1: 2014/02/28(金) 15:45:19.18 ID:rDbozIyA0
滑走路

シャーリー「ルッキーニ、悪いけどサンオイル持って来てくれないか?」

ルッキーニ「あーい。もってくりゅー」

ペリーヌ「……何をしていますの?」

シャーリー「見て分からないか? 綺麗に肌を焼こうと思ってね」

ペリーヌ「坂本少佐に報告させていただきます」

シャーリー「また告げ口かぁ。やめてくれよ。怒られるだろ?」

ペリーヌ「当然でしょう!?」

シャーリー「私だってやることやってるんだし、これぐらい大目にみてくれよ。昨日の戦闘の疲れもまだ残ってるしさぁ」

ペリーヌ「全く。シャーリーさんは大尉になったのですからそろそろ上官らしく真面目にしてくださいな。宮藤さんやリーネさんに示しがつきませんでしょう?」

シャーリー「……おい。なんだ、あれ? なんか飛んでないか?」

ペリーヌ「なんですか? あら、あれは……飛行機……? いえ、それにしては小さいですわね」

シャーリー「ネウロイ……でもなさそうだな……」
ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!続 (角川コミックス・エース・エクストラ)
4: 2014/02/28(金) 15:52:11.30 ID:rDbozIyA0
ペリーヌ「うーん。なんでしょうか……?」

シャーリー「聞いてみるか……」ピコンッ

ルッキーニ「シャーリー、もってきたー。どったの?」

シャーリー「……このエンジン音……ストライカーユニットだ」

ペリーヌ「よく聞こえますわね。わたくしにはさっぱりですわ」

ルッキーニ「なんかとんでる」

ペリーヌ「それで誰のユニットですの?」

シャーリー「少佐、いや、これは宮藤のだ」

ペリーヌ「宮藤さんですか。なら、訓練中に失敗でもしたのでしょう」

シャーリー「だからってユニットだけが空を飛ぶか?」

ルッキーニ「おちてくよ?」

シャーリー「おいおい。海に落ちたら回収が面倒だろ。ちょっと行ってくる」

ルッキーニ「シャーリー、サンオイルー」

シャーリー「あとでだ! 今はユニット回収を優先する!!」

ペリーヌ「ま、当然ですわね」

5: 2014/02/28(金) 15:58:24.57 ID:rDbozIyA0
シャーリー「よっと」

エーリカ「あれ、シャーリー。こんがり肌を焼くんじゃなかったの? 空で焼く気?」

シャーリー「ユニットを回収するんだよ」

エーリカ「どういうこと?」

シャーリー「ユニットだけが空を飛んでたんだよ」

エーリカ「なにそれ、怖っ」

シャーリー「行くよ、マーリン」ブゥゥゥン

エーリカ「いってらっしゃーい」

バルクホルン「おい!! 何事だ!! 勝手に何をしている!!」

エーリカ「なんかユニットが空を飛んでたらしいよ?」

バルクホルン「なんだそれは?」

エーリカ「しらない。シャーリーもすぐに戻ってくるだろうし、そのときに聞いてみれば?」

バルクホルン「許可もなしに飛び出すとは、何を考えている。奴が大尉になったのが不思議なぐらいだな」

エーリカ「そうかな? 私が大尉になるよりは自然だと思うけど」

バルクホルン「お前はなる気がないだけだろう」

6: 2014/02/28(金) 16:03:48.99 ID:rDbozIyA0
シャーリー「まだ落ちるなよ……!」ブゥゥゥン

ルッキーニ「シャーリー!! シャーリー!!」

シャーリー「どうしたー?」

ペリーヌ「先ほど、リーネさんが回収したようですわ」

シャーリー「なに?」

ルッキーニ「だからもう大丈夫ー」

シャーリー「なんだ、そうか……」

ルッキーニ「シャーリー、ほらほらー。戻ってきてー。オイルぬったげるー」

ペリーヌ「ちょっとルッキーニさん。わたくしたちは常に戦闘待機中ですのよ?」

ルッキーニ「何かあってもすぐにでられるし、いいじゃん」

ペリーヌ「そういうことでは……」

シャーリー「……」

ペリーヌ「どうかしまして、シャーリーさん?」

シャーリー「リーネはどこに行ったんだ?」

ペリーヌ「ええと、向こうの海岸のほうですが」

7: 2014/02/28(金) 16:09:04.79 ID:rDbozIyA0
リーネ「芳佳ちゃん、はい」

芳佳「ありがとう、リーネちゃん。ごめんね」

リーネ「でも、あんなに飛ぶものなんだね。ちょっとびっくりしちゃった」

芳佳「うん。私も驚いちゃった。でも、これなら――」

シャーリー「ここか」

芳佳「シャーリーさん!?」

リーネ「あ、なんですか……」

シャーリー「少佐はいないのか」

芳佳「はい。訓練は終わりましたから」

シャーリー「なら、勝手にユニットを持ち出すことは感心しないな」

リーネ「あ、ごめんなさい……」

芳佳「すみません。でも、どうしても試したいことがあって」

シャーリー「試したいことって?」

芳佳「ストライカーユニットを飛ばせるかどうかって……」

シャーリー「飛ばす? ユニット自体をか?」

9: 2014/02/28(金) 16:16:08.71 ID:rDbozIyA0
芳佳「はい。逆噴射みたいにしたら、ユニットはどこまで飛んでいくのかなぁって」

シャーリー「どうしてそんなことを試そうと思ったんだ?」

芳佳「それは……あの……」

シャーリー「随分と言いにくそうだな」

リーネ「実は……」

芳佳「いいよ、リーネちゃん。私が考えたことなんだし」

リーネ「で、でも」

芳佳「あの、シャーリーさんには怒られるかもしれないんですけど」

シャーリー「怒られるようなことしてたのか」

芳佳「はい……」

シャーリー「それじゃ、怒らないとな。話してごらん」

芳佳「私とリーネちゃんだけ、なんです」

シャーリー「だけって、何が?」

芳佳「戦闘中に弾切れになったら戦えなくなるのは、私とリーネちゃんだけなんです」

シャーリー「宮藤、もしかして……」

12: 2014/02/28(金) 16:26:16.92 ID:rDbozIyA0
芳佳「銃弾が尽きても戦闘から離脱できないとかネウロイの侵攻をどうしても止めないといけない場合のことを考えると……」

