1: 2017/01/05(木) 19:58:27.60 ID:5y78NM+A0
提督「コラ鈴谷ぁっ! 待たないかぁっ!」ダッ

鈴谷「うっわ!? 怒った怒ったぁ~♪」

提督「また俺のパンツにタバスコを染み込ませたな!?」

提督「このイタズラ小娘め!」

鈴谷「気づかない方が悪いんじゃん?」ニヤニヤ

提督「なんだと!? このおぼこ重巡め!」

鈴谷「お、おぼこじゃないし! 提督キモい!」





翔鶴「あのお二方はまたはしゃぎまわって・・・」

瑞鶴「あーあー、放っておきなさいよ」

瑞鶴「ほんと、毎度毎度うるさいわね」

翔鶴「ふふ・・・仲が良い証拠よ、瑞鶴?」

瑞鶴「あんなんでもケッコンカッコカリした仲なんだよね」

瑞鶴「傍から見たらバカ親子にしか見えないわ」



Model Graphix ARCHIVES 艦隊これくしょん -艦これ-

2: 2017/01/05(木) 19:59:06.71 ID:5y78NM+A0

― 執務室 ―


鈴谷「ちょっと提督! なんで鈴谷がオロ○イン買ってくるハメになるの!?」

提督「うるさい! お前があんなアホみたいなイタズラをするからだ!」

提督「あいたたたた・・・!」ヒリヒリ

鈴谷「・・・だって構ってほしかったんだもん」ボソ

提督「あ? なぬ? 聞げねじゃは?」

鈴谷「・・・だって、提督怒ると面白いじゃん!」ニヤニヤ

提督「なにぃっ!? とんでもない艦娘だなお前は!」

提督「まったく! ほら、さっさとその書類を片づけてくれ!」

鈴谷「はいはい、やりますよぉ~」


3: 2017/01/05(木) 19:59:57.61 ID:5y78NM+A0

― 食堂 ―


鈴谷「それでさぁ、そのときに熊野がさぁ」ヒョイ

提督「・・・・・・」

鈴谷「ウォシュレットの強さ上げ過ぎちゃってさぁ」ヒョイ

提督「・・・・・・」

鈴谷「便器が真っk」

提督「・・・なぁ、鈴谷」

鈴谷「え? どったの?」

提督「何故俺の皿にプチトマトを乗っけてくるんだ?」

鈴谷「え・・・えーと・・・」

鈴谷「ほ、ほら! 提督もっと栄養あるもの食べないと力がでないよ!」


4: 2017/01/05(木) 20:00:23.40 ID:5y78NM+A0
提督「ほほぉ、俺のことを気遣ってくれたのかぁ」

提督「鈴谷は良い子だなぁ~? ん?」

鈴谷「えっへん! 鈴谷は褒められて伸びる子なんでs」

提督「でも俺は大丈夫だから、鈴谷が食べなさい」

鈴谷「え」

提督「鈴谷は育ち盛りなんだから、栄養のあるものを食べないとな?」

鈴谷「え・・・あの・・・」


5: 2017/01/05(木) 20:01:00.45 ID:5y78NM+A0
鈴谷「あー・・・鈴谷、もうお腹いっぱいかなぁ~って・・・?」

提督「・・・食べられないんだろ?」

鈴谷「うっ・・・」

提督「・・・なぁ鈴谷」

提督「これは非常に困ったことになったぞ」

鈴谷「え?」

提督「・・・・・・俺もプチトマト、嫌いなんだ」

鈴谷「!?」


6: 2017/01/05(木) 20:01:37.81 ID:5y78NM+A0
鈴谷「あっはははははは!!wwwwそ、そんな厳つい図体で」

鈴谷「プチトマトが嫌いとかwwwww」

提督「うるさい! とにかくこれはお前のだからな!」

提督「お前が責任をもって食べるんだ!」

鈴谷「い、嫌だし!」

提督「なんだとこのワガママ重巡!」





瑞鶴「なんなのあのアホ共は」

加賀「見てはダメよ、前頭葉が退化するわ」


8: 2017/01/05(木) 20:19:13.34 ID:5y78NM+A0

― 提督自室 ―


提督「まったく鈴谷の奴は・・・!」スゥー

提督「今日も余計に疲れたぞ・・・」フゥー

提督「(明日も早い、早く寝るか・・・)」ジャリジャリ

提督「(最近、歳の所為かどうにも無理がきかなくなってきたな・・・)」

提督「(寝つきは悪い、眠りは浅い、夜中にトイレに起きる、尿の出が悪い・・・)」

提督「(俺もすっかりオンヅサンになったものだ・・・)」ガチャ





鈴谷「 ば ぁ 」





提督「うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ビクビク

鈴谷「」ビク


9: 2017/01/05(木) 20:19:58.04 ID:5y78NM+A0
鈴谷「そ、そんなに驚かなくても良いじゃん・・・」

提督「お前は一体ここで何をしている!?」

鈴谷「え、えーと・・・」

鈴谷「(仄暗い○の底を熊野と一緒に見て)」

鈴谷「(怖くて眠れないなんて言えない・・・)」

鈴谷「(ま、ましてや一緒に寝てほしいだなんて・・・///)」モジモジ

提督「・・・あぁ、そうかそうか」


10: 2017/01/05(木) 20:32:03.61 ID:5y78NM+A0
提督「さては、お前また熊野とホラー映画でも見たんだな?」

鈴谷「うぇっ!?」

提督「それで怖くなって気を紛らわしに来たんだろ?」

鈴谷「ち、違うし!」

提督「もう寝なさい、熊野と一緒に寝るんだろう?」

鈴谷「えっと・・・その・・・///」

提督「ん?」

鈴谷「・・・熊野ってさ、一度寝たら中々起きなくてさ」


11: 2017/01/05(木) 20:32:32.41 ID:5y78NM+A0
鈴谷「よ、夜中にトイレに行きたくなったら怖いじゃん!」

提督「つまり誰かに一緒についてきてほしいと?」

鈴谷「///」コク

提督「・・・お子様」ボソ

鈴谷「う、うるさいし! キモいキモい!///」

提督「わかったわかった」

提督「はーいすずやちゃん? こんやはおじちゃんといっしょにねーねーしようねー?」

鈴谷「言い方卑猥!」


13: 2017/01/05(木) 20:41:44.32 ID:5y78NM+A0
>>12
!?

