1: 2010/06/16(水) 15:35:01.14 ID:lbuO1Yiz0

3: 2010/06/16(水) 15:36:52.40 ID:lbuO1Yiz0
唯「澪ちゃん。ご飯食べよう」

澪「今そっち行くよ」

唯「うん」

律「唯、澪と仲直りしたのか?」

唯「うん/// ごめんねりっちゃん心配かけて」

律「わたしゃなにもしてないよ」

澪「お待たせ」

唯「ほらこっちこっち」

澪「ああ」
けいおん!!コンパクト・コレクションBlu-ray

4: 2010/06/16(水) 15:41:19.24 ID:lbuO1Yiz0
律「なんだぁ~? お隣同士で仲良くちゅっちゅするのかぁ?」

澪「こら律!/// 冗談言うにしてもTPOをわきまえろ!」

紬「まぁまぁまぁまぁまぁ」

和(早くも攻勢に出てるわね。吉と出るか凶と出るか)

唯「澪ちゃん、おかず交換しようよ」

澪「私のお弁当昨日の晩ご飯の残りだから交換できる物なんてないぞ」

唯「それでもいいよぅ。私の鳥カラと交換しよ」

澪「じゃあブリの照り焼きあげるよ」

唯「わーい。あ~ん///」

澪「お前もTPOをわきまえろ///」



律「なんーか前にも増して仲いいなぁ」

紬「そ、そうね。うっ」ボタボタ

和「ムギ、きんぴらにケチャップは合わないわよ」

5: 2010/06/16(水) 15:46:26.73 ID:lbuO1Yiz0
放課後!

澪「律」

律「…………」

澪「律!」

律「ああ、なに?」

澪「なにじゃない。部活行くぞ」

律「あ、そうか。悪い悪い。」

澪「前みたいに熱でもあるのか?」

律「大丈夫だって。澪は心配性だなぁ」

澪「また具合悪い律は見たくはないからな」

6: 2010/06/16(水) 15:51:50.41 ID:lbuO1Yiz0
律「……へへ。胸が熱くなるようなこと言ってくれるぜ」

澪「ばっ、バカ律!/// 先に行くからな!」

唯「澪ちゃん行こー」

律「ムギ」

紬「なあに、りっちゃん」

律「今朝のって……もう終わったってこと?」

紬「そうね、多分。あの様子を見ると」

律「やれやれ。蚊帳の外かぁ」

紬「そんなことないわよ。りっちゃんはみんなをよくみてくれてるわ」

律「よせやい///」

8: 2010/06/16(水) 15:56:36.42 ID:lbuO1Yiz0
梓「お疲れさまで」ガチャ

梓「……す。私が最初か」

梓(唯先輩来るかな。憂が大丈夫だって言ってたから来るよね)

梓(トンちゃんに餌あげてから机でも拭くか)

梓「トンちゃ~ん。餌だよ~」パラパラ

梓(この子も私のことを心配した先輩方が飼ってくれたんだよね、言い出しっぺが唯先輩で)

梓(やっぱり唯先輩は私のこと……)

梓(いやいやいやだって私たち女の子同士だし唯先輩は誰にだってああいう態度取るしそもそも私が唯先輩のことを……だなんて思ってるはずないし)

9: 2010/06/16(水) 16:03:31.71 ID:lbuO1Yiz0
梓(そりゃあ唯先輩は可愛いしたまにすごくかっこいいしいつも私に優しいし抱きついてきたらあったかくて柔らかくていい匂いして気持ちが良いけれど)

梓「んっ、はぁ、唯先輩の机、あっ、ゆっ唯先輩……///」クチュッ コスコスコス

紬「こんにちわ~」ガチャ

梓「ぎゃわー!」ビクビクッ!

紬「どうしたの梓ちゃん?」

梓「んなっなんでもないです! お疲れ様ですムギ先輩!」

紬「机拭いてくれてたのね。ありがとう」

紬「あら、唯ちゃんの机の角だけ濡れてるわよ。拭き残しね」

梓「ふっ拭きます今すぐ拭きます!」

10: 2010/06/16(水) 16:09:30.88 ID:lbuO1Yiz0
唯「それでねー」ガチャ

梓「あ、お疲れさまです」

唯「う゛お゛ー! あずにゃ~ん!」ダダダッ ダキッ

梓「に゛ゃっ!」ジュン

梓「ひあっ……にゃぁ、あっ……///」ビクンビクン

唯「どうしたのあずにゃん? 惚けた顔して涎まで垂れちゃってるよぉ」

梓「な……なんでも、ない、です」ヒクヒク

紬「どうしようなんだかとてつもない出来事が目の前で繰り広げられているような気がしてならないわ」

澪「!」ムッ

澪「……ん?」

唯「あずにゃんお久しぶりぶりぃ~」グリグリ

梓「にゃあん! ゆ、唯先輩昨日会ってないだけじゃないですか」

唯「あずにゃん分は毎日補給しないと大変なんだよ! 一日わずか四十秒のあずにゃん分で、この肉体をあなたにも!」

梓「ムキムキマンですか!? 唯先輩はムキムキになりたいんですか!?」

11: 2010/06/16(水) 16:15:34.76 ID:lbuO1Yiz0
律「いや普通にそれないから」

紬「微笑ましいわぁ」

澪「」ムー

律「ほらほら唯、梓も心配してたんだぞ。その辺にしてやれ」

唯「心配かけてごめんね~あずにゃん」

梓「もう元気なのは充分わかりましたから……」ゲッソリ

紬「それじゃ唯ちゃんの快気祝いということで、梓ちゃん手伝ってもらえる?」

梓「はい!」

梓(良かった。昨日は普通に体調悪かっただけなのかな)

コポコポ

梓「あふぁっ……」

紬「あら、寝不足?」

梓「は、はい。ちょっと遅くまで勉強していて」

梓(心配で眠れなかったなんて言えないよ)

紬「…………」ニコニコ

13: 2010/06/16(水) 16:20:16.94 ID:lbuO1Yiz0
唯「…………」チラッ

唯「澪ちゃん、ティータイムの前に一緒にトイレ行こうよ」

澪「ちょっと待って」ムー

唯「澪ちゃん」

澪「なに。待ってって」ムー

唯「」ギュッ

澪「あ……」

澪「……///」

唯「いこ」

澪「わっ、唯」

唯「澪ちゃん怒ってるの?」

澪「べ、別に……。それより部室の外で手繋いだままで恥ず」

唯「いいの」

唯「澪ちゃんとまた仲悪くなるよりずっといい」

澪「唯……」

14: 2010/06/16(水) 16:25:26.28 ID:lbuO1Yiz0
唯「戻ったよー。すっきりー」

澪「そういう恥ずかしいこと言うな!///」

律「よっこらっせっと」

唯「りっちゃんおじさんくさ~い。それにそこ私の席だよ」

律「まあたまには席替えもいいじゃん。な、澪?」

澪「あ、ああ。いいんじゃないか」

澪(唯が正面に……)

梓「澪先輩どうぞ」コト

澪「ひゃっ。あ、ああ。ありがと」

梓「?」

梓「唯先輩もどうぞ」

唯「ありがとあずにゃん」ニコ

17: 2010/06/16(水) 16:30:36.52 ID:lbuO1Yiz0
梓「あ、熱いから気をつけてくださいよ///」

澪(なんだか胸がざわつくな。どうしたんだろ私)

梓「今日の唯先輩のヘアピンってファンシーですよね。いつもはシンプルなの着けてるのにどうしたんですか」

唯「えへへ~。かわいいでしょ?」

梓「え、ええ」

梓(子供っぽい感じがするけど、唯先輩になら似合うな)

唯「この前澪ちゃんと遊びに行ったときにね、買って貰っちゃったの」

梓「え?」

澪「お、おい唯。あんまり言いふらすな。大したことじゃないのに恥ずかしいだろ///」

梓(知らなかった。澪先輩が、唯先輩に……)

唯「部活のみんなと和ちゃんと憂にしか言ってないよぉ。いいじゃん~。ねぇあずにゃん」

梓「え、はい。まあ……」

19: 2010/06/16(水) 16:37:12.72 ID:lbuO1Yiz0
~♪
ジャカジャカジャーン

唯「ん~?」

ジャカジャカジャーン

唯「んん~?」

唯「ねえ、澪ちゃん。なんか今の私のおかしくなかった?」

澪「唯、そこ間違ってるぞ」

唯「え、そうだっけ?」

澪「譜面よく読め。ほら、ここ」

唯「あ、ほんとだ。こうか」

ジャカジャカジャーン♪

澪「そうそう」

唯「澪ちゃんは教え方上手いよね~」

澪「このくらいは普通だ///」

梓「…………」

梓(ギターのことなら私に聞いてくれればいいのに)

21: 2010/06/16(水) 16:43:07.72 ID:lbuO1Yiz0
唯「ねね、澪ちゃんほら」ヒソヒソ

澪「え? わわっ!」

唯「声大きいよ!」ヒソヒソ

澪「なんでこんな恥ずかしいのを」ヒソヒソ

唯「大丈夫だよ。澪ちゃんのいうとおりプリクラ目立たないところに貼ったんだよ」ヒソヒソ

唯「携帯の電池カバー外したところ」ヒソヒソ

澪「///」

澪(写真見てるだけであの時の唯の匂いと体温を思い出してしまう///)

唯「澪ちゃんはどこに貼った?」

澪「まだ迷って貼ってない……」

唯「なぁ~んだ。貼ろうよぉ」

澪「なんだか……勿体なくて」

唯「……うふふ。そうだね」

唯(お揃いでギターとベースに貼りたいなぁ……)

22: 2010/06/16(水) 16:48:27.50 ID:lbuO1Yiz0
梓の部屋!
梓(いつの間に澪先輩とあんなに仲良くなってたんだろ……唯先輩もあんなに喜んじゃって。)

梓(個人練習の時も澪先輩と一緒にやってて、良い感じだったな。一つの譜面二人で見てくっつく程)

梓(でも今日も私に抱きついてきたし、なんかあるわけじゃないよね)

梓「そうだよねー。唯先輩」ダキッ

梓「うっ、唯先輩人形から据えた匂いが……。毎日擦ってたもんね。お風呂入るとき洗濯してあげなくちゃ」

唯(梓)「あずにゃん一緒にお風呂入ろうよぉ」

梓「そ、そんなことできません! 入るなら一人で入ってくださいよ!」

唯(梓)「またまたそんなこと言っちゃってぇ。同じ軽音部員同士裸の付き合いも必要だよぉ」

梓「は、裸って/// そんな……」

唯(梓)「あれあれぇ。あずにゃんえOちなこと考えちゃったのかなぁ」

梓「そ、そんなことありません! 唯先輩がそんなこと言うから……」

唯(梓)「あずにゃんのここ……濡れてきちゃってるよ……いけない子だね」

梓「あっ、や、やめてください、せん……ぱい……」クチュ

梓母「早くお風呂に入りなさい!」バタンッ!

梓「ぎゃー! おかーさーん!」

23: 2010/06/16(水) 16:53:20.66 ID:lbuO1Yiz0
憂「梓ちゃんどうしたの? 今日は元気ないね」

梓「いや……どうしたらうちのお母さんにノックして部屋に入る習慣を付けて貰えるか悩んでいて」

純「あ、まさか一人エOチしてるところでも見られた?」ニシシ

憂「じゅ、純ちゃん!///」

梓「そそそそそんなことあるわけないじゃんんんんんん!」

憂純(あーそんなことあったんだー///)

梓「そ、それよりも憂。唯先輩って澪先輩と遊びに行ったって部活してたとき聞いたんだけど」

憂「うんそうだよ。お姉ちゃん楽しんできたみたいだよ。すっごく嬉しそうにしてた」

憂「――妬けちゃうくらい」オオォ...

純「あれ? なんだか寒くない?」ガクガク

梓「そっかぁ。いいなぁ」

純「梓、澪先輩に憧れてたもんね。同じ部員なんだし梓も気軽に誘ってみたらどう?」

梓「う? えと、そ、そうだね」

梓(そりゃ澪先輩はかっこいいし美人で、今でも憧れてる。でも……)

梓(でも、今は……私)

24: 2010/06/16(水) 16:58:31.20 ID:lbuO1Yiz0
放課後!

コポコポ

紬「え?」

梓「あの、最近唯先輩と澪先輩に何かあったのかな……と」

紬(ああ……)

紬「私も詳しくは分からないんだけどね、ついこの前唯ちゃんと澪ちゃんの意見が食い違って、しばらくギクシャクしていたみたいなの。それが最近仲直りしたみたい」

梓「そうなんですか」

梓(それも知らなかった……。憂が言ってた一緒に遊びに行ったのが関係してるのかな)

紬「…………」

紬「私もほんの少し話聞いただけだから、今日知ったようなものよ。りっちゃんにも聞いてみたけど同じようなこと言っていたわ」

紬「でも今思うと、梓ちゃんもちょっと唯ちゃんと澪ちゃんの様子がおかしいかな、って思うことなかった?」

梓(……そういえば、部活中に違和感はあったかな)

梓「少し思い当たることは。そうでしたか。まあ……仲直りされたんでしたらいいことです」

唯「こにちゃー!」

25: 2010/06/16(水) 17:03:19.56 ID:lbuO1Yiz0
澪「お、おい唯引っ張るな」

律「おいーす」

紬「こにちゃー♪」

梓「唯先輩こんに……ちは」

梓(なんか昨日よりもくっついてる。ほとんど腕組んでるじゃないですか)

唯「あずにゃんこにちゃー♪」チャクセキ!