シャーリー「そのときはストライカーユニットをネウロイのぶつけるのか」

芳佳「は、はい」

シャーリー「それよりも先にどんなことをしても離脱できるよう飛行技術を磨くほうがいいと思うけどね」

芳佳「わ、わかってます。だけど、私とリーネちゃんはシャーリーさんみたいに速く飛べるわけじゃないですし、バルクホルンさんみたいに銃を鈍器に変える術ももってないですし」

リーネ「ハルトマンさんやルッキーニちゃんみたいに特攻もできないです……」

芳佳「だから、こういうことは必要かなって」

シャーリー「少佐には話をつけたのか?」

芳佳「すみません、まだです」

シャーリー「そうか。ユニットを犠牲にする訓練なんてバレたら怒られるぞ?」

芳佳「……もうしません」

シャーリー「なんで?」

芳佳「だって……」

シャーリー「まだ誰にもバレてないだろ? 二人にとって必要だと思うなら続けたほうがいい」

リーネ「え? でも、シャーリーさんにこうして……」

13: 2014/02/28(金) 16:32:55.33 ID:rDbozIyA0
シャーリー「私も素直な気持ちを言えば、二人を止めたいね。これでもユニットは大事にしてる方だしさ」

芳佳「それは分かってます。だから……」

シャーリー「でも、二人がきちんと考えているなら止めないさ。満足できるまでやるといい」

リーネ「いいんですか?」

シャーリー「ただし、フォローはしない。自己責任ってことで」

芳佳「は、はい!! 勿論です!!」

シャーリー「良かった。バレてもシャーリーさんから許可をもらいましたとか言うなよ?」

芳佳「言いません!」

シャーリー「おし。それじゃあ、がんばってくれ。私はこれから日焼けをするから」

リーネ「そうなんですか?」

シャーリー「成果が出たらこっそり教えてくれ。私も綺麗に焼けた肌をお風呂場で見せてあげるよ」

芳佳「わかりました!!」

リーネ「ありがとうございます」

シャーリー「楽しみにしてるよ」

芳佳「はいっ! がんばります!!」

15: 2014/02/28(金) 16:38:53.17 ID:rDbozIyA0
シャーリー「……」ブゥゥゥン

バルクホルン「リベリアン、空手のようだがユニットの回収はできたのか?」

シャーリー「あぁ。宮藤が飛行訓練中にミスして空中を漂わせただけだったよ」

バルクホルン「飛行訓練中にか」

エーリカ「なーんだ。透明のウィッチでもいるのかと思っちゃったじゃん」

シャーリー「カメレオンを使い魔にしてるウィッチならありえるかもなぁ」

エーリカ「お。それおもしろそー。いないかなー」

シャーリー「あははは。聞いたことないなー」

バルクホルン「おい」

シャーリー「悪い。今から肌を焼くんだ。邪魔しないでくれ」

バルクホルン「……」

シャーリー「おーい、ルッキーニ!! オイルぬってくれー!!」

ルッキーニ「おかえりー!! シャーリー!!」

バルクホルン「どう思う、ハルトマン?」

エーリカ「別に何も。なんかあるの?」

16: 2014/02/28(金) 16:45:26.64 ID:rDbozIyA0
ルッキーニ「ぬるぬるぅー」

シャーリー「……なぁ、ルッキーニ?」

ルッキーニ「にゃに?」

シャーリー「戦闘中に予備弾が全て尽きてもネウロイを倒しきれなかった場合、どうしろって教わった?」

ルッキーニ「銃器全部投げ捨てて即時離脱でしょ? 基本じゃん」

シャーリー「だよなぁ」

ルッキーニ「そえがどうかしたの?」

シャーリー「いや、そのことを少佐が教えてないわけないんだよな……」

ルッキーニ「どゆこと?」

シャーリー「いや。いい。こっちの話だ」

ルッキーニ「はいっ。ぬれたよー」

シャーリー「ありがとう。ルッキーニも塗ってやるよ」

ルッキーニ「おねがーい」

シャーリー「まかせとけー」

シャーリー「(まぁ、変なこと考えてるわけじゃなさそうだし、いいよな)」

18: 2014/02/28(金) 16:55:47.56 ID:rDbozIyA0
ブリーフィングルーム

エイラ「報告は以上ダ」

ミーナ「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

エイラ「了解」

美緒「昨日、戦闘があっただけに流石のエイラも疲れているようだな」

ミーナ「そのあとの夜間哨戒が不味かったかもしれないわね。今日はしっかりと休ませましょう」

美緒「それがいい」

バルクホルン「少佐。少しいいか」

美緒「どうした。何かトラブルでもあったか」

バルクホルン「一応、少佐の耳にはいれておこうと思ってな。恐らく、シャーリーから詳細は報告を受けるはずだが」

ミーナ「シャーリーさんから?」

バルクホルン「ああ。ユニットだけが飛行しているところをシャーリーが目撃したらしい」

美緒「その話か。既にペリーヌから報告は受けている。着水する前にリーネがユニットを回収したのだろう?」

バルクホルン「そうらしいな。だが、問題は何故ユニットだけが空を飛んでいたかだ。シャーリーによれば宮藤が訓練中に失敗したとのことだが」

美緒「それはあり得ないな。本日の飛行訓練は既に終わっている。自主的に訓練でもしていたのなら話は別だが、その場合は私かミーナに許可を貰うように伝えてある」

19: 2014/02/28(金) 17:04:19.10 ID:rDbozIyA0
ミーナ「でも、そんな話は聞いてないわね」

美緒「そうだ。だからこそ、あり得ない」

バルクホルン「その話が本当なら宮藤とリーネは無許可でユニットを持ち出したことになるな」

美緒「そうなるな」

バルクホルン「まだ飛ぶことに慣れていない二人が許可も得ずにユニットを使用することは看過できないぞ」

