508: 2018/04/02(月) 22:13:32.38 ID:EPABWD1bo

509: 2018/04/02(月) 22:16:26.58 ID:EPABWD1bo
ちひろ「魔除け、ですか?」

武内P「はい」

武内P「……心に決めた女の子が居る、という意味もありますが」

武内P「私は、プロデューサーである、と」

武内P「そういった意味合いが込められています」

ちひろ「でも、魔除けって……」

武内P「……少し、過激な表現だったでしょうか」


ちひろ「意味、あるんですか?」


武内P「……」

武内P「はい?」

510: 2018/04/02(月) 22:19:43.51 ID:EPABWD1bo
武内P「意味があるか、とは?」

ちひろ「多分ですけど、その指輪を見て……」

武内P「私は、そういった対象ではない、と知って貰うためですね」

ちひろ「プロデューサーさん、悪いことは言いません」

武内P「? 何、でしょうか?」


ちひろ「ランダムエンカウントの魔物には、装備品の類は効果があります」

ちひろ「けれど、シンボルエンカウントの魔物には、効果がありません」

ちひろ「……いえ、むしろ、逆効果ですよ」


武内P「そう、でしょうか……?」

512: 2018/04/02(月) 22:22:33.39 ID:EPABWD1bo
ガチャッ!


未央「おっはよー!」

卯月「プロデューサーさん、ちひろさん、おはようございます♪」

凛「おはようございます」


ちひろ「! いけない、今すぐに外してください!」

武内P「えっ? いえ、あの」

ちひろ「早く隠して! 見つかったら――」

武内P「あの、何故――」

――キランッ!


未央・卯月・凛「指輪?」


ちひろ「……くうっ! 遅かった!」

武内P「えっ?……えっ?」

513: 2018/04/02(月) 22:27:13.71 ID:EPABWD1bo
武内P「あの、皆さん……この指輪は――」


未央「――嬉しい、プロデューサー!」

卯月「――きっ、気が早いですよ、プロデューサーさん!」

凛「――ふーん。そういうデザイン、悪くないかな」


武内P「!?」

ちひろ「これが、シンボルエンカウントです」

武内P「み、皆さん! 私は、心に決めた方が――」


未央「ちょっ、ちょっと! 二人が居るのに、まずいって!」

卯月「あと1年で、18歳になりますから! それまで、我慢しますっ!」

凛「私、ウェディングドレスのデザインは、もう決めてあるから」


ちひろ「ねっ? こうなるんですよ」

武内P「……!?」

514: 2018/04/02(月) 22:31:48.69 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

武内P「まさか……こんな事になるとは」

ちひろ「プロデューサーさん、諦めて指輪外しましょう?」

武内P「……いえ、それは出来ません」

ちひろ「どうしてですか?」


武内P「今、これを外すことは、自分を偽る事になってしまうからです」

武内P「自分を偽って、彼女達と接するのは、詐欺のようなもの」

武内P「私は、彼女たちに対しては、常に誠実で、正直でいたいのです」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「あの……口で言えば、早いのでは?」


武内P「それはそれ、これはこれです」

515: 2018/04/02(月) 22:35:59.08 ID:EPABWD1bo
ガチャッ!


美波「おはようございます、プロデューサーさん、ちひろさん」

アーニャ「ドーブラエ ウートラ、おはよう、ございます」

蘭子「煩わしい太陽ね」


ちひろ「はい、おはようございます」

武内P「おはようございます、新田さん、アナスタシアさん、神崎さん」

――キランッ!


美波・アーニャ・蘭子「指輪?」


ちひろ「……さっきの言葉、後悔しないでくださいね」

武内P「はい、勿論です」

516: 2018/04/02(月) 22:42:40.30 ID:EPABWD1bo
武内P「この指輪は、心に決めた女――」


新田「――体が決めちゃった男が居るってことですか!?」

アーニャ「――私とペアになる、パダーラク、アー、贈り物の指輪ですね?」

蘭子「――心? 否! 私と我が友は、心よりも深い、魂で結ばれている!」


武内P「千川さん、助けてください」

ちひろ「ご自分で何とかなさってください」

武内P「……皆さん! この指輪は――」


美波「良いんです! そうしたら、三人でしましょう!」

アーニャ「スパシーバ! 嬉しい、です! ずっと、一緒、です!」

蘭子「ニーベルンゲンの指輪……ククク、戦乙女たる我にこそ相応しい!」


武内P「……何でも、ありません」

ちひろ「……」

武内P「お願いします。そんな目で見ないでください、千川さん」

517: 2018/04/02(月) 22:46:22.53 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

