1: 2017/03/29(水) 13:25:52.07 ID:qA2r8a/P.net
千歌「それに喉渇いた…」

千歌「あー…目、覚めちゃった。何か飲もーっと」

千歌(みかんジュース…は、もっと喉渇いちゃうか)

千歌(緑茶でいいや…)ゴクゴク

千歌(あれ……?)

千歌(喉、渇いたままだ)

3: 2017/03/29(水) 13:27:01.90 ID:qA2r8a/P.net
美渡「ふぁあ…何やってんの?」

千歌「ぁ…美渡姉……喉、渇いちゃって」

美渡「……ん?千歌、口開けて」

千歌「え、なんで?…あー」

千歌「ひょ、ひょっほ、みほへぇ!?」

美渡「あー…千歌もか。ちょっと待ってろよ」

4: 2017/03/29(水) 13:27:43.19 ID:qA2r8a/P.net
志満「千歌がどうしたの?」

千歌「志満姉…?」

美渡「千歌もアレ、なったみたいだよ」

志満「…そっか、大丈夫だからね」ナデナデ

千歌(志満姉に頭撫でてもらうの…久しぶり……えへへ)

5: 2017/03/29(水) 13:28:09.12 ID:qA2r8a/P.net
志満「よいしょっと」

千歌(なんだろあれ…赤黒い…液体)

志満「はい、どうぞ」

千歌「これ、なに?」

志満「……トマトジュースよ。飲んでみて?」

千歌「トマトジュース…」ゴクッ

6: 2017/03/29(水) 13:28:52.15 ID:qA2r8a/P.net
千歌(…!甘くて、溶けるみたいな…味。でも、トマトジュースってこんな味だったっけ?)

千歌(ぁ…喉の渇き、治まってる)

志満「あー…Aqoursの練習あるのよね?どうしよっか」

美渡「え?今飲んだし平気じゃない?」

志満「うーん…でも念には念を……」

8: 2017/03/29(水) 13:29:59.18 ID:qA2r8a/P.net
千歌「何の話ー?」

志満「千歌、さっきみたいに飲み物を飲んでも渇く状態になったら練習早退して帰ってきてね?」

千歌「えー、なんで?」

美渡「まぁ、そのことは明日でいいよ。もう眠いし、寝たい」

志満「そうね…千歌。それだけは守ってね」

千歌「よくわからないけど、わかった」

9: 2017/03/29(水) 13:30:29.34 ID:qA2r8a/P.net
志満「うん。じゃあ、おやすみ」

美渡「おやすみー」

千歌「おやすみ、志満姉、美渡姉!」トコトコ

千歌「………なんだったのかな」ガラッ

千歌「あれ?歯もかゆくない」

千歌「もう一眠り…しよ…」ウトウト

12: 2017/03/29(水) 13:31:53.01 ID:qA2r8a/P.net
ピピピピ

千歌「んー…」

千歌(うん!歯もかゆくないし、喉も大丈夫!)

千歌(早く支度して練習行こっと)

志満「千歌、昨日も言った通り…」

千歌「うん。昨日みたいになったら早退でしょ?わかってる!」

13: 2017/03/29(水) 13:32:24.94 ID:qA2r8a/P.net
志満「帰ってきたらちゃんと説明するからね」

千歌「うん!いってきまーす」

志満「いってらっしゃい」

千歌(なんなのかなぁ…これ)

千歌(志満姉も美渡姉も知ってるみたいだし、病気とかではないよね)

梨子「千歌ちゃん、おはよう」

千歌「梨子ちゃん!おは…よ……?」

千歌(んー?なんか、いい匂いする)クンクン

15: 2017/03/29(水) 13:33:08.63 ID:qA2r8a/P.net
梨子「ちょ、ちょっと…?」

千歌「シャンプーとか変えた?」

梨子「え?変えてないけど…どうして?」

千歌「なんかいい匂い…」

梨子「は、恥ずかしいからやめて!」グイッ

千歌「ごめんなさーい…」

千歌(なんでいい匂いするのかなー…)

17: 2017/03/29(水) 13:34:05.19 ID:qA2r8a/P.net
―――

ガラガラ

梨子「おはようございまーす」

千歌(…っ!)

曜「おはヨーソロー!」

千歌(なに、これ…頭、くらくらする)フラッ

曜「わわっ!?千歌ちゃん、大丈夫?」ダキッ

18: 2017/03/29(水) 13:34:32.31 ID:qA2r8a/P.net
千歌「よー、ちゃん?」

曜「~っ!?///」

曜(色っぽ…っていやいや!)

曜「具合悪い?保健室で休もっか?」

梨子「え、そうなの…?気が付かなかった……ごめんね、千歌ちゃん」

千歌「ん…ううん、へーき……」

19: 2017/03/29(水) 13:35:00.50 ID:qA2r8a/P.net
千歌(ぁ…喉すごい渇いた……歯も、変な感じ…)

千歌(そーたい……しな…きゃ)

曜「梨子ちゃん!私、千歌ちゃんを保健室に連れてくから、あとから来た皆に説明よろしく!」

梨子「うん。千歌ちゃん、お大事にね」

20: 2017/03/29(水) 13:35:27.67 ID:qA2r8a/P.net
―――

千歌「ん……」

曜「千歌ちゃん、大丈夫?」

千歌「っ…」

千歌(ポニーテールしてる。うなじ、きれい……)ジーッ

曜「ん?どうしたの?」

千歌(匂い……やばい)

21: 2017/03/29(水) 13:35:58.14 ID:qA2r8a/P.net
千歌(も…我慢、でき……っ)グッ

曜「あ、あれ?千歌ちゃん…なんだか目が…?」

美渡「バカチカ!」

曜「あ、美渡さん」

美渡「…大丈夫?ほら、帰るよ」

千歌「ごめん、ごめんね…曜ちゃん……皆にも…」

曜「うん、伝えとく!お大事に!ヨーソロー!」

22: 2017/03/29(水) 13:36:30.79 ID:qA2r8a/P.net
バタンッ

美渡「……よく我慢したね」ボソッ

千歌「が、まん…?」

美渡「ほら、これ飲みな」

千歌「ぁ…昨日の…」ゴクッ

美渡「まさかこんなに早いとはね」

千歌「美渡姉、これ…なんなの?トマトジュースじゃ、ないよね……?」

美渡「…うん。家着いたら全部話す。多分、信じられないだろうけどさ」

千歌「う、うん…?」

千歌(また治まってる)

23: 2017/03/29(水) 13:37:22.51 ID:qA2r8a/P.net
―――

志満「おかえりなさい」

千歌「あれ、旅館の方は…?」

志満「うん。今はお母さんに頼んでるから大丈夫」

千歌「え?なんで…」

志満「昨日からのこと、説明するから…千歌、座って」

千歌(わざわざ東京から戻ってきてくれたの、かな…?)ストッ

24: 2017/03/29(水) 13:38:04.68 ID:qA2r8a/P.net
志満「ふぅ…単刀直入に言うわね。うちの家系は代々吸血鬼なのよ」

千歌「へ…きゅう、けつき?」

千歌(吸血鬼ってあの、漫画とかに出てくる…アレ?)

志満「まぁ、吸血鬼って言っても私たちはハーフみたいなもの。お母さんは純血だけど、うちのお父さんは人間」

千歌「え、ま、まって…全然わかんないよ…?」

25: 2017/03/29(水) 13:38:39.31 ID:qA2r8a/P.net
志満「私たちも最初はそうだった…ゆっくりで大丈夫よ」

千歌「…え?てことは…志満姉と、美渡姉も……?」

美渡「そうだよ。高校生くらいで今の千歌みたいになった」

千歌「そう、だったんだ…知らなかった……」

志満「だからね…千歌が飲んでたアレは……人の血なの」

千歌「人、の……っ!?」

27: 2017/03/29(水) 13:39:25.85 ID:qA2r8a/P.net
志満「……それに」

美渡「うん。千歌が渇くスピードは早い」

千歌「え、そうなの?」

志満「私たちは大体一週間に一度…でも、千歌は…」

千歌「ん…そういえば、曜ちゃんの匂いが…頭くらくらして……」

美渡「……曜ちゃんか」

志満「曜ちゃんとは、会わない方がいいかもね…」

28: 2017/03/29(水) 13:39:53.28 ID:qA2r8a/P.net
千歌「え!?な、なんで!だって、Aqoursも…クラスだって!」

美渡「吸血衝動を我慢するのはすごくつらいよ…好きな人なら、なおさらね」

千歌「す、好きな、人って…!?///


志満「あはは…あんまり千歌をいじめないの」

美渡「ごめんごめん」

30: 2017/03/29(水) 13:40:37.87 ID:qA2r8a/P.net
千歌「…っ!私我慢する。どれくらいつらいかわからないけど……曜ちゃんと一緒にいたいから」

志満「…そっか!じゃあこれから学校に持ってかないとなんだけど…」

美渡「血の匂い…するよなぁ」

志満「トマトジュースで薄めてみる?」

美渡「効果あまりなくなるんじゃ…」

志満「こまめに飲めば大丈夫!私も高校生のときにやったから!」

31: 2017/03/29(水) 13:41:02.52 ID:qA2r8a/P.net
千歌「じゃあそれを明日から持っていけばいいんだね」

志満「うん。でも、できれば曜ちゃんと少し離れた方がいいかもよ」

千歌「ピンチだって思ったら離れる!」

美渡「こっちが心配になるな…」

千歌「だいじょーぶ大丈夫!」

32: 2017/03/29(水) 13:41:28.97 ID:qA2r8a/P.net
―夜―

千歌(……きゅーけつき)カタカタ

千歌(…怪物、かぁ)

千歌(わかんないよ、いきなり吸血鬼だなんて言われても…)

千歌(あのとき、私は曜ちゃんの血を…っ)ゾクッ

千歌(そんなの、絶対ダメだ。志満姉に言われた通り…って、あれ?)