美緒「訓練をするためなら隠す必要はないからな」

ミーナ「リーネさんまで一緒なのは少し気がかりね」

バルクホルン「注意しておくべきではないか?」

美緒「しかし、そうなるとシャーリーがお前に虚偽の報告をしたことになる」

バルクホルン「あいつのことだ。宮藤たちを庇っているのだろう」

美緒「何故だ」

バルクホルン「分かりきったことを聞かないでくれ。発覚すれば、何かしらの処分があると考えたからに決まっている」

ミーナ「ユニットで危険行為でもしていたのかしら……」

美緒「シャーリーがそれを黙認したとは思えないが、一度話は聞いておくか」

バルクホルン「頼む。何かあってからでは遅いからな」

20: 2014/02/28(金) 17:10:00.10 ID:rDbozIyA0
サーニャの部屋

サーニャ「……」

エイラ「サーニャ。報告は済ませておいたからな」

サーニャ「うん。いつもありがとう」

エイラ「気にすんナ。……なにみてるんだ?」

サーニャ「ストライカーユニットが飛んでるの」

エイラ「誰か訓練でもしてるのか?」

サーニャ「ううん。ユニットだけが飛んでる」

エイラ「えー? ホントだ。なんでダ?」

サーニャ「わからないわ。でも、あれはリーネちゃんのユニットだと思う」

エイラ「遊んでるのかな」

サーニャ「大事なユニットでそんなことしないと思うけど」

エイラ「あれ高いしな。壊したら怒られるもんなー。毎回壊して帰ってくるやつもいたけど」

サーニャ「そうね。そのことはリーネちゃんもわかってるはずだし」

エイラ「ま、意味なくやってないだろ。それよりサーニャは寝ておいたほうがいいぞ。時間になったら起こしてやるからな」

22: 2014/02/28(金) 17:15:39.93 ID:rDbozIyA0
滑走路

ルッキーニ「すぅ……すぅ……」

シャーリー「……なんですか?」

美緒「休んでいるところすまんな。話を聞いておかなくてはならない」

シャーリー「ペリーヌもバルクホルンも告げ口が好きだなぁ」

美緒「宮藤とリーネは何をしている?」

シャーリー「訓練ですよ。訓練」

美緒「ユニットを無許可で持ち出さなくてはいけない訓練か」

シャーリー「さぁ。私は怒らないですけど」

美緒「今、二人はどこにいる?」

シャーリー「まだ向こうにいると思います」

美緒「念のため聞いておくが、お前は止めなかったのか」

シャーリー「その必要はないと思って止めませんでした」

美緒「危険行為ではないということだな」

シャーリー「そんなことしてるなら叩いてでもやめさせてますよ」

23: 2014/02/28(金) 17:23:20.19 ID:rDbozIyA0
美緒「分かった。それだけ聞ければ十分だ」

シャーリー「え?」

美緒「シャーリー。お前は既に大尉だ。そのことを自覚していないということもあるまい」

シャーリー「んー。どうですかね」

美緒「お前の判断を信じよう。これ以上の追求はしない」

シャーリー「マジ?」

美緒「大真面目だ」

シャーリー「きついなぁ。そういわれると、私に責任がのしかかってくるじゃないですか」

美緒「そんなつもりはない。私はシャーロット・E・イェーガー大尉を信じると言っただけだ」

シャーリー「人が悪いですよ、少佐ぁ」

美緒「はっはっはっは。素直な宮藤とリーネが隠していることだ。余程の理由でもあるのだろう。危険がないのであれば詮索するのも無粋だ」

シャーリー「私が監督しろってことですか?」

美緒「そんなことは言っていないだろう。私は何も知らないのだからな」

シャーリー「失敗したなぁ……」

美緒「頼むぞ、大尉。はっはっはっは」

24: 2014/02/28(金) 17:28:01.37 ID:rDbozIyA0
食堂

芳佳「どうぞ、シャーリーさん」

シャーリー「サンキュー。……で、どうだったんだ?」

芳佳「は、はい。まだ、なんとも……。飛ばしてみただけですから」

シャーリー「そっか。これからも続けるのか?」

芳佳「できれば……その……」

シャーリー「分かったよ。ま、がんばれ」

芳佳「はい。ありがとうございます」

バルクホルン「……」

エーリカ「たべないの? もらっていい?」

バルクホルン「食べる」

エーリカ「なんだぁ」

バルクホルン「シャーリー」

シャーリー「どうした? それ、くれるのか?」

バルクホルン「食後、私の部屋までこい」

25: 2014/02/28(金) 17:35:55.78 ID:rDbozIyA0
バルクホルンの部屋

シャーリー「きたぞ――」

バルクホルン「宮藤とリーネは何をしている?」

シャーリー「早速だな。そんなに気になるなら直接聞いたらどうだ?」

バルクホルン「少佐から止められている。何も聞いてやるなとな」

シャーリー「ふぅん。で、私を尋問ってか?」

バルクホルン「言え」

シャーリー「ただの訓練だよ。訓練。何も危ないことはしちゃいない」

バルクホルン「大尉としての立場から黙認したということでいいんだな?」

シャーリー「あのなぁ。別に私は偉そうにするために大尉になったわけじゃないぞ」

バルクホルン「危険性はないんだな?」

シャーリー「ないって」

バルクホルン「……それならいい」

シャーリー「話は終わりか? 戻るぞ」

バルクホルン「ああ」

28: 2014/02/28(金) 17:45:34.05 ID:rDbozIyA0
シャーリー「さーて、寝るかなぁー」

エーリカ「シャーリー、トゥルーデとなに話してたの?」

シャーリー「分かってるくせに」

