1: 2013/12/01(日) 20:30:19.44 ID:RjF2R240i
真美「兄ちゃん兄ちゃん!」

P「ん?どうした真美」

真美「ちょっとこれ見てYO!」ピラッ

P「数学のプリントか・・・これがどうしたんだ?」

真美「ここだYO!ここ!」

『a=b とすると a/x = b/x である (ただし x≠0)』

P「・・・うんうん、これがどうした?」

真美「どうしたじゃないYO!なんでxが0じゃダメなの?文字はなんでも入れていいんじゃないの?」
ぷちます!(12) (電撃コミックスEX)
9: 2013/12/01(日) 20:35:10.63 ID:RjF2R240i
P「そういうことか・・・えーっと真美、『xで割る』ってどういうことだ?」

真美「どういうこと?・・・って言われてもよくわかんないYO・・・」

P「すまん、言い方が悪かった、じゃあ『3÷x』は3×・・・何だ?」

真美「うーんと・・・それなら1学期にやったよ、確かギャクスウ?ってやつだよね」

真美「だから・・・3×(1/x)!」

P「正解、じゃあaに 1/x をかけると?」

真美「えーっと・・・a/x ?」

P「合ってるぞ、同じようにb×(1/x) = b/x だな?」

11: 2013/12/01(日) 20:39:32.58 ID:RjF2R240i
真美「うん、それくらいなら真美もわかるよ」

P「つまり、このプリントに書いてあることは『a=bとする aとbそれぞれをxで割っても答えは同じになる』ってことだ」

P「同じ数を同じ数で割ったら同じ数になると思わないか?」

真美「あーなるほど、なんとなくわかった」

P「で、xが0だとダメな理由なんだが、小学生の時に『0.で割ってはいけない』って教わらなかったか?」

真美「あっ!そう言えばそんなこと聞いた気がするYO!」

13: 2013/12/01(日) 20:43:03.33 ID:RjF2R240i
P「プリントは『xで割る』ってことと同じことが書いてあったな?だからxが0だとダメなんだ」

真美「おー、そういうことか・・・でも兄ちゃん?」

P「ん?」



真美「どうして0で割っちゃダメなの?」



真美「プリントに書いてあることはわかったよ、0で割っちゃダメだからx≠0なんだよね」

真美「でもさ、じゃあなんで0で割っちゃダメなの?小学生の時にそんなこと教えてもらわなかったと思うよ?」

P「それはn」
春香「はーい!私が説明しまーす!」

15: 2013/12/01(日) 20:46:12.75 ID:RjF2R240i
P「・・・」

春香「はいはい!私がやります!いいですよね?プロデューサーさん!」

P「お、おう・・・」

春香「えっへん!では!」コホン

春香「真美?12個のケーキを6人で分けると1人何個?」

真美「えーっと、2個!」

春香「式で表すと?」

真美「12÷6?」

春香「はいせいか」

17: 2013/12/01(日) 20:49:07.05 ID:RjF2R240i
春香「はい正解、じゃあ12個のケーキを4人で分けると?」

真美「3個!」

春香「うん、3人で分けると12÷3で4個、2人で分けると12÷2で6個だよね、じゃあ言い方は変だけど1人で分けると?」

真美「12÷1で12個?」

春香「そうだね、じゃあ0人で分けると?」

真美「えーっと・・・あれ?あれぇぇぇ?」

春香「うん、0人でわけるなんて意味がわかんないよね、そもそも分ける人がいないんだから」

20: 2013/12/01(日) 20:54:08.18 ID:RjF2R240i
真美「確かにそうだね、誰もいなかったらケーキ腐っちゃうYO!」

春香「そう、だから0で割るのは意味がないんだよ!ねっ、プロデューサーさん!」


P「えっと・・・(-3)人で分けるとどうなる?」


春香「のヮの?」

P「ケーキ12個を(-3)人で分けるってのはどういうことなんだ?」

春香「えーっと12÷(-3)で(-4)個?」

P「じゃあ(-3)人や(-4)個ってどういうことなんだ?確かに12÷(-3)=-4っていう式は知ってるけど、それをこのケーキの例で当てはめても意味がわからないよな?」

春香「うーん・・・」

21: 2013/12/01(日) 20:59:50.42 ID:RjF2R240i
P「つまり、ケーキの話だと12÷(-3)といった式でも答えがないことになってしまう、『(-3)人で分ける』ってのも意味がわからないんだからな」