梓「あ、澪先輩すみません。今席どけますんで……」

澪「ああ、いいよ。食器移動するのも面倒だろ。それに今日はすぐ練習始めるからな」

梓「そ、そうですか」

律「お、私がお誕生日席か。今日のケーキはロウソク付きかぁ?」

紬「残念。今日は”あん豆ふ”よ~。梓ちゃん、私がお茶淹れるわね」

梓「あ、はい。お願いします」

梓(律先輩は私の席。澪先輩は……自然に唯先輩の隣に座ったな)

律「ん? どうした梓元気ないな、ムギに尺骨神経刺激され続けてイジメられたのか?」

梓「は?」

26: 2010/06/16(水) 17:08:52.85 ID:lbuO1Yiz0
澪「律、ムギがそんなことするわけないだろ」

紬「……あっ! それ昨日のドラマね」

唯「あれって地味にキクよね~。コメディドラマで見てる分には面白いけど」

梓「あ、それ私も見ました。主人公がヒロインにビリビリされ続けるっていうのですよね」

律「そうそう」

紬「もぉ~りっちゃんたら。梓ちゃんにそんなことしないわぁ」

律「ははっ、悪い悪い」

紬「りっちゃん、はいどうぞ」コト

律「ありがとムギ」

紬「市販の木綿豆腐でいいわよね」

律「えっ」

紬「はいみんな、今日はウェッジウッドの紅茶よ~」

唯「わーい!」

紬「りっちゃんは水道水でいいわよね」

律「えっ」

27: 2010/06/16(水) 17:13:22.13 ID:lbuO1Yiz0
唯「あっ」

ジャーン

梓「ズレましたね。ここはこうですよ。もう、さっきも教えたじゃないですか」

唯「ごめんごめん。もう一回さっきのところから」

梓「じゃあいきますよ。ワンツー……」

ジャンジャンジャカジャカ♪

唯(うおっと!)フラッ

澪(やばっ)トスッ

ジャカジャカジャンジャカ♪

唯(澪ちゃんが背中で受け止めてくれて助かったよ)

澪(唯手元に集中して足がふらつき過ぎだ)

梓「…………」

ジャラーン♪

梓「……言わなくても分かると思いますが……」

唯「ごめんごめん~。転びそうになって変な体勢で弾いちゃったから」

28: 2010/06/16(水) 17:18:34.37 ID:lbuO1Yiz0
唯「澪ちゃんありがとね。結局弾き終わるまで体預けちゃった」

澪「別にいいよ。唯がそんなのは高一の頃から分かってるし」

唯「デヘヘ。すいやせん///」

梓「」ムムムッ

律「はぁ~もうちかれたぁ~!」

梓「お疲れ様でした」カタヅケ

紬「梓ちゃん?」

梓「実は今日はこのあと用事がありますので。これで失礼します。律先輩いいですか」

律「あ、ああ。気をつけて帰れよ~」

梓「失礼します」ツカツカ ガチャ

唯「……あれ、あずにゃん怒っちゃったのかな。言われたところちゃんとできなかったから」

紬「よ、用事があるって言ってたからきっと急いでいたのよ」

律「でもなんかちょっと顔しかめてたぞ?」

澪「まあなんかあっても誰にだってそういう日はあるだろ。聞かれたくないこともあるかも」

唯「あ、明日は頑張るよ!」

29: 2010/06/16(水) 17:23:18.84 ID:lbuO1Yiz0
梓(唯先輩今日は一度も抱きついてこなかったな……)テクテク

憂「梓ちゃん」

梓「う、憂?」

憂「部活の帰り?」

梓「う、うん。憂は?」

憂「夕ご飯の買い出しだよ。この時間が丁度夕方と夜の商品入れ替えの境目でお安くなるの」

梓「そうなんだ。毎日大変だね」

憂「えへへ、そうでもないよ。お料理とか好きだもん。たまにお姉ちゃん手伝ってくれるしね」

憂「そうだ、せっかく会ったんだからちょっとお茶していかないかな?」

梓「え、でも私制服だし……」

30: 2010/06/16(水) 17:28:49.29 ID:lbuO1Yiz0
憂「大丈夫だよ、スーパーにある飲食コーナーに行くだけだから」

梓(憂ったら随分所帯じみちゃって……)

梓「そこなら気兼ねないからいいかな。あ、夕ご飯の用意はいいの?」

憂「うん。下ごしらえはしてあるから時間はあるの」

憂「良かった。最近梓ちゃんと一緒にこういうことなかったしね」

梓「そだね。純とはどうなの?」

憂「純ちゃんともたまにお茶しに行くよ。ジャズ研が休みの日とかに」

憂「今度三人でどこかに遊びに行こうよ」

梓「いいね。明日にでも純に話そう」

31: 2010/06/16(水) 17:33:16.42 ID:lbuO1Yiz0
憂「それでね、お姉ちゃんがお風呂でのぼせちゃって部屋まで運ぶのが大変で――」

梓「唯先輩らしいなぁ、はは……」

憂「でもお姉ちゃんを担いでるときあったかくて柔らかくていい匂いがして、その前にのぼせたお姉ちゃんを介抱するのに裸で横たわったお姉ちゃんを団扇で扇いでハァハァ」

梓「わかったわかったから声抑えて!」

憂「ちゃんとタオルは掛けてたから大丈夫だよ! いかに妹の私でもお姉ちゃんの裸をそう易々と見る事は」

梓「見てる向こうのおばさんたちこっち見てるよ憂声声!」

梓「ほんと憂はお姉ちゃん大好きなんだね。唯先輩があんなにだらしがないわけだ」

憂「そんなだらしがないお姉ちゃんも可愛いよぉ」

梓(純ともいつもこんな会話してるんだろうか……)ゲッソリ

梓「あ、ねえ憂。朝言ってた唯先輩と澪先輩が遊びに行ったって話」

憂「え、ああ、うん。それがどうかしたの?」

32: 2010/06/16(水) 17:38:23.55 ID:lbuO1Yiz0
梓「それと関係してるのか分からないけど唯先輩と澪先輩がケンカしたとかで……。憂は何か知らない?」

憂「ケンカ!? ……さあ、そんな様子はなかった気がする。本当に澪さんとお姉ちゃんがケンカしたの?」

梓「今は仲直りしたって。ムギ先輩からの情報。その、仲直りしたてだからなのか澪先輩とやけに仲が良くて」

憂「それなら良かった。お姉ちゃんの悲しむ顔は見たくないもん」

憂「あ、いつもは梓ちゃんのこと可愛がってるお姉ちゃんを澪さんに取られて妬いちゃってるのかな?」

梓「べっ別にそんなことないもん!///」

梓「憂こそ、それだけお姉ちゃん好きなのにヤキモチとか妬かないの」

憂「……それなりにはするよ。少しは、ね」オオォ...

梓「寒っ。ここ冷房かけすぎじゃないの」ガクガク

憂「なんて冗談。お姉ちゃんはお姉ちゃん。私のお姉ちゃんだもん。大丈夫だよ」

梓「そっか……」

梓(なんか達観してるなぁ。姉妹だからかな)

34: 2010/06/16(水) 17:43:18.71 ID:lbuO1Yiz0
梓「ん……そろそろ出ようか憂」

憂「あ、そうだね。もうこんな時間」

梓「貴重な唯先輩話が聞けて面白かったよ」

憂「そう、良かった。今度はゆっくり遊ぼうね」

梓「うん。それじゃまた明日」

憂「じゃあね。……あ、梓ちゃん」

梓「え、なに?」

憂「……ううん、ごめん。なんでもない。ばいばい」

梓「ばいばーい」

憂(梓ちゃん、……ごめんね)

梓(なにか引っかかるな……)

35: 2010/06/16(水) 17:48:24.21 ID:lbuO1Yiz0
澪「…………」

澪「はぁ。こうしていつまでも携帯見つめていても仕方ないよな」

澪「んんん~……ていっ」ピッ

プルルルル プルルルル

澪(……出ないな)

プルルルル プルルルル

澪(い、一旦かけなおそう)

プル

唯『もっもしもしもしもし澪ちゃん!? んどぅわわああ!』ボスッ

澪「唯!?」ドキッ

唯『あいたた。だ、大丈夫。ベッドに倒れただけ』

澪「な、なにやってんだよ」ホッ

唯『あはは。携帯部屋に置きっぱなしで着信きたから急いで取ったらね』

36: 2010/06/16(水) 17:53:16.33 ID:lbuO1Yiz0
澪「そんなに急ぐことないのに」

澪(私からの着信だから? ……なんてそんなわけないか)

唯『んで澪ちゃんなにー?』

澪「い、いや特別用事があったんじゃないけど、なんとなく……。なんかしてた?」

唯『……ううん! 全然! 暇してたとこだったからちょうど良かったよ!』

澪「それもどうかと思うがな。明日の宿題済ませたか?」

澪(あ、そういう話したいんじゃないのに……)

唯『い、今からやろうと思ってたとこだよ!』

澪「じゃあこうして電話してるのは悪いな」

唯『う~。澪ちゃんのいじわる』

澪「あはは。ごめん。でも長話はできないね」

唯『あ、そうだ! それなら電話で宿題教えてよ!』

澪「それは無理」

37: 2010/06/16(水) 17:58:43.06 ID:lbuO1Yiz0
~♪

澪「あ~うんうん、わかるわかる」

唯『でしょでしょ~。それで憂ったらねー――』

澪「――それは憂ちゃんの言うほうが正しいな。あ、もう二時間も過ぎてる」

唯『え、あれ? ほんとだ』

澪「じゃあそろそろ切るね。唯宿題忘れるなよ」

唯『えー、もう少し話そうよぅ』

澪「だーめ。これで唯が宿題できなかったら私の寝覚めが悪いから」

唯『む~……。わかったよ。今からやるよ』

38: 2010/06/16(水) 18:03:15.91 ID:lbuO1Yiz0
澪「まあ分からないところあったらメールでもしてくれ」

唯『電話するよ』

澪「それでもいいよ。じゃあまた明日」

唯『うん。じゃあね。電話ありがとね』

澪「…………」

唯『…………』

澪「唯、電話切れよ///」

唯『澪ちゃんこそ切ってよ///』

澪唯(この展開は普通に切りづらい……///)

40: 2010/06/16(水) 18:08:15.85 ID:lbuO1Yiz0
~♪

澪「ふぅ。電話切るのも一苦労だな」

澪「…………」

澪「ふふっ」マクラギューッ

澪(なんだろう。唯と話してるととても楽しい)

澪(はぁ……なんか今日は暑いな。体がぽかぽかする……)

澪(本当は私ももっと電話してたかったけど、私のせいで宿題忘れるなんてことになって欲しくないしな)

澪(そうだ、今からメールもしてみようかな)

澪(いやいやいや、メールし始めて止まらなくなったら本末転倒じゃないか)

澪(でも返信来ても私が止めればいいよな)

澪(でもでも私が返信止めたら唯どう思うんだろ……)

澪「ん~どうしよう~!///」バタバタ

41: 2010/06/16(水) 18:13:21.87 ID:lbuO1Yiz0
~♪

唯「澪ちゃんから電話くるなんて。う~!///」バタバタ

唯「嬉しいよぅ」マクラギューッ

唯「和ちゃんの言ってたこと、本当だったりして///」

唯「そしたらいいなぁ……」

唯(でも、私のこの気持ち、変なのかな。だってやっぱり女の子同士だし……)

唯「ううん! 大丈夫だよきっと! ね、ギー太!」

メルメルメル♪

唯「ひゃっ!? 澪ちゃんからメールかな?」

唯「あ、あずにゃんだ。『起きてますか?』って」

唯「『起きてるよ。あずにゃんどうしたの?』っと」

メルメルメル♪

唯「はやっ。『良かったら明日朝練付き合って貰えませんか』か……」

唯「今から宿題して朝練のために起きたら寝る時間少なくなっちゃうなぁ」

42: 2010/06/16(水) 18:19:30.33 ID:lbuO1Yiz0
唯「でも他ならぬあずにゃんの頼み事だもんね。『いいよ~。いつもの時間に玄関で待ち合わせよう』っと」

メルメルメル♪

唯「あずにゃんってば返信早すぎ。ケータイマスター? 『ありがとうございます。それと、遅刻しないでくださいね』って」

唯「もー。私ってばそんなに信用ないのかなぁ」

唯「ういー」

憂「なにお姉ちゃん?」ガチャ

純『憂? う』ピッ

唯「ごめん憂、明日部活の朝練行くから早めに起こしてくんないかなぁ」

憂「わかったよお姉ちゃん。なら今日は一緒にお風呂入ろっ♪」ヌギヌギ

唯「前後の繋がりがよく分からないしパンツから脱がなくていいよ私今から宿題しなくちゃいけないんだぁ」

憂「そうなの……」シュン

唯(パンツ半脱ぎでシュンとしちゃうレアな憂を見られるのは姉の特権だね! ハァハァ)



純『ぐぬぬぬぬ!』

43: 2010/06/16(水) 18:24:44.16 ID:lbuO1Yiz0
~♪

梓「ほぅ……。良かった、朝練楽しみだな。二人でやるの久しぶりだ」

梓(澪先輩とのこと……気になるなぁ)

梓(先輩方もどうして誰も話してくれなかったんだろ。ギクシャクしてたっていうから、話題に出しづらかったのかな)

梓(やっぱデート……なのかな。二人きりで)

梓(でもそんなことないよね。女の子が好きだなんて、そうそう無いんだし)

梓(そうそう無い……唯先輩だって、そうなんだろうな……)

梓「…………」

梓「あーもう! うじうじ考えていても仕方ない! 明日は朝練だから今日は寝よう」

梓「おやすみなさい」

梓「…………」

梓(私は……どうしたいんだろう)

梓「…………」

梓(唯先輩……)

梓「…………」スゥスゥ

44: 2010/06/16(水) 18:29:18.31 ID:lbuO1Yiz0
~♪

唯「はがっ……ぐぅぐぅ……もがっ……」

憂「もうお姉ちゃんたら、机で寝てたら風邪ひいちゃうよ」

憂(宿題半分も終わってない)パラパラ

憂(澪さんいるから、私が宿題を手伝ってあげることはできないけれど……)

憂「ベッドで寝ようね、お姉ちゃん」ヒョイ...トサッ

唯「んん……み、おちゃ……」ムニャ

憂「…………」

憂「頑張ってね、お姉ちゃん」チュッ

46: 2010/06/16(水) 18:34:26.96 ID:lbuO1Yiz0
~♪

澪「…………」ウツラウツラ...