エーリカ「あれでも新人のことを心配してるんだよ。気にしないであげてよ」

シャーリー「気にはしないさ。私も隠されてたら心配ぐらいはするしさ」

エーリカ「だねぇ。リーネと宮藤は501結成以来、初めてのド新人だし。周りが気にしてあげないとね」

シャーリー「そうそう。危なっかしいから見てるだけで疲れるよな」

エーリカ「ふぅん、危なっかしいんだぁ?」

シャーリー「いや、ほら、訓練でも戦闘とかでもさ、フラフラ飛んでることが多いだろ?」

エーリカ「まだ、そこまで危ない戦闘はしてないと思うけどなぁ。訓練は少佐がついてるし、寧ろ心配になることはないじゃん」

シャーリー「……私はもう寝る」

エーリカ「おつかれー」

シャーリー「ハルトマンと話すのも疲れるな」

エーリカ「そう? それは光栄だねぇ」

シャーリー「そういうところが疲れるんだよ」

30: 2014/02/28(金) 17:56:20.75 ID:rDbozIyA0
シャーリー「……」

シャーリー「危なっかしいか……」

シャーリー「(なんでそんなことを私は思ったんだ? やっぱり、あれ止めさせたほうがいいのか?)」

シャーリー「(いや、でも二人はきちんと考えたしな。それに基本的なことも少佐から教わっているはずだ)」

シャーリー「(最後の手段としてあれを考案したって感じだったし、その辺の自覚があれば止めるだけの理由もないよな)」

シャーリー「……」

シャーリー「うーん……」

エイラ「……」ソーッ

シャーリー「なんだよ」

エイラ「バレたか」

シャーリー「何か用か?」

エイラ「いや。何か悩んでるなぁと思って」

シャーリー「悩んでるように見えたか」

エイラ「見えたゾ。大尉になって仕事でも増えたのか?」

シャーリー「そうかな……。増えたというよりは、増やされたって言ったほうがいいかもしれないけど」

32: 2014/02/28(金) 18:08:48.29 ID:rDbozIyA0
エイラ「大変だナー。私は少尉のままでいいんだな」

シャーリー「いいのか? そのままだとサーニャと一緒にいられなくなるかもれないのに」

エイラ「マジで!?」

シャーリー「当たり前だろ。サーニャが順調に昇級していけば、そのうち隊を任されるようになる。そのときエイラが少尉のままなら置いていかれるぞ?」

エイラ「サ、サーニャならきっと私を引き抜いてくれるんダナ!!」

シャーリー「どうだろうな。少尉だと上からの命令にも中々意見を言えないし、異動は運任せになる。でも偉くなれば多少の融通は効くぞ?」

エイラ「うぅ……そうなのか……」

シャーリー「ま、サーニャと一緒に居たいなら士官教育受けろ。偉くなれば確実に傍にいれる。と思う」

エイラ「いやだなぁ……」

シャーリー「エイラならすぐに大尉にまでなれるよ」

エイラ「……考えとく」

シャーリー「そうしろそうしろ」

エイラ「でも、大尉になるとシャーリーも悩むことがでてくるんだろ? それを知ってるとなぁ。億劫にもなる」

シャーリー「これは私が勝手に悩んでるだけ……」

エイラ「なんだ。やっぱり悩んでたのか。大尉にはなりたくナイナー」

34: 2014/02/28(金) 18:20:15.27 ID:rDbozIyA0
シャーリー「……」

エイラ「ナンダ?」

シャーリー「なんでもない」

エイラ「そういえば昼間にリーネのユニットだけが空を飛んでたんだけど、何か関係してるか?」

シャーリー「してるかな」

エイラ「そうか」

シャーリー「……お前も疲れてるだろ? もう休んだほういいんじゃないか」

エイラ「じゃ、おやすみ」

シャーリー「なぁ、エイラ」

エイラ「どうした?」

シャーリー「戦闘中、ネウロイが生きてるのに予備弾も全て尽きて、尚且つ逃げられない場合はどうする?」

エイラ「逃げられなくても逃げるに決まってるだろ。私はシャーリーやルッキーニみたいに魔法を活かして体当たりなんてできないからな」

シャーリー「私も体当たりは……まぁ、この前音速で突っ込んだけどさ……」

エイラ「まぁ、私が落とされることはまずないけどナ」

シャーリー「そういう意味では弾が尽きてもエイラは戦えるんだよな」

35: 2014/02/28(金) 18:31:14.12 ID:rDbozIyA0
エイラ「そうなるかな」

シャーリー「少佐も接近戦には長けてるし……。中佐とサーニャはどうだ?」

エイラ「中佐は無駄弾を撃つようなことはしないしな。サーニャは予備弾を合わせればいくら危険な状況になっても十分に離脱できるはずだ」

シャーリー「そうだな。戦闘不能になることは想定してないよな」

エイラ「そんなの誰でも一緒ダロ。弾が尽きたら即時離脱は基本中の基本だ」

シャーリー「……」

エイラ「宮藤とリーネと関係してるのか、それ?」

シャーリー「ああ」

エイラ「少佐が教えてるだろうし、何が引っ掛かってるんだ」

シャーリー「不安なんじゃないか」

エイラ「逃げられない状況に陥ったらか」

シャーリー「私たちはそんなことで悩んだりしないからよく分からないけど、二人にとっては最も怖いのかもしれないだろ」

エイラ「リーネも宮藤も経験がないからなぁ。毎日、そんなこと考えてるのか」

シャーリー「ダメだな。先輩としてどうアドバイスしたらいいのか分からない。何を言っても二人の不安を取り除けるとは思えない」

エイラ「そうか? リーネはともかく宮藤なんて単純そうだし、テキトーなこと言ってれば説得できそうだけどな」

37: 2014/02/28(金) 18:42:40.00 ID:rDbozIyA0
シャーリー「それならいいけど、隠してまでやってるってことは色々と思いつめてるだろうし、簡単にはいかないんじゃないか」