春香「そっかぁ・・・じゃあ私の説明は全くのムダってことなんですね」シュン

P「いや、ケーキの話は直感的に0で割れないことを理解するにはすごくいい例なんだ、小学校低学年でもわかるかもしれないし、だから全然落ち込むことはないぞ」

春香「プ、プロデューサーさぁん!」ダキッ

P「春香・・・」ギュッ


真美・P「(えっ、何これ・・・)」


真美「・・・もう!とりあえずケーキの話だと理由にならないのはよくわかったYO!」

真美「じゃあさ!ちゃんとした理由はなんなの?『マイナス』もちゃんと説明できるようにさ」

雪歩「それなら反比例のグラフを考えればいいんじゃないですかぁ?」

24: 2013/12/01(日) 21:04:22.53 ID:RjF2R240i
雪歩「あっ、みなさんお茶ですぅ」

P「おぉ雪歩、ありがとう・・・それで、反比例のグラフ?」

雪歩「はい、真美ちゃんも反比例のグラフってやったよね?」

真美「比例と反比例ってやつだよね?うん、この前やったばっかだYO!」

雪歩「じゃあ反比例『y = 1/x』ってどんなグラフかわかる?」

真美「えーっと、確かこんなグラフだよね?」カキカキ

no title


雪歩「そうだね、ところで1/xと1÷xが同じ意味だってことはわかる?」

真美「うん、それは最初に兄ちゃんに教えてもらったからわかるYO!」

26: 2013/12/01(日) 21:10:10.31 ID:RjF2R240i
雪歩「じゃあこのグラフは・・・例えばx=5の時はy=1÷5 で x=-11の時はy=1÷(-11)だよね?」

真美「うんうん」

雪歩「マイナスじゃなくて分数や小数でもいいんだよ、x=2.4とかx=-9/5とかでもね」

真美「そっかあ、ケーキの話だと『2.4人で分ける』とか言ってもよくわかんないよね」

雪歩「そうだね、じゃあこのグラフのx=0のところはどうなってる?」

真美「x=0?えーっと・・・うあうあ~、グラフがx=0のところを通ってないよ~」

真美「これだーゆーことなの?もしかしてもっと大きいグラフならよくわかるの?」

30: 2013/12/01(日) 21:16:38.34 ID:RjF2R240i
雪歩「いや、x=0の時は1÷0になっちゃうから、結局yの値はないよ」

真美「うーん、でもそれって0で割れない理由になってなくない?」

雪歩「そうだね、じゃあこのグラフから見て1÷0はプラスだと思う?マイナスだと思う?」

真美「えーっと・・・プラス?」

雪歩「どうしてそう思うの?」

真美「だって、x=5、x=3、x=1・・・ってxの値を小さくしていくとグラフは上に伸びていくよ?」

雪歩「じゃあx=-5、x=-3、x=-1・・・ってxの値を0に近づけていったら?」

真美「・・・あれ?グラフが下に伸びていってるYO・・・」

雪歩「割り算って普通、答えが1つに定まるよね?例えば6÷2は3だけど、2だったり4だったりしないよね」

真美「うんうん」

34: 2013/12/01(日) 21:21:04.49 ID:RjF2R240i
雪歩「だから1÷0の答えがあるとしても、それがプラスかマイナスかわからないんじゃそんな数おかしくない?」