千歌(アレは……誰の血?)

千歌(………考えないようにしよう)

35: 2017/03/29(水) 13:42:33.10 ID:qA2r8a/P.net
ピロンッ

千歌(ん…メッセージ?)


ようちかりこ(3)

YOU!:千歌ちゃん、具合大丈夫?

ちかちー:うん!明日は行くよ!

桜内梨子:あまり無理はしないでね。暑いからってお腹出して寝ちゃダメよ?

ちかちー:わかってまーす…

ちかちー:スタンプ

37: 2017/03/29(水) 13:43:06.07 ID:qA2r8a/P.net
千歌「……はぁ。大丈夫かなぁ」

千歌「あーもう!寝ちゃおっ」パチッ

千歌(これが夢だったらいいのにな)

千歌(おやすみなさい)

38: 2017/03/29(水) 13:43:39.22 ID:qA2r8a/P.net
―――

ピピピピ

千歌「ん……喉渇いた…」ゴソゴソ

千歌「えーと、家で飲むときはこっち…っと」ゴクッ

千歌「………おいしい」

千歌「はぁ……支度、しよ」

39: 2017/03/29(水) 13:44:39.30 ID:qA2r8a/P.net
志満「ちゃんと持った?」

千歌「うん、大丈夫!薄めた方入れてあるよ」

志満「気を付けてね?」

千歌「うん。いってきます!」

志満「いってらっしゃい」

バタンッ

40: 2017/03/29(水) 13:45:06.63 ID:qA2r8a/P.net
梨子「千歌ちゃん、おはよう!もう大丈夫?」

千歌「梨子ちゃん、おはよう。大丈夫!ごめんね、心配かけちゃって」

梨子「ううん。私も気付けなかったから」

千歌「今日は元気だから!昨日の分の遅れを取り戻すよ!」

梨子「ふふっ、頑張ろうね」

千歌(あーやっぱり、梨子ちゃんもいい匂いするなぁ…)

42: 2017/03/29(水) 13:45:50.77 ID:qA2r8a/P.net
梨子「ちょっと、なあに?」

千歌「なんでもないよー」

千歌(……)ヒョイ

梨子「ひゃっ!?いきなり髪の毛持ち上げないでよ…どうしたの?」

千歌(うなじ白い…)スッ

梨子「ち、千歌ちゃん!」ガシッ

千歌「ぁ…ごめん!」

44: 2017/03/29(水) 13:46:43.84 ID:qA2r8a/P.net
千歌(私…今、何を……?)

梨子「もう…本当に大丈夫?」

千歌「う、うん…平気」

梨子(なんか、変?どうしたのかな…)

千歌(……ちょっと飲んどこう)ゴクッ

梨子「何飲んでるの?」

千歌「トマトジュース!志満姉にもらったんだ!」

46: 2017/03/29(水) 13:47:24.63 ID:qA2r8a/P.net
梨子「へー…千歌ちゃんってトマト好きだったっけ?」

千歌「う、うん!好きだよ!」

千歌(あー…物足りない……)ジーッ

梨子「……?千歌ちゃん、千歌ちゃーん?」

千歌「ぅえ!?な、なに?」

梨子「いや…着いたよ、降りよう?」

千歌「うん!」

千歌(もう少し…)ゴクゴク

47: 2017/03/29(水) 13:47:52.21 ID:qA2r8a/P.net
梨子「おはよー」

千歌「おはよ!」

千歌(部室の中に…皆の匂い、充満して……)

果南「あ、千歌。昨日は大丈夫だった?」

千歌「うん!皆もごめんね?」

千歌(あれ…曜ちゃん、いない)

鞠莉「これで後は曜だけね」

49: 2017/03/29(水) 13:48:19.78 ID:qA2r8a/P.net
ガラガラ

曜「おはヨーソロー!」

千歌(ぁ…曜ちゃんの……いい、匂い)

花丸「いつも早いのに、どうしたの?」

曜「ちょっと寝坊しちゃって…えへへ」

曜「あ、千歌ちゃん!もう元気になった?…って、あれ?千歌ちゃーん?」

51: 2017/03/29(水) 13:49:41.63 ID:qA2r8a/P.net
千歌(あの白い肌に歯を突き立てて…どんな顔、するのかな?泣いちゃうのかな…怯えちゃう?)ゾクゾクッ

曜「ちーかーちゃーん!」モギュッ

千歌「ひぅっ!?」

曜「わっ……大丈夫?」

千歌「だ、大丈夫!」

千歌(はぁー……離れた方がいいの、かな)

52: 2017/03/29(水) 13:50:13.69 ID:qA2r8a/P.net
梨子「ねぇ、曜ちゃん…」ヒソヒソ

曜「ん?どうしたの?」ヒソヒソ

梨子「千歌ちゃんって、トマト好きだったの?」ヒソヒソ

曜「え?いや、別に好きじゃなかったと思うけど…なんで?」ヒソヒソ

梨子「千歌ちゃんの水筒…」ヒソヒソ

曜(水筒……?)チラッ

千歌(抑えなきゃ…曜ちゃんを傷付けちゃダメだ……)ゴクゴク

53: 2017/03/29(水) 13:50:38.30 ID:qA2r8a/P.net
曜(ん…なんか、少し匂いが…?)

ダイヤ「千歌さんの具合が大丈夫なようでしたら練習始めましょうか」

ルビィ「だ、大丈夫…ですか?無理はしない方が……」

千歌「大丈夫だよ!ありがとね、ルビィちゃん」

千歌(……うん。だいぶ落ち着いた、かな。足りない感じはするけど)

54: 2017/03/29(水) 13:51:14.69 ID:qA2r8a/P.net
―――

ダイヤ「はい、それでは今日はここまでにしましょうか」

果南「みんなお疲れ様ー」

曜「ふぅー…」

千歌(……また、喉が…)

曜「千歌ちゃん、この後少し残ってくれる?」

千歌「ん…うん」

55: 2017/03/29(水) 13:51:40.26 ID:qA2r8a/P.net
梨子「私この後用事あるから…曜ちゃん、よろしくね」

曜「わかった、また明日ね」

梨子「うん。ごめんね」

千歌(なんだろう……できれば離れたい…でも、大事な話かもしれないし……喉渇いた)

曜「………皆帰ったね」

曜「千歌ちゃん。それ…トマトジュースじゃ、ないよね?」

千歌「な、んで…っ!?」

56: 2017/03/29(水) 13:52:09.12 ID:qA2r8a/P.net
曜「私結構鼻利くでしょ?なんだか、トマトの匂いに混ざって少しだけ違う匂いがする気がしたんだよね……それに、その反応。やっぱり、違うんだ」

千歌(やばい。やばいやばいやばい!)

曜「…昨日から変だったのは、それ関係あるの?」

千歌(言い訳考えないと……喉、渇いた)

千歌(歯…かゆい……もう……)

曜「…!目、が赤…く…?」

57: 2017/03/29(水) 13:52:52.44 ID:qA2r8a/P.net
千歌(抑えられない…抑えたく、ない)ガバッ

曜「…っ千歌、ちゃん?」グッ

曜(なにこれ…!?私、鍛えてるはずなのに全く動かない!)

千歌「はぁー…はぁー…」

曜(歯が尖って…そんなの、まるで……)

千歌(うなじきれい。いい匂い……)カプッ

曜「ち、千歌ちゃん!?」

58: 2017/03/29(水) 13:53:29.50 ID:qA2r8a/P.net
千歌「ん…っちゅ……じゅるる…っ」

曜「ぅっ…!?」ゾクッ

曜(何、されてるの……?気持ちいい…頭ふわふわして…なにも……かんがえ、られない…)

千歌「ふぅ…っぷは!」

千歌(甘い…甘くて、くらくらする……もっと、もっと欲しい…曜ちゃんを、もっと……)チュッ

曜「んぅぅ…!」

59: 2017/03/29(水) 13:53:59.19 ID:qA2r8a/P.net
千歌「おいしい…よーちゃん……おいしいよ…」

曜「ぅ…んんんっ!」

千歌「…っ!?わ、わた…し……」

千歌(なに、して……!?)