エイラ「ダナ。こんなに頼れる先輩がいるのに」

シャーリー「頼れるか?」

エイラ「頼れるダロ!!」

シャーリー「ありがとう、エイラ。少し楽になれた」

エイラ「そうか?」

シャーリー「確かにエイラの言うとおりだ。一人で悩んでも仕方ないよな。こういうことは」

エイラ「どうするんだ?」

シャーリー「少佐と中佐に話してみる。宮藤とリーネが抱えてる悩みをさ」

エイラ「いいのか? リーネたちが内緒にしてることダロ?」

シャーリー「このままにしておくとマズイ気がするからね」

エイラ「大尉でも弱気になるんだな」

シャーリー「でも上官はミスはできないし弱音も吐けない。そんなことしたら下が不安がるからね。特に新人はさ」

エイラ「やっぱり士官教育うけたくねー。サーニャに甘えられなくなったら最悪じゃないか」

シャーリー「サーニャより出世するつもりか? ははは、サーニャは喜びそうだけどな」

38: 2014/02/28(金) 18:53:22.65 ID:rDbozIyA0
翌日 ブリーフィングルーム

ミーナ「分かりました。宮藤さんとリーネさんは戦闘時、危地に追い込まれたときのことを考えた訓練を独断でしているのね」

シャーリー「そうみたいです」

ミーナ「坂本少佐。二人には何を教えているの?」

美緒「撤退時の心得は真っ先に叩き込んでいる。それを知らなければ生きて帰ってこれる状況でも氏ぬからな」

シャーリー「少佐の所為じゃない。多分、私たち全員だ」

バルクホルン「全員?」

シャーリー「特にハルトマンなんかが二人を追い詰めてるんじゃないか?」

エーリカ「えー? マジぃ? 虐めたつもりはないけどなぁ。トゥルーデが意地張ってるときは喋らないようにしてたけど」

バルクホルン「頼んだ覚えはない」

エーリカ「なんだよー。だったら最初から宮藤に心許しておいてよー」

バルクホルン「それでシャーリー。それはどういう意味だ」

シャーリー「分からないか? 優秀すぎるんだよ。501の面子はさ。新人たちを焦らせるぐらいに」

美緒「他の者との能力を比べ、自身の生存率の低さを憂いているのか」

シャーリー「だからこそ、万が一の訓練なんかを報告もせずにしているんじゃないですか? こうでもしないと力のないウィッチは生き残れないって考えて」

40: 2014/02/28(金) 19:01:11.33 ID:rDbozIyA0
ミーナ「それは本人から聞いたの?」

シャーリー「いえ。私の推測です」

美緒「はっはっはっは。おかしな不安を抱いているようだな。ハルトマンとバルクホルンを見ていればそんな不安など寧ろ吹っ飛ぶだろう」

エーリカ「だよねー。弾が尽きたって私とトゥルーデなら守ってあげられるのに」

バルクホルン「新人の信頼を得られていないということだろう」

美緒「その点も我々には秘匿にしている理由なのかもしれないな」

シャーリー「で、どうしたらいいかなって」

バルクホルン「シャーロット・E・イェーガー大尉はどう考えている?」

シャーリー「な、なんだよ?」

バルクホルン「お前も上に立つ人間だ。少佐を頼るのも間違いではないが、お前自身で決断しなければならないときも来る」

シャーリー「……」

バルクホルン「それが嫌なら階級を元に戻せ」

美緒「バルクホルン。言葉が強いぞ」

バルクホルン「しかし事実だ。これからはシャーリーの一言で命を落とすウィッチが出てくる可能性もあるんだぞ」

シャーリー「そ、そうだな……」

42: 2014/02/28(金) 19:13:37.06 ID:rDbozIyA0
ミーナ「バルクホルン大尉。その辺にして」

バルクホルン「何を言っている。ミーナと少佐は一度、シャーリーに託したのだろう? 黙認した責任というものも当然、シャーリーには背負ってもらう」

ミーナ「あのね……」

シャーリー「いや。バルクホルンの言うとおりです。宮藤とリーネのことは私に任せてください」

美緒「何か考えはあるのか?」

シャーリー「言葉での説得は無理だと思っています」

エーリカ「どうして?」

シャーリー「生き残る術を持っている私たちがどんな言葉を並べても、宮藤とリーネは納得できないだろ?」

美緒「あの二人にはまだ自信に繋がる技能も実績もないからな」

エーリカ「宮藤はそうでもないんじゃない? 赤城を守ってるわけだし」

美緒「あれは運がよかっただけと宮藤は考えている」

エーリカ「そっか。少佐もいたしね」

美緒「シャーリーの言うとおり、言葉だけで取り除けるほど浅いものではないだろう」

ミーナ「では、どうするの?」

シャーリー「言葉で無理なら、体で知ってもらうしかないと思ってるんですけど……」

43: 2014/02/28(金) 19:19:34.09 ID:rDbozIyA0
格納庫

芳佳「急いで」

リーネ「うん」

ペリーヌ「自主訓練ですの?」

芳佳「ペリーヌさん……。は、はい。そうです」

ペリーヌ「そう。感心ね。ま、精々足手まといにならないようにしっかり訓練なさい」

リーネ「が、がんばります」

ペリーヌ「ところで。坂本少佐の許可は頂いておりますわね?」

芳佳「も、もちろんです」

ペリーヌ「……」

リーネ「は、はい……」

ペリーヌ「よろしい。行きなさい」

芳佳「ごめんなさい、ペリーヌさん!!」ブゥゥゥン

リーネ「ごめんなさーい!!」ブゥゥゥン

ペリーヌ「謝らなくていいですのに……。お馬鹿さんには困りますわね」

44: 2014/02/28(金) 19:27:18.30 ID:rDbozIyA0
エイラ「止めなくて良かったノカ?」

ペリーヌ「止めたほうがよろしかったの?」

エイラ「しらねー」

ペリーヌ「いいことではありませんか。自ら鞭打って、訓練をする。新米として当たり前のことですが」

エイラ「デモナー」

サーニャ「エイラ……リーネちゃんと宮藤さんは……」

エイラ「もういったぞ。サーニャも心配なのか?」

サーニャ「うん……」

エイラ「心配ないってー。シャーリーが気にかけてたぐらいだかんナー」

サーニャ「ユニットを飛ばすって、ウィッチにとっては自殺行為だから。昨日のあれってそういうことでしょう?」

エイラ「自爆覚悟でネウロイと戦おうとしてるんだろ? カッコイイじゃないか。私はそんな泥臭いことしないけどナ」

ペリーヌ「わたくしもエイラさんと同意見ですわね」

エイラ「お前に賛同されても嬉しくないけどな」

ペリーヌ「なんですって!?」

サーニャ「わかって欲しいな……私たちがいることを……」

46: 2014/02/28(金) 19:35:15.30 ID:rDbozIyA0
海岸

芳佳「今日はちゃんと目標に当たるかどうか試したいよね」

リーネ「どうするの? 的になるようなものはないし、それに当てたらユニット壊れちゃうかも」

芳佳「そっか。だけど、命中できなきゃ意味ないよ。ユニットを飛ばすんだから、絶対に命中させないと」

リーネ「うん……」

芳佳「とりあえず、できるだけ真っ直ぐ飛ばしてみようよ」

リーネ「そうだね。今日は私からやってみてもいい?」

芳佳「もちろん。がんばって、リーネちゃん!!」

リーネ「ありがとう」

シャーリー「――よー。お二人さん?」

芳佳「え!?」

リーネ「シャーリーさん、どうしたんですか!?」

ルッキーニ「あたしもいるよー」

シャーリー「手伝ってあげようと思ってさ。その訓練」

芳佳「え? いいんですか!?」

48: 2014/02/28(金) 19:42:20.82 ID:rDbozIyA0
シャーリー「ああ。二人だけじゃ捗らないこともあるだろうしね。おい、ルッキーニ」