真美「あーなるほど、だからそんな数はないようにするってことだね?」

雪歩「そういうこと!そうですよね?プロデューサー!」


P「じゃあ・・・1÷0は実数なのか?」


雪歩「えっ?」

P「確かに1÷0が実数上にあるならグラフから見てプラスともマイナスとも取れそうだな、でも実数じゃない数字を考えればいいんじゃないか?」

真美「じっすう?って何?兄ちゃん」

37: 2013/12/01(日) 21:24:59.52 ID:RjF2R240i
P「うーん、数直線は習ったろ?」

真美「うん」

P「数直線上の点って何かしらの数だよな?1とか2.8とか-5/3とか」

真美「えーっと、うん、そうだね」

P「数直線上にある数を実数っていうんだ、それくらいの覚え方でいいよ」

真美「ふーん・・・で、さっき言ってた話だと、そのジッスウ?じゃない数があるってこと?」

P「あぁ、そうだな・・・2乗して9になる数はなんだ?真美」

真美「3!」

P「3だけか?」

真美「・・・?」


春香「-3です!」ドヤァ

40: 2013/12/01(日) 21:28:18.73 ID:RjF2R240i
P「・・・はい春香正解」

雪歩「(春香ちゃん・・・)」

真美「そっかぁ・・・確かにそうだね、カンペキに忘れてたYO・・・」

P「それじゃあもう1つ聞くぞ、2乗して-1になる数はなんだ?」

真美「-1?・・・えぇっと・・・あれぇ?」

真美「大変だよ兄ちゃん!2乗したらみんなプラスになっちゃうYO!」

P「正確には0以上な、0の2乗は0だろ」

真美「あっ、そっか」

44: 2013/12/01(日) 21:33:03.90 ID:RjF2R240i
P「じゃあ2乗して-1になる数はないのか?ところがどっこい昔の人はすごかった、『なければ作ってしまえ』と2乗して-1になる数を作ってしまったんだ」

真美「えぇ!そんなことしていいの?」

P「と思うだろ?それがなんと今ではその数がないと俺達の生活が成り立たないほどその数は大事なんだ」

P「例えばどう大事なのかは話がずれるから今はやめとこう、とにかく2乗して-1にらなる数を『i』と名付けたわけなんだが、この『i』は数直線上にはない数だ」

P「反比例のグラフのx軸、y軸は数直線だから、反比例のグラフにもこの『i』という数がないことがわかる」

49: 2013/12/01(日) 21:38:06.99 ID:RjF2R240i
P「とにかくそういう2乗してマイナスになるような数と実数を合わせて『複素数』というんだが・・・話がそれたな」

P「例えば・・・『y=x^2 + 1』というグラフを考えてみよう、y=0の時のxの値はグラフから見てわかるか?雪歩、春香」

雪歩「うーん、確かにグラフではy=0を通るような点はないですぅ」

春香「確かに・・・でもy=0の時のxの値は・・・」

P「そう、±i だよな」

真美「うあうあ~、真美もうゼンゼンわかんないよ~」

P「今はグラフで書けないけど通る点があることを説明してるだけだからわからなくても大丈夫だぞ、真美」

53: 2013/12/01(日) 21:43:38.50 ID:RjF2R240i
P「つまり、反比例のグラフで考えると、確かに1÷0の答えが実数ならおかしいことになる、でも実数じゃないだけで他の数の可能性があるんだよ」

P「まぁもちろん実際のところは実数以外の数にも1÷0の答えはないんだがな・・・」

雪歩「なるほどぉ・・・複素数なんて高1でやったっきりほとんど出てこないからすっかり忘れてましたぁ」

P「複素数はイメージしにくいからなぁ・・・大切なことだからもう少し高校数学でやる方がいいんだけど・・・」

真美「うーん、じゃあ結局0で割っちゃいけない理由ってなんなのさ」

P「それh」
小鳥「ピヨッ!この画像を見ればわかるわよ真美ちゃん!」

55: 2013/12/01(日) 21:49:18.26 ID:RjF2R240i
no title


P「(さっきからチラチラこっち見てると思ったらこんなもん探してたのか・・・)」

真美「『因数分解』ってとこがよくわかんないけど・・・どうして1=2になるの?これって絶対おかしいよね?」

雪歩「うぅ・・・私もよくわかんないですぅ・・・」

春香「(この画像持ってる・・・)」

雪歩「それで、どうしてこれが0で割れない理由になるんですかぁ?」

小鳥「よくぞ気いてくれました雪歩ちゃん!じゃあ画像のa-bの値は何?」

雪歩「a-bですか?・・・あっ、1行目でa=bだからa-b=0ですぅ」

小鳥「正解!じゃa」
雪歩「あっ!5行目でa-b、つまり0で割ってますぅ」

58: 2013/12/01(日) 21:55:51.01 ID:RjF2R240i
小鳥「その通りよ、だかr」
雪歩「だから1=2なんていうおかしい答えが出るんですね」

小鳥「そu」
雪歩「なるほど!だからa-b、つまり0で割れたことがおかしいから0では割れないってことですね」


小鳥「・・・その通りよ、雪歩ちゃん」シュン


小鳥「つまりまとめると、『0で割れると仮定する』→『画像のように式を変形すると1=2になる』→『1=2はどう見てもおかしい』→『0で割れるという仮定は間違い』→『0では割れない』ってことね」


