7: 2012/05/31(木) 21:48:28.15 ID:Z+bMVJewO
久「そう、なの……」

咲「はい」

咲「結局、お姉ちゃんと暮らせるようにはならなかったですし」

咲「きっと、私達家族はもう終わりなんです」

久「咲……」




12: 2012/05/31(木) 21:59:41.97 ID:Z+bMVJewO
部室

咲「──」ボー

久「……咲」

咲「……あ、部長。来てたんですか?」

久「最初から居たわよ」

咲「すみません……気づかなかったです」

久「……」

15: 2012/05/31(木) 22:04:33.81 ID:Z+bMVJewO
咲「……誰も、来ませんね……」

久「まこはこの時期お店が忙しいのよ」

咲「京ちゃんと優希ちゃんはデートみたいですよ」

久「……青春ねぇ」

咲「……の──原村さんは元気かな……」

久「──さぁね」

19: 2012/05/31(木) 22:11:31.93 ID:Z+bMVJewO
久「最近どう?」

咲「……えっ?」

久「いや、一人暮らし。寂しくない?」

咲「……まぁ別に」

久「そう」

咲「もう部長ったら。私はそんな子供じゃないですよ」

21: 2012/05/31(木) 22:18:08.95 ID:Z+bMVJewO
久「……」

咲「今日は誰も来そうにないですね」

咲「私は帰りますけど、部長は?」

久「──帰るわ。それと咲?」

咲「はい?」

久「部長はもうまこよ」

咲「……あは。そうでしたね……」

24: 2012/05/31(木) 22:29:36.08 ID:Z+bMVJewO
咲「でも残念ですねー」テクテク

久「? 何が?」

咲「部員ですよー」

咲「私達全国の決勝戦まで行ったのに、新しく誰も入ってくれないじゃないですか」

久「……まぁ、年度の途中だしね」

27: 2012/05/31(木) 22:36:21.17 ID:Z+bMVJewO
久「でもきっと、来年には沢山後輩が入ってくるわよ」

久「そうなったら咲も」

咲「それじゃ駄目ですよ」

久「……えっ?」

咲「それじゃ部長、卒業まであの部室じゃ打てないってことじゃないですか」

久「……別に、須賀君も入れて部員は五人いるじゃない」

咲「あの二人はきっともう来ません」

久「……っ」

咲「……多分」

30: 2012/05/31(木) 22:44:28.36 ID:Z+bMVJewO
咲「……」

久「……」

咲「……じゃあ」

久「あ……?」

咲「私、こっちですから」

久「あ、ああ、うん。じゃあね、咲」

咲「はい。また明日」

久「……明日は日曜日よ」

33: 2012/05/31(木) 22:56:26.47 ID:Z+bMVJewO
咲「」ボー

咲「」ボー

咲「」ボー

咲「──ん」カタッ

咲「……はぁ」

ピンポーン

咲「……?」

36: 2012/05/31(木) 23:02:29.05 ID:Z+bMVJewO
ガチャ

久「やっほー」

咲「部長?」

久「居なかったらそれでいいと思ってたけど、やっぱり暇してるのね」

咲「……」ムー

久「一日引きこもってたら腐るわよ」

久「少し二人で出ない?」

咲「────」

37: 2012/05/31(木) 23:09:26.22 ID:Z+bMVJewO
咲「どこ行くんですか」テクテク

久「どこ行こうかしらねー」テクテク

咲「……何も決めずに私のところ来たんですか?」

久「そうよ?」

咲「…………」

久「どうしましょう。まこのお店にでも行く?」

咲「……はぁ」

43: 2012/05/31(木) 23:23:10.21 ID:Z+bMVJewO
部室

咲「結局ここですか」

久「いいじゃない。ここが一番落ち着くのよ」

咲「……」

久「……」

咲「……──」ウツラ

久「……咲は」

46: 2012/05/31(木) 23:36:57.90 ID:Z+bMVJewO
咲「……?」ハッ

久「咲は、この部に入って良かった?」

咲「……え?」

久「……いえ、何でもないわ。ごめんなさい」

咲「あ、はい……」

久「……」ハァ

咲「……──良かったですよ?」