14: 2017/01/05(木) 20:42:15.21 ID:5y78NM+A0
提督「」スッ

鈴谷「」スッ

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「・・・ねぇ、提督」

提督「ん?」

鈴谷「頭・・・撫でて?」

提督「・・・・・・」

提督「」ナデナデ

鈴谷「・・・んふふ」

提督「・・・ふふ、可愛い奴め」ナデナデ


15: 2017/01/05(木) 20:42:43.58 ID:5y78NM+A0
鈴谷「手、ギュッてして?」

提督「鈴谷はいつからこんなに甘えん坊になったのかなぁ?」ギュッ

鈴谷「いつからでも良いじゃん?」

提督「まったく・・・」

鈴谷「(落ち着く・・・)」

鈴谷「(提督・・・・・・)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「・・・ZZZ」

提督「・・・・・・」


16: 2017/01/05(木) 20:55:10.96 ID:5y78NM+A0

― 翌朝 ―


鈴谷「・・・・・・ん」パチ

鈴谷「」ムク

鈴谷「もう朝・・・」

鈴谷「(ダルいぃ~・・・)」チラ

鈴谷「・・・?」

鈴谷「あれ? 提督いないじゃん・・・」

鈴谷「(鈴谷を置いていくなんて・・・酷いし!)」


17: 2017/01/05(木) 21:03:46.99 ID:5y78NM+A0
鈴谷「あーあ・・・もうあと5時間は寝ていたいなぁ・・・」スッ

鈴谷「?」





ぬいぐるみ『』





鈴谷「(ぬいぐるみ・・・?)」

鈴谷「なんで提督の部屋にこんなものが・・・?」

鈴谷「え・・・提督ってまさかこういう趣味が・・・?」

鈴谷「ちょwwwwwwwww」

鈴谷「あーあ・・・あ、でも結構可愛いかも」ジー















提督「 鈴 谷 」










鈴谷「」ビクッ





18: 2017/01/05(木) 21:04:42.04 ID:5y78NM+A0
鈴谷「あ、て、提督いたんだ・・・」





提督「おはよう」

提督「鈴谷」

提督「やっと」

提督「起きたのか」





鈴谷「う、うん・・・」

鈴谷「(あれ? 提督、怒ってる・・・?)」


19: 2017/01/05(木) 21:06:24.22 ID:5y78NM+A0
提督「・・・・・・」

提督「・・・それはな?」

提督「俺の」

提督「娘のなんだ」

鈴谷「え? 娘・・・?」

鈴谷「提督既婚者だったの?」

提督「あぁ」

提督「以前に」

提督「言っていなかったか?」

鈴谷「ううん・・・何も・・・」

提督「そうか」


20: 2017/01/05(木) 21:06:59.43 ID:5y78NM+A0
鈴谷「そっか・・・結婚、してたんだ・・・」

鈴谷「・・・っ!」ズキ

提督「・・・?」

提督「鈴谷」

提督「どうした?」

鈴谷「・・・ううん、何でもないよ!」

鈴谷「すぐに準備して執務室に行くね!」

提督「あぁ」

提督「わかった」

提督「待っている」

鈴谷「(・・・・・・)」










バタン・・・・・・










提督「・・・・・・」





21: 2017/01/05(木) 21:16:13.02 ID:5y78NM+A0

― 執務室 ―


提督「・・・・・・」カキカキ

鈴谷「・・・・・・」カキカキ

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(・・・提督、結婚してたんだ)」

鈴谷「(そっか、歳考えればそうだよね)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(なんで提督は鈴谷と仲良くしてくれるんだろう?)」