千歌「よ、曜ちゃん…ごめん、ごめんなさい…」

曜「はっ…はぁ…はぁ……千歌ちゃん?」

60: 2017/03/29(水) 13:54:32.25 ID:qA2r8a/P.net
千歌「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

曜「……」ギュッ

曜「どうしたの…千歌ちゃん。何があったのか、教えて欲しいな…」

千歌「わた、わたし……カイブツなんだよ…」

曜「カイブツ…って、怪物?」

千歌「嫌なのに…こんなことしたくない、のに……」ポロポロ

曜「ま、待って……どういうこと?怪物…って?」

61: 2017/03/29(水) 13:55:03.76 ID:qA2r8a/P.net
千歌「わたし……きゅーけつきなの」グスッ

曜「吸血鬼…」

曜(さっきのは…血を…)

千歌「ごめん、痛かったよね…?」

曜「い、いや…痛くなかった……むしろ…」

曜(気持ち良かった…なんて、ね)

千歌「むしろ…?」

曜「な、なんでもない!」

62: 2017/03/29(水) 13:55:32.42 ID:qA2r8a/P.net
千歌「……ごめんね。これからは、ちゃんと離れる…もう、こんなこと」

曜「い、いいよ!」

千歌「…え?」

曜「私の血…あげる」

千歌「だ、ダメ!だって…氏んじゃうかもしれないよ……?」

曜「いいよ、そうなっちゃったらそれでも」

千歌「なんで…そんなこと言えるの!?」

64: 2017/03/29(水) 13:56:02.28 ID:qA2r8a/P.net
曜「だって、好きだから…千歌ちゃんのこと」

千歌「……え?」

曜「本当はずっと隠していこうと思ってた…けど。私は小さいときから千歌ちゃんのこと、好きなんだ。あ、Loveとしてね」

千歌「うそ……うそ、でしょ?」

曜「本当だよ?」

千歌「わ、私も…ずっと、曜ちゃんのこと…好きだったの……だから、大事にしたくて…っ」

66: 2017/03/29(水) 13:56:29.52 ID:qA2r8a/P.net
曜「……本当?じゃあ両想いだったんだね」

千歌「ゃ…だ……ダメだよ…私といたら、曜ちゃんつらいだけだよ……」

曜「いいよ……人を好きになるのって、それなりの覚悟が必要だと思うんだ」

曜「私、千歌ちゃんとならどんな困難でも立ち向かうよ」

69: 2017/03/29(水) 13:58:17.49 ID:qA2r8a/P.net
千歌「ーっ。ずるいよ、そんなの…」 ギューッ

曜「だからさ…離れるなんて悲しいこと、言わないでよ」

千歌「うん…」

曜「ずっと一緒にいて…」

千歌「うん…っ!」

70: 2017/03/29(水) 13:58:45.87 ID:qA2r8a/P.net
―――

千歌(いや…良くないよね)

千歌(どれくらい飲んだら危ないのかとか……わからないし)カタカタ

千歌(献血だと200mLで4週間…血液全体の15%を失っても大丈夫……かぁ)

千歌(15%ってよくわからない…けど、できるだけ曜ちゃんに負担をかけないように……)

97: 2017/03/29(水) 22:48:10.23 ID:qA2r8a/P.net
―――

曜「今日の体育は短距離だってさ」

梨子「……私ちょっと保健室に」

曜「待てまてーい」ガシッ

梨子「いやぁ!離してよ!」ジタバタ

曜「サボりはよくないなぁ?ね、千歌ちゃん」

千歌「そうだよー?ほらほら、観念しろー!」ガシッ

梨子「いてて…千歌ちゃん、ちょっと力強い……」

千歌「あ、ごめん」パッ

千歌(軽く掴んだつもりだったのに…なんでだろ?筋肉ついた?)

98: 2017/03/29(水) 22:48:40.68 ID:qA2r8a/P.net
「次準備しろー」

千歌「梨子ちゃん、次私たちだよ!」

梨子「うぅ…帰りたい……」

曜「頑張ってね、二人とも!」

千歌「うん!」

「On your marks…Set」バンッ

千歌「…」グッ ダダダッ

梨子「…!」ダッ

千歌(あれ!?なんかすごく速くない!?)

99: 2017/03/29(水) 22:49:23.75 ID:qA2r8a/P.net
「7. 36…です」

千歌「えっ」

曜「千歌ちゃん…あんなに速かったっけ……?」

梨子「ふぅ……千歌ちゃん、速すぎ…」

千歌「いや、え?計り間違いとかじゃ…」

曜「いや、それはないよ…すごい速かったよ?」

100: 2017/03/29(水) 22:50:51.23 ID:qA2r8a/P.net
千歌「う、うーん……?」

千歌(軽く掴んだだけで痛がられたり…タイムが一気に伸びたり……これも、吸血鬼の力?)

千歌(……バレないように気を付けよう)

千歌(そっか、こんなに力があれば…襲うのも、簡単なんだ)

千歌(……人間を襲うためなのかな)

千歌(………私に、そんなこと)

101: 2017/03/29(水) 22:51:48.67 ID:qA2r8a/P.net
エキマエニアタラシクオミセデキタラシイヨー エーイキタイ! イコイコ

千歌(………)ジッ

千歌(……真ん中の子おいしそう)

千歌(!?わたし、今…)

千歌(やっぱり私、覚悟なんか…)

千歌(はぁ……早く帰ろ)

102: 2017/03/29(水) 22:52:14.50 ID:qA2r8a/P.net
―――

千歌(今日で1週間くらいかな…?)ゴクゴク

千歌(わかったことがいくつかある)

千歌(身体能力が格段に上がってること)

千歌(ペットボトルのコレじゃ、渇きを誤魔化しきれていないこと)

千歌(渇きには波があること)

103: 2017/03/29(水) 22:52:46.52 ID:qA2r8a/P.net
千歌(……そろそろ限界が近いかも)

千歌(やっぱり直接…いや、ダメだ)

千歌(………やっぱり、誰かを)

ガラッ

曜「千歌ちゃん、来ちゃった!」

千歌「曜、ちゃん」

曜「いきなりごめんね!」

千歌(だめ…!)ハァハァ

104: 2017/03/29(水) 22:53:16.61 ID:qA2r8a/P.net
曜「あ、千歌ちゃん…喉渇いたの?」

千歌「や、やだ…ダメ、ダメだよ!」

曜「ほら、私の飲んでいいよ…」スルッ

千歌(くびすじ…きれい……っダメ!)

千歌「はぁー……はぁー…」

曜「千歌ちゃん…?」

千歌(ようちゃんがあぶないのはダメ…がまん、がまん……!)

千歌(のど、熱い…っなに、これ……)

105: 2017/03/29(水) 22:53:44.12 ID:qA2r8a/P.net
曜「大丈夫…?」

千歌(…ペットボトル!)ガッ ゴクッ

千歌「はぁ…ごめん、曜ちゃん……今日はもう」

曜「だ、だから!私のを…!そんなつらそうな千歌ちゃん見たくない!」

ガラッ

美渡「ごめん曜ちゃん、今日は帰ってくれる?」

曜「み、美渡さん…でも!」

106: 2017/03/29(水) 22:54:11.47 ID:qA2r8a/P.net
美渡「大丈夫だって。頼れるお姉さんに任せなさい!ってね」ポンポン

曜「……!わかりました…千歌ちゃん、また明日ね…」

千歌「う、ん……っ」

ガララッ

千歌「は…っ美渡姉……っ!」

美渡「うん。よく頑張ったよ…口開けて」

千歌「あー…」

千歌「……あめ玉?」

107: 2017/03/29(水) 22:54:43.02 ID:qA2r8a/P.net
美渡「うん、あめ玉。あと少しだけあげるよ。さっきみたいに喉が熱くて限界になったときだけ食べな」