武内P「……皆さん、良い、笑顔でした」

ちひろ「どうするんですか?」

武内P「……きっと、誤解だとわかってくれるはずです」

ちひろ「だと、良いですね」


武内P「私は、彼女たちのプロデューサーです」

武内P「隣に立って歩くのではなく、導いていきたい」

武内P「その証明が、この指輪なのです」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「私じゃなく、本人たちに言っては?」


武内P「善処します」

518: 2018/04/02(月) 22:49:27.33 ID:EPABWD1bo
ガチャッ!


智絵里「お、おはようございます……」

かな子「おはようございまーす。お菓子、買ってきたんですよ♪」

杏「ふわ~あ……ねえ、今日の仕事は無しにしない?」


ちひろ「はい、おはようございます」

武内P「おはようございます、緒方さん、三村さん、双葉さん」

――キランッ!


智絵里・かな子・杏「指輪?」


ちひろ「プロデューサーさん、しっかり説明お願いしますね」

武内P「はい。彼女たちは、常識的なので、きっと」

519: 2018/04/02(月) 22:56:08.75 ID:EPABWD1bo
武内P「皆さん、私は、心に決めた方がいます」


智絵里「――おっ、おめでとうございます! えへへ、良かったですね♪」

かな子「――うわぁ、素敵ですね! どんな人なんだろう~?」

杏「おー、おめでとー。とりあえずさ、お祝いに今日はお休みにしようよ」


武内P「見てください、千川さん!」

ちひろ「見てますよ」

武内P「皆さん! この指輪は――」


智絵里「でも、わたしは見捨てませんよね? ねっ? 見捨てないですよね?」

かな子「甘いかなぁ、それとも、しょっぱいかなぁ? 美味しいと良いなぁ!」

杏「それでさ、杏は部屋でひっそりと氏ぬよ。ま、しょうがないよね」


武内P「ちょっとしたファッションです」

ちひろ「プロデューサーさん?」

武内P「無理です。これは、無理です」

520: 2018/04/02(月) 23:00:00.39 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

武内P「……違います」

ちひろ「ちょっとしたファッション、ですか?」

武内P「ふぁ、ファッション性! それもある、という意味です!」

ちひろ「ふうん?」


武内P「彼女たちの、強い想い」

武内P「それが感じられて、嬉しい気持ちがないと言えば嘘になります」

武内P「ですが、私はプロデューサー」

武内P「彼女たちは、私が担当するアイドルなのです」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「あの子達へのフォロー、どうするつもりですか?」


武内P「……企画、検討中です」

521: 2018/04/02(月) 23:03:45.86 ID:EPABWD1bo
ガチャッ!


きらり「にゃっほーい! おっすおっす☆」

莉嘉「Pクン、ちひろさん、オッハヨー!☆」

みりあ「プロデューサー、ちひろさん、おはようございます!」


ちひろ「はい、おはようございます」

武内P「おはようございます、諸星さん、城ヶ崎さん、赤城さん」

――キランッ!


きらり・莉嘉・みりあ「指輪?」


ちひろ「まだ、続けるんですか?」

武内P「はい、これは必要な事ですから」

522: 2018/04/02(月) 23:11:18.51 ID:EPABWD1bo
武内P「皆さん、私は心に決めた女の子がいます」


きらり「――えっ? そ、そうだよにぃ、Pちゃん、とぉってもステキだもん!」ジワァ…

莉嘉「――心に決めたって……あ、アタシまだJCだよ、Pクン!?///」

みりあ「――ねえねえ、それは本当に、プロデューサーに良い事なのかな?」


武内P「なんとなく、わかっていました」

ちひろ「頑張ってください」

武内P「……皆さん! この指輪は――」


きらり「Pちゃんがハピハピでぇ、きらりも、は、ハピ……うぇっ、ハピ、だゆ!」ポロポロッ…

莉嘉「良い事思いついちゃった!☆ お姉ちゃんと、偽装結婚するの!☆」

みりあ「あのねあのね、心が決めた事が、正しいとは限らないんだよ?」


武内P「おや? この指輪、いつの間に指についていたのでしょうか……?」

ちひろ「プロデューサーさん?」

武内P「待ってください。これは、仕方ないと思いませんか?」

523: 2018/04/02(月) 23:16:58.83 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