鈴谷「(娘さんのような感じ・・・なのかな?)」

鈴谷「(娘、か・・・)」

鈴谷「(少し寂しい・・・かな?)」





提督「・・・・・・」





22: 2017/01/05(木) 21:16:51.12 ID:5y78NM+A0

― 夜 提督自室 ―


提督「」グビグビ

提督「・・・はぁ」

提督「何がダークラムだ・・・」

提督「何の味もしねぇよ・・・」トクトク

提督「」グビグビ

提督「鈴谷め・・・ぬいぐるみなんか見つめやがって・・・」

提督「本当にあいつそっくりだ・・・」

提督「・・・・・・」

提督「・・・っ!」グビグビ


23: 2017/01/05(木) 21:17:19.91 ID:5y78NM+A0
提督「(クソッ・・・また・・・まただ・・・)」

提督「(また思い出してきた・・・)」

提督「(気分が悪い・・・もう過ぎたことじゃないか)」

提督「・・・・・・」





『わぁ! かわいいおにんぎょうさん!』

『パパありがとう!』





提督「・・・・・・」


24: 2017/01/05(木) 21:17:52.56 ID:5y78NM+A0
『今日ね! 今日ね! いっぱいお友達できたんだ!』

『見て見て! パパの似顔絵書いたの!』

『パパ! テストで100点取ったんだ! すごいでしょ?』

『じゃじゃーん! 制服似合ってるでしょ? ん~?』

『そうだねぇ、高校どうしようっかなぁ~?』

『え? 彼氏? いないよ?』

『だってパパが思う存分甘えさせてくれるもん!』





提督「・・・・・・」


25: 2017/01/05(木) 21:38:04.01 ID:5y78NM+A0
提督「・・・・・・」

提督「・・・・・・っ!!」バン

提督「クソォッ!! クソクソクソクソッたれがあぁぁぁぁぁぁっ!?」ガンガン

提督「なんであいつが氏ななきゃならなかったんだ!?」

提督「俺でも良かっただろうが!」

提督「なんで・・・なんであの子が・・・!」ポロポロ

提督「うぅ・・・! 畜生・・・畜生め・・・!」グビグビ

提督「なんで娘が氏ななきゃならねぇんだ・・・!」

提督「こんなの・・・間違っているだろ・・・」ポロポロ















鈴谷「(・・・・・・!!)」





26: 2017/01/05(木) 21:39:02.94 ID:5y78NM+A0
鈴谷「(え・・・?)」

鈴谷「(娘が・・・氏んだ・・・?)」

鈴谷「(どういうこと・・・?)」

鈴谷「(今日も甘えようと思ったら・・・とんでもないこと聞いちゃった・・・)」

鈴谷「(ど、どうしy)」ガタ





提督「!?」

提督「誰だ!?」ガチャ





鈴谷「」ビク


27: 2017/01/05(木) 21:39:48.83 ID:5y78NM+A0
提督「鈴谷・・・?」

提督「お前一体ここで何を・・・?」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・・・・」

提督「・・・・・・聞いたのか?」

鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「」コク

提督「・・・・・・」

提督「・・・っ!」グイ

鈴谷「きゃっ!?」


28: 2017/01/05(木) 21:46:28.12 ID:5y78NM+A0
提督「盗み聞きとは感心しないな・・・?」

鈴谷「す、鈴谷はそんなつもり・・・!」

提督「どうだ? 大の男が泣いている姿を見て嘲笑っていたんだろう!?」

提督「あぁそうさ! いつまでも過去に縛られている情けない男さ!」

提督「どいつもこいつも自分勝手なことを言いやがって!」

提督「俺の悲しみなんて誰にもわかりはしない!」

鈴谷「て、提督落ち着いて!」

提督「黙れ黙れ黙れぇっ!!」

提督「えぇい酒だ! もっと酒を飲まなくては・・・!」

鈴谷「もうやめてよ提督!!」


29: 2017/01/05(木) 21:47:03.80 ID:5y78NM+A0
提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・偶然とは言えさ、聞いちゃったのは悪かったと思ってる」