澪「はっ。ん……唯からメールは来てないか。そろそろ私も寝ようかな」

澪「……もしかしたらこれから来るかもしれないから、もう少し起きてるか……」ウツラウツラ...



チュンチュン

澪「結局こなかったか……ふぁ、眠い……」

48: 2010/06/16(水) 18:39:47.48 ID:lbuO1Yiz0
~♪

唯「ふわぁあ~。あずにゃん今朝は機嫌がいいね」

梓「そうですか? ま、まあ唯先輩が遅刻しないで来たのに怒る理由なんてありませんよ」

梓「それにしても、そんなに眠いですか」

唯「昨日はちょっとね、夜更かししちゃって」

梓「もう、朝練あるって連絡した意味ないじゃないですかぁ」

唯「ごめんごめん。じゃあ目覚ましに一曲弾こうか」

梓「はいっ!」キラキラ

唯「と、言うとでも思ったかー!」ダキッ!

梓「にゃあんっ! ゆっ唯先輩! 朝からもぅ!」

梓「……///」

49: 2010/06/16(水) 18:44:10.77 ID:lbuO1Yiz0
唯「おろ、あずにゃん具合でも悪いの?」

梓「え、そんなことないですよ。いたって元気印です」

唯「だぁって、こういう時はいつもてーこーするじゃん」

梓「し、してますよ今も!」

唯「まあいいやぁ。うりうり~朝一のあずにゃん分補給ぅ~」グリグリ

梓「も~早く練習しましょうよ///」

梓(良かった。いつもの唯先輩だ)

梓「ってちょ、ほんとにもうやめ……いやぁなんかカクカクしてる!」

唯「もうちょっと、もうちょっとだけ。お゛ぉおおお゛ー」カクカク

梓「れ、練習するですー!///」

50: 2010/06/16(水) 18:49:23.36 ID:lbuO1Yiz0
唯「っていうことがあってねぇ。なんだかあずにゃんがしおらしくて可愛かったよ」

澪「ふーん」ムスー

律「部長に断りもなく朝練とは何事だ!」

和「律に断りを入れても状況は変わらないと思うけど」

和「…………」チラッ

和「澪、目の下に隈ができてるわよ」

澪「ああ、気にしないでいいよ……」グテー

澪(梓と朝練か……宿題やれてないんだろうな)

唯「澪ちゃん大丈夫?」

澪「大丈夫」ムスー

唯「???」

律「みーおー。宿題……写させてくれないかしらん?」

唯「あっ! 私も途中までやったけど寝ちゃったんだった。澪ちゃん私もお願い~」

澪「い・や・だ」

52: 2010/06/16(水) 18:54:29.73 ID:lbuO1Yiz0
唯「えっ、あは、だ、だめかな」アセアセ

澪「だから昨日ちゃんとやれって言っただろ」ムスッ

律「え~! のど」

和「震えて眠れ」

律「」ガクガク

紬「遅れちゃった。みんなおはよう」

和「珍しいわね。ムギがこんな時間に来るなんて」

紬「ええ、ちょっと用事があって」

律「へー。なんの?」

紬「大したことではないの。あ、さわ子先生が来たわ」

唯「…………」チラッ

澪「…………」ムスー

和(やれやれね)

紬(朝練?の様子バッチリ撮れてたわ!)ハァハァ

53: 2010/06/16(水) 18:59:15.78 ID:lbuO1Yiz0
澪(朝はちょっと強く言いすぎたかな……)カキカキ

澪(次の時間が宿題ある授業か……。唯、順番で当たりそうだったもんな)カキカキ

キーンコーンカーンコーン

唯「あ゛~。休み時間だぁ~。カレー食わせろ~」

澪「唯」

唯「澪ちゃん。どうしたの?」

澪「ほら、これ」カサ

唯「ルーズリーフ? あ、宿題の部分だ」

澪「今回だけだからな」タッ

唯「澪ちゃん……ありがと!」

54: 2010/06/16(水) 19:04:14.10 ID:lbuO1Yiz0
和「澪」

澪「ん、なに?」

和「あんまり唯を甘やかしちゃだめよ」

澪「な、なんのこと?」

和「宿題」

澪「う、なんとなくだよ」

和「ふふ。まあ頑張ってちょうだい」

澪「へ、なにを?」

和「なんでもない。独り言」

澪(なんだろ……)

55: 2010/06/16(水) 19:09:23.13 ID:lbuO1Yiz0
唯「あず~にゃん!」ダキッ

梓「もうにゃー! ゆ、唯先輩、そのあず~にゃんっていうのはちょっと」

唯「なんか口にしてみたら結構ヒットしたんだ」

梓「ヒットしないでください」

唯「えーひどいよあず~にゃん!」

梓「にゃっ! も、もうやめ……力つよっ!」グググッ

唯「あず~にゃん分吸収……吸収……っ!」ギュルッポンギュルッポン!

梓「うっあっ……///」グッタリ

紬「ふふ。いつも微笑ましいわね」

澪「」ムスー

律「憂ちゃんにも和にもよく抱きついてるし、まあ唯なりのスキンシップだよな」

澪「ま、まあそうだよな。はは」

~♪

56: 2010/06/16(水) 19:14:38.69 ID:lbuO1Yiz0
梓「唯先輩、私の分わけてあげます」

唯「えーいいの!?」

梓「朝練付き合って貰ったお礼です」

唯「あずにゃん大好き~ん」ナデナデ

梓「ふにゅ///」

澪(なんか二人いい感じだな……)ムカムカ

紬「まるで唯ちゃんのもう一人の妹みたいね」

梓「///」

唯「あずにゃんみたいな可愛い妹いたら嬉しいなぁ」

澪「!」

澪「……ほら唯、それ食べたら練習するからな」

唯「う? うん。ちょっと待ってね」パクパク

梓「唯先輩そんなに急いで食べたらむせますよ」

57: 2010/06/16(水) 19:19:46.18 ID:lbuO1Yiz0
梓「最近はよく練習してるですし、少しくらい遅くても」

澪「梓まで」

律「まあまあ落ち着けよ澪、なんだあの日か? それとも好きな人とうまくいってないとか?」

唯「!?」

澪「またそんなこと言って、そ、そんなことあるわけないだろ」

紬「そうなの澪ちゃん!?」パァ

澪「だっだから違うって!」

澪(唯……こっち見てる……恥ずかしい)

律「またまた~澪ちゅわんったらお顔真っ赤になって図星だったりぃ~」

律(ゲンコくる~!)

澪「…………」フルフル

律(……って、あれ?)

澪「…………」ポロポロ

58: 2010/06/16(水) 19:30:14.67 ID:lbuO1Yiz0
唯「澪ちゃん? りっちゃんいくらなんでも言い過ぎだよ!」

律「わり、冗談だったんだけど。澪……」

澪「もぅ帰る……」ガタッ

律「ごめん澪言い過ぎた」

澪「…………」ガチャ バタン



梓「澪先輩、帰っちゃいましたね……」

唯「……私追いかけてくる」

梓「今はそっとしておいたほうが」

唯「でも、一人じゃ心配だよ」

梓「唯先輩……」

律「唯! 待て!」

唯「なに!? 早くして!」

59: 2010/06/16(水) 19:35:13.88 ID:lbuO1Yiz0
澪「…………」グスグス

澪(感情が昂ぶっちゃってる……恥ずかしいところ見せちゃったな)

澪(どうしてこんなになってるんだろ。あれだっていつもの律の悪ふざけじゃないか)

澪(でも唯も満更じゃない態度取って……梓と仲良くて……)

唯「澪ちゃ~ん!」

澪「唯!?」ドキィ!

唯「よかった、遠くまで行っちゃってなくて、はぁ、はぁ」

澪「……唯、どうしたんだよ」ゴシゴシ

澪「まっまた唯まで私を笑いにきたのか……」ドキドキ

澪(また……唯の前で)

唯「ちっ違うよ! ただ私は――」

澪「だってそうだろ! 恥ずかしいのに、あんなに恥ずかしかったのに唯だってじっと私のこと見て!」ドキドキ

澪「好きな人がいるとかいないとか、分からないよそんなこと!」

60: 2010/06/16(水) 19:40:11.08 ID:lbuO1Yiz0
澪(唯にこんなこと言いたくないのに……!)

唯「澪ちゃ」

澪「嫌なんだそんな風に言われるの絶対に嫌っ!」ダンダン!

唯「澪ちゃん! ぎゅぅ!」ギュウゥ!

澪「はぅ……!」

唯「大丈夫、大丈夫だよ澪ちゃん……。私、笑いにきたんじゃないの」ナデナデ

澪「はぁ、はぁ、はぁ……」

唯「私、澪ちゃんと一緒に帰りたかっただけ……。だめ?」ナデナデ

澪「…………」フルフル

唯「よかった……。もう大丈夫だからね、澪ちゃん」ナデナデ

――♪

律『唯、あいつすっごい恥ずかしがり屋だろ。少しくらい恥ずかしく思ってもいつもの通りだけど、沢山ストレス溜まるとたまに爆発しちゃうんだ』

律『そうするともう誰の話も聞かなくなっちゃって、子供みたいに駄々こねるんだよ。自分でも感情をコントロールできないみたい』

61: 2010/06/16(水) 19:45:16.24 ID:lbuO1Yiz0
律『でもそういうのを繰り返してストレスとの付き合い方が分かってくるみたいで、昔に比べたらそれも全然少なくなってきてるけど』

律『もしそうなってたら……落ち着くまで側にいてやってくれ』

律『あと、私がこんなこと言ってたなんて、言わないで』

――♪

澪「…………。ご、ごめん。……唯」

唯「ううん、いいよ。私は一緒に帰りたかっただけなんだから」

澪「そっか……でも部活」

唯「大丈夫だよ。今日はお茶飲んで終わり」

澪「……ごめん、私のせいで部活中止にさせて、こんな恥ずかしいとこまで見せて。もう大丈夫」スッ

唯(あ、離れちゃった……。澪ちゃんって、柔らかくて気持ちいいなぁ。すごくいい匂いするし、おっOいなんか憂より大きいよ///)

唯「澪ちゃんそんなことないよ。それに誰だってああいう話は恥ずかしいもん///」

唯「でも、りっちゃんも……悪気はなかったと思うんだ。だから」

澪「うん、それは分かってる。あいつとは十年近く付き合ってるからな」

62: 2010/06/16(水) 19:50:14.37 ID:lbuO1Yiz0
唯「…………」

澪「なんだか今日は不安定みたいでさ。律のことは怒ってないよ」

唯「そう、良かった。私もごめんね、図々しいこと言って」

澪「いや、ありがとう」

ギュッ

唯「!」

唯(澪ちゃんから手握って……)

澪「正直に言うと、ちょっと一人で寂しかったんだ」

澪「唯が来てくれて、止めてくれて嬉しかった」

唯「そ、そんな大したことしてない……私」

澪(唯、か、可愛い……)ドキドキ

澪(私……どうして……)ドキドキ

唯「…………///」

65: 2010/06/16(水) 19:55:10.66 ID:lbuO1Yiz0
澪「…………///」

澪「さ、最近よく思い出すんだ」

唯「なにを?」

澪「…………」

澪「高一の合宿で、花火の前でギター弾いてた唯のこと」

唯「あれかぁ。楽しかったよね」

澪「私……あんなに楽しそうにギター弾く唯を見て、すごく」

澪(感動した……? ううん、感動っていうか、うう~ん今みたいな感じなんだけど……)

唯「すごく、なに?」

澪「ええと、すごくいいなぁって思った」

澪「言葉じゃうまく言い表せない、かな」

唯「そっかぁ」

唯(そっかぁ……そんなに前から。嬉しい……///)

67: 2010/06/16(水) 20:01:41.65 ID:lbuO1Yiz0
~♪

梓「ムギ先輩」

紬「あら、梓ちゃん。何か忘れもの?」

梓「あの、ちょっとお話しがあって……。少しいいですか」

紬(別れたあとにわざわざ追いかけてくるなんて。余程の話かしら)

