

プルルルルル プルルルルル

灼「こんなときに電話? 誰かな……」

灼「……ハルちゃんからだ」

33: 2012/05/27(日) 15:27:38.53 ID:wPRlgP330
灼「もしもし、灼です」

レジェンド『灼は相変わらず元気そうだねー』

灼「第一声がそれですか……玄から連絡受けたんですね」

レジェンド『まぁね。宥が熱中症で倒れたってさ』

灼「らしいですね。なので今日の親睦会は中止する事にしたんです」

灼「今からハルちゃんにも連絡しようとしていたところで……」

レジェンド「あー、それなんだけどさ」

灼「?」

レジェンド「二人だけでもやらない? 親睦会」

35: 2012/05/27(日) 15:35:24.21 ID:wPRlgP330
灼「……え?」

レジェンド『まぁそのなんだ』

レジェンド『実は私もうボーリング場の前まで来ちゃっててね』

レジェンド『このまま帰るのも味気ないしさ』

レジェンド『それに灼ともっと仲良くなれたらいいなって思っていたし』

レジェンド『ダメかな?』

灼「……」

レジェンド『あー、無理ならいいんだよ? 灼が私と二人っきりが嫌だっていうなら』

灼「嫌じゃない!」

レジェンド『うわっ! 叫ばなくても』

灼「駐車場にいるんですね! ちょっと待っていてください!」

レジェンド『え、どうしたのあら』ピッ

36: 2012/05/27(日) 15:40:17.39 ID:wPRlgP330
レジェンド「電話切られちゃったよ……」

レジェンド「……待ってろ、か」

レジェンド「あの子はひとりでインハイ帰りの私を待っていてくれたんだ」

レジェンド「いくらでも待つ……」

灼「ハルちゃん!」ハァハァ

レジェンド「おおう、早いね」

レジェンド(格好つかないな、私)

37: 2012/05/27(日) 15:44:01.79 ID:wPRlgP330
灼「ハルちゃん……ハァハァ……」

レジェンド「走ってこなくても……息が整ってからでいいよ。話すのは」

灼「いえ、もう大丈夫です」

灼「そんなことよりみてもらいたいものがあるんです」

レジェンド「んー、なになにってコレは……」

灼「はい、ハルちゃんのネクタイです」

40: 2012/05/27(日) 15:48:40.04 ID:wPRlgP330
灼「本当はもっと早くに返すべきだったのに……」

レジェンド「いいよいいよ。私も半分あげるつもりで渡したんだし」

レジェンド「でも取っていてくれたなんて嬉しいなー」

灼「当たり前です! 私の宝物なんですから!」

レジェンド「灼……」

41: 2012/05/27(日) 15:58:44.39 ID:wPRlgP330
灼「いつだってこのネクタイが私を励ましてくれました」

灼「あの時ネクタイをつけてくれたハルちゃんの顔を忘れたことなんてないです」

灼「麻雀部に入ったときだって、このネクタイが力をくれるような気がしてずっとつけていましたし」

灼「ハルちゃんが来てくれてからはなんだか恥ずかしくて学校には別のを使ってましたけど」

灼「家でちゃんと保管していたんです」

レジェンド「ありがとう、灼……」

灼「でも、もうお返しします」

灼「何度も触っちゃって手汗とかで汚れてて恥ずかしいですけど、受け取って欲しいんです」

灼「そのかわり……私たちと一緒に全国に来てください!」

レジェンド「灼……」

42: 2012/05/27(日) 16:06:57.76 ID:wPRlgP330
レジェンド「そのネクタイはもうしばらく預かっておいてよ、灼」

灼「……え?」

レジェンド「私たちはもちろん全国に行く。約束する」

レジェンド「でもそこで終わりじゃないだろ?」

灼「……」

レジェンド「全国優勝」

レジェンド「その時が来たら返してよ」

灼「出来ると思っているんですか?」

レジェンド「出来るさ。阿知賀のレジェンドを信じてよ」

灼「……信じられません」

44: 2012/05/27(日) 16:13:46.52 ID:wPRlgP330
灼「阿知賀のレジェンドはもう信じません」

灼「でも、ハルちゃんは信じられます。信じます!」

灼「だからこのネクタイはもうしばらく預かっておきます」

レジェンド「……ありがとう」

灼「その代わり!」

レジェンド「?」

灼「この私のグローブを預かってください。全国優勝するまで」

レジェンド「分かった、預かるよ」

灼「絶対に返して下さいね!」

レジェンド「約束するよ。阿知賀麻雀部顧問赤土春絵としてね」

46: 2012/05/27(日) 16:23:46.37 ID:wPRlgP330
翌日・学校

穏乃「まさか和がこっちに遊びに来てくれるなんてねぇ」

憧「なんていうかちょっと肩透かしになっちゃったね。麻雀部どうしようか」

穏乃「うぅん。なんだかやる気が……」

灼「何言っているのさ二人とも!」

灼「その和ちゃんっていう人はたった一度会えたぐらいで満足する相手だったの?」

穏乃「……! そんなことないですよ!」

憧「はい。もっとたくさん和と遊びたい!」

レジェンド「その意気だよ二人とも!」

レジェンド「その子は全中王者なんだろ? 同じ舞台に立とうじゃないか」

憧「同じ舞台って……全国優勝!?」

穏乃「全国優勝……なんかやる気出て来た!」

レジェンド「それじゃあ今日も特訓といこうじゃないか!」

一同「はい!」

48: 2012/05/27(日) 16:28:05.43 ID:wPRlgP330
灼(ハルちゃんと一緒に全国に行って見せる!)

灼(それまでもうしばらくお守りとしてこのネクタイは使わせてもらうね。ハルちゃん)


レジェンド(皆やる気を出してくれた)

レジェンド(この子たちならきっと全国にいける。灼との約束も守って見せる)

レジェンド(このグローブはその証だ!)





レジェンド(それにしてもこのネクタイ、灼のいいにおいがするなぁ)

レジェンド(……)



おしまい

53: 2012/05/27(日) 16:31:05.11 ID:b9+/ptf2i

引用元: 灼「ハルちゃんこのネクタイ見て」