鈴谷「ゴメン・・・」

提督「・・・・・・」

鈴谷「・・・でも」

鈴谷「もし、提督が良いなら」

鈴谷「鈴谷にも・・・少しでも良いから・・・」

鈴谷「話してくれない・・・?」

提督「・・・・・・」


30: 2017/01/05(木) 21:47:53.79 ID:5y78NM+A0
鈴谷「余計なお節介だってわかってる」

鈴谷「不謹慎で、無遠慮で・・・」

鈴谷「提督のこと、わかったつもりになってるかもしれない・・・」

鈴谷「でも! 提督・・・すごく辛そうだった・・・ううん」

鈴谷「すごく辛いんだと思う・・・」

鈴谷「詳しくはわからないけど・・・提督の悲しい思いは」

鈴谷「ものすごいものだと思うんだ・・・」

提督「・・・・・・」

鈴谷「少しでも・・・少しでも提督の力になりたいの!」

鈴谷「いつも提督に叱られてばかりだけど・・・」

鈴谷「提督は鈴谷にとって、大切な人だから・・・」

鈴谷「これ以上、提督には辛い思いをしてほしくないの・・・」

提督「・・・・・・」


31: 2017/01/05(木) 21:48:43.54 ID:5y78NM+A0
鈴谷「・・・ゴメンね?」

鈴谷「勝手なことばかり言ってさ・・・」

鈴谷「こんなとき、どうすることもできないだなんて・・・」

鈴谷「鈴谷って、本当に無力だね・・・」

提督「・・・・・・」





提督「・・・・・・娘はな」





鈴谷「!」

提督「交通事故で氏んだんだ・・・」

鈴谷「・・・!!」


32: 2017/01/05(木) 21:49:32.92 ID:5y78NM+A0
鈴谷「交通・・・事故・・・?」

提督「あぁ・・・飲酒絡みの事故だったんだ・・・」

鈴谷「え・・・?」

提督「あの男・・・運転手は酒を飲んだにも関わらず」

提督「無責任にハンドルを握り」

提督「横断歩道を渡っていた娘を轢き頃したんだ・・・!」

鈴谷「っ・・・!」

提督「娘はほぼ即氏だったらしい・・・」

提督「ブレーキ痕も一切なかったことから」

提督「相当の速度が出ていたらしい・・・」

鈴谷「ひ、酷い・・・!」


33: 2017/01/05(木) 21:50:08.90 ID:5y78NM+A0
提督「人1人頃したとて、ブタ箱に入るのは数年・・・」

提督「その間、あの男はのうのうとタダ飯を食らい続け・・・!」

提督「やがてシャバに解き放たれ、平然と生きてんだ・・・!」

提督「何度あの男を頃してやろうかと思ったことか・・・!」

提督「何が”申し訳ございませんでした”だ!」

提督「謝って娘が還ってくるとでも思っているのか!?」

鈴谷「(こんな・・・こんなのって・・・!)」

提督「その後は・・・妻も精神病にかかってな・・・」

提督「それからすぐ・・・後を追うように・・・」

鈴谷「うっ・・・!」


34: 2017/01/05(木) 21:51:10.68 ID:5y78NM+A0
提督「・・・お前が見ていたぬいぐるみはな?」

提督「娘のものだったんだ・・・」

提督「あぁ、これはもう言ったか・・・」

鈴谷「(今でも提督・・・あのぬいぐるみを・・・)」

提督「あいつ・・・高校生にもなって」

提督「俺が昔に買ってあげたものを、大事にとっていたんだ」

提督「はは・・・まったく、いつまで経っても子供だよな・・・?」

提督「・・・・・・」

提督「・・・なぁ、鈴谷」

提督「どうして神様は俺を頃してくれなかったんだろうな?」

提督「なんで娘を頃したのか・・・」

提督「残酷だよな・・・?」

提督「いや・・・残酷だなんてものじゃない・・・」


35: 2017/01/05(木) 22:00:58.30 ID:5y78NM+A0
提督「鈴谷・・・実はな?」

提督「お前は・・・お前は・・・」

鈴谷「・・・?」





提督「氏んだ娘に瓜二つなんだ・・・」





鈴谷「え・・・!?」





36: 2017/01/05(木) 22:01:33.44 ID:5y78NM+A0
提督「最初に・・・この艦隊にお前が来たときは驚いたさ・・・」

提督「まるで生き写しだ・・・」

提督「姿も・・・性格も・・・声も・・・」

提督「仕草だってそっくりだった・・・」