千歌「ありがとう…」

美渡「これ以上はないから…大事にね」

千歌「うん…」

美渡「あ、これは志満姉には内緒だから」

千歌「なんで?」

美渡「まぁ、色々と…バレたら私が怒られるから」

千歌「ふーん…」

108: 2017/03/29(水) 22:55:25.30 ID:qA2r8a/P.net
美渡「いやーそれにしてもやるじゃん」ニヤニヤ

千歌「ち、違っ…!そんなんじゃないの!」

美渡「へーぇ…ね、いいこと教えてあげよっか」

千歌「な、なに……」

美渡「渇きのスピードは性欲とリンクしてるんだってさ」

千歌「な、な、な…っ///」

美渡「やーいスケベチカー」

109: 2017/03/29(水) 22:55:51.53 ID:qA2r8a/P.net
千歌「やめてよ!」

美渡「ま、早く受け入れた方がいいよ」

千歌「……うん」

美渡「人を傷付けないためにってのはわかるけど…それで大切な人を頃しちゃったら意味ないから」

ガラッ

千歌「受け…入れる……」

千歌「怪物である自分を…」

110: 2017/03/29(水) 22:56:20.32 ID:qA2r8a/P.net
千歌「そう、だよね…曜ちゃんのためだ」

千歌「生きるためだから…仕方ないよね」フラッ

千歌「志満姉、美渡姉…ちょっとジョギング行ってくるね」

美渡「おーう、いってらっしゃーい」

志満「…!いってらっしゃい」

111: 2017/03/29(水) 22:57:09.48 ID:qA2r8a/P.net
千歌(ちょうど今日は雨…レインコートを着ててもおかしくない)タッタッ

千歌(……この辺に人が来ることは滅多にない)キョロキョロ

千歌(……ごめんね、名前も知らない女の子)ガッ

「ひっ…!?」

千歌「静かにして…」グイッ

「む、むぐ…っ」

千歌「ん…じゅっ……はぁ」

「~~っ!?」

千歌(なんだろう…すごく満たされる……身体中から元気が出る、みたいな………いや、バレる前に逃げよう)ダッ

千歌「ごめん、なさい…」ボソッ

112: 2017/03/29(水) 22:57:36.03 ID:qA2r8a/P.net
―――

果南「最近、千歌元気じゃない?」

千歌「んー?そうかな?」

鞠莉「うんうん♪前より一層シャイニーしてるわよね」

千歌「んふふ、元気全開だよ!」

曜「……千歌ちゃん」

千歌「どうしたの?」

曜「この後部室に残ってて…」

千歌「うん、わかった……」

113: 2017/03/29(水) 22:58:23.75 ID:qA2r8a/P.net
千歌「それで、どうしたの?」

曜「千歌ちゃん…なんで最近元気なの?」

千歌「それ、は…体の調子がよくてー…」

曜「あれから私の血、一度も吸ってない……」

千歌「……曜ちゃんのこと傷付けたくないの」

114: 2017/03/29(水) 22:58:50.79 ID:qA2r8a/P.net
曜「私は千歌ちゃんのためなら…!」

千歌「ダメ…ダメだよ。曜ちゃんはわかってない……この力がどれだけ怖いか…」

曜「千歌ちゃんだったら怖くなんか…!」

ドサッ

千歌「こうやって押さえつけて、血をぜーんぶ飲んじゃうかも」ジッ

曜「いいよ…」

115: 2017/03/29(水) 23:01:04.06 ID:qA2r8a/P.net
千歌「ダメだってば」

曜「ーっ!千歌ちゃんのばか!」ピッ

ポタッ

千歌「ちょ!?なんで指を……っ」

千歌(あ…血が……ダメ、だ…っ)ガバッ

曜「っ…!」

千歌「よーちゃんが煽ったんだからね…」チュッ

曜「んっ…♡」

116: 2017/03/29(水) 23:01:55.20 ID:qA2r8a/P.net
千歌「あーあ…もったいない……床に落ちちゃった」

曜「そんなのいいから…ほら、好きなだけ飲んでいいよ……」スルッ

千歌「うん…」カプッ

千歌「ぢゅ…っんむ……」

千歌「ぷあっ…はぁ……はぁ…」

曜「~っ♡」ゾクゾクッ

千歌「ね…曜ちゃん……シても、いい?」スッ

曜「うん…そんなの、聞かないで…///」

117: 2017/03/29(水) 23:02:21.88 ID:qA2r8a/P.net
―――

曜「ち、千歌ちゃん?」

千歌「すみませんでした」

曜「だからいいって…私が煽ったんだし…ね?」

千歌「でも、私…その、曜ちゃんのハジメテを…///」カァッ

曜「いいって…その、気持ち、よかった……し」ボソボソ

千歌「……///」

118: 2017/03/29(水) 23:03:00.13 ID:qA2r8a/P.net
曜「と、とにかく!あまり無理しないで!ってこと!私の血ならいくらでも…」

千歌「それはダメ!…だって、それで曜ちゃんが氏んじゃったら私、耐えられないよ……」

曜「む、むむ…そっか」

曜「でも、千歌ちゃんを苦しめたくないから、ちゃんと言ってね?」

千歌「だ、だけど…!」

曜「…ね、手出して」

119: 2017/03/29(水) 23:03:31.37 ID:qA2r8a/P.net
千歌「え?う、うん…」スッ

曜「ん…」チュッ

千歌「え、手の甲…?」

曜「キスする場所で意味が変わるんだって…気になるなら、帰ってから調べてね」

千歌「う、うん」

曜(ふふ…愛してるよ、私のプリンセス……なんてね)

120: 2017/03/29(水) 23:04:02.81 ID:qA2r8a/P.net
千歌「ん?なんか顔赤いよ?」

曜「な、なんでもないよっ!?」

千歌「そう…?遅くなっちゃうし、帰ろ?」

曜「うん…っ」クラッ

千歌「ごめんっ!飲みすぎた…よね?」

曜「う~…いや、どっちかっていうとその後が激しかったからじゃないかなぁ?」

千歌「ゴ、ゴメンナサイ…」

121: 2017/03/29(水) 23:04:57.01 ID:qA2r8a/P.net
曜「あははっ!もう平気だから行こっか」

千歌「うん…」

千歌(最初に飲んだときから3週間…今回飲んだのは多かった気がするから次までもう少し開けないと、かな)

千歌(曜ちゃんの健康に影響が出ないように)

千歌(……そのために私は何人を)

千歌(ダメダメ!…私は怪物だから)

千歌(仕方ないんだよ…こうしないと生きていけないんだから)

千歌(………ね?)

137: 2017/03/30(木) 19:03:34.54 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「ハァーイ、千歌っち」

千歌「どうしたんですか?いきなり呼び出して…」

鞠莉「ちょっと最近やんちゃが過ぎるんじゃないかしら?」

千歌「やんちゃ?」

鞠莉「Yes! これ以上は小原家じゃ対処しきれないわよ?」

千歌「あの…なんのことか…」

鞠莉「隠さなくていいわよ?千歌っちはヴァンパイアなのでしょう?」

138: 2017/03/30(木) 19:04:07.01 ID:1RPleUxx.net
千歌(なんでバレて…それに小原家?なにかしら動いてるってことなのかな…)

鞠莉「……千歌っちは変わったわよね」

千歌「なにがです?」

鞠莉「なんていうか…cool……冷たくなったわ」

千歌「…そんなこと」

鞠莉「まぁ仕方ないのかもね…曜を守るためなんだから」

千歌「なんで曜ちゃんが…」

140: 2017/03/30(木) 19:04:44.66 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「付き合ってるのはわかってるの♪」

千歌「な、な…っ///」

鞠莉「うーん、so cute!」

鞠莉「…曜を守るためにしてることが仇になってるのよ、あなたは」

千歌「そんなことない!私は曜ちゃんを…!」

鞠莉「今のあなたと一緒にいると間違いなく曜は氏ぬわよ」

千歌「…っ!」ガシッ

141: 2017/03/30(木) 19:05:12.75 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「落ち着いて?煽ってるわけじゃない。現実を見なさい」

千歌「現実…?」

鞠莉「あなたの被害にあった人の数はかなり多いわね…よーく考えて?その被害をなくすために人間は何をすると思う?」

千歌「……原因をなくす」

鞠莉「うん。つまり千歌っちは殺されちゃうわ……だから今まで小原家でなんとか食い止めてたけど、そろそろ限界」

千歌「鞠莉ちゃんが…?」パッ

千歌「ごめん…私、知らずに…」

142: 2017/03/30(木) 19:05:48.25 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「ううん、気にしなくていいわ…大切な仲間なんだもの」