ルッキーニ「あーい」ブゥゥゥン

シャーリー「そこでいい。止まってくれ」

ルッキーニ「あい」

芳佳「な、なんですか?」

シャーリー「ルッキーニに当ててみるんだ」

芳佳「で、できませんよ!?」

シャーリー「それは当てる自信がないのか、それともルッキーニにはユニットを飛ばせないって意味か?」

芳佳「ルッキーニちゃんを危ない目に合わすことなんてできません!!」

シャーリー「リーネも同じか?」

リーネ「は、はい!」

シャーリー「でもさ、ユニットを飛ばすってことはネウロイと刺し違える覚悟でやるんだろ?」

芳佳「そ、そうですけど」

シャーリー「だったらこのユニット飛ばしは百発百中、必中の攻撃でないと意味がないんじゃないか?」

芳佳「は、はい……」

49: 2014/02/28(金) 19:52:54.12 ID:rDbozIyA0
ルッキーニ「どうしたのー!! 飛ばしてよー!!」

シャーリー「ぶっつけ本番で当てられる自信があるなら別だけだけさ、できそうにないから訓練してるんだろ?」

リーネ「それでもルッキーニちゃんに向けて飛ばすなんてことはできません」

シャーリー「動かない的を狙っても特訓にはならないぞ」

芳佳「あ……」

シャーリー「無駄氏するためにユニットを飛ばすならやめてくれ」

芳佳「……!」

シャーリー「どうした?」

芳佳「どうして……そんなこというんですか……」

シャーリー「……」

芳佳「私だって本当はこんなことしたくないです!!」

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳「大切なユニットを自分から壊すようなことしたくないんです!!」

シャーリー「……」

芳佳「シャーリーさんみたいに……強いウィッチなら、こんなこと考えなくてもいいかもしれませんけど……何もできずに氏んでしまうことが怖いんです……」

50: 2014/02/28(金) 19:59:30.52 ID:rDbozIyA0
シャーリー「とにかく、ほらルッキーニ向かって撃ってごらん」

芳佳「だ、だからできませんよ!!」

シャーリー「あのなぁ、宮藤?」

芳佳「なんですか?」

シャーリー「ルッキーニに当てることができると思うのか?」

芳佳「万が一ってこともありえるじゃないですか!!」

シャーリー「おーい、ルッキーニー。馬鹿にされてるぞー」

ルッキーニ「にゃにおー!!! うってこーい!! 絶対によけーる!!!」

シャーリー「ほら、ああいってるだろ?」

芳佳「そ、それでもできません!!」

シャーリー「ルッキーニの実力を疑ってるのか? それは流石の私も怒るぞ」

芳佳「いえ、そういうことじゃ……」

シャーリー「リーネもか?」

リーネ「そ、そんなこと!! ルッキーニちゃんはとってもすごいウィッチで……」

シャーリー「よーし。言ったなぁ? なら、リーネ。ユニットをルッキーニ向けて飛ばしてみろ。とってもすごいウィッチに当てることはできないだろ?」

51: 2014/02/28(金) 20:06:35.33 ID:rDbozIyA0
リーネ「そ、そんなぁ!!」

シャーリー「ほーら、撃ってみろ」ガシッ

リーネ「ほ、本当に……?」

シャーリー「ルッキーニをネウロイだと思え。二人が考えている最悪のシナリオはなんだ?」

リーネ「孤立していて救援も期待できず、予備の銃弾も尽きている状態です……」

シャーリー「そうだ。そしてそのネウロイを侵攻させてはいけない。そうだな?」

リーネ「はい」

シャーリー「絶対に当てて撃墜しないとブリタニアが占領される」

リーネ「……」

芳佳「リーネちゃん……」

ルッキーニ「はやくー!!」

シャーリー「やってみれば分かる。宮藤とリーネの方法がどれだけ効果的なのかがさ」

リーネ「……はい」ブゥゥゥン

ルッキーニ「にひぃ! こーい!!」

リーネ「いくよ……ルッキーニちゃん……」

52: 2014/02/28(金) 20:14:05.51 ID:rDbozIyA0
リーネ「……行って!」ブゥゥン

ルッキーニ「……」

芳佳「ルッキーニちゃん!! よけて!!」

ルッキーニ「あれ……うごけない……ユニットの調子わるいみたい……」

芳佳「えぇぇぇ!? さっきまで軽快に動いてたのに!?」

シャーリー「ルッキーニ!! 逃げろ!!」

ルッキーニ「むりー!」

リーネ「そんな!!」

芳佳「リーネちゃん!!」ガシッ

リーネ「芳佳ちゃん、私はいいからルッキーニちゃんを……!!」

芳佳「でも、リーネちゃんを支えてないと落ちちゃうし……シャ、シャーリーさん!!」

シャーリー「分かってる!!」ブゥゥゥン!!!

ルッキーニ「あにゃー!? ぶつかるー!!」

リーネ「いやぁぁ!!」

シャーリー「――ルッキーニを頼む!!」

53: 2014/02/28(金) 20:21:30.27 ID:rDbozIyA0
エーリカ「りょーかーい」ガシッ

ルッキーニ「うにゃー」

リーネ「ハ、ハルトマンさん……?」

バルクホルン「ふんっ!!」ガシッ!!!