紬「いいわよ、今日はアルバイトもないから。そこの喫茶店でいい?」

梓「はい。ありがとうございます」

~♪

紬「唯ちゃんたち結局戻ってこなかったわね」

梓「はい……、律先輩も冗談にしては言い過ぎです」

紬「私も同罪。反省しないといけないのは私よ。澪ちゃんの様子に気づいて止めるべきだった」

紬「それと、あまりりっちゃんを責めないであげて。りっちゃんはいつもみんなを盛り上げようとしてくれてるの」

梓「まあ、それはあると思いますけど……」

紬「ときどき行き過ぎちゃうこともあるけれどね」クスッ

紬「それにりっちゃんと澪ちゃんの仲だから、明日には大丈夫よ」

68: 2010/06/16(水) 20:05:56.65 ID:lbuO1Yiz0
梓「そう、ですよね」

紬「あ、ごめんなさい。それで梓ちゃんの話ってなにかしら?」

梓「……その……」

紬「うん?」

梓「ムギ先輩はこういうこと詳しそうだし、相談もしやすいので……」

紬「なにかしら」

梓「…………。せ、先輩は、お、女の子同士の恋愛とか、どっどう思いますか///」

紬「…………」

紬「悪いことではないと思うわ。普通の恋愛より色々辛いことも多いでしょうけれど、お互いが好きあってるなら」

梓「…………。意外です」

紬「え? なんで?」

梓「だって、その、いつもムギ先輩って部活でも先輩方がこう、くっついたり仲良く話したりしてるだけでハァハァしてたまに鼻血とか……。だからもっと私の話にもハァハァするのかと」

紬「くすっ。後輩のご身分でとてもよろしい根性していらっしゃるわね。梓ちゃん」ゴゴゴゴゴ

梓「ひっ! すっすみません!」ガタガタ

紬「冗談よ~」

69: 2010/06/16(水) 20:10:10.21 ID:lbuO1Yiz0
梓「はひっ、はひぃ!」

紬「……確かに私は女の子同士が仲が良いのが好きよ。でもね、例えそれが普通の恋愛だとしても、真剣に恋をしてる人を茶化すようなことはしないわ」

梓「ムギ先輩……」

紬「それで、唯ちゃんとのこと?」クスッ

梓「っ! なっななななんで!?///」

紬「うちの部で一番仲が良く見えるから」

梓「///」

梓「せ、先輩は、おかしいと思いますか……」

紬「おかしくないわよ。唯ちゃん可愛いもの。それにしっかり者だわ」

梓「でっでも、練習しないし、いつもだらだらした雰囲気で、家でもいつもゴロゴロしてるって憂が///」

紬「くすっ。梓ちゃんはそんな唯ちゃんを好きになったんでしょ?」

梓「うっ……/// だ、だって、いつも優しいし、決めるところでは決めるし、先輩に言う言葉じゃないですけどか、可愛いですし……///」

梓「……でも、怖いんです」

紬「怖い?」

梓「断られるだけならいいんです。唯先輩に気持ち悪いと思われたらと思うと……。それならいっそこのまま、先輩後輩の、姉妹みたいな関係のほうが……」

71: 2010/06/16(水) 20:15:10.74 ID:lbuO1Yiz0
~♪

和「怖い?」

律「……怖いよ。もし本当にそうなら、それで私たち軽音部の関係が壊れるかもしれないって思うと……」

和「…………」

和「あなたたちなら、それも乗り越えられるんじゃないかと私は思うけど」

和「その前に、どうして澪が唯のことを……って?」

律「そりゃ分かるよ。私らが何年幼馴染みしてると思ってるの。あいつの変化なんて目をつぶってても気づける」

和「珍しく同感ね」

律「今日だってまさかと思って冗談半分で突っついたらあれだし、本当なら応援してやりたいとも思うよ。でもさ」

和「自分から離れていくのが寂しい? 律って澪のこと好きなの?」

律「好きだよああ好きさ一番大切な人だよ、……親友としてだけどな。それ以上の気持ちは残念ながら」

和「ごめん。意地悪な質問だった」

律「……いいよ、別に。和は唯が澪をどう思ってるのか聞いてないか?」

72: 2010/06/16(水) 20:20:10.18 ID:lbuO1Yiz0
和「律って本当に優しいわね」

律「なっ、なんだよ急に気持ち悪いな」

和「澪が一番傷つかない方法を探してるから」

律「そ、そんなんじゃないよ///」

和「唯は……まあ見たとおりかしらね。あの子思ってることが素直に態度に出てくるから」

律「なるほどってことは唯は梓が好きなのか」

和「それは分からないけれどね。短絡的ね」

律「だとしたら梓は……あーわかんねぇ~!」

和「はい、緑茶おかわり」トン

律「あーりがと」ズズッ

律「うー。まさか生徒会室に落ち着けるようになるとは夢にも思わなかった」

和「くすっ。もうすぐ下校時間になるからね」

律「そういや生徒会室にお茶常備してたんだ。いつから?」

和「さあね」

73: 2010/06/16(水) 20:25:10.68 ID:lbuO1Yiz0
~♪

澪(結局あのあとなにも話さないで家まで着いちゃったな)

澪(あんなに恥ずかしい姿みせちゃって、なにかもっと気の利いた話できればよかった……)

澪(唯、幻滅したかな)

澪(まだ唯の手の感触が残ってる……)

澪(私……)

澪(律には……相談しづらいな。こういうことはムギが詳しそうだし、ムギに相談してみようか)

澪「まだ起きてるかな……」

プルルルルル

紬『はい、もしもし。琴吹紬です』

澪「もしもしムギ? 今ちょっといい?」

紬『こんばんわ澪ちゃん。あの、部活ではからかっちゃったりして……ごめんなさい。どうお詫びしていいか』

澪『だ、大丈夫だよもう。気にしてないよ。冗談だって分かってる』

澪「それより、あの、ちょっと相談なんだけどさ」

紬『うん、なにかしら?』

75: 2010/06/16(水) 20:30:27.68 ID:lbuO1Yiz0
澪「ちょっと変に思うかもしれないけど、ムギは女の子同士の恋愛って、どう……思う?」

紬『…………』

紬『悪いことじゃないけれど、大変なことは多いと思う。それでもお互いが好きならいいと思うわ』

澪「そ、そうか」ホッ

紬『…………』

紬『それで?』

澪「あ、いや、そういう話を聞いたというか、どういうものなのかなぁって思って」

紬『……そう。でも相談って』

澪「あっ」ドキッ

澪(いやまだ分からない勘違いかもしれない、違うなら違うって分かるればそれはそれで安心できるし……)

澪(でも、唯のことを思うとすごくドキドキして……)ドキドキ

澪(ええい、言ってしまえ!)ドキドキ

澪「ああああのさ、そのっ、さ、最近、私……。ゆゆっ唯のことが気になっ」

紬『ごめんなさい』

澪「……えっ?」

77: 2010/06/16(水) 20:33:08.37 ID:lbuO1Yiz0
プーッ プーッ ピッ

律「話し中か……」

律「はぁ、なんで電話繋がらなくてホッとしてるんだ私は。……明日話すか」

律(本当なら謝らなくちゃな……)

律(あの様子だと絶対癇癪起こしてるだろうし……。もうあの程度ならこんなこと無いと思ってたのに)

律(唯のこと、よっぽど真剣に考えてストレスになってるのかも)

律(これって自分で気づかないと意味ないよな……)

律「はぁ~。澪のあほんだらぁ~……」バフッ

78: 2010/06/16(水) 20:36:08.23 ID:lbuO1Yiz0
紬「ごめんなさい。……その相談は受けることできないの」

澪『な、なんで? だって前は、唯と仲悪くなったと思ったときは……』

紬「それはあの時は二人が普通のケンカをしてたと思ったから」

紬「だから、私は恋愛を経験したこと無いから……同性も異性も関係無くあまり無責任なことは言えないの」

澪『あ、あの、助言だけでもいいからさ』

紬「……りっちゃんならきちんと聞いて貰えると思うの……。ごめんなさい……」

澪『…………』

澪『そっか。ごめんなムギ。無理言って』

紬「ううん。私こそ相談にのれなくて、ごめんなさい。それに、今日のことも……」

澪『いいよ。それじゃ、また明日』

紬「うん。また明日ね」

ピッ
紬「…………」

紬「ふぅ……」トサッ

紬(ごめんね澪ちゃん。私、梓ちゃんの応援するって決めたから。話は聞けないの)

紬「……つらいのね。こういうの」

79: 2010/06/16(水) 20:39:32.51 ID:lbuO1Yiz0
~♪

律「……澪。おはよ」

澪「律。珍しいな私より早く起きてるなんて」

律「あー、まあね。……昨日はごめん!」

澪「別にいいよ。もう気にしてない」

律「ほんと?」

澪「本当。ちょっと昨日は不安定だっただけだから。いつもの律の悪ふざけだってことは分かってたよ」

律「そっかぁ。よかったー」

澪「それであっさり解決したと思えるお前が羨ましいよ」クスッ

80: 2010/06/16(水) 20:42:18.90 ID:lbuO1Yiz0
律「分かってるって。なになに? 私はそれでなにをすればいいんでしょうか?」

紬『……りっちゃんならきちんと聞いて貰えると思うの……』

澪(親友だもんな。あのこと相談しても……)

澪「…………。か、考えておくよ」

律「そうか……、そのほうが何をさせられるか分からない恐怖を長引かせることができるもんな。さすが澪」

澪「うるさい!」ゴツン

律「ってぇ! あはは」

澪「ほら、行くぞ」

律「あいあいさー!」

81: 2010/06/16(水) 20:45:29.35 ID:lbuO1Yiz0
~♪

憂「梓ちゃん、どこ行くの?」

梓「ん、唯先輩のところ」

憂「多分もうお昼食べてるんじゃないかな」

梓「うん、ちょっと部活のことで用事があるから一緒に……って思って」

純「なによー。私たちとじゃ一緒に食べられないっての?」

梓「そういうんじゃないって。今日は先輩に用事があるから」

憂「……で、でもきっとみんなで食べてるんじゃないかなぁ」

梓「その時は戻ってくるよ。行ってくるね」

憂(うー。行っちゃった。止められなかった……)

梓(唯先輩と一緒に食べられるかな……)

82: 2010/06/16(水) 20:48:14.79 ID:lbuO1Yiz0
純「憂ー。仕方ないから二人で一緒に食べようよ」

憂「仕方ない。一人で食べようかな」

純「もー憂ったら。よーし勝手に憂の前に座っちゃうぞ」

純「あ、そうだ昨日のアレ見た? 今週のCDランキング納得いかないよねぇ~」

憂「お姉ちゃんと同じお弁当おいしいなぁ。ぱくぱく」

純「憂のお弁当おいしそうだね。私にもおかず一つちょうだい」

憂「ごちそうさまー」

純「ずっと無視かよ! 泣くぞ!」

84: 2010/06/16(水) 20:51:15.63 ID:lbuO1Yiz0
唯「ほえ、あずにゃん。どうしたの?」

梓「いえ、その、用事があるんじゃないんですけど……、よければ唯先輩とお昼を一緒にと」

唯「あ、それお弁当? じゃあ一緒に食べようよ。みんなもいるよ」

梓「で、でも三年生の教室では……ちょっと」

唯「あーそうだよね。なら部室で一緒に食べようか」

梓「え、いいんですか///」

唯(澪ちゃんと一緒に食べられないのは残念だけど)

唯(このままあずにゃん帰すにはいかないもんね)

唯「いいよ。ちょっと待ってて」

律「梓がなんの用事って?」

86: 2010/06/16(水) 21:00:27.63 ID:lbuO1Yiz0
唯「お昼一緒に食べようって。私とあずにゃん音楽室で食べるからみんなこのまま食べちゃっててよ」

澪「わ、私も一緒に行こうか」

紬「でも、もうご飯広げちゃってるから。私たちはこのまま食べちゃいましょうよ」

唯「うん、私が行ってくるよ。ごめんね」

澪「」ムー

律(まじぃかなぁ。でも昨日やらかしたんなら今日は大丈夫……のハズ)

律(ムギも変に刺激しないでくれよ)チラッ

紬「……?」ニコ

律(……あーこりゃ無理かも。まさかね)

澪「…………」ハグハグ

91: 2010/06/16(水) 21:06:32.82 ID:lbuO1Yiz0
~♪

梓「すみません。突然に……」

唯「いいよ。いただきまーす!」

梓「それ憂が作ったお弁当ですか」

唯「うんそうだよー。おいしいよ。あずにゃんのは?」

梓「これはお母さんが作ってくれたんです。あと」

唯「ほえ。これなに?」

梓「お昼に付き合って貰ったお礼です。コンビニのプリンですけど」

唯「あ~ん! あずにゃんありがとう!」ダキッ

梓「せっ先輩! ご飯食べてるんだからやめてください!///」

唯「嬉しいなぁ。お返しに私のおかずあげるよ」

梓「それじゃあ私のお礼の意味がないじゃないですか。ご遠慮します」

唯「ならあずにゃんのとおかず交換しようよ」

梓「それなら……///」

92: 2010/06/16(水) 21:11:31.98 ID:lbuO1Yiz0
~♪

唯「お昼のデザートプリンプリン~♪」

コポコポ

梓「お茶どうぞ」

唯「お~至れり尽くせりだね~」

梓「むつかしい言葉知ってるんですね」

唯「むっ、あずにゃんなにげに私のことバカにしてない?」

梓「褒めただけですよ」

唯「ん~……」ズズッ

梓「…………」ズズッ

唯「あずにゃん」

梓「なんですか」

唯「あずにゃんは何か悩み事があるのかな?」

梓「なんですか藪から棒に」ドキッ

97: 2010/06/16(水) 21:16:21.83 ID:lbuO1Yiz0
唯「前に言ったよね、悩みがあるなら私が相談にのるよって」

梓「べ、別にありませんよ。悩みなんて」

唯「でも、この前部活帰るときちょっと様子おかしかったし」

梓(あれは……先輩が澪先輩と仲良くしてたから……)

梓「部活のあとの私用がちょっと面倒だっただけです。だから大丈夫です」

唯「そうなの? あずにゃんって真面目で頑張り過ぎちゃうから心配だよ」

梓(……そんなこと言わないでください)

唯「私は頼りない先輩かも知れないけど、一人で大変なときは言ってね」ナデナデ

梓(そんなに優しくしないでください!)