鞠莉「千歌っち、あなたはどうするべきかしら」

千歌「……どうすればいいのかわかんないよ」

千歌「もう、私が氏ぬしか…っ」

鞠莉「そんなことないわ…」

千歌「仕方ないじゃん!人を襲わなきゃ生きていけないんだから……!私だって好きでこんな風になったわけじゃない!罪悪感がないわけじゃない!…のに」 ポロッ

143: 2017/03/30(木) 19:06:24.91 ID:1RPleUxx.net
千歌「どうしてこんなことになっちゃったのかな……っ」グスッ

鞠莉「……ごめんね、ちょっと厳しく言い過ぎた…」ナデナデ

曜「………千歌ちゃん?」

千歌「…っ!」

曜「え…泣いてるの?」

鞠莉「曜……なんでここに」

曜「走ってたら千歌ちゃんが見えたから…ねぇ、なんで千歌ちゃんは泣いてるの…?」

千歌「ま、鞠莉ちゃんのせいじゃなくて!」

曜「……鞠莉ちゃん、説明して」

鞠莉「わかったわ。あなたにも説明するつもりだったから、手間が省けたわね」

144: 2017/03/30(木) 19:06:59.59 ID:1RPleUxx.net
―――

曜「千歌ちゃんが…殺される…!?」

鞠莉「そうならないように対処法を考えてるところなの」

曜「そんなの私の血を飲めば…!」

鞠莉「曜、人の体に流れる血の量…失っても問題のない量、それから血液ができるまでかかる期間……あなたはわかってない」

鞠莉「今の千歌っちのペースをあなただけで補おうとすれば間違いなく氏ぬわよ」

145: 2017/03/30(木) 19:07:25.65 ID:1RPleUxx.net
曜「私はそれでも…」

鞠莉「あなたはいいかもしれないけど、その後の千歌っちやAqoursのことはどうするの?」

曜「そ、れは……」

鞠莉「……もうあなたたちだけの問題じゃない」

曜「ごめん…私、千歌ちゃんのことになると周りが見えなくなるみたいで……」

鞠莉「恋は盲目、ってやつね♪」

曜「な…っこ、恋ってなんのことかなー!?」

146: 2017/03/30(木) 19:08:00.19 ID:1RPleUxx.net
千歌「曜ちゃん、もうバレてる」

曜「え、そ…そうなの?」

鞠莉「少なくともAqoursのみんなは知ってるわよ…あなたたち、わかりやすいからね」

曜「恥ずかしい…///」

鞠莉「……ねぇ、もしも“そのとき”が来たら二人はどうする?」

曜「私は千歌ちゃんと一緒にいるよ。なにがあっても」

千歌「……私は曜ちゃんには生きていて欲しいかな」

147: 2017/03/30(木) 19:08:28.85 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「そっ、か……」

鞠莉「ところで千歌っち、ヴァンパイアについて色々と教えて欲しいのだけど、大丈夫かしら?」

千歌「うん…私の知ってることなら」

鞠莉「じゃあ、千歌っちの家柄はヴァンパイア…なの?」

千歌「うん。うちのお母さんもお姉ちゃんたちもそうだよ。あ、でもお父さんは普通の人間みたい」

鞠莉「ふむ…千歌っちが曜の血をもらう前はどうしていたの?」

148: 2017/03/30(木) 19:09:35.93 ID:1RPleUxx.net
千歌「志満姉に渡された血を…」

鞠莉「……それは誰のもの?」

千歌「え?そういえば…わかんない」

鞠莉(私が調べた限りではこの辺りに吸血鬼が出たとされているのは50年ほど前…しかし、吸血鬼を捕らえたという情報はひとつもなし)

鞠莉(さらにこの情報が乗っていた記録は書庫の奥深くに隠されていた)

鞠莉「……では、その量はどれくらい?」

千歌「えっと…結構あると思う……私、渇くのが早いみたいだから…」

149: 2017/03/30(木) 19:10:02.98 ID:1RPleUxx.net
鞠莉(人一人あたりの血液量は体重の8%ほど…仮に50kgとしても一人分4L)

鞠莉(おかしい…高海家には一体何人分の血液が保管されているの……!?)

曜「鞠莉さん…どうしてそんなことを?」

鞠莉「え?うーん…なにか手がかりになるものがあるといいな、って思ったのよ」

鞠莉(……最低な想像をしてしまったわ)

150: 2017/03/30(木) 19:10:34.26 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「sorry…少し考えをまとめたいから今日はこれくらいでいいかしら?」

千歌「うん…ごめんね、鞠莉ちゃん」

鞠莉「先輩に頼ることを覚えた方がいいわよ♪…それじゃあね」

曜「ありがとね、本当に!また明日!」

鞠莉(……さて、私は明日を無事に迎えられるかしら?)

151: 2017/03/30(木) 19:11:01.71 ID:1RPleUxx.net
***
ダイヤ「いきなりどうしたんですか?」

鞠莉「ちょっと調べて欲しいことがあるの」

ダイヤ「はぁ…あまり詮索しない方が良いと思いますわよ」

鞠莉「私は大事な後輩ちゃんを守りたいの」

ダイヤ「わたくしだってそう思っていますわ…しかし、相手が悪すぎます」

152: 2017/03/30(木) 19:12:09.34 ID:1RPleUxx.net
ダイヤ「相手の戦力もわからないのに……自殺行為としか思えません」

鞠莉「…相手はなんだと思う?」

ダイヤ「……鞠莉さん、中へ」

鞠莉「ありがとう、お邪魔するわ」

153: 2017/03/30(木) 19:12:35.18 ID:1RPleUxx.net
―――

ダイヤ「ここなら安心して話ができます」

鞠莉「ワーオ…もしかして私殺されちゃうのかしら?」

ダイヤ「そんなわけないでしょう…外に全く情報が漏れない場所なだけですから、ご心配なく」

鞠莉「こんなおぞましい器具が並んだ場所で女子高生がお話なんて洒落にならないわねぇ」

ダイヤ「……それで、先程の話ですが」

154: 2017/03/30(木) 19:13:08.91 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「うん。軍か…はたまた国かってとこかしら?」

ダイヤ「さぁ、どうでしょう?もしかしたら世界かもしれませんね」

鞠莉「どれにしたって私たちが勝てる相手ではないけどね」

ダイヤ「…書庫から持ってきた資料があります」

鞠莉「……これは?」

ダイヤ「40年ほど前に起きた事件です。まぁもっとも、黒澤家以外でこれを知っている者はいないようですが」

155: 2017/03/30(木) 19:13:42.37 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「…どういうこと?これ、かなり大規模なものに見えるけど」

ダイヤ「仕方ありませんよ…目撃者は一人残らず消えてしまったのですから」

鞠莉「…!その人数は?」

ダイヤ「残念ながらわかりませんわ…」

鞠莉「……ねぇダイヤ、私とっても最低な想像をしているわ」

ダイヤ「えぇ、わたくしも…」

156: 2017/03/30(木) 19:14:08.98 ID:1RPleUxx.net
鞠莉「次に起こるであろう“事件”で目撃者は全員謎の失踪を遂げるでしょうね」

ダイヤ「歴史は繰り返される…といったところでしょうか」

鞠莉「高海家に一体何が隠されているの…?」

ガタッ

ダイヤ「!」バッ

鞠莉「誰!?」

157: 2017/03/30(木) 19:14:36.22 ID:1RPleUxx.net
ルビィ「ピ、ピギッ!」

ダイヤ「ルビィ……どうしてここに?」

鞠莉「……」

ルビィ「……二人が入っていくのか見えたから」

ダイヤ「…話、聞いていたのですね」

ルビィ「………ごめんなさい」

鞠莉「どうするの?ルビィを巻き込むわけには…」

158: 2017/03/30(木) 19:15:07.50 ID:1RPleUxx.net
ルビィ「あ、あの…一つだけ、いいですか……?」

鞠莉「ん?」

ルビィ「り、梨子さんに聞いたことがあって…『千歌ちゃんのママが若すぎる』……って」

ダイヤ「若すぎる…?」

ルビィ「うん…千歌ちゃんより若く見えた、って」

鞠莉「……なるほどね」

ダイヤ「ヴァンパイアは不老不氏…?」

159: 2017/03/30(木) 19:15:35.73 ID:1RPleUxx.net
ルビィ「ル、ルビィも……千歌さんたちのこと、助けたい…力になりたい!」

ダイヤ「ルビィ…」ギュッ

ダイヤ「ダメです…今日見たこと、聞いたことは全て忘れなさい」ビビッ

鞠莉「スタンガン…?」

160: 2017/03/30(木) 19:16:13.30 ID:1RPleUxx.net
ダイヤ「出力はギリギリまで抑えてありますが……私はお姉ちゃん失格ですね」

鞠莉「そうかしら?とってもいいお姉ちゃんよ」

ダイヤ「……どうでしょうね。私はルビィを寝室に運ぶので、今日はお引き取り願えますか?」

鞠莉「えぇ、また明日…会えるといいわね」

ダイヤ「会えますわ、絶対に」

161: 2017/03/30(木) 19:16:41.60 ID:1RPleUxx.net
***
千歌(……私はどうすれば)

千歌(この血は誰のものなんだろう?)