鈴谷「・・・・・・」

提督「しばらくして、お前が秘書艦を務めることになったな?」

提督「複雑な気持ちだったよ・・・」

提督「辛さと・・・嬉しさの混じった、ドロドロしたものだ・・・」

提督「あいつのことを思い出してしまう反面」

提督「まるで・・・あの子と過ごした日々を巡っているかのような気分だ」


37: 2017/01/05(木) 22:02:10.27 ID:5y78NM+A0
提督「ははっ・・・本当、俺ってバカだよなぁ・・・?」

提督「あいつは・・・佳奈はもう二度と戻ってこないのに・・・」

鈴谷「提督・・・」

提督「照れながらも甘えてくるお前は可愛かった・・・」

提督「あぁ、それはそれはもう・・・本当に可愛過ぎてな・・・?」

提督「そして・・・」





提督「お前は・・・娘に似過ぎていた」

提督「そんなお前を見るのは・・・辛いんだ」

提督「辛くて辛くて・・・たまらないんだ・・・!」





鈴谷「・・・・・・」


38: 2017/01/05(木) 22:02:47.34 ID:5y78NM+A0
鈴谷「・・・提督」

鈴谷「話してくれて、ありがとう」

鈴谷「ゴメンね? 辛い記憶を掘り起こしちゃって・・・」

提督「いや、良いんだ・・・」

提督「寧ろ、少しだけ楽になったような気がするよ」

提督「俺は・・・無意識に他人を敵にしていたのかもしれない」

提督「本当は・・・本当は俺の気持ちを誰かに伝えて」

提督「理解してもらいたかったのかもしれない・・・」

提督「ははっ・・・本当に・・・俺はダメな人間だ・・・」

提督「軍人としても・・・父親としても・・・な・・・?」ポロポロ

鈴谷「提督・・・」

鈴谷「(・・・・・・)」


39: 2017/01/05(木) 22:03:31.63 ID:5y78NM+A0
鈴谷「(こんなのって・・・こんなのってないよ・・・!)」

鈴谷「(なんで提督がこんな目に・・・!)」

鈴谷「(鈴谷にとって、提督は・・・提督は・・・!)」





提督『ん? この書類の書き方か? これはな・・・』

提督『どうだ鈴谷、この艦隊にはもう慣れたか?』

提督『良いか? 決して無理をするんじゃないぞ?』

提督『お前も大切な部下の1人だからな?』

提督『そうかそうか、鈴谷は熊野と仲良しさんなんだな』

提督『まったく! お前はいたずらばかりするな本当に!』

提督『コラ鈴谷! また俺が寝ている間に鼻の下にガムをつけたな!?』

提督『お前の唾液とガムでベトベトだ!』

提督『まったく・・・お前は素直に甘えれば可愛いものを・・・』





鈴谷「(・・・・・・)」


40: 2017/01/05(木) 22:04:16.72 ID:5y78NM+A0
鈴谷「(・・・何とかしなきゃ)」

鈴谷「(鈴谷が・・・鈴谷だけが提督を救える・・・)」

鈴谷「(鈴谷が提督を救わなきゃ・・・)」

鈴谷「(提督は鈴谷を見ると辛い・・・忌まわしい記憶は消えない・・・)」

鈴谷「(失った娘さんは還らない・・・提督を助けたい・・・)」

鈴谷「(どうすれば・・・?)」

鈴谷「(・・・・・・)」

鈴谷「(・・・・・・・・・)」


41: 2017/01/05(木) 22:20:11.14 ID:5y78NM+A0
鈴谷「・・・・・・」

鈴谷「・・・提督」

提督「・・・?」





鈴谷「」ギュ















お 父 さ ん










提督「!!!!」





42: 2017/01/05(木) 22:20:48.11 ID:5y78NM+A0
提督「す、鈴谷・・・? お前何を言って・・・!?」

鈴谷「提督・・・ううん、お父さん?」

鈴谷「お父さんは・・・もう十分辛い思いをしてきたんだよ・・・?」

鈴谷「もう乗り越えるときが来たんだよ?」

提督「!?」

鈴谷「今度は・・・私が、貴方の娘の佳奈になるの」ニコ

提督「な、何を馬鹿なことを・・・!?」

鈴谷「馬鹿なことなんかじゃないよ?」


43: 2017/01/05(木) 22:21:24.81 ID:5y78NM+A0
鈴谷「ねぇお父さん?」

鈴谷「親子の繋がりって何だと思う?」