真美「・・・」シュープスンプスン

小鳥「真美ちゃんには少し難しかったかしら?簡単に言うと、『0で割れるなら1=2なんていうおかしいことになるから0では割れない』ってことよ」

61: 2013/12/01(日) 22:00:17.54 ID:RjF2R240i
真美「うあうあ~、最初からそういう風に簡単に言ってよ~」

春香「これって背理法ってやつですよね?」

小鳥「そうよ、『できない』ことや『ない』ことを証明するには背理法が便利よね」

雪歩「すごくよくわかりましたぁ」

小鳥「で、いいですか?プロデューサーさん!」


P「うーん・・・ダメです・・・」


小鳥「なん・・・だと・・・」

P「じゃあなんでb(a-b)をa-bで割るとbになるんですか?」

小鳥「えっ、でもそれは・・・」

64: 2013/12/01(日) 22:08:29.72 ID:RjF2R240i
P「『0で割れると仮定する』のはOKです、ただの仮定ですから」

P「でも実数では実際に÷0は何も定義されていませんよね?つまり『0で割れると仮定する』としてもまず÷0を定義しないと始まらないんです」

P「で、その÷0の定義がなんだって話なんですから、もし仮定でもなんでも÷0をちゃんと実数上で定義できりゃそもそもそれが÷0の定義になっちゃいます」

P「もしうまく÷0を定義できないなら、そもそも『÷0と仮定する』ことすらできません」

小鳥「ピヨッ・・・」

P「まぁ一種のパラドックスですね・・・」

P「簡単に言うと音無さんの証明は『半径rの円の面積がπr^2なのはなぜ?』って聞かれて『円の面積は(半径)×(半径)×(円周率)だから』と言っているようなもんです」

66: 2013/12/01(日) 22:13:45.34 ID:RjF2R240i
P「そうじゃなくて『どうして(半径)×(半径)×(円周率)が円の面積なのか?』って話なんじゃないですか?」

小鳥「そう・・・ですね」

春香「でもなんか違和感がありますプロデューサーさん」

雪歩「私もですぅ、なんかどう説明しても煙に巻かれる気がするというか・・・」

真美「・・・」ゲームピコピコ


P「そうだな・・・話は変わるがこの世界は何次元だ?春香」

春香「えっ?突然なんですか?」

P「いいから答えてみ、別に引っ掛けとかじゃないから」

春香「うーんと、3次元、いや時間も入れて4次元かな?」

P「そうだな、普通は時間を除いて3次元というけど、まぁ時間を入れれば4次元、そうでないなら3次元で、6次元とか7次元ではないな」

69: 2013/12/01(日) 22:22:41.60 ID:RjF2R240i
P「じゃあ雪歩、食塩を水に入れるとどうなる?」

雪歩「と、溶けますぅ」

P「そうだな、じゃあこれがなぜかわかるか?」

春香「そう決まってるから・・・ですか?」

P「・・・まぁそういうところだ、食塩の例はもちろん溶ける理屈があるんだけど、その理屈も元をたどれば『そう決まっているから』だ」

P「もっとちゃんと言うと、そういう物理体系や化学体系に沿って俺達は物理的事象や化学的事象を認識して、研究しているからだ」

雪歩「体系・・・ってなんですかぁ?」

P「この場合で言えば、つまりこのぶつ、化学的事象を一定の原理に従って論理的に考えた知識のことかな?ググるとわかりやすく書いてるぞ」

71: 2013/12/01(日) 22:27:14.78 ID:RjF2R240i
P「じゃあ5+6はなんだ?」

雪歩「11ですぅ」

P「その理由は?」

春香「そういう数学体系だから?」

P「簡単に言うとそういうことだな、ところで実数や複素数が集合っていうのは習ったよな?」

雪歩「はい、習いましたぁ」

P「俺達が使ってる四則演算っていうのは、その実数や複素数の中で定義された演算体系の1つなんだ」

春香「うーん・・・どういうことですか?」

P「つまり、演算体系を変えれば『1+1=3』や『5×3=0』であるような四則演算にしてもいいってことだ」

雪歩「はぁ、なるほど」

74: 2013/12/01(日) 22:36:10.74 ID:RjF2R240i
P「でもそんな演算体系は使えない、なぜなら計算にちゃんとした法則がないからな」