芳佳「バルクホルンさん……」

シャーリー「やるなぁ。素手でユニットを掴むなんて」

バルクホルン「これぐらいなんでもない」

リーネ「あの……」

エーリカ「リーネと宮藤が想定してた状況って、今のルッキーニみたいなことだろ?」

バルクホルン「孤立無援。離脱不可。脅威を回避することもできない。まさに今のルッキーニ少尉と同じだ」

芳佳「あ……そ、そういわれたらそうですけど……」

シャーリー「分かったか?」

リーネ「え……?」

シャーリー「お前たちが立派なウィッチになるまでは私たちが全力で守ってやる。弾切れになったら私でも少佐でもバルクホルンでも誰でもいいから呼べ。それで解決さ」

芳佳「だけど……すぐに助けにきてくれるかは……」

54: 2014/02/28(金) 20:31:21.02 ID:rDbozIyA0
シャーリー「自惚れるな」グイッ

芳佳「うぁ」

シャーリー「誰が今の宮藤とリーネに単独戦闘させるんだよ。お前たちの傍らには絶対に誰かいるんだ」

芳佳「シャーリーさん……」

シャーリー「信じてくれ。こんな上官でよければだけどさ」

芳佳「そんな……私たちは……」

バルクホルン「リーネ、ユニットを返す」

リーネ「ご、ごめんなさい!!」

バルクホルン「軍人ならば生き残ることだけを考えろ。諦める前にもがけ。氏ぬのならそのあとにしろ」

エーリカ「トゥルーデがいっても説得力ないね」

バルクホルン「黙れ!!」

ルッキーニ「にゃはは。リーネも芳佳も変だよー? こんなに強いウィッチに囲まれてて氏ぬわけないじゃん」

エーリカ「だよねー。天才のルッキーニがいるもんねー」

ルッキーニ「そのとーりだぁ! ルッキーニ様がいる限り、だいじょうぶー!!」

芳佳「うん……ごめんね……」

56: 2014/02/28(金) 20:41:47.28 ID:rDbozIyA0
リーネ「ごめんなさい……私たち……その……」

バルクホルン「あ、あれだ。ユニットを犠牲にする方法は決して悪いわけではない。何かの役には立つかもしれないな」

エーリカ「なんだそれ、フォローのつもりか?」

バルクホルン「本当のことだ」

エーリカ「ユニットをぶつけて破壊しなきゃいけないほどのコアを持つネウロイが出てきたら有効かもね。めちゃくちゃ大きいだろうけど」

ルッキーニ「えぇー? そんなネウロイやだー」

シャーリー「宮藤、リーネ。ハルトマンの言うとおりだ」

芳佳「え?」

シャーリー「でかいコアを持つネウロイが現れたら使えばいい。そのときは勿論、銃弾も尽きていて、傍らに二人ぐらい誰かがいるのが最低条件だけどね」

芳佳「……わかりました」

リーネ「はい」

シャーリー「よし。さ、こんな訓練より少佐の厳しい特訓を受けに行きなよ」

芳佳「はい! 行ってきます!」

リーネ「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

シャーリー「私たちのことは気にしなくていいよ。でも、反省はしてほしいかな」

57: 2014/02/28(金) 20:49:32.31 ID:rDbozIyA0
美緒「来たか」

芳佳「坂本さん……」

美緒「何か言われたか?」

リーネ「信じてほしいといわれました」

美緒「お前たちが不安に思うのも無理はない。切り札を持っていうようとする気持ちも分かる。しかし、その切り札はお前たちの命ではない」

美緒「私たち、全員の力こそが切り札だ。いいな?」

芳佳「はいっ!!」

美緒「いい返事だ、宮藤!! だが、我々を信頼できていなかった罪は重いぞ!! 今日は血反吐が出るまでお前たちを扱いてやる!! いいな!!」

リーネ「はい!! お願いします!!」

芳佳「すみませんでした!!」

美緒「謝罪はいらん!! 走れー!!!」

バルクホルン「あの程度のことでよかったのか?」

シャーリー「次は私たちの番だろ? 信じろって言ったんだから、信じてもらえるように努力しないとな」

エーリカ「それはそれで面倒だなぁ」

シャーリー「そういうなよ。ハルトマンにとっても可愛い後輩だろ?」

60: 2014/02/28(金) 20:58:49.12 ID:rDbozIyA0
エーリカ「うーん。トゥルーデにとっては可愛いかもしれないけど」

シャーリー「またまた。ハルトマンが一番危なっかしいって思ってるんだろ?」

エーリカ「宮藤もリーネもしっかりしてるよ。トゥルーデほど危なっかしくないし」

バルクホルン「どういう意味だ?」

エーリカ「そういう意味だ」

バルクホルン「おまえなぁ……」

シャーリー「あははは。ルッキーニも二人のこと頼むな」

ルッキーニ「にゃはー。任せてよー」

バルクホルン「さて、問題はここからだな、シャーリー?」

シャーリー「なんだよ?」

バルクホルン「信じてもらえるように努力するということはだ、日焼けなどしている暇などないぞ?」

シャーリー「な……」

バルクホルン「これから私はみっちり教えてやろう。規範となれるようにな」

シャーリー「勘弁してくれよ……」

61: 2014/02/28(金) 21:07:46.31 ID:rDbozIyA0
ブリーフィングルーム

バルクホルン「いいか!! 上官たるもの、常に気を引き締めておかなくてはならない!! 半裸で施設内を歩くなど言語道断だ!!!」

シャーリー「……」

バルクホルン「聞いているのか!?」

シャーリー「聞いてる聞いてる」

バルクホルン「お前のためにやっているんだぞ!?」

シャーリー「わかったから進めてくれ」

ミーナ「熱がはいっているわね」

エーリカ「シャーリーも可哀相に。士官教育をここでも受けるなんて」

ミーナ「あなたも受けてみたら? 今ならすぐにでも少佐ぐらいにならなれるわよ?」

エーリカ「やだよー。シャーリーみたいに悩みたくないもの」

ミーナ「確かに悩むのは辛いことね。ましてや他人のために悩まないといけないから」

エーリカ「だからさ、私は気楽な今は一番いいかなぁ」

ミーナ「あら、どうして?」

エーリカ「だって、私まで悩んでたらみんな私に相談しにくいじゃん? なんて」

63: 2014/02/28(金) 21:13:03.85 ID:rDbozIyA0