鈴谷「血の繋がり? カタチ? 思い?」

鈴谷「親子は1組しか存在してはいけないの?」

鈴谷「お父さんと私はアカの他人だからダメなの?」

鈴谷「どう足掻いても無理なの? だからと言って諦めるの?」

鈴谷「常識に囚われるから辛いんじゃん?」

鈴谷「ね?」ニコ

提督「うあぁぁ・・・!?」ガタガタ


44: 2017/01/05(木) 22:21:56.78 ID:5y78NM+A0
鈴谷「私はお父さんのことが大好きだから・・・」

鈴谷「もうお父さんの悲しい顔は見たくないの」

鈴谷「私が佳奈・・・貴方の娘になって」

鈴谷「お父さんを助けるの」

鈴谷「ね? お父さん、良いでしょ?」

鈴谷「今ここで・・・お父さんの築いてきた過去の家族の歴史を」

鈴谷「全て焼き払うの!」

提督「やめろぉ・・・やめてくれぇっ!!」


45: 2017/01/05(木) 22:22:42.37 ID:5y78NM+A0
鈴谷「やめないよ! 多少残忍なことでも乗り越えなきゃならないの!」

鈴谷「泣かないで! 悲しまないで!」

鈴谷「ほら? 佳奈はここにいるよ?」

鈴谷「もう離さないから・・・ずっと一緒だからね?」

提督「あぁ・・・あぁ・・・!?」ガクガク

鈴谷「もう何処にも行ったりしないから・・・」

鈴谷「お父さんも、うんと私に甘えてね?」

鈴谷「私もうんっと! お父さんに甘えるからさ・・・」

鈴谷「一緒に・・・思い出いっぱい作っていこう?」

鈴谷「ね?」ニコ





提督「あぁ・・・! あぁ・・・!!」

提督「佳奈・・・佳奈ぁ・・・っ!」ポロポロ





鈴谷「うん・・・うん・・・」ギュッ


46: 2017/01/05(木) 22:25:10.27 ID:5y78NM+A0
提督「会いたかったよ・・・! 今までゴメンな・・・?」

提督「もう何があっても離さないぞ・・・!」





鈴谷「うん・・・」

鈴谷「もう」

鈴谷「大丈夫だから・・・」ナデナデ

鈴谷「(これから何があっても・・・)」

鈴谷「(鈴谷・・・ううん、私はお父さんを支えていくの)」

鈴谷「(理屈じゃない・・・親子の歴史を刻んでいくの)」

鈴谷「(私は今生まれ変わった、お父さんの娘・・・)」

鈴谷「(そう・・・私とお父さんは)」















鈴谷「 ( 親 子 な ん だ か ら ) 」










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










47: 2017/01/05(木) 22:25:58.25 ID:5y78NM+A0
提督「はは、佳奈は本当に可愛いなぁ」ナデナデ

鈴谷「えへへ/// もっと褒めてお父さん!///」

提督「何か欲しいものはないか?」

提督「父さんが何でも買ってやるぞ?」

鈴谷「私はお父さんがいるだけで満足だよ?」

提督「なんと! そうかそうか、佳奈は良い子だなぁ」ナデナデ

鈴谷「///」





熊野「・・・・・・」


49: 2017/01/05(木) 22:41:17.23 ID:5y78NM+A0
鈴谷「・・・それでさ、お父さんの下着と一緒に洗わないでって言ったらさ!」

熊野「・・・・・・」

鈴谷「洗剤代と水道代、手間がかかるからダメって言われてさ!」

熊野「・・・・・・」

鈴谷「本心でそんなこと言ったんじゃないんだよ?」

鈴谷「あの慌ててる顔、面白かったなぁ・・・」ニヤニヤ

鈴谷「んでね! んでね! あと中庭に落としa」

熊野「・・・鈴谷」

鈴谷「ん?」


50: 2017/01/05(木) 22:41:54.30 ID:5y78NM+A0
熊野「もう・・・終わりにしていただけませんこと?」

鈴谷「え?」

熊野「貴女・・・一体どうされてしまったのです?」

熊野「提督に何をしたのですか?」

熊野「最近のあなた方は異常です」

鈴谷「・・・・・・」

熊野「鈴谷、何故提督を”お父さん”とお呼びになられるのです?」

熊野「遊戯にしては少々過ぎませんこと?」

鈴谷「・・・・・・」

熊野「大体提督も提督です、良い歳をして一体何をしてi」