春香「確かに『5×3=0』って言われてもう5×4は?とか聞かれたらすぐに答えられないですね」

P「うん、まぁともかくうまく演算を定義すればある程度の法則は持たせられるし、実数とかめちゃくちゃ元が多い集合じゃなくて中身が少ない集合ならそういう演算はいくらでも作れるぞ」

雪歩「うーん、とか言ってもピンとこないですぅ」

P「例えば{0,1,2}っていう集合に+を定義しよう」

P「『0+0=0,0+1=1,0+2=2,1+0=1,1+1=2,1+2=0,2+0=2,2+1=0,2+2=1』とする」

春香「・・・えっ、これだけですか?」

77: 2013/12/01(日) 22:42:08.21 ID:RjF2R240i
P「そうだぞ、だって集合の元気が3個しかないんだから足し算の組み合わせは3×3の9個しかないだろ?」

春香「はぁ、確かにそうですけど、こんな単純でいいんですか?」

P「体系なんて作ったもん勝ちなんだよ、極端な例で言えば{0}っていう集合に+,-,×,÷を『0+0=0,0-0=0,0×0=0,0÷0=0』って定義してもこれは一種の演算体系なんだ」

P「で、こういう例から見てわかるように『2+1=0』とかいう俺達の直感から外れた演算体系も作れるわけだ」

P「ただ一番の問題は、その演算体系に意味があるかってことだ」

雪歩「意味、ですかぁ?」

83: 2013/12/01(日) 22:48:23.02 ID:RjF2R240i
P「そう、今{0,1,2}っていう集合に+を定義きたけどこれに何か意味を感じるか?」

春香「うーん、ちょっとわからないです」

P「そうだよな、『だから何?』としか思わんと俺も思う、つまりいくら演算を定義しても現実で使えなかったり、学問として扱いにくかったら価値がないんだよ」

P「さっきの例で言えば、『5×3=0』っていう演算体系は作れる、でも法則がなければ学問としては扱いにくく無価値なんだ、それに現実でも使えない」

春香「かけ算の意味がわかりませんもんね」

P「つまり俺達が使ってる実数や複素数の演算体系は、自然に意味がある演算になっているんだ」

雪歩「・・・つまり、物理体系や化学体系が現実に沿って作られているのと同じように、実数や複素数の演算体系も現実に沿って作られてる・・・ってことですね?」

85: 2013/12/01(日) 22:54:33.49 ID:RjF2R240i
P「そういうこと・・・で、じゃあその現実に沿った演算体系がどういうものかってことになるんだけど、『体(たい)』っていう集合の概念を考えないといけなくなる」

春香「たい?」

P「例えばそうだな・・・春香はアイドルだな?」

春香「はい!今人気絶頂のお茶の間アイドル!天海春香です!」

P「で、雪歩もアイドル、真美もアイドルだ」

P「アイドルが『体』で、春香が『実数』、雪歩が『複素数』みたいな感じかな」

P「つまり、『体』っていうある性質を持った集合の1つの例が実数や複素数なんだよ」

P「言い方は悪いけど、春香や雪歩も『アイドル』の1人の例だろ?」

87: 2013/12/01(日) 23:01:30.88 ID:RjF2R240i
P「それで、俺達が現実に沿って使える演算体系には、この『体』の性質が必要なんだ」

春香「その性質ってなんなんですか?」

P「厳密に言うと大変だから大切なところだけ言うと」


『+と×を定義している』
『a×b=bになるようなbを『0』とする(つまりa×0=0)』
『a×c=aになるようなcを『1』とする(つまりa×1=a)』
『(0以外の)全ての数はかけて1になるような数が存在する』