格納庫

美緒「今日はここまでだ」

芳佳「ごほっ……」

リーネ「うぅぅ……」

ペリーヌ「あらあら。今日は一段と厳しいものだったようですわね」

エイラ「生きてるカー?」

サーニャ「大丈夫?」

芳佳「う、うん……」

エイラ「ほら、起きろ」グイッ

芳佳「あ、ありがとうございます……」

エイラ「お礼なんていいゾ。こうやって助けるために私たちがいるんだからな」

芳佳「エイラさん……」

エイラ「勿論、私の中では助ける優先順位はあるけどな。一番はサーニャだ」

芳佳「あ、はい」

サーニャ「宮藤さん。本気にしないでね。エイラ、照れてるだけだから」

65: 2014/02/28(金) 21:19:31.94 ID:rDbozIyA0
ペリーヌ「ほら、リーネさん。手を」

リーネ「ありがとございます」ギュッ

ペリーヌ「……馬鹿なことを考える前に一言ぐらいは声をかけなさい」

リーネ「ペリーヌさん……?」

ペリーヌ「それなりに助言できることもありますわ」

リーネ「……はいっ!」

ペリーヌ「これだから新人は嫌ですわ。手間ばっかりかけさせるんですから」

芳佳「あの、エイラさん、ペリーヌさん、サーニャちゃん」

エイラ「なんだぁ?」

芳佳「これからも私とリーネちゃんのこと助けてくれますか?」

サーニャ「勿論よ」

エイラ「何いってんだよぉ。確認するまでもないだろ」

ペリーヌ「氏なれたら、戦力が低下しますからね。貴方たちのような役立たずも、囮ぐらいにはなりますし」

エイラ「お前、もうちょっとマシなウソつけよなー」

リーネ「よろしくおねがいしますっ」

66: 2014/02/28(金) 21:29:32.41 ID:rDbozIyA0
シャーリー「はぁ……つかれた……」

美緒「シャーリー、バルクホルンから士官教育を受けたそうだな」

シャーリー「少佐。そうなんですよ。なんか気合入ってて、困りました。ところで宮藤とリーネは?」

美緒「心配はいらん……といいたいところだが、実際のところはこれからだな」

シャーリー「やっぱりそうですか」

美緒「私もお前も奴らが安心して空を飛べるだけの上官にならなくてはな」

シャーリー「少佐はもう心配いらないと思いますけど」

美緒「これでも宮藤たちに隠し事をされたのがショックでな。暫くは立ち直れそうにない」

シャーリー「分かります」

美緒「だが、あのシャーリーに頼られたことで自信はついた」

シャーリー「これからも少佐には甘えさせてもらいますよ」

美緒「それは構わんが、誰も見ていない場所で頼むぞ。お前の信頼度に直結するからな」

シャーリー「確かに。もう私は大尉ですからね」

美緒「そのとおりだ。これからも皆のことをその広い視野で見守ってくれ」

シャーリー「できるだけのことはやってみます。ありがとうございました」

67: 2014/02/28(金) 21:35:49.97 ID:rDbozIyA0
数日後 滑走路

ルッキーニ「うにゃぁ……」

ペリーヌ「ちょっと!! ルッキーニさん!! 何をしていますの!!」

ルッキーニ「日向ぼっこぉ」

ペリーヌ「あのですね!! こんな場所でだらけないでくださいな!! 迷惑ですわ!!」

ルッキーニ「えぇ? なんでぇ?」

ペリーヌ「あなた!! 仮にも少尉ですのよ!? 宮藤さんやリーネさんの上官ですのよ!?」

ルッキーニ「しらなーい」

ペリーヌ「もう……!!!」

シャーリー「まぁまぁ、ペリーヌ。ルッキーニはさっきまでトレーニングをちゃんとやってたんだ。見逃してやってくれ」

ペリーヌ「シャーリーさん!! 貴方がそうやって甘やかすからルッキーニさんはこうやって怠けてばかりで……!!!」

ルッキーニ「あにゃ? シャーリー、なんか飛んでるよ?」

シャーリー「なに……?」

ペリーヌ「あれは……ストライカーユニット……? ど、どうしてまたユニットだけが飛んでいますの……!?」

シャーリー「あのエンジン音は……」

68: 2014/02/28(金) 21:41:18.78 ID:rDbozIyA0
エーリカ「すごーい。結構飛ぶもんだねぇ」

芳佳「あははは……」

リーネ「あのぉ、ハルトマンさん。怒られますよ?」

エーリカ「大丈夫。今は誰も訓練してないことは確認してるから」

芳佳「でも……」

エーリカ「こんな楽しい遊びを私に内緒でやってたのは許せないね」

芳佳「遊びじゃないですよぉ」

シャーリー「おい」

リーネ「きゃ!? シャーリーさん!?」

エーリカ「どうかしたぁ?」

シャーリー「なにやってんだよ」

エーリカ「シャーリーもどう? ユニット逆噴射させて飛ばすの結構面白いよ」

シャーリー「あのなぁ……」

芳佳「あ、あの、シャーリーさん。これは……その……」

シャーリー「……実は私もやってみたかったんだよなぁ。やろうやろう。一番速く遠くまで飛ばせたほうの勝ちな!」

70: 2014/02/28(金) 21:49:31.04 ID:rDbozIyA0
エイラ「なんだ? なんかユニット飛んでないか?」

サーニャ「あれは……シャーリーさんとハルトマンさんのだわ……」

エイラ「シャーリーのはえー。魔法つかってんな、絶対」

ルッキーニ「にゃはははは!! やっぱりシャーリーがいちばーん!!」

ペリーヌ「あのかたたちはぁ……!! 少佐ぁ!! 少佐ぁ!! いえ、バルクホルン大尉ー!!!」

美緒「見ている」

ペリーヌ「少佐!! これは何か然るべき罰をお与えになったほうがよろしいのでは!?」

ミーナ「もう……フラウもシャーリーさんも……」

美緒「二人とも上官らしからぬところが魅力ともいえるがな」

バルクホルン「……行ってくる」

美緒「程々にな」

バルクホルン「うおぉぉぉおお!!! ハルトマァァン!!!! シャーリィィ!!!!」ブゥゥゥウン!!!

サーニャ「――あ。エイラ、シャーリーさんが飛んだわ。ユニットなしで」

エイラ「怖っ」


END

72: 2014/02/28(金) 21:50:42.27 ID:hdD2g2Fm0
おつおつ
いいオチだった

引用元: シャーリー「ユニットだけが空を飛んでたんだよ」エーリカ「怖っ」