千歌(………)

ガラッ

美渡「千歌、漫画貸してーって、あれ、どうした?」

千歌「美渡姉…私、どうしたらいいのかな」

美渡「……仕方ないって、今さら言ってたってさ」

162: 2017/03/30(木) 19:17:11.09 ID:1RPleUxx.net
千歌「私が飲んでるコレは誰のやつなの……?」

美渡「………さぁね。知りたいなら確かめればいいんじゃない?」

千歌「確かめる…?」

美渡「そ…まぁ、その後のことは保証できないけど」

千歌「それって…」

美渡「奪うか奪われるか…そういう風にできてるんだよ」

美渡「何も知らないことが一番幸せだと思うけどね」

163: 2017/03/30(木) 19:17:37.01 ID:1RPleUxx.net
美渡「……あんたって私と似てるよ」

千歌「え?」

美渡「中途半端に化物やってるからつらいんだよ、千歌」

千歌「なに、を…」

美渡「どっちで生きるか、はっきり決めた方がいい。大切な人を失いたくなかったらね」

千歌「美渡姉は…一体何があったの…!?」

164: 2017/03/30(木) 19:18:11.35 ID:1RPleUxx.net
美渡「……漫画借りてくよ」ゴソゴソ

美渡「ごめん、今はまだ」

ピシャッ

千歌(わかんないよ……私は…)

千歌(だって、この前まで普通に人間として生活してたのに……っ)

千歌(美渡姉や志満姉はどうやって……あれ?)

165: 2017/03/30(木) 19:18:37.54 ID:1RPleUxx.net
千歌(私たちは吸血鬼であるお母さんと人間であるお父さんか生まれた“ハーフ”で…)

千歌(でも、私はお父さんを知らない…どうしていないのかも、教えてもらったことはない……)

千歌(……あれ、お母さんって何歳だったっけ?)

千歌(えーと…私が今17で、美渡姉が…で、志満姉が……)

千歌(……若すぎじゃない?)

千歌(あー…頭痛くなってきた!)

千歌(もう寝ちゃお…)モゾモゾ

184: 2017/03/31(金) 22:34:02.02 ID:U96lxZkB.net
***
鞠莉「……ふぅ」ペラッ

鞠莉(まだ確信はない…けど、きっとこれなら)

鞠莉(まずは果南に連絡…それからマルと曜にも)

鞠莉(千歌っちのところには善子がいい…かな?)

鞠莉(梨子はあっちで……うん)

鞠莉(いける…いける……!絶対に千歌っちを助ける!)

185: 2017/03/31(金) 22:34:28.44 ID:U96lxZkB.net
鞠莉(だから吸血鬼さん…もう少しだけ私に時間をちょうだい?)

ピコンッ

鞠莉(メッセージ…こんな時間に?)

鞠莉(……!)

鞠莉(みんな起きてるかしら…)ポチポチ

186: 2017/03/31(金) 22:36:02.20 ID:U96lxZkB.net
***
ダイヤ「……起きているのでしょう?そろそろ疲れたので自分で歩いてもらえます?」

ルビィ「バレちゃった?」

ダイヤ「当たり前ですわ。それにしても、それは吸血鬼の能力なのですか?」

ルビィ「そうだよ」ニヤッ

ダイヤ「あの、妹の顔でその表情されるの嫌ですので、変えてもらっても?」

187: 2017/03/31(金) 22:36:28.88 ID:U96lxZkB.net
千歌母「うん、ごめんごめん」

ダイヤ「あなたが千歌さんのお母さま
ですね」

千歌母「さぁ…どうでしょう?」バチッ

ダイヤ(やはり…っ!なんとか、鞠莉さんに……)スッ

ドサッ

千歌母「さてさて、反撃開始だよ」クスッ

188: 2017/03/31(金) 22:37:15.08 ID:U96lxZkB.net
***
曜「んー…わっかんないなぁ」カリカリ

ピコンッ

曜「こんな時間に誰…?」

曜「………」スッ

プルルル…

曜「梨子ちゃん、今から家行っちゃダメかな?…え?花丸ちゃん?」

曜「うん…うん……わかった。でも、千歌ちゃんは…善子ちゃんが?」

曜「うーん…まだよくわかんないけど、とりあえず花丸ちゃんのお寺に行けばいいんだね?じゃあ、すぐ向かうよ」

曜「鞠莉ちゃん…行動力ありすぎ!」フフッ

曜「ふぅ……よし、行こう」

189: 2017/03/31(金) 22:37:47.57 ID:U96lxZkB.net
***
コンコン…

千歌「ふぁ…んん……何の音?」

コンッ…コンコン!

千歌「窓の方…」ガラッ

善子「やっと気付いた…」

千歌「よ、善子ちゃん!?」

善子「ヨハネ!どうやら私は堕天してしまったようね…」

千歌「いや、不法侵入……」

190: 2017/03/31(金) 22:38:14.32 ID:U96lxZkB.net
善子「ラグナロク…終焉の時が近いわ!リトルデーモン達と共に戦うの!」