唯「あずにゃんは私の可愛い後輩なんだから」

梓(…………)

梓「…………」グッ...



梓「好きです。唯先輩」

99: 2010/06/16(水) 21:21:45.82 ID:lbuO1Yiz0
唯「……へ?」

梓「好きなんです。先輩後輩とか友達だとかそういうんじゃなくて好きなんです!」

梓(待って待って止まれ私!)

梓「先輩はいつも私のこと気にかけてくれて、いつも優しくしてくれて。頼りないなんて言うけれどやらなきゃいけないときは一生懸命頑張って、その頑張る姿がとても素敵で」

梓(だめ今言うつもりじゃなかったのに絶対唯先輩に嫌われる!)

梓「いつも憎まれ口きいてますけど、私ずっとずっと前から唯先輩のことが好きだったんです!」

唯「あず……にゃん」

梓「こんな悩み……唯先輩に相談できるわけないじゃないですか!」

梓「…………」ダッ

唯「あずにゃん!」

102: 2010/06/16(水) 21:27:12.02 ID:lbuO1Yiz0
梓(どうしようどうしようとうとう言っちゃった!)タッタッタ

梓(いきなりあんなこと言われて唯先輩も困るよね)タッタッタ

梓(それより女の子の私から告白されるなんて気持ち悪いと思われてる)タッタッ

梓(どうしよう、どうしよう……)テクテクテク

梓(ムギ先輩にはもう少し様子見てゆっくりって言われてたのに、一人で盛り上がっちゃって)

梓(返事も聞かないで。……返事聞くの怖い)

梓「…………」グスッ

梓「唯先輩……」

~♪

103: 2010/06/16(水) 21:32:21.15 ID:lbuO1Yiz0
唯「…………」ガラッ

澪(唯……?)

律「おかえりー。梓どうだった?」

唯「え、あ、うん。元気だったよ。この前のことも用事が大変だからって」

律「そうか。部活のときは私も梓のことからかってやらないとな!」

澪「からかってどうする」コツン

唯「はは……」

紬「…………」

紬(梓ちゃん……)

104: 2010/06/16(水) 21:37:40.54 ID:lbuO1Yiz0
澪「掃除お疲れ様」

唯「澪ちゃん……」

澪「昼に梓と何かあったのか?」

唯「……な、なにもないよ。部活、行こうよ」

澪「唯は隠すのが下手だよな。見え見えだって」

唯「今日は部活休むよ……」

澪「どうしたんだって。行くって言ったり休むって言ったり」

唯「…………」

唯「ごめん、なんでもないよ」

澪「唯、なんでもないなんてことないだろ」

唯「…………」

唯「ちょっとこっちに来て……」




澪「人前じゃ話しにくいことなのか?」

唯「うん、ちょっと……」

105: 2010/06/16(水) 21:43:22.30 ID:lbuO1Yiz0
唯「澪ちゃんは……女の子が女の子を好きっておかしいと思う?」

澪「えっ?」ドキッ

唯「やっぱり少し変だよね」

澪「い、いや。まあ普通は女子と男子で恋愛するものだけど、お互いがいいなら同性でも……」ドキドキ

唯「……そっか」

澪「そ、それで?」

唯「うん……、ありがとう。もう大丈夫」

澪「え、いいの?」

唯「うん。相談のってくれてありがとう、澪ちゃん」ニコ

澪「いや……」

澪(あーびっくりした。唯からまさかの……と思った)

唯「澪ちゃん部活行こ」

澪「ああ、うん」

澪(でも、つまり今の相談って、まさか……梓から唯が告白されたとか……? まさかね)ドキドキ

107: 2010/06/16(水) 21:49:07.94 ID:lbuO1Yiz0
紬「そう、唯ちゃんに告白したのね」ニコニコ

梓「……口に出したら止まらなくなってしまって」シュン

紬「ううん。それでいいのよ。私もよくわからなくて申し訳ないんだけど、恋ってそういうものだそうだから」

梓「///」

紬「唯ちゃんきっと驚いてるでしょうから、返事は急かさないでね」

梓「……はい。でも返事聞くのが怖いです……」

紬「うん。大丈夫。唯ちゃんならきっと悪いようにはしないわ」

梓「そう、でしょうか……」

紬「急かさないって言っても、明日か明後日にお返事貰うようにしたほうがいいと思うの」

梓「はい、そうします。今の気持ちを忘れられちゃったらつらいですし……」

110: 2010/06/16(水) 21:54:31.26 ID:lbuO1Yiz0
澪「あれ、まだ誰もいないな」

唯「そうだね」

澪(唯と二人きり……)ドキドキ

澪(さっきの相談、やっぱり梓との話なのかな。……だとしたら、私……)

澪「なあ、唯」

唯「なに? 澪ちゃん」

澪「さ、さっきの――」

紬「こんにちは~」

梓「お、お疲れ様です……」

唯(あずにゃん……)

唯「ムギちゃん、あずにゃんお疲れさま~」

澪「お疲れさま」

113: 2010/06/16(水) 22:07:44.95 ID:lbuO1Yiz0
梓「……もう、澪先輩がいるから先に練習してると思ったです」

唯「へ?」

紬「さっきりっちゃんと会ってちょっと遅れてくるって言われたの」

梓「ですから、だらけられるのは唯先輩だけです。三対一の多数決で今日は練習しますよ」

澪「そうだな。律のペースにのせられない内に練習始めようか」

唯(あずにゃん……どうしたんだろう。普段通りみたい)

澪「よし唯、用意しろよ~」

唯「う、うん……」

紬「唯ちゃん、練習終わったらお茶用意するからね」

唯「わ、わーい」

唯(な、なんなんだろう。さっきのって、もしかしてあずにゃんジョーク?)

唯(わかんないよ、私……)

唯(帰りにもう一度聞かないと)

117: 2010/06/16(水) 22:13:29.61 ID:lbuO1Yiz0
~♪

律「わりぃわりぃ。遅れちった」

澪「律、もう練習終わってるぞ」

律「ごめんってば。ちょっと和と話しが長引いちゃってさ」

紬「部活動のこと?」

唯「最近りっちゃん和ちゃんと仲いいね」

律「あー、ああまあ。部活のこととかで色々ね」

唯「そっか。和ちゃんと仲良しだとなんだか私も嬉しいな」

紬「りっちゃんちょっと待ってね。今お茶淹れるわ」

119: 2010/06/16(水) 22:19:16.08 ID:lbuO1Yiz0
律「いや今日はいいよ。練習終わったんなら今日はもう終わりにしよう」

梓「とか言って、追加の練習したくないだけなんじゃないですか」

澪「はは。梓の言うとおりだ」

律「そんなことはないぞ。家に帰ったらイメージトレーニングは欠かしてないんだから」

澪「イメージならいつもうまくいくからな」

唯「私も夢の中ではビッグスターになってるよ!」

梓「それじゃあ意味ないじゃないですか」

紬「うふふ」

律「なんだよ明日はちゃんとやるっつーの」

120: 2010/06/16(水) 22:25:45.40 ID:lbuO1Yiz0
律「じゃあな~」

澪「おつかれ」

紬「さようなら」

紬(梓ちゃん、頑張って)

唯「じゃあね~」

梓「失礼します」

唯「…………」テクテク

梓「…………」テクテク

唯「…………」チラッ

唯「あ、あずにゃん」

梓「! な、なんでしょうか……」

122: 2010/06/16(水) 22:31:19.05 ID:lbuO1Yiz0
唯「あの、お昼のこと……」

梓「…………」

唯「あの……」

梓「い、いきなりあんなこと言ってすみませんでした///」

唯「あずにゃん……」

梓「で、でも、あれは私の本当の気持ちです。だから……その……///」

梓「明日、明日返事ください。お昼に、部室で待ってます///」ダッ

唯「あずにゃん!」

唯「行っちゃった……」

唯「明日……」

唯(……私、どうすればいいんだろう)

124: 2010/06/16(水) 22:37:18.97 ID:lbuO1Yiz0
~♪

澪「ふぁ~。ねむ……」

澪(新曲の歌詞作りあんまりはかどらなかったなぁ……)

澪「一時か、寝よ」

澪(修学旅行の写真)チラッ

澪(唯、可愛いな///)

澪「寝よ寝よ」バフッ

カチカチ...

澪「ん……」

126: 2010/06/16(水) 22:43:23.44 ID:lbuO1Yiz0
澪「…………」

澪「…………」ゴロン

澪「……ん~」

澪(寝付けない)イライラ

澪(唯はもう寝たかな。寝坊助だからもう寝ただろうな)クスッ

澪(…………)

澪(羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹……羊が……)

澪「…………」クゥクゥ

プルルルル プルルルル プルルルル

139: 2010/06/17(木) 00:31:53.20 ID:tUIqfvmi0
~♪

唯「ふう……」

唯(なんだかギー太を上手く歌わせられないや……)

唯「ごめんね、ギー太」

唯「一時かぁ、もう寝なきゃ」

カチカチカチ...

唯「んん……」ゴソゴソ

唯(明日……、あずにゃんにお返事しないといけないんだよね)

唯(どうしよう。私はどうすればいいんだろう)

唯(澪ちゃん、私、どうしたらいいと思う?)

140: 2010/06/17(木) 00:37:18.05 ID:tUIqfvmi0
唯(怖い……)

唯「…………」

唯「…………」

唯(眠れない……)

唯(…………)

唯(やっぱり澪ちゃんに電話して……)

プルルルル プルルルル プルルルル

唯(出ない……。もう寝ちゃったのかな)

唯(怖いけど……やっぱりこういうことは自分で決めないと。あずにゃんに申し訳ないよね……)

141: 2010/06/17(木) 00:42:37.41 ID:tUIqfvmi0
チュンチュン

澪「あふぁ~。ねむ……」

澪(あまり眠れなかったなぁ)

澪(あれ、随分早い時間に起きたな)

澪(でも二度寝したら遅刻しそう)

澪(食欲が湧かない)

澪(おにぎり一つだけでも)

澪(昨日歌詞進まなかったから今朝は音楽室でちょっとでも進めよう)

澪(律にはメール打って……)

澪(やっぱり今の時間じゃ返事こないよな)

澪「ママ、いってきまぁす」

144: 2010/06/17(木) 00:47:52.12 ID:tUIqfvmi0
チュンチュン

唯「あふっ……。ね、むい……」

唯「…………」

唯「起き、ないと」ボーッ

憂「お姉ちゃん? おはよう今朝は早いね。制服まで着て」

唯「おはよう、うーいー……」

憂「ま、まだ寝てたほうがいいんじゃない? すっごく眠そう」

憂「いつもの時間に起こしてあげるから」

145: 2010/06/17(木) 00:52:59.27 ID:tUIqfvmi0
唯「いいよ……。ちょっと先に学校に行くね」

憂「え、朝ご飯は? お弁当だってまだ」

唯「学校でギー太弾いて目をさますよ……」ボーッ

憂「あ、まって、これだけでも」ヌリヌリ

憂「はいっ。あとパック牛乳」

唯「はくっ。あふぃふぁふぉ~。いっふぇふるへー」モグモグ

憂「お姉ちゃん、車に気をつけてね!」

憂(お姉ちゃん昨日から元気ないな……。何かあったのかな)

146: 2010/06/17(木) 00:58:07.72 ID:tUIqfvmi0
ガチャガチャ

澪「あ、音楽室の鍵かかってる……って」

澪「今さっき借りてきて手に持ってるのに忘れてるとは。我ながら情けないな」カチャ

澪(まだぼーっとしてる。なかなか眠気が抜けない……)

澪(ノート、シャーペン、消しゴム)

澪(新しい歌詞、新しいかし、あたらし……)カクン

澪(…………)グー

147: 2010/06/17(木) 01:03:16.00 ID:tUIqfvmi0
唯「あ、そだ音楽室の鍵……開いてる?」カチャ

唯「誰かいますか~……」

唯「……!」

唯「澪、ちゃん?」

唯「寝てる」

澪「」スゥスゥ

唯(新曲作ってたのかな。澪ちゃんも今日は早起きだったんだ)

唯(隣、いいよね)ギシ

唯(寝顔可愛いなぁ。髪もすっごくきれい)

唯(触っても……)サラッ

唯(わっ、サラサラ、いい香り~)クンクン

澪「」スゥスゥ

唯(ほっぺも触っちゃお)プニプニ

150: 2010/06/17(木) 01:08:25.97 ID:tUIqfvmi0
唯(やわらか~い)

澪「ん……」

唯「!」ドキンッ!

澪「」スゥスゥ

唯「ふぃ~」ドキドキ

唯「澪ちゃん……。私あずにゃんに告白されちゃったんだ」

唯「きっと私が澪ちゃんに感じてるのと同じ気持ちなんだと思う」

唯「どうしたらいいのかな……? 澪ちゃんに言って貰えれば、私決められると思う……のに」

唯(…………)スリスリ

唯(綺麗……。肌スベスベ……唇も)ドキドキ

唯(いたずらでキスとか……いたずらだしいいよね……)ドッキンドッキン!

唯「んっ……澪……ちゃん」スッ

澪「ん……律ぅ?」

151: 2010/06/17(木) 01:13:36.94 ID:tUIqfvmi0
澪「んん~。ふぁ~あ。寝ちゃってたか。んあっ、時間!」

澪「ほっ、大丈夫か。なんか誰かいたような感じがしたけど、気のせい、だよな。あはは、はは……」

キィ...