久「!」

49: 2012/05/31(木) 23:47:02.86 ID:Z+bMVJewO
咲「この部に入って。原村さんに会って、優希ちゃんに会って」

咲「染谷先輩に会って、部長に会って」

咲「麻雀が楽しかったことを思い出せて」

咲「私、本当に良かったですよ?」ニコッ

久「……でも」

52: 2012/05/31(木) 23:52:20.47 ID:Z+bMVJewO
久「でもあなた、お姉さんとは──」

咲「……お姉ちゃんのことは気にしないで下さい」

咲「多分、もうずっと前から手遅れだったんです」

咲「最初に別れちゃった時から、ずっと……」ポロ

久「……咲」

54: 2012/05/31(木) 23:58:23.56 ID:Z+bMVJewO
咲「……あれ? なんだろ? 涙出てきちゃったよ……」ポロポロ

咲「おかしいな。この間全部、出し切ったと思ってたのに……」ポロポロ

久「咲──」ギュッ

咲「あ……ぅ」

久「無理しないで、咲」

久「せめて、私の前でだけは」ナデナデ

咲「……」ギュッ

58: 2012/06/01(金) 00:07:18.60 ID:t+KpM8KsO
────

咲「……悲しかったんです」

久「……?」ナデナデ

咲「原村さんが転校して」

咲「京ちゃんと優希ちゃんが付き合い始めて」

咲「染谷先輩も、部長になったのにいつも忙しくて」

咲「みんな部室には来なくなるし」

咲「部長ももう、卒業しちゃうし……」ギュー

63: 2012/06/01(金) 00:14:15.51 ID:t+KpM8KsO
咲「このまま私だけ置いていかれたらって思ったら、怖くなっちゃって」

咲「今のうちに慣れなくちゃいけないから──」

久「……それで、一人暮らしすることにしたの?」

咲「──」コクッ

久「……ばか」ギュッ

64: 2012/06/01(金) 00:18:25.26 ID:t+KpM8KsO
咲「部長……」

久「早く言いなさいよ。少なくとも私は、ずっとここにいたじゃないの」

久「あなたから見た私って、そんなに頼りない?」

咲「……だって、部長はもう卒業するじゃないですか」

咲「私が余計な心配かけちゃ、駄目ですよ」

久「いいのよそんなことっ!」ガシッ

咲「!」

68: 2012/06/01(金) 00:24:04.08 ID:t+KpM8KsO
久「あなたが寂しいなら、いつまでだって一緒にいるわよ!」

久「そんなの私にとって何の負担でもないわ」

久「あなたがそんな、そんな思いをしてることの方が──」ジワッ

咲「……あ──」

久「……そんな思いを抑え込んでいたことの方が、私は悲しいわ……」ポロポロ

咲「……うぅ」

70: 2012/06/01(金) 00:30:30.41 ID:t+KpM8KsO
咲「ごめんなさい……ごめんなさい部長……」ギュー

久「……いいわよ、もう。こうして話してくれたんだし」

久「こっちこそごめんね? 肩、痛くなかった?」サスサス

咲「う、うぅ。部長っ、部長ぉ」ギュー

久「──あはは」クスッ

久「そうよ。あなたはもっと人に頼っていいの」ギュッ

久「私はいつだって、あなたの味方になるからね──」ナデナデ

咲「──う、ふえぇぇ」ギュー

73: 2012/06/01(金) 00:40:45.80 ID:t+KpM8KsO
────

ピンポーン

咲「っ」ダッダッ

ガチャ

久「やっほー。ってわっ」

咲「久さんっ」ダキッ

久「っとと。ちょっと咲? 危ないじゃない」ニコッ

咲「久さんが来るのが遅いのが悪いんですー」ギュー

久「もう、すっかり甘えん坊ね」ナデナデ

咲「えへへー」スリスリ

咲「あ、それで久さん。今日は──」

久「ええ、大丈夫よ。泊まっていけるわ」

咲「やったぁ!」ニパァ

咲「えへへっ! 久さん大好きっ!」ギュー

久「私も。好きよ、咲──」ナデナデ

74: 2012/06/01(金) 00:41:23.42 ID:t+KpM8KsO
ちゃんちゃん

77: 2012/06/01(金) 00:45:13.11 ID:nqEsD10e0
よかったよ
おつおつ

引用元: 咲「一人暮らしをしようと思うんです」