千歌「つまり…どういうこと?」

善子「私たちAqoursが…いや、この町が終わってしまうかもしれない危機!迷える小悪魔を救いに来たの…!」

千歌「あ、うん…大体わかった!私は何をすればいいの!?」

善子「時を待つ…」

千歌「へ…?いや、え!?」

善子「まだもう少し…ずら丸たちから連絡が来るのを待ちましょう」

千歌「えぇ…なにそれ……」

善子「大丈夫だから、この堕天使ヨハネに任せなさい」

千歌「不安だよ…」

191: 2017/03/31(金) 22:39:03.99 ID:U96lxZkB.net
***
曜「お待たせ!」

果南「ごめんね、遠いのに…」

曜「あれ、花丸ちゃんと梨子ちゃんは?」

果南「今、倉庫の方を探してるよ」

曜「えーと、それで…どういうことなの?その銃みたいなのは?」

果南「これはマルちゃんのとこから借りたやつだよ」

曜「え、いや…待って待って、順を追って説明してくれる?」

192: 2017/03/31(金) 22:39:31.02 ID:U96lxZkB.net
果南「うん、千歌と千歌のお母さんのことなんだけど――」

曜「…え?嘘、でしょ?」

果南「私もまだ半信半疑って感じかな…でも、動かない理由はないでしょ?」

曜「ふふ…まぁね、やっぱり果南ちゃんとは気が合うみたいだ」

果南「そりゃどーも」エヘヘ

花丸「おまたせしましたー!」

梨子「あったよ!すごく古いやつだけど…」

193: 2017/03/31(金) 22:43:26.34 ID:U96lxZkB.net
花丸「うん!でも、なんとか読めそうかな」

曜「うわ、本当に古いね…さすがお寺!」

花丸「じゃあ読むね…えーと、惨劇の記録を此処に記す――」

果南「つ、つまり…どういうこと?」

花丸「この記録はかなり前に東京で起きた事件…それも、とても残虐なもの」

梨子「表現が生々しくて…うぅ…」

194: 2017/03/31(金) 22:43:56.00 ID:U96lxZkB.net
曜「東京の事件?それと何が関係するの?」

花丸「うん…これはね、吸血鬼によるものらしいんだ」

曜「それって、千歌ちゃんの…!」

花丸「それで、人間たちが吸血鬼に対抗するために色々な事を試したけど…全く効かなかった。怪我をしても
再生してしまう…力の差もありすぎて、完敗だった」

花丸「そんなとき、ひとつだけ効いたものがある」

花丸「それが、これ」

195: 2017/03/31(金) 22:44:23.02 ID:U96lxZkB.net
曜「花丸ちゃんのおうちにあった銃?」

花丸「銃っていうか…弾丸、かな」

花丸「普通の弾丸を使っても勝てない…だけど、銀の弾丸なら、吸血鬼には効く」

花丸「でも、正確に心臓を撃ち抜かなければダメ…」

果南「さっき確認したけど…銀の弾丸は一発しかない」

曜「じゃあ一発で心臓を…!?」

花丸「……うん。銃をまともに使ったことのないオラたちじゃ絶対に無理…だけど」

196: 2017/03/31(金) 22:44:49.81 ID:U96lxZkB.net
梨子「私がやるわ…っ」

曜「梨子、ちゃん…が?」

果南「あー…まさかとは思うけど、梨子って」

梨子「銀の弾丸を使って吸血鬼を倒したのはうちのひいおばあちゃんなの…」

曜「えぇ…梨子ちゃんがここに引っ越してきたのってそういう……?」

梨子「違うよ…それに、本物を撃ったことなんてない……でも!」

梨子「小さい頃から練習はしていた…私が、やるしかない」

197: 2017/03/31(金) 22:45:27.99 ID:U96lxZkB.net
果南「うん…勝てる、勝てるよ!」

曜「根拠なんてないけど、絶対に勝てる、そんな気がする!」

果南「…よし、それじゃあダイヤの家に行くよ!鞠莉の合図があったらすぐに入れるように…」

花丸「あの…ルビィちゃん、は……?」

梨子「そういえば…ダイヤさんとルビィちゃんは大丈夫なのかな」

曜「……大丈夫、絶対に」

果南「…とりあえず今は動こう。マルちゃん、善子に連絡をお願い」

花丸「……うん」

198: 2017/03/31(金) 22:47:12.98 ID:U96lxZkB.net
***
千歌「ねぇ…まだー?」

善子「うぅ…私だってわかんないわよ!」ソワソワ

千歌「なんか緊張感ないなぁ」

善子「そんなのあんただけよ……」

ピコンッ

善子「来た!……なるほど」

千歌「なになに、どんな内容?」

善子「とりあえず向かうわよ…ダイヤとルビィの家に」

199: 2017/03/31(金) 22:47:46.18 ID:U96lxZkB.net
***
ダイヤ「鞠莉さん…さっきお別れしましたわよね?」

鞠莉「sorry…話し足りなくて」

ダイヤ「だからと言ってこんな時間に!」

鞠莉「まぁまぁ…肌寒いし入れて欲しいなー」

ダイヤ「はぁ…なにか進展があったのですね?どうぞ」

鞠莉「うん♪…もう、ほとんどわかったわ」

200: 2017/03/31(金) 22:48:12.06 ID:U96lxZkB.net
―――

ダイヤ「それで、なんですの?」

鞠莉「そういえば、ルビィは?」

ダイヤ「寝てますわ、夜中ですし」

鞠莉「それにスタンガンでビリビリッてされちゃったもんね」

ダイヤ「あ、あれは仕方なく…ルビィには知らないでいて欲しいので」

鞠莉「そうねぇ…まぁ、もう遅いんじゃない?」

ダイヤ「……どういうことですの?」

201: 2017/03/31(金) 22:48:40.35 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「幼なじみを騙せるとでも思った?あなたがダイヤじゃないことはお見通しよ」

ダイヤ「何を言っているのですか…わたくしは黒澤ダイヤです。そんなに疑うなら、わたくしに関する質問をしてみればわかるはずですが…」

鞠莉「そんなものしなくてもわかるわ」

ダイヤ「…なぜっ!?」

鞠莉「勘…かな?」

千歌母「……」

202: 2017/03/31(金) 22:49:23.11 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「千歌っちのお母さん、本当に若いのね」

千歌母「うちの娘がお世話になってますね」クスッ

鞠莉「さっきのダイヤといい、ルビィといい…吸血鬼って化けることもできるのね」

千歌母「えぇ、血を吸った相手になることができるのよ…ただ、記憶までは無理だけど」

鞠莉「じゃあ、どうして二人の真似を完璧にできたの?」

千歌母「勉強って大事よね…」

鞠莉「ワーォ……勤勉家ですねぇ」

203: 2017/03/31(金) 22:49:51.04 ID:U96lxZkB.net
千歌母「お遊びはここまででいいかな?」

鞠莉「うーん…あとひとつだけいいかしら?」

千歌母「なぁに?」

鞠莉「二人は生きているの?」

千歌母「ゆっくり寝てるだけだから大丈夫……でも、あなたは生きて帰れると思わないでね?」

鞠莉「生きて帰れないのはどっちかしら?」

千歌母「その虚勢も…いつまで持つかなっ!?」グッ

204: 2017/03/31(金) 22:51:24.32 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「ぅぐ…!」

鞠莉(みんな…頼むわよ!)スッ

千歌母「今さら助けを求めたって無駄……氏人が増えるだけ!」

鞠莉「っ…それ、は…どう……かしらっ!」

バンッッ

果南「うわっ!?鞠莉ぃ!?」

曜「なんでもう殺されかけてるのさ!」ダッ

205: 2017/03/31(金) 22:52:07.15 ID:U96lxZkB.net
曜「っ…せい!」グイッ

千歌母「曜ちゃん、久しぶりね」ガッ

千歌母「ダメダメ、そんな力じゃ私を倒せない…躊躇が見えるよ?」ポイッ

千歌母「そりゃそうだよね……友達の母親だもの」

曜「…っ!」

鞠莉「はぁ…はぁ…っ曜!ソイツは千歌っちのお母さんじゃない!」

千歌母「何言ってるの?小さいときから見てる曜ちゃんならわかるでしょ?」

鞠莉「曜!ダメ!ソイツの言葉を聞かないで!」

千歌母「小さいときはこうやって頭を撫でてあげてたっけ?」ナデナデ

曜「ぁ…」ジーッ

207: 2017/03/31(金) 22:54:06.62 ID:U96lxZkB.net
果南「曜、ごめん!」ゲシッ

曜「ぃ…だぁ!何すんのさ!」

果南「ごめんごめん……吸血鬼ってチートすぎるでしょ」

千歌母「あと少しだったのに…」

曜「今、何されたの…!?」

千歌母「さぁ…そんなんで勝てるとでも?」

鞠莉「勝てる…勝者は私たちって決まってるからね」

千歌母「どこにそんな自信があるのかわからないけど…」

208: 2017/03/31(金) 22:54:33.89 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「曜、聞いて!絶対に目を合わせないように!多分“魅了”される!」

曜「わかった…!」

曜「千歌ちゃんのお母さん……どうして、こんなこと…」

千歌母「お話してる余裕は…ないんじゃない?」グイッ

果南「ぅわ!?」

ガシャーンッ

果南「つぅ…」

209: 2017/03/31(金) 22:55:29.36 ID:U96lxZkB.net
千歌母「ここには面白そうな器具がたくさんあるわね…」キョロキョロ

果南「…っ!」ゲシッ

千歌母「ぅわ、とと…危ないなぁ」

曜「っ!」ブンッ

千歌母「!」カスッ

千歌母「いい連携プレー…打ち合わせでもしてきた?」

曜「幼なじみを舐めないで…!」

鞠莉「そろそろ本性を現したら!?」

210: 2017/03/31(金) 22:56:13.18 ID:U96lxZkB.net
千歌母「なぁに?」

鞠莉「あなたは千歌っちのお母さんじゃない…そうでしょう?さっき自分でヒントを出していたじゃない」クスッ

千歌母「ふーん…まぁ、いっか」

吸血鬼「どっちにしろ変わらないか」

曜「ち、千歌ちゃんのお母さんじゃ…ない!?」

吸血鬼「ずっと騙しててごめんね?」

ガタッ

吸血鬼「!」バッ

211: 2017/03/31(金) 22:56:40.53 ID:U96lxZkB.net
千歌「それじゃ……本物のお母さん、は…?」

吸血鬼「……気付かなかった、いつからいたの?」

グルッ

吸血鬼「っ!縄…?」

善子「最初からよっ!」

善子「リリー!銃を!」

梨子「う、うん!」グッ

花丸「っ!…ダメ!」

212: 2017/03/31(金) 22:58:26.32 ID:U96lxZkB.net
梨子「え?」

吸血鬼「なーんちゃって」バッ

吸血鬼「こんなので捕まるほど私はお馬鹿じゃないの」

花丸「そう…焦っちゃダメ……チャンスは一回しかないから!」

梨子「そ、そう…だよね、ごめん!」

千歌「話して…いつからお母さんじゃないの!?」

吸血鬼「いつからって……最初から?」

千歌「…っ!?」

213: 2017/03/31(金) 22:58:52.70 ID:U96lxZkB.net
吸血鬼「なんでお父さんがいないか気になってたでしょ?教えてあげる……私が血を飲みきっちゃったから」

千歌「…そだ……」

吸血鬼「あ、千歌が飲んでた血が誰のなのかも気になってたよね?あれはね、前から飼ってるヒトたちの…♪」

千歌「嘘、だ…うそだうそだ嘘だ!」

千歌「そんなの…信じない!だってお母さんは…あんなに優しくて……あんなに、あんなに…っ」ポロポロ

曜「千歌ちゃん…っ!」

千歌「っぐ…はぁ…っ」

214: 2017/03/31(金) 22:59:27.48 ID:U96lxZkB.net
吸血鬼「そろそろ渇いてきたんでしょ?もう諦めてこっち側に来たら?そうすればもう悩まなくて済むの…」

千歌母「私と一緒に暮らそう…?」

千歌「ぁ…っお母、さん」フラッ

花丸「千歌さん!ダメ!待って!」

千歌母「ほら、おいで…」

千歌「うん……うん…っ」

曜「そぉぉい!」ゴッ

千歌「…っ」ギロッ

曜「…え?」

215: 2017/03/31(金) 22:59:59.63 ID:U96lxZkB.net
千歌母「残念だけど…そんなの効かないみたいよ?親子の絆は深いの…♡」

千歌「邪魔…しないで……っ!」

ドサッ

千歌「私はお母さんと…」ギリギリ

曜「ち、か…ちゃ」

果南「曜!千歌!」ダッ

千歌母「ダーメ♡」バッ

果南「くっ…どいて!」

216: 2017/03/31(金) 23:00:25.82 ID:U96lxZkB.net
千歌母「千歌ー?渇いたなら、飲んじゃえばいいのよ」フフッ

千歌「…」カプッ

曜「ぅぐ…っ!」ググッ

曜(ダメだ…力、入らなく……)

千歌「ふ…っぐぅ……!」

曜(…!千歌ちゃん…?)