鈴谷「 は ? 」










熊野「」ビク





51: 2017/01/05(木) 22:42:30.60 ID:5y78NM+A0
鈴谷「あのさぁ」

鈴谷「どうしてそんなこと言うの?」

熊野「す、鈴谷・・・?」

鈴谷「お父さんはね・・・? 今までさぁ?」

鈴谷「すんごい辛い思いしてきたんだよ?」

鈴谷「熊野はさぁ? お父さんに氏ぬまで苦しんでいてほしいんだ?」

熊野「そ、そんなことはありませんわ!」

熊野「って! いい加減その”お父さん”と言うのは・・・!」

鈴谷「私とお父さんが誰に迷惑をかけたって言うの?」

鈴谷「どうして親子の仲を引き裂こうとするの?」

熊野「な、何を言って・・・!」


52: 2017/01/05(木) 22:43:05.13 ID:5y78NM+A0
鈴谷「ねぇ、どうしてそんな酷いこと言うのさ?」

鈴谷「熊野はそんなこと言わない」

鈴谷「ね?」

熊野「あ、あの・・・!」





鈴谷「お父さんを馬鹿にしないでよ!!!!」バン





熊野「ひっ!?」ビク





53: 2017/01/05(木) 22:44:23.56 ID:5y78NM+A0
鈴谷「私はお父さんの娘なの!」

鈴谷「よくも親の悪口を本人の目の前で言えるよね!?」

鈴谷「私だって熊野だって、お父さんの全てを理解できてるわけじゃない!」

鈴谷「そんなこと知ってるよ!」

鈴谷「でも! お父さんのことを支えてあげられるのは私だけなの!」

熊野「す、鈴谷落ち着いて・・・!」オロオロ

鈴谷「今からいっぱい思い出作れば良いじゃん!」

鈴谷「お父さんの記憶を・・・運命を・・・!」

鈴谷「今ここで! 私が全部塗り替えるの!」


54: 2017/01/05(木) 22:45:20.54 ID:5y78NM+A0
鈴谷「もうこれ以上お父さんに辛い思いをしてほしくないの!」

鈴谷「何が悲しくてそんな道を歩むのさ!?」

鈴谷「誰だって幸せになりたいじゃん!」

鈴谷「それの何が間違ってるって言うのさ!」

鈴谷「お父さんには私が必要なの!」

鈴谷「親子の絆は簡単に崩れ去るものじゃない!」

鈴谷「酷い酷い酷い酷い!!」バシッ

熊野「うぐっ・・・!?」ドサ

鈴谷「熊野は鬼だよ!」

鈴谷「なんであんなこと言ったのさ!?」

鈴谷「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バシィッ

熊野「いやっ! やめてっ!」ポロポロ

鈴谷「嫌い嫌い嫌い嫌い!!」バシィッ

鈴谷「酷いこと言う熊野なんていらない!!」バシィッ

熊野「うぅ・・・っ! だ、誰か・・・!」ポロポロ


55: 2017/01/05(木) 22:46:06.96 ID:5y78NM+A0
鈴谷「はぁ・・・はぁ・・・!!」

熊野「酷い・・・酷いですわ・・・」グス

鈴谷「・・・どっちが酷いのさ?」

鈴谷「まぁ良いや、もし今度お父さんに酷いこと言ったら」

鈴谷「姉妹とはいえ、舌を引き抜いて」

鈴谷「犬の餌にするから」ニコ

熊野「ひっ!?」ビク

鈴谷「私、素直で協力的で」

鈴谷「優しい熊野は大好きだからさ」

鈴谷「これからもよろしくね?」ニコ

熊野「」ビクビク

鈴谷「んじゃ、またあとでね」










パタン・・・・・・











熊野「・・・・・・」





56: 2017/01/05(木) 23:04:24.40 ID:5y78NM+A0
熊野「・・・・・・・・・」

熊野「(・・・あれは)」

熊野「(一体何ですの・・・?)」

熊野「(事もあろうに上官と部下が!)」

熊野「(あんな退廃的な父娘姦淫の紛い事をして!)」

熊野「ぐっ・・・うぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・っ!!」

熊野「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ガン

熊野「何なのよぉぉぉぉっ!? ムカつくムカつく!!」ガンガンガン


57: 2017/01/05(木) 23:04:58.07 ID:5y78NM+A0