澪「あれ……扉が少し開いてる……。きょ、教室に行こう。早く」ガクガク

154: 2010/06/17(木) 01:18:45.94 ID:tUIqfvmi0
唯「はぁ、はぁ、んっく……、はぁ、はぁ……」グッタリ

律「おっはー唯!」

唯「りっ、ちゃん?」

唯「…………」

唯「お、おは~」ニコッ

律「どうしたんだよそんなに息切らせて」

唯「あは、あはは。今日珍しく早起きしたんだけどね、なかなか眠気が取れないから、ここまで、走ってきたんだぁ」

唯「ふぅ~、やっと息が整ってきたよ」

律「おいおい朝からすげー元気だな。とりあえず教室入ろうぜ」

唯「そ、そだね。りっちゃんも今朝は早いんじゃない」

律「ああ、澪が今日は学校で歌詞作るから先に行くってメールしてきたので起こされてさぁ」

唯「」ドキンッ

156: 2010/06/17(木) 01:23:55.91 ID:tUIqfvmi0
律「そっからすぐ用意したんだけど、澪んち行ったらやっぱもう学校行ったっていうからそのまま普通に来たんだ」

唯「そ、そう」

紬「おはよう。唯ちゃん、りっちゃん」

律「おはムギっ!」ビシリッ

唯「おはよう、ムギちゃん」

和「おはよう、みんな。……珍しいわね、唯が私より早く来るなんて」

唯「あは、あはは……」

澪「おはよう。なんだみんなもう揃ってるのか。何かあったっけ?」

唯「…………///」カァッ

律「なんだよ澪ぉ~私をおいて先に学校行っちゃうなんてぇ」クネクネ

澪「朝から気持ち悪いことするな!」ペシ

唯「……トイレ行ってくる」ガタッ

和「?」

158: 2010/06/17(木) 01:29:05.60 ID:tUIqfvmi0
唯「…………」テクテク

和「唯~」タッタッ

唯「……和ちゃん」

和「どうしたの? 少し顔色悪いわよ。澪とのこと?」

唯「そ、そんなことないよぉ。あ、ちょっと朝早く起きたからかな」

和「……そう。具合悪くなったらすぐ言うのよ」

唯「うん。ありがと」

和「…………」テクテク

唯「……和ちゃん、あと何かあるの?」テクテク

和「え? 私もトイレに行こうと思って」

唯「あ、そうなんだ」

160: 2010/06/17(木) 01:34:15.61 ID:tUIqfvmi0
澪「…………」ボーッ

律「でさぁ。って、澪聞いてる?」

澪「あ、ごめん。なんだっけ」

律「んだよ。お前最近ぼーっとすること多いな。何か悩み事があるなら幼馴染みであるこのりっちゃん様が相談にのっちゃうぞぉ」

澪「大丈夫だよ。別に悩み事なんて」

澪(そんなにボーッとしてるかな。自分じゃ気づかないけど)

澪(唯、少し具合悪そうだったけど大丈夫かな)ボーッ

162: 2010/06/17(木) 01:39:26.20 ID:tUIqfvmi0
憂「お姉ちゃん」

唯「憂。どうしたの? ここ三年生の階だよ。間違えたの?」

梓「違いますよ。唯先輩じゃないんですから」

唯「あずにゃん……」

和「二人ともおはよう」

梓憂「おはようございます」

憂「お弁当届けに来たの。まだHR始まってないと思ったから」

唯「おー。ありがとう。憂はいいこだねぇ」ナデナデ

憂「お姉ちゃん恥ずかしいよぅ」テヘヘ

唯「あ、あずにゃんも……付き合わせちゃってごめんね」

梓「いえ。ついでですから」

164: 2010/06/17(木) 01:44:36.05 ID:tUIqfvmi0
和「ついでって澪達にでも用事があるの?」

梓「い、いえ。もう用事は済みました///」

憂「ごめんお姉ちゃん、私たちもう行くね。そろそろ時間だし」

唯「うん、憂ありがとうね。あずにゃんも、また……」

梓「はい。それじゃ唯先輩、和先輩失礼します」

憂「失礼します」

165: 2010/06/17(木) 01:49:46.05 ID:tUIqfvmi0
和「唯あなたいつまでも憂ちゃんに負担かけてばかりいちゃだめよ。もう三年生も半ばよ。」

唯「う~ん、そだね、そろそろしっかりするよ。私お姉ちゃんだもんね」

和「と、いう会話を小学六年生くらいからしてるわよね」

唯「うっ……」

168: 2010/06/17(木) 02:02:26.14 ID:tUIqfvmi0
憂「梓ちゃん。用事ってよかったの?」

梓「え? あ、うん。大丈夫」

憂「…………」

憂「あ、そっか。わざわざ気を使わせちゃってごめんね」

梓「へ?」

憂「私が今朝お姉ちゃんの話したから心配してくれたんでしょ」

梓「いや、別にそういう訳じゃ」

憂「えへへ」

梓「ううっ……///」

梓(でも唯先輩、今朝は抱きついてこなかったな……そうだよね)

梓(昼に会うのに思わずついて行っちゃって、迷惑だったかな)

憂(ふぅ……。お姉ちゃんには悪いけど、梓ちゃんも私の大切な友達だから……)

純「おっはよー」

169: 2010/06/17(木) 02:07:36.23 ID:tUIqfvmi0
憂「おはよう純ちゃん」

梓「おはよ、純」

純「ね、明日学校終わったら三人で遊びに行かない? 明日は部活休みなんだ」

梓「なによ藪から棒に。それに私普通に明日も部活あるんだけど」

純「私だってあるよ。部活終わってからって言ったじゃん」

梓「言ってないってば」

純「憂は?」

憂「う~ん。多分大丈夫だと思う」

純「じゃ、部活もあるから六時に校門で待ち合わせってどう?」

梓「ちょっと勝手に決めないでよ。話早いよ明日のことでしょ」

純「憂は一度帰ったほうが楽かもね。どこ行きたいか決めといて」

憂「そうだね。お姉ちゃんに連絡して大丈夫だったら」

梓「もうどうにでもして……」

純「梓は行きたいところあるー?」

171: 2010/06/17(木) 02:12:45.99 ID:tUIqfvmi0
澪「唯、あのさ、きょ、今日のお昼、庭で食べないか」

唯「お昼……。ごめんね、ちょっと私、お昼に用事あるんだ……」

澪「ならその用事終わるまで待ってるよ」

唯「…………」

唯「ごめん。ちょっとお昼いっぱいに長引きそうなんだ」

澪「そうなのか」シュン

唯「あ、でも、早く終わるようだったら連絡する」

澪「そっか」ニコ

唯「澪ちゃん、あの……」

澪「ん、なに?」

唯(梓ちゃんの告白どう応えればいいと思う?)

唯(……聞けないよ)

174: 2010/06/17(木) 02:17:56.33 ID:tUIqfvmi0
澪「唯?」

唯(だってあずにゃんに失礼だし、澪ちゃんは……)

唯「な、なんでもないよ」

澪「……唯、心配事あるなら私に言ってくれよ」

澪「私さ、唯に散々迷惑かけてお世話になってるだろ」

澪「私も唯の力になりたいんだ」

澪(唯のためにしたいんだ。……とは言えない。恥ずかしい……///)

唯「うん……。ありがとう」

キーンコーンカーンコーン

澪「じゃあお昼余裕できたら連絡ね」

唯「うん……」

177: 2010/06/17(木) 02:23:06.37 ID:tUIqfvmi0
お昼!

純「あった! ゴールデンチョコパン最後の一個!」

澪「あ」

純「あ」

純(ちょっと怖い)

澪「ど、どうぞ」

純「え、あ、秋山先輩に差し上げます。私は別の買いますから」

澪「いや先に手ついたのはそっちだから私はいいよ」

澪(私の名前知ってる……確か梓と憂ちゃんの友達だったかな)

純(遠慮されるともっと怖いな。美人だから迫力ある……)

純「いえ、ほとんど同時だったし。ホントにどうぞ」

澪「あ!」

純「うわ」

178: 2010/06/17(木) 02:28:16.23 ID:tUIqfvmi0
澪「あーなんだか無性にクリームパン食べたくなったなー」

純「は?」

澪「私クリームパン買うから、んゴっゴールデン///……チョコパンはいいよ。じゃあね」

純「なんだったんだろう……。まあいいや、よもや今日も食せるとは。ラッキー!」

憂「あ、純ちゃん買えた?」

純「うん! なんとゴールデン」

澪「あ」

純「あ」

純澪(きっ気まずい!)

憂「純ちゃん、澪さんとなにかあったの?」

澪「いや、ちょっと買うとき顔合わせただけだよね///」テレ

純「さっきはどうも……」

純「憂なんでこのこんなに人照れてるの」ヒソヒソ

梓「澪さんはシャイな人なの。あまり追求しないであげて」ヒソヒソ

179: 2010/06/17(木) 02:34:46.40 ID:tUIqfvmi0
憂「澪さんお昼はパンなんですね」

澪「ああ、今日はお弁当持ってきてなくてね。そういえば梓はいないの?」

憂「はい。梓ちゃんはちょっと用事があるとかで……」

憂「あの、お姉ちゃん朝何かありました?」

澪「え、そうだな……少し元気はなかった気がするけど」

憂「あ、ごめんなさい勝手に話始めちゃって。これからお昼ですもんね」

澪「……。いやいいよ。ちょっと待って」ピッピッピッ

純(携帯のボタン押す音消さないんだ)

澪「よしっと。よかったら一緒にお昼食べないか。今日は天気もいいし庭とかで」

澪(唯から連絡きたら切り上げよう)

憂「え、いいんですか」

澪「律に今日は他で食べるってメールしたから大丈夫。話してから食べる時間もないでしょ」

憂「すみません。気を使わせてしまって」

純(かっこいいし良い人だー)

180: 2010/06/17(木) 02:39:56.84 ID:tUIqfvmi0
憂「あ、純ちゃんごめん。勝手に話進めちゃって」

純「いいよ。なんか込み入りそうだから私教室に戻ってるね」

憂(どうしよう私のワガママで純ちゃん一人で食べさせるわけにはいかないよぉ)

憂「澪さん、純ちゃんも一緒じゃ駄目ですか?」

純「憂、私は大丈夫だから」

純(別の友達と食べようと思ってたんだけど、憂は本当に良い子ちゃんだなぁ)

澪「あーうーん、朝のことならまあ伏せる話でもないし。二人が良ければ」

澪「じゃあ決定。鈴木さん、だっけ。いいかな」

純「あっはい。むしろ私が遠慮するべきなんでしょうけど。せっかくの誘いですから」

澪「ありがとう」ニコ

純(うわっこんな美人に笑顔向けられたら私落ちちゃう~!)

純「なんちゃって」

憂「えっ」

澪「えっ」

純「あ、いえなんでもないです」

181: 2010/06/17(木) 02:43:45.82 ID:tUIqfvmi0
メルメルメル♪

『あの木の葉が落ちきった時が私の寿命が尽きるときなの…… from 律』

ピッ

澪「それで、朝の事だっけか」

憂「はい。今朝、お姉ちゃん珍しく早く起きてきたと思ったらすごく寝ぼけていて、寝ぼけたお姉ちゃん可愛いよぉって思って寝起きの体臭をかごうと」

純「憂ストップもう少し簡潔に」モグモグ

憂「それで制服まで着てるからどうしたのかなって思ったんですけど、眠気は音楽室でギー太を弾いて覚ますっていうのでそのまま見送ったんです」

澪「音楽室に? 私も今朝音楽室にいたけど誰も来なかったぞ」

憂「え、それじゃ……もしかしてお姉ちゃん登校中に何かあったのかもそりゃあんなに可愛いお姉ちゃんじゃ襲いたくなる気持ちもわからないでもないけれど」
憂「あんな可愛いお姉ちゃんが寝ぼけて隙だらけなの見たらここぞとばかりにお姉ちゃんの髪の毛の匂い嗅いだりお姉ちゃんの耳の後ろの油脂が貯まりやすい部分の匂いを嗅いだり舐めたり」ハァハァ

純「憂落ち着いて」

182: 2010/06/17(木) 02:46:56.55 ID:tUIqfvmi0
純(憂のお姉ちゃん好きは見ていて面白いなー)チュー ゴクゴク

憂「澪さん、今朝は音楽室に本当にお姉ちゃん来なかったんですか?」

澪「今朝は私が音楽室の鍵を預りに行ったんだ。最初に開けたのは私だし、それから歌詞作りしてて寝てしまったけど誰も」

純「寝ちゃってるんじゃないですか」

澪「いやでも起きてから扉が少し開いていたけど誰もいなかったぞ」ブルブル

憂「澪さん怖がらなくてもいいです。きっと澪さんが寝てるときにお姉ちゃんが来て、起きる前にお姉ちゃんが出て行って扉が開いてたんですよ」

澪「あ、そうかぁ! いやー私もそうじゃないかと思っていたんだアハハハハ」

純「だからって寝てる秋山先輩のそばに本当は誰がいたのかはわからないですけど」

澪「」

澪(梓と言い最近の一年生は突っ込み好きなのかな)

純(秋山先輩って意外と表情豊かなんだな。もっとクールなのかと思った)モグモグ

186: 2010/06/17(木) 03:06:17.29 ID:tUIqfvmi0
憂「それで今朝学校に来た時にお姉ちゃんのお弁当を届けに行ったら、ちょっとお姉ちゃんの様子がおかしかったので」

澪「あ、ああ……。私が今日会ったのは教室でだから、う~ん。少し具合が悪そうには見えたけれど、それからはいつも通りだったぞ」

憂「そうですか、良かった。ならいいんです」

澪(でも……)

純「良かったね。憂」

澪(でも本当に今朝唯が私と一緒にいたとしたら?)