千歌「だ、め…っ体が、勝手に……!曜ちゃん……ったす、けて…」ポロポロ

曜「ぁ…ちかちゃん……」

217: 2017/03/31(金) 23:01:03.59 ID:U96lxZkB.net
善子「助けてじゃないわよ!甘ったれんな!」ブンッ

千歌「いづ…っ!これ…あめが入った…!」パクッ

善子「あんたが助けなきゃみんな氏ぬんだけど!?」

千歌「……っ動ける!」

千歌「ごめん曜ちゃん!お陰で元気出た!」

曜「それはいいけど…。善子ちゃん…危ないよ?」

善子「仕方ないでしょ…」

218: 2017/03/31(金) 23:01:30.27 ID:U96lxZkB.net
千歌「もう騙されない……っ」

鞠莉(もう少し…まだ!?早く…お願い、早く!)

花丸(なんとか動きを止めないと…)

梨子「は、花丸ちゃん…私、どうすれば…」

花丸「もう少し……チャンスは絶対来る!」

吸血鬼「あーもう…なんなの!?どうしてそんなに粘るわけ…っ!?」

鞠莉「パーフェクトナインを舐めてもらっちゃ困るわねぇ?」

219: 2017/03/31(金) 23:01:57.21 ID:U96lxZkB.net
吸血鬼「くそっ!くそっ、くそ!」

鞠莉「余裕がないのはどっちかしら?」

吸血鬼「でも、どうやって倒す気?銃はあるみたいだけど、私はすばしっこいよ?」

鞠莉「こっちにはまだ仲間がいるから勝てるわ」

吸血鬼「はぁ?ひぃふぅみぃ…これで全員じゃない?」

鞠莉「何言ってるの?……私たちAqoursは」

ダイヤ「9人ですわよ!」ゴンッ

220: 2017/03/31(金) 23:02:26.95 ID:U96lxZkB.net
吸血鬼「~っ!?」フラッ

千歌「!」ガシッ

ルビィ「よっ、と」グルグルッ

吸血鬼「こんなの、無駄…っ!」ガシャンッガシャンッ

吸血鬼「な、なんで…!?」

ダイヤ「黒澤家特製の拷問道具ですから…暴れたって壊れないですわ」

花丸「…!梨子さん!」

梨子「えぇ…っ!」グッ

吸血鬼「やめ、やめろぉ!やめろ!」

221: 2017/03/31(金) 23:04:29.20 ID:U96lxZkB.net
千歌母「千歌!私のこと助けてくれるよね!?」

千歌「……っ」

曜「千歌ちゃん…」ソッ

千歌「だい、じょうぶ…もう、平気」

梨子「っ!」バンッ

吸血鬼「っぐうぅ!?」

花丸「や、った…!」

梨子「はぁ…はぁ…」ストンッ

222: 2017/03/31(金) 23:05:06.16 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「良かった…ダイヤ、ルビィ!」

ダイヤ「あれくらいで氏ぬわけないでしょう?それに、明日絶対に会うと約束しましたからね」

果南「……すごいね、梨子。本当に心臓撃ち抜くなんて…って、あれ?」

梨子「ぁああぁあ…」

果南「…お疲れ様」ギュッ

千歌「……」ジーッ

曜「千歌ちゃん…」

223: 2017/03/31(金) 23:05:34.06 ID:U96lxZkB.net
千歌「あなたは……私にとって大切なお母さんでした…」

千歌「その愛情は偽物だったかもしれないけど……幸せだったよ」ポロッ

千歌「う…うわあぁ…」ポロポロ

曜「うん…うん…っ」グスッ

224: 2017/03/31(金) 23:06:15.36 ID:U96lxZkB.net
―――

鞠莉「……みんな、OK?」

千歌「うん…もう平気」

果南「お、梨子も生まれたての小鹿から成長したみたいだね」

梨子「小鹿…っ!?」

千歌「…あ、お姉ちゃんたち、呼ぶ……よね?」

鞠莉「うん、お願い」

225: 2017/03/31(金) 23:06:41.35 ID:U96lxZkB.net
善子「ねぇ、私気になることがあるんだけど…」

花丸「どうしたの?」

善子「飼ってるヒト……って」

ルビィ「さっき言ってたよね…飼ってるヒトから血を…」

花丸「…ってことは、まだ生きてる……のかな」

鞠莉「それも含めて確認…ね」

ダイヤ「わたくしは千歌さんのお姉様方のお迎えに行きますわ」

ルビィ「あ、ルビィも行く!」

ギィィ

226: 2017/03/31(金) 23:08:08.73 ID:U96lxZkB.net
***
美渡「黒澤…って、この辺仕切ってるおうちだよね?なんで朝っぱらから呼び出されてるわけ?」

志満「まさか千歌がなにか悪いことを…!」

美渡「いやいや、あいつには無理でしょ…って、ここか」

ダイヤ「千歌さんのお姉様方でよろしいですか?」

美渡「よ、よろしいけど…千歌がなにかしました…?」

ルビィ「あ、い、いえ…吸血鬼について、です……来てもらえますか」

227: 2017/03/31(金) 23:09:40.04 ID:U96lxZkB.net
志満「……私たち処分されちゃうのかしら」

ダイヤ「まさか、そんなことは…ただ」

美渡「ただ…?」

ダイヤ「……いえ、中に入ってからお話いたします」

みとしま「「お邪魔します…」」

ダイヤ「こちらです」

美渡「こんな地下の…ねぇ、これやっぱり処分されるって!」ヒィィ

ルビィ「…開けますね」

ギィィ

228: 2017/03/31(金) 23:10:57.70 ID:U96lxZkB.net
千歌「!美渡姉、志満姉!」

志満「な、に…これ」

美渡「……千歌たち、倒しちゃったのかよ」

志満「え、いや…どういうこと?これ…お母さん、よね?」

千歌「お母さんだけど……お母さんじゃないみたい…」

鞠莉「詳しくは私から話します――」

志満「飼ってるヒト…って、それ地下室……?」

千歌「地下室…そんなのうちにあったの!?」

美渡「あぁ…昔志満姉と入ろうとしてめっちゃ怒鳴られたとこか」

志満「……行きましょうか」

230: 2017/03/31(金) 23:11:25.01 ID:U96lxZkB.net
千歌(念のためにと私たち三姉妹だけが入った地下室の中はひどい有り様でした)

千歌(辺り一面に血と汚物が広がって……残念ながら、生存者はいませんでした)

千歌(不思議なのは、皆切り刻まれていたこと)

千歌(あの人はなぜこんなことをしたんだろう)

鞠莉「!中はどうだった?」

美渡「ダメだね、みんな氏んでる」

鞠莉「……そう」

231: 2017/03/31(金) 23:12:30.19 ID:U96lxZkB.net
志満「これから、どうしよっか…中の人たちの供養なんかもしなきゃいけないけど……」

花丸「それならオラに任せるずら!みんながしっかり成仏できるようにするから!」

ダイヤ「こちらの片付けは黒澤家にお任せください」

美渡「なぁ千歌…Aqoursってなんでこんなに人材集まってるわけ……?」

千歌「さ、さぁ…改めて考えるとすごいよね」

鞠莉「後は…千歌っちたちの今後…よね」

232: 2017/03/31(金) 23:13:16.61 ID:U96lxZkB.net
鞠莉「そこは小原家に任せて…きっと状況をなんとかできるものを作ってみせる」

美渡「小原家って……なんだっけ、なにかお母さんから聞いたことが…」

志満「こんなに順調に進んじゃって大丈夫…?」

果南「大丈夫ですよ…鞠莉の言葉を借りるなら、パーフェクトナインが揃ってるんだから」

曜「いや、今はパーフェクトイレブン、だよ」

千歌「私たちなら絶対になんとかできる!よーし、あれやろ!」

梨子「11人で?」

ルビィ「お、お姉さんたちはわからないんじゃ…?」

美渡「あ、あれか!おっけーおっけー!」

志満「一度やってみたかったの!」

善子「受け入れるの早っ!」

233: 2017/03/31(金) 23:14:37.79 ID:U96lxZkB.net
千歌「いくよーっ!1!」

曜「2!」

梨子「3!」

花丸「4!」

ルビィ「5!」

善子「6!」

ダイヤ「7!」

果南「8!」

鞠莉「9!」

美渡「10!」

志満「11!」

「Aqours~サンシャイーン!」


fin.

236: 2017/03/31(金) 23:16:34.30 ID:U96lxZkB.net
本編はおしまいです。
これからAqoursの今後のお話を書く予定ですが、これからリアルが忙しくなりそうなんで時間がかかると思います。
とりあえず、ここまで見てくださり、ありがとうございました。

引用元: 千歌「なんか歯がムズムズする…」