P「で、最後の性質が問題になってくるんだが・・・」

89: 2013/12/01(日) 23:09:58.96 ID:RjF2R240i
雪歩「あっ、わかりました」


P「おっ?」

雪歩「もし0にかけて1になる数、例えばdが存在したとすると、d×0=1になって1つ目の性質に矛盾しますぅ」

P「そうなんだ、0と1はこういう風に定義するのはなんとなくわかると思う、で、この前の3つの性質を満たすためには4つ目の性質で0を省くしかない」

P「だ4番目の性質はかなり重要で、これがないとちゃんと割り算を定義できない」

P「なぜかと言うと、最後の性質は『x × (1/x)となる1/xが存在する』ことを言っているからな」

P「俺達はこの1/xを÷xとして実数の演算として使っているんだ」

93: 2013/12/01(日) 23:16:47.90 ID:RjF2R240i
>>89でミス

P「なぜかと言うと、最後の性質はx × (1/x) 『= 1 』となる1/xが存在することを言っているからな」





春香「なるほど・・・その最後の性質に0が含まれないから÷0が定義できない・・・ってことですか?」

P「そういうこと、じゃあなんで『体』として俺達が実数を扱ってるかというと、それは『体』が扱いやすい性質を持ってるからとしか言いようがない」

P「そしてその性質を満たすには、÷0を省くしかないってことなんだ」

95: 2013/12/01(日) 23:22:18.04 ID:RjF2R240i
P「仮に÷0を定義した演算体系を作っても、それは『体』にはならないから、現実でも非常に扱いにくく、学問的に無価値というしかない」

P「ただ、途中で出た複素数の例、あれは2乗して-1になるような数をiにして実数と足し合わせても、たまたままた『体』になったんだ」

P「だから複素数は扱いやすい演算体系として価値があるってこと」



P「・・・というわけだ」


雪歩「はぁー・・・」

春香「ほぉー・・・」


P「あまり深く考えすぎないでいいよ、0で割れないってことだけ知っておけばテストは大丈夫だし」

97: 2013/12/01(日) 23:29:41.43 ID:RjF2R240i
春香「はぁ・・・あっ、ところで最初に聞いてた真美は?」


真美「よーし、ピヨちゃん!次はこれで勝負だYO!」

小鳥「くっ!年齢が自分の半分の女の子にそう何度も負けてられないわ!」


真美「あっ、兄ちゃん話終わったー?」

P「あぁ終わったよ、ごめんな、真美にはまだ難しすぎたな・・・ところで何してるんだ?」

真美「ホントだよー、真美途中で意味わかんなくなっちゃったからピヨちゃんと遊んでたの」

小鳥「ホントだよー、小鳥途中で意味わかんなくなっちゃったピヨー」

98: 2013/12/01(日) 23:30:32.75 ID:RjF2R240i
P・春香・雪歩「・・・」


小鳥「あ、あれ・・・?」


P「音無さん・・・」


小鳥「・・・はい」


P「仕事・・・して下さい・・・」


小鳥「・・・・・・はい」


101: 2013/12/01(日) 23:39:18.30 ID:RjF2R240i
煙に巻く感が拭えないのはどうしようもないんだ
そういう『性質』だから
性質に厳密な意味での理由を求めるのは厳しい

なるべくわかりやすくしたつもりなんだけど難しい言葉を使ってしまって申し訳ない


集合に四則演算を定義するっていう考え方が必須だからその辺も高校の知識だとしんどい

よければ『体』とか『群』とか『環』でググってみてくれ
ちょっとは理解の手助けになるかもしれん

じゃあ見てくれてサンクス

102: 2013/12/01(日) 23:39:40.13 ID:SFd+K8Mx0
>>101
乙でした

103: 2013/12/01(日) 23:40:04.58 ID:Bu79IM790

0除算禁止な

111: 2013/12/01(日) 23:56:17.48 ID:RjF2R240i
ちょっとだけ補足

>>87の性質は前3つが優先されるから最後の性質は前3つを満たすようにしないといけない

なぜ優先されるかというと
『体』は前3つの性質を持った『環』という集合の特別な例の1つだから

つまり前3つの性質が根幹にあって、最後の性質は『体』になるためだけに必要な性質だから優先順位が最後なんだ

何度もすまん

>>108
環や体の厳密な定義のことか?
そんなもん書いてたら理解できなくなるだろ
だからだいぶ省略した
それは>>49にも書いたぞ
理系の大学1年生でさえ積集合とか写像をまだ習ってないのに

115: 2013/12/02(月) 00:05:05.07 ID:RjF2R240i
>>110
>>113に書かれてる通り0で割れても嬉しくないからな

>>114
うーん、似たような感じかな?
例えばサッカーで、『ルールもなんもなしにとにかくゴールネットを揺らせばよいスポーツ』だと面白くないし危ないはず、こういうのを『意味がない演算体系』という
『ルールがある程度合理的に整備された上でのスポーツ』は面白いし、みんなやりやすいはず、こういうのを『現実で扱いやすく、学問的に価値がある演算体系』と呼ぶってことかな

引用元: 真美「どうして0で割っちゃダメなの?」