憂「うん。最近お姉ちゃん物思いにふけることが多かったり、食欲が前に比べてなかったりして心配だったんだぁ。でもそんなお姉ちゃんも可愛い! あ、もちろん元気ないお姉ちゃんより元気なお姉ちゃんじゃないと嫌だけど」ウンタラカンタラ

澪(普通に考えろ、今朝早く家を出て音楽室が開いているんだ。唯がいたに違いない)

澪(だったら今朝の唯の様子は? 三時間目の休み時間に言いかけた言葉はなんだ?)

澪(胸騒ぎがしてきた……。唯から連絡早く来ないかな)

187: 2010/06/17(木) 03:11:36.34 ID:tUIqfvmi0
~♪

梓「…………」

梓「…………」

梓(唯先輩……来てくれる、よね)ドキドキ

梓(だって、いつも私に抱きついてきて、優しくしてくれて、私のこと、好き、なんじゃないかな……)

梓(私だって、ずっと好きだった。唯先輩のために色々してあげたい。憂にだって負けないもん)

梓(……唯先輩)

梓「…………」

梓「…………遅いな」

ガチャ

梓「!」

唯「……ごめんね、あずにゃん。遅くなって」

梓「いえ……///」ドキドキ

唯「お昼、食べた?」

梓「まだ、です。食欲なくて……」

189: 2010/06/17(木) 03:16:53.26 ID:tUIqfvmi0
唯「そか……」

梓「…………」ドキドキ

唯「…………」

唯(あずにゃん……私のこと好き……なんだよね。こんな私でも……)

唯(澪ちゃんはやっぱり、私よりもりっちゃんのことのほうが……)

唯(親友としてなのか、私やあずにゃんみたいになのか分からないけど、でも私よりも……)

唯(そもそも私が澪ちゃんを好きになっちゃったらダメなのかもしれない)

唯(それなら私を好きでいてくれるあずにゃんを……。私だってあずにゃんのこと大好きだもん)

唯(そうだよ、きっとうまくやっていけるよ。あずにゃん気が強いけど本当に可愛いもん)

唯(……だから)

梓「…………」フルフル

唯(震えてる)

唯「あずにゃん……」

梓「」ビクッ

唯「私……、私ね――」

190: 2010/06/17(木) 03:21:56.94 ID:tUIqfvmi0
~♪

律「ちぇ~。澪のやつ返事もしねーの」

和「まあそんなふざけたメール送ったら了承としか考えないわね」

律「ったく。他で食べるって私を差し置いて誰と仲良く食ってるんだっつーの」

紬(多分……少なくとも唯ちゃんとではないでしょうね。きっと、梓ちゃんが今頃……)

和「あら、妬いてるの?」

律「あ、いや。そういう訳じゃないけどな」

律(なんかやーな予感がするんだよな)

紬「澪ちゃんなら大丈夫じゃないかしら」

律「……ふぅ。どっかで壁の染みに驚いて気絶してなきゃいいけどな」

和「なまじあり得そうなことだから心配になるわね」

和(唯も用事、澪も行方不明。私のやることも、もうないわね)

191: 2010/06/17(木) 03:27:07.42 ID:tUIqfvmi0
~♪

キーンコーンカーンコーン

澪「ただいま」

律「お帰り。一体誰と昼飯食ってたんだよ」ニヤニヤ

澪「憂ちゃんと鈴木さんとだよ」

律「はぁ~な~んだ。つまらん」

澪「何を期待してたんだ……」

唯「…………」ガラッ

和「唯、おかえり」

唯「あ、ただいまぁ……」

澪(唯……朝にも増して元気が無いな。心なしか目も赤くなってないか)

和(何かあったわね。澪も気付いてるみたいだし、ここは任せておくかな)

澪「唯、大丈夫か」

唯「何が?」フィ

澪「何がって……」

192: 2010/06/17(木) 03:32:18.19 ID:tUIqfvmi0
唯「予鈴鳴ったし、もう先生くるよ」

澪「そんなのいいだろ」

唯「! 」

澪「少しくらいなら授業遅く出ても大丈夫だから、ちょっと廊下で話そう」

澪「午前の休み時間に言いかけてたことあったろ? それでなにか……」

唯「…………」

唯「もぅ……そいょ、澪ちゃん」

澪(えっ?)

澪「唯、い、いこ?」グッ

唯「んっ!」ググッ

澪「唯……」

唯「…………」スッ

澪(さっき、なんて言ったんだ?)

紬(……そう。唯ちゃん……)

律「…………」

194: 2010/06/17(木) 03:37:27.03 ID:tUIqfvmi0
~♪

紬「今日のお菓子は氷砂糖よ~」

唯「…………」ポリポリポリ

澪(部活始まってからも、ずっとこんな調子だな……いったいどうしたんだろう)

律「ムギー。悪いけどおかわり貰える?」

紬「……あ、うん。今淹れるわ」

律「そういや澪。今朝言ってた歌詞ってもうできたのか?」ポリポリポリ

澪「まだできてないよ。そうだ、なぁ唯、お前も朝音楽室に来たのか?」ポリポリポリ

唯「い、行ってないよ……」

澪「でも憂ちゃんが、今朝唯は音楽室に行くって言ってたって。私も音楽室にいて誰か来たような感じがあったし」

唯「行こうと思ったけど、そのまま教室に行ったんだもん……」

律「だよな-。唯は朝私と会ってたんだから。息切らして家から走ってきたんだぜ。多分音楽室に来たのはビッグフットが……」

澪「ひぃいっ! そんなのがいるわけないだろ!」

澪「……なぁでも唯」

唯「行ってないって言ってるでしょ!」バンッ!

195: 2010/06/17(木) 03:42:36.33 ID:tUIqfvmi0
澪「!?」

律紬「!」

澪「……そ、そういう言い方はないだろ。憂ちゃんが心配して」オロオロ

唯「もう澪ちゃんはしつこいなぁ! 私帰る!」ダッ

澪「ゆっ唯!?」ガタッ

紬「唯ちゃん……」

律「なんなんだありゃあ……。澪、追いかけなくていいのか」

澪(……どうして、唯……)

律「澪が変なこと言ったわけじゃないけど、一応お前と話していきなりキレたんだからさー。当事者同士で話したほうが」

澪「人が心配してるってのにあんな態度取られてフォローできるほど、私は人が出来てないよ」

澪「唯なんてもう知らない」フィ

紬「……澪ちゃん。唯ちゃんにだって何か事情があるのかもしれないわ」

197: 2010/06/17(木) 03:47:46.97 ID:tUIqfvmi0
澪「いいよ知らない。これじゃ今日は部活にならないだろ。私も帰る」

律「いい加減にしろよ!」

澪「!」

紬「!」

律「朝から唯があんな暗い顔して、昼間はもっと酷かったじゃんか。それを放って帰るだぁ? ふざけんな!」

澪「り、律……」

律「今の唯に何が必要なのか、澪にはもう分かってんだろ!」

澪「…………」

紬(梓ちゃん……ごめんね)

紬「澪ちゃん。これ、唯ちゃんの鞄。持って行ってあげて」

澪「…………」

澪「わかった」

198: 2010/06/17(木) 03:52:57.67 ID:tUIqfvmi0
澪(律、ムギ……恩に着るよ)

澪(唯……唯っ!)

澪「どこに行ったんだ? 教室にもいない。鞄を持って行ってなかったってことはまだ校内に……」

澪(いや、唯のことだ。きっとあれだけ取り乱してたら取る物も取らずに飛び出しただけのはず)

澪(だったら学校を出られたら探しきれないかも。まずは昇降口に……)

澪「あれは……」

澪「梓!」

梓「!」

澪「!?」

澪「梓、お前泣いて」

梓「さっさと行ってください!」

梓「唯先輩ならもうとっくにあっちに行きました! だから早く……行ってくださいよぉ……」ググッ

澪「……ああ」

澪(梓ごめん……!)

202: 2010/06/17(木) 04:03:22.44 ID:tUIqfvmi0
~♪

唯「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」タッタッタッタ

唯(最低だ、最低だ私……)

唯(もう軽音部にいられない……!)

唯(あずにゃんを傷つけて、澪ちゃんを傷つけて)

唯(私のせいで、軽音部がなくなっちゃう……!)

ガッ

唯「きゃう!?」

唯(手、引っ張られて……誰!?)

澪「唯!」

唯(澪ちゃん!?)

唯「……っ! 放して! 放してよぉ!」

澪「唯! やめっ、暴れるな落ち着け!」

204: 2010/06/17(木) 04:08:29.02 ID:tUIqfvmi0
澪(校内でまだ人残って……、そんなの気にしてられるか!)

唯「」ジワッ...

唯「どっどうじで、みおぢゃんがぐるんだよぅ!」グシュ

唯「わだじのごどなんがほうっでおいでよ!」ボロボロ

澪「心配なんだっ!!」

唯「っ!」ビクッ

澪「私が、心配なんだ。唯のことが……」ギュウッ...

唯「……うっぐ、うえっ、うええええんっ!」

唯「いっいまご、ろっ!」

唯「うっ、ぐぅうっ、うぇっえっ、ごっ、ごどわらなげればよがっだ!」

澪「……なにを……?」

唯「あず、あずにゃんのこぐはぐっご、ごどわらなげれば、あずにゃんどもながいい、ままっでっ……」

唯「けいおんぶっもっ、みんなっ、ながよぐっうっ、うぐっ、わっ、わだじがごどわっだがらぁ~!」

205: 2010/06/17(木) 04:13:37.06 ID:tUIqfvmi0
唯「ひぅ、うっあうっ、ぐっ……うっうううぅ!」

澪「…………」

澪(律が前に言っていた……唯は軽音部の変化を嫌うって。それは言い換えれば軽音部の、今のままを守りたいってことで)

澪(唯がいつまでも今のままでいたいって言ってたこと)

澪(梓……やっぱり唯に告白してたんだな。それを断って、多分梓が部を辞めることになるかもしれないって。そうじゃなくても前みたいには戻れないって)

唯「みっみおぢゃんなんて、りっ、りっぢゃんどいっじょにいればいっいいじゃん~! ごっぢにくんな゛よ゛ぉ~!」

澪「律は関係ない!」

澪(それは私も同じだ。でも今のままじゃ……)

澪「唯、聞いて」

唯「やっやだぁ~! うっうっう゛あ゛あ゛あ゛ぁ~ん!」

澪「聞いて! お願い……」グスッ

澪「私は……唯が好きなんだ」

澪「いつも唯のこと考えて、唯を思うと胸が苦しくなるほど好きなんだ! だから、梓の告白は断って貰わないと私が困る!」

207: 2010/06/17(木) 04:18:47.35 ID:tUIqfvmi0
唯「…………」ボロボロボロ

唯「うっぐぐっ、な、なんでもっどはやぐいっでぐれながっだんだよぅ!」

澪「唯……ごめん」

唯「わだじっあ、あずに゛ゃんっに゛っがっ、がわいぞうなごどじで……」

唯「……ぢがう、わだっ、わだじがっず、ずるいごど、おっおもっで、あずにゃんごべん、ごべんね! あずにゃん……!」

澪「違う、私が、私が悪いんだ……! ごめん唯」

唯「もっもっどあやぐいっでぐれればっみっおぢゃんのっばっばがぁ~!」ギュウゥ!

澪「ごめん、ごめん唯……遅くなってごめん……」ギュウゥ!

唯「ごっごんなに、ずぎなのっにぃ、ずっど、みおぢゃっ、うっ、うぅー!」

澪「私も好きだ、唯が好きなんだ……!」

唯「う゛っう゛っう゛う゛~! み、みおぢゃん……」ギュッ

澪「……うん、唯……」ギュッ

210: 2010/06/17(木) 04:23:56.47 ID:tUIqfvmi0
~♪

梓「ムギ先輩……?」

紬「うん」

梓「私、軽音部辞めます」

紬「…………」

梓「だって、こんな私がいたら空気悪くなるじゃないですか。皆さんを、ムギ先輩を振り回して」

梓「いられるわけ、ないじゃないですか」

梓「全部私の責任です。軽音部を壊そうとした」

紬「そう?」

梓「唯先輩は……お昼にですね、私の時は泣かなかったんです」

紬「うん」

梓「と、とても真剣に考えてくれて、とても真剣な顔で、わ、私を振ったんですよ……」

211: 2010/06/17(木) 04:29:08.23 ID:tUIqfvmi0
梓「ダメじゃないですか、もう……」

紬「梓ちゃん、泣いてるの?」

梓「泣いてなんかいません……」ゴシゴシ

紬「そう。ごめんね。泣かせちゃって」

梓「なっ泣いて、なんか……」グシュ

紬(ダメね私。見ているだけって決めていたのに……)

紬(……こんなにも愛おしい)

紬「」ギュウ...