武内P「何とでも、仰ってください」

ちひろ「プロデューサーさんが、自分でつけた指輪ですよね?」

武内P「もっと、こう……自然な感じで諦めてくれると、そう、思ったのですが」

ちひろ「女の子って、時に凄いパワーを出すんですよ」


武内P「私も、驚いています」

武内P「普段接してきただけでは見ることの無かった、彼女たちの素顔」

武内P「そういった部分も含めて、今後のプロデュース方針を決めようと思います」

武内P「良い、経験になりました」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「指輪の話、どうするんですか?」


武内P「……待ってください、考えます」

524: 2018/04/02(月) 23:19:32.76 ID:EPABWD1bo
ガチャッ!


みく「おはようございまーす」

李衣菜「おはようございます」


ちひろ「はい、おはようございます」

武内P「おはようございます、前川さん、多田さん」

――キランッ!


みく・李衣菜「小銭?」


ちひろ「この子達相手に、する必要ありますか?」

武内P「無いと思いますが、一応」

526: 2018/04/02(月) 23:26:11.71 ID:EPABWD1bo
武内P「お二人とも、私は、心に決めている事があります」


みく「――待ってPチャン! みく、その先の台詞を当ててみせるにゃ!」

李衣菜「――おもしろいね、みくちゃん! どっちが当てるか、勝負しよう!」


武内P「とても、安心します」

ちひろ「プロデューサーさん? 趣旨が違いますよね?」

武内P「……すみません、もう少しだけ、彼女たちを見させてください」


みく・李衣菜「ズバリ! アイスを買ってきて欲しい!」

みく「味は、バニラにゃ!」

李衣菜「味は、チョコですね!」

みく・李衣菜「はあっ!?」

みく「何言ってるにゃ李衣菜ちゃん! Pチャンは、ぜ~ったいバニラ!」

李衣菜「わかってないなぁ! ロックなチョコ味が好きだね、絶対!」

みく・李衣菜「う~っ……解散!」


武内P「二千円お渡ししますので、好きなだけ買ってきてください」

ちひろ「癒やされてどうするんですか」

527: 2018/04/02(月) 23:34:20.16 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

武内P「バニラとチョコ、どちらも良さがありますね」

ちひろ「私も買ってもらっちゃって、ありがとうございました」

武内P「いえ、千川さんには、いつもお世話になっていますから」

ちひろ「それで、指輪の話はどうするんですか?」


武内P「彼女たちは、素晴らしいアイドルです」

武内P「私は、彼女たちの、輝くような笑顔を見ていたい」

武内P「ですが、この指輪を見ていれば、意識してくれると思います」

武内P「そのためならば……鬼になる必要が、あるのかもしれません」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「その黒い革手袋はなんですか? 鬼の手ですか?」


武内P「……私は、人の心こそが、一番の武器だと思います」

528: 2018/04/02(月) 23:43:19.78 ID:EPABWD1bo
ちひろ「……まあ、最初からこうなるだろうとは思ってました」

武内P「千川さん?」

ちひろ「指輪、外したほうが良いんじゃないですか?」

武内P「それは……出来ません」

ちひろ「どうして?」


武内P「私の心は、もう既に決まっているからです」

武内P「この指輪を外すことは、それを覆すことになります」

武内P「それだけは、したくありませんから」

武内P「……すみません、ワガママを言ってしまって」


ちひろ「プロデューサーさん……」

武内P「わかって、いただけましたか?」


ちひろ「……まあ、そういう事なら、仕方ないですね」


武内P「はい。ありがとう、ございます」

529: 2018/04/02(月) 23:51:03.98 ID:EPABWD1bo
  ・  ・  ・

ちひろ「プロデューサーさん、どうするんですか?」

武内P「……私にも、わかりません」

ちひろ「でも、どうにかしないと、いけませんよね」

武内P「……」


ちひろ「皆、同じデザインの指輪、付け出しましたね」


武内P「彼女たちアイドルは、時に私達の思惑も超える」

武内P「……それを痛感しました」

ちひろ「あのデザインの指輪、他のアイドルの間でも流行ったみたいですよ」

武内P「……そう、ですか」


ちひろ「ほら、私もつけてるんですけど、似合いますか?」

――キランッ!


武内P「……新しい魔除けが、必要ですね」


ちひろ「はい、よろしくお願いします」



おわり

引用元: 武内P「クローネの皆さんに挨拶を」