熊野「(提督と一緒に過ごした時間はわたくしの方が断然長いというのに!)」

熊野「(鈴谷がこの艦隊に後から来て・・・秘書艦をやりたいと言われて・・・)」

熊野「(慣れさせる為に譲れば、こんな・・・こんなぁ・・・っ!)」

熊野「(これではまるで泥棒ではありませんの!?)」

熊野「(鈴谷は大切な姉妹! 提督は大切なお方!)」

熊野「わたくしはどうすれば良いんですの!?」ポロポロ

熊野「わたくしだって・・・わたくしだってあのお方が・・・!」ポロポロ

熊野「・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ガンガンガン

熊野「はぁ・・・はぁ・・・!!」ワナワナ

熊野「(い、いけませんわ・・・わたくしとしたことが)」

熊野「(こんなに取り乱すだなんて・・・)」

熊野「(・・・顔を洗って来ましょう)」


58: 2017/01/05(木) 23:05:35.28 ID:5y78NM+A0

― 女子便所 ―


熊野「・・・・・・」

熊野「・・・こ、これは」

熊野「拳銃ですの・・・? どうしてこんなところに・・・?」スッ





拳銃『』





熊野「(確か提督は銃器の所持はなさっておられなかったはず・・・)」

熊野「(とすれば、憲兵の紛失物・・・?)」

熊野「(憲兵隊の中にも、少数であれど女性の方はいらしたはず・・・)」


59: 2017/01/05(木) 23:06:12.65 ID:5y78NM+A0
熊野「こ、これは大変なことですわ!」

熊野「よりにもよって、こんな危険な物を落としていくだなんて・・・!」

熊野「(インシデント発生として、提督に報告しなくては!)」

熊野「まったく! 平和ボケにも程がありますわ!」

熊野「・・・・・・」

熊野「」チラ





拳銃『』















熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





熊野「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





60: 2017/01/05(木) 23:16:46.20 ID:5y78NM+A0

― 執務室 ―





扉『』コンコン





提督「ん? 誰だ?」





「熊野ですわ」





提督「おぉ、熊野か、入りなさい」

熊野「失礼します」ガチャ

鈴谷「」チラ

鈴谷「お」

鈴谷「熊野じゃん」

鈴谷「ちーっす」

熊野「えぇ」ニコ


61: 2017/01/05(木) 23:17:22.10 ID:5y78NM+A0
提督「熊野、何かあったのか?」

熊野「・・・・・・」

熊野「・・・えぇ」

熊野「少々」

熊野「提督に」

熊野「報告しなければ」

熊野「いけないことが」

熊野「ありますの」

提督「報告? なんだ?」


62: 2017/01/05(木) 23:18:04.00 ID:5y78NM+A0
熊野「少々」

熊野「厄介で」

熊野「重大な」

熊野「ものですの」

提督「な、なんだそれは・・・?」

鈴谷「えぇ~? なにそれぇ~?」

鈴谷「私は今からパパの膝の上で思いっきり甘えようと思ってたのにさ!」

提督「ははは、佳奈は本当に甘えん坊さんだな」ナデナデ

鈴谷「///」

熊野「」ニコニコ

提督「それで、一体何g」















「 え ぇ 」





「 お 手 洗 い に 」





「 こ ん な も の が 」





「 落 ち て い ま し た の 」










― 終わり ―



63: 2017/01/05(木) 23:19:42.27 ID:5y78NM+A0
鈴熊サンドって美味しそうですよね


新年明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします

66: 2017/01/05(木) 23:37:50.40 ID:YD2BLvTEO

徐々にほのぼのからホラーになって怖かった(小並感)
過去作もあれば是非読みたい

引用元: 提督「鈴谷が可愛すぎてつらい」