梓「ふぇっ……うっうっ……うぐっうっうぇ……」ギュウゥ

紬「梓ちゃん、心配ない」

梓「うっ、ゆっ唯先輩……唯先輩……」

紬「心配ないわ。梓ちゃん……」ナデナデ

214: 2010/06/17(木) 04:34:19.07 ID:tUIqfvmi0
~♪
律(怒鳴った手前、居場所ないよな)テクテク
律(あ~、テキトーに歩いてたら、どこだここ?)
ガラッ
律「あれ? 和?」
和「来るんじゃないかなぁって」
律「ってことはここは生徒会室か」
和「まあそういうことね」
律「そうかー」
和「寄ってく?」
律「行くとこないしなぁ」
和「歓迎するわ」

コポコポ
和「はいどうぞ」
律「んっ……。旨いな、腕上げた?」
和「そうなの聞いてよ、最近緑茶を淹れる頻度が多くなったの」
律「ほほぉ~」
和「ムギに二回くらい教えて貰ったけど、それからやたら毎日緑茶を淹れてる気がするわ」
律「茶人になれるんじゃね?」
和「このまま続けてたら千利休を追い越しそうね」
律「緑茶も飽きてきたなー」
和「そう、なら次のご注文は?」

215: 2010/06/17(木) 04:39:29.05 ID:tUIqfvmi0
~♪
憂「」テクテク
憂「」テクテク
憂「」テクテク
憂「」テクテク
憂「」テクテク
ガラッ
純「よっ」ビシッ!
憂「純ちゃん部活サボり?」
純「休みだよ休み」
憂「でもジャズ研やってたよ今」
純「有給取ったの」
憂「なんで?」
純「憂とケーキバイキング行きたくなったから」
憂「……な、なんで……」
純「なぁに、伊達に中学から憂の友達やってないって」
憂「…………」フルフル

218: 2010/06/17(木) 04:44:37.89 ID:tUIqfvmi0
しばらく!

律「はぁ……」

律「…………苦っ」

律「やっぱコーヒーはブラックで飲むもんじゃないな……」

和「へぇ。大人ね、律」

律「!? 和……なんでここに?」

和「偶然ね。たまたま買い物の帰りに寄ったのよ」

律「マジでか……すげぇ偶然。っていうか制服のまま寄り道していいのかよ。生徒会長さん」

和「こんなところで時間潰していてもいいの? 部長さん」

律「…………。いいんだよ、色々あったから。落ち着くまで軽音部は開店休業中だよ」

律「全員暗黙の了解してる」

和「さすが軽音部。結束が強いわね」

220: 2010/06/17(木) 04:49:48.85 ID:tUIqfvmi0
律「……それって皮肉?」

和「まさか。前も同じようなこと言ったけど、あの子たちなら、もう少ししたら前のように戻れるって信じてるから」

律「和はすごいな」

和「律だって分かってるでしょ」

律「…………」

律「私は不安でたまらないよ……」

和「…………」

和「さっきの」

律「さっきの?」

和「偶然ってね。うそ」

律「は?」

和「いつかあんた言ってたじゃない。ここがお気に入りの喫茶店だって」

224: 2010/06/17(木) 05:00:17.59 ID:tUIqfvmi0
律「……あれ? そうだっけ」

和「そうよ」

律「……そっか」

和「離れてこそ、より強くなる絆もあるわ……」

和「私はあの子たちのこと、そう思ってる」

律「…………」グシュ

和「ねぇ、振られた者同士ぱーっと遊びに行かない?」

律「な、なんだよその振られた者同士ってのは」ゴシゴシ

和「細かいことは気にしない。ほら、行くわよ」グイ

律「ったく強引だなぁ。じゃあカラオケでも行くか!」

和「いいわ。一対一で私に挑もうなんて後悔するんじゃないわよ」

律「へぇ、返り討ちにしてやるよ」

227: 2010/06/17(木) 05:05:18.49 ID:tUIqfvmi0
コポコポ

梓「…………」

唯「……久しぶりな気がする」

梓「……はい?」

唯「こうして部室でお茶するの」

梓「そう、ですね」

唯「…………」

梓「…………」

コポコポ

梓「……どうぞ」コトッ

唯「ありがと、あずにゃん」

唯「…………」ズズッ

229: 2010/06/17(木) 05:10:29.57 ID:tUIqfvmi0
唯「おいしい。ムギちゃんにも負けないおいしさだよ」

梓「……お世辞にも程がありますよ」

唯「お世辞じゃないんだけどなぁ」

梓「七割引で受け取っておきます」

唯「あずにゃんは相変わらず手厳しいね。……自分にも」

梓「…………」ズズッ

唯「…………」

梓「……唯先輩」

唯「なに、あずにゃん」

梓「…………」

梓「……私たち、また前のように戻れますか」

230: 2010/06/17(木) 05:15:39.27 ID:tUIqfvmi0
唯「…………ぎゅっ」ギュッ

梓「ゆっ唯先輩!? ダメです澪先輩が見たらどうするんですか!」

唯「澪ちゃんも同じだよ。私たち……軽音部に、あの頃に戻って欲しいって願ってる」

唯「私のせいだから。……仲直りのぎゅっだよ」

梓「……ずるいです。それに唯先輩の責任じゃ」

唯「…………」スッ

梓「あっ……」

唯「じゃあ……今日は帰るね」

唯「……また、明日。ね」

梓「……練習しなかったら、許しませんからね」

唯「うん。ばいばい、あずにゃん」ガチャ

梓「……さようなら。唯先輩」

231: 2010/06/17(木) 05:20:54.67 ID:tUIqfvmi0
紬「あ、唯ちゃん……」

唯「ムギちゃん、私が言えることじゃないんだけど……」

唯「あずにゃんのこと、お願い……」

紬「言われなくても」ニコ

232: 2010/06/17(木) 05:26:09.65 ID:tUIqfvmi0
梓「…………」

梓(一人か……)

紬「こんにちは~」

梓「ムギ先輩……。こんにちは」

紬「お掃除で疲れちゃった。梓ちゃん、お茶頂ける?」

梓「はい。ちょっと待っててください」

コポコポ

梓「……どうぞ」コトッ

紬「ありがとう」

梓「…………」

236: 2010/06/17(木) 05:31:19.20 ID:tUIqfvmi0
紬「おいしいわ。私が淹れるよりも」

梓「…………」

梓「」ポロポロ

紬「いい子ね。梓ちゃん」ナデナデ

梓「」ポロポロ

紬「梓ちゃんはよく頑張ったわ」ナデナデ

梓「」ポロポロ

紬「私でよければ……もっと頼ってね」

梓「」ギュウゥ

紬「…………」ナデナデ

238: 2010/06/17(木) 05:36:27.54 ID:tUIqfvmi0
唯「澪ちゃん、お待たせ」

澪「唯……もう、いいのか」

唯「うん」

澪「そっか……」

唯「も~澪ちゃんがそんなに深刻な顔してどうすんの~」

澪「唯が楽観過ぎるんだ」

唯「えへへ。帰ろ」

澪「うん」



唯「…………」テクテク

澪「…………」テクテク

唯「明日からね、またいつもの軽音部なんだよ」

240: 2010/06/17(木) 05:41:38.28 ID:tUIqfvmi0
澪「また急だな。律の奴サボり癖付いてるんじゃないか」

唯「いつも通りじゃん」

澪「そうだな」

唯「私がコード忘れてて、澪ちゃんが怒って、りっちゃんが笑って、ムギちゃんがほんわかさせてくれて、あずにゃんが可愛くて~」

澪「あはは。私がまた悪者か」

唯「えへへ、そうだね。ごめんね」

唯「ごめん……」ギュッ

澪「…………」

唯「…………」

澪「…………」

唯「…………」

澪「またあの頃に戻れるんだ。それに私たちが卒業しても、憂ちゃんも純ちゃんも軽音部に入ってくれる」

242: 2010/06/17(木) 05:46:49.95 ID:tUIqfvmi0
澪「泣く奴があるか……」

唯「じゃあ……なんで、澪ちゃんも泣いてるの……」

澪「泣いて……ないよ」

唯「うそ」

澪「唯こそ」

唯「泣いてないよ」

澪「じゃあ、顔上げてみて」

唯「ん~っ……」

澪「唯……」

唯「!」

唯「…………」

澪「…………」

246: 2010/06/17(木) 05:52:01.76 ID:tUIqfvmi0
~♪

純「おはよ、憂」

憂「おはよう、純ちゃん」

純「今日はお姉ちゃんと一緒じゃないんだ」

憂「うん。今日からは澪さんと一緒に登下校するんだって、早起きして行ったの」

純「あー……。やっぱり憂が起こしてるの?」

憂「違うよ。今日はちゃんとお姉ちゃん一人で起きられたよ」

純「でもさー。憂のお姉ちゃん、また一人で起きれなかったりするようになるんじゃないの」

憂「ひどいよ純ちゃん。お姉ちゃん頑張ってるんだから」

純「ごめんごめん」

249: 2010/06/17(木) 05:57:08.03 ID:tUIqfvmi0
憂「それにそうなっても別にいいの!」

純(さすが憂。それがダメなのを分かってない)

純「そうだ。憂がお姉ちゃんを起こせないようにすればいいんだ」ピンポーン!

純「そうすれば憂だってお姉ちゃんを起こせなくても仕方なくなるでしょ?」

憂「でも、お姉ちゃんより優先させることなんてそうそうないよ」

純「明日から私と一緒に登校。待ち合わせ時間指定で。きーめた」

憂「えっ?」ピタッ

純「ほらほら、立ち止まってると先に行っちゃうよ~」

憂「ちょ、ちょっと純ちゃん、勝手に決めないでよぅ」アセアセ

251: 2010/06/17(木) 06:02:19.03 ID:tUIqfvmi0
~♪

澪「ごっごめん唯!」

唯「澪ちゃんおーそーいー」

澪「はぁ、はぁ、ごめっ、はしって、きた、んだけど、はぁ、はぁ」

唯「うわっ! 髪ぐちゃぐちゃじゃん」

澪「み、身支度もあまりする、じ、時間がなくて、はぁ、はぁ~疲れた」

唯「しょうがないなぁ澪ちゃんは、これから先が思いやられるよ」

澪(唯に言われてしまった……)

唯「ベースケース前に持ってゆっくり歩いてて。私が後ろから髪梳きながら歩くから」

澪「えへへ///」

唯「もしかして澪ちゃんこうして貰いたくて?」

澪「ち、違う違う/// き、昨日は髪あまり乾かさないで机で寝ちゃってそのあとベッドで寝たら」

唯「はいはいー。こっち向かないでうまく梳けないよぉ」

253: 2010/06/17(木) 06:07:28.40 ID:tUIqfvmi0
澪「ごめん……」

唯「うふふ。そうだ、うさちゃんの髪留めお揃いにしようよ。今度私がプレゼントするよ」

澪「本当?」

唯「うん本当」

澪「嬉しいな。唯とお揃い」

唯「ねぇ澪ちゃんがこんな風になるなんて、何してたの?」

澪「えーと……」

澪(昨日筆入れから前に唯から貰った暗号メモ紙を見つけて、なんとか解読しようとしててそのまま机で寝ちゃったんだよな)

澪(解読して驚かせたいから唯には黙っておこう。そういやあのメモ紙どこ行ったんだろう。机の下にでも落ちたのかな)

澪「宿題に決まってるだろ。唯はちゃんとしてきたんだろうな」

唯「……し、したよ。した。……はんぶんくらい……」

澪「はぁ、まったく。ノート写させないからな」

唯「えぇ~。助けてよぉ」

254: 2010/06/17(木) 06:12:37.35 ID:tUIqfvmi0
澪「だーめ」

唯「澪ちゃんの髪すっごくきれいだよね。ほら、コシがあって寝癖もすぐ直るよ」

澪「なにを言われてもだめー」

唯「澪ちゃん……好き」

澪「……///」

唯「澪ちゃん大好き///」

澪「/// そ、その上の言葉、言ってくれたら考える……///」

唯「えー/// 私ばっかりずるいよぉ。澪ちゃんがまず今の応えて///」

澪「う~/// わ、私も……唯が大好き……///」

唯「えへへ~/// えっと、えっとね……」

唯「澪ちゃん……ぁ、ぃ……る///」

唯「やっぱり恥ずかしいよぉ!///

澪「もぅ……仕方ないなぁ/// 特別だからな。それに今日宿題出たら部活のあと……私んちで一緒にやること///」

255: 2010/06/17(木) 06:17:47.70 ID:tUIqfvmi0
唯(澪ちゃんちで/// 明日休みだよね///)

唯「うん! 約束する!」

澪「あと……梓にするみたいに、私にも時々……ぎゅって、して欲しい……///」

唯「/// ……いっぱいするね。だから私にもいっぱい……」

澪「……うん///」

唯「……ん、あれ?」

澪「なに?」



唯「澪ちゃん髪に何かついてるよ」

澪「え、唯取って」



おわり。

256: 2010/06/17(木) 06:23:08.36 ID:qb4m6Z+CO
乙!

257: 2010/06/17(木) 06:23:41.20 ID:n0oqbCe0i
おつ!
唯澪でこんなにクオリティ高いSSは初めてでした

258: 2010/06/17(木) 06:25:03.91 ID:kEvfvcWwO
乙でした!

261: 2010/06/17(木) 06:50:22.85 ID:tUIqfvmi0
みなさんおつかれさまでした。
支援してもらえてとても続ける活力になりました。ありがとうございます。
前半の時は一度もさるをくらうことはなかったんだけど、昨日からの後半はさるとの戦いでした。
一レス書き込む度に祈りながらやっていて、話を終わらせる前にいつ完全規制になるのかとヒヤヒヤしていました。
そんなこともなく続けられたのはみんなのおかげでもあります。
前後半共に半日ちょいの間追いかけてくれた人、今読んでる人もありがとうです。楽しんで貰えたなら幸いです。
カップリングはどの組み合わせも好きで、やはり梓を振ってしまうのは自分としても辛いものがありました。
逆に書いていて楽しかったのは憂純です。梓純もいいですが、冷たくされてもめげない純が書いている内に可愛いくなっていきました。
他にも色々ありますが、ひとまずこれにて。また書く機会があったらよろしくです。

272: 2010/06/17(木) 10:46:40.61 ID:0kqJOq1t0
さるさん大変だったみたいだけどお疲れさん

全員救われたみたいで良かった~

引用元: 唯「澪ちゃん髪に何かついてるよ」澪「